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Title:
PARTICLES FOR MEDICAL USE, PARTICLES FOR ANALYSIS, AND PROCESS FOR PRODUCTION OF BOTH
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/087909
Kind Code:
A1
Abstract:
The invention aims at providing particles for medical use which are excellent in the ability to immobilize physiologically active substances and have such chemical and physical activity as to cause little dissolution or deterioration in the washing step; and particles for analysis which are excellent in the ability to capture biomolecules and have such chemical and physical stability as to cause little dissolution or deterioration in the washing step. The invention relates to particles for medical use which are produced by introducing polymerizable functional groups or chain -transfer groups to the surfaces of particles serving as nucleus, mixing the resulting particles with a polymerizable component containing a polymerizable monomer having a functional group capable of immobilizing a physiologically active substance, and subjecting the obtained mixture to polymerization to form a polymer-containing layer on the surface of each particle; and particles for the analysis of interaction of biomolecules.

Inventors:
HAMAGUCHI YUZO (JP)
FUNAOKA SOHEI (JP)
FUKUNISHI YOSHIAKI (JP)
MATSUMOTO TAKAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050284
Publication Date:
July 24, 2008
Filing Date:
January 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO BAKELITE CO (JP)
HAMAGUCHI YUZO (JP)
FUNAOKA SOHEI (JP)
FUKUNISHI YOSHIAKI (JP)
MATSUMOTO TAKAYUKI (JP)
International Classes:
C08F289/00; A61K9/16; A61K47/04; A61K47/32; C08F2/38; C08F20/26
Domestic Patent References:
WO2006123737A12006-11-23
Foreign References:
JP2006223313A2006-08-31
JPS63171678A1988-07-15
JP2003270230A2003-09-25
JP2006307126A2006-11-09
JPH0332740A1991-02-13
JP2003277455A2003-10-02
Attorney, Agent or Firm:
KISHIMOTO, Tatsuhito et al. (3rd Floor Oak Building Kyobashi, 16-10, Kyobashi 1-chome, Chuou-k, Tokyo 31, JP)
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Claims:
 核となる粒子の表面に重合性官能基、または連鎖移動基を導入し、該粒子と生理活性物質を固定化する官能基を有する重合性モノマーを含む重合性成分を混合し、次いで重合反応を進行させることにより、該粒子表面に高分子化合物を含む層を形成した医療用粒子。
 前記重合性成分が、アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーを含む請求の範囲第1項に記載の医療用粒子。
 生理活性物質を固定化する官能基を有する重合性モノマーの官能基が、アルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基、及びビオチンから選ばれる少なくとも一つの官能基である請求の範囲第1項又は第2項に記載の医療用粒子。
 生理活性物質を固定化する官能基を有する重合性モノマーが下記の一般式[1]で表される活性エステル基を有するモノマーである請求の範囲第1項~第3項のいずれかに記載の医療用粒子。
(式中R 1 は水素原子またはメチル基を示し、Xは炭素数1~10のアルキレングリコール残基またはアルキレン基を示す。Wは活性エステル基を示す。pは1~100の整数を示す。pが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるXは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)
 前記活性エステル基がp-ニトロフェニルエステル又はN-ヒドロキシスクシンイミドエステルである請求の範囲第4項に記載の医療用粒子。
 前記アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーが下記の一般式[2]で表されるモノマーを含む請求の範囲第2項~第5項のいずれかに記載の医療用粒子。
(式中R 2 は水素原子またはメチル基を示し、R 3 は水素原子または炭素数1~20のアルキル基を示す。Yは炭素数1~10のアルキレングリコール残基を示し、qは1~100の整数を示す。qが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるYは、同一であっても、異なっていてもよい。)
 前記アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーが、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及び/又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートを含む請求の範囲第2項~第6項のいずれかに記載の医療用粒子。
 前記メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及び/又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのエチレングリコール残基の平均繰り返し数が3~100である請求の範囲第7項に記載の医療用粒子。
 前記重合性官能基がメタクリル基、アクリル基、及びビニル基よりなる群から選ばれる1種以上である請求の範囲第1項~第8項のいずれかに記載の医療用粒子。
 前記連鎖移動基がメルカプト基である請求の範囲第1項~第8項のいずれかに記載の医療用粒子。
 前記核となる粒子が無機材料からなる請求の範囲第1項~第10項のいずれかに記載の医療用粒子。
 前記無機材料が無機酸化物からなる請求の範囲第11項に記載の医療用粒子。
 前記無機酸化物が酸化ケイ素である請求の範囲第12項に記載の医療用粒子。
 前記核となる粒子の表面への重合性官能基、または連鎖移動基の導入が、重合性官能基、または連鎖移動基を有するシランカップリング剤と核となる粒子表面の官能基との共有結合の形成によってなされる請求の範囲第1項~第13項のいずれかに記載の医療用粒子。
 前記重合性官能基、または連鎖移動基を有するシランカップリング剤が重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランである請求の範囲第14項に記載の医療用粒子。
 請求の範囲第1項~第15項のいずれかに記載の医療用粒子の製造方法であって、重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランを酸性水溶液中で加水分解する工程、次いで前記重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランの酸性水溶液中で核となる粒子を撹拌下、加熱する工程、及び乾燥後、更に加熱する工程、を含む医療用粒子の製造方法。
 更に、重合性官能基、または連鎖移動基を導入した核となる粒子と重合性モノマーを溶媒中で混合することにより重合反応を進行させる工程、及び乾燥する工程を含む請求の範囲第16項に記載の医療用粒子の製造方法。
 前記重合反応がラジカル重合反応であることを特徴とする請求の範囲第17項に記載の医療用粒子の製造方法。
 生体分子の相互作用を分析するための粒子であって、核となる粒子の表面に重合性官能基、または連鎖移動基を導入し、該粒子と生理活性物質を固定化する官能基を有する重合性モノマーを含む重合性成分を混合し、次いで重合反応を進行させることにより、該粒子表面に高分子化合物を含む層を形成し、次いで高分子化合物を含む層の前記生理活性物質を固定化する官能基を介して生理活性物質を固定化したことを特徴とする分析用粒子。
 前記重合性成分がアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーを含む請求の範囲第19項に記載の分析用粒子。
 前記生理活性物質を固定化する官能基がアルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基、及びビオチンよりなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基である請求の範囲第19項又は第20項に記載の分析用粒子。
 前記生理活性物質が核酸、アプタマー、タンパク質、抗体、抗原、プロテインA,プロテインG、リガンド、ペプチド、グルタチオン、低分子化合物、ビオチン、糖鎖、レクチン、及び糖タンパクよりなる群から選ばれる少なくとも一つである請求の範囲第19項~第21項のいずれかに記載の分析用粒子。
 請求の範囲第19項~第22項のいずれかに記載の分析用粒子の製造方法であって、高分子化合物を含む層を形成した粒子に生理活性物質をリン酸塩緩衝液に溶解した溶液を接触させる工程を含む分析用粒子の製造方法。
 前記リン酸塩緩衝液のリン酸塩濃度が0.1M以上5M以下である請求の範囲第23項に記載の分析用粒子の製造方法。
 前記リン酸塩がリン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2カリウム、又はリン酸水素2ナトリウムである請求の範囲第23項又は第24項に記載の分析用粒子の製造方法。
 請求の範囲第19項~第22項のいずれかに記載の分析用粒子を、標的生体分子の溶解液、血液、血漿、血清、細胞破砕液、細胞培養液、及び組織破砕液から選ばれる少なくとも一つの溶液に接触させることにより標的生体物質を回収することを特徴とする分析用粒子の使用方法。
Description:
医療用粒子、及び分析用粒子、 びにそれらの製造方法

 本発明は、生理活性物質を固定化する機 を有する医療用粒子、生体分子の相互作用 分析するための分析用粒子、並びにそれら 製造方法に関する。

ポリマーでさまざまな粒子を被覆したポリ マー被覆粒子は、工業分野で広く用いられて きただけでなく、近年においては基礎的な生 物学や医療の分野においてその重要性が高ま っている。例えばアフィニティークロマトグ ラフィーの担体への応用、医療における診断 や薬物送達システム(ドラックデリバリーシ テム、DDS)、創薬用途などへの応用に対する 心が高まっている。創薬用途への応用例と ては、例えば様々な粒子(担体)に固定され リガンドと呼ばれる生理活性物質を介して 定のタンパク質などの生体分子を捕捉し、 れを分離精製するものがある。

粒子を担体として用いる際に求められる条 件は、主には(1)穏和な条件下でリガンド、又 はスペーサーを固定化できる官能基を有する こと、またその固定化量が大きいこと、(2)担 体自体がタンパク質などの生体物質一般に対 して非特異的吸着をしないこと、(3)目的・用 途に応じた機械的強度を有すること、である 。しかし、これらの条件を満たす担体は未だ 開発されていない。

