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Patent Searching and Data


Title:
ORIENTED CELLULOSE ACYLATE FILM AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/143030
Kind Code:
A1
Abstract:
In one aspect, there is provided a process for producing an oriented cellulose acylate film, including stretching an unoriented cellulose acylate film by a pair of rollers with a circumferential speed difference so as to attain longitudinal orientation in the direction of the length, thereby obtaining an oriented cellulose acylate film exhibiting an in-plane retardation (Re) of 100 nm or greater and having a thickness-direction retardation (Rth) satisfying the relationship with Re, Rth<(Re/2). The process for producing an oriented cellulose acylate film is characterized in that in a heating furnace provided between the pair of rollers, there is carried out a free-end uniaxial stretching of the cellulose acylate film leading to a longitudinal stretching ratio of 1 to 2-fold while heating the same at a stretching temperature ranging from film crystallization temperature (Tc) - 10°C to Tc + 70°C and so as to make a temperature difference in film width direction within the range of 10°C or less.

Inventors:
OTOSHI, Masaaki (200 Ohnakazato Fujinomiya-sh, Shizuoka 66, 4188666, JP)
Application Number:
JP2008/058628
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJIFILM Corporation (26-30, Nishiazabu 2-chome Minato-k, Tokyo 20, 1068620, JP)
富士フイルム株式会社 (〒20 東京都港区西麻布2丁目26番30号 Tokyo, 1068620, JP)
International Classes:
B29C55/06; B29C41/24; C08J5/18; G02B5/30; B29K1/00; B29L7/00; B29L11/00
Attorney, Agent or Firm:
MATSUURA, Kenzo (Matsuura & Associates, P.O. Box 176Shinjuku Sumitomo Bldg. 39F,6-1, Nishi-shinjuku 2-chom, Shinjuku-ku Tokyo 39, 1630239, JP)
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Claims:
 未延伸のセルロースアシレートフィルムを一対の延伸ローラの周速差で引っ張ることにより長手方向に縦延伸して、面内レターデーションReが100nm以上で、且つ厚み方向のレターデーションRthとReとの関係がRth<(Re/2)を満足する延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
 前記一対の延伸ローラ間に設けた加熱炉内において、前記セルロースアシレートフィルムを、該フィルムの結晶化温度Tc-10℃~Tc+70℃の範囲の延伸温度で且つフィルム幅方向の温度差が10℃以内になるように加熱しながら、縦延伸倍率が1~2倍になるように自由端一軸延伸することを特徴とする延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法。
 前記加熱炉内で前記セルロースアシレートフィルムを前記延伸温度に昇温させる昇温速度は10~400℃/分であることを特徴とする請求項1の延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法。
 前記自由端一軸延伸する工程の後に、縦延伸されたセルロースアシレートフィルムを強制的に冷却する工程を設けると共に、
 前記セルロースアシレートフィルムのフィルム冷却速度は10~400℃/分であることを特徴とする、請求項1又は2の延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法。
 前記加熱炉内では、吹出口のスリット幅が2~10mm且つ吹出口から前記セルロースアシレートフィルムのフィルム面までの距離が20~500mmの加熱用ノズルから、前記フィルム面に向けて風速0.5~20m/秒の風速で熱風を吹き付ける熱風加熱を行うことを特徴とする請求項1~3の何れか1の延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法。
 前記加熱用ノズルを前記セルロースアシレートフィルムの上下位置に且つ前記長手方向に複数設けて、該複数の加熱用ノズルから吹き出した熱風により前記セルロースアシレートフィルムを浮上搬送させることを特徴とする請求項1~4の何れか1の延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法。
 前記浮上搬送の浮上量は30mm以内であることを特徴とする請求項5に記載の延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法。
 前記加熱炉内での延伸時間は1秒以上100秒以下であることを特徴とする請求項1~6の何れか1の延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法。
 前記一対の延伸ローラ間の距離は1m以上100m以下であることを特徴とする請求項1~7の何れか1の延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法。
 前記一対の延伸ローラ間で前記セルロースアシレートフィルムの長手方向にかかる応力は、0.4MPa以上8MPa以下の範囲に設定されることを特徴とする請求項1~8の何れか1の延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法。
 前記未延伸のセルロースアシレートフィルムは溶液製膜法で製膜されたセルローストリアセテートフィルム(TAC)であることを特徴とする請求項1~9の何れか1の延伸セルロースアシレートフィルムの製造方法。
 請求項1~10の何れか1の製造方法で製造されたことを特徴とする延伸セルロースアシレートフィルム。
 前記延伸セルロースアシレートフィルムは液晶表示装置の位相差フィルムであることを特徴とする請求項11の延伸セルロースアシレートフィルム。
Description:
延伸セルロースアシレートフィ ム及びその製造方法

 本発明は延伸セルロースアシレートフィ ム及びその製造方法に係り、特に、液晶表 装置の位相差フィルム(光学補償フィルムと もいう)に使用される延伸セルロースアシレ トフィルムを縦延伸のみの一軸延伸で製造 る技術に関する。

 セルロースアシレートフィルムは、その 明性、強靱性、及び光学的等方性から、液 表示装置の位相差フィルムとして広く利用 れている。

 セルロースアシレートフィルムの製造は大 く分けて、溶液製膜法と溶融製膜法とに分 される。溶液製膜法は、熱可塑性樹脂を溶 に溶解したドープをダイから支持体、例え 冷却ドラム上に流延してフィルム状にする 法であり、溶融製膜法は熱可塑性樹脂を押 機で溶融した後、ダイから支持体、例えば 却ドラム上に押し出してフィルム状にする 法である。これらの方法により製膜された 延伸のセルロースアシレートフィルムは、 常、縦(長手)方向、横(幅)方向に延伸(延伸 ルロースアシレートフィルム)することによ て、面内レターデーション(Re)、厚み方向の レターデーション(Rth)を発現させ、液晶表示 置の位相差フィルムとして使用し、視野角 大を図ることが実施されている(例えば特許 文献1、及び特許文献2参照)。

特表平6-501040号公報

特開2001-42130号公報

 ところで、液晶表示装置の液晶方式とし は、VA方式(Vertical Alignment),OCB方式(Optical Com pensated Bend),IPS(In-Plane Switching)等があり、そ ぞれの液晶方式に適したReやRthのレターデー ションを有する位相差フィルムが要求されて いる。とりわけReが高く、Rthの小さい位相差 ィルムが要求されている。

 具体的には、面内レターデーションReが10 0nm以上で、且つ厚み方向のレターデーション RthとReとの関係が、Rth<(Re/2)を満足する延伸 セルロースアシレートフィルムが要望されて いる。

 本発明はこのような事情に鑑みてなされ もので、面内レターデーションReが100nm以上 で、且つ厚み方向のレターデーションRthとRe の関係が、Rth<(Re/2)を満足する延伸セルロ ースアシレートフィルム、及びその製造方法 並びに位相差フィルムを提供することを目的 とする。

 本発明の第一の態様は前記目的を達成す ために、未延伸のセルロースアシレートフ ルムを一対のローラの周速差で引っ張るこ により長手方向に縦延伸して、面内レター ーションReが100nm以上で、且つ厚み方向のレ ターデーションRthとReとの関係が、Rth<(Re/2) を満足する延伸セルロースアシレートフィル ムの製造方法であって、前記一対のローラ間 に設けた加熱炉内において、前記セルロース アシレートフィルムを、該フィルムの結晶化 温度Tc-10℃~Tc+70℃の範囲の延伸温度で且つフ ルム幅方向の温度差が10℃以内になるよう 加熱しながら、縦延伸倍率が1~2倍になるよ に自由端一軸延伸することを特徴とする延 セルロースアシレートフィルムの製造方法 提供する。

