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Patent Searching and Data


Title:
OXIDE SINTER, PROCESS FOR PRODUCING THE SAME, TARGET, AND TRANSPARENT CONDUCTIVE FILM AND TRANSPARENT CONDUCTIVE SUBSTRATE BOTH OBTAINED FROM THE TARGET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008297
Kind Code:
A1
Abstract:
A sputtering target or ion-plating tablet with which high-rate and nodule-less deposition can be realized; an oxide sinter optimal for obtaining the target or tablet; a process for producing the sinter; and a low-resistivity transparent conductive film obtained from the target or tablet and reduced in blue-light absorption. The oxide sinter comprises indium and gallium in the form of oxides, and is characterized in that it includes an In2O3 phase of a bixbite structure as the main crystal phase and that either a GaInO3 phase of a ß-Ga2O3 type structure or a combination of a GaInO3 phase and a (Ga,In)2O3 phase is finely dispersed in the main crystal phase as crystal grains having an average grain diameter of 5 µm or smaller. The oxide sinter is further characterized by having a gallium content of 10-35 at.%, excluding 35 at.%, in terms of Ga/(In+Ga) atom number ratio.

Inventors:
NAKAYAMA, Tokuyuki (C/O Ichikawa Research Laboratories, SUMITOMO METAL MINING CO. LTD., 3-18-5, Nakakokubun, Ichikawa-sh, Chiba 35, 2720835, JP)
中山 徳行 (〒35 千葉県市川市中国分3-18-5 住友金属鉱山株式会社 市川研究所内 Chiba, 2720835, JP)
Application Number:
JP2008/061957
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL MINING CO., LTD. (11-3, Shimbashi 5-chome Minato-k, Tokyo 16, 1058716, JP)
住友金属鉱山株式会社 (〒16 東京都港区新橋5-11-3 Tokyo, 1058716, JP)
NAKAYAMA, Tokuyuki (C/O Ichikawa Research Laboratories, SUMITOMO METAL MINING CO. LTD., 3-18-5, Nakakokubun, Ichikawa-sh, Chiba 35, 2720835, JP)
International Classes:
C04B35/00; B32B9/00; C23C14/32; C23C14/34; H01B5/14; H01B13/00
Attorney, Agent or Firm:
KAWABI, Kenji (Higashi-ikebukuro Orimoto Bldg, 6th floor 9-7, Higashi-ikebukuro 3-chome, Toshima-k, Tokyo 13, 1700013, JP)
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Claims:
 インジウムとガリウムを酸化物として含有する酸化物焼結体において、
 ビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、又はGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相が平均粒径5μm以下の結晶粒として微細に分散しており、
ガリウムの含有量がGa/(In+Ga)原子数比で10原子%以上35原子%未満であることを特徴とする酸化物焼結体。
 ガリウムの含有量が、Ga/(In+Ga)原子数比で10~25原子%であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物焼結体。
 下記の式で定義されるX線回折ピーク強度比が8%~58%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物焼結体。
  I[GaInO 3 相(111)]/{I[In 2 O 3 相(400)]+I[GaInO 3 相(111)]}×100 [%]
(式中、I[In 2 O 3 相(400)]は、ビックスバイト型構造をとるIn 2 O 3 相の(400)ピーク強度であり、I[GaInO 3 相(111)]は、β-Ga 2 O 3 型構造をとる複合酸化物β-GaInO 3 相(111)ピーク強度を示す)
 インジウムとガリウムを酸化物として含有する酸化物焼結体において、
ビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、又はGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相が平均粒径5μm以下の結晶粒として微細に分散しており、
インジウムとガリウムのほかに、さらにスズ、又はゲルマニウムから選ばれる1種以上の添加成分を含有し、ガリウムの含有量がGa/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~30原子%であり、かつ、添加成分の含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で1~11原子%であることを特徴とする酸化物焼結体。
 ガリウムの含有量が、Ga/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~20原子%であり、かつスズ、又はゲルマニウムから選ばれる1種以上の含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~10原子%であることを特徴とする請求項4に記載の酸化物焼結体。
 下記の式で定義されるX線回折ピーク強度比が4%~84%であることを特徴とする請求項4又は5に記載の酸化物焼結体。
  I[GaInO 3 相(-111)]/{I[In 2 O 3 相(400)]+I[GaInO 3 相(-111)]}×100 [%]
(式中、I[In 2 O 3 相(400)]は、ビックスバイト型構造をとるIn 2 O 3 相の(400)ピーク強度であり、I[GaInO 3 相(-111)]は、β-Ga 2 O 3 型構造をとる複合酸化物β-GaInO 3 相(-111)ピーク強度を示す)
 酸化インジウム粉末と酸化ガリウム粉末を含む原料粉末を混合するか、この原料粉末に酸化スズ粉末及び/又は酸化ゲルマニウム粉末を添加して混合した後、混合粉末を成形し、成形物を常圧焼成法によって焼結するか、あるいは混合粉末をホットプレス法によって成形し焼結する酸化物焼結体の製造方法であって、
 原料粉末の平均粒径を1μm以下とすることにより、ビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にGaInO 3 相、またはGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる平均粒径5μm以下の結晶粒が微細分散した酸化物焼結体とすることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の酸化物焼結体の製造方法。
 常圧焼成法を採用し、成形体を酸素の存在する雰囲気において、1250~1450℃で10~30時間焼結することを特徴とする請求項7に記載の酸化物焼結体の製造方法。
 常圧焼成法を採用し、成形体を酸素の存在する雰囲気において、1000~1200℃で10~30時間焼結することを特徴とする請求項7に記載の酸化物焼結体の製造方法。
 ホットプレス法を採用し、混合粉末を不活性ガス雰囲気又は真空中において、2.45~29.40MPaの圧力下、700~950℃で1~10時間成形し焼結することを特徴とする請求項7に記載の酸化物焼結体の製造方法。
 請求項1~6のいずれかに記載の酸化物焼結体を加工して得られるターゲット。
 請求項8又は10に記載の方法によって製造される酸化物焼結体を加工して得られ、酸化物焼結体の密度が6.3g/cm 3 以上であって、スパッタリング法による透明導電膜の形成に用いられることを特徴とするターゲット。
 請求項9に記載の方法によって製造される酸化物焼結体を加工して得られ、酸化物焼結体の密度が3.4~5.5g/cm 3 であって、イオンプレーティング法による透明導電膜の形成に用いられることを特徴とするターゲット。
 請求項11~13のいずれかに記載のターゲットを用いて、スパッタリング法又はイオンプレーティング法で基板上に形成して得られる非晶質の透明導電膜。
 膜中のガリウムの含有量が、Ga/(In+Ga)原子数比で10原子%以上35原子%未満であることを特徴とする請求項14に記載の透明導電膜。
 膜中のガリウムの含有量がGa/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~30原子%であり、かつ、スズ、又はゲルマニウムから選ばれる1種以上の含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で1~11原子%であることを特徴とする請求項14に記載の透明導電膜。
 スパッタリングが、直流電力密度1.10~3.29W/cm 2 を投入してもアーキングが発生しない条件で行われることを特徴とする請求項14に記載の透明導電膜。
 算術平均高さRaが1.0nm以下であることを特徴とする請求項14~17のいずれかに記載の透明導電膜。
 波長400nmにおける消衰係数が、0.04以下であることを特徴とする請求項14~18のいずれかに記載の透明導電膜。
 比抵抗が2×10 -3 ω・cm以下であることを特徴とする請求項14~19のいずれかに記載の透明導電膜。
 透明基板の片面若しくは両面に、請求項14~20のいずれかに記載の透明導電膜が形成されてなる透明導電性基材。
 透明基板が、ガラス板、石英板、樹脂板若しくは樹脂フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項21に記載の透明導電性基材。
 樹脂板もしくは樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、又はポリカーボネートを材料とする単一体、若しくはその表面をアクリル系有機物で覆った積層構造体のいずれかであることを特徴とする請求項22に記載の透明導電性基材。
 樹脂板若しくは樹脂フィルムが、その片面若しくは両面がガスバリア膜で覆われるか、中間にガスバリア膜が挿入された積層体であることを特徴とする請求項22又は23に記載の透明導電性基材。
 前記ガスバリア膜が、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、アルミニウム酸マグネシウム膜、酸化スズ系膜又はダイヤモンド状カーボン膜から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項24に記載の透明導電性基材。
Description:
酸化物焼結体とその製造方法、 ーゲット、及びそれを用いて得られる透明 電膜ならびに透明導電性基材

 本発明は、酸化物焼結体とその製造方法 ターゲット、及びそれを用いて得られる透 導電膜ならびに透明導電性基材に関し、よ 詳しくは、高速成膜とノジュールレスを実 できるスパッタリング用ターゲット或いは オンプレーティング用タブレット、それを るのに最適な酸化物焼結体とその製造方法 それを用いて得られ青色光の吸収の少ない 抵抗の透明導電膜に関する。

 透明導電膜は、高い導電性と可視光領域 の高い透過率とを有するため、太陽電池や 晶表示素子、その他各種受光素子の電極な に利用されているほか、自動車窓や建築用 熱線反射膜、帯電防止膜、冷凍ショーケー などのための各種の防曇用の透明発熱体と ても利用されている。

 実用的な透明導電膜としてよく知られてい ものには、酸化スズ(SnO 2 )系、酸化亜鉛(ZnO)系、酸化インジウム(In 2 O 3 )系の薄膜がある。酸化スズ系では、アンチ ンをドーパントとして含むもの(ATO)やフッ素 をドーパントとして含むもの(FTO)が利用され 酸化亜鉛系では、アルミニウムをドーパン として含むもの(AZO)やガリウムをドーパン として含むもの(GZO)が利用されている。しか し、最も工業的に利用されている透明導電膜 は、酸化インジウム系である。その中でもス ズをドーパントとして含む酸化インジウムは 、ITO(Indium-Tin-Oxide)膜と称され、特に低抵抗の 膜が容易に得られることから、幅広く利用さ れている。

 低抵抗の透明導電膜は、太陽電池、液晶、 機エレクトロルミネッセンスおよび無機エ クトロルミネッセンスなどの表面素子や、 ッチパネルなど、幅広い用途で好適に用い れる。これらの透明導電膜の製造方法とし 、スパッタリング法やイオンプレーティン 法が良く用いられている。特にスパッタリ グ法は、蒸気圧の低い材料の成膜の際や、 密な膜厚制御を必要とする際に有効な手法 あり、操作が非常に簡便であるため、工業 に広範に利用されている。
 スパッタリング法では、薄膜の原料として パッタリング用ターゲットが用いられる。 ーゲットは成膜したい薄膜を構成している 属元素を含む固体であり、金属、金属酸化 、金属窒化物、金属炭化物などの焼結体や 場合によっては単結晶が使われる。この方 では、一般に真空装置を用い、一旦高真空 した後、アルゴン等の希ガスを導入し、約1 0Pa以下のガス圧のもとで、基板を陽極とし、 ターゲットを陰極とし、これらの間にグロー 放電を起こしてアルゴンプラズマを発生させ 、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のタ ーゲットに衝突させ、これによってはじきと ばされるターゲット成分の粒子を、基板上に 堆積させて膜を形成する。

 スパッタリング法は、アルゴンプラズマの 生方法で分類され、高周波プラズマを用い ものは高周波スパッタリング法といい、直 プラズマを用いるものは直流スパッタリン 法という。
 一般に、直流スパッタリング法は、高周波 パッタリング法と比べて成膜速度が速く、 源設備が安価であり、成膜操作が簡単であ などの理由で、工業的に広範に利用されて る。しかし、絶縁性ターゲットでも成膜す ことができる高周波スパッタリング法に対 て、直流スパッタリング法では、導電性タ ゲットを用いなければならない。
 スパッタリングの成膜速度は、ターゲット 質の化学結合と密接な関係がある。スパッ リングは、運動エネルギーをもったアルゴ 陽イオンがターゲット表面に衝突して、タ ゲット表面の物質がエネルギーを受け取っ 弾き出される現象であり、ターゲット物質 イオン間結合もしくは原子間結合が弱いほ 、スパッタリングによって飛び出す確率は 加する。

