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Patent Searching and Data


Title:
OPTICAL FILM, POLARIZING PLATE, LIQUID CRYSTAL DISPLAY AND ULTRAVIOLET ABSORBING POLYMER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126700
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an optical film which is characterized by containing an ultraviolet absorbing polymer which is derived from at least two monomers, namely an ethylenically unsaturated monomer having a partial structure represented by the general formula (A) below in a molecule, and a monomer represented by the general formula (B) below.

Inventors:
SUZUKI TAKAYUKI (JP)
NAKAHARA ISSEI (JP)
SUZUKI TAKATUGU (JP)
IWAMOTO RYOHEI (JP)
KAWABE SATOMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056090
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
March 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA OPTO INC (JP)
SUZUKI TAKAYUKI (JP)
NAKAHARA ISSEI (JP)
SUZUKI TAKATUGU (JP)
IWAMOTO RYOHEI (JP)
KAWABE SATOMI (JP)
International Classes:
C08F220/36; C08F220/58; C08F220/60; C08F226/06; C08J5/18; C08L1/08; G02B5/30; G02F1/1335; B29C48/08
Foreign References:
JP2007041280A2007-02-15
JP2003113317A2003-04-18
JPH10279860A1998-10-20
JPS53107835A1978-09-20
JPH05178870A1993-07-20
JP2000355656A2000-12-26
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Claims:
分子内に下記一般式(A)で表される部分構造を有するエチレン性不飽和モノマーと下記一般式(B)で表されるモノマーの少なくとも2種以上のモノマーから誘導される紫外線吸収性ポリマーを含有することを特徴とする光学フィルム。

(式中、R 1 は、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、mは0~8の整数を表し、mが2~8のときR 1 は同じでも、異なっていてもよい。
R 2 は、エチレン性不飽和結合を部分構造として有する基を表し、X 1 は、酸素原子または硫黄原子を表す。)

(式中、R 4 ~R 11 は各々水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。但し、R 4 ~R 11 で表される基のいずれか1つはエチレン性不飽和結合を部分構造として有する。)
分子内に下記一般式(A)で表される部分構造を有するエチレン性不飽和モノマー、下記一般式(B)で表されるモノマー、及び下記一般式(C)で表されるモノマーの少なくとも3種以上から誘導される紫外線吸収性ポリマーを含有することを特徴とする光学フィルム。

(式中、R 1 は、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、mは0~8の整数を表し、mが2~8のときR 1 は同じでも、異なっていてもよい。
R 2 は、エチレン性不飽和結合を部分構造として有する基を表し、X 1 は、酸素原子または硫黄原子を表す。)

(式中、R 4 ~R 11 は各々水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。但し、R 4 ~R 11 で表される基のいずれか1つはエチレン性不飽和結合を部分構造として有する。)

(式中、R 12 は水素原子、またはアルキル基を表し、R 13 は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)
前記一般式(B)で表されるがモノマーが、少なくとも下記一般式(D)で表されるモノマー、及び下記一般式(E)で表されるモノマーであることを特徴とする請求の範囲第1または2項に記載の光学フィルム。

(式中、各々R 14 ~R 18 は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、pは0~3の整数を表し、R 19 はエチレン性不飽和結合を部分構造として有する基を表す。)

(式中、R 20 ~R 24 は各々水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、qは0~4の整数を表す。但し、R 20 ~R 23 で表される基のいずれか1つはエチレン性不飽和結合を部分構造として有する。)
前記分子内に前記一般式(A)で表される部分構造を有するエチレン性不飽和モノマーがN-アクリロイルモルホリンであることを特徴とする請求の範囲第1~3項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
前記分子内に前記一般式(A)で表される部分構造を有するエチレン性不飽和モノマーの組成比(質量比)がポリマー全体の65%以下であることを特徴とする請求の範囲第1~4項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
前記紫外線吸収性ポリマーの重量平均分子量が1000以上70000以下であることを特徴とする請求の範囲第1~5項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
前記光学フィルムがセルロースエステルを含有することを特徴とする請求の範囲第1~6項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
前記光学フィルムが炭素ラジカル捕捉剤、フェノール系化合物、またはリン系化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求の範囲第1~7項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
前記セルロースエステルが下記式(1)~(3)のアシル基置換度を満足するセルロースエステルであることを特徴とする請求の範囲第7または8項に記載の光学フィルム。
式(1) 2.4≦A+B<3.0
式(2) 0≦A≦2.4
式(3) 0.1≦B<3.0
(式中、Aはアセチル基の置換度、Bは炭素数3~5のアシル基の置換度の総和を表す。)
前記炭素ラジカル捕捉剤が、下記一般式(1)で表わされる化合物であることを特徴とする請求の範囲第8または9項に記載の光学フィルム。

(式中、R 31 は水素原子または炭素数1~10のアルキル基を表し、R 32 およびR 33 は、それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基を表す。)
前記炭素ラジカル捕捉剤が、下記一般式(2)で表わされる化合物であることを特徴とする請求の範囲第8または9項に記載の光学フィルム。

(式中、R 42 ~R 46 はおのおの互いに独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、nは1または2を表す。nが1であるとき、R 41 は置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、nが2であるとき、R 41 は2価の連結基を表す。)
前記リン系化合物が下記一般式(3)または(4)で表されるホスホナイト化合物であることを特徴とする請求の範囲第8~11項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
 一般式(3)  R 51 P(OR 52 ) 2
(式中、R 51 は置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよいチエニル基、R 52 は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよいチエニル基を表す。複数のR 52 は互いに結合して環を形成してもよい。)
 一般式(4)  (R 54 O) 2 PR 53 -R 53 P(OR 54 ) 2
(式中、R 53 は置換基を有していてもよいフェニレン基、または置換基を有していてもよいチエニレン基、R 54 は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよいチエニル基を表す。複数のR 54 は互いに結合して環を形成してもよい。)
前記一般式(4)のR 54 が1つのフェニル基に対し炭素数の合計が9~14の置換基を有する置換フェニル基であることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の光学フィルム。
(但し、1つのフェニル基に対し炭素数の合計が9~14の範囲内で複数の置換基を有してもよい。)
前記一般式(4)で表されるホスホナイト化合物がテトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイトであることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の光学フィルム。
請求の範囲第1~14項のいずれか1項に記載の光学フィルムを用いることを特徴とする偏光板。
請求の範囲第1~14項のいずれか1項に記載の光学フィルムまたは請求の範囲第15項に記載の偏光板を用いることを特徴とする液晶表示装置。
分子内に下記一般式(A)で表される部分構造を有するエチレン性不飽和モノマー、下記一般式(B)で表されるモノマー、及び下記一般式(C)で表されるモノマーの少なくとも3種以上から誘導されることを特徴とする紫外線吸収性ポリマー。

(式中、R 1 は、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表し、mは0~8の整数を表し、mが2~8のときR 1 は同じでも、異なっていてもよい。
R 2 は、エチレン性不飽和結合を部分構造として有する基を表し、X 1 は、酸素原子または硫黄原子を表す。)

(式中、R 4 ~R 11 は各々水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。但し、R 4 ~R 11 で表される基のいずれか1つはエチレン性不飽和結合を部分構造として有する。)

(式中、R 12 は水素原子、またはアルキル基を表し、R 13 は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)
前記一般式(B)で表されるがモノマーが、少なくとも前記一般式(D)で表されるモノマー、及び前記一般式(E)で表されるモノマーであることを特徴とする請求の範囲第17項に記載の紫外線吸収性ポリマー。
前記一般式(A)で表される部分構造を有するエチレン性不飽和モノマーがN-アクリロイルモルホリンであることを特徴とする請求の範囲第17または18項に記載の紫外線吸収性ポリマー。
Description:
光学フィルム、偏光板、液晶表 装置、及び紫外線吸収性ポリマー

 本発明は、光学フィルム、偏光板、液晶 示装置、及び紫外線吸収性ポリマーに関し より詳しくは該紫外線吸収性ポリマーを含 光学フィルム、それを用いた偏光板、液晶 示装置に関する。

 液晶表示装置(LCD)は低電圧、低消費電力 IC回路への直結が可能であり、そして特に薄 型化が可能であることから、ワードプロセッ サやパーソナルコンピュータ、テレビ、モニ ター、携帯情報端末等の表示装置として広く 採用されている。このLCDの基本的な構成は、 例えば、液晶セルの両側に偏光板を設けたも のである。

 ところで偏光板は一定方向の偏波面の光 けを通すものである。従って、LCDは電界に る液晶の配向の変化を可視化させる重要な 割を担っている。即ち、偏光板の性能によ てLCDの性能が大きく左右される。

 偏光板の偏光子はヨウ素等を高分子フィ ムに吸着・延伸したものである。即ち、二 性物質(ヨウ素)を含むHインキと呼ばれる溶 を、ポリビニルアルコールのフィルムに湿 吸着させた後、このフィルムを1軸延伸する ことにより、二色性物質を一方向に配向させ たものである。偏光板の保護フィルムとして は、セルロースエステル、ポリカーボネート 、ポリオレフィン系樹脂が一般に用いられて おり、中でも、セルロースエステル系樹脂を 用いたフィルムは、光学的、物理的に偏光板 用の保護フィルムとして性能が優れているた め圧倒的に多く使用されている。

 上述の技術分野で用いられている光学フ ルムは、紫外線を含む光に晒されると分解 促進され強度低下を引き起こすと同時に、 色により透明度が低下するという問題を抱 ていた。この為、高い透明性の求められる 学フィルムでは、予めベンゾトリアゾール 化合物或いはベンゾフェノン系化合物、シ ノアクリレート系化合物、サリチル酸系化 物の紫外線吸収剤を混入させることで紫外 による劣化を防止していた。しかしながら これら従来の紫外線吸収剤の多くは溶解性 低い為に、ブリードアウトが生じ易い、フ ルム上で析出し易い、ヘイズが上昇し透明 が低下する、更には、加熱加工時の着色、 化、蒸散により添加量が減少し紫外線吸収 が低下するとともに、製造工程が汚染され しまう等、様々な問題を有していた。

 紫外線吸収剤に重合性基を導入し、単独 合もしくは共重合を行って、紫外線吸収性 リマーとすることで、それらの欠点を解消 ようとする試みが、開示されている(例えば 、特許文献1、2、3参照)。それら記載された 外線吸収性ポリマーは、確かにブリードア ト及び析出防止、蒸散防止等にはある程度 果があったが、樹脂との相溶性は十分では く、十分な透明度が得られない、或いはフ ルム自身が黄色く着色してしまう、或いは 期間保存した場合、紫外線吸収能力が低下 るなどの問題を抱えており、光学フィルム して実用化するのはまだ課題があった。

 また、セルロースエステルフィルムの製 方法においては、現在のフィルム製造方法 ハロゲン系の溶媒を用いた流延製膜法によ 製造方法であるため、溶媒回収に要する費 は非常に大きい負担となっている。更に、 ロゲン系溶剤は環境負荷が大きいという課 も有している。近年、例えば、特許文献4に は偏光板保護フィルム用として、セルロース エステルを溶融製膜する試みが行われている が、セルロースエステルは溶融時の粘度が非 常に高い高分子であり、かつガラス転移温度 も高いため、溶融してダイから押出し、冷ド ラムまたは冷却ベルト上にキャスティングし てもレベリングし難く、押出し後に短時間で 固化するため、得られるフィルムの物性特性 である平面性や寸法安定性、さらに光学特性 として重要である複屈折均一性、特にフィル ム幅手方向での複屈折均一性が溶液流延フィ ルムよりも低いといった大きな課題を有して いることが分かっている。また溶融混錬でき る素材の組合せがこれまでの溶媒を用いた流 延製膜法とは異なり、溶融混錬時に白濁する といった新たな課題が判明した。これらの欠 点は特に15インチ以上の大型の液晶表示装置 組み込んだ場合、コントラスト低下や、表 むら発生の原因として、改良が望まれてい 。また溶融製膜は150℃を超える高温プロセ であるため、製膜時の着色といったセルロ スエステルフィルムにとって別の大きな課 も存在している。特に幅手方向の端部の着 についての改良が難しいのが現状であった 広幅のセルロースエステルフィルムを製膜 る際、両端部に付与するナーリング加工部 、広幅原反を規定の幅にスリッティングす 際に生じる端部(耳部ともいう)を返材とし 有効利用する際に、端部の着色が著しい場 には返材としての利用もできず、廃棄せざ を得ないため、端部の着色は特に改良が求 られていた。

 一方、セルロースエステルの溶融製膜に ける熱劣化を抑制するためにフェノール系 化防止剤、チオエーテル系化合物、リン系 合物等を含有させる技術が開示されている( 例えば、特許文献5参照)。

 しかし、いずれの公知技術をもってしても 法安定性、複屈折均一性、着色、セルロー エステル樹脂との混錬性についての改良は 分ではないのが現状であった。

特開平6-73367号公報

特開2003-113317号公報

特開2006-113175号公報

特開2000-352620号公報

特開2006-241428号公報

 本発明の目的は光学フィルム用途として十 な紫外部の吸収特性を有し、寸法安定性に れ、幅手方向のリターデーションのばらつ が小さい等の優れた光学特性を有し、かつ ィルム幅手方向の端部の着色が少ない光学 ィルム、該光学フィルムを使用した偏光板 び液晶表示装置、更には樹脂との混錬性に れた紫外線吸収性ポリマーを提供すること ある。
上記目的を達成するための本発明の態様の1 は、分子内に下記一般式(A)で表される部分 造を有するエチレン性不飽和モノマーと下 一般式(B)で表されるモノマーの少なくとも2 以上のモノマーから誘導される紫外線吸収 ポリマーを含有することを特徴とする光学 ィルムにある:

(式中、R 1 は、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、置 換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を 有していてもよい芳香族基、または置換基を 有していてもよい複素環基を表し、mは0~8の 数を表し、mが2~8のときR 1 は同じでも、異なっていてもよい。
R 2 は、エチレン性不飽和結合を部分構造として 有する基を表し、X 1 は、酸素原子または硫黄原子を表す。)

(式中、R 4 ~R 11 は各々水素原子、ハロゲン原子、置換基を有 していてもよい脂肪族基、置換基を有してい てもよい芳香族基、または置換基を有してい てもよい複素環基を表す。但し、R 4 ~R 11 で表される基のいずれか1つはエチレン性不 和結合を部分構造として有する。)

本発明の光学フィルムの製造方法を実 する装置の1つの実施形態を示す概略フロー シートである。 図1の製造装置の要部拡大フローシート である。 図3(a)は流延ダイの要部の一例を示す外 観図、図3(b)は流延ダイの要部の一例を示す 面図である。 挟圧回転体の第1の例の断面図である。 挟圧回転体の第2の例の回転軸に垂直な 平面での断面図である。 挟圧回転体の第2の例の回転軸を含む平 面での断面図である。 液晶表示装置の構成図の概略を示す分 斜視図である。

 本発明の上記課題は以下の構成により達 される。

 1.分子内に下記一般式(A)で表される部分 造を有するエチレン性不飽和モノマーと下 一般式(B)で表されるモノマーの少なくとも2 以上のモノマーから誘導される紫外線吸収 ポリマーを含有することを特徴とする光学 ィルム。

(式中、R 1 は、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、置 換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を 有していてもよい芳香族基、または置換基を 有していてもよい複素環基を表し、mは0~8の 数を表し、mが2~8のときR 1 は同じでも、異なっていてもよい。
R 2 は、エチレン性不飽和結合を部分構造として 有する基を表し、X 1 は、酸素原子または硫黄原子を表す。)

(式中、R 4 ~R 11 は各々水素原子、ハロゲン原子、置換基を有 していてもよい脂肪族基、置換基を有してい てもよい芳香族基、または置換基を有してい てもよい複素環基を表す。但し、R 4 ~R 11 で表される基のいずれか1つはエチレン性不 和結合を部分構造として有する。)
 2.分子内に前記一般式(A)で表される部分構 を有するエチレン性不飽和モノマー、前記 般式(B)で表されるモノマー、及び下記一般 (C)で表されるモノマーの少なくとも3種以上 ら誘導される紫外線吸収性ポリマーを含有 ることを特徴とする光学フィルム。

(式中、R 12 は水素原子、またはアルキル基を表し、R 13 は置換基を有していてもよいアルキル基を表 す。)
 3.前記一般式(B)で表されるがモノマーが、 なくとも下記一般式(D)で表されるモノマー 及び下記一般式(E)で表されるモノマーであ ことを特徴とする前記1または2に記載の光学 フィルム。

(式中、各々R 14 ~R 18 は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有して いてもよい脂肪族基、置換基を有していても よい芳香族基、または置換基を有していても よい複素環基を表し、pは0~3の整数を表し、R 19 はエチレン性不飽和結合を部分構造として有 する基を表す。)

(式中、R 20 ~R 24 は各々水素原子、ハロゲン原子、置換基を有 していてもよい脂肪族基、置換基を有してい てもよい芳香族基、または置換基を有してい てもよい複素環基を表し、qは0~4の整数を表 。但し、R 20 ~R 23 で表される基のいずれか1つはエチレン性不 和結合を部分構造として有する。)
 4.前記分子内に前記一般式(A)で表される部 構造を有するエチレン性不飽和モノマーがN- アクリロイルモルホリンであることを特徴と する前記1~3のいずれか1項に記載の光学フィ ム。

 5.前記分子内に前記一般式(A)で表される 分構造を有するエチレン性不飽和モノマー 組成比(質量比)がポリマー全体の65%以下であ ることを特徴とする前記1~4のいずれか1項に 載の光学フィルム。

 6.前記紫外線吸収性ポリマーの重量平均 子量が1000以上70000以下であることを特徴と る前記1~5のいずれか1項に記載の光学フィル 。

 7.前記光学フィルムがセルロースエステ を含有することを特徴とする前記1~6のいず か1項に記載の光学フィルム。

 8.前記光学フィルムが炭素ラジカル捕捉 、フェノール系化合物、またはリン系化合 の少なくとも1種を含有することを特徴とす 前記1~7のいずれか1項に記載の光学フィルム 。

 9.記セルロースエステルが下記式(1)~(3)のア ル基置換度を満足するセルロースエステル あることを特徴とする前記7または8に記載 光学フィルム。
式(1) 2.4≦A+B<3.0
式(2) 0≦A≦2.4
式(3) 0.1≦B<3.0
(式中、Aはアセチル基の置換度、Bは炭素数3~5 のアシル基の置換度の総和を表す。)
 10.前記炭素ラジカル捕捉剤が、下記一般式( 1)で表わされる化合物であることを特徴とす 前記8または9に記載の光学フィルム。

(式中、R 31 は水素原子または炭素数1~10のアルキル基を し、R 32 およびR 33 は、それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基 を表す。)
 11.前記炭素ラジカル捕捉剤が、下記一般式( 2)で表わされる化合物であることを特徴とす 前記8または9に記載の光学フィルム。

(式中、R 42 ~R 46 はおのおの互いに独立して水素原子、置換基 を有していてもよい脂肪族基、置換基を有し ていてもよい芳香族基、または置換基を有し ていてもよい複素環基を表し、nは1または2を 表す。nが1であるとき、R 41 は置換基を有していてもよい脂肪族基、置換 基を有していてもよい芳香族基、または置換 基を有していてもよい複素環基を表し、nが2 あるとき、R 41 は2価の連結基を表す。)
 12.前記リン系化合物が下記一般式(3)または( 4)で表されるホスホナイト化合物であること 特徴とする前記8~11のいずれか1項に記載の 学フィルム。

 一般式(3)  R 51 P(OR 52 ) 2
(式中、R 51 は置換基を有していてもよいフェニル基、ま たは置換基を有していてもよいチエニル基、 R 52 は置換基を有していてもよいアルキル基、置 換基を有していてもよいフェニル基、または 置換基を有していてもよいチエニル基を表す 。複数のR 52 は互いに結合して環を形成してもよい。)
 一般式(4)  (R 54 O) 2 PR 53 -R 53 P(OR 54 ) 2
(式中、R 53 は置換基を有していてもよいフェニレン基、 または置換基を有していてもよいチエニレン 基、R 54 は置換基を有していてもよいアルキル基、置 換基を有していてもよいフェニル基、または 置換基を有していてもよいチエニル基を表す 。複数のR 54 は互いに結合して環を形成してもよい。)
 13.前記一般式(4)のR 54 が1つのフェニル基に対し炭素数の合計が9~14 置換基を有する置換フェニル基であること 特徴とする前記12に記載の光学フィルム。
(但し、1つのフェニル基に対し炭素数の合計 9~14の範囲内で複数の置換基を有してもよい 。)
 14.前記一般式(4)で表されるホスホナイト化 物がテトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフ ニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイトで ることを特徴とする前記12に記載の光学フィ ルム。

 15.前記1~14のいずれか1項に記載の光学フ ルムを用いることを特徴とする偏光板。

 16.前記1~14のいずれか1項に記載の光学フ ルムまたは前記15に記載の偏光板を用いるこ とを特徴とする液晶表示装置。

 17.分子内に前記一般式(A)で表される部分 造を有するエチレン性不飽和モノマー、前 一般式(B)で表されるモノマー、及び前記一 式(C)で表されるモノマーの少なくとも3種以 上から誘導されることを特徴とする紫外線吸 収性ポリマー。

 18.前記一般式(B)で表されるがモノマーが 少なくとも前記一般式(D)で表されるモノマ 、及び前記一般式(E)で表されるモノマーで ることを特徴とする前記17に記載の紫外線 収性ポリマー。

 19.前記一般式(A)で表される部分構造を有 るエチレン性不飽和モノマーがN-アクリロ ルモルホリンであることを特徴とする前記17 または18に記載の紫外線吸収性ポリマー。

 以下本発明を実施するための最良の形態 ついて詳細に説明するが、本発明はこれら 限定されるものではない。

 (光学フィルム)
 まず、本発明の光学フィルムの詳細につい 説明する。

 本発明において光学フィルムとは、液晶 ィスプレイ、プラズマディスプレイ、有機E Lディスプレイ等の各種表示装置に用いられ 機能フィルムのことであり、詳しくは液晶 示装置用の偏光板保護フィルム、位相差フ ルム、反射防止フィルム、輝度向上フィル 、ハードコートフィルム、防眩フィルム、 電防止フィルム、視野角拡大等の光学補償 ィルム等を含む。

 本発明の光学フィルムの基材となる樹脂 ィルムに用いられる樹脂としては、セルロ スエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹 、ポリスチレン系樹脂、ポリスルホン系樹 、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系 脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂(ノ ルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系 樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式 炭化水素系樹脂等)等を挙げることができる この中で、セルロースエステル系樹脂、ポ カーボネート系樹脂、単環の環状オレフィ 系樹脂が好ましく、中でもセルロースエス ル系樹脂が最も好ましい。

 また、これらの樹脂は併用して用いても く、例えば、セルロースエステル系樹脂の 、セルロースエーテル系樹脂、ビニル系樹 (ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコ ール系樹脂等も含む)、環状オレフィン樹脂 ポリエステル系樹脂(芳香族ポリエステル、 肪族ポリエステル、もしくはそれらを含む 重合体)、アクリル系樹脂(共重合体も含む) を含有させることができる。セルロースエ テル以外の樹脂の含有量としては0.1~30質量% が好ましい。

 本発明に係る光学フィルムは、偏光板保 フィルム、位相差フィルム、光学補償フィ ムに好ましく用いられ、特に、偏光板保護 ィルムに好ましく用いられる。

 更に本発明を実施するための最良の形態 してセルロースエステルの例を詳細に説明 るが、本発明はこれらに限定されるもので ない。

 セルロースエステル光学フィルムの製造 は主に二つあり、その一つである溶液流延 は、セルロースエステルを溶媒に溶解した 液を流延し、溶媒を蒸発、乾燥することに って製膜するものであり、この方法はフィ ム内部に残存する溶媒を除去しなければな ないため、乾燥ライン、乾燥エネルギー、 び蒸発した溶媒の回収及び再生装置等、製 ラインへの設備投資及び製造コストが膨大 なっており、これらを削減することが重要 課題となっている。これに対し溶融流延法 よる製膜では、溶液流延としてセルロース ステルの溶液を調整するための溶媒を用い いため、前述の乾燥負荷、設備負荷が生じ い。従って、本発明では溶液流延法で製造 るよりも、溶融流延法を特に好ましく用い 。

 本発明者らは上記課題に対し鋭意検討の 果、セルロースエステルに特定のベンゾト アゾール構造をもつモノマーと特定の構造 もつモノマーから誘導されるポリマーが特 的に相溶性が良く、溶融製膜しても、ヘイ 値が小さく、驚くべきことに寸法安定性に れ、リターデーションの均一性が良好で、 時に、フィルム幅手方向の端部の着色が低 ことも分かった。更には、炭素ラジカル捕 剤、フェノール系化合物、及びリン系化合 からなる群から選択される少なくとも1種の 化合物を混合させて溶融製膜することにより 、更に寸法安定性とリターデーションの均一 性が改善され、同時にフィルム幅手方向の端 部の着色も改善できることも分かった。これ らの効果により溶液製膜法で作製されたもの と同等以上の特性を有するセルロースエステ ル光学フィルムを溶融製膜法でも得られるこ とが分かった。

 以下、本発明に用いられる各種化合物につ て詳述する。
(分子内に前記一般式(A)で表される部分構造 有するエチレン性不飽和モノマーと前記一 式(B)で表されるモノマーの少なくとも2種以 から誘導される紫外線吸収性ポリマー)
 本発明の光学フィルムは、分子内に下記一 式(A)で表される部分構造を有するエチレン 不飽和モノマーと下記一般式(B)で表される ノマーの少なくとも2種以上から誘導される 紫外線吸収性ポリマーを少なくとも1種含有 る。前記紫外線吸収性ポリマーは非カチオ 性のポリマーである。

 一般式(A)の式中、R 1 は、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、置 換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を 有していてもよい芳香族基、または置換基を 有していてもよい複素環基を表し、mは0~8の 数を表し、mが2~8のときR 1 は同じでも、異なっていてもよい。R 2 は、エチレン性不飽和結合を部分構造として 有する基を表し、X 1 は、酸素原子または硫黄原子を表す。

 R 1 で表される基としては、特に制限はないが、 例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エ ル基、プロピル基、イソプロピル基、t-ブチ ル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基 、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、 クロアルキル基(例えば、シクロペンチル基 シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミノ (例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルア ミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチル オ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基( えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等) アルケニル基(例えば、ビニル基、2-プロペ ル基、3-ブテニル基、1-メチル-3-プロペニル 基、3-ペンテニル基、1-メチル-3-ブテニル基 4-ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等)、 ロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子 臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基(例 ば、プロパルギル基等)、複素環基(例えば、 ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基 、イミダゾリル基等)、アルキルスルホニル (例えば、メチルスルホニル基、エチルスル ニル基等)、アリールスルホニル基(例えば フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニ 基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、メ チルスルフィニル基等)、アリールスルフィ ル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、 ホスホノ基、アシル基(例えば、アセチル基 ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバモ ル基(例えば、アミノカルボニル基、メチル アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボ ニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロ ヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミ ノカルボニル基、2-ピリジルアミノカルボニ 基等)、スルファモイル基(例えば、アミノ ルホニル基、メチルアミノスルホニル基、 メチルアミノスルホニル基、ブチルアミノ ルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基 シクロヘキシルアミノスルホニル基、オク ルアミノスルホニル基、ドデシルアミノス ホニル基、フェニルアミノスルホニル基、 フチルアミノスルホニル基、2-ピリジルアミ ノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例え 、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスル ンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基( えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ 基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキ シ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ 、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、ア チルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、ス ルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボ ニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基 エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチ アミノ基、シクロペンチルアミノ基、2-エチ ルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等) アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、ク ロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニ ジノ基、ナフチルアミノ基、2-ピリジルア ノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、メ チルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチ ルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、 オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、 フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、 2-ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシ カルボニルアミノ基(例えば、メトキシカル ニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミ 基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メ トキシカルボニル基、エトキシカルボニル基 、フェノキシカルボニル等)、アリールオキ カルボニル基(例えば、フェノキシカルボニ 基等)、複素環チオ基、チオウレイド基、カ ルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシ ル基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が挙 げられる。これらの置換基は同様の置換基に よって更に置換されていてもよい。

 R 2 はエチレン性不飽和結合を有するが、具体例 としては、例えば、ビニル基、アリル基、ア クリロイル基、メタクリロイル基、スチリル 基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基 、シアン化ビニル基、2-シアノアクリルオキ 基、1,2-エポキシ基、ビニルベンジル基、ビ ニルエーテル基などが挙げられるが、好まし くは、ビニル基、アクリロイル基、メタクリ ロイル基、アクリルアミド基、メタクリルア ミド基である。

 以下に本発明で用いられる前記分子内に 記一般式(A)で表される部分構造を有するエ レン性不飽和モノマーの好ましい具体例を 示するが、これらに限定されるものではな 。

 前記分子内に前記一般式(A)で表される部 構造を有するエチレン性不飽和モノマーは1 種或いは2種以上組み合わせて用いることが きる。また前記一般式(A)で表される部分構 を有するエチレン性不飽和モノマーとして に好ましくはN-アクリロイルモルホリンであ る。

 本発明に用いられる前記分子内に前記一 式(A)で表される部分構造を有するエチレン 不飽和モノマーは市販品として入手または 知の文献を参照して合成することができる

 一般式(B)の式中、R 4 ~R 11 は各々水素原子、ハロゲン原子、置換基を有 していてもよい脂肪族基、置換基を有してい てもよい芳香族基、または置換基を有してい てもよい複素環基を表す。但し、R 4 ~R 11 で表される基のいずれか1つはエチレン性不 和結合を部分構造として有する。

 前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ 原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子な が挙げられ、好ましくはフッ素原子、塩素 子である。また、置換基を有していてもよ 脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香 基、または置換基を有していてもよい複素 基としては、例えば、アルキル基(例えば、 メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒド ロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフ ルオロメチル基、t-ブチル基など)、アルケニ ル基(例えば、ビニル基、アリル基、3-ブテン -1-イル基など)、アリール基(例えば、フェニ 基、ナフチル基、p-トリル基、p-クロロフェ ニル基など)、複素環基(例えば、ピリジル基 ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル 、ベンズオキサゾリル基など)、アルコキシ 基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソ ロポキシ基、n-ブトキシ基など)、アリール キシ基(例えば、フェノキシ基など)、複素環 オキシ基(例えば、1-フェニルテトラゾール-5- オキシ基、2-テトラヒドロピラニルオキシ基 ど)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ 、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ など)、アシル基(例えば、アセチル基、プロ パノイル基、ブチロイル基など)、アルコキ カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル 、エトキシカルボニル基など)、アリールオ キシカルボニル基(例えば、フェノキシカル ニル基など)、カルバモイル基(例えば、メチ ルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、 ジメチルカルバモイル基など)、アミノ基、 ルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、 チルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、ア ニリノ基(例えば、アニリノ基、N-メチルアニ リノ基など)、アシルアミノ基(例えば、アセ ルアミノ基、プロピオニルアミノ基など)、 ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、スル ホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミ 基、ベンゼンスルホンアミド基など)、スル ァモイルアミノ基(例えば、ジメチルスルフ ァモイルアミノ基など)、スルホニル基(例え 、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル 、フェニルスルホニル基など)、スルファモ イル基(例えば、エチルスルファモイル基、 メチルスルファモイル基など)、スルホニル ミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基 、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、ウレ ド基(例えば、3-メチルウレイド基、3,3-ジメ ルウレイド基、1,3-ジメチルウレイド基など )、イミド基(例えば、フタルイミド基など)、 シリル基(例えば、トリメチルシリル基、ト エチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基 など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ 、エチルチオ基、n-ブチルチオ基など)、ア ールチオ基(例えば、フェニルチオ基など) が挙げられるが、好ましくは、アルキル基 アリール基である。R 4 ~R 11 で表される各基が、更に置換可能な基である 場合、更に置換基を有していてもよく、置換 基としては前記R 1 と同様の基を挙げることができる。また、隣 接するR 4 ~R 7 またはR 8 ~R 11 が互いに連結して5~7員の環を形成していても よい。

