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Title:
OPERATING METHOD OF PREMIXED COMPRESSION SELF-IGNITION ENGINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026686
Kind Code:
A1
Abstract:
An operating method of a premixed compression self-ignition engine for practical use by which the application time and the interruption time of a load is shortened by performing a compression self-ignition operation using spark ignition. In the operating method of a premixed compression self-ignition engine wherein fuel and air are premixed and the fuel-air mixture is subjected to compression self-ignition in the combustion chamber and combusted, a spark igniter (53) performing spark ignition on the fuel-air mixture is provided, a temperature controller (35) sustains the intake temperature of the fuel-air mixture at a substantially constant level, and the operating method is switched between a spark ignition operation, an ignition assisted compression self-ignition operation employing spark ignition supplementally, and a non-ignition compression self-ignition operation not using spark ignition depending on the magnitude of a load.

Inventors:
NAKAZONO TOHRU (JP)
OHTSUBO HIROYUKI (JP)
SHIROUZU TAKAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066888
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 30, 2007
Export Citation:
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Assignee:
YANMAR CO LTD (JP)
NAKAZONO TOHRU (JP)
OHTSUBO HIROYUKI (JP)
SHIROUZU TAKAYUKI (JP)
International Classes:
F02D45/00; F02B1/12; F02B11/00; F02D41/02; F02D43/00
Foreign References:
JPH1162589A1999-03-05
JPH11210539A1999-08-03
JP2001289092A2001-10-19
JP2005069097A2005-03-17
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building 3-7, Shiromi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
 燃料と空気とを予め混合した混合気を燃焼室内で圧縮自着火させて燃焼させる、予混合圧縮自着火式エンジンの運転方法であって、
 混合気に火花点火を行う火花点火装置を備えており、
 混合気の吸気温度を調温装置によって略一定に維持するとともに、負荷の大きさに応じて、火花点火運転と、火花点火を補助的に用いた点火補助圧縮自着火運転と、火花点火を用いない無点火圧縮自着火運転とを切り換えて行うことを特徴とする、予混合圧縮自着火式エンジンの運転方法。
 点火補助圧縮自着火運転において、目標となる圧縮自着火時期を予め設定しておき、また、目標圧縮自着火時期を実現できる火花点火時期を記録した火花点火時期マップを予め備えておき、
 エンジン始動後、負荷が所定以下のときは、運転条件から火花点火時期マップを参照して選択した火花点火時期で火花点火を行い、負荷が所定以上のときは、目標圧縮自着火時期と実際の圧縮自着火時期とを比較するとともに、該比較に基づいて実際の圧縮自着火時期が目標圧縮自着火時期となるように火花点火時期を調整することを特徴とする、請求項1記載の予混合圧縮自着火式エンジンの運転方法。
 エンジンを冷態から始動した直後に、空気過剰率を低くして火花点火運転を行うことを特徴とする、請求項1記載の予混合圧縮自着火式エンジンの運転方法。
 エンジンを冷態から始動した直後に、エンジン出力が定格となるように機関回転数を定格回転数以上に上昇させることを特徴とする、請求項3記載の予混合圧縮自着火式エンジンの運転方法。
 点火補助圧縮自着火運転及び無点火圧縮自着火運転の際に、機関回転数を維持するべくスロットルバルブの開度を調整するように構成し、
 スロットルバルブの開度が所定以上のときに、その開度に応じて、空気過剰率を低下させることを特徴とする、請求項1記載の予混合圧縮自着火式エンジンの運転方法。
 前記エンジンの排気通路に、排気ガスに含まれる有害成分を浄化する触媒を備えており、
 前記エンジンが低負荷のとき又は排気温度が所定よりも低いときに、機関回転数を維持しつつ排気温度を上昇させるべく、空気過剰率を低下させると共に混合気流量を減少させることを特徴とする、請求項1記載の予混合圧縮自着火式エンジンの運転方法。
Description:
予混合圧縮自着火式エンジンの 転方法

 本発明は予混合圧縮自着火式(HCCI:Homogeneou s Charge Compressed Ignition)エンジンの運転方法 関する。

 この種のエンジンとして、例えば、特許 献1には、空気と燃料とを予め混合した混合 気をシリンダ内の燃焼室に供給し、該混合気 を圧縮することによって自着火させる予混合 圧縮式自着火式エンジンが開示されている。 また、特許文献1には、圧縮自着火運転が困 なエンジンの始動時に火花点火運転(SI運転) 行うことが開示されている。