 特に、リガンドの固定化量は担体の性能 左右する大きな要因であり、できるだけ大 な固定化量が要求される。リガンドの固定 量が大きくなれば、それに伴い捕捉するタ パク質の総量が増加するからである。特に 目的とするタンパク質がリガンドに捕捉さ るタンパク質の中でもマイナーな成分であ 場合、固定化量が少ないとそれを発見でき くなる恐れもあるため、なおさらリガンド 定化量の大きな粒子が求められている。

 一方、捕捉したいタンパク質以外の成分 非特異的吸着を抑制することも極めて重要 ある。従来の担体のうち、無機系のシリカ ル粒子は物理的強度の強い担体で、多孔質 あることから分離には良いとされているが 非特異的吸着の度合が高いという欠点があ ため実際に使用されている例は極めて少な 。また、合成高分子系では、ポリアクリル ミドゲル(商品名:Bio-GelP、バイオラッド社) ポリスチレン、エチレン-無水マレイン酸共 合物などでなる粒子が開発されているが、 れらの高分子も生体関連物質の非特異的吸 が起こり易いという欠点がある。

上記のように、粒子を医療用担体又は分析 用担体として用いる場合には、非特異的吸着 も問題になることが多い。そのため、それを 回避するために様々な手法が検討されている 。例えば、表面に目的の生理活性物質をつけ たあと、残りの粒子表面をウシ血清アルブミ ン(BSA)等の害の少ないタンパクを先に吸着さ ておくブロッキングの手法などがあるが、 果は十分ではない。また、表面がエポキシ からなる粒子に特定のタンパク質と特異的 結合するDNAを結合させ、タンパク質の精製 途に用いる例もある(例えば特許文献1)。こ 方法では、タンパク質の非特異吸着性が少 いという理由から、粒子表面へのエポキシ 導入にグリシジルメタクリレートなどを用 ている。しかし、エポキシ基にDNA等生理活 物質を直接結合させる方法は、アルカリ条 下や高温条件下で反応させる必要があるな 相当厳しい反応条件を必要とする。このた 、固定化させる生理活性物質がアルカリや 温で不安定な場合、固定化プロセスで生理 性物質が変質してしまう恐れがあるので不 当である。

 その他、粒子の非特異吸着低減方法とし は、非特異吸着の少ないポリマー粒子を乳 重合法などで合成する例がある。例えば、 許文献2には、生理活性物質と反応可能な反 応基を有するエチレン系不飽和重合性モノマ ー、ポリオキシアルキレン側鎖を有するエチ レン系不飽和重合性モノマー及び疎水性を付 与するエチレン系不飽和重合性ビニル芳香族 モノマーを乳化重合法、又は懸濁重合法にて 共重合し、粒子を得る方法が記載されている 。しかし、このような方法では、得られる粒 子径の制御が困難である。一般に、乳化重合 法では、比較的均一な粒径を有する粒子が得 られるものの、粒子径がサブミクロン程度の ものしかできない。一方、懸濁重合法で得ら れる粒子は、粒子径分布が広く、例えばカラ ム用充填剤として用いるためには粒子を分級 する必要があるが、特別な装置のない場合に はポリマー粒子を高度に分級することが難し い。しかも、得られる粒子のサイズが数十ミ クロンから数百ミクロンであり、それよりも 小さい径の粒子を合成することが難しい。さ らに、重合で得られる粒子は、高分子である がために担体としての強度に自ずと限界があ る。粒子強度が求められる用途に使用する場 合には、高分子中のエチレン系不飽和重合性 ビニル芳香族モノマーの比率を上げるなど強 度を上げるための処方を余儀なくされ、その ことは逆に非特異的吸着に不利であった。

特許第2753762号公報

特許第3215455号公報

 粒子強度を確保しつつ、非特異吸着を低 させるためには、物理的強度の強いシリカ ル粒子などを非特異吸着の少ないポリマー 被覆する方法が有効であると考えられた。 に、洗浄工程におけるポリマーの溶解を回 するため、ポリマーと粒子表面との間に共 結合を形成させる方法が効果的であると考 られた。しかしながら、比較的大きく平ら 基板上に塗布する場合と異なり、ポリマー の官能基と粒子表面の官能基を反応させる 来の方法では、ポリマーの立体障害により 官能基同士の衝突頻度が少ないために反応 が悪く、粒子表面にポリマーを均一に被覆 ることは困難であった。そのため、粒子表 に化学的・物理的に安定して被覆されるポ マーの量が不充分となり、目的とする生理 性物質の固定化能力が不十分であった。

 本発明の第一の課題は、目的とする生理活 物質の固定化能力に優れ、洗浄工程におけ 溶解や劣化の少ない化学的・物理的安定性 有する医療用粒子を提供すること、さらに 前記特性に加えてタンパク質等に対して非 異的吸着がより少なく、SN比の高い医療用 子を提供することである。
 本発明の第二の課題は、目的とする生体分 の捕捉能力に優れ、洗浄工程における溶解 劣化の少ない化学的・物理的安定性を有す 分析用粒子を提供すること、さらには前記 性に加えてタンパク質等に対して非特異的 着がより少なく、SN比の高い分析用粒子を 供することである。

 本発明は、
(1)核となる粒子の表面に重合性官能基、また は連鎖移動基を導入し、該粒子と生理活性物 質を固定化する官能基を有する重合性モノマ ーを含む重合性成分を混合し、次いで重合反 応を進行させることにより、該粒子表面に高 分子化合物を含む層を形成した医療用粒子、
(2)前記重合性成分が、アルキレングリコール 残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマ ーを含む(1)に記載の医療用粒子、
(3)生理活性物質を固定化する官能基を有する 重合性モノマーの官能基が、アルデヒド基、 活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホ ン基、及びビオチンから選ばれる少なくとも 一つの官能基である(1)又は(2)に記載の医療用 粒子、
(4)生理活性物質を固定化する官能基を有する 重合性モノマーが下記の一般式[1]で表される 活性エステル基を有するモノマーである(1)~(3 )のいずれかに記載の医療用粒子、

(式中R 1 は水素原子またはメチル基を示し、Xは炭素 1~10のアルキレングリコール残基またはアル レン基を示す。Wは活性エステル基を示す。 pは1~100の整数を示す。pが2以上100以下の整数 ある場合、繰り返されるXは、それぞれ同一 であっても、異なっていてもよい。)
(5)前記活性エステル基がp-ニトロフェニルエ テル又はN-ヒドロキシスクシンイミドエス ルである(4)に記載の医療用粒子、
(6)前記アルキレングリコール残基を有するエ チレン系不飽和重合性モノマーが下記の一般 式[2]で表されるモノマーを含む(2)~(5)のいず かに記載の医療用粒子、

(式中R 2 は水素原子またはメチル基を示し、R 3 は水素原子または炭素数1~20のアルキル基を す。Yは炭素数1~10のアルキレングリコール残 基を示し、qは1~100の整数を示す。qが2以上100 下の整数である場合、繰り返されるYは、同 一であっても、異なっていてもよい。)
(7)前記アルキレングリコール残基を有するエ チレン系不飽和重合性モノマーが、メトキシ ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート び/又はエトキシポリエチレングリコール( タ)アクリレートを含む(2)~(6)項のいずれかに 記載の医療用粒子、
(8)前記メトキシポリエチレングリコール(メ )アクリレート及び/又はエトキシポリエチレ ングリコール(メタ)アクリレートのエチレン リコール残基の平均繰り返し数が3~100であ (7)に記載の医療用粒子、
(9)前記重合性官能基がメタクリル基、アクリ ル基、及びビニル基よりなる群から選ばれる 1種以上である(1)~(8)のいずれかに記載の医療 粒子、
(10)前記連鎖移動基がメルカプト基である(1)~( 8)のいずれかに記載の医療用粒子、
(11)前記核となる粒子が無機材料からなる(1)~( 10)のいずれかに記載の医療用粒子、
(12)前記無機材料が無機酸化物からなる(11)に 載の医療用粒子、
(13)前記無機酸化物が酸化ケイ素である(12)に 載の医療用粒子、
(14)前記核となる粒子の表面への重合性官能 、または連鎖移動基の導入が、重合性官能 、または連鎖移動基を有するシランカップ ング剤と核となる粒子表面の官能基との共 結合の形成によってなされる(1)~(13)のいずれ かに記載の医療用粒子、
(15)前記重合性官能基、または連鎖移動基を するシランカップリング剤が重合性官能基 または連鎖移動基を有するアルコキシシラ である(14)に記載の医療用粒子、