 R 4 ~R 11 で表される基のいずれか1つはエチレン性不 和結合を部分構造として有するが、エチレ 性不飽和結合の具体例としては、ビニル基 アリル基、アクリロイル基、メタクリロイ 基、スチリル基、アクリルアミド基、メタ リルアミド基、シアン化ビニル基、2-シアノ アクリルオキシ基、1,2-エポキシ基、ビニル ンジル基、ビニルエーテル基などが挙げら るが、好ましくは、ビニル基、アクリロイ 基、メタクリロイル基アクリルアミド基、 タクリルアミド基である。また、エチレン 不飽和結合を部分構造として有するとは、 記エチレン性不飽和結合が直接、若しくは2 以上の連結基によって結合していることを 味し、2価以上の連結基とは、例えば、アル キレン基(例えば、メチレン、1,2-エチレン、1 ,3-プロピレン、1,4-ブチレン、シクロヘキサ -1,4-ジイルなど)、アルケニレン基(例えば、 テン-1,2-ジイル、ブタジエン-1,4-ジイルなど )、アルキニレン基(例えば、エチン-1,2-ジイ 、ブタン-1,3-ジイン-1,4-ジイルなど)、少なく とも一つの芳香族基を含む化合物から誘導さ れる連結基(例えば、置換若しくは無置換の ンゼン、縮合多環炭化水素、芳香族複素環 芳香族炭化水素環集合、芳香族複素環集合 ど)、ヘテロ原子連結基(酸素、硫黄、窒素、 ケイ素、リン原子など)が挙げられるが、好 しくは、アルキレン基、及び、ヘテロ原子 連結する基である。これらの連結基は更に み合わせて複合基を形成してもよい。

 以下に本発明で用いられる前記一般式(B) 表されるモノマーの好ましい具体例を例示 るが、これらに限定されるものではない。

 前記分子内に前記一般式(B)で表されるエチ ン性不飽和モノマーは1種或いは2種以上組 合わせて用いることができる。また前記一 式(D)、前記一般式(E)の2種以上を組合わせて いることが好ましい。前記一般式(D)の式中 各々R 14 ~R 18 は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有して いてもよい脂肪族基、置換基を有していても よい芳香族基、または置換基を有していても よい複素環基を表し、pは0~3の整数を表し、R 19 はエチレン性不飽和結合を部分構造として有 する基を表す。前記一般式(E)の式中、R 20 ~R 24 は各々水素原子、ハロゲン原子、置換基を有 していてもよい脂肪族基、置換基を有してい てもよい芳香族基、または置換基を有してい てもよい複素環基を表し、qは0~4の整数を表 。但し、R 20 ~R 23 で表される基のいずれか1つはエチレン性不 和結合を部分構造として有する。置換基を していてもよい脂肪族基、置換基を有して てもよい芳香族基、または置換基を有して てもよい複素環基、及びエチレン性不飽和 合を部分構造として有する基としては前記 般式(B)と同様の基を挙げることができる。

 本発明に用いられる前記一般式(B)で表さ るモノマー及びその中間体は公知の文献を 照して合成することができる。例えば、米 特許第3,072,585号、同3,159,646号、同3,399,173号 同3,761,272号、同4,028,331号、同5,683,861号、ヨ ロッパ特許第86,300,416号、特開昭63-227575号、 同63-185969号、Polymer Bulletin.V.20(2)、169-176及びC hemical Abstracts V.109、No.191389などを参照して 成することができる。

 本発明の光学フィルムは、分子内に前記 般式(A)で表される部分構造を有するエチレ 性不飽和モノマー、前記一般式(B)で表され モノマー、及び前記一般式(C)で表されるの なくとも3種以上のモノマーから誘導される 紫外線吸収性ポリマーを少なくとも1種含有 ることが好ましい。

 一般式(C)の式中、R 12 は水素原子、またはアルキル基を表し、R 13 は置換基を有していてもよいアルキル基を表 すが、アルキル基としては、例えば、メチル 基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基 、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、 ミル基、イソアミル基、ヘキシル基などが げることができ、これらは無置換でも、置 されていても良く置換基としては、前記一 式(B)と同様の基を挙げることができる。ま 前記一般式(C)で表されるモノマーは1種或い 2種以上組み合わせて用いることができる。 本発明に用いられる前記一般式(C)で表される モノマーは市販品として入手または公知の文 献を参照して合成することができる。

 本発明の光学フィルムに含有する紫外線 収性ポリマーは、更に他の重合性モノマー の共重合体でもよく、共重合可能な他の重 性モノマーとしては、例えば、スチレン誘 体(例えば、スチレン、α-メチルスチレン、 o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチ ルスチレン、ビニルナフタレンなど)、アク ル酸エステル誘導体(例えば、アクリル酸メ ル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ 、アクリル酸ブチル、アクリル酸i-ブチル アクリル酸t-ブチル、アクリル酸オクチル、 アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベン ジルなど)、メタクリル酸エステル誘導体(例 ば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸 チル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル t-ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリ ル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル 等)、アルキルビニルエーテル(例えば、メチ ビニルエーテル、エチルビニルエーテル、 チルビニルエーテルなど)、アルキルビニル エステル(例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル 酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリ 酸ビニルなど)、クロトン酸、マレイン酸、 マル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、 タクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニ デン、アクリルアミド、メタクリルアミド どの不飽和化合物が挙げられる。好ましく 、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル 酢酸ビニルである。また特に好ましくは、 子内に前記一般式(A)で表される部分構造を するエチレン性不飽和モノマー、前記一般 (D)で表されるモノマー、前記一般式(E)で表 れるモノマー、及び前記一般式(C)で表され モノマーの少なくとも4種以上から誘導され る紫外線吸収性ポリマーである。

 本発明の紫外線吸収性ポリマーの重量平 分子量は1000以上70000以下であることが好ま く、より好ましくは2000~50000、更に好ましく は5000~30000である。重量平均分子量が1000未満 場合、フィルム表面への滲出が起こる可能 があり、また70000より大きい場合、樹脂と 相溶性が悪くなる可能性がある。

 更に本発明の紫外線吸収性ポリマー中の 分子量成分は少ない方が好ましく、分子量1 000未満の低分子量成分の比率が5質量%以下で ることが好ましく、更に好ましくは1質量% 下である。また本発明の紫外線吸収性ポリ ーの重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5 ~4.0のものが好ましく用いられ、特に好まし は1.5~3.0である。

 本発明の紫外線吸収性ポリマーを重合す 方法は特に問わないが、従来公知の方法を く採用することができ、例えばラジカル重 、アニオン重合、カチオン重合などが挙げ れる。ラジカル重合法の開始剤としては、 えば、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられ アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビ イソブチル酸ジエステル誘導体、過酸化ベ ゾイル、ジラウロイルパーオキサイドなど 挙げられる。重合溶媒は特に問わないが、 えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香 炭化水素系溶媒、ジクロロエタン、クロロ ルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、テ ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル 溶媒、ジメチルホルムアミド等のアミド系 媒、メタノール等のアルコール系溶媒、酢 メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、 セトン、シクロヘキサノン、メチルエチル トンなどのケトン系溶媒、水溶媒等が挙げ れる。溶媒の選択により、均一系で重合す 溶液重合、生成したポリマーが沈澱する沈 重合、ミセル状態で重合する乳化重合を行 こともできる。

 本発明に用いられる紫外線吸収性ポリマ の重量平均分子量は、公知の分子量調節方 で調整することができる。そのような分子 調節方法としては、例えば四塩化炭素、ラ リルメルカプタン、チオグリコール酸オク ル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げ れる。重合温度は通常室温から130℃、好ま くは50℃から110℃で行われる。

 上記各モノマーの使用割合は、得られる 外線吸収性ポリマーと他のポリマーとの相 性、光学フィルムの透明性や機械的強度に する影響を考慮して適宜選択される。

 本発明の紫外線吸収性ポリマー中の前記 子内に前記一般式(A)で表される部分構造を するエチレン性不飽和モノマーの含有比率 全体の10~90質量%であることが好ましく、よ 好ましくは、30~65質量%である。本発明の紫 線吸収性ポリマー中の前記一般式(B)で表さ るモノマーの含有比率は全体の1~70質量%で ることが好ましく、より好ましくは、5~50質 %である。本発明の紫外線吸収性ポリマー中 の前記一般式(C)で表されるモノマーの含有比 率は全体の1~70質量%であることが好ましく、 り好ましくは、1~50質量%である。

 本発明の紫外線吸収性ポリマーは、光学 ィルムを形成する樹脂に対し、0.1~50質量%の 割合で混ぜることが好ましく、更に好ましく は0.5~30質量%の割合で混ぜることが好ましい この時、光学フィルムを形成したときのヘ ズが1.0以下であれば特に制限はされないが 好ましくはヘイズが0.5以下である。更に好 しくは、光学フィルムを形成したときのヘ ズが0.3以下である。

 更に前述したように、液晶劣化防止の観 から波長380nm以下の紫外線吸収性能に優れ かつ、良好な液晶表示性の観点から400nm以上 の可視光吸収が少ないものが好ましい。本発 明においては、特に、波長380nmでの透過率が8 %以下であることが好ましく、4%以下が更に好 ましく、1%以下であることが特に好ましい。

 (炭素ラジカル捕捉剤)
 本発明に用いられる「炭素ラジカル捕捉剤 とは、炭素ラジカルが速やかに付加反応し る基(例えば2重結合、3重結合等の不飽和基) を有し、かつ炭素ラジカル付加後に重合等の 後続反応が起こらない安定な生成物を与える 化合物を意味する。上記炭素ラジカル捕捉剤 としては分子内に速やかに炭素ラジカルと反 応する基((メタ)アクリロイル基、アリール基 等の不飽和基)およびフェノール系、ラクト 系化合物等のラジカル重合禁止能を有する 合物が有用であり、特に下記一般式(1)また 下記一般式(2)で表わされる化合物が好まし 。

 一般式(1)において、R 31 は水素原子または炭素数1~10のアルキル基を し、好ましくは水素原子または炭素数1~4の ルキル基であり、特に好ましくは水素原子 たはメチル基である。R 32 およびR 33 は、それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基 を表し、直鎖でも、分岐構造または環構造を 有してもよい。R 32 およびR 33 は、好ましくは4級炭素を含む「*-C(CH 3 ) 2 -R″」で表される構造(*は芳香環への連結部 を表し、R″は炭素数1~5のアルキル基を表す )である。R 32 は、より好ましくはtert-ブチル基、tert-アミ 基またはtert-オクチル基である。R 33 は、より好ましくはtert-ブチル基、tert-アミ 基である。上記一般式(1)で表される化合物 して、市販のものでは「SumilizerGM、SumilizerGS (共に商品名、住友化学(株)製)等が挙げられ る。以下に上記一般式(2)で表わされる化合物 の具体例(I-1~I-18)を例示するが、本発明はこ らに限定されるものではない。

 一般式(2)において、R 42 ~R 46 はおのおの互いに独立して水素原子または置 換基を表し、R 42 ~R 46 で表される置換基としては特に制限はないが 、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、 チル基、プロピル基、イソプロピル基、t-ブ チル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル 基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等) シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル 、シクロヘキシル基等)、アリール基(例え 、フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミ 基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイル アミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチ チオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基 (例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基 )、アルケニル基(例えば、ビニル基、2-プロ ニル基、3-ブテニル基、1-メチル-3-プロペニ ル基、3-ペンテニル基、1-メチル-3-ブテニル 、4-ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等) ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原 、臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基( えば、プロパルギル基等)、複素環基(例えば 、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル 基、イミダゾリル基等)、アルキルスルホニ 基(例えば、メチルスルホニル基、エチルス ホニル基等)、アリールスルホニル基(例え 、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホ ル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、 メチルスルフィニル基等)、アリールスルフ ニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等) 、ホスホノ基、アシル基(例えば、アセチル 、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバ イル基(例えば、アミノカルボニル基、メチ ルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカル ボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シク ロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルア ミノカルボニル基、2-ピリジルアミノカルボ ル基等)、スルファモイル基(例えば、アミ スルホニル基、メチルアミノスルホニル基 ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミ スルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル 、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オ チルアミノスルホニル基、ドデシルアミノ ルホニル基、フェニルアミノスルホニル基 ナフチルアミノスルホニル基、2-ピリジルア ミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例 ば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンス ホンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基 (例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポ シ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノ キシ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキ 基、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、 セチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、 スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカル ボニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ 、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブ ルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2-エ チルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等 )、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、 ロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、ア シジノ基、ナフチルアミノ基、2-ピリジル ミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、 メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペン チルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基 、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基 、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基 、2-ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキ シカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカ ボニルアミノ基、フェノキシカルボニルア ノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、 メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル 基、フェノキシカルボニル等)、アリールオ シカルボニル基(例えば、フェノキシカルボ ル基等)、複素環チオ基、チオウレイド基、 カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキ シル基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が 挙げられる。これらの置換基は同様の置換基 によって更に置換されていてもよい。

 前記一般式(2)において、nは1または2を表 。

 前記一般式(2)において、nが1であるとき、R 41 は置換基を表し、nが2であるとき、R 41 は2価の連結基を表す。R 41 が置換基を表すとき、置換基としては、前記 R 42 ~R 45 で表される置換基と同様な基を挙げることが できる。

 R 41 は2価の連結基を表すとき、2価の連結基とし 例えば、置換基を有しても良いアルキレン 、置換基を有しても良いアリーレン基、酸 原子、窒素原子、硫黄原子、或いはこれら 連結基の組み合わせを挙げることができる

 前記一般式(2)において、nは1が好ましい

 次に、本発明における前記一般式(2)で表 れる化合物の具体例を示すが、本発明は以 の具体例によって限定されるものではない

 上記、炭素ラジカル捕捉剤は、それぞれ1 種或いは2種以上組み合わせて用いることが き、その配合量は本発明の目的を損なわな 範囲で適宜選択されるが、セルロースエス ル100質量部に対して、通常0.001~10.0質量部、 ましくは0.01~5.0質量部、更に好ましくは、0. 1~1.0質量部である。

 (フェノール系化合物)
 本発明に用いられるフェノール系化合物は 例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12~1 4欄に記載されているもの等の、2,6-ジアルキ フェノール誘導体化合物が好ましく、特に 記一般式(5)で表される化合物が好ましい。

 式中、R 61 、R 62 及びR 63 は、さらに置換されているかまたは置換され ていないアルキル置換基を表す。フェノール 系化合物の具体例としては、n-オクタデシル3 -(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロ オネート、n-オクタデシル3-(3,5-ジ-t-ブチル- 4-ヒドロキシフェニル)-アセテート、n-オクタ デシル3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエ ト、n-ヘキシル3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ ェニルベンゾエート、n-ドデシル3,5-ジ-t-ブ ル-4-ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネ -ドデシル3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェ ニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5-ジ-t-ブ ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、 エチルα-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニ )イソブチレート、オクタデシルα-(4-ヒドロ キシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)イソブチレート 、オクタデシルα-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチ -4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-( n-オクチルチオ)エチル3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド キシ-ベンゾエート、2-(n-オクチルチオ)エチ 3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニルアセ ート、2-(n-オクタデシルチオ)エチル3,5-ジ-t- チル-4-ヒドロキシフェニルアセテート、2-(n -オクタデシルチオ)エチル3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒ ドロキシ-ベンゾエート、2-(2-ヒドロキシエチ ルチオ)エチル3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベ ゾエート、ジエチルグリコールビス-(3,5-ジ- t-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネ ト、2-(n-オクタデシルチオ)エチル3-(3,5-ジ-t- チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート 、ステアルアミドN,N-ビス-[エチレン3-(3,5-ジ-t -ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネー ]、n-ブチルイミノN,N-ビス-[エチレン3-(3,5-ジ -t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ ト]、2-(2-ステアロイルオキシエチルチオ)エ ル3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート 、2-(2-ステアロイルオキシエチルチオ)エチル 7-(3-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル) プタノエート、1,2-プロピレングリコールビ ス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル) ロピオネート]、エチレングリコールビス-[3- (3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ オネート]、ネオペンチルグリコールビス-[3-( 3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ ネート]、エチレングリコールビス-(3,5-ジ-t- ブチル-4-ヒドロキシフェニルアセテート)、 リセリン-l-n-オクタデカノエート-2,3-ビス-(3, 5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルアセテー )、ペンタエリトリトール-テトラキス-[3-(3 ,5″-ジ-t-ブチル-4″-ヒドロキシフェニル)プ ピオネート]、1,1,1-トリメチロールエタン- リス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニ )プロピオネート]、ソルビトールヘキサ-[3-(3 ,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ ネート]、2-ヒドロキシエチル7-(3-メチル-5-t- チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート 、2-ステアロイルオキシエチル7-(3-メチル-5-t- ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘプタノエー 、1,6-n-ヘキサンジオール-ビス[(3″,5″-ジ-t- チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート ]、ペンタエリトリトール-テトラキス(3,5-ジ-t -ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)が げられる。上記タイプのフェノール系化合 は、例えば、CibaSpecialtyChemicalsから、“Irgano x1076”及び“Irganox1010”という商品名で市販 れている。

 上記、フェノール系化合物は、それぞれ1 種或いは2種以上組み合わせて用いることが き、その配合量は本発明の目的を損なわな 範囲で適宜選択されるが、セルロースエス ル100質量部に対して、通常0.001~10.0質量部、 ましくは0.05~5.0質量部、更に好ましくは、0. 2~2.0質量部である。

 (リン系化合物)
 本発明に用いられるリン系化合物は、従来 知のものを用いることができる。好ましく ホスファイト(phosphite)、ホスホナイト(phospho nite)、ホスフィナイト(phosphinite)、または第3 ホスファン(phosphane)からなる群より選ばれる 化合物であり、例えば、特開2002-138188号、特 2005-344044号段落番号0022~0027、特開2004-182979号 段落番号0023~0039、特開平10-306175号、特開平1-2 54744号、特開平2-270892号、特開平5-202078号、特 開平5-178870号、特表2004-504435号、特表2004-530759 号、および特願2005-353229号の明細書中に記載 れているものが好ましい。更に好ましいリ 系化合物としては前記一般式(3)または(4)で されるホスホナイト化合物である。

 前記一般式(3)において、R 51 は置換基を有していてもよいフェニル基、ま たは置換基を有していてもよいチエニル基を 、R 52 は置換基を有していてもよいアルキル基、置 換基を有していてもよいフェニル基、または 置換基を有していてもよいチエニル基を表す 。複数のR 52 は互いに結合して環を形成してもよいが、R 52 として好ましくは置換フェニル基である。置 換フェニル基の、置換基の炭素数の合計は、 好ましくは9~14であり、より好ましくは9~11で る。

 前記、置換基としては特に制限はないが 例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エ チル基、プロピル基、イソプロピル基、t-ブ ル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル 、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、 シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル 、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば 、フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミ 基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイル ミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチ チオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基( 例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等 )、アルケニル基(例えば、ビニル基、2-プロ ニル基、3-ブテニル基、1-メチル-3-プロペニ 基、3-ペンテニル基、1-メチル-3-ブテニル基 、4-ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等)、 ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原 、臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基(例 えば、プロパルギル基等)、複素環基(例えば ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル 、イミダゾリル基等)、アルキルスルホニル 基(例えば、メチルスルホニル基、エチルス ホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば 、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニ ル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、 チルスルフィニル基等)、アリールスルフィ ニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等) ホスホノ基、アシル基(例えば、アセチル基 、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバ イル基(例えば、アミノカルボニル基、メチ アミノカルボニル基、ジメチルアミノカル ニル基、ブチルアミノカルボニル基、シク ヘキシルアミノカルボニル基、フェニルア ノカルボニル基、2-ピリジルアミノカルボ ル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノ スルホニル基、メチルアミノスルホニル基、 ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノ スルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基 、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オク チルアミノスルホニル基、ドデシルアミノス ルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、 ナフチルアミノスルホニル基、2-ピリジルア ノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例 ば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンス ホンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基( 例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ シ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノ シ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ 基、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、 セチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、 ルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカル ニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基 、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチ ルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2-エ ルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等) 、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、 ロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、ア シジノ基、ナフチルアミノ基、2-ピリジルア ミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、 チルウレイド基、エチルウレイド基、ペン ルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基 オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基 フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基 2-ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキ カルボニルアミノ基(例えば、メトキシカル ボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミ ノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、 トキシカルボニル基、エトキシカルボニル 、フェノキシカルボニル等)、アリールオキ シカルボニル基(例えば、フェノキシカルボ ル基等)、複素環チオ基、チオウレイド基、 ルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキ ル基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が げられる。これらの置換基は同様の置換基 よって更に置換されていてもよい。

 前記一般式(4)において、R 53 は置換基を有していてもよいフェニレン基、 または置換基を有していてもよいチエニレン 基を、R 54 は置換基を有していてもよいアルキル基、置 換基を有していてもよいフェニル基、または 置換基を有していてもよいチエニル基を表す 。複数のR 54 は互いに結合して環を形成してもよいが、R 54 として好ましくは置換フェニル基である。置 換フェニル基の、置換基の炭素数の合計は、 好ましくは9~14であり、より好ましくは9~11で る。前記置換基としては、R 52 において、述べたものと同じである。

 具体的には、一般式(3)で表されるホスホ イト化合物としては、ジメチル-フェニルホ スホナイト、ジ-t-ブチル-フェニルホスホナ ト等のジアルキル-フェニルホスホナイト類 ジフェニル-フェニルホスホナイト、ジ-(4- ンチル-フェニル)-フェニルホスホナイト、 -(2-t-ブチル-フェニル)-フェニルホスホナイ 、ジ-(2-メチル-3-ペンチル-フェニル)-フェニ ホスホナイト、ジ-(2-メチル-4-オクチル-フ ニル)-フェニルホスホナイト、ジ-(3-ブチル-4 -メチル-フェニル)-フェニルホスホナイト、 -(3-ヘキシル-4-エチル-フェニル)-フェニルホ ホナイト、ジ-(2,4,6-トリメチルフェニル)-フ ェニルホスホナイト、ジ-(2,3-ジメチル-4-エチ ル-フェニル)-フェニルホスホナイト、ジ-(2,6- ジエチル-3-ブチルフェニル)-フェニルホスホ イト、ジ-(2,3-ジプロピル-5-ブチルフェニル) -フェニルホスホナイト、ジ-(2,4,6-トリ-t-ブチ ルフェニル)-フェニルホスホナイト、等のジ- フェニル誘導体-フェニルホスホナイト類が げられる。

 また、一般式(4)で表されるホスホナイト 合物としては、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチル- ェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイト テトラキス(2,5-ジ-t-ブチル-フェニル)-4,4″- フェニレンジホスホナイト、テトラキス(3,5 -ジ-t-ブチル-フェニル)-4,4″-ビフェニレンジ スホナイト、テトラキス(2,3,4-トリメチルフ ェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイト、 テトラキス(2,3-ジメチル-5-エチル-フェニル)-4 ,4″-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキ ス(2,3-ジメチル-4-プロピルフェニル)-4,4″-ビ ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3- メチル-5-t-ブチルフェニル)-4,4″-ビフェニレ ンジホスホナイト、テトラキス(2,5-ジメチル- 4-t-ブチルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホ ホナイト、テトラキス(2,3-ジエチル-5-メチル フェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイト 、テトラキス(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル) -4,4″-ビフェニレンジホスホナイト、テトラ ス(2,4,5-トリエチルフェニル)-4,4″-ビフェニ レンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジエチ -4-プロピルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジ スホナイト、テトラキス(2,5-ジエチル-6-ブ ルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナ ト、テトラキス(2,3-ジエチル-5-t-ブチルフェ ル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイト、テ ラキス(2,5-ジエチル-6-t-ブチルフェニル)-4,4 -ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス (2,3-ジプロピル-5-メチルフェニル)-4,4″-ビフ ニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ ロピル-4-メチルフェニル)-4,4″-ビフェニレ ジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジプロピル -5-エチルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホス ホナイト、テトラキス(2,3-ジプロピル-6-ブチ フェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイ 、テトラキス(2,6-ジプロピル-5-ブチルフェ ル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイト、テ ラキス(2,3-ジブチル-4-メチルフェニル)-4,4″- ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2, 5-ジブチル-3-メチルフェニル)-4,4″-ビフェニ ンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジブチ -4-メチルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホ ホナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-3-メチ ルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイ ト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフェ ル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイト、テ ラキス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)-4,4 ″-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキ (2,5-ジ-t-ブチル-3-メチルフェニル)-4,4″-ビフ ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5-ジ- t-ブチル-4-メチルフェニル)-4,4″-ビフェニレ ジホスホナイト、テトラキス(2,5-ジ-t-ブチ -6-メチルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホ ホナイト、テトラキス(2,6-ジ-t-ブチル-3-メチ ルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイ ト、テトラキス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェ ル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイト、テ ラキス(2,6-ジ-t-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4 ″-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキ (2,3-ジブチル-4-エチルフェニル)-4,4″-ビフェ ニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジブ ル-3-エチルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジ スホナイト、テトラキス(2,5-ジブチル-4-エ ルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナ ト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-3-エチルフェ ニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイト、テ トラキス(2,4-ジ-t-ブチル-5-エチルフェニル)-4, 4″-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキ (2,4-ジ-t-ブチル-6-エチルフェニル)-4,4″-ビ ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5-ジ -t-ブチル-3-エチルフェニル)-4,4″-ビフェニレ ンジホスホナイト、テトラキス(2,5-ジ-t-ブチ -4-エチルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホ ホナイト、テトラキス(2,5-ジ-t-ブチル-6-エ ルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナ ト、テトラキス(2,6-ジ-t-ブチル-3-エチルフェ ニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイト、テ トラキス(2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェニル)-4, 4″-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキ (2,6-ジ-t-ブチル-5-エチルフェニル)-4,4″-ビ ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4- リブチルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホ ホナイト、テトラキス(2,4,6-トリ-t-ブチルフ ェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナイト等 が挙げられる。

 本発明においては、一般式(4)で表される スホナイト化合物が好ましい。中でも、テ ラキス(2,4-ジ-t-ブチル-フェニル)-4,4″-ビフ ニレンジホスホナイト等の4,4″-ビフェニレ ンジホスホナイト化合物が好ましく、特に好 ましいものはテトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メ ルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナ トが好適である。

 特に好ましいホスホナイト化合物を次に す。

 リン系化合物の含有量は、セルロースエ テル100質量部に対して、通常0.001~10.0質量部 、好ましくは0.01~5.0質量部、さらに好ましく 0.1~1.0質量部である。

 前記、炭素ラジカル捕捉剤、フェノール 化合物、及びリン系化合物は3種類併用する ことが好ましく、それぞれの添加量のより好 ましい範囲はセルロースエステル100質量部に 対して、炭素ラジカル捕捉剤が0.1~1.0質量部 フェノール系化合物が0.2~2.0質量部、リン系 合物が0.1~1.0質量部であり、3種の化合物の 加量が前記範囲内であれば、各化合物同士 相乗効果をもたらし、性能が向上すること 明らかとなった。

 (セルロースエステル)
 本発明の光学フィルムの基材となる樹脂と て最も好適なセルロースエステルについて 明する。

 本発明に用いられるセルロースエステル 、脂肪酸アシル基、置換もしくは無置換の 香族アシル基の中からいずれかの構造を含 、セルロースの単独または混合酸エステル ある。

 芳香族アシル基において、芳香族環がベン ン環であるとき、ベンゼン環の置換基の例 してハロゲン原子、シアノ、アルキル基、 ルコキシ基、アリール基、アリールオキシ 、アシル基、カルボンアミド基、スルホン ミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニト 、アルコキシカルボニル基、アリールオキ カルボニル基、アラルキルオキシカルボニ 基、カルバモイル基、スルファモイル基、 シルオキシ基、アルケニル基、アルキニル 、アルキルスルホニル基、アリールスルホ ル基、アルキルオキシスルホニル基、アリ ルオキシスルホニル基、アルキルスルホニ オキシ基及びアリールオキシスルホニル基 -S-R、-NH-CO-OR、-PH-R、-P(-R) 2 、-PH-O-R、-P(-R)(-O-R)、-P(-O-R) 2 、-PH(=O)-R-P(=O)(-R) 2 、-PH(=O)-O-R、-P(=O)(-R)(-O-R)、-P(=O)(-O-R) 2 、-O-PH(=O)-R、-O-P(=O)(-R) 2 -O-PH(=O)-O-R、-O-P(=O)(-R)(-O-R)、-O-P(=O)(-O-R) 2 、-NH-PH(=O)-R、-NH-P(=O)(-R)(-O-R)、-NH-P(=O)(-O-R) 2 、-SiH 2 -R、-SiH(-R) 2 、-Si(-R) 3 、-O-SiH 2 -R、-O-SiH(-R) 2 及び-O-Si(-R) 3 が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基ま はヘテロ環基である。置換基の数は、1~5個 好ましく、1~4個がより好ましく、1~3個がさ に好ましく、1個または2個が最も好ましい。 置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、ア ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリ ールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基 、スルホンアミド基及びウレイド基が好まし く、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、ア ルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基及 びカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲ ン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基 及びアリールオキシ基がさらに好ましく、ハ ロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基が 最も好ましい。

 上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩 原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる

 上記アルキル基は、環状構造或いは分岐 有していてもよい。アルキル基の炭素原子 は、1~20が好ましく、1~12がより好ましく、1~ 6がさらに好ましく、1~4が最も好ましい。ア キル基の例には、メチル、エチル、プロピ 、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、ヘキシ ル、シクロヘキシル、オクチル及び2-エチル キシルが含まれる。上記アルコキシ基は、 状構造或いは分岐を有していてもよい。ア コキシ基の炭素原子数は、1~20が好ましく、 1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~ 4が最も好ましい。アルコキシ基は、さらに のアルコキシ基で置換されていてもよい。 ルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ 2-メトキシエトキシ、2-メトキシ-2-エトキシ トキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシ及 オクチルオキシが含まれる。

 上記アリール基の炭素原子数は、6~20が好 ましく、6~12がさらに好ましい。アリール基 例には、フェニル及びナフチルが含まれる 上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6~20 好ましく、6~12がさらに好ましい。アリール オキシ基の例には、フェノキシ及びナフトキ シが含まれる。上記アシル基の炭素原子数は 、1~20が好ましく、1~12がさらに好ましい。ア ル基の例には、ホルミル、アセチル及びベ ゾイルが含まれる。上記カルボンアミド基 炭素原子数は、1~20が好ましく、1~12がさら 好ましい。カルボンアミド基の例には、ア トアミド及びベンズアミドが含まれる。上 スルホンアミド基の炭素原子数は、1~20が好 しく、1~12がさらに好ましい。スルホンアミ ド基の例には、メタンスルホンアミド、ベン ゼンスルホンアミド及びp-トルエンスルホン ミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素原 数は、1~20が好ましく、1~12がさらに好まし 。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが 含まれる。

 上記アラルキル基の炭素原子数は、7~20が 好ましく、7~12がさらに好ましい。アラルキ 基の例には、ベンジル、フェネチル及びナ チルメチルが含まれる。上記アルコキシカ ボニル基の炭素原子数は、1~20が好ましく、2 ~12がさらに好ましい。アルコキシカルボニル 基の例には、メトキシカルボニルが含まれる 。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原 子数は、7~20が好ましく、7~12がさらに好まし 。アリールオキシカルボニル基の例には、 ェノキシカルボニルが含まれる。上記アラ キルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8 ~20が好ましく、8~12がさらに好ましい。アラ キルオキシカルボニル基の例には、ベンジ オキシカルボニルが含まれる。上記カルバ イル基の炭素原子数は、1~20が好ましく、1~12 がさらに好ましい。カルバモイル基の例には 、(無置換)カルバモイル及びN-メチルカルバ イルが含まれる。上記スルファモイル基の 素原子数は、20以下が好ましく、12以下がさ に好ましい。スルファモイル基の例には、( 無置換)スルファモイル及びN-メチルスルファ モイルが含まれる。上記アシルオキシ基の炭 素原子数は、1~20が好ましく、2~12がさらに好 しい。アシルオキシ基の例には、アセトキ 及びベンゾイルオキシが含まれる。