 ITOなどの酸化物の透明導電膜をスパッタリ グ法で成膜する際には、膜の構成金属の合 ターゲット(ITO膜の場合はIn-Sn合金)を用いて アルゴンと酸素の混合ガス中における反応性 スパッタリング法によって酸化物膜を成膜す る方法と、膜の構成金属の酸化物焼結体ター ゲット(ITO膜の場合はIn-Sn-O焼結体)を用いてア ルゴンと酸素の混合ガス中でスパッタリング を行う反応性スパッタリング法によって酸化 物膜を成膜する方法がある。
 このうち合金ターゲットを用いる方法は、 パッタリング中の酸素ガスを多めに供給す が、成膜速度や膜の特性(比抵抗、透過率) 成膜中に導入する酸素ガス量に対する依存 が極めて大きく、安定して一定の膜厚、特 の透明導電膜を製造することはかなり難し 。

 酸化物ターゲットを用いる方法は、膜に 給される酸素の一部はターゲットからスパ タリングにより供給され、残りの不足酸素 を酸素ガスとして供給するのであるが、成 速度や膜の特性(比抵抗、透過率)の成膜中 導入する酸素ガス量に対する依存性が合金 ーゲットを用いる時よりも小さく、安定し 一定の膜厚、特性の透明導電膜を製造する とができるため、工業的には酸化物ターゲ トを用いる方法が採られている。

 このような背景から、透明導電膜の量産成 をスパッタリング法で行う場合には、酸化 ターゲットを用いた直流スパッタリング法 採用される場合がほとんどである。ここで 産性や製造コストを考慮すると、直流スパ タリング時の酸化物ターゲットの特性が重 となる。すなわち、同一の電力を投入した 合に、より高い成膜速度が得られる酸化物 ーゲットが有用である。さらに、高い直流 力を投入するほど成膜速度が上がるため、 業的には高い直流電力を投入しても、ター ットの割れや、ノジュール発生によるアー ングなどの異常放電、が起こらずに、安定 て成膜することが可能な酸化物ターゲット 有用となる。
 ここでノジュールとは、ターゲットがスパ タリングされていくと、ターゲット表面の ロージョン部分に、エロージョン最深部の くわずかな部分を除き、発生する黒色の析 物(突起物)のことをいう。一般に、ノジュ ルは外来の飛来物の堆積や、表面での反応 成物ではなく、スパッタリングによる掘れ りであるとされている。ノジュールはアー ングなどの異常放電の原因となっており、 ジュールの低減によってアーキングは抑制 れる(非特許文献1参照)。したがって、ノジ ール、すなわちスパッタリングによる掘れ りの発生しない酸化物ターゲットが好適で る。

 一方、イオンプレーティング法は、10 -3 ~10 -2 Pa程度の圧力下で、金属あるいは金属酸化物 抵抗加熱あるいは電子ビーム加熱すること 蒸発させ、さらに蒸発物を反応ガス(酸素) ともにプラズマにより活性化させてから基 に堆積させる方法である。透明導電膜の形 に用いるイオンプレーティング用ターゲッ (タブレットまたはペレットとも呼ぶ)につい ても、スパッタリング用ターゲットと同様で 、酸化物タブレットを用いた方が安定して一 定の膜厚、一定の特性の透明導電膜を製造す ることができる。酸化物タブレットは均一に 蒸発することが求められ、化学的な結合が安 定で蒸発しにくい物質が、主相として存在す る蒸発しやすい物質と共存しないほうが好ま しい。

 これまで述べてきたように、直流スパッ リング法やイオンプレーティング法で形成 れたITOは工業的に広範に用いられているが 近年、進歩の著しいLED(Light Emitting Diode)や 機EL(Electro Luminescence)では、ITOでは得られな い特性が必要とされる場合が出てきている。 それらの一例として、青色LEDでは、波長400nm 近における青色光の透過性の高い透明導電 が、光の取り出し効率を高めるため必要と れている。ITOの可視域における光の吸収は 短波長側ほど大きくなる傾向にあり、赤色 、緑色光、青色光の順で光吸収が大きくな 。したがって、ITOを青色LEDの透明電極とし 用いた場合には、光吸収による損失が生じ しまう。

 このような問題を避けるべく、最近、種 の発光デバイスの電極として、可視光、特 青色光の吸収の少ない、ITOに代わる透明導 膜として、インジウムとガリウムを含有す 酸化物膜からなる透明導電膜が提案されて る。しかしながら、ターゲットやタブレッ として用いられる酸化物焼結体の開発が十 行われていないため、良質な透明導電膜を 産することができず、実用化に至っていな のが実情である。

 青色光の吸収の少ない透明導電膜に関して 、四価原子のような異価ドーパントを少量 ープしたガリウム・インジウム酸化物(GaInO 3 )を含む透明導電性材料が提案されている(例 ば、特許文献1参照)。ここには、該酸化物 結晶膜は、透明性に優れ、約1.6の低い屈折 を示すため、ガラス基板との屈折率整合が 善される上、現在用いられている広禁制帯 導体と同程度の電気伝導率が実現できるこ が記載されている。そして、緑ないし青の 域で、インジウム・スズ酸化物に勝る透過 を示すこと、可視スペクトルに亘って、均 なわずかな吸収を示すこと、また、該酸化 の成膜に用いる原料であるペレットはGaIn 1-x M x O 3 と示されるようなGaInO 3 型構造の単一相材料であることが記載されて いる。
 しかし、GaInO 3 型構造の単一相材料をスパッタリング用ター ゲットあるいは蒸着用ペレットとして用いた 場合、該単一相材料が複合酸化物特有の安定 な化学的結合を有するため、スパッタリング イールドが低く、成膜速度はITOの1/2程度と極 めて遅くなってしまうため、工業的に不利で ある。また、スパッタリングイールドが低い ことからスパッタリング電圧を上げるなどし て成膜速度を上げる条件を選択したときに、 前記したアーキングの原因となるノジュール 発生を抑制することが可能となるような酸化 物焼結体の組成、組織等について検討は全く なされていない。すなわち、上記透明導電膜 の原料となる酸化物焼結体に関しては、工業 的な実用面まで考慮されてはいない。

 また、上記特許文献1と同じ酸化物系の透明 導電膜および酸化物焼結体として、従来知ら れているGaInO 3 とはかなり異なる組成範囲で、GaInO 3 やIn 2 O 3 より一段と高い導電性、すなわち、より低い 抵抗率と、優れた光学的特性を有する透明導 電膜であって、Ga 2 O 3 -In 2 O 3 で示される擬2元系において、Ga/(Ga+In)で示さ るGa量が15~49原子%含有する透明導電膜が提 されている(例えば、特許文献2参照)。
 しかし、上記透明導電膜を得るための原料 なる酸化物焼結体の作製条件については、 まり詳しい記載はなく、透明導電膜の組織 関しては、非晶質、もしくはGaInO 3 、GaInO 3 とIn 2 O 3 、GaInO 3 とGa 2 O 3 等の混相から成る微結晶質であるとしている が、原料となる酸化物焼結体に関する記載は ない。したがって、前記と同様に、原料とな る酸化物焼結体の組織に関しては、成膜速度 やノジュール抑制などの、工業的、実用的観 点からの最適状態についての取り組みは認め られない。

 さらに、上記特許文献1と同じと同じ酸化物 系の透明導電膜として、従来のITO膜(Snを添加 したIn 2 O 3 からなる透明導電膜)に比べ、比抵抗が低く つ透過率が高く、特に液晶ディスプレイ(LCD) の大型化、カラー化及び高精細化に対応可能 な透明導電膜として、スパッタリング法等の 成膜法により形成され、Ga:1~10at%を含有するIn 2 O 3 からなることを特徴とする透明導電膜(IGO膜 記す場合がある)膜が提案されている(例えば 、特許文献3参照)。上記構成のIGO膜は、従来 ITO膜に比較して、比抵抗が低く、100℃で成 されたものでも比抵抗:1×10 -3 ωcm以下であり、又、透過率が高くて可視光 域で85%以上であり、そのため、特にLCDの透 電極として好適に用いることができ、今後 LCDの大型化、カラー化、高精細化等の高機 化及び品質向上を図ることができることが 載されている。しかし、上記透明導電膜を るためのターゲットとしては、In 2 O 3 ターゲット上にGaチップを配置した複合ター ット、あるいは、Gaを所定量含有するIn 2 O 3 ターゲットが提示されているだけであり、酸 化物焼結体の組織等に関しては何ら検討され ておらず、成膜速度やノジュール抑制などの 、工業的、実用的観点からの最適状態につい て取り組んだものではない。

 これに対して、本出願人は、前記特許文献 同じ酸化物系の透明導電膜、透明導電膜製 用焼結体ターゲット、透明導電性基材及び れを用いた表示デバイスを提案している(例 えば、特許文献4参照)。ここには、酸化物焼 体の構造に関して、Ga、In及びOからなり、 記Gaを全金属原子に対して35原子%以上45原子% 以下含有し、主にβ―Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相とビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相から構成され、且つIn 2 O 3 相(400)のβ―GaInO 3 相(111)に対するX線回折ピーク強度比が50%以上 110%以下と記載され、密度は5.8g/cm 3 以上であるとしている。また、酸化物焼結体 の導電性に関しては、比抵抗値が4.0×10 -2 ω・cm以下であり、これを超えた場合にはDCマ グネトロンスパッタリングが可能であっても 、成膜速度が低下するため、生産性が低くな る。
 また、上記の酸化物焼結体の組成、組織構 に関しては、主に、これを原料として形成 れた透明導電膜の比抵抗または光透過率へ 影響を考慮したものであり、Ga量が35原子% 満では可視光短波長域の光透過性が低下し しまい、Ga量が45原子%を超えると導電性が低 下する。比抵抗としては1.2×10 -3 ω・cm以上8.0×10 -3 ω・cm以下であり、1.2×10 -3 ω・cm未満の領域は好ましいが該透明導電膜 組成はGa量35原子%未満とする必要がある。し たがって、得られる膜の導電性、光学特性の 観点から最適組成が選択されており、酸化物 焼結体の組成、組織が及ぼすノジュール発生 への影響などは課題として検討されてはいな かった。

 以上のような状況であり、青色光の吸収の ない、低抵抗の、インジウムとガリウムを 有する透明導電膜を量産する上で重要な、 膜速度の高速化やノジュール抑制などの実 的な課題を解決したインジウムとガリウム 含有する酸化物焼結体の出現が望まれてい 。

特開平7-182924号公報

特開平9-259640号公報

特開平9-50711号公報

特開2005-347215号公報 「透明導電膜の技術(改訂2版)」、オーム 社、2006年 12月 20日発行、p.238~239

 本発明の目的は、高速成膜とノジュール スを実現できるスパッタリング用ターゲッ 或いはイオンプレーティング用タブレット それを得るのに最適な酸化物焼結体とその 造方法、それを用いて得られ青色光の吸収 少ない低抵抗の透明導電膜を提供すること ある。

 本発明者等は、インジウムとガリウムを含 酸化物からなる酸化物焼結体の構成相と組 が、該酸化物焼結体を原料とするスパッタ ング用ターゲットを用いたスパッタリング 或いはイオンプレーティング用タブレット 用いたイオンプレーティング法による酸化 透明導電膜の成膜速度などの製造条件、な びにアーキングの原因となるノジュール発 にどのように影響するかについて、詳細に 討を行った。その結果、インジウムとガリ ムを含有する酸化物焼結体において、(1)実 的に、ガリウムが固溶したビックスバイト 構造のIn 2 O 3 相と、インジウムとガリウムで構成されたβ- Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、あるいは、ガリウムが固溶したビックス バイト型構造のIn 2 O 3 相と、インジウムとガリウムで構成されたβ- Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相と、(Ga,In) 2 O 3 相で構成されており、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の平均粒径を5μm以下とす こと、(2)酸化物焼結体中のガリウム含有量 Ga/(In+Ga)原子数比で10原子%以上35原子%未満と ることにより、基板に透明導電膜を形成す 際に投入電力を大きくして成膜速度を高め うとしても、アーキングの原因となるノジ ールの発生を抑制することができ、青色光 吸収の少ない、低抵抗の透明導電膜が得ら ることを見出すとともに、(3)ガリウムの含 量がGa/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~30原子%であり かつ、スズ、又はゲルマニウムから選ばれ 1種以上の含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比 で1~11原子%とすることによっても、同様にア キングの原因となるノジュールの発生を抑 することができ、青色光の吸収の少ない、 抵抗の透明導電膜が得られることを見出し 本発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明の第1の発明によれば、イ ンジウムとガリウムを酸化物として含有する 酸化物焼結体において、ビックスバイト型構 造のIn 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、又はGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相が平均粒径5μm以下の結晶粒として微細に 散しており、ガリウムの含有量がGa/(In+Ga)原 数比で10原子%以上35原子%未満であることを 徴とする酸化物焼結体が提供される。