 この予混合圧縮式自着火式エンジンは、 わゆる火花点火式のエンジンと比較して、 い圧縮比で運転可能なため熱効率が高いと う利点がある。また、燃焼温度を低くする とができるので、NOxの生成を抑制すること 可能である。しかし、混合気を自然に着火 るものであるため、着火時期の制御が非常 困難である。

 混合気の圧縮自着火は、エンジンのトル と混合気の吸気温度に大きく左右される。 えば、図3は、エンジンのトルクと混合気の 吸気温度との関係で、火花点火運転や圧縮自 着火運転が可能な運転範囲を示すグラフであ り、Z1は、一般的な火花点火運転(SI運転)が可 能な運転範囲を示し、Z3は、圧縮自着火運転( HCCI運転)が可能な運転範囲を示している。

 図3において、火花点火運転によりエンジ ンを始動し、圧縮自着火運転に移行するには 、まず、矢印Y1で示すように吸気温度を高め 必要がある。そして、圧縮自着火運転可能 運転範囲Z3にまで吸気温度(T2)が高まると、 荷を投入し、トルク(出力)を上げることが きるが、トルクを上げるには、矢印Y2で示す ように、再び吸気温度を低下させなければ、 圧縮自着火運転を維持することができない。 また、最大の負荷をかけた後、負荷を遮断し てトルクを下げるには、再び吸気温度を上げ なければ圧縮自着火運転を維持することがで きない。

 したがって、吸気温度が高まった後、負 を投入するまで又は投入した負荷を完全に 断するまでに、吸気温度を低下又は上昇さ るための長い時間が必要であり、これが実 上問題となっている。

 ところで、従来の予混合圧縮自着火式エ ジンでは、スロットルバルブを全開にした 態で、負荷に応じて燃料制御弁(エア/フュ エルバルブ)を調整し、燃料濃度を変えるこ によって機関回転数を調整(ガバニング)し いた。そのため、図3の矢印Y3で示すような 気温度設定で負荷の投入・遮断を行う場合 燃料制御弁によるガバニングでは低負荷時 燃料濃度が薄くなり、自着火が生じないと う問題が生じる。一方、燃料制御弁を一定 し、スロットルバルブを調整することによ て機関回転数を調整する方法もあるが、こ 場合、負荷が高くなるとスロットルを全開 近まで開くことになり、スロットル開度を 更しても混合気量がほとんど変化せず、調 機能が十分に働かないという問題が生じる

 また、エンジンの排気管には、通常、排気 スに含まれる有害成分(大気汚染物質)を浄 するための排気触媒が設けられている。図12 (B)に示すように、排気ガスに含まれる大気汚 染物質(例えば、CO)は、負荷が高いときは、 媒を通過することによって適切に浄化され が、負荷が小さいときは、さほど浄化され いないことが分かる。これは図12(A)に示す通 り、負荷が小さいときには排気温度が低く、 大気汚染物質を浄化するための化学反応が進 行しないことが原因である。したがって、負 荷が小さいときにも排気温度を高く保ち、適 切に大気汚染物質を浄化することが重要であ る。

特開2005-69097号公報

 本発明は、上記の実情に鑑み、火花点火 転と圧縮自着火運転との間で、火花点火を 助的に用いた圧縮自着火運転を行うことに って、負荷の投入時間及び遮断時間を短縮 、十分に実用に耐えうる予混合圧縮自着火 エンジンの運転方法を提供することを目的 する。

 本発明は、燃料と空気とを予め混合した 合気を燃焼室内で圧縮自着火させて燃焼さ る、予混合圧縮自着火式エンジンの運転方 であって、混合気に火花点火を行う火花点 装置を備えており、混合気の吸気温度を調 装置によって略一定に維持するとともに、 荷の大きさに応じて、火花点火運転と、火 点火を補助的に用いた点火補助圧縮自着火 転と、火花点火を用いない無点火圧縮自着 運転とを切り換えて行うことを特徴とする

 本発明は、更に、次のような構成を備え のが好ましい。

 (1)点火補助圧縮自着火運転において、目 となる圧縮自着火時期を予め設定しておき また、目標圧縮自着火時期を実現できる火 点火時期を記録した火花点火時期マップを め備えておき、エンジン始動後、負荷が所 以下のときは、運転条件から火花点火時期 ップを参照して選択した火花点火時期で火 点火を行い、負荷が所定以上のときは、目 圧縮自着火時期と実際の圧縮自着火時期と 比較するとともに、該比較に基づいて実際 圧縮自着火時期が目標圧縮自着火時期とな ように火花点火時期を調整する。

