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Title:
PARTICLES CONTAINING TITANIC ACID COMPOUND, METHOD FOR PRODUCING PARTICLES CONTAINING TITANIC ACID COMPOUND, AND FRICTION MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175575
Kind Code:
A1
Abstract:
These particles containing a titanic acid compound include alkali metal titanate particles and a binder layer. The 50% particle size D50 of the particles containing a titanic acid compound is 40-100 μm. The content ratio of particles containing a titanic acid compound that have a minor axis d of 3 μm or less, a major axis L of 5 μm or more, and an aspect ratio (L/d) of 3 or more is 0.05 mass% or less.

Inventors:
HORIKAWA MATSUHIDE (JP)
TANI SEIICHIRO (JP)
FUJII HIDEKI (JP)
HEYA TOMOAKI (JP)
WATANABE HIDEKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/007835
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 26, 2020
Export Citation:
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Assignee:
TOHO TITANIUM CO LTD (JP)
GUN EI CHEMICAL IND CO LTD (JP)
International Classes:
C01G23/00; C09K3/14; F16D69/00; F16D69/02
Domestic Patent References:
WO2017051690A12017-03-30
Foreign References:
JP2001172612A2001-06-26
JP2008266131A2008-11-06
JPH03181529A1991-08-07
JP2009114050A2009-05-28
Other References:
See also references of EP 3932868A4
Attorney, Agent or Firm:
AXIS PATENT INTERNATIONAL (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175575 23 卩(:17 2020 /007835

請求の範囲

[請求項 1 ] チタン酸アルカリ金属粒子と、

結合剤層と、 を有し、

当該チタン酸化合物含有粒子の 5 0 %粒子径 0 5 0が 4 0 〜 1 0 0 であり、

短径 が 3 以下かつ長径 1_が 5 以上かつアスペクト比 (1_ / 6) が 3以上の当該チタン酸化合物含有粒子の含有割合が 0 . 0 5 質量%以下であるチタン酸化合物含有粒子。

[請求項 2] 当該チタン酸化合物含有粒子の 3 八 1\1値が〇. 1〜 5 . 0である 請求項 1 に記載のチタン酸化合物含有粒子。

[請求項 3] 前記チタン酸アルカリ金属粒子に含まれるアルカリ金属が、 カリウ ム、 ナトリウム及びリチウムからなる群から選択される少なくとも _ 種である請求項 1又は 2に記載のチタン酸化合物含有粒子。

[請求項 4] 前記結合剤層がフェノール樹脂を含み、

当該チタン酸化合物含有粒子の全量に対する、 前記フェノール樹脂 の含有量が、 1質量%〜 1 〇質量%である請求項 1〜 3のいずれかに 記載のチタン酸化合物含有粒子。

[請求項 5] 前記フェノール樹脂が、 レゾール型フェノール樹脂である請求項 4 に記載のチタン酸化合物含有粒子。

[請求項 6] チタン化合物とアルカリ金属化合物を混合して混合物を得る原料混 合工程と、

前記混合物を加熱してチタン酸アルカリ金属粒子を得る焼成工程と 前記チタン酸アルカリ金属粒子を結合剤と混合して前記チタン酸ア ルカリ金属粒子の周囲の少なくとも一部を結合剤層で被覆して当該チ タン酸化合物含有粒子を得る結合剤コーティングエ程と、

を含むチタン酸化合物含有粒子の製造方法。

[請求項 7] 前記結合剤コーティングエ程の後に当該チタン酸化合物含有粒子を 〇 2020/175575 24 卩(:171? 2020 /007835

乾燥する乾燥工程を含む請求項 6に記載のチタン酸化合物含有粒子の 製造方法。

[請求項 8] 前記チタン酸アルカリ金属粒子の 5 0 %粒子径口 5 0を 3 0 〜

6 0 とする請求項 6又は 7に記載のチタン酸化合物含有粒子の製 造方法。

[請求項 9] 前記焼成工程で、 前記混合物を 8 0 0 °0〜 1 3 0 0 °◦の温度範囲内 に加熱し、 当該温度を 1 〇分間〜 1 0時間にわたって維持する請求項 6〜 8のいずれか一項に記載のチタン酸化合物含有粒子の製造方法。

[請求項 10] 前記チタン酸アルカリ金属粒子に含まれるアルカリ金属を、 カリウ ム、 ナトリウム及びリチウムからなる群から選択される少なくとも _ 種とする請求項 6〜 9のいずれか一項に記載のチタン酸化合物含有粒 子の製造方法。

[請求項 1 1 ] 前記結合剤コーティングエ程で用いる前記結合剤を、 レゾール型フ ェノール樹脂を含むものとする請求項 6〜 1 0のいずれか一項に記載 のチタン酸化合物含有粒子の製造方法。

[請求項 12] 請求項 1〜請求項 5のいずれか一項に記載のチタン酸化合物含有粒 子を含有することを特徴とする摩擦材。

Description:
\¥0 2020/175575 1 ?€1/^2020/007835

明 細 書

発明の名称 :

チタン酸化合物含有粒子、 チタン酸化合物含有粒子の製造方法および、 摩 擦材

技術分野

[0001 ] この発明は、 チタン酸アルカリ金属粒子を含むチタン酸化 合物含有粒子、 チタン酸化合物含有粒子の製造方法および、 摩擦材に関するものであり、 特 に、 使用上の健康安全性の向上に寄与することの できる技術を提案するもの である。

背景技術

[0002] 自動車、 鉄道車両、 航空機及び産業機械類等における制動装置を 構成する ブレーキライニング、 ディスクパッ ド、 クラッチフエージング等の摩擦摺動 部材用の摩擦材として、 従来は、 アスベスト (石綿) を有機もしくは無機系 の結合剤で結着させて使用されていた。 しかるに、 アスベストは、 摩擦材に 求められる耐熱性を含む所要の摩擦摩耗特性 を十分に得ることができないだ けでなく、 発癌性等の人体や環境への有害性の問題があ ることから、 これに 代替する材料が希求されている。

[0003] このような状況の下、 近年は、 上述した摩擦材に、 アスベストのような発 癌性を示さないチタン酸カリウムに代表され るチタン酸アルカリ金属を用い ることが検討されており、 この代替材料の開発が進められている。 特に、 チ タン酸アルカリ金属のなかでもチタン酸カリ ウムは、 優れた耐熱性を有する とともに、 摩擦ブレーキのフエード現象の防止や摩擦特 性の熱安定性向上の 効果がある。