 上記アルケニル基の炭素原子数は、2~20が 好ましく、2~12がさらに好ましい。アルケニ 基の例には、ビニル、アリル及びイソプロ ニルが含まれる。上記アルキニル基の炭素 子数は、2~20が好ましく、2~12がさらに好まし い。アルキニル基の例には、チエニルが含ま れる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子 数は、1~20が好ましく、1~12がさらに好ましい 上記アリールスルホニル基の炭素原子数は 6~20が好ましく、6~12がさらに好ましい。上 アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数 、1~20が好ましく、1~12がさらに好ましい。上 記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数 は、6~20が好ましく、6~12がさらに好ましい。 記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子 は、1~20が好ましく、1~12がさらに好ましい 上記アリールオキシスルホニル基の炭素原 数は、6~20が好ましく、6~12がさらに好ましい 。

 本発明に係るセルロースエステルにおい 、セルロースの水酸基部分の水素原子が脂 族アシル基との脂肪酸エステルであるとき 脂肪族アシル基は炭素原子数が2~20で、具体 的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、 イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキ サノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステ アロイル等が挙げられる。

 本発明において前記脂肪族アシル基とは さらに置換基を有するものも包含する意味 あり、置換基としては上述の芳香族アシル において、芳香族環がベンゼン環であると 、ベンゼン環の置換基として例示したもの 挙げられる。

 また、上記セルロースエステルのエステ 化された置換基が芳香環であるとき、芳香 環に置換する置換基Xの数は0または1~5個で り、好ましくは1~3個で、特に好ましいのは1 たは2個である。さらに芳香族環に置換する 置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも なっていてもよいが、また、互いに連結し 縮合多環化合物(例えば、ナフタレン、イン ン、インダン、フェナントレン、キノリン イソキノリン、クロメン、クロマン、フタ ジン、アクリジン、インドール、インドリ 等)を形成してもよい。

 上記セルロースエステルにおいて置換も くは無置換の脂肪族アシル基、置換もしく 無置換の芳香族アシル基の少なくともいず か1種選択された構造を有する構造を有する ことが本発明に係るセルロースエステルに用 いる構造として用いられ、これらは、セルロ ースの単独または混合酸エステルでもよく、 2種以上のセルロースエステルを混合して用 てもよい。

 本発明に係るセルロースエステルとして 、セルロースアセテート、セルロースプロ オネート、セルロースブチレート、セルロ スペンタネート、セルロースアセテートプ ピオネート、セルロースアセテートブチレ ト、セルロースアセテートペンタネート、 ルロースアセテートフタレート及びセルロ スフタレートから選ばれる少なくとも1種が 好ましい。

 β-1,4-グリコシド結合でセルロースを構成 しているグルコース単位は、2位、3位および6 位に遊離の水酸基を有している。本発明にお けるセルロースエステルは、これらの水酸基 の一部または全部をアシル基によりエステル 化した重合体(ポリマー)である。置換度とは 繰り返し単位の2位、3位および6位について セルロースがエステル化している割合の合 を表す。具体的には、セルロースの2位、3 および6位のそれぞれの水酸基が100%エステル 化した場合をそれぞれ置換度1とする。した って、セルロースの2位、3位および6位のす てが100%エステル化した場合、置換度は最大 3となる。なお、アシル基の置換度は、ASTM-D 817に規定の方法により求めることができる。

 混合脂肪酸エステルの置換度として、さら 好ましいセルロースエステルは炭素原子数2 ~5のアシル基を置換基として有し、アセチル の置換度をAとし、炭素数3~5のアシル基の置 換度の総和をBとした時、下記式(1)~(3)を同時 満たすセルロースエステルを含むセルロー 樹脂である。
式(1) 2.4≦A+B<3.0
式(2) 0≦A≦2.4
式(3) 0.1≦B<3.0
 この内、特にセルロースアセテートプロピ ネートが好ましく用いられ、中でも1.00≦A 2.20であり、0.50≦B≦2.00が好ましい。より好 しくは1.20≦A≦2.00であり、0.70≦B≦1.70であ 。上記アシル基で置換されていない部分は 常水酸基として存在しているのものである これらは公知の方法で合成することができ 。

 さらに、本発明で用いられるセルロース ステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量M n比が1.5~5.5のものが好ましく用いられ、特に ましくは2.0~4.0である。

 本発明に係るセルロースエステルは、50,0 00~150,000の数平均分子量(Mn)を有することが好 しく、55,000~120,000の数平均分子量を有する とが更に好ましく、60,000~100,000の数平均分子 量を有することが最も好ましい。

 なお、Mn及びMw/Mnは下記の要領で、ゲルパー ミエーションクロマトグラフィーにより算出 した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:テトヒドロフラン
装置:HLC-8220(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM-M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1質量%
注入量:10μl
流量:0.6ml/min
校正曲線:標準ポリスチレン:PS-1(Polymer Laborato ries社製)Mw=2,560,000~580迄の9サンプルによる校 曲線を使用した。

 本発明で用いられるセルロースエステル 原料セルロースは、木材パルプでも綿花リ ターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広 樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい 製膜の際の剥離性の点からは綿花リンター 好ましく用いられる。これらから作られた ルロースエステルは適宜混合して、或いは 独で使用することができる。

 例えば、綿花リンター由来セルロースエ テル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエ テル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエ テルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、 20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15 40:30:30で用いることができる。

 セルロースエステルは、例えば、原料セ ロースの水酸基を無水酢酸、無水プロピオ 酸及び/または無水酪酸を用いて常法により アセチル基、プロピオニル基及び/またはブ ル基を上記の範囲内に置換することで得ら る。このようなセルロースエステルの合成 法は、特に限定はないが、例えば、特開平10 -45804号或いは特表平6-501040号に記載の方法を 考にして合成することができる。

 本発明に用いられるセルロースエステル アルカリ土類金属含有量は、1~50ppmの範囲で あることが好ましい。50ppmを超えるとリップ 着汚れが増加或いは熱延伸時や熱延伸後で スリッティング部で破断しやすくなる。1ppm 未満でも破断しやすくなるがその理由はよく 分かっていない。1ppm未満にするには洗浄工 の負担が大きくなり過ぎるためその点でも ましくない。更に1~30ppmの範囲が好ましい。 こでいうアルカリ土類金属とはCa、Mgの総含 有量のことであり、X線光電子分光分析装置(X PS)を用いて測定することができる。

 本発明に用いられるセルロースエステル の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1~45p pmの範囲であることが好ましい。これらは塩 形で含有していると考えられる。残留硫酸 有量が45ppmを超えると熱溶融時のダイリッ 部の付着物が増加するため好ましくない。 た、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティン の際に破断しやすくなるため好ましくない 少ない方が好ましいが、0.1未満とするには ルロースエステルの洗浄工程の負担が大き なり過ぎるため好ましくないだけでなく、 に破断しやすくなることがあり好ましくな 。これは洗浄回数が増えることが樹脂に影 を与えているのかもしれないがよく分かっ いない。更に1~30ppmの範囲が好ましい。残留 酸含有量は、ASTM-D817に規定の方法に準じて 定することができる。

 本発明に用いられるセルロースエステル の遊離酸含有量は、1~500ppmであることが好 しい。500ppmを超えるとダイリップ部の付着 が増加し、また破断しやすくなる。洗浄で1p pm未満にすることは困難である。更に1~100ppm 範囲であることが好ましく、更に破断しに くなる。特に1~70ppmの範囲が好ましい。遊離 含有量はASTM-D817に規定の方法に準じて測定 ることができる。

 合成したセルロースエステルの洗浄を、 液流延法に用いられる場合に比べて、さら 十分に行うことによって、残留酸含有量を 記の範囲とすることができ、溶融流延法に ってフィルムを製造する際に、リップ部へ 付着が軽減され、平面性に優れるフィルム 得られ、寸法変化、機械強度、透明性、耐 湿性、後述するリターデーション値が良好 フィルムを得ることができる。また、セル ースエステルの洗浄は、水に加えて、メタ ール、エタノールのような貧溶媒、或いは 果として貧溶媒であれば貧溶媒と良溶媒の 合溶媒を用いることができ、残留酸以外の 機物、低分子の有機不純物を除去すること できる。さらに、セルロースエステルの洗 は、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノ ル、リン系化合物(ホスファイト、ホスホナ イト等)といった酸化防止剤の存在下で行う とが好ましく、セルロースエステルの耐熱 、製膜安定性が向上する。

 また、セルロースエステルの耐熱性、機 物性、光学物性等を向上させるため、セル ースエステルの良溶媒に溶解後、貧溶媒中 再沈殿させ、セルロースエステルの低分子 成分、その他不純物を除去することができ 。この時、前述のセルロースエステルの洗 同様に、酸化防止剤の存在下で行うことが ましい。

 さらに、セルロースエステルの再沈殿処 の後、別のポリマー或いは低分子化合物を 加してもよい。

 本発明では、セルロースエステル樹脂の か、セルロースエーテル系樹脂、ビニル系 脂(ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアル コール系樹脂なども含む)、環状オレフィン 脂、ポリエステル系樹脂(芳香族ポリエステ 、脂肪族ポリエステル、若しくはそれらを む共重合体)、アクリル系樹脂(共重合体も む)などを含有させることができる。セルロ スエステル以外の樹脂の含有量としては0.1~ 30質量%が好ましい。

 また、本発明で用いられるセルロースエ テルはフィルムにした時の輝点異物が少な ものであることが好ましい。輝点異物とは 2枚の偏光板を直交に配置し(クロスニコル) この間にセルロースエステル光学フィルム 配置して、一方の面から光源の光を当てて もう一方の面からセルロースエステル光学 ィルムを観察した時に、光源の光が漏れて える点のことである。このとき評価に用い 偏光板は輝点異物がない保護フィルムで構 されたものであることが望ましく、偏光子 保護にガラス板を使用したものが好ましく いられる。輝点異物はセルロースエステル 含まれる未アシル化若しくは低アシル度の ルロースがその原因の1つと考えられ、輝点 異物の少ないセルロースエステルを用いる( 換度の分散の小さいセルロースエステルを いる)ことと、溶融したセルロースエステル 濾過すること、或いはセルロースエステル 合成後期の過程や沈殿物を得る過程の少な ともいずれかにおいて、一度溶液状態とし 同様に濾過工程を経由して輝点異物を除去 ることもできる。

 しかし、このような微細な異物は溶融濾 では完全に取りきれないことがあるが、本 明者らはセルロースエステルに特定のアミ 構造をもつポリマーと、炭素ラジカル捕捉 、フェノール系化合物、及びリン系化合物 らなる群から選択される少なくとも1種の化 合物を混合させて溶融製膜することにより、 輝点異物の発生を大幅に低減できることを見 出した。原因は明らかではないが、輝点異物 の原因となる低アシル化物を十分に融解させ たことが推定される。

 フィルム膜厚が薄くなるほど単位面積当た の輝点異物数は少なくなり、フィルムに含 れるセルロースエステルの含有量が少なく るほど輝点異物は少なくなる傾向があるが 輝点異物は、輝点の直径0.01mm以上が200個/cm 2 以下であることが好ましく、更に100個/cm 2 以下であることが好ましく、50個/cm 2 以下であることが好ましく、30個/cm 2 以下であることが好ましく、10個/cm 2 以下であることが好ましいが、皆無であるこ とが最も好ましい。また、0.005~0.01mm以下の輝 点についても200個/cm 2 以下であることが好ましく、更に100個/cm 2 以下であることが好ましく、50個/cm 2 以下であることが好ましく、30個/cm 2 以下であることが好ましく、10個/cm 2 以下であることが好ましいが、皆無であるこ とが最も好ましい。

 輝点異物を溶融濾過によって除去する場 、セルロースエステルを単独で溶融させた のを濾過するよりも可塑剤、劣化防止剤等 添加混合した組成物を濾過することが輝点 物の除去効率が高く好ましい。もちろん、 ルロースエステルの合成の際に溶媒に溶解 せて濾過により低減させてもよい。紫外線 収剤、その他の添加物も適宜混合したもの 濾過することができる。溶融濾過はセルロ スエステルを含む溶融物の粘度が10000Pa・s 下で濾過されることが好ましく、更に好ま くは5000Pa・s以下が好ましく、1000Pa・s以下で あることが更に好ましく、500Pa・s以下である ことが更に好ましい。濾材としては、ガラス 繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチ レン樹脂などの弗素樹脂等の従来公知のもの が好ましく用いられるが、特にセラミックス 、金属等が好ましく用いられる。絶対濾過精 度としては50μm以下のものが好ましく用いら 、30μm以下のものが更に好ましく、10μm以下 のものが更に好ましく、5μm以下のものが更 好ましく用いられる。これらは適宜組み合 せて使用することもできる。濾材はサーフ ースタイプでもデプスタイプでも用いるこ ができるが、デプスタイプの方が比較的目 まりしにくく好ましく用いられる。

 別の実施態様では、原料のセルロースエ テルは少なくとも一度溶媒に溶解させる、 たは、溶媒中で懸濁洗浄した後、溶媒を乾 させたセルロースエステルを用いても良い その際には可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防 剤、酸化防止剤及びマット剤の少なくとも1 つ以上と共に溶媒に溶解させてもよい。溶媒 としては、メチレンクロライド、酢酸メチル 、ジオキソラン等の溶液流延法で用いられる 良溶媒を用いてもよく、またメタノール、エ タノール、ブタノール等の貧溶媒を用いても よく、これらの混合溶媒でも良い。溶解の過 程で-20℃以下に冷却したり、80℃以上に加熱 たりしても良い。このようなセルロースエ テルを用いると、溶融状態にした時の各添 物を均一にしやすく、光学特性を均一にで ることがある。

 (可塑剤)
 本発明のセルロースエステル光学フィルム 、可塑剤として、多価アルコールと1価のカ ルボン酸からなるエステル系可塑剤の少なく とも1種を含有させることが好ましく、特に 記一般式(6)で表される有機酸と3価以上のア コールが縮合した構造を有するエステル化 物を、可塑剤として1~25質量%含有すること 好ましい。1質量%よりも少ないと可塑剤を添 加する効果が認められず、25質量%よりも多い とブリードアウトが発生しやすくなり、フィ ルムの経時安定性が低下するために好ましく ない。より好ましくは上記可塑剤を3~20質量% 有するセルロースエステル光学フィルムで り、さらに好ましくは5~15質量%含有するセ ロースエステル光学フィルムである。

 可塑剤とは、一般的には高分子中に添加 ることによって脆弱性を改良したり、柔軟 を付与したりする効果のある添加剤である 、本発明においては、セルロースエステル 独での溶融温度よりも溶融温度を低下させ ため、また同じ加熱温度においてセルロー 樹脂単独よりも可塑剤を含むフィルム組成 の溶融粘度を低下させるために、可塑剤を 加する。また、セルロースエステルの親水 を改善し、光学フィルムの透湿度改善する めにも添加されるため透湿防止剤としての 能を有する。

 ここで、フィルム組成物の溶融温度とは 該材料が加熱され流動性が発現された状態 温度を意味する。セルロースエステルを溶 流動させるためには、少なくともガラス転 温度よりも高い温度に加熱する必要がある ガラス転移温度以上においては、熱量の吸 により弾性率或いは粘度が低下し、流動性 発現される。しかしセルロースエステルで 高温下では溶融と同時に熱分解によってセ ロースエステルの分子量の低下が発生し、 られるフィルムの力学特性等に悪影響を及 すことがあるため、なるべく低い温度でセ ロースエステルを溶融させる必要がある。 ィルム組成物の溶融温度を低下させるため は、セルロースエステルのガラス転移温度 りも低い融点またはガラス転移温度をもつ 塑剤を添加することで達成することができ 。本発明に用いられる、下記一般式(6)で表 れる有機酸と多価アルコールが縮合した構 を有する多価アルコールエステル系可塑剤 、セルロースエステルの溶融温度を低下さ 、溶融製膜プロセスや製造後にも揮発性が さく工程適性が良好であり、かつ得られる ルロースエステルフィルムの光学特性・寸 安定性・平面性が良好となる点で優れてい 。

 一般式(6)において、R 71 ~R 75 は水素原子またはシクロアルキル基、アラル キル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基 、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、 アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカル ボニル基、オキシカルボニルオキシ基を表し 、これらはさらに置換基を有していて良く、 Lは2価の連結基を表し、置換または無置換の ルキレン基、酸素原子、または直接結合を す。

 R 71 ~R 75 で表されるシクロアルキル基としては、同様 に炭素数3~8のシクロアルキル基が好ましく、 具体的にはシクロプロピル、シクロペンチル 、シクロヘキシル等の基である。これらの基 は置換されていてもよく、好ましい置換基と しては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、 臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、 アルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキ シ基、アラルキル基(このフェニル基にはア キル基またはハロゲン原子等によってさら 置換されていてもよい)、ビニル基、アリル 等のアルケニル基、フェニル基(このフェニ ル基にはアルキル基またはハロゲン原子等に よってさらに置換されていてもよい)、フェ キシ基(このフェニル基にはアルキル基また ハロゲン原子等によってさらに置換されて てもよい)、アセチル基、プロピオニル基等 の炭素数2~8のアシル基、またアセチルオキシ 基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2~8の無 置換のカルボニルオキシ基等が挙げられる。

 R 71 ~R 75 で表されるアラルキル基としては、ベンジル 基、フェネチル基、γ-フェニルプロピル基等 の基を表し、また、これらの基は置換されて いてもよく、好ましい置換基としては、前記 のシクロアルキル基に置換してもよい基を同 様に挙げることができる。

 R 71 ~R 75 で表されるアルコキシ基としては、炭素数1~8 のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メ トキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキ 、n-オクチルオキシ、イソプロポキシ、イソ ブトキシ、2-エチルヘキシルオキシ、もしく t-ブトキシ等の各アルコキシ基である。ま 、これらの基は置換されていてもよく、好 しい置換基としては、ハロゲン原子、例え 、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒ ロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコ シ基、アラルキル基(このフェニル基にはア キル基またはハロゲン原子等を置換してい もよい)、アルケニル基、フェニル基(この ェニル基にはアルキル基またはハロゲン原 等によってさらに置換されていてもよい)、 リールオキシ基(例えばフェノキシ基(この ェニル基にはアルキル基またはハロゲン原 等によってさらに置換されていてもよい))、 アセチル基、プロピオニル基等のアシル基が 、またアセチルオキシ基、プロピオニルオキ シ基等の炭素数2~8の無置換のアシルオキシ基 、またベンゾイルオキシ基等のアリールカル ボニルオキシ基が挙げられる。

 R 71 ~R 75 で表されるシクロアルコキシ基としては、無 置換のシクロアルコキシ基としては炭素数1~8 のシクロアルコキシ基基が挙げられ、具体的 には、シクロプロピルオキシ、シクロペンチ ルオキシ、シクロヘキシルオキシ等の基が挙 げられる。また、これらの基は置換されてい てもよく、好ましい置換基としては、前記の シクロアルキル基に置換してもよい基を同様 に挙げることができる。

 R 71 ~R 75 で表されるアリールオキシ基としては、フェ ノキシ基が挙げられるが、このフェニル基に はアルキル基またはハロゲン原子等前記シク ロアルキル基に置換してもよい基として挙げ られた置換基で置換されていてもよい。

 R 71 ~R 75 で表されるアラルキルオキシ基としては、ベ ンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等が挙 げられ、これらの置換基は更に置換されてい てもよく、好ましい置換基としては、前記の シクロアルキル基に置換してもよい基を同様 に挙げることができる。

 R 51 ~R 55 で表されるアシル基としては、アセチル基、 プロピオニル基等の炭素数2~8の無置換のアシ ル基が挙げられ(アシル基の炭化水素基とし は、アルキル、アルケニル、アルキニル基 含む。)、これらの置換基は更に置換されて てもよく、好ましい置換基としては、前記 シクロアルキル基に置換してもよい基を同 に挙げることができる。

 R 71 ~R 75 で表されるカルボニルオキシ基としては、ア セチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の 炭素数2~8の無置換のアシルオキシ基(アシル の炭化水素基としては、アルキル、アルケ ル、アルキニル基を含む。)、またベンゾイ オキシ基等のアリールカルボニルオキシ基 挙げられるが、これらの基は更に前記シク アルキル基に置換してもよい基と同様の基 より置換されていてもよい。

 R 71 ~R 75 で表されるオキシカルボニル基としては、メ トキシカルボニル基、エトキシカルボニル基 、プロピルオキシカルボニル基等のアルコキ シカルボニル基、またフェノキシカルボニル 基等のアリールオキシカルボニル基を表す。 これらの置換基は更に置換されていてもよく 、好ましい置換基としては、前記のシクロア ルキル基に置換してもよい基を同様に挙げる ことができる。

 また、R 71 ~R 75 で表されるオキシカルボニルオキシ基として は、メトキシカルボニルオキシ基等の炭素数 1~8のアルコキシカルボニルオキシ基を表し、 これらの置換基は更に置換されていてもよく 、好ましい置換基としては、前記のシクロア ルキル基に置換してもよい基を同様に挙げる ことができる。

 なおR 71 ~R 75 のうちのいずれか同士で互いに連結し、環構 造を形成していても良い。

 また、Lで表される連結基としては、置換ま たは無置換のアルキレン基、酸素原子、また は直接結合を表すが、アルキレン基としては 、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等 の基であり、これらの基は、更に前記のR 71 ~R 75 で表される基に置換してもよい基としてあげ られた基で置換されていてもよい。

 中でも、Lで表される連結基として特に好 ましいのは直接結合であり芳香族カルボン酸 である。

 なお本発明においては3価以上のアルコー ルの水酸基を置換する有機酸は単一種であっ ても複数種であってもよい。

 本発明において、前記一般式(6)で表され 有機酸と反応して多価アルコールエステル 合物を形成する3価以上のアルコール化合物 としては、好ましくは3~20価の脂肪族多価ア コールであり、本発明おいて3価以上のアル ールは下記の一般式(7)で表されるものが好 しい。

 一般式(7) R″-(OH)m
 式中、R″はm価の有機基、mは3以上の正の整 数、OH基はアルコール性水酸基を表す。特に ましいのは、mとしては3または4の多価アル ールである。

 好ましい多価アルコールの例としては、 えば以下のようなものを挙げることができ が、本発明はこれらに限定されるものでは い。アドニトール、アラビトール、1,2,4-ブ ントリオール、1,2,3-ヘキサントリオール、1 ,2,6-ヘキサントリオール、グリセリン、ジグ セリン、エリスリトール、ペンタエリスリ ール、ジペンタエリスリトール、トリペン エリスリトール、ガラクチトール、グルコ ス、セロビオース、イノシトール、マンニ ール、3-メチルペンタン-1,3,5-トリオール、 ナコール、ソルビトール、トリメチロール ロパン、トリメチロールエタン、キシリト ル等を挙げることができる。特に、グリセ ン、トリメチロールエタン、トリメチロー プロパン、ペンタエリスリトールが好まし 。

 一般式(6)で表される有機酸と3価以上の多 価アルコールのエステルは、公知の方法によ り合成できる。前記一般式(6)で表される有機 酸と、多価アルコールを例えば、酸の存在下 縮合させエステル化する方法、また、有機酸 を予め酸クロライド或いは酸無水物としてお き、多価アルコールと反応させる方法、有機 酸のフェニルエステルと多価アルコールを反 応させる方法等があり、目的とするエステル 化合物により、適宜、収率のよい方法を選択 することが好ましい。

 一般式(6)で表される有機酸と3価以上の多 価アルコールのエステルからなる可塑剤とし ては、下記一般式(8)で表される化合物が好ま しい。

 一般式(8)において、R 81 ~R 85 は水素原子またはシクロアルキル基、アラル キル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基 、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、 アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカル ボニル基、オキシカルボニルオキシ基を表し 、これらはさらに置換基を有していて良い。 また、R 86 はアルキル基を表す。

 R 81 ~R 85 のシクロアルキル基、アラルキル基、アルコ キシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキ シ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カル ボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキ シカルボニルオキシ基については、前記R 71 ~R 75 と同様の基が挙げられる。

 この様にして得られる多価アルコールエ テルの分子量には特に制限はないが、300~150 0であることが好ましく、400~1000であることが 更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難 くなるため好ましく、透湿性、セルロースエ ステルとの相溶性の点では小さい方が好まし い。

 以下に、本発明に係わる多価アルコール ステルの具体的化合物を例示する。

 本発明のセルロースエステル光学フィル は、他の可塑剤と併用してもよい。

 本発明に好ましい可塑剤である前記一般 (6)で表される有機酸と3価以上の多価アルコ ールからなるエステル化合物は、セルロース エステルに対する相溶性が高く、高添加率で 添加することができる特徴があるため、他の 可塑剤や添加剤を併用してもブリードアウト を発生することがなく、必要に応じて他種の 可塑剤や添加剤を容易に併用することができ る。

 なお他の可塑剤を併用する際には、前記 般式(6)で表される有機酸と3価以上の多価ア ルコールからなるエステル化合物が、可塑剤 全体の少なくとも50質量%以上含有されること が好ましい。より好ましくは70%以上、さらに 好ましくは80%以上含有されることが好ましい 。このような範囲で用いれば、他の可塑剤と の併用によっても、溶融流延時のセルロール エステルフィルムの平面性を向上させること ができるという、一定の効果を得ることがで きる。

 好ましい他の可塑剤として下記の可塑剤 挙げられる。

 多価アルコールエステル系の一つである チレングリコールエステル系の可塑剤:具体 的には、エチレングリコールジアセテート、 エチレングリコールジブチレート等のエチレ ングリコールアルキルエステル系の可塑剤、 エチレングリコールジシクロプロピルカルボ キシレート、エチレングリコールジシクロヘ キルカルボキシレート等のエチレングリコー ルシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチ レングリコールジベンゾエート、エチレング リコールジ4-メトキシベンゾエート等のエチ ングリコールアリールエステル系の可塑剤 挙げられる。これらアルキレート基、シク アルキレート基、アリレート基は、同一で あっても異なっていてもよく、更に置換さ ていてもよい。またアルキレート基、シク アルキレート基、アリレート基のミックス もよく、またこれら置換基同志が共有結合 結合していてもよい。更にエチレングリコ ル部も置換されていてもよく、エチレング コールエステルの部分構造が、ポリマーの 部、或いは規則的にペンダントされていて よく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線 収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入さ ていてもよい。

 多価アルコールエステル系の一つである リセリンエステル系の可塑剤:具体的にはト リアセチン、トリブチリン、グリセリンジア セテートカプリレート、グリセリンオレート プロピオネート等のグリセリンアルキルエス テル、グリセリントリシクロプロピルカルボ キシレート、グリセリントリシクロヘキシル カルボキシレート等のグリセリンシクロアル キルエステル、ジグリセリンテトラアセチレ ート、ジグリセリンテトラプロピオネート、 ジグリセリンアセテートトリカプリレート、 ジグリセリンテトララウレート、等のジグリ セリンアルキルエステル、ジグリセリンテト ラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセ リンテトラシクロペンチルカルボキシレート 等のジグリセリンシクロアルキルエステル等 が挙げられる。これらアルキレート基、シク ロアルキルカルボキシレート基は同一でもあ っても異なっていてもよく、更に置換されて いてもよい。またアルキレート基、シクロア ルキルカルボキシレート基、アリレート基の ミックスでもよく、またこれら置換基同志が 共有結合で結合していてもよい。更にグリセ リン、ジグリセリン部も置換されていてもよ く、グリセリンエステル、ジグリセリンエス テルの部分構造がポリマーの一部、或いは規 則的にペンダントされていてもよく、また酸 化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加 剤の分子構造の一部に導入されていてもよい 。

 その他の多価アルコールエステル系の可 剤としては、具体的には特開2003-12823号公報 の段落30~33記載の多価アルコールエステル系 塑剤が挙げられる。

 多価カルボン酸エステル系の一つである カルボン酸エステル系の可塑剤:具体的には 、ジドデシルマロネート(C1)、ジオクチルア ペート(C4)、ジブチルセバケート(C8)等のアル キルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑 剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシク ロヘキシルアジーペート等のアルキルジカル ボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、 ジフェニルサクシネート、ジ4-メチルフェニ グルタレート等のアルキルジカルボン酸ア ールエステル系の可塑剤、ジヘキシル-1,4- クロヘキサンジカルボキシレート、ジデシ ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレ ト等のシクロアルキルジカルボン酸アルキ エステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル-1,2- シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロ プロピル-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレ ト等のシクロアルキルジカルボン酸シクロ ルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル-1,1 -シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2-ナ フチル-1,4-シクロヘキサンジカルボキシレー 等のシクロアルキルジカルボン酸アリール ステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、 メチルフタレート、ジオクチルフタレート ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシル タレート等のアリールジカルボン酸アルキ エステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフ レート、ジシクロヘキシルフタレート等の リールジカルボン酸シクロアルキルエステ 系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ4- チルフェニルフタレート等のアリールジカ ボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げ れる。これらアルコキシ基、シクロアルコ シ基は、同一でもあっても異なっていても く、また一置換でもよく、これらの置換基 更に置換されていてもよい。アルキル基、 クロアルキル基はミックスでもよく、また れら置換基同志が共有結合で結合していて よい。更にフタル酸の芳香環も置換されて てよく、ダイマー、トリマー、テトラマー の多量体でもよい。またフタル酸エステル 部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則 にポリマーへペンダントされていてもよく 酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の 加剤の分子構造の一部に導入されていても い。

 その他の多価カルボン酸エステル系の可 剤としては、具体的にはトリドデシルトリ ルバレート、トリブチル-meso-ブタン-1,2,3,4- トラカルボキシレート等のアルキル多価カ ボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリ クロヘキシルトリカルバレート、トリシク プロピル-2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカ ルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸 シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフ ェニル2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボ キシレート、テトラ3-メチルフェニルテトラ ドロフラン-2,3,4,5-テトラカルボキシレート のアルキル多価カルボン酸アリールエステ 系の可塑剤、テトラヘキシル-1,2,3,4-シクロ タンテトラカルボキシレート、テトラブチ -1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボキシレ ト等のシクロアルキル多価カルボン酸アル ルエステル系の可塑剤、テトラシクロプロ ル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボキシレ ト、トリシクロヘキシル-1,3,5-シクロヘキシ ルトリカルボキシレート等のシクロアルキル 多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の 可塑剤、トリフェニル-1,3,5-シクロヘキシル リカルボキシレート、ヘキサ4-メチルフェニ ル-1,2,3,4,5,6-シクロヘキシルヘキサカルボキ レート等のシクロアルキル多価カルボン酸 リールエステル系の可塑剤、トリドデシル ンゼン-1,2,4-トリカルボキシレート、テトラ クチルベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボキシレ ト等のアリール多価カルボン酸アルキルエ テル系の可塑剤、トリシクロペンチルベン ン-1,3,5-トリカルボキシレート、テトラシク ロヘキシルベンゼン-1,2,3,5-テトラカルボキシ レート等のアリール多価カルボン酸シクロア ルキルエステル系の可塑剤トリフェニルベン ゼン-1,3,5-テトラカルトキシレート、ヘキサ4- メチルフェニルベンゼン-1,2,3,4,5,6-ヘキサカ ボキシレート等のアリール多価カルボン酸 リールエステル系の可塑剤が挙げられる。 れらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は 同一でもあっても異なっていてもよく、ま 1置換でもよく、これらの置換基は更に置換 れていてもよい。アルキル基、シクロアル ル基はミックスでもよく、またこれら置換 同志が共有結合で結合していてもよい。更 フタル酸の芳香環も置換されていてよく、 イマー、トリマー、テトラマー等の多量体 もよい。またフタル酸エステルの部分構造 ポリマーの一部、或いは規則的にポリマー ペンダントされていてもよく、酸化防止剤 酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子 造の一部に導入されていてもよい。

 上記多価カルボン酸と1価のアルコールか らなるエステル系可塑剤の中では、ジアルキ ルカルボン酸アルキルエステルが好ましく、 具体的には上記のジオクチルアジペート、ト リデシルトリカルバレートが挙げられる。