 また、本発明の第2の発明によれば、第1の 明において、ガリウムの含有量が、Ga/(In+Ga) 子数比で10~25原子%であることを特徴とする 化物焼結体が提供される。
 また、本発明の第3の発明によれば、第1又 2の発明に係り、下記の式で定義されるX線回 折ピーク強度比が8%~58%であることを特徴とす る酸化物焼結体が提供される。
  I[GaInO 3 相(111)]/{I[In 2 O 3 相(400)]+I[GaInO 3 相(111)]}×100 [%]
(式中、I[In 2 O 3 相(400)]は、ビックスバイト型構造をとるIn 2 O 3 相の(400)ピーク強度であり、I[GaInO 3 相(111)]は、β-Ga 2 O 3 型構造をとる複合酸化物β-GaInO 3 相(111)ピーク強度を示す)

 一方、本発明の第4の発明によれば、インジ ウムとガリウムを酸化物として含有する酸化 物焼結体において、ビックスバイト型構造の In 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、又はGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相が平均粒径5μm以下の結晶粒として微細に 散しており、インジウムとガリウムのほか 、さらにスズ、又はゲルマニウムから選ば る1種以上の添加成分を含有し、ガリウムの 有量がGa/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~30原子%であ 、かつ、添加成分の含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+G e)原子数比で1~11原子%であることを特徴とす 酸化物焼結体が提供される。
 さらに、本発明の第5の発明によれば、第4 発明において、ガリウムの含有量が、Ga/(In+G a+Sn+Ge)原子数比で2~20原子%であり、かつスズ 又はゲルマニウムから選ばれる1種以上の含 量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~10原子%で ることを特徴とする酸化物焼結体が提供さ る。
 また、本発明の第6の発明によれば、第4又 5の発明に係り、下記の式で定義されるX線回 折ピーク強度比が4%~84%であることを特徴とす る酸化物焼結体が提供される。
  I[GaInO 3 相(-111)]/{I[In 2 O 3 相(400)]+I[GaInO 3 相(-111)]}×100 [%]
(式中、I[In 2 O 3 相(400)]は、ビックスバイト型構造をとるIn 2 O 3 相の(400)ピーク強度であり、I[GaInO 3 相(-111)]は、β-Ga 2 O 3 型構造をとる複合酸化物β-GaInO 3 相(-111)ピーク強度を示す)

 また、本発明の第7の発明によれば、第1~6の いずれかの発明において、酸化インジウム粉 末と酸化ガリウム粉末を含む原料粉末を混合 するか、この原料粉末に酸化スズ粉末及び/ は酸化ゲルマニウム粉末を添加して混合し 後、混合粉末を成形し、成形物を常圧焼成 によって焼結するか、あるいは混合粉末を ットプレス法によって成形し焼結する酸化 焼結体の製造方法であって、原料粉末の平 粒径を1μm以下とすることにより、ビックス イト型構造のIn 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にGaInO 3 相、またはGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる平均粒径5μm以下の結晶粒が微細 散した酸化物焼結体とすることを特徴とす 請求項1~6のいずれかに記載の酸化物焼結体 製造方法が提供される。
 また、本発明の第8の発明によれば、第7の 明において、常圧焼成法を採用し、成形体 酸素の存在する雰囲気において、1250~1450℃ 10~30時間焼結することを特徴とする酸化物焼 結体の製造方法が提供される。
 また、本発明の第9の発明によれば、第7の 明において、常圧焼成法を採用し、成形体 酸素の存在する雰囲気において、1000~1250℃ 10~30時間焼結することを特徴とする酸化物焼 結体の製造方法が提供される。
 また、本発明の第10の発明によれば、第7の 明において、ホットプレス法を採用し、混 粉末を不活性ガス雰囲気又は真空中におい 、2.45~29.40MPaの圧力下、700~950℃で1~10時間成 し焼結することを特徴とする酸化物焼結体 製造方法が提供される。

 一方、本発明の第11の発明によれば、第1~6 いずれかの発明に係わり、前記酸化物焼結 を加工して得られるターゲットが提供され 。
 一方、本発明の第12の発明によれば、第8又 9の発明のいずれかの方法によって製造され る酸化物焼結体を加工して得られ、酸化物焼 結体の密度が6.3g/cm 3 以上であって、スパッタリング法による透明 導電膜の形成に用いられることを特徴とする ターゲットが提供される。
 また、本発明の第13の発明によれば、第9の 明の方法によって製造される酸化物焼結体 加工して得られ、酸化物焼結体の密度が3.4~ 5.5g/cm 3 であって、イオンプレーティング法による透 明導電膜の形成に用いられることを特徴とす るターゲットが提供される。

 一方、本発明の第14の発明によれば、第11~13 のいずれかの発明のターゲットを用いて、ス パッタリング法又はイオンプレーティング法 で基板上に形成して得られる非晶質の透明導 電膜が提供される。
 また、本発明の第15の発明によれば、第14の 発明において、膜中のガリウムの含有量が、 Ga/(In+Ga)原子数比で10原子%以上35原子%未満で ることを特徴とする透明導電膜が提供され 。
 また、本発明の第16の発明によれば、第14の 発明において、膜中のガリウムの含有量がGa/ (In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~30原子%であり、かつ、 スズ、又はゲルマニウムから選ばれる1種以 の含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で1~11原 %であることを特徴とする透明導電膜が提供 される。
また、本発明の第17の発明によれば、第14~16 いずれかの発明において、スパッタリング 、直流電力密度1.10~3.29W/cm 2 を投入してもアーキングが発生しない条件で 行われることを特徴とする透明導電膜が提供 される。
 また、本発明の第18の発明によれば、第14~15 のいずれかの発明において、算術平均高さRa 1.0nm以下であることを特徴とする透明導電 が提供される。
 また、本発明の第19の発明によれば、第14~18 のいずれかの発明において、波長400nmにおけ 消衰係数が、0.04以上であることを特徴とす る透明導電膜が提供される。
 また、本発明の第20の発明によれば、第14~19 のいずれかの発明において、比抵抗が2×10 -3 ω・cm以下であることを特徴とする透明導電 が提供される。

 一方、本発明の第21の発明によれば、第12~20 のいずれかの発明において、透明基板の片面 若しくは両面に透明導電膜が形成されてなる 透明導電性基材が提供される。
また、本発明の第22の発明によれば、第21の 明において、透明基板が、ガラス板、石英 、樹脂板若しくは樹脂フィルムのいずれか あることを特徴とする透明導電性基材が提 される。
 また、本発明の第23の発明によれば、第21の 発明において、樹脂板もしくは樹脂フィルム が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエー テルスルホン、ポリアリレート、又はポリカ ーボネートを材料とする単一体、若しくはそ の表面をアクリル系有機物で覆った積層構造 体のいずれかであることを特徴とする透明導 電性基材が提供される。
 また、本発明の第24の発明によれば、第21の 発明において、樹脂板若しくは樹脂フィルム が、その片面若しくは両面がガスバリア膜で 覆われるか、中間にガスバリア膜が挿入され た積層体であることを特徴とする透明導電性 基材が提供される。
 さらに、本発明の第24の発明によれば、第23 の発明において、前記ガスバリア膜が、酸化 シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、アルミニ ウム酸マグネシウム膜、酸化スズ系膜又はダ イヤモンド状カーボン膜から選ばれる1種以 であることを特徴とする透明導電性基材が 供される。

 本発明のガリウムとインジウムからなる酸 物焼結体は、ビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、又はGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相が平均粒径5μm以下の結晶粒として微細に 散しており、酸化物焼結体中のガリウム含 量がGa/(In+Ga)原子数比で10原子%以上35原子%未 であるか、または、ガリウムの含有量がGa/( In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~30原子%であり、かつ、 ズ、又はゲルマニウムから選ばれる1種以上 の含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で1~11原 %であることにより、スパッタリング法やイ ンプレーティング法で酸化物透明導電膜を るとき成膜速度を高めても、アーキングの 因となるノジュール発生を抑制することが き、成膜速度を高めるような成膜条件への 行も可能となり、その結果、青色光の吸収 少ない、インジウムとガリウムを含有する 抵抗の透明導電膜を得ることができ、工業 に極めて有用である。

図1は、本発明の酸化物焼結体を走査型 電子顕微鏡(SEM)で観察したSEM画像である。 図2は、本発明の酸化物焼結体をX線回 した結果を示すチャートである。 図3は、酸化物焼結体を加工したターゲ ットでスパッタリングした時の投入直流電力 とアーキング発生回数の関係を示すグラフで ある。

 以下に、本発明の酸化物焼結体とその製 方法、ターゲット、及びそれを用いて得ら る透明導電膜ならびに透明導電性基材につ て詳細に説明する。

1.酸化物焼結体
 これまで、インジウムとガリウムを含む酸 物からなる透明導電膜スパッタリング用タ ゲットあるいはイオンプレーティング用タ レットが提案されているが、その材料とな 酸化物焼結体では、スパッタリング法やイ ンプレーティング法で酸化物透明導電膜を るときの製造条件と酸化物焼結体の構成相 組織との最適化などが十分に検討されてい かった。本発明では、酸化物焼結体の構成 と組織が及ぼす成膜速度ならびにアーキン の原因となるノジュール発生への影響に関 て明らかにしたものである。

 本発明において、インジウムとガリウム 酸化物として含有する酸化物焼結体には、 定の相構造を有し、ガリウムの含有量がGa/( In+Ga)原子数比で10原子%以上35原子%未満である もの(以下、これを第一の酸化物焼結体とい )と、インジウムとガリウムの他に、さらに ズ、又はゲルマニウムから選ばれる1種以上 を含有し、ガリウムの含有量がGa/(In+Ga+Sn+Ge) 子数比で2~30原子%であり、かつ、スズ、又は ゲルマニウムから選ばれる1種以上の含有量 (Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で1~11原子%であるも の(以下、これを第二の酸化物焼結体という) 二種類がある。

(I)第一の酸化物焼結体
 本発明の第一の酸化物焼結体は、インジウ とガリウムを酸化物として含有する酸化物 結体において、JCPDSカード06-0416に記載され ビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にJCPDSカー 21-0334に記載されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、又はGaInO 3 相とJCPDSカード14-0564に記載された(Ga,In) 2 O 3 相が平均粒径5μm以下の結晶粒として微細に 散しており、ガリウムの含有量がGa/(In+Ga)原 数比で10原子%以上35原子%未満であることを 徴とする。

(a)組成と焼結体組織
 本発明において第一の酸化物焼結体の組成 、該酸化物焼結体を用いてスパッタリング やイオンプレーティング法で得られる透明 電膜が、青色光の吸収が少なく、低抵抗を すためには、ガリウム含有量がGa/(In+Ga)原子 数比で10原子%以上35原子%未満であることが必 要である。
 酸化物焼結体が上記組成範囲であるだけで く、焼結体組織は、ビックスバイト型構造 In 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、又はGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相が平均粒径5μm以下の結晶粒として微細に 散している。
 上記ガリウムが固溶したビックスバイト型 造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、(Ga,In) 2 O 3 相は、インジウムの一部がガリウムによって 置換される、あるいは、ガリウムの一部がイ ンジウムによって置換されていてもよく、化 学量論組成からの多少のずれ、金属元素の欠 損、または酸素欠損を含んでいても構わない 。なお、(Ga,In) 2 O 3 相は、常圧焼結において焼結温度1500℃以上 高温で形成される相である。(Ga,In) 2 O 3 相は、GaInO 3 相より電気抵抗がやや高く、成膜速度はやや 低いが、少量の存在であれば問題にはならな い。

