田中 一郎 (〒91 大阪府貝塚市二色1丁目2番7-404 Osaka, 5970091, JP)
出光興産株式会社 (〒21 東京都千代田区丸の内3丁目1番1号 Tokyo, 1008321, JP)
TANAKA, Ichiro (2-7-404, Nishiki 1-chome Kaizuka-cit, Osaka 91, 5970091, JP)
| 基板上に、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3種の端子と、ソース電極及びドレイン電極とゲート電極との間を絶縁する絶縁体層と、有機半導体層とが設けられていて、ゲート電極に印加された電圧によりソース-ドレイン間電流を制御する有機薄膜トランジスタにおいて、有機半導体層の結晶性を制御する結晶性化合物から成膜される結晶性制御層を備え、該結晶性制御層上に、複素環基を有する化合物またはキノン構造を有する化合物を含んでなる有機半導体層が成膜されていることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。 |
| 結晶性制御層の平均膜厚が0.01nm以上10nm以下で、かつ、ソース-ドレイン間のチャネルにおける結晶性制御層の最大膜厚が0.3nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。 |
| 結晶性制御層が、島状に現れるグレインを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機薄膜トランジスタ。 |
| 結晶性制御層の表面エネルギーと有機半導体層の表面エネルギーとの差が30mN/m以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。 |
| 結晶性制御層が、置換基を有してもよい、縮合環化合物、ヘテロ縮合環化合物または芳香族多環化合物のいずれかからなる結晶性化合物を含んでなる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。 |
| 結晶性制御層が、炭素数6~60の縮合環化合物からなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。 |
| 結晶性制御層が、炭素数2~60のヘテロ縮合環化合物からなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。 |
| 有機半導体層が、チオフェン環を有する化合物を含んでなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。 |
| 有機半導体層が、チエノベンゼン骨格またはジチエノベンゼン骨格を有する化合物を含んでなることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。 |
| 有機半導体層が、下記の一般式(1)で表わされる化合物を含んでなることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。 |
| 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタの構成を備え、該有機薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極のうち、いずれか一方を正孔注入性電極で構成し、残りの電極を電子注入性電極で構成したことを特徴とする有機薄膜発光トランジスタ。 |
本発明は、従来のものより大気中の安定 に優れ、かつ動作速度が大きい有機薄膜ト ンジスタ及びこれを利用した有機薄膜発光 ランジスタに関する。
薄膜トランジスタ(以下、TFTと略称する)は
液晶表示装置などの表示用のスイッチング
子として広く用いられている。代表的なTFT
断面構造が図11に示される。同図に示された
TFTは、基板上にゲート電極及び絶縁体層、有
機半導体層をこの順に有し、有機半導体層上
に、所定の間隔をあけて形成されたソース電
極及びドレイン電極を有している。このよう
な構成のTFTでは、有機半導体層がチャネル領
域を成しており、ゲート電極に印加される電
圧でソース電極とドレイン電極の間に流れる
電流が制御されることによって、TFTがオン/
フ動作するようになっている。
従来、このようなTFTは、アモルファスや多
晶のシリコンを用いて作製されていた。し
しながら、このようなシリコンを用いたTFT
作製に用いられるCVD装置は非常に高額であ
ため、TFTを用いた表示装置などを大型化す
うえで製造コストの大幅な増加を伴うとい
問題点があった。また、アモルファスや多
晶のシリコンを成膜するプロセスは非常に
い温度下で行われるので、基板として使用
能な材料の種類が限られてしまうため、軽
であるにも拘わらず樹脂基板などを使用で
ないという問題があった。
このような問題を解決するために、アモ ファスや多結晶のシリコンに代えて有機物 用いたTFTが提案されている。有機物でTFTを 成する際に用いる成膜方法として真空蒸着 や塗布法などが知られているが、これらの 膜方法によれば、製造コストの上昇を抑え つ素子の大型化が実現可能になり、成膜時 必要となるプロセス温度を比較的低温にす ことができる。このため、有機物を用いたT FTでは、基板に用いる材料の選択時の制限が ないといった利点があるためにその実用化 期待されている。このような有機物を用い TFTは、例えば下記リストの非特許文献1~4な に例示されている。また、TFTの有機化合物 に用いる有機物としては、p型では共役系ポ リマーやチオフェンなどの多量体(下記リス の特許文献1)、ペンタセンなどの縮合芳香族 炭化水素(下記リストの特許文献2)などが用い られている。また、n型電界効果トランジス (n型FET)の材料では、例えば、下記リストの 許文献3には、1,4,5,8-ナフタレンテトラカル キシルジアンヒドライド(NTCDA)、11,11,12,12-テ ラシアノナフト-2,6- キノジメタン(TCNNQD)、1 ,4,5,8-ナフタレンテトラカルボキシルジイミ (NTCDI)等が開示されている。
一方、同じように電気伝導を用いるデバイ として有機エレクトロルミネッセンス(EL)素 子が知られているが、有機EL素子が、一般に1 00nm以下の超薄膜の膜厚方向に10 5 V/cm以上の強電界をかけ強制的に電荷を流し いるのに対し、有機TFTの場合には数μm以上 距離を10 5 V/cm以下の電界で高速に電荷を流す必要があ ので、有機化合物自体に、さらなる電導性 必要になる。しかしながら、従来の有機TFT 用いる有機化合物は電界効果移動度が小さ 、動作速度が遅く、トランジスタとしての 速応答性に問題があった。また、トランジ タのオン/オフ比も小さかった。ここで言う ン/オフ比とは、ゲート電圧をかけたとき( ン)のソース-ドレイン間に流れる電流を、ゲ ート電圧をかけないとき(オフ)のソース-ドレ イン間に流れる電流で割った値である。オン 電流とは通常ゲート電圧を増加させていき、 ソース-ドレイン間に流れる電流が飽和した きの電流値(飽和電流)のことである。
参照文献リスト
他方で、有機TFT素子に用いられたこれま の化合物は大気中での安定性に欠けるとい 欠点がある。例として、代表的な有機半導 薄膜としては、ペンタセン薄膜を使用した のが最も高いキャリア移動度を呈すること 知られているが、大気中に保存しておくと ャリア移動度が小さくなり、またオン/オフ 比も著しく小さくなるという欠点があり、こ れらの改善が望まれていた。
