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Title:
PERMANENT MAGNET ROTATING ELECTRIC MACHINE, ITS MANUFACTURING METHOD, AND AUTOMOBILE HAVING PERMANENT MAGNET ROTATING ELECTRIC MACHINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081783
Kind Code:
A1
Abstract:
A rotating electric machine including a rotator having a permanent magnet disposed on its surface and exhibiting favorable characteristics. The permanent magnet formed by binding a magnetic powder with a SiO material is disposed on the surface of the rotator. Since the precursor of SiO2 is a binder having a favorable wettability with magnetic materials, the proportion of the magnetic material of magnet can be large, the degradation of the magnetism characteristic can be decreased when compared to the case where an epoxy resin is used as the binder, and a favorable characteristic can be therefore maintained. Further, since it is possible to form a permanent magnet into a complex shape, a continuous skew can be structured.

Inventors:
HINO NORIAKI (JP)
KOMURO MATAHIRO (JP)
SATSU YUICHI (JP)
MATSUNOBU YUTAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074852
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 25, 2007
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI LTD (JP)
HINO NORIAKI (JP)
KOMURO MATAHIRO (JP)
SATSU YUICHI (JP)
MATSUNOBU YUTAKA (JP)
International Classes:
H02K15/03; H02K1/27; H02K21/14
Foreign References:
JP2004208341A2004-07-22
JPH09162054A1997-06-20
JPH09331643A1997-12-22
JP3006788U1995-01-31
JP2006169618A2006-06-29
Attorney, Agent or Firm:
ASAMURA, Kiyoshi et al. (New Ohtemachi Bldg. 2-1, Ohtemachi 2-chome, Chiyoda-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機であって、
 前記固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子鉄心と、該固定子鉄心の前記スロット内に巻装される固定子巻線とから構成されており、
 前記回転子は、前記固定子鉄心と対向する回転子鉄心の表面に、周方向に異なった磁極が交互に形成されるように着磁された永久磁石を配置し、
 該永久磁石は、磁性粉体をSiO系の材料にて結着して構成されていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
 請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、回転子の上記回転子鉄心の表面には周方向に一定間隔で窪みが形成され、上記窪みにそれぞれ、磁性粉体をSiO系の材料にて結着して構成された永久磁石が配置されていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
 請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、
 前記固定子は、前記固定子鉄心の夫々の前記スロットに集中的に3相の前記固定子巻線を巻くことで構成されており、
 前記回転子における前記永久磁石の極数をPとし、前記固定子鉄心の前記スロット数をNとした際、2/3<=P/N<=4/3の関係を満たすことを特徴とする回転電機。
 請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、
 前記回転子における前記永久磁石は前記回転子における回転軸線と平行な方向に対して周方向にずれるように配置されることを特徴とする永久磁石式回転電機。
 請求項4に記載の永久磁石式回転電機において、
 前記永久磁石を連続的に周方向にずれるようにしたことを特徴とする永久磁石式回転電機。
 請求項4に記載の永久磁石式回転電機において、
 前記永久磁石は、前記回転子における回転軸線と平行な方向に略V字形状となるように着磁されていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
 請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、
 少なくとも1つの前記永久磁石は、切削加工により形成されていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
 請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、
 前記固定子巻線に3相交流電流が供給されて前記回転子に回転トルクが発生することを特徴とする永久磁石式回転電機。
 請求項8に記載の永久磁石式回転電機において、
 ハイブリッド車両の駆動源として用いられることを特徴とする永久磁石式回転電機。
 請求項8に記載の永久磁石式回転電機において、
 車両用電動パワーステアリング装置に用いられることを特徴とする永久磁石式回転電機。
 固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機の製造方法であって、
 前記固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子鉄心を成形する工程と、該固定子鉄心の前記スロット内に固定子巻線を巻装する工程とによって製造され、
 前記回転子は、回転子鉄心を成形する工程と、前記回転子鉄心の表面に周方向に渡って異なった磁性の永久磁石が交互に配置されるように固定する工程とによって製造され、
 更に前記永久磁石は、無機絶縁膜が施された磁性粉体を加圧成形する工程と、該加圧成形体に、30℃における粘度が0.52 ~100mPa・sの結着剤溶液を含浸させる工程と、前記加圧成形体に熱処理を施す工程とによって製造されることを特徴とする永久磁
石式回転電機の製造方法。
 固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機の製造方法であって、
 前記固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子鉄心を成形する工程と、該固定子鉄心の前記スロット内に固定子巻線を巻装する工程とによって製造され、
 前記回転子は、回転子鉄心を成形する工程と、前記回転子鉄心の表面に周方向に渡って異なった磁性の永久磁石が交互に配置されるように固定する工程とによって製造され、
 更に前記永久磁石は、無機絶縁膜が施された磁性粉体を加圧成形する工程と、該加圧成形体に、SiO系の材料を含浸させる工程と、前記加圧成形体に熱処理を施す工程とによって製造されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
 請求項12に記載の永久磁石式回転電機の製造方法において、
 複数の前記永久磁石のアンバランスを調節するために、前記永久磁石を切削していることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
 固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機の製造方法であって、
 前記固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子鉄心を成形する工程と、該固定子鉄心の前記スロット内に固定子巻線を巻装する工程とによって製造され、
 前記回転子は、回転子鉄心を成形する工程と、前記回転子鉄心の表面に周方向に渡って異なった磁性の永久磁石が交互に配置されるように固定する工程とによって製造され、
