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Title:
OXIDE SEMICONDUCTOR FIELD EFFECT TRANSISTOR AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081885
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a field effect transistor having a semiconductor layer which is composed of a complex oxide containing element In, element Zn, and one or more elements X selected from the group consisting of Zr, Hf, Ge, Si, Ti, Mn, W, Mo, V, Cu, Ni, Co, Fe, Cr, Nb, Al, B, Sc, Y and lanthanoids at the following atomic ratios (1)-(3). In/(In + Zn) = 0.2-0.8 (1) In/(In + X) = 0.29-0.99 (2) Zn/(X + Zn) = 0.29-0.99 (3)

Inventors:
YANO KOKI (JP)
KAWASHIMA HIROKAZU (JP)
INOUE KAZUYOSHI (JP)
TOMAI SHIGEKAZU (JP)
KASAMI MASASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073252
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
YANO KOKI (JP)
KAWASHIMA HIROKAZU (JP)
INOUE KAZUYOSHI (JP)
TOMAI SHIGEKAZU (JP)
KASAMI MASASHI (JP)
International Classes:
H01L29/786
Foreign References:
JP2007142195A2007-06-07
JP2007142196A2007-06-07
JP2007212699A2007-08-23
JP2006165529A2006-06-22
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE, Kihei et al. (26 Kanda Suda-cho 1-chome, Chiyoda-k, Tokyo 41, JP)
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Claims:
 In元素及びZn元素と、
 Zr、Hf、Ge、Si、Ti、Mn、W、Mo、V、Cu、Ni、Co、Fe、Cr、Nb、Al、B、Sc、Y及びランタノイド類(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)からなる群より選択される1以上の元素Xを、下記(1)~(3)の原子比で含む複合酸化物からなる半導体層を有する電界効果型トランジスタ。
    In/(In+Zn)=0.2~0.8   (1)
    In/(In+X)=0.29~0.99  (2)
    Zn/(X+Zn)=0.29~0.99  (3)
 前記元素XがAl、B、Sc、Y及びランタノイド類(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)からなる群より選択される1以上の元素であり、
 複合酸化物からなる半導体層が元素Xを下記(2)’の原子比で含むことを特徴とする請求項1の電界効果型トランジスタ。
    In/(In+X)=0.59~0.99  (2)’
 前記元素Xが、Al又はBである請求項1又は2に記載の電界効果型トランジスタ。
 前記元素Xが、Sc又はYである請求項1又は2に記載の電界効果型トランジスタ。
 前記元素Xが、ランタノイド類(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)である請求項1又は2に記載の電界効果型トランジスタ。
 前記元素XがZrである請求項1に記載の電界効果型トランジスタ。
 前記半導体層が非晶質膜であり、その電子キャリア濃度が10 13 ~10 18 /cm 3 であり、バンドギャップが2.0~6.0eVである請求項1~6のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
 前記半導体層が、非縮退半導体である請求項1~7のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
 In元素及びZn元素と、
Zr、Hf、Ge、Si、Ti、Mn、W、Mo、V、Cu、Ni、Co、Fe、Cr、Nb、Al、B、Sc、Y及びランタノイド類(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)からなる群より選択される1以上の元素Xを、下記(1)~(3)の原子比で含む複合酸化物からなる半導体層用ターゲット。
    In/(In+Zn)=0.2~0.8   (1)
    In/(In+X)=0.29~0.99  (2)
    Zn/(X+Zn)=0.29~0.99  (3)
 前記元素XがAl、B、Sc、Y及びランタノイド類(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)からなる群より選択される1以上の元素であり、
 さらに、Sn、Ge、Si、Ti、Zr及びHfからなる群より選択される1以上の元素を100~10000原子ppm含む請求項9に記載の半導体層用ターゲット。
 請求項9又は10に記載のターゲットを用いて、DC又はACスパッタリングにより半導体層を成膜する工程と、
 前記半導体層を70~350℃で熱処理する工程を含む、電界効果型トランジスタの製造方法。
Description:
酸化物半導体電界効果型トラン スタ及びその製造方法

 本発明は、酸化物半導体膜をチャンネル に用いた電界効果型トランジスタ、及びそ 製造方法に関する。

 薄膜トランジスタ(TFT)等の電界効果型トラ ジスタは、半導体メモリ集積回路の単位電 素子、高周波信号増幅素子、液晶駆動用素 等として広く用いられており、現在、最も く実用されている電子デバイスである。
 なかでも、近年における表示装置のめざま い発展に伴い、液晶表示装置(LCD)、エレク ロルミネッセンス表示装置(EL)、フィールド ミッションディスプレイ(FED)等の各種の表 装置において、表示素子に駆動電圧を印加 て表示装置を駆動させるスイッチング素子 して、TFTが多用されている。

 電界効果型トランジスタの主要部材であ 半導体層(チャンネル層)の材料としては、 リコン半導体化合物が最も広く用いられて る。一般に、高速動作が必要な高周波増幅 子や集積回路用素子等には、シリコン単結 が用いられている。一方、液晶駆動用素子 には、大面積化の要求から非晶性シリコン 導体(アモルファスシリコン)が用いられてい る。

 例えば、TFTとして、ガラス等の基板上に -ト電極、ゲ-ト絶縁層、水素化アモルファ シリコン(a-Si:H)等の半導体層、ソ-ス及びド イン電極を積層した逆スタガ構造のものが る。このTFTは、イメ-ジセンサを始め、大面 デバイスの分野において、アクティブマト スク型の液晶ディスプレイに代表されるフ ットパネルディスプレイ等の駆動素子とし 用いられている。これらの用途では、従来 モルファスシリコンを用いたものでも高機 化に伴い作動の高速化が求められている。

 現在、表示装置を駆動させるスイッチン 素子としては、シリコン系の半導体膜を用 た素子が主流を占めているが、それは、シ コン薄膜の安定性、加工性の良さの他、ス ッチング速度が速い等、種々の性能が良好 ためである。そして、このようなシリコン 薄膜は、一般に化学蒸気析出法(CVD)法によ 製造されている。

 ところで、結晶性のシリコン系薄膜は、結 化を図る際に、例えば、800℃以上の高温が 要となり、ガラス基板上や有機物基板上へ 構成が困難である。このため、シリコンウ ハーや石英等の耐熱性の高い高価な基板上 しか形成できず、また、製造に際して多大 エネルギーと工程数を要する等の問題があ た。
 また、結晶性のシリコン系薄膜は、通常TFT 素子構成がトップゲート構成に限定される めマスク枚数の削減等コストダウンが困難 あった。

 一方、アモルファスシリコンの薄膜は、比 的低温で形成できるものの、結晶性のもの 比べてスイッチング速度が遅いため、表示 置を駆動するスイッチング素子として使用 たときに、高速な動画の表示に追従できな 場合がある。
 また、半導体活性層に可視光が照射される 導電性を示し、漏れ電流が発生して誤動作 おそれがある等、スイッチング素子として 特性が劣化するという問題もある。そのた 、可視光を遮断する遮光層を設ける方法が られている。例えば、遮光層としては金属 膜が用いられている。
 しかしながら、金属薄膜からなる遮光層を けると工程が増えるだけでなく、浮遊電位 持つこととなるので、遮光層をグランドレ ルにする必要があり、その場合にも寄生容 が発生するという問題がある。

 具体的に、解像度がVGAである液晶テレビで 、移動度が0.5~1cm 2 /Vsのアモルファスシリコンが使用可能であっ たが、解像度がSXGA、UXGA、QXGAあるいはそれ以 上になると2cm 2 /Vs以上の移動度が要求される。また、画質を 向上させるため駆動周波数を上げるとさらに 高い移動度が必要となる。
 また、有機ELディスプレイでは電流駆動と るため、DCストレスにより特性が変化するア モルファスシリコンを使用すると長時間の使 用により画質が低下するという問題があった 。
 その他、これらの用途に結晶シリコンを使 すると、大面積に対応できなかったり、高 の熱処理が必要なため製造コストが高くな という問題があった。

 このような状況下、近年にあっては、シリ ン系半導体薄膜よりも安定性が優れるもの して、酸化物を用いた酸化物半導体薄膜が 目されている。
 例えば、特許文献1には半導体層として酸化 亜鉛を使用したTFTが記載されている。
 しかしながら、この半導体層では電界効果 動度が1cm 2 /V・sec程度と低く、on-off比も小さかった。そ 上、漏れ電流が発生しやすいため、工業的 は実用化が困難であった。また、酸化亜鉛 用いた結晶質を含む酸化物半導体について 、多数の検討がなされているが、工業的に 般に行われているスパッタリング法で成膜 た場合には、次のような問題があった。

 即ち、移動度が低い、on-off比が低い、漏 電流が大きい、ピンチオフが不明瞭、ノー リーオンになりやすい等、TFTの性能が低く るおそれがあった。また、耐薬品性が劣る め、ウェットエッチングが難しい等製造プ セスや使用環境の制限があった。さらに、 能を上げるためには高い圧力で成膜する必 があり成膜速度が遅かったり、700℃以上の 温処理が必要である等工業化に問題もあっ 。また、ボトムゲート構成での電解移動度 のTFT性能が低く、性能を上げるにはトップ ート構成で膜厚を50nm以上にする必要がある 等TFT素子構成上の制限もあった。

 このような問題を解決するために酸化イ ジウム、酸化亜鉛からなる非晶質の酸化物 導体膜を作製し、薄膜トランジスタを駆動 せる方法が検討されている(特許文献2)。し しながら、このトランジスタでは、性能が 十分であった。また、この酸化物半導体膜 用いた薄膜トランジスタでは、S値を小さく 押さえたり、ストレスによる閾値シフトを小 さくために、相応の熱履歴(例えば、300℃以 の高温で1時間以上熱処理する等)をかけるこ とが必要であった(非特許文献1)。そのため、 移動度が低く、S値が大きいという問題の他 、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等 のTFTとして用いる場合には、耐熱性の高い基 板を用いる必要があった。従って、安価なガ ラス基板によるコストダウンや、基板の樹脂 化によるフレキシブルディスプレイの工業化 が困難であった。

