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Title:
OSCILLATION TYPE ELECTROMAGNETIC POWER GENERATOR AND METHOD FOR MANUFACTURING OSCILLATION TYPE ELECTROMAGNETIC POWER GENERATOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139646
Kind Code:
A1
Abstract:
A specific condition for increasing the power generation efficiency of an oscillation type electromagnetic power generator is disclosed. Solenoid coils constituting the oscillation type electromagnetic power generator are wound in directions opposite to each other with a predetermined coil gap therebetween. Moving magnets are connected to each other via a magnet spacer having a predetermined thickness, in such a manner that the same poles are opposed to each other. A coil pitch which is the total dimension of the coil length of one solenoid coil and the coil gap and a magnet pitch which is the total dimension of the magnet length of one moving magnet and the thickness of the magnet spacer are almost equal to each other. The coil length is shorter than the magnet length.

Inventors:
YOSHIDA TETSUO (JP)
AIZAWA YUKIO (JP)
SUGANUMA SHIGEMI (JP)
MASUDA KENTARO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/068307
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
September 20, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SUMIDA CORP (JP)
YOSHIDA TETSUO (JP)
AIZAWA YUKIO (JP)
SUGANUMA SHIGEMI (JP)
MASUDA KENTARO (JP)
International Classes:
H02K35/02
Domestic Patent References:
WO2005031952A12005-04-07
Foreign References:
JP2006296144A2006-10-26
JP2006523081A2006-10-05
Other References:
See also references of EP 2146421A4
Attorney, Agent or Firm:
TSUNODA, Yoshisue et al. (1-64-8 Sasazuk, Shibuya-ku Tokyo 73, JP)
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Claims:
 複数のソレノイドコイルが直列に接続された発電コイルと、
 前記発電コイルの内側であってかつ巻軸方向に移動可能であり、対向する磁極が互いに同極となるように配置された、複数の磁石を含む可動磁石と、
から構成された振動型電磁発電機であって、
 前記複数のソレノイドコイルは、所定のコイル間隔を有するとともに互いに逆方向に巻回され、
 前記可動磁石は、所定の厚さの磁石スペーサを介して同極が対向するように接合され、
 さらに、前記複数のソレノイドコイルの一つあたりのコイル長と前記コイル間隔の合計寸法であるコイルピッチと、前記可動磁石の一つあたりの磁石長と前記磁石スペーサの厚さとの合計寸法である磁石ピッチとをほぼ等しくするとともに、
 前記コイル長を前記磁石長よりも短くすることを特徴とする振動型電磁発電機。
 前記磁石スペーサは、磁性体であることを特徴とする
 請求項1記載の振動型電磁発電機。
 複数のソレノイドコイルが直列に接続された発電コイルと、
 前記発電コイルの内側であってかつ巻軸方向に移動可能であり、対向する磁極が互いに同極となるように配置された、複数の磁石を含む可動磁石と、を備え、
 前記複数のソレノイドコイルは、所定のコイル間隔を有するとともに互いに逆方向に巻回され、
 前記可動磁石は、所定の厚さの磁石スペーサを介して同極が対向するように接合され、
 さらに、前記複数のソレノイドコイルの一つあたりのコイル長と前記コイル間隔の合計寸法であるコイルピッチと、前記可動磁石の一つあたりの磁石長と前記磁石スペーサの厚さとの合計寸法である磁石ピッチとをほぼ等しくするとともに、
 前記コイル長が前記磁石長よりも短く構成される振動型電磁発電機の製造方法であって、
 所定のコイル径と所定の単位長当たりの巻数を有し、前記コイル長が前記コイル径の少なくとも3倍以上のソレノイドコイルを製作するステップと、
 前記ソレノイドコイル中を、所定の磁石径を有し、前記コイル長とほぼ同じ長さの磁石を一定の通過速度で通過させたときの出力電圧の立ち上がり特性を測定するステップと、
 前記立ち上がり特性において、最大振幅の10%から90%に達するまでの立ち上がり時間を求めるステップと、
 前記立ち上がり時間と前記通過速度から求めた距離のほぼ2倍の長さを、前記磁石ピッチの長さとするステップと、を含むことを特徴とする振動型電磁発電機の製造方法。
Description:
振動型電磁発電機及び振動型電 発電機の製造方法