他方で、ペンタセン上にルブレンを成膜 た例が2件知られている。一件は非特許文献 (J. H. Seoら, Applied Physics Letters, 89巻, 163505 頁, 2006年)であり、ペンタセン(10nm)/ルブレン (40nm)を積層した有機薄膜トランジスタが開示 されている。この場合、ペンタセンが10nm成 されると連続膜が形成されてペンタセンに ャネルが形成される。上記の有機TFTではペ タセンの移動度が観測されている。別の一 は非特許文献(M. Haemoriら, Japanese Journal of Applied Physics,44巻,3740頁,2005年)であり、ペンタ セン/ルブレン(23nm)を積層した有機薄膜トラ ジスタが開示されているが、この有機薄膜 ランジスタはペンタセンやルブレンのみを ったTFTよりも移動度が小さい。
本発明は、前記の課題を解決するために されたものであり、従来のものより大気中 安定性に優れ、かつ動作速度が大きい有機T FTを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために
意研究を重ねた結果、有機半導体層の結晶
を制御する結晶性制御層上に有機半導体層
成膜することにより、動作速度を高速化す
ことができることと、大気中保存で安定に
ることを見出し、本発明を完成したのであ
。
すなわち、本発明は、基板上に、ゲート電
、ソース電極及びドレイン電極の3種の端子
と、ソース電極及びドレイン電極とゲート電
極との間を絶縁する絶縁体層と、有機半導体
層とが設けられていて、ゲート電極に印加さ
れた電圧によりソース-ドレイン間電流を制
する有機薄膜トランジスタにおいて、有機
導体層の結晶性を制御する結晶性化合物か
成膜される結晶性制御層を備え、該結晶性
御層上に、複素環基を有する化合物又はキ
ン構造を有する化合物を含んでなる有機半
体層が成膜されていることを特徴とするも
である。
また、本発明は、前記した有機薄膜トラ ジスタの構成を備え、該有機薄膜トランジ タのソース電極とドレイン電極のうち、い れか一方を正孔注入性電極で構成し、残り 電極を電子注入性電極で構成したことを特 とする有機薄膜発光トランジスタを提供す ものである。
本発明の有機薄膜トランジスタによれば 結晶性制御層が、自身の上に成膜される有 半導体層の結晶性を制御して有機半導体層 結晶秩序度を向上化させるので、キャリア 動度を高めることができる。併せて分子の ッキングが密になることにより大気成分の 入を防いで大気中での安定性を向上化させ ことができる。その結果、動作速度が高速 されて、大気中での安定性に優れた性能の いトランジスタが提供される。また、本発 の有機薄膜トランジスタは動作速度が高速 あることから、有機薄膜発光トランジスタ も好適に適用されて提供される。
12 基板
13 基板
14 絶縁体層
15 結晶性制御層
16 有機半導体層
17 メタルマスク
18 正孔注入性電極
19 電子注入性電極
20 有機薄膜発光トランジスタ
G グレイン
以下、本発明に係る有機薄膜トランジスタ(
以下、有機TFTと略称する)の実施形態につい
詳細に説明する。
[1.基本素子構成]:
本発明の有機TFTの素子構成としては、基板
に、ゲート電極、ソース電極及びドレイン
極の3種の端子、絶縁体層、結晶性制御層及
び有機半導体層が設けられ、結晶性制御層上
に有機半導体層が積層されており、ソース-
レイン間電流をゲート電極に電圧を印加す
ことによって制御するTFTであれば、特に限
されない。公知の素子構成を基本とするも
であっても良い。本発明はこれらの有機半
体層を設ける前に有機半導体層の下地とし
結晶性制御層が設けられ、その上に有機半
体層がこの順で積層されることを特徴とす
。代表的な有機TFTの基本素子構成を基にす
本発明の構成素子A~Dが図1~4に示される。こ
ように、電極の位置、層の積層順などによ
いくつかの公知の基本構成が知られており
本発明の有機TFTは、電界効果トランジスタ(F
ET: Field Effect Transistor)構造を有している。
機TFTは、有機半導体層(有機化合物層)と、相
互に所定の間隔をあけて対向するように形成
されたソース電極及びドレイン電極と、ソー
ス電極及びドレイン電極との間に少なくとも
絶縁体層を介して形成されたゲート電極とを
有し、ゲート電極に電圧を印加することによ
ってソース-ドレイン電極間に流れる電流を
御するようになっている。ここで、ソース
極とドレイン電極との間隔は本発明の有機TF
Tの用途によって決定され、通常は0.1μm~1mm、
ましくは1μm~100μm、更に好ましくは5μm~100μm
である。
素子A~Dのうち、図3の素子Cを例として更に
しく説明すると、素子Cの有機TFTは、基板上
、ゲート電極、絶縁体層、結晶性制御層、
機半導体層をこの順に有し、有機半導体層
に、所定の間隔をあけて形成された一対の
ース電極及びドレイン電極を有している。
機半導体層がチャネル領域を成しており、
ート電極に印加される電圧でソース電極と
レイン電極の間に流れる電流が制御される
とによって素子がオン/オフ動作する。
本発明の有機TFTは、前記素子A~D以外の素子
成にも、有機TFTとして種々の構成が提案さ
ており、ゲート電極に印加される電圧でソ
ス電極とドレイン電極の間に流れる電流が
御されることによってオン/オフ動作や増幅
などの効果が発現する仕組みであれば、前記
した素子A~Dの素子構成に限定されるものでは
ない。例えば、産業技術総合研究所の吉田ら
により第49回応用物理学関係連合講演会講演
稿集27a-M-3(2002年3月)において提案されたト
プアンドボトムコンタクト型有機TFT(図5参照
)や、千葉大学の工藤らにより電気学会論文
118-A(1998)1440頁において提案された縦形の有
TFT(図6参照)のような素子構成を有するもの
基本構成とされ、有機半導体層の下地とし
結晶性制御層が先に設けられ、その上に有
半導体層が積層されたものでもよい。
[2.結晶性制御層]:
「1.結晶性制御層の機能」;
結晶性制御層の働きは、その上に成膜され
有機半導体層の結晶性を制御して結晶性(秩
序度)を向上させることにより、キャリア移
度を向上させること、及び分子のパッキン
が密にあることにより大気成分の侵入を防
、大気中での安定性を向上させることであ
。
「2.結晶性制御層に用いる材料」;
結晶性制御層に用いられる材料としては成
過程において結晶粒(グレイン)を形成する
とができれば特に制限はないが、 グレイン
が基板表面と直角の方向のみならず平行の方
向へも成長するものが望ましい。グレインが
基板表面と直角の方向にだけ高く成長すると
、その上に成長する有機半導体膜のチャネル
部分の凹凸が激しくなり電流を流すことの妨
げになることに加え、有機半導体層自体のグ
レインもその影響を受け、高く成長して膜の
連続性が劣ることとなる。これらのことから
、結晶性制御層に用いられる材料系としては
、置換基を有してもよい、縮合環化合物、ヘ
テロ縮合環化合物、芳香族多環化合物からな
るものが望ましい。これら縮合環化合物、ヘ
テロ縮合環化合物、芳香族多環化合物では炭
素数が6~60であるものが望ましい。更に望ま
くは炭素数が6~30であり6~20であれば特段によ
い。これは環数が多くなると分子のねじれが
大きくなり、結晶制御層自体の結晶性が低下
するためである。具体的には以下に例示する
が、本発明はこれらに限定されるものでない
。
前記の縮合環化合物としては、例えば、ア
ン類:ナフタレン,アントラセン,テトラセン,
ペンタセン,ヘキサセン,ヘプタセンなど、以
の一般式(2)で表わされる化合物が挙げられ
。
前記一般式(2)の化合物は、具体的には、フ
ナントレン ,クリセン ,トリフェニレン ,
トラフェン ,ピレン ,ピセン ,ペンタフェ
,ペリレン ,ヘリセン ,コロネンである。
また、上記の芳香族多環化合物としては、