 また、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化 リウムからなる非晶質の酸化物半導体膜を 製し、薄膜トランジスタを駆動させる方法 検討されている(特許文献3、4)。しかしなが ら、ターゲットの抵抗を下げることやターゲ ットの密度を上げることが難しく、ターゲッ トが破損しやすかったり、DCスパッタリング を用いることが難しかった。また、具体的 検討はガリウムを多量に含まれたものでな れており、アルミニウムを含むものについ 検討はされていなかった。従来のガリウム 多量に含んだ半導体層では、S値が大きく、 耐熱性が低く、ストレスによる閾値シフトが 大きいという問題があった。

 一方、インジウム及び亜鉛と、アルミニウ 等の元素を含む複合酸化物が、透明導電膜 して検討されている(特許文献5、非特許文 2参照)。しかしながら、キャリア密度が高く トランジスタとして利用可能なものではなか った。

特開2003-86808号公報

US2005/0199959

特開2007-73701号公報

特開2007-73312号公報

特開2000-44236号公報 Kim, Chang Jung et al. Highly Stable Ga2O3-In2O 3-ZnO TFT for Active-Matrix Organic Light-Emitting Dio de Display Application, Electron Devices Meeting, 2006 . IEDM ’06. International(ISBN:1-4244-0439-8) K.Tomonaga etal.,J.Vac.Sci.Technol.A23(3),2005,401

 本発明は、上記の事情に鑑みなされたもの あり、移動度が高く、S値の低い電界効果型 トランジスタの提供を目的とする。
 また、低温又は短時間の熱履歴でも高い特 の得られる電界効果型トランジスタの製造 法の提供を目的とする。

 本発明によれば、以下の電界効果型トラン スタ等が提供される。
 In元素及びZn元素と、Zr、Hf、Ge、Si、Ti、Mn、 W、Mo、V、Cu、Ni、Co、Fe、Cr、Nb、Al、B、Sc、Y びランタノイド類(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)からなる群より選 される1以上の元素Xを、下記(1)~(3)の原子比 含む複合酸化物からなる半導体層を有する 界効果型トランジスタ。
    In/(In+Zn)=0.2~0.8   (1)
    In/(In+X)=0.29~0.99  (2)
    Zn/(X+Zn)=0.29~0.99  (3)

 本発明は元素Xの種類により、以下の2つの 様に分けられる。
・本発明の第一の態様
1.In(インジウム)元素及びZn(亜鉛)元素と、Zr、 Hf、Ge、Si、Ti、Mn、W、Mo、V、Cu、Ni、Co、Fe、Cr 及びNbからなる群より選択される1以上の元素 Xを、下記(1)~(3)の原子比で含む複合酸化物か なる半導体層を有する電界効果型トランジ タ。
    In/(In+Zn)=0.2~0.8   (1)
    In/(In+X)=0.29~0.99  (2)
    Zn/(X+Zn)=0.29~0.99  (3)
2.前記元素XがZrである1に記載の電界効果型ト ランジスタ。
3.前記半導体層が非晶質膜であり、その電子 ャリア濃度が10 13 ~10 18 /cm 3 であり、バンドギャップが2.0~6.0eVである1又 2に記載の電界効果型トランジスタ。
4.前記半導体層が非縮退半導体である1~3のい れかに記載の電界効果型トランジスタ。
5.In(インジウム)元素及びZn(亜鉛)元素と、Zr、 Hf、Ge、Si、Ti、Mn、W、Mo、V、Cu、Ni、Co、Fe、Cr 及びNbからなる群より選択される1以上の元素 Xを、下記(1)~(3)の原子比で含む複合酸化物か なる半導体層用ターゲット。
    In/(In+Zn)=0.2~0.8   (1)
    In/(In+X)=0.29~0.99  (2)
    Zn/(X+Zn)=0.29~0.99  (3)
6.上記5に記載のターゲットを用いて、DC又はA Cスパッタリングにより半導体層を成膜する 程と、前記半導体層を70~350℃で熱処理する 程を含む、電界効果型トランジスタの製造 法。

・本発明の第二の態様
1.In(インジウム)元素及びZn(亜鉛)元素と、Al( ルミニウム)、B(ホウ素)、Sc(スカンジウム)、 Y(イットリウム)及びランタノイド類(La、Ce、P r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)か らなる群より選択される1以上の元素Xを、下 (1)~(3)の原子比で含む複合酸化物からなる半 導体層を有する電界効果型トランジスタ。
    In/(In+Zn)=0.2~0.8   (1)
    In/(In+X)=0.29~0.99  (2)
    Zn/(X+Zn)=0.29~0.99  (3)
2.複合酸化物からなる半導体層が元素Xを下記 (2)’の原子比で含むことを特徴とする1の電 効果型トランジスタ。
    In/(In+X)=0.59~0.99  (2)’
3.前記元素Xが、Al又はBである1又は2に記載の 界効果型トランジスタ。
4.前記元素Xが、Sc又はYである1又は2に記載の 界効果型トランジスタ。
5.前記元素Xが、ランタノイド類(La、Ce、Pr、Nd 、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)である 1又は2に記載の電界効果型トランジスタ。
6.前記半導体層が非晶質膜であり、その電子 ャリア濃度が10 13 ~10 18 /cm 3 であり、バンドギャップが2.0~6.0eVである1~5の いずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
7.前記半導体層が、非縮退半導体である1~6の ずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
8.In(インジウム)元素及びZn(亜鉛)元素と、Al( ルミニウム)、B(ホウ素)、Sc(スカンジウム)、 Y(イットリウム)及びランタノイド類(La、Ce、P r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)か らなる群から選択される1以上の元素Xを、下 (1)~(3)の原子比で含む複合酸化物からなる半 導体層用ターゲット。
    In/(In+Zn)=0.2~0.8   (1)
    In/(In+X)=0.29~0.99  (2)
    Zn/(X+Zn)=0.29~0.99  (3)
9.さらに、Sn(錫)、Ge(ゲルマニウム)、Si(シリ ン)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)及びHf(ハ ニウム)からなる群より選択される1以上の元 素を100~10000原子ppm含む8に記載の半導体層用 ーゲット。
10.上記8又は9に記載のターゲットを用いて、D C又はACスパッタリングにより半導体層を成膜 する工程と、前記半導体層を70~350℃で熱処理 する工程を含む、電界効果型トランジスタの 製造方法。

 本発明によれば、移動度が高く、S値の低 い電界効果型トランジスタが得られる。また 、低温又は短時間の熱履歴で電界効果型トラ ンジスタを製造することができる。

本発明の一実施形態の電界効果型トラ ジスタの概略断面図である。 電界効果型トランジスタ1の概略上面図 である。 本発明の他の実施形態の電界効果型ト ンジスタの概略断面図である。 本発明の他の実施形態の電界効果型ト ンジスタの概略断面図である。 本発明の他の実施形態の電界効果型ト ンジスタの概略断面図である。 半導体層の熱処理温度と移動度の関係 示すグラフである。 半導体層の熱処理温度と移動度の関係 示すグラフである。

[本発明の第一の態様]
 本発明の電界効果型トランジスタは、In(イ ジウム)元素及びZn(亜鉛)元素と、下記の群 り選択される1以上の元素Xを、下記(1)~(3)の 子比で含む複合酸化物からなる半導体層を する。
 群:Zr、Hf、Ge、Si、Ti、Mn、W、Mo、V、Cu、Ni、C o、Fe、Cr及びNb
    In/(In+Zn)=0.2~0.8   (1)
    In/(In+X)=0.29~0.99  (2)
    Zn/(X+Zn)=0.29~0.99  (3)

 半導体層を上記の複合酸化物から形成す ことによって、移動度が高く、S値の低い電 界効果型トランジスタが得られる。また、低 温又は短時間の熱履歴(熱処理)でも、高い特 の得られる電界効果型トランジスタとなる

 上記(1)においてInの比率が0.2より小さいと 移動度が低くなったり、S値が大きくなった 、耐湿性が低下したり、酸・アルカリ等へ 耐薬品性が低下するおそれがある。一方、0 .8より大きいと、オフ電流やゲートリーク電 が大きくなったり、S値が大きくなったり、 耐プラズマ性が低下したり、閾値が負になり ノーマリーオンとなるおそれがある。
 In/(In+Zn)は、好ましくは0.3~0.75であり、より ましくは0.35~0.7である。

 上記(2)においてInの比率が0.29より小さいと 移動度が低くなったり、S値が大きくなった り、閾値電圧が高くなるおそれがある。一方 、0.99より大きいと、オフ電流やゲートリー 電流が大きくなったり、閾値が負になりノ マリーオンとなったり、光電流が大きくな たり、耐プラズマ性が低下したり、閾値電 のシフトが大きくなるおそれがある。
 In/(In+X)は、好ましくは0.45~0.98であり、より ましくは0.65~0.98であり、特に好ましくは0.7~ 0.97である。

 上記(3)においてZnの比率が0.29より小さいと 移動度が低くなったり、S値が大きくなった り、安定化させるのに高温あるいは長時間の 熱処理が必要となったり、ウェットエッチン グレートが遅くなるおそれがある。一方、0.9 9より大きいと移動度が低くなったり、S値が きくなったり、熱安定性や耐熱性が低下し り、耐湿性が低下したり、酸・アルカリ等 の耐薬品性が低下したり、閾値電圧のシフ が大きくなるおそれがある。
 Zn/(X+Zn)は、好ましくは0.45~0.98であり、より ましくは0.6~0.98であり、さらに好ましくは0. 7~0.97である。

