MUKAI RYO (JP)
KATO SHINICHI (JP)
HAMAGUCHI NAHOMI (JP)
YOKOTA HIROMI (JP)
MUKAI RYO (JP)
KATO SHINICHI (JP)
HAMAGUCHI NAHOMI (JP)
JPH10330868A | 1998-12-15 | |||
JP2001081523A | 2001-03-27 | |||
JP2006037180A | 2006-02-09 | |||
JP2001107106A | 2001-04-17 | |||
JP2005350722A | 2005-12-22 | |||
JP3560723B2 | 2004-09-02 | |||
JPH0857874A | 1996-03-05 |
質量百分率で、1.0~15.0%のSn 、0.5~15.0%のBi及び0.05 ~5.0%のAgを含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなるとともに、前記AgとBiはAg-Bi共晶を形成していることを特徴とするPbフリー銅合金摺動材料。 |
質量百分率で、0.1~5.0%の Ni、0.02 ~0.2%のP、 及び 0.5~30.0%のZnの少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項1記載のPbフリー銅合金摺動材料。 |
平均粒径が 1.5~70μmのFe 3 P、Fe 2 P、FeB、NiB及びAlNからなる群の少なくとも1種の硬質粒子を質量百分率で1.0 ~10.0% 含有することを特徴とする請求項1又は2記載のPbフリー銅合金摺動材料。 |
Ag及びBiは、Cuマトリックスに実質的に固溶していず、かつ前記Ag-Bi共晶以外の形態では析出していないことを特徴とする請求項1から3までの何れか記載のPbフリー銅合金摺動材料。 |
請求項1から4までの何れか1項記載のPbフリー銅合金摺動材料を裏金上に焼結により接着したことを特徴とするすべり軸受。 |
本発明は、Pbフリー銅合金摺動材料に関 るものであり、さらに詳しく述べるならばCu -Sn-Bi系摺動材料及びすべり軸受に関するもの である。
鋳物用Cu-Sn-Pb系合金はJISH2207として規格化 されており、同一組成のCu-Sn-Pb系焼結合金を 金に接着したいわゆるバイメタル軸受とし 、サンギヤ、オイルポンプ、トランスファ エンドベアリング、ピニオンなどの自動変 機(Automatic Transmission)のブシュとして使用さ れている。かかる銅合金において、Pbは低融 二次相として分散しており、潤滑成分とし 作用する。また、Pbは銅合金全体の硬さを 下し、なじみ性を向上する。この結果、銅 金の耐焼付性は良好になっている。
特許文献1:特開2001-107106号公報は、重量% 、0.4%以下の P及び12%以下の Snを必須元素と して含有し、任意元素として 10%以下の Ni、 5%以下のAg、5%以下の Pb、及び5% 以下のBiを 有する銅合金に、Mo 及び/又はWを硬質粒子 して分散させた焼結銅合金をバイメタル化 た軸受を提案している。この特許文献はBi,Pb はなじみ性を向上させ、Agは耐食性と強度を 上すると述べられており、Agは銅(Cu)に固溶 れる限りこのような効果を奏する。
特許文献2:特開2005-350722号公報は、燃料噴 射ポンプに使用されるPb フリーCu-Bi-硬質物 子系焼結合金において、Bi相粒子を硬質物粒 子より微細化することによりPb含有銅合金と 等の摺動特性を達成することを意図してい 。
特許文献3:特許第3560723号(特願平8-57874号)の
べり軸受銅合金は、Pbフリー銅合金摺動材
に関し、Ag, Sn, Sb, In, Mn, Fe, Bi, Zn, Ni及
/又はCr(但しAg及びSnのみの組合せを除く)をCu
マトリックス中に固溶し、特にAgを非平衡に
溶しており、これらの二次相が実質的に形
されていないものである。この銅合金には
Pbなどの軟質二次相は存在していず、いわ
るPbフリーになっているが、特定固溶元素、
例えばAgとBiが摺動中に銅合金表面に濃縮し
耐焼付性にすぐれた物質を形成するので、Pb
含有銅合金に匹敵する特性が得られると説明
されている。
Cu-Biの2元状態図を見ると,CuとBiはほとんど
溶限がなく,液相で相互に溶け合うが、固相
は2相に分離する。従って,Biを銅合金中に固