[0004] この種の技術としては、 たとえば特許文献 1及び 2に記載されたもの等が ある。

特許文献 1 には、 「細孔直径〇. 0 1〜 1 . 〇 の範囲の積算細孔容積 が 5 %以上であり、 チタン酸塩化合物の結晶粒が結合してなる多 孔質チタン 〇 2020/175575 2 卩(:171? 2020 /007835

酸塩化合物粒子であって、 表面に疎水性表面処理剤からなる処理層が形 成さ れていることを特徴とする、 多孔質チタン酸塩化合物粒子」 が開示されてい る。 特許文献 1では、 この 「多孔質チタン酸塩化合物粒子」 によると、 「摩 擦材に用いた場合に優れた耐フエード性、 防湿性を付与することができる。

」 とされている。

[0005] また、 特許文献 2には、 「熱安定性が高い上、 摩擦材用の基材繊維及び/ 又は摩擦調整材として優れた主に棒状、 柱状、 円柱状、 短冊状、 粒状及び/ 又は板状の形状を有するチタン酸アルカリか らなる中空体粉末及びその製造 方法、 並びにこれを含有する摩擦材を提供する」 ことを目的として、 「棒状 、 柱状、 円柱状、 短冊状、 粒状及び/又は板状の形状を有するチタン酸 ル カリ粒子が結合した中空体の殻からなるチタ ン酸アルカリの中空体粉末」 が 提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0006] 特許文献 1 :国際公開第 2 0 1 7 / 0 5 1 6 9 0号

特許文献 2 :特開 2 0 0 9 _ 1 1 4 0 5 0号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007] ところで、 チタン酸アルカリ金属は、 上述したように優れた特性を有する ことから、 摩擦材等の所定の用途に用いることが有望で あるも、 そのチタン 酸アルカリ金属の粒子には、 特許文献 1、 2にも記載されているように、 平 均繊維長が 1 〇〜 2 0 、 平均繊維径が〇. 1〜〇. 5 の繊維状のも のが含まれることがある。 世界保健機関 は、 いわゆる ファ イバーと称される繊維の条件として、 長さ (長径!-) が 5 より長く、 太 さ (短径〇〇 が 3 未満であり、 長さと太さの比 (アスペクト比) が 3 :

1 より大きいことを定めており、 チタン酸アルカリ金属粒子は、 このような 環境衛生上の観点から更なる改善の余地があ る。 〇 2020/175575 3 卩(:171? 2020 /007835

特許文献 1、 2では、 上記のようなチタン酸アルカリ金属の繊維状 の微細 な粒子を減じるための具体的な手法について 十分に検討されているとは言い 難い。

[0008] この発明は、 このような問題に対処するべくなされたもの であり、 その目 的は、 使用時の人体への影響が少なく、 安全性の高いチタン酸化合物含有粒 子、 チタン酸化合物含有粒子の製造方法および、 摩擦材を提供することにあ る。

課題を解決するための手段

[0009] 発明者らは鋭意検討の結果、 チタン酸アルカリ金属粒子を予め、 結合剤と 混合させて、 チタン酸アルカリ金属粒子に結合剤層をコー ティングすること により、 粒子サイズが増大し、 所定の用途で所要の特性を維持しながらも、 人体への影響が少なくなって安全性が高まる ことを見出した。

[0010] このような知見に基づいた、 この発明のチタン酸化合物含有粒子は、 チタ ン酸アルカリ金属粒子と、 結合剤層と、 を有し、 当該チタン酸化合物含有粒 子の 5 0 %粒子径口 5 0が 4 0 〜 1 0 0 であり、 短径 が 3 以 下かつ長径!-が 5 以上かつアスペクト比 (!_ / ) が 3以上の当該チタ ン酸化合物含有粒子の含有割合が〇. 0 5質量%以下であるものである。

[001 1 ] この発明のチタン酸化合物含有粒子は、 当該チタン酸化合物含有粒子の 3 八1\1値が、 〇. 1〜 5 . 0であることが好ましい。

[0012] また、 この発明のチタン酸化合物含有粒子は、 前記チタン酸アルカリ金属 粒子に含まれるアルカリ金属が、 カリウム、 ナトリウム及びリチウムからな る群から選択される少なくとも一種であるこ とが好ましい。

[0013] また、 この発明のチタン酸化合物含有粒子は、 前記結合剤層がフエノール 樹脂を含み、 当該チタン酸化合物含有粒子の全量に対する 、 前記フエノール 樹脂の含有量が、 1質量%〜 1 0質量%であることが好ましい。

[0014] また、 この発明のチタン酸化合物含有粒子は、 前記フエノール樹脂が、 レ ゾール型フエノール樹脂であることが好まし い。

[0015] この発明のチタン酸化合物含有粒子の製造方 法は、 チタン化合物とアルカ 〇 2020/175575 4 卩(:171? 2020 /007835

リ金属化合物を混合して混合物を得る原料 混合工程と、 前記混合物を加熱し てチタン酸アルカリ金属粒子を得る焼成工程 と、 前記チタン酸アルカリ金属 粒子を結合剤と混合して前記チタン酸アルカ リ金属粒子の周囲の少なくとも _部を結合剤層で被覆して当該チタン酸化合 含有粒子を得る結合剤コーテ ィングエ程と、 を含むものである。

[0016] ここで、 この発明のチタン酸化合物含有粒子の製造方 法では、 前記結合剤 コーティングエ程の後に当該チタン酸化合物 含有粒子を乾燥する乾燥工程を 含んでもよい。

[0017] またここで、 この発明のチタン酸化合物含有粒子の製造方 法では、 前記チ タン酸アルカリ金属粒子の 5 0 %粒子径口 5 0を 3 0 〇1〜6 0 〇1とする ことが好ましい。

[0018] なお、 この発明のチタン酸化合物含有粒子の製造方 法では、 前記焼成工程 で、 前記混合物を 8 0 0 °0〜 1 3 0 0 °◦の温度範囲内に加熱し、 当該温度を 1 0分間〜 1 0時間にわたって維持することが好ましい。

[0019] この発明のチタン酸化合物含有粒子の製造方 法では、 前記チタン酸アルカ リ金属粒子に含まれるアルカリ金属を、 カリウム、 ナトリウム及びリチウム からなる群から選択される少なくとも一種と することが好ましい。

[0020] この発明のチタン酸化合物含有粒子の製造方 法では、 前記結合剤コーティ ングエ程で用いる前記結合剤を、 レゾール型フェノール樹脂を含むものとす ることが好ましい。