 本発明においては、半導体層が、さらに、 記(4)の比率(原子比)を満たすことが好まし 。
 X/(In+Zn+X)=0.01~0.2   (4)
 Xの比率が0.2より大きいと、S値が大きくな たり、移動度が低下したり、閾値電圧が大 くなったりするおそれがある。一方、0.01よ 小さいと、熱安定性や耐熱性が低下したり 耐湿性が低下したり、酸・アルカリ等への 薬品性が低下したり、閾値電圧のシフトが きくなるおそれがある。
 X/(In+Zn+X)は、0.02~0.15がより好ましく、特に 0.03~0.1が好ましい。

 さらに、用途によって半導体層が、下記(5) るいは(6)の比率(原子比)を満たすことが特 好ましい。
 In/(In+Zn+X)=0.3~0.5    (5)
 In/(In+Zn+X)=0.5~0.7(0.5を含まない) (6)
 上記(5)の比率は、オフ電流を低減しやすく ンオフ比を高くすることができる。また、 膜条件や後処理条件のマージンも広い。上 (6)の比率だと移動度を高く、閾値電圧を小 くすることができる。

 本発明では、熱安定性、耐熱性、耐薬品性 向上し、S値やオフ電流を低減できることか ら、元素XはZr又はHfであることが好ましく、Z rであることが特に好ましい。
 また、光電流を低減したい場合は、元素Xは Zr、Hf、Ge、Si、Tiが好ましい。また、プラズ 耐性を高くして後工程で特性が変化しにく したい場合は、元素XはCu、Ni、Co、Fe、Cr、Mn W、Mo、V及びNbが好ましい。

[本発明の第二の態様]
 本発明の電界効果型トランジスタは、In(イ ジウム)元素及びZn(亜鉛)元素と、下記のA群 り選択される1以上の元素Xを、下記(1)~(3)の 子比で含む複合酸化物からなる半導体層を する。
 A群:Al(アルミニウム)、B(ホウ素)、Sc(スカン ウム)、Y(イットリウム)及びランタノイド類 (La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm Yb、Lu)
    In/(In+Zn)=0.2~0.8   (1)
    In/(In+X)=0.29~0.99  (2)
    Zn/(X+Zn)=0.29~0.99  (3)

 半導体層を上記の複合酸化物から形成す ことによって、移動度が高く、S値の低い電 界効果型トランジスタが得られる。また、低 温又は短時間の熱履歴(熱処理)でも、高い特 の得られる電界効果型トランジスタとなる

 上記(1)においてInの比率が0.2より小さいと 移動度が低くなったり、S値が大きくなった 、耐湿性が低下したり、酸・アルカリ等へ 耐薬品性が低下するおそれがある。一方、0 .8より大きいと、オフ電流やゲートリーク電 が大きくなったり、S値が大きくなったり、 耐プラズマ性が低下したり、閾値が負になり ノーマリーオンとなるおそれがある。
 In/(In+Zn)は、好ましくは0.3~0.75であり、より ましくは0.35~0.7である。

 上記(2)においてInの比率が0.29より小さいと 移動度が低くなったり、S値が大きくなった り、閾値電圧が高くなるおそれがある。一方 、0.99より大きいと、オフ電流やゲートリー 電流が大きくなったり、閾値が負になりノ マリーオンとなったり、光電流が大きくな たり、耐プラズマ性が低下したり、閾値電 のシフトが大きくなるおそれがある。
 In/(In+X)は、通常は0.29~0.99、好ましくは0.59~0. 98、より好ましくは0.6~0.97であり、さらに好 しくは0.65~0.96であり、特に好ましくは0.7~0.95 である。

 上記(3)においてZnの比率が0.29より小さいと 移動度が低くなったり、S値が大きくなった り、安定化させるのに高温あるいは長時間の 熱処理が必要となったり、ウェットエッチン グレートが遅くなるおそれがある。一方、0.9 9より大きいと移動度が低くなったり、S値が きくなったり、熱安定性や耐熱性が低下し り、耐湿性が低下したり、酸・アルカリ等 の耐薬品性が低下したり、閾値電圧のシフ が大きくなるおそれがある
 Zn/(X+Zn)は、好ましくは0.45~0.98であり、より ましくは0.6~0.98であり、さらに好ましくは0. 7~0.97であり、特に好ましくは0.75~0.90である。

 本発明においては、半導体層が、さらに、 記(4)の比率(原子比)を満たすことが好まし 。
    X/(In+Zn+X)=0.02~0.3   (4)
 Xの比率が0.3より大きいと、S値が大きくな たり、移動度が低下したり、閾値電圧が大 くなったりするおそれがある。一方、0.02よ 小さいと熱安定性や耐熱性が低下したり、 湿性が低下したり、酸・アルカリ等への耐 品性が低下したり、オフ電流が大きくなっ り、閾値電圧のシフトが大きくなるおそれ ある。
 X/(In+Zn+X)は、0.04~0.25がより好ましく、0.055~0. 2がさらに好ましく、0.06~0.15が特に好ましい

 さらに、半導体層が、下記(5)又は(6)の比率( 原子比)を満たすことが、用途により使い分 ることができ特に好ましい。
 In/(In+Zn+X)=0.3~0.5 (5)
 In/(In+Zn+X)=0.5~0.7(0.5は含まない) (6)
 上記(5)の比率では、オフ電流を低減しやす 、オンオフ比を高くすることができる。ま 、成膜条件や後処理条件のマージンも広い 上記(6)の比率だと移動度を高く、閾値電圧 小さくすることができる。

 本発明において元素Xは、Al又はBであるこ とが好ましい。また、Sc又はYである場合も好 ましい。さらに、ランタノイド類(La、Ce、Pr Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)であ る場合も好ましい。

 本発明の電界効果型トランジスタは、上 した第一の態様又は第二の態様で示した半 体層を有していれば、他の構成については に限定はない。トップゲート型やボトムゲ ト型等、公知の構造を利用することができ 。以下、電界効果型トランジスタの構成例 ついて図面を参照して説明する。

 図1は、本発明の一実施形態の電界効果型ト ランジスタの概略断面図である。
 電界効果型トランジスタ1はボトムゲート型 であり、熱酸化膜11を有するシリコン基板10 に、ゲート電極12がストライプ状に形成され ている。このゲート電極12を覆うようにゲー 絶縁膜13を有し、このゲート絶縁膜13上であ って、かつ、ゲート電極12上に半導体層14(活 層)が形成されている。
 半導体層14の一端14aに、ゲート電極12と直交 する方向にソース電極15が接続されている。 た、半導体層14の一端14aに対向する他端14b ドレイン電極16が接続されている。

 図2は、ゲート電極12、半導体層14、ソー 電極15及びドレイン電極16の位置関係を示す 略上面図である。位置関係の可視化のため 部の部材を省略してある。

 ボトムゲート型の電界効果型トランジスタ 場合、半導体層は保護層で保護しているこ が好ましい。ボトムゲート型のトランジス では保護層が無いと半導体層の主要部分が 出するため保護層の効果が大きい。
 図3及び図4は、本発明の他の実施形態の電 効果型トランジスタの概略断面図である。
 電界効果型トランジスタ2及び3は、保護層17 を形成している他は、上述した電界効果型ト ランジスタ1と同じ構成をしている。

 図5は、トップゲート型の電界効果型トラン ジスタの例を示す概略断面図である。
 電界効果型トランジスタ4では、基板30上に ース電極35及びドレイン電極36が形成され、 その間隙及びこれら電極の一部を覆うように 半導体層34が設けられている。そして、半導 層34にゲート絶縁膜33を介してゲート電極32 形成されている。
 トランジスタ3では、基板30が保護層37の役 をしている。

 以下、本発明の電界効果型トランジスタを 成部材について説明する。
1.基板
 特に制限はなく、本技術分野で公知のもの 使用できる。例えば、ケイ酸アルカリ系ガ ス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガ ス基板、シリコン基板、アクリル、ポリカ ボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN) の樹脂基板、ポリエチレンテレフタレート(P ET)、ポリアミド等の高分子フィルム基材等が 使用できる。
 基板や基材の厚さは0.1~10mmが一般的であり 0.3~5mmが好ましい。ガラス基板の場合は、化 的に、或いは熱的に強化させたものが好ま い。
 透明性や平滑性が求められる場合は、ガラ 基板、樹脂基板が好ましく、ガラス基板が に好ましい。軽量化が求められる場合は樹 基板や高分子機材が好ましい。

2.半導体層
 半導体層は、上述した第一の態様又は第二 態様で示したIn(インジウム)、Zn(亜鉛)及び 素Xを上記(1)~(3)の比率、好ましくは(1)~(4)の 率を満たすように含有する複合酸化物から る。
 このような半導体層は、例えば、本発明の 合酸化物ターゲット(半導体層用ターゲット )を使用して薄膜を形成することで作製でき 。

 本発明の半導体層用ターゲットは、上述し 第一の態様又は第二の態様で示した比率(1)~ (3)又は(1)~(4)を満たす複合酸化物の焼結体か なる。このターゲットは、例えば、酸化イ ジウム、酸化亜鉛及び元素Xの酸化物を、上 の元素比率を満たすように含む混合粉体を 料とする。原料粉体をボールミル等で微粉 化した後、ターゲット状に成形し焼成する とによって作製できる。
 尚、使用する原料粉体の一部は、ターゲッ の端材や使用済みターゲット等の高純度酸 インジウム含有スクラップから回収して作 したものであってもよい。特に、ITOターゲ トから回収した酸化インジウムは不純物と てSn(錫)を適度に含んでおり好ましい。酸化 インジウムの回収は特開2002-069544号に記載の 法等、公知の方法を用いることができる。
 尚、上述した第一の態様で示した元素XがZr Hf、Ge、Si、Ti、V及びNbであると、特に外観 よく抗折力の高いターゲットを製造しやす 。