 しかし、多量に存在すると成膜速度が低下 、生産性が低下するなどの問題が生じる。 明導電膜の青色光の吸収を少なくするため は、前記特許文献1にも記載されているよう に、透明導電膜を得るためのターゲットに用 いる酸化物焼結体中にインジウムとガリウム で構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相が含まれていることが必要であり、さらに (Ga,In) 2 O 3 相が含まれていてもよい。

 また、本発明の第一の酸化物焼結体は、上 のようにガリウムが固溶したビックスバイ 型構造のIn 2 O 3 相が主相であって、インジウムとガリウムで 構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相が少ないことから、下記の式(1)で定義され るX線回折ピーク強度比が8%~58%であることを 徴としている。X線回折ピーク強度比が8%未 であると、酸化物焼結体中のGaInO 3 相が少なくなりすぎて透明導電膜による青色 光の吸収が大きくなってしまい、一方、58%を 超えると形成される透明導電膜の比抵抗が高 くなりすぎる、あるいはスパッタリングの際 にアーキングが多発するなどの問題が生じる ため好ましくない。
  I[GaInO 3 相(111)]/{I[In 2 O 3 相(400)]+I[GaInO 3 相(111)]}×100 [%]   (1)
(式中、I[In 2 O 3 相(400)]は、ビックスバイト型構造をとるIn 2 O 3 相の(400)ピーク強度であり、I[GaInO 3 相(111)]は、β-Ga 2 O 3 型構造をとる複合酸化物β-GaInO 3 相(111)ピーク強度を示す)

(b)ガリウム含有量
 第一の酸化物焼結体におけるガリウムの含 量は、Ga/(In+Ga)原子数比で10原子%以上35原子% 未満である。
 ガリウム含有量がGa/(In+Ga)原子数比で10原子% 未満の場合は、酸化物焼結体は、ほとんどガ リウムが固溶したビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相のみによって構成される。したがって、上 記複合酸化物相を含んでおらず、上記の光学 特性を有する透明導電膜を形成することがで きない。

 一方、ガリウム含有量がGa/(In+Ga)原子数比で 35原子%を超える場合には、酸化物焼結体中に インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相や(Ga,In) 2 O 3 相が含まれているが、この割合が増加してし まい、主として、上記2相が存在し、その中 、ガリウムが固溶したビックスバイト型構 のIn 2 O 3 相が存在するようになってしまう。このよう な酸化物焼結体は、特許文献4の従来のもの 同等であり、スパッタリング法等では成膜 度が遅いβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相や(Ga,In) 2 O 3 相が多くなったために、成膜速度が低下し、 工業的に生産効率が低下してしまう。また、 形成される透明導電膜の比抵抗は、2×10 -3 ω・cm以下を示すことは困難であり、さらに 本発明の実質的な目標となる10 -4 ω・cm台には到底及ばない。

(c)焼結体組織とノジュール
 本発明の酸化物焼結体を加工して、例えば 直流スパッタリング用ターゲットとした場 、ターゲット表面にはIn 2 O 3 相とGaInO 3 相、および/または(Ga,In) 2 O 3 相の結晶粒が存在するが、体積比率で比較す ると、酸化物焼結体中のガリウム含有量がGa/ (In+Ga)原子数比で10原子%以上35原子%未満であ と、上記したようにIn 2 O 3 相の結晶粒の体積比率が高いものとなる。こ のターゲットであれば、通常はターゲット表 面にノジュールが発生することはない。しか し、インジウムとガリウムが上記組成範囲の 酸化物焼結体であっても、ターゲット表面に ノジュールが発生する問題が起こる場合があ る。

 それは、GaInO 3 相ならびに(Ga,In) 2 O 3 相が多量に存在する場合である。GaInO 3 相ならびに(Ga,In) 2 O 3 相は、In 2 O 3 相と比較すると電気抵抗が高く、また複合酸 化物特有の強い化学結合を有するため、スパ ッタリングされにくい。一般的なITOの酸化物 焼結体は、平均粒径10μm程度の粗大なIn 2 O 3 相の結晶粒で構成されているが、上記組成範 囲のインジウムとガリウムを含有する酸化物 焼結体が、ITOと同じような粗大な結晶粒で構 成された場合は、In 2 O 3 相の結晶粒が優先的にスパッタリングされる 一方で、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相の結晶粒のスパッタリングは進行せず、GaI nO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相の粗大な結晶粒がターゲット表面に掘れ残 ってしまう。この掘れ残りを起点とし、次第 にノジュールが成長するようになり、アーキ ングなどの異常放電が頻発するようになって しまう。

 上記掘れ残り、すなわちノジュールを抑制 るためには、上記組成範囲のインジウムと リウムを含有する酸化物焼結体の組織を微 化することが必要である。すなわち、該酸 物焼結体中のGaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相の結晶粒を微細分散させることが有効であ る。そもそもGaInO 3 相ならびに(Ga,In) 2 O 3 相は導電体であるため、それ自身が異常放電 の原因となることはなく、微細分散されるこ とによってノジュール成長の起点となりにく くなるのである。

 図1に、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相の結晶粒を微細分散させた例として、ガリ ウムがGa/(In+Ga)原子数比で20原子%含まれた酸 物焼結体の走査型電子顕微鏡(SEM)によるSEM像 を示す。白色のマトリクス中に、不定形の黒 い粒が点在している。EDS(Energy Dispersive Spectr oscopy)分析の結果、黒色の結晶粒は、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相であり、周囲の白色の結晶粒がIn 2 O 3 相の結晶粒であることが分かっている。GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相の結晶粒は、平均粒径が5μm以下であり、 た、この酸化物焼結体を加工したターゲッ を用いると、スパッタリングにおいて掘れ りを起点としたノジュール発生はほとんど きなかった。これにより、図1のようにIn 2 O 3 相の中にGaInO 3 相が微細分散された組織であればスパッタリ ングにおけるノジュール抑制に有効であるこ とが明らかである。

 したがって、ノジュール抑制のためには、G aInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の平均粒径が5μm以下であ ことが必要である。さらには、3μm以下に制 されることが好ましい。なお、酸化物焼結 中のガリウム含有量が10原子%未満の場合は 上記したように、In 2 O 3 単相構造となるため、本発明のGaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相の微細な結晶粒を分散することによるノジ ュール抑制方法は有効ではない。
 このように酸化物焼結体中のGaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相の分散状態が規定されるとともに、In 2 O 3 相との構成比も規定される。本発明の酸化物 焼結体における、主相のIn 2 O 3 相と分散相のGaInO 3 相の構成比は、前出の(1)式で定義されるX線 折ピーク強度比で8~58%である。これに対して 、本出願人による特許文献4では、透明導電 製造用焼結体ターゲットのガリウム含有量 、Ga/(In+Ga)原子数比で35原子%以上45原子%以下 あり、本発明とは組成範囲が異なっている のの、下記の(2)式で定義されるX線回折ピー ク強度比は50~110%である、すなわち前出の(1) で定義されるX線回折ピーク強度比に換算す と48~67%であることが記載されており、本発 とX線回折ピーク強度比範囲が一部重なって いる。これは、主に原料粉末の平均粒径の差 によって生じたGaInO 3 相の粒径や分散性の違い、および焼結反応に おける拡散挙動の違いが影響したものと推測 される。
I[In 2 O 3 相(400)]/I[GaInO 3 相(111)]×100 [%]   (2)
(式中、I[In 2 O 3 相(400)]は、ビックスバイト型構造をとるIn 2 O 3 相の(400)ピーク強度であり、I[GaInO 3 相(111)]は、β-Ga 2 O 3 型構造をとる複合酸化物β-GaInO 3 相(111)ピーク強度を示す)
 一般に、酸化物焼結体を構成する結晶粒を 細化することによって、強度の向上が図ら ている。本発明においても、上記焼結体組 を有していることから、投入する直流電力 高めたことにより熱などによる衝撃を受け も、酸化物焼結体が割れにくいものとなる

(II)第二の酸化物焼結体
 また、本発明の第二の酸化物焼結体は、イ ジウムとガリウムを酸化物として含有する 化物焼結体において、ビックスバイト型構 のIn 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、又はGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相が平均粒径5μm以下の結晶粒として微細に 散しており、インジウムとガリウムの他に さらにスズ、又はゲルマニウムから選ばれ 1種以上の添加成分を含有し、ガリウムの含 量がGa/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~30原子%であり かつ、添加成分の含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge) 子数比で1~11原子%であることを特徴とする

 すなわち、本発明においては、インジウ とガリウムを含有する酸化物焼結体には、 らにスズ、ゲルマニウム、シリコン、ニオ 、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、セ ウム、モリブデン、又はタングステンから ばれる1種以上の添加成分を含むことができ る。添加成分として、特に有効なのはスズ、 ゲルマニウムである。添加成分の含有量は、 特に制限されるわけではないが、(Sn+Ge)/(In+Ga+ Sn+Ge)原子数比で1~11原子%であることが好まし 。より好ましい添加成分の含有量は、2~10原 子%である。

 酸化物焼結体がスズ、ゲルマニウムから選 れる1種以上の添加成分を含有することによ って、酸化物焼結体の比抵抗が低下し成膜速 度が向上するだけでなく、形成された透明導 電膜の比抵抗がより低下する。この場合、ス ズ、ゲルマニウムから選ばれる1種以上の含 量は(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で1原子%未満で は効果が得られず、11原子%を超えると、かえ って本発明の目的を損なうことがある。なお 、形成された透明導電膜の低比抵抗化を考慮 すると、スズ、ゲルマニウムから選ばれる1 以上の含有量は(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~ 10原子%であることがより好ましい。また、工 業的に有用な低温成膜の条件で、可視域短波 長側、すなわち、青色光の吸収を低下させる 必要がある場合、スズ、ゲルマニウムから選 ばれる1種以上を添加すると上記特性が損な れる場合がある。低温成膜の場合、形成さ た非晶質膜のスズ、ゲルマニウムから選ば る1種以上の一部が光吸収の大きいSnO、GeOと る場合があると考えられるためである。
 上記原子比の範囲のスズ、ゲルマニウムか 選ばれる1種以上を含有する場合、ガリウム の含有量はGa/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~30原子%と することが好ましい。より好ましいガリウム の含有量は、2~20原子%である。スズ、ゲルマ ウムを含有しない場合に比べて、より低Ga 子比が本発明の組成範囲に含まれる理由は スズ、ゲルマニウムを含有する場合には、 じGa原子比であっても、前記のGaInO 3 相および(Ga,In) 2 O 3 相がより多量に形成されるためである。Ga原 比がこの範囲より低い場合には、前記のス 、ゲルマニウムを含有しない場合と同様に 酸化物焼結体は、ガリウムが固溶したビッ スバイト型構造のIn 2 O 3 相のみによって構成されるため好ましくない 。一方、この範囲を超える場合には、GaInO 3 相、或いはGaInO 3 相および(Ga,In) 2 O 3 相が主相となり、In 2 O 3 相が分散相となる。これを、例えばスパッタ リングターゲットなどに用いて成膜した場合 、そもそも懸案となるノジュールの問題は起 こらない。また、成膜速度が低下してしまう だけでなく、形成された透明導電膜が低比抵 抗を示すことも困難になってしまう。

 また、上記原子比の範囲のスズ、ゲルマニ ムから選ばれる1種以上を含有する場合、す なわち第二の酸化物焼結体においても、第一 の酸化物焼結体と同様に、ガリウムが固溶し たビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相を主相とし、インジウムとガリウムで構成 されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相を分散相とする。しかし、第一の酸化物焼 結体と異なる点は、スズ、ゲルマニウムから 選ばれる1種以上が添加されることによって GaInO 3 相に配向性が生じる点である。そのため、X 回折ピーク強度比を前記式(1)ではなく、下 (3)で定義することが好ましい。このとき、 式(3)で定義されるX線回折ピーク強度比が4%~8 4%であることが好ましい。
 I[GaInO 3 相(-111)]/{I[In 2 O 3 相(400)]+I[GaInO 3 相(-111)]}×100 [%]   (3)
(式中、I[In 2 O 3 相(400)]は、ビックスバイト型構造をとるIn 2 O 3 相の(400)ピーク強度であり、I[GaInO 3 相(-111)]は、β-Ga 2 O 3 型構造をとる複合酸化物β-GaInO 3 相(-111)ピーク強度を示す)