えば、ビフェニル ,ターフェニル,クォータ
ーフェニル,セキシフェニルなど、トリフェ
ルメタン、フェノールフタレインなどが挙
られる。
そして、上記のヘテロ縮合環化合物として
、例えば、キノリン,キノキサリン,ナフチ
ジン,フェナジン,カルバゾール,ジアザアン
ラセン,ピリドキノリン,ピリミドキナゾリン
,ピラジノキノキサリン,フェナントロリン,ジ
ベンゾチオフェン,チエノチオフェン,ジチエ
チオフェン,ベンゾジチオフェン,ジベンゾ
ラン,ベンゾジフラン,ジチアインダセン,ジ
アインダセン,ジチアインデノインデン,ジベ
ンゾセレノフェン,ジセレナインダセン,ジセ
ナインデノインデン,ジベンゾシロールなど
が挙げられる。
「3.結晶形態」;
結晶性制御層の望ましい形態は少なくとも
晶粒(グレイン)を有している形態である。
晶性制御層の結晶性が強いことで、その上
成膜される有機半導体層の結晶性も向上す
。すなわち、グレインの大きさが10~0.02μm、
ましくは2~0.05μm程度に制御されることによ
、有機半導体層の結晶性を向上させること
できる。また、結晶性制御層を形成するグ
イン内の結晶性を向上させるため、結晶性
御層を成膜する前に予め基板あるいはゲー
絶縁膜などの下地層の上に、オクタデシル
リクロロシラン(OTS),ヘキサメチルジシラザ
(HMDS),フッ素置換オクタデシルトリクロロシ
ラン(PFOTS),β-フェネチルトリクロロシラン(β-
Phe),γ-プロピルトリエトキシシラン(APTES)など
の自己組織化単分子層を形成しておいて、結
晶性制御層のグレインの結晶性を向上させる
ようにしてもよい。
「4.膜厚」;
結晶性制御層が有機半導体層の結晶性を制
するための膜厚の制限は無い。しかしなが
、結晶性制御層の膜厚が厚いと、材料によ
ては有機TFTのチャネルが結晶性制御層にも
成され、移動度向上の効果が発現しない。
たがって、結晶性制御層の膜厚は薄いこと
望ましく、望ましい平均膜厚は0.01~10nmであ
、更に望ましくは平均膜厚0.05~5nmである。
こで,平均膜厚とは、水晶振動式成膜モニタ
や原子間力顕微鏡(AFM)で求めた平均の膜厚
ある。例えばペンタセンがSiO 2
上に成膜されると、分子はほぼ一分子層あた
り1.4~1.5nmで積層されていると報告されている
(C. D. Dimitrakopoulos, A. R. Brown, and A. Pomp,“
Molecular Beam Deposited Thin Films of Pentacene for
Organic Field Effect Transistor Applications,” J. A
ppl. Phys. 80, 2501 (1996). )。したがって、結
晶性制御層としてペンタセンを用いて平均膜
厚が一分子層以下の数字をとった場合、基板
上にペンタセンが数分子層堆積している部分
と全く堆積していない部分とが存在する島状
構造が現れる(G.Yoshikawa et.al , Surf. Sci. 600
(2006) 2518)。本発明において我々は鋭意検討
た結果、結晶性制御層が前記の島状構造を
れば、その上に成膜される有機半導体層の
体にわたって結晶性を向上させることがで
ることを見出した。また、これまで基板や
ート絶縁膜上に直接有機半導体膜が成膜さ
ると、下地層(基板やゲート絶縁膜)の表面エ
ネルギーが場所により不均一であるため、そ
の上に有機半導体膜が成膜されたとしてもト
ランジスタ性能が悪いという欠点があった。
島状構造は表面エネルギーがよく制御された
部位を下地に成長させることにより、結晶性
制御層自体にチャネルが形成され電流が流れ
ることによる移動度低下を招くことを防止で
きるという点において望ましい形態である。
一方、前述のように有機TFTのチャネル内にお
いて結晶性制御層の膜厚が厚いところと薄い
ところの膜厚差が大きすぎると、電流の円滑
な流れが妨げられ移動度が向上しない。そこ
で、チャネル内での結晶性制御層の最大膜厚
が0.3~30nmの範囲にされれば、有機半導体層の
晶性向上に効果がある。この場合、島状構
をとってもよいので、膜厚の最小値は0とし
ている。
[3.有機半導体層]:
本発明で用いられる有機半導体層は複素環
を有する化合物あるいはキノン構造を有す
化合物を含むこと以外には特に制限を受け
ものではない。上記の化合物群は実質的に
テロ原子まで共役系がおよんでいる。我々
鋭意研究の結果、有機半導体が複素環基を
する化合物あるいはキノン構造を有する化
物を含んでいる場合、結晶性制御層がその
能を発現し移動度と保存安定性の向上が得
れることを見出した。一般に開示されてい
有機TFTに用いられる複素環基あるいはキノ
構造を有する有機半導体を用いることがで
る。かかる有機化合物として以下に具体例
示される。
チオフェン環を含む化合物としては、例え
、α-4T,α-5T,α-6T,α-7T,α-8Tの誘導体などの置
基を有してもよいチオフェンオリゴマーや
ポリヘキシルチオフェン,ポリ(9,9-ジオクチ
フルオレニル-2,7-ジイル-コ-ビチオフェン)な
どのチオフェン系高分子や、ビスベンゾチオ
フェン誘導体,α,α'-ビス(ジチエノ[3,2-b:2',3'-d]
チオフェン),ジチエノチオフェン-チオフェン
のコオリゴマー、ペンタチエノアセンなどの
縮合オリゴチオフェン特にチエノベンゼン骨
格又はジチエノベンゼン骨格を有する化合物
,ジベンゾチエノベンゾチオフェン誘導体が
ましい。更に好ましいのは、有機半導体が
記の一般式(1)で表わされる化合物から構成
れていることである。
前記した化合物(1)の具体例は以下の一般式(
3)~(32)で例示されるが、本発明はこれらの例
限定されるものでない。
あるいは、セレノフェンオリゴマー,無金属
フタロシアニン,銅フタロシアニン,フッ素化
フタロシアニン,鉛フタロシアニン,チタニ
フタロシアニン,白金ポルフィリン,ポルフィ
リン,ベンゾポルフィリンなどのポルフィリ
類,N,N'-ジフェニル-3,4,9,10-ペリレンテトラカ
ボン酸ジイミド, N,N'-ジオクチル-3,4,9,10-ペ
レンテトラカルボン酸ジイミド(C8-PTCDI),1,4,5
,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA
),1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボキシルジイ
ド(NTCDI)などのテトラカルボン酸類,テトラチ
アフルバレン(TTF)及びその誘導体が挙げられ
。又は、ベンゾフラン,ジベンゾフランなど
を含む化合物である。
また、上記のキノン類としては、例えば、
トラシアノキノジメタン(TCNQ),11,11,12,12-テト
ラシアノナフト-2,6-キノジメタン(TCNNQ)らのキ
ノイドオリゴマー,アントラキノンなどが挙
られる。
[4.有機半導体の膜厚及び成膜方法]:
本発明の有機TFTにおける有機半導体層の膜
は、特に制限されることはないが、通常、0
.5nm~1μmであり、2nm~250nmであると好ましい。ま
た、有機半導体層の形成方法は特に限定され
ることはなく公知の方法を適用できる。例え
ば、分子線蒸着法(MBE法)、真空蒸着法、化学
着、材料を溶媒に溶かした溶液のディッピ
グ法、スピンコーティング法、キャスティ
グ法、バーコート法、ロールコート法など
印刷、塗布法及びベーキング、エレクトロ
リマラインゼーション、分子ビーム蒸着、
液からのセルフ・アセンブリ、及びこれら
組合せた手段により、前記したような有機
導体層の材料から有機半導体層が形成され
。有機半導体層の結晶性を向上させると電
効果移動度が向上するため、気相からの成
(蒸着、スパッタなど)を用いる場合は成膜
の基板温度を高温に保持することが望まし