 各原料粉の純度は、通常99.9%(3N)以上、好ま くは99.99%(4N)以上、さらに好ましくは99.995% 上、特に好ましくは99.999%(5N)以上である。各 原料粉の純度が99.9%(3N)未満だと、不純物によ り半導体特性が低下したり、色むらや斑点な どの外観上の不良が発生したり、信頼性が低 下する等のおそれがある。
 原料粉について、酸化インジウム粉の比表 積を8~10m 2 /g、酸化亜鉛粉の比表面積を2~4m 2 /g、元素Xの酸化物の比表面積を5~10m 2 /g(より好ましくは8~10m 2 /g)とすることが好ましい。又は、酸化インジ ウム粉のメジアン径を0.2~2μm、酸化亜鉛粉の ジアン径を0.8~1.6μmとすることが好ましい。
 尚、酸化インジウム粉の比表面積と元素Xの 酸化物粉の比表面積が、ほぼ同じである粉末 を使用することが好ましい。これにより、よ り効率的に粉砕混合できる。具体的には、比 表面積の差を5m 2 /g以下にすることが好ましい。比表面積が違 すぎると、効率的な粉砕混合が出来ず、焼 体中に元素Xの酸化物の粒子が残る場合があ る。

 混合粉体を、例えば、湿式媒体撹拌ミルを 用して混合粉砕する。このとき、粉砕後の 表面積が原料混合粉体の比表面積より1.5~2.5 m 2 /g増加する程度か、又は粉砕後の平均メジア 径が0.6~1μmとなる程度に粉砕することが好 しい。このように調整した原料粉を使用す ことにより、仮焼工程を全く必要とせずに 高密度の酸化物焼結体を得ることができる また、還元工程も不要となる。
 尚、原料混合粉体の比表面積の増加分が1.0m 2 /g未満又は粉砕後の原料混合粉の平均メジア 径が1μmを超えると、焼結密度が十分に大き くならない場合がある。一方、原料混合粉体 の比表面積の増加分が3.0m 2 /gを超える場合又は粉砕後の平均メジアン径 0.6μm未満にすると、粉砕時の粉砕器機等か のコンタミ(不純物混入量)が増加する場合 ある。
 ここで、各粉体の比表面積はBET法で測定し 値である。各粉体の粒度分布のメジアン径 、粒度分布計で測定した値である。これら 値は、粉体を乾式粉砕法、湿式粉砕法等に り粉砕することにより調整できる。
 粉砕工程後の原料をスプレードライヤー等 乾燥した後、成形する。成形は公知の方法 例えば、加圧成形、冷間静水圧加圧が採用 きる。

 次いで、得られた成形物を焼結して焼結体 得る。焼結は、1350~1600℃で2~20時間焼結する ことが好ましい。1350℃未満では、密度が向 せず、また、1600℃を超えると亜鉛が蒸散し 焼結体の組成が変化したり、蒸散により焼 体中にボイド(空隙)が発生したりする場合 ある。
 また、焼結は酸素を流通することにより酸 雰囲気中で焼結するか、加圧下にて焼結す のがよい。これにより亜鉛の蒸散を抑える とができ、ボイド(空隙)のない焼結体が得 れる。
 このようにして製造した焼結体は、密度が いため、使用時におけるノジュールやパー ィクルの発生が少ないことから、膜特性に れた酸化物半導体膜を作製することができ 。

 酸化物焼結体は、研磨等の加工を施すこ によりターゲットとなる。具体的には、焼 体を、例えば、平面研削盤で研削して表面 さRaを5μm以下とする。さらに、ターゲット スパッタ面に鏡面加工を施して、平均表面 さRaが1000オングストローム以下としてもよ 。この鏡面加工(研磨)は機械的な研磨、化 研磨、メカノケミカル研磨(機械的な研磨と 学研磨の併用)等の、すでに知られている研 磨技術を用いることができる。例えば、固定 砥粒ポリッシャー(ポリッシュ液:水)で#2000以 にポリッシングしたり、又は遊離砥粒ラッ (研磨材:SiCペースト等)にてラッピング後、 磨材をダイヤモンドペーストに換えてラッ ングすることによって得ることができる。 のような研磨方法には特に制限はない。

 得られたターゲットをバッキングプレー へボンディングすることにより、各種成膜 置に装着して使用できる。成膜法としては 例えば、スパッタリング法、PLD(パルスレー ザーディポジション)法、真空蒸着法、イオ プレーティング法等が挙げられる。

 尚、ターゲットの清浄処理には、エアーブ ーや流水洗浄等を使用できる。エアーブロ で異物を除去する際には、ノズルの向い側 ら集塵機で吸気を行なうとより有効に除去 きる。
 エアーブローや流水洗浄の他に、超音波洗 等を行なうこともできる。超音波洗浄では 周波数25~300KHzの間で多重発振させて行なう 法が有効である。例えば周波数25~300KHzの間 、25KHz刻みに12種類の周波数を多重発振させ て超音波洗浄を行なうのがよい。

 酸化物焼結体中における各化合物の粒径 、それぞれ20μm以下が好ましく、10μm以下が さらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。 、粒径は電子プローブマイクロアナライザ(E PMA)で測定した平均粒径である。結晶粒径は 例えば、原料である酸化インジウム、X元素 酸化物、酸化亜鉛の各粉体の配合比や原料 体の粒径、純度、昇温時間、焼結温度、焼 時間、焼結雰囲気、降温時間を調製するこ により得られる。化合物の粒径が20μmより きいとスパッタ時にノジュールが発生する それがある。

 ターゲットの密度は、理論密度の95%以上が ましく、98%以上がより好ましく、99%以上が に好ましい。ターゲットの密度が95%より小 いと強度が不十分となり成膜時にターゲッ が破損するおそれがある。また、トランジ タを作製した際に性能が不均一になるおそ がある。
 ここで、ターゲットの理論相対密度は、各 化物の比重(例えば、ZnOは5.66g/cm 3 、In 2 O 3 は7.12g/cm 3 、ZrO 2 は5.98g/cm 3 )とその量比から密度を計算し、アルキメデ 法で測定した密度との比率を計算して理論 対密度とする。

 ターゲットのバルク抵抗は、20mω以下が好 しく、10mω以下がより好ましく、5mω以下が らに好ましく、2mωcm以下が特に好ましい。 20mωより大きいとDCスパッタでの成膜時にタ ゲットが破損するおそれがある。また、異 放電によりスパークが発生し、ターゲット 割れたり、スパークにより飛び出した粒子 成膜基板に付着し、酸化物半導体膜として 性能を低下させたりする場合がある。また 放電時にターゲットが割れるおそれもある
 尚、バルク抵抗は抵抗率計を使用し、四探 法により測定した値である。

 本発明のターゲットの抗折力は、8kg/mm 2 以上であることが好ましく、10kg/mm 2 以上であることがより好ましく、12kg/mm 2 以上であることが特に好ましい。ターゲット の運搬、取り付け時に荷重がかかり、ターゲ ットが破損するおそれがあるという理由で、 ターゲットには、一定以上の抗折力が要求さ れ、8kg/mm 2 未満では、ターゲットとしての使用に耐えら れないおそれがある。ターゲットの抗折力は 、JIS R 1601に準じて測定することができる。

 尚、本発明の第二の態様に関するターゲッ では、さらに、Sn(錫)、Ge(ゲルマニウム)、Si (シリコン)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)及 Hf(ハフニウム)からなる群より選択される1以 上の元素を、100~10000ppm含むことが好ましい。 これらの元素を含むと、ターゲットの密度の 向上、強度の向上、抵抗の低下、色むらの減 少、均一性の向上、異常放電やイエローフレ ークの減少等の効果があり、半導体用ターゲ ットとして品質が向上することが期待できる 。
 上記元素は、これらの元素を含む焼結体(タ ーゲット)から回収した原料を用いて、不純 として含まれていてもよい。また、原料に 属粉体や酸化物として添加してもよい。

 本発明において、半導体層は非晶質膜であ ことが好ましい。
 非晶質膜であることにより、絶縁膜や保護 との密着性が改善されたり、大面積でも均 なトランジスタ特性が容易に得られること なる。
 ここで、半導体層が非晶質膜であるかは、X 線結晶構造解析により確認できる。明確なピ ークが観測されない場合が非晶質である。

 また、半導体層の電子キャリア濃度が10 13 ~10 18 /cm 3 であることが好ましく、特に10 14 ~10 17 /cm 3 であることが好ましい。
 電子キャリア濃度が上記の範囲であれば、 縮退半導体となりやすく、トランジスタと て用いた際に移動度とオンオフ比のバラン が良好となり好ましい。
 また、バンドギャップが2.0~6.0eVであること 好ましく、特に、2.8~5.0eVがより好ましい。 ンドギャップは、2.0eVより小さいと可視光 吸収し電界効果型トランジスタが誤動作す おそれがある。一方、6.0eVより大きいとキャ リアが供給されにくくなり電界効果型トラン ジスタが機能しなくなるおそれがある。

 半導体層は、熱活性型を示す非縮退半導体 あることが好ましい。縮退半導体であると ャリアが多すぎてオフ電流・ゲートリーク 流が増加したり、閾値が負になりノーマリ オンとなるおそれがある。
 半導体層が非縮退半導体であるかは、ホー 効果を用いた移動度とキャリア密度の温度 化の測定を行うことにより判断できる。
 また、半導体層を非縮退半導体とするには 成膜時の酸素分圧を調整したり、後処理を ることで酸素欠陥量を制御しキャリア密度 最適化することで達成できる。

 半導体層の表面粗さ(RMS)は、1nm以下が好 しく、0.6nm以下がさらに好ましく、0.3nm以下 特に好ましい。1nmより大きいと、移動度が 下するおそれがある。

 半導体層は、酸化インジウムのビックスバ ト構造の稜共有構造の少なくとも一部を維 している非晶質膜であることが好ましい。 化インジウムを含む非晶質膜が酸化インジ ムのビックスバイト構造の稜共有構造の少 くとも一部を維持しているかどうかは、高 度のシンクロトロン放射等を用いた微小角 射X線散乱(GIXS)によって求めた動径分布関数 (RDF)により、In-X(Xは,In,Zn)を表すピークが0.30 ら0.36nmの間にあることで確認できる。詳細 ついては、下記の文献を参照すればよい。
 F.Utsuno, et al.,Thin Solid Films,Volume 496, 2006, Pages 95-98

