Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
OIL RING AND PISTON FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157328
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an oil ring (Ro) for an internal combustion engine, wherein an outer circumferential surface (1) is coated with at least one kind of material selected from among a group composed of hard carbon, CrN and TiN, and a curvature radius (R) of an outer circumference leading end (T) in the sliding direction is 0.3 mm or more.

Inventors:
HIGUCHI TSUYOSHI
MABUCHI YUTAKA
YOSHIDA MAKOTO
Application Number:
PCT/JP2009/060830
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 15, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NISSAN MOTOR (JP)
HIGUCHI TSUYOSHI
MABUCHI YUTAKA
YOSHIDA MAKOTO
International Classes:
F16J9/20; F02F5/00; F16J9/26
Foreign References:
JP2007232026A2007-09-13
JPH03144170A1991-06-19
JP2004137535A2004-05-13
JP2006275269A2006-10-12
JP2008163227A2008-06-23
JP2009075849A2009-03-26
Other References:
See also references of EP 2292952A4
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (JP)
Hidekazu Miyoshi (JP)
Download PDF:
Claims:
 硬質炭素、CrN及びTiNから成る群より選ばれた少なくとも1種を外周面に被覆して成り、外周先端における摺動方向曲率半径Rが0.3mm以上であることを特徴とする内燃機関用オイルリング。
 前記曲率半径Rが6mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用オイルリング。
 前記曲率半径Rが3mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用オイルリング。
 前記外周面の硬さが2000Hv以上であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用オイルリング。
 前記外周面の粗さがRa0.1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用オイルリング。
 前記外周面に被覆する前記硬質炭素がダイヤモンドライクカーボンであり、前記ダイヤモンドライクカーボン膜に含まれる水素量が10at%以下であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用オイルリング。
 前記ダイヤモンドライクカーボン膜に含まれる水素量が5at%以下であることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関用オイルリング。
 前記ダイヤモンドライクカーボン膜に含まれる水素量が1at%以下であることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関用オイルリング。
 前記外周面の前記外周先端である外周径最大部を中心として前記オイルリングの摺動方向幅200μmの範囲で径方向高低差Zを測定した場合に、前記曲率半径Rが次式(1)で求められることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用オイルリング:
  R=Z/2+(2×10 4 )/8Z (単位:μm) ・・・ (1)
 請求項1に記載の前記オイルリングと、コンプレッションリングの少なくとも2本のピストンリングを備えたことを特徴とする内燃機関用ピストン。
 前記コンプレッションリングの外周面にダイヤモンドライクカーボン膜を備えていることを特徴とする請求項10に記載の内燃機関用ピストン。
 前記コンプレッションリングの前記外周面の前記ダイヤモンドライクカーボン膜に含まれる水素量が10at%以下であることを特徴とする請求項11に記載の内燃機関用ピストン。
Description:
内燃機関用オイルリング及びピ トン

 本発明は、例えば自動車用エンジンなど 内燃機関のピストンに取付けられるピスト リングに係わり、特に潤滑油が燃焼室に入 ないように掻き落とすために配置されるオ ルリングに関する。更に本発明は、このよ なオイルリングをコンプレッションリング 共に搭載したピストンに関する。

 自動車用エンジン等の内燃機関における 械損失低減は、燃費向上に有効であり、様 な部品に対して摩擦低減の試みがなされて る。

 例えば、内燃機関におけるピストンとシ ンダーボア間の常用域における摩擦損失は 内燃機関全体の機械損失の実に20~30%にも達 るとされており、特にピストンリングとシ ンダーボア間の摩擦を減らすために、ピス ンリング張力を低減する手法が広く用いら ている。

 ピストンリング張力は、燃焼室内のシー 性と密接に関係し、エンジンオイル消費量 影響する。このためピストンリング張力を に落とすだけではなく、ピストンリング張 ばらつきの小さい耐摩耗性に優れたCrNなど 硬質薄膜による表面処理をピストンリング 施す方法や、ピストンリングの面粗度を低 する方法などが採られている(特許文献1参 )。

特開2006-275269号公報

 ピストンリングの外周部への表面処理と てCrめっきが一般的に用いられている。こ に対して、上記したように耐摩耗性に優れ CrN等の硬質薄膜処理が、張力低減と共に従 から用いられている。