(16)(1)~(15)のいずれかに記載の医療用粒子の製 造方法であって、重合性官能基、または連鎖 移動基を有するアルコキシシランを酸性水溶 液中で加水分解する工程、次いで前記重合性 官能基、または連鎖移動基を有するアルコキ シシランの酸性水溶液中で核となる粒子を撹 拌下、加熱する工程、及び乾燥後、更に加熱 する工程、を含む医療用粒子の製造方法、
(17)更に、重合性官能基、または連鎖移動基 導入した核となる粒子と重合性モノマーを 媒中で混合することにより重合反応を進行 せる工程、及び乾燥する工程を含む(16)に記 の医療用粒子の製造方法、
(18)前記重合反応がラジカル重合反応である(1 7)に記載の医療用粒子の製造方法、

(19)生体分子の相互作用を分析するための粒 であって、核となる粒子の表面に重合性官 基、または連鎖移動基を導入し、該粒子と 理活性物質を固定化する官能基を有する重 性モノマーを含む重合性成分を混合し、次 で重合反応を進行させることにより、該粒 表面に高分子化合物を含む層を形成し、次 で高分子化合物を含む層の前記生理活性物 を固定化する官能基を介して生理活性物質 固定化したことを特徴とする分析用粒子、
(20)前記重合性成分がアルキレングリコール 基を有するエチレン系不飽和重合性モノマ を含む(19)に記載の分析用粒子、
(21)前記生理活性物質を固定化する官能基が ルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基 ビニルスルホン基、及びビオチンよりなる から選ばれる少なくとも一つの官能基であ (19)又は(20)に記載の分析用粒子、
(22)前記生理活性物質が核酸、アプタマー、 ンパク質、抗体、抗原、プロテインA,プロテ インG、リガンド、ペプチド、グルタチオン 低分子化合物、ビオチン、糖鎖、レクチン 及び糖タンパクよりなる群から選ばれる少 くとも一つである(19)~(21)のいずれかに記載 分析用粒子、

(23)(19)~(22)のいずれかに記載の分析用粒子の 造方法であって、高分子化合物を含む層を 成した粒子に生理活性物質をリン酸塩緩衝 水溶液に溶解した溶液を接触させる工程を む分析用粒子の製造方法、
(24)前記リン酸塩緩衝液のリン酸塩濃度が0.1M 上5M以下である(23)に記載の分析用粒子の製 方法、
(25)前記リン酸塩がリン酸2水素カリウム、リ 酸2水素ナトリウム、リン酸水素2カリウム 又はリン酸水素2ナトリウムである(23)又は(24 )に記載の分析用粒子の製造方法、
(26)(19)~(22)のいずれかに記載の分析用粒子を 標的生体分子の溶解液、血液、血漿、血清 細胞破砕液、細胞培養液、及び組織破砕液 ら選ばれる少なくとも一つの溶液に接触さ ることにより標的生体物質を回収すること 特徴とする分析用粒子の使用方法、
である。

 本発明によれば、目的とする生理活性物質 固定化能力に優れ、洗浄工程において表面 高分子化合物を含む層の溶解や劣化の少な 、化学的・物理的安定性を有する医療用粒 を提供することができる。また、高分子化 物の成分にアルキレングリコール残基を有 るエチレン系不飽和重合性モノマーからな 成分を加えることにより、タンパク質等の 特異的吸着がより少ない医療用粒子を提供 ることができる。
 更に、本発明によれば、目的とする生体分 の捕捉能力に優れ、洗浄工程において表面 高分子化合物を含む層の溶解や劣化の少な 、化学的・物理的安定性を有する分析用粒 を提供することができる。また、高分子化 物の成分にアルキレングリコール残基を有 るエチレン系不飽和重合性モノマーからな 成分を加えることにより、タンパク質等の 特異的吸着がより少ない分析用粒子を提供 ることができる。

 本発明の医療用粒子は、核となる粒子の表 に重合性官能基、または連鎖移動基を導入 、該粒子と生理活性物質を固定化する官能 を有する重合性モノマーを含む重合性成分 混合し、次いで重合反応を進行させること より、該粒子表面に高分子化合物を含む層 形成した医療用粒子である。
 また、本発明の分析用粒子は、生体分子の 互作用を分析するための粒子であって、核 なる粒子の表面に重合性官能基、または連 移動基を導入し、該粒子と生理活性物質を 定化する官能基を有する重合性モノマーを む重合性成分を混合し、次いで重合反応を 行させることにより、該粒子表面に高分子 合物を含む層を形成し、次いで高分子化合 を含む層の生理活性物質を固定化する官能 を介して生理活性物質を固定化した分析用 子である。

 本発明の粒子は、核となる粒子の表面に 合性官能基、または連鎖移動基を導入し、 粒子と生理活性物質を固定化する官能基を する重合性モノマーを含む重合性成分を混 し、次いで重合反応を進行させることによ 、核となる粒子表面に高分子化合物を含む を形成している。核となる粒子表面に形成 れる高分子化合物は、生理活性物質を固定 する官能基を有するため、特定の生理活性 質を固定化する性質をしている。さらに、 発明の粒子は、核となる粒子表面と共有結 を形成した重合性官能基、または連鎖移動 に高分子化合物を形成させるため、核とな 粒子表面に高密度で該高分子化合物をグラ トさせることが可能である。このようにし 得られたグラフト化粒子は、洗浄工程によ 該高分子化合物が流出してしまうことがな 。更に、ポリマー中の官能基と粒子表面の 能基を反応させる従来の方法よりも、粒子 面に均一に高分子化合物を被覆することが 能になる。

 前記重合性成分には、少なくとも生理活 物質を固定化する官能基を有する重合性モ マーが含まれるが、更に、アルキレングリ ール残基を有するエチレン系不飽和重合性 ノマーを含むことが好ましい。アルキレン リコール残基は、タンパク質等の非特異的 着を抑制する性質を有する。生理活性物質 固定化する官能基を有する重合性モノマー 、アルキレングリコール残基を有するエチ ン系不飽和重合性モノマーを兼ねていても いし、生理活性物質を固定化する官能基を する重合性モノマーとは別にアルキレング コール残基を有するエチレン系不飽和重合 モノマーが重合性成分に含まれていても良 。

 本発明に用いる生理活性物質を固定化す 官能基を有する重合性モノマーの官能基と ては、化学的に活性な基、受容体基、リガ ド基などがあるが、これらに限定されない 具体的な例としては、アルデヒド基、活性 ステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基 ビオチン、チオール基、アミノ基、イソシ ネート基、イソチオシアネート基、ヒドロ シル基、アクリレート基、マレイミド基、 ドラジド基、アジド基、アミド基、スルホ ート基、ストレプトアビジン、金属キレー などがある。これらの中でも生理活性物質 多く含まれるアミノ基との反応性の点から ルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基 ビニルスルホン基が好ましく、また生理活 物質と結合定数が高い点ではビオチンが好 しい。なかでもモノマーの保存安定性の点 ら活性エステル基が最も好ましい。

 本発明に使用する生理活性物質を固定化 る官能基を有する重合性モノマーとしては 特に構造を限定しないが、下記の一般式[1] 表される(メタ)アクリル基と活性エステル が炭素数1~10のアルキレングリコール残基の 鎖またはアルキレン基を介して結合した化 物であることが好ましい。下記の一般式[1] 表される化合物がアルキレングリコール残 の連鎖を有する場合、それ自体がタンパク の非特異的吸着を抑制する性質を有してい 。このため、(メタ)アクリル基と活性エス ル基がアルキレングリコール残基の連鎖を して結合したモノマーは、生理活性物質を 定化する性質とタンパク質の非特異的吸着 抑制する性質とを併せ持つ。従ってこのよ なモノマーの重合体は、たとえ単独の重合 であったとしても、粒子表面に層を形成す 高分子化合物として好適に用いることがで る。なお、本発明において(メタ)アクリルは アクリル及び/又はメタクリルを示し、(メタ) アクリレートは、アクリレート及び/又はメ クリレートを示す。

(式中R 1 は水素原子またはメチル基を示し、Xは炭素 1~10のアルキレングリコール残基またはアル レン基を示す。Wは活性エステル基を示す。 pは1~100の整数を示す。pが2以上100以下の整数 ある場合、繰り返されるXは、それぞれ同一 であっても、異なっていてもよい。)

 式[1]で、アルキレングリコール残基又はア キレン基Xの炭素数は1~10であり、好ましく 1~6であり、より好ましくは2~4であり、更に ましくは2~3であり、最も好ましくは2である なおここで、アルキレングリコール残基と 、アルキレングリコール(HO-R-OH、ここでRは ルキレン基)の片側末端又は両末端の水酸基 が他の化合物と縮合反応した後に残る、アル キレンオキシ基(-R-O-、ここでRはアルキレン )をいう。例えば、メチレングリコール(HO-CH 2 -OH)の場合のアルキレングリコール残基はメ レンオキシ基(-CH 2 -O-)であり、エチレングリコール(HO-CH 2 CH 2 -OH)の場合のアルキレングリコール残基はエ レンオキシ基(-CH 2 CH 2 -O-)である。
 Xの繰り返し数pは1~100の整数であり、より好 ましくは2~90の整数であり、最も好ましくは2~ 80の整数である。各種pの混合物が用いられる 場合には、重合体としては、pは平均値とし 特定される。繰り返し数pが2以上の場合は、 繰り返されるXは同一であっても、異なって てもよい。

