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Title:
ORGANIC PIEZOELECTRIC MATERIAL, PROCESS FOR PRODUCING THE ORGANIC PIEZOELECTRIC MATERIAL, AND ULTRASONIC VIBRATOR AND ULTRASONIC PROBE USING THE ORGANIC PIEZOELECTRIC MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081691
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are an organic piezoelectric material for the formation of an organic piezoelectric film having excellent piezoelectric properties, and a process for producing the organic piezoelectric material. Also disclosed are an ultrasonic vibrator and an ultrasonic probe using an organic piezoelectric film formed using the organic piezoelectric material. The organic piezoelectric material is characterized in that the organic piezoelectric material has been produced using a macromonomer containing a urea bond or a thiourea bond and having a molecular weight of 400 to 10,000 as a starting material.

Inventors:
FUKUSAKA KIYOSHI (JP)
MORITA KIYOKAZU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071665
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
November 28, 2008
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Assignee:
KONICA MINOLTA MED & GRAPHIC (JP)
FUKUSAKA KIYOSHI (JP)
MORITA KIYOKAZU (JP)
International Classes:
H01L41/193; C08F16/32; C08F20/36; C08F20/60; C08G18/10; H01L41/08; H01L41/22; H01L41/257; H01L41/314; H01L41/39; H01L41/45; H04R17/00
Foreign References:
JP2006225565A2006-08-31
JP2005068188A2005-03-17
JPH07258370A1995-10-09
JPH05311399A1993-11-22
JPH02284485A1990-11-21
JPH06216422A1994-08-05
JP2002105226A2002-04-10
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Claims:
ウレア結合又はチオウレア結合を有し、且つ、分子量が400~10,000であるマクロモノマーを原料として形成されたことを特徴とする有機圧電材料。
前記マクロモノマーが、アルキルポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを原料として、合成されたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機圧電材料。
前記マクロモノマーが、芳香族縮環構造を有することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の有機圧電材料。
前記マクロモノマーが、ウレタン結合を有することを特徴とする請求の範囲第1項から第3項のいずれか一項に記載の有機圧電材料。
前記マクロモノマーの化学構造において、末端の少なくとも一箇所が、イソシアナート基であることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか一項に記載の有機圧電材料。
前記マクロモノマーの化学構造において、末端の少なくとも一箇所が、活性水素を有する基であることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか一項に記載の有機圧電材料。
前記マクロモノマーの化学構造において、末端の少なくとも一箇所が、ビニル基、アクリロイル基又はメタアクリロイル基であることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか一項に記載の有機圧電材料。
請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の有機圧電材料の製造方法であって、ウレア結合又はチオウレア結合を少なくとも1つ有し、且つ、分子量が500~10,000であるマクロモノマーを原料として形成することを特徴とする有機圧電材料の製造方法。
請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の有機圧電材料の製造方法であって、前記マクロモノマーを基板上に塗布した後、加熱により重合させることを特徴とする有機圧電材料の製造方法。
請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の有機圧電材料の製造方法であって、前記マクロモノマーの反応により形成された樹脂を含有する樹脂組成物を基板上に塗布することを特徴とする有機圧電材料の製造方法。
請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の有機圧電材料を用いたことを特徴とする超音波振動子。
超音波送信用振動子と超音波受信用振動子を具備する超音波探触子であって、請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の有機圧電材料を用いた超音波振動子を超音波受信用振動子として具備したことを特徴とする超音波探触子。
Description:
有機圧電材料、その製造方法、 れを用いた超音波振動子及び超音波探触子

 本発明は、マクロモノマー用いて形成さ た有機圧電材料、その製造方法、それを用 た超音波振動子及び超音波探触子に関する

 詳しくは、例えば、マイクロホン、スピ カー用の振動板等の音響機器、各種熱セン ー、圧力センサー、赤外性検出器等の測定 器、超音波探蝕子、遺伝子やタンパク等の 異を高感度に検出する振動センサー等、熱 機械刺激を電気エネルギーに変換するため 用いることができる圧電性や焦電性を持つ 機圧電材料に関する。

 圧焦電体としては、水晶、LiNbO 3 、LiTaO 3 、KNbO 3 などの単結晶、ZnO、AlNなどの薄膜、Pb(Zr,Ti)O 3 系などの焼結体を分極処理した、いわゆる無 機圧電材料が広く利用されている。しかしな がら、これら無機材質の圧電材料は、弾性ス ティフネスが高く、機械的損失係数が高い、 密度が高く誘電率も高いなどの特徴を持って いる。

 一方でポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF と略す。)、ポリシアノビニリデン(以下「PVD CN」と略す。)等の有機圧電材料も開発されて いる(特許文献1参照)。この有機圧電材料は、 薄膜化、大面積化等の加工性に優れ、任意の 形状、形態の物が作ることができ、弾性率が 低い、誘電率が低い等の特徴を持つため、セ ンサーとしての使用を考えたときに、高感度 な検出を可能とする特徴を持っている。一方 で有機圧電材料は、耐熱性が低く高い温度で はその圧焦電特性を失うほか、弾性スティフ ネスなどの物性も大きく減じるため使用でき る温度域に限界があった。

 このような限界に対して、ウレイン基か 構成されるポリウレア樹脂組成物は、ウレ ン基の双極子モーメントが大きく、樹脂と ての温度特性に優れるため、有機圧電材料 して種々の検討が行われてきた。例えば、4 ,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI) ようなジイソシアネート化合物と4,4’-ジア ミノジフェニルメタン(MDA)のようなジアミン 合物を同時に蒸発させてポリ尿素膜を形成 る、いわゆる蒸着重合法が開示されている( 特許文献2及び特許文献3参照)。しかしながら 、これらに記載されている蒸着重合法で作製 するポリウレア樹脂組成物は、生成するオリ ゴマー又は高分子量体の分子量が不均一であ るため、分極処理を施しながら高分子量化を 行った場合、配向が十分でない状態でポリウ レア樹脂組成物が形成される。このため、ウ レア結合の双極子モーメントを十分に活用で きず、有機圧電材料としては、更なる改善が 求められていた。

 一方、ポリウレア樹脂組成物を溶液で重合 た場合、重合度のコントロールが困難であ 、生成した樹脂組成物は剛直性が高く、強 な樹脂となってしまうため、膜物性や取り い性の改善が求められていた。これらを改 するために、ポリウレア樹脂組成物の分子 中にウレタン結合を導入し、且つ、定序性 持たせる検討が行われてきた(特許文献4及 特許文献5)。しかしながら、これらは特徴の ある原料(例えば、p-イソシアナートベンジル イソシアナート等)のみで達成できており、 称ジイソシアネート化合物を用いるポリウ ア樹脂組成物に適応するのは困難であった

特開平6-216422号公報

特開平2-284485号公報

特開平5-311399号公報

特開2002-265553号公報

特開2003-238648号公報

 本発明は、上記問題・状況に鑑みてなさ たものであり、その解決課題は、優れた圧 性を有する有機圧電体膜を形成するための 機圧電材料とその製造方法を提供すること ある。また、当該有機圧電材料を用いて形 された有機圧電体膜を用いた超音波振動子 び超音波探触子を提供することである。

 本発明に係る上記課題は、下記の手段に り解決される。

 1.ウレア結合又はチオウレア結合を有し 且つ、分子量が400~10,000であるマクロモノマ を原料として形成されたことを特徴とする 機圧電材料。

 2.前記マクロモノマーが、アルキルポリ ソシアネート又は芳香族ポリイソシアネー を原料として、合成されたことを特徴とす 前記1に記載の有機圧電材料。

 3.前記マクロモノマーが、芳香族縮環構 を有することを特徴とする前記1又は2に記載 の有機圧電材料。

 4.前記マクロモノマーが、ウレタン結合 有することを特徴とする前記1から3のいずれ か一項に記載の有機圧電材料。

 5.前記マクロモノマーの化学構造におい 、末端の少なくとも一箇所が、イソシアナ ト基であることを特徴とする前記1から4のい ずれか一項に記載の有機圧電材料。

 6.前記マクロモノマーの化学構造におい 、末端の少なくとも一箇所が、活性水素を する基であることを特徴とする前記1から4の いずれか一項に記載の有機圧電材料。

 7.前記マクロモノマーの化学構造におい 、末端の少なくとも一箇所が、ビニル基、 クリロイル基又はメタアクリロイル基であ ことを特徴とする前記1から4のいずれか一項 に記載の有機圧電材料。