 第一の態様によれば、一対の延伸ローラ に設けた加熱炉内において、未延伸のセル ースアシレートフィルムが結晶化する近傍 高温(Tc-10℃<Tc<Tc+70℃)の延伸温度条件で 、且つフィルム幅方向の温度差が10℃以内に るように均一加熱しながら、セルロースア レートフィルムの長手方向に縦延伸倍率が1 ~2倍になるように自由端一軸延伸するように た。

 このように、一対の延伸ローラ間に加熱 を設けて加熱炉内で縦延伸することで、従 の縦延伸のようにフィルムを一瞬(通常0.5秒 程度)のうちに引っ張る瞬間的な縦延伸では く、長い延伸時間及び長い延伸距離をかけ フィルムをゆっくりと引っ張りながら縦延 させる長スパン延伸を行うことができる。

 しかも、本発明では、かかる長スパン延 において、未延伸のセルロースアシレート ィルムが結晶化する近傍の高温条件(Tc-10℃& lt;Tc<Tc+70℃)で、且つフィルム幅方向の温度 差が10℃以内になるように均一加熱しながら セルロースアシレートフィルムの長手方向 縦延伸倍率が1~2倍になるように自由端一軸 伸するようにしたので、従来の縦延伸に比 て面内レターデーション(Re)が大きく、厚み 方向のレターデーション(Rth)を小さくするこ ができる。これにより、面内レターデーシ ンReが100nm以上で、且つ厚み方向のレターデ ーションRthとReとの関係が、Rth<(Re/2)を満足 し、位相差フィルムとして好適な延伸セルロ ースアシレートフィルムを製造することがで きる。

 ここで、自由端一軸延伸とは、一対の延 ローラ間にはセルロースアシレートフィル を支持したり接触したりする搬送ローラ、 持用平板、支持用ベルト等の部材がなく、 ルロースアシレートフィルムが幅方向に自 に収縮・拡張できる状態で縦延伸すること いう。

 本発明の第二の態様は第一の態様におい 、前記加熱炉内で前記セルロースアシレー フィルムを前記延伸温度に昇温させる速度 10~400℃/分であることを特徴とする。

 第二の態様はセルロースアシレートフィ ムを延伸温度まで昇温させる速度を規定し ものである。このように規定するのは、昇 速度が速過ぎても遅過ぎても自由端一軸延 する際のRe及びRthの制御性が悪くなり、昇 速度が10~400℃/分の範囲が好適だからである

 本発明の第三の態様は第一又は第二の態 において、前記自由端一軸延伸する工程の に、縦延伸されたセルロースアシレートフ ルムを強制的に冷却する工程を設けると共 、前記セルロースアシレートフィルムのフ ルム冷却速度は10~400℃/分であることを特徴 とする。

 第三の態様によれば、面内レターデーシ ンReが100nm以上で、且つ厚み方向のレターデ ーションRthとReとの関係がRth<(Re/2)を満足す るように縦延伸されたセルロースアシレート フィルムを強制的に冷却する工程を設けたの で、フィルム温度を速やかに上記延伸温度以 下に冷却することができる。これにより延伸 が止まるので上記RthやReが変動しにくい。

 本発明の第四の態様は第一乃至第三の態 の何れか一において、前記加熱炉内では、 出口のスリット幅が2~10mm且つ吹出口から前 セルロースアシレートフィルムのフィルム までの距離が20~500mmの加熱用ノズルから、 記フィルム面に向けて風速0.5~20m/秒の風速で 熱風を吹き付ける熱風加熱を行うことを特徴 とする。

 第四の態様は、加熱炉内でセルロースア レートを10~400℃/分の昇温速度で均一加熱を 達成するための構成を規定したものであり、 吹出口のスリット幅が2~10mm且つ吹出口からセ ルロースアシレートフィルムのフィルム面ま での距離が20~500mmの加熱用ノズルから、フィ ム面に向けて風速0.5~20m/秒の風速で熱風を き付けることが好ましい。

 本発明の第五の態様は第一乃至第四の態 の何れか一において、前記加熱用ノズルを 記セルロースアシレートフィルムの上下位 に且つ前記長手方向に複数設けて、該複数 加熱用ノズルから吹き出した熱風により前 セルロースアシレートフィルムを浮上搬送 せることを特徴とする。

 本発明は、一対の延伸ローラ間に搬送ロ ラ等を配置しない自由端一軸延伸に係るも なので、一対の延伸ローラ間でセルロース シレートフィルムが自重で弛み易くなる。 ルロースアシレートが自重で弛むと、フィ ムの自重により延伸作用が起き易くなり目 のReやRthになりにくくなる。

 ここで第五の態様によれば、加熱用ノズ を利用してセルロースアシレートフィルム 浮上搬送するようにしたので、フィルムの 重により延伸作用が起きることがなくなり 延伸倍率の制御が更に容易になる。また、 じ加熱用ノズルでセルロースアシレートフ ルムを延伸温度まで昇温する作用と、セル ースアシレートフィルムを浮上搬送する作 の両方を行うので、加熱炉のコンパンクト 及び簡素化に寄与することができる。

 本発明の第六の態様は第五の態様におい 、前記浮上搬送の浮上量は30mm以内であるこ とを特徴とする。

 このように規定するのは、セルロースア レートフィルムの浮上量を30mm以内にするこ とで、セルロースアシレートの平面性を確保 できるからである。浮上量が30mmを超える強 噴出圧力がフィルムに加わると、フィルム 自重で弛むのとは逆に上向きにカールする ール力が作用してしまい、このカール力も 伸作用を起こすため平面性が確保しにくく る。このため、フィルム自重を丁度打ち消 程度の噴出圧力でフィルムの平面性を確保 ながら浮上搬送することが好ましい。

 本発明の第七の態様は第一乃至第六の態 の何れか一において、前記加熱炉内での延 時間は1秒以上100秒以下であることを特徴と する。

 第七の態様は、本発明における好ましい 伸時間を規定したものである。即ち、加熱 内でセルロースアシレートフィルムを1秒以 上100秒以下の長い延伸時間をかけてゆっくり と延伸するようにしたので、延伸倍率の制御 がしやすくなり、目標のReやRthにし易くなる より好ましい延伸時間は15秒以上90秒以下で あり、更に好ましくは30秒以上60秒以下であ 。

 本発明の第八の態様は第一乃至第七の態 の何れか一において、前記一対の延伸ロー 間の距離は1m以上100m以下であることを特徴 する。

 第八の態様は、本発明における好ましい 対の延伸ローラ間距離を規定したものであ 。即ち、一対のローラ間の距離を1m以上100m 下という長いスパンにしているので、延伸 ール間のフィルムに均一に熱をかけること できると共に、フィルムが自由に収縮・拡 ができるため、延伸倍率の制御がしやすく り、目標のReやRthにし易くなる。

 本発明の第九の態様は第一乃至第八の態 の何れか一において、前記一対の延伸ロー 間で前記セルロースアシレートフィルムの 手方向にかかる応力は、0.4MPa以上8MPa以下の 範囲に設定されることを特徴とする。