 しかしながら、従来では、表面処理をCr っきからCrN等に単に置き換えたに過ぎず、 摩耗性向上に伴う形状変更等について工夫 れた例はほとんど見当たらない。従って、 れによる初期張力設定が低減された分、ピ トンリングとシリンダーボアとの間の摩擦 は低減するもののそれ以上の効果について 待できないことが、発明者らの解析により らかになった。

 一般的傾向として、ピストンリング外周 とシリンダーボアとの摺動によりピストン ング外周部は摩耗が進み、ピストンリング 周部の先端部が摩耗することによって、ピ トンリング断面における凸形状の平坦化が む。

 一方、高硬度で耐摩耗性に優れたCrN膜な の硬質表面処理を施した場合、摩耗速度が しく減少し、リング外周部の先端形状は、 常使用範囲で平坦化することはなく、初期 まま維持される。

 特に、オイルリング(オイル掻き落しリン グ、オイルコントロールリング)の場合、オ ル掻き落し性能向上のため、コンプレッシ ンリング(圧力リング)に比べて接触幅を狭く してあり、摩耗しやすいことから、上記のよ うな硬質表面処理を行う意義は大きい。

 また、オイル掻き落し性能だけでなく、 擦力低減の観点からも、オイルリング外周 の凸形状を維持することは、オイルリング シリンダーボア面との接触幅を抑えられる め、摺動時のオイル粘性抵抗が小さくなり 摩耗して平坦化する場合に比べて理想的な 状と考えられている。

 ところが、発明者らは、実際にエンジン 用いて解析を行った結果、従来考えられて る説と大きく異なり、オイルリング外周部 端の凸形状が必ずしも鋭利である程、摩擦 が低減するわけではないことを見出すに到 た。

 すなわち、オイルリング単独で考えた場 には、上記説が成り立つが、オイルリング オイル掻き落し性能が高いほど、コンプレ ションリングに供給されるオイル量が減少 、コンプレッションリングとシリンダーボ 間の油膜形成に悪影響を及ぼす。

 オイルリング外周部の形状の影響を調べ 従来の試験は、いずれもモータリング試験 リング・ボア相当の試験片を用いた擬似試 であり、理論上の予測と整合の取れた結果 提示されている。

 一方、エンジンが燃焼状態での、ピスト のコンプレッションリングと、シリンダー アとの間の油膜は、幾何学的に算出される さに比べて実際はかなり薄いことが報告さ ている。つまり、過去の試験例は実際のエ ジンと異なり、オイル供給量が潤沢のため コンプレッションリングへの影響を正確に 映していない可能性がある。

 すなわち、ピストンとシリンダーボアと 間の摩擦を低減する方策としては、オイル ングのみの摩擦を低減するだけでなく、コ プレッションリングの摩擦も同時に低減す 必要があると考えられる。

 本発明は、このような従来技術の問題点 着目してなされたものであって、その目的 するところは、自身の摩擦のみならず、コ プレッションリングとシリンダーボアとの の摩擦をも低減できる内燃機関用オイルリ グを提供することにある。

 また、このようなオイルリングをコンプ ッションリングと共にピストンリングとし 備え、かかるピストンリングとシリンダー アとの間の摩擦力を低減できる内燃機関用 ストンを提供することにある。

 本発明者らは、上記課題の解決に向けて オイルリングの材質・形状について鋭意解 ・実験を繰り返した結果、オイルリングの 端を必ずしも鋭利な凸形状とすることなく コンプレッションリングにオイルを適当に 給するレベルに保つのが良いという結論、 ち、従来の定説とは逆の結論に達した。

 本発明は上記知見に基づくものであって 本発明の内燃機関用オイルリングは、外周 に硬質炭素、CrN及びTiNから成る群より選ば た少なくとも1種を被覆して成り、外周先端 における摺動方向曲率半径Rが0.3mm以上である ことを特徴とする。

 また、本発明の内燃機関用ピストンにお ては、上記オイルリングとコンプレッショ リングをそれぞれ少なくとも1本備えたこと を特徴とする。

 本発明によれば、内燃機関用オイルリン の外周面に硬質炭素、CrN、TiNの少なくとも1 種を被覆すると共に、外周先端における摺動 方向曲率半径Rを0.3mm以上としたから、コンプ レッションリングの摺動面にも潤滑油が適度 に供給されるようになり、内燃機関用ピスト ン-シリンダーボア間の摩擦力が低減される