 8.前記1から7のいずれか一項に記載の有機 圧電材料の製造方法であって、ウレア結合又 はチオウレア結合を少なくとも1つ有し、且 、分子量が500~10,000であるマクロモノマーを 料として形成することを特徴とする有機圧 材料の製造方法。

 9.前記1から7のいずれか一項に記載の有機 圧電材料の製造方法であって、前記マクロモ ノマーを基板上に塗布した後、加熱により重 合させることを特徴とする有機圧電材料の製 造方法。

 10.前記1から7のいずれか一項に記載の有 圧電材料の製造方法であって、前記マクロ ノマーの反応により形成された樹脂を含有 る樹脂組成物を基板上に塗布することを特 とする有機圧電材料の製造方法。

 11.前記1から7のいずれか一項に記載の有 圧電材料を用いたことを特徴とする超音波 動子。

 12.超音波送信用振動子と超音波受信用振 子を具備する超音波探触子であって、前記1 から7のいずれか一項に記載の有機圧電材料 用いた超音波振動子を超音波受信用振動子 して具備したことを特徴とする超音波探触 。

 本発明の上記手段により、優れた圧電性 有する有機圧電体膜を形成するための有機 電材料とその製造方法を提供することがで る。また、当該有機圧電材料を用いて形成 れた有機圧電体膜を用いた超音波振動子及 超音波探触子を提供することができる。

 すなわち、本発明に係るマクロモノマー 、反応性基を有するモノマーを逐次縮合さ ることにより、双極子モーメントを有する 数の結合及び連結基を導入することができ ため、従来では困難だった樹脂組成物の溶 性や剛直性の調整が原料の選択により可能 なる。又、マクロモノマーを原料とするこ で、残モノマーの影響を排除できるため、 電材料としての耐熱性及び圧電特性を著し 向上させることができる。

 なお、本発明の有機圧電材料を用いて、 電性においても優れている有機圧電体膜を 供することができる。

超音波医用画像診断装置の主要部の構 を示す概念図

符号の説明

 1 受信用圧電材料(膜)
 2 支持体
 3 送信用圧電材料(膜)
 4 バッキング層
 5 電極
 6 音響レンズ

 本発明の有機圧電材料は、ウレア結合(-NR 1 CONR 2 -)又はチオウレア結合(-NR 3 CSNR 4 -)を有し、且つ、分子量が400~10,000であるマク ロモノマーを原料として形成されたことを特 徴とする。この特徴は、請求の範囲第1項か 第12項に係る発明に共通する技術的特徴であ る。

 なお、本願において、「マクロモノマー」 は、分子鎖の末端の少なくとも一箇所に、 ソシアネート基、活性水素を有する基又は ニル基等の重合可能な官能基を有し、ウレ 結合、チオウレア結合、ウレタン結合(-OCONR 1 -)、アミド結合(-CONR 1 -)、エーテル結合(-O-)、エステル結合(-CO 2 -)及びカーボネート結合(-CO 2 -)から選ばれる2個以上の結合を有する化合物 のことをいう。

 なお、本願においては、「ウレタン結合」 おけるR 1 は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基(メ ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ 基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル 、シクロヘキシル基等)を表し、好ましくは 水素原子又は炭素数5以下のアルキル基であ り、更に好ましくは、水素原子又はメチル基 である。また、「アミド結合」におけるR 1 は、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基(メ ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ 基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル 、シクロヘキシル基等)を表し、好ましくは 水素原子又は炭素数5以下のアルキル基であ り、更に好ましくは、水素原子又はメチル基 である。

 本発明の実施態様としては、前記マクロ ノマーが、アルキルポリイソシアネート又 芳香族ポリイソシアネートを原料として、 成されたものであることが好ましい。また 前記マクロモノマーが、芳香族縮環構造を すること、ウレタン結合を有することなど 満たす態様であることが好ましい。

 更に、当該マクロモノマーの化学構造に いて、末端の少なくとも一箇所が、イソシ ナート基であること、末端の少なくとも一 所が、活性水素を有する基であること、又 末端の少なくとも一箇所が、ビニル基、ア リロイル基又はメタアクリロイル基である となどが好ましい。

 本発明の有機圧電材料の製造方法として 、ウレア結合又はチオウレア結合を少なく も1つ有し、且つ、分子量が500~10,000である クロモノマーを原料の一部もしくは全てと て形成する製造方法であることが好ましい また、当該製造方法において、前記マクロ ノマーを基板上に塗布した後、加熱により 合させる方法であること、又は前記マクロ ノマーの反応により形成された樹脂を含有 る樹脂組成物を基板上に塗布する方法であ ことが好ましい。

 なお、本発明の有機圧電材料は、有機圧 体膜として、超音波振動子に好適に用いる とができる。更には、超音波送信用振動子 超音波受信用振動子を具備する超音波探触 において、当該超音波振動子を超音波受信 振動子として好適に用いることができる。

 以下、本発明とその構成要素、及び本発 を実施するための最良の形態・態様等につ て詳細な説明をする。

 (マクロモノマー)
 本発明に係るマクロモノマーは、双極子モ メントを有するウレア結合又はチオウレア 合を有していることを特徴とする。すなわ 、本発明に係るマクロモノマーは、反応性 を有するモノマーを逐次縮合させることに り、双極子モーメントを有する複数の結合 び連結基を導入することができるため、従 では困難だった樹脂組成物の溶解性や剛直 の調整が原料の選択により可能となる。又 マクロモノマーを原料とすることで、残モ マーの影響を排除できるため、圧電材料と ての耐熱性及び圧電特性を著しく向上させ ことができる。

 なお、「ウレア結合」は、一般式:-NR 1 CONR 2 -で表される。又、「チオウレア結合」は、 般式:-NR 3 CSNR 4 -で表される。

 ここで、R 1 及びR 2 は、各々独立に水素原子又は炭素数1~10のア キル基(メチル基、エチル基、プロピル基、 ソプロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基 ヘキシル基、シクロヘキシル基等)を表し、 ましくは、水素原子又は炭素数5以下のアル キル基であり、更に好ましくは、水素原子又 はメチル基である。

 ウレア結合又はチオウレア結合は、如何 る手段を用いて形成されても良いが、イソ アネートとアミン、イソチオシアネートと ミンとの反応で得ることができる。又、1,3- ビス(2-アミノエチル)ウレア、1,3-ビス(2-ヒド キシエチル)ウレア、1,3-ビス(2-ヒドロキシ ロピル)ウレア、1,3-ビス(2-ヒドロキシメチル )チオウレア、1,3-ビス(2-ヒドロキシエチル)チ オウレア、1,3-ビス(2-ヒドロキシプロピル)チ ウレア等の様に、末端にヒドロキシル基又 アミノ基を有するアルキル基で置換された レア化合物を原料としてマクロモノマーを 成しても良い。

 原料として使用するイソシアネートは、 子内にイソシアネート基を2つ以上有するポ リイソシアネートであれば特に構わないが、 アルキルポリイソシアネート又は芳香族ポリ イソシアネートが好ましく、アルキルジイソ シアネート又は芳香族ジイソシアネートが更 に好ましい。又、原料として、非対称ジイソ シアネート(例えば、p-イソシアネートベンジ ルイソシアネート等)を併用しても良い。

 アルキルポリイソシアネートとは、複数 イソシアネート基が全てアルキル鎖を介し 存在している化合物であり、例えば、1,3-ビ ス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジ ソシアン酸イソホロン、トリメチレンジイ シアネート、テトラメチレンジイソシアネ ト、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘ サメチレンジイソシアネート、1,3-シクロペ ンタンジイソシアネート等が挙げられる。

 芳香族ポリイソシアネートとは、複数の ソシアネート基が全て芳香族環と直接結合 ている化合物であり、例えば、9H-フルオレ -2,7-ジイソシアネート、9H-フルオレン-9-オ -2,7-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメ ンジイソシアナート、1,3-フェニレン ジイ シアナート、トリレン-2,4-ジイソシアナート 、トリレン-2,6-ジイソシアナート、1,3-ビス( ソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2-ビス (4-イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプ パン、1,5-ジイソシアナトナフタレン等が挙 られる。