 第九の態様によれば、一対の延伸ローラ にかかるセルロースアシレートフィルムの 力を、0.4MPa以上8MPa以下の範囲にすることで 、延伸倍率の制御が容易になる。尚、0.4MPa未 満であるとフィルムが弛んでしまうことで、 また、8MPaよりも大きいとフィルムが引っ張 れすぎることで、縦延伸フィルムにシワが 現しやすくなってしまう。

 本発明の第十の態様は第一乃至第九の態 の何れか一において、前記未延伸のセルロ スアシレートフィルムは溶液製膜法で製膜 れたセルローストリアセテートフィルム(TAC )であることを特徴とする。

 セルロースアシレートフィルムの中でも 液製膜法で製膜されたセルローストリアセ ートフィルムは、延伸される前のフィルム ReやRthが均一なものが得られる特性がある 従って、面内レターデーションReが100nm以上 且つ厚み方向のレターデーションRthとReと 関係が、Rth<(Re/2)を満足する延伸セルロー アシレートフィルムを製造した場合にも均 な特性が得やすい。

 ちなみに、本発明は溶融製膜で製膜した ルロースアシレートフィルムにも適用でき が、溶融製膜の場合には押出機等のように 力が付与される機器があると共に、ダイか 吐出される際のセルロースアシレートの粘 が高く、製膜時にレターデーションが発生 易い。従って、溶融製膜の場合には、延伸 れる前のフィルムのReやRthが溶液製膜法の のと異なるので、製膜時のレターデーショ も加味して本発明の条件の中で最適な縦延 条件を設定する必要があり、条件が複雑に る。

 本発明の第十一の態様は前記目的を達成 るために、第一乃至第十の態様の何れか一 製造方法で製造されたことを特徴とする延 セルロースアシレートフィルムを提供する また、第十二の態様は第十一の態様におい 、前記延伸セルロースアシレートフィルム 液晶表示装置の位相差フィルムであること 特徴とする。

 本発明の製造方法で製造された延伸セル ースアシレートフィルムは、面内レターデ ションReが100nm以上で且つ厚み方向のレター デーションRthとReとの関係が、Rth<(Re/2)を満 足する。従って、それぞれの液晶方式に適し たReやRthのレターデーションを有する位相差 ィルムを提供できる。

 本発明によれば、面内レターデーションR eが100nm以上で且つ厚み方向のレターデーショ ンRthとReとの関係が、Rth<(Re/2)を満足する延 伸セルロースアシレートフィルムを製造でき る。従って、この延伸セルロースアシレート フィルムを液晶表示装置の位相差フィルムと して用いれば、それぞれの液晶方式に適した ReやRthのレターデーションを有する位相差フ ルムを提供できる。

図1は、本発明の延伸セルロースアシレ ートフィルムの製造方法の装置を説明する構 成図であり; 図2は、加熱炉内に設けられた加熱用ノ ズルを説明する説明図であり; 図3は、延伸する前の未延伸セルロース アシレートフィルムを作製する溶液製膜方法 の説明図であり; 図4は、実施例の条件及びフィルム評価 をまとめた表図である。

符号の説明

10…延伸セルロースアシレートフィルムの製 装置
12…送出機
14…低速側の延伸ローラ
16…高速側の延伸ローラ
18…加熱炉
20…冷却炉
22…巻取機
24…加熱用ノズル
26…冷却用ノズル
28…ダイ
30…流延部
32…金属支持体
34…金属支持体用のローラ
36…剥離ローラ
38、40…乾燥部
42…テンター型乾燥装置
44…ローラ型乾燥装置
46…巻取機
A…縦延伸前及び縦延伸中のセルロースアシ ートフィルム
B…縦延伸後の延伸セルロースアシレートフ ルム

 以下添付図面に従って延伸セルロースア レートフィルム、及びその製造方法並びに 相差フィルムの好ましい実施の形態につい 説明する。尚、本実施の形態では、溶液製 法で未延伸のセルロースアシレートフィル を製造する例を示すが、本発明はこれに限 するものではなく、溶融製膜法によりセル ースアシレート樹脂フィルムを製造しても い。

 図1は、本発明の延伸セルロースアシレー トフィルムを製造する製造方法を適用する製 造装置の構成図である。尚、延伸する前の未 延伸のセルロースアシレートフィルムを溶液 製膜法で製造する方法については後記する。

 図1に示すように、製造装置10は、主とし 、未延伸のセルロースアシレートフィルムA を送り出す送出機12と、一対の延伸ローラ14 16と、一対の延伸ローラ14、16の間に配置さ た加熱炉18と、加熱炉18の後段に配置された 却炉20と、製造された延伸セルロースアシ ートフィルムBを巻き取る巻取機22とで、構 される。

 一対の延伸ローラ14、16は、それぞれ14a,14 b、16a,16bからなるニップローラ構造に形成さ 、加熱炉18の下流側に配置された延伸ロー 16は、上流側に配置された延伸ローラ14より 回転周速が速くなるように構成される。そ て、未延伸のセルロースアシレートフィル Aを、一対の延伸ローラ14、16の周速差でフ ルムの長手方向に縦延伸倍率が1~2倍になる うに縦延伸する。この場合、加熱炉内での 伸時間は1秒以上100秒以下であることが好ま く、一対の延伸ローラ間の距離は1m以上100m 下であることが好ましい。これにより、従 の縦延伸のようにフィルムを一瞬(通常0.5秒 程度)のうちに引っ張る瞬間的な縦延伸では く、長い延伸時間及び長い延伸距離をかけ フィルムAをゆっくりと引っ張りながら縦延 させる長スパン延伸を行うことができる。

 また、一対の延伸ローラ14、16間でセルロ ースアシレートフィルムAの長手方向にかか 応力は、0.4MPa以上8MPa以下の範囲に設定され ことが好ましい。

 加熱炉18内には、搬送されるセルロース シレートフィルムAの上下位置に、且つフィ ム搬送方法(長手方向)に複数の加熱用ノズ 24、24…が配置され、加熱用ノズル24から熱 がセルロースアシレートフィルムAに向けて き出される。そして、加熱炉18内は、セル ースアシレートフィルムAの結晶化温度をTc したときに、Tc-10℃~Tc+70℃の範囲の延伸温度 を満足するように、且つフィルム幅方向の温 度差が10℃以内になるように加熱される。こ 場合、加熱炉18内でセルロースアシレート ィルムAを延伸温度に昇温させる昇温速度は1 0~400℃/分にすることが好ましい。

 更には、セルロースアシレートフィルムA の上下に配置された加熱用ノズル24から吹き される熱風の圧力で、加熱炉18内を通過す セルロースアシレートフィルムAは、浮上搬 される。これにより、セルロースアシレー フィルムAを、その幅方向に自由端を形成し た状態での自由端一軸延伸を行うことができ る。この場合、セルロースアシレートフィル ムAを浮上搬送する際の浮上量は30mm以内であ ことが好ましい。

 図2に示すように、加熱用ノズル24は、フ ルム幅方向に長いスリット形状のノズルと て形成される。加熱用ノズル24の熱風を吹 出す吹出口24Aの幅W(フィルム幅方向の長さ) フィルム幅と同等か、それ以上に形成され 。また、吹出口24Aのスリット幅Dは2~10mmに形 されることが好ましい。更には、吹出口か セルロースアシレートフィルムAの面までの 距離Hは20~500mmの範囲であることが好ましい。 そして、かかる加熱用ノズル24からセルロー アシレートフィルムAの面に向けて風速0.5~20 m/秒の風速で熱風を吹き付けることが好まし 。加熱用ノズル24から吹き出される熱風の 度は、フィルム品温をTc-10℃~Tc+70℃の範囲に 加熱できる温度である。