 さらに、原子間距離が0.30から0.36nmの間のRDF の最大値をA、原子間距離が0.36から0.42の間の RDFの最大値をBとした場合に、A/B>0.7の関係 満たすことが好ましく、A/B>0.85がより好 しく、A/B>1がさらに好ましく、A/B>1.2が に好ましい。
A/Bが0.7以下だと、半導体層をトランジスタの 活性層として用いた場合、移動度が低下した り、閾値やS値が大きくなりすぎるおそれが る。A/Bが小さいことは、非晶質膜の近距離 序性が悪いことを反映しているものと考え れる。

 また、In-Inの平均結合距離が0.3~0.322nmであ ることが好ましく、0.31~0.32nmであることが特 好ましい。In-Inの平均結合距離はX線吸収分 法により求めることができる。X線吸収分光 法による測定では、立ち上がりから数百eVも いエネルギーのところまで広がったX線吸収 広域微細構造(EXAFS)を示す。EXAFSは励起された 原子の周囲の原子による電子の後方散乱によ って引き起こされる。飛び出していく電子波 と後方散乱された波との干渉効果が起こる。 干渉は電子状態の波長と周囲の原子へ行き来 する光路長に依存する。EXAFSをフーリエ変換 ることで動径分布関数(RDF)が得られる。RDF ピークから平均結合距離を見積もることが きる。

 半導体層の膜厚は、通常0.5~500nm、好まし は1~150nm、より好ましくは3~80nm、特に好まし くは10~60nmである。0.5nmより薄いと工業的に均 一に成膜することが難しい。一方、500nmより いと成膜時間が長くなり工業的に採用でき い。また、3~80nmの範囲内にあると、移動度 オンオフ比等TFT特性が特に良好である。

 本発明では、半導体層が非晶質膜であり、 局在準位のエネルギー幅(E 0 )が14meV以下であることが好ましい。半導体層 の非局在準位のエネルギー幅(E 0 )は10meV以下がより好ましく、8meV以下がさら 好ましく6meV以下が特に好ましい。
 非局在準位のエネルギー幅(E 0 )が14meVより大きいと、半導体層をトランジス タの活性層として用いた場合、移動度が低下 したり、閾値やS値が大きくなりすぎるおそ がある。半導体層の非局在準位のエネルギ 幅(E 0 )が大きいことは、非晶質膜の近距離秩序性 悪いことを反映しているものと考えられる

3.半導体層の保護層
 電界効果型トランジスタは、半導体の保護 があることが好ましい。半導体の保護層が いと、真空中や低圧下で半導体の表面層の 素が脱離し、オフ電流が高くなったり、閾 電圧が負になるおそれがある。また、大気 でも湿度等周囲の影響を受け、閾値電圧等 トランジスタ特性のばらつきが大きくなる それがある。

 半導体の保護層を形成する材料は特に制限 ない。本発明の効果を失わない範囲で一般 用いられているものを任意に選択できる。 えば、SiO 2 ,SiNx,Al 2 O 3 ,Ta 2 O 5 ,TiO 2 ,MgO,ZrO 2 ,CeO 2 ,K 2 O,Li 2 O,Na 2 O,Rb 2 O,Sc 2 O 3 ,Y 2 O 3 ,Hf 2 O 3 ,CaHfO 3 ,PbTi 3 ,BaTa 2 O 6 ,SrTiO 3 ,AlN等を用いることができる。これらのなか も、SiO 2 ,SiNx,Al 2 O 3 ,Y 2 O 3 ,Hf 2 O 3 ,CaHfO 3 を用いるのが好ましく、より好ましくはSiO 2 ,SiNx,Y 2 O 3 ,Hf 2 O 3 ,CaHfO 3 であり、特に好ましくはSiO 2 ,Y 2 O 3 ,Hf 2 O 3 ,CaHfO 3 等の酸化物である。これらの酸化物の酸素数 は、必ずしも化学量論比と一致していなくと もよい(例えば、SiO 2 でもSiOxでもよい)。また、SiNxは水素元素を含 んでいても良い。

 このような保護膜は、異なる2層以上の絶縁 膜を積層した構造でもよい。
また、保護層は、結晶質、多結晶質、非晶質 のいずれであってもよいが、工業的に製造し やすい多結晶質か、非晶質であるのが好まし い。しかし、保護層が非晶質であることが特 に好ましい。非晶質膜でないと界面の平滑性 が悪く移動度が低下したり、閾値電圧やS値 大きくなりすぎるおそれがある。

 半導体層の保護層は、非晶質酸化物あるい 非晶質窒化物であることが好ましく、非晶 酸化物であることが特に好ましい。また、 護層が酸化物でないと半導体中の酸素が保 層側に移動し、オフ電流が高くなったり、 値電圧が負になりノーマリーオフを示すお れがある。
 また、半導体層の保護層は、ポリ(4-ビニル ェノール)(PVP)、パリレン等の有機絶縁膜を いてもよい。さらに、半導体層の保護層は 機絶縁膜及び有機絶縁膜の2層以上積層構造 を有してもよい。

4.ゲート絶縁膜
 ゲート絶縁膜を形成する材料にも特に制限 ない。本実施形態の発明の効果を失わない 囲で一般に用いられているものを任意に選 できる。例えば、SiO 2 ,SiNx,Al 2 O 3 ,Ta 2 O 5 ,TiO 2 ,MgO,ZrO 2 ,CeO 2 ,K 2 O,Li 2 O,Na 2 O,Rb 2 O,Sc 2 O 3 ,Y 2 O 3 ,Hf 2 O 3 ,CaHfO 3 ,PbTi 3 ,BaTa 2 O 6 ,SrTiO 3 ,AlN等を用いることができる。これらのなか も、SiO 2 ,SiNx,Al 2 O 3 ,Y 2 O 3 ,Hf 2 O 3 ,CaHfO 3 を用いるのが好ましく、より好ましくはSiO 2 ,SiNx,Y 2 O 3 ,Hf 2 O 3 ,CaHfO 3 である。これらの酸化物の酸素数は、必ずし も化学量論比と一致していなくともよい(例 ば、SiO 2 でもSiOxでもよい)。また、SiNxは水素元素を含 んでいても良い。

 このようなゲート絶縁膜は、異なる2層以上 の絶縁膜を積層した構造でもよい。また、ゲ ート絶縁膜は、結晶質、多結晶質、非晶質の いずれであってもよいが、工業的に製造しや すい多結晶質か、非晶質であるのが好ましい 。
 また、ゲート絶縁膜は、ポリ(4-ビニルフェ ール)(PVP)、パリレン等の有機絶縁膜を用い もよい。さらに、ゲート絶縁膜は無機絶縁 及び有機絶縁膜の2層以上積層構造を有して もよい。

5.電極
 ゲート電極、ソ-ス電極及びドレイン電極の 各電極を形成する材料に特に制限はなく、本 発明の効果を失わない範囲で一般に用いられ ているものを任意に選択することができる。
 例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジ ム亜鉛酸化物、ZnO、SnO 2 等の透明電極や、Al,Ag,Cr,Ni,Mo,Au,Ti,Ta、Cu等の 属電極、又はこれらを含む合金の金属電極 用いることができる。また、それらを2層以 積層して接触抵抗を低減したり、界面強度 向上させることが好ましい。また、ソ-ス電 極、ドレイン電極の接触抵抗を低減させるた め半導体の電極との界面をプラズマ処理、オ ゾン処理等で抵抗を調整してもよい。

 続いて、本発明の電界効果型トランジスタ 製造方法について説明する。
 本発明の製造方法では、上述した本発明の ーゲットを用い、DCあるいはACスパッタリン グにより半導体層を成膜する工程と、半導体 層を形成した後に70~350℃で熱処理する工程を 含むことを特徴とする。
 尚、上述した電界効果型トランジスタの各 成部材(層)は、本技術分野で公知の手法で 成できる。
 具体的に、成膜方法としては、スプレー法 ディップ法、CVD法等の化学的成膜方法、又 スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーテ ング法、パルスレーザーディポジション法 の物理的成膜方法を用いることができる。 ャリア密度が制御し易い、及び膜質向上が 易であることから、好ましくは物理的成膜 法を用い、より好ましくは生産性が高いこ からスパッタ法を用いる。

 スパッタリングでは、複合酸化物の焼結タ ゲットを用いる方法、複数の焼結ターゲッ を用いコスパッタを用いる方法、合金ター ットを用い反応性スパッタを用いる方法等 利用できる。但し、複数の焼結ターゲット 用いコスパッタを用いる方法や、合金ター ットを用い反応性スパッタを用いる方法で 、均一性や再現性が悪くなる場合や、非局 準位のエネルギー幅(E 0 )が大きくなる場合があり、移動度が低下し り、閾値電圧が大きくなる等、トランジス 特性が低下するおそれがある。好ましくは 複合酸化物の焼結ターゲットを用いる。
 形成した膜を各種エッチング法によりパタ ニングできる。

 本発明では半導体層を、本発明のターゲ トを用い、DC又はACスパッタリングにより成 膜する。DC又はACスパッタリングを用いるこ により、RFスパッタリングの場合と比べて、 成膜時のダメージを低減できる。このため、 電界効果型トランジスタにおいて、閾値電圧 シフトの低減、移動度の向上、閾値電圧の減 少、S値の減少等の効果が期待できる。

 また、本発明では半導体層と半導体の保護 を形成した後に、70~350℃で熱処理する。70 より低いと得られるトランジスタの熱安定 や耐熱性が低下したり、移動度が低くなっ り、S値が大きくなったり、閾値電圧が高く るおそれがある。一方、350℃より高いと耐 性のない基板が使用できないおそれや、熱 理用の設備費用がかかるおそれや、保護層 絶縁膜又は半導体層の界面が劣化するおそ や、水分圧を下げて成膜した際に結晶化し 非晶質膜が得られないおそれがある。
 熱処理温度は80~260℃が好ましく、90~180℃が り好ましく、100~150℃がさらに好ましい。特 に、熱処理温度が180℃以下であれば、基板と してPEN等の耐熱性の低い樹脂基板を利用でき るため好ましい。