 原料として使用するアミンは、分子内に ミノ基を2つ以上有するポリアミンが好まし く、ジアミンが最も好ましい。ポリアミンと して、例えば、2,7-ジアミノ-9H-フルオレン、3 ,6-ジアミノアクリジン、アクリフラビン、ア クリジンイエロー、2,2-ビス(4-アミノフェニ )ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノベ ンゾフェノン、ビス(4-アミノフェニル) スル ホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、 ス(4-アミノフェニル) スルフィド、1,1-ビス( 4-アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4’-ジ ミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフ ニルメタン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン 、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメ タン、4-(フェニルジアゼニル)ベンゼン-1,3-ジ アミン、1,5-ジアミノナフタレン、1,3-フェニ ンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジ ミノトルエン、1,8-ジアミノナフタレン、1,3- ジアミノプロパン、1,3-ジアミノペンタン、2, 2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,5-ジアミ ペンタン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、 1,7-ジアミノヘプタン、N,N-ビス(3-アミノプロ ル)メチルアミン、1,3-ジアミノ-2-プロパノ ル、ジエチレン グリコール ビス(3-アミノ ロピル) エーテル、m-キシリレンジアミン テトラエチレンペンタミン、1,3-ビス(アミノ メチル)シクロヘキサン、ベンゾグアナミン 2,4-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6 -メチル-1,3,5-トリアジン、6-クロロ-2,4-ジアミ ノピリミジン、2-クロロ-4,6-ジアミノ-1,3,5-ト アジン等が挙げられる。これらのポリアミ にホスゲン、トリホスゲン又はチオホスゲ を反応させて、ポリイソシアネート又はポ イソチオシアネート(以下、ポリイソ(チオ) アネートと称す)を合成し、マクロモノマー の原料として用いても良く、これらのポリア ミンを鎖伸長剤として用いても良い。

 マクロモノマーを合成する際、アミノ基 ヒドロキシル基の反応性の差を利用するこ により、定序性の高いマクロモノマー合成 ることが出来る。このため、マクロモノマ は少なくとも1つのウレタン結合を有するこ とが好ましい。ウレタン結合は、ヒドロキシ ル基とイソシアネート基との反応で得ること が出来るが、ヒドロキシル基を有する化合物 としては、ポリオール、アミノアルコール、 アミノフェノール、アルキルアミノフェノー ル等を挙げることができる。好ましくはポリ オール又はアミノアルコールであり、更に好 ましくはアミノアルコールである。

 ポリオールは、分子内に少なくとも2つ以 上のヒドロキシル基を有する化合物であり、 好ましくはジオールである。ポリオールとし て、例えば、エチレングリコール、プロピレ ングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペン ンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペ ンチルグリコール、ポリエチレングリコール 、ポリテトラメチレングリコール、1,4-シク ヘキサンジメタノール、ペンタエリスリト ル、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ポリ(エ チレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペ ト)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テ トラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチ ンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジ ート)等を挙げることができる。

 アミノアルコールは、分子内にアミノ基 ヒドロキシル基を有する化合物であり、例 ば、アミノエタノール、3-アミノ-1-プロパ ール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、2-ア ミノ-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチ -1,3-プロパンジオール、1,3-ジアミノ-2-プロ ノール等を挙げることができる。又、これ のヒドロキシル基を有する化合物は、鎖伸 剤として用いても良い。

 マクロモノマーは、ウレア結合、チオウ ア結合、ウレタン結合、エステル結合、エ テル結合の他に、アミド結合、カーボネー 結合等を有していても良い。

 マクロモノマーは、分子量として400~10,000 を有するが、逐次合成の段階で2量体や3量体 生成するため、分子量分布を有していても い。分子量とは、ゲルパーミエーションク マトグラフィー(以下「GPC」と称す。)の測 によって得られる重量平均分子量であり、 ましくは400~5000であり、更に好ましくは400~30 00である。分子量分布は、1.0~6.0が好ましく、 更に好ましくは1.0~4.0であり、特に好ましく 1.0~3.0である。

 なお、分子量及び分子量分布の測定は、 記の方法・条件等に準拠して行うことがで る。

 溶媒   :30mM LiBr in N-メチルピロリドン
 装置   :HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
 カラム  :TSKgel SuperAWM-H×2本(東ソー(株)製)
 カラム温度:40℃
 試料濃度 :1.0g/L
 注入量  :40μl
 流量   :0.5ml/min
 校正曲線 :標準ポリスチレン:PS-1(Polymer Labo ratories社製)Mw=580~2,560,000までの9サンプルによ 校正曲線を使用した。

 本発明においては、マクロモノマーを重 することにより、圧電特性を有する樹脂組 物が得られるため、マクロモノマー末端の なくとも一方が、イソシアナート基、活性 素を有する基、ビニル基、アクリロイル基 はメタアクリロイル基であることが好まし 。活性水素を有する基としては、アミノ基 ヒドロキシル基、カルボキシル基、イミノ 又はチオール基が挙げられるが、好ましく 、アミノ基、ヒドロキシル基又はカルボキ ル基であり、更に好ましくは、アミノ基又 ヒドロキシル基である。

 マクロモノマー又は重合した樹脂組成物 配向性を向上させるために、マクロモノマ の部分構造として、少なくとも1つの芳香族 縮環構造を有することが好ましい。芳香族縮 環構造としては、例えば、ナフタレン構造、 キノリン構造、アントラセン構造、フェナン スレン構造、ピレン構造、トリフェニレン構 造、ペリレン構造、フルオランテン構造、イ ンダセン構造、アセナフチレン構造、フルオ レン構造、フルオレン-9-オン構造、カルバゾ ール構造、テトラフェニレン構造、及び、こ れらの構造にさらに縮環した構造(例えば、 クリジン構造、ベンゾアントラセン構造、 ンゾピレン構造、ペンタセン構造、コロネ 構造、クリセン構造等)等が挙げられる。

 好ましい芳香族縮環構造としては、下記 般式(1)~(4)の構造が挙げられる。

 一般式(1)において、R 11 及びR 12 は、各々独立に水素原子、又は置換基を表し 、置換基としては、例えば炭素数1~25のアル ル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イ プロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基、 キシル基、シクロヘキシル基等)、シクロア キル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル 基等)、アリール基(フェニル基等)、複素環基 (ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル 、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基 ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジ ル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、 ペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリ 基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ 基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、 シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基 、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオ シ基(フェノキシ基等)、アシルオキシ基(ア チルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、 ルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボ ニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチル オキシカルボニル基等)、アリールオキシカ ボニル基(フェニルオキシカルボニル基等)、 スルホンアミド基(メタンスルホンアミド基 エタンスルホンアミド基、ブタンスルホン ミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シク ヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスル ンアミド基等)、カルバモイル基(アミノカル ボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメ チルアミノカルボニル基、プロピルアミノカ ルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、 シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニ ルアミノカルボニル基、2-ピリジルアミノカ ボニル基等)、カルボキシル基、ヒドロキシ ル基等を挙げることができる。好ましくは、 水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基 、アルコキシ基、アシルオキシ基又はアルキ ル基であり、更に好ましくは、水素原子、ア ルキル基、ヒドロキシル基又アシルオキシ基 であり、特に好ましくは水素原子又はアルキ ル基である。

 なお、アスタリスク(*)は、結合点を表す

 一般式(2)において、X 2 は、酸素原子、N-R 23 、C-R 24 を表し、R 23 としては、水素原子、ヒドロキシル基、アル コキシ基、アルキル基、アミノ基を表し、好 ましくはヒドロキシル基又はアルコキシ基で ある。R 24 は、アルキル基、アリール基又は複素環基を 表すが、好ましくはアルキル基又はアリール 基であり、特に好ましくは、アルキル基であ る。

 なお、アスタリスク(*)は、結合点を表す

 一般式(3)において、X 3 は、窒素原子又はN + -R 33 を表し、R 33 は、アルキル基又はアリール基を表す。X 3 がN + の場合は、電荷を中和するためのカウンター イオンを有していても良く、カウンターイオ ンとしては、Cl - 、Br - 、I - 、BF 4 - 等が挙げられる。