 第二の酸化物焼結体では、スズ、ゲルマニ ムから選ばれる1種以上がGaInO 3 相に固溶するために、(-111)面が優先的に成長 するような配向性が生じるものと推定される 。配向性のために、見かけ上、式(3)で定義さ れるX線回折ピーク強度比がとる値の範囲は 前記式(1)のそれより広くなる。なお、X線回 ピーク強度比が4%未満であると、酸化物焼 体中のGaInO 3 相が少なくなりすぎて透明導電膜による青色 光の吸収が大きくなってしまい、一方、84%を 超えると形成される透明導電膜の比抵抗が高 くなりすぎる、あるいはスパッタリングの際 にアーキングが多発するなどの問題が生じる ため好ましくない。
 また、ノジュール抑制のためには、第二の 化物焼結体についても、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の平均粒径が5μm以下であ ことが必要であり、3μm以下に制御されるこ がより好ましい点は、第一の酸化物焼結体 同じである。
 なお、スズ、ゲルマニウムから選ばれる1種 以上が添加することによって、異なる複合酸 化物相が多少生じる場合がある。例えば、JCP DSカード51-0204に記載されたGa 2.4 In 5.6 Sn 2 O 16 相、JCPDSカード51-0205に記載されたGa 2 In 6 Sn 2 O 16 相、あるいはJCPDSカード51-0206に記載されたGa 1.6 In 6.4 Sn 2 O 16 相など、一般式Ga 3-x In 5+x Sn 2 O 16 (0.3<x<1.5)で表される正方晶の複合酸化物 などが挙げられる。これら複合酸化物相の 電性などの諸特性は、In 2 O 3 相には及ばないものの、GaInO 3 相と同等の特性を有しているため、酸化物焼 結体中に若干量が分散していても、スパッタ リングなどの成膜においては何ら問題ない。 また、形成された透明導電膜も同等の諸特性 を示し、何ら問題ない。当然ながら、酸化物 焼結体中におけるこれら複合酸化物相の結晶 粒の平均粒径は、ノジュール抑制のために、 GaInO 3 相と同様に、5μm以下であることが必要であ 、3μm以下に制御されることがより好ましい

 また、本発明の酸化物焼結体は、実質的にZ nを含まないことが望ましい。亜鉛を含んだ 合、これを原料として形成される透明導電 の可視光の吸収が大きくなってしまうため ある。低温成膜の場合、透明導電膜中で亜 が金属のような状態で存在するためと考え れる。
 なお、スズ、ゲルマニウム、および亜鉛に いて述べたが、これらをはじめ、例えば、 リコン、ニオブ、チタン、ジルコニウム、 フニウム、セリウム、モリブデン、タング テン、さらにはイリジウム、ルテニウム、 ニウムなどが、不純物元素として含まれて ても差し支えない。

2.酸化物焼結体の製造方法
 本発明の酸化物焼結体の製造方法は、酸化 ンジウム粉末と酸化ガリウム粉末を含む原 粉末を混合するか、この原料粉末に酸化ス 粉末及び/又は酸化ゲルマニウム粉末を添加 して混合した後、混合粉末を成形し、成形物 を常圧焼成法によって焼結するか、あるいは 混合粉末をホットプレス法によって成形し焼 結する酸化物焼結体の製造方法であって、原 料粉末の平均粒径を1μm以下とすることによ 、ビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相が主たる結晶相となり、その中にGaInO 3 相、またはGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる平均粒径5μm以下の結晶粒が微細 散した酸化物焼結体とすることを特徴とす 。

 すなわち、上記の相構成ならびに各相の組 を有する酸化物焼結体の性能は、酸化物焼 体の製造条件、例えば原料粉末の粒径、混 条件および焼成条件に大きく依存する。
本発明の酸化物焼結体は、平均粒径1μm以下 調整した酸化インジウム粉末および酸化ガ ウム粉末を原料粉末として用いることが必 である。本発明の酸化物焼結体の組織とし は、In 2 O 3 相が主相となり、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の平均粒径が5μm以下であ 組織がともに存在する必要がある。GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒は主相中に微細に分散して おり、平均粒径が3μm以下である組織がより ましい。なお、第二の酸化物焼結体に生じ 可能性のある別の複合酸化物、例えば、Ga 2.4 In 5.6 Sn 2 O 16 相、Ga 2 In 6 Sn 2 O 16 相およびGa 1.6 In 6.4 Sn 2 O 16 相なども、同様の微細組織であることが好ま しい。

 このような微細な組織を形成するためには 原料粉末の平均粒径を1μm以下に調整するこ とが必要である。平均粒径1μmを超えた酸化 ンジウム粉末や酸化ガリウム粉末を原料粉 に用いると、得られる酸化物焼結体中に主 となるIn 2 O 3 相とともに存在するGaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の平均粒径が5μmを超えて まう。前記の通り、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相の平均粒径が5μmを超える大きな結晶粒は スパッタリングされにくいのでスパッタリ グを続けると、ターゲット表面の比較的大 な残留物となり、これがノジュールの起点 なって、アーキングなど異常放電の原因と ってしまう。前記特許文献4には、GaInO 3 相、あるいはGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の存在が示されているが、 結晶粒の組織とノジュールの抑制の関係には 着目していない。

 酸化インジウム粉末は、ITO(インジウム-ス 酸化物)の原料であり、焼結性に優れた微細 酸化インジウム粉末の開発は、ITOの改良と もに進められてきた。そして、現在でもITO 原料として大量に使用されているため、平 粒径1μm以下の原料粉末を入手することは容 易である。ところが、酸化ガリウム粉末の場 合、酸化インジウム粉末に比べて使用量が少 ないため、平均粒径1μm以下の原料粉末を入 することは困難である。したがって、粗大 酸化ガリウム粉末を平均粒径1μm以下まで粉 することが必要である。また、第二の酸化 焼結体を得るために添加される酸化スズ粉 や酸化ゲルマニウム粉末の状況は、それぞ 酸化インジウム粉末、酸化ガリウムの場合 同様の状況にあり、酸化ゲルマニウムにつ ては粗大な粉末を平均粒径1μm以下に粉砕す る必要がある。
 本発明の酸化物焼結体を得るためには、酸 インジウム粉末と酸化ガリウム粉末を含む 料粉末を混合した後、混合粉末を成形し、 形物を常圧焼成法によって焼結するか、あ いは混合粉末をホットプレス法によって成 し焼結する。常圧焼成法は、簡便かつ工業 に有利な方法であって好ましい手段である 、必要に応じてホットプレス法も用いるこ ができる。

 常圧焼成法を用いる場合、まず成形体を作 する。原料粉末を樹脂製ポットに入れ、バ ンダー(例えば、PVA)などともに湿式ボール ル等で混合する。本発明の、主相となるIn 2 O 3 相とともに存在する、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の平均粒径が5μm以下であ 、結晶粒が微細分散した酸化物焼結体を得 ためには、上記ボールミル混合を18時間以上 行うことが好ましい。この際、混合用ボール としては、硬質ZrO 2 ボールを用いればよい。混合後、スラリーを 取り出し、濾過、乾燥、造粒を行う。その後 、得られた造粒物を、冷間静水圧プレスで9.8 MPa(0.1ton/cm 2 )~294MPa(3ton/cm 2 )程度の圧力をかけて成形し、成形体とする
 常圧焼成法の焼結工程では、酸素の存在す 雰囲気において所定の温度範囲に加熱する 温度範囲は、焼結体をスパッタリング用と るかイオンプレーティング用とするかによ て決定する。スパッタリング用であれば、1 250~1450℃、より好ましくは焼結炉内の大気に 素ガスを導入する雰囲気において1300~1400℃ 焼結する。焼結時間は10~30時間であること 好ましく、より好ましくは15~25時間である。
 一方、イオンプレーティング用であれば、 形体を酸素の存在する雰囲気において、1000 ~1200℃で10~30時間焼結する。より好ましくは 結炉内の大気に酸素ガスを導入する雰囲気 おいて1000~1100℃で焼結する。焼結時間は15~25 時間であることが好ましい。

焼結温度を上記範囲とし、前記の平均粒径1μ m以下に調整した酸化インジウム粉末および 化ガリウム粉末を原料粉末として用いるこ で、In 2 O 3 相マトリックス中に、結晶粒の平均粒径が5μ m以下、より好ましくは3μm以下のGaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒が微細分散した緻密な酸化 物焼結体を得ることが可能である。
 焼結温度が低すぎると焼結反応が十分進行 ない。特に密度6.0g/cm 3 以上の酸化物焼結体を得るためには、1250℃ 上が望ましい。一方、焼結温度が1450℃を超 ると、(Ga,In) 2 O 3 相の形成が著しくなり、In 2 O 3 相およびGaInO 3 相の体積比率が減少し、酸化物焼結体を上記 の微細分散した組織に制御することが困難と なる。
 焼結雰囲気は、酸素の存在する雰囲気が好 しく、焼結炉内の大気に酸素ガスを導入す 雰囲気であれば、なお一層好ましい。焼結 の酸素の存在によって、酸化物焼結体の高 度化が可能となる。焼結温度まで昇温する 合、焼結体の割れを防ぎ、脱バインダーを 行させるためには、昇温速度を0.2~5℃/分の 囲とすることが好ましい。また、必要に応 て、異なる昇温速度を組み合わせて、焼結 度まで昇温してもよい。昇温過程において 脱バインダーや焼結を進行させる目的で、 定温度で一定時間保持してもよい。焼結後 冷却する際は酸素導入を止め、1000℃までを 0.2~5℃/分、特に、0.2℃/分以上1℃/分未満の範 囲の降温速度で降温することが好ましい。

 本発明においてホットプレス法を採用する 合、混合粉末を不活性ガス雰囲気又は真空 において、2.45~29.40MPaの圧力下、700~950℃で1~ 10時間成形し焼結する。ホットプレス法は、 記の常圧焼成法と比較して、酸化物焼結体 原料粉末を還元雰囲気下で成形、焼結する め、焼結体中の酸素含有量を低減させるこ が可能である。しかし、950℃を超える高温 は酸化インジウムが還元され、金属インジ ムとして溶融するため注意が必要である。
 本発明のホットプレス法による酸化物焼結 の製造条件の一例を挙げる。すなわち、平 粒径1μm以下の酸化インジウム粉末ならびに 平均粒径1μm以下の酸化ガリウム粉末、ある は、さらに平均粒径1μm以下の酸化スズ粉末 平均粒径1μm以下の酸化ゲルマニウム粉末を 原料粉末とし、これらの粉末を、所定の割合 になるように調合する。
 調合した原料粉末を、常圧焼成法のボール ル混合と同様、好ましくは混合時間を18時 以上とし、十分混合し造粒までを行う。次 、造粒した混合粉末をカーボン容器中に給 してホットプレス法により焼結する。焼結 度は700~950℃、圧力は2.45MPa~29.40MPa(25~300kgf/cm 2 )、焼結時間は1~10時間程度とすればよい。ホ トプレス中の雰囲気は、アルゴン等の不活 ガス中または真空中が好ましい。

 スパッタリング用ターゲットを得る場合、 り好ましくは、焼結温度は800~900℃、圧力は 9.80~29.40MPa(100~300kgf/cm 2 )、焼結時間は1~3時間とすればよい。また、 オンプレーティング用ターゲットを得る場 、より好ましくは、焼結温度は700~800℃、圧 は2.45~9.80MPa(25~100kgf/cm 2 )、焼結時間は1~3時間とすればよい。

 なお、前記特許文献2では、酸化物焼結体の 作製条件について、Ga 2 O 3 およびIn 2 O 3 の各粉末をそれぞれ33.0、67モル%のモル分率 均一に混合した後、アルゴン中1000℃で5時間 焼成した旨(実施例1)記載されている。ところ がGa 2 O 3 およびIn 2 O 3 粉末の平均粒径の記載はなく、1000℃の比較 低温で焼成している。このようにして製造 れたターゲットでは、焼結が進行せず低密 となるため、スパッタリングにおいて高い 流電力を投入するとアーキングが多発する また、特にGa 2 O 3 粉末を微細な粉末に調整するなどの記載がな いことから、平均粒径1μmを超える粗大な粉 を用いていることが推測され、その場合に 、原料となる酸化物焼結体の組織が、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒が平均粒径5μmを大幅に越 ることになり、成膜速度を高めたスパッタ ングによってノジュールが発生する。