 熱処理時間は、通常1秒~24時間が好ましい が、処理温度により調整することが好ましい 。例えば、70~180℃では、10分から24時間がよ 好ましく、20分から6時間がさらに好ましく 30分~3時間が特に好ましい。180~260℃では、6 から4時間がより好ましく、15分から2時間が らに好ましい。260~300℃では、30秒から4時間 がより好ましく、1分から2時間が特に好まし 。300~350℃では、1秒から1時間がより好まし 、2秒から30分が特に好ましい。

 熱処理は、不活性ガス中で酸素分圧が10 -3 Pa以下の環境下で行うか、あるいは半導体層 保護層で覆った後に行うことが好ましい。 記条件下だと再現性が向上する。
 不活性ガスとしては、N 2 、He、Ne、Ar、Kr、Xeが好ましい。

 本発明の電界効果トランジスタでは、移動 は1cm 2 /Vs以上が好ましく、3cm 2 /Vs以上がより好ましく、8cm 2 /Vs以上が特に好ましい。1cm 2 /Vsより小さいとスイッチング速度が遅くなり 大画面高精細のディスプレイに用いることが できないおそれがある。
 オンオフ比は、10 6 以上が好ましく、10 7 以上がより好ましく、10 8 以上が特に好ましい。

 オフ電流は、2pA以下が好ましく、1pA以下が り好ましく、0.5pA以下がさらに好ましく、0. 2pA以下が特に好ましい。オフ電流が2pAより大 きいとディスプレイのTFTとして用いた場合に コントラストが悪くなったり、画面の均一性 が悪くなるおそれがある。
 ゲートリーク電流は1pA以下が好ましい。1pA り大きいとディスプレイのTFTとして用いた 合にコントラストが悪くなるおそれがある

 閾値電圧は、通常0~10Vであるが、0~4Vが好 しく、0~3Vがより好ましく、0~2Vが特に好ま い。0Vより小さいとノーマリーオンとなり、 オフ時に電圧をかける必要になり消費電力が 大きくなるおそれがある。10Vより大きいと駆 動電圧が大きくなり消費電力が大きくなった り、高い移動度が必要となるおそれがある。

 また、S値は0.8V/dec以下が好ましく、0.3V/de c以下がより好ましく、0.25V/dec以下がさらに ましく、0.2V/dec以下が特に好ましい。0.8V/dec り大きいと駆動電圧が大きくなり消費電力 大きくなるおそれがある。特に、有機ELデ スプレイで用いる場合は、直流駆動のためS を0.3V/dec以下にすると消費電力を大幅に低 できるため好ましい。

 尚、S値(Swing Factor)とは、オフ状態からゲー ト電圧を増加させた際に、オフ状態からオン 状態にかけてドレイン電流が急峻に立ち上が るが、この急峻さを示す値である。下記式で 定義されるように、ドレイン電流が1桁(10倍) 昇するときのゲート電圧の増分をS値とする 。
  S値=dVg/dlog(Ids)
 S値が小さいほど急峻な立ち上がりとなる( 薄膜トランジスタ技術のすべて」、鵜飼育 著、2007年刊、工業調査会)。
 S値が大きいと、オンからオフに切り替える 際に高いゲート電圧をかける必要があり、消 費電力が大きくなるおそれがある。

 また、10μAの直流電圧50℃で100時間加えた 前後の閾値電圧のシフト量は、1.0V以下が好 しく、0.5V以下がより好ましい。1Vより大き と有機ELディスプレイのトランジスタとして 利用した場合、画質が変化してしまうおそれ がある。

 また、伝達曲線でゲート電圧を昇降させ 場合のヒステリシスが小さい方が好ましい

 また、チャンネル幅Wとチャンネル長Lの W/L(図2参照。)は、通常0.1~100、好ましくは0.5~ 20、特に好ましくは1~8である。W/Lが100を越え と漏れ電流が増えたり、on-off比が低下した するおそれがある。0.1より小さいと電界効 移動度が低下したり、ピンチオフが不明瞭 なったりするおそれがある。

 また、チャンネル長Lは通常0.1~1000μm、好 しくは1~100μm、さらに好ましくは2~10μmであ 。0.1μm以下は工業的に製造が難しくまた漏 電流が大きくなるおそれがある、1000μm以上 では素子が大きくなりすぎて好ましくない。

 本発明の電界効果型トランジスタは、半 体層を遮光する構造を持つことが好ましい 半導体層を遮光する構造(例えば、遮光層) 持っていないと、光が半導体層に入射した 合にキャリア電子が励起されオフ電流が高 なるおそれがある。遮光層は、300~800nmに吸 を持つ薄膜が好ましい。遮光層は半導体層 上部、下部どちらかでも構わないが、上部 び下部の両方にあることが好ましい。また 遮光層はゲート絶縁膜やブラックマトリッ ス等と兼用されていても構わない。遮光層 片側だけにある場合、遮光層が無い側から が半導体層に照射しないよう構造上工夫す 必要がある。

 尚、本発明の電界効果型トランジスタでは 半導体層とソース電極あるいはドレイン電 との間にコンタクト層を設けることが好ま い。コンタクト層の形成材料は、上述した 導体層と同様な組成の複合酸化物が使用で る。即ち、コンタクト層はInやZn等、半導体 層に含まれる元素を主成分とする酸化物であ ることが好ましい。これらの元素を含まない と、コンタクト層と半導体層の間で元素の移 動が発生し、ストレス試験等を行った際に閾 値電圧のシフトが大きくなるおそれがある。
 コンタクト層の作製方法に特に制約はない 、成膜条件を変えて半導体層と同じ組成比 コンタクト層を成膜したり、半導体層と組 比の異なる層を成膜したり、半導体の電極 のコンタクト部分をプラズマ処理やオゾン 理により抵抗を高めることで構成したり、 導体層を成膜する際に酸素分圧等の成膜条 により抵抗を高くなる層を構成してもよい

 また、本発明の電界効果型トランジスタ は、半導体層とゲート絶縁膜との間、及び/ 又は半導体層と保護層との間に、半導体層よ りも抵抗の高い酸化物抵抗層を有することが 好ましい。酸化物抵抗層が無いとオフ電流が 発生したり、閾値電圧が負となりノーマリー オンとなるおそれがある。また、保護膜成膜 やエッチング等の後処理工程時に半導体層が 変質し特性が劣化するおそれがある。

 酸化物抵抗層としては、以下のものが例示 きる。
・半導体膜の成膜時よりも高い酸素分圧で成 膜した半導体層と同一組成の非晶質酸化物膜
・半導体層と同一組成であるが組成比を変え た非晶質酸化物膜
・In及びZnを含み半導体層と異なる元素Xを含 非晶質酸化物膜
・酸化インジウムを主成分とする多結晶酸化 物膜
・酸化インジウムを主成分とし、Zn、Cu、Co、 Ni、Mn、Mgなどの正二価元素を1種以上ドープ た多結晶酸化物膜
・半導体層に含まれる組成にさらにCu、Co、Ni 、Mn、Fe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ag、Auから選ばれる1 以上の元素を加えた非晶質酸化物膜

 半導体層と同一組成であるが組成比を変 た非晶質酸化物膜や、In及びZnを含み半導体 層と異なる元素Xを含む非晶質酸化物膜の場 は、In組成比が半導体層よりも少ないことが 好ましい。また、元素Xの組成比が半導体層 りも多いことが好ましい。

 酸化物抵抗層は、In及びZnの各元素を含む酸 化物であることが好ましい。これらを含まな いと、酸化物抵抗層と半導体層の間で元素の 移動が発生し、ストレス試験等を行った際に 閾値電圧のシフトが大きくなるおそれがある 。
 半導体層に含まれる組成に、さらにCu、Co、 Ni、Mn、Fe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ag、Auから選ばれる 1種以上の元素を加えた非晶質酸化物膜の場 は、In組成比が半導体層よりも少ないことが 好ましい。また、Ga組成比が半導体層よりも いことが好ましい。
[実施例]

[第一の態様]
実施例1
(1)スパッタリングターゲットの製造
 原料として、酸化インジウム、酸化亜鉛及 酸化ジルコニウムの粉末を、原子比〔In/(In+ Zn+Zr)〕が0.48、原子比〔Zn/(In+Zn+Zr)〕が0.50、原 子比〔Zr/(In+Zn+Zr)〕が0.02となるように混合し 。これを湿式ボールミルに供給し、72時間 合粉砕して原料微粉末を得た。
 得られた原料微粉末を造粒した後、直径10cm 、厚さ5mmの寸法にプレス成形し、これを焼成 炉に入れ、1500℃で12時間焼成して、焼結体( ーゲット)を得た。
 ターゲットのバルク抵抗は3mω、理論相対密 度は0.99であった。また、色むらが無く外観 均一性の高いターゲットが得られた。
 尚、理論相対密度は各酸化物の比重とその 比から計算した密度を、アルキメデス法で 定した密度との比率を計算して求めた。

(2)トランジスタの作製
 基板にガラス基板を使用した他は、図1に示 す電界効果型トランジスタと同様のトランジ スタを作製した。
 ガラス基板上に、室温のRFスパッタリング モリブデン金属を200nm積層した後、ウェット エッチングでパターニングし、ゲート電極を 作製した。
 次に、ゲート電極を作製した基板にプラズ 化学気相成長装置(PECVD)にて、SiNxを300℃で 膜(厚さ200nm)し、ゲート絶縁膜とした。
 次に、(1)で製造したターゲットを、DCスパ タ法の一つであるDCマグネトロンスパッタリ ング法の成膜装置に装着し、ゲート絶縁膜上 に成膜し、その後パターニングして半導体層 (膜厚50nm)を形成した。
 スパッタ条件は、基板温度;25℃、到達圧力; 1×10 -6 Pa、雰囲気ガス;Ar99.5%及び酸素0.5%、スパッタ 力(全圧);2×10 -1 Pa、投入電力100W、成膜時間6分間、S-T距離110mm とした。
 次に、リフトオフプロセス及びRFマグネト ンスパッタリング(室温、Ar100%)を用い、In 2 O 3 -ZnOからなるソース/ドレイン電極を形成した
 その後、窒素環境下、170℃で2時間熱処理し て電界効果型トランジスタを製造した(図2のW が40μm、Lが4μmのボトムゲート型の電界効果 トランジスタ)。