 本発明に用いられる可塑剤としては、更 リン酸エステル系可塑剤、炭水化物エステ 系可塑剤、ポリマー可塑剤等が挙げられる

 リン酸エステル系の可塑剤:具体的には、 トリアセチルホスフェート、トリブチルホス フェート等のリン酸アルキルエステル、トリ シクロベンチルホスフェート、シクロヘキシ ルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエ ステル、トリフェニルホスフェート、トリク レジルホスフェート、クレジルフェニルホス フェート、オクチルジフェニルホスフェート 、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリ オクチルホスフェート、トリブチルホスフェ ート、トリナフチルホスフェート、トリキシ リルオスフェート、トリスオルト-ビフェニ ホスフェート等のリン酸アリールエステル 挙げられる。これらの置換基は同一でもあ ても異なっていてもよく、更に置換されて てもよい。またアルキル基、シクロアルキ 基、アリール基のミックスでもよく、また 換基同志が共有結合で結合していてもよい

 またエチレンビス(ジメチルホスフェート )、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等の アルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、 チレンビス(ジフェニルホスフェート)、プ ピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のア ルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フ ニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフ ニレンビス(ジオクチルホスフェート)等のア リーレンビス(ジアルキルホスフェート)、フ ニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ナ チレンビス(ジトルイルホスフェート)等のア リーレンビス(ジアリールホスフェート)等の ン酸エステルが挙げられる。これらの置換 は同一でもあっても異なっていてもよく、 に置換されていてもよい。またアルキル基 シクロアルキル基、アリール基のミックス もよく、また置換基同志が共有結合で結合 ていてもよい。

 更にリン酸エステルの部分構造が、ポリ ーの一部、或いは規則的にペンダントされ いてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、 外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に 入されていてもよい。上記化合物の中では リン酸アリールエステル、アリーレンビス( ジアリールホスフェート)が好ましく、具体 にはトリフェニルホスフェート、フェニレ ビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。

 炭水化物エステル系可塑剤:炭水化物とは 、糖類がピラノース又はフラノース(6員環又 5員環)の形態で存在する単糖類、二糖類又 三糖類を意味する。炭水化物の非限定的例 しては、グルコース、サッカロース、ラク ース、セロビオース、マンノース、キシロ ス、リボース、ガラクトース、アラビノー 、フルクトース、ソルボース、セロトリオ ス及びラフィノースなどが挙げられる。炭 化物エステルとは、炭水化物の水酸基とカ ボン酸が脱水縮合してエステル化合物を形 したものを指し、詳しくは、炭水化物の脂 族カルボン酸エステル、或いは芳香族カル ン酸エステルを意味する。脂肪族カルボン として、例えば酢酸、プロピオン酸等を挙 ることができ、芳香族カルボン酸として、 えば安息香酸、トルイル酸、アニス酸等を げることができる。炭水化物は、その種類 応じた水酸基の数を有するが、水酸基の一 とカルボン酸が反応してエステル化合物を 成しても、水酸基の全部とカルボン酸が反 してエステル化合物を形成してもよい。本 明においては、水酸基の全部とカルボン酸 反応してエステル化合物を形成するのが好 しい。

 炭水化物エステル系可塑剤として、具体 には、グルコースペンタアセテート、グル ースペンタプロピオネート、グルコースペ タブチレート、サッカロースオクタアセテ ト、サッカロースオクタベンゾエート等を ましく挙げることができ、この内、サッカ ースオクタベンゾエートがより好ましい。

 ポリマー可塑剤:具体的には、脂肪族炭化 水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー 、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸 メチル、メタクリル酸メチルとメタクリル酸 -2-ヒドロキシエチルとの共重合体(例えば、 重合比1:99~99:1の間の任意の比率)等のアクリ 系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテ 、ポリN-ビニルピロリドン等のビニル系ポ マー、メタクリル酸メチルとN-ビニルピロリ ドンの共重合体(例えば、共重合比1:99~99:1の の任意の比率)、ポリスチレン、ポリ4-ヒド キシスチレン等のスチレン系ポリマー、メ クリル酸メチルと4-ヒドロキシスチレンの共 重合体(例えば、共重合比1:99~99:1の間の任意 比率)、ポリブチレンサクシネート、ポリエ レンテレフタレート、ポリエチレンナフタ ート等のポリエステル、ポリエチレンオキ ド、ポリプロピレンオキシド等のポリエー ル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレ 等が挙げられる。数平均分子量は1,000~500,000 程度が好ましく、特に好ましくは、5000~200000 ある。1000以下では揮発性が大きくなり、500 000を超えると可塑化能力が低下する傾向があ り、セルロースエステル光学フィルムの機械 的性質に悪影響を及ぼす可能性がある。これ らポリマー可塑剤は1種のモノマーの繰り返 単位からなる単独重合体でも、複数のモノ ーの繰り返し構造体を有する共重合体でも い。また、上記ポリマーを2種以上併用して いてもよい。

 なお本発明のセルロースエステル光学フ ルムは、着色すると光学用途として影響を えるため、好ましくは黄色度(イエローイン デックス、YI)が3.0以下、より好ましくは1.0以 下である。黄色度はJIS-K7103に基づいて測定す ることができる。

 可塑剤は、前述のセルロースエステル同 に、製造時から持ち越される、或いは保存 に発生する残留酸、無機塩、有機低分子等 不純物を除去することが好ましく、より好 しくは純度99%以上である。残留酸、及び水 しては、0.01~100ppmであることが好ましく、 ルロース樹脂を溶融製膜する上で、熱劣化 抑制でき、製膜安定性、フィルムの光学物 、機械物性が向上する。

 (紫外線吸収剤)
 本発明の光学フィルムには、偏光子や表示 置の紫外線に対する劣化防止のために紫外 吸収剤を添加することができ、紫外線吸収 としては、偏光子や表示装置の紫外線に対 る劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫 線の吸収能に優れており、且つ液晶表示性 観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少 ないものが好ましい。

 例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤(フェ ニルサリシレート、p-tert-ブチルサリシレー 等)或いはベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4 -ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2″-ジヒド キシ-4,4″-ジメトキシベンゾフェノン等)、 ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2-(2″-ヒ ロキシ-3″-tert-ブチル-5″-メチルフェニル)- 5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2″-ヒドロ シ-3″,5″-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロ ンゾトリアゾール、2-(2″-ヒドロキシ-3″,5 -ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール 、2-(2″-ヒドロキシ-3″-ドデシル-5″-メチル ェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2″-ヒドロ シ-3″-tert-ブチル-5″-(2-オクチルオキシカ ボニルエチル)-フェニル)-5-クロロベンゾト アゾール、2-(2″-ヒドロキシ-3″-(1-メチル-1- フェニルエチル)-5″-(1,1,3,3-テトラメチルブ ル)-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2″-ヒ ドロキシ-3″,5″-ジ-(1-メチル-1-フェニルエチ ル)-フェニル)ベンゾトリアゾール等)、シア アクリレート系紫外線吸収剤(2″-エチルヘ シル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、 エチル-2-シアノ-3-(3″,4″-メチレンジオキシ ェニル)-アクリレート等)、トリアジン系紫 線吸収剤、或いは特開昭58-185677号、同59-1493 50号記載の化合物、ニッケル錯塩系化合物、 機粉体等が挙げられる。

 本発明に係る紫外線吸収剤としては、透 性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ 果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸 剤やトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく 分光吸収スペクトルがより適切なベンゾト アゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。

 本発明に係る紫外線吸収剤と共に特に好 しく用いられる従来公知のベンゾトリアゾ ル系紫外線吸収剤は、ビス化したものであ てもよく、例えば、6,6″-メチレンビス(2-(2H -ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル))-4-(2,4,4- リメチルペンタン-2-イル)フェノール、6,6″ -メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾー ル-2-イル))-4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール 等が挙げられる。

 また、本発明においては、従来公知の紫 線吸収性ポリマーと組み合わせて用いるこ もできる。従来公知の紫外線吸収性ポリマ としては、特に限定されないが、例えば、R UVA-93(大塚化学社製)を単独重合させたポリマ 及びRUVA-93と他のモノマーとを共重合させた ポリマー等が挙げられる。具体的には、RUVA-9 3とメチルメタクリレートを3:7の比(質量比)で 共重合させたPUVA-30M、5:5の比(質量比)で共重 させたPUVA-50M等が挙げられる。更に、特開200 3-113317号公報に記載のポリマー等が挙げられ 。

 また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109 チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)360、チ ビン(TINUVIN)900、チヌビン(TINUVIN)928(いずれも チバ-スペシャルティ-ケミカルズ社製)、LA-31( 旭電化社製)、RUVA-100(大塚化学社製)、Sumisorb25 0(住友化学社製)を用いることもできる。

 ベンゾフェノン系化合物の具体例として 2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2″-ジ ドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒド ロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン、 ビス(2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイルフ ェニルメタン)等を挙げることができるが、 れらに限定されるものではない。

 本発明においては、紫外線吸収剤は0.1~20 量%添加することが好ましく、更に0.5~10質量 %添加することが好ましく、更に1~5質量%添加 ることが好ましい。これらは2種以上を併用 してもよい。

 (微粒子)
 本発明のセルロースエステル光学フィルム は、滑り性を付与するためにマット剤等の 粒子を添加することができ、微粒子として 、無機化合物の微粒子または有機化合物の 粒子が挙げられる。マット剤はできるだけ 粒子のものが好ましく、微粒子としては、 えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化 ルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カル ウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カル ウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アル ニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カル ウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を げることができる。中でも、二酸化ケイ素 フィルムのヘイズを低くできるので好まし 。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物に り表面処理されている場合が多いが、この うなものはフィルムのヘイズを低下できる め好ましい。

 表面処理で好ましい有機物としては、ハ シラン類、アルコキシシラン類、シラザン シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平 粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反 に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。 た、微粒子の平均粒径は0.005~1.0μmの範囲が ましい。これらは一次粒子であっても二次 子であってもよい。特に好ましい微粒子の 均粒径は5~50nmが好ましく、更に好ましくは7 ~14nmである。平均粒径は、例えば、走査型電 顕微鏡により観察して無作為に粒子200個の 径を測定し、平均粒径を求めることができ 。これらの微粒子はセルロースエステル光 フィルム中では、セルロースエステル光学 ィルム表面に0.01~1.0μmの凹凸を生成させる に好ましく用いられる。微粒子のセルロー エステル中の含有量はセルロースエステル 対して0.005~5質量%が好ましい。

 二酸化ケイ素の微粒子としては、日本ア ロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、3 00、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600、NAX5 0、日本触媒(株)製のSEAHOSTAR KE-P100、SEAHOSTAR K E-P30等を挙げることができ、好ましくはアエ ジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812、NAX50、K E-P100、KE-P30である。これらの微粒子は2種以 併用してもよい。2種以上併用する場合、任 の割合で混合して使用することができる。 の場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、 えば、アエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99. 9~99.9:0.1の範囲で使用できる。

 上記マット剤として用いられるフィルム の微粒子の存在は、別の目的としてフィル の強度向上のために用いることもできる。 た、フィルム中の上記微粒子の存在は、本 明のセルロースエステル光学フィルムを構 するセルロースエステル自身の配向性を向 することも可能である。

 (その他添加剤)
 本発明のセルロースエステル光学フィルム 、添加剤として前述の可塑剤、UV吸収剤、 粒子以外に、更に粘度低下剤、リターデー ョン制御剤、酸掃去剤、染料、顔料等を含 でも構わない。

 (粘度低下剤)
 本発明において、溶融粘度を低減する目的 して、水素結合性溶媒を添加することがで る。水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルア チビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、 島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載 されるように、電気的に陰性な原子(酸素、 素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と 有結合した水素原子間に生ずる、水素原子 介「結合」を生ずることができるような有 溶媒、すなわち、結合モーメントが大きく かつ水素を含む結合、例えば、O-H(酸素水素 結合)、N-H(窒素水素結合)、F-H(フッ素水素結 )を含むことで近接した分子同士が配列でき ような有機溶媒をいう。これらは、セルロ ス樹脂の分子間水素結合よりもセルロース の間で強い水素結合を形成する能力を有す もので、本発明で行う溶融流延法において 、用いるセルロース樹脂単独のガラス転移 度よりも、水素結合性溶媒の添加によりセ ロース樹脂組成物の溶融温度を低下するこ ができる、または同じ溶融温度においてセ ロース樹脂よりも水素結合性溶媒を含むセ ロース樹脂組成物の溶融粘度を低下するこ ができる。

 水素結合性溶媒としては、例えば、アル ール類:例えば、メタノール、エタノール、 プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノ ル、sec-ブタノール、t-ブタノール、2-エチ ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノー 、ノナノール、ドデカノール、エチレング コール、プロピレングリコール、ヘキシレ グリコール、ジプロピレングリコール、ポ エチレングリコール、ポリプロピレングリ ール、メチルセロソルブ、エチルセロソル 、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ グリセリン等、ケトン類:アセトン、メチル チルケトン等、カルボン酸類:例えば蟻酸、 酢酸、プロピオン酸、酪酸等、エーテル類: えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフ ン、ジオキサン等、ピロリドン類:例えば、N -メチルピロリドン等、アミン類:例えば、ト メチルアミン、ピリジン等、等を例示する とができる。これら水素結合性溶媒は、単 で、又は2種以上混合して用いることができ る。これらのうちでも、アルコール、ケトン 、エーテル類が好ましく、特にメタノール、 エタノール、プロパノール、イソプロパノー ル、オクタノール、ドデカノール、エチレン グリコール、グリセリン、アセトン、テトラ ヒドロフランが好ましい。さらに、メタノー ル、エタノール、プロパノール、イソプロパ ノール、エチレングリコール、グリセリン、 アセトン、テトラヒドロフランのような水溶 性溶媒が特に好ましい。ここで水溶性とは、 水100gに対する溶解度が10g以上のものをいう

 (リターデーション制御剤)
 本発明のセルロースエステル光学フィルム おいて配向膜を形成して液晶層を設け、セ ロースエステルフィルムと液晶層由来のリ ーデーションを複合化して光学補償能を付 した偏光板加工を行ってもよい。リターデ ションを制御するために添加する化合物は 欧州特許第911,656A2号明細書に記載されてい ような、二つ以上の芳香族環を有する芳香 化合物をリターデーション制御剤として使 することもできる。また2種類以上の芳香族 化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の 芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、 芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環 であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ 環は一般に不飽和ヘテロ環である。中でも1,3 ,5-トリアジン環を有する化合物が特に好まし い。

 (酸掃去剤)
 酸掃去剤とは製造時から持ち込まれるセル ースエステル中に残留する酸(プロトン酸) トラップする役割を担う剤である。また、 ルロースエステルを溶融するとポリマー中 水分と熱により側鎖の加水分解が促進し、 ルロースアセテートプロピオネートならば 酸やプロピオン酸が生成する。酸と化学的 結合できればよく、エポキシ、3級アミン、 ーテル構造等を有する化合物が挙げられる 、これに限定されるものでない。

 具体的には、米国特許第4,137,201号明細書 記載されている酸掃去剤としてのエポキシ 合物を含んでなるのが好ましい。このよう 酸掃去剤としてのエポキシ化合物は当該技 分野において既知であり、種々のポリグリ ールのジグリシジルエーテル、特にポリグ コール1モル当たりに約8~40モルのエチレン キシドなどの縮合によって誘導されるポリ リコール、グリセロールのジグリシジルエ テルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩 ビニルポリマー組成物において、及び塩化 ニルポリマー組成物と共に、従来から利用 れているもの)、エポキシ化エーテル縮合生 成物、ビスフェノールAのジグリシジルエー ル(即ち、4,4″-ジヒドロキシジフェニルジメ チルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エス ル(特に、2~22この炭素原子の脂肪酸の4~2個程 度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば ブチルエポキシステアレート)など)、及び種 々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドな ど(例えば、エポキシ化大豆油などの組成物 よって代表され、例示され得る、エポキシ 植物油及び他の不飽和天然油(これらは時と てエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和 肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12~2 2個の炭素原子を含有している))が含まれる。 特に好ましいのは、市販のエポキシ基含有エ ポキシド樹脂化合物 EPON 815c、及び一般式(9) の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生 成物である。

 上式中、nは0~12に等しい。用いることが きる更に可能な酸掃去剤としては、特開平5- 194788号公報の段落87~105に記載されているもの が含まれる。

 酸掃去剤は、前述のセルロース樹脂同様 、製造時から持ち越される、或いは保存中 発生する残留酸、無機塩、有機低分子等の 純物を除去することが好ましく、より好ま くは純度99%以上である。残留酸、及び水と ては、0.01~100ppmであることが好ましく、セ ロース樹脂を溶融製膜する上で、熱劣化を 制でき、製膜安定性、フィルムの光学物性 機械物性が向上する。

 なお酸掃去剤は酸捕捉剤、酸捕獲剤、酸 ャッチャー等と称されることもあるが、本 明においてはこれらの呼称による差異なく いることができる。

 (溶融流延法)
 フィルム構成材料は溶融及び製膜工程にお て、揮発成分が少ないまたは発生しないこ が求められる。これは加熱溶融時に発泡し 、フィルム内部の欠陥やフィルム表面の平 性劣化を削減または回避するためである。

 フィルム構成材料が溶融されるときの揮 成分の含有量は、5質量%以下、好ましくは1. 0質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、 さらにより好ましくは0.2質量%以下であるこ が望まれる。本発明においては、示差熱質 測定装置(セイコー電子工業社製TG/DTA200)を用 いて、30℃から250℃までの加熱減量を求め、 の量を揮発成分の含有量としている。

 用いるフィルム構成材料は、前記水分や 記溶媒等に代表される揮発成分を、製膜す 前に、または加熱時に除去することが好ま い。除去する方法は、所謂公知の乾燥方法 適用でき、加熱法、減圧法、加熱減圧法等 方法で行うことができ、空気中または不活 ガスとして窒素を選択した雰囲気下で行っ もよい。これらの公知の乾燥方法を行うと 、フィルム構成材料が分解しない温度領域 行うことがフィルムの品質上好ましい。

 製膜前に乾燥することにより、揮発成分 発生を削減することができ、樹脂単独、ま は樹脂とフィルム構成材料の内、樹脂以外 少なくとも1種以上の混合物または相溶物に 分割して乾燥することもできる。乾燥温度は 100℃以上が好ましい。乾燥する材料にガラス 転移温度を有する物が存在するときには、そ のガラス転移温度よりも高い乾燥温度に加熱 すると、材料が融着して取り扱いが困難にな ることがあるので、乾燥温度は、ガラス転移 温度以下であることが好ましい。複数の物質 がガラス転移温度を有する場合は、ガラス転 移温度が低い方のガラス転移温度を基準とす る。より好ましくは100℃以上、(ガラス転移 度-5)℃以下、さらに好ましくは110℃以上、( ラス転移温度-20)℃以下である。乾燥時間は 、好ましくは0.5~24時間、より好ましくは1~18 間、さらに好ましくは1.5~12時間である。乾 温度が低くなりすぎると揮発成分の除去率 低くなり、また乾燥するのに時間にかかり ぎることになる。また、乾燥工程は2段階以 にわけてもよく、例えば、乾燥工程が、材 の保管のための予備乾燥工程と、製膜する 前~1週間前の間に行う直前乾燥工程を含む のであってもよい。

 溶融流延製膜法は、加熱溶融する成形法 分類され、溶融押出し成形法、プレス成形 、インフレーション法、射出成形法、ブロ 成形法、延伸成形法などを適用できる。こ らの中で、機械的強度及び表面精度などに れる光学フィルムを得るためには、溶融押 し法が優れている。以下、セルロースエス ルの溶融押出し法を例にとり本発明のフィ ムの製造方法について説明するが、本発明 これに限定されるものではなく、光学フィ ムの基材となる他の樹脂にも適用できる。

 図1は、本発明のセルロースエステル光学 フィルムの製造方法を実施する装置の全体構 成を示す概略フローシートであり、図2は、 延ダイから冷却ロール部分の拡大図である

 図1と図2において、本発明によるセルロ スエステル光学フィルムの製造方法は、セ ロース樹脂などのフィルム材料を混合した 、押出し機1を用いて、流延ダイ4から第1冷 ロール5上に溶融押し出し、第1冷却ロール5 外接させるとともに、さらに、第2冷却ロー 7、第3冷却ロール8の合計3本の冷却ロールに 順に外接させて、冷却固化してフィルム10と る。ついで、剥離ロール9によって剥離した フィルム10を、ついで延伸装置12によりフィ ムの両端部を把持して幅方向に延伸した後 巻取り装置16により巻き取る。また、平面性 を矯正するために溶融フィルムを第1冷却ロ ル5表面に挟圧するタッチロール6が設けられ ている。このタッチロール6は表面が弾性を し、第1冷却ロール5との間でニップを形成し ている。タッチロール6についての詳細は後 する。

 本発明によるセルロースエステル光学フ ルムの製造方法において、溶融押し出しの 件は、他のポリエステルなどの熱可塑性樹 に用いられる条件と同様にして行うことが きる。材料は予め乾燥させておくことが好 しい。真空または減圧乾燥機や除湿熱風乾 機などで水分を1000ppm以下、好ましくは200ppm 以下に乾燥させることが望ましい。

 例えば、熱風や真空または減圧下で乾燥 たセルロースエステル系樹脂を押出し機1を 用いて、押し出し温度200~300℃程度で溶融し リーフディスクタイプのフィルター2などで 過し、異物を除去する。

 異物の除去に用いるフィルターは、ステ レス繊維焼結フィルターが好ましく用いら る。ステンレス繊維焼結フィルターは、ス ンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作 出した上で圧縮し接触箇所を焼結し一体化 たもので、その繊維の太さと圧縮量により 度を変え、ろ過精度を調整できる。ろ過精 を粗、密と連続的に複数回繰り返した多層 としたものが好ましい。また、ろ過精度を 次上げていく構成としたり、ろ過精度の粗 密を繰り返す方法をとることで、フィルタ のろ過寿命が延び、異物やゲル等の補足精 も向上できるので好ましい。

 供給ホッパー(図示略)から押出し機1へ導 する際は、真空下または減圧下や不活性ガ 雰囲気下にして、酸化分解等を防止するこ が好ましい。

 可塑剤などの添加剤を予め混合しない場 は、押出し機の途中で練り込んでもよい。 一に添加するために、スタチックミキサー3 などの混合装置を用いることが好ましい。

 本発明において、セルロース樹脂と、そ 他必要により添加される安定化剤等の添加 は、溶融する前に混合しておくことが好ま い。セルロース樹脂と安定化剤を最初に混 することがさらに好ましい。混合は、混合 等により行ってもよく、また、前記したよ にセルロース樹脂調製過程において混合し もよい。混合機を使用する場合は、V型混合 機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混 合機等、ヘンシェルミキサー、リボンミキサ ー一般的な混合機を用いることができる。

 上記のようにフィルム構成材料を混合し 後に、その混合物を押出し機1を用いて直接 溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦 、フィルム構成材料をペレット化した後、該 ペレットを押出し機1で溶融して製膜するよ にしてもよい。また、フィルム構成材料が 融点の異なる複数の材料を含む場合には、 点の低い材料のみが溶融する温度で一旦、 わゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶 物を押出し機1に投入して製膜することも可 である。フィルム構成材料に熱分解しやす 材料が含まれる場合には、溶融回数を減ら 目的で、ペレットを作製せずに直接製膜す 方法や、上記のようなおこし状の半溶融物 作ってから製膜する方法が好ましい。

 押出し機1は、市場で入手可能な種々の押 出し機を使用可能であるが、溶融混練押出し 機が好ましく、単軸押出し機でも2軸押出し でも良い。フィルム構成材料からペレット 作製せずに、直接製膜を行う場合、適当な 練度が必要であるため2軸押出し機を用いる とが好ましいが、単軸押出し機でも、スク ューの形状をマドック型、ユニメルト型、 ルメージ等の混練型のスクリューに変更す ことにより、適度の混練が得られるので、 用可能である。フィルム構成材料として、 旦、ペレットやおこし状の半溶融物を使用 る場合は、単軸押出し機でも2軸押出し機で も使用可能である。

 押出し機1内および押出した後の冷却工程 は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか、 或いは減圧することにより、酸素の濃度を下 げることが好ましい。

 押出し機1内のフィルム構成材料の溶融温 度は、フィルム構成材料の粘度や吐出量、製 造するシートの厚み等によって好ましい条件 が異なるが、一般的には、フィルムのガラス 転移温度Tgに対して、Tg以上、Tg+100℃以下、 ましくはTg+10℃以上、Tg+90℃以下である。溶 温度は、通常150~300℃の範囲、好ましくは180 ~270℃、さらに好ましくは200~270℃の範囲であ 。押出し時の溶融粘度は、1~10000Pa・s、好ま しくは10~1000Pa・sである。また、押出し機1内 のフィルム構成材料の滞留時間は短い方が ましく、10分以内、好ましくは5分以内、よ 好ましくは3分以内である。滞留時間は、押 出し機1の種類、押出す条件にも左右される 、材料の供給量やL/D、スクリュー回転数、 クリューの溝の深さ等を調整することによ 短縮することが可能である。

 押出し機1のスクリューの形状や回転数等 は、フィルム構成材料の粘度や吐出量等によ り適宜選択される。本発明において押出し機 1でのせん断速度は、1/秒~10000/秒、好ましく 5/秒~1000/秒、より好ましくは10/秒~100/秒であ 。

 本発明に使用できる押出し機1としては、 一般的にプラスチック成形機として入手可能 である。

 押出し機1から押し出されたフィルム構成 材料は、流延ダイ4に送られ、流延ダイ4のス ットからフィルム状に押し出される。流延 イ4はシートやフィルムを製造するために用 いられるものであれば特に限定はされない。 流延ダイ4の材質としては、ハードクロム、 化クロム、窒化クロム、炭化チタン、炭窒 チタン、窒化チタン、超鋼、セラミック(タ グステンカーバイド、酸化アルミ、酸化ク ム)などを溶射もしくはメッキし、表面加工 としてバフ、#1000番手以降の砥石を用いるラ ピング、#1000番手以上のダイヤモンド砥石 用いる平面切削(切削方向は樹脂の流れ方向 垂直な方向)、電解研磨、電解複合研磨など の加工を施したものなどがあげられる。流延 ダイ4のリップ部の好ましい材質は、流延ダ 4と同様である。またリップ部の表面精度は0 .5S以下が好ましく、0.2S以下がより好ましい

 この流延ダイ4のスリットは、そのギャッ プが調整可能なように構成されている。これ を図3に示す。図3(a)は流延ダイの要部の一例 示す外観図、図3(b)は流延ダイの要部の一例 を示す断面図である。流延ダイ4のスリット32 を形成する一対のリップのうち、一方は剛性 の低い変形しやすいフレキシブルリップ33で り、他方は固定リップ34である。そして、 数のヒートボルト35が流延ダイ4の幅方向す わちスリット32の長さ方向に一定ピッチで配 列されている。各ヒートボルト5には、埋め み電気ヒータ37と冷却媒体通路とを具えたブ ロック36が設けられ、各ヒートボルト35が各 ロック36を縦に貫通している。ヒートボルト 35の基部はダイ本体31に固定され、先端はフ キシブルリップ33の外面に当接している。そ してブロック36を常時空冷しながら、埋め込 電気ヒータ37の入力を増減してブロック36の 温度を上下させ、これによりヒートボルト35 熱伸縮させて、フレキシブルリップ33を変 させてフィルムの厚さを調整する。ダイ後 の所要箇所に厚さ計を設け、これによって 出されたウェブ厚さ情報を制御装置にフィ ドバックし、この厚さ情報を制御装置で設 厚み情報と比較し、同装置から来る補正制 量の信号によってヒートボルトの発熱体の 力又はオン率を制御するようにすることも きる。ヒートボルトは、好ましくは、長さ20 ~40cm、直径7~14mmを有し、複数、例えば数十本 ヒートボルトが、好ましくはピッチ20~40mmで 配列されている。ヒートボルトの代わりに、 手動で軸方向に前後動させることによりスリ ットギャップを調節するボルトを主体とする ギャップ調節部材を設けてもよい。ギャップ 調節部材によって調節されたスリットギャッ プは、通常200~3000μm、好ましくは500~2000μmで る。

 第1乃至第3冷却ロールは、肉厚が20~30mm程 のシームレスな鋼管製で、表面が鏡面に仕 げられている。その内部には、冷却液また 加熱媒体を流す配管が配置されており、配 を流れる冷却液または加熱媒体によってロ ル上のフィルムから熱を吸収または加熱で るように構成されている。

 一方、第1冷却ロール5に当接するタッチ ール6は、表面が弾性を有し、第1冷却ロール 5への押圧力によって第1冷却ロール5の表面に 沿って変形し、第1ロール5との間にニップを 成する。タッチロール6は挟圧回転体ともい う。タッチロール6としては、登録特許3194904 、登録特許3422798号、特開2002-36332、特開2002- 36333などで開示されているタッチロールを好 しく用いることができる。これらは市販さ ているものを用いることもできる。以下に れらについて、さらに詳細に説明する。

 図4は挟圧回転体の一例を示す断面図であ る。(タッチロール6の第1の例(以下、タッチ ールA)の概略断面)を示す。図に示すように タッチロールAは、可撓性の金属スリーブ41 内部に弾性ローラ42を配したものである。

 金属スリーブ41は厚さ0.3mmのステンレス製 であり、可撓性を有する。金属スリーブ41が すぎると強度が不足し、逆に厚すぎると弾 が不足する。これらのことから、金属スリ ブ41の厚さとしては、0.1mm以上1.5mm以下が好 しい。弾性ローラ42は、軸受を介して回転 在な金属製の内筒43の表面にゴム44を設けて ール状としたものである。そして、タッチ ールAが第1冷却ロール5に向けて押圧される 、弾性ローラ42が金属スリーブ41を第1冷却 ール5に押しつけ、金属スリープ41及び弾性 ーラ42は第1冷却ロール5の形状になじんだ形 に対応しつつ変形し、第1冷却ロールとの間 にニップを形成する。金属スリーブ41の内部 弾性ローラ42との間に形成される空間には 冷却水または加熱媒体45が流される。

 図5は挟圧回転体の第2の例(以下、タッチ ールB)を示す回転軸に垂直な平面での断面 である。

 図6は挟圧回転体の第2の例(タッチロールB) 回転軸を含む平面の一例を示す断面図であ 。
図5、図6においてタッチロールBは、可撓性を 有する、シームレスなステンレス鋼管製(厚 4mm)の外筒51と、この外筒51の内側に同一軸心 状に配置された高剛性の金属内筒52とから概 構成されている。外筒51と内筒52との間の空 間53には、冷却液または加熱媒体54が流され 。詳しくは、タッチロールBは、両端の回転 55a,55bに外筒支持フランジ56a,56bが取付けら 、これら両外筒支持フランジ56a,56bの外周部 に薄肉金属外筒51が取付けられている。ま 、一方の回転軸55aの軸心部に形成されて流 戻り通路57を形成する流体排出孔58内に、流 供給管59が同一軸心状に配設され、この流 供給管59が薄肉金属外筒51内の軸心部に配置 れた流体軸筒60に接続固定されている。こ 流体軸筒60の両端部に内筒支持フランジ61a,61 bがそれぞれ取り付けられ、これら内筒支持 ランジ61a,61bの外周部間から他端側外筒支持 ランジ56bにわたって約15~20mm程度の肉厚を有 する金属内筒52が取付けられている。そして の金属内筒52と薄肉金属外筒51との間に、た とえば10mm程度の冷却液または加熱媒体の流 空間53が形成され、また金属内筒52に両端部 傍には、流送空間53と内筒支持フランジ61a,6 1b外側の中間通路62a,62bとを連通する流出口52a および流入口52bがそれぞれ形成されている。