図1Aは、本発明の内燃機関用オイルリ グの形状例を示す断面図である。 図1Bは、本発明の内燃機関用オイルリ グの形状例を示す内燃機関用オイルリング 組図である。 図2は、本発明の内燃機関用ピストンに 用いられるコンプレッションリングの形状例 を示す斜視図である。 図3は、本発明の内燃機関用ピストンに おけるコンプレッションリング・オイルリン グの配置例を示す側面図である。 図4は、実施例1~3、15、16、比較例1~3の 果に基づいてオイルリング曲率半径と平均 擦力との関係を示すグラフである。

 以下、本発明の内燃機関用オイルリング びピストンについて、発明特定事項の作用 、各種数値の限定理由などと共に、更に詳 に説明する。

 本発明は、コンプレッションリングとオ ルリングの少なくとも2本のピストンリング を配置して成る内燃機関用ピストンにおいて 、オイルリング外周形状の先端曲率半径Rを0. 3mm以上に大きくすることによって、ピストン リングとシリンダーボアとの間の摩擦力が著 しく低減することを見出したことに基づく。

 すなわち、オイルリングの先端外周面の 端曲率半径Rが0.3mm以上であることによって シリンダーボア面の潤滑油がオイルリング よって完全に掻き落とされることなく適度 残存して、シリンダーボア面とコンプレッ ョンリングとの間の摩擦を減じ、ピストン 体の摩擦力が低減する。

 このとき、上記曲率半径Rが0.3mmに満たな 場合には、潤滑油の残存量が少なくなって ピストンの摩擦力を十分に低減できない。

 一方、曲率半径Rが大きくなっても、ピス トン全体の摩擦力が増大することはない。し かしながら、曲率半径Rが過度に大きくなる 、オイルリングがボア面に対して持つ接触 抗が増大してオイルリング本来の機能が損 われる可能性がある。従って、曲率半径Rは6 mm以下が望ましく、3mm以下がより望ましい。

 なお、本発明において「曲率半径R」とは 、図1Aに示すようなオイルリングRoの外周部 縦断面において、外周径最大部Tを中心とす 摺動方向(板厚方向)幅200μmの範囲で、径方 高低差Zを測定し、次式(1)を用いて求められ 平均曲率半径を意味する。

  R=Z/2+(2×10 4 )/8Z (単位:μm) ・・・ (1)
 また、本発明においては、オイルリングRo 外周面1を、硬質炭素、CrN、TiNで被覆するこ から、摩耗による形状変化を著しく小さく き、オイルリングRoの先端形状の平坦化を 止する。これによって、シリンダーボア面 コンプレッションリングRc(図2参照)との間の 摩擦力低減効果を長期に亘って維持できる。 なお、ダイヤモンドライクカーボン(以下、 DLC」と略記する)などの硬質炭素被膜が好適 ある。

 また、本発明においては、オイルリングR oの外周形状の先端曲率半径Rを6mm以下、更に 適には3mm以下とすることによって、オイル ングRoとシリンダーボアとの間の摩擦力が に著しく低減する。

 すなわち、オイルリングRoの先端外周面1 曲率半径Rが0.3mm以上6mm以下、更には0.3mm以 3mm以下であることによって、シリンダーボ 面の潤滑油がオイルリングRoによって完全に 掻き落とされることなく、適度に残存して、 ピストンP(図3参照)全体の摩擦力を低減でき 。

 また、本発明においては、オイルリングR oの外周面1の硬さが2000Hv以上であることによ て、摩耗によるオイルリングRo形状変化を しく小さくでき、オイルリングRoの先端形状 の平坦化を防止して、シリンダーボア面とコ ンプレッションリングRcとの間の摩擦力低減 果を長期に亘って維持できる。

 逆に、オイルリングRoの外周面1の硬さが2 000Hvに満たない場合、初期リング外周形状を0 .3mm以上の曲率半径Rに平坦化させても、走行 離に比例してオイルリングRoの外周部の摩 が進み、更なる平坦化によって摩擦力が増 し、オイル消費量も増大するおそれがある