 (2)エンジンを冷態から始動した直後に、 気過剰率を低くして火花点火運転を行う。

 (3)上記構成(2)において、エンジンを冷態 ら始動した直後に、エンジン出力が定格と るように機関回転数を定格回転数以上に上 させる。

 (4)点火補助圧縮自着火運転及び無点火圧 自着火運転の際に、機関回転数を維持する くスロットルバルブの開度を調整するよう 構成し、スロットルバルブの開度が所定以 のときに、その開度に応じて、空気過剰率 低下させる。

 (5)前記エンジンの排気通路に、排気ガス 含まれる有害成分を浄化する触媒を備えて り、前記エンジンが低負荷のとき又は排気 度が所定よりも低いときに、機関回転数を 持しつつ排気温度を上昇させるべく、空気 剰率を低下させると共に混合気流量を減少 せる。

 本発明によれば、火花点火を補助的に用 た点火補助圧縮自着火運転を利用すること よって、吸気温度を略一定にした状態で負 の大きさに応じて火花点火運転と圧縮自着 運転(無点火圧縮自着火運転)とをスムーズ 且つ短時間に移行することができる。また 点火補助圧縮自着火運転を行うことで、実 的に圧縮自着火による運転範囲を拡大する とができる。

 上記構成(1)によれば、負荷が所定以上の きは、実際の圧縮自着火時期と目標圧縮自 火時期との比較に基づいたフィードバック 御を行うことによって、適切な時期に火花 火時期を調整することができる。一方、負 が所定以下のときは、実際の圧縮自着火時 を検出し難く、上記のようなフィードバッ 制御を行うと火花点火時期がばらついてノ キング等を生じやすくなるため、火花点火 期マップから選択された時期に火花点火を うことで、より安定した火花点火を行うこ ができる。

 上記構成(2)によれば、エンジンを冷態か 暖態に素早く暖めることができる。したが て、エンジン冷却水等を利用して吸気温度 素早く高め、負荷を投入可能な状態にする とができる。

 上記構成(3)によれば、エンジンを冷態か 暖態により素早く暖めることができ、吸気 度を素早く高めて負荷を投入可能な状態に ることができる。

 上記構成(4)によれば、高負荷時等に、ス ットルバルブの開度が所定より大きくなっ も、該スロットルバルブによって機関回転 の調整(ガバニング)が可能となる。

 上記構成(5)によれば、低負荷運転の場合 ど、排気温度が低く、触媒の浄化性能が十 に発揮できないときに、機関回転数を維持 つつ排気温度を上昇させて触媒の浄化率を めることができる。

本発明の実施形態に係る予混合圧縮自 火式エンジンの概略断面図である。 予混合圧縮自着火エンジンの概略平面 である。 予混合圧縮自着火式エンジンのトルク 吸気温度との関係で、火花点火運転と、点 補助圧縮自着火運転と、無点火圧縮自着火 転とが可能な運転範囲をそれぞれ示すグラ である。 (A)は、トルクと吸気温度との関係を示 グラフ、(B)は、トルクと空気過剰率との関 を示すグラフである。 (A)は、エンジンを暖態から始動した場 の、時間の経過に伴う機関回転数の変化を すグラフ、(B)は、同じく時間の経過に伴う 気温度の変化を示すグラフ、(C)は、同じく 間の経過に伴う負荷投入時のトルクの変化 示すグラフである。 点火補助圧縮自着火運転を行う場合に いて、火花点火時期と、圧縮自着火時期と 関係を示すグラフである。 火花点火時期と吸気温度との関係で圧 自着火時期の変化を示すグラフである。 (A)は、エンジンを冷態から始動した場 の、時間の経過に伴うトルクの変動を示す ラフ、(B)は、同じく吸気温度の変化を示す ラフ、(C)は、同じく冷却水温度の変化を示 グラフ、(D)は、同じく潤滑油温度の変化を すグラフである。 (A)は、エンジンを冷態から始動した場 の、時間の経過に伴う出力に変化を示すグ フ、(B)は、同じく吸気温度の変化を示すグ フ、(C)は、同じく機関回転数の変化を示す ラフ、(D)は同じく軸トルクの変化を示すグ フである。 スロットルバルブの開度に対する、ト ルクの変化及び燃料制御弁の開度の変化を示 すグラフである。 (A)は、出力とスロットルバルブの開度 との関係を示すグラフ、(B)は、出力と燃料制 御弁との関係を示すグラフである。 (A)は、トルクと排気温度との関係を示 すグラフ、(B)は、トルクとCO排出量との関係 示すグラフである。 (A)は、トルクとスロットルバルブの開 度との関係を示すグラフ、(B)は、同じくトル クと燃料制御弁の開度との関係を示すグラフ である。 (A)は、トルクを排気温度の関係を示す グラフ、(B)は、同じくトルクと触媒通過後の CO排出量との関係を示すグラフである。