 また外筒51は、ゴム弾性に近い柔軟性と 撓性、復元性をもたせるために、弾性力学 薄肉円筒理論が適用できる範囲内で薄肉化 図られている。この薄肉円筒理論で評価さ る可撓性は、肉厚t/ロール半径rで表わされ おり、t/rが小さいほど可撓性が高まる。こ タッチロールBではt/r≦0.03の場合に可撓性が 最適の条件となる。通常、一般的に使用され ているタッチロールは、ロール径R=200~500mm(ロ ール半径r=R/2)、ロール有効幅L=500~1600mmで、r/L <1で横長の形状である。そして図6に示すよ うに、たとえばロール径R=300mm、ロール有効 L=1200mmの場合、肉厚tの適正範囲は150×0.03=4.5m m以下であるが、溶融シート幅を1300mmに対し 平均線圧を100N/cmで挟圧する場合、同一形状 ゴムロールと比較して、外筒51の肉厚を3mm することで相当ばね定数も等しく、外筒51と 冷却ロールとのニップのロール回転方向のニ ップ幅kも約9mmで、このゴムロールのニップ 約12mmとほぼ近い値を示し、同じような条件 で挟圧できることがわかる。なお、このニ プ幅kにおけるたわみ量は0.05~0.1mm程度であ 。

 ここで、t/r≦0.03としたが、一般的なロー ル径R=200~500mmの場合では、特に2mm≦t≦5mmの範 囲とすると、可撓性も十分に得られ、また機 械加工による薄肉化も容易に実施でき、極め て実用的な範囲となる。

 この2mm≦t≦5mmの換算値は、一般的なロー ル径に対して0.008≦t/r≦0.05となるが、実用に あたってはt/r≒0.03の条件下でロール径に比 して肉厚も大きくするとよい。たとえばロ ル径:R=200ではt=2~3mm、ロール径:R=500ではt=4~5mm の範囲で選択する。

 このタッチロールA,Bは不図示の付勢手段 より第1冷却ロールに向けて付勢される。そ の付勢手段の付勢力をF、ニップにおけるフ ルムの、第1冷却ロール5の回転軸に沿った方 向の幅Wを除した値F/W(線圧)は、10N/cm以上150N/c mに設定される。本実施の形態によれば、タ チロールA,Bと第1冷却ロール5との間にニップ が形成され、当該ニップをフィルムが通過す る間に平面性を矯正すればよい。従って、タ ッチロールが剛体で構成され、第1冷却ロー との間にニップが形成されない場合と比べ 、小さい線圧で長時間かけてフィルムを挟 するので、平面性をより確実に矯正するこ ができる。すなわち、線圧が10N/cmよりも小 いと、ダイラインを十分に解消することが きなくなる。逆に、線圧が150N/cmよりも大き と、フィルムがニップを通過しにくくなり フィルムの厚さにかえってムラができてし う。

 また、タッチロールA,Bの表面を金属で構 することにより、タッチロールの表面がゴ である場合よりもタッチロールA,Bの表面を 滑にすることができるので、平滑性の高い ィルムを得ることができる。なお、弾性ロ ラ42の弾性体44の材質としては、エチレンプ ロピレンゴム、ネオプレンゴム、シリコンゴ ム等を用いることができる。

 さて、タッチロール6によってダイライン を良好に解消するためには、タッチロール6 フィルムを挟圧するときのフィルムの粘度 適切な範囲であることが重要となる。また セルロース樹脂は温度による粘度の変化が 較的大きいことが知られている。従って、 ッチロール6がセルロースエステル光学フィ ムを挟圧するときの粘度を適切な範囲に設 するためには、タッチロール6がセルロース エステル光学フィルムを挟圧するときのフィ ルムの温度を適切な範囲に設定することが重 要となる。そして本発明者は、セルロースエ ステル光学フィルムのガラス転移温度をTgと たとき、フィルムがタッチロール6に挟圧さ れる直前のフィルムの温度Tを、Tg<T<Tg+110 ℃を満たすように設定すればよいことを見い だした。フィルム温度TがTgよりも低いとフィ ルムの粘度が高くなり、逆に、フィルムの温 度TがTg+110℃よりも高いと、フィルム表面と ールが均一に接着せず、ダイラインを矯正 るのが難しくなる可能性がある。好ましく Tg+10℃<T<Tg+90℃、さらに好ましくはTg+20 <T<Tg+70℃である。タッチロール6がセル ースフィルムを挟圧するときのフィルムの 度を適切な範囲に設定するには、流延ダイ4 ら押し出された溶融物が第1冷却ロール5に 触する位置P1から第1冷却ロール5とタッチロ ル6とのニップの位置P2まで、第1冷却ロール 5の回転方向に沿った長さLを調整すればよい またはタッチロール6、第1冷却ロール5、第2 冷却ロール7、及び第3冷却ロール8の表面温度 をそれぞれ適切に制御すればよい。前記タッ チロール6、第1冷却ロール5の表面温度は、通 常60~230℃の範囲が好ましく、より好ましくは 100~150℃の範囲であり、第2冷却ロール7の温度 は、通常30~150℃の範囲が好ましく、より好ま しくは60~130℃の範囲である。

 本発明において、第1ロール5、第2ロール6 に好ましい材質は、炭素鋼、ステンレス鋼、 樹脂、などが挙げられる。また、表面精度は 高くすることが好ましく表面粗さとして0.3S 下、より好ましくは0.01S以下とする。

 本発明者らは、流延ダイ4の開口部(リッ )から第1ロール5までの部分を70kPa以下に減圧 させることにより、上記、ダイラインの矯正 効果がより大きく発現することを発見した。 好ましくは減圧は50kPa以上70kPa以下である。 延ダイ4の開口部(リップ)から第1ロール5まで の部分の圧力を70kPa以下に保つ方法としては 特に制限はないが、流延ダイ4からロール周 辺を耐圧部材で覆い、減圧するなどの方法が ある。このとき、吸引装置は、装置自体が昇 華物の付着場所にならないようヒーターで加 熱するなどの処置を施すことが好ましい。本 発明では、吸引圧が小さすぎると昇華物を効 果的に吸引できないため、適当な吸引圧とす る必要がある。

 本発明において、Tダイ4から溶融状態の ィルム状のセルロースエステル系樹脂を、 1ロール(第1冷却ロール)5、第2冷却ロール7、 び第3冷却ロール8に順次密着させて搬送し がら冷却固化させ、未延伸のセルロースエ テル系樹脂フィルム10を得る。

 図1に示す本発明の実施形態では、第3冷 ロール8から剥離ロール9によって剥離した冷 却固化された未延伸のフィルム10は、ダンサ ロール(フィルム張力調整ロール)11を経て延 伸機12に導き、そこでフィルム10を横方向(幅 向)に延伸する。この延伸により、フィルム 中の分子が配向される。

 フィルムを幅方向に延伸する方法は、公 のテンターなどを好ましく用いることがで る。特に延伸方向を幅方向とすることで、 光フィルムとの積層がロール形態で実施で るので好ましい。幅方向に延伸することで セルロースエステル系樹脂フィルムからな セルロースエステル光学フィルムの遅相軸 幅方向になる。

 一方、偏光フィルムの透過軸も、通常、 方向である。偏光フィルムの透過軸とセル ースエステルフィルムの遅相軸とが平行に るように積層した偏光板を液晶表示装置に み込むことで、液晶表示装置の表示コント ストを高くすることができるとともに、良 な視野角が得られるのである。

 フィルム構成材料のガラス転移温度Tgは ィルムを構成する材料種及び構成する材料 比率を異ならしめることにより制御できる セルロースエステル光学フィルムとして位 差フィルムを作製する場合、Tgは110℃以上、 好ましくは125℃以上とすることが好ましい。 液晶表示装置においては、画像の表示状態に おいて、装置自身の温度上昇、例えば光源由 来の温度上昇によってフィルムの温度環境が 変化する。このときフィルムの使用環境温度 よりもフィルムのTgが低いと、延伸によって ィルム内部に固定された分子の配向状態に 来するリターデーション値及びフィルムと ての寸法形状に大きな変化を与えることと る。フィルムのTgが高過ぎると、フィルム 成材料をフィルム化するとき温度が高くな ために加熱するエネルギー消費が高くなり またフィルム化するときの材料自身の分解 それによる着色が生じることがあり、従っ 、Tgは250℃以下が好ましい。

 また延伸工程には公知の熱固定条件、冷 、緩和処理を行ってもよく、目的とする光 フィルムに要求される特性を有するように 宜調整すればよい。

 位相フィルムの物性と液晶表示装置の視 角拡大のための位相フィルムの機能付与す ために、上記延伸工程、熱固定処理は適宜 択して行われている。このような延伸工程 熱固定処理を含む場合、本発明の加熱加圧 程は、それらの延伸工程、熱固定処理の前 行うようにする。

 セルロースエステル光学フィルムとして 相差フィルムを製造し、さらに偏光板保護 ィルムの機能を複合させる場合、屈折率制 をおこなう必要が生じるが、その屈折率制 は延伸操作により行うことが可能であり、 た延伸操作が好ましい方法である。以下、 の延伸方法について説明する。

 延伸は縦延伸、横延伸、およびこれらの み合わせによって実施される。縦延伸は、 ール延伸(出口側の周速を速くした2対以上 ニップロールを用いて長手方向に延伸)や固 端延伸(フィルムの両端を把持しこれを長手 方向に次第に早く搬送して長手方向に延伸) により行うことができる。また横延伸は、 ンター延伸{フィルムの両端をチャックで把 しこれを横方向(長手方向と直角方向)に広 て延伸}等により行うことができる。

 これらの縦延伸と横延伸は、それぞれ単 で行ってもよく(一軸延伸)、組み合わせて ってもよい(二軸延伸)。二軸延伸の場合、縦 、横逐次で実施してもよく(逐次延伸)、同時 実施してもよい(同時延伸)。縦延伸、横延 の延伸速度は、10%/分~10000%/分が好ましく、 り好ましくは20%/分~1000%/分、さらに好ましく は30%/分~800%/分である。多段延伸の場合、延 速度は各段の延伸速度の平均値を指す。こ ような延伸に引き続き、縦または横方向に0% ~10%緩和することも好ましい。さらに、延伸 引き続き、150℃~250℃で1秒~3分熱固定するこ も好ましい。

 位相差フィルムの延伸工程において、セ ロース樹脂の1方向に1.0~4.0倍及びフィルム 内にそれと直交する方向に1.01~4.0倍延伸する ことで、必要とされるリターデーションRo及 Rtを制御することができる。ここで、Roとは 面内リターデーションを示し、面内の長手方 向MDの屈折率と幅方向TDの屈折率との差に厚 を乗じたもの、Rtとは厚み方向リターデーシ ョンを示し、面内の屈折率(長手方向MDと幅方 向TDの平均)と厚み方向の屈折率との差に厚み を乗じたものである。

 延伸は、例えばフィルムの長手方向及び れとフィルム面内で直交する方向、即ち幅 向に対して、逐次または同時に行うことが きる。このとき少なくとも1方向に対しての 延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得ら れず、大き過ぎると延伸が困難となりフィル ム破断が発生してしまう場合がある。

 互いに直交する2軸方向に延伸することは 、フィルムの屈折率nx、ny、nzを所定の範囲に 入れるために有効な方法である。ここで、nx は長手MD方向の屈折率、nyとは幅手TD方向の 折率、nzとは厚み方向の屈折率である。

 例えば溶融流延方向に延伸した場合、幅 向の収縮が大き過ぎると、nzの値が大きく り過ぎてしまう。この場合、フィルムの幅 縮を抑制、或いは幅方向にも延伸すること 改善できる。幅方向に延伸する場合、幅方 で屈折率に分布が生じることがある。この 布は、テンター法を用いた場合に現れるこ があり、フィルムを幅方向に延伸したこと 、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部 固定されていることにより生じる現象で、 わゆるボーイング現象と呼ばれるものと考 られる。この場合でも、流延方向に延伸す ことで、ボーイング現象を抑制でき、幅方 の位相差の分布を少なくできる。

 互いに直行する2軸方向に延伸することに より、得られるフィルムの膜厚変動が減少で きる。位相差フィルムの膜厚変動が大き過ぎ ると位相差のムラとなり、液晶ディスプレイ に用いたとき着色等のムラが問題となること がある。

 セルロース樹脂フィルムの膜厚変動は、 3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい 以上のような目的において、互いに直交す 2軸方向に延伸する方法は有効であり、互い 直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最 終的には流延方向に1.0~4.0倍、幅方向に1.01~4.0 倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に 1.0~1.5倍、幅方向に1.05~2.0倍に範囲で行うこと が必要とされるリターデーション値を得るた めにより好ましい。

 本発明の光学フィルムの寸法変化率は80 、90%RHの高温高湿下、50時間の処理において ±1.0%以内であることが好ましく、より好ま くは±0.5%以内、さらに好ましくは±0.4%以内 あり、特に好ましくは±0.3%以内であること 特に好ましい。

 長手方向に偏光子の吸収軸が存在する場 、幅方向に偏光子の透過軸が一致すること なる。長尺状の偏光板を得るためには、位 差フィルムは、幅方向に遅相軸を得るよう 延伸することが好ましい。

 応力に対して、正の複屈折を得るセルロ ス樹脂を用いる場合、上述の構成から、幅 向に延伸することで、位相差フィルムの遅 軸が幅方向に付与することができる。この 合、表示品質の向上のためには、位相差フ ルムの遅相軸が、幅方向にあるほうが好ま く、目的とするリターデーション値を得る めには、式、(幅方向の延伸倍率)>(流延方 向の延伸倍率)の条件を満たすことが必要で る。

 延伸後、フィルムの端部をスリッター13 より製品となる幅にスリットして裁ち落と た後、エンボスリング14及びバックロール15 りなるナール加工装置によりナール加工(エ ンボッシング加工)をフィルム両端部に施し 巻取り機16によって巻き取ることにより、セ ルロースエステルフィルム(元巻き)F中の貼り 付きや、すり傷の発生を防止する。ナール加 工の方法は、凸凹のパターンを側面に有する 金属リングを加熱や加圧により加工すること ができる。なお、フィルム両端部のクリップ の把持部分は通常、変形しており、フィルム 製品として使用できないので、切除されて、 原料として再利用される。

 一般的に、溶融押出しでは流延ダイの形 により、端部側の滞留時間が長くなる傾向 知られており、それによりフィルム端部の 色が促進されると考えられる。しかし本発 のフィルムの製造法を用いれば、フィルム 部の着色が抑えられることが判明した。本 明では溶融押出し直後のフィルム幅手方向 端部のイエローインデックスYeと、フィル 中央部分のイエローインデックスYcは下式(4) を満たすことが好ましく、より好ましくはYe/ Ycが3.0以下である。Ye/Ycが5.0より大きいと、 ィルム端部を切除して、原料として再利用 た際に、生産したフィルムの着色が増加す 。なお、本発明で端部のイエローインデッ スとはフィルム幅手方向の両端部から30mm以 での最大値と定義する。

 式(4) 1.0≦Ye/Yc≦5.0
 位相差フィルムを偏光板保護フィルムとす 場合、該保護フィルムの厚さは、10~500μmが ましい。特に、下限は20μm以上、好ましく 30μm以上である。上限は150μm以下、好ましく は120μm以下である。特に好ましい範囲は25以 ~90μmである。位相差フィルムが厚いと、偏 板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート パソコンやモバイル型電子機器に用いる液 表示においては、特に薄型軽量の目的に適 なくなる。一方、位相差フィルムが薄いと 位相差フィルムとしてのリターデーション 発現が困難となり、加えてフィルムの透湿 が高くなり、偏光子を湿度から保護する能 が低下する傾向がある。

 位相差フィルムの遅相軸または進相軸が ィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角 をθ1とすると、θ1は-1°以上+1°以下、好ま くは-0.5°以上+0.5°以下となるようにする。

 このθ1は配向角として定義でき、θ1の測 は、自動複屈折計KOBRA-21ADH(王子計測機器社 )を用いて行うことができる。

 θ1が各々上記関係を満たすことは、表示 像において高い輝度を得ること、光漏れを 制または防止することに寄与し、カラー液 表示装置においては忠実な色再現に寄与す 。

 本発明に係るセルロースエステル光学フ ルムを位相差フィルムとして用い、かつマ チドメイン化されたVAモードに用いられる き、位相差フィルムの配置は、位相差フィ ムの進相軸がθ1として上記領域に配置する とで、表示画質の向上に寄与し、偏光板及 液晶表示装置としてMVAモードとしたとき、 えば図7に示される構成をとることができる

 図7において、21a、21bは保護フィルム、22a 、22bは位相差フィルム、25a、25bは偏光子、23a 、23bはフィルムの遅相軸方向、24a、24bは偏光 子の透過軸方向、26a、26bは偏光板、27は液晶 ル、29は液晶表示装置を示している。

 光学フィルムの面内方向のリターデーシ ンRo分布は、5%以下に調整することが好まし く、より好ましくは2%以下であり、特に好ま くは、1.5%以下である。また、フィルムの厚 み方向のリターデーションRt分布を10%以下に 整することが好ましいが、さらに好ましく 、2.0%以下であり、特に好ましくは、1.5%以 である。

 位相差フィルムにおいて、リターデーシ ン値の分布変動が小さい方が好ましく、液 表示装置に位相差フィルムを含む偏光板を いるとき、該リターデーション分布変動が さいことが色ムラ等を防止する観点で好ま い。

 位相差フィルムを、VAモードまたはTNモー ドの液晶セルの表示品質の向上に適したリタ ーデーション値を有するように調整し、特に VAモードとして上記のマルチドメインに分割 てMVAモードに好ましく用いられるようにす には、面内リターデーションRoを30nmよりも きく、95nm以下に、かつ厚み方向リターデー ションRtを70nmよりも大きく、400nm以下の値に 整することが求められる。

 上記の面内リターデーションRoは、2枚の 光板がクロスニコルに配置され、偏光板の に液晶セルが配置された、例えば図7に示す 構成であるときに、表示面の法線方向から観 察するときを基準にしてクロスニコル状態に あるとき、表示面の法線から斜めに観察した とき、偏光板のクロスニコル状態からのずれ が生じ、これが要因となる光漏れを、主に補 償する。厚さ方向のリターデーションは、上 記TNモードやVAモード、特にMVAモードにおい 液晶セルが黒表示状態であるときに、同様 斜めから見たときに認められる液晶セルの 屈折を主に補償するために寄与する。

 図7に示すように、液晶表示装置において 、液晶セルの上下に偏光板が二枚配置された 構成である場合、図中の22a及び22bは、厚み方 向リターデーションRtの配分を選択すること でき、上記範囲を満たしかつ厚み方向リタ デーションRtの両者の合計値が140nmよりも大 きくかつ500nm以下にすることが好ましい。こ とき22a及び22bの面内リターデーションRo、 み方向リターデーションRtが両者同じである ことが、工業的な偏光板の生産性向上におい て好ましい。特に好ましくは面内リターデー ションRoが35nmよりも大きくかつ65nm以下であ 、かつ厚み方向リターデーションRtが90nmよ も大きく180nm以下で、図7の構成でMVAモード 液晶セルに適用することである。

 液晶表示装置において、一方の偏光板に えば市販の偏光板保護フィルムとして面内 ターデーションRo=0~4nm及び厚み方向リター ーションRt=20~50nmで厚さ35~85μmのTACフィルム 、例えば図7の22bの位置で使用されている場 、他方の偏光板に配置される偏光フィルム 例えば、図7の22aに配置する位相差フィルム は、面内リターデーションRoが30nmよりも大き く95nm以下であり、かつ厚み方向リターデー ョンRtが140nmよりも大きく400nm以下であるも を使用するようにする。表示品質が向上し かつフィルムの生産面からも好ましい。

 (偏光板)
 本発明の偏光板について述べる。

 偏光板は一般的な方法で作製することが きる。本発明のセルロースエステル光学フ ルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理 たセルロースエステル光学フィルムを、ヨ 素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニ アルコール水溶液を用いて貼り合わせるこ が好ましい。もう一方の面にも本発明のセ ロースエステル光学フィルムを用いても、 の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本 明のセルロースエステル光学フィルムに対 て、もう一方の面に用いられる偏光板保護 ィルムは市販のセルロースエステルフィル を用いることができる。例えば、市販のセ ロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4 UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UCR-3、KC8UCR-4( 上、コニカミノルタオプト(株)製)等が好ま く用いられる。或いは更にディスコチック 晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの 晶化合物を配向させて形成した光学異方層 有している光学補償フィルムを兼ねる偏光 保護フィルムを用いることも好ましい。例 ば、特開2003-98348号記載の方法で光学異方性 を形成することができる。本発明の反射防 フィルムと組み合わせて使用することによ て、平面性に優れ、安定した視野角拡大効 を有する偏光板を得ることができる。

 偏光板の主たる構成要素である偏光膜と 、一定方向の偏波面の光だけを通す素子で り、現在知られている代表的な偏光膜は、 リビニルアルコール系偏光フィルムで、こ はポリビニルアルコール系フィルムにヨウ を染色させたものと二色性染料を染色させ ものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコ ル水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて 色するか、染色した後一軸延伸してから、 ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行っ ものが用いられている。該偏光膜の面上に 本発明のセルロースエステル光学フィルム 片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好 しくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を 成分とする水系の接着剤によって貼り合わ る。

 偏光膜は一軸方向(通常は長手方向)に延 されているため、偏光板を高温高湿の環境 に置くと延伸方向(通常は長手方向)は縮み、 延伸と垂直方向(通常は幅方向)には伸びる。 光板保護用フィルムの膜厚が薄くなるほど 光板の伸縮率は大きくなり、特に偏光膜の 伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光膜の 伸方向は偏光板保護用フィルムの流延方向( MD方向)と貼り合わせるため、偏光板保護用フ ィルムを薄膜化する場合は、特に流延方向の 伸縮率を抑えることが重要である。本発明の 光学フィルムは極めて寸法安定に優れる為、 このような偏光板保護フィルムとして好適に 使用される。

 即ち60℃、90%RHの条件での耐久性試験によ っても波打ち状のむらが増加することはなく 、裏面側に光学補償フィルムを有する偏光板 であっても、耐久性試験後に視野角特性が変 動することなく良好な視認性を提供すること ができる。

 偏光板は、更に該偏光板の一方の面にプ テクトフィルムを、反対面にセパレートフ ルムを貼合して構成することができる。プ テクトフィルム及びセパレートフィルムは 光板出荷時、製品検査時等において偏光板 保護する目的で用いられる。この場合、プ テクトフィルムは、偏光板の表面を保護す 目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合す 面の反対面側に用いられる。また、セパレ トフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカ ーする目的で用いられ、偏光板を液晶セル 貼合する面側に用いられる。

 (液晶表示装置)
 本発明に係るセルロースエステル光学フィ ムを位相差フィルムとして含む偏光板は、 常の偏光板と比較して高い表示品質を発現 せることができ、特にマルチドメイン型の 晶表示装置、より好ましくは複屈折モード よってマルチドメイン型の液晶表示装置へ 使用に適している。

 本発明の偏光板は、MVA(Multi-domain Vertical  Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モ ード、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)モード、OCB (Optical Compensated Bend)モード等に用いること でき、特定の液晶モード、偏光板の配置に 定されるものではない。

 液晶表示装置はカラー化及び動画表示用 装置としても応用されつつあり、本発明に り表示品質が改良され、コントラストの改 や偏光板の耐性が向上したことにより、疲 にくく忠実な動画像表示が可能となる。

 前記位相差フィルムを含む偏光板を少な とも含む液晶表示装置においては、前記位 差フィルムを含む偏光板を、液晶セルに対 て、一枚配置するか、或いは液晶セルの両 に二枚配置する。このとき偏光板に含まれ 本発明の前記位相差側が液晶表示装置の液 セルに面するように用いることで表示品質 向上に寄与できる。図7においては22a及び22b のフィルムが液晶表示装置の液晶セルに面す ることになる。

 このような構成において、前記位相差フ ルムは、液晶セルを光学的に補償すること できる。本発明の偏光板を液晶表示装置に いる場合は、液晶表示装置の偏光板の内の なくとも一つの偏光板を、本発明の偏光板 すればよい。本発明の偏光板を用いること 、表示品質が向上し、視野角特性に優れた 晶表示装置が提供できる。

 本発明の偏光板において、偏光子からみ 位相差フィルムとは反対側の面には、セル ース誘導体の偏光板保護フィルムが用いら 、汎用のTACフィルムなどを用いることがで る。液晶セルから遠い側に位置する偏光板 護フィルムは、表示装置の品質を向上する で、他の機能性層を配置することも可能で る。

 例えば、反射防止、防眩、耐キズ、ゴミ 着防止、輝度向上のためにディスプレイと ての公知の機能層を構成物として含むフィ ムや、または本発明の偏光板表面に貼付し もよいがこれらに限定されるものではない

 一般に位相差フィルムでは、上述のリタ デーション値としてRoまたはRtの変動が少な いことが安定した光学特性を得るために求め られている。特に複屈折モードの液晶表示装 置は、これらの変動が画像のムラを引き起こ す原因となることがある。

 本発明に従い溶融流延製膜法により製造 れる長尺状位相差フィルムは、セルロース 脂を主体として構成されるため、セルロー 樹脂固有のケン化を活用してアルカリ処理 程を活用することができる。これは、偏光 を構成する樹脂がポリビニルアルコールで るとき、従来の偏光板保護フィルムと同様 完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を いて前記長尺状位相差フィルムと貼合する とができる。このために本発明は、従来の 光板加工方法が適用できる点で優れており 特に長尺状であるロール偏光板が得られる で優れている。

 本発明により得られる製造的効果は、特 100m以上の長尺の巻物においてより顕著とな り、1500m、2500m、5000mとより長尺化する程、偏 光板製造の製造的効果を得る。

 例えば、位相差フィルム製造において、 ール長さは、生産性と運搬性を考慮すると 10m以上5000m以下、好ましくは50m以上4500m以下 であり、このときのフィルムの幅は、偏光子 の幅や製造ラインに適した幅を選択すること ができる。0.5m以上4.0m以下、好ましくは0.6m以 上3.0m以下の幅でフィルムを製造してロール に巻き取り、偏光板加工に供してもよく、 た、目的の倍幅以上のフィルムを製造して ールに巻き取った後、断裁して目的の幅の ールを得て、このようなロールを偏光板加 に用いるようにしてもよい。

 本発明のセルロースエステル光学フィル 製造に際し、延伸の前及び/又は後で帯電防 止層、ハードコート層、易滑性層、接着層、 防眩層、バリアー層等の機能性層を塗設して もよい。この際、コロナ放電処理、プラズマ 処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応 じて施すことができる。

 製膜工程において、カットされたフィル 両端のクリップ把持部分は、粉砕処理され 後、或いは必要に応じて造粒処理を行った 、同じ品種のフィルム用原料としてまたは なる品種のフィルム用原料として再利用し もよい。

 前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤 の添加物濃度が異なるセルロース樹脂を含 組成物を共押出しして、積層構造の光学フ ルムを作製することもできる。例えば、ス ン層/コア層/スキン層といった構成の光学 ィルムを作ることができる。例えば、マッ 剤は、スキン層に多く、またはスキン層の に入れることができる。可塑剤、紫外線吸 剤はスキン層よりもコア層に多く入れるこ ができ、コア層のみに入れてもよい。また コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤 種類を変更することもでき、例えば、スキ 層に低揮発性の可塑剤及び/又は紫外線吸収 を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤 或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤 添加することもできる。スキン層とコア層 ガラス転移温度が異なっていても良く、ス ン層のガラス転移温度よりコア層のガラス 移温度が低いことが好ましい。このとき、 キンとコアの両者のガラス転移温度を測定 、これらの体積分率より算出した平均値を 記ガラス転移温度Tgと定義して同様に扱う ともできる。また、溶融流延時のセルロー エステルを含む溶融物の粘度もスキン層と ア層で異なっていても良く、スキン層の粘 >コア層の粘度でも、コア層の粘度≧スキ 層の粘度でもよい。

 本発明のセルロースエステル光学フィル は、寸度安定性が、23℃55%RHに24時間放置し フィルムの寸法を基準としたとき、80℃90%RH における寸法の変動値が±2.0%未満であり、好 ましくは1.0%未満であり、さらに好ましくは0. 5%未満である。

 本発明のセルロースエステル光学フィル を位相差フィルムとして偏光板の保護フィ ムとして用いる際に、位相差フィルム自身 上記の範囲以上の変動を有すると、偏光板 してのリターデーションの絶対値と配向角 当初の設定とずれるために、表示品質の向 能の減少或いは表示品質の劣化を引き起こ ことがある。

 本発明のセルロースエステル光学フィル は偏光板保護フィルム用として用いること できる。偏光板保護フィルムとして用いる 合、偏光板の作製方法は特に限定されず、 般的な方法で作製することができる。得ら たセルロースエステル光学フィルムをアル リ処理し、ポリビニルアルコールフィルム 沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子 両面に完全鹸化ポリビニルアルコール水溶 を用いて、偏光子の両面に偏光板保護フィ ムを貼り合わせる方法があり、少なくとも 面に本発明の偏光板保護フィルムであるセ ロースエステル光学フィルムが偏光子に直 貼合する。

 上記アルカリ処理の代わりに特開平6-94915 号公報、特開平6-118232号公報に記載されてい ような易接着加工を施して偏光板加工を行 てもよい。

 (機能性層の形成)
 本発明の光学フィルム製造に際し、延伸の 及び/または後で透明導電層、ハードコート 層、反射防止層、易滑性層、易接着層、防眩 層、バリアー層、光学補償層等の機能性層を 塗設してもよい。特に、透明導電層、ハード コート層、反射防止層、易接着層、防眩層及 び光学補償層から選ばれる少なくとも1層を けることが好ましい。この際、コロナ放電 理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面 理を必要に応じて施すことができる。

 〈透明導電層〉
 本発明のフィルムには、界面活性剤や導電 微粒子分散物などを用いて、透明導電層を けることも好ましい。フィルム自身に導電 を付与しても、透明導電性層を設けてもよ 。帯電防止性を付与するには透明導電性層 設けることが好ましい。透明導電性層は、 布、大気圧プラズマ処理、真空蒸着、スパ タ、イオンプレーティング法などによって けることもできる。或いは共押出し法で表 或いは内部層のみに導電性微粒子を含有さ て、透明導電性層とすることもできる。透 導電層はフィルムの一方の面のみに設けて 両面に設けてもよい。導電性微粒子を滑り を付与させるマット剤と併用若しくは兼用 ることもできる。導電剤としては、下記の 電性を有する金属酸化物粉体を使用するこ ができる。

 金属酸化物の例としては、ZnO、TiO 2 、SnO 2 、Al 2 O 3 、In 2 O 3 、SiO 2 、MgO、BaO、MoO 2 、V 2 O 5 等、或いはこれらの複合酸化物が好ましく、 特にZnO、TiO 2 及びSnO 2 が好ましい。異種原子を含む例としては、例 えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO 2 に対してはNb、Ta等の添加、またSnO 2 に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加 効果的である。これら異種原子の添加量は0. 01~25mol%の範囲が好ましいが、0.1~15mol%の範囲 特に好ましい。

 また、これらの導電性を有する金属酸化物 体の体積抵抗率は1×10 7 ωcm特に1×10 5 ωcm以下であって、一次粒子径が10nm以上、0.2 m以下で、高次構造の長径が30nm以上、6μm以 である特定の構造を有する粉体を導電層に 積分率で0.01%以上、20%以下含んでいることが 好ましい。

 本発明において透明導電層の形成は、導 性微粒子をバインダーに分散させて基体上 設けてもよいし、基体上に下引処理を施し その上に導電性微粒子を被着させてもよい

 また、特開平9-203810号公報の段落番号0038~ 同0055に記載の一般式(I)~(V)で表されるアイオ ン導電性ポリマーや、同公報の段落番号0056 ~同0145に記載の一般式(1)または(2)で表される 4級アンモニウムカチオンポリマーを含有さ せることができる。

 また、本発明の効果を阻害しない範囲で 金属酸化物からなる透明導電層中に耐熱剤 耐候剤、無機粒子、水溶性樹脂、エマルジ ン等をマット化、膜質改良のために添加し もよい。

 透明導電層で使用するバインダーは、フ ルム形成能を有する物であれば特に限定さ るものではないが、例えば、ゼラチン、カ イン等のタンパク質、カルボキシメチルセ ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ア チルセルロース、ジアセチルセルロース、 リアセチルセルロース等のセルロース化合 、デキストラン、寒天、アルギン酸ソーダ デンプン誘導体等の糖類、ポリビニルアル ール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エ テル、ポリメタクリル酸エステル、ポリス レン、ポリアクリルアミド、ポリ-N-ビニル ロリドン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル ポリアクリル酸等の合成ポリマー等を挙げ ことができる。