 なお、アスタリスク(*)は、結合点を表す

 一般式(4)において、アスタリスク(*)は、 合点を表す。

 これらの芳香族縮環構造は、置換基を有 ても良く、置換基としては、ハロゲン原子 炭素数1~25のアルキル基(メチル基、エチル 、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル 基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシ ル基等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオ メチル基、パーフルオロオクチル基等)、シ クロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロ ンチル基等)、アルキニル基(プロパルギル基 等)、グリシジル基、アクリレート基、メタ リレート基、アリール基(フェニル基等)、複 素環基(ピリジル基、チアゾリル基、オキサ リル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロ ル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピ ダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニ 基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テト ゾリル基等)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素 原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコ シ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオ シ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチル キシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシ オキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキ 基等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキ シカルボニル基、エチルオキシカルボニル基 、ブチルオキシカルボニル基等)、アリール キシカルボニル基(フェニルオキシカルボニ 基等)、スルホンアミド基(メタンスルホン ミド基、エタンスルホンアミド基、ブタン ルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド 、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベン ンスルホンアミド基等)、スルファモイル基( アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニ ル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチル アミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホ ニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基 、フェニルアミノスルホニル基、2-ピリジル ミノスルホニル基等)、ウレタン基(メチル レイド基、エチルウレイド基、ペンチルウ イド基、シクロヘキシルウレイド基、フェ ルウレイド基、2-ピリジルウレイド基等)、 シル基(アセチル基、プロピオニル基、ブタ イル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノ ル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、 カルバモイル基(アミノカルボニル基、メチ アミノカルボニル基、ジメチルアミノカル ニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペ チルアミノカルボニル基、シクロヘキシル ミノカルボニル基、フェニルアミノカルボ ル基、2-ピリジルアミノカルボニル基等)、 ミド基(アセトアミド基、プロピオンアミド 、ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベ ズアミド基等)、スルホニル基(メチルスル ニル基、エチルスルホニル基、ブチルスル ニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フ ニルスルホニル基、2-ピリジルスルホニル基 等)、アミノ基(アミノ基、エチルアミノ基、 メチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロ ンチルアミノ基、アニリノ基、2-ピリジル ミノ基等)、シアノ基、カルボキシル基、ヒ ロキシル基等を挙げることができる。又こ らの基は更にこれらの基で置換されていて よい。又、置換基が複数ある場合、同じで 異なっていても良く、互いに結合して縮環 造を形成しても良い。好ましくは、水素原 、ハロゲン原子、アミド基、アルキル基又 アリール基であり、更に好ましくは、水素 子、ハロゲン原子、アミド基又はアルキル であり、特に好ましくは水素原子、ハロゲ 原子又はアルキル基である。

 以下に、好ましい芳香族縮環構造の具他 を挙げるが、本発明はこれに限定されない

 (マクロモノマーの合成)
 マクロモノマーは、活性水素を有する化合 を出発原料とし、ポリイソ(チオ)シアネー と活性水素を有する化合物を交互に縮合さ ていく方法、ポリイソ(チオ)シアネートを出 発原料とし、活性水素を有する化合物とポリ イソ(チオ)シアネートを交互に縮合させてい 方法で合成することができる。

 活性水素を有する化合物は、前述で挙げ 、末端にヒドロキシル基又はアミノ基を有 るアルキル基で置換されたウレア化合物、 リアミン、ポリオール、アミノアルコール アミノフェノール、アルキルアミノフェノ ル等が挙げられる。出発原料としては、末 にヒドロキシル基又はアミノ基を有するア キル基で置換されたウレア化合物又はポリ ミンが好ましく、芳香族縮環構造を有する リアミンが更に好ましい。交互に縮合させ いく工程に用いる場合は、アミノアルコー 又はポリオールが好ましい。

 ポリイソ(チオ)シアネートを出発原料と た場合、出発原料としては、芳香族縮環構 を有するポリイソ(チオ)シアネートが好まし い。活性水素を有する化合物と縮合させて、 末端に活性水素を有する化合物合成しても良 く、特開平5-115841号公報に記載の方法で、ジ ミンを形成させても良い。

 又、末端に活性水素を有するマクロモノ ーに、3-クロロ-1-ブテン、アリルクロライ 、塩化アクリロイル又は塩化メタアクリロ ル等を反応させることにより、末端にビニ 基、アクリロイル基又はメタアクリロイル を有するマクロモノマーを合成することが 来る。

 ポリイソ(チオ)シアネートと活性水素を する化合物の反応において、末端の少なく も一方をイソシアネート基とする場合、ポ イソ(チオ)シアネートは活性水素を有する化 合物に対する使用量は、1倍モル~10倍モルが ましく、更に好ましくは1倍モル~5倍モルで り、更に好ましくは1~3倍モルである。

 ポリイソ(チオ)シアネートと活性水素を する化合物の反応において、末端の少なく も一方を活性水素とする場合、活性水素を する化合物はポリイソ(チオ)シアネートに対 する使用量は、1倍モル~10倍モルが好ましく 更に好ましくは1倍モル~5倍モルであり、更 好ましくは1~3倍モルである。

 縮合させる反応温度は、できるだけ低い が好ましく、-40~60℃、好ましくは-20~30℃で り、より好ましくは-10~10℃である。また、 応温度は、反応開始から終了まで一定の温 で行なってもよく、初期に低温で行ないそ 後、温度上げてもよい。

 反応に用いる溶媒は、目的の樹脂組成物 高極性であることと、重合を効率的に進行 せるため、高極性溶媒を用いる必要がある 例えば、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMAc (N,N-ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルス ホキシド)、NMP(N-メチルピロリドン)等の高 性非プロトン溶媒を選択することが好まし が、反応基質及び目的物が良好に溶解しさ すればシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサ 等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエ 、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、TH F(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテル、 エチレングリコールジエチルエーテル等のエ ーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、 4-メチル-2-ペンタノン等のケトン類、プロピ ン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の ステル類などの溶媒であってもよく、これ を混合して用いてもよい。

 ウレタン結合生成を効率よく進行させる め、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジア ミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン などの三級アルキルアミン類、1,4-ジアザビ クロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0 ]ウンデ-7-エンなどの縮環アミン類、DBTL、テ ラブチルスズ、トリブチルスズ酢酸エステ などのアルキルスズ類等、公知のウレタン 合生成触媒を用いることができる。

 触媒の使用量は、効率のよい反応及び反 操作を考慮して、モノマー基質に対して0.1~ 30mol%用いるのが好ましい。

 マクロモノマーは、縮合工程毎に単離を っても良く、ワンポットで合成しても良い 、末端が活性水素を有する化合物を形成時 単離精製を行うことが好ましい。

 マクロモノマーの精製は、如何なる手段 用いても良いが、再沈による精製が好まし 。再沈の方法は、特に限定されないが、マ ロモノマーを良溶媒に溶解した後、貧溶媒 滴下して析出させる方法が好ましい。

 ここで言う「良溶媒」とは、マクロモノ ーが溶解する溶媒であれば、如何なる溶媒 も構わないが、好ましくは極性溶媒であり 具体的には、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド) DMAc(N,N-ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチ スルホキシド)、NMP(N-メチルピロリドン)等 高極性非プロトン溶媒を挙げることができ 。

 又、「貧溶媒」とは、マクロモノマーが 解しない溶媒であれば、如何なる溶媒でも わないが、シクロヘキサン、ペンタン、ヘ サン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、ト エン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素 、ジエチルエーテル、エチレングリコール エチルエーテル等のエーテル類、プロピオ 酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエ テル類、メタノール、エタノール、プロパ ール等のアルコール類を挙げることができ 。

 以下に、マクロモノマーの具他例を挙げ が、本発明はこれに限定されない。

 (マクロモノマーの合成例)
 〈合成例1:マクロモノマー(M-8)の合成〉
 窒素雰囲気下、9H-フルオレン-2,7-ジイソシ ネート 85.27gをTHF850mlに溶解し、0℃で2-クロ -4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン 5.0gをTHF50mlに 溶解し、ゆっくりと滴下した。滴下終了後、 0℃で1時間攪拌した後、室温で更に2時間攪拌 を行った。反応溶液中の溶媒を減圧濃縮で2/3 留去した後、酢酸エチル-ヘプタンの混合溶 を用いて再沈し、上澄みをデカントで除去 た後、減圧乾燥を行うことにより、マクロ ノマー(M-8)を20.0g得た。1H-NMRにより、目的物 あることを確認した。