 本発明に使用する「活性エステル基」は エステル基の片方の置換基に酸性度の高い 子求引性基を有して求核反応に対して活性 されたエステル群、すなわち反応活性の高 エステル基を意味するものとして、各種の 学合成、例えば高分子化学、ペプチド合成 の分野で慣用されているものである。実際 には、フェノールエステル類、チオフェノ ルエステル類、N-ヒドロキシアミンエステ 類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類 がアルキルエステル等に比べてはるかに高 活性を有する活性エステル基として知られ いる。

 このような活性エステル基としては、-COO R”で表されるR”に上記酸性度が高い電子吸 性基を有するものが挙げられる。例えば上 R”がp-ニトロフェニルである、p-ニトロフ ニル活性エステル基;上記R”がN-ヒドロキシ クシンイミドである、N-ヒドロキシスクシ イミド活性エステル基、上記R”がフタル酸 ミドである、フタル酸イミド活性エステル ;上記R”が5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシ ミドである、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキ シイミド活性エステル基等が挙げられるが、 中でも保存安定性と反応性の高さとのバラン スの点からp-ニトロフェニル活性エステル基 はN-ヒドロキシスクシンイミド活性エステ 基が好ましく、p-ニトロフェニル活性エステ ル基が最も好ましい。

 生理活性物質を固定化する官能基を有す 重合性モノマーとしては、例えばp-ニトロ ェニルオキシカルボニル-ポリ(エチレングリ コール)(メタ)アクリレートやスクシンイミド オキシカルボニル-ポリ(エチレングリコール) (メタ)アクリレートを挙げることができるが 中でも、下記式で表されるp-ニトロフェニ オキシカルボニル-ポリ(エチレングリコール )メタクリレートが好ましい。なお、エチレ グリコールの繰り返し数p及び/又はpの平均 は2~20が好ましい。

 本発明に使用する生理活性物質を固定化 る官能基を有する重合性モノマーの重合体 での割合は特に制限されるものではないが 重合体における全モノマーの繰り返し単位 総数に対して、1~99.7mol%が好ましく、より好 ましくは1~80mol%、最も好ましくは1~70mol%であ 。

 本発明に使用する重合性成分には、生理活 物質を固定化する官能基を有する重合性モ マーとは別に、更にアルキレングリコール 基を有するエチレン系不飽和重合性モノマ が重合性成分に含まれていることが好まし 。生理活性物質を固定化する官能基を有す 重合性モノマーがアルキレングリコール残 を有する場合には、アルキレングリコール 基は通常、生理活性物質を固定化する官能 の位置を調整する機能も有する。そのため 重合性成分中に生理活性物質を固定化する 能基を有する重合性モノマーとは別にアル レングリコール残基を有するエチレン系不 和重合性モノマーを含んで共重合体を形成 る方が、タンパク質の非特異的吸着を抑制 る性質と生理活性物質を固定化する性質の ランスを向上させる点から好ましい。
 生理活性物質を固定化する官能基を有する 合性モノマーとは異なるアルキレングリコ ル残基を有するエチレン系不飽和重合性モ マーの構造は特に限定しないが、一般式[2] 表される(メタ)アクリル基と炭素数1~10のア キレングリコール残基Yの連鎖からなる化合 物であることが好ましい。

(式中R 2 は水素原子またはメチル基を示し、R 3 は水素原子または炭素数1~20のアルキル基を す。Yは炭素数1~10のアルキレングリコール残 基を示し、qは1~100の整数を示す。qが2以上100 下の整数である場合、繰り返されるYは、同 一であっても、異なっていてもよい。)

 式[2]中のアルキレングリコール残基Yの炭 素数は1~10であり、好ましくは1~6であり、よ 好ましくは2~4であり、更に好ましくは2~3で り、最も好ましくは2である。アルキレング コール残基Yの繰り返し数qは、1~100の整数で あり、より好ましくは2~100の整数であり、更 好ましくは2~95の整数であり、最も好ましく は20~90の整数である。各種qの混合物である場 合には、重合体全体としては、qは平均値と て特定される。

 アルキレングリコール残基を有するエチ ン系不飽和重合性モノマーとしては、例え メトキシポリエチレングリコール(メタ)ア リレート、エトキシポリエチレングリコー (メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メ タ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メ )アクリレート及びその水酸基の一置換エス ル、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート 及びその水酸基の一置換エステル、グリセロ ールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレ グリコールを側鎖とする(メタ)アクリレー 、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2- トキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシ ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、 トキシジエチレングリコール (メタ)アクリ レート、エトキシポリエチレングリコール( タ)アクリレート等が挙げられるが、目的と る生理活性物質以外の成分の非特異的吸着 少ないこと及び入手性からメトキシポリエ レングリコールメタクリレートまたはエト シポリエチレングリコールメタクリレート 好ましい。中でも、エチレングリコール残 の平均繰り返し数が3~100であるメトキシポ エチレングリコール(メタ)アクリレートまた はエトキシポリエチレングリコール(メタ)ア リレートが、合成時の操作性(ハンドリング )の良さの点から好ましく用いられる。

 生理活性物質を固定化する官能基を有す 重合性モノマーとは異なるアルキレングリ ール残基を有するエチレン系不飽和重合性 ノマーを使用する場合の、当該アルキレン リコール残基を有するエチレン系不飽和重 性モノマーの重合体中での割合は特に制限 れるものではないが、重合体における全モ マーの繰り返し単位の総数に対して、0~95mol %が好ましく、より好ましくは30~95mol%、最も ましくは50~90mol%である。

 本発明において、核となる粒子表面に導 する重合性官能基としては、ビニル基、ア ル基、メタクリル基、エポキシ基、スチレ 基等が挙げられるが、重合性に優れている でメタクリル基が好ましい。

 本発明において、核となる粒子表面に導 する連鎖移動基としては、メルカプト基、 ミノ基等が挙げられるが、反応性に優れて る点でメルカプト基が好ましい。

 粒子表面に重合性官能基、または連鎖移 基を導入する方法としては、特に限定され いが、重合性官能基、または連鎖移動基を するシランカップリング剤と核となる粒子 面の官能基との共有結合を形成させる方法 好ましい。

 重合性官能基を有するシランカップリン 剤としては、例えば、(3-メタクリロキシプ ピル)ジメチルメトキシシラン、(3-メタクリ ロキシプロピル)ジエチルメトキシシラン、(3 -メタクリロキシプロピル)ジメチルエトキシ ラン、(3-メタクリロキシプロピル)ジエチル エトキシシラン、(3-メタクリロキシプロピル )メチルジメトキシシラン、(3-メタクリロキ プロピル)エチルジメトキシシラン、(3-メタ リロキシプロピル)メチルジエトキシシラン 、(3-メタクリロキシプロピル)エチルジエト シシラン、(3-メタクリロキシプロピル)トリ トキシシラン、(3-メタクリロキシプロピル) トリエトキシシラン等のアルコキシシランが 挙げられるが、反応性が良好で被覆される高 分子化合物量が多くなる点からメタクリル基 を有するトリアルコキシシランが好ましく、 中でも反応性、及び入手性の点から(3-メタク リロキシプロピル)トリメトキシシランや(3- タクリロキシプロピル)トリエトキシシラン 好ましい。これらのシランカップリング剤 、単独または2種以上の組み合わせで用いら れる。

 連鎖移動基を有するシランカップリング としては、例えば(3-メルカプトプロピル)ト リメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル) チルジメトキシシラン、(3-メルカプトプロ ル)ジメチルメトキシシラン、(3-メルカプト ロピル)トリエトキシシラン、(3-メルカプト プロピル)メチルジエトキシシラン、(3-メル プトプロピル)ジメチルエトキシシラン、(メ ルカプトメチル)トリメトキシシラン、(メル プトメチル)メチルジメトキシシラン、(メ カプトメチル)ジメチルメトキシシラン、(メ ルカプトメチル)トリエトキシシラン、(メル プトメチル)メチルジエトキシシラン、(メ カプトメチル)ジメチルエトキシシラン等の ルコキシシランが挙げられるが、入手性か (3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン や(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラ が好ましい。これらのメルカプトシラン化 物は、単独または2種以上の組み合わせで用 られる。