符号の説明

 11 予混合圧縮自着火エンジン
 13 シリンダ
 14 ピストン
 31 スロットルバルブ
 32 燃料制御弁
 35 調温装置
 45 コントローラ

〔予混合圧縮自着火式エンジンの概要〕
 図1は、本発明の実施形態に係る予混合圧縮 自着火式エンジン11の概略断面図、図2は、同 概略平面図である。本実施形態の予混合圧縮 自着火式エンジン11は、4気筒(No.1~No.4)の4サイ クルエンジンであり、シリンダブロック12、 リンダヘッド15、及びクランクケース18によ って構成されたエンジン本体11Aを備えている 。シリンダブロック12内には、複数(4つ)のシ ンダ13が設けられ、各シリンダ13内には、ピ ストン14が摺動自在に嵌合されている。シリ ダヘッド15には、吸気ポート16及び排気ポー ト17が設けられ、吸気ポート16及び排気ポー 17は、それぞれ吸気弁19及び排気弁20によっ 開閉される。吸気弁19及び排気弁20は、動弁 置21,22によって駆動される。

 吸気ポート16には吸気管24が接続され、排 気ポート17には排気マニホールド25を有する 気管26が接続されている。吸気管24は、図2に 示すように、主吸気管27と、該主吸気管27に 続された吸気サージタンク28と、該吸気サー ジタンク28から各シリンダ13に接続された複 の分岐吸気管29とを有している。

 図1に示すように、主吸気管27には、スロ トルバルブ31と、ミキサ33と、加熱装置(調 装置)35とが設けられている。主吸気管27に導 入された空気は、スロットルバルブ31によっ 流量が調節され、燃料制御弁(A/Fバルブ)32を 通じて供給された燃料とミキサ33で混合され 。燃料制御弁32では、燃料と空気との比率 すなわち空気過剰率が設定される。

 空気と燃料との混合気は、加熱装置35に って加熱されて吸気サージタンク28に流入し 、各分岐吸気管29から吸気ポート16を経て各 リンダ13内の燃焼室に吸気される(吸気行程) 吸気行程で燃焼室内に供給された混合気は 圧縮行程で圧縮され、ピストン14が上死点 近にきたときに自着火し、これによりピス ン14が押し下げられる(膨張行程)。燃焼ガス 、排気行程で排気ポート17から排気管26を介 して排出される。

 加熱装置35は、図2に示すように、2経路に 分岐した主吸気管27の一方の経路38に設けら た熱交換器40を備えている。熱交換器40は、 ンジン冷却水を熱交換媒体とするものであ 、シリンダブロック12及びシリンダヘッド15 (図1)を循環した冷却水が流路41を介して熱交 器40に供給されると共に、流路42を介して冷 却器(図示略)に戻されるようになっている。 吸気管27の双方の経路38,39には、それぞれ調 量弁43,44が設けられている。

 主吸気管27の他方の経路39には熱交換器40 設けられておらず、この経路39を通る混合 は加熱されることなくそのまま吸気サージ ンク28に導入される。調量弁43,44は、主吸気 27の各経路38,39への混合気の流入量を調整( 止を含む)するものであり、例えば、一方の 量弁43のみを開いて経路38のみに混合気を通 すことで、急速に混合気を加熱することがで き、他方の調量弁44のみを開いて経路39のみ 混合気を通すことで、混合気を加熱しない うにする(相対的に冷却する)ことができる。 また、双方の調量弁43,44を開くことによって 加熱された混合気と加熱されていない混合 とを混合して、細かな温度制御を行うこと できるようになっている。

 なお、加熱装置35の熱交換媒体としては 潤滑油や排気ガスを利用することができる また、加熱装置35として、電熱ヒータを用い ることもできる。さらに、上記のように主吸 気管27を分岐せずに1経路として、加熱装置35 設けることもできる。

 図1に示すように、エンジン11は、コント ーラ45を備えており、該コントローラ45によ って、スロットルバルブ31、燃料制御弁32、 熱装置35等が制御されるようになっている。 また、エンジン11には、冷却水温度センサ47 吸気温度センサ48、気筒内圧力センサ49、機 回転数センサ50、トルクセンサ51、空気過剰 率センサ52等が設けられており、各種センサ 検出信号は、前記コントローラ45に入力さ るようになっている。