また、 この発明の摩擦材は、 上記のいずれかのチタン酸化合物含有粒子を 含有するものである。

発明の効果

[0021 ] この発明によれば、 チタン酸化合物含有粒子が結合剤層を含み、 チタン酸 化合物含有粒子の 5 0 %粒子径 0 5 0が 4 0 ~ 1 0 0 であって、 所 定の寸法のチタン酸化合物含有粒子の含有割 合が〇. 0 5質量%以下である ことにより、 使用時に人体への影響が少なく、 安全性を高めることができる 〇 2020/175575 5 卩(:171? 2020 /007835 図面の簡単な説明

[0022] [図 1]実施例のチタン酸化合物含有粒子のコー ィング前のチタン酸カリウム 粒子の 3巳 IV!画像である。

[図 2]実施例 1のチタン酸化合物含有粒子の 3巳 IV!画像である。

[図 3]実施例 7のチタン酸化合物含有粒子の 3巳 IV!画像である。

[図 4]実施例 8のチタン酸化合物含有粒子の 3巳 IV!画像である。

[図 5]実施例 1のチタン酸化合物含有粒子の体積頻度分布 示すグラフである

[図 6]実施例 2のチタン酸化合物含有粒子の体積頻度分布 示すグラフである

[図 7]実施例 3のチタン酸化合物含有粒子の体積頻度分布 示すグラフである

[図 8]実施例 4のチタン酸化合物含有粒子の体積頻度分布 示すグラフである

[図 9]実施例 5のチタン酸化合物含有粒子の体積頻度分布 示すグラフである

[図 10]実施例 6のチタン酸化合物含有粒子の体積頻度分布 示すグラフであ る。

[図 1 1]実施例 7のチタン酸化合物含有粒子の体積頻度分布 示すグラフであ る。

[図 12]実施例 8のチタン酸化合物含有粒子の体積頻度分布 示すグラフであ る。

発明を実施するための形態

[0023] 以下に、 この発明の実施の形態について詳細に説明す る。

この発明の一の実施形態のチタン酸化合物含 有粒子は、 チタン酸アルカリ 金属粒子と結合剤層とを有し、 当該チタン酸化合物含有粒子の 5 0 %粒子径 0 5 0が4 0 〜1 0 0 であり、 短径 が 3 以下かつ長径 !_が 5 以上かつアスペクト比 (!_ / ) が 3以上のチタン酸化合物含有粒子の 〇 2020/175575 6 卩(:171? 2020 /007835

含有割合が〇. 0 5質量%以下である。 このようなチタン酸化合物含有粒子 は、 詳細については後述するように、 チタン酸アルカリ金属粒子を形成した 後に、 当該チタン酸アルカリ金属粒子を、 所定の条件で結合剤と混合させる ことにより製造することができる。

[0024] (チタン酸化合物含有粒子)

チタン酸化合物含有粒子は、 主としてチタン酸アルカリ金属を含有するチ タン酸アルカリ金属粒子と、 その周囲の少なくとも一部を覆って付着した 結 合剤層とを含んで構成される。

[0025] チタン酸アルカリ金属は、 チタン酸化合物の一種であって、 一般式 1\/1 2 〇 n丁 丨 〇 2 (式中、 IV!はアルカリ金属元素、 nは 1〜 1 2の整数) で表される ものである。 チタン酸アルカリ金属に含まれるアルカリ金 属として具体的に は、 リチウム、 ナトリウム、 カリウム、 ノレビジウム、 セシウム、 フランシウ ムが挙げられ、 特に、 カリウム、 ナトリウム及びリチウムからなる群から選 択される少なくとも一種とすることが好まし い。 このうち、 たとえば、 一般 式 1\/1 2 〇 n丁 丨 〇 2 (门は 1〜 1 2の整数) で示されるチタン酸アルカリ金属 のなかでも具体的には、 6チタン酸ナトリウム ( 3 2 丁 I 6 0 13 ) . 8チタン 酸ナトリウム 丁 1 8 〇口) 、 6チタン酸カリウム (< 2 丁 1 6 13 ) 、 8チ タン酸カリウム (< 2 丁 1 8 〇口) 、 5チタン酸リチウム (1_ 丨 4 丁 1 5 0 12 ) 等を 挙げることができる。 このうち、 たとえば、 6チタン酸カリウム (< 2 〇 · 6 7 \ 0 2 ) 又は 8チタン酸カリウム (< 2 〇 8丁 1 〇 2 ) は、 トンネル構造の結 晶構造を有し、 これを含有させた摩擦材は特に耐熱性等に優 れた特性を有す る。

[0026] チタン酸化合物含有粒子中のチタン酸アルカ リ金属の含有量は、 好ましく は 5 0質量%〜 9 9質量%、 より好ましくは 8 0質量%〜 9 9質量%とする 。 チタン酸化合物含有粒子中のチタン酸アルカ リ金属の含有量が上記範囲か ら外れた場合には、 チタン酸化合物含有粒子を維持できなくなり 、 生産性の 観点から好ましくない。

[0027] チタン酸アルカリ金属粒子の周囲の結合剤層 は、 チタン酸アルカリ金属粒 〇 2020/175575 7 卩(:171? 2020 /007835

子それ自体の粒子サイズを増大させ、 また場合によってはチタン酸アルカリ 金属粒子どうしを結合させるベくも機能し、 それにより、 人体に影響を及ぼ し得る繊維状の微細な粒子を有効に低減させ る。

[0028] 結合剤層は、 フエノール樹脂、 エポキシ樹脂、 ポリイミ ド樹脂、 ポリアミ ド樹脂、 不飽和ポリエステル樹脂、 ベンゾオキサジン樹脂、 シアナートエス テル樹脂、 メラミン樹脂、 ユリア樹脂、 ポリウレタン樹脂、 ジアリルフタレ —卜樹脂、 シリコーン樹脂、 ビニルエステル樹脂からなる群より選択され る 少なくとも一種を含むことができるが、 なかでも、 フエノール樹脂を含むこ とが好ましい。 フエノール樹脂は、 チタン酸化合物含有粒子を用いて摩擦材 組成物等を作製する場合に配合される多数の 材料のうちの一つとされること がある。 それ故に、 結合剤層がフエノール樹脂を含む場合は、 粒子サイズの 増大によって健康上の安全性を高めつつ、 フエノール樹脂を含むことにより 、 摩擦材等の所要の要求性能が有効に確保され る。 結合剤層は一般に、 チタ ン酉愛アルカリ金属粒子の周囲に直接付着し ていることがある。

[0029] 結合剤層は、 レゾール型フエノール樹脂やノボラック型フ エノール樹脂等 のフエノール樹脂を単独あるいは 2種類以上を併用して使用することができ る。