 〈合成例2:マクロモノマー(M-15)の合成〉
 ジエチルアミン40gとTHF50mlを混合し、THF50ml 溶解した9H-フルオレン-2,7-ジイソシアネート  20gを室温で滴下した。滴下終了後、室温で1 時間攪拌した後、析出物をろ取し、THFで洗浄 を行った。

 続いて、得られた化合物 30gと2,2-ジメチ -1,3-プロパンジアミン 180gを混合し、120℃ 加熱を行った。留出物を除去し、留出物が くなったところで、減圧条件下で留出物が くなるまで減圧留去を行った。得られた残 をTHFで洗浄し、十分に乾燥させることによ 、1,1’-(9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(3-(3-ア ミノ-2,2-ジメチルプロピル)ウレア)を得た。

 窒素雰囲気下、p-イソシアネートベンジ イソシアネート 7gをジメチルスルホキシド7 0mlに溶解し、反応溶液を0℃に冷却した。ジ チルスルホキシド30mlに溶解した1,1’-(9H-フ オレン-2,7-ジイル)ビス(3-(3-アミノ-2,2-ジメチ ルプロピル)ウレア) 3gをゆっくりと滴下し、 滴下終了後、0℃で1時間攪拌を行った。徐々 温度を上昇させ、室温で1時間反応を行った 後、酢酸エチルを用いて再沈を行った。上澄 みをデカントで除去した後、減圧乾燥を行う ことにより、マクロモノマー(M-15)を6.5g得た GPC測定による重量平均分子量は810であり、 子量分布は1.6であった。

 〈合成例3:マクロモノマー(M-31)の合成〉
 窒素雰囲気下、9H-フルオレン-2,7-ジイソシ ネート5.0gをTHF50mlに溶解し、0℃でTHF30mlに溶 した3-アミノプロパノール3.2gをゆっくりと 下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、 液(A)を得た。

 1,3-フェニレンジイソシアネート13.0gをTHF6 5mlに溶解し、反応溶液を70℃に加温しながら 溶液(A)を滴下した。滴下終了後、70℃で5時 攪拌した後、反応液の溶媒量を減圧下で3/2 で濃縮した。残渣に酢酸エチル-ヘプタンの 混合液を加えて攪拌し、デカントで上澄みを 除去し、減圧乾燥させることにより、マクロ モノマー(M-31)を12.5g得た。GPC測定による重量 均分子量は750であり、分子量分布は2.0であ た。

 〈合成例4:マクロモノマー(M-35)の合成〉
 窒素雰囲気下、9H-フルオレン-2,7-ジイソシ ネート5.0gをTHF50mlに溶解し、室温でTHF30mlに 解した2-(2-アミノエトキシ)エタノール10.0gを ゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で3 間攪拌した。残渣を濃縮後、再結晶を行う とにより、マクロモノマー(M-35)を9.2g得た。1 H-NMRにより、目的物であることを確認した。

 (有機圧電材料)
 本発明の有機圧電材料は、マクロモノマー 反応により形成された樹脂を含有する樹脂 成物を用いて膜を形成することにより、或 は、樹脂組成物の膜に対して更に分極処理 施すことにより、有機圧電体膜を形成する とができる。

 有機圧電体膜は、当該圧電体膜に応力が わると、それに比例して当該圧電体膜の両 面に反対符号の電荷が現れる、すなわち電 分極という現象を生じ、逆に当該圧電材料 伝場に入れる(電界を加える)ことで、それ 比例した歪みを生じるという性質(圧電性能) を有する。特に本発明の有機圧電材料よりな る有機圧電体膜にあっては、高分子の主鎖や 側鎖の双極子モーメントの配向凍結による分 極により大きな圧電効果が生じる。

 一方、当該圧電体膜にエネルギー(熱)が わると、それに対応して当該圧電体膜内部 自発分極の大きさが変化する。このとき、 該圧電体膜表面に自発分極を中和するよう 存在する表面電荷は、上記自発分極ほどに ばやくエネルギー変化に対応できないこと ら、短時間の間ではあるが、圧電体膜表面 は自発分極の変化分だけ電荷が存在するこ になる。このエネルギー変化に伴う電気の 生を焦電性というが、特に本発明の有機圧 材料よりなる有機圧電体膜にあっては、高 子の主鎖や側鎖の双極子モーメントの配向 結による分極により大きな焦電性能が生じ 。

 (樹脂組成物の形成方法)
 本発明に係る樹脂組成物は、マクロモノマ を原料とした重合反応により形成された樹 を含有する樹脂組成物として調製すること できる。なお、この樹脂組成物には、目的 応じて当該樹脂以外の添加剤を含有させて 良い。

 有機圧電材料となる樹脂組成物は、マク モノマーを重合することによって得られる マクロモノマーの両末端が、イソシアナー 基又は活性水素を有する基である場合、鎖 長剤を添加することにより樹脂組成物を得 ことができる。

 ここで言う鎖伸長剤とは、マクロモノマ の末端がイソシアネート基の場合は、活性 素を有する化合物のことであり、マクロモ マーの末端が活性水素を有する基の場合は ポリイソ(チオ)シアネートのことである。

 又、末端にイソシアナート基を有するマ ロモノマーと活性水素を有するマクロモノ ーを混合して重合しても良く、複数のマク モノマーを混合して重合をしても良い。

 末端にビニル基、アクリロイル基又はメ アクリロイル基を有するマクロモノマーを 合させる場合、例えば、ベンゾイン、ベン インメチルエーテル、ベンゾインエチルエ テル、ベンゾインイソプロピルエーテル等 ベンゾイン系化合物、ベンジル、ベンゾフ ノン、アセトフェノン、ミヒラーズケトン のカルボニル化合物、アゾビスイソブチロ トリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物 ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物、α- ケトンと三級アミンとの混合物などを用い も良く、放射線照射による重合を行っても い。

 重合にかかる温度は、マクロモノマーが 合する温度であれば如何なる温度でも構わ いが、-50~250℃であることが好ましく、より 好ましくは、-50~200℃である。

 マクロモノマーの重合は、溶液重合、蒸 重合又は無溶媒下で重合を行っても良いが 溶液重合又は無溶媒下での重合が好ましい

 重合に用いる溶媒は、前述のマクロモノ ーで記載した溶媒を選択することが出来る 、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMAc(N,N-ジ チルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキ ド)、NMP(N-メチルピロリドン)等の高極性非 ロトン溶媒を選択することが好ましい。

 樹脂組成物は単離精製を行っても良く、 応溶液をそのまま用いて塗布を行い膜を形 しても良い。好ましくは、再沈で単離精製 行う方法である。

 樹脂組成物の再沈精製は、如何なる手段 用いても良いが、反応液を貧溶媒に滴下し 析出させる方法又は反応液に貧溶媒を添加 て析出させる方法が好ましい。

 ここで言う貧溶媒とは、マクロモノマー 溶解しない溶媒であれば、如何なる溶媒で 構わないが、シクロヘキサン、ペンタン、 キサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、 ルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水 類、ジエチルエーテル、エチレングリコー ジエチルエーテル等のエーテル類、プロピ ン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の ステル類、メタノール、エタノール、プロ ノール等のアルコール類を挙げることがで る。

 (有機圧電体膜の形成方法)
 有機圧電体膜の形成は、マクロモノマーを いて蒸着重合法を行うことにより、基板上 膜を形成しても良いが、塗布によって膜を 成する方法が好ましい。塗布方法として、 えば、スピンコート法、ソルベントキャス 法、メルトキャスト法、ロールコート法、 ローコート法、プリント法、ディップコー 法、バーコート法等が挙げられる。