 なお、本実施形態では、気筒内圧センサ4 9によって各シリンダ13内の圧力を検出し、そ の検出値を解析して燃焼質量割合を求めるよ うになっている。また、燃焼質量割合が50%と なったときを圧縮自着火時期とするようにな っている。

 エンジン11のシリンダヘッド15には点火プ ラグ37が設けられている。点火プラグ37は、 2に示すように、ハイテンションコード54を してイグニッションコイル55に接続されてお り、点火プラグ37、ハイテンションコード54 びイグニッションコイル55によって火花点火 装置53が構成されている。火花点火装置53の グニッションコイル55への通電は、コントロ ーラ45によって動作制御される。

〔予混合圧縮自着火式エンジンの運転方法〕
 本来、予混合圧縮自着火式エンジン11は、 花点火を行うことなく混合気を圧縮自着火(H CCI)させて運転を行うものである。しかし、 実施形態の予混合圧縮自着火エンジン11では 、エンジン11の始動時と、エンジン11を始動 たあと圧縮自着火運転を行うまでの過渡期 運転に火花点火を用いている。

 ここで、エンジン始動時の運転は、火花 火によって混合気を燃焼させる、所謂火花 火運転(SI運転)である。過渡期の運転は、火 花点火運転ではなく、補助的に火花点火装置 53を用いた圧縮自着火運転となっている。本 細書では、この過渡期の運転を点火補助圧 自着火運転と称している、また、火花点火 用いない本来の圧縮自着火運転を、無点火 縮自着火運転と称している。

 点火補助圧縮自着火運転は、無点火圧縮 着火運転が困難な運転条件で、火花点火に って圧縮自着火を誘発する運転であり、火 点火を行うことにより、その火花や点火後 伝播火炎により圧縮状態にある混合気に自 火を行わせる運転である。

 図3は、予混合圧縮自着火式エンジン11の ルクと吸気温度との関係で、火花点火運転 、点火補助圧縮自着火運転と、無点火圧縮 着火運転とが可能な運転範囲をそれぞれ示 グラフである。Z1は、火花点火運転が可能 範囲を示し、Z2は点火補助圧縮自着火運転が 可能な範囲を示し、Z3は無点火圧縮自着火運 が可能な範囲を示している。そして、本実 形態は、吸気温度がある程度上昇するまで 、火花点火運転(Z1)を行い、その後、吸気温 度が所定T1にまで上昇すると、矢印Y3で示す うに、吸気温度を維持しつつ点火補助圧縮 着火運転(Z2)に移行し、その後無点火圧縮自 火運転(Z3)を行うようになっている。以下、 詳細に説明する。

 エンジン11の始動時は冷えた状態(冷態)に あり、当然に吸気温度も低くなっている。し たがって、点火補助圧縮自着火運転(Z2)も無 火圧縮自着火運転(Z1)も困難な状態である。 たがって、範囲Z1に示すように、混合気を 花点火によって燃焼させる火花点火運転を う。この際、燃料制御弁32(図1)により空気過 剰率を低く(燃料リッチに)設定しておく。火 点火運転を行うと次第にエンジン冷却水の 度が上昇するため、加熱装置35(図2)によっ 吸気温度を上昇させることが可能となる。

 吸気温度が、無点火圧縮自着火運転(Z3)に よって最大のトルクTr1を発生させることがで きる温度T1にまで達すると、加熱装置35によ て吸気温度をT1に維持する。そして、負荷を 投入し、火花点火運転(Z1)から点火補助圧縮 着火運転(Z2)に移行する。この際、燃料制御 32によって空気過剰率を徐々に上昇させる( 料リーンにする)。その後、最大トルクがTr1 に近づき、範囲Z3に入ったときに火花点火を め、無点火圧縮自着火運転に移行するよう なっている。

 図4(A)は、トルクと吸気温度との関係を示 すグラフ、(B)は、トルクと空気過剰率との関 係を示すグラフである。本発明を実線で示し 、従来技術(点火補助圧縮自着火運転を行わ 、図3の矢印Y2の条件で無点火圧縮自着火運 を行う場合)を一点鎖線で示している。

 本実施形態は、吸気温度をT1に維持した 態で、空気過剰率を徐々に上げていき、火 点火運転から点火補助圧縮自着火運転を経 無点火圧縮自着火運転に移行している。従 技術では、吸気温度をT2からT1へ次第に下げ がら、スロットルバルブを全開にした状態 空気過剰率を徐々に下げて無点火圧縮自着 運転を行っている。

 したがって、本実施形態では、従来技術 ように吸気温度をT2とT1との間で変化させて おらず、吸気温度変化に必要な時間を要する ことなくトルクを増大することができるよう になっている。