。その温度は50~250℃が好ましく、70~150℃で
ると更に好ましい。また、成膜方法に関わ
ず成膜後にアニーリングを実施すると、高
能デバイスが得られるために好ましい。ア
ーリングの温度は50~200℃が好ましく、70~200
であると更に好ましく、アニーリングの時
は10分~12時間が好ましく、1~10時間であると
に好ましい。
[5.結晶性制御層および有機半導体層に用いら
れる有機化合物の純度]:
また、トランジスタのような電子デバイス
おいては材料の純度の高いものを用いるこ
により電界効果移動度やオン/オフ比の高い
デバイスを得ることができる。したがって、
必要に応じて、カラムクロマトグラフィー、
再結晶、蒸留、昇華などの手法により原材料
に精製を加えることが望ましい。好ましくは
これらの精製方法を繰り返し用いたり、複数
の方法を組み合わせたりすることにより純度
を向上させることが可能である。更に、精製
の最終工程として昇華精製を少なくとも2回
上繰り返すことが望ましい。これらの手法
用いることにより高速液体クロマトグラフ(H
PLC)で測定した純度90%以上の材料を用いるこ
が好ましく、更に好ましくは95%以上、特に
ましくは99%以上の材料を用いることにより
有機TFTの電界効果移動度やオン/オフ比を高
、本来材料の持っている性能を引き出すこ
ができる。
[6.結晶性制御層と有機半導体層の望ましい組
み合わせ]:
結晶性制御層は平均膜厚0.01~10nmであり、ソ
ス電極-ドレイン電極間のチャネル領域内で
の膜厚の最大値が0.3~30nmの範囲であれば、特
材料の組合せに制限は無く移動度や安定性
の向上が得られるが、特に望ましい組合せ
以下の通りである。結晶性制御層と有機半
体層は表面エネルギーの値が近い材料を用
ることが望ましい。表面エネルギーの値が
い場合は結晶性制御層と有機半導体層とが
様な結晶化傾向を持つため、有機半導体層
結晶性及びグレインサイズを向上させるこ
ができる。表面エネルギーの差は0~30mN/mで
ることが好ましく、0~20mN/m以内であることが
更に望ましい。表面エネルギー差が大きいと
、有機半導体層のグレインの成長方向が垂直
方向に偏り、膜の連続性やチャネルの平滑性
が劣ることとなるので、移動度が向上しなく
なったり、有機半導体の結晶性が悪くなって
分子が揃わずトランジスタ性能を発現しなく
なったりする。
以下に好ましい組み合わせの具体例を示す
、本発明はそれに限定されるものでない。
第一の好ましい組み合わせは、結晶性制御
が縮合環化合物で構成され、有機半導体層
チオフェン環を含む化合物である結晶性制
層が、アントラセン,テトラセン,ペンタセ
,ヘキサセンのうちのいずれかから選ばれた
ので構成され、有機半導体層がα-4T,α-5T,α-6
T,α-7T,α-8Tの誘導体あるいはチエノベンゼン
格又はジチエノベンゼン骨格を有する化合
,ジベンゾチエノベンゾチオフェン誘導体か
選ばれたもので構成される場合が特に好ま
い。最も好ましいのは結晶性制御層がアン
ラセン,テトラセン,ペンタセン,ヘキサセン
うちのいずれかから選ばれたもので構成さ
、有機半導体層が下記の一般式(1)の化合物
構成された組み合わせである。
別の好ましい組み合わせは、結晶性制御 がヘテロ縮合環化合物で構成され、有機半 体層が、テトラシアノキノジメタン(TCNQ),11, 11,12,12-テトラシアノナフト-2,6-キノジメタン( TCNNQ)らのキノイドオリゴマー,フタロシアニ 類,ポルフィリン類,テトラカルボン酸類,テ ラチアフルバレン(TTF)及びその誘導体のうち のいずれかから選ばれたもので構成される場 合である。これらの組み合わせは結晶性制御 層、有機半導体層ともに極性基を有するため 、表面エネルギーが大きい値をとる傾向にあ る。そのために結局、その表面エネルギー差 を小さくとることができる。
[7.基板]:
本発明の有機TFTにおける基板は、有機TFTの
造を支持する役目を担うものであり、材料
してはガラスの他、金属酸化物や窒化物な
の無機化合物、プラスチックフィルム(PET,PE
S,PC)や、金属基板、又はこれら複合体や積層
などを用いることが可能である。また、基
以外の構成要素により有機TFTの構造を十分
支持し得る場合には、基板を使用しないこ
も可能である。また、基板の材料としては
リコン(Si)ウエハが用いられることが多い。
この場合、Si自体をゲート電極兼基板として
いることができる。また、Siの表面を酸化
、SiO 2
を形成して絶縁層として活用することも可能
である。この場合、図7に示されるように、
板兼ゲート電極のSi基板にリード線接続用の
電極として、Auなどの金属層が成膜されるこ
もある。
[8.電極]:
本発明の有機TFTにおける、ゲート電極、ソ
ス電極及びドレイン電極の材料としては、
電性材料であれば特に限定されず、白金,金
,銀,ニッケル,クロム,銅,鉄,錫,アンチモン鉛,
ンタル,インジウム,パラジウム,テルル,レニ
ウム,イリジウム,アルミニウム,ルテニウム,
ルマニウム,モリブデン,タングステン,酸化
ズ・アンチモン,酸化インジウム・スズ(ITO),
ッ素ドープ酸化亜鉛,亜鉛,炭素,グラファイ
,グラッシーカーボン,銀ペースト及びカー
ンペースト,リチウム,ベリリウム,ナトリウ
,マグネシウム,カリウム,カルシウム,スカン
ウム,チタン,マンガン,ジルコニウム,ガリウ
ム,ニオブ,ナトリウム-カリウム合金,マグネ
ウム/銅混合物,マグネシウム/銀混合物,マグ
シウム/アルミニウム混合物,マグネシウム/
ンジウム混合物,アルミニウム/酸化アルミ
ウム混合物,リチウム/アルミニウム混合物な
どが用いられる。
前記電極の形成方法としては、例えば、 着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、大 圧プラズマ法、イオンプレーティング、化 気相蒸着、電着、無電解メッキ、スピンコ ティング、印刷又はインクジェットなどの 段が挙げられる。また、必要に応じてパタ ニングする方法としては、上記の方法によ 形成された導電性薄膜を、公知のフォトリ グラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成 る方法、アルミニウムや銅などの金属箔上 熱転写、インクジェットなどにより、レジ トを形成しエッチングする方法が挙げられ 。このようにして形成された電極の膜厚は 流の導通さえあれば特に制限はないが、好 しくは0.2nm~10μm、更に好ましくは4nm~300nmの 囲である。この好ましい範囲内であれば、 厚が薄いことにより抵抗が高くなり電圧降 を生じるといったことがない。また、厚す ないため膜形成に時間がかからず、保護層 有機半導体層など他の層を積層する場合に 段差が生じることが無く積層膜が円滑に形 され得る。
本発明の有機TFTにおいて、上記とは別のソ
ス電極、ドレイン電極,ゲート電極およびそ
の形成方法としては、上記の導電性材料を含
む、溶液、ペースト、インク、分散液などの
流動性電極材料を用いて形成したもの、特に
、導電性ポリマー、又は白金、金、銀、銅を
含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が
好ましい。この場合に用いる溶媒や分散媒体
は、有機半導体層へのダメージを抑制するた
め、水を60質量%以上、好ましくは90質量%以上
含有する溶媒又は分散媒体であることが好ま
しい。金属微粒子を含有する分散物としては
、例えば、公知の導電性ペーストなどを用い
ても良いが、通常粒子径が0.5nm~50nm、1nm~10nmの
金属微粒子を含有する分散物であるのが好ま
しい。この金属微粒子の材料としては、例え
ば、白金,金,銀,ニッケル,クロム,銅,鉄,錫,ア