3.ターゲット
 本発明のターゲットは、上記酸化物焼結体 所定の大きさに切断、表面を研磨加工し、 ッキングプレートに接着して得ることがで る。本発明においてターゲットは、スパッ リング用ターゲットとイオンプレーティン 用ターゲットとが含まれる。
 スパッタリング用ターゲットの場合、密度 6.3g/cm 2 以上であることが好ましい。密度が6.3g/cm 3 未満である場合、クラックや割れ、ノジュー ル発生の原因となる。また、イオンプレーテ ィング用ターゲットとして用いる場合、密度 が3.4~5.5g/cm 3 に制御されることが好ましい。3.4g/cm 3 を下回ると、焼結体自体の強度が劣るため、 僅かな局所的熱膨張に対してもクラックや割 れが起こりやすくなる。密度が5.5g/cm 3 を上回ると、電子ビーム投入時に局部に発生 した応力や歪みを吸収することができずに、 クラックが生じやすくなる。

 上記酸化物焼結体の製造方法において、 パッタリング用ターゲットとイオンプレー ィング用ターゲットとで焼成条件が異なる は、このためである。スパッタリング用で 、常圧焼成法を採用し、成形体を酸素の存 する雰囲気において、1250~1450℃で10~30時間 結するか、あるいはホットプレス法を採用 、混合粉末を不活性ガス雰囲気又は真空中 おいて、2.45~29.40MPaの圧力下、700~950℃で1~10 間成形し焼結することが好ましい。また、 オンプレーティング用では、常圧焼成法を 用し、成形体を酸素の存在する雰囲気にお て、1000~1200℃で10~30時間焼結して、密度範囲 を上記の通りスパッタリング用ターゲットよ りも低くすることが好ましい。

4.インジウムとガリウムを含有する透明導電 とその成膜方法
 本発明の透明導電膜は、上記ターゲットを いて、スパッタリング法又はイオンプレー ィング法で基板上に形成して得られる非晶 の透明導電膜である。

 本発明の透明導電膜には、ガリウムの含 量がGa/(In+Ga)原子数比で10原子%以上35原子%未 満であるもの(以下、これを第一の透明導電 という)と、インジウムとガリウムのほかに さらにスズ、又はゲルマニウムから選ばれ 1種以上を含有し、ガリウムの含有量がGa/(In +Ga+Sn+Ge)原子数比で2~30原子%であり、かつ、ス ズ、又はゲルマニウムから選ばれる1種以上 含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で1~11原子% であるもの(以下、これを第二の透明導電膜 いう)の二種類がある。

 透明導電膜を成膜するスパッタリング法等 は、成膜速度を向上させるために、投入す 直流電力を高めることが一般的に行われて る。本発明において、インジウムとガリウ を含有する第一の酸化物焼結体は、上記の り、該酸化物焼結体中のIn 2 O 3 相とGaInO 3 相、あるいは、In 2 O 3 相とGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相の結晶粒が微細化されており、酸化物焼結 体中のガリウム含有量がGa/(In+Ga)原子数比で10 ~30原子%、また、第二の酸化物焼結体は、ガ ウムの含有量がGa/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~30原 子%であり、かつ、スズ、又はゲルマニウム ら選ばれる1種以上の含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+G e)原子数比で1~11原子%である。
 GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相が、In 2 O 3 相の中に微細分散されているので、ノジュー ル成長の起点となりにくくなっており、投入 する直流電力を高めても、ノジュール発生は 抑制され、その結果アーキングなどの異常放 電を抑え込むことが可能である。

 本発明の透明導電膜をスパッタリング法で 板上に形成する場合、特に、直流(DC)スパッ タリング法であれば、成膜時の熱影響が少な く、高速成膜が可能であるため工業的に有利 である。本発明の透明導電膜を直流スパッタ リング法で形成するには、スパッタリングガ スとして不活性ガスと酸素、特にアルゴンと 酸素からなる混合ガスを用いることが好まし い。また、スパッタリング装置のチャンバー 内を0.1~1Pa、特に0.2~0.8Paの圧力として、スパ タリングすることが好ましい。
 本発明においては、例えば、2×10 -4 Pa以下まで真空排気後、アルゴンと酸素から る混合ガスガスを導入し、ガス圧を0.2~0.5Pa し、ターゲットの面積に対する直流電力、 なわち直流電力密度が1~3W/cm 2 程度の範囲となるよう直流電力を印加して直 流プラズマを発生させ、プリスパッタリング を実施することができる。このプリスパッタ リングを5~30分間行った後、必要により基板 置を修正したうえでスパッタリングするこ が好ましい。
 本発明では、基板を加熱せずに室温で成膜 きるが、基板を50~300℃、特に80~200℃に加熱 ることもできる。基板が樹脂板、樹脂フィ ムなど低融点のものである場合は加熱しな で成膜することが望ましい。上記本発明の 化物焼結体から作製したスパッタリングタ ゲットを用いれば、光学特性、導電性に優 た透明導電膜を、直流スパッタリング法に って、比較的高い成膜速度で、基板上に製 することができる。

 また、上記酸化物焼結体から作製したイオ プレーティング用のターゲット(タブレット あるいはペレットとも呼ぶ。)を用いた場合 も同様の透明導電膜の形成が可能である。 述したように、イオンプレーティング法で 、蒸発源となるターゲットに、電子ビーム アーク放電による熱などを照射すると、照 された部分は局所的に高温になり、蒸発粒 が蒸発して基板に堆積される。このとき、 発粒子を電子ビームやアーク放電によって オン化する。イオン化する方法には、様々 方法があるが、プラズマ発生装置(プラズマ ン)を用いた高密度プラズマアシスト蒸着法 (HDPE法)は、良質な透明導電膜の形成に適して いる。この方法では、プラズマガンを用いた アーク放電を利用する。該プラズマガンに内 蔵されたカソードと蒸発源の坩堝(アノード) の間でアーク放電が維持される。カソード ら放出される電子を磁場偏向により坩堝内 導入して、坩堝に仕込まれたターゲットの 部に集中して照射する。この電子ビームに って、局所的に高温となった部分から、蒸 粒子が蒸発して基板に堆積される。気化し 蒸発粒子や反応ガスとして導入されたO 2 ガスは、このプラズマ内でイオン化ならびに 活性化されるため、良質な透明導電膜を作製 することができる。

 本発明の透明導電膜は、本発明の酸化物焼 体を加工することにより作製したターゲッ を用いて、上記のようにスパッタリング法 あるいはイオンプレーティング法によって 製され、基板温度によらず非晶質状態で存 する。
 一般に、ITO膜は、室温で非晶質であっても 基板温度を200℃程度とした場合、結晶質と る。しかし、本発明の透明導電膜は、基板 度を300℃としても非晶質を維持している。 温でも非晶質が維持される理由として、原 である本発明の酸化物焼結体中に、5μm以下 、好ましくは3μm以下に微細分散されたGaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相が存在することが考えられる。本発明の透 明導電膜中には、これらの微細分散した複合 酸化物相に由来する非晶質部分とIn 2 O 3 相に由来する非晶質部分が混在しているもの と考えられる。前者は400℃を超える高温でも 簡単には結晶化しないため、本来結晶化しや すい後者も結晶化できないものと推察される 。

 本発明の透明導電膜は、上記のように非晶 膜であるため、膜の表面粗さを表す算術平 高さRaは1.0nm未満であり、非常に平坦である 。このように表面が平坦である膜は、膜の凹 凸によるリークを嫌う有機ELなどの用途に好 である。また、非晶質の透明導電膜は、ウ ットエッチングにおいて残渣が発生しない いう利点がある。したがって、透明導電膜 配線パターニングの細線化が進む液晶デバ スのTFT用途などにおいては、特に有用であ 。
 本発明の透明導電膜の膜厚は、用途によっ 異なるので特に規定できないが、10~500nm、 ましくは50~300nmである。10nm未満であると十 な比抵抗が確保できず、一方、500nmを超える と膜の着色の問題が生じてしまうので好まし くない。
 また、本発明の透明導電膜の可視域(400~800nm )での平均透過率は80%以上、好ましくは85%以 、さらに好ましくは90%以上である。平均透 率が80%未満であると有機EL素子などへの適用 が困難となる。

 本発明の透明導電膜は、特に可視域短波 側での光の吸収が小さく、透過率が高い。 常、室温で成膜されたITO膜は、波長400nm付 より短波長側で吸収が大きくなり、波長400nm における消衰係数は0.04を超える。これに対 て、本発明の透明導電膜は、波長400nmにおい て0.04以下を示し、第一の透明導電膜で、ガ ウム含有量がGa/(In+Ga)原子数比で20原子%以上3 5原子%未満の場合には0.03以下となる。したが って、波長400nm程度の光を出力する青色LEDの 明電極として好適である。

 一般に、透明導電膜を幅広い用途で使用す ためには、比抵抗が2×10 -3 ω・cm以下であることが好ましい。上記の液 デバイスや青色LEDなどの用途では、1×10 -3 ω・cm未満であることが要求される。本発明 インジウムとガリウムを含有する酸化物焼 体を用いて得られる透明導電膜の比抵抗は In成分が増加することにより低下する。本発 明の透明導電膜は、2×10 -3 ω・cm以下の比抵抗を示すため、様々なデバ スに適用することが可能である。さらに、 一の透明導電膜で、ガリウム含有量がGa/(In+G a)原子数比で10~25原子%の組成範囲では、1×10 -3 ω・cm未満の比抵抗を示し、また、第二の透 導電膜で、ガリウムの含有量がGa/(In+Ga+Sn+Ge) 子数比で2~20原子%であり、かつ、添加成分 含有量が(Sn+Ge)/(In+Ga+Sn+Ge)原子数比で2~10原子% である場合には、同様に1×10 -3 ω・cm未満の比抵抗を示し、上記の可視域短 長側での光学特性の優位性も有することか 、特に青色LEDなどの用途で有用である。

5.透明導電性基材
 本発明の透明導電性基材は、透明基板の片 若しくは両面に、上記透明導電膜が形成さ ている。透明基板は、通常、ガラス板、石 板、樹脂板または樹脂フィルムから選択さ る。

 この透明導電性基材は、前記の透明導電膜 LCD、PDP、或いはEL素子などの表示パネルの 極及び/または陰極として機能させるもので る。基材としては、光透過性の支持体を兼 ることから、一定の強度と透明性を有する 要がある。
 樹脂板もしくは樹脂フィルムを構成する材 としては、例えば、ポリエチレンテレフタ ート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ アリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)などが 挙げられ、これらの表面にアクリル樹脂が被 覆された構造の樹脂板もしくは樹脂フィルム でもよい。

 基材の厚さは、特に限定されるわけではな が、ガラス板や石英板であれば、0.5~10mm、 ましくは1~5mmであり、樹脂板または樹脂フィ ルムの場合は、0.1~5mm、好ましくは1~3mmとされ る。この範囲よりも薄いと強度が弱く取り扱 いも難しい。一方、この範囲よりも厚いと透 明性が悪いだけでなく重量が大きくなり好ま しくない。
 上記基材には、単層または多層からなる絶 層、半導体層、ガスバリア層又は保護層の ずれかを形成することができる。絶縁層と ては、酸化珪素(Si-O)膜または窒化酸化珪素( Si-O-N)膜などがあり、半導体層としては、薄 トランジスター(TFT)などがあり主にガラス基 板に形成され、ガスバリア層は、水蒸気バリ ア膜などとして、酸化珪素(Si-O)膜、窒化酸化 珪素(Si-O-N)膜、アルミニウム酸マグネシウム( Al-Mg-O)膜、または酸化スズ系(例えば、Sn-Si-O) などが樹脂板もしくは樹脂フィルムに形成 れる。保護層は、基材の表面を傷や衝撃か 守るためのものであり、Si系、Ti系、アクリ ル樹脂系など各種コーテングが使用される。 なお、基材に形成しうる層はこれらに限定さ れず、導電性を有する薄い金属膜などを施す こともできる。
 本発明によって得られる透明導電性基材は 比抵抗、光透過率、表面平坦性などの面で れた特性をもつ透明導電膜が成膜されてい ため、各種の表示パネルの構成部品として めて有用である。また、上記透明導電性基 を備えた電子回路実装部品としては、有機E L素子の他にレーザー部品などを挙げること できる。