 塗布により膜を形成する方法では、重合 た樹脂組成物を用いても良く、マクロモノ ーを塗布した後、加熱による重合を行って 良い。

 蒸着重合法は、通常、1.33×10 -2 ~1.33×10 -3 Pa程度の圧力下で二つの蒸発源からそれぞれ 種類のモノマーを蒸発させて被蒸着面上で 合反応を起こさせ、被蒸着面上に重合体薄 を形成する方法である。蒸着重合法では、 記圧力下で被蒸着面上に到達したモノマー 士をそれぞれのモノマーに固有の蒸気圧に って定まる一定の滞留時間内に反応させる 要がある。この滞留時間は一般的に非常に いため、それぞれのモノマーは反応性が極 て高いことが望まれる。蒸着重合法によっ 2種類のモノマーを重付加してポリウレア樹 脂組成物を形成する際には、蒸着装置本体の チャンバー内側上部に、被蒸着面を下側に向 けて被蒸着基板がセットされる。チャンバー 内側下部にはタングステンボードなどの容器 が2つあり、それぞれの容器の底部には抵抗 熱器などの加熱手段が付設され、2つの容器 それぞれ収容された蒸着源を加熱できるよ になっている。

 蒸着重合法の具体的方法・条件について 、特開平7-258370号公報、特開平5-311399号公報 、及び特開2006-49418号公報に開示されている 法等が参考となる。

 塗布により基板上に形成された膜は、加 又は減圧条件下で溶媒を完全に留去されて 良く、マクロモノマーを塗布した場合は、 定量の溶媒を除去した後、更に温度を変化 せて、溶媒の留去と重合を同時に行っても い。

 又、本発明においては、形成された膜に 述する分極処理を行う方法が好ましく、マ ロモノマーを塗布した場合には、重合後に 極処理を行っても良く、重合と同時に分極 理を行っても良い。特に好ましくは、加熱 よる重合と分極処理を同時に行う方法であ 。

 加熱による重合と分極処理を同時に行う 合の温度は、-50~250℃であることが好ましく 、より好ましくは-50~200℃である。前述の温 範囲で、温度変化させる方法も好ましい。

 (分極処理)
 本発明に係る分極処理における分極処理方 としては、従来公知の種々の方法が適用さ 得る。

 例えば、コロナ放電処理法による場合に 、コロナ放電処理は、市販の高電圧電源と 極からなる装置を使用して処理することが きる。

 放電条件は、機器や処理環境により異な ので適宜条件を選択することが好ましいが 高電圧電源の電圧としては-1~-20kV、電流と ては1~80mA、電極間距離としては、1~10cmが好 しく、印加電圧は、0.5~2.0MV/mであることが好 ましい。

 電極としては、従来から用いられている 状電極、線状電極(ワイヤー電極)、網状電 が好ましいが、本発明ではこれらに限定さ るものではない。

 またコロナ放電中に加熱を行うので、本 明により作製した基板が接触している電極 下部に絶縁体を介して、ヒーターを設置す 必要がある。

 なお、本発明において前記原料溶液の溶 が残留している状態で、分極処理としてコ ナ放電処理をする場合には、引火爆発など 危険性を避けるために溶媒の揮発成分が除 されるように十分換気しながら行うことが 全上必要である。

 (基板)
 基板としては、本発明に係る有機圧電体膜 用途・使用方法等により基板の選択は異な 。ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドア ド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポ エチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル 酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、シク ロオレフィンポリマーのようなプラスチック 板又はフィルムでもよいし、これらの素材の 表面をアルミニウム、金、銅、マグネシウム 、珪素等で覆ったものでもよい。またアルミ ニウム、金、銅、マグネシウム、珪素単体、 希土類のハロゲン化物の単結晶の板又はフィ ルムでもかまわない。

 更に複層圧電素子の上に形成してもよい。 電素子を積相する複層の使用方法において 、セラミック圧電素子の上に本発明の有機 電体膜を電極を介して、重畳層する方法が る。セラミック圧電素子としては、PZTが使 されているが、近年は鉛を含まないものが 奨されている。PZTは、Pb(Zr1-XTiX)O 3 (0.47≦n≦1)の式の範囲以内であることが好ま く、脱鉛としては、天然又は人工の水晶、 オブ酸リチウム(LiNbO 3 )、ニオブサンタンタル酸カリウム[K(Ta,Nb)O 3 ]、チタン酸バリウム(BaTiO 3 )、タンタル酸リチウム(LiTaO 3 )、又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO 3 )等である。各種セラミック材料はその使用 能において組成を適宜選択することができ 。

 (超音波振動子)
 本発明に係る超音波振動子は、本発明の有 圧電材料を用いて形成した有機圧電体膜を いたことを特徴とする。当該超音波振動子 、超音波送信用振動子と超音波送信用振動 を具備する超音波医用画像診断装置用探触 (プローブ)に用いられる超音波受信用振動 とすることが好ましい。

 なお、一般に、超音波振動子は膜状の圧 材料からなる層(又は膜)(「圧電膜」、「圧 体膜」、又は「圧電体層」ともいう。)を挟 んで一対の電極を配設して構成され、複数の 振動子を例えば1次元配列して超音波探触子 構成される。

 そして、複数の振動子が配列された長軸 向の所定数の振動子を口径として設定し、 の口径に属する複数の振動子を駆動して被 体内の計測部位に超音波ビームを収束させ 照射すると共に、その口径に属する複数の 動子により被検体から発する超音波の反射 コー等を受信して電気信号に変換する機能 有している。

 以下、本発明に係る超音波受信用振動子 超音波送信用振動子それぞれについて詳細 説明する。

 〈超音波受信用振動子〉
 本発明に係る超音波受信用振動子は、超音 医用画像診断装置用探触子に用いられる振 子であって、それを構成する圧電材料とし 、本発明の有機圧電材料を用いて形成した 機圧電体膜を用いたことを特徴とする。

 なお、超音波受信用振動子に用いる有機圧 材料ないし有機圧電体膜は、厚み共振周波 における比誘電率が10~50であることが好ま い。比誘電率の調整は、当該有機圧電材料 構成する化合物が有する、CF 2 基、CN基のような極性官能基の数量、組成、 合度等の調整、及び上記の分極処理によっ 行うことができる。

 〈超音波送信用振動子〉
 本発明に係る超音波送信用振動子は、上記 信用振動子との関係で適切な比誘電率を有 る圧電体材料により構成されることが好ま い。また、耐熱性・耐電圧性に優れた圧電 料を用いることが好ましい。

 超音波送信用振動子構成用材料としては 公知の種々の有機圧電材料及び無機圧電材 を用いることができる。

 有機圧電材料としては、上記超音波受信 振動子構成用有機圧電材料と同様の高分子 料を用いることできる。

 無機材料としては、水晶、ニオブ酸リチウ (LiNbO 3 )、ニオブ酸タンタル酸カリウム[K(Ta,Nb)O 3 ]、チタン酸バリウム(BaTiO 3 )、タンタル酸リチウム(LiTaO 3 )、又はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸 ストロンチウム(SrTiO 3 )、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)等を 用いることができる。
尚、PZTはPb(Zr 1 - n Ti n )O 3 (0.47≦n≦1)が好ましい。

 〈電極〉
 本発明に係る圧電(体)振動子は、圧電体膜( )の両面上又は片面上に電極を形成し、その 圧電体膜を分極処理することによって作製さ れるものである。当該電極は、金(Au)、白金(P t)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ニッケル( Ni)、スズ(Sn)などを主体とした電極材料を用 て形成する。

 電極の形成に際しては、まず、チタン(Ti) やクロム(Cr)などの下地金属をスパッタ法に り0.02~1.0μmの厚さに形成した後、上記金属元 素を主体とする金属及びそれらの合金からな る金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材 料をスパッタ法、その他の適当な方法で1~10μ mの厚さに形成する。これらの電極形成はス ッタ法以外でも微粉末の金属粉末と低融点 ラスを混合した導電ペーストをスクリーン 刷やディッピング法、溶射法で形成するこ もできる。

 さらに、圧電体膜の両面に形成した電極 に、所定の電圧を供給し、圧電体膜を分極 ることで圧電素子が得られる。

 (超音波探触子)
 本発明に係る超音波探触子は、超音波送信 振動子と超音波受信用振動子を具備する超 波画像診断装置用探触子(プローブ)であり 受信用振動子として、本発明に係る上記超 波受信用振動子を用いることを特徴とする