溶するには,Cu-Bi粉末を急冷凝固により作る際
に,Cu,Biが溶けている状態から非常に急速に冷
却させる必要があり,その速度は工業的に可
な速度より速くなければならない。
特許文献1の銅合金は特にPbフリーを意図し
ものではない。但し、任意成分としてPbを
択せず、Biを選択するとPbフリーCu-Bi組成と
るが、特にBi相のなじみ性がPbよりも劣るこ
はなんら述べていない。
Biが軟質二次相として分散している特許文
2で提案されたPbフリーCu-Bi系合金は、BiがPb
りも摩擦係数が高いために、高温でPb含有Cu-
Sn系合金に匹敵する摺動特性を達成するのが
難であるという問題をBi相の微細化により
成しようとしている。しかしながら、なじ
性自体の観点からはBi相はある程度粗大であ
ることが望まれる。
一方、特許文献3で提案されたPbフリーCu-Bi-A
g系合金においては、ある程度の摺動後には
定した摺動特性が得られるが、製造直後も
動部品として使用中にも軟質二次相が存在
ていないために、摺動初期の摩擦係数が高
という問題がある。
よって、本発明は、Cu-Pb系銅合金と同等の
焼付性をもち、摺動初期から摩擦係数が安
したPbフリー銅合金摺動材料及びすべり軸受
を提供することを目的とする。
本発明に係るPbフリー銅合金摺動材料は 質量百分率で、1.0~15.0%のSn,0.5~15.0%のBi及び0.0 5~5.0%のAgを含有し,残部がCu及び不可避的不純 からなるとともに、Ag及びBiがAg-Bi共晶を形 していることを特徴とする。以下、本発明 詳しく説明する。
合金組成
まず、本発明の銅合金の組成を説明する。
Snは銅合金の強度を向上し、また潤滑油な
に含有される腐食性成分、特にS含有有機化
物に対する耐食性を向上する成分である。S
n含有量が1.0%(百分率は特記しない限り、質量
%である)未満ではこれらの効果が小さく、一
15.0%を超えるとCu-Sn系金属間化合物が生成し
て銅合金が脆くなり、耐焼付性劣化が起こる
。好ましいSn含有量は2.0~10.0%であり、より好
しくは2.0~6.0%である。
Biは銅合金全体の硬度を下げ、なじみ性を
上するとともに、Cuの相手軸に対する凝着性
を抑えることにより耐焼付性を向上する。Bi
含有量が0.5%未満であると、これらの効果が
小さく、一方15.0%を超えると銅合金の強度が
下して、その結果耐摩耗性が低下する。好
しいBi含有量2.0~10.0%であり、より好ましく
3.0~8.0%である。
AgはBiとの共晶を生成することにより、上記
したBiによる低凝着性をもたらす。Ag含有量
0.05 %未満であると、この効果が小さく、一
Ag含有量が5.0%を超えると、銅合金の強度が
下し、耐摩耗性が劣化する。好ましいAg含
量は0.1~0.2%である。
上記成分の残部はCuと不可避的不純物であ
、特にPbは痕跡量以下である。
本発明の銅合金は、任意成分として、0.1~5.0
%の Ni, 0.02 ~0.2%のP 及び 0.5~30.0%のZnの少な
とも1種をさらに含有することができる。
Niは銅合金の強度を向上し、また潤滑油な
に対する耐食性を向上する。Niの含有量が0.1
%未満ではこれら効果が少なく、5.0%を超える
相手材に対する非凝着性が低下する。好ま
いNi含有量は0.5~2.0%である。
Pは、焼結中に液相を発生し、裏金との密着
性を高めるとともに、材料強度を高める成分
である。Pの含有量が0.02%未満ではこれらの効
果が少なく、一方. 0.2%を超えるとCu-P化合物
起因する材料脆化が著しくなる。
Znは潤滑油に対する耐食性を高める成分で
る。Zn含有量が0.5%未満であると、この効果
少なく、一方30.0%を超えると材料強度が低下
して、耐焼付性や耐摩耗性が低下する。好ま
しいZn含有量は1.0~30.0%であり、より好ましいZ
n含有量は15.0~20.0%である。
さらに、本発明の銅合金は硬質粒子を添加
た複合材料とすることができる。
硬質粒子は、アブレーシブ摩耗に対する銅
金の耐摩耗性を高めることにより、焼付を
えることができる。かかる硬質粒子として
、平均粒径が1.5 ~70μmのFe 3
P、Fe 2
P、FeB、NiB及びAlNからなる群の少なくとも1種
質量百分率で1.0 ~10.0%を銅合金に添加する
とができる。
これらの硬質粒子、特にFe 3
Pは硬質粒子としては硬度が低いため、被削
を低下させず、相手軸への攻撃性が低く、