 重合性官能基、または連鎖移動基を有す シランカップリング剤を用いて、重合性官 基、または連鎖移動基と核となる粒子表面 官能基との共有結合を形成させる方法は特 制限されるものではないが、例えば、pH2~4 酸性水溶液に重合性官能基、または連鎖移 基を有するシランカップリング剤を0.01~1.0mol /Lとなるように添加し、撹拌混合して加水分 した後、核となる粒子を投入して10~100℃で5 ~180分間撹拌し、次いで吸引ろ過により粒子 回収して乾燥させ、更に20~100℃に加熱して 子を乾燥させることによって行う。核とな 粒子と重合性官能基、または連鎖移動基を するシランカップリング剤の使用割合は特 制限されるものではないが、通常核となる 子1gに対し、重合性官能基、または連鎖移動 基を有するシランカップリング剤0.1~10mmolの 合で用いられる。酸性水溶液は特に限定さ るものではないが、酢酸水溶液、塩酸水溶 等が用いられる。なかでも、取り扱いが比 的容易な酢酸水溶液が好ましい。

 核となる粒子の表面に重合性官能基、ま は連鎖移動基を導入した後に、該粒子と重 性モノマーを混合し、次いで重合反応を進 させる。この方法は特に限定されるもので ないが、例えば重合性モノマー、及び重合 始剤を溶解した溶媒中に核となる粒子を投 し、撹拌下、0~80℃で1~30時間加熱すること より行われる。その後、核となる粒子は減 下ろ過され、洗浄後乾燥される。

 核となる粒子と重合性モノマー、及び重 開始剤の使用割合は特に制限されるもので ないが、通常核となる粒子1gに対し、重合 モノマー0.1~10mmol、重合開始剤0.01~10mmolの割 で用いられる。

 溶媒としてはそれぞれの重合性モノマー 溶解するものであればよく、例えば、メタ ール、エタノール、イソプロパノール、n- タノール、t-ブチルアルコール、n-ペンタノ ル等アルコール類、ベンゼン、トルエン、 トラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロ タン、クロロホルム、シクロヘキサノン、N ,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ シド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル 、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン 、エチレングリコールモノエチルエーテル、 エチレングリコールモノメチルエーテル、エ チレングリコールモノブチルエーテル等を挙 げることができる。これらの溶媒は、単独ま たは2種以上の組み合わせで用いられる。

 重合開始剤としては特に限定されないが 例えば、2,2’-アゾビスイソブチルニトリル (以下「AIBN」という)、1,1’-アゾビス(シクロ キサン-1 -カルボニトリル)等のアゾ化合物 過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の有 過酸化物等を挙げることができる。

 本発明において、粒子表面に形成される 分子化合物の化学構造は、少なくとも生理 性物質を固定化する官能基を有する重合性 ノマーからなる(共)重合体であれば、当該 合体が共重合体の場合の結合方式がランダ 、ブロック、グラフト等いずれの形態をな ていてもかまわない。

 本発明に使用する核となる粒子の素材は 特に限定されるものではなく、有機物、無 物を問わず用いることができる。有機物の 体としては、アフィニティクロマトグラフ ーの担体として用いられる、多孔性のアガ ース粒子(商品名:Sepharose)、デキストラン粒 (商品名:Sephadex)の他に、ポリアクリルアミ ゲル(商品名:Bio-Gel P、バイオラッド社)、ポ スチレン、エチレン-無水マレイン酸共重合 物、ポリメタクリル酸メチルなどからなる粒 子などが使用できる。一方、無機物としては 、無機酸化物が粒子自体の強度が高く、好ま しい。中でも、酸化ケイ素が取り扱いやすく 最も好ましい。また、粒子の大きさは何ら制 限を受けるものではなく、目的・用途に合わ せて適宜選択できる。このことは核となる粒 子の大きさを選択すれば、いかなる大きさの 粒子でも作製できることを意味している。こ の点は粒径の制御が困難な乳化重合や懸濁重 合で粒子を作製する方法に比較して、大きな 利点となっている。実際に粒子として用いる 場合には、用途によっても異なるが、粒径が 数nmから100μm程度のものが好ましい。

 以上のように高分子化合物を含む層を表 に形成した本発明の粒子は、生理活性物質 固定化能力に優れた粒子である。また、粒 表面の高分子化合物を含む層の成分にアル レングリコール残基を含む成分を加えるこ により、目的とするタンパク質以外の成分 よる非特異的吸着を抑制する性質を増すこ ができる。しかも、核となる粒子表面と共 結合を形成した重合性官能基、または連鎖 動基に重合反応を進行させて高分子化合物 形成させるため、核となる粒子表面に高密 で該高分子化合物をグラフトさせることが 能である。このようにして得られたグラフ 化粒子は、非特異的吸着が極めて低く、ま 洗浄工程により該高分子化合物が流出して まうことがない。また、本発明の粒子は、 端に官能基を有する高分子化合物を核とな 粒子にコーティング後反応することにより 成された粒子に比べて、粒子表面に化学的 物理的に安定して被覆される高分子化合物 量が多くなり、目的とする生理活性物質の 定化能力が高くなる。

 本発明の粒子表面に化学的・物理的に安定 て被覆された高分子化合物の量は、例えばX 線光電子分光法(ESCA:electron spectroscopy for chem ical analysis)や、元素分析により測定可能であ る。
 例えば、核となる粒子が二酸化ケイ素であ 場合、ESCAによる測定により、粒子表面の高 分子化合物に由来する炭素元素と二酸化ケイ 素粒子に由来するケイ素元素のピーク強度比 (C/Si)から、二酸化ケイ素粒子表面に存在する 高分子化合物の量を比較定量することができ る。核となる粒子が二酸化ケイ素である場合 、本発明の粒子は、粒子表面の高分子化合物 に由来する炭素元素と二酸化ケイ素粒子に由 来するケイ素元素のピーク強度比(C/Si)が1.0以 上であることを達成可能である。前記ピーク 強度比(C/Si)の上限は特に限定されないが、前 記(C/Si)が5.0以下を目安とすることができる。 ここでESCAによる測定は、X線光電子分光装置( 例えば、アルバックファイ社製、ESCA5400MC)を いて、例えば、分析表面:1.0×3.5mm、X線源:MgK α線、出射角:45degという条件で測定できる。
 また、例えば、核となる粒子が無機材料で る場合、元素分析により、本発明の粒子中 高分子化合物量を、粒子中の炭素元素含有 として定量することができる。核となる粒 が無機材料である場合、本発明の粒子は、 子中の炭素元素含有量が10~40重量%であるこ を達成可能である。ここで元素分析は、元 分析装置(例えば、パーキンエルマー2400II型 元素分析装置)を用いて行うことができる。

 以上のことから、本発明の粒子に生理活 物質を結合させた場合、その生理活性物質 捕捉する物質(タンパク質など)を効率よく 収できる。また、該粒子に生理活性物質を 定化する官能基を介して生理活性物質を固 化した粒子は、分析用粒子として好適に用 られる。

 高分子化合物を含む層を表面に形成した 子に生理活性物質の固定化して本発明の分 用粒子を製造する方法としては、高分子化 物を含む層を形成した粒子に生理活性物質 リン酸塩緩衝液に溶解した溶液を接触させ 工程を含むことが好ましい。

 リン酸塩緩衝液は、水溶液であって、各 リン酸塩が0.1M以上5.0M以下で溶解している とが好ましい。より好ましくは0.6M以上2.4M以 下、もっとも好ましくは0.8M以上1.4M以下であ 。濃度が下限値未満では生理活性物質が十 に固定化できずシグナルが検出されないと う問題が発生する恐れがあり、濃度が上限 を超えると生理活性物質が変性を起こし生 活性物質が特異的な反応を起こさず機能し いという問題が発生する恐れがある。

 本発明に使用するリン酸塩は、特に限定 れるものではないが、リン酸アルミニウム リン酸アンモニウム、リン酸カリウムリン ナトリウム、リン酸インジウム、リン酸サ リウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素 カリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸 素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、 ン酸水素アンモニウム、リン酸水素バリウ 、リン酸二アンモニウム、リン酸二カリウ リン酸二水素2-アミノエチル、リン酸二水 アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リ 酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリ ム、リン酸二水素マンガン、リン酸二水素 チウム、リン酸二バリウム、リン酸ヒドロ シアンモニウム、リン酸尿素、リン酸リチ ム、リン酸ジフェニル、リン酸トリエチル リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル リン酸トリブチル、リン酸トリメチル、リ 酸ホウ素、リン酸マグネシウム、などが挙 られる。特に好ましくはリン酸水素二カリ ム、リン酸水素二ナトリウムである。

 前記リン酸塩緩衝液に、生理活性物質を溶 した溶液を、高分子化合物を含む層を形成 た粒子に接触させることにより、容易に生 活性物質を固定化できる。
 生理活性物質を溶解した溶液を粒子に接触 せる方法はさまざまであるが、たとえば容 に粒子を取り分けた後、溶液を分注し、攪 する方法や、粒子をカラム状に充填し、溶 を送液することにより接触させる方法など ある。

 本発明の分析用粒子に固定化される生理 性物質としては、捕捉回収する物質により なり特に限定されることは無いが、核酸、 プタマー、タンパク質、抗体、抗原、プロ インA、プロテインG、リガンド、ペプチド グルタチオン、低分子化合物、ビオチン、 鎖、レクチン、糖タンパク、ヘパリン、ゼ チン、ベンズアミジン、リジン、金属キレ ト等であることが好ましい。