チモン鉛,タンタル,インジウム,パラジウム,
テルル,レニウム,イリジウム,アルミニウム,
テニウム,ゲルマニウム,モリブデン,タング
テン,亜鉛などを用いることができる。これ
の金属微粒子を、主に有機材料からなる分
安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤であ
分散媒中に分散した分散物を用いて、電極
形成するのが好ましい。このような金属微
子の分散物の製造方法としては、ガス中蒸
法、スパッタリング法、金属蒸気合成法な
の物理的生成法や、コロイド法、共沈法な
の、液相で金属イオンを還元して金属微粒
を生成する化学的生成法が挙げられ、好ま
くは、特開平11-76800号公報、特開平11-80647号
公報、特開平11-319538号公報、特開2000-239853号
報などに示されたコロイド法、特開2001-25418
5号公報、特開2001-53028号公報、特開2001-35255号
公報、特開2000-124157号公報、特開2000-123634号
報などに記載されたガス中蒸発法である。
これらの金属微粒子分散物を用いて直接イ
クジェット法によりパターニングして電極
形成されても良く、塗工膜からリソグラフ
レーザーアブレーションなどにより形成さ
ても良い。また、凸版、凹版、平版、スク
ーン印刷などの印刷法でパターニングする
法も用いることができる。前記電極を成形
、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100℃~
300℃、好ましくは150℃~200℃の範囲で形状様
加熱することにより、金属微粒子を熱融着
せて目的の形状を有する電極パターンを形
することができる。
更に、別のゲート電極、ソース電極及び レイン電極の材料としては、ドーピングな で導電率を向上させた公知の導電性ポリマ を用いることも好ましく、例えば、導電性 リアニリン、導電性ポリピロール、導電性 リチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフ ェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の錯 体など)、ポリエチレンジオキシチオフェン(P EDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体などを 適に用いることができる。これらの材料に って、ソース電極およびドレイン電極と有 半導体層との接触抵抗を低減することがで る。これら電極の形成方法もインクジェッ 法によりパターニングして良く、塗工膜か リソグラフやレーザーアブレーションなど より形成しても良い。また、凸版、凹版、 版、スクリーン印刷などの印刷法でパター ングする方法も用いることができる。
特に、ソース電極及びドレイン電極を形成
る材料は、前述した例の中でも有機半導体
との接触面において電気抵抗が少ないもの
好ましい。この際の電気抵抗は、すなわち
流制御デバイスを作製したときの電界効果
動度と対応しており、大きな移動度を得る
には出来るだけ抵抗が小さいことが必要で
る。これは、一般に電極材料の仕事関数と
機半導体層のエネルギー準位との大小関係
決まる。
ここで、電極材料の仕事関数(W)をa、有機半
導体層のイオン化ポテンシャル(Ip)をb、有機
導体層の電子親和力(Af)をcとすると、以下
関係式を満たすことが好ましい。ここで、a
b及びcはいずれも真空準位を基準とする正
値である。
p型有機TFTの場合には、次の式(I):
b-a < 1.5eV (I)
が満たされることが好ましく、更に好ましく
は b-a < 1.0eV である。
有機半導体層との関係において上記関係が
持できれば高性能なデバイスを得ることが
きるが、特に電極材料の仕事関数はできる
け大きいことものを選ぶことが好ましく、
事関数4.0eV以上であることが好ましく、更
好ましくは仕事関数4.2eV以上である。
金属の仕事関数の値は、例えば化学便覧 基礎編II-493頁(改訂3版 日本化学会編 丸善 式会社発行1983年)のリストに記載されている 4.0eV、又はそれ以上の仕事関数をもつ有効金 の前記リストから選別され得る。高仕事関 金属は、主としてAg(4.26,4.52,4.64,4.74eV),Al(4.06, 4.24,4.41eV),Au(5.1,5.37,5.47eV),Be(4.98eV),Bi(4.34eV),Cd(4. 08eV),Co(5.0eV),Cu(4.65eV),Fe(4.5,4.67,4.81eV),Ga(4.3eV),Hg( 4.4eV),Ir(5.42,5.76eV),Mn(4.1eV),Mo(4.53,4.55,4.95eV),Nb(4.0 2,4.36,4.87eV),Ni(5.04,5.22,5.35eV),Os(5.93eV),Pb(4.25eV),Pt (5.64eV),Pd(5.55eV),Re(4.72eV),Ru(4.71eV),Sb(4.55,4.7eV),Sn( 4.42eV),Ta(4.0,4.15,4.8eV),Ti(4.33eV),V(4.3eV),W(4.47,4.63,5 .25eV),Zr(4.05eV)である。これらの中でも、貴金 (Ag,Au,Cu,Pt),Ni,Co,Os,Fe,Ga,Ir,Mn,Mo,Pd,Re,Ru,V,Wが好 しい。金属以外では、ITO、ポリアニリンやPE DOT:PSSのような導電性ポリマー及び炭素が好 しい。電極材料はこれらの高仕事関数の物 を1種又は複数含んでいても、仕事関数が前 の式(I)を満たせば特に制限を受けるもので ない。
n型有機TFTの場合には、次の式(II):
a-c < 1.5eV (II)
が満たされることが好ましく、更に好ましく
は、a-c < 1.0eV である。
例えば、金属として仕事関数が大きなAu(5.1,
5.37,5.47eV)が使用される場合でも、有機半導体
層の電子親和力が4.2eVの材料を用いれば、式(
II)の関係が成り立つ。
有機半導体層との関係において上記関係が
持されれば高性能なデバイスを得ることが
きるが、特に電極材料の仕事関数はできる
け小さいものを選ぶことが好ましく、仕事
数4.3eV以下であることが好ましく、更に好
しくは仕事関数3.7eV以下である。
低仕事関数金属の具体例は、例えば化学 覧 基礎編II-493頁(改訂3版 日本化学会編 善株式会社発行1983年)のリストに記載されて いる4.3eV、又はそれ以下の仕事関数をもつ有 金属の前記リストから選別されれば良く、A g(4.26eV),Al(4.06,4.28eV),Ba(2.52eV),Ca(2.9eV),Ce(2.9eV),Cs( 1.95eV),Er(2.97eV),Eu(2.5eV),Gd(3.1eV),Hf(3.9eV),In(4.09eV), K(2.28),La(3.5eV),Li(2.93eV),Mg(3.66eV),Na(2.36eV),Nd(3.2eV) ,Rb(4.25eV),Sc(3.5eV),Sm(2.7eV),Ta(4.0,4.15eV),Y(3.1eV),Yb(2 .6eV),Zn(3.63eV)などが挙げられる。前記のよう 例示されたものの中でも、Ba,Ca,Cs,Er,Eu,Gd,Hf,K, La,Li,Mg,Na,Nd,Rb,Y,Yb,Znが好ましい。電極材料は れらの低仕事関数の物質を1種又は複数含ん いても、仕事関数が前記式(II)を満たせば特 に制限を受けるものではない。ただし、低仕 事関数金属は、大気中の水分や酸素に触れる と容易に劣化してしまうので、必要に応じて AgやAuのような空気中で安定な金属で被覆す ことが望ましい。被覆に必要な膜厚は10nm以 必要であり、膜厚が厚くなるほど酸素や水 ら保護することができるが、実用上、生産 を上げるなどの理由から1μm以下にすること が望ましい。
