| JP3631966 | ANTI-FOGGING AGENT COATED CLOTH |
| JP05214677 | HIGH CHROMOPHORIC FIBER SHEET AND ITS PRODUCTION |
| WO/1997/008377 | HIGHLY SMOOTH FIBER, FABRIC AND FORMED ARTICLE |
麻生 宏実 (〒93 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨン株式会社中央技術研究所内 Hiroshima, 7390693, JP)
三菱レイヨン株式会社 (〒06 東京都港区港南一丁目6番41号 Tokyo, 1088506, JP)
ASO, Hiromi (Mitsubishi Rayon Co. Ltd., 20-1, Miyukicho, Otake-sh, Hiroshima 93, 7390693, JP)
| 少なくとも下記式(1)で示されるユニットと、 下記式(2)、(3)及び(4)で示されるユニットからなる群から選択される少なくとも1つのユニットと、 任意で下記式(5)で示されるユニットと、 を含む変性ポリジメチルシロキサンを1~10wt%含有する炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物。 |
| 前記変性ポリジメチルシロキサンが、前記式(1)、(2)及び(5)で示されるユニットをそれぞれ1つ以上有し、25℃における動粘度が500~1000mm 2 /sであることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物。 |
| 前記変性ポリジメチルシロキサンが、前記式(1)、(3)及び(5)で示されるユニットをそれぞれ1~20個有し、25℃における動粘度が3000~5000mm 2 /sであることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物。 |
| 前記変性ポリジメチルシロキサンが、前記式(1)及び(4)で示されるユニットをそれぞれ1~20個有し、25℃における動粘度が500~1500mm 2 /sであることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物。 |
| シリコーン化合物と、ケイ素を含まない有機化合物とをさらに含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物。 |
| 前記のケイ素を含まない有機化合物が芳香族エステルであることを特徴とする請求項5に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物。 |
| 前記のシリコーン化合物がアミノ変性シリコーンであることを特徴とする請求項5又は6に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物。 |
| 芳香族エステルを30~70wt%、アミノ変性シリコーンを10~50wt%含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物。 |
| ノニオン系乳化剤を10~40wt%含有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物。 |
| 請求項1から9のいずれか1項に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物を水中に分散して調製する炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤。 |
| 請求項1から9のいずれか1項に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物又は請求項10に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤が乾燥繊維質量に対して0.1~2.0wt%付与された炭素繊維前駆体アクリル繊維束。 |
| ミセルの平均粒子径が0.01μm以上0.5μm以下である請求項10に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤を、請求項11に記載の範囲となるように炭素繊維前駆体アクリル繊維束に付与する工程、及び油剤が付与された繊維を乾燥緻密化する工程を有する炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法。 |
本発明は、炭素繊維束の製造過程におい 、炭素繊維前駆体アクリル繊維束(以下、単 に前駆体繊維束とも表記する)を耐炎化繊維 に転換する耐炎化工程で発生する単繊維間 着を防止する目的で用いられる炭素繊維前 体アクリル繊維用油剤組成物(以下、単に油 組成物とも表記する)に関する。加えて、品 質及び物性の優れた炭素繊維を製造するのに 好適で、耐炎化並びに炭素化工程における安 定性が改善された炭素繊維前駆体アクリル繊 維とその製造方法に関する。
従来、炭素繊維束の製造方法として、前 体繊維束を200~400℃の酸素存在雰囲気下で加 熱処理することにより耐炎化繊維束に転換し 、引き続いて1000℃以上の不活性雰囲気下で 素化して炭素繊維束を得る方法が知られて る。この方法で得られた炭素繊維束は、優 た機械的物性により、特に複合材料用の強 繊維として工業的に広く利用されている。
しかし、前駆体繊維束を耐炎化繊維束に 換する耐炎化工程で単繊維間に融着が発生 、耐炎化工程及び続く炭素化工程(以下、耐 炎化工程と炭素化工程を総合して焼成工程と も表記する)において毛羽や束切れといった 程障害が発生する場合がある。この融着を 避するためには、前駆体繊維束に付着させ 油剤の選択が重要であることが知られてお 、多くの油剤組成物が検討されてきた。例 ば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性 リコーン、ポリエーテル変性シリコーン等 配合したシリコーン系油剤は、高い耐熱性 有し、融着を効果的に抑えることから、油 組成物としてよく用いられる(例えば、特許 献1)。
しかしながら、それらの単繊維間の融着 防止する効果を有するシリコーン化合物を 成分とするシリコーン系油剤は、シリコー 成分が加熱により架橋反応して高粘度化す 。このため、その粘着物が前駆体繊維束の 造工程や、耐炎化工程の繊維搬送ローラー ガイドなどの表面に堆積して、繊維束が巻 付いたり引っかかったりして断糸するなど 操業性低下を引き起こす原因になることが る。また、シリコーン化合物を含有する油 組成物は、焼成工程において、酸化ケイ素 炭化ケイ素、窒化ケイ素などのケイ素化合 を生成し、これらのスケールが工程安定性 製品の品質を低下させるという問題を有し いる。
このため、焼成工程の操業性を向上させ ことを目的として、非シリコーン成分を油 組成物の主成分として用いた非シリコーン 油剤が古くから提案されている。例えば、 リブテン(特許文献2参照)、ポリオキシエチ ン高級脂肪族アルキルエーテルと酸化防止 の配合品(特許文献3参照)、ネオペンチルア コール誘導体(特許文献4参照)、アルキル又 アルケニルチオ脂肪酸エステル(特許文献5 照)、高分子アミド化合物(特許文献6参照)、 肪酸エステルのアンモニウム塩(特許文献7 照)、フッ素系界面活性剤(特許文献8参照)、 香族複合エステルとアミド化合物(特許文献 9参照)などがある。