つ銅合金に対する焼結性が優れている。
硬質粒子の平均粒径が1.5μm未満であると、
質粒子がAg-Bi共晶の中に入ることにより、
動中に銅合金表面から脱落し易くなる。一
、平均粒径が70μmを超えると、硬質粒子が相
手軸を摩耗するいわゆる攻撃性が大きくなり
、次に、表面粗さが粗大になった相手軸が銅
合金自体を摩滅するために、銅合金の摺動特
性が劣化する。好ましい平均粒径は、10~50μm
あり、より好ましくは15~40μmである。また
硬質粒子の添加量が1.0%未満であると、その
果が少なく、一方10.0%を超えると、上記相
軸攻撃性が大きなり、また、材料強度低下
裏金との密着性の低下を招く。
合金組織
本発明に係る銅合金の組織は、任意成分や
質粒子が存在する場合はこれらが組織構成
素となるが、基本的には、Cuマトリックス
Ag-Bi共晶とからなる。より詳しく述べると、
硬質粒子が添加された場合は、この粒子その
ものが分散して、組織構成要素となるが、Cu
トリックスとAg-Bi共晶は必ず形成される。Cu
マトリックスはX線回折において、Cu結晶の回
折ピークが検出され、顕微鏡観察においてAg-
Bi共晶の二次相から区別されるものである。
Ag-Bi共晶はCuマトリックスの粒界に沿って伸
びたBi相中にAgが微細に分散した形態を有す
。 この共晶 は棒状共晶 に属する。Ag-Bi
晶 には微量の Cu及びPが混入している。
本発明のCu-Sn-Bi-Ag系基本組成においては、Cu
トリックスはCuとSnにより構成され、Bi,AgはCu
マトリックスに実質的に固溶していず、かつ
Ag-Bi共晶以外の二次相を実質的に形成してい
いことが好ましい。即ち、Cuマトリックス
固溶したBi は摺動特性にほとんど向上せず
共晶形態以外の単相Biはなじみ性がPbより劣
る欠点がある。Agも同様に共晶形態で摺動特
に寄与する。一方、Snは主としてCuマトリッ
クスに固溶する。なお、「実質的に固溶しな
い」とは、後述の画像解析併用EPMA分析にお
てCuマトリックス中にAg,Biの検出強度が認め
れないことである。
また、「二次相を実質的に形成していない
とは特許文献3(段落番号0045)に記載されたX
回折条件(Cu管球、30kV,150mA)において二次相が
検出されないことである。
本発明の基本組成に加えて任意成分を含 する組成においては、Bi及びAgは、Cu,Sn並び Ni,P及び/又はZnから構成されるCuマトリック に実質的に固溶しておらず、かつAg-Bi共晶 外の二次相を形成していないことが好まし 。Ni、P、及びZnはCuマトリックスの構成成分 して存在し、上述の性能を発揮する。すな ち、これらの成分はAg-Bi共晶形成を妨げる うな組織を作らず、Cuマトリックスの構成成 分となるが、CuマトリックスにはAg,Biは、基 成分の場合と同様に、実質的に固溶しない とが好ましい。
製造方法
Sn、Bi及びAgを固溶した銅合金をAg-Bi二元系
態図の共晶温度262℃近傍をある程度の冷却
度にて冷却すると、Ag-Bi共晶が生成する。即
ち、共晶温度近傍を超高速で冷却すると共晶
反応は起こらず、AgとBiはCuマトリックスに強
制固溶される。Ag-Bi共晶が形成されると、Cu-B
i系合金で見られるようなCuマトリックス界面
(結晶粒界)に網目状に伸びたBi単相は見られ
くなり、Cuマトリックスの界面にAg-Bi共晶が
成する。すなわち、銅合金中のBi相の形態
Ag添加により完全に別となる。
本発明に係るPbフリー銅合金すべり軸受の
造方法は、上述の現象を利用しており、上
組成を有する原料粉末を、裏金鋼板上に散
し、700~900℃で焼結する焼結工程を前後2回行
い、中間に焼結空孔を縮小する加工工程を行
うことを特徴とする。
本発明においては、必須元素及び任意元素
全部を含む銅合金粉末、あるいはこれらの
素の一部を含み、混合により所定の組成と
る混合粉末を、ブレンダーなどで混練して
用意する。粉末の粒径は特に制限はないが
粒径で180μm以下が好ましい。これらの合金
末もしくは混合粉末を裏金上に散布し、焼
し、その後焼結空孔をつぶすための圧延、
レスなどの加工を行い、同じ条件で再焼結
行う。焼結温度は700~900℃の範囲を行う。ま
た、硬質粒子を添加する場合は、硬質粒子を
合金粉末もしくは混合粉末に混合する。
焼結体を円筒状に加工して軸受(ブシュ)と
る。