 本発明は、例えば、長さ方向に着磁され 複数個の円筒形の磁石を、複数個のソレノ ドコイルの中を振動または移動させること より発電電圧を得る振動型電磁発電機及び 動型電磁発電機の製造方法に関する。特に 複数個の磁石を同じ極が対向するように所 の間隔をあけて一体化することによって発 効率を高めた振動型電磁発電機及び振動型 磁発電機の製造方法に関する。

 近年、携帯電話端末やゲーム機などの携帯 子機器の普及が進み、これらに内蔵されて る2次電池の量がますます多くなってきてい る。
 また、無線技術の発展にともない、微小電 で信号の送受を行うRFID(Radio Frequency IDentifi cation)の応用が拡がっている。特に、電源を するアクティブRFIDは、数百メートル以上の 信も可能である。このため、牧場の牛や馬 どの健康管理や、子供達の登下校時の安全 理などに期待が高まっている。

 一方、地球環境の維持改善のため、でき だけ環境負荷の少ない電池の研究開発も活 に行われている。その中で、通常無意識か 無駄に消費されているエネルギーを電気エ ルギーに変換して、充電し、この電気エネ ギーを携帯機器などの電源として利用する とが広く考えられている。

 特許文献1には、長さ方向に着磁した複数 個の永久磁石を、同極同士を微小距離離して 対向させて一体化した可動磁石を、隣り合う 複数のコイルの極性を逆極性として直列に接 続したコイル中を移動させる方式の振動発電 機が開示されている。

 特許文献2には、複数個の磁石の同じ極性の 面を対向させて接合し、隣り合うコイルの極 性を逆向きに接続して構成した発電機が開示 されている。

特開2006-296144号公報

特表2006-523081号公報

 ところで、本発明の発明者は、さらに発 効率を高めるための条件について検討を加 た。この結果、磁石の長さ(磁石長)と微小 離(スペーサ厚さ)の合計寸法で与えられる磁 石ピッチと、コイル長とコイル間隔の合計寸 法で与えられるコイルピッチを一致させるこ とが、複数個の磁石と複数個のコイルを用い た振動型電磁発電機を構成する場合の最も重 要な要件であることを見出した。

 もし、この条件を満たさない場合には、 数個のコイルに発生した電圧の位相がずれ しまい、各電圧が互いに打ち消しあうため 合成出力電圧が低くなるという問題がある しかしながら、特許文献1には、磁石ピッチ とコイルピッチを一致させる必要があるとの 記載はなく、基準となる磁石長をどのように 決めるのかについても開示されていない。

 また、特許文献2に開示された発電機の構 成要素である複数個の磁石は、磁石スペーサ を用いずに直接、同じ極を向かい合わせて接 合されている。また、複数個のコイルも、コ イル間隔を設けずに並べている。さらに、発 電効率を高めるための磁石の寸法とコイルの 寸法を具体的にどのように決めるのかについ ても開示されていない。

 また、特許文献2に示すように、磁石の同 じ極を直接合わせると、減磁するため、発電 効率が劣化してしまう。さらに、同極の反発 力が極端に大きくなるため、接合作業が困難 になるという問題がある。

 本発明は、従来の振動型電磁発電機にお て、不明であった発電効率を高めるための 体的な条件を明らかにすることによって、 り小形で発電効率の高い振動型電磁発電機 提供することを目的とする。

 本発明の振動型電磁発電機は、複数のソ ノイドコイルが直列に接続された発電コイ と、発電コイルの内側であってかつ巻軸方 に移動可能であり、対向する磁極が互いに 極となるように配置された、複数の磁石を む可動磁石と、から構成される。そして、 数のソレノイドコイルは、所定のコイル間 を有するとともに互いに逆方向に巻回され 可動磁石は、所定の厚さの磁石スペーサを して同極が対向するように接合され、さら 、複数のソレノイドコイルの一つあたりの イル長とコイル間隔の合計寸法であるコイ ピッチと、可動磁石の一つあたりの磁石長 磁石スペーサの厚さとの合計寸法である磁 ピッチとをほぼ等しくするとともに、コイ 長を磁石長よりも短くしている。