 本発明の分析用粒子の使用方法の一つとし 、標的生体分子の溶解液、血液、血漿、血 、細胞破砕液、細胞培養液、組織破砕液等 溶液に接触させることにより標的生体物質 回収することが挙げられる。
 分析用粒子に固定化した生理活性物質が捕 した物質である標的生体物質を回収する方 は、特に限定するものではなく、分析用粒 を検体溶液中に浸し、捕捉物質と生理活性 質の反応を行い、粒子上に捕捉物質を固定 し、ついで捕捉物質が固定化した粒子を塩 度やpHを調整した溶液、または界面活性剤 含む溶液、交換反応を行うための化学種を む溶液等に浸し、捕捉物質を遊離させる方 などが挙げられる。回収した物質を定量す 方法としては、特に限定するものではなく 捕捉された物質に由来する特定波長の吸収 蛍光などを分光光度法で定量する方法や、SD S-PAGEなどが挙げられる。

 本発明の分析用粒子をカラムの充填剤とし 用いて生体試料から目的分子を精製するカ ムとすることができる。カラムとしては特 限定するものではなく、アフィニティクロ ト用、逆相クロマト用、疎水性相互作用ク マト用などに用いることができる。本発明 特にアフィニティークロマト用のカラム充 剤として適しており、該粒子をオープンカ ムやフラッシュカラム、スピンカラムなど 充填剤として用いることができる。
 かくして、本発明の分析用粒子は捕捉物質 精製回収する担体として好適に用いること できる。

 本発明の分析用粒子は、捕捉物質を回収す だけでなく、抗体と抗原との特異性を検出 る免疫分析にも好適に用いることができる 免疫分析は特に限定するものではなく、ELIS A法、EIA法、蛍光検出、化学発光検出、放射 同位元素法、凝集法、免疫沈降法、イムノ ロマト法など抗体と抗原の特異的な反応を 用した分析方法であるがいずれにも好適に いることができる。
 また、本発明の分析用粒子をマイクロ流路 の充填剤としても用いることができ、微量 体からの物質回収、免疫分析、イムノクロ ト法など各用途に用いることができる。

 実施例Iシリーズ:医療用粒子の製造と評価
(p-ニトロフェニルオキシカルボニル-ポリエ レングリコールメタクリレート(MEONP)の合成)    
0.01molのポリエチレングリコールモノメタク レート(日本油脂株式会社製Blenmer PE-200)を20m Lのクロロホルムに溶解させた後、-30℃まで 却した。-30℃に保ちながらこの溶液に、予 作製しておいた0.01molのp-ニトロフェニルク ロフォーメート(Aldrich社製)と0.01molのトリエ ルアミン(和光純薬工業株式会社製)及びク ロホルム20mLの均一溶液をゆっくりと滴下し 。-30℃にて1時間反応させた後、室温でさら に2時間溶液を撹拌した。その後反応液から をろ過により除去し、溶媒を留去してp-ニト ロフェニルオキシカルボニル-ポリエチレン リコールメタクリレート(以下MEONPと記載)粗 を得た。さらに、得られた粗体をシリカゲ カラムにて精製を行った。得られたモノマ を重クロロホルム溶媒中1H―NMRで測定し、 チレングリコール残基が4.5単位含まれてい ことを確認した。

 《実施例I-1》
 メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ (信越化学工業株式会社製LS3380)7.45gをpH3.0の 酸水溶液39.3gに添加し、室温で1時間攪拌し 。そこにシリカビーズ(平均粒径5μm、細孔 70Å、富士シリシア化学株式会社製SMB70-5)5g 投入し85℃で2時間攪拌した後、吸引ろ過に り反応溶液からシリカビーズを回収し、100 で1時間加熱した。その後、得られたシリカ ーズをエタノールで分散させて、室温で1時 間振とうし、遠心分離により上澄みを除去す る操作を2回繰り返し、さらに、エタノール 分散させてボルテックスミキサーで攪拌し 遠心分離により上澄みを除去する操作を5回 り返した後、乾燥させた。
数平均分子量Mn=約475のポリエチレングリコー ルメチルエーテルメタクリレート(別名メト シポリエチレングリコールメタクリレート 以下PEGMA475と記載、Aldrich社製)、MEONPを脱水 タノールに溶解させ、モノマー混合溶液を 製した。総モノマー濃度は0.2mol/L、それぞれ のモル比はPEGMA475、MEONPの順に80:20である。そ こにAIBNを0.004mol/Lになるように添加し、均一 なるまで撹拌した。その後、上記のメタク ロキシプロピルトリメトキシシランで処理 たシリカビーズ1gを投入し、アルゴンガス 囲気下、60℃で22時間反応させた。次いで、 引ろ過により反応溶液からシリカビーズを 収し、エタノールで分散させ、遠心分離に り上澄みを除去する操作を5回繰り返した後 、吸引ろ過によりビーズを回収し、よく乾燥 させた。

 《実施例I-2》
メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシ ラン(GELEST社製)13.0gをpH3.0の酢酸水溶液100gと タノール100mlを混合した溶液に添加し、室温 で1時間攪拌した。そこにシリカビーズ(平均 径5μm、細孔径70Å、富士シリシア化学株式 社製SMB70-5)10gを投入し70℃で2時間攪拌した 、吸引ろ過により反応溶液からシリカビー を回収し、100℃で1時間加熱した。その後の 浄、乾燥操作、及びPEGMA475、MEONPとの重合反 応、重合反応後の洗浄、乾燥操作は実施例1 同様の方法で行った。

 (非特異的吸着量評価)
実施例I-1、及び実施例I-2で得られたシリカビ ーズ約37mgを0.1mol/Lの2-アミノエタノール(溶媒 :pH9.5、0.05mol/LのTris-HCl緩衝液)で室温下、1時 処理し、MEONPの不活性化を行った。遠心分離 により上澄みを除去した後、リン酸緩衝液(PB S)で分散させ、遠心分離により上澄みを除去 る操作を5回行い乾燥させた。得られたシリ カビーズ10mgに5μg/mLの西洋わさびペルオキシ ーゼ(以下HRPと記載)標識化抗体溶液(DakoCytoma tion社製Polyclonal Rabbit Anti-Mouse Immunogloblins/HRP をPBSで260倍に希釈)270μLを投入し、室温で30分 間攪拌した後、遠心分離により上澄みを除去 した。次いで、0.05%の濃度で非イオン性界面 性剤(SIGMA社製、TritonX100(T9284-100ML))を含むPBS 投入し、よく分散させ、遠心分離により上 みを除去する操作を15回繰り返した後、フ ルターユニット(MILLIPORE社製、商標:Ultrafree-MC )を用いてシリカビーズを回収した。回収し シリカビーズにHRPの基質である3,3’,5,5’-Tet ramethylbenzidine(以下TMBZと記載)溶液(住友ベーク ライト株式会社製ペルオキシダーゼ用発色キ ットより調製し使用)を加え室温で15分間攪拌 することによりTMBZとシリカビーズ表面に非 異的に吸着したHRP標識化抗体とを反応をさ た後、反応停止液(住友ベークライト株式会 製ペルオキシダーゼ発色キットより使用)を 加え反応を停止させた。その後、フィルター ユニットによりシリカビーズと反応液を分離 し、反応液における450nmの吸光度を測定した この吸光度には主としてシリカビーズに非 異的に吸着されたHRP標識化抗体の量が反映 れる。

 (タンパク質の特異的捕捉評価)
実施例I-1、及び実施例I-2で得られたシリカビ ーズ約37mgを50μg/mLのアビジン溶液(PIERCE製、Ne utrAvidin TM Biotin-Binding ProteinをpH8.5のリン酸水素二カリ ム緩衝液で希釈)と混合し37℃で4時間処理し 後、遠心分離により上澄みを除去し、リン 緩衝液(PBS)で分散させ、遠心分離により上 みを除去する操作を5回行い、さらに0.1mol/L 2-アミノエタノール(溶媒:pH9.5、0.05mol/LのTris- HCl緩衝液)で室温下、1時間処理し、MEONPの不 性化を行った。遠心分離により上澄みを除 した後、リン酸緩衝液(PBS)で分散させ、遠心 分離により上澄みを除去する操作を5回行い 燥させた。得られたシリカビーズ10mgにアビ ンと特異的に結合する5μg/mLのビオチン標識 化HRP溶液(Zymed Laboratories,Inc.製、Biotinylated Per oxidaseをPBSで200倍に希釈)270μL、または5μg/mLの HRP標識化抗体溶液270μLを投入し、室温で30分 攪拌した後、遠心分離により上澄みを除去 た。次いで、0.05%の濃度で非イオン性界面 性剤(SIGMA社製、TritonX100(T9284-100ML))を含むPBS 投入し、よく分散させた後、遠心分離によ 上澄みを除去する操作を15回繰り返し、フィ ルターユニット(MILLIPORE社製、商標:Ultrafree-MC) を用いてシリカビーズを回収した。回収した シリカビーズにTMBZ溶液(住友ベークライト株 会社製ペルオキシダーゼ用発色キットより 製し使用)を加え室温で15分間攪拌すること よりTMBZとシリカビーズ表面に特異的に捕捉 されたビオチン標識化HRP、又は非特異的に吸 着したHRP標識化抗体とを反応をさせた後、反 応停止液(住友ベークライト株式会社製ペル キシダーゼ発色キットより使用)を加え反応 停止させた。その後、フィルターユニット よりシリカビーズと反応液を分離し、反応 における450nmの吸光度を測定した。この吸 度には上記操作においてビオチン標識化HRP 液を投入した場合には、主としてシリカビ ズに特異的に捕捉されたビオチン標識化HRP 量が反映され、HRP標識化抗体溶液を投入し 場合には、主としてシリカビーズに非特異 に吸着されたHRP標識化抗体の量が反映され 。