 冷却炉24内には、加熱炉18内で縦延伸され て搬送される延伸セルロースアシレートフィ ルムBの上下位置に、且つフィルム搬送方法( 手方向)に複数の冷却用ノズル26、26…が配 され、冷却用ノズル26から冷風が延伸セルロ ースアシレートフィルムBに向けて吹き出さ る。冷却用ノズル26も上記図2で説明した加 用ノズル24と同様の構造を採用できる。

 このように、加熱炉18の後段に冷却炉20を 配置することで、自由端一軸延伸が終了した 延伸セルロースアシレートフィルムBは浮上 送された状態で速やかに延伸温度以下に冷 される。これにより、延伸が止まるので上 RthやReが変動しにくいと共に、浮上搬送する ので、搬送ローラがある場合に比べてフィル ム面に傷がつきにくい。

 冷却炉20で略室温まで冷却された延伸セ ロースアシレートフィルムBは巻取機22に巻 取られる。これにより、面内レターデーシ ンReが100nm以上で且つ厚み方向のレターデー ョンRthとReとの関係が、Rth<(Re/2)を満足す 延伸セルロースアシレートフィルムBを製造 できる。従って、この延伸セルロースアシレ ートフィルムBを液晶表示装置の例えば位相 フィルムとして用いれば、それぞれの液晶 式に適したReやRthのレターデーションを有す る位相差フィルムを提供できる。

 尚、図1では延伸ローラ16を、加熱炉18と 却炉24との間、即ち冷却炉24の前に配置した 、冷却炉24の後ろに配置してもよい。

 次に、上記した加熱炉18内での縦延伸を行 前の未延伸のセルロースアシレートフィル Aを、溶液製膜方法で製造する際の原料であ セルロースアシレートの好ましい条件、及 溶液製膜法の工程の好ましい態様を以下に 明する。
[セルロースアシレート(原料)]
 セルロースアシレートフィルムAは、主成分 としてのポリマーがセルロースアシレートで ある。ここで、「主成分としてのポリマー」 とは、単一のポリマーからなる場合には、そ のポリマーのことを示し、複数のポリマーか らなる場合には、構成するポリマーのうち、 最も質量分率の高いポリマーのことを示す。

 セルロースアシレートフィルムを製造す 際に用いるセルロースアシレートとしては 粉末や粒子状のものを使用することができ また、ペレット化したものも用いることが きる。また、セルロースアシレートの含水 は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.7 質量%以下であることがさらに好ましく、0.5 量%以下であることが最も好ましい。また、 水率は場合により0.2質量%以下であることが 好ましい。セルロースアシレートの含水率が 好ましい範囲内にない場合には、加熱などに より乾燥してから使用することが好ましい。

 これらのポリマーは単独で用いてもよい 、2種類以上のポリマーを併用してもよい。

 セルロースアシレートとしては、セルロ スアシレート化合物、及びセルロースを原 として生物的或いは化学的に官能基を導入 て得られるアシル置換セルロース骨格を有 る化合物が挙げられる。

 セルロースアシレートは、セルロースと ルボン酸とのエステルである。エステルを 成するカルボン酸としては、炭素原子数が2 ~22の脂肪酸がさらに好ましく、炭素原子数が 2~4の低級脂肪酸が最も好ましい。

 セルロースアシレートは、セルロースを 成するグルコース単位の2位、3位及び6位に 在するヒドロキシル基の水素原子の全部ま は一部が、アシル基で置換されている。ア ル基の例としては、例えば、アセチル基、 ロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル 、ピバロイル基、へプタノイル基、ヘキサ イル基、オクタノイル基、デカノイル基、 デカノイル基、トリデカノイル基、テトラ カノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタ カノイル基、シクロヘキサンカルボニル基 オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカ ボニル基、および、シンナモイル基が挙げ れる。前記アシル基としては、アセチル基 プロピオニル基、ブチリル基、ドデカノイ 基、オクタデカノイル基、ピバロイル基、 レオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカル ニル基、シンナモイル基が好ましく、アセ ル基、プロピオニル基、ブチリル基が最も ましい。

 セルロースアシレートは、複数のアシル で置換されていてもよく、具体的には、セ ロースアセテートプロピオネート、セルロ スアセテートブチレート、セルロースアセ ートブチレートプロピオネート、セルロー ブチレートプロピオネート等が挙げられる

 セルロースアシレートフィルムを構成す セルロースアシレートとしては、酢酸との ステルを有するセルロースアセテートが特 好ましく、溶媒への溶解性の観点から、ア チル置換度が2.70~2.87のセルロースアセテー がより好ましく、2.80~2.86のセルロースアセ ートが最も好ましい。ここでいう置換度と 、セルロースを構成するグルコース単位の2 位、3位および6位に存在するヒドロキシル基 水素原子が置換されている程度を表すもの 、2位、3位および6位に存在するヒドロキシ 基の水素原子が置換されている場合の置換 は3である。

 セルロースアシレートの合成方法につい 、基本的な原理は、右田仲彦他、木材化学1 80~190頁(共立出版、1968年)に記載されている。 セルロースアシレートの代表的な合成方法と しては、カルボン酸無水物-カルボン酸一硫 触媒による液相アシル化法が挙げられる。 体的には、まず、綿花リンタや木材パルプ のセルロース原料を適当量の酢酸などのカ ボン酸で前処理した後、予め冷却したアシ 化混液に投入してエステル化し、完全セル ースアシレート(2位、3位および6位のアシル 換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。アシ 化混液は、一般に溶媒としてのカルボン酸 エステル化剤としてのカルボン酸無水物お び触媒としての硫酸を含む。また、カルボ 酸無水物は、これと反応するセルロースお び系内に存在する水分の合計よりも、化学 論的に過剰量で使用することが普通である

 次いで、アシル化反応終了後に、系内に 存している過剰カルボン酸無水物の加水分 を行うために、水または含水酢酸を添加す 。さらに、エステル化触媒を一部中和する めに、中和剤(例えば、カルシウム、マグネ シウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸 塩、酢酸塩、水酸化物または酸化物)を含む 溶液を添加してもよい。さらに、得られた 全セルロースアシレートを少量のアシル化 応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で 、20~90℃に保つことにより鹸化熟成し、所望 アシル置換度および重合度を有するセルロ スアシレートまで変化させる。所望のセル ースアシレートが得られた時点で、系内に 存している触媒を中和剤などを用いて完全 中和するか、或いは、触媒を中和すること く水若しくは希酢酸中にセルロースアシレ ト溶液を投入(或いは、セルロースアシレー ト溶液中に、水または希酢酸を投入)してセ ロースアシレートを分離し、洗浄および安 化処理により目的物であるセルロースアシ ートを得ることができる。

 セルロースアシレートの重合度は、粘度 均重合度で150~500が好ましく、200~400がより ましく、220~350がさらに好ましい。粘度平均 合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉 藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105~120頁 1962年)の記載に従って測定することができる 。粘度平均重合度の測定方法については、特 開平9-95538号公報にも記載がある。