 以下に、本発明の実施例を用いて、さら 詳細に説明するが、本発明は、これら実施 によって限定されるものではない。

<酸化物焼結体の評価>
 得られた酸化物焼結体の端材を用いて、ア キメデス法で焼結体密度を求めた。続いて 材の一部を粉砕し、X線回折装置(フィリッ ス製)を用いて粉末法による生成相の同定を った。そして、インジウムとガリウムを酸 物として含有する酸化物焼結体については 記の式(1)で、定義されるX線回折ピーク強度 比を求めた。
  I[GaInO 3 相(111)]/{I[In 2 O 3 相(400)]+I[GaInO 3 相(111)]}×100 [%]  (1)
 ただし、インジウムとガリウムのほかに、 らにスズ、又はゲルマニウムから選ばれる1 種以上の添加成分を含有する酸化物焼結体( 施例8、11~15)については、下記の式(3)で定義 れるX線回折ピーク強度比を求めた。
  I[GaInO 3 相(-111)]/{I[In 2 O 3 相(400)]+I[GaInO 3 相(-111)]}×100 [%]  (3)
(式中、I[In 2 O 3 相(400)]は、ビックスバイト型構造をとるIn 2 O 3 相の(400)ピーク強度であり、I[GaInO 3 相(111)]あるいはI[GaInO 3 相(-111)]は、β-Ga 2 O 3 型構造をとる複合酸化物β-GaInO 3 相(111)あるいは(―111)ピーク強度を示す)
 粉末の一部を用いて、酸化物焼結体のICP発 分光法による組成分析を行った。さらに、S EM(カールツァイス製)を用いて、酸化物焼結 の組織観察を行った。SEM像の画像解析結果 ら、GaInO 3 相からなる結晶粒の平均粒径を求めた。

<透明導電膜の基本特性評価>
 得られた透明導電膜の組成をICP発光分光法 よって調べた。透明導電膜の膜厚は表面粗 計(テンコール社製)で測定した。成膜速度 、膜厚と成膜時間から算出した。膜の比抵 は、四探針法によって測定した表面抵抗と 厚の積から算出した。膜の生成相は、酸化 焼結体同様、X線回折測定によって同定した また、消衰係数を分光エリプソメーター(J.A .Woolam製)によって測定し、特に青色光の吸収 性を評価するため、波長400nmの消衰係数を 較した。

(実施例1)
 酸化インジウム粉末および酸化ガリウム粉 を平均粒径1μm以下となるよう調整して原料 粉末とした。ガリウム含有量がGa/(In+Ga)で表 れる原子数比で10原子%となるようにこれら 粉末を調合し、水とともに樹脂製ポットに れ、湿式ボールミルで混合した。この際、 質ZrO 2 ボールを用い、混合時間を18時間とした。混 後、スラリーを取り出し、濾過、乾燥、造 した。造粒物を、冷間静水圧プレスで3ton/cm 2 の圧力をかけて成形した。
 次に、成形体を次のように焼結した。炉内 積0.1m 3 当たり5リットル/分の割合で、焼結炉内の大 に酸素を導入する雰囲気で、1400℃の焼結温 度で20時間焼結した。この際、1℃/分で昇温 、焼結後の冷却の際は酸素導入を止め、1000 までを10℃/分で降温した。
 得られた酸化物焼結体を、直径152mm、厚み5m mの大きさに加工し、スパッタリング面をカ プ砥石で最大高さRzが3.0μm以下となるように 磨いた。加工した酸化物焼結体を、無酸素銅 製のバッキングプレートに金属インジウムを 用いてボンディングして、スパッタリングタ ーゲットとした。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は、8%であった
 酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.97 g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.9μmであった。
 次に、アーキング抑制機能のない直流電源 装備した直流マグネトロンスパッタリング 置(アネルバ製)の非磁性体ターゲット用カ ードに、上記スパッタリングターゲットを り付けた。基板には、無アルカリのガラス 板(コーニング♯7059)を用い、ターゲット-基 間距離を60mmに固定した。1×10 -4 Pa未満まで真空排気後、アルゴンと酸素の混 ガスを酸素の比率が1.5%になるように導入し 、ガス圧を0.5Paに調整した。なお、上記の酸 の比率1.5%において、最も低い比抵抗を示し た。
 直流電力200W(1.10W/cm 2 )を印加して直流プラズマを発生させ、スパ タリングを実施した。投入した直流電力と パッタリング時間の積から算出される積算 入電力値12.8kwh到達まで、直流スパッタリン を継続的に実施した。この間、アーキング 起こらず、放電は安定していた。スパッタ ング終了後、ターゲット表面を観察したが ノジュールの発生は特にみられなかった。 に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3.29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を った。10分間のプリスパッタリング後、ス ッタリングターゲットの直上、すなわち静 対向位置に基板を配置し、加熱せずに室温 スパッタリングを実施して、膜厚200nmの透明 導電膜を形成した。得られた透明導電膜の組 成は、ターゲットとほぼ同じであることが確 認された。成膜速度を測定したところ、93nm/m inであった。次に、膜の比抵抗を測定したと ろ、4.9×10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.03198であった。以上のターゲット 価結果と成膜評価結果を表1に示した。

(実施例2)
 ガリウム含有量をGa/(In+Ga)で表される原子数 比で20原子%に変更した以外には条件を変えず 、実施例1と同様の方法で酸化物焼結体を作 した。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。次に 、図2に酸化物焼結体のX線回折図を示す。前 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は、30%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.8 4g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.6μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。図3に、各直流電力での1分間当た アーキング発生平均回数を示した。いずれ 電力でもアーキングは起こらず、各直流電 での1分間当たりアーキング発生平均回数は ゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、86nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、7.8× 10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.02769であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(実施例3)
 ガリウム含有量をGa/(In+Ga)で表される原子数 比で25原子%に変更した以外には条件を変えず 、実施例1と同様の方法で酸化物焼結体を作 した。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は、39%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.7 7g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.5μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、86nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、8.8× 10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.02591であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(実施例4)
 ガリウム含有量をGa/(In+Ga)で表される原子数 比で30原子%に変更した以外には条件を変えず 、実施例1と同様の方法で酸化物焼結体を作 した。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は、49%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.7 0g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.8μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、84nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、1.4× 10 -3 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.02361であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(実施例5)
 ガリウム含有量をGa/(In+Ga)で表される原子数 比で34原子%に変更した以外には条件を変えず 、実施例1と同様の方法で酸化物焼結体を作 した。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は、58%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.6 3g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は4.1μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、81nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、2.0× 10 -3 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.02337であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(実施例6)
 焼結温度を1250℃に変更した以外には条件を 変えず、実施例2と同様の方法で酸化物焼結 を作製した。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は28%であった。 酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.33g/ cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.4μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、83nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、9.1× 10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.02743であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(実施例7)
 焼結温度を1450℃に変更した以外には条件を 変えず、実施例2と同様の方法で酸化物焼結 を作製した。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は、31%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.8 8g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は3.3μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、87nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、8.0× 10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.02776であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(実施例8)
 実施例2と同様のガリウム原子数比、すなわ ちGa/(In+Ga+Sn)で表される原子数比を20原子%と 、さらに添加成分として、平均粒径1μm以下 酸化スズ粉末をSn/(In+Ga+Sn)で表される原子数 比で6原子%添加した以外には条件を変えず、 施例2と同様の方法で酸化物焼結体を作製し た。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(3)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は、51%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.7 1g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.9μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、89nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、9.1× 10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.03482であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。なお、酸化スズ粉末の代わり に酸化ゲルマニウム粉末を用いた場合、ある いは、酸化スズ粉末と酸化ゲルマニウム粉末 を同時に用いた場合でも、ほぼ同じ結果が得 られることを確認した。

(実施例9)
 成膜方法をイオンプレーティング法に変更 、実施例2と同様の組成の酸化物焼結体から なるタブレットを用いて、成膜を実施した。
 酸化物焼結体の作製方法は、実施例2のスパ ッタリングターゲットの場合とほぼ同様の作 製方法であるが、先に述べたように、イオン プレーティング用のタブレットとして用いる 場合には、密度を低くする必要があるため、 焼結温度を1100℃とした。タブレットは、焼 後の寸法が、直径30mm、高さ40mmとなるよう、 予め成形した。得られた酸化物焼結体の組成 分析をICP発光分光法にて行ったところ、原料 粉末の配合時の仕込み組成とほぼ同じである ことが確認された。次に、X線回折測定によ 酸化物焼結体の相同定を行ったところ、ビ クスバイト型構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は、27%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、4.7 9g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.1μmであった。
 このような酸化物焼結体をタブレットとし 用い、イオンプレーティング法によるプラ マガンを用いた放電をタブレットが使用不 となるまで継続した。イオンプレーティン 装置として、高密度プラズマアシスト蒸着 (HDPE法)が可能な反応性プラズマ蒸着装置を いた。成膜条件としては、蒸発源と基板間 離を0.6m、プラズマガンの放電電流を100A、Ar 流量を30sccm、O 2 流量を10sccmとした。タブレットが使用不可と なるまでの間、スプラッシュなどの問題は起 こらなかった。
 タブレット交換後、成膜を実施した。得ら た透明導電膜の組成は、タブレットとほぼ じであることが確認された。成膜速度は122n m/minが得られ、ITO相当の高速成膜が可能であ ことがわかった。次に、膜の比抵抗を測定 たところ、6.5×10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.02722であった。以上のターゲット 価結果と成膜評価結果を表1に示した。

(実施例10)
 厚さ100μmのPES(ポリエーテルスルホン)フィ ム基板上に、予め厚さ100nmの酸化窒化シリコ ン膜をガスバリア膜として形成し、該ガスバ リア膜上に実施例2と同様の工程で膜厚100nmの インジウムとガリウムを含有する酸化物から なる透明導電膜を形成し、透明度導電性基材 を作製した。
 得られた透明度導電性基材を調べたところ 実施例2と同様に形成された透明導電膜は非 晶質であり、比抵抗は7.5×10 -4 ωcm、可視域の平均透過率は85%以上を示した とから、良好な特性が得られたことが確認 れた。

(実施例11)
 実施例8のガリウム含有量、すなわちGa/(In+Ga +Sn)で表される原子数比2原子%に変更し、なら びにスズをSn/(In+Ga+Sn)で表される原子数比で10 原子%に変更した以外には条件を変えず、実 例8と同様の方法で酸化物焼結体を作製した
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(3)で表されるGaInO 3 相(-111)のX線回折ピーク強度比は、4%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.8 7g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.8μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、92nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、5.2× 10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.03891であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。なお、酸化スズ粉末の代わり に酸化ゲルマニウム粉末を用いた場合、ある いは、酸化スズ粉末と酸化ゲルマニウム粉末 を同時に用いた場合でも、ほぼ同じ結果が得 られることを確認した。