しかし、非シリコーン系油剤は焼成工程 おけるケイ素化合物の発生がないことや原 が安価なことなど有利な点もあるが、シリ ーン系油剤に比べて熱安定性が劣るものが く、それが焼成工程での融着による毛羽の 生や束切れの原因になる。さらに、製造さ た炭素繊維束の機械的物性もシリコーン系 剤を使用した場合に比べて劣るため、炭素 維前駆体アクリル繊維用油剤組成物として 用される機会は一部の品種に限られていた
また一方で、シリコーン系油剤と非シリ ーン系油剤とを組み合わせて、焼成工程中 発生するシリコーン系化合物由来のケイ素 合物を削減する技術が提案されている(特許 文献10及び11参照)。しかし、シリコーン化合 と非シリコーン化合物との相容性が低く、 駆体繊維束表面にシリコーン化合物と非シ コーン化合物の混合物を均一に付着させる とができない問題があった。そのため、非 リコーン化合物が偏在した部位、すなわち リコーン成分が少ない、或いは実質的に存 しない部位においては、単繊維間の融着を 止する効果が十分でなく、機械的物性に優 た炭素繊維束を安定して得ることは困難で った。
さらに、シリコーンと非シリコーン成分 含有する油剤に、アルキレンオキサイド変 シリコーンを加えることで、乳化安定性を 上させる技術が提案されている(特許文献12 び13参照)。しかし、アルキレンオキサイド 性シリコーンには乳化を安定させる一定の 果はあるものの、シリコーンと非シリコー 成分の相溶化効果が十分ではない。このた 、前駆体繊維束への油剤成分の付着が不均 となり、単繊維間の融着を完全に防止する とができず、機械的物性に優れた炭素繊維 を安定して得ることは困難であった。
以上のように従来技術による非シリコー 系油剤組成物のみでは、工程安定性、炭素 維束の機械的物性の発現において、シリコ ン化合物を主剤とした油剤組成物より劣る 向にあり、高品質な炭素繊維束を安定して ることはできない。また、シリコーン化合 含有量を低減した油剤組成物においては、 リコーン化合物と非シリコーン化合物とを 一に前駆体繊維束表面に付着することが困 で、高品質な炭素繊維束を安定して得るこ はできない。
つまり、シリコーン系油剤に端を発する焼
工程でのケイ素化合物生成による操業性低
の問題と、非シリコーン系油剤による炭素
維束の機械的物性低下の問題は表裏一体の
係にあり、従来技術ではこの両課題を共に
決するに至っていない。
本発明の目的は、シリコーン化合物を主 分として用いた油剤組成物を使用した場合 発生する操業性低下や、非シリコーン化合 を主成分として、或いはシリコーン化合物 混合して使用する非シリコーン系油剤組成 を使用するときに起きる炭素繊維束物性の 下を改善しうる炭素繊維前駆体アクリル繊 用油剤組成物を提供することにある。さら 、この油剤組成物を付着させることで、焼 工程において工程通過性が良く、炭素繊維 の工業的な生産性を高めることができる炭 繊維前駆体アクリル繊維束及びその製造方 を提供することにある。
本発明は上記の問題を解決する手段とし 、次のように、特定の変性シリコーン化合 を油剤組成物の成分の1つとして用いる。こ れにより、シリコーン化合物と非シリコーン 化合物を混合した油剤組成物においても両成 分が相溶化した均一な水系エマルションを得 ることができる。したがって、前駆体繊維束 に均一に油剤組成物を付与でき、シリコーン 化合物含有量削減による焼成工程の安定化と 、炭素繊維束の高い機械的物性の発現の双方 を実現可能にする炭素繊維前駆体アクリル繊 維用油剤組成物を提供する。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油
組成物は、
少なくとも下記式(1)で示されるユニットと
下記式(2)、(3)及び(4)で示されるユニットか
なる群から選択される少なくとも1つのユニ
ットと、
任意で下記式(5)で示されるユニットと、
を含む変性ポリジメチルシロキサンを1~10wt%
有することを特徴とする。
前記変性ポリジメチルシロキサンが、前記
(1)、(2)及び(5)で示されるユニットをそれぞ
1つ以上有し、25℃における動粘度が500~1000mm
2
/sであることが好ましい。
前記変性ポリジメチルシロキサンが、前記 (1)、(3)及び(5)で示されるユニットをそれぞ 1~20個有し、25℃における動粘度が3000~5000mm 2 /sであることが好ましい。
前記変性ポリジメチルシロキサンが、前記 (1)及び(4)で示されるユニットをそれぞれ1~20 個有し、25℃における動粘度が500~1500mm 2 /sであることが好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維用 剤組成物は、シリコーン化合物と、ケイ素 含まない有機化合物とをさらに含有するこ が好ましい。
前記ケイ素を含まない有機化合物が芳香 エステルであることが好ましい。
前記シリコーン化合物がアミノ変性シリ ーンであることが好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維用 剤組成物は、芳香族エステルを30~70wt%、ア ノ変性シリコーンを10~50wt%含有することが好 ましい。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維用 剤組成物は、ノニオン系乳化剤を10~40wt%含 することが好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維用 剤は、前記炭素繊維前駆体アクリル繊維用 剤組成物を水中に分散して調製するもので る。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束 、前記炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤 成物又は前記炭素繊維前駆体アクリル繊維 油剤が乾燥繊維質量に対して0.1~2.0wt%付与さ れたことを特徴とする。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維束 製造方法は、ミセルの平均粒子径が0.01μm以 上0.5μm以下である前記炭素繊維前駆体アクリ ル繊維用油剤を、前記指定の付着量範囲とな るように炭素繊維前駆体アクリル繊維束に付 与する工程、及び油剤が付与された繊維を乾 燥緻密化する工程を有することを特徴とする 。
本発明によれば、炭素繊維束製造工程に ける単繊維間の融着を効果的に抑えること でき、かつ、工程障害となるケイ素化合物 発生を従来に比べて抑制することができる これにより操業性が向上し、さらに、従来 に比べて良好な機械的物性を発現すること できる炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤 成物が得られる。併せて、該油剤組成物が 中に分散した油剤、及びそれを付与した炭 繊維前駆体アクリル繊維束とその製造方法 得られる。
本発明者らは、シリコーン含有量を低減 た油剤組成物で、それをアクリル繊維束に 着させた前駆体繊維束を焼成して得られる 素繊維束が優れた機械的物性を発現する油 組成物を鋭意探索した。その結果、特定の ニットを有する変性ポリジメチルシロキサ を用いることにより、シリコーン含有量低 、炭素繊維束強度の向上の両課題を共に解 する油剤組成物を見出した。すなわち、本 明は製造工程の操業性と製品の品質を同時 向上できることを可能にしたものである。
本発明において、油剤組成物を付着させ 前のアクリル繊維束には公知技術により紡 されたアクリル繊維束を用いることができ 。
好ましいアクリル繊維束の例として、ア リロニトリル系重合体を紡糸して得られる クリル繊維束が挙げられる。
アクリロニトリル系重合体は、アクリロ トリルを主な単量体とし、これを重合して られる重合体である。アクリロニトリル系 合体は、アクリロニトリルのみから得られ ホモポリマーだけでなく、主成分であるア リロニトリルに加えて他の単量体も用いた クリロニトリル系共重合体であっても差し えない。