[0030] ここで、 レゾール型フエノール樹脂とは、 フエノール類とアルデヒド類と をアルカリ性触媒下で反応して得られるもの である。 通常、 フエノール類に 対するアルデヒド類のモル比 (アルデヒド類/フエノール類) を 1 . 3〜 3 . 0として反応させて得ることができる。

[0031 ] レゾール型フエノール樹脂を製造するために 使用されるフエノール類とし ては、 例えばフエノール、 クレゾール、 キシレノール、 レゾルシン、 ハイ ド ロキノン、 ㊀ 「 1: _プチルフエノール、 フエニルフエノール、 ビフエノー ル、 ビスフエノール八、 ビスフエノール 等を挙げることができる。 中でも 反応性、 価格の点からフエノールがよい。 これらは単独または 2種以上の混 合物として使用することができる。

[0032] また、 アルデヒド類としては、 ホルムアルデヒド、 パラホルムアルデヒド 〇 2020/175575 8 卩(:171? 2020 /007835

、 ポリオキシメチレン、 トリオキサン等が挙げられる。

[0033] レゾール型フエノール樹脂の重量平均分子量 は 3 0 0〜 3 0 0 0の範囲で あることが好ましい。

この重量平均分子量はゲルパーミエーシヨン クロマトグラフ (〇 〇) に より、 ポリスチレンを標準物質として作成した検量 線をもとに算出すること ができる。

[0034] ノボラック型フエノール樹脂とは、 フエノール類とアルデヒド類とを酸性 触媒下で縮合させて得られるものである。 通常、 フエノール類に対するアル デヒド類のモル比 (アルデヒド類/フエノール類) を〇. 5〜〇. 9として 反応させて得ることができる。

[0035] ノボラック型フエノール樹脂を製造するため に使用されるフエノール類と しては、 例えばフエノール、 クレゾール、 キシレノール、 レゾルシン、 ハイ ドロキノン、 ㊀ 「 1:—プチルフエノール、 フエニルフエノール、 ビフエノ —ル、 ビスフエノール八、 ビスフエノール 等を挙げることができ、 これら は単独または 2種以上の混合物として使用することができ 。

[0036] また、 アルデヒド類としては、 ホルムアルデヒド、 パラホルムアルデヒド 、 ポリオキシメチレン、 トリオキサン等が挙げられる。

[0037] ノボラック型フエノール樹脂の重量平均分子 量は 5 0 0〜 1 0 0 0 0の範 囲であることが好ましい。 この重量平均分子量はゲルパーミエーシヨン ク ロマトグラフ (〇 〇) により、 ポリスチレンを標準物質として作成した検 量線をもとに算出することができる。

[0038] また、 ノボラック型フエノール樹脂を使用する場合 、 硬化剤としてへキサ メチレンテトラミンを混合して用いることも 可能である。

[0039] 結合剤層に含まれ得るフエノール樹脂として は様々に変性されたものを用 いることもできる。 たとえば、 巳 変性フエノール樹脂、 3巳 変性フエ ノール樹脂、 アクリル変性フエノール樹脂、 シリコーン変性フエノール樹脂 、 アラルキル変性フエノール樹脂等がある。

[0040] 結合剤層に用いるフエノール樹脂は液体状で 使用される。 この際、 樹脂固 〇 2020/175575 9 卩(:171? 2020 /007835

形分は 1 〇質量%〜 6 0質量%であることが好ましい。 この結合剤層に使用 される溶媒は水以外に有機溶媒を使用しても よい。 この際の有機溶媒として は、 例えばメタノール、 エタノール、 イソプロピルアルコール、 アセトン、 メチルエチルケトン、 メチルイソプチルケトン、 トルエン、 キシレン、 エチ レングリコール、 プロピレングリコール等が挙げられる。 中でも乾燥性の面 で低沸点の有機溶媒が好ましい。

[0041 ] 結合剤層がフエノール樹脂を含む場合、 チタン酸化合物含有粒子中のフエ ノール樹脂の含有量 (つまり、 チタン酸化合物含有粒子の全量に対する、 フ エノール樹脂の含有量) は、 好ましくは 1質量%〜 1 〇質量%、 より好まし くは 1質量%〜 5質量%であり、 さらに好ましくは 2質量%〜 4質量%であ る。 フエノール樹脂の含有量が上記下限値よりも 少ない場合には、 粒子サイ ズ増大の効果が十分に得られないおそれがあ り、 この一方で、 フエノール樹 脂の含有量が上記上限値よりも多い場合には 、 粒子サイズが大きくなりすぎ る、 あるいは均一な混合が困難となる可能性があ る。 フエノール樹脂の含有 量は、 5 5 0 で 5時間焼成後の重量減少率により測定する。

[0042] さらにチタン酸化合物含有粒子は、 たとえば鉱石由来等の珪素を含むこと があるが、 挂素を含む場合であっても、 その挂素含有量は、 たとえば 3質量 %以下、 好ましくは 2質量%以下である。

[0043] その他、 チタン酸化合物含有粒子は、 たとえば鉱石由来等の IV! 9、 八 I、 Vからなる群から選択される少なくとも一種 元素をさらに含むこと がある。 これらの元素の含有量は合計、 たとえば 4質量%以下、 典型的には 3質量%以下である。

[0044] 上述したようなチタン酸化合物含有粒子は、 結合剤層が存在することに起 因して、 当該粒子の多くが、 丸みを帯びた球等の形状になる傾向がある。 こ れは、 人体への影響が懸念される繊維状の粒子が少 ないことを意味するので 、 健康上の安全性の観点から望ましい。

[0045] チタン酸化合物含有粒子の 5 0 %粒子径〇 5 0は、 4 0 ~ 1 0 0 であり、 4 0 8 0 であることが好ましい。 また、 チタン酸化合物 〇 2020/175575 10 卩(:171? 2020 /007835

含有粒子の 1 〇%粒子径口 1 0は、 1 0 〇1~50 〇1、 さらに 1 0 〇1~ 40 であることが好適である。 そしてまた、 チタン酸化合物含有粒子の 90%粒子径090は、 好ましくは 40 〇1~ 1 50 〇1であり、 より好ま しくは 50 ~ 1 30 である。 また、 チタン酸化合物含有粒子の最大 粒子径 Xの好ましい範囲は、 70 〇!〜 250 01、 特に 80 〇!〜 2 1 〇 である。 チタン酸化合物含有粒子の各粒子径が上記範 囲から外れ た場合には、 チタン酸化合物含有粒子を自動車、 鉄道車両、 航空機及び産業 機械類等における制動装置を構成するブレー キライニング、 ディスクパッ ド 、 クラッチフエージング等の摩擦摺動部材用の 摩擦材に適用する場合に、 摩 擦材の配合設計や原材料管理の困難性の観点 から好ましくない可能性がある