 更に前記永久磁石は、無機絶縁膜が施された磁性粉体を加圧成形する工程と、該加圧成形体に、SiO系の材料を含浸させる工程と、前記加圧成形体に熱処理を施す工程と、前記加圧成形体を切削する工程と、前記加圧成形体の切削部に防腐対策を施す工程とによって製造されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
 固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機の製造方法であって、
 前記固定子は、周方向に複数のスロットを有する固定子鉄心を成形する工程と、該固定子鉄心の前記スロット内に固定子巻線を巻装する工程とによって製造され、
 前記回転子は、回転子鉄心を成形する工程と、前記回転子鉄心の表面に周方向に渡って異なった磁性の永久磁石が交互に配置されるように固定する工程とによって製造され、
 更に前記永久磁石は、無機絶縁膜が施された磁性粉体を加圧成形する工程と、該加圧成形体に、SiO 2 の前駆体を含浸させる工程と、前記加圧成形体に熱処理を施す工程とによって製造されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
 請求項12に記載の永久磁石式回転電機の製造方法において、
 結着剤溶液は、アルコキシシロキサン,アルコキシシラン、その加水分解生成物、及びその脱水縮合物の少なくとも一種と水とを含み、更に必要な場合アルコールと加水分解用触媒から形成されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
 請求項12に記載の永久磁石式回転電機の製造方法において、
 前記加圧成形体は、曲面を有する形状に成形されることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
 固定子に対して回転子が相対回転を行う永久磁石式回転電機を備えた自動車であって、
 前記回転子は回転子鉄心と回転子の周方向に偶数個の界磁極を作るために回転子鉄心の外周側に配置された永久磁石とを備え、前記永久磁石は前記界磁極の極性が交互に反転するように着磁されており、
 該永久磁石は、磁性粉体を結着剤にて結着することで構成され、
 前記結着剤は、その前駆体が前記磁性粉体に対し良好な濡れ特性を有する材料で構成されていることを特徴とする永久磁石式回転電機を備えた自動車。
 請求項18に記載の永久磁石式回転電機を備えた自動車において、
 前記結着剤は、SiO 2  を主成分としアルコキシ基が含有するものであることを特徴とする永久磁石式回転電機を備えた自動車。
 請求項19に記載の永久磁石式回転電機を備えた自動車において、
 前記結着剤は、その前駆体において、SiO 2  の前駆体であるアルコキシシロキサン,アルコキシシラン,その加水分解生成物、及びその脱水縮合物の少なくとも一種と水とを含み、更に必要な場合アルコールと加水分解用触媒から形成されることを特徴とする永
久磁石式回転電機を備えた自動車。
 請求項18に記載の永久磁石式回転電機を備えた自動車において、
 前記磁性粉体には、10μm~10nm厚の無機絶縁膜が施されていることを特徴とする永久磁石式回転電機を備えた自動車。
 請求項18に記載の永久磁石式回転電機を備えた自動車において、
 前記永久磁石は、連続的にスキューしていることを特徴とする永久磁石式回転電機を備えた自動車。
 固定子と回転可能に配置された回転子とを有し、
 前記固定子は固定子鉄心と前記固定子鉄心に巻回された固定子巻線とを有し、
 前記回転子は回転子鉄心と前記回転子鉄心の周方向に設けられた複数の界磁極をそれぞれ構成する複数の永久磁石とを有しており、
 前記永久磁石はその固定子側面が前記回転子鉄心の固定子側の面より固定子側に位置するように配置されており、さらに前記界磁極を構成する永久磁石は前記界磁極毎に逆極性となるように磁化されており、
 前記永久磁石は、磁性粉体をSiO系の材料により結着して成形されていることを特徴とする永久磁石回転電機。
 固定子鉄心と前記固定子鉄心に巻回された3相の固定子巻線とを有する固定子と、回転可能に配置された回転子とを有しており、
 前記回転子は回転子鉄心と前記回転子鉄心に保持された複数の永久磁石とを備えており、
 前記回転子には前記永久磁石により構成される偶数個の界磁極が周方向に形成され、前記界磁極を構成する永久磁石は前記界磁極毎に異なる極性に磁化されており、
 前記永久磁石は、SiO系の材料がアモルファス状態で希土類磁性粉体を結着して形成されており、
 前記永久磁石を形成する前記希土類磁性粉体は幅の広い第1の面と幅の狭い第2の面を有する扁平形状を成し、
 扁平形状の前記希土類磁性粉体の前記第1の面が対向するように前記希土類磁性粉体が積層され、前記積層状態の希土類磁性粉体をアモルファス状態のSiO系結着剤が結着して前記永久磁石が形成されている、車載用の永久磁石回転電機。
 固定子鉄心と3相の固定子巻線とを有する固定子と、
 前記固定子との間に空隙を有して回転可能に配置された回転子とを有し、
 前記回転子は、回転子鉄心と複数の永久磁石とを備えており、前記永久磁石は回転子の界磁極を構成すると共に、前記回転子には偶数個の界磁極が周方向に形成されており、
 前記永久磁石は、幅の広い第1の面と前記第1の面に比べ幅の狭い第2の面を有する扁平形状の希土類磁性粉体を前記第1の面が対向するように積層した積層状の希土類磁性粉体と、SiO 2 が主成分でアルコキシ基を含有する結着剤とを有しており、
 前記永久磁石を形成する扁平形状の希土類磁性粉体を、前記SiO 2  を主成分とするアモルファス状態で連続膜形状の結着剤により結着して、前記永久磁石が形成されている、
車載用の永久磁石回転電機。
 請求項23乃至25に記載の永久磁石回転電機において、
 前記磁性粉体は表面に10μm~10nm厚の無機絶縁膜を有し、前記無機絶縁膜を有する磁性粉体をSiO 2  により結着して前記永久磁石が形成されている、車載用の永久磁石回転電機。
 固定子鉄心と前記固定子鉄心に巻回された3相の固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子との間に空隙を設けて回転可能に配置された回転子とを有しており、
 前記回転子は回転子鉄心と前記回転子鉄心に保持された複数の永久磁石とを備えており、
 前記回転子には前記永久磁石により構成される偶数個の界磁極が周方向に略等間隔に配置され、前記界磁極を構成する永久磁石は前記界磁極毎に逆極性に磁化されており、
 前記永久磁石は、SiO 2  を主成分とするアモルファス状態の結着剤で希土類磁性粉体を結着して、形成されており、
 前記永久磁石を形成する前記希土類磁性粉体は第1の面と前記第1の面より幅の狭い第2の面を有する扁平形状を成しており、
 前記永久磁石は、前記第1の面が互いに対向するように前記希土類磁性粉体が積層され前記積層状態の希土類磁性粉体をアモルファス状態の前記結着剤が結着した積層構造を主構造として有しており、
 前記永久磁石は、主構造を成している前記積層構造の前記第1の面がほぼ固定子側を向くように、上記回転子に保持されている、車載用の永久磁石回転電機。
 請求項27に記載の車載用の永久磁石回転電機において、
 前記永久磁石は、その固定子側面が回転軸に垂直な面による断面状態において回転子の周方向の両サイドより中央部が固定子側に突出した曲線形状を成し、さらに前記主構造を成している積層構造の前記第1の面が前記断面状態においてほぼ固定子側を向くように形成されている、車載用の永久磁石回転電機。
 固定子鉄心と前記固定子鉄心に巻回された3相の固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子との間に空隙を設けて回転可能に配置された回転子とを有しており、
 前記回転子は回転子鉄心と前記回転子鉄心に保持された複数の永久磁石とを備えており、
 前記回転子には前記永久磁石により構成される偶数個の界磁極が周方向に略等間隔に配置され、前記界磁極を構成する永久磁石は前記界磁極毎に逆極性に磁化されており、
 前記永久磁石は、SiO 2 を主成分とするアモルファス状態の結着剤で希土類磁性粉体を結着して、形成されており、
 前記永久磁石を形成する前記希土類磁性粉体は第1の面と前記第1の面より幅の狭い第2の面を有する扁平形状を成しており、
 前記永久磁石は、前記第1の面が互いに対向するように前記希土類磁性粉体が積層され前記積層状態の希土類磁性粉体をアモルファス状態の前記結着剤が結着した積層構造を主構造として有しており、
 前記永久磁石は、主構造を成している前記積層構造の前記第1の面が回転子の回転軸にほぼ沿った方向を向くように、上記回転子に保持されている、車載用の永久磁石回転電機。
 請求項29に記載の車載用の永久磁石回転電機において、
 前記永久磁石は、その固定子側面が回転軸に垂直な面による断面状態において回転子の周方向の両サイドより中央部が固定子側に突出した曲線形状を成し、さらに前記主構造を成している積層構造の前記第1の面が前記断面状態においてほぼ回転軸に沿った方向を向くように形成されている、車載用の永久磁石回転電機。
 請求項27乃至請求項30に記載の車載用の永久磁石回転電機において、
 SiO 2 を主成分とする結着剤はアルコキシ基を含有している、車載用の永久磁石回転電機。
Description:
永久磁石回転電機とその製造方 及び永久磁石式回転電機を備えた自動車