 また、低分子成分が少ないセルロースア レートは、平均分子量(重合度)が高いが、 度は通常のセルロースアシレートよりも低 値になる。このような低分子成分の少ない ルロースアシレートは、通常の方法で合成 たセルロースアシレートから低分子成分を 去することにより得ることができる。低分 成分の除去は、セルロースアシレートを適 な有機溶媒で洗浄することにより行うこと できる。また、低分子成分の少ないセルロ スアシレートを合成により得ることもでき 。低分子成分の少ないセルロースアシレー を合成する場合、アシル化反応における硫 触媒量を、セルロース100質量に対して0.5~25 量部に調整することが好ましい。硫酸触媒 量を範囲にすると、分子量分布の点でも好 しい(分子量分布の均一な)セルロースアシレ ートを合成することができる。

 セルロースエステルの原料綿や合成方法 ついては、発明協会公開技報(公技番号2001-1 745号、2001年3月15日発行、発明協会)7~12頁にも 記載がある。

 《溶液製膜方法の工程》
 セルロースアシレートフィルムAは、セルロ ースアシレートや各種添加剤を含有する溶液 から溶液製膜方法によって作製することがで きる。
[セルロースアシレート溶液]
(溶媒)
 セルロースアシレートフィルムAを溶液製膜 方法で作製する場合、セルロースアシレート 溶液を調製する。このとき用いられるセルロ ースアシレート溶液用の主溶媒としては、該 セルロースアシレートの良溶媒である有機溶 媒を好ましく用いることができる。このよう な有機溶媒としては、沸点が80℃以下の有機 媒が乾燥負荷低減の観点からより好ましい 有機溶媒の沸点は、10~80℃であることがさ に好ましく、20~60℃であることが特に好まし い。また、場合により沸点が30~45℃である有 溶媒も主溶媒として好適に用いることがで る。

 このような主溶媒としては、ハロゲン化 化水素、エステル、ケトン、エーテル、ア コール及び炭化水素などが挙げられ、これ は分岐構造若しくは環状構造を有していて よい。また、主溶媒は、エステル、ケトン エーテル及びアルコールの官能基(即ち、-O- 、-CO-、-COO-、-OH)のいずれかを二つ以上有し いてもよい。更に、エステル、ケトン、エ テル及びアルコールの炭化水素部分におけ 水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原 )で置換されていてもよい。尚、主溶媒とは 、単一の溶媒からなる場合には、その溶媒の ことを示し、複数の溶媒からなる場合には、 構成する溶媒のうち、最も質量分率の高い溶 媒のことを示す。

 ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭 水素がより好ましく、例えば、ジクロロメ ンおよびクロロホルムなどが挙げられ、ジ ロロメタンがさらに好ましい。

 エステルとしては、例えば、メチルホル ート、エチルホルメート、メチルアセテー 、エチルアセテートなどが挙げられる。

 ケトンとしては、例えば、アセトン、メ ルエチルケトンなどが挙げられる。

 エーテルとしては、例えば、ジエチルエ テル、メチルーtert-ブチルエーテル、ジイ プロピルエーテル、ジメトキシメタン、1,3- オキソラン、4-メチルジオキソラン、テト ヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン 1,4-ジオキサンなどが挙げられる。

 アルコールとしては、例えば、メタノー 、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノ ール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタ ノール、1-ペンタノール、2-メチル-2-ブタノ ル、シクロヘキサノール、2-フルオロエタノ ール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3- トラフルオロ-1-プロパノールなどが挙げら る。

 炭化水素としては、例えば、n-ペンタン シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、ト ルエン、キシレンなどが挙げられる。

 前記2種類以上の官能基を有する有機溶媒 としては、例えば、2-エトキシエチルアセテ ト、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタ ノール、メチルアセトアセテートなどが挙げ られる。

 セルロースアシレートフィルムAでは、全 溶媒中に好ましくは5~30質量%、より好ましく 7~25質量%、さらに好ましくは10~20質量%のア コールを含有することがバンドからの剥離 重低減の観点から望ましい。

 セルロースアシレートフィルムAの作製に用 いられるセルロースアシレート溶液の溶媒と して好ましく用いられる有機溶媒の組み合せ の例を以下に挙げるが、本発明で採用するこ とができる組み合わせはこれらに限定される ものではない。尚、比率の数値は、質量部を 意味する。
(1)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブ タノール=80/10/5/5
(2)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブ タノール=80/5/5/10
(3)ジクロロメタン/イソブチルアルコール=90/1 0
(4)ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロ パノール=80/5/5/10
(5)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シ クロヘキサン=80/8/10/2
(6)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタ ール/ブタノール=80/10/5/5
(7)ジクロロメタン/ブタノール=90/10
(8)ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケ ン/エタノール/ブタノール=68/10/10/7/5
(9)ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノ ル/ペンタノール=80/2/15/3
(10)ジクロロメタン/メチルアセテート/エタノ ール/ブタノール=70/12/15/3
(11)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタ ノール/ブタノール=80/5/5/10
(12)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセ トン/メタノール/ペンタノール=50/20/15/5/10
(13)ジクロロメタン/1,3-ジオキソラン/メタノ ル/ブタノール=70/15/5/10
(14)ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メ ノール/ブタノール=75/5/10/5/5
(15)ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノ ン/エタノール/イソブチルアルコール/シクロ ヘキサン=60/18/3/10/7/2
(16)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセ トン/イソブチルアルコール=70/10/10/10
(17)ジクロロメタン/アセトン/エチルアセテー ト/ブタノール/ヘキサン=69/10/10/10/1
(18)ジクロロメタン/メチルアセテート/メタノ ール/イソブチルアルコール=65/15/10/10
(19)ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノ ール/ブタノール=85/7/3/5
(20)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール=83 /15/2
(21)ジクロロメタン=100
(22)アセトン/エタノール/ブタノール=80/15/5
(23)メチルアセテート/アセトン/メタノール/ タノール=75/10/10/5
(24)1,3-ジオキソラン=100 
 また、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とし 場合の詳細については発明協会公開技報(公 技番号2001-1745、2001年3月15日発行、発明協会) 記載があり、適宜、本発明において適用す ことができる。
(溶液濃度)
 調製するセルロースアシレート溶液中のセ ロースアシレート濃度は、5~40質量%が好ま く、10~30質量%がさらに好ましく、15~30質量% 最も好ましい。

 セルロースアシレート濃度は、セルロース シレートを溶媒に溶解する段階で所定の濃 になるように調整することができる。また め低濃度(例えば4~14質量%)の溶液を調製した 後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮して もよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後 に、希釈してもよい。また、添加剤を添加す ることで、セルロースアシレートの濃度を低 下させることもできる。
(添加剤)
 セルロースアシレート溶液は、各調製工程 おいて用途に応じた各種の液体または固体 添加剤を含むことができる。添加剤の例と ては、可塑剤(好ましい添加量はセルロース アシレートに対して0.01~10質量%、以下同様)、 紫外線吸収剤(0,001~1質量%)、平均粒子サイズ 5~3000nmである微粒子粉体(0.001~1質量%)、フッ 系界面活性剤(0.001~1質量%)、剥離剤(0.0001~1質 %)、劣化防止剤(0.0001~1質量%)、光学異方性制 御剤(0.01~10質量%)、赤外線吸収剤(0.001~1質量%) 含まれる。

 可塑剤や光学異方性制御剤は、分子量3000 以下の有機化合物であり、好ましくは疎水部 と親水部とを併せ持つ化合物である。これら の化合物は、セルロースアシレート鎖間で配 向することにより、レターデーション値を変 化させる。更に、これらの化合物は、フィル ムの疎水性を向上させ、レターデーションの 湿度変化を低減させることができる。また、 紫外線吸収剤や赤外線吸収剤を併用すること で、効果的にレターデーションの波長依存性 を制御することもできる。添加剤は、いずれ も乾燥過程での揮散が実質的にないものが好 ましい。