 本発明においては、超音波の送受信の両 をひとつの振動子で担ってもよいが、より ましくは、送信用と受信用で振動子は分け 探触子内に構成される。

 送信用振動子を構成する圧電材料として 、従来公知のセラミックス無機圧電材料で 、有機圧電材料でもよい。

 本発明に係る超音波探触子においては、 信用振動子の上もしくは並列に本発明の超 波受信用振動子を配置することができる。

 より好ましい実施形態としては、超音波 信用振動子の上に本発明の超音波受信用振 子を積層する構造が良く、その際には、本 明の超音波受信用振動子は他の高分子材料( 支持体として上記の比誘電率が比較的低い高 分子(樹脂)フィルム、例えば、ポリエステル ィルム)の上に添合した形で送信用振動子の 上に積層してもよい。その際の受信用振動子 と他の高分子材料と合わせた膜厚は、探触子 の設計上好ましい受信周波数帯域に合わせる ことが好ましい。実用的な超音波医用画像診 断装置および生体情報収集に現実的な周波数 帯から鑑みると、その膜厚は、40~150μmである ことが好ましい。

 なお、当該探触子には、バッキング層、 響整合層、音響レンズなどを設けても良い また、多数の圧電材料を有する振動子を2次 元に並べた探触子とすることもできる。複数 の2次元配列した探触子を順次走査して、画 化するスキャナーとして構成させることも きる。

 (超音波医用画像診断装置)
 本発明に係る上記超音波探触子は、種々の 様の超音波診断装置に用いることができる 例えば、図1に示すような超音波医用画像診 断装置において好適に使用することができる 。

 図1は、本発明の実施形態の超音波医用画 像診断装置の主要部の構成を示す概念図であ る。この超音波医用画像診断装置は、患者な どの被検体に対して超音波を送信し、被検体 で反射した超音波をエコー信号として受信す る圧電体振動子が配列されている超音波探触 子(プローブ)を備えている。また当該超音波 触子に電気信号を供給して超音波を発生さ るとともに、当該超音波探触子の各圧電体 動子が受信したエコー信号を受信する送受 回路と、送受信回路の送受信制御を行う送 信制御回路を備えている。

 更に、送受信回路が受信したエコー信号 被検体の超音波画像データに変換する画像 ータ変換回路を備えている。また当該画像 ータ変換回路によって変換された超音波画 データでモニタを制御して表示する表示制 回路と、超音波医用画像診断装置全体の制 を行う制御回路を備えている。

 制御回路には、送受信制御回路、画像デ タ変換回路、表示制御回路が接続されてお 、制御回路はこれら各部の動作を制御して る。そして、超音波探触子の各圧電体振動 に電気信号を印加して被検体に対して超音 を送信し、被検体内部で音響インピーダン の不整合によって生じる反射波を超音波探 子で受信する。

 上記のような超音波診断装置によれば、 発明の圧電特性及び耐熱性に優れかつ高周 ・広帯域に適した超音波受信用振動子の特 を生かして、従来技術と比較して画質とそ 再現・安定性が向上した超音波像を得るこ ができる。

 以下、実施例を挙げて本発明を説明する 、本発明はこれらに限定されない。

 (実施例1)
 窒素雰囲気下、マクロモノマー(A)を溶媒に 温で溶解した。反応液を0℃に冷却し、マク ロモノマーに対して当モルの鎖伸長剤を一度 に添加した。添加後、0℃で1時間攪拌した後 内温を40℃まで昇温し、更に3時間攪拌を行 た。得られた反応液をメタノールに滴下し 上澄みをデカンで除去し、真空乾燥させる とにより、樹脂組成物1~7を得た。重量平均 子量及び分子量分布は、GPCの測定を行い、 リスチレン換算で求めた。

 これらの得られた樹脂組成物を、あらか め表面にアルミ蒸着済みの25μmのポリイミ フィルムに、1%の重合度500のポリビニルアル コールのメタノール溶液を乾燥膜圧が0.1μmに 成るように塗布乾燥を行った基盤上に、乾燥 膜圧が7μmになるように塗布乾燥を行った。 に、このようにして樹脂組成物の膜が形成 れた基板の表面にアルミ電極を蒸着で取り けたあとで、高圧電源装置HARB-20R60(松定プレ シジョン(株)製)を用いて、100MV/mの電場を印 した状態で、150℃まで5℃/minの割合で上昇し 、150℃で15分間保持したあとで電圧は印加し ままで室温まで徐冷し、ポーリング処理を し樹脂組成物膜-1~7を作製した。なお、当該 樹脂組成物膜は電極を具備しているので超音 波振動子と使用可能のものである。以下同様 。

 本実施例において、重量平均分子量(Mn)及 び分子量分布(Mw/Mn)は下記の要領で、ゲルパ ミエーションクロマトグラフィー(GPC)により 算出した。測定条件は以下の通りである。

 溶媒   :30mMLiBr in N-メチルピロリドン
 装置   :HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
 カラム  :TSKgel SuperAWM-H×2本(東ソー(株)製)
 カラム温度:40℃
 試料濃度 :1.0g/L
 注入量  :40μl
 流量   :0.5ml/min
 校正曲線 :標準ポリスチレン:PS-1(Polymer Labo ratories社製)Mw=580~2,560,000までの9サンプルによ 校正曲線を使用した。

 (実施例2)
 窒素雰囲気下、マクロモノマー(A)を溶媒に 温で溶解した。溶媒に溶解したマクロモノ ー(B)を添加した後、反応溶液を80℃まで昇 し、3時間攪拌を行った。
得られた反応溶液を、あらかじめ表面にアル ミ蒸着済みの25μmのポリイミドフィルムに、1 %の重合度500のポリビニルアルコールのメタ ール溶液を乾燥膜圧が0.1μmに成るように塗 乾燥を行った基盤上に、乾燥膜圧が7μmにな ように塗布を行った。塗布物の溶媒を減圧 件下で除去し、高圧電源装置HARB-20R60(松定 レシジョン(株)製)を用いて、100MV/mの電場を 加した状態で、150℃まで5℃/minの割合で上 し、150℃で15分間保持したあとで電圧は印加 したままで室温まで徐冷し、ポーリング処理 を施した。樹脂組成物の膜が形成された基板 の表面にアルミ電極を蒸着で取り付け、樹脂 組成物膜-8~11を作製した。

 (実施例3)
 窒素雰囲気下、マクロモノマー(A)を溶媒に 温で溶解した。溶媒に溶解したマクロモノ ー(B)を添加した後、使用したマクロモノマ に対して0.5倍モルのジオールを鎖伸長剤と て添加した。反応溶液を80℃まで昇温し、3 間攪拌を行った。

 得られた反応溶液を、あらかじめ表面に ルミ蒸着済みの25μmのポリイミドフィルム 、1%の重合度500のポリビニルアルコールのメ タノール溶液を乾燥膜圧が0.1μmに成るように 塗布乾燥を行った基盤上に、乾燥膜圧が7μm なるように塗布を行った。塗布物の溶媒を 圧条件下で除去し、高圧電源装置HARB-20R60(松 定プレシジョン(株)製)を用いて、100MV/mの電 を印加した状態で、150℃まで5℃/minの割合で 上昇し、150℃で15分間保持したあとで電圧は 加したままで室温まで徐冷し、ポーリング 理を施した。樹脂組成物の膜が形成された 板の表面にアルミ電極を蒸着で取り付け、 脂組成物膜-12~14を作製した。

 (実施例4)
 窒素雰囲気下、マクロモノマー(A)を溶媒に 温で溶解し、あらかじめ表面にアルミ蒸着 みの25μmのポリイミドフィルムに、1%の重合 度500のポリビニルアルコールのメタノール溶 液を乾燥膜圧が0.1μmに成るように塗布乾燥を 行った基盤上に、乾燥膜圧が7μmになるよう 塗布乾燥を行った。次に、このようにして 脂組成物の膜が形成された基板の表面にア ミ電極を蒸着で取り付けたあとで、高圧電 装置HARB-20R60(松定プレシジョン(株)製)を用い て、100MV/mの電場を印加しながら、コバルト60 ガンマ線源からのガンマ線(4.9kGy)を照射した 150℃まで5℃/minの割合で上昇し、150℃で15分 間保持したあとで電圧は印加したままで室温 まで徐冷し、ポーリング処理を施した。樹脂 組成物の膜が形成された基板の表面にアルミ 電極を蒸着で取り付け、樹脂組成物膜-15~17を 作製した。