[半導体層の評価]
 ガラス基板(コーニング1737)上に、上記実施 (1)で製造したターゲットを使用して半導体 を形成し評価した。
 半導体層の形成は、DCマグネトロンスパッ リング法の成膜装置にて、実施例(2)と同じ うにした。この結果、ガラス基板上に、膜 が50nmの酸化物薄膜が形成された。

 得られた半導体膜をICP(Inductively Coupled Pl asma)法で分析したところ、原子比〔In/(In+Zn+Zr) 〕が0.49、原子比〔Zn/(In+Zn+Zr)〕が0.49、原子比 〔Ga/(In+Zn+Zr)〕が0.02であった。

 上記半導体膜を窒素環境下で、170℃で2時間 の熱処理を行った。
 熱処理後の半導体膜のキャリア濃度及びホ ル移動度を、ホール測定装置により測定し 。結果はn型を示し、キャリア濃度は4×10 17 cm -3 、ホール移動度は2cm 2 /Vsであった。
 尚、ホール測定装置、及びその測定条件は 記のとおりであった、
・ホール測定装置
 東陽テクニカ製:Resi Test8310
・測定条件
 測定温度:室温(25℃)
 測定磁場:0.5T
 測定電流:10 -12 ~10 -4 A
 測定モード:AC磁場ホール測定

 また、X線結晶構造解析により非晶質である ことが確認された。AMFにより測定した表面粗 さはRMS0.2nmであった。また光学的に求めたバ ドギャップは3.8eVであった。
 さらに、77~300Kの範囲で測定温度を変化させ ホール効果を測定すると熱活性型を示し、半 導体膜は非縮退半導体であることが確認でき た。
 また、温度を変化させホール効果を用い測 したキャリア濃度と活性化エネルギーの関 から非局在準位のエネルギー幅(E 0 )は6meV以下であった。
 さらに、X線散乱測定によって求めた動径分 布関数(RDF)により、In-Inを表すピークが0.35nm 近に観測され、酸化インジウムのビックス イト構造の稜共有構造が残っていることが 認できた。原子間距離が0.30から0.36nmの間のR DFの最大値をA、原子間距離が0.36から0.42の間 RDFの最大値をBとした場合のA/Bは、1.3であっ た。X線吸収分光法によって求めたIn-Inの平均 結合距離が0.318nmであった。

[トランジスタの評価]
 電界効果型トランジスタについて、下記の 価を行った。
(1)電界効果移動度(μ)、オンオフ比、オフ電 、ゲートリーク電流、S値、閾値電圧(Vth)
 半導体パラメーターアナライザー(ケースレ ー4200)を用い、室温、大気中、かつ遮光環境 で測定した。
(2)ヒステリシス
 半導体パラメーターアナライザーを用い、 電圧時の伝達曲線(I-V特性)と降電圧時の伝 曲線(I-V特性)を測定し、昇降時の電圧の差を δVgとする。δVgの最大値が0.5V以下であるもの を「少ない」、0.5~3Vであるものを「ある」、 3V以上であるものを「大きい」とした。
(3)ストレス試験
 ストレス条件は、ゲート電圧15Vで10μAの直 電圧を50℃で100時間加えることとした。スト レスをかける前後のVthを比較し、閾値電圧の シフト量(δVth)を測定した。

 また、耐酸性及び耐湿性を以下のようにし 評価した。
(1)耐酸性
 実施例1(2)と同じ条件で、ガラス基板上に200 nm厚の半導体膜を形成し、熱処理した。これ 蓚酸系エッチング液(関東化学製、ITO-06)に エッチングし、25℃でのエッチング速度を測 定した。評価は下記のようにした。
 ◎:200nm/分未満
 ○:200~500nm/分
 △:500~1000nm/分
 ×:1000nm/分以上
(2)耐湿性
 作製したトランジスタを、85℃、85%RHにて、 2000時間耐湿試験を実施した。試験前後の抵 を測定し、下記のように分類した。試験前 抵抗値í試験後の抵抗値、試験後の抵抗値í 験前の抵抗値の大きい方を変化率とした。
 ◎:変化率2倍未満
 ○:変化率2~5倍変化
 △:変化率5~100倍変化
 ×:変化率100倍以上変化
 測定結果を表1に示す。

実施例2~29、比較例1~7
 原料である酸化インジウム、酸化亜鉛及びX 元素の酸化物の混合比を、表1-4に示す組成と なるように調製した他は、実施例1(1)と同様 してスパッタリングターゲットを製造した
 上記のスパッタリングターゲットを使用し 成膜条件を表1-4に示すように変更した他は 実施例1(2)と同様にして電界効果型トランジ スタを作製し、評価した。
 尚、スパッタリングターゲットの製造時に 酸化ジルコニウムに代えて使用した原料は 下のとおりである。
 実施例12:HfO 2 、株式会社高純度化学研究所社製、HFO01PB
 実施例13:GeO 2 、株式会社高純度化学研究所社製、GEO06PB
 実施例14:SiO 2 、株式会社高純度化学研究所社製、SIO12PB
 実施例15:TiO 2 、株式会社高純度化学研究所社製、TIO14PB
 実施例16:MnO 2 、株式会社高純度化学研究所社製、MNO03PB
 実施例17:WO 3 、株式会社高純度化学研究所社製、WWO04PB
 実施例18:MoO 3 、株式会社高純度化学研究所社製、MOO03PB
 実施例19:V 2 O 5 、株式会社高純度化学研究所社製、VVO09PB
 実施例20:Nb 2 O 5 、株式会社高純度化学研究所社製、NBO08PB
 実施例25:CuO、株式会社高純度化学研究所社 、CUO08PB
 実施例26:NiO、株式会社高純度化学研究所社 、NIO11PB
 実施例27:CoO、株式会社高純度化学研究所社 、COO03PB
 実施例28:FeO、株式会社高純度化学研究所社 、FEO01PB
 実施例29:Cr 2 O 3 、株式会社高純度化学研究所社製、CRO01GB

 実施例21では、ソース/ドレイン電極を形成 たあとに、RFマグネトロンスパッタリング SiO 2 を300nm成膜して保護層を形成し、図4に示す電 解効果型トランジスタを作製した。

 実施例22、及び比較例1~7では、半導体層の 成をRFスパッタリングで行った。具体的に、 ターゲットをRFマグネトロンスパッタリング 膜装置に装着し成膜した。
 ここでのスパッタ条件は、基板温度;25℃、 達圧力;1×10 -6 Pa、雰囲気ガス;Ar99.5%及び酸素0.5%、スパッタ 力(全圧);2×10 -1 Pa、投入電力100W、成膜時間8分間、S-T距離100mm とした。

 実施例23では、SiO 2 熱酸化膜付シリコン基板を使用した。SiO 2 熱酸化膜の厚みは100nmであった。このトラン スタでは、ゲート絶縁膜がSiO 2 熱酸化膜であり、シリコン基板がゲート電極 と基板の役割を果たす。
 SiO 2 熱酸化膜付シリコン基板上に、半導体層、ソ ース電極及びドレイン電極を実施例1と同様 して形成した。

[スパッタリングターゲットの例]
実施例30
 原料として、酸化インジウム、酸化亜鉛及 酸化ジルコニウムの粉末を、原子比〔In/(In+ Zn+Zr)〕が0.4、原子比〔Zn/(In+Zn+Zr)〕が0.4、原 比〔Zr/(In+Zn+Zr)〕が0.2となるように混合した これを湿式ボールミルに供給し、72時間混 粉砕して原料微粉末を得た。
 得られた原料微粉末を造粒した後、直径20cm 、厚さ5mmの寸法にプレス成形した後、これを 焼成炉に入れ、1400℃で12時間焼成して、焼結 体(ターゲット)を得た。
 ターゲットのバルク抵抗は5mω、理論相対密 度は0.98であった。ターゲットの抗折力は、12 kg/mm 2 であった。また、色むらが無く外観の均一性 の高いターゲットが得られた。

比較例8
 原料として、酸化インジウム、酸化亜鉛及 酸化ガリウムの粉末を、原子比〔In/(In+Zn+Ga) 〕が0.4、原子比〔Zn/(In+Zn+Ga)〕が0.4、原子比 Ga/(In+Zn+Ga)〕が0.2となるように混合した。こ を湿式ボールミルに供給し、72時間混合粉 して原料微粉末を得た。
 得られた原料微粉末を造粒した後、直径20cm 、厚さ5mmの寸法にプレス成形した後、これを 焼成炉に入れ、1400℃で12時間焼成して、焼結 体(ターゲット)を得た。
 ターゲットのバルク抵抗は70mω、理論相対 度は0.82であった。ターゲットの抗折力は、7 kg/mm 2 であった。また、ターゲットには若干色むら が確認された。

 図6に、実施例1及び5と同じ組成の半導体層 ついて、熱処理温度と移動度との関係を示 た。尚、処理時間は2時間である。
 実施例1の組成では150℃の処理で移動度が安 定するのに対して、実施例5の組成では移動 を安定させるのに300℃以上の処理温度が必 であった。