(粒子の表面分析)
実施例I-1、及び実施例I-2で得られたシリカビ ーズを用いて、ESCAによる表面分析を行った シリカビーズ表面の高分子化合物に由来す 炭素元素とシリカビーズに由来するケイ素 素のピーク強度比(C/Si)から、シリカビーズ 面に存在する高分子化合物の量を比較定量 ることができる。

 《比較例I-1》
シリカビーズ(平均粒径5μm、細孔径70Å、富 シリシア化学株式会社製SMB70-5)をそのまま用 い、前記と同様、非特異的吸着量評価、及び タンパク質の特異的捕捉評価を行った。

 《比較例I-2》
 数平均分子量Mn=約1100のポリエチレングリコ ールメチルエーテルメタクリレート(別名メ キシポリエチレングリコールメタクリレー 、以下PEGMA1100と記載、Aldrich社製)、MEONPを脱 エタノールに溶解させ、モノマー混合溶液 作製した。総モノマー濃度は0.3mol/L、それ れのモル比はPEGMA1100、MEONPの順に70:30である そこにさらに(3-メルカプトプロピル)ジメチ ルエトキシシラン(以下MPDESと記載、アヅマッ クス社製)およびAIBNをそれぞれ0.003mol/Lになる ように添加し、均一になるまで撹拌した。そ の後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で6時間反 応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中 に滴下し、沈殿を収集した。得られた高分子 化合物の0.3wt%シクロヘキサノン溶液にシリカ ビーズ(平均粒径5μm、細孔径70Å、富士シリ ア化学株式会社製SMB70-5)を投入し、ボルテッ クスミキサーでよく攪拌した。吸引ろ過によ りビーズを回収し、よく乾燥させた後、150℃ で2時間加熱処理を施した。
 得られたシリカビーズを用い、前記と同様 表面分析、非特異吸着量評価、及びタンパ 質の特異的捕捉評価を行った。

 表1には実施例I-1、実施例I-2、比較例I-1及 び比較例I-2の非特異吸着量評価における450nm 吸光度を示した。表より明らかなように、 発明の粒子は比較例I-1のシリカビーズ及び 較例I-2の粒子に比較して非特異吸着量は著 くに低下しており、タンパク質の非特異的 着が抑制されていることがわかる。

 表2には実施例I-1、実施例I-2、比較例I-1及 び比較例I-2のタンパク質の特異的捕捉評価に おける450nmの吸光度を示した。表より明らか ように、本発明の粒子は非特異的吸着を抑 しつつも、標的とするタンパク質のみを特 的に捕捉することが可能である。

表3には実施例I-1、実施例I-2、及び比較例I- 2のESCAによる表面分析の結果を示した。本発 の粒子は比較例I-2のシリカビーズと比較し 、高いC/Si値を示しており、本発明の粒子が 、予め重合した高分子化合物をシリカビーズ にコーティングした粒子よりも、多くの高分 子化合物で被覆されていることがわかる。

 実施例シリーズII:分析用粒子の製造と評価
《実施例II-1》
 0.5Mのリン酸水素二カリウム(和光純薬製:164- 04295)水溶液中に一次抗体である抗マウスIgG2a 12μg/mlになるように調製された溶液を作製 た。この溶液500μリットルに、上記実施例I-1 で得られたシリカビーズ約10mgを入れ、37℃で 4時間攪拌し、1次抗体を固定化した。遠心分 により上澄みを除去した後、リン酸緩衝液( PBS)で分散させ、遠心分離により上澄みを除 する操作を5回行い乾燥させた。次いで0.1mol/ Lの2-アミノエタノール(溶媒:pH9.5、0.05mol/LのTr is-HCl緩衝液)で室温下、1時間処理し、MEONPの 活性化を行った。遠心分離により上澄みを 去した後、リン酸緩衝液(PBS)で分散させ、遠 心分離により上澄みを除去する操作を5回行 乾燥させて、分析用粒子を得た。

 《実施例II-2》
1.2Mのリン酸水素二カリウム(和光純薬製:164-04 295)水溶液を用いた以外は実施例II-1と同様に 作した。

 《実施例II-3》
2.4Mのリン酸水素二カリウム(和光純薬製:164-04 295)水溶液を用いた以外は実施例II-1と同様に 作した。

 《比較例II-1》
シリカビーズ(平均粒径5μm、細孔径70Å、富 シリシア化学株式会社製SMB70-5)をそのまま用 いた。

 《比較例II-2》
 上記実施例I-1で得られたシリカビーズ約37mg を0.1mol/Lの2-アミノエタノール(溶媒:pH9.5、0.05 mol/LのTris-HCl緩衝液)で室温下、1時間処理し、 MEONPの不活性化を行った。遠心分離により上 みを除去した後、リン酸緩衝液(PBS)で分散 せ、遠心分離により上澄みを除去する操作 5回行い乾燥させた。

 《比較例II-3》
 上記比較例I-2で得られたシリカビーズを用 た以外は実施例II-1と同様に操作した。

 評価1
(抗原抗体反応1)
 PBSバッファ(日水製薬製:組織培養用ダルベ コPBS(-)を純水1リットル中に9.6g溶解したバッ ファ)で10%に希釈したFBS(子牛血清)溶液を作製 した。この溶液中に抗原であるマウスIgG2aを 加し20nmol/リットルとした溶液を作製した。 この溶液をPBSバッファ(日水製薬製:組織培養 ダルベッコPBS(-)を純水1リットル中に9.6g溶 したバッファ)で10%に希釈したFBS(子牛血清) 1倍、2倍、3倍、4倍希釈溶液となるように希 した。これらの希釈溶液および抗原である ウスIgG2aを含まない10%FBS溶液各1mlを室温に 2時間、実施例II-1~II-3、比較例II-1~II-3で得ら た分析用粒子1mgと接触させることにより抗 抗体反応を実施した。抗原抗体反応後、遠 分離により上澄みを除去した後、0.05wt%の非 イオン性界面活性剤Tween20(ロシュ・ダイアグ スティックス株式会社製)を添加したリン酸 緩衝液(PBS)で分散させ、遠心分離により上澄 を除去する操作を5回行った。

 (抗原抗体反応2)
 二次抗体であるHRP標識抗マウスIgG2aをPBSバ ファ(日水製薬製:組織培養用ダルベッコPBS(-) を純水1リットル中に9.6g溶解したバッファ)に 添加することにより20nmol/リットルの溶液を 製した。この溶液1mlと各ビーズ1mgとを室温 て2時間、抗原抗体反応を実施した。抗原抗 反応後0.05wt%の非イオン性界面活性剤Tween20( シュ・ダイアグノスティックス株式会社製) を添加したリン酸緩衝液(PBS)で分散させ、遠 分離により上澄みを除去する操作を5回行っ た。

 (発色)
 最後にHRP発色試薬である、TMBZ発色キット( 友ベークライト株式会社製)を用いて発色反 を行った。発色剤100容量に対し基質液を1容 量の割合で加え発色液とした。発色液を100μl に各ビーズ1mgを投入し、15分間暗所で静置さ た後、停止液を100μl投入し発色反応を停止 た。発色した溶液の450nmの吸光度をTECAN社製 プレートリーダーを用いて測定した。

 シグナル強度の結果を表4に示す。

 実施例II-1~II-3では、ある一定濃度を用い 抗体を固定化することにより、抗原量に応 たシグナル値が確認された。比較例II-1では 、表面処理を施さないため、抗原の非特異吸 着が抑えられていなかった。比較例II-2では 1次抗体を固定化しなかったためシグナルが られなかった。比較例II-3では、予め重合し た高分子化合物がシリカビーズへ十分に被覆 できなかったため、抗原の非特異吸着が抑え られなかった。