 また、本発明は、複数のソレノイドコイル 直列に接続された発電コイルと、発電コイ の内側であってかつ巻軸方向に移動可能で り、対向する磁極が互いに同極となるよう 配置された、複数の磁石を含む可動磁石と を備え、複数のソレノイドコイルは、所定 コイル間隔を有するとともに互いに逆方向 巻回され、可動磁石は、所定の厚さの磁石 ペーサを介して同極が対向するように接合 れ、さらに、複数のソレノイドコイルの一 あたりのコイル長とコイル間隔の合計寸法 あるコイルピッチと、可動磁石の一つあた の磁石長と磁石スペーサの厚さとの合計寸 である磁石ピッチとをほぼ等しくするとと に、コイル長が磁石長よりも短く構成され 振動型電磁発電機の製造方法である。
 この振動型電磁発電機の製造方法は、所定 コイル径と所定の単位長当たりの巻数を有 、コイル長がコイル径の少なくとも3倍以上 のソレノイドコイルを製作するステップと、 ソレノイドコイル中を、所定の磁石径を有し 、コイル長とほぼ同じ長さの磁石を一定の通 過速度で通過させたときの出力電圧の立ち上 がり特性を測定するステップと、立ち上がり 特性において、最大振幅の10%から90%に達する までの立ち上がり時間を求めるステップと、 立ち上がり時間と通過速度から求めた距離の ほぼ2倍の長さを、磁石ピッチの長さとする テップと、を含む。

 本発明によれば、磁石スペーサ、磁石、 イルおよびコイル間隔を最適に設計するこ ができるため、発電効率を高めた振動型電 発電機が得られる。

 本発明によれば、磁石の数とコイルの数 増やした場合の最適設計が可能になり、最 の発電電力が得られるという効果がある。 た、磁石スペーサ、磁石、コイルおよびコ ル間隔を最適に設計できるので、発電機の 法を小さくすることが可能になるという効 がある。

振動型電磁発電機の1個の円筒形磁石が ソレノイドコイルを通過した場合に生じる出 力電圧波形の例を示す説明図である。 振動型電磁発電機の構造の例を示す断 図である。 第1~第3のソレノイドコイルに可動磁石 通した場合の出力電圧波形の例を示す模式 である。 振動型電磁発電機の構造の例を示す断 図である。 第1~第3のソレノイドコイルに、第1及び 第2の磁石を通した場合の出力電圧波形の例 示す説明図である。 円筒形磁石が空間に作る磁界の分布の を示す断面図である。 磁石長が異なる4種類の円筒形磁石を、 一定のコイル長としたソレノイドコイル中に 通過させたときの出力電圧波形の実測値の例 を示す説明図である。 一定のコイル長の円筒形磁石を、コイ 長が異なる3種類のソレノイドコイル中に通 過させたときの出力電圧特性の実測値の例を 示す説明図である。 A,B 本発明の一実施の形態に係る振動 電磁発電機の構成例を示す外観斜視図であ 。 本発明の一実施の形態に係る振動型電 磁発電機の出力電圧波形の測定例を示す説明 図である。 A,B,C 本発明の一実施の形態に係る円 形磁石と、磁石スペーサと、可動磁石の例 示す外観構成図である。 A,B,C 本発明の一実施の形態に係る円 形磁石と可動磁石が生じる磁束密度の例を す説明図である。

 以下、本発明の一実施の形態について、 1~図12を参照して説明する。本実施の形態で は、外部から振動を加えて、ソレノイドコイ ル中に設置された磁石を動かすことによって 発電する振動型電磁発電機に適用した例につ いて説明する。