 オイルリングRoの外周面1の表面粗さとし は、摩擦力低減効果を確実にする観点から 中心線平均粗さRaで、0.1μm以下が望ましい

 耐摩耗性を向上させるだけの硬さが得ら るばかりでなく、摺動特性に優れ、大幅な 擦低減が可能になることから、上記硬質被 のうちDLC膜をオイルリングRoの外周面1に被 することが望ましい。このようなDLC被膜は 例えばプラズマCVD法により成膜できる。

 このとき、DLC膜中の水素含有量が増加す と、硬さが低下すると共に、摩擦係数が増 傾向があることから、DLC膜の水素含有量を1 0at%以下が望ましい。そして、硬さを更に向 させ、潤滑油中における摩擦係数を更に減 させてより安定した摺動特性を確保するた には、DLC膜の水素含有量を5at%以下、更には1 at%以下が好ましい。

 例えばスパッタリング法やイオンプレー ィング法などの物理蒸着(PVD)法、即ち、水 や水素含有化合物を実質的に使用しない方 によって成膜することによって、このよう 水素含有量の低いDLC膜が得られる。この場 、水素を含まないガスを成膜時に用いるだ でなく、場合によっては反応容器・基材保 具のベーキングや、基材表面のクリーニン を十分に行った上で成膜することが、被膜 の水素含有量を減らすためには望ましい。

 上記のように、オイルリングRoの外周面1 硬質被膜を形成する場合、外周面1の表面粗 さは、概ね基材成膜面の粗さに依存する。従 って、オイルリングRoの外周面1の表面粗さを Ra0.1μm以下とするには、基材面をも0.1μm以下 表面粗さに成るように仕上げることが必要 なる。

 以上、オイルリングRoについて説明した 本発明の内燃機関用ピストンPにおいて、上 オイルリングRoと共に用いられるコンプレ ションリングRcの外周面2(図2参照)の硬さや さについても、耐摩耗性・摩擦特性の観点 ら、それぞれ2000Hv以上、0.1μm以下が好まし 。更にコンプレッションリングRcの外周面2 もダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を備 え、かかるDLCに含まれる水素含有量は10at%が ましい。

 以下、本発明を実施例及び比較例に基づ て更に説明するが、本発明はこれら実施例 限定されない。

〔オイルリングRoの作製〕
 JIS G 3506(硬鋼線材)に規定される炭素鋼材 SWRH72を冷間で線引きした後、焼入れ焼戻し 理を施した。0.4mm×2.0mmの矩形断面のうち0.4mm 幅の1面を、図1Bの外周面の曲率半径R(0.2~2mm) する線材を得た。次いで、外形(呼び径)93mm リング状にこの線材を成形し、合口となる 分を切削した。

 次に、歪取り熱処理を実施し、外周研磨 行った後、イオンプレーティング法によっ 、それぞれの外周面にCrN膜又はDLC膜による 膜処理を施し、更に仕上げ研磨によってそ ぞれの表面粗さを得た。なお、原料中の水 濃度を変更することによってDLC膜の水素含 量を調整した。

 図1Bに示すように、上記要領で作製した2 のサイドレールAの間にSUS304からなるスペー サBを組合せることで、組み込み時20Nの張力 持つオイルリングRoを作製した。

〔コンプレッションリングRcの作製〕
 JIS G 3561(弁ばね用オイルテンパー線)に規 されるCr-V系耐熱バネ材料SWOSC-Vを冷間で線引 きした後、焼入れ焼戻し処理を施し、1.2mm×2. 5mmの矩形断面を有する線材を得た。

 次いで、内径93mmのシリンダライナーへの 組み込み時に10Nの張力を持つようにこの線材 をリング形状に成形し、合口となる部分を切 削し、図2に示すようなコンプレッションリ グRcを作製した。上記オイルリングRoに用い 方法と同様の方法により、コンプレッショ リングRcの外周面2にCrN膜又はDLC膜による被 処理を行った。

〔セカンドコンプレッションリングRcの作製
 ねずみ鋳鉄を切削により、断面形状1.5mm×2.5 mmに加工した。内径93mmのシリンダライナーへ の組み込み時に10Nの張力を持つようにこのね ずみ鋳鉄をリング形状に成形し、合口となる 部分を切除した。