 (比較例1)
 実施例1の樹脂組成物膜-1で使用したマクロ ノマーと同じ原料である、9H-フルオレン-2,7 -ジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシ ネート及び3-アミノプロパノールを1:2:2のモ ル比で使用し、樹脂組成物膜-1で鎖伸長剤と て使用した3,3-ジアミノプロパンを9H-フルオ レン-2,7-ジイソシアネートに対して当モル用 て以下の操作を行った。

 窒素雰囲気下、9H-フルオレン-2,7-ジイソ アネート及び1,3-フェニレンジイソシアネー を混合し、ジメチルスルホキシドに溶解し 。反応液を0℃に冷却し、ジメチルスルホキ シドに溶解した3-アミノプロパノールを一度 添加して、0℃で1時間攪拌を行った。1時間 拌後、内温を40℃まで昇温させて、更に3時 攪拌を行った。この反応溶液を再度0℃に冷 却し、3,3-ジアミノプロパンを一度に添加し 。添加後、0℃で1時間攪拌した後、内温を40 まで昇温し、更に3時間攪拌を行った。得ら れた反応液をメタノールに滴下し、上澄みを デカンで除去し、真空乾燥させることにより 、比較樹脂組成物-1を得た。重量平均分子量 び分子量分布は、GPCの測定を上記と同様に い、ポリスチレン換算で求めた。

 得られた樹脂組成物を、あらかじめ表面 アルミ蒸着済みの25μmのポリイミドフィル に、1%の重合度500のポリビニルアルコールの メタノール溶液を乾燥膜圧が0.1μmに成るよう に塗布乾燥を行った基盤上に、乾燥膜圧が7μ mになるように塗布乾燥を行った。次に、こ ようにして樹脂組成物の膜が形成された基 の表面にアルミ電極を蒸着で取り付けたあ で、高圧電源装置HARB-20R60(松定プレシジョン (株)製)を用いて、100MV/mの電場を印加した状 で、150℃まで5℃/minの割合で上昇し、150℃で 15分間保持したあとで電圧は印加したままで 温まで徐冷し、ポーリング処理を施し比較 脂組成物膜-1を作製した。

 (比較例2)
 実施例1の樹脂組成物膜-2で使用したマクロ ノマーと同じ原料である、9H-フルオレン-2,7 -ジイソシアネート、p-イソシアネートベンジ ルイソシアネート及び2,2-ジメチル-1,3-ジアミ ンを1:2:2のモル比で使用し、樹脂組成物膜-2 鎖伸長剤として使用したm-キシリレンジアミ ンを9H-フルオレン-2,7-ジイソシアネートに対 て当モル用いて以下の操作を行った。

 窒素雰囲気下、9H-フルオレン-2,7-ジイソ アネート及びp-イソシアネートベンジルイソ シアネートを混合し、ジメチルスルホキシド に溶解した。反応液を0℃に冷却し、ジメチ スルホキシドに溶解した2,2-ジメチル-1,3-ジ ミンを一度に添加して、0℃で1時間攪拌を行 った。1時間攪拌後、内温を40℃まで昇温させ て、更に3時間攪拌を行った。この反応溶液 再度0℃に冷却し、m-キシリレンジアミンを 度に添加した。添加後、0℃で1時間攪拌した 後、内温を40℃まで昇温し、更に3時間攪拌を 行った。得られた反応液をメタノールに滴下 し、上澄みをデカンで除去し、真空乾燥させ ることにより、比較樹脂組成物-2を得た。重 平均分子量及び分子量分布は、GPCの測定を 記と同様に行い、ポリスチレン換算で求め 。

 (比較例3)
 比較マクロモノマ(1)又は(2)を用いて実施例1 と同様の操作を行い、比較樹脂組成物-3、4を 得た。重量平均分子量及び分子量分布は、GPC の測定を上記と同様に行い、ポリスチレン換 算で求めた。

 (実施例5)
 得られた上記各種樹脂組成物膜を超音波振 子として、共振法にて圧電性の評価を室温 、100℃まで加熱した状態で行った。なお圧 特性は、PVDF膜の室温で測定した時の値を100 %とした相対値として示す。

 (実施例6)
 得られた上記各種樹脂組成物膜のうちの一 樹脂組成物膜について、2cm平方に切り出し 焦電性を、摂氏-100度から150度まで温度が可 変の温度槽にセットし温度上昇率を変えて発 生する電荷を微小電流計により観測し焦電率 を測定した。なお焦電率は、PVDF膜の値を100% して相対値で示した。

 上記測定結果等をまとめて表1及び表2に す。

 表2に示した結果から明らかなように、本 発明の、マクロモノマー用いて形成された樹 脂組成物より形成された有機圧電体膜の圧電 特性及び焦電性は、比較例に比べ優れている ことが分かる。

 (実施例6)
 (超音波探触子の作製と評価)
 〈送信用圧電材料の作製〉
 成分原料であるCaCO 3 、La 2 O 3 、Bi 2 O 3 とTiO 2 、及び副成分原料であるMnOを準備し、成分原 料については、成分の最終組成が(Ca 0.97 La 0.03 )Bi 4.01 Ti 4 O 15 となるように秤量した。次に、純水を添加し 、純水中でジルコニア製メディアを入れたボ ールミルにて8時間混合し、十分に乾燥を行 、混合粉体を得た。得られた混合粉体を、 成形し、空気中、800℃で2時間仮焼を行い仮 物を作製した。次に、得られた仮焼物に純 を添加し、純水中でジルコニア製メディア 入れたボールミルにて微粉砕を行い、乾燥 ることにより圧電セラミックス原料粉末を 製した。微粉砕においては、微粉砕を行う 間および粉砕条件を変えることにより、そ ぞれ粒子径100nmの圧電セラミックス原料粉 を得た。それぞれ粒子径の異なる各圧電セ ミックス原料粉末にバインダーとして純水 6質量%添加し、プレス成形して、厚み100μmの 板状仮成形体とし、この板状仮成形体を真空 パックした後、235MPaの圧力でプレスにより成 形した。次に、上記の成形体を焼成した。最 終焼結体の厚さは20μmの焼結体を得た。なお 焼成温度は、それぞれ1100℃であった。1.5×E c(MV/m)以上の電界を1分間印加して分極処理を した。

 〈受信用積層振動子の作製〉
 前記実施例1において作製した有機圧電体膜 と厚さ50μmのポリエステルフィルムをエポキ 系接着剤にて貼り合わせた積層振動子を作 した。その後、上記と同様に分極処理をし 。

 次に、常法に従って、上記の送信用圧電 料の上に受信用積層振動子を積層し、かつ ッキング層と音響整合層を設置し超音波探 子を試作した。

 なお、比較例として、上記受信用積層振 子の代わりに、ポリフッ化ビニリデン共重 体のフィルム(有機圧電体膜)のみを用いた 信用積層振動子を上記受信用積層振動子に 層した以外、上記超音波探触子と同様の探 子を作製した。

 次いで、上記2種の超音波探触子について 受信感度と絶縁破壊強度の測定をして評価し た。

 なお、受信感度については、5MHzの基本周波 数f 1 を発信させ、受信2次高調波f 2 として10MHz、3次高調波として15MHz、4次高調波 として20MHzの受信相対感度を求めた。受信相 感度は、ソノーラメディカルシステム社(Son ora Medical System,Inc:2021Miller Drive Longmont,Colorad o(0501 USA))の音響強度測定システムModel805(1~50M Hz)を使用した。

 絶縁破壊強度の測定は、負荷電力Pを5倍 して、10時間試験した後、負荷電力を基準に 戻して、相対受信感度を評価した。感度の低 下が負荷試験前の1%以内のときを良、1%を超 10%未満を可、10%以上を不良として評価した

 上記評価において、本発明に係る受信用 電(体)積層振動子を具備した超音波探触子 、比較例に対して約1.2倍の相対受信感度を しており、かつ絶縁破壊強度は良好である とを確認した。すなわち、本発明の超音波 信用振動子は、図1に示したような超音波医 画像診断装置に用いる探触子にも好適に使 できることが確認された。