 トルクが最大となった状態から負荷を遮 し、トルクを下げる場合は、図3のY3の逆の 過で運転を行う。すなわち、無点火圧縮自 火運転(Z3)から点火補助圧縮自着火運転(Z2) 経て火花点火運転(Z1)に移行する。この場合 、吸気温度を略一定にすることができるの 、迅速に負荷を遮断することができる。

 図5(A)は、実験においてエンジン11を暖ま た状態(暖態)から始動した場合の時間の経 に伴う機関回転数の変化を示し、図5(B)は、 じく吸気温度の変化を示し、図5(C)は、同じ く負荷投入時のトルクの変化を示している。 図5(A)及び(B)において、機関回転数は、エン ン始動から短時間で定格付近にまで上昇し 吸気温度も、ほぼ同時期からT1の状態に維持 されている。図5(C)において、トルクは、機 回転数及び吸気温度が略一定になったとき ら短時間で上昇させることが可能となって る。また、負荷を遮断し、トルクが0(アイド リング状態)になるまでにかかる時間も短く ることが可能となっている。

 なお、上記において、点火補助圧縮自着 運転や無点火圧縮自着火運転を行う際には 燃料制御弁32の開度を一定にしておくこと 可能である。

(点火補助圧縮自着火運転における圧縮自着 時期の調整)
 図6は、点火補助圧縮自着火運転を行う場合 において、火花点火時期と、圧縮自着火時期 との関係を示すグラフである。図6から、火 点火の時期が進角側から遅角側へ遅くなっ いくと、それに伴って圧縮自着火時期も進 側から遅角側へ遅くなっていることが分か 。

 そして、本実施形態では、火花点火時期 調整することによって、圧縮自着火時期を 整するようになっている。

 さらに、図6からは、火花点火時期が、あ る時期t1よりも進角側になると、それ以上進 させても圧縮自着火時期は進角しなくなっ いることが分かる。逆に、火花点火時期が る時期t2よりも遅角側になると、それ以上 角させても、圧縮自着火時期がほとんど遅 しなくなっていることが分かる。これは、 に、自然に圧縮自着火が始まっているから 考えられる。

 本実施形態では、このような特性にも着 し、上記t1を火花点火の進角側の限界時期( 角限界)に設定するとともにt2を遅角側の限 時期(遅角限界)に設定し、両限界時期t1,t2の 間に火花点火を行うように火花点火装置53(図 2)を動作制御するようになっている。これに り、火花点火を行うことによって圧縮自着 を確実に誘発することが可能となる。

 火花点火時期の調整は、次の方法で、図2 に示した火花点火装置53のイグニッションコ ル55への通電をコントローラ45で制御するこ とにより行うことができる。

 まず、例えば、熱効率や、排気ガスに含 れる大気汚染物質(有害成分)の排出量等の ランスを取ることが可能な、目標圧縮自着 時期を予め設定しておく。実際の自着火時 は、前述の如く気筒内圧センサ49(図1)の検出 値から求める。そして、目標圧縮自着火時期 と実際の圧縮自着火時期とを比較し、この比 較に基づいて、実際の圧縮自着火時期が目標 圧縮自着火時期となるように、火花点火時期 を調整する。すなわち、目標圧縮自着火時期 と実際の圧縮自着火時期との比較から、火花 点火時期をフィードバック制御するようにな っている。

 図7のグラフは、火花点火時期と吸気温度 との関係で圧縮自着火時期の変化を示してい る。このグラフでは、目標圧縮自着火時期( えば、クランク角がTDC+6°の時期)をWで示し ある。このグラフによれば、例えば、吸気 度がTaのとき、火花点火時期をtaに調整すれ 、実際の圧縮自着火時期を目標圧縮自着火 期に調整できることが分かる。

 大気汚染物質であるNOxは着火時期が早い 増大する傾向にあり、THC(未燃炭化水素)やCO (一酸化炭素)は、着火時期が遅いと増大する 向にあるので、目標圧縮自着火時期は、例 ば、これらの排出がバランス良く低減させ ことができる時期に設定することができる

 また、本実施形態のような多気筒エンジ 11の場合、各気筒の放熱性の違いに起因す 圧縮端温度の違いにより、圧縮自着火時期 異なる。したがって、各気筒の火花点火時 を調整することによって、圧縮自着火時期 揃えることも可能になる。圧縮自着火時期 揃えると、サイクル効率及び熱効率を向上 ることができる。