[0046] そして、 チタン酸化合物含有粒子の 3 八 1\1値は、 〇. 1〜 5. 0、 さら に〇. 2~2. 5であることが好適である。 この 3 八1\1値は、 粒度分布の シャープさを示す指標であり、 式: 3 八1\1値 = (090-01 0) /05 0で表されるものである。 チタン酸化合物含有粒子の 3 八 1\1値が上記範囲 から外れた場合には、 チタン酸化合物含有粒子を自動車、 鉄道車両、 航空機 及び産業機械類等における制動装置を構成す るブレーキライニング、 ディス クパッ ド、 クラッチフヱージング等の摩擦摺動部材用の 摩擦材に適用する場 合に、 摩擦材の配合設計や原材料管理の困難性の観 点から好ましくない可能 性がある。

[0047] なお、 上述した 50%粒子径〇 50、 1 0%粒子径01 0、 90%粒子径

090及び最大粒子径 0 3 Xは、 1万個以上のチタン酸化合物含有粒子に ついて、 粒度 ·形状分布測定器を用いて各粒子の投影像の 積を測定し、 各 粒子の体積を、 その面積と同じ面積を有する円と等しい直径 の球の体積と仮 定し、 その体積頻度分布から、 累積体積が 1 0%、 50%、 90%又は 1 0 0%になる直径を求める。

[0048] チタン酸化合物含有粒子は、 短径が 3 以下かつ長径が 5 以上かつ アスペクト比が 3以上であるものの含有割合が〇. 05質量%以下、 好まし 〇 2020/175575 1 1 卩(:171? 2020 /007835

くは〇. 0 2 5質量%以下、 より好ましくは〇. 0 1質量%以下である。 短 径 が 3 以下かつ長径 !_が 5 以上かつアスペクト比 (!_ / ) が 3 以上であるチタン酸化合物含有粒子 (以下、 「繊維状粒子」 ともいう。 ) の 含有割合の測定は、 次のようにして行う。 まず、 粒度 ·形状分布測定器を用 いて、 1万個以上の各チタン酸化合物含有粒子の投 像で、 その投影像の輪 郭線上の任意の二点間の最大長さを長径!- し、 前記長径に垂直な方向の最 小長さを短径 として、 繊維状粒子を特定する。 そして、 粒度 ·形状分布測 定器を用いて、 上記のようにして特定された繊維状粒子の投 影像の周長を測 定し、 その周長と同じ円周を有する円を断面とする 球の体積と、 チタン酸ア ルカリ金属 (チタン酸カリウム等) の真密度の理論値から、 各繊維状粒子の 質量を求める。 その後、 各繊維状粒子の質量を積算して繊維状粒子の 合計質 量を算出し、 この繊維状粒子の合計質量が、 測定に使用したチタン酸化合物 含有粒子の全質量に占める割合を、 繊維状粒子の含有割合とする。 粒度 ·形 状分布測定器としては、 株式会社セイシン企業製の 丨 丁八_ 3型を用いる ことができる。 なお、 チタン酸化合物含有粒子には、 比較的少量のフエノー ル樹脂等の結合剤層が均一に分散して含まれ 得ることから、 上記の真密度と して、 結合剤層を考慮せずにチタン酸アルカリ金属 の真密度を用いても、 繊 維状粒子の含有割合の算出結果に大きな影響 を及ぼさない。

この明細書では、 実際の ファイバーの定義に関わらず、 短径 が 3 以下かつ長径 !_が 5 以上かつアスペク ト比 (!_ / ) が 3以上であ るチタン酸化合物含有粒子を対象とし、 当該チタン酸化合物含有粒子を繊維 状粒子とする。 したがって、 この発明には、 ファイバーの含有割合に よらず、 当該繊維状粒子の含有割合が〇. 0 5質量%以下であるものが含ま れる。

[0049] (製造方法)

上述したようなチタン酸化合物含有粒子を製 造するには、 たとえば、 チタ ン化合物とアルカリ金属化合物を混合して混 合物を得る原料混合工程と、 前 記混合物を加熱してチタン酸アルカリ金属粒 子を得る焼成工程と、 必要に応 〇 2020/175575 12 卩(:171? 2020 /007835

じて前記焼成物を粉砕して粉末状にする粉 砕工程と、 前記チタン酸アルカリ 金属粒子を結合剤と混合させ、 チタン酸アルカリ金属粒子の周囲の少なくと も一部を結合剤層で被覆してチタン酸化合物 含有粒子を得る結合剤コーティ ングエ程とを行う。 なお、 チタン酸化合物含有粒子の製造においては、 必要 に応じて結合剤コーティングエ程で得られた チタン酸化合物含有粒子を乾燥 する乾燥工程を含んでいてもよい。

[0050] 原料混合工程では、 原料として、 チタン化合物とアルカリ金属化合物を用 いる。

チタン化合物としては、 たとえば、 二酸化チタン、 亜酸化チタン、 オルト チタン酸もしくはその塩、 メタチタン酸もしくはその塩、 水酸化チタン及び 、 ペルオクソチタン酸もしくはその塩等からな る群から選択される一種を、 又は二種以上を組み合せて用いることができ る。 これらのなかでも二酸化チ タンが好ましい。 二酸化チタンはアルカリ金属化合物との混合 性及び反応性 に優れ、 また比較的安価であることによる。 二酸化チタンを用いる場合、 そ の結晶形がルチル型またはアナターゼ型であ るものが好ましい。

[0051 ] チタン化合物は一般に、 粒子状、 なかでも、 顆粒を含む凝集体又は造粒体 の形態で用いられる。 なお、 この凝集体とは、 一次粒子が凝集した二次粒子 や、 二次粒子が凝集した三次粒子、 それ以上の次数の粒子等の粗大粒子が形 成されたものを意味する。 特に二酸化チタンの凝集体又は造粒体が好適 であ る。

チタン化合物の平均粒子径は、 均一な混合を効率的に行うため、 好ましく は〇. 1 01 01以上、 より好ましくは〇. さらに好ましくは 0 . 5〜 1 とする。 但し、 平均粒子径が 1 を超える大きな凝集体又 は造粒体であっても、 解砕ないし粉砕により平均粒子径を 1 〇 以下にし て用いることは可能である。 なおここで、 平均粒子径は、 」 丨 3 < 0 0 6