表1に示す組成となるように、Cu成分-Bi-A gアトマイズ粉末(粉末粒径-180μm以下)及び硬 粒子(平均粒径-1.5 ~ 70μm)をVブレンダーで均 一に混合し、混合粉末を鋼板上に約1mmの厚さ で散布し、一次焼結、圧延及び二次焼結を行 い、鋼板に銅合金が密着した銅合金バイメタ ルを作製した。なお、一次及び二次焼結は700 ~900℃、焼結時間は5~30分、共晶温度近傍の冷 速度200℃/minの条件で行った。また、上記バ イメタルは円筒状に成形して軸受(ブシュ)と た。
上述のようにして調整した軸受部材につい
次の試験を行った。
摩擦試験
Ag-Bi共晶が微細分散した銅合金とBi単相が
散した銅合金の摩擦係数を測定すると、25
では両方とも摩擦係数は低く安定している
め、次の条件で高温での摩擦係数を測定し
。
試験機:付着すべり試験機
試験片温度:120℃
潤滑:無潤滑
すべり速度:0.3mm/s
なお、この摩擦試験においては潤滑条件を
しくするために、潤滑油を使用しない無潤
条件とした。さらに、試験片温度はK熱電対
により測定した。測定結果を表1の右端に示
。
また、表1の実施例2、4、8、11及び比較例7
ついては、次の方法でブシュ形状の焼付き
験を行った。試験の結果を表2に示す。
焼付き試験方法
試験機:ブシュジャーナル試験機
相手軸:SCM415
周速:15m/s
荷重:1MPaステップアップ
潤滑:ATF(Automatic Transmission Fluid)
油温:120℃
表1において、比較例1は、実施例1とAg以外
は同じ組成である。また、比較例6は実施例1
同じ組成であるが、共晶温度近傍を含む焼
温度から室温までの冷却速度を2000℃/minで
冷することにより、Ag-Bi共晶形成を抑え、Ag,
BiをCuマトリクス中に固溶させた比較例であ
。比較例7は従来のPb含有銅合金の代表的組
である。
実施例1と比較例1,6の比較より、Ag-Bi共晶
、Bi単相(比較例1)及び固溶Ag,Bi(比較例6)より
、耐凝着性がすぐれていることが分かる。B
i単相とAg-Bi共晶の比較は、実施例8と比較例2
実施例10と比較例3についても可能であり、
述のとおりの判定が得られる。
図1は、Ag-Bi共晶相の耐凝着性を検証する
めに、Bi単体およびAg-Bi共晶合金単体につい
、上記摩擦試験における時間経過と摩擦係
との関係を表したものである。
図1に示すように、Bi単体では初期の摩擦
数が大きくかつ激しく変化している。一方
Ag-Bi共晶合金単体では、ほとんど変化がなく
かつ低い。また、図2は上記Bi単体およびAg-Bi
晶合金単体について、相手材への凝着状況
測定した結果を示す(測定合計時間3分)。Ag-B
i共晶合金単体の凝着物面積は1.9 ×10 4
μm 2
であり、Bi単体の凝着物面積は5.8 ×10 4
μm 2
であった。以上より、Ag-Bi共晶はBi単体より
も優れた耐凝着性を有していることがわかる
。
そして、このような優れた耐凝着性を有 る、Ag-Bi共晶を形成している本発明の銅合 である表1の実施例2、4、8、11及び従来材のPb 含有材である比較例7について、上記したブ ュ形状の耐焼付性試験を行ったところ、表2 示すようにいずれの実施例もPb含有材であ 比較例7の耐焼付き性より高い耐焼付き性を している。
このように本発明の銅合金摺動材料はPb リーでありながら、耐凝着性に優れ、軸受 材料として使用した場合、高温度での摩擦 数が低くかつ安定しているため、相手軸と 接触により摺動面が高温になり、焼付きそ になった時に相手軸に凝着するのを防ぎ、 付きを防止することができる。
次に、表1の実施例4にかかる焼結合金の組
を図3に示し、EPMA(日本電子社製、型式(JXA8100
)、(加速電圧20kV)によるカラーマッピングを
4に示す。
図3に示すとおり、焼結により結合された銅
子からなるCuマトリックスの粒界に沿って伸
び、白色で表されている箇所が、二次相であ
るAg-Bi共晶であるが、微細Agは明らかではな
。Ag相は図4のEPMAにおいて識別され、Bi とAg
高濃度の濃縮領域が一致しているために、
れらは共晶 として結晶化したことが分か
。また、BiとAgはCuマトリックス中には検出
れない。また、図3において灰色多角形の物
はFe 3
Pである。
表1のその他の実施例についても図3、4と
様の組織が観察された。
以上説明したように、本発明に係るPbフ ー焼結銅合金は、高温において初期摩擦特 が優れているために、すべり軸受はオート チックトランスミッションのブシュなどに ましく使用することができる。