アクリロニトリル系共重合体におけるア リロニトリル単位の含有量は、96.0~98.5wt%で ることが焼成工程での繊維の熱融着防止、 重合体の耐熱性、紡糸原液の安定性及び炭 繊維にした時の品質の観点でより好ましい アクリロニトリル単位が96wt%以上の場合は 炭素繊維に転換する際の焼成工程で繊維の 融着を招きにくく、炭素繊維の優れた品質 び性能を維持できるので好ましい。また、 重合体自体の耐熱性が低くなることもなく 前駆体繊維を紡糸する際、繊維の乾燥或い 加熱ローラーや加圧水蒸気による延伸のよ な工程において、単繊維間の接着を回避で る。一方、アクリロニトリル単位が98.5wt%以 の場合には、溶剤への溶解性が低下するこ もなく、紡糸原液の安定性を維持できると に共重合体の析出凝固性が高くならず、前 体繊維の安定した製造が可能となるので好 しい。
共重合体を用いる場合のアクリロニトリ 以外の単量体としては、アクリロニトリル 共重合可能なビニル系単量体から適宣選択 ることができる。例えば、耐炎化反応を促 する作用を有するアクリル酸、メタクリル 、イタコン酸、又は、これらのアルカリ金 塩若しくはアンモニウム塩、アクリルアミ 等の単量体から選択すると、耐炎化を促進 きるので好ましい。アクリロニトリルと共 合可能なビニル系単量体としては、アクリ 酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボ シル基含有ビニル系単量体がより好ましい アクリロニトリル系共重合体におけるカル キシル基含有ビニル系単量体単位の含有量 、0.5~2.0wt%が好ましい。他の単量体は、1種 も2種以上でもよい。
紡糸の際には、アクリロニトリル系重合 を、溶剤に溶解し紡糸原液とする。このと の溶剤には、ジメチルアセトアミド或いは メチルスルホキシド、ジメチルホルムアミ 等の有機溶剤、又は塩化亜鉛やチオシアン ナトリウム等の無機化合物水溶液等、公知 ものから適宜選択して使用することができ 。生産性向上の観点から凝固速度が早いジ チルアセトアミド、ジメチルスルホキシド びジメチルホルムアミドが好ましく、ジメ ルアセトアミドがより好ましい。
またこの際、緻密な凝固糸を得るために 、紡糸原液の重合体濃度がある程度以上に るように紡糸原液を調製することが好まし 。具体的には、紡糸原液中の重合体濃度が 好ましくは17wt%以上、より好ましくは19wt%以 上である。さらに、紡糸原液は適正な粘度・ 流動性を必要とし、重合体濃度は25wt%を超え い範囲が好ましい。
紡糸方法は、上記の紡糸原液を直接凝固 中に紡出する湿式紡糸法、空気中で凝固す 乾式紡糸法、及び一旦空気中に紡出した後 浴中凝固させる乾湿式紡糸法など公知の紡 方法を適宜採用できる。より高い性能を有 る炭素繊維束を得るには湿式紡糸法又は乾 式紡糸法が好ましい。
湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法による紡糸 形は、上記の紡糸原液を円形断面の孔を有 るノズルより凝固浴中に紡出することで行 ことができる。凝固浴としては、上記の紡 原液に用いられる溶剤を含む水溶液を用い のが溶剤回収の容易さの観点から好ましい
凝固浴として溶剤を含む水溶液を用いる 合、水溶液中の溶剤濃度は、ボイドがなく 密な構造を形成させ高性能な炭素繊維束を られ、かつ延伸性が確保でき生産性に優れ 等の理由から、50~85wt%、凝固浴の温度は10~60 ℃が好ましい。
重合体或いは共重合体を溶剤に溶解し紡 原液として凝固浴中に吐出して繊維化した に、凝固糸を凝固浴中又は延伸浴中で延伸 る浴中延伸を行うことができる。或いは、 部空中延伸した後に、浴中延伸してもよく 延伸の前後或いは延伸と同時に水洗を行っ 水膨潤状態にある繊維を得ることができる 浴中延伸は通常50~98℃の水浴中で1回或いは2 回以上の多段に分割するなどして行い、空中 延伸と浴中延伸の合計倍率が2~10倍に延伸す のが得られる炭素繊維束の性能の点から好 しい。
油剤組成物のアクリル繊維束への付与は 前述の浴中延伸後の水膨潤状態にあるアク ル繊維束に油剤組成物のエマルションを付 することにより行うことができる。浴中延 の後に洗浄を行う場合は、浴中延伸及び洗 を行った後に得られる水膨潤状態にある繊 束に油剤組成物のエマルションを付与する ともできる。
本発明に係る炭素繊維前駆体アクリル繊 用油剤組成物は、少なくとも前記式(1)で示 れるユニットと、前記式(2)、(3)及び(4)で示 れるユニットからなる群から選択される少 くとも1つのユニットと、任意で前記式(5)で 示されるユニットと、を含む変性ポリジメチ ルシロキサンを1~10wt%含有する。
本発明に係る炭素繊維前駆体アクリル繊 用油剤組成物は、前記変性ポリジメチルシ キサンを1~10wt%含有する。含有量が1wt%以上 あると、油剤組成物の各成分を相溶化する 十分であり、10wt%以下であると、焼成工程で の単繊維間の融着を完全に防止でき、かつ焼 成工程でのケイ素化合物が増加して操業性を 低下させることがない。前記変性ポリジメチ ルシロキサンを3~5wt%含有していることが好ま しい。
前記変性ポリジメチルシロキサンは、前記 (1)、(2)及び(5)で示されるユニットをそれぞ 1つ以上有し、25℃における動粘度が500~1000mm 2 /sであることが好ましい(以下、変性ポリジメ チルシロキサン1と示す)。
アルキル鎖は油脂類と馴染みが良く、こ 部位の効果により、前記変性ポリジメチル ロキサン1はシリコーン、エステル化合物の 両方に溶解し、相溶化効果を発揮する。この アルキル鎖は前記式(1)においてxが7~15とする 好ましくは、x=11である。xが7以上であると 油脂類への溶解性が良好であり、15以下で れば油剤組成物を水中に分散した際に安定 が良好となる。
ポリエチレンオキサイド鎖は水と馴染み 良く、油剤組成物を水中に分散した際にミ ルを安定化させる働きがある。ポリエチレ オキサイド鎖のエチレンオキサイド数は前 式(2)においてyaが5~15とする。好ましくはya=9 である。yaが5以上であると、水との親和性が よくエマルションにした時の安定性が良好と なる。また15以下であると熱的安定性がよい また、ポリエチレンオキサイドとポリジメ ルシロキサンとの間にアルキル基があって 差し支え無く、その範囲はmaが0~3である。 ましくはma=0である。maが3以下であれば水へ 分散性がよく、エマルションの安定性が低 することはない。
また、ポリジメチルシロキシアルキル鎖を することにより、シリコーンへの溶解性が くなる。ポリジメチルシロキシアルキル鎖 アルキル部は、前記式(5)においてnが1~5の飽 和炭化水素である。好ましくはn=2である。n 5以下であると、芳香族エステルとシリコー への溶解性のバランスがよく、相溶化効果 発揮される。ポリジメチルシロキシ部の長 は、全体のバランスで決定され、前記式(5) zは3~60の範囲で、動粘度が25℃で500~1000mm 2 /sの範囲を満たす値である。好ましくは5~30で ある。zの値が3以上であるとシリコーンへの 解性がよく相溶化効果が発揮される。また6 0以下であるとシリコーンへの溶解性が高く り過ぎず、相溶化のバランスがよい。
また、前記式(1)、(2)及び(5)のユニット数 それぞれ、2~5の範囲であることが好ましい この範囲内であれば、それぞれのユニット ついて上述した各性能間のバランスが良く 相溶化能が良好となる。前記式(1)、(2)及び( 5)に示したユニットがそれぞれ2つ以上存在す る場合、x、ya、z、ma、nの値は各々のユニッ によって同じであっても異なってもよい。