 評価2
(抗原抗体反応1)
 PBSバッファ(日水製薬製:組織培養用ダルベ コPBS(-)を純水1リットル中に9.6g溶解したバッ ファ)で10%に希釈したヒト血清溶液を作製し 。この溶液中に抗原であるマウスIgG2aを添加 し20nmol/リットルとした溶液を作製した。こ 溶液をPBSバッファ(日水製薬製:組織培養用ダ ルベッコPBS(-)を純水1リットル中に9.6g溶解し バッファ)で10%に希釈したヒト血清で4倍希 溶液となるように希釈した。この希釈溶液1m lを室温にて2時間、実施例II-1~II-3、比較例II-1 ~II-3で得られた分析用粒子と接触させること より抗原抗体反応を実施した。抗原抗体反 後、遠心分離により上澄みを除去した後、0 .05wt%の非イオン性界面活性剤Tween20(ロシュ・ イアグノスティックス株式会社製)を添加し たリン酸緩衝液(PBS)で分散させ、遠心分離に り上澄みを除去する操作を5回行った。

 (SDS-PAGE)
 得られたビーズをグリシン―塩酸溶液(pH2.5) 、30μlに分散させ、遠心分離により上澄液を 収した。得られた上澄液とlaemmli buffer(0.25MT rispH6.8、6%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、40%グ リセリン、0.04%ブロモフェノールブルー水溶 )を1対1の割合で混合し、90℃で5分加熱した 冷却後各溶液を200Vで45分間電気泳動を行っ 。電気泳動を行ったゲルを銀染色(和光純薬 製、銀染色MSキット、299-58901)することにより 得られたバンドを解析した。

 実施例II-1~II-3では分子量69kDa付近にラッ アルブミン由来のバンドが確認できた。比 例II-1は表面処理が施されていないため、ヒ 血清由来のバンドが多く認められた。比較 II-2はバンドが確認できなかった。比較例II- 3は、予め重合した高分子化合物がシリカビ ズへ十分に被覆できなかったため、ヒト血 由来のバンドが多く認められた。

 《実施例II-4》
 0.5Mのリン酸水素二カリウム(和光純薬製:164- 04295)水溶液中に5’末端にアミノ基を有した 長24bpのオリゴDNA(TAGAAGCATTTGCGGTGGACGATG(配列番 1)(シグマジェノシス社製)を1μg/μlの濃度に るように調製された溶液を作製した。この 液500μリットルに上記実施例I-1で得られたシ リカビーズ約10mgを入れ、37℃で4時間攪拌し DNAを固定化した。遠心分離により上澄みを 去した後、リン酸緩衝液(PBS)で分散させ、遠 心分離により上澄みを除去する操作を5回行 乾燥させた。次いで0.1mol/Lの2-アミノエタノ ル(溶媒:pH9.5、0.05mol/LのTris-HCl緩衝液)で室温 下、1時間処理し、MEONPの不活性化を行った。 遠心分離により上澄みを除去した後、リン酸 緩衝液(PBS)で分散させ、遠心分離により上澄 を除去する操作を5回行い乾燥させた。

 《実施例II-5》
 1.2Mのリン酸水素二カリウム(和光純薬製:164- 04295)水溶液を用いた以外は実施例II-4と同様 操作した。

 《実施例II-6》
 4.5Mのリン酸水素二カリウム(和光純薬製:164- 04295)水溶液中を用いた以外は実施例II-4と同 に操作した。

 《比較例II-4》
 上記比較例I-2で得られたシリカビーズを用 た以外は実施例II-4と同様に操作した。

 評価3
 DNA溶液2; 5’末端にビオチン標識を有した 長24bpのオリゴDNA(CATCGTCCACCGCAAATGCTTCTA(配列番 2)(シグマジェノシス社製)を0.002μg/μlの濃度 なるように3×SSC(ここで、SSCとは、SIGMA社製 SSC Buffer 20x Concentrate(S6639-1L)を20倍希釈し ものをいい、組成は、クエン酸ナトリウム0. 015mol/l、及び塩化ナトリウム0.15mol/lである。3 ×SSCとは、SSCを3倍に濃縮したものをいう。) 0.2%SDSの溶液に溶解した。
 次に、この溶液と実施例II-4~II-6、比較例II-1 、II-2及びII-4で得られた分析用粒子1mgを接触 せ、65℃で3時間攪拌することで、固定化さ たオリゴDNAとビオチン標識オリゴDNAとのハ ブリダイゼーションを行なった。その後、 心分離により上澄を除去した後、2×SSC、0.5% SDS中で分散させ、遠心分離により上澄を除去 する操作を5回行った。ついで各ビーズを0.1μ g/mlのストレプトアビジン溶液に分散させ、30 分間室温で攪拌した。遠心分離により上澄み を除去した後、0.05wt%の非イオン性界面活性 Tween20(ロシュ・ダイアグノスティックス株式 会社製)を添加したリン酸緩衝液(PBS)で分散さ せ、遠心分離により上澄みを除去する操作を 5回行った。

 (発色)
 最後にHRP発色試薬である、TMBZ発色キット( 友ベークライト株式会社製)を用いて発色反 を行った。発色剤100容量に対し基質液を1容 量の割合で加え発色液とした。発色液を100μl に各ビーズ1mgを投入し、15分間暗所で静置さ た後、停止液を100μl投入し発色反応を停止 た。発色した溶液の450nmの吸光度をTECAN社製 プレートリーダーを用いて測定した。シグナ ル強度の結果を表5に示す。

 実施例は比較例と比較して高いシグナル を示した。

《実施例II-7》
 0.5Mのリン酸水素二カリウム(和光純薬製:164- 04295)水溶液中に鎖長18merのペプチド(CERIKIKALIPK NAGVSD)(株式会社免疫生物研究所社製)を10μg/μl の濃度になるように調製された溶液を作製し た。この溶液500μリットルに上記実施例I-1で られたシリカビーズ約10mgを入れ、37℃で4時 間攪拌し、ペプチドを固定化した。遠心分離 により上澄みを除去した後、リン酸緩衝液(PB S)で分散させ、遠心分離により上澄みを除去 る操作を5回行い乾燥させた。次いで0.1mol/L 2-アミノエタノール(溶媒:pH9.5、0.05mol/LのTris -HCl緩衝液)で室温下、1時間処理し、MEONPの不 性化を行った。遠心分離により上澄みを除 した後、リン酸緩衝液(PBS)で分散させ、遠 分離により上澄みを除去する操作を5回行い 燥させた。

《実施例II-8》
1.2Mのリン酸水素二カリウム(和光純薬製:164-04 295)水溶液中を用いた以外は実施例II-7と同様 操作した。

《実施例II-9》
4.5Mのリン酸水素二カリウム(和光純薬製:164-04 295)水溶液中を用いた以外は実施例II-7と同様 操作した。

 《比較例II-5》
 上記比較例I-2で得られたシリカビーズを用 た以外は実施例II-7と同様に操作した。

 評価4
 鎖長18merのペプチド(CERIKIKALIPKNAGVSD)をウサギ に免疫し、このペプチドに対する抗体を作製 した。得られた抗血清を用いて評価を行った 。

 PBSバッファ(日水製薬製:組織培養用ダル ッコPBS(-)を純水1リットル中に9.6g溶解したバ ッファ)で10%に希釈したウサギ抗血清溶液を 製した。この溶液中1ml中で、室温にて2時間 実施例II-7~II-9、比較例II-1、II-2及びII-5で得 れた分析用粒子と接触させることにより抗 抗体反応を実施した。抗原抗体反応後、遠 分離により上澄みを除去した後、0.05wt%の非 イオン性界面活性剤Tween20(ロシュ・ダイアグ スティックス株式会社製)を添加したリン酸 緩衝液(PBS)で分散させ、遠心分離により上澄 を除去する操作を5回行った。

(SDS-PAGE)
 得られたビーズをグリシン-塩酸溶液(pH2.5) 30μlに分散させ、遠心分離により上澄液を回 収した。得られた上澄液とlaemmli buffer(0.25MTri spH6.8、6%SDS、40%グリセリン、0.04%ブロモフェ ールブルー水溶液)を1対1の割合で混合し、90 ℃で5分加熱した。冷却後各溶液を200Vで45分 電気泳動を行った。電気泳動を行ったゲル 銀染色(和光純薬製、銀染色MSキット、299-5890 1)することにより得られたバンドを解析した

 実施例II-7~II-9では分子量50kDa付近に抗体 H鎖に由来するバンドが確認できた。また分 量25kDa付近に抗体のL鎖に由来するバンドが 認できた。比較例II-1では抗体のH鎖、L鎖由 のバンド以外にウサギ血清に由来するバン が多く確認された。比較例II-2はバンドが確 認できなかった。比較例II-5では、予め重合 た高分子化合物がシリカビーズへ十分に被 できなかったため、ウサギ血清に由来する ンドが多く確認された。