(実施例12)
 実施例8のガリウム含有量、すなわちGa/(In+Ga +Sn)で表される原子数比を5原子%に変更し、な らびにスズをSn/(In+Ga+Sn)で表される原子数比 10原子%に変更した以外には条件を変えず、 施例8と同様の方法で酸化物焼結体を作製し 。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(3)で表されるGaInO 3 相(-111)のX線回折ピーク強度比は、7%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.9 0g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.7μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、92nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、5.0× 10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.03711であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(実施例13)
 実施例8のガリウム含有量、すなわちGa/(In+Ga +Sn)で表される原子数比を10原子%に変更し、 らびにスズをSn/(In+Ga+Sn)で表される原子数比 10原子%に変更した以外には条件を変えず、 施例8と同様の方法で酸化物焼結体を作製し た。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。また 、前記式(3)で表されるGaInO 3 相(-111)のX線回折ピーク強度比は、48%であっ 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6. 99g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.5μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、90nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、6.4× 10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.03663であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(実施例14)
 実施例8のガリウム含有量、すなわちGa/(In+Ga +Sn)で表される原子数比を15原子%に変更し、 らびにスズをSn/(In+Ga+Sn)で表される原子数比 2原子%に変更した以外には条件を変えず、 施例8と同様の方法で酸化物焼結体を作製し 。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で主に構成されていることが確認された。 また、微弱ではあるが、一部、Ga 2 In 6 Sn 2 O 16 相の存在も確認された。前記式(3)で表される GaInO 3 相(-111)のX線回折ピーク強度比は、32%であっ 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、7. 01g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.6μmであった。また、Ga 2 In 6 Sn 2 O 16 相の結晶粒径が3μm以下であることを確認し 。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、89nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、6.2× 10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.03402であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(実施例15)
 実施例8のガリウム含有量、すなわちGa/(In+Ga +Sn)で表される原子数比を30原子%に変更し、 らびにスズをSn/(In+Ga+Sn)で表される原子数比 3原子%に変更した以外には条件を変えず、 施例8と同様の方法で酸化物焼結体を作製し 。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(3)で表されるGaInO 3 相(-111)のX線回折ピーク強度比は、84%であっ 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6. 71g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.8μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。この間、アー キングは起こらず、放電は安定していた。ス パッタリング終了後、ターゲット表面を観察 したが、ノジュールの発生は特にみられなか った。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、85nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、1.8× 10 -3 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.03213であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(比較例1)
 ガリウム含有量をGa/(In+Ga)で表される原子数 比で3原子%に変更した以外には条件を変えず 実施例1と同様の方法で酸化物焼結体を作製 した。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。酸化物焼結体の密度を測定したところ 7.06g/cm 3 であった。次に、X線回折測定による酸化物 結体の相同定を行ったところ、ビックスバ ト型構造のIn 2 O 3 相のみで構成されていることが確認された。 すなわち、この組成では、本発明の実質的に ガリウムが固溶したビックスバイト型構造の In 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および/または(Ga,In) 2 O 3 相で構成されている酸化物焼結体が得られな いことが判明した。したがって、これ以上の ターゲット評価は実施せず、直流スパッタリ ングによる成膜のみを実施することとした。
 直流スパッタリングによって得られた透明 電膜の組成は、ターゲットとほぼ同じであ ことが確認された。成膜速度を測定したと ろ、86nm/minであった。次に、膜の比抵抗を 定したところ、8.3×10 -4 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.04188であった。以上のターゲット 価結果と成膜評価結果を表1に示した。

(比較例2)
 ガリウム含有量をGa/(In+Ga)で表される原子数 比で40原子%に変更した以外には条件を変えず 、実施例1と同様の方法で酸化物焼結体を作 した。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は74%であった。 酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.54g/ cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は4.2μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達経過まで 、直流スパッタリングを実施した。この間、 アーキングは起こらず、放電は安定していた 。スパッタリング終了後、ターゲット表面を 観察したが、ノジュールの発生は特にみられ なかった。次に、直流電力200、400、500、600W( 流電力密度1.1~3.3W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。いずれの電力でもアーキングは起 こらず、各直流電力での1分間当たりアーキ グ発生平均回数はゼロであった。
 続いて、直流スパッタリングによる成膜を 施した。得られた透明導電膜の組成は、タ ゲットとほぼ同じであることが確認された 成膜速度を測定したところ、62nm/minであっ 。次に、膜の比抵抗を測定したところ、3.5× 10 -3 ωcmであった。膜の生成相は、X線回折測定に って調べた結果、非晶質であることが確認 れた。また、波長400nmの消衰係数を測定し ところ、0.01811であった。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(比較例3)
 平均粒径約3μmの酸化インジウム粉末および 酸化ガリウム粉末を用いた以外には条件を変 えず、実施例2と同様の方法で酸化物焼結体 作製した。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は、42%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、6.2 3g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は5.8μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、積算投入電力値12.8kWh到達まで、直 流スパッタリングを実施した。スパッタリン グを開始してから、しばらくアーキングは起 こらなかったが、積算時間到達が近くなると 、しだいにアーキングが起こるようになった 。積算時間到達後、ターゲット表面を観察し たところ、多数のノジュールの生成が確認さ れた。次に、直流電力200、400、500、600W(1.10~3. 29W/cm 2 )と変化させ、それぞれの電力で10分間ずつス パッタリングを行い、アーキング発生回数を 測定した。図3に、実施例2とともに、各直流 力での1分間当たりアーキング発生平均回数 を示した。図3より、直流電力増加とともに ーキングが頻発するようになっていること 明らかである。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、直流スパッタリングによる成膜を った。成膜中、しばしばアーキングが起こ た。得られた透明導電膜の組成は、ターゲ トとほぼ同じであることが確認された。成 速度を測定したところ、71nm/minであった。 に、膜の生成相をX線回折測定によって同定 たところ、非晶質であった。膜の比抵抗を 定したところ、4.1×10 -3 ωcmであった。また、波長400nmの消衰係数を測 定したところ、0.03323であった。以上のター ット評価結果と成膜評価結果を表1に示した

(比較例4)
 焼結温度を1000℃に変更した以外には条件を 変えず、実施例2と同様の方法で酸化物焼結 を作製した。
 得られた酸化物焼結体の組成分析をICP発光 光法にて行ったところ、原料粉末の配合時 仕込み組成とほぼ同じであることが確認さ た。次に、X線回折測定による酸化物焼結体 の相同定を行ったところ、ビックスバイト型 構造のIn 2 O 3 相、インジウムとガリウムで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、および(Ga,In) 2 O 3 相で構成されていることが確認された。前記 式(1)で表されるGaInO 3 相(111)のX線回折ピーク強度比は、26%であった 。酸化物焼結体の密度を測定したところ、5.7 3g/cm 3 であった。続いて、SEMによる酸化物焼結体の 組織観察を行ったところ、GaInO 3 相の平均粒径は2.1μmであった。
 この酸化物焼結体をスパッタリングターゲ トとし、直流スパッタリングを実施した。 パッタリングを開始してから、早期にアー ングが起こり、積算投入電力値12.8kWh到達ま で、スパッタリングを継続することが不可能 となった。ターゲット表面を観察したところ 、クラックの発生が確認された。そこで、ア ーキング発生回数の測定を断念し、低電力で の直流スパッタリングを試みた。投入電力が 30W程度まではスパッタリング可能であったが 、50Wを超えるとアーキングが発生するように なった。よって、実際の膜形成は不可能であ ると判断された。
 以上のターゲット評価結果と成膜評価結果 表1に示した。

(比較例5)
 市販のITOターゲット(In 2 O 3 -10wt%SnO 2 、住友金属鉱山製)を用いて、直流スパッタ ングによる成膜を行った。ITOターゲットの 度を測定したところ、7.11g/cm 3 であった。得られた透明導電膜の組成は、タ ーゲットとほぼ同じであることが確認された 。成膜速度を測定したところ、92nm/minであっ 。次に、膜の生成相をX線回折測定によって 同定したところ、非晶質であった。膜の比抵 抗を測定したところ、4.9×10 -4 ωcmであった。また、波長400nmの消衰係数を測 定したところ、0.04308であった。以上のター ット評価結果と成膜評価結果を表1に示した

「評価」
 実施例1~7より、平均粒径1μm以下に調整した 酸化インジウム粉末および酸化ガリウム粉末 を用いて、ガリウム含有量をGa/(In+Ga)原子数 で10原子%以上35原子%未満の範囲とし、焼結 度1250~1400℃にて焼結した酸化物焼結体は、 リウムが固溶したビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相と、インジウムとガリウムで構成されたβ- Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、あるいは、ガリウムが固溶したビックス バイト型構造のIn 2 O 3 相と、インジウムとガリウムで構成されたβ- Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相と、(Ga,In) 2 O 3 相で構成されることが確認された。また、In 2 O 3 相(400)とGaInO 3 相(111)とのX線回折ピーク強度比は、8%~58%であ って、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の平均粒径が5μm以下であ 微細分散組織が得られることが確認された

 特に、実施例1~4および6では、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒が平均粒径3μm以下のより 細分散された組織となった。また、焼結体 度は6.3g/cm 3 以上であり、いずれも高密度を示した。これ らの酸化物焼結体をスパッタリングターゲッ トとして、直流スパッタリングを実施したと ころ、長時間の連続スパッタリング後でもス パッタリングの掘れ残りを起点としたノジュ ールの発生はみられず、直流電力200~600W(1.10~3 .29W/cm 2 )の範囲で変化させてもアーキングが発生し いことが明らかとなった。
 実施例1~7での成膜速度は81~93nm/minであり、 較例5のITOの成膜速度92nm/minと比較しても遜 なかった。得られた透明導電膜の比抵抗は 2×10 -3 ω・cm以下と良好であり、特に実施例1~3、6お び7において、ガリウム含有量をGa/(In+Ga)原 数比で10~25原子%とした場合には、10 -4 ω・cm台のさらに低い比抵抗が得られた。ま 、膜の波長400nmにおける消衰係数は概ね0.02~0 .03程度で、いずれも0.04以下を示した。ITO膜 0.04を超えることから、実施例1~7の膜は青色 の吸収が少ないことが確認された。

 実施例1~7に対して、比較例1、2の相違点は ガリウム含有量がGa/(In+Ga)原子数比で10原子% 上35原子%未満の範囲にない点である。ガリ ム含有量が少ない場合には、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒が形成されず、波長400nmに ける消衰係数は0.04を超えてしまう。一方、 ガリウム含有量が多い場合には、成膜速度が 著しく低下し、膜の比抵抗も高くなってしま う。したがって、上記の特性のバランスがと れる組成範囲は、ガリウム含有量がGa/(In+Ga) 子数比で10原子%以上35原子%未満であること 明らかである。
 実施例1~7に対して、比較例3の相違点は、平 均粒径3μmの比較的な粗大な酸化インジウム 末および酸化ガリウム粉末を用いたことに って、酸化物焼結体に分散されたGaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の平均粒径が5μmを超えた とである。このような組織の酸化物焼結体 スパッタリングターゲットとし、直流スパ タリングを実施したところ、長時間の連続 パッタリング後にノジュールが発生し、ア キングが頻発することが確認された。すな ち、実施例1~7のように、平均粒径1μm以下に 整した酸化インジウム粉末および酸化ガリ ム粉末を用いて、GaInO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の平均粒径が5μm以下とな よう微細分散された酸化物焼結体の組織が ノジュール発生とアーキング発生の抑制に 効であることが明らかとなった。
 また、実施例1~7に対して、比較例4では、焼 結温度が1000℃と低いため焼結が進行せず、Ga InO 3 相、あるいは、GaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相からなる結晶粒の平均粒径は5μm以下では ったものの、焼結体密度は6.3g/cm 2 に達しなかった。直流スパッタリングにおい ては、スパッタリングターゲットにはクラッ クが発生し、30W程度の低電力によるスパッタ リングに限定され、実質的に成膜は不可能で あった。すなわち、十分に焼結を進行させる ためには、焼結温度1000℃では不足であり、12 50~1450℃が好適であることが明確となった。

 実施例8、11~15によって、スズ、ゲルマニウ 、あるいは両者を共添加した酸化物焼結体 あるいは透明導電膜についても、実施例1~7 ガリウムとインジウムを含有する酸化物焼 体、あるいは透明導電膜と同様に、良好な 性を示すことが確認された。特に、実施例1 1および12によって、スズ、ゲルマニウム、あ るいは両者を共添加した場合には、ガリウム がより低添加量の組成範囲であっても、実施 例1~7と同様のガリウムおよびスズが固溶した ビックスバイト型構造のIn 2 O 3 相を母相とし、平均粒径が5μm以下のインジ ム、ガリウム、およびスズで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相、あるいは、平均粒径が5μm以下のインジ ム、ガリウム、およびスズで構成されたβ-Ga 2 O 3 型構造のGaInO 3 相と(Ga,In) 2 O 3 相が微細分散した酸化物焼結体が得られ、さ らには、この組織がノジュール発生とアーキ ング発生の抑制に有効であることが確認され た。
 また、実施例9によって、イオンプレーティ ング法の場合においても、実施例1~8と同様に 、良好な特性を示す酸化物焼結体、あるいは 透明導電膜が得られることが明らかとなった 。さらに、実施例10によって、本発明の酸化 焼結体を用いれば、基板がガラスに限定さ ず、必要に応じて防湿膜の付いた樹脂基板 にも、実施例1~9と同様の良好な特性を示す 明導電膜が形成されることが分かる。