 特に、ゼラチン(石灰処理ゼラチン、酸処 理ゼラチン、酸素分解ゼラチン、フタル化ゼ ラチン、アセチル化ゼラチン等)、アセチル ルロース、ジアセチルセルロース、トリア チルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビ ルアルコール、ポリアクリル酸ブチル、ポ アクリルアミド、デキストラン等が好まし 。

 〈反射防止フィルム〉
 本発明のセルロースエステル光学フィルム 、その表面にハードコート層及び反射防止 を設け、反射防止フィルムとすることも好 しい。

 ハードコート層としては、活性線硬化樹 層または熱硬化樹脂層が好ましく用いられ 。ハードコート層は、支持体上に直接設層 ても、帯電防止層または下引層等の他の層 上に設層してもよい。

 ハードコート層として活性線化樹脂層を ける場合には、紫外線等光照射により硬化 る活性線硬化樹脂を含有することが好まし 。

 ハードコート層は、光学設計上の観点か 屈折率が1.45~1.65の範囲にあることが好まし 。また、反射防止フィルムに充分な耐久性 耐衝撃性を付与し、かつ、適度な屈曲性、 製時の経済性等を鑑みた観点から、ハード ート層の膜厚としては、1μm~20μmの範囲が好 ましく、更に好ましくは、1μm~10μmである。

 活性線硬化性樹脂層とは紫外線や電子線 ような活性線照射(本発明では、『活性線』 とは、電子線、中性子線、X線、アルファ線 紫外線、可視光線、赤外線等、種々の電磁 を全て光と定義する)により架橋反応等を経 硬化した樹脂を主たる成分として含有する をいう。活性線硬化性樹脂としては、紫外 硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的 ものとして挙げられるが、紫外線や電子線 外の光照射によって硬化する樹脂でもよい 紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外 硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬 型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外 硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外 硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、ま は紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げるこ ができる。

 紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、 外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹 、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹 、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系 脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂を挙 ることができる。

 また、光反応開始剤、光増感剤を含有さ ることもできる。具体的には、アセトフェ ン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフ ノン、ミヒラーケトン、α-アミロキシムエ テル、チオキサントン等及びこれらの誘導 を挙げることができる。また、エポキシア リレート系樹脂の合成に光反応剤を使用す 際に、n-ブチルアミン、トリエチルアミン トリ-n-ブチルホスフィン等の増感剤を用い ことができる。塗布乾燥後に揮発する溶媒 分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含ま る光反応開始剤また光増感剤は、組成物の2. 5~6質量%であることが好ましい。

 樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和 重結合が1個のモノマーとして、メチルアク リレート、エチルアクリレート、ブチルアク リレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレー ト、シクロヘキシルアクリレート、スチレン 等の一般的なモノマーを挙げることができる 。また不飽和二重結合を2個以上持つモノマ として、エチレングリコールジアクリレー 、プロピレングリコールジアクリレート、 ビニルベンゼン、1,4-シクロヘキサンジアク レート、1,4-シクロヘキシルジメチルアジア クリレート、前述のトリメチロールプロパン トリアクリレート、ペンタエリスリトールテ トラアクリルエステル等を挙げることができ る。

 また、紫外線硬化性樹脂組成物の活性線 化を妨げない程度に、紫外線吸収剤を紫外 硬化性樹脂組成物に含ませてもよい。紫外 吸収剤としては、前記基材に使用してもよ 紫外線吸収剤と同様なものを用いることが きる。

 また硬化された層の耐熱性を高めるため 、活性線硬化反応を抑制しないような酸化 止剤を選んで用いることができる。例えば ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピ ン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げ ことができる。具体的には、例えば、4,4″- チオビス(6-t-3-メチルフェノール)、4,4″-ブチ リデンビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、 1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベン ル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t- チル-4-ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ -オクタデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルベ ンジルホスフェート等を挙げることができる 。

 紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ア カオプトマーKR、BYシリーズのKR-400、KR-410、 KR-550、KR-566、KR-567、BY-320B(以上、旭電化工業( 株)製)、コーエイハードのA-101-KK、A-101-WS、C-3 02、C-401-N、C-501、M-101、M-102、T-102、D-102、NS-10 1、FT-102Q8、MAG-1-P20、AG-106、M-101-C(以上、広栄 学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHC X-9(K-3)、PHC2213、DP-10、DP-20、DP-30、P1000、P1100 P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大 日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM 7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ ーシービー(株))、RC-5015、RC-5016、RC-5020、RC-5 031、RC-5100、RC-5102、RC-5120、RC-5122、RC-5152、RC-5 171、RC-5180、RC-5181(以上、大日本インキ化学工 業(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗 (株)製)、サンラッドH-601(三洋化成工業(株)製 )、SP-1509、SP-1507(以上、昭和高分子(株)製)、RC C-15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニック スM-6100、M-8030、M-8060(以上、東亞合成(株)製) またはその他の市販のものから適宜選択し 利用することができる。

 活性線硬化性樹脂層の塗布組成物は、固 分濃度は10~95質量%であることが好ましく、 布方法により適当な濃度が選ばれる。

 活性線硬化性樹脂を活性線硬化反応により 化被膜層を形成するための光源としては、 外線を発生する光源であればいずれでも使 できる。具体的には、前記光の項に記載の 源を使用できる。照射条件はそれぞれのラ プによって異なるが、照射光量としては20mJ /cm 2 ~10000mJ/cm 2 の範囲が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm 2 ~2000mJ/cm 2 である。近紫外線領域から可視光線領域にか けてはその領域に吸収極大のある増感剤を用 いることによって使用できる。

 活性線硬化性樹脂層を塗設する際の溶媒 、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン 、)、アルコール類(メタノール、エタノール イソプロパノール、ブタノール、シクロヘ サノール)、ケトン類(アセトン、メチルエ ルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケト アルコール類(ジアセトンアルコール)、エ テル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチ )、グリコールエーテル類、その他の有機溶 媒の中から適宜選択し、或いはこれらを混合 し利用できる。プロピレングリコールモノア ルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数と て1~4)またはプロピレングリコールモノアル ルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素 原子数として1~4)等を5質量%以上、より好まし くは5~80質量%以上含有する上記有機溶媒を用 るのが好ましい。

 活性線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方 としては、グラビアコータ、スピナーコー 、ワイヤーバーコータ、ロールコータ、リ ースコータ、押出コータ、エアードクター ータ等公知の方法を用いることができる。 布量はウェット膜厚で0.1μm~30μmが適当で、 ましくは0.5μm~15μmである。塗布速度は10m/分 ~60m/分の範囲が好ましい。

 活性線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥され 後、紫外線を照射するが、照射時間は0.5秒~ 5分がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、 業効率から3秒~2分がより好ましい。

 こうして硬化被膜層を得ることができる 、液晶表示装置パネルの表面に防眩性を与 るために、また他の物質との対密着性を防 、対擦り傷性等を高めるために、硬化被膜 用の塗布組成物中に無機または有機の微粒 を加えることもできる。

 例えば、無機微粒子としては酸化珪素、 化ジルコニウム酸化チタン、酸化アルミニ ム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、 酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カル ウム等を挙げることができる。

 また、有機微粒子としては、ポリメタア リル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アク ルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタク レート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポ スチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹 粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラ ン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末 ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹 粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ 化エチレン系樹脂粉末等を挙げることがで る。これらは紫外線硬化性樹脂組成物に加 て用いることができる。これらの微粒子粉 の平均粒径としては、0.01μm~10μmであり、使 用量は紫外線硬化樹脂組成物100質量部に対し て、0.1質量部~20質量部となるように配合する ことが望ましい。防眩効果を付与するには、 平均粒径0.1μm~1μmの微粒子を紫外線硬化樹脂 成物100質量部に対して1質量部~15質量部用い るのが好ましい。

 このような微粒子を紫外線硬化樹脂に添 することによって、中心線平均表面粗さRa 0.05μm~0.5μmの好ましい凹凸を有する防眩層を 形成することができる。また、このような微 粒子を紫外線硬化性樹脂組成物に添加しない 場合、中心線平均表面粗さRaは0.05μm未満、よ り好ましくは0.002μm~0.04μm未満の良好な平滑 を有するハードコート層を形成することが きる。

 この他、ブロッキング防止機能を果たす のとして、上述したのと同じ成分で、体積 均粒径0.005μm~0.1μmの極微粒子を樹脂組成物1 00質量部に対して0.1質量部~5質量部を用いる ともできる。

 反射防止層は上記ハードコート層の上に けるが、その方法は特に限定されず、塗布 スパッタ、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition) 、大気圧プラズマ法またはこれらを組み合 せて形成することができる。本発明では、 に塗布によって反射防止層を設けることが ましい。

 反射防止層を塗布により形成する方法と ては、溶剤に溶解したバインダー樹脂中に 属酸化物の粉末を分散し、塗布乾燥する方 、架橋構造を有するポリマーをバインダー 脂として用いる方法、エチレン性不飽和モ マーと光重合開始剤を含有させ、活性線を 射することにより層を形成する方法等の方 を挙げることができる。

 本発明においては、紫外線硬化樹脂層を 与したセルロースエステル光学フィルムの に反射防止層を設けることができる。光学 ィルムの最上層に低屈折率層を形成し、そ 間に高屈折率層の金属酸化物層を形成した 、更に光学フィルムと高屈折率層との間に に中屈折率層(金属酸化物の含有量或いは樹 脂バインダーとの比率、金属の種類を変更し て屈折率を調整した金属酸化物層)を設ける とは、反射率の低減のために、好ましい。 屈折率層の屈折率は、1.55~2.30であることが ましく、1.57~2.20であることが更に好ましい 中屈折率層の屈折率は、基材であるセルロ スエステルフィルムの屈折率(約1.5)と高屈折 率層の屈折率との中間の値となるように調整 する。中屈折率層の屈折率は、1.55~1.80である ことが好ましい。各層の厚さは、5nm~0.5μmで ることが好ましく、10nm~0.3μmであることが更 に好ましく、30nm~0.2μmであることが最も好ま い。金属酸化物層のヘイズは、5%以下であ ことが好ましく、3%以下であることが更に好 ましく、1%以下であることが最も好ましい。 属酸化物層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で3 H以上であることが好ましく、4H以上であるこ とが最も好ましい。金属酸化物層を塗布によ り形成する場合は、無機微粒子とバインダー ポリマーとを含むことが好ましい。

 本発明における中、高屈折率層は下記一 式(T)で表される有機チタン化合物のモノマ 、オリゴマーまたはそれらの加水分解物を 有する塗布液を塗布し乾燥させて形成させ 屈折率1.55~2.5の層であることが好ましい。

 一般式(T)  Ti(OR1) 4
 一般式(T)において、R1としては炭素数1~8の 肪族炭化水素基がよいが、好ましくは炭素 1~4の脂肪族炭化水素基である。また、有機 タン化合物のモノマー、オリゴマーまたは れらの加水分解物は、アルコキシド基が加 分解を受けて-Ti-O-Ti-のように反応して架橋 造を作り、硬化した層を形成する。

 本発明に用いられる有機チタン化合物のモ マー、オリゴマーとしては、Ti(OCH 3 ) 4 、Ti(OC 2 H 5 ) 4 、Ti(O-n-C 3 H 7 ) 4 、Ti(O-i-C 3 H 7 ) 4 、Ti(O-n-C 4 H 9 ) 4 、Ti(O-n-C 3 H 7 )4の2~10量体、Ti(O-i-C 3 H 7 )4の2~10量体、Ti(O-n-C 4 H 9 ) 4 の2~10量体等が好ましい例として挙げられる これらは単独で、または2種以上組み合わせ 用いることができる。中でもTi(O-n-C 3 H 7 ) 4 、Ti(O-i-C 3 H 7 ) 4 、Ti(O-n-C 4 H 9 ) 4 、Ti(O-n-C 3 H 7 )4の2~10量体、Ti(O-n-C 4 H 9 ) 4 の2~10量体が特に好ましい。

 本発明における中、高屈折率層用塗布液 、水と後述する有機溶媒が順次添加された 液中に上記有機チタン化合物を添加するこ が好ましい。水を後から添加した場合は、 水分解/重合が均一に進行せず、白濁が発生 したり、膜強度が低下することもある。水と 有機溶媒は添加された後、良く混合させるた めに攪拌し混合溶解されていることが好まし い。

 また、別法として有機チタン化合物と有 溶媒を混合させておき、この混合溶液を、 記水と有機溶媒の混合攪拌された溶液中に 加することも好ましい態様である。

 また、水の量は有機チタン化合物1モルに対 して、0.25~3モルの範囲であることが好ましい 。0.25モル未満であると、加水分解、重合の 行が不十分で膜強度が低下することもある 3モルを超えると加水分解、重合が進行し過 て、TiO 2 の粗大粒子が発生し白濁することもある。従 って水の量は上記範囲で調整することが好ま しい。

 また、水の含有率は塗布液総量に対して1 0質量%未満であることが好ましい。水の含有 を塗布液総量に対して10質量%以上にすると 塗布液の経時安定が劣り白濁を生じること ある。

 本発明に用いられる有機溶媒としては、 混和性の有機溶媒であることが好ましい。 混和性の有機溶媒としては、例えば、アル ール類(例えば、メタノール、エタノール、 プロパノール、イソプロパノール、ブタノー ル、イソブタノール、セカンダリーブタノー ル、ターシャリーブタノール、ペンタノール 、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベン ジルアルコール等)、多価アルコール類(例え 、エチレングリコール、ジエチレングリコ ル、トリエチレングリコール、ポリエチレ グリコール、プロピレングリコール、ジプ ピレングリコール、ポリプロピレングリコ ル、ブチレングリコール、ヘキサンジオー 、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサ トリオール、チオジグリコール等)、多価ア ルコールエーテル類(例えば、エチレングリ ールモノメチルエーテル、エチレングリコ ルモノエチルエーテル、エチレングリコー モノブチルエーテル、ジエチレングリコー モノメチルエーテル、ジエチレングリコー モノメチルエーテル、ジエチレングリコー モノブチルエーテル、プロピレングリコー モノメチルエーテル、プロピレングリコー モノブチルエーテル、エチレングリコール ノメチルエーテルアセテート、トリエチレ グリコールモノメチルエーテル、トリエチ ングリコールモノエチルエーテル、エチレ グリコールモノフェニルエーテル、プロピ ングリコールモノフェニルエーテル等)、ア ン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノ ールアミン、トリエタノールアミン、N-メチ ジエタノールアミン、N-エチルジエタノー アミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、 エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ト リエチレンテトラミン、テトラエチレンペン タミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチル ジエチレントリアミン、テトラメチルプロピ レンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルム ミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメ ルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2-ピ リドン、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘ シルピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジ チル-2-イミダゾリジノン等)、スルホキシド (例えば、ジメチルスルホキシド等)、スル ン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセト ニトリル、アセトン等が挙げられるが、特に 、アルコール類、多価アルコール類、多価ア ルコールエーテル類が好ましい。これらの有 機溶媒の使用量は、前述したように、水の含 有率が塗布液総量に対して10質量%未満である ように、水と有機溶媒のトータルの使用量を 調整すればよい。

 本発明に用いられる有機チタン化合物の ノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分 物は、単独で用いる場合は、塗布液に含ま る固形分に対し50.0質量%~98.0質量%を占めて ることが望ましい。固形分比率は50質量%~90 量%がより好ましく、55質量%~90質量%が更に好 ましい。この他、塗布組成物には有機チタン 化合物のポリマー(予め有機チタン化合物の 水分解を行って架橋したもの)或いは酸化チ ン微粒子を添加することも好ましい。

 本発明における高屈折率層及び中屈折率 は、微粒子として金属酸化物粒子を含んで よく、更にバインダーポリマーを含んでも い。

 上記塗布液調製法で加水分解/重合した有 機チタン化合物と金属酸化物粒子を組み合わ せると、金属酸化物粒子と加水分解/重合し 有機チタン化合物とが強固に接着し、粒子 もつ硬さと均一膜の柔軟性を兼ね備えた強 塗膜を得ることができる。

 高屈折率層及び中屈折率層に用いる金属酸 物粒子は、屈折率が1.80~2.80であることが好 しく、1.90~2.80であることが更に好ましい。 属酸化物粒子の1次粒子の平均粒径は、1~150n mであることが好ましく、1~100nmであることが に好ましく、1~80nmであることが最も好まし 。層中での金属酸化物粒子の平均粒径は、1 ~200nmであることが好ましく、5~150nmであるこ がより好ましく、10~100nmであることが更に好 ましく、10~80nmであることが最も好ましい。 属酸化物粒子の平均粒径は、例えば、走査 電子顕微鏡により観察して無作為に粒子200 の長径を測定し、平均粒径を求めることが きる。金属酸化物粒子の比表面積は、BET法 測定された値として、10~400m 2 /gであることが好ましく、20~200m 2 /gであることが更に好ましく、30~150m 2 /gであることが最も好ましい。

 金属酸化物粒子の例としては、Ti、Zr、Sn Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg Si、P及びSから選択される少なくとも一種の 元素を有する金属酸化物であり、具体的には 二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナター の混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、 酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸 化ジルコニウムが挙げられる。中でも、酸化 チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好 ましい。金属酸化物粒子は、これらの金属の 酸化物を主成分とし、更に他の元素を含むこ とができる。主成分とは、粒子を構成する成 分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味 する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si P及びS等が挙げられる。

 金属酸化物粒子は表面処理されているこ が好ましい。表面処理は、無機化合物また 有機化合物を用いて実施することができる 表面処理に用いる無機化合物の例としては アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム及び 化鉄が挙げられる。中でもアルミナ及びシ カが好ましい。表面処理に用いる有機化合 の例としては、ポリオール、アルカノール ミン、ステアリン酸、シランカップリング 及びチタネートカップリング剤が挙げられ 。中でも、シランカップリング剤が最も好 しい。

 具体的なシランカップリング剤の例とし は、メチルトリメトキシシラン、メチルト エトキシシラン、メチルトリメトキシエト シシラン、メチルトリアセトキシシラン、 チルトリブトキシシラン、エチルトリメト シシラン、エチルトリエトキシシラン、ビ ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビ ルトリメトキシエトキシシラン、フェニル リメトキシシラン、フェニルトリエトキシ ラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ- ロロプロピルトリメトキシシラン、γ-クロ プロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプ ピルトリアセトキシシラン、3,3,3-トリフル ロプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシ ルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ- リシジルオキシプロピルトリエトキシシラ 、γ-(β-グリシジルオキシエトキシ)プロピ トリメトキシシラン、β-(3,4-エポシシシクロ ヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4- エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキ シラン、γ-アクリロイルオキシプロピルト メトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシ ロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロ ルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピル リエトキシシラン、γ-メルカプトプロピル リメトキシシラン、γ-メルカプトプロピル リエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-ア ミノプロピルトリメトキシシラン及びβ-シア ノエチルトリエトキシシランが挙げられる。

 また、珪素に対して2置換のアルキル基を 持つシランカップリング剤の例として、ジメ チルジメトキシシラン、フェニルメチルジメ トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、 フェニルメチルジエトキシシラン、γ-グリシ ジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン 、γ-グリシジルオキシプロピルメチルジメト キシシラン、γ-グリシジルオキシプロピルフ ェニルジエトキシシラン、γ-クロロプロピル メチルジエトキシシラン、ジメチルジアセト キシシラン、γ-アクリロイルオキシプロピル メチルジメトキシシラン、γ-アクリロイルオ キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メ タクリロイルオキシプロピルメチルジメトキ シシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピル メチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロ ピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプト プロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノ プロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノ プロピルメチルジエトキシシラン、メチルビ ニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエ トキシシランが挙げられる。

 これらのうち、分子内に二重結合を有す ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ キシシラン、ビニルトリアセトキシシラン ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ-ア リロイルオキシプロピルトリメトキシシラ 及びγ-メタクリロイルオキシプロピルトリ トキシシラン、珪素に対して2置換のアルキ ル基を持つものとしてγ-アクリロイルオキシ プロピルメチルジメトキシシラン、γ-アクリ ロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラ ン、γ-メタクリロイルオキシプロピルメチル ジメトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシ プロピルメチルジエトキシシラン、メチルビ ニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエ トキシシランが好ましく、γ-アクリロイルオ キシプロピルトリメトキシシラン及びγ-メタ クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ ン、γ-アクリロイルオキシプロピルメチルジ メトキシシラン、γ-アクリロイルオキシプロ ピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロ イルオキシプロピルメチルジメトキシシラン 及びγ-メタクリロイルオキシプロピルメチル ジエトキシシランが特に好ましい。

 2種類以上のカップリング剤を併用しても よい。上記に示されるシランカップリング剤 に加えて、他のシランカップリング剤を用い てもよい。他のシランカップリング剤には、 オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、 ルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、 ルトケイ酸n-プロピル、オルトケイ酸i-プロ ル、オルトケイ酸n-ブチル、オルトケイ酸se c-ブチル、オルトケイ酸t-ブチル)及びその加 分解物が挙げられる。

 カップリング剤による表面処理は、微粒 の分散物に、カップリング剤を加え、室温 ら60℃までの温度で、数時間から10日間分散 物を放置することにより実施できる。表面処 理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫 、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホ 酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸( 例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンス ルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸) またはこれらの塩(例えば、金属塩、アンモ ウム塩)を、分散物に添加してもよい。

 これらシランカップリング剤は予め必要 の水で加水分解されていることが好ましい シランカップリング剤が加水分解されてい と、前述の有機チタン化合物及び金属酸化 粒子の表面が反応し易く、より強固な膜が 成される。また、加水分解されたシランカ プリング剤を予め塗布液中に加えることも ましい。この加水分解に用いた水も有機チ ン化合物の加水分解/重合に用いることがで きる。

 本発明では2種類以上の表面処理を組み合 わせて処理されていても構わない。金属酸化 物粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状 、紡錘形状或いは不定形状であることが好ま しい。2種類以上の金属酸化物粒子を高屈折 層及び中屈折率層に併用してもよい。

 高屈折率層及び中屈折率層中の金属酸化 粒子の割合は、5~90質量%であることが好ま く、より好ましくは10~85質量%であり、更に ましくは20~80質量%である。微粒子を含有す 場合に、前述の有機チタン化合物のモノマ 、オリゴマーまたはそれらの加水分解物の 合は、塗布液に含まれる固形分に対し1~50質 %であり、好ましくは1~40質量%、更に好まし は1~30質量%である。

 上記金属酸化物粒子は、媒体に分散した 散体の状態で、高屈折率層及び中屈折率層 形成するための塗布液に供される。金属酸 物粒子の分散媒体としては、沸点が60~170℃ 液体を用いることが好ましい。分散溶媒の 体例としては、水、アルコール(例、メタノ ール、エタノール、イソプロパノール、ブタ ノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、 セトン、メチルエチルケトン、メチルイソ チルケトン、シクロヘキサノン)、エステル (例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピ 、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、 酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素( 例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン 炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロ ルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、 ンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、 ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ ド、n-メチルピロリドン)、エーテル(例、ジ チルエーテル、ジオキサン、テトラハイド フラン)、エーテルアルコール(例、1-メトキ -2-プロパノール)が挙げられる。中でも、ト ルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メ チルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及 びブタノールが特に好ましい。

 また金属酸化物粒子は、分散機を用いて 体中に分散することができる。分散機の例 しては、サンドグラインダーミル(例、ピン 付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペ ブルミル、ローラーミル、アトライター及 コロイドミルが挙げられる。サンドグライ ダーミル及び高速インペラーミルが特に好 しい。また、予備分散処理を実施してもよ 。予備分散処理に用いる分散機の例として 、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー びエクストルーダーが挙げられる。

 本発明における高屈折率層及び中屈折率 は、架橋構造を有するポリマー(以下、架橋 ポリマーともいう)をバインダーポリマーと て用いることが好ましい。架橋ポリマーの として、ポリオレフィン等の飽和炭化水素 を有するポリマー(以下、ポリオレフィンと 称する)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリ ウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリ アミド及びメラミン樹脂等の架橋物が挙げら れる。中でも、ポリオレフィン、ポリエーテ ル及びポリウレタンの架橋物が好ましく、ポ リオレフィン及びポリエーテルの架橋物が更 に好ましく、ポリオレフィンの架橋物が最も 好ましい。また、架橋ポリマーがアニオン性 基を有することは更に好ましい。アニオン性 基は無機微粒子の分散状態を維持する機能を 有し、架橋構造はポリマーに皮膜形成能を付 与して皮膜を強化する機能を有する。上記ア ニオン性基は、ポリマー鎖に直接結合してい てもよいし、連結基を介してポリマー鎖に結 合していてもよいが、連結基を介して側鎖と して主鎖に結合していることが好ましい。

 アニオン性基の例としては、カルボン酸 (カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)及び リン酸基(ホスホノ)が挙げられる。中でも、 ルホン酸基及びリン酸基が好ましい。ここ 、アニオン性基は、塩の状態であってもよ 。アニオン性基と塩を形成するカチオンは アルカリ金属イオンであることが好ましい また、アニオン性基のプロトンは、解離し いてもよい。アニオン性基とポリマー鎖と 結合する連結基は、-CO-、-O-、アルキレン基 、アリーレン基、及びこれらの組み合わせか ら選ばれる二価の基であることが好ましい。 好ましいバインダーポリマーである架橋ポリ マーは、アニオン性基を有する繰り返し単位 と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有す るコポリマーであることが好ましい。この場 合、コポリマー中のアニオン性基を有する繰 り返し単位の割合は、2~96質量%であることが ましく、4~94質量%であることが更に好まし 、6~92質量%であることが最も好ましい。繰り 返し単位は、2以上のアニオン性基を有して てもよい。

 アニオン性基を有する架橋ポリマーには その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋 構造も有しない繰り返し単位)が含まれてい もよい。その他の繰り返し単位としては、 ミノ基または4級アンモニウム基を有する繰 返し単位及びベンゼン環を有する繰り返し 位が好ましい。アミノ基または4級アンモニ ウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒 子の分散状態を維持する機能を有する。ベン ゼン環は、高屈折率層の屈折率を高くする機 能を有する。尚、アミノ基、4級アンモニウ 基及びベンゼン環は、アニオン性基を有す 繰り返し単位或いは架橋構造を有する繰り し単位に含まれていても、同様の効果が得 れる。

 上記アミノ基または4級アンモニウム基を 有する繰り返し単位を構成単位として含有す る架橋ポリマーにおいて、アミノ基または4 アンモニウム基は、ポリマー鎖に直接結合 ていてもよいし、或いは連結基を介し側鎖 してポリマー鎖に結合していてもよいが、 者がより好ましい。アミノ基または4級アン ニウム基は、2級アミノ基、3級アミノ基ま は4級アンモニウム基であることが好ましく 3級アミノ基または4級アンモニウム基であ ことが更に好ましい。2級アミノ基、3級アミ ノ基または4級アンモニウム基の窒素原子に 合している基としては、アルキル基が好ま く、より好ましくは炭素数1~12のアルキル基 あり、更に好ましくは炭素数1~6のアルキル である。4級アンモニウム基の対イオンは、 ハライドイオンであることが好ましい。アミ ノ基または4級アンモニウム基とポリマー鎖 を結合する連結基は、-CO-、-NH-、-O-、アルキ レン基、アリーレン基、及びこれらの組み合 わせから選ばれる2価の基であることが好ま い。架橋ポリマーが、アミノ基または4級ア モニウム基を有する繰り返し単位を含む場 、その割合は、0.06~32質量%であることが好 しく、0.08~30質量%であることが更に好ましく 、0.1~28質量%であることが最も好ましい。

 架橋ポリマーは、架橋ポリマーを生成す ためのモノマーを配合して高屈折率層及び 屈折率層形成用の塗布液を調製し、塗布液 塗布と同時または塗布後に、重合反応によ て生成させることが好ましい。架橋ポリマ の生成と共に、各層が形成される。アニオ 性基を有するモノマーは、塗布液中で無機 粒子の分散剤として機能する。アニオン性 を有するモノマーは、無機微粒子に対して 好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~40質 %、更に好ましくは10~30質量%使用される。ま た、アミノ基または4級アンモニウム基を有 るモノマーは、塗布液中で分散助剤として 能する。アミノ基または4級アンモニウム基 有するモノマーは、アニオン性基を有する ノマーに対して、好ましくは3~33質量%使用 れる。塗布液の塗布と同時または塗布後に 重合反応によって架橋ポリマーを生成する 法により、塗布液の塗布前にこれらのモノ ーを有効に機能させることができる。

 本発明に用いられるモノマーとしては、2 個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマ ーが最も好ましいが、その例としては、多価 アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル( 例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー 、1,4-ジクロヘキサンジアクリレート、ペン タエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク リレート、トリメチロールエタントリ(メタ) クリレート、ジペンタエリスリトールテト (メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト ルペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリス リトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-シ ロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウ タンポリアクリレート、ポリエステルポリ クリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導 体(例、1,4-ジビニルベンゼン、4-ビニル安息 酸-2-アクリロイルエチルエステル、1,4-ジビ ルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例 ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メ チレンビスアクリルアミド)及びメタクリル ミド等が挙げられる。アニオン性基を有す モノマー、及びアミノ基または4級アンモニ ム基を有するモノマーは市販のモノマーを いてもよい。好ましく用いられる市販のア オン性基を有するモノマーとしては、KAYAMAR PM-21、PM-2(日本化薬(株)製)、AntoxMS-60、MS-2N、MS -NH4(日本乳化剤(株)製)、アロニックスM-5000、M -6000、M-8000シリーズ(東亞合成化学工業(株)製) 、ビスコート#2000シリーズ(大阪有機化学工業 (株)製)、ニューフロンティアGX-8289(第一工業 薬(株)製)、NKエステルCB-1、A-SA(新中村化学 業(株)製)、AR-100、MR-100、MR-200(第八化学工業( 株)製)等が挙げられる。また、好ましく用い れる市販のアミノ基または4級アンモニウム 基を有するモノマーとしてはDMAA(大阪有機化 工業(株)製)、DMAEA,DMAPAA(興人(株)製)、ブレン マーQA(日本油脂(株)製)、ニューフロンティア C-1615(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。

 ポリマーの重合反応は、光重合反応また 熱重合反応を用いることができる。特に光 合反応が好ましい。重合反応のため、重合 始剤を使用することが好ましい。例えば、 ードコート層のバインダーポリマーを形成 るために用いられる後述する熱重合開始剤 及び光重合開始剤が挙げられる。

 重合開始剤として市販の重合開始剤を使 してもよい。重合開始剤に加えて、重合促 剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促 剤の添加量は、モノマーの全量の0.2~10質量% の範囲であることが好ましい。塗布液(モノ ーを含む無機微粒子の分散液)を加熱して、 ノマー(またはオリゴマー)の重合を促進し もよい。また、塗布後の光重合反応の後に 熱して、形成されたポリマーの熱硬化反応 追加処理してもよい。

 中屈折率層及び高屈折率層には、比較的 折率が高いポリマーを用いることが好まし 。屈折率が高いポリマーの例としては、ポ スチレン、スチレン共重合体、ポリカーボ ート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エ キシ樹脂及び環状(脂環式または芳香族)イ シアネートとポリオールとの反応で得られ ポリウレタンが挙げられる。その他の環状( 香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマ ーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基と して有するポリマーも、屈折率が高く用いる ことができる。

 本発明に用いることのできる低屈折率層 しては、熱または電離放射線により架橋す 含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹 脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層、 ルゲル法による低屈折率層、または微粒子 バインダーポリマーを用い、微粒子間また 微粒子内部に空隙を有する低屈折率層等が いられるが、本発明に適用できる低屈折率 は、主として微粒子とバインダーポリマー 用いる低屈折率層であることが好ましい。 に粒子内部に空隙を有する(中空微粒子とも う)低屈折率層である場合、より屈折率を低 下することができ好ましい。但し、低屈折率 層の屈折率は、低ければ反射防止性能が良化 するため好ましいが、低屈折率層の強度付与 の観点では困難となる。このバランスから、 低屈折率層の屈折率は1.45以下であることが ましく、更に1.30~1.50であることが好ましく 1.35~1.49であることがより好ましく、1.35~1.45 あることが特に好ましい。