前記変性ポリジメチルシロキサン1の動粘度 は25℃で500~1000mm 2 /sであることが好ましい。より好ましくは600~ 800mm 2 /sである。動粘度が500mm 2 /s以上であると、分子量が小さくなり過ぎる とがないので、前記ポリエチレンオキサイ 鎖、アルキル鎖を構造内に均一に入れるこ ができ、かつ熱的な安定性がよくなる。ま 、動粘度が1000mm 2 /s以下であると、乳化し易く、得られるエマ ションの安定性もよい上、油剤を前駆体繊 束に付与した後の乾燥工程において、粘性 高い物質が乾燥ロール上に析出して操業性 低下することがない。なお、25℃における 粘度は、ASTM D 445-46Tによるウッベローデ粘 計により測定できる。
前記変性ポリジメチルシロキサンは、前記 (1)、(3)及び(5)で示されるユニットをそれぞ 1~20個有し、25℃における動粘度が3000~5000mm 2 /sであることが好ましい(以下、変性ポリジメ チルシロキサン2と示す)。
アルキル鎖は油脂類と馴染みが良く、こ 部位の効果により、変性ポリジメチルシロ サン2はシリコーン、エステル化合物の両方 に溶解し、相溶化効果を発揮する。このアル キル鎖は前記式(1)においてxが7~15とする。好 しくはx=11である。xが7より小さいと、油脂 への溶解性が低減し、15より大きいと油剤 成物を水中に分散した際に安定性が低くな 。
ポリグリセリン鎖は水と馴染みが良く、 剤組成物を水中に分散した際にミセルを安 化させる働きがある。ポリグリセリン鎖は 記式(3)においてybが1~5とする。好ましくはyb =3である。ybが1より小さいと水との親和性が くエマルションにした時の安定性が低下し 5より大きいと熱的安定性が低下する。また 、ポリグリセリンとポリジメチルシロキサン との間にアルキルがあっても差し支え無く、 その範囲はmbが0~3とする。好ましくはmb=0であ る。mbが3を超えると水への分散性が低くなり 、エマルションの安定性が低下する。
また、ポリジメチルシロキシアルキル鎖を することにより、シリコーンへの溶解性が くなる。ポリジメチルシロキシアルキル鎖 アルキル部は、前記式(5)においてnが1~5の飽 和炭化水素とする。好ましくはn=2である。n 5より多いと芳香族エステルとシリコーンへ 溶解性のバランスが崩れ、相溶化効果が低 する。ポリジメチルシロキシ部の長さは、 体のバランスで決定され、前記式(5)のzは3~6 0の範囲で動粘度が3000~5000mm 2 /sの範囲を満たす値である。好ましくは5~30で ある。zの値が3より低いとシリコーンへの溶 性が低く相溶化効果が低下し、60を超える シリコーンへの溶解性が高くなり、相溶化 バランスが低下する。
前記変性ポリジメチルシロキサン2の動粘度 は25℃で3000~5000mm 2 /sが好ましい。より好ましくは3500~4500mm 2 /sである。動粘度が3000mm 2 /sより小さい場合は、必然的に分子量が小さ なり、前記のポリグリセリン鎖、アルキル を構造内に均一に入れることができない上 熱的な安定性が低下する。また、動粘度が5 000mm 2 /sより大きな場合は、乳化が困難で、得られ エマルションの安定性も低下するうえ、油 を前駆体繊維束に付与した後の乾燥工程に いて粘性の高い物質が乾燥ロール上に析出 て操業性が低下する。
前記変性ポリジメチルシロキサン2は、前 記式(1)、(3)及び(5)のユニット数をそれぞれ1~2 0個有する。好ましくは2~5個である。この範 内であれば、それぞれのユニット間のバラ スが良くなり、目的である相溶化能が良好 なる。前記式(1)、(3)及び(5)に示したユニッ がそれぞれ2つ以上存在する場合、x、yb、z、 mb、nの値は各々のユニットによって同じであ っても異なってもよい。また、式(6)に示した ユニットを含んでいても良い。
前記変性ポリジメチルシロキサンは、前記
(1)及び(4)で示されるユニットをそれぞれ1~20
個有し、25℃における動粘度が500~1500mm 2
/sであることが好ましい(以下、変性ポリジメ
チルシロキサン3と示す)。
アルキル鎖は油脂類と馴染みが良く、こ 部位の効果により、変性ポリジメチルシロ サン3はシリコーン、エステル化合物の両方 に溶解し、相溶化効果を発揮する。このアル キル鎖は前記式(1)においてxが7~15とする。好 しくは9~13である。xが7より小さいと、油脂 への溶解性が低減し、15より大きいと油剤 成物を水中に分散した際に安定性が低くな 。
ポリエーテル鎖は水と馴染みが良く、油 組成物を水中に分散した際にミセルを安定 させる働きがある。ポリエーテル鎖のエチ ンオキサイド及びプロピレンオキサイドの は前記式(4)においてyc+ydが5~15の範囲とする 好ましくはyc+ydが8~12である。yc+ydが5より小 いと水との親和性が低くエマルションにし 時の安定性が低下し、yc+ydが15より大きいと 熱的安定性が低下する。また、ポリエーテル 鎖とポリジメチルシロキサンとの間にアルキ ルがあっても差し支え無く、その範囲はmcが0 ~3とする。好ましくはmc=0である。mcが3を超え ると水への分散性が低くなり、エマルション の安定性が低下する。
前記変性ポリジメチルシロキサン3の動粘度 は25℃で500~1500mm 2 /sが好ましい。より好ましくは800~1200mm 2 /sである。動粘度が500mm 2 /sより小さい場合は、必然的に分子量が小さ なり、前記のポリエーテル鎖、アルキル鎖 構造内に均一に入れることができない上、 的な安定性が低下する。また、動粘度が1500 mm 2 /sより大きな場合は、乳化が困難で、得られ エマルションの安定性も低下するうえ、油 を前駆体繊維束に付与した後の乾燥工程に いて粘性の高い物質が乾燥ロール上に析出 て操業性が低下する。
また、前記変性ポリジメチルシロキサン3 は、前記式(1)及び(4)のユニットをそれぞれ1~2 0個有する。好ましくは2~5個である。この範 内であれば、それぞれのユニット間のバラ スが良くなり、目的である相溶化能が良好 なる。前記式(1)、(4)に示したユニットがそ ぞれ2つ以上存在する場合、x、yc、yd、mcの値 は各々のユニットによって同じであっても異 なっていてもよい。
本発明において油剤組成物は、シリコー 化合物と、ケイ素を含まない有機化合物と 含有することが好ましく、より好ましくは シリコーン化合物としてアミノ変性シリコ ン、ケイ素を含まない有機化合物として芳 族エステル、である。さらに、含有率はア ノ変性シリコーンが10~50wt%、芳香族エステ が30~70wt%、の範囲であることが好ましい。よ り好ましくはアミノ変性シリコーンが30~50wt% 芳香族エステルが30~50wt%、さらに好ましく アミノ変性シリコーンが30~40wt%、芳香族エス テルが30~40wt%、である。
芳香族エステルの含有量が30wt%以上であ と、アミノ変性シリコーンとのバランスが れ、アクリル繊維束への均一付着ができ、 れらを付着させた前駆体繊維束を焼成して られる炭素繊維束は安定した物性が発現さ る。また、70wt%以下であると、アミノ変性シ リコーンの含有量が少なくなり過ぎることが ないので、紡糸工程における集束性がよく、 それらを付着させた前駆体繊維束を焼成して 得られる炭素繊維束は機械的物性に優れる。
アミノ変性シリコーンの含有量が10wt%以 であると、紡糸工程における集束性が十分 保てるうえに、油剤の耐熱性も良く、焼成 程における単繊維間の融着を完全に防止で る。また、アミノ変性シリコーンの含有量 50wt%以下であると、焼成工程において生成・ 飛散するケイ素化合物を抑制することができ 、操業性及び製造した炭素繊維の品質の低下 を招くことがない。