 本発明は、永久磁石式回転電機とその製 方法及び永久磁石式回転電機を備えた自動 に関する。

 近年、永久磁石の特性は著しく向上して る。代表的な高性能の永久磁石は希土類の 石材料を焼結して製造した焼結磁石である この焼結磁石は磁気特性が優れているが、 温で焼結する製造工程が必要であり、生産 悪化の要因となっている。

 これに対し、特許文献1に示すような、磁 石材料を熱硬化性エポキシ樹脂で固めるいわ ゆるボンド磁石が研究されている。このボン ド磁石は、焼結する製造工程が不要であり、 ある程度複雑な形状も成形することができる 。

特開平11-238640号公報

 しかしながら、エポキシ樹脂を結着剤と て使用した磁石では、磁石材に対するエポ シ樹脂材の割合が多くなってしまい、磁石 しめる磁石材料の割合が低下してしまう。 のため、磁気特性が悪くなり、それに伴っ 回転電機の特性も著しく低下する問題があ た。

 本発明の目的は、磁気特性及び生産性が 好な永久磁石式回転電機とその製造方法及 永久磁石式回転電機を備えた自動車を提供 ることである。

 本発明の永久磁石式回転電機は、回転子 心の表面に磁性粉体をSiO系の材料にて結着 た永久磁石を配置したことを特徴としてい 。

 また、本発明の永久磁石式回転電機の製 方法は、無機絶縁膜が施された磁性粉体を 圧成形し、該加圧成形体に、SiO系の材料を 浸させて永久磁石を製造し、この永久磁石 回転子鉄心の表面に固定したことを特徴と ている。

 また、本発明の永久磁石式回転電機を備 た自動車は、回転子鉄心の表面に、結着剤 て磁性粉体を結着した永久磁石を配置し、 記結着剤は、その前駆体が磁性粉体に対し 好な濡れ特性を有する材料で構成されてい ことを特徴としている。

 本発明の永久磁石式回転電機は、磁気特性 び生産性を良好とすることができる。
 本発明の他の目的、特徴及び利点は添付図 に関する以下の本発明の実施例の記載から らかになるであろう。

[第1実施例]
 図1は、本発明による第1実施例としての永 磁石式回転電機が搭載されたハイブリッド の電気自動車の一実施形態を示す構成図で る。なお本発明による回転電機は、純粋な 気自動車にもハイブリッド型の電気自動車 も適用できるが、以下代表してハイブリッ 型の電気自動車の実施例を説明する。

 ハイブリッド型の電気自動車100には、エ ジン120と第1の回転電機200と第2の回転電機20 2と、第1の回転電機200と第2の回転電機202に高 電圧の直流電力を供給するあるいは第1の回 電機200と第2の回転電機202から高電圧の直流 力を受けるバッテリ180が搭載されている。 らに14ボルト系電力である低電圧電力を供 するバッテリがこの車両に搭載されており 以下に説明する制御回路に低電圧の直流電 を供給するが、この低電圧電力を供給する ッテリの図示を省略する。

 エンジン120および第1の回転電機200と第2 回転電機202に基づく回転トルクは、変速機13 0とデファレンシャルギア132に伝達され、前 110に伝達される。変速機130を制御する変速 制御装置134とエンジン120を制御するエンジ 制御装置124と電力変換装置600を制御する回 電機制御回路604とリチュームイオン電池な のバッテリ180を制御するバッテリ制御装置18 4と統合制御装置170とが、それぞれ通信回線17 4によって接続されている。

 統合制御装置170は、統合制御装置170より 位の制御装置である変速機制御装置134やエ ジン制御装置124や電力変換装置600やバッテ 制御装置184から、それぞれの状態を表す情 を通信回線174を介して受け取る。これらの 報に基づき、統合制御装置170によって各制 装置の制御指令が演算され、統合制御170か 各制御装置への制御指令が通信回線174を介 てそれぞれの制御装置へ送信される。

 例えば、バッテリ制御装置184はリチュー イオン電池であるバッテリ180の放電状況や チュームイオン電池を構成する各単位セル 池の状態をバッテリ180の状態として統合制 装置170に通信回線174を介して報告する。

 統合制御装置170は上記報告からバッテリ1 80の充電が必要と判断すると、電力変換装置6 00に発電運転の指示を出す。統合制御装置170 またエンジン120と第1や第2の回転電機200,202 出力トルクを管理し、エンジンと第1や第2 回転電機200,202の出力トルクの総合トルクあ いはトルク分配比を演算処理し、処理結果 基づく制御指令を変速機制御装置134やエン ン制御装置124や電力変換装置600へ送信する トルク指令に基づき電力変換装置600は第1の 回転電機200と第2の回転電機202を制御し、ど らか一方の回転電機であるいは両方の回転 機で指令のトルク出力を、あるいは発電電 を発生するようにこれらの回転電機を制御 る。

 電力変換装置600は統合制御装置170からの 令に基づき第1の回転電機200と第2の回転電 202を運転するためにインバータを構成する ワー半導体のスイッチング動作を制御する これらパワー半導体のスイッチング動作に り、第1の回転電機200と第2の回転電機202が電 動機としてあるいは発電機として運転される 。

 電動機として運転する場合は高電圧のバ テリ180からの直流電力が前記電力変換装置6 00のインバータの直流端子に供給される。イ バータを構成するパワー半導体のスイッチ グ動作を制御することにより上記供給され 直流電力が3相交流電力に変換され、回転電 機200あるいは202に供給される。一方第1の回 電機200あるいは第2の回転電機202が発電機と て運転される場合、回転電機200あるいは202 回転子が外部から加えられる回転トルクで 転し、この回転トルクに基づき前記回転電 の固定子巻線に3相交流電力を発生する。発 生した3相交流電力は前記電力変換装置600で 流電力に変換され、直流電力が前記高電圧 バッテリ180に供給され、前記バッテリ180が 流電力により充電される。

 図1に示すとおり、電力変換装置600は、直 流電源の電圧変動を押える複数の平滑用のコ ンデンサモジュールと、複数のパワー半導体 を内蔵するパワーモジュールと、このパワー モジュールのスイッチング動作を制御するス イッチング駆動回路および前記スイッチング 動作の時間幅を決める信号すなわちパルスワ イドモデュレーションの制御を行うPWM信号を 発生する回路を備えた回転電機制御回路から 構成されている。