〔摺動試験〕
 図3に示すように、自動車用エンジンのピス トンとして、日産自動車製VQ30DEエンジン向け ピストンPを用意した。そして、上記により 製したうちの2本のコンプレッションリングR c,Rcをトップリング及びセカンドリングとし リング溝G1及びリング溝G2にそれぞれ装着し 。そして、上記により作製したうちの1本の オイルリングRoをリング溝G1及びリング溝G2の 下方側のリング溝G3に装着して、単体摩擦摩 試験機によるピストンP-シリンダーボア間 摺動試験を行った。

 ここで、シリンダーボア側を油圧駆動に り振動させることによってピストン-シリン ダーボア間に発生する摩擦力を、ピストンに 装着のロードセルが検知する仕組みを、単体 摩擦摩耗試験機は持つ。そして、潤滑油とし て市販の5W30粘度のエンジンオイルを用い、 記試験時により毎分700回の振動を加え、そ 平均摩擦力をそれぞれ測定した。

 その結果を、コンプレッションリングRc及 オイルリングRo仕様の組合せと共に、表1に す。

[比較例1]
 ビッカース硬さ2000HvのCrN膜が外周面に施さ かつその表面粗さRaが0.15μmである2本のコン プレッションリングRcと、摺動方向幅200μmに ける平均先端曲率半径Rが0.2mmのバレルフェ ス形を外周面がなしかつ同じくビッカース さ2000Hvでかつ表面粗さRaが0.15μmのCrN膜が施 れたオイルリングRoとを組合わせた。この 合のピストンP-シリンダーボア間の平均摩擦 力は35Nであった。

[比較例2]
 上記比較例1のコンプレッションリングRcと じコンプレッションリングRcと、上記比較 1と同様に被膜処理がなされかつ外周面先端 均曲率半径Rが0.25mmのオイルリングRoとを組 わせた。この場合のピストンP-シリンダー ア間の平均摩擦力は37Nであり、上記比較例1 35Nよりも摩擦力が僅かに増加する結果に比 例2でなった。

[比較例3]
 比較例1のコンプレッションリングRcと同様 コンプレッションリングRcと、表面硬さが20 00HvのCrNでその粗さがRa0.05μmでかつ外周面先 平均曲率半径Rが0.25mmであるオイルリングRo を組合わせた。比較例1で用いた物と同様の ストンP、シリンダーボア、単体摩擦摩耗試 験機を用いて、700回/分の振動をシリンダー ア側に加え、ピストンP-シリンダーボア間の 平均摩擦力を測定した。

 その結果、平均摩擦力は36Nであり、比較 2の37Nよりも平均摩擦力は比較例3で僅かに 少した。

 上記比較例1のコンプレッションリングRc 同じコンプレッションリングRcと、上記比 例1と同様に被膜処理がなされかつ外周面先 平均曲率半径Rが0.3mmのオイルリングRoとを 合わせた。この場合のピストンP-シリンダー ボア間の平均摩擦力は30Nであり、上記比較例 1,2,3のそれぞれ35N,37N,36Nよりも平均摩擦力が 減することが実施例1で判明した。

 上記比較例1のコンプレッションリングRc 同じコンプレッションリングRcと、上記比 例1と同様に被膜処理がなされかつ外周面先 曲率半径Rが0.5mmのオイルリングRoとを組合 せた。この場合のピストンP-シリンダーボア 間の平均摩擦力は24Nであり、上記実施例1の30 Nよりも平均摩擦力が更に低減することが実 例2で確認された。

 上記比較例1のコンプレッションリングRc 同じコンプレッションリングRcと、上記比 例1と同様に被膜処理がなされかつ外周先端 率半径Rが2mmのオイルリングRoとを組合わせ 。この場合のピストンP-シリンダーボア間 平均摩擦力は28Nとなり、上記比較例1,2,3のそ れぞれ35N,37N,36Nと比較すれば平均摩擦力が低 するものの、実施例2の24Nと比較すると平均 摩擦力が増加する結果に実施例3でなった。