 レターデーションの湿度変化低減を図る 点からは、これらの添加剤の添加量は多い うが好ましいが、添加量の増大に伴い、セ ロースアシレートフィルムAのガラス転移温 度(Tg)低下や、フィルムの製造工程における 加剤の揮散問題を引き起こしやすくなる。 って、本発明においてより好ましく用いら るセルロースアセテートを用いる場合、分 量3000以下の添加剤の添加量は、セルロース シレートに対し0.01~30質量%が好ましく、2~30 量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ま い。

 セルロースアシレートフィルムAに好適に用 いることのできる可塑剤については、特開200 1-151901号公報に記載がある。また、赤外吸収 については、特開平2001-194522号公報に記載 ある。添加剤を添加する時期は、添加剤の 類に応じて適宜決定することができる。ま 、添加剤については、発明協会公開技報(公 番号2001-1745、2001年3月15日発行、発明協会)16 貢~22頁にも記載がある。
(セルロースアシレート溶液の調製)
 セルロースアシレート溶液の調製は、例え 、特開2005-104148号公報の106~120貢に記載され いる調製方法に準じて行うことができる。 体的には、セルロースアシレートと溶媒と 混合攪拌し膨潤させ、場合により冷却や加 等を実施して溶解させた後、これをろ過し セルロースアシレート溶液を得ることがで る。

 [流延工程、乾燥工程]
 セルロースアシレートフィルムAは、従来の 溶液製膜方法に従い、従来の溶液流延製膜装 置を用いて製造できる。具体的には、溶解機 (釜)で調製されたドープ(セルロースアシレー ト溶液)を、ろ過後、貯蔵釜で一旦貯蔵し、 ープに含まれている泡を脱泡して最終調製 ることができる。ドープは30℃に保温し、ド ープ排出口から、例えば回転数によって高精 度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプに より、図3に示す送出配管27を通ってダイ28に られる。そして、ドープをダイ28の口金28A( リット)からエンドレスに走行している流延 部30の金属支持体32(流延バンド)の上に均一に 流延する(流延工程)。金属支持体32は、無端 に形成され、離間した一対のローラ34、34に け渡される。金属支持体32に流延されたド プは、金属支持体32がほぼ一周した剥離点で 、剥離ローラ36により生乾きのドープ膜W(ウ ブとも呼ぶ)として金属支持体32から剥離さ る。続いて乾燥部38、40へ搬送して乾燥する( 乾燥工程)。乾燥部38、40としては、例えば図3 に示すように、ドープ膜Wの幅方向両端を把 しながら乾燥するテンター型乾燥装置42、複 数のロール44Aで搬送しながら乾燥するロール 乾燥装置44を好ましく使用できる。

 上記の流延工程、乾燥工程の詳細につい は、特開2005-104148号公報の120~146頁にも記載 あり、適宜本発明にも適用することができ 。

 乾燥の終了したフィルム中の残留溶剤量 0~2質量%が好ましく、より好ましくは0~1質量 %である。乾燥終了後、フィルムを巻取機46で 一旦巻き取ってから、図1で示した加熱炉18内 での縦延伸工程を実施してもよいし、一旦巻 き取らずに図3から図1の加熱炉18内での縦延 工程を連続的に実施してもよい。

 縦延伸前のセルロースアシレートフィルムA の好ましい幅は0.5~5mであり、より好ましくは 0.7~3mである。また、一旦フィルムを巻き取る 場合には、好ましい巻長は300~30000mであり、 り好ましくは500~10000mであり、さらに好まし は1000~7000mである。
[加熱炉内での縦延伸]
 図1で説明した如く、上記作成された未延伸 のセルロースアシレートフィルムAを一対の 伸ローラ14、16の周速差で引っ張ることによ 長手方向に縦延伸するときに、一対の延伸 ーラ14、16間に設けた加熱炉18内において、 ルロースアシレートフィルムAを、該フィル ムAの結晶化温度Tc-10℃~Tc+70℃の範囲の延伸温 度で且つフィルム幅方向の温度差が10℃以内 なるように加熱しながら、縦延伸倍率が1~2 になるように自由端一軸延伸する。尚、更 る好ましい条件等は、既に説明し重複する で、ここでの説明は省略する。
[冷却炉内での冷却]
 加熱炉18内で自由端一軸延伸された延伸セ ロースアシレートフィルムは、冷却炉20を通 過して室温程度まで強制的に冷却され、巻取 機22に巻き取られる。これにより、面内レタ デーションReが100nm以上で且つ厚み方向のレ ターデーションRthとReとの関係が、Rth<Re/2 満足する延伸セルロースアシレートフィル Bを製造できる。
[透湿度]
 かかる延伸セルロースアシレートフィルムB は、40℃・相対湿度90%における透湿度が100~400 g/(m 2 ・day)であり、60℃・相対湿度95%で1000時間保 した後の透湿度変化が-100g/(m 2 ・day)~10g/(m 2 ・day)であることが好ましい。

 ここで、「透湿度」とは、塩化カルシウム 入れたカップをフィルムで蓋をし、全体を 閉器内に入れて40℃・相対湿度90%の条件で24 時間保持したときの保持前後の質量変化(g/(m 2 ・day))である。透湿度は、温度の上昇に伴い 昇し、また、湿度の上昇に伴い上昇するが いずれの温度や湿度を採用した場合であっ も、フィルム間における透湿度の大小関係 不変である。そのため、本発明においては4 0℃・相対湿度90%における前記質量変化の値 基準として用いた。

 延伸セルロースアシレートフィルムBの透湿 度は、100~400g/(m 2 ・day)が好ましく、120~350g/(m 2 ・day)がより好ましく、150~300g/(m 2 ・day)がさらに好ましい。

 また、フィルムBを60℃・相対湿度95%で1000 時間保持したときの保持前後の透湿度を前述 の方法に従って測定し、保持後の透湿度から 保持前の透湿度を引いた値を「60℃・相対湿 95%で1000時間保持した後の透湿度変化」とし た。

 延伸セルロースアシレートフィルムBの60℃ 相対湿度95%で保持した後の透湿度変化は-100 g/(m 2 ・day)~10g/(m 2 ・day)であり、-50~5g/(m 2 ・day)が好ましく、-20~0g/(m 2 ・day)がより好ましい。

 更に、透湿度は、膜厚の上昇に伴い低下 、膜厚の低下に伴い上昇するため、まず実 した透湿度に実測した膜厚を乗じ、それを8 0で割った値を本発明では「膜厚80μm換算の透 湿度」とした。

 延伸セルロースアシレートフィルムBの膜厚 80μm換算の透湿度は、100~420g/(m 2 ・day)が好ましく、150~400g/(m 2 ・day)がより好ましく、180~350g/(m 2 ・day)がさらに好ましい。

 このような透湿度に関する条件を満たす 伸セルロースアシレートフィルムBを使用す れば、湿度もしくは湿熱に対する耐久性に優 れた偏光板や、信頼性の高い液晶表示装置を 提供することができる。