 まず、本発明に係る振動型電磁発電機の 体的な構成例について説明する前に、可動 石とソレノイドコイルで構成される発電機 ついて、図1~図3を参照して説明する。

 図1は、1個の円筒形磁石2と、1個のソレノイ ドコイル1で構成される振動型電磁発電機10の 構成例と、出力電圧波形の例を示す図である 。
 振動型電磁発電機10を構成するソレノイド イル1の長さは、円筒形磁石2の長さにほぼ等 しい。そして、1個の円筒形磁石2が、ソレノ ドコイル1の巻軸方向に沿って通過したとき に得られる出力電圧を出力電圧波形3として している。
 出力電圧波形3は、周期が磁石長あるいはコ イル長(ソレノイドコイルの長さ)のほぼ2倍で あり、正弦波の波形にほぼ等しい1周期分の 形となる。つまり、図1において、出力電圧 形の横軸を時間軸とした場合には、1周期の 時間は、磁石長の2倍の長さの距離を通過速 で割った値となる。

 ところで、本発明に係る振動型電磁発電 は、ソレノイドコイルと、ソレノイドコイ 中を動く可動磁石によって構成される。可 磁石は、同じ極性を対向させて接合された 数個の磁石で構成される。また、ソレノイ コイルは、逆極性に直列接続される複数個 コイルで構成される。そして、本発明に係 振動型電磁発電機の出力電圧は、ソレノイ コイル中を動く可動磁石によって、ソレノ ドコイル毎に生じる出力電圧を加えて得ら る。このとき、ソレノイドコイル毎に生じ 出力電圧の波形は、図1に示す電圧波形が基 本となる。そして、全てのコイルが発生する 電圧の位相を合わせた上で、この電圧を最大 出力とするように加えることが重要である。 そのためには、磁石長と磁石スペーサの厚さ を加えた磁石ピッチと、コイル長とコイル間 隔を加えたコイルピッチを、ほぼ等しくする 必要がある。

 また、磁石の材質が同じ場合に、小形で り発電効率の高い発電機を得るためには、 かに短い磁石長でより大きな出力電圧が得 れるかが重要な課題となる。このため、本 明の発明者は、様々な条件の下で本発明に る振動型電磁発電機の特性を検証した。

 図2は、1個の可動磁石25と、3個のソレノイ コイル(第1のソレノイドコイル21~第3のソレ イドコイル23)で構成される振動型電磁発電 20の断面図である。
 隣り合うソレノイドコイルは、所定の間隔2 4をあけてある。コイルの巻き方向は、隣り うソレノイドコイル毎に互いに逆向きの正 逆・正方向である。この直列接続された第1 ソレノイドコイル21~第3のソレノイドコイル 23を、発電コイル26と称する。可動磁石25の長 さは、コイル長とコイル間隔の合計の長さ( えば、ソレノイドコイル21と間隔24の合計の さ)に等しい。

 図3は、極性を正・逆・正として直列接続さ れた第1のソレノイドコイル21~第3のソレノイ コイル23に、可動磁石25を通した場合の出力 電圧波形の模式図である。図3の横軸目盛り 磁石長(=コイル長)に対応した時間となって る。
 図3において、グラフ中の数字は、それぞれ のソレノイドコイルの出力電圧と合成出力電 圧の振幅比を示している。

 第1のソレノイドコイル21~第3のソレノイド イル23の極性は、それぞれ正・逆・正となっ ている。このため、それぞれの第1のソレノ ドコイル21~第3のソレノイドコイル23に発生 る電圧は、コイル長に対応した時間だけ位 がずれ、同時に極性が変化する。
 また、第1のソレノイドコイル21~第3のソレ イドコイル23は、それぞれ直列に接続されて いる。このため、取り出される電圧は、第1 ソレノイドコイル21~第3のソレノイドコイル2 3が発生する電圧を足し合わせた合成出力電 になる。このとき、図3に示す合成出力電圧 形が得られる。

 次に、本発明に係る振動型電磁発電機40の 成例について、図4の断面図を参照して説明 る。
 振動型電磁発電機40は、1個の可動磁石48と 3個のソレノイドコイル(第1のソレノイドコ ル41~第3のソレノイドコイル43)で構成される
 隣り合うソレノイドコイルは、所定の間隔4 4をあけてある。コイルの巻き方向は、隣り うソレノイドコイル毎に互いに逆向きの正 逆・正方向である。この直列接続された第1 ソレノイドコイル41~第3のソレノイドコイル 43を、発電コイル49と称する。
 可動磁石48は、長さ方向に着磁された同じ さの2個の磁石45、46を、所定の厚さの非磁性 体からなる磁石スペーサ47を介した上で、同 極を向かい合わせて一体に接合される。