また、本実施形態の有機薄膜トランジスタ は、例えば、注入効率を向上させる目的で 有機半導体層とソース電極及びドレイン電 との間に、バッファ層が設けられても良い このバッファ層は、n型有機薄膜トランジス タに関しては、有機ELの陰極に用いられるLiF Li 2 O、CsF、NaCO 3 、KCl、MgF 2 、CaCO 3 などのアルカリ金属、アルカリ土類金属イオ ン結合を持つ化合物で構成することが望まし い。また、Alqなど有機ELで電子注入層、電子 送層として用いられる化合物がバッファ層 して挿入されても良い。
p型有機薄膜トランジスタに係るバッファ層 としては、FeCl 3 ,TCNQ,F 4 -TCNQ,HATなどのシアノ化合物や、CFxや、GeO 2 ,SiO 2 ,MoO 3 ,V 2 O 5 ,VO 2 ,V 2 O 3 ,MnO,Mn 3 O 4 ,ZrO 2 ,WO 3 ,TiO 2 ,In 2 O 3 ,ZnO,NiO,HfO 2 ,Ta 2 O 5 ,ReO 3 ,PbO 2 などのアルカリ金属、アルカリ土類金属以外 の金属酸化物、ZnS,ZnSeなどの無機化合物が望 しい。多くの場合、これらの酸化物は酸素 損を起こすので正孔注入に好適となる。更 はTPDやNPDなどのアミン系化合物や、CuPcなど 有機EL素子において正孔注入層、正孔輸送層 して用いられる化合物で、このバッファ層 構成してもよい。また、上記の化合物二種 以上からなるものが望ましい。
一般に、バッファ層はキャリアの注入障 が下げられることにより閾値電圧を下げ、 ランジスタを低電圧駆動させる効果がある とが知られているが、われわれは、本発明 化合物に関してバッファ層が低電圧効果の ならず移動度を向上させる効果があること 見出した。これは、有機半導体層と絶縁体 との界面にはキャリアトラップが存在し、 ート電圧の印加によりキャリア注入が起こ と最初に注入したキャリアはトラップを埋 るのに使われるが、バッファ層を挿入する とにより、低電圧でトラップが埋められて 動度が向上するためである。バッファ層は 極と有機半導体層との間に薄く存在すれば く、その厚みは0.1nm~30nm、好ましくは0.3nm~20n mである。
[9.絶縁体層]:
本発明の有機TFTにおける絶縁体層の材料と
ては、電気絶縁性を有し薄膜として形成で
るものであれば特に限定されず、金属酸化
(珪素の酸化物を含む)、金属窒化物(珪素の
化物を含む)、高分子、有機低分子など、室
温での電気抵抗率が10ωcm以上の材料を用いる
ことができ、特に、比誘電率の高い無機酸化
物皮膜が好ましい。かかる皮膜に用いる無機
酸化物としては、例えば、酸化ケイ素,酸化
ルミニウム,酸化タンタル,酸化チタン,酸化
ズ,酸化バナジウム,チタン酸バリウムストロ
ンチウム,ジルコニウム酸チタン酸バリウム,
ルコニウム酸チタン酸鉛,チタン酸鉛ランタ
ン,チタン酸ストロンチウム,チタン酸バリウ
,フッ化バリウムマグネシウム,ランタン酸
物,フッ素酸化物,マグネシウム酸化物,ビス
ス酸化物,チタン酸ビスマス,ニオブ酸化物,
タン酸ストロンチウムビスマス,タンタル酸
トロンチウムビスマス,五酸化タンタル,タ
タル酸ニオブ酸ビスマス,トリオキサイドイ
トリウム及びこれらを組合せたものが挙げ
れ、その中でも酸化ケイ素,酸化アルミニウ
ム,酸化タンタル,酸化チタンが好ましい。ま
、窒化ケイ素(Si 3
N 4
,SixNy(x、y>0)),窒化アルミニウムなどの無機
化物も好適に用いることができる。
更に、絶縁体層は、アルコキシド金属を含
前駆物質で形成されていても良い。この場
、前駆物質の溶液を、例えば基板に被覆し
これに熱処理を含む化学溶液処理をするこ
により絶縁体層が形成される。前記アルコ
シド金属を構成する金属としては、例えば
遷移金属、ランタノイド、又は主族元素か
選択され、具体的には、バリウム(Ba),スト
ンチウム(Sr),チタン(Ti),ビスマス(Bi),タンタ
(Ta),ジルコン(Zr),鉄(Fe),ニッケル(Ni),マンガン
(Mn),鉛(Pb),ランタン(La),リチウム(Li),ナトリウ
(Na),カリウム(K),ルビジウム(Rb),セシウム(Cs),
フランシウム(Fr),ベリリウム(Be),マグネシウ
(Mg),カルシウム(Ca),ニオブ(Nb) ,タリウム(Tl),
銀(Hg),銅(Cu),コバルト(Co),ロジウム(Rh),スカ
ジウム(Sc)及びイットリウム(Y)などが挙げら
る。また、前記アルコキシド金属を構成す
アルコキシドとしては、例えば、メタノー
,エタノール,プロパノール,イソプロパノー
,ブタノール,イソブタノールなどを含むア
コール類、メトキシエタノール,エトキシエ
ノール,プロポキシエタノール,ブトキシエ
ノール,ペントキシエタノール,ヘプトキシエ
タノール,メトキシプロパノール,エトキシプ
パノール,プロポキシプロパノール,ブトキ
プロパノール,ペントキシプロパノール,ヘプ
トキシプロパノールを含むアルコキシアルコ
ール類などから誘導されるものが挙げられる
。
本発明において、上記したような材料で絶
体層が構成されると、絶縁体層中に分極が
生しやすくなり、トランジスタ動作の閾電
を低減することができる。また、上記材料
中でも、特に、Si 3
N 4
,SixNy,SiONx(x、y>0)などの窒化ケイ素で絶縁体
層が形成されると、分極がいっそう発生しや
すくなり、トランジスタ動作の閾電圧を更に
低減させることができる。
有機化合物を用いた絶縁体層としては、 リイミド,ポリアミド,ポリエステル,ポリア リレート,光ラジカル重合系,光カチオン重 系の光硬化性樹脂,アクリロニトリル成分を 有する共重合体,ポリビニルフェノール,ポ ビニルアルコール,ノボラック樹脂,及びシア ノエチルプルランなどを用いることもできる 。その他、ワックス,ポリエチレン,ポリクロ ピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリ キシメチレン,ポリビニルクロライド,ポリフ ッ化ビニリデン,ポリメチルメタクリレート, リサルホン,ポリカーボネート,ポリイミド アノエチルプルラン,ポリ(ビニルフェノール )(PVP),ポリ(メチルメタクレート)(PMMA),ポリカ ボネート(PC),ポリスチレン(PS),ポリオレフィ ,ポリアクリルアミド,ポリ(アクリル酸),ノ ラック樹脂,レゾール樹脂,ポリイミド,ポリ シリレン,エポキシ樹脂に加え、プルランな の高い誘電率を持つ高分子材料を使用する とも可能である。
絶縁体層の材料として、特に好ましいのは
水性を有する有機化合物である。このよう
撥水性を有する有機化合物を用いることに
り絶縁体層と有機半導体層との相互作用が
えられ、有機半導体が本来保有している凝
性を利用して有機半導体層の結晶性を高め
バイス性能を向上させることができる。こ
ような例としては、Yasudaら, Jpn. J. Appl. Ph
ys. Vol. 42 (2003) pp.6614-6618に記載のポリパラ
シリレン誘導体や、Janos Veres ら, Chem. Mate
r., Vol. 16 (2004) pp. 4543-4555に記載のものが
げられる。
また、図1及び図4に示されるようなトップ
ート構造を用いるときに、前記のような有
化合物を絶縁体層の材料として用いること
、有機半導体層に与えるダメージを小さく
て成膜することができるため有効な方法と
る。
前記絶縁体層は、前述したような無機又は
機化合物材料が複数用いられた混合層であ
ても良く、これらの積層構造体であっても
い。この場合、必要に応じて誘電率の高い
料と撥水性を有する材料を混合したり積層
たりすることにより、デバイスの性能を制
することもできる。