 表面粗さRaが0.1μmである以外は比較例1の ンプレッションリングRcと同様のコンプレ ションリングRcと、摺動方向幅200μmにおける 平均先端曲率半径Rが0.5mmのバレルフェース形 を外周面がなしかつ同じくビッカース硬さ200 0Hvでかつ表面粗さRaが0.1μmのCrN膜が施された イルリングRoとを組合わせた。この場合の ストンP-シリンダーボア間の平均摩擦力は23N であり、実施例2の24Nと比べて平均摩擦力が かに低減することが実施例4で確認された。

 表面粗さRaが0.05μmである以外は比較例1の コンプレッションリングRcと同様のコンプレ ションリングRcと、摺動方向幅200μmにおけ 平均先端曲率半径Rが0.5mmのバレルフェース を外周面がなしかつ同じくビッカース硬さ20 00Hvでかつ表面粗さRaが0.05μmのCrN膜が施され オイルリングRoとを組合わせた。この場合の ピストンP-シリンダーボア間の平均摩擦力は2 3Nであり、実施例2の24Nと比べて平均摩擦力が 僅かに低減することが実施例5で確認された またオイルリングRoの表面粗さRaが同じであ 比較例3の36Nと比べて、平均摩擦力が実施例 5で大幅に低減している。

 表面粗さRaが0.05μmである以外は比較例1の コンプレッションリングRcと同様のコンプレ ションリングRcと、摺動方向幅200μmにおけ 平均先端曲率半径Rが0.5mmのバレルフェース を外周面がなしかつ同じくビッカース硬さ20 00Hvでかつ表面粗さRaが0.05μmのCrN膜が施され オイルリングRoとを組合わせた。この場合の ピストンP-シリンダーボア間の平均摩擦力は2 2Nであり、実施例5の23Nと比べて摩擦力が更に 低減することが実施例6で確認された。

 表面粗さRaが0.05μmである以外は比較例1の コンプレッションリングRcと同様のコンプレ ションリングRcと、摺動方向幅200μmにおけ 平均先端曲率半径Rが0.5mmのバレルフェース を外周面がなしかつビッカース硬さ3000Hvで 面粗さRaが0.05μmのDLC膜(水素含有量:15at%)が施 されたオイルリングRoとを組合わせた。この 合のピストンP-シリンダーボア間の平均摩 力は22Nであり、実施例5の23Nと比べて摩擦力 更に低減することが実施例7で確認された。

 ビッカース硬さ7000HvのDLC膜(水素含有量:0. 5at%)が外周面に施されその表面粗さRaが0.05μm ある2本のコンプレッションリングRcと、摺 方向幅200μmにおける平均先端曲率半径Rが0.5 mmのバレルフェース形を外周面がなしかつビ カース硬さ2000Hvでかつ表面粗さRaが0.05μmのC rN膜が施されたオイルリングRoとを組合わせ 。この場合のピストンP-シリンダーボア間の 平均摩擦力は19Nであり、上記実施例6の22Nや 記実施例7の22Nに比べて、摩擦力が更に低減 る結果に実施例8でなった。

 ビッカース硬さ7000HvのDLC膜(水素含有量:0. 5at%)が外周面に施されかつその表面粗さRaが0. 05μmである2本のコンプレッションリングRcと 摺動方向幅200μmにおける平均先端曲率半径R が0.5mmのバレルフェース形を外周面がなしか ビッカース硬さ4000Hvで表面粗さRaが0.05μmのD LC膜(水素含有量:10at%)が施されたオイルリン Roとを組合わせた。この場合のピストンP-シ ンダーボア間の平均摩擦力は19Nであり、上 実施例6の22Nや上記実施例7の22Nに比べて、 擦力が更に低減する結果に実施例9でなった

 ビッカース硬さ7000HvのDLC膜(水素含有量;0. 5at%)が外周面に施されかつその表面粗さRaが0. 05μmである2本のコンプレッションリングRcと 摺動方向幅200μmにおける平均先端曲率半径R が0.5mmのバレルフェース形を外周面がなしか ビッカース硬さ5000Hvで表面粗さRaが0.05μmのD LC膜(水素含有量:5at%)が施されたオイルリング Roとを組合わせた。この場合のピストンP-シ ンダーボア間の平均摩擦力は18Nであり、実 例9の19Nよりも平均摩擦力が更に低減する結 に実施例10でなった。