 磁石長と磁石スペーサ47の合計の寸法で る磁石ピッチ51は、ソレノイドコイルとソレ ノイドコイル間隔の合計の寸法であるコイル ピッチ52と等しい。ただし、このような条件 おいてもコイル長は磁石長よりも短くする とが望ましい。

 図5は、図4に示した、正・逆・正に接続さ た第1のソレノイドコイル41~第3のソレノイド コイル43に2個の磁石45,46を通した場合の出力 圧波形の模式図である。図5において、グラ フ中の数字は、それぞれのソレノイドコイル の出力電圧と合成出力電圧の振幅比を示して いる。
 極性が異なる2個の磁石45,46が各ソレノイド イルを通過すると、ソレノイドコイル毎に 相がコイル長に対応した時間だけずれた電 が発生する。これらの電圧がすべて合成さ た出力電圧は、図5に示す合成出力電圧波形 になる。

 振動型電磁発電機20,40は、図2と図4に示す ように、磁石とソレノイドコイルが近接して 配置されている。このため、図3と図5に示し ように、出力電圧が合成されてその振幅の 部が数倍になるという基本特性を有する。 の基本特性を利用することで、本発明の発 者は、振動型電磁発電機の出力電力を増大 せることを目指している。そして、本発明 係る振動型電磁発電機においては、磁石ピ チ51と、コイルピッチ52を等しくすることが 重要であると言える。

 ここで、円筒形磁石60が空間に作る磁界の 布について、図6を参照して説明する。図6は 、円筒形磁石60が空間に作る磁界の分布を示 断面図の例である。
 図6より、磁石の端面付近の磁界は円筒形磁 石60の長さよりも長い方向まで達することが される。また、円筒形磁石60の端面付近の 界の向きは、円筒形磁石60の長さ方向に対し て平行になっていないことが示される。従っ て、コイル長を磁石長よりも短くすることで 、ソレノイドコイルと、磁石の長さ方向に平 行な磁界とを効率よく結合させる必要がある 。

 ここまでは、発電効率を高めるためには 磁石ピッチとコイルピッチを等しくする必 があることと、コイル長を磁石長よりも短 する必要があることについて説明した。以 、発電効率を高めるために最適な磁石長お び磁石ピッチを決定する方法について説明 る。

 図7は、磁石長が異なる4種類の円筒形磁石 、一定のコイル長としたソレノイドコイル に速度1.2m/sで通過させて得られる出力電圧 性の実測値の例を示している。
 4種類の円筒形磁石は、直径を同じ4mmとして いるが、磁石ピッチが異なる8mm,16mm,24mm,32mmの 構成としている。
 ソレノイドコイルは、内径6mm、単位長さ当 りの巻数60回、コイル長30mmの構成としてい 。

 図7より、磁石長が増えた場合の出力電圧 の立ち上がり特性は、いずれの磁石長の場合 もほとんど同じであることが示される。そし て、出力電圧の最大値は、磁石長が8mmから16m mに増えたときは増加するが、磁石長が16mmか 32mmまで増えてもほとんど一定である。ただ し、磁石長が長くなるにつれて出力電圧の最 大値が継続する時間が長くなる。

 また、図7に示すように、立ち上がり特性 は、磁石長によりほとんど変化していない。 このことから、立ち上がり特性を決める要因 は、磁石の直径とソレノイドコイルの寸法、 特にソレノイドコイルの内径と考えられる。 このため、ソレノイドコイルの内径を、磁石 の直径に近づけることにより、立ち上がり時 間をより短くすることができる。