 また、上記低屈折率層の調製方法は適宜 み合わせて用いても構わない。

 架橋前の含フッ素樹脂としては、含フッ ビニルモノマーと架橋性基付与のためのモ マーから形成される含フッ素共重合体を好 しく挙げることができる。上記含フッ素ビ ルモノマー単位の具体例としては、例えば ルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチ レン、ビニリデンフルオライド、テトラフル オロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘ キサフルオロプロピレン、パーフルオロ-2,2- メチル-1,3-ジオキソール等)、(メタ)アクリ 酸の部分または完全フッ素化アルキルエス ル誘導体類(例えば、ビスコート6FM(大阪有機 化学製)やM-2020(ダイキン製)等)、完全または 分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられ 。架橋性基付与のためのモノマーとしては グリシジルメタクリレートや、ビニルトリ トキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプ ピルトリメトキシシラン、ビニルグリシジ エーテル等のように分子内に予め架橋性官 基を有するビニルモノマーの他、カルボキ ル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホ 酸基等を有するビニルモノマー(例えば、(メ タ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレー ト、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート アリルアクリレート、ヒドロキシアルキル ニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリル ーテル等)が挙げられる。後者は共重合の後 、ポリマー中の官能基と反応する基ともう1 以上の反応性基を持つ化合物を加えること より、架橋構造を導入できることが特開平10 -25388号、同10-147739号に記載されている。架橋 性基の例には、アクリロイル、メタクリロイ ル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン 、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、 ヒドラジン、カルボキシル、メチロール及び 活性メチレン基等が挙げられる。含フッ素共 重合体が、加熱により反応する架橋基、若し くは、エチレン性不飽和基と熱ラジカル発生 剤若しくはエポキシ基と熱酸発生剤等の組み 合わせにより、加熱により架橋する場合、熱 硬化型であり、エチレン性不飽和基と光ラジ カル発生剤若しくは、エポキシ基と光酸発生 剤等の組み合わせにより、光(好ましくは紫 線、電子ビーム等)の照射により架橋する場 、電離放射線硬化型である。

 また上記モノマー加えて、含フッ素ビニ モノマー及び架橋性基付与のためのモノマ 以外のモノマーを併用して形成された含フ 素共重合体を架橋前の含フッ素樹脂として いてもよい。併用可能なモノマーには特に 定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、 プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化 ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アク ル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル エチル、アクリル酸2-エチルヘキシル)、メ クリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、 メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、 エチレングリコールジメタクリレート等)、 チレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン ビニルトルエン、α-メチルスチレン等)、ビ ニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、 ニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸 ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド (N-tertブチルアクリルアミド、N-シクロヘキ ルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類 アクリロニトリル誘導体等を挙げることが きる。また、含フッ素共重合体中に、滑り 、防汚性付与のため、ポリオルガノシロキ ン骨格や、パーフルオロポリエーテル骨格 導入することも好ましい。これは、例えば 端にアクリル基、メタクリル基、ビニルエ テル基、スチリル基等を持つポリオルガノ ロキサンやパーフルオロポリエーテルと上 のモノマーとの重合、末端にラジカル発生 を持つポリオルガノシロキサンやパーフル ロポリエーテルによる上記モノマーの重合 官能基を持つポリオルガノシロキサンやパ フルオロポリエーテルと、含フッ素共重合 との反応等によって得られる。

 架橋前の含フッ素共重合体を形成するた に用いられる上記各モノマーの使用割合は 含フッ素ビニルモノマーが好ましくは20~70 ル%、より好ましくは40~70モル%、架橋性基付 のためのモノマーが好ましくは1~20モル%、 り好ましくは5~20モル%、併用されるその他の モノマーが好ましくは10~70モル%、より好まし くは10~50モル%の割合である。

 含フッ素共重合体は、これらモノマーを ジカル重合開始剤の存在下で、溶液重合、 状重合、乳化重合、懸濁重合法等の手段に り重合することにより得ることができる。

 架橋前の含フッ素樹脂は、市販されてお 使用することができる。市販されている架 前の含フッ素樹脂の例としては、サイトッ (旭硝子製)、テフロン(登録商標)AF(デュポン 製)、ポリフッ化ビニリデン、ルミフロン(旭 子製)、オプスター(JSR製)等が挙げられる。

 架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする 屈折率層は、動摩擦係数が0.03~0.15の範囲、 に対する接触角が90~120度の範囲にあること 好ましい。

 架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする 屈折率層が後述する無機粒子を含有するこ は、屈折率調整の点から好ましい。また無 微粒子は、表面処理を施して用いることも ましい。表面処理法としてはプラズマ放電 理やコロナ放電処理のような物理的表面処 とカップリング剤を使用する化学的表面処 があるが、カップリング剤の使用が好まし 。カップリング剤としては、オルガノアル キシ金属化合物(例、チタンカップリング剤 、シランカップリング剤等)が好ましく用い れる。無機微粒子がシリカの場合はシラン ップリング剤による処理が特に有効である

 また、低屈折率層用の素材として、各種 ルゲル素材を用いることもできる。この様 ゾルゲル素材としては、金属アルコレート( シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウ ム等のアルコレート)、オルガノアルコキシ 属化合物及びその加水分解物を用いること できる。特に、アルコキシシラン、オルガ アルコキシシラン及びその加水分解物が好 しい。これらの例としては、テトラアルコ シシラン(テトラメトキシシラン、テトラエ キシシラン等)、アルキルトリアルコキシシ ラン(メチルトリメトキシシラン、エチルト メトキシシラン等)、アリールトリアルコキ シラン(フェニルトリメトキシシラン等)、 アルキルジアルコキシシラン、ジアリール アルコキシシラン等が挙げられる。また、 種の官能基を有するオルガノアルコキシシ ン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビ ルジアルコキシシラン、γ-グリシジルオキ プロピルトリアルコキシシラン、γ-グリシ ルオキシプロピルメチルジアルコキシシラ 、β-(3,4-エポキジシクロヘキシル)エチルト アルコキシシラン、γ-メタクリロイルオキ プロピルトリアルコキシシラン、γ-アミノ ロピルトリアルコキシシラン、γ-メルカプ プロピルトリアルコキシシラン、γ-クロロ ロピルトリアルコキシシラン等)、パーフル オロアルキル基含有シラン化合物(例えば、( プタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラデシル)トリ エトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピル トリメトキシシラン等)を用いることも好ま い。特にフッ素含有のシラン化合物を用い ことは、層の低屈折率化及び撥水・撥油性 与の点で好ましい。

 低屈折率層として、無機若しくは有機の 粒子を用い、微粒子間または微粒子内のミ ロボイドとして形成した層を用いることも ましい。微粒子の平均粒径は、0.5~200nmであ ことが好ましく、1~100nmであることがより好 ましく、3~70nmであることが更に好ましく、5~4 0nmの範囲であることが最も好ましい。微粒子 の粒径は、なるべく均一(単分散)であること 好ましい。

 機微粒子としては、非晶質であることが好 しい。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化 、硫化物またはハロゲン化物からなること 好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン 物からなることが更に好ましく、金属酸化 または金属フッ化物からなることが最も好 しい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、 V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、Pb及 Niが好ましく、Mg、Ca、B及びSiが更に好まし 。二種類の金属を含む無機化合物を用いて よい。好ましい無機化合物の具体例として 、SiO 2 、またはMgF 2 であり、特に好ましくはSiO 2 である。

 無機微粒子内にミクロボイドを有する粒子 、例えば、粒子を形成するシリカの分子を 橋させることにより形成することができる シリカの分子を架橋させると体積が縮小し 粒子が多孔質になる。ミクロボイドを有す (多孔質)無機微粒子は、ゾル-ゲル法(特開昭 53-112732号、特公昭57-9051号に記載)または析出 (APPLIED OPTICS,27巻,3356頁(1988)記載)により、分 散物として直接合成することができる。また 、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に 粉砕して分散物を得ることもできる。市販の 多孔質無機微粒子(例えば、SiO 2 ゾル)を用いてもよい。

 これらの無機微粒子は、低屈折率層の形 のため、適当な媒体に分散した状態で使用 ることが好ましい。分散媒としては、水、 ルコール(例えば、メタノール、エタノール 、イソプロピルアルコール)及びケトン(例え 、メチルエチルケトン、メチルイソブチル トン)が好ましい。

 有機微粒子も非晶質であることが好まし 。有機微粒子は、モノマーの重合反応(例え ば乳化重合法)により合成されるポリマー微 子であることが好ましい。有機微粒子のポ マーはフッ素原子を含むことが好ましい。 リマー中のフッ素原子の割合は、35~80質量% あることが好ましく、45~75質量%であること 更に好ましい。また、有機微粒子内に、例 ば、粒子を形成するポリマーを架橋させ、 積を縮小させることによりミクロボイドを 成させることも好ましい。粒子を形成する リマーを架橋させるためには、ポリマーを 成するためのモノマーの20モル%以上を多官 モノマーとすることが好ましい。多官能モ マーの割合は、30~80モル%であることが更に ましく、35~50モル%であることが最も好まし 。上記有機微粒子の合成に用いられるモノ ーとしては、含フッ素ポリマーを合成する めに用いるフッ素原子を含むモノマーの例 して、フルオロオレフィン類(例えば、フル ロエチレン、ビニリデンフルオライド、テ ラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロ レン、パーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキ ソール)、アクリル酸またはメタクリル酸の ッ素化アルキルエステル類及びフッ素化ビ ルエーテル類が挙げられる。フッ素原子を むモノマーとフッ素原子を含まないモノマ とのコポリマーを用いてもよい。フッ素原 を含まないモノマーの例としては、オレフ ン類(例えば、エチレン、プロピレン、イソ レン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アク リル酸エステル類(例えば、アクリル酸メチ 、アクリル酸エチル、アクリル酸2-エチルヘ キシル)、メタクリル酸エステル類(例えば、 タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、 タクリル酸ブチル)、スチレン類(例えば、 チレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレ )、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニル エーテル)、ビニルエステル類(例えば、酢酸 ニル、プロピオン酸ビニル)、アクリルアミ ド類(例えば、N-tert-ブチルアクリルアミド、N -シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリ アミド類及びアクリルニトリル類が挙げら る。多官能モノマーの例としては、ジエン (例えば、ブタジエン、ペンタジエン)、多 アルコールとアクリル酸とのエステル(例え 、エチレングリコールジアクリレート、1,4- シクロヘキサンジアクリレート、ジペンタエ リスリトールヘキサアクリレート)、多価ア コールとメタクリル酸とのエステル(例えば エチレングリコールジメタクリレート、1,2, 4-シクロヘキサンテトラメタクリレート、ペ タエリスリトールテトラメタクリレート)、 ジビニル化合物(例えば、ジビニルシクロヘ サン、1,4-ジビニルベンゼン)、ジビニルスル ホン、ビスアクリルアミド類(例えば、メチ ンビスアクリルアミド)及びビスメタクリル ミド類が挙げられる。

 粒子間のミクロボイドは、微粒子を少な とも2個以上積み重ねることにより形成する ことができる。尚、粒径が等しい(完全な単 散の)球状微粒子を最密充填すると、26体積% 空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成され 。粒径が等しい球状微粒子を単純立方充填 ると、48体積%の空隙率の微粒子間ミクロボ ドが形成される。実際の低屈折率層では、 粒子の粒径の分布や粒子内ミクロボイドが 在するため、空隙率は上記の理論値からか り変動する。空隙率を増加させると、低屈 率層の屈折率が低下する。微粒子を積み重 てミクロボイドを形成すると、微粒子の粒 を調整することで、粒子間ミクロボイドの きさも適度の(光を散乱せず、低屈折率層の 強度に問題が生じない)値に容易に調節でき 。更に、微粒子の粒径を均一にすることで 粒子間ミクロボイドの大きさも均一である 学的に均一な低屈折率層を得ることができ 。これにより、低屈折率層は微視的にはミ ロボイド含有多孔質膜であるが、光学的或 は巨視的には均一な膜にすることができる 粒子間ミクロボイドは、微粒子及びポリマ によって低屈折率層内で閉じていることが ましい。閉じている空隙には、低屈折率層 面に開かれた開口と比較して、低屈折率層 面での光の散乱が少ないとの利点もある。

 ミクロボイドを形成することにより、低 折率層の巨視的屈折率は、低屈折率層を構 する成分の屈折率の和よりも低い値になる 層の屈折率は、層の構成要素の体積当たり 屈折率の和になる。微粒子やポリマーのよ な低屈折率層の構成成分の屈折率は1よりも 大きな値であるのに対して、空気の屈折率は 1.00である。その為、ミクロボイドを形成す ことによって、屈折率が非常に低い低屈折 層を得ることができる。

 また、本発明ではSiO 2 の中空微粒子を用いることも好ましい態様で ある。

 本発明でいう中空微粒子とは、粒子壁を有 その内部が空洞であるような粒子をいい、 えば前述の微粒子内部にミクロボイドを有 るSiO 2 粒子を更に有機珪素化合物(テトラエトキシ ラン等のアルコキシシラン類)で表面を被覆 その細孔入り口を閉塞して形成された粒子 ある。或いは前記粒子壁内部の空洞が溶媒 たは気体で満たされていてもよく、例えば 気の場合は中空微粒子の屈折率は、通常の リカ(屈折率=1.46)と比較して著しく低くする ことができる(屈折率=1.44~1.34)。この様な中空 SiO 2 微粒子を添加することにより、低屈折率層の 更なる低屈折率化が可能となる。

 上記無機微粒子内にミクロボイドを有する 子を中空にする調製方法は、特開2001-167637 公報、同2001-233611号公報に記載されている方 法に準じればよく、また本発明では市販の中 空SiO 2 微粒子を用いることができる。市販の粒子の 具体例としては、触媒化成工業社製P-4等が挙 げられる。

 低屈折率層は、5~50質量%の量のポリマー 含むことが好ましい。ポリマーは、微粒子 接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維 する機能を有する。ポリマーの使用量は、 隙を充填することなく低屈折率層の強度を 持できるように調整する。ポリマーの量は 低屈折率層の全量の10~30質量%であることが ましい。ポリマーで微粒子を接着するため は、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結 させるか、(2)微粒子をコアとして、その周 にポリマーシェルを形成するか、或いは(3) 粒子間のバインダーとして、ポリマーを使 することが好ましい。(1)の表面処理剤に結 させるポリマーは、(2)のシェルポリマーま は(3)のバインダーポリマーであることが好 しい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布 の調製前に、微粒子の周囲に重合反応によ 形成することが好ましい。(3)のポリマーは 低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、 屈折率層の塗布と同時または塗布後に、重 反応により形成することが好ましい。上記(1 )~(3)のうちの二つまたは全てを組み合わせて 施することが好ましく、(1)と(3)の組み合わ 、または(1)~(3)全ての組み合わせで実施する ことが特に好ましい。(1)表面処理、(2)シェル 及び(3)バインダーについて順次説明する。

 (1)表面処理
 微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を 施して、ポリマーとの親和性を改善するこ が好ましい。表面処理は、プラズマ放電処 やコロナ放電処理のような物理的表面処理 、カップリング剤を使用する化学的表面処 に分類できる。化学的表面処理のみ、また 物理的表面処理と化学的表面処理の組み合 せで実施することが好ましい。カップリン 剤としては、オルガノアルコキシメタル化 物(例、チタンカップリング剤、シランカッ リング剤)が好ましく用いられる。微粒子が SiO 2 からなる場合は、シランカップリング剤によ る表面処理が特に有効に実施できる。具体的 なシランカップリング剤の例としては、前記 したシランカップリング剤が好ましく用いら れる。

 カップリング剤による表面処理は、微粒 の分散物に、カップリング剤を加え、室温 ら60℃までの温度で、数時間から10日間分散 物を放置することにより実施できる。表面処 理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫 、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホ 酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸( 例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンス ルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸) またはこれらの塩(例えば、金属塩、アンモ ウム塩)を、分散物に添加してもよい。

 (2)シェル
 シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水 を主鎖として有するポリマーであることが ましい。フッ素原子を主鎖または側鎖に含 ポリマーが好ましく、フッ素原子を側鎖に むポリマーが更に好ましい。ポリアクリル エステルまたはポリメタクリル酸エステル 好ましく、フッ素置換アルコールとポリア リル酸またはポリメタクリル酸とのエステ が最も好ましい。シェルポリマーの屈折率 、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増加 伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下 せるため、シェルポリマーは35~80質量%のフ 素原子を含むことが好ましく、45~75質量%の ッ素原子を含むことが更に好ましい。フッ 原子を含むポリマーは、フッ素原子を含む チレン性不飽和モノマーの重合反応により 成することが好ましい。フッ素原子を含む チレン性不飽和モノマーの例としては、フ オロオレフィン(例えば、フルオロエチレン 、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロ エチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パー フルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)、フ 素化ビニルエーテル及びフッ素置換アルコ ルとアクリル酸またはメタクリル酸とのエ テルが挙げられる。

 シェルを形成するポリマーは、フッ素原 を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まな 繰り返し単位からなるコポリマーであって よい。フッ素原子を含まない繰り返し単位 、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和 ノマーの重合反応により得ることが好まし 。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和 ノマーの例としては、オレフィン(例えば、 エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビ ニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステ (例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エ ル、アクリル酸2-エチルヘキシル)、メタク ル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル 、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル 、エチレングリコールジメタクリレート)、 チレン及びその誘導体(例えば、スチレン、 ビニルベンゼン、ビニルトルエン、α-メチ スチレン)、ビニルエーテル(例えば、メチ ビニルエーテル)、ビニルエステル(例えば、 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビ ニル)、アクリルアミド(例えば、N-tert-ブチル アクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリル ミド)、メタクリルアミド及びアクリロニト リルが挙げられる。

 後述する(3)のバインダーポリマーを併用 る場合は、シェルポリマーに架橋性官能基 導入して、シェルポリマーとバインダーポ マーとを架橋により化学的に結合させても い。シェルポリマーは、結晶性を有してい もよい。シェルポリマーのガラス転移温度( Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと 、低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易 である。但し、Tgが低屈折率層の形成時の温 よりも高いと、微粒子が融着せず、低屈折 層が連続層として形成されない(その結果、 強度が低下する)場合がある。その場合は、 述する(3)のバインダーポリマーを併用し、 インダーポリマーにより低屈折率層を連続 として形成することが望ましい。微粒子の 囲にポリマーシェルを形成して、コアシェ 微粒子が得られる。コアシェル微粒子中に 機微粒子からなるコアが5~90体積%含まれてい ることが好ましく、15~80体積%含まれているこ とが更に好ましい。二種類以上のコアシェル 微粒子を併用してもよい。また、シェルのな い無機微粒子とコアシェル粒子とを併用して もよい。

 (3)バインダー
 バインダーポリマーは、飽和炭化水素また ポリエーテルを主鎖として有するポリマー あることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖 して有するポリマーであることが更に好ま い。バインダーポリマーは架橋しているこ が好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有 るポリマーは、エチレン性不飽和モノマー 重合反応により得ることが好ましい。架橋 ているバインダーポリマーを得るためには 二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ ーを用いることが好ましい。2以上のエチレ ン性不飽和基を有するモノマーの例としては 、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエ テル(例えば、エチレングリコールジ(メタ) クリレート、1,4-ジクロヘキサンジアクリレ ート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)ア リレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ )アクリレート、トリメチロールプロパント (メタ)アクリレート、トリメチロールエタン トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ ールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタ リスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペ ンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー 、1,2,3-シクロヘキサンテトラメタクリレー 、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエ テルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及 びその誘導体(例えば、1,4-ジビニルベンゼン 4-ビニル安息香酸-2-アクリロイルエチルエ テル、1,4-ジビニルシクロヘキサノン)、ビニ ルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、ア リルアミド(例えば、メチレンビスアクリル アミド)及びメタクリルアミドが挙げられる ポリエーテルを主鎖として有するポリマー 、多官能エポシキ化合物の開環重合反応に り合成することが好ましい。2以上のエチレ 性不飽和基を有するモノマーの代わりまた それに加えて、架橋性基の反応により、架 構造をバインダーポリマーに導入してもよ 。架橋性官能基の例としては、イソシアナ ト基、エポキシ基、アジリジン基、オキサ リン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒ ラジン基、カルボキシル基、メチロール基 び活性メチレン基が挙げられる。ビニルス ホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘 体、メラミン、エーテル化メチロール、エ テル及びウレタンも、架橋構造を導入する めのモノマーとして利用できる。ブロック ソシアナート基のように、分解反応の結果 して架橋性を示す官能基を用いてもよい。 た、架橋基は、上記化合物に限らず上記官 基が分解した結果反応性を示すものであっ もよい。バインダーポリマーの重合反応及 架橋反応に使用する重合開始剤は、熱重合 始剤や、光重合開始剤が用いられるが、光 合開始剤の方がより好ましい。光重合開始 の例としては、アセトフェノン類、ベンゾ ン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキ ド類、ケタール類、アントラキノン類、チ キサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2 ,3-ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド 化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族 スルホニウム類がある。アセトフェノン類の 例としては、2,2-ジエトキシアセトフェノン p-ジメチルアセトフェノン、1-ヒドロキシジ チルフェニルケトン、1-ヒドロキシシクロ キシルフェニルケトン、2-メチル-4-メチルチ オ-2-モルフォリノプロピオフェノン及び2-ベ ジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフ ニル)-ブタノンが挙げられる。ベンゾイン の例としては、ベンゾインメチルエーテル ベンゾインエチルエーテル及びベンゾイン ソプロピルエーテルが挙げられる。ベンゾ ェノン類の例としては、ベンゾフェノン、2, 4-ジクロロベンゾフェノン、4,4-ジクロロベン ゾフェノン及びp-クロロベンゾフェノンが挙 られる。ホスフィンオキシド類の例として 、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフ スフィンオキシドが挙げられる。

 バインダーポリマーは、低屈折率層の塗 液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布 同時または塗布後に重合反応(必要ならば更 に架橋反応)により形成することが好ましい 低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例 ば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエ レン、ポリメチルメタクリレート、ポリメ ルアクリレート、ジアセチルセルロース、 リアセチルセルロース、ニトロセルロース ポリエステル、アルキド樹脂)を添加しても よい。

 また、本発明の低屈折率層或いは他の屈 率層には滑り剤を添加することが好ましく 滑り性を付与することによって耐傷性を改 することができる。滑り剤としては、シリ ーンオイルまたはワックス状物質が好まし 用いられる。例えば、下記一般式で表され 化合物が好ましい。

 一般式  R 1 COR 2
 式中、R 1 は炭素原子数が12以上の飽和または不飽和の 肪族炭化水素基を表す。アルキル基または ルケニル基が好ましく、更に炭素原子数が1 6以上のアルキル基またはアルケニル基が好 しい。R 2 は-OM1基(M1はNa、K等のアルカリ金属を表す)、- OH基、-NH 2 基、または-OR 3 基(R 3 は炭素原子数が12以上の飽和または不飽和の 肪族炭化水素基、好ましくはアルキル基ま はアルケニル基を表す)を表し、R 2 としては-OH基、-NH 2 基または-OR 3 基が好ましい。具体的には、ベヘン酸、ステ アリン酸アミド、ペンタコ酸等の高級脂肪酸 またはその誘導体、天然物としてこれらの成 分を多く含んでいるカルナバワックス、蜜蝋 、モンタンワックスも好ましく使用できる。 特公昭53-292号公報に開示されているようなポ リオルガノシロキサン、米国特許第4,275,146号 明細書に開示されているような高級脂肪酸ア ミド、特公昭58-33541号公報、英国特許第927,446 号明細書または特開昭55-126238号公報及び同58- 90633号公報に開示されているような高級脂肪 エステル(炭素数が10~24の脂肪酸と炭素数が1 0~24のアルコールのエステル)、そして米国特 第3,933,516号明細書に開示されているような 級脂肪酸金属塩、特開昭51-37217号公報に開 されているような炭素数10までのジカルボン 酸と脂肪族または環式脂肪族ジオールからな るポリエステル化合物、特開平7-13292号公報 開示されているジカルボン酸とジオールか のオリゴポリエステル等を挙げることがで る。

 例えば、低屈折率層に使用する滑り剤の添 量は0.01mg/m 2 ~10mg/m 2 が好ましい。

 反射防止フィルムの各層またはその塗布 には、金属酸化物粒子、ポリマー、分散媒 、重合開始剤、重合促進剤等以外に、重合 止剤、レベリング剤、増粘剤、着色防止剤 紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯 防止剤や接着付与剤を添加してもよい。

 反射防止フィルムの各層は、ディップコ ト法、エアーナイフコート法、カーテンコ ト法、ローラーコート法、ワイヤーバーコ ト法、グラビアコート法やエクストルージ ンコート法(米国特許2,681,294号)により、塗 により形成することができる。2以上の層を 時に塗布してもよい。同時塗布の方法につ ては、米国特許2,761,791号、同2,941,898号、同3 ,508,947号、同3,526,528号及び原崎勇次著、コー ィング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載が る。

 本発明では、反射防止フィルムの製造に いて、前記調製した塗布液を支持体に塗布 た後乾燥する際に、好ましくは60℃以上で 燥することが好ましく、80℃以上で乾燥する ことが更に好ましい。また、露点20℃以下で 燥することが好ましく、15℃以下で乾燥す ことが更に好ましい。更に支持体に塗布し 後10秒以内に乾燥が開始されることが好まし く、上記条件と組み合わせることが、本発明 の効果を得る上で好ましい製造方法である。

 本発明のセルロースエステル光学フィル は、上述の如く偏光板保護フィルム、反射 止フィルム、ハードコートフィルム、防眩 ィルム、位相差フィルム、光学補償フィル 、帯電防止フィルム、輝度向上フィルム等 好ましく用いられる。

 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に 明するが、本発明はこれらに限定されるも ではない。尚、実施例中の「部」又は「%」 は、特に断りのない限り質量基準である。

 実施例1
 以下に、本発明に係る紫外線吸収性ポリマ の合成例を示す。

 (合成例1)
 まず、2(2″-ヒドロキシ-5″-メチル-フェニ )-5-メタクリロイルアミノ-2H-ベンゾトリアゾ ール(例示化合物UVM-2)を、下記に記載の方法 従って合成した。

 30.7gの2-アミノ-p-クレゾールを250mlの水に かし、濃塩酸83mlを加えた。これに、35mlの に溶解させた17.2gの亜硝酸ナトリウムを0℃ 加えた後、この溶液を、36.1gのm-フェニレン アミン塩酸塩水溶液500ml中に0℃で加えた。 の溶液を0℃に保ちながら、170gの酢酸ナト ウムを250mlの水に溶解させた水溶液を滴下し た後、5℃で2時間、更に、室温で2時間撹拌し た。反応液のpHをアンモニア水で8に調整した 後、沈殿物をろ過し、よく水洗した。

 ろ過した沈殿物48.4gを、300mlのメタノール に溶解させ、150gの硫酸銅5水和物を360mlの水 600mlのアンモニア水に溶解させた水溶液を加 えた後、95℃で2時間撹拌した。冷却後、沈殿 物をろ過し、濾液が透明になるまで水洗した 。ろ過した沈殿物を5モル/Lの塩酸水溶液500ml で1時間撹拌した後、ろ過し、再び200mlの水 溶解させ、アンモニア水でpH8に調整した。 れをろ過、水洗、乾燥後、酢酸エチルから 結晶を行うことで、2(2″-ヒドロキシ-5″-メ チル-フェニル)-5-アミノ-2H-ベンゾトリアゾー ルが得られた。

 12.0gの2(2″-ヒドロキシ-5″-メチル-フェニ ル)-5-アミノ-2H-ベンゾトリアゾールと0.1gのハ イドロキノンとを、70℃で110mlのテトラヒド フランに溶かした溶液に6.3gの炭酸水素ナト ウムを加えた。この溶液に、10mlのテトラヒ ドロフランに溶かしたメタクリル酸クロリド を60℃で30分かけて滴下した。反応溶液を水 に注ぎ、析出した結晶をろ過、水洗、乾燥 、エチレングリコールモノメチルエーテル 再結晶を行うことで例示化合物UVM-2である2(2 ″-ヒドロキシ-5″-メチル-フェニル)-5-メタク リロイルアミノ-2H-ベンゾトリアゾールが得 れた。

 次に、例示化合物MOL-2と例示化合物UVM-2と の共重合体(UVP-4)を下記に示す方法に従って 成した。

 トルエン100ml中に、例示化合物MOL-2を6.3g 例示化合物UVM-2を3.7gとを加え、次いで、ア イソブチロニトリル0.1gを加えた。窒素雰囲 下で80℃まで加熱し5時間反応させた。トル ン70mlを減圧留去した後、大過剰のメタノー ル中に滴下した。析出した沈殿物を濾取し、 40℃で真空乾燥して、5.5gの共重合体(UVP-4)を た。この共重合体は、標準ポリスチレンを 準とするGPC分析により、重量平均分子量は27 000であると確認し、Mw/Mnが2.4であった。また 子量1000未満の低分子量成分の比率が0.8質量 %であった。分光吸収スペクトル測定により 収極大λmaxは353nmであった。

 NMRスペクトル及び分光吸収スペクトルか 、上記共重合体が、例示化合物MOL-2と例示 合物UVM-2との共重合体であることを確認した 。上記共重合体の組成比(質量比)は略、MOL-2:U VM-2:メタクリル酸メチル=63:37であった。

 (合成例2)
 まず、2(2″-ヒドロキシ-5″-t-ブチル-フェニ ル)-5-カルボン酸-(2-メタクリロイルオキシ)エ チルエステル-2H-ベンゾトリアゾール(例示化 物UVM-14)を、下記に記載の方法に従って合成 した。

 20.0gの3-ニトロ-4-アミノ-安息香酸を160mlの 水に溶かし、濃塩酸43mlを加えた。20mlの水に 解させた8.0gの亜硝酸ナトリウムを0℃で加 た後、0℃のまま2時間撹拌した。この溶液に 、17.3gの4-t-ブチルフェノールを水50mlとエタ ール100mlに溶解させた溶液中に、炭酸カリウ ムで液性をアルカリ性に保ちながら0℃で滴 した。この溶液を0℃に保ちながら1時間、更 に室温で1時間撹拌した。反応液を塩酸で酸 にし、生成した沈殿物をろ過した後、よく 洗した。

 ろ過した沈殿を500mlの1モル/LのNaOH水溶液 溶解させ、35gの亜鉛粉末を加えた後、40%NaOH 水溶液110gを滴下した。滴下後、約2時間撹拌 、ろ過、水洗し、濾液を塩酸で中和して中 とした。析出した沈殿物をろ過、水洗、乾 後、酢酸エチルとアセトンの混合溶媒で再 晶を行うことにより、2(2″-ヒドロキシ-5″- t-ブチル-フェニル)-5-カルボン酸-2H-ベンゾト アゾールが得られた。

 10.0gの2(2″-ヒドロキシ-5″-t-ブチル-フェ ル)-5-カルボン酸-2H-ベンゾトリアゾールと0. 1gのハイドロキノン、4.6gの2-ヒドロキシエチ メタクリレート、0.5gのp-トルエンスルホン とをトルエン100ml中に加え、エステル管を えた反応容器で10時間加熱還流を行う。反応 溶液を水中に注ぎ、析出した結晶をろ過、水 洗、乾燥し、酢酸エチルで再結晶を行うこと で、例示化合物UVM-14である2(2″-ヒドロキシ-5 ″-t-ブチル-フェニル)-5-カルボン酸-(2-メタク リロイルオキシ)エチルエステル-2H-ベンゾト アゾールが得られた。