また、本発明の油剤組成物に用いる芳香 エステルに特に制限は無い。例えば、安息 酸エステル、サリチル酸エステル、フタル エステル、トリメリット酸エステル、ピロ リット酸エステル、ビスフェノールAのエチ レンオキサイド或いはプロピレンオキサイド 付加物の両末端高級脂肪酸エステル化物等が 挙げられる。好ましくは水蒸気存在下で室温 から5℃/minで昇温しながら測定する熱重量分 において300℃での重量減少率が1wt%以下の芳 香族エステルである。このような芳香族エス テルとしては、例えばアルキル鎖部の炭素数 が12~16のトリメリット酸エステルが挙げられ 。
また、本発明の油剤組成物に用いるアミノ 性シリコーンには特に制限はない。例えば 1級側鎖アミノ変性タイプ、1,2級側鎖アミン 変性タイプ、両末端アミノ変性タイプのいず れでもよい。好ましくは、1級側鎖アミンの 造で、25℃における動粘度が1000~5000mm 2 /s、アミノ当量が4000~6000g/molのアミノ変性シ コーンである。
本発明の油剤組成物に用いる乳化剤とし は、ノニオン系乳化剤が好ましい。例えば 高級アルコールエチレンオキサイド付加物 アルキルフェノールエチレンオキサイド付 物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多 アルコール脂肪族エステルエチレンオキサ ド付加物、高級アルキルアミンエチレンオ サイド付加物、脂肪族アミドエチレンオキ イド付加物、油脂のエチレンオキサイド付 物、ポリエチレンオキサイドとポリプロピ ンオキサイドの共重合体などのエチレンオ サイド付加型ノニオン系界面活性剤や、グ セロ-ルの脂肪族エステル、ペンタエリスト ールの脂肪族エステル、ソルビトールの脂肪 族エステル、ソルビタンの脂肪族エステル、 ショ糖の脂肪族エステル、多価アルコールの アルキルエーテル、アルカノールアミン類の 脂肪酸アミドなどの多価アルコール系ノニオ ン系界面活性剤が挙げられる。より好ましく はポリエチレンオキサイド(EO)とポリプロピ ンオキサイド(PO)のブロック共重合体である ノニオン系乳化剤の含有量は、好ましくは1 0~40wt%であり、より好ましくは10~20wt%である。 ノニオン系乳化剤の含有量が10wt%以上である 、乳化し易く、得られるエマルションの安 性がよくなる。また40wt%以下であると、芳 族エステル、或いはシリコーンの含有量を 述の好ましい範囲とすることができる。こ により、前駆体繊維束への付着が均一にな 、単繊維間の融着を防止できる。
本発明においては、前記変性ポリジメチ シロキサンを含有する油剤組成物を水膨潤 態のアクリル繊維束に付着させる処理をす 。通常、前記油剤組成物が水中に分散され 水系乳化溶液を水膨潤状態のアクリル繊維 に付与する処理をする。また、前述の芳香 エステル、アミノ変性シリコーン、ノニオ 系乳化剤を前述の比率で配合した油剤組成 を用いることが好ましい。
前記変性ポリジメチルシロキサン、芳香 エステル、アミノ変性シリコーン、ノニオ 系乳化剤を含むエマルションの調製は、例 ば以下のようにして行うことができる。芳 族エステルに前記変性ポリジメチルシロキ ンを混合し攪拌しながら、アミノ変性シリ ーンを添加攪拌した後、乳化剤と水を加え ことで、油剤組成物が水に分散したエマル ョンが得られる。各成分の混合又は水中分 は、プロペラ攪拌、ホモミキサー、ホモジ イザー等を使って行うことができる。特に 高粘度のアミノ変性シリコーンを用いる場 には150MPa以上に加圧可能な超高圧ホモジナ ザーを用いることが好ましい。
なお、本発明において油剤組成物は、必 に応じて酸化防止剤を含有することは差し えない。酸化防止剤は公知の様々な物質を いることができるが、好ましくはフェノー 系、硫黄系の酸化防止剤である。具体的に 、フェノール系酸化防止剤として、2,6-ジ-t- ブチル-p-クレゾール、4,4’-ブチリデンビス-( 6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、2,2’-メチレ ンビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2 -メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノー )、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、1,1,3 -トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェ ニル)ブタン、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチ -4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テ トラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド キシフェニル)プロピオネート〕メタン、ト リエチレングリコールビス〔3-(3-t-ブチル-4- ドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート 、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベン ル)イソシアヌレート等が挙げられる。また 硫黄系の酸化防止剤として、ジラウリルチ ジプロピオネート、ジステアリルチオジプ ピオネート、ジミリスチルチオジプロピオ ート、ジトリデシルチオジプロピオネート が挙げられる。前記酸化防止剤は、単独で いても、複数の混合物として用いても差し えない。
また、酸化防止剤は、選択した芳香族エ テルに溶解するものがより好ましく用いら る。これは、酸化防止剤がより作用して欲 い油剤構成成分は芳香族エステルであるこ 、油剤中に酸化防止剤を均一に混合させる 法として芳香族エステルに予め溶解させて くと都合がいいことが主な理由である。
さらに、本発明において油剤組成物は、 の特性向上のために、必要に応じて帯電防 剤を含有することは差し支えない。帯電防 剤としては公知の物質を用いることができ 。帯電防止剤はイオン型と非イオン型に大 され、イオン型としてはアニオン系、カチ ン系及び両性系があり、非イオン型ではポ エチレングリコール型、多価アルコール型 ある。帯電防止の観点からイオン型が好ま く、中でも脂肪族スルホン酸塩、高級アル ール硫酸エステル塩、高級アルコールエチ ンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級ア コールリン酸エステル塩、高級アルコール チレンオキシド付加物硫酸リン酸エステル 、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性 剤、ベタイン型両性界面活性剤、高級アルコ ールエチレンオキシド付加物ポリエチレング リコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂 肪酸エステルなどが好ましく用いられる。こ れらは単独でも組み合わせでも良い。
また、油剤組成物をアクリル繊維束に付 させる設備や使用環境によって、工程の安 性や油剤組成物の安定性、付着特性を向上 せるために、消泡剤、防腐剤、抗菌剤、浸 剤などの添加物を、本発明における油剤組 物に適宜配合することは差し支えない。
本発明の油剤組成物を水膨潤状態の前駆 繊維束に付与する方法としては、先述の方 で調製した油剤組成物が水中に分散したエ ルションにイオン交換水を加えて所定の濃 に希釈して油剤処理液とした後、水膨潤状 の前駆体繊維束に付着させる手法を用いる