 ここで、最大出力電圧を発生している長さ1 6mm,24mm,32mmの円筒形磁石に注目し、図7の出力 圧の立ち上がり特性より、出力電圧が最大 の10%から90%に達する時間を求める。この場 、図中に示したように約5msであることが示 れる。このとき、磁石の移動速度は1.2m/sな で、立ち上がり時間5msの2倍に対応する移動 距離は、1.2(m/s)×5(ms)×2=12mmとなる。
 つまり、磁石長を12mmとすることが、出力電 圧をほぼ最大値に等しくし、同時に磁石長を 最も短くできることになると言える。

 図8は、一定の磁石長の円筒形磁石を、コイ ル長が異なる3種類のソレノイドコイル中に 過させたときの出力電圧特性の実測値の例 示している。
 円筒形磁石は、直径4mm、磁石長8mmの構成と ている。
 ソレノイドコイルは、単位長当りの巻数が しく、コイル長が異なる7mm、10mm、30mmの構 としている。

 図8から、磁石長8mmの場合、コイル長が7mmか ら10mmに長くなったとしても、出力電圧がわ かに増加するだけである。また、コイル長 7mmから30mmになっても、出力電圧の最大振幅 、ほとんど一定の値(約0.5V)になっている。
 つまり、長さ8mmの一個の磁石に対しては、 1に示したように、コイル長を磁石長と同じ 長さの8mmとすれば、出力電圧がほぼ最大値( 和電圧)となる。

 図7と図8を参照して、可動磁石が一つであ 振動型発電機を例として説明した。しかし 複数個の磁石(少なくとも2つ以上)で構成さ る可動磁石と、複数個のソレノイドコイル で構成される振動型発電機40では、同様の条 件をもって、所定のコイル寸法に対して出力 電圧が最大となる最短の磁石ピッチを選定す ることができる。
 すなわち、磁石長とスペーサ厚さの合計寸 からなる磁石ピッチと、コイル長とコイル 隔の合計寸法からなるコイルピッチを等し することにより、高い発電効率を得ながら 全体の寸法を小さくすることができる。な 、磁石ピッチとコイルピッチを等しくする ともに、コイル長を磁石長よりも短くする とが望ましい。

 このようにして、複数個の磁石と複数個 ソレノイドコイルからなる振動型電磁発電 40では、所定のソレノイドコイル寸法に対 て出力電圧が最大となる最も短い磁石長を 定することができる。このため、寸法が小 くても、発電効率が高い振動型電磁発電機40 が得られる。

 ここで、発電効率を高めるために最適な磁 ピッチを求める手順について、以下に説明 る。
(1)まず、所定のコイル径と所定の単位長当た りの巻数を有し、コイル長がコイル径の少な くとも3倍以上のソレノイドコイルを製作す 。
(2)次に、このソレノイドコイル中を、所定の 磁石径を有し、コイル長とほぼ同じ長さの磁 石を一定の速度で通過させて、そのときの出 力電圧の立ち上がり特性を測定する。
(3)この立ち上がり特性において、最大振幅の 10%から90%に達するまでの時間を求める。
(4)この結果、求めた時間と通過速度から求め た距離のほぼ2倍の長さを、求める磁石ピッ とする。
 磁石ピッチを求めた後、ソレノイドコイル コイル長とコイル間隔の合計寸法を磁石ピ チと等しく設定し、かつ上述のソレノイド イルのコイル長よりも、磁石長を長くする いう条件の下、コイル間隔と磁石スペーサ 寸法条件を設定する。こうして、最大出力 近い電圧を得られると共に、発電機本体の 法を小さくすることが可能な振動型電磁発 機を得ることができる。
 なお、上述において、所定のコイル径,所定 の単位長当たりの巻数,所定の磁石径とは、 れぞれ作製しようとする振動型電磁発電機 用いられる寸法を意味する。

 ここで、振動型電磁発電機40の外観構成例 ついて、図9の斜視図を参照して説明する。
 図9Aは、振動型電磁発電機40を構成する各部 品を分解した状態の斜視図である。
 図9Bは、各部品を組み合わせた振動型電磁 電機40のうち、収納ケース55を一部透視した 分透視図である。