 ビッカース硬さ7000HvのDLC膜(水素含有量:0. 5at%)が外周面に施されかつその表面粗さRaが0. 05μmである2本のコンプレッションリングRcと 摺動方向幅200μmにおける平均先端曲率半径R が0.5mmのバレルフェース形を外周面がなしか ビッカース硬さ7000Hvで表面粗さRaが0.05μmのD LC膜(水素含有量;0.5at%)が施されたオイルリン Roとを組合わせた。この場合のピストンP-シ リンダーボア間の平均摩擦力は17Nであり、実 施例10の18Nよりも平均摩擦力が更に低減する 果に実施例11でなった。

 ビッカース硬さ2000HvのCrN膜が外周面に施 れかつその表面粗さRaが0.15μmである2本のコ ンプレッションリングRcと、摺動方向幅200μm おける平均先端曲率半径Rが0.5mmのバレルフ ース形を外周面がなしかつ同じくビッカー 硬さ2000Hvでかつ表面粗さRaが0.1μmのCrN膜が されたオイルリングRoとを組合わせた。この 場合のピストンP-シリンダーボア間の平均摩 力は24Nであり、上記実施例1の30Nよりも平均 摩擦力が低減することが判明した。

 比較例1のコンプレッションリングRcと同 のコンプレッションリングRcと、摺動方向 200μmにおける平均先端曲率半径Rが0.5mmのバ ルフェース形を外周面がなしかつビッカー 硬さ5000Hvで表面粗さRaが0.05μmのDLC膜(水素含 量:5at%)が施されたオイルリングRoとを組合 せた。この場合のピストンP-シリンダーボア 間の平均摩擦力は21Nであり、上記実施例12の2 4Nよりも平均摩擦力が更に低減する結果に実 例13でなった。

 比較例1のコンプレッションリングRcと同 のコンプレッションリングRcと、摺動方向 200μmにおける平均先端曲率半径Rが0.5mmのバ ルフェース形を外周面がなしかつビッカー 硬さ7000Hvで表面粗さRaが0.05μmのDLC膜(水素含 量:0.5at%)が施されたオイルリングRoとを組合 わせた。この場合のピストンP-シリンダーボ 間の平均摩擦力は20Nであり、上記実施例12 24Nや上記実施例13の21Nに比べて摩擦力が更に 低減することが実施例14で確認された。

 比較例1のコンプレッションリングRcと同 のコンプレッションリングRcと、摺動方向 200μmにおける平均先端曲率半径Rが1.4mmのバ ルフェース形を外周面がなしかつ同じくビ カース硬さ2000Hvでかつ表面粗さRaが0.15μmのCr N膜が施されたオイルリングRoとを組み合わせ た。この場合のピストンP-シリンダーボア間 平均摩擦力は26Nであった。

 比較例1のコンプレッションリングRcと同 のコンプレッションリングRcと、摺動方向 200μmにおける平均先端曲率半径Rが6mmのバレ フェース形を外周面がなしかつ同じくビッ ース硬さ2000Hvでかつ表面粗さRaが0.15μmのCrN が施されたオイルリングRoとを組合わせた この場合のピストンP-シリンダーボア間の平 均摩擦力は31Nであった。

 図4は、上記実施例1~3、15、16、比較例1~3 結果に基づいて摺動試験で得られたグラフ あり、平均摩擦力(N)に対してオイルリングRo の曲率半径R(mm)が与える影響を図示している

 図4から明らかなように、オイルリングRo 外周面1の摺動方向幅200μmにおける平均先端 曲率半径Rが0.3mm以上(実施例1を参照)の場合に 平均摩擦力が著しく低減される。 日本国特 出願2008-163227(出願日2008年6月23日)と日本国 許出願2009-075849(出願日2009年3月26日)との全内 容がここに援用され、誤訳や記載漏れから保 護される。

 以上、実施の形態及び実施例によって本 明の内容を説明したが、本発明はこれら記 に限定されるものではなく、種々の変形及 改良が可能であることは、当業者に自明で る。

 本発明によれば、内燃機関用オイルリン の外周面に硬質炭素、CrN、TiNの少なくとも1 種を被覆すると共に、外周先端における摺動 方向曲率半径Rを0.3mm以上としたから、コンプ レッションリングの摺動面にも潤滑油が適度 に供給されるようになり、内燃機関用ピスト ン-シリンダーボア間の摩擦力が低減される