9の化学製品のふるい分け試験方法に従っ 測定した値を意味する。 後述す るアルカリ金属化合物の平均粒子径について も同様である。

[0052] チタン化合物の凝集体としては、 硫酸チタンや硫酸チタニルから製造され 〇 2020/175575 13 卩(:171? 2020 /007835

る硫酸法酸化チタン、 四塩化チタンを気相で酸化もしくは加水分解 して製造 される気相法酸化チタン、 又は、 四塩化チタン水溶液もしくはアルコキシチ タンを中和もしくは加水分解して製造される もの等を使用することができる 。 また、 チタン化合物の凝集体に代えて、 チタン化合物の造粒体を用いるこ ともできる。 チタン化合物の造粒体は、 市販の微粒酸化チタンをスプレード ライにより造粒したり、 バインダーを添加して混練して造粒したりす ること 等により得ることができる。

[0053] アルカリ金属化合物は、 カリウム化合物、 ナトリウム化合物およびリチウ ム化合物からなる群から選択される少なくと も一種とすることが好ましい。 より具体的には、 カリウム、 ナトリウム及び/又はリチウムの酸化物、 炭酸 塩、 水酸化物又はシュウ酸塩等とすることができ るが、 焼成で溶融する炭酸 塩又は水酸化物が特に好適である。

なお、 チタン酸アルカリ金属粒子としてチタン酸カ リウム粒子を得る場合 、 酸化チタンなどのチタン化合物と炭酸カリウ ムなどのカリウム化合物を混 合させるが、 この場合、 炭酸リチウム等のリチウム化合物をカリウム 化合物 に混合することによって、 得られるチタン酸カリウムが望ましい形状に 制御 される。

[0054] アルカリ金属化合物は粒子状のものとするこ とができる。 アルカリ金属化 合物の平均粒子径は、 取扱いが容易なことから、 好ましくは〇. 1 〜 1

01〜 1 111 111とする。

[0055] チタン化合物とアルカリ金属化合物の混合比 率については、 例えば、 合成 しようとするチタン酸アルカリ金属がチタン 酸カリウムである場合、 カリウ ム化合物中のカリウム原子のモル数に対する チタン化合物中のチタン原子の モル数のモル比が 2 . 6〜 3 . 3、 さらには 2 . 6〜3 . 0となる比率とす ることが好適である。

[0056] なお、 チタン化合物とアルカリ金属化合物の混合物 に、 必要に応じて、 粉 末状の金属チタン及び/又は水素化チタンを たとえばチタン化合物中のチ 〇 2020/175575 14 卩(:171? 2020 /007835

タン原子 1モルに対して〇. 0 1モル〜〇. 2モルで含ませることもできる 。 この場合、 上述したチタン化合物とアルカリ金属化合物 の混合比率におけ るチタン化合物のチタン源には、 このような金属チタン又は水素化チタンも 含めて調整する。 また混合時に、 マグネシウム化合物やバリウム化合物等の アルカリ土類金属化合物を添加してもよい。 アルカリ土類金属化合物の添加 により、 繊維状の粒子の生成を抑制することができる 。 また、 混合物は、 チ タン酸アルカリ金属の生成に影響を及ぼさな い程度の微量で、 6 2 3 、 八 1 2 3 、 3 I 0 2 , 〇6〇 2 , \^/〇 3 、 「〇 2 、 「 (〇〇 3 2 、 等の無機 酸化物その他の化合物を含むものとすること もできる。

混合物は、 固形分換算したときに、 チタン化合物およびカリウム化合物を 、 8 5質量%〜 1 0 0質量%、 さらには 8 5質量%〜 9 7質量%で含むもの とすることが好ましい。

[0057] 原料混合工程では、 乾式混合又は湿式混合のいずれも採用しても よいが、 工程を簡略化できる点で乾式混合が好ましい 。

ここで混合手段としては、 振動ミル、 振動ロッ ドミル、 振動ボールミル、 ビーズミル、 ターボミル、 遊星ボールミルなどの機械的粉砕手段を採用 する ことができる。 特に、 粉砕メディアとして棒状のロッ ドを充填した振動ロッ ドミルが好ましい。 振動ロッ ドミル等の振動ミルでチタン化合物とアルカ リ 金属化合物を粉砕 ·混合する場合、 ミル内部でのチタン化合物の付着ないし 固着を抑制するため、 メタノールもしくはエタノール等のアルコー ルを、 た とえば混合物の重量に対して〇. 1〜 3 . 0重量%程度で添加することがで きる。 また、 振動ミルなどの混合容器内でのチタン化合物 の凝集や固着を抑 制するため、 凝集防止剤や潤滑剤などの添加剤として、 たとえば木粉、 パル プ粉もしくは天然繊維粉等を添加してもよい 。

なお、 湿式混合を採用する場合、 溶媒として、 純水、 アルコールやアセト ン、 !\/1巳[<、 丁 ! ! 等の一般的な有機溶媒等を用いることができ 、 混合粉末 の分散性を向上させて均一に混合させるため 、 界面活性剤や分散剤を併用す ることが好ましい。 〇 2020/175575 15 卩(:171? 2020 /007835

[0058] 次いで、 上述した原料混合工程で得られる混合物を、 たとえば口ータリー キルン等に装入して流動させながら、 所定の温度に加熱する焼成工程を行う 。 これにより、 混合物が焼成されて、 チタン酸アルカリ金属粒子が得られる 。 ロータリーキルン以外の炉もしくは反応容器 等を用いることも可能である が、 口ータリーキルンは生産性の点で好適である 。

[0059] ここでは、 反応を促進させるとともに、 チタン酸アルカリ金属粒子を合成 するため、 加熱時の最高温度として温度を、 800 ° 〇以上、 さらに 900 ° 〇 より高くするとともに、 1 300 ° 〇以下とすることが好ましい。

また、 上記の温度範囲内に保持する時間は、 1 0分間〜 1 0時間、 好まし くは 30分間〜 1 0時間とすることが、 反応促進の観点から好適である。

[0060] 焼成工程の後は、 必要であれば粉砕工程を行ってもよい。 ここでは、 上述 したように混合物を加熱して得られる焼成物 を粉砕して、 チタン酸アルカリ 金属粒子とすることができる。 この粉砕工程では、 振動ミル、 振動ボールミ ル、 振動ロッ ドミル、 ビーズミル、 夕ーボミル、 遊星ボールミル、 さらにハ ンマーミルやパルべライザ、 ピンミルなどの衝撃式粉砕機等を用いること が できる。 なかでも振動ロッ ドミルが好適である。 振動ロッ ドミルを用いる場 合、 振幅幅を 2 とすることができる。 粉砕後は、 必要に応じて 分級処理または篩分け処理を行う。