 第1のソレノイドコイル41~第3のソレノイド イル43は、ソレノイドコイル間隔44をあけて 可動磁石48を収納する円筒形の収納ケース55 の外周面に巻きつけられている。第1のソレ イドコイル41~第3のソレノイドコイル43は、 列接続されている。そして、各ソレノイド イルは互いに逆方向に巻回されており、そ ぞれ正巻、逆巻、正巻としている。
 第1のソレノイドコイル41と第3のソレノイド コイル43からは、それぞれコイル端部53が引 出されており、図示しない外部部品(負荷)に 接続される。

 可動磁石48を収納ケース55内に収納するため 、収納ケース55の両端には、エンドキャップ5 6が取り付けられる。エンドキャップ56は、可 動磁石に対する衝撃を緩和する樹脂等で形成 される。
 可動磁石48は、収納ケース55の内部をなめら かに動くため、第1のソレノイドコイル41~第3 ソレノイドコイル43の内側であって巻軸方 に移動することとなる。このため、第1のソ ノイドコイル41~第3のソレノイドコイル43は 電圧を生じ、発電機として機能する。

 ここで、実際に振動型電磁発電機40を用 て得られる出力電圧波形の実測値の例につ て、図10を参照して説明する。

 可動磁石は、直径4mm、長さ8mmのNd(ネオジム) 磁石を2個、厚さ1.5mmの磁石スペーサを介して 同極対向接合した構成としている。
 ソレノイドコイルは、コイル長6.5mm、コイ 内径5mm、巻数3000回のコイルを3個、コイル間 隔3mmで正・逆・正に直列接続した構成として いる。
 そして、ソレノイドコイル中の巻き線軸方 に沿って、可動磁石を速度約1.2m/sで移動さ た場合の出力電圧波形を図10に示している
 図10を図5の合成出力電圧波形と比較すると 常によく一致している。このことは、図1か ら図5を参照して説明した内容の妥当性を示 ていると言える。

 ここで、磁石スペーサの材質が異なる可動 石毎の磁束密度の例について、図11と図12を 参照して説明する。
 図11は、円筒形磁石と、磁石スペーサを介 て円筒形磁石を接合された可動磁石の構成 を示す。

 図11Aは、円筒形磁石61の構成例を示す。円 形磁石61の軸方向の長さは、約10mmとし、直 は、約5mmとする。
 図11Bは、磁石スペーサ71,81の構成例を示す 磁石スペーサ71を形成する材料には、非磁性 体材料として、例えば樹脂が用いられる。磁 石スペーサ81を形成する材料には、磁性体材 として、例えば純鉄が用いられる。磁石ス ーサ71,81の軸方向の長さは、約2mmとし、直 は、約5mmとする。
 図11Cは、可動磁石70,80の構成例を示す。可 磁石70は、非磁性体材料で形成された磁石ス ペーサ71を介して、3つの円筒形磁石61の同極 対向した状態で接合される。一方、可動磁 80は、磁性体材料で形成された磁石スペー 81を介して、3つの円筒形磁石61の同極が対向 した状態で接合される。

 図12は、円筒磁石61と可動磁石70、80により ずる前記円筒磁石61と可動磁石70、80の長さ 向、表面近傍の磁束密度の測定結果の例を す。
 図12Aは、1個の円筒形磁石61の磁束密度の測 結果を示す。
 図12Bは、可動磁石70の磁束密度の測定結果 示す。
 図12Cは、可動磁石80の磁束密度の測定結果 示す。
 図12A~図12Cにおいて、磁束密度を示す縦軸に は、等間隔の目盛り(B 1 ~B 6 )を付して、各図を比較する。

 図12Aに示すように、一般に、円筒形磁石61 端部(N極とS極付近)では、磁束が集中するた 、磁束密度が高くなる。
 また、図12Bと図12Cに示すように、同極を対 して接合された可動磁石のN極とS極付近は 1個の円筒形磁石61の磁束密度よりもピーク 高い。これは、同極が対向して接合される とによって、磁束が互いに反発し、磁束密 が高まるためである。