 [表面処理]
 延伸セルロースアシレートフィルムBには、 適宜、表面処理を行うことにより、各機能層 (例えば、下塗層、バック層、光学異方性層) の接着を改善することが可能となる。表面 理には、グロー放電処理、紫外線照射処理 コロナ処理、火炎処理、鹸化処理(酸鹸化処 理、アルカリ鹸化処理)が含まれ、特にグロ 放電処理およびアルカリ鹸化処理が好まし 。ここでいう「グロー放電処理」とは、プ ズマ励起性気体存在下でフィルム表面にプ ズマ処理を施す処理である。これらの表面 理方法の詳細は、発明協会公開技報(公技番 2001-1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記 があり、適宜、使用することができる。

 フィルム表面と機能層との接着性を改善す ため、表面処理に加えて、或いは表面処理 代えて、延伸セルロースアシレートフィル B上に下塗層(接着層)を設けることもできる 下塗層については、発明協会公開技報(公技 番号2001-1745、2001年3月15日発行、発明協会)32 に記載があり、これらを適宜、使用するこ ができる。また、延伸セルロースアシレー フィルムB上に設けられる機能性層について 、発明協会公開技報(公技番号2001-1745、2001 3月15日発行、発明協会)32頁~45頁に記載があ 、これに記載のものを適宜、使用すること できる。
《光学補償フィルム》
 このように製造された本発明の延伸セルロ スアシレートフィルムBは、光学補償フィル ムとして用いることもできる。尚、「光学補 償フィルム」とは、一般に液晶表示装置等の 表示装置に用いられ、光学異方性を有する光 学材料のことを意味し、位相差フィルム、位 相差板、光学補償シートなどと同義である。 液晶表示装置において、光学補償フィルムは 表示画面のコントラストを向上させたり、視 野角特性や色味を改善したりする目的で用い られる。

 本発明の延伸セルロースアシレートフィ ムBは、そのまま光学補償フィルムとして用 いることもできる。また、本発明の延伸セル ロースアシレートフィルムBを複数枚積層し り、延伸セルロースアシレートフィルムBと 発明以外のフィルムとを積層したりしてRe Rthを適宜調整して光学補償フィルムとして いることもできる。フィルムの積層は、粘 剤や接着剤を用いて実施することができる

 また、場合により、本発明の延伸セルロ スアシレートフィルムBを光学補償フィルム の支持体として用い、その上に液晶等からな る光学異方性層を設けて光学補償フィルムと して使用することもできる。光学補償フィル ムに適用される光学異方性層は、例えば、液 晶性化合物を含有する組成物から形成しても よいし、複屈折を持つセルロースアシレート フィルムから形成してもよい。

 液晶性化合物としては、ディスコティック 晶性化合物又は棒状液晶性化合物が好まし 。
[ディスコティック液晶性化合物]
 本発明において液晶性化合物として使用可 なディスコティック液晶性化合物の例には 様々な文献(例えば、C.Destrade et al.,Mol.Crysr. Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季 化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章 第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,pag e 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page  2655(1994))に記載の化合物が含まれる。

 光学異方性層において、ディスコティック 晶性分子は配向状態で固定されているのが ましく、重合反応により固定されているの 最も好ましい。また、ディスコティック液 性分子の重合については、特開平8-27284公報 に記載がある。ディスコティック液晶性分子 を重合により固定するためには、ディスコテ ィック液晶性分子の円盤状コアに、置換基と して重合性基を結合させる必要がある。ただ し、円盤状コアに重合性基を直結させると、 重合反応において配向状態を保つことが困難 になる。そこで、円盤状コアと重合性基との 間に、連結基を導入する。重合性基を有する ディスコティック液晶性分子については、特 開2001-4387号公報に開示されている。
[棒状液晶性化合物]
 液晶性化合物として使用可能な棒状液晶性 合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類 シアノビフェニル類、シアノフェニルエス ル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサ カルボン酸フェニルエステル類、シアノフ ニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニ ピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピ ミジン類、フェニルジオキサン類、トラン およびアルケニルシクロへキシルベンゾニ リル類が含まれる。また、前記棒状液晶性 合物としては、以上のような低分子液晶性 合物だけではなく、高分子液晶性化合物も いることができる。

 光学異方性層において、棒状液晶性分子は 向状態で固定されているのが好ましく、重 反応により固定されているのが最も好まし 。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化 物の例は、例えば、Makromol.Chem.,190巻、2255貢 (1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、 国特許第4,683,327号明細書、同5,622,648号明細 、同5,770,107号明細書、国際公開第95/22586号パ ンフレット、同95/24455号パンフレット、同97/0 0600号パンフレット、同98/23580号パンフレット 、同98/52905号パンフレット、特開平1-272551号 報、同6-16616号公報、同7-110469号公報、同11-80 081号公報、および特開2001-328973号公報等に記 の化合物が含まれる。
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
 光学異方性層は、ポリマーフィルムから形 してもよい。ポリマーフィルムは、光学異 性を発現し得るポリマーから形成すること できる。光学異方性を発現し得るポリマー 例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン 、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー )、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポ スルホン、ポリビニルアルコール、ポリメ クリル酸エステル、ポリアクリル酸エステ 、および、セルロースエステル(例、セルロ ストリアセテート、セルロースジアセテー )が含まれる。また、ポリマーとしては、こ れらポリマーの共重合体若しくはポリマー混 合物を用いてもよい。
《偏光板》
 本発明の延伸セルロースアシレートフィル B、及びそれを用いた光学補償フィルムは、 偏光板の保護フィルムとして用いることがで きる。偏光板は、偏光膜とその両面を保護す る二枚の偏光板保護フィルム(セルロースア レートフィルム)からなり、延伸セルロース シレートフィルムBまたは光学補償フィルム は少なくとも一方の偏光板保護フィルムとし て用いることができる。また、本発明の延伸 セルロースアシレートフィルムBは、接着剤 用いて偏光膜とロールツーロールで貼合す ことができる。

 延伸セルロースアシレートフィルムBを偏 光板保護フィルムとして用いる場合、フィル ムには表面処理(特開平6-94915号公報、同6-11823 2号公報にも記載)を施して親水化しておくこ が好ましく、例えば、グロー放電処理、コ ナ放電処理、または、アルカリ鹸化処理な を施すことが好ましく、特に、表面処理と てはアルカリ鹸化処理が最も好ましく用い れる。

 また、偏光膜としては、例えば、ポリビ ルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬 て延伸したもの等を用いることができる。 リビニルアルコールフィルムを沃素溶液中 浸漬して延伸した偏光膜を用いる場合、接 剤を用いて偏光膜の両面に延伸セルロース シレートフィルムBの表面処理面を直接貼り 合わせることができる。

 本発明においては、このように延伸セル ースアシレートフィルムBが偏光膜と直接貼 合されていることが好ましい。接着剤として は、ポリビニルアルコールまたはポリビニル アセタール(例、ポリビニルブチラール)の水 液や、ビニル系ポリマー(例、ポリブチルア クリレート)のラテックスを用いることがで る。特に好ましい接着剤は、完全鹸化ポリ ニルアルコールの水溶液である。