 高電圧のバッテリ180はリチュームイオン 池あるいはニッケル水素電池などの2次電池 であり、250ボルトから600ボルト、あるいはそ れ以上の高電圧の直流電力が前記2次電池に 電され、あるいは前記2次電池から出力され 。

 図2は図1に示す電力変換装置600の回路図 ある。電力変換装置600には第1の回転電機200 ための第1のインバータ装置と第2の回転電 202のための第2のインバータ装置とが設けら ている。第1のインバータ装置は、第1のパ ーモジュール610と第1のパワーモジュール610 おける各パワー半導体21のスイッチング動 を制御する第1の駆動回路652と回転電機200の 流を検知する電流センサ660と以下に説明す 第2のインバータ装置と共通に使用される制 御回路648とコネクタ基板642に実装された送受 信回路644やコンデンサジュール630を備えてい る。なお、駆動回路652は駆動回路基板650に設 けられており、制御回路648は制御回路基板646 に設けられている。

 第2のインバータ装置は、第2のパワーモ ュール620と第2のパワーモジュール620におけ 各パワー半導体21のスイッチング動作を制 する第2の駆動回路656と回転電機202の電流を 知する電流センサ662と第1のインバータと共 通に使用される制御回路648と送受信回路644と コンデンサジュール630とを備えている。第2 駆動回路656は第2の駆動回路基板654に実装さ ており、また制御回路648は回転電機制御回 基板646に実装されており、送受信回路644は ネクタ基板642に実装されている。

 第1のパワーモジュール610と第2のパワー ジュール620は、それぞれ対応する第1および 2の駆動回路652と656とから出力された駆動信 号によって動作し、高電圧バッテリ180から供 給された直流電力を三相交流電力に変換し、 その電力を対応する回転電機200や202の電機子 巻線に供給する。また回転電機200や202のの電 機子巻線である固定子巻線に誘起された交流 電力を直流に変換して高電圧バッテリに供給 する。

 第1および第2のパワーモジュール610や620 、図2に記載のごとく3相ブリッジ回路を備え ており、3相に対応した直列回路がそれぞれ ッテリ180の正極側と負極側との間に電気的 並列に接続されている。各直列回路は上ア ムを構成するパワー半導体と下アームを構 するパワー半導体とを備え、上アームのパ ー半導体21と下アームを構成するパワー半導 体21とは直列に接続されている。

 第1のパワーモジュール610と第2のパワー ジュール620とは図2に示す如く、回路構成が ぼ同じであり、第1のパワーモジュール610で 代表して説明する。本回路では、スイッチン グ用パワー半導体素子としてIGBT(絶縁ゲート バイポーラトランジスタ)21を用いている。I GBT21は、コレクタ電極,エミッタ電極及びゲー ト電極の3つの電極を備えている。IGBT21のコ クタ電極とエミッタ電極との間にはダイオ ド38が電気的に接続されている。ダイオード 38は、カソード電極及びアノード電極の2つの 電極を備えており、IGBT21のエミッタ電極から コレクタ電極に向かう方向が順方向となるよ うに、カソード電極がIGBT21のコレクタ電極に 、アノード電極がIGBT21のエミッタ電極にそれ ぞれ電気的に接続されている。

 スイッチング用パワー半導体素子として MOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジ スタ)を用いてもよい。MOSFETは、ドレイン電 ,ソース電極及びゲート電極の3つの電極を備 えている。尚、MOSFETは、ソース電極とドレイ ン電極との間に、ドレイン電極からソース電 極に向かう方向が順方向となる寄生ダイオー ドを備えているので、図2のダイオード38を設 ける必要がない。

 各相のアームはIGBT21のソース電極とIGBT21 ドレイン電極が電気的に直列に接続されて 成されている。尚、本実施例では、各相の 上下アームのIGBTを1つしか図示していない 、制御する電流容量が大きいので、実際に 複数のIGBTが電気的に並列に接続されて構成 れている。以下説明を簡単にするため、1個 のパワー半導体として説明する。

 図2に示す実施例では、各相の各上下アー ムはそれぞれ3個のIGBTによって構成している 各相の各上アームのIGBT21のドレイン電極は ッテリ180の正極側に、各相の各下アームのI GBT21のソース電極はバッテリ180の負極側それ れ電気的に接続されている。

 各相の各アームの中点(上アーム側IGBTの ース電極と下アーム側のIGBTのドレイン電極 の接続部分)は、対応する回転電機200や202の 対応する相の電機子巻線に電気的に接続され ている。

 第1と第2の駆動回路652と656は、対応する ンバータ装置610や620を制御するための駆動 を構成しており、制御回路648から出力され 制御信号に基づいて、IGBT21を駆動させるた の駆動信号を発生する。それぞれの駆動回 652や656で発生した駆動信号は、対応する第1 パワーモジュール610や第2のパワーモジュー ル620における各パワー半導体のゲートにそれ ぞれ出力される。各相の各上下アームのゲー トに供給する駆動信号を発生する2組の回路 1つの集積回路としている。駆動回路652や656 それぞれ、6個の上記集積回路を有しており 、これら6個の集積回路を収めて1ブロックと て駆動回路652や656を構成している。

 制御回路648は各インバータ装置610や620の 御部を構成しており、複数のスイッチング パワー半導体素子を動作(オン・オフ)させ ための制御信号(制御値)を演算するマイクロ コンピュータによって構成されている。制御 回路648には、上位制御装置からのトルク指令 信号(トルク指令値),電流センサ660や662及び回 転電機200や202に搭載された回転センサが検知 した信号(センサ出力)が入力されている。制 回路648はそれらの入力信号に基づいて制御 を演算し、駆動回路652や656にスイッチング イミングを制御するための制御信号を出力 る。

 コネクタ基板642に実装された送受信回路6 44は、電力変換装置600と外部の制御装置との を電気的に接続するためのもので、図1の通 信回線174を介して他の装置と情報の送受信を 行う。

 コンデンサジュール630は、IGBT21のスイッ ング動作によって生じる直流電圧の変動を 制するための平滑回路を構成するためのも であり、第1のパワーモジュール610や第2の ワーモジュール620における直流側の端子に 気的に並列に接続されている。

 図3は、図1と図2に記載の回転電機200ある は202の断面図である。回転電機200と202とは ぼ同じ構造であり、回転電機200の構造をこ らの代表例として図3から図5を用いて説明 る。図4は図3にのA-A断面を示す図4は図3に固 子230および回転子250のA-A断面であり、ハウ ング212およびシャフト218の記載を省略した

 ハウジング212の内部に固定子230が保持さ ており、固定子230は固定子鉄心232と固定子 線238とを備えている。固定子鉄心232の内側 に対して空隙222を介して回転子250が配置さ ている。回転子250は回転子鉄心252と永久磁 254とを備えており、回転子鉄心252はシャフ 218に固定されている。ハウジング212はシャ ト218の回転軸方向の両側にエンドブラケッ 214をそれぞれ有しており、前記回転子鉄心2 52を有するシャフト218はエンドブラケット214 それぞれに軸受216により回転自在に保持さ ている。