 さらに、図12Bと図12Cを比べると、磁性体材 で形成された磁石スペーサ81を含む可動磁 80は、非磁性体材料で形成された磁石スペー サ71を含む可動磁石70よりも磁束密度のピー が高いことが読み取れる。このとき、可動 石80のピークは、可動磁石70のピークより、3 /2倍程度高くなっている。これは、透磁率が い磁性体材料で形成された磁石スペーサ81 、円筒形磁石61から出る磁力線を引き込みや すいため、磁束の指向性が高まるとともに、 磁束密度もまた高まると考えられる。
 図12A~図12Cの測定結果より、磁性体材料で形 成された磁石スペーサ81を含む可動磁石80を いて振動型発電機を構成すると、磁束密度 高くなり、ソレノイドコイルと交差する磁 が多くなる。このため、磁石スペーサに用 られる材質が磁性体材料である場合、非磁 体材料の場合と比べて、さらに振動型電磁 電機の発電効率を高めることができると言 る。

 以上説明したように、振動型電磁発電機4 0の発電効率を高めるための具体的な条件を らかにしたことにより、振動型電磁発電機40 の磁石ピッチとコイルピッチを適切に設計す ることが可能である。このため、小型であり ながら発電効率の高い、振動型電磁発電機40 得られるという効果がある。

 また、振動型電磁発電機40は、簡易に構 されている。このため、組み付け時の工程 容易になるとともに、壊れにくく、信頼性 高い振動型電磁発電機40が得られるという効 果がある。

 また、磁石スペーサを磁性体とすると、 束密度が高くなるため、振動型電磁発電機 発電力が高まるという効果がある。このこ から、得られる発電量に注目すると、非磁 体材料で形成された磁石スペーサを用いる 動型電磁発電機より外寸法を小さくしても 同じ発電量を得られる。この場合、ソレノ ドコイルの巻き数を少なくしてもよい。こ ため、振動型電磁発電機をさらに小さくで ると共に軽量化することができという効果 ある。また、使用部材の量を削減すること よって、コスト低減を図ることができると う効果がある。

 一方、磁石スペーサを非磁性体とするこ によって、磁石スペーサを磁性体とする場 と比べて、安価に製造できるという効果が る。また、非磁性体には、プラスチック等 合成樹脂を用いるため、加工性に優れてお 、製造速度が高まるという効果がある。

 なお、振動型電磁発電機40は、複数個の 石と複数個のソレノイドコイルの組合せで 成したが、3個以上の磁石、4個以上のソレノ イドコイルを組み合わせて振動型電磁発電機 を構成してもよい。

 また、上述した実施の形態では、隣り合 たソレノイドコイルの間隔をあけるように たが、樹脂等の部材でスペーサを形成して よい。また、磁性体と非磁性体の磁石スペ サを組み合わせて可動磁石を構成してもよ 。

 また、上述した実施の形態では、可動磁 の形状を円筒形としたが、断面形状が多角 、楕円形、又は曲線と直線とを組合せた形 としてもよい。この場合、ソレノイドコイ と磁石スペーサの断面形状は、可動磁石の 面形状に合わせた形状とすればよい。

 また、ソレノイドコイルの内径にガイド ールを設け、可動磁石の側面にローラを取 付けてもよい。逆に、ソレノイドコイルの 径にローラを取り付け、可動磁石にガイド ールを設けるようにしてもよい。このよう 構成することで、わずかな力を加えただけ あっても、可動磁石を滑らかに動かし、発 力が得られるという効果がある。

引用符号の説明

 1…ソレノイドコイル、2…円筒形磁石、3 出力電圧波形、10…振動型電磁発電機、20… 振動型電磁発電機、21…第1のソレノイドコイ ル、22…第2のソレノイドコイル、23…第3のソ レノイドコイル、24…コイル間隔、25…可動 石、40…振動型電磁発電機、41…第1のソレノ イドコイル、42…第2のソレノイドコイル、43 第3のソレノイドコイル、44…コイル間隔、4 5…第1の磁石、46…第2の磁石、47…磁石スペ サ、48…可動磁石、61…円筒形磁石、70…可 磁石、71…磁石スペーサ(非磁性体)、80…可 磁石、81…磁石スペーサ(磁性体)