(圧縮自着火時期調整の例外)
 図3に示すように、矢印Y3において、火花点 運転(Z1)から点火補助圧縮自着火運転(Z2)に 行してすぐの状態であって、トルクが小さ とき(負荷が小さいとき)は、ノイズの割合が 高くなるために気筒内圧センサ49(図1)による 力の検出が困難となる。したがって、その 出値から燃焼質量割合(すなわち、圧縮自着 火時期)を正確に求めることができない。そ ため、上記のようなフィードバック制御を うと、かえって運転の安定性が阻害される 能性がある。特に、負荷を投入し始めたと に、火花点火時期が進角限界t1にまで進み、 ノッキングを生じやすい状態となる。

 そのため、負荷が所定以下の場合(すなわ ち、本実施形態では、図4(B)の如く空気過剰 が所定以下のとき)には、上記フィードバッ 制御を行わず、次のようなマップを用いた 画制御を行うことによって、運転の安定性 確保している。

 すなわち、吸気温度等の運転条件との関 で目標圧縮自着火時期を実現できる火花点 時期をマッピングした、火花点火時期マッ を作成し、該火花点火時期マップをコント ーラ45のメモリー(図示略)に記憶しておく。 そして、当該運転状況を検出するとともに、 火花点火時期マップを参照してその検出値に 対応する火花点火時期を選定し、該火花点火 時期に火花点火が行われるように、火花点火 装置53を制御する。

 このような計画制御を行うことによって 低負荷でも安定した圧縮自着火時期の制御( 火花点火時期の制御)を行うことができる。

(冷態からの暖機方法)
 上記では、図3及び図4において、吸気温度 T1に上昇させた状態から負荷を投入、遮断す るまでの時間を短縮できることについて説明 した。次に、エンジン11を冷えた状態(冷態) ら火花点火運転により始動し、吸気温度がT1 に達するまでの時間、或いは、点火補助圧縮 自着火運転が可能になるまでの時間を短縮す ることについて説明する。

 図8(A)は、エンジン11を冷態から始動した 合の、時間の経過に伴うトルクの変化を示 、図8(B)は、同じく吸気温度の変化を示し、 図8(C)は、同じく冷却水温度の変化を示し、 8(D)は、同じく潤滑油温度の変化を示してい 。また、比較として従来技術の場合も同時 示している。

 図8(A)に示すように、従来技術は、始動直 後から負荷をかけないで(トルクを0にして)運 転を行っている。それにより、図8(C)、(D)に すように、冷却水温度や潤滑油温度が徐々 上昇している。冷却水温度の上昇に伴い、 8(B)に示すように、加熱装置35(図2)により吸 温度も上昇している。そして、図8(A)に示す うに、始動からしばらくたってから負荷を け、トルクを最大にすることができるよう なっている。これに対して、本発明では、 ンジン始動直後から負荷を投入し、最大ト クよりも小さい(図例では約半分の)トルク 発生した状態で運転している。これによっ 、図8(B)~(D)に示すように、従来よりも早期に 吸気温度、冷却水温度及び潤滑油温度が上昇 していることが分かる。そして、図8(A)に示 ように、従来よりも早期に最大の負荷をか 得る状態になっている。

 本実施形態では、エンジン始動直後から 荷を投入するため、燃料制御弁32(図1)の開 を調整して空気過剰率を小さく(燃料リッチ )設定し、それに応じて、ノッキングが生じ ないようにスロットルバルブ31(図1)の開度を さくなるように調整している。負荷の大き は、ノッキングが生じることがない最大の 荷としている。その後、負荷をかけた運転 態を維持するために、時間の経過に伴い燃 制御弁及びスロットルバルブの開度を適宜 整しつつ、空気過剰率を圧縮自着火が可能 値まで高めていくようになっている。

 さらに、本実施形態では、図9に示すよう にして吸気温度を更に早期に高めることを可 能にしている。図9(A)は、エンジン11を冷態か ら始動した場合の、時間の経過に伴う出力の 変化を示し、図9(B)は、同じく吸気温度の変 を示し、図9(C)は、同じく機関回転数の変化 示し、図9(D)は同じく軸トルクの変化を示し ている。実線は本発明を示し、点線は従来技 術を示す。

 本発明の場合、エンジン始動直後から、 トルクに対応して機関回転数を定格回転数 上に上昇し、出力を定格出力まで上昇させ いる。これによって、吸気温度が早期に上 していることが分かる。また、エンジン11 より発電機を駆動する場合には、機関回転 が定格よりも上昇することによって周波数 変動しないように、インバーターによって 力制御を行う。