 次に、例示化合物MOL-1と例示化合物UVM-14 の共重合体(UVP-1)を下記に示す方法に従って 成した。

 トルエン100ml中に、例示化合物MOL-1を6.5g 例示化合物UVM-14を3.5gとを加え、次いで、ジ ウロイルパーオキサイド0.1gを加えた。窒素 雰囲気下で85℃まで加熱し5時間反応させた。 トルエン70mlを減圧留去した後、大過剰のメ ノール中に滴下した。析出した沈殿物を濾 し、40℃で真空乾燥して、7.3gの共重合体(UVP- 2)を得た。この共重合体は、標準ポリスチレ を基準とするGPC分析により、重量平均分子 は18000であると確認し、Mw/Mnが1.9であった。 また分子量1000未満の低分子量成分の比率が0. 8質量%であった。分光吸収スペクトル測定に り吸収極大λmaxは353nmであった。

 NMRスペクトル及び分光吸収スペクトルか 、上記共重合体が、例示化合物MOL-1と例示 合物UVM-14との共重合体であることを確認し 。上記共重合体の組成比(質量比)は略、MOL-1: UVM-14=65:35であった。

 (合成例3)
 まず、2(2″-ヒドロキシ-5″-t-ブチル-フェニ ル)-5-カルボン酸-(2-アクリロイルオキシ)エチ ルエステル-2H-ベンゾトリアゾール(例示化合 UVM-44)を、下記に記載の方法に従って合成し た。

 20.0gの3-ニトロ-4-アミノ-安息香酸を160mlの 水に溶かし、濃塩酸43mlを加えた。20mlの水に 解させた8.0gの亜硝酸ナトリウムを0℃で加 た後、0℃のまま2時間撹拌した。この溶液に 、17.3gの4-t-ブチルフェノールを水50mlとエタ ール100mlに溶解させた溶液中に、炭酸カリウ ムで液性をアルカリ性に保ちながら0℃で滴 した。この溶液を0℃に保ちながら1時間、更 に室温で1時間撹拌した。反応液を塩酸で酸 にし、生成した沈殿物をろ過した後、よく 洗した。

 ろ過した沈殿を500mlの1モル/LのNaOH水溶液 溶解させ、35gの亜鉛粉末を加えた後、40%NaOH 水溶液110gを滴下した。滴下後、約2時間撹拌 、ろ過、水洗し、濾液を塩酸で中和して中 とした。析出した沈殿物をろ過、水洗、乾 後、酢酸エチルとアセトンの混合溶媒で再 晶を行うことにより、2(2″-ヒドロキシ-5″- t-ブチル-フェニル)-5-カルボン酸-2H-ベンゾト アゾールが得られた。

 10.0gの2(2″-ヒドロキシ-5″-t-ブチル-フェ ル)-5-カルボン酸-2H-ベンゾトリアゾールと0. 1gのハイドロキノン、4.1gの2-ヒドロキシエチ アクリレート、0.5gのp-トルエンスルホン酸 をトルエン100ml中に加え、エステル管を備 た反応容器で10時間加熱還流を行う。反応溶 液を水中に注ぎ、析出した結晶をろ過、水洗 、乾燥し、酢酸エチルで再結晶を行うことで 、例示化合物UVM-44である2(2″-ヒドロキシ-5″ -t-ブチル-フェニル)-5-カルボン酸-(2-アクリロ イルオキシ)エチルエステル-2H-ベンゾトリア ールが得られた。

 次に、例示化合物MOL-1と例示化合物UVM-44 メタクリル酸メチルとの共重合体(UVP-2)を下 に示す方法に従って合成した。

 トルエン100ml中に、例示化合物MOL-1を5.0g 例示化合物UVM-44を3.0gとメタクリル酸メチル2 .0gとを加え、次いで、アゾイソブチロニトリ ル0.1gを加えた。窒素雰囲気下で80℃まで加熱 し3時間反応させた。トルエン70mlを減圧留去 た後、大過剰のメタノール中に滴下した。 出した沈殿物を濾取し、40℃で真空乾燥し 、7.8gの共重合体(UVP-5)を得た。この共重合体 は、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析に より、重量平均分子量は21000であると確認し Mw/Mnが2.3であった。また分子量1000未満の低 子量成分の比率が0.9質量%であった。分光吸 収スペクトル測定により吸収極大λmaxは353nm あった。

 NMRスペクトル及び分光吸収スペクトルか 、上記共重合体が、例示化合物MOL-1と例示 合物UVM-44とメタクリル酸メチルとの共重合 であることを確認した。上記共重合体の組 比(質量比)は略、MOL-1:UVM-44:メタクリル酸メ ル=50:30:20であった。

 (合成例4)
 例示化合物MOL-1と例示化合物UVM-44とメタク ル酸メチルと例示化合物UVM-81の共重合体(UVP- 3)を下記に示す方法に従って合成した。

 トルエン100ml中に、例示化合物MOL-1を4.5g 例示化合物UVM-44を3.0gとメタクリル酸メチル2 .0gと例示化合物UVM-81を0.5gとを加え、次いで ジラウロイルパーオキサイド0.1gを加えた。 素雰囲気下で85℃まで加熱し3時間反応させ 。トルエン70mlを減圧留去した後、大過剰の メタノール中に滴下した。析出した沈殿物を 濾取し、40℃で真空乾燥して、7.2gの共重合体 (UVP-3)を得た。この共重合体は、標準ポリス レンを基準とするGPC分析により、重量平均 子量は17000であると確認し、Mw/Mnが2.0であっ 。また分子量1000未満の低分子量成分の比率 が0.9質量%であった。分光吸収スペクトル測 により吸収極大λmaxは350nmであった。

 NMRスペクトル及び分光吸収スペクトルか 、上記共重合体が、例示化合物MOL-1と例示 合物UVM-44とメタクリル酸メチルと例示化合 UVM-81の共重合体であることを確認した。上 共重合体の組成比(質量比)は略、MOL-1:UVM-44: タクリル酸メチル:UVM-81=45:30:20:5であった。

 更に、表1に記載の構成モノマーと組成比 からなる本発明の紫外線吸収性ポリマーUVP-5~ 30を、合成例1~4と同様に合成した。また表1に 記載の構成モノマーと組成比からなる比較の 紫外線吸収性ポリマーUVP-31~34、36も同様に合 した。UVP-35は特開平6-73367号公報を参考に合 成した。なお合成したポリマーの重量平均分 子量(Mw)、吸収極大λmax、及び組成比(質量比) 合成例1と同様の方法でもとめた。

 実施例2
 〔セルロースエステル光学フィルムの製造
 セルロースエステルCE-1としてセルロースア セテートプロピオネート(アセチル基置換度=1 .41、プロピオニル置換度=1.32、総置換度=2.73 重量平均分子量=20万(ポリスチレン換算)、分 散度=2.3)100質量部、可塑剤として前記KA-61の8. 0質量部、炭素ラジカル捕捉剤として前記I-16( 市販品として、SumilizerGS(住友化学社製))の0.25 質量部、フェノール系化合物P-1として、ペン タエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブ ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]( 販品として、Irganox1010(チバスペシャルティ ミカルズ社製))0.5質量部、リン系化合物と て前記PN-1、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メ ルフェニル)-4,4″-ビフェニレンジホスホナ ト(市販品として、GSY-P101(堺化学工業社製))0. 25質量部、紫外線吸収性ポリマーとして前記U VP-3の1.5質量部、更に紫外線吸収剤として下 UV-1の0.7質量部、微粒子(マット剤)M-1として 微粒子シリカ(平均一次粒径16μm)(市販品とし て、アエロジルR972V(日本アエロジル社製))0.3 量部を混合し、60℃ 5時間減圧乾燥した。 のセルロースアシレート組成物を、2軸式押 し機を用いて235℃で溶融混合しペレット化 た。この際、混錬時のせん断による発熱を えるためニーディングディスクは用いずオ ルスクリュータイプのスクリューを用いた また、ベント孔から真空引きを行い、混錬 に発生する揮発成分を吸引除去した。なお 押出し機に供給するフィーダーやホッパー 押出し機ダイから冷却槽間は、乾燥窒素ガ 雰囲気として、樹脂への水分の吸湿を防止 た。

 フィルム製膜は図1に示す製造装置で行っ た。

 第1冷却ロール及び第2冷却ロールは直径40 cmのステンレス製とし、表面にハードクロム ッキを施した。又、内部には温度調整用の イルを循環させて、ロール表面温度を制御 た。弾性タッチロールは、直径20cmとし、内 筒と外筒はステンレス製とし、外筒の表面に はハードクロムメッキを施した。外筒の肉厚 は2mmとし、内筒と外筒との間の空間に温度調 整用のオイルを循環させて弾性タッチロール の表面温度を制御した。

 得られたペレット(水分率50ppm)を、1軸押 し機を用いてTダイからフィルム状に表面温 130℃の第1冷却ロール上に溶融温度250℃でフ ィルム状に溶融押し出しドロー比20で、キャ トフィルムを得た。この際、Tダイのリップ クリアランス1.5mm、リップ部平均表面粗さRa0. 01μmのTダイを用いた。ただし、ドロー比とは ダイのリップクリアランスを流延-冷却固化 れたフィルムの平均膜厚で割った値を表わ 。

 更に、第1冷却ロール上でフィルムを2mm厚の 金属表面を有する弾性タッチロールを線圧10k g/cmで押圧した。押圧時のタッチロール側の ィルム温度は、180℃±1℃であった。(ここで う押圧時のタッチロール側のフィルム温度 、第1ロール(冷却ロール)上のタッチロール 接する位置のフィルムの温度を、非接触温 計を用いて、タッチロールを後退させてタ チロールがない状態で50cm離れた位置から幅 方向に10点測定したフィルム表面温度の平均 を指す。)このフィルムのガラス転移温度Tg 136℃であった。(セイコー(株)製、DSC6200を用 いてDSC法(窒素中、昇温温度10℃/分)によりダ スから押し出されたフィルムのガラス転移 度を測定した。)
 なお、弾性タッチロールの表面温度は130℃ 第2冷却ロールの表面温度は100℃とした。弾 性タッチロール、第1冷却ロール、第2冷却ロ ルの各ロールの表面温度は、ロールにフィ ムが最初に接する位置から回転方向に対し 90°手前の位置のロール表面の温度を非接触 温度計を用いて幅方向に10点測定した平均値 各ロールの表面温度とした。

 得られたフィルムを、160℃加熱してロー 延伸により、長手方向に1.05倍延伸し、続い て予熱ゾーン、延伸ゾーン、保持ゾーン、冷 却ゾーン(各ゾーン間には各ゾーン間の断熱 確実にするためのニュートラルゾーンも有 る)を有するテンターに導入し、幅方向に160 で1.20倍延伸した後、幅方向に2%緩和しなが 70℃まで冷却し、その後クリップから開放 、クリップ把持部を裁ち落として、フィル 両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施 し、幅1430mmにスリットした膜厚80μm、Roが5nm Rtが45nmのセルロースエステル光学フィルムF- 1を作製した。この際、予熱温度、保持温度 調整し延伸によるボーイング現象を防止し 。

 同様に以下、表2、表3記載の化合物、製 条件でセルロースエステル光学フィルムF-2~4 7を作製した。

 使用した化合物及び製造条件の詳細を以 に示す。

 添加量はセルロースエステル100質量部に する質量部を表す。

 (セルロースエステル)
 CE-2:セルロースアセテートプロピオネート アセチル置換度=1.92、プロピオニル置換度=0. 74、総置換度=2.66、重量平均分子量=21万(ポリ チレン換算)、分散度=3.0
 CE-3:セルロースアセテートプロピオネート アセチル基置換度=0.08、プロピオニル置換度 =2.75、総置換度=2.83、重量平均分子量=23万(ポ スチレン換算)、分散度=2.8
 CE-4:セルロースアセテートプロピオネート アセチル置換度=1.56、プロピオニル置換度=1. 34、総置換度=2.90、重量平均分子量=20万(ポリ チレン換算)、分散度=2.9
上記において、分散度とは、重量平均分子量 /数平均分子量をいう。

 CE-5:セルロースアセテートプロピオネート アセチル置換度=1.63、プロピオニル置換度=1. 21、総置換度=2.84、重量平均分子量=21万(ポリ チレン換算)、分散度=3.1
 CE-6:セルロースアセテートプロピオネート アセチル置換度=1.30、ブチリル置換度=1.23、 置換度=2.53、重量平均分子量=22万(ポリスチ ン換算)、分散度=3.3
 CE-7:セルロースアセテートブチレート、ア チル置換度=1.05、ブチリル置換度=1.78、総置 度=2.83、重量平均分子量=26万(ポリスチレン 算)、分散度=3.5
 (フェノール系化合物)
 P-2:エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t ert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネ ト](市販品として、IRGANOX-245(チバスペシャ ティケミカルズ社製))
 P-3:ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル- 4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](市販 として、IRGANOX-259(チバスペシャルティケミ ルズ社製))
 P-4:オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒド キシフェニル)プロピオネート(市販品とし 、IRGANOX-1076(チバスペシャルティケミカルズ 製))
 (リン系化合物)
 PH-1:下記化合物
 PH-2:下記化合物
 (紫外線吸収剤)
 UV-1:下記化合物
 UV-2:下記化合物

 (微粒子)
 M-2:AEROSIL NAX50(日本アエロジル(株)製)
 M-3:SEAHOSTAR KE-P100(日本触媒(株)製)
 〔セルロースエステル光学フィルムの評価
 上記のようにして作製した試料について、 下に記載した評価を行った。その結果を表4 に示す。

 (1)紫外線吸収性ポリマーのセルロースエス ルに対する混錬性評価
 作製したセルロースエステル光学フィルム ついて、下記のようにしてヘイズ値を測定 混錬性の評価とした。

 〈ヘイズ値の測定〉
 フィルム試料1枚をASTM-D1003-52に従って、東 電色工業(株)製T-2600DAを使用して測定し、以 のようにヘイズ値をランク分けし混錬性の 価とした。ヘイズ値が小さいほど混錬性が 好である。

 A:ヘイズ値 0.2%未満
 B:ヘイズ値 0.2%以上0.5%未満
 C:ヘイズ値 0.5%以上1.0%未満
 D:ヘイズ値 1.0%以上1.5%未満
 E:ヘイズ値 1.5%以上
 (2)幅手方向端部の着色評価(端部と中央部イ エローインデックスYI比率)
 前記、セルロースエステルフィルムの製造 おいて溶融押出し直後のセルロースエステ フィルムの幅手方向両端部から30mm四方のサ ンプル及びフィルム中央部から30mm四方のサ プルを切り出し、日立ハイテクノロジーズ 製分光光度計U-3310を用いて、その吸収スペ トルを測定し、三刺激値X、Y、Zを算出した この三刺激値X、Y、Zから、JIS-K7103に基づい フィルム両端部のイエローインデックスYe、 及びフィルム中央部のイエローインデックス Ycを算出し、その比率Ye/Ycを求めた。なお前 イエローインデックスは切り出したサンプ 内で最大となる部分の箇所を読み取った。 部と中央部のイエローインデックスの比率 各フィルムで50点求め、その平均値から、次 の評価基準で評価を行った。

 7:Ye/Ycが1.2未満、実用上非常に優れたレベル である
 6:Ye/Ycが1.2以上1.5未満、実用上優れたレベル である
 5:Ye/Ycが1.5以上3.0未満、実用上問題のないレ ベルである
 4:Ye/Ycが3.0以上5.0未満、実用上の最低許容範 囲である
 3:Ye/Ycが5.0以上7.0未満、実用上問題が発生す る可能性のあるレベルである
 2:Ye/Ycが7.0以上10.0未満、実用上問題が発生 るレベルである
 1:Ye/Ycが10.0以上、実用上問題が発生するレ ルである
 (3)リターデーション分布の評価
リターデーション分布は以下で示される変動 係数(CV)を求め、指標とした。

 作製したセルロースエステルフィルム試 について、幅手方向に1cm間隔で3次元方向の 屈折率を測定した。下記式より得られた面内 リターデーション(Ro)、厚み方向のリターデ ション(Rt)及び変動係数(CV)を求めた。

 測定は、自動複屈折計KOBURA・21ADH(王子計 器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で波 長が590nmにおいて、行われ、得られた測定値 下式(a)、(b)に代入して、面内リターデーシ ンRo、厚み方向リターデーションRtを求めた 。

 式(a)面内リターデーションRo=(nx-ny)×d
 式(b)厚み方向リターデーションRt=((nx+ny)/2-nz )×d
 ここに、dはフィルムの厚み(nm)、nxはフィル ムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折 率ともいう、nyはフィルム面内で遅相軸に直 な方向の屈折率、nzは厚み方向におけるフ ルムの屈折率である。得られた厚み方向の ターデーションをそれぞれ(n-1)法による標準 偏差を求めた。厚み方向のリターデーション の変動係数(CV)は下記式から求めた。nとして 130~140に設定した。

 リターデーション(厚み方向)の変動係数(CV)= リターデーションRtの標準偏差/リターデーシ ョンRtの平均値
得られた厚み方向のリターデーション(Rt)の 動係数(CV)からリターデーション分布を次の 価基準で評価した。

 7:(CV)が1.5%未満、実用上非常に優れたレベル である
 6:(CV)が1.5%以上2.0%未満、実用上優れたレベ である
 5:(CV)が2.0%以上5.0%未満、実用上問題のない ベルである
 4:(CV)が5.0%以上6.0%未満、実用上の最低許容 囲である
 3:(CV)が6.0%以上8.0%未満、実用上問題が発生 る可能性のあるレベルである
 2:(CV)が8.0%以上、10%未満、実用上問題が発生 する可能性のあるレベルである
 1:(CV)が10%以上、実用上問題が発生するレベ である
 (4)寸法安定性の評価
 作製したセルロースエステル光学フィルム ついて縦方向及び横方向より30mm幅×120mm長 の試験片を各3枚採取し、試験片の両端に6mm の穴をパンチで100mm間隔に開けた。これを23 3℃、65±5%RHの室内で3時間以上調湿した。自 ピンゲージ(新東科学(株)製)を用いてパンチ 間隔の原寸(L1)を最小目盛り1μmまで測定する 次に試験片を80℃、90%RHの恒温恒湿器に吊し て50時間熱処理し、23±3℃、65±5%RHの室内で3 間以上調湿した後、自動ピンゲージで熱処 後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定する。そし 以下の式により寸法変化率を算出する。

   寸法変化率(%)=(L1-L2/L1)×100

 表4から、本発明の光学フィルムはリター デーションの均一性が良好で、寸法安定性に 優れ、同時に、フィルム幅手方向の端部の着 色が低いことが確認された。また本発明の紫 外線吸収性ポリマーは、混錬性に優れている ことも確認され、光学フィルムとして優秀な 性能を有することが確認された。

 〔ノルボルネン系光学フィルムの製造〕
 実施例2の試料F-1のセルロースエステル樹脂 に代えて乾燥したノルボルネン系開環ポリマ ーの水素添加物(日本ゼオン(株)、ゼオノア142 0R、ガラス転移温度140℃)を用いた以外は実施 例2の試料F-1と同様な処方で、溶融温度265℃ 代えた以外は実施例2と同様の方法で溶融押 出し、冷却処理を行い、フィルムを得た。 られたフィルムをテンターに導入し、実施 2の試料F-1と同様に延伸処理を行い、膜厚80 mの光学フィルムを得た。得られた試料を実 例2と同様に評価したところ混錬性C、端部 中央部の着色比率評価4、リターデーションR oが8nm、Rtが35nm、リターデーション(Rt)の分布 価が4、寸法安定性MDが0.10%、TDが0.11%の結果 あり、光学フィルムとしての性能を有する とが確認された。

 実施例3
 〔反射防止フィルム及び偏光板の作製〕
 実施例2で作製したセルロースエステル光学 フィルムF-1~3、5~8、10~12、14~15、21、22、24~27、 29~31、33~47を用いて、その一方の面にハード ート層及び反射防止層を形成し、ハードコ ト付き反射防止フィルムを作製した。これ 用いて偏光板を作製した。

 〈ハードコート層〉
 下記ハードコート層組成物を乾燥膜厚3.5μm なるように塗布し、80℃にて1分間乾燥した 次に高圧水銀ランプ(80W)にて150mJ/cm 2 の条件で硬化させ、ハードコート層を有する ハードコートフィルムを作製した。ハードコ ート層の屈折率は1.50であった。

 〈ハードコート層組成物(C-1)〉
 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー (2量体以上の成分を2割程度含む)
                                  108質量部
 イルガキュア184(チバスペシャルティケミカ ルズ(株)製)     2質量部
 プロピレングリコールモノメチルエーテル             180質量部
 酢酸エチル                           120質量部
 〈中屈折率層〉
 前記ハードコートフィルムのハードコート の上に、下記中屈折率層組成物を押出しコ ターで塗布し、80℃、0.1m/秒の条件で1分間 燥させた。この時、指触乾燥終了(塗布面を で触って乾燥していると感じる状態)までは 非接触フローターを使用した。非接触フロー ターとしては、ベルマッティク社製の水平フ ロータータイプのエアータンバーを使用した 。フローター内静圧は9.8kPaとし、約2mm幅手方 向に均一に浮上させて搬送した。乾燥後、高 圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を、130mJ/cm 2 照射して硬化させ、中屈折率層を有する中屈 折率層フィルムを作製した。この中屈折率層 フィルムの中屈折率層の厚さは84nmで、屈折 は1.66であった。

 〈中屈折率層組成物〉
 20%ITO微粒子分散物(平均粒径70nm、イソプロ ルアルコール溶液)
                                    100g
 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー               6.4g
 イルガキュア184(チバスペシャルティケミカ ルズ(株)製)     1.6g
 テトラブトキシチタン                         4.0g
 10%FZ-2207(日本ユニカー社製、プロピレング コールモノメチルエーテル溶液)                                 3.0g
 イソプロピルアルコール                       530g
 メチルエチルケトン                          90g
 プロピレングリコールモノメチルエーテル               265g
 〈高屈折率層〉
 前記中屈折率層の上に、下記高屈折率層組 物を押出しコーターで塗布し、80℃、0.1m/秒 の条件で1分間乾燥させた。この時、指触乾 終了(塗布面を指で触って乾燥していると感 る状態)までは非接触フローターを使用した 。非接触フローターは中屈折率層形成と同じ 条件とした。乾燥後、高圧水銀ランプ(80W)を いて紫外線を130mJ/cm 2 照射して硬化させ、高屈折率層を有する高屈 折率層フィルムを作製した。

 〈高屈折率層組成物〉
 テトラ(n)ブトキシチタン                    95質量部
 ジメチルポリシロキサン(信越化学社製KF-96- 1000CS)   1質量部
 γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシ ラン(信越化学社製KBM503)
                                    5質量部
 プロピレングリコールモノメチルエーテル            1750質量部
 イソプロピルアルコール                    3450質量部
 メチルエチルケトン                       600質量部
 尚、この高屈折率層フィルムの高屈折率層 厚さ50μm、屈折率は1.82であった。

 〈低屈折率層〉
 最初にシリカ系微粒子(空洞粒子)の調製を った。

 (シリカ系微粒子S-1の調製)
 平均粒径5nm、SiO 2 濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合 物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5 あり、同母液にSiO 2 として0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000 gとAl 2 O 3 として1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶 9000gとを同時に添加した。その間、反応液 温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直 、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかっ た。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、 限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO 2 ・Al 2 O 3 核粒子分散液を調製した。(工程(a))
 この核粒子分散液500gに純水1700gを加えて98 に加温し、この温度を保持しながら、ケイ ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱 ルカリして得られたケイ酸液(SiO 2 濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層 形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b))
 次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度1 3質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核 粒子分散液500gに純水1125gを加え、更に濃塩酸 (35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処 理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純 水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアル ニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成 した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO 2 ・Al 2 O 3 多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。上 多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノ ル1,750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を 35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO 2  28質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形 した多孔質粒子の表面をエチルシリケート 加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆 層を形成した。次いで、限外濾過膜を用いて 溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質 %のシリカ系微粒子の分散液を調製した。

 このシリカ系微粒子の第1シリカ被覆層の厚 さ、平均粒径、MOx/SiO 2 (モル比)、及び屈折率を表5に示す。ここで、 平均粒径は動的光散乱法により測定し、屈折 率は標準屈折液としてCARGILL製のSeriesA、AAを い、以下の方法で測定した。

 〈粒子の屈折率の測定方法〉
 (1)粒子分散液をエバポレーターに採り、分 媒を蒸発させる。

 (2)これを120℃で乾燥し、粉末とする。

 (3)屈折率が既知の標準屈折液を2、3滴ガ ス板上に滴下し、これに上記粉末を混合す 。

 (4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行 、混合液が透明になったときの標準屈折液 屈折率をコロイド粒子の屈折率とする。

 (低屈折率層の形成)
 Si(OC 2 H 5 ) 4 を95mol%、C 3 F 7 -(OC 3 F 6 ) 24 -O-(CF 2 ) 2 -C 2 H 4 -O-CH 2 Si(OCH 3 ) 3 を5mol%で混合したマトリックスに対して、平 粒径60nmの上記シリカ系微粒子S-1を35質量%添 加し、1.0N-HClを触媒に用いて、更に溶媒で希 した低屈折率コーティング剤を作製した。 記活性線硬化樹脂層または高屈折率層上に イコーター法を用いてコーティング溶液を 厚100nmで塗布し、120℃で1分間乾燥した後、 外線照射を行うことにより、屈折率1.37の低 屈折率層を形成した。

 以上のようにして、反射防止フィルムを 製した。

 次いで、厚さ、120μmのポリビニルアルコ ルフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍 率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリ ム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し 次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100g らなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水 、乾燥し偏光膜を得た。

 次いで、下記工程1~5に従って偏光膜と前 反射防止フィルム、裏面側のセルロースエ テルフィルムを貼り合わせて偏光板を作製 た。裏面側の偏光板保護フィルムには市販 セルロースエステルフィルムであるコニカ ノルタタックKC8UCR-4(コニカミノルタオプト( 株)製)を用いて偏光板とした。

 工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶 液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、 光子と貼合する側を鹸化した前記反射防止 ィルムを得た。

 工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビ ニルアルコール接着剤槽中に1~2秒浸漬した。

 工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接 剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した セルロースエステル光学フィルムの上にのせ て積層した。

 工程4:工程3で積層した反射防止フィルム試 と偏光膜とセルロースエステルフィルムを 力20~30N/cm 2 、搬送スピードは約2m/分で貼合した。

 工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した 光膜とセルロースエステルフィルムと反射 止フィルムとを貼り合わせた試料を2分間乾 し、偏光板を作製した。

 〔液晶表示装置の作製〕
 視野角測定を行う液晶パネルを以下のよう して作製し、液晶表示装置としての特性を 価した。

 富士通製15型ディスプレイVL-150SDの予め貼 合されていた両面の偏光板を剥がして、上記 作製した偏光板をそれぞれ液晶セルのガラス 面に貼合した。

 その際、その偏光板の貼合の向きは、上 反射防止フィルムの面が、液晶の観察面側 なるように、かつ、予め貼合されていた偏 板と同一の方向に吸収軸が向くように行い 液晶表示装置を各々作製した。

 本発明の光学フィルムを用いて作製した 射防止フィルムは硬度ムラ、筋ムラが少な 、それを用いた偏光板、液晶表示装置は反 色ムラも問題無く、コントラストにも優れ 表示性を示した。実施例2で比較とした試料 を用いて作製した反射防止フィルムは硬度ム ラ、筋ムラがあり、それを用いた偏光板、液 晶表示装置は反射色ムラが出ている結果であ った。

 実施例4
 〔帯電防止フィルム及び偏光板の作製〕
 実施例2で作製したセルロースエステル光学 フィルムF-1~3、5~8、10~12、14~15、21、22、24~27、 29~31、33~47を用いて、その一方の面にハード ート層及び帯電防止層を形成し、ハードコ ト付き帯電防止フィルムを作製した。これ 用いて偏光板を作製した。

 (塗布組成物)
 (帯電防止層塗布組成物)
 ポリメチルメタアクリレート(重量平均分子 量55万、Tg:90℃)  0.5部
 プロピレングリコールモノメチルエーテル                60部
 メチルエチルケトン                          16部
 乳酸エチル                               5部
 メタノール                               8部
 導電性ポリマー樹脂CP-1(0.1~0.3μm粒子)         0.5部

 (ハードコート層塗布組成物)
 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー 単量体            60部
 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー 2量体            20部
 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー 3量体以上の成分       20部
 ジエトキシベンゾフェノン光反応開始剤                   6部
 シリコーン系界面活性剤                         1部
 プロピレングリコールモノメチルエーテル                75部
 メチルエチルケトン                          75部
 (カール防止層塗布組成物)
 アセトン                                35部
 酢酸エチル                              45部
 イソプロピルアルコール                         5部
 ジアセチルセルロース                         0.5部
 超微粒子シリカ2%アセトン分散液(アエロジ :200V)(日本アエロジル(株)製)                                 0.1部
 下記に従って、ハードコート付き帯電防止 ィルムを作製した。

 実施例2で作製したセルロースエステルフ ィルム試料の片面に、カール防止層塗布組成 物をウェット膜厚13μmとなるようにグラビア ートし、乾燥温度80±5℃にて乾燥させた。 のセルロースエステルフィルムのもう1方の に帯電防止層塗布組成物を28℃、82%RHの環境 下でウェット膜厚で7μmとなるようにフィル の搬送速度30m/minで塗布幅1mで塗布し、次い 80±5℃に設定された乾燥部で乾燥して乾燥膜 厚で約0.2μmの樹脂層を設け、帯電防止フィル ムを作製した。

 さらにこの帯電防止層の上にハードコート 塗布組成物をウェット膜厚で13μmとなるよ に塗設し、乾燥温度90℃にて乾燥させた後、 紫外線を150mJ/m 2 となるように照射して、乾燥膜厚で5μmのク アハードコート層を設けた。得られた光学 ィルムはブラッシングを起こすこともなく 乾燥後の亀裂の発生も認められず、塗布性 良好であった。

 実施例2で作製した本発明試料については 、いずれも良好な塗布性が確認された。実施 例2で比較とした試料を用いて作製した帯電 止フィルムは、高湿度環境で塗布したとき ブラッシングが起こった。また、乾燥後微 な亀裂が認められた。

 次いで実施例3と同様に上記帯電防止フィ ルムを用いた偏光板を作製した。

 〔液晶表示装置の作製〕
 視野角測定を行う液晶パネルを以下のよう して作製し、液晶表示装置としての特性を 価した。

 富士通製15型ディスプレイVL-150SDの予め貼 合されていた両面の偏光板を剥がして、上記 作製した偏光板をそれぞれ液晶セルのガラス 面に貼合した。

 その際、その偏光板の貼合の向きは、上 帯電防止フィルムの面が、液晶の観察面側 なるように、かつ、予め貼合されていた偏 板と同一の方向に吸収軸が向くように行い 液晶表示装置を各々作製し、その表示特性 評価した。

 本発明のセルロースエステル光学フィル から作製した帯電防止フィルムを用いた偏 板を使用した液晶ディスプレイは、実施例2 で比較とした試料を用いて作製した偏光板を 使用した液晶ディスプレイに比べコントラス トも高く、優れた表示性を示した。これによ り本発明のセルロースエステル光学フィルム を用いた偏光板は、液晶ディスプレイ等の画 像表示装置用の偏光板として優れていること が確認された。

 実施例5
 〔偏光板、液晶表示装置の作製〕
 実施例3で用いた裏面側の偏光板保護フィル ムであるコニカミノルタタックKC8UCR-4(コニカ ミノルタオプト(株)製)の代わりに実施例2で 製した位相差光学フィルムF-4、9、13、16~20、 23、28、32を用いて、表面側の偏光板保護フィ ルムをコニカミノルタタックKC8UX(コニカミノ ルタオプト(株)製)とした以外は実施例3と同 にして、偏光板、及び液晶表示装置を作製 たところ、実施例3を再現し、本発明のセル ースエステル光学フィルムを用いた偏光板 液晶表示装置は、反射色ムラも問題無く、 ントラストにも優れた表示性を示した。

 本発明によれば、光学フィルム用途とし の十分な紫外部の吸収特性を有し、加熱加 時に着色が少なく、寸法安定性に優れ、幅 方向のリターデーションのばらつきが小さ 等の優れた光学特性を有し、かつフィルム 手方向の端部の着色が少ない光学フィルム 該光学フィルムを使用した偏光板及び液晶 示装置、更には樹脂との混錬性に優れた紫 線吸収性ポリマーを提供することができる