また、前記絶縁体層は、陽極酸化膜により
成されるか、又は該陽極酸化膜を構成の一
に含んでも良い。陽極酸化膜は封孔処理さ
ることが好ましい。陽極酸化膜は、陽極酸
が可能な金属を公知の方法により陽極酸化
ることにより形成される。陽極酸化処理可
な金属としては、アルミニウム又はタンタ
を挙げることができ、陽極酸化処理の方法
特に制限がなく、公知の方法を用いること
できる。陽極酸化処理を行なうことにより
酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用
られる電解液としては、多孔質酸化皮膜を
成することができるものならばいかなるも
でも使用でき、一般には、硫酸,燐酸,蓚酸,
ロム酸,ホウ酸,スルファミン酸,ベンゼンス
ホン酸などあるいはこれらを2種類以上組み
合わせた混酸又はそれらの塩が用いられる。
陽極酸化の処理条件は使用する電解液により
種々変化するので一概に特定し得ないが、一
般的には、電解質の濃度1~80質量%、電解液の
度5~70℃、電流密度0.5~60A/cm 2
、電圧1~100ボルト、電解時間10秒~5分の範囲が
適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解
液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を
用い、直流電流で処理する方法であるが、交
流電流を用いることもできる。これらの酸の
濃度は5~45質量%であることが好ましく、電解
の温度20~50℃、電流密度0.5~20A/cm 2
で20~250秒間電解処理するのが好ましい。
絶縁体層の厚さが薄いと有機半導体層に印
される実効電圧が大きくなるので、デバイ
自体の駆動電圧、閾電圧を下げることがで
るが、逆にソース-ゲート間のリーク電流が
大きくなるので、適切な膜厚を選ぶ必要があ
る。すなわち、絶縁体層の厚さは、通常10nm~5
μm、好ましくは50nm~2μm、更に好ましくは100nm~
1μmである。
また、前記絶縁体層と有機半導体層の間 、任意の配向処理を施しても良い。その好 しい例としては、絶縁体層表面に撥水化処 などを施し絶縁体層と有機半導体層との相 作用を低減させ有機半導体層の結晶性を向 させる方法であり、具体的には、シランカ プリング剤、例えば、ヘキサメチルジシラ ン,オクタデシルトリクロロシラン,トリク ロメチルシラザンや、アルカン燐酸,アルカ スルホン酸,アルカンカルボン酸などの自己 組織化配向膜材料を、液相又は気相状態で、 絶縁膜表面に接触させ自己組織化膜を形成後 、適度に乾燥処理を施す方法が挙げられる。 また、液晶の配向に用いられるように、絶縁 膜表面にポリイミドなどで構成された膜を形 成し、その膜の表面をラビング処理する方法 も好ましい。
前記絶縁体層の形成方法としては、真空 着法、分子線エピタキシャル成長法、イオ クラスタービーム法、低エネルギーイオン ーム法、イオンプレーティング法、CVD法、 パッタリング法、特開平11-61406号公報、特 平11-133205号公報、特開2000-121804号公報、特開 2000-147209号公報、特開2000-185362号公報に記載 大気圧プラズマ法などのドライプロセスや スプレーコート法、スピンコート法、ブレ ドコート法、デイップコート法、キャスト 、ロールコート法、バーコート法、ダイコ ト法などの塗布による方法、印刷やインク ェットなどのパターニングによる方法など ウェットプロセスが挙げられ、それぞれの 成方法は材料に応じて使用され得る。ウェ トプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任 の有機溶剤又は水に必要に応じて界面活性 などの分散補助剤を用いて分散した液を塗 、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、 わゆるゾルゲル法が用いられる。
[10.有機TFTの形成プロセス全般]:
本発明の有機TFTの形成方法は、特に限定さ
ず公知の方法によれば良いが、所望の素子
成に従い、基板投入、ゲート電極形成、絶
体層形成、結晶性制御層形成、有機半導体
形成、ソース電極形成、ドレイン電極形成
での一連の素子作製工程が全く大気に触れ
ことなく実行されると、大気との接触によ
大気中の水分や酸素などによる素子性能の
害を防止できるため好ましい。止むを得ず
一度大気に触れさせなければならないとき
も、有機半導体層成膜以後の工程を大気に
く触れさせない工程とし、有機半導体層成
直前には、有機半導体層を積層する面(例え
ば素子B(図2参照)の場合は絶縁層に一部ソー
電極、ドレイン電極が積層された表面)を紫
線照射、紫外線/オゾン照射、酸素プラズマ
、アルゴンプラズマなどで清浄化・活性化し
た後、有機半導体層を積層することが好まし
い。また、p型有機半導体の中には一旦大気
触れさせて酸素などを吸着させることによ
性能が向上するものもあるので、材料によ
ては適宜大気に触れさせても構わない。
更に、例えば、大気中に含まれる酸素、水
どの有機半導体層に対する影響を考慮し、
機トランジスタ素子の外周面の全面又は一
に、ガスバリア層が形成されても良い。ガ
バリア層を形成する材料としては、この分
で常用されるものが使用可能であり、例え
、ポリビニルアルコール,エチレン-ビニル
ルコール共重合体,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化
ビニリデン,ポリクロロトリフロロエチレン
どが挙げられる。更に、前記絶縁体層で例
された、絶縁性を有する無機物も使用でき
。
[11.発光トランジスタ]:
本発明における有機TFTは、ソース電極又は
レイン電極から注入された電荷が利用され
ことにより発光素子として使用され得る。
なわち、本発明の有機TFTは発光素子(有機EL)
の機能を兼ねた有機薄膜発光トランジスタと
して使用され得る。すなわち、ソース-ドレ
ン電極間に流れる電流がゲート電極で制御
れることにより発光強度が制御され得る。
れにより、発光を制御するためのトランジ
タと発光素子を統合できるため、ディスプ
イの開口率向上や作製プロセスの簡易化に
るコストダウンが可能となり実用上の大き
メリットがもたらされる。有機薄膜トラン
スタとして用いるときは、結晶性制御層を
する上記詳細な説明で述べた内容で十分で
るが、本発明の有機TFTを有機発光トランジ
タとして動作させるためには、ソース電極
はドレイン電極のいずれか一方から正孔を
入し、残りの一方から電子を注入する必要
あり、発光性能を向上させるため以下の条
を満たすことが好ましい。
「発光トランジスタとしてのソース電極、ド
レイン電極」;
本発明の有機薄膜発光トランジスタは、正
の注入性を向上させるため、少なくとも一
の電極は正孔注入性電極とすることが好ま
い。正孔注入電極とは上記仕事関数4.2eV以
の物質を含む電極である。また、電子の注
性を向上させるため、少なくとも残りの電
を電子注入性電極とすることが好ましい。
子注入性電極とは上記仕事関数4.3eV以下の物
質を含む電極である。更に好ましくは一方が
正孔注入性の電極であり、かつ、もう一方が
電子注入性の電極を備える有機薄膜発光トラ
ンジスタである。
「発光トランジスタとしての素子構成」;
本発明の有機薄膜発光トランジスタは、正
の注入性を向上させるため、少なくとも一
の電極と有機半導体層の間に正孔注入層を
入することが好ましい。正孔注入層には、
機EL素子において正孔注入材料や正孔輸送
料として用いられるアミン系材料などが挙
られる。また、電子の注入性を向上させる
め、少なくとも一方の電極と有機半導体層
の間に電子注入性層を挿入すること好まし
。正孔と同じく電子注入層は有機EL素子に用