[0061] 以上の工程で得られるチタン酸アルカリ金属 粒子の 50%粒子径口 50は 、 30 〇1~60 〇!であることが好ましく、 さらに 30 〇1~50 〇!で あることがより一層好ましい。 また、 チタン酸アルカリ金属粒子の 1 0%粒 子径口 1 0は、 1 〇!〜 40 01、 さらに 5 〇1~30 〇!であることが好 適である。 そしてまた、 チタン酸アルカリ金属粒子の 90%粒子径〇 90は 、 好ましくは 40 〇1~90 〇!であり、 より好ましくは 50 〜ア〇 である。 また、 チタン酸アルカリ金属粒子の最大粒子径口 013 Xの好まし い範囲は、 50 111~ 1 1 0 〇1、 特に 70 〇1~90 〇!である。 チタン 酸アルカリ金属粒子の 50 %粒子径 050, 1 0 %粒子径 01 0, 90 %粒 子径口 90及び最大粒子径口 3 Xは、 チタン酸化合物含有粒子について先 〇 2020/175575 16 卩(:171? 2020 /007835

述した粒子径の測定方法と同様に測定する 。

[0062] その後、 上述したようにして得たチタン酸アルカリ金 属粒子を結合剤と混 合させ、 前記チタン酸アルカリ金属粒子の周囲の少な くとも一部を、 結合剤 層で被覆する結合剤コーティングエ程を行う 。 結合剤は、 フェノール樹脂、 エポキシ樹脂、 ポリイミ ド樹脂、 ポリアミ ド樹脂、 不飽和ポリエステル樹脂 、 ベンゾオキサジン樹脂、 シアナートエステル樹脂、 メラミン樹脂、 ユリア 樹脂、 ポリウレタン樹脂、 ジアリルフタレート樹脂、 シリコーン樹脂、 ビニ ルエステル樹脂からなる群より選択される少 なくとも一種とすることが好ま しい。 特に、 所定のフェノール樹脂を含む結合剤がより一 層好ましいことに ついては、 先に述べたとおりである。

[0063] チタン酸アルカリ金属粒子と結合剤の混合に は、 たとえば、 混合機を用い ることができる。 混合機としては、 電動コーヒーミル、 レーディゲミキサー ( 「レーディゲ」 は登録商標) 、 ヘンシヱルミキサー等の、 各種混合機を使 用することができる。 例えば、 電動コーヒーミル (メリタジャパン株式会社 製、 セレクトグラインド IV!」一5 1 8) を用いる場合、 チタン酸アルカリ金 属粒子と液体状等の結合剤を投入し、 それらを 1分間混合させる。 これによ り、 チタン酸アルカリ金属粒子の周囲でその少な くとも一部を覆って結合剤 層が形成されるとともに、 当該結合剤層でチタン酸アルカリ金属粒子ど うし が結合して凝集し、 チタン酸化合物含有粒子になる。

[0064] 混合機から取り出した、 結合剤コーティングエ程で得られたチタン酸 化合 物含有粒子は、 必要に応じて、 乾燥工程において、 8 0 ° 〇〜2 0 0 ° 〇の温度 を 3 0分〜 5時間にわたって維持して乾燥させることが きる。

[0065] このようにして製造されるチタン酸化合物含 有粒子は、 所望の摩擦摩耗特 性を有する可能性があることから、 自動車、 鉄道車両、 航空機及び産業機械 類等における制動装置を構成するブレーキラ イニング、 ディスクパッ ド、 ク ラッチフェージング等の摩擦摺動部材用の摩 擦材に用いて好適なものである と考えられる。 また、 このチタン酸化合物含有粒子は上述したよう に粒子サ イズが大きく、 人体への影響がほぼないことから、 摩擦材等を製造する際の 〇 2020/175575 17 卩(:171? 2020 /007835

作業者の健康の安全性を高めることができ る。

[0066] 上記チタン酸化合物含有粒子は、 ブレーキ用摩擦材の素材として、 好適に 用いられる。 例えば、 上記チタン酸化合物含有粒子をブレーキ用摩 擦材の素 材として用いる場合、 上記チタン酸化合物含有粒子を 1 5〜 2 5質量%、 フ エノール樹脂を 9〜 1 1質量%、 黒鉛 (人造黒鉛) を 7〜 9質量%、 硫酸バ リウム (バライ ト) を 2 5〜 3 0質量%、 珪酸ジルコニウムを 6〜 8質量%

、 三硫化アンチモンを 2〜 4質量%、 銅繊維および粉末を〇〜 9質量%、 力 シユーダストを 4〜 6質量%、 ラバーパウダーを 1〜 3質量%、 アラミ ド繊 維を 3〜 5質量%、 雲母 (マイカ) を 4〜 6質量%、 クロム鉄鉱 (クロマイ 卜) を〇〜 2質量%を含有する摩擦材用原料混合物を、 ブレーキの摩擦材の 形状に成形し、 熱成型 7〇〜 2 5 0 °〇の温 度で加圧して、 ブレーキ用摩擦材を得る。

実施例

[0067] 次に、 この発明のチタン酸化合物含有粒子を試作し 、 その効果を確認した ので以下に説明する。 但し、 ここでの説明は単なる例示を目的としたもの で あり、 これに限定されることを意図するものではな い。

[0068] <試験例 1 >

(製造方法)

(原料混合工程)

平均粒子径〇. の酸化チタンの凝集体 3 5 0 . 6 9 、 平均粒子径〇

. の炭酸カリウム粉末 1 0 8 . 3 9 、 チタン粉末 9 . 6 9 および、 木 屑 (木質ペレッ ト) 1 9 . 1 9を、 振動ロッ ドミル (中央化工機株式会社製 の試験研究用小型振動ミル) 中に充填し、 さらにここにメタノールを 0 . 5 質量%添加して、 振幅 1 5分間処理することにより、 原料混合物を 得た。 なお、 上記の振動ロッ ドミルは、 内容積 1 リッ トル、 直径 1 9 01 01、 長さ 2 1 8〇1〇1、 4 6 4 9のロツ ドを有するものであり、 ステンレス鋼 (3 3) 製の円柱状ロッ ドメディア 1 1 . を用いた。

[0069] (焼成工程) 〇 2020/175575 18 卩(:171? 2020 /007835

上記の操作を繰り返して得られた原料混合 物 2 0 1< 9を、 制御温度 1 1 8 時の流量で供給した。 この口ータリー キルン内でチタン酸カリウムへの合成反応が 起こり、 焼成物となってキルン から排出された。 排出された焼成物を室温まで急冷し、 次の粉砕工程の原料 とした。