油剤処理液を水膨潤状態の前駆体繊維に 着させる方法としては、ローラーの下部を 剤付与液に浸漬させ、そのローラーの上部 前駆体繊維束を接触させるローラー付着法 ポンプで一定量の油剤付与液をガイドから 出し、そのガイド表面に前駆体繊維束を接 させるガイド付着法、ノズルから一定量の 剤付与液を前駆体繊維束に噴射するスプレ 付着法、油剤付与液の中に前駆体繊維を浸 した後にローラー等で絞って余分な油剤付 液を除去するディップ付着法等の公知の方 を用いることができる。均一付着の観点か 、好ましくは、繊維束に十分に油剤処理液 浸透させ、余分な処理液を除去するディッ 付着法である。より均一に付着するために 油剤付与工程を2つ以上の多段にし、繰り返 し付与することも有効である。
本発明においては、アクリル繊維束に対 る前記油剤組成物の付着量は、後述する乾 緻密化された後でアクリル繊維束の乾燥繊 質量に対して0.1~2.0wt%であることが好ましく 、0.5~1.5wt%であることがより好ましい。油剤 成物の付着量が0.1wt%より低い場合、油剤の 来の機能を十分に発現させることが困難に る場合がある。一方、油剤組成物の付着量 2.0wt%より高い場合、余分に付着した油剤組 物が、焼成工程において高分子化して単繊 間の接着を誘因する場合がある。
特に、油剤組成物が炭素繊維前駆体アク ル繊維束の乾燥繊維質量に対して0.1~2.0wt%付 着している前駆体繊維束を製造する場合、油 剤組成物が平均粒子径0.01μm以上0.5μm以下の セルを形成しているO/W型水系乳化溶液を調 することが好ましい。これにより、アクリ 繊維素束の表面に均一に油剤を付与するこ が可能となる。なお、前記O/W型水系乳化溶 に存在するミセルの平均粒子径は、レーザ 折/散乱式粒度分布測定装置(商品名:「LA-910 、株式会社堀場製作所製)を用い、Mie散乱理 に基づいて測定することができる。
本発明において、前記油剤組成物が付着 た前駆体繊維束は、続く乾燥工程で乾燥緻 化される。乾燥緻密化の温度は、繊維のガ ス転移温度を超えた温度で行う必要がある 、実質的には含水状態から乾燥状態によっ 異なることもあり、温度は100~200℃程度の加 熱ローラーによる方法が好ましい。このとき 加熱ローラーの個数は、1個でも複数個でも い。
乾燥後、続いて加圧水蒸気延伸を行うこ が、得られる繊維の緻密性や配向度をさら 高めることができ好ましい。加圧水蒸気延 とは、加圧水蒸気雰囲気中で延伸を行う方 であって、高倍率の延伸が可能であること ら、より高速で安定な紡糸が行えると同時 、得られる繊維の緻密性や配向度向上にも 与する。
本発明では、この加圧水蒸気延伸におい 、加圧水蒸気延伸装置直前の加熱ローラー 温度を120~190℃、加圧水蒸気延伸における水 蒸気圧力の変動率を0.5%以下に制御すること 好ましい。これにより、繊維束になされる 伸倍率の変動及びそれによって発生するト 繊度の変動を抑制することができる。加熱 ーラーの温度が120℃未満では前駆体繊維束 温度が十分に上がらず延伸性が低下する。
加圧水蒸気延伸における水蒸気の圧力は 加熱ローラーによる延伸の抑制や加圧水蒸 延伸法の特徴が明確に現れるようにするた 、200kPa・g(ゲージ圧、以下同じ)以上が好ま い。この水蒸気圧は、処理時間との兼ね合 で適宜調節することが好ましいが、高圧に ると水蒸気の漏れが増大することがあるた 、工業的には600kPa・g程度以下が好ましい。
乾燥緻密化を完了した繊維束は、室温の ールを通し、常温の状態まで冷却した後に インダーでボビンに巻き取られる。或いは ケンスに振込まれて収納され、焼成工程に される。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維用 剤組成物を用いることにより、紡糸工程、 成工程での融着が抑制でき、かつ品質及び 性の優れた炭素繊維束を製造することがで る。また、焼成工程でのシリコーン化合物 解物の飛散及び、ケイ素化合物の生成量が ないため、操業性、工程通過性が著しく改 される。このように、本発明である油剤組 物は安定生産、炭素繊維物性の向上の両効 を兼ね備えている。本油剤組成物を前述の り適正に前駆体繊維束に付与して製造され 炭素繊維束は、様々な構造材料に用いられ 繊維強化樹脂複合材料に用いる強化繊維と て好適である。
以下に本発明を実施例によりさらに具体 に説明するが、本発明の炭素繊維前駆体ア リル繊維用油剤組成物、該油剤組成物を付 させた炭素繊維前駆体アクリル繊維束及び の製造方法はこれらによって限定されるも ではない。なお、前駆体繊維束への油剤付 量、集束性評価、及び前駆体繊維束を焼成 て得られた炭素繊維束の単繊維間融着数、 トランド強度、また焼成工程のシリコーン 合物由来のケイ素化合物飛散評価は以下の 法により実施した。
[油剤付着量]
前駆体繊維束を105℃で1時間乾燥させた後、
90℃のメチルエチルケトンに8時間浸漬して付
着した油剤組成物を溶媒抽出した。油剤付着
量はこの抽出前後の炭素繊維前駆体アクリル
繊維束の質量を精秤することで、この差から
求めた。
[集束性評価]
集束性は前駆体繊維束の紡糸工程の最終ロ
ル、すなわち前駆体繊維束をボビンに巻き
る直前のロール上での前駆体繊維束の状態
観察し、下記の基準で評価した。
○:集束しており、トウ幅が一定で、隣接す
る繊維束と接触しない
△:集束しているが、トウ幅が一定ではない
、或いはトウ幅が広い
×:繊維束中に空間があり、集束していない
[単繊維間融着数(融着数)]
炭素化した炭素繊維束を3mm長に切断し、ア
トン中に分散させ、10分間攪拌した後の全
繊維数と融着数を計数し、単繊維100本当た
の融着数を算出して評価した。評価基準は
記の通りである。
○:融着数(個/100本)≦1
×:融着数(個/100本)>1。
[炭素繊維束ストランド強度(CF強度)]
JIS-R-7601に規定されているエポキシ樹脂含浸
ストランド法に準じて測定した。なお、測定
回数は10回とし、その平均値を評価の対象と
た。
[シリコーン化合物由来のケイ素化合物飛散
評価]
耐炎化工程におけるシリコーン化合物由来
ケイ素化合物飛散量は、炭素繊維前駆体ア
リル繊維束とそれを耐炎化した耐炎化繊維
のSi元素含有量を蛍光X線分析装置にて測定
、それらの差異により耐炎化工程で飛散し
Si量を算出し評価の指標とした。
(Si飛散量)=前駆体繊維束のSi含有量-耐炎化
維束のSi含有量[mg/kg]
蛍光X線分析装置には、「ZSX100e」(商品名、
学電機工業株式会社製)を用いた。測定サン
プルは、縦20mm、横40mm、幅5mmのアクリル樹脂
板に繊維束を隙間のない様に均一に巻いて
置にセットした。このとき、測定に付す繊
束の巻き長は同一とすることが重要である
その後、通常の蛍光X線分析方法によりSiの
光X線強度を測定した。得られた前駆体繊維
束及び耐炎化繊維束のSiの蛍光X線強度から、
検量線を用い、それぞれの繊維束のSi含有量
求めた。測定数はn=10とし、評価にはそれら
の平均値を用いた。
[実施例a1]
油剤組成物のエマルションを次の方法で調
した。
・ポリエーテルアルキル共変性シリコーン(a)
:ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジ
メチコン(商品名:「KF-6038」、信越化学工業株
式会社製、前記式(1)、(2)及び(5)のユニット数
2~5、x=11、ya=9、ma=0、n=2、z=5~30、25℃における
粘度700mm 2
/s)
・芳香族エステル(i):トリメリット酸とドデ
ルアルコールを脱水縮合することで得られ
トリメリット酸エステル
・アミノ変性シリコーン(1):一般的なアミノ
性シリコーンの合成方法であるアルカリ平
法によって得られた動粘度が4000mm 2