いられる電子注入材料などで構成され得る。
更に好ましくは、一方の電極下に正孔注入層
を備え、もう一方が電子注入性の電極を備え
、正孔注入電極の仕事関数が電子注入電極の
仕事関数より大きい電極を備える有機薄膜発
光トランジスタである。
「発光トランジスタとして特に好ましい有機
半導体」;
本発明における有機薄膜発光トランジスタ
用いられる最も好ましい有機半導体は以下
示される化合物で構成される。
既に述べたように、下記の一般式(1)で表わ
れる化合物では移動度が特に向上する傾向
ある。また、一般式(1)の化合物自身、光を
することができるので、本発明にて高移動
が得られることにより高効率に発光する。
[実施例]
次に、実施例を用いて本発明を更に詳し
説明する。
「化合物(1)の合成」;
化合物(1)の合成経路を以下に示す。
「有機TFTの製造」;
有機TFTは以下の手順で作製された。まず、S
i基板(n型比抵抗0.02ωcmゲート電極兼用)の表面
を熱酸化法にて酸化させることにより、基板
上に形成された300nmの熱酸化膜を絶縁体層と
たものが用意される。この基板はアセトン
約5分間超音波洗浄され、HMDS蒸気に24時間さ
らされて疎水化処理された。次に、上記基板
が真空蒸着装置(エイコーエンジニアリング
製、EO-5)に設置されて1.2×10 -4
Paまで真空排気され、絶縁体層上にペンタセ
が1.6nmの結晶性制御層として成膜された。
いて、30nmの膜厚の化合物(1)からなる薄膜が
機半導体層として蒸着された。このときの
板温度は室温であり、ペンタセンの蒸着速
は0.0087nm/sであり、化合物(1)の蒸着速度は0.0
18nm/sであった。有機薄膜用真空蒸着装置から
試料が取り出され、大気中を経由して金属薄
膜用真空蒸着装置に試料が収容され、真空度
2.2×10 -3
Paまで排気されたのち、チャネル長が20μmで
ャネル幅が2mmの電極パターンが形成された
タルマスクを介して、厚さ50nmの金薄膜が蒸
レート0.24nm/sで蒸着された。このように蒸
された金薄膜がソース電極とドレイン電極
ある。図7に本実施例で作製された有機TFTの
造断面図が示される。
得られた有機TFTのゲート電極に0~-100Vのゲー
ト電圧が印加され、ソース-ドレイン間に電
が0~-100V印加されて電流が流された。この場
、正孔が有機半導体層のチャンネル領域(ソ
ース-ドレイン間) に誘起され、この有機TFT
p型トランジスタとして動作する。正孔の電
効果移動度μは下記の式(III)より算出され1.2
cm 2
/Vsであった。
I D
=(W/2L)・Cμ・(V G
-V T
) 2
(III)
式(III)中、I D
はソース-ドレイン間電流、Wはチャンネル幅
Lはチャンネル長、Cはゲート絶縁体層の単
面積あたりの電気容量、V T
はゲート閾値電圧、V G
はゲート電圧である。
更に、この有機TFTが大気中に9日間保存され
たところ、移動度は0.34cm 2
/Vsと、依然として高い値に保たれていた。こ
のとき、ペンタセンの表面エネルギーは45mN/m
であり、化合物(1)の表面エネルギーは37mN/mで
あった。また、結晶性制御層を成膜したとこ
ろで基板が取り出され、原子間力顕微鏡(AFM)
観察されたところ、図8に示されるように、
グレインG,G,G,・・・が島状に成長していた。
上記のように作製された有機TFT素子のトラン
ジスタ特性は表1に示される。
「有機TFTの製造」;
実施例1における結晶性制御層としてペンタ
センの代わりにアントラセンが用いられ、有
機半導体層として化合物(1)の代わりにα-6Tが
いられたこと以外は、実施例1と同様に実験
操作されて素子が作製された。作製された有
機TFT素子のトランジスタ特性は表1に示され
。このとき、アントラセンの表面エネルギ
は40mN/mであり、α-6Tの表面エネルギーは32mN/m
であった。
「有機TFTの製造」;
実施例1における結晶性制御層としてペンタ
センの代わりに銅フタロシアニンが用いられ
、有機半導体層として化合物(1)の代わりにPTC
DI-C13が使用されたこと以外は、実施例1と同
にして素子が作製された。この有機TFT素子
有機半導体はn型として用いられる。得られ
有機TFTのゲート電極に0~100Vのゲート電圧が
加され、ソース-ドレイン間に電圧が0~100V印
加されて電流が流された。作製された有機TFT
素子のトランジスタ特性は表1に示される。
のとき、銅フタロシアニンの表面エネルギ
は34mN/mであり、PTCDI-C13の表面エネルギーは47
mN/mであった。
「有機TFTの製造」;
結晶性制御層を用いなかったこと以外は、
施例1と同様にして有機TFTが作製されたが、
表1に示されるようにトランジスタ特性は示
なかった。
「有機TFTの製造」;
結晶性制御層を用いず、有機半導体層が化
物(1)の代わりにペンタセンで構成されたこ
以外は、実施例1と同様にして有機TFTが作製
された。この比較例2の結果は表1に示される
「有機TFTの製造」;
結晶性制御層であるペンタセンの膜厚が30nm
であること以外は、実施例1と同様にして有
TFTが作製された。この比較例3の結果は表1に
示される。
表1より、結晶性制御層が設けられたもの は移動度と大気中での保存安定性が向上する ことが明確になった。また、比較例2と比べ 明らかなように、実施例1の素子では電流が ンタセンを流れておらず化合物(1)の層をチ ネルとして流れていることが明確になった
「有機薄膜発光トランジスタの製造」;
有機TFTが以下の手順で作製された。この作
手順は図9(a)~(d)に示される。まず、Si基板13(
n型比抵抗0.02ωcmゲート電極兼用)の表面を熱
化法にて酸化させることにより、基板上に
成された300nmの熱酸化膜を絶縁体層14とした
のが用意される。この基板13はアセトンで
5分間超音波洗浄され、HMDS蒸気に24時間さら
れて疎水化処理された。次に、上記基板13G
真空蒸着装置(エイコーエンジニアリング社
製、EO-5)に設置されて1.2×10 -4
Paまで真空排気され絶縁体層14上にペンタセ
が結晶性制御層15(膜厚1.6nm)として成膜され
。続いて、化合物(1)の薄膜(膜厚30nm)が有機
導体層16として蒸着された。このときの基板
温度は室温であり、ペンタセンの蒸着速度は
0.0087nm/sであり、化合物(1)の蒸着速度は0.018nm/
sであった。有機薄膜用真空蒸着装置から試
が取り出され、大気中を経由して金属薄膜
真空蒸着装置に試料が収容され、真空度2.2×
10 -3
Paまで排気されたのち、チャネル長が20μmで
ャネル幅が2mmの電極パターンが形成された
タルマスク17を介して、基板12を蒸発源に対
て45度傾けた状態でメタルマスク17を通して
金が蒸着され(同図(a))、50nm膜厚の金層が成膜
された。次に、基板12が前記の傾斜方向とは
の方向に45度傾けられた状態でマグネシウ
が蒸着され(同図(b))、100nm膜厚のマグネシウ
層が成膜された(同図(c))。これにより、互
に接しないソース電極及びドレイン電極と
て実質的に正孔注入性電極18(Au)と電子注入
電極19(Mg)を備えた有機薄膜発光トランジス
20が作製された(同図(d))。このように作製さ
た有機薄膜発光トランジスタ20のソース-ド
イン間に-100Vの電圧が印加され、ゲート電
に-100Vの電圧が印加されると、有機半導体層
16から30cd/m 2
の青緑色光が発せられた。図10に有機半導体
16から発せられた光の発光スペクトルが示
れる。
以上詳細に説明したように、本発明の有 TFTは、高い移動度と高い保存安定性を有す ため、トランジスタとしての性能が高いも であり、発光可能な有機薄膜発光トランジ タとしても好適に利用され得る。