[0070] (粉砕工程)

これにより得られた焼成物を振動ロッ ドミル (中央化工機株式会社製の IV! 巳_ 1) で粉砕した後、 分級機を内蔵した衝撃式粉砕機 (ホソカワミクロン 株式会社製、 0 IV!パルべライザ) で粉砕し、 平均粒子径 4 3 のチタン 酸カリウム粒子を得た。 ここで得られたチタン酸カリウム粒子は、 X線粉末 回折測定の結果、 6チタン酸カリウム単相であることが解かっ 。

[0071 ] (結合剤コーティングエ程)

その後、 上記のチタン酸カリウム粒子を結合剤でコー ティングし、 チタン 酸カリウム粒子の周囲に結合剤層が形成され たチタン酸化合物含有粒子を作 製した。 ここで、 コーティングは、 電動コーヒーミル (メリタジャパン株式 会社製、 セレクトグラインド IV!」一5 1 8) を用いて行った。 チタン酸アル カリ金属粒子と液体状の結合剤について、 それぞれ下記表 1 に示した量を電 動コーヒーミルに投入し、 1分間それらを混合させた。

[0072] [表 1 ]

[0073] (乾燥工程)

その後、 実施例 1、 4、 6及び 8については、 混合機電動コーヒーミルか ら取り出したチタン酸化合物含有粒子を、 1 2 0 °〇の温度で 1時間にわたつ 〇 2020/175575 19 卩(:171? 2020 /007835

て乾燥させた。

[0074] ここでは、 表 1 に示すように、 結合剤の種類および配合量、 ならびに乾燥 の有無について異なる実施例 1〜 8のチタン酸化合物含有粒子を製造した。 また、 表 1 に示した結合剤の タイプは、 群栄化学工業株式会社製レゾー ル型フエノール樹脂 「 !__56 1 4」 (重量平均分子量 373、 樹脂固形 分 33質量%) を減圧濃縮により樹脂固形分を 60質量%に調製したもので ある。 表 1 に示した結合剤の巳タイプは、 「 — 56 1 4」 を純水で樹脂 固形分を 30質量%に調製したものである。 また、 表 1 に示した結合剤の〇 タイプは、 群栄化学工業株式会社製レゾール型フエノー ル樹脂 「 !__22 1 1」 (重量平均分子量 2650、 樹脂固形分 58質量%) をメタノールで 樹脂固形分を 30質量%に調製したものである。

フエノール樹脂の質量平均分子量は、 〇 (3測定装置 (東ソー株式会社製 、 8320〇 〇 およびカラム (東ソー株式会社製、 丁3 < 9 6 I

◦ 30001 ~ 1乂1_ +〇 2000 2000 を使用し、 標 準物質にポリスチレンを用いて測定した。

[0075] 参考までに、 コーティング前のチタン酸カリウム粒子の 3巳 IV!画像を図 1 に、 また実施例 1、 7及び 8の 3巳1\/1画像を図 2〜 4にそれぞれ示す。

[0076] (評価)

先に述べた方法に従い、 粒度 ·形状分布測定器として株式会社セイシン企 業製の 丨 丁八一 3型を用いて、 コーティング後の実施例 1〜 8のチタン酸 化合物含有粒子のそれぞれの 50%粒子径口 50、 1 0%粒子径口 1 0、 9 0%粒子径口 90及び最大粒子径口 ならびに、 3 八1\1値を算出した 。 実施例 1〜 8のチタン酸化合物含有粒子の体積頻度分布 それぞれ、 図 5 〜 1 2に示す。

[0077] また、 太さが 3 以下、 長さが 5 以上かつアスペクト比が 3以上で あるチタン酸化合物含有粒子を繊維状粒子と し、 チタン酸カリウム粒子及び 実施例 1〜 8のチタン酸化合物含有粒子中の繊維状粒子 個数及び割合も、 先に述べた方法にて算出した。 ここでは、 粒度 ·形状分布測定器として、 株 〇 2020/175575 20 卩(:171? 2020 /007835

式会社セイシン企業製の 丨 丁八一 3型を用いた。

これらの結果を表 2に示す。

[0078] [表 2]

[0079] 表 2に示す結果から、 実施例 1〜 8のチタン酸化合物含有粒子では、 コー 〇 2020/175575 21 卩(:171? 2020 /007835

ティング前のチタン酸カリウム粒子と比較 して、 繊維状粒子の個数及び割合 が大幅に低減されていることが解かる。

したがって、 この発明によれば、 使用時の人体への影響が少なく、 安全性 の高まることが解かった。

[0080] <試験例 2 >

試験例 1 における実施例 4のチタン酸化合物含有粒子と、 コーティング前 のチタン酸カリウム粒子のそれぞれについて 、 摩擦材を作製してブレーキ試 験を行った。

[0081 ] 具体的には、 実施例 4のチタン酸化合物含有粒子又はコーティン 前のチ タン酸カリウム粒子と、 フヱノール樹脂、 人造黒鉛、 硫酸バリウム、 珪酸ジ ルコニウム、 三硫化アンチモン、 銅繊維、 銅粉、 カシューダスト、 ラバーパ ウダー、 アラミ ド繊維、 雲母 (マイカ) 及びクロム鉄鉱とを、 表 3に示す割 合で混合し、 これを混合粉とした。 この混合粉を 2 0 0 チ/〇 2 で予備 成形し、 それにより得られた予備成形物を 7 0 °〇で 2時間予熱した後、 1 8 0 °〇、 次いで、 2 5 0 °〇の温度の下

、 って熱処理を施して、 成形体を得た。 こ の成形体から、 縦 1 〇 〇!、 横 5 0〇1 111、 厚み 1 0 111 111の摩擦材を作製した

[0082]

〇 2020/175575 22 卩(:171? 2020 /007835

[表 3]

[0083] 上記の摩擦材の摩擦係数を、 公益社団法人自動車技術会の規格である」八

3〇一〇4 0 6に準拠して測定した。 第 2フエードリカバリ試験の第 2フエ -ド試験の摩擦係数の平均値は、 コーティング前のチタン酸カリウム粒子を 用いた摩擦材では〇. 3 4 3であったのに対し、 実施例 4のチタン酸化合物 含有粒子を用いた摩擦材では〇. 3 5 0であった。 したがって、 結合剤でコ —ティングを施したチタン酸化合物含有粒子 も、 コーティングを施さないチ タン酸カリウム粒子と同程度のブレーキ性能 が得られることが解かった。