/s(25℃)、アミノ当量が6000g/molである1級側鎖
のアミノ変性シリコ-ン
・PO-EO共重合体:プロピレンオキサイド(PO)と
チレンオキサイド(EO)からなるブロック共重
型ポリエーテル(商品名:「F-68」、株式会社A
DEKA製)
前記化合物を5:40:35:20(ポリエーテルアルキ
共変性シリコーン(a):芳香族エステル(i):アミ
ノ変性シリコーン(1):PO-EO共重合体)の質量比
混合した。前記混合物を、油剤組成物の濃
が30wt%となるようにイオン交換水を加え、ホ
モミキサーで乳化した。この状態ではミセル
粒子径の平均が2μm程度であるため、さらに
圧ホモジナイザーによって0.2μm以下の粒子
まで分散した。このエマルションを油剤原
として以下の工程で用いた。
油剤組成物を付着させるアクリル繊維束 、次の方法で調製した。アクリロニトリル 共重合体(組成比:アクリロニトリル/アクリ アミド/メタクリル酸=96/3/1(質量比))をジメ ルアセトアミドに溶解し、紡糸原液を調製 た。これをジメチルアセトアミド水溶液を たした凝固浴中に孔径(直径)75μm、孔数6000の 紡糸ノズルより吐出し、凝固糸とした。凝固 糸は水洗槽中で脱溶媒するとともに5倍に延 して水膨潤状態のアクリル繊維束とした。
前記水膨潤状態にあるアクリル繊維束を 前記油剤原液をイオン交換水で希釈した処 液が入った油剤処理槽に導き、かかる油剤 成物を付着させた後、表面温度180℃の乾燥 ールにて乾燥緻密化した後に、圧力0.2MPaの 蒸気中で3倍延伸を施した。ここで得られた 前駆体繊維束の集束性評価結果を表1に示し 。集束性は良好で、トウ幅も一定であった
この炭素繊維前駆体アクリル繊維束を、2 20~260℃の温度勾配を有する耐炎化炉に通し、 さらに窒素雰囲気中で400~1300℃の温度勾配を する炭素化炉で焼成して炭素繊維束とした
ここで得られた炭素繊維束の融着数及び 素繊維束ストランド強度(以下、CF強度とも 載する)、耐炎化工程におけるシリコーン由 来ケイ素化合物飛散評価結果を表1に示した 融着数、ケイ素化合物飛散の評価結果は共 良好であり、CF強度も高かった。
[実施例a2~a10]
油剤組成物を構成する成分の種類と含有率
変え、実施例a1と同様の手法で実施例a2~a10
実施した。なお、ポリエーテルアルキル共
性シリコーン(a)、及びPO-EO共重合体は実施例
a1と同一の物質を用いた。各実施例における
剤組成物中の各成分の割合(質量百分率)を
1に合わせて示した。
表1中の芳香族エステル(ii)としては、ポ オキシエチレンビスフェノールAジラウレー (商品名:「エキセパール BP-DL」、花王株式 社製)を用いた。
また、表1中のアミノ変性シリコーン(2)には 、動粘度が4000mm 2 /s(25℃)、アミノ当量が6000g/molである1,2級側鎖 アミノ変性シリコーン(商品名:「DOW CORNING TO RAY FZ-3785」、東レ・ダウコーニング株式会社 製)を用いた。また、アミノ変性シリコーン(3 )には、動粘度が450mm 2 /s(25℃)、アミノ当量が5700g/molである両末端ア ミノ変性シリコーン(商品名:「KF-8008」、信越 化学工業株式会社製)を用いた。
実施例a2~a10の各評価結果を表1に合わせて 示した。いずれの場合も、集束性評価、融着 数評価、ケイ素化合物飛散評価とも良好であ った。ポリエーテルアルキル共変性シリコー ン(a)を10wt%含有させた実施例a8、アミノ変性 リコーンを20wt%、10wt%含有させた実施例a9、a1 0においては、他の実施例に比べ集束性がや 劣る傾向にあったが、製造工程で問題とな 程度ではなかった。
ストランド強度の評価結果においては、 ずれも良好であったが、油剤組成物の成分 違いや混合割合の違いにより差異がみられ 。ポリエーテルアルキル共変性シリコーン( a)の含有量が1wt%の場合(実施例a5)、或いは10wt% の場合(実施例a8)では、ストランド強度は3wt% 5wt%の場合と比較して若干低いが、十分な強 度を示した。
また、アミノ変性シリコーンを20wt%含有 せた場合(実施例a9)、或いは10wt%の場合(実施 a10)においては、ストランド強度がアミノ変 性シリコーンを30~50wt%含有させた場合と比較 て若干低いが、十分な強度を示した。
芳香族エステルは、トリメリット酸エス ル、ポリオキシエチレンビスフェノールAジ ラウレート、共に良好であったが、トリメリ ット酸エステルの方がより良好であった。
アミノ変性シリコーンは、1級側鎖アミノ 変性タイプ、1,2級側鎖アミン変性タイプ、両 末端アミノ変性タイプのいずれを用いた場合 も良好であった。より良好であったのは1級 鎖アミノ変性タイプであった。
[比較例a1]
実施例a1のポリエーテルアルキル共変性シ
コーン(a)を下記式(7)の構造のポリエーテル
性シリコーン(商品名:「KF-6011」、信越化学
業株式会社製)に替えた油剤組成物を用い、
施例a1と同様の手法で前駆体繊維束を製造
、焼成して炭素繊維束とし、各評価を行っ
。結果を表2に示した。集束性、ケイ素化合
飛散の評価結果は良好であったが、融着数
多く、工業的に連続生産することは困難と
えられた。さらに、ストランド強度は実施
a1~a10のいずれと比較しても低かった。
[比較例a2~a9]
油剤組成物を構成する各成分の種類と含有
を変え、実施例a1と同様の手法で比較例a2~a9
を実施した。なお、比較例a2ではアルキル変
シリコーン(商品名:「TSF4421」、モメンティ
・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパ
合同会社製)を用いた。その他の物質は実施
例と同一の物質を用いた。各比較例における
油剤組成物中の各成分の割合(質量百分率)を
2に示した。
比較例a2~a9の各評価結果を表2に示した。 リエーテル変性シリコーンや、アルキル変 シリコーンを用いた場合は単繊維間の融着 完全に防止できず、ポリエーテルアルキル 変性シリコーン(a)を用いた場合と比較して ストランド強度が低かった。また、ポリエ テルアルキル共変性シリコーン(a)の含有量 10wt%を超え、かつアミノ変性シリコーン含 量が少ない場合(比較例a4~a6)では、集束性が くなり、工程障害となる可能性があった。
また、ポリエーテルアルキル共変性シリ ーン(a)の含有量が10wt%を超え、トリメリッ 酸エステル含有量が30wt%より低く、アミノ変 性シリコーン含有量が50wt%をこえる場合(比較 例a3)には、融着数評価、ストランド強度評価 結果は比較的良好であるが、ケイ素化合物飛 散量が多くなり、操業性を低下させた。
トリメリット酸エステル含有量が50wt%を え、アミノ変性シリコーン含有量が30wt%より 低い場合(比較例a5、a9)は単繊維間の融着を完 全に防止できなくなり、ストランド強度が低 下した。
なお、ポリエーテルアルキル共変性シリ ーン(a)を配合しない場合(比較例a7)では、同 様の組成でポリエーテルアルキル共変性シリ コーン(a)を配合した場合(実施例a1)と比較し ストランド強度が低かった。
また、アミノ変性シリコーンを主成分と る場合(比較例a8)はケイ素化合物飛散量が多 く、操業性が低くなり、アミノ変性シリコー ンを全く含有しない場合(比較例a9)は集束性 低く、融着数も多く、ストランド強度も低 った。
[実施例b1~b8]
ポリエーテルアルキル変性シリコーン(b)と
て、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチ
シロキシエチルジメチコン(商品名:「KF-6105
、信越化学工業株式会社製、前記式(1)、(3)
び(5)のユニット数2~10、25℃における動粘度40