(高負荷時の機関回転数の調整)
 点火補助圧縮自着火運転や無点火圧縮自着 運転を行う場合、燃料制御弁32(図1)の開度 一定にして負荷を高めていき、スロットル ルブ31(図1)の開度を大きくすることによって 機関回転数を一定に調整する(ガバニング)す ことが可能である。図10は、この場合の、 ロットルバルブ31の開度に対するトルク及び 燃料制御弁32の開度の変化を示すグラフであ 、本発明を実線で示し、従来技術を2点鎖線 で示している。同図において、従来技術では 、高負荷域でスロットルバルブ31を開いても ルク(出力)がさほど上昇しなくなっている とが分かる。そのため、高い負荷を投入す ことができなくなっている。

 これに対して、本発明では、スロットル ルブ31の開度が所定以上に高くなると、燃 制御弁32を一定の状態から開く方向に調整す るようになっている。これによってトルクを 増大することができるようになっている。

 この場合、燃料制御弁32は、次のように 御される。すなわち、スロットルバルブ31が 所定以上に開いたときに、その開度の増量に 応じた燃料制御弁32の開度の増量を予め設定 たマップを作成し、該マップをコントロー 45のメモリーに記憶しておく。そして、ス ットルバルブ31が所定以上開いたときに、そ の増量からマップを参照して燃料制御弁32の 度の増量を選択し、コントローラ45によっ 燃料制御弁32を開くようになっている。

 図11(A)は、上記の場合における、出力と ロットルバルブ31の開度との関係を示すグラ フ、図11(B)は、同じく出力と燃料制御弁32の 度との関係を示すグラフである。

 図11(A)(B)からも、スロットルバルブ31が所 定以上に開くと、燃料制御弁32が開き、出力 上昇していることが分かる。

 (排気ガス触媒の浄化率向上)
 図1に示すように、排気管26には、排気ガス に含まれる大気汚染物質を浄化する排気触 60が設けられている。一般に、図12(A)に示す ように、排気温度はトルクが上昇するに従っ て上昇する。一方、排気ガスに含まれるCO排 量は、図12(B)に示すように、触媒通過前は ルクの増大に従って徐々に減少し、触媒通 後は、高トルク域では0近くにまで低減され いるものの、低トルク域、すなわち、排気 度が低い領域ではさほど低減されない。

 このような状況に鑑み、本実施形態では 低トルク域で排気温度を上昇することによ 、触媒による大気汚染物質の浄化を促進す ようになっている。具体的には、機関回転 のガバニング方法に応じて、以下の方法を いる。

(1)燃料制御弁32(図1)によって機関回転数を調 (ガバニング)する場合
 図1に示すように、排気温度を検出する排気 温度センサ61を排気管26に設けておき、低負 のため、排気温度センサ61の検出値が予め設 定された限界温度を下回った場合に、スロッ トルバルブ31を閉じる方向に調整する。スロ トルバルブ31が閉じる方向に調整されると 質的な燃料供給量が減少することになるが その減少を補って機関回転数を維持するよ に燃料制御弁32は開く方向に調整される。そ して、燃料制御弁32が開く方向に調整される 空気過剰率が小さくなるので、排気温度が 昇する。したがって、低負荷であっても触 による大気汚染物質の浄化率を高めること できる。

 図13(A)は、上記(1)の制御を行った場合の ルクとスロットルバルブの開度との関係を すグラフ、図13(B)は、同じくトルクと燃料制 御弁32の開度との関係を示すグラフである。 た、図14(A)は、上記制御を行った場合のト クと排気温度の関係を示すグラフであり、 14(B)は、同じくトルクと触媒通過後のCO排出 との関係を示すグラフである。以上のグラ から、上記各制御方法が有効であることが かる。

(2)スロットルバルブ31によって機関回転数を 整(ガバニング)する場合
 低負荷のため、排気温度センサ61の検出値 予め設定された限界温度を下回る場合に、 料制御弁32を開く方向に調整する。燃料制御 弁32が開く方向に調整されると、空気過剰率 小さくなるので、排気温度が上昇する。こ によって、触媒による大気汚染物質の浄化 を高めることができる。また、空気過剰率 小さくなっても実質的な燃料供給量が増大 ないように、スロットルバルブ31は閉じる 向に調整され、機関回転数は維持される。

 上記(2)の制御を行うことによって、図14 示すような結果を得ることができる。

 本発明は、上記実施形態に限定されるこ なく適宜設計変更可能である。例えば、上 実施形態では4気筒の予混合圧縮自着火式エ ンジン11を例示したが、気筒数は何ら限定さ るものではない。