[第二の態様]
[スパッタリングターゲットの作製]
実施例31(ターゲットI)
 原料として、5N(純度99.999%)の酸化インジウ (株式会社高純度化学研究所社製INO04PB)、5Nの 酸化亜鉛(株式会社高純度化学研究所社製ZNO04 PB)及び5Nの酸化アルミニウム(株式会社高純度 化学研究所社製)の粉末を、原子比〔In/(In+Zn+A l)〕が0.48、原子比〔Zn/(In+Zn+Al)〕が0.50、原子 〔Al/(In+Zn+Al)〕が0.02となるように混合した これを湿式ボールミルに供給し、72時間混合 粉砕して原料微粉末を得た。
 得られた原料微粉末を造粒した後、直径10cm 、厚さ5mmの寸法にプレス成形して、これを焼 成炉に入れ、1500℃で12時間焼成して、焼結体 (ターゲット)を得た。
 ターゲットを粉砕しICPで分析したところ、S n(錫)、Ge(ゲルマニウム)、Si(シリコン)、Ti(チ ン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)等の 純物は含まれていなかった。また、ターゲ トのバルク抵抗は20mω、理論相対密度は0.95 あった。

実施例32(ターゲットII)
 原料として、使用済みのITOターゲット等か 回収した酸化インジウム、5Nの酸化亜鉛(株 会社高純度化学研究所社製ZNO04PB)及び4Nの酸 化アルミニウム(株式会社高純度化学研究所 製ALO12PB)の粉末を、原子比〔In/(In+Zn+Al)〕が0. 48、原子比〔Zn/(In+Zn+Al)〕が0.50、原子比〔Al/(I n+Zn+Al)〕が0.02となるように混合した。これを 湿式ボールミルに供給し、72時間混合粉砕し 原料微粉末を得た。
 得られた原料微粉末を造粒した後、直径10cm 、厚さ5mmの寸法にプレス成形して、これを焼 成炉に入れ、1500℃で12時間焼成して、焼結体 (ターゲット)を得た。
 ターゲットを粉砕しICPで分析したところ、 純物としてSn(錫)500ppmが含まれていた。また 、ターゲットのバルク抵抗は3mω、理論相対 度は0.99であった。また、色むらが無く外観 均一性の高いターゲットが得られた。

実施例33-37(ターゲットIII-VII)
 Ge,Si,Ti,Zr又はHf元素を、原料中の金属元素全 体に対して500原子ppmとなるように酸化物とし て添加した他はターゲットIと同じ工程で作 した。ターゲットはターゲットIIとほぼ同じ 品質のものが得られたが、外観はさらに均質 で綺麗なものが得られた。

[スパッタリングターゲットの評価]
・ターゲットI
 上記実施例31で作製したターゲットIを、RF パッタ法の一つであるRFマグネトロンスパッ タリング法の成膜装置に装着し、ガラス基板 (コーニング1737)上に半導体膜を成膜した。
 ここでのスパッタ条件としては、基板温度; 25℃、到達圧力;1×10 -6 Pa、雰囲気ガス;Ar99.5%及び酸素0.5%、スパッタ 力(全圧);2×10 -1 Pa、投入電力100W、成膜時間8分間、S-T距離100mm とした。

 この結果、ガラス基板上に、膜厚が70nmの半 導体膜が形成された。
 尚、得られた膜組成をICP法で分析したとこ 、原子比〔In/(In+Zn+Al)〕が0.49、原子比〔Zn/(I n+Zn+Al)〕が0.49、原子比〔Al/(In+Zn+Al)〕が0.02で った。

 このように、ターゲットIでは半導体膜を 形成することができた。

・ターゲットII~VII
 上記のターゲットIと同様にして半導体膜を 成膜した。その結果、ターゲットII~VIIを用い た場合も、ターゲットIの結果とほぼ同じよ に、半導体膜を形成することができた。
 但し、長期間連続放電した際、ターゲットI を使用した場合に比べ、スパッタリング時の 異常放電の頻度やイエローフレークの量の減 少が確認できた。

[半導体膜の評価]
 ターゲットIを使用して形成した上記の半導 体膜を、窒素環境下、150℃で2時間の熱処理 行った。
 熱処理後の半導体膜について、ホール測定 置にてキャリア濃度及びホール移動度を測 した。その結果、半導体膜はn型を示し、キ ャリア濃度は4×10 17 cm -3 、ホール移動度は3cm 2 /Vsであった。

 また、X線結晶構造解析により非晶質であ ることが確認された。原子間力顕微鏡(AMF)に り測定した表面粗さはRMS0.2nmであった。ま 光学的に求めたバンドギャップは3.9eVであっ た。

 また、77~300Kの範囲で測定温度を変化させホ ール効果を測定すると熱活性型を示し、半導 体膜は非縮退半導体であることが確認できた 。
 また、温度を変化させホール効果を用い測 したキャリア濃度と活性化エネルギーの関 から非局在準位のエネルギー幅(E 0 )は6meV以下であった。
さらに、X線散乱測定によって求めた動径分 関数(RDF)により、In-Inを表すピークが0.35nm付 に観測され、酸化インジウムのビックスバ ト構造の稜共有構造が残っていることが確 できた。原子間距離が0.30から0.36nmの間のRDF の最大値をA、原子間距離が0.36から0.42の間の RDFの最大値をBとした場合のA/Bは、1.5であっ 。X線吸収分光法によって求めたIn-Inの平均 合距離が0.317nmであった。

[電解効果型トランジスタの作製]
実施例38
 基板にガラス基板を使用した他は、図1に示 す電界効果型トランジスタと同様のトランジ スタを作製した。
 ガラス基板上に、室温のRFスパッタリング モリブデン金属を200nm積層した後、ウェット エッチングでパターニングし、ゲート電極を 作製した。
 次に、ゲート電極を作製した基板にプラズ 化学気相成長装置(PECVD)にて、SiNxを300℃で 膜(厚さ200nm)し、ゲート絶縁膜とした。
 次に、実施例31で製造したターゲットIを用 、上記ターゲットIの評価時に作製した半導 体膜と同じ条件で成膜し、その後パターニン グして半導体層を形成した。
 次に、リフトオフプロセス及びRFマグネト ンスパッタリング(室温、Ar100%)を用い、In 2 O 3 -ZnOからなるソース/ドレイン電極を形成した
 その後、窒素環境下、150℃で2時間熱処理し て、電界効果型トランジスタを製造した(図2 Wが50μm、Lが4μmのボトムゲート型の電界効 型トランジスタ)。

 この電界効果型トランジスタについて、 施例1と同様に評価した。測定結果を表6に す。

実施例39~61、比較例11~18
 原料である酸化インジウム、酸化亜鉛及びX 元素の酸化物の混合比を、表6-9に示す組成と なるように調製した他は、実施例31と同様に てスパッタリングターゲットを製造した。
 上記のスパッタリングターゲットを使用し 成膜条件を表6-9に示すように変更した他は 実施例38と同様にして電界効果型トランジ タを作製し、評価した。
 尚、スパッタリングターゲットの製造時に 酸化アルミニウムに代えて使用した原料は 下のとおりである。
 実施例49:B 2 O 3 、株式会社高純度化学研究所社製、BBO06PB
 実施例50:Y 2 O 3 、株式会社高純度化学研究所社製、YYO03PB
 実施例51:Sc 2 O 3 、株式会社高純度化学研究所社製、SCO01PB
 実施例52:CeO 2 、株式会社高純度化学研究所社製、CEO05PB
 実施例53:Nd 2 O 3 、株式会社高純度化学研究所社製、NDO01PB
 実施例54:Sm 2 O 3 、株式会社高純度化学研究所社製、SMO01PB
 実施例55:Gd 2 O 3 、株式会社高純度化学研究所社製、GDO01PB
 実施例56:Tb 2 O 3 、株式会社高純度化学研究所社製、TBO02PB
 実施例57:Yb 2 O 3 、株式会社高純度化学研究所社製、YBO02PB

 実施例58では、ソース/ドレイン電極を形成 たあとに、RFマグネトロンスパッタリング SiO 2 を300nm成膜して保護層を形成し、図4に示す電 解効果型トランジスタを作製した。

 実施例59では、半導体層の形成をDCスパッタ リングで行った。ターゲットをDCマグネトロ スパッタリング成膜装置(神港精機(株)製)に 装着し、ガラス基板(コーニング1737)上に半導 体層を成膜した。
 ここでのスパッタ条件としては、基板温度; 25℃、到達圧力;1×10 -6 Pa、雰囲気ガス;Ar99%及び酸素1.0%、スパッタ圧 力(全圧);2×10 -1 Pa、投入電力100W、成膜時間8分間、S-T距離100mm とした。
 成膜前に、チャンバーを十分にベーキング 、到達圧力を十分に下げ、ロードロックを い基板を投入することで、成膜時の水分圧 低減した。四重極質量分析器(Q-mass)でスパ タチャンバー中のH 2 O(水)を分析し、成膜時の水分圧を測定したと ころ1×10 -6 Pa以下であった。

 実施例60では、SiO 2 熱酸化膜付シリコン基板を使用した。SiO 2 熱酸化膜の厚みは100nmであった。このトラン スタでは、ゲート絶縁膜がSiO 2 熱酸化膜であり、シリコン基板がゲート電極 と基板の役割を果たす。
 SiO 2 熱酸化膜付シリコン基板上に、半導体層、ソ ース電極及びドレイン電極を実施例38と同様 して形成した。

 尚、比較例17の薄膜は、X線吸収分光法によ て求めたIn-Inの平均結合距離が0.325nmであっ 。さらに、ホール効果を用い測定したキャ ア濃度と活性化エネルギーの関係から求め 非局在準位のエネルギー幅(E 0 )は22meVであった。

[熱処理温度と効果]
 図7に、実施例41、61及び比較例14と同じ組成 の半導体層について、熱処理温度と移動度と の関係を示した。尚、処理時間は2時間であ 。
 実施例41の組成では150℃の処理で移動度が 定するのに対して、実施例61の組成では移動 度を安定させるのに300℃以上の処理温度が必 要であり、比較例14では400℃以上で熱処理し も効果がないことが確認された。

 本発明の電解効果型トランジスタは、論 回路、メモリ回路、差動増幅回路等の集積 路に適用できる。特に、液晶ディスプレイ は有機ELディスプレイを駆動させるスイッ ング素子として使用できる。