00mm 2
/s)を用い、表3に示す組成比で油剤組成物を
製したこと以外は、実施例a1~a10と同様に行
た。
実施例b1~b8の各評価結果を表3に合わせて した。いずれの場合も、集束性評価、融着 評価、ケイ素化合物飛散評価とも良好であ た。ポリエーテルアルキル共変性シリコー (b)を10wt%含有させた実施例b8においては、他 の実施例に比べ集束性がやや劣る傾向にあっ たが、製造工程で問題となる程度ではなかっ た。
ストランド強度の評価結果においては、 ずれも良好であったが、油剤組成物の成分 違いや混合割合の違いにより差異がみられ 。ポリエーテルアルキル共変性シリコーン( b)の含有量が1wt%の場合(実施例b5)、或いは10wt% の場合(実施例b8)では、ストランド強度は3wt% 5wt%の場合と比較して若干低いが、十分な強 度を示した。
芳香族エステルは、トリメリット酸エス ル、ポリオキシエチレンビスフェノールAジ ラウレート、共に良好であったが、トリメリ ット酸エステルの方がより良好であった。
アミノ変性シリコーンは、1級側鎖アミノ 変性タイプ、1,2級側鎖アミン変性タイプ、両 末端アミノ変性タイプのいずれを用いた場合 も良好であった。最も良好であったのは1級 鎖アミノ変性タイプであった。
[比較例b1~b7]
表4に示す組成比で油剤組成物を調製したこ
と以外は、比較例a1~a9と同様に行った。結果
表4に示した。
比較例b1では、集束性、ケイ素化合物飛 の評価結果は良好であったが、融着数が多 、工業的に連続生産することは困難と考え れた。さらに、ストランド強度は実施例b1~b8 のいずれと比較しても低かった。
アルキル変性シリコーンを用いた比較例b 2では、単繊維間の融着数が多かった。また ポリエーテルアルキル共変性シリコーン(b) 含有量が10wt%をこえる場合(比較例b3、b4)では 、集束性が低下し、工程障害となる可能性が あり、さらにはストランド強度も実施例b1~b8 いずれと比較しても低かった。
トリメリット酸エステル含有量が50wt%を え、アミノ変性シリコーン含有量が30wt%より 低い場合(比較例b4)は単繊維間の融着を完全 防止できなくなり、ストランド強度が低下 た。また、トリメリット酸エステル含有量 30wt%より低く、アミノ変性シリコーン含有量 が50wt%をこえる場合(比較例b3)には、融着数評 価、ストランド強度評価結果は比較的良好で あるが、ケイ素化合物飛散量が多くなり、操 業性を低下させた。
なお、ポリエーテルアルキル共変性シリ ーン(b)を配合しない場合(比較例b5)では、同 様の組成でポリエーテルアルキル共変性シリ コーン(b)を配合した場合(実施例b1)と比較し 融着数が多く、ストランド強度が低かった
また、アミノ変性シリコーンを主成分と る場合(比較例b6)はケイ素化合物飛散量が多 く、操業性が低下し、アミノ変性シリコーン を全く含有しない場合(比較例b7)は融着数も く、集束性、ストランド強度も低かった。
[実施例c1~c8]
ポリエーテルアルキル変性シリコーン(c)と
て、エチレンオキサイドとプロピレンオキ
イドのランダム共重合側鎖と、アルキル側
を持つ前記式(1)及び(4)のユニット数が2~5で
る変性シリコーン(商品名:「TSF4450」、モメ
ティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・
ャパン合同会社製、動粘度:1000mm 2
/s(25℃))を用い、表5に示す組成比で油剤組成
を調製したこと以外は、実施例a1~a10と同様
行った。
実施例c1~c8の各評価結果を表5に合わせて した。いずれの場合も、集束性評価、融着 評価、ケイ素化合物飛散評価とも良好であ た。ポリエーテルアルキル共変性シリコー (c)を10wt%含有させた実施例c8においては、他 の実施例に比べ集束性がやや劣る傾向にあっ たが、製造工程で問題となる程度ではなかっ た。
ストランド強度の評価結果においては、 ずれも良好であったが、油剤組成物の成分 違いや混合割合の違いにより差異がみられ 。ポリエーテルアルキル共変性シリコーン( c)の含有量が1wt%の場合(実施例c5)、或いは10wt% の場合(実施例c8)では、ストランド強度は3wt% 5wt%の場合と比較して若干低いが、十分な強 度を示した。
芳香族エステルは、トリメリット酸エス ル、ポリオキシエチレンビスフェノールAジ ラウレート、共に良好であったが、トリメリ ット酸エステルの方がより良好であった。
アミノ変性シリコーンは、1級側鎖アミノ 変性タイプ、1,2級側鎖アミン変性タイプ、両 末端アミノ変性タイプのいずれを用いた場合 も良好であった。最も良好であったのは1級 鎖アミノ変性タイプであった。
[比較例c1~c8]
表6に示す組成比で油剤組成物を調製したこ
と以外は、比較例a1~a9と同様に行った。結果
表6に示した。
比較例c1では、集束性、ケイ素化合物飛 の評価結果は良好であったが、融着数が多 、工業的に連続生産することは困難と考え れた。さらに、ストランド強度は実施例c1~c8 のいずれと比較しても低かった。
アルキル変性シリコーンを用いた比較例c 2では、単繊維間の融着数が多かった。また ポリエーテルアルキル共変性シリコーン(c) 含有量が10wt%をこえる場合(比較例c3~c5)では 集束性が低下し、工程障害となる可能性が った。
トリメリット酸エステル含有量が50wt%を え、アミノ変性シリコーン含有量が30wt%より 低い場合(比較例c4)は単繊維間の融着を完全 防止できなくなり、ストランド強度が低下 た。また、トリメリット酸エステル含有量 30wt%より低く、アミノ変性シリコーン含有量 が50wt%をこえる場合(比較例c3)には、融着数評 価、ストランド強度評価結果は比較的良好で あるが、ケイ素化合物飛散量が多くなり、操 業性を低下させた。
なお、ポリエーテルアルキル共変性シリ ーン(c)を配合しない場合(比較例c6)では、同 様の組成でポリエーテルアルキル共変性シリ コーン(c)を配合した場合(実施例c1)と比較し 融着数が多く、ストランド強度が低かった
また、アミノ変性シリコーンを主成分と る場合(比較例c7)はケイ素化合物飛散量が多 く、操業性が低下し、アミノ変性シリコーン を全く含有しない場合(比較例c8)は融着数も く、集束性、ストランド強度も低かった。
以上、実施形態(及び実施例)を参照して 願発明を説明したが、本願発明は上記実施 態(及び実施例)に限定されるものではない。 本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコ ープ内で当業者が理解し得る様々な変更をす ることができる。
本発明では、特定の変性ポリジメチルシ キサンを用いることによりシリコーン化合 と非シリコーン化合物を相溶化した油剤組 物を調製することができる。この油剤組成 は、焼成工程での単繊維間の融着を効果的 抑制し、かつシリコーン化合物を主剤とし 用いた油剤組成物を使用する場合に発生す 操業性の低下を抑制でき、さらに、機械的 度の高い炭素繊維束が得られる。すなわち 本発明により、炭素繊維束の高性能化と操 安定性とを共に向上させることが可能な炭 繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物を得 ことができる。
この炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤 成物を適正に付与した前駆体繊維束から得 れた炭素繊維束は、プリプレグ化したのち 合材料に成形することもできる。用途とし は、ゴルフシャフトや釣り竿などのスポー 用途、さらには構造材料として自動車や航 宇宙用途、また各種ガス貯蔵タンク用途な に好適に用いることができ、有用である。