 シャフト218には回転子の極の位置を検出 る回転子位置センサ224と回転子の回転速度 検出する回転速度センサ226とが設けられて る。これらのセンサ224と226からの出力は図2 に示す制御回路648に取り込まれ、これらセン サの出力に基づいてパワーモジュール610が制 御される。

 図4は図3に示す固定子230および回転子250 A-A断面図を示す。図4により図3に示す固定子 230および回転子250の具体的な構造を説明する 。固定子230は固定子鉄心232を有しており、固 定子鉄心232は周方向に均等に多数のスロット 234とティース236とを有しており、スロット234 には分布巻された固定子巻線238が設けられて いる。図4で、固定子の回転子側には全周に ってティース236とスロット234が設けられて る。尚、これら全てに符号を付すことはせ 、代表して一部のティースとスロットにの に符号を付した。

 また、回転子鉄心252の表面には、永久磁 254,256が接着剤などで貼り付けられている。 用途によって細心の安全対策が必要な場合に は、この永久磁石254,256の外周に非磁性材で る例えばステンレス管などをかぶせて上記 石の遠心力による永久磁石254,256の回転飛散 防止することができる。更には、回転子鉄 252の表面側に磁石挿入孔を設けて、この挿 孔内に永久磁石254,256を装着しても構わない 。上記磁石は回転子250の界磁極として作用し 、これら界磁極を構成する永久磁石254,256の 化方向は、磁石の固定子側面がN極またはS極 となる方向で、界磁極毎に磁化方向が反転し ている。

 永久磁石254,256は磁化され、永久磁石とな った状態で回転子鉄心252に貼り付けても良い し、あるいは永久磁石254,256が磁化されてい い状態で回転子鉄心252に貼り付け、回転子25 0を構成した後に強力な磁界を与えて磁化さ ることにより永久磁石となるようにしても い。この場合、磁化されない状態の永久磁 254,256を回転子鉄心252に貼り付け、その後に 化する方が、回転電機の生産性が向上する すなわち、これらの永久磁石254,256はたいへ ん強力な磁石であり、回転子250に永久磁石254 ,256を固定する前に磁石を着磁すると、永久 石254,256の固定時に回転子鉄心252との間に強 な吸引力が生じ、この求心力が作業の妨げ なる。また強力な吸引力により、永久磁石2 54,256に鉄粉などのごみが付着する恐れがある 。

 図4に示す実施形態では、各磁極すなわち 各界磁極が1個の永久磁石254,256で構成されて り界磁極毎に着磁方向が反転している。こ 実施形態では永久磁石254と256とでは極性が 対である。永久磁石254と256とを備えた回転 250の磁極は回転子250の周方向に等間隔に配 されており、この実施形態では8極である。

 また、図4の実施形態は、回転子250の極ピ ッチτpが角度で45°である。これに対して、 小さくなっている。この割合、τm/τpを調節 ることにより、回転子の作る磁束密度分布 高調波成分を変化させることができる。こ により、回転電機の基本的な特性であるコ ングトルク,通電時のトルクリプル,誘起電 の波形などを調節することができる。

 また図5は図3および図4に記載の分布巻さ た固定子巻線の代わりに集中巻の固定子を 用した回転電機を示す。また同一符号は対 する構成を示している。図5に示すような集 中巻モータの場合にも同じように磁石の幅τm を調節することができる。尚、固定子のティ ースに図に示すようにコイルを集中的に巻回 しているものを、ここでは集中巻と呼ぶ。一 方、分布巻とは、スロットを跨いでコイルを 挿入しているものとする。図5にはW相の巻線 み図示したが、これらのコイルは直列、あ いは並列に接続することで端子からみた電 を調節することができる。

 図5の実施形態では、回転子側は、永久磁 石254や256の固定子側の表面を図示したように ギャップ面の半径よりも磁石表面の曲率円弧 を小さくしている。回転軸の垂直面での断面 の状態を見ると各磁石は、回転子250の周方向 両端部において回転子250から固定子230方向に 向く形状を持ち、固定子230側面が回転子250面 より極率の大きい曲線形状を成して、磁石の 周方向における中央部が最も固定子230に近く なる形状をしている。

 この形状(以下かまぼこ型と記す)により 磁石の固定子230側表面の磁束密度を周方向 正弦波状になめらかに分布させることがで る。この効果により、高調波成分が減り、 ギングトルクを低減させ、誘起電圧の波形 高調波を少なくすることができる。このよ な、かまぼこ型の形状の永久磁石も、本実 例を用いれば簡単に作ることができる。

 ここで、本実施形態に用いられる永久磁 と、従来の回転電機に用いられていた焼結 石及びボンド磁石との違いを以下に説明す 。

 焼結磁石は、その高エネルギー密度を活 して、モータを小型化できるので、電気自 車やハイブリッド車などに用いられている しかしながら、焼結磁石は、その製法上、 結工程での高温処理が不可欠なので、設備 用を含め、生産コストが高くなる。また、 石材を高温に熱する焼結工程により、焼結 程前の形状・寸法に対し焼結工程後の形状 寸法が熱収縮等により変化してしまい、正 な寸法の部品を得るためには、焼結工程の の成形工程で、寸法精度を得るために大幅 切削を含む成形作業が必要であった。これ 磁石モータのコスト増を招いており、安価 制御性の良いモータを得る上での障害とな ている。

 また、ボンド磁石は、熱硬化性エポキシ 脂と磁石材料とを混合し、この混合物を成 し製造する。つまり、エポキシ樹脂で磁石 料を接着した磁石である。エポキシ樹脂を 着剤として使用した磁石では、磁石材料と ポキシ樹脂との混合物を圧縮成型して磁石 製造している。このようなエポキシ樹脂で 石材を接着するボンド磁石は、磁石材に対 るエポキシ樹脂材の割合が多くなり、磁石 しめる磁石材料の割合が低下し、磁気特性 悪く、回転電機の特性が著しく低下する問 がある。このようなボンド磁石は、エネル ー密度が小さいため、大容量大トルク用途 はあまり用いられず、小型のファンモータ どに用いられている。

 以上、説明したように焼結磁石でこのよ な形状にするためには、表面加工が必要と り、コストが上昇してしまう。実際には、 結磁石は、1000℃以上で焼結させるため、熱 収縮による変形を補正する必要があり、後で 加工することが不可欠である。また、有機物 により結着されたボンド磁石では、結着材で あるエポキシ樹脂を150℃以上の高温で使用す ることが困難であり、150℃を超える熱的環境 で使用するニーズの多い自動車用の回転電機 には耐久性の点で不向きであった。

 図5に示すかまぼこ型磁石の実施形態を図 4の実施形態に適用できる。図4に示す実施形 において、回転子250に保持された永久磁石2 54や256を図5に示すかまぼこ型形状の磁石に変 えることができる。分布巻のモータでは固定 子が発生する回転磁界を集中巻より滑らかに することができる。これに加え永久磁石をか まぼこ型形状にして回転子鉄心外周に配置す ることで、磁石の固定子側面の磁束密度の変 化を正弦波関数に近い状態にすることができ 、これらの結果から回転電機のトルクリプル を低減させることができる。特に低速回転お いて、低脈動のトルクを発生できるので、車 両の発進時の加速が滑らかとなり、運転者に 車両の運転性に関し高級感を与えるのに適す る。

 このような永久磁石は、従来の焼結磁石 イプでは、熱処理後の変形のため、成形が 要であり、高価なものになっていた。しか 、本発明の永久磁石を用いた回転機の場合 プレス型でこの形状を作れば、プレス加工 の変形が少なくなり、磁石の後加工は必要 い。あるいは後加工が必要であっても、加 作業量が少なく、加工工程が簡単になる効 がある。

 図6は回転子250の他の作り方である。磁石 抑え260により、遠心力による永久磁石の飛散 を防止している。この磁石抑え260は、回転子 鉄心252と一体でも良いし、後から回転子鉄心 252に固定しても良い。また、磁石抑え260を磁 性体で構成すると、リラクタンストルクを活 用したモータにすることもできる。リラクタ ンストルクは、分布巻のモータの方がよく利 用できるため、固定子構造は分布巻とする方 法もある。

 尚、本発明が適用される適用対象は8極に 固定されるものではない。回転子250の極数は 10極や12極などさらに多くの極であっても良 。また逆に少ない極数であっても良い。固 子巻線の巻回方式には分布巻と集中巻の方 がある。3相モータの場合、分布巻の固定子 スロット数は、極数の3n(nは自然数)になる また、集中巻の場合には、固定子のスロッ 数をN,極数をPとすると、2/3<=P/N<=4/3の関 で、効率の良い3相モータになり、どの組合 せに対しても適用できる。集中巻モータでは 、1極を構成する固定子側のコイル数が少な ため、固定子が基本同期周波数以外の調波 分が大きい。特に基本同期周波数よりも低 の調波成分が多い。このため、回転子表面 永久磁石に流れる渦電流が多く、従来の焼 磁石を使ったモータでは、分割などの方策 不可欠であった。この原理や応用例につい は後述する。以下に説明するSiO系結着剤で 性粉を結着した磁石では磁性粉間に絶縁材 ある結着剤が存在するため、永久磁石の内 抵抗が高抵抗なり渦電流がその分減少する また表面に絶縁膜を形成した磁石粉を使用 て結着することも可能である。このため従 の焼結型磁石に比べ、永久磁石の分割など 対策の必要性が少なく、対策が不要の場合 安価に回転電機を作ることができる。また 来対策しなかった回転電機に対して効率を 上でき、また磁石の発熱を減少できること 熱対策が容易となる。

 ここで永久磁石254と256は磁石材料である希 類材料のネオジウム(Nd)の粉体をこのネオジ ウム(Nd)と前駆体が濡れ性の良い性質を備え いる結着剤で結着した構造をしている。こ で濡れ性の優れた前駆体とは例えばSiO 2  の前駆体であるアルコキシシロキサンまた アルコキシシランである。ネオジウム(Nd)の 粉体は板状の形状を為しており、高さ方向で あるZ軸方向の値に対しX軸やY軸方向の大きさ が数倍以上である、厚みが薄い形状をしてい る。ネオジウム(Nd)粉体のX軸やY軸方向の大き さは大きい方が良く、例えば粉体のX軸また Y軸方向の大きさが45μメータ以上の大きさの 粉体を使用する方が残留特性を良くする。成 形中にネオジウム(Nd)の粉体が割れるなどで かくなり、小さい形状の粉体が混ざること しかたないが、粉体の半分以上が45μメータ 上の大きさ粉体であることが望ましく、さ には7割以上が45μメータ以上の大きさの粉 であるとより好ましい結果が得られる。9割 上が45μメータ以上の大きさの粉体であると さらにより好ましい結果が得られる。なおネ オジウム(Nd)にさらにディスプロシウム(Dy)を 干含んでいると特性が改善される。このデ スプロシウム(Dy)を含むことにより、回転電 機の温度が上昇しても良好な磁気特性が維持 される。ディスプロシウム(Dy)の含有割合は %程度で、多くても10%以下である。バインダ で希土類磁石材料の粉体を結着した構造の 石及び磁石の製造方法についての詳細は後 する。

 図3および図4で、回転子の回転速度セン 226と回転子位置センサ224との出力に基づき 2に示す第1の駆動回路652が第1のパワーモジ ール610を制御する制御信号を発生して第1の ワーモジュール610に送信する。第1のパワー モジュールは制御信号に基づきスイッチング 動作を行い、バッテリ180から供給される直流 電力を3相交流電力に変換する。この3相交流 力は図3や図4に示す固定子巻線238に供給さ 、回転速度センサ226の検出値に基づいて3相 流電流の周波数が制御され、回転子位置セ サ224の検出値に基づいて3相交流電流の回転 子に対する位相が制御される。

 上記位相と周波数の回転磁界が3相交流電 流により固定子230に発生する。固定子230の回 転磁界が回転子250の永久磁石254,256に作用し 回転子250に永久磁石254,256に基づく磁石トル が生じる。

 次に永久磁石254,256の製造方法について説 明する。図7には、本実施形態に係る永久磁 254,256の製造プロセスの一例を示す。工程10 は、粉体状の磁石材料を生成する。例えば 土類の磁石用磁粉は、組成を調整した母合 を急冷することにより製造できる。

 工程15では、前記粉体状の磁石材料を圧 成形する。例えば回転電機に使用する永久 石を製造する場合は、この工程15では、回転 電機に使用する永久磁石の最終磁石形状の型 を用い、型に粉体状の磁石材料を供給し、圧 縮成形する。圧縮成形された磁石材料は型に より形状が決められた多孔質の状態であり、 機械的強度は弱く、強い衝撃を受けると壊れ る状態である。また磁化されていないので、 永久磁石としての特性は有していない。この 圧縮成形の状態のままで磁化しても回転電機 の構成部品として使用することは機械強度的 に困難である。

 圧縮成形された磁石は、以下に詳述する 造方法を用いることで、磁石形状の寸法関 がその後の工程であまり変化しない。すな ち工程15で圧縮成形された形状が高い精度 維持できる。例えば以下の製造工程を使用 た場合、磁石材料を結着するバインダーの リなどの一部分を切削成形することが必要 もしれないが、形状の多くの部分は高い精 が維持されており、回転電機において要求 れる磁石の精度を達成できる可能性が高い

 焼結磁石では、圧縮成形された磁石材料 製造工程で高温に熱することが必要で、高 に熱した後冷却されることで磁石の形状は 縮成形の形状から変形してしまう問題があ 。このため従来の焼結磁石では最終形状の 度を維持するために切削加工が必須であっ 。このことにより生産性が悪くなる問題が った。また切削加工では曲線形状の加工が 難であり、曲線形状を備えた磁石を簡単に 産することができなかった。

 工程20では、圧縮成形された磁石成形体にSi O 2  の前駆体の溶液を含浸する。圧縮成形され 磁石成形体は多孔質の状態であり、粘性が く、磁石材料に対して濡れ性の良い性質を つ結着剤の前駆体を含浸する。圧縮成形さ た磁石成形体に対し前駆体は濡れ性が良好 粘性も低いので、多孔質の圧縮成形体に前 体が吸い込まれるように含浸される。具体 な前駆体は以下で詳述する。

 磁石成形体に対する濡れ性の良好な結着 の前駆体溶液を含浸することで、磁石成形 を構成するそれぞれの磁性粉体の表面を前 結着剤が被い、結果として多数の粉体を良 につなぎ合わせる作用を為す。また良好な れ性の作用で結着剤の前駆体溶液が磁石成 体の細部に入り込むので、量的に少ない結 剤で良好な結着効果が得られる。また良好 濡れ性を利用しているので、エポキシ樹脂 使用に比べ設備が比較的シンプルで安価に る。そらに以下に詳述する前駆体は比較的 い温度で硬化するので、圧縮成形体の寸法, 形状が高い精度で維持したまま最終的な磁石 が得られる。もちろん前駆体の含浸の工程で 結着剤のバリなどができるが、粉末磁石の圧 縮成形体の寸法や形状が変化するわけでは無 いので、結着剤の切削処理を行うことで磁石 が製造される。

 工程25は、含浸された圧縮成形体を熱処理 ることにより結着剤で磁石材料を結着する 程である。以下に詳述する如くSiO系の材料 あるSiO 2  を結着剤として磁石材料を結着することで 好な磁石を得ることができる。以下に詳述 るように、工程25での処理温度は比較的低 温度であり、この熱処理で磁石成形体の形 や寸法が変化することがほとんど無く、製 された磁石の形状や寸法関係は圧縮成形さ た形状や寸法に対し高い精度が維持されて る。

 次に永久磁石254と256の結着剤について説明 る。上記工程20で使用される結着剤の前駆 の溶液は、SiO 2  の前駆体であるアルコキシシロキサン,アル コキシシランを有しており、化学式1や化学 2に示すような末端基及び側鎖にアルコキシ を有する化合物を有している。

 また、溶媒のアルコールにはアルコキシ ロキサン,アルコキシシラン中のアルコキシ 基と同じ骨格の化合物が好ましいがこれらに 限られるものではない。具体的にはメタノー ル,エタノール,プロパノール,イソプロパノー ル等が挙げられる。また、加水分解及び脱水 縮合用触媒としては酸触媒,塩基触媒,中性触 のいずれでも良いが中性触媒が金属の腐食 最小限に抑えられるので最も好ましい。中 触媒としては、オルガノスズ触媒が効果的 、具体的にはビス(2-エチルヘキサノエート) スズ、n-ブチルトリス(2-エチルヘキサノエー )スズ,ジ-n-ブチルビス(2-エチルヘキサノエ ト)スズ,ジ-n-ブチルビス(2,4-ペンタンジオネ ト)スズ,ジ-n-ブチルジラウリルスズ,ジメチ ジネオデカノエートスズ,ジオクチルジラリ ル酸スズ,ジオクチルジネオデカノエートス 等が挙げられるがこれらに限られるもので ない。また、酸触媒としては希塩酸,希硫酸, 希硝酸,蟻酸,酢酸等が、塩基触媒としては水 化ナトリウム,水酸化カリウム,アンモニア 等が挙げられるがこれらに限られるもので ない。

 結着剤の溶液中のSiO 2  の前駆体であるアルコキシシロキサン,アル コキシシラン、その加水分解生成物、及びそ の脱水縮合物総量の含有量は体積分率として 5vol% 以上かつ96vol% 以下が好ましい。アルコ キシシロキサン,アルコキシシラン、その加 分解生成物、及びその脱水縮合物総量の含 量が5vol% 未満になると、磁石中の結着剤の 有率が低いため、硬化後の結着剤の材料と ての強度がやや小さくなる。一方、アルコ シシロキサン,アルコキシシラン、その加水 分解生成物、及びその脱水縮合物総量の含有 量が96vol% 以上になると、SiO 2  の前駆体であるアルコキシシロキサン,アル コキシシランの高分子量化の反応が速いため 、結着剤溶液の増粘速度も速くなる。これは 結着剤溶液の適正粘度の制御がより困難であ ることを意味しており、この結着剤溶液を含 浸法に用いることが先に説明した材料に比べ 難しくなる。

 結着剤溶液中のSiO 2  の前駆体であるアルコキシシロキサン又は ルコキシシランと水とは、以下の化学式3, 学式4に示した加水分解反応が生じる。ここ 化学反応式は加水分解が部分的に生じた時 反応式である。

 この際、水の添加量がアルコキシシロキサ 又はアルコキシシランの加水分解反応の進 度を支配する因子の一つとなる。この加水 解反応は硬化後の結着剤の機械的強度が大 くするためには重要である。アルコキシシ キサン又はアルコキシシランの加水分解反 が発生していないと、その次に起こるアル キシシロキサン又はアルコキシシランの加 分解反応物同士の脱水縮合反応が進行しな からである。この脱水縮合反応生成物がSiO 2 であり、このSiO 2 が磁粉との接着性が高く、結着剤の機械的強 度を大きくする重要な材料となるからである 。更に、シラノールのOH基が磁粉表面のO原子 又はOH基と相互作用が強く高接着化に寄与す からである。しかしながら、加水分解反応 進みシラノール基の濃度が高くなるとシラ ール基を含む有機ケイ素化合物(アルコキシ シロキサン又はアルコキシシランの加水分解 生成物)同士の脱水縮合反応が進行し、有機 イ素化合物の分子量が大きくなり、結着剤 溶液の粘度は高くなる。これは含浸法に用 る結着剤の溶液としては適正な状態が遠ざ る特性である。従って、結着剤溶液中のSiO 2  の前駆体であるアルコキシシロキサン又は ルコキシシランに対する適正な水の添加量 必要となる。ここで、絶縁層形成処理液中 水の添加量として、化学反応式1,2に示した 水分解反応における反応当量の1/10~1が好ま い。水の添加量が化学反応式1,2に示した加 分解反応における反応当量の1/10以下では、 有機ケイ素化合物のシラノール基の濃度が低 いため、シラノール基を含む有機ケイ素化合 物と磁粉表面との相互作用が低く、また、脱 水縮合反応が生じにくいため生成物中にアル コキシ基が多量に残存したSiO 2  が生成するため、SiO 2  中に欠陥部が多数発生し、SiO 2  の強度が低くなる。一方、水の添加量が化 反応式1,2に示した加水分解反応における反 当量の1より大きくなると、シラノール基を 含む有機ケイ素化合物は脱水縮合が発生し易 くなり、結着剤溶液が増粘するため、磁粉と 磁粉の隙間に結着剤溶液は浸透できなくなり 含浸法に用いる結着剤溶液としては適正な状 態から遠ざかる特性である。結着剤溶液中の 溶媒には通常アルコールを用いる。それは結 着剤溶液に用いる溶媒にはアルコキシシロキ サン中のアルコキシ基は解離反応が速く、溶 媒のアルコールと置換し平衡状態にあるから である。そのため溶媒のアルコールには沸点 が水より低く粘度の低いメタノール,エタノ ル,n-プロパノール,iso -プロパノールが好ま い。しかし、化学的には溶液の安定性が若 低下するものの、結着剤の溶液の粘度が数 間で増加してしまうことが無く、かつ、沸 が水より低い溶媒であれば本発明の結着剤 して用いることが可能で、アセトン等のケ ン類などの水溶性溶媒であれば適用できる

 次に永久磁石254,256の他の製造方法を説明 する。本発明に係る磁石製造プロセスの他の 実施形態を図8および図9に示す。図8の実施形 態では、粉体状の磁石材料を生成後で圧縮成 形前に絶縁皮膜を作る処理を施す工程が加わ る点が、上記で説明した図7のプロセスと異 る。また図9では、圧縮成形した磁石を回転 に装着し、その後に結着剤を含浸する処理 行っている点がことなる。

 図8で図7と同じ工程の番号はほぼ同様の 理内容であることを示す。工程10で粉体状の 磁石材料を生成し、工程12で生成された磁石 料の各粉体の表面に電気的な絶縁膜を作る 理を行う。磁粉表面のできるだけ全面にさ にできるだけ均一に電気的な絶縁層を作る とが望ましく、具体的な処理方法は後述す 。製造された磁石が回転電機に使用される 合、上述の通り交流磁場で使用される。磁 を通る磁束が周期的に変化し、磁束の変化 より、磁石内に渦電流が発生する。この渦 流は回転電機の効率を低下させる問題があ 、また渦電流により磁石内の発熱を増大す 恐れがある。磁石材料におけるそれぞれの 体の表面を絶縁層で被うことによりこの渦 流を抑え、回転電機の効率低下を抑えるこ ができ、また磁石の発熱しいては回転電機 発熱を抑制できる。特に回転子に内蔵され 磁石では回転子は回転電機のハウジングと 受を介して機械的につながっており、熱伝 性が良くない。このため磁石の発熱を抑え ことは重要なことである。

 高調波を含む交流磁束が磁石に印加される 件下で磁石が使用される場合は、希土類の 石材料は電気抵抗が低く、渦電流を抑えて 熱を抑える観点から希土類の磁石粉体の表 に無機絶縁膜を形成されていることが好ま い。希土類の磁石粉体の表面に無機絶縁膜 形成するには、無機絶縁膜としてリン酸塩 成処理膜を適用するのが良い。リン酸塩化 処理液にリン酸,マグネシウム,ほう酸を用 た場合、以下のような組成が良い。リン酸 は1~163g/dm 3 が望ましく、163g/dm 3 より大きいと磁束密度の低下を招き、1g/dm 3  より小さいと絶縁性が悪くなる。また、ほ 酸量はリン酸1gに対して0.05~0.4gが望ましく の範囲を超えると絶縁層の安定性が悪くな 。磁粉表面の全面に絶縁層をできるだけ均 に形成するためには、絶縁層の形成処理液 磁粉に対する濡れ性を向上させることが有 である。これには界面活性剤の添加が望ま い。こうした界面活性剤としては、例えば パーフルオロアルキル系,アルキルベンゼン ルホン酸系,両性イオン系、またはポリエー テル系の界面活性剤が挙げられ、その添加量 は、絶縁層形成処理液中に0.01~1重量%含有さ ることが望ましく、0.01重量%未満では表面張 力を下げて磁粉表面を濡れさせる効果が不十 分であり、1重量%を超えてもそれ以上の効果 望めず不経済である。

 さらに防錆剤を入れることが磁石の特性劣 を防止するなどの観点から望ましい。防錆 の量は0.01~0.5mol/dm 3  が望ましく、0.01mol/dm 3 未満では磁粉表面の錆の抑制が難しく、0.5mol /dm 3 より多くしても以上の効果は望めず経済的で ない。

 リン酸塩化成処理液の添加量は、希土類 石用磁粉の平均粒径に依存する。希土類磁 用磁粉の平均粒径が0.1 ~500μmの場合、希土 磁石用磁粉1kgに対して300~25mlが望ましい。30 0mlより多いと磁粉表面の絶縁膜が厚くなりす ぎ、また、錆が発生し易くなるために磁石作 製時の磁束密度の低下を招き、25mlより少な と絶縁性が悪く、処理液の濡れない部分で の発生量が多くなり、磁石の特性劣化を引 起こす恐れがある。

 コート膜形成処理液中の希土類フッ化物 はアルカリ土類金属フッ化物がアルコール 主成分とした溶媒に膨潤させるのは、希土 フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物ゲ がゼラチン状の柔軟な構造を有することと アルコールが希土類磁石用磁粉に対して優 た濡れ性を有するからである。また、ゲル 態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金 フッ化物の平均粒径が10μm以下のレベルま 粉砕する必要があるのは、希土類磁石用磁 表面に形成されたコート膜が均一厚になり いからである。更に、アルコールを主成分 した溶媒にすることにより、非常に酸化さ 易い希土類磁石用磁粉の酸化の抑制が可能 なる。

 更に、磁粉の絶縁性並びに磁気特性の向上 図ることを目的とした無機絶縁膜としては ッ化物コート膜が望ましい。このような理 で希土類磁石粉体表面にフッ化物コート膜 形成する場合、フッ化物コート膜形成処理 中の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属 ッ化物の濃度に関しては希土類磁石用磁粉 面に形成する膜厚に依存するが、希土類フ 化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアル ールを主成分とした溶媒に膨潤されており ゲル状態の該希土類フッ化物又はアルカリ 類金属フッ化物の平均粒径が10μm以下のレ ルまで粉砕され、かつアルコールを主成分 した溶媒に分散された状態を保つことが重 で、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属 ッ化物の濃度として200g/dm 3 から1g/dm 3 となる。

 希土類フッ化物コート膜形成処理液の添 量は、希土類磁石用磁粉の平均粒径に依存 る。希土類磁石用磁粉の平均粒径が0.1 ~500 mの場合、希土類磁石用磁粉1kgに対して300~10m lが望ましい。これは処理液量が多いと溶媒 除去に時間を要するだけでなく、希土類磁 用磁粉が腐食し易くなるためである。一方 処理液量が少ないと希土類磁石用磁粉表面 処理液の濡れない部分が生じるためである 以上の事項に関し、表1には希土類フッ化物, アルカリ土類金属フッ化物コート膜について 、処理液として有