 一般に液晶表示装置は二枚の偏光板の間に 晶セルが設けられるため、4枚の偏光板保護 フィルムを有する。延伸セルロースアシレー トフィルムBは、4枚の偏光板保護フィルムの ずれにも好適に用いることができる。中で 、延伸セルロースアシレートフィルムBを液 晶表示装置における偏光膜と液晶層(液晶セ )との間に配置されない外側の保護フィルム して用いることが特に好ましく、この場合 透明ハードコート層、防眩層、反射防止層 どを設けることができる。
《液晶表示装置》
 本発明の延伸セルロースアシレートフィル B、それを用いた光学補償フィルム及び偏光 板は、様々な表示モードの液晶表示装置に用 いることができる。延伸セルロースアシレー トフィルB、及びそれを用いた光学補償フィ ムは透湿度が低く、この透湿度は湿熱下に らされても上昇しないため、これを用いた 光板では、長期に渡って偏光度の低下を抑 することができる。したがって、信頼性の い液晶表示装置を提供することができる。

 以下にこれらのフィルムが用いられる各液 モードについて説明する。これらの液晶表 装置は、透過型、反射型および半透過型の ずれでもよい。
(TN型液晶表示装置)
 本発明の延伸セルロースアシレートフィル Bは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶 示装置の光学補償フィルムの支持体として いることができる。TNモードの液晶セルとTN 液晶表示装置とについては、古くからよく られている。TN型液晶表示装置に用いる光 補償フィルムについては、特開平3-9325号、 開平6-148429号、特開平8-50206号および特開平9- 26572号の各公報の他、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J. Appl.Phys.Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997 )p.1068)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
 本発明の延伸セルロースアシレートフィル Bは、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶 表示装置の光学補償フィルムの支持体として 用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置で は、液晶セル中の棒状液晶性分子が90~360度の 範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈 折率異方性(△n)とセルギャップ(d)との積(△nd )が300~1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置 用いる光学補償フィルムについては、特開2 000-105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
 本発明の延伸セルロースアシレートフィル Bは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶 示装置の光学補償フィルムや光学補償フィ ムの支持体として用いることができる。VA型 液晶表示装置は、例えば特開平10-123576号公報 に記載されているような配向分割された方式 であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
 本発明の延伸セルロースアシレートフィル Bは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを 有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示 装置の光学補償フィルムや光学補償フィルム の支持体、または偏光板の保護フィルムとし て特に有利に用いられる。これらのモードは 黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様 であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面 に対して平行配向させて、黒表示する。
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
 本発明の延伸セルロースアシレートフィル Bは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶 表示装置或いはHANモードの液晶セルを有する HAN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持 体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示 装置或いはHAN型液晶表示装置に用いる光学補 償フィルムには、レターデーションの絶対値 が最小となる方向が光学補償フィルムの面内 にも法線方向にも存在しないことが好ましい 。OCB型液晶表示装置或いはHAN型液晶表示装置 に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、 光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学 的性質および光学的異方性層と支持体との配 置により決定される。OCB型液晶表示装置或い はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィル ムについては、特開平9-197397号公報に記載が る。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vo l.38(1999)p.2837)に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
 本発明の延伸セルロースアシレートフィル Bは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest-Host)型の反 型液晶表示装置の光学補償フィルムとして 有利に用いられる。これらの表示モードは くからよく知られている。TN型反射型液晶表 示装置については、特開平10-123478号、国際公 開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公 報に記載がある。反射型液晶表示装置に用い る光学補償フィルムについては、国際公開第 00/65384号パンフレットに記載がある。
(その他の液晶表示装置)
 本発明の延伸セルロースアシレートフィル Bは、ASM(Axially Symmetric  Aligned Microcell)モー ドの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光 学補償フィルムの支持体としても有利に用い られる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さ が位置調整可能な樹脂スぺ-サーにより維持 れているとの特徴がある。その他の性質は TNモードの液晶セルと同様である。ASMモード の液晶セルとASM型液晶表示装置とについては 、クメ(Kume)他の論文(Kume et al.,SID 98 Digest l 089(1998))に記載がある。
《ハードコートフィルム、防眩フィルム、反 射防止フィルム》
 本発明の延伸セルロースアシレートフィル Bは、場合により、ハードコートフィルム、 防眩フィルム、反射防止フィルムへ適用して もよい。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネル ィスプレイの視認性を向上する目的で、本 明のセルロースアシレートフィルムの片面 たは両面にハードコート層、防眩層、反射 止層の何れか或いは全てを付与することが きる。このような防眩フィルム、反射防止 ィルムとしての望ましい実施態様は、発明 会公開技報(公技番号2001-1745、2001年3月15日 行、発明協会)54頁~57頁に詳細に記載されて り、本発明のセルロースアシレートフィル においても好ましく用いることができる。

 本発明の実施例では、溶液製膜法により ルローストリアセテート(TAC)のフィルムを 膜し、このフィルムについて自由端一軸延 条件で縦延伸することにより延伸セルロー トリアセテートフィルムを製造した。

 図4の表は、本発明の実施例(1~12)と比較例 (1~4)についての延伸条件、フィルム加熱条件 フィルム冷却条件、及び製造された延伸セ ローストリアセテートフィルムの評価(Re,Rth ,フィルム面状、配向軸ズレ)をまとめて一覧 としたものである。

 図4において、「ロール間距離」とは一対 の延伸ローラの距離を意味し、「Tc」とはセ ローストリアセテートの結晶化温度である 「幅方向差」とは縦延伸中のフィルムにお る幅方向の温度差を意味し、幅方向での最 温度と最小温度の差を言う。「降温速度」 は縦延伸した後でフィルムを冷却する際の 度である。

 実施例1~9、及び実施例11は、図4の表の延 条件、フィルム加熱条件、フィルム冷却条 の全てを満足する場合である。

 実施例10は加熱条件における加熱用ノズ のスリット幅が1mmであり、本発明の好まし 条件を満足しない場合である。

 実施例12は、延伸条件のロール間距離、 ィルム冷却時の降温速度、加熱炉内の延伸 間、フィルム加熱における加熱用ノズルの ィルムまでの距離及び風速が本発明の好ま い条件を満足しない場合である。

 比較例1は本発明の必須条件である縦延伸 率を満足しない場合である。

 比較例2は本発明の必須条件である加熱温 度(下限の185℃よりも低い)と、好ましい条件 ある延伸応力(上限の8MPaより高い)を満足し い場合である。

 比較例3は本発明の必須条件である加熱温 度(上限の265℃よりも高い)と、好ましい条件 ある延伸応力(下限の0.4MPaより低い)を満足 ない場合である。

 比較例4は本発明の必須条件であるフィル ム加熱における幅方向差(フィルム幅方向の 度差)を満足しない他に、好ましい条件であ ロール間距離、フィルム加熱における昇温 度、加熱炉内の延伸時間、加熱用ノズルの リット幅、フィルムまでの距離、風速、及 浮上搬送の浮上量を満足しない場合である

 その結果、実施例1~12は、Reが本発明の目 としている100nm以上となった。更に、実施 1~12は、図4のReとRthの関係から計算すると、 べて本発明の目標としているRth<(Re/2)を満 足した。

 また、実施例10及び12は、フィルム面状及 び配向軸ズレの点で、延伸条件、フィルム加 熱条件、フィルム冷却条件の全てを満足する 実施例1~9、及び実施例11よりも多少劣る結果 あった。これにおり、本発明の好ましい条 をも満足することが一層良い結果となるこ が分かった。

 これに対して、比較例1はフィルムを延伸 する際に破断してしまった。また、比較例2 Reが90nmであり本発明の目標である100nm以上に ならなかった。また、比較例3はReは100nm以上 満足するものの、Rth<(Re/2)を満足しなかっ た。

 また、比較例4はRe,Rthは満足するものの、 フィルム面状、及び配向軸ズレが不良であり 、光学フィルム製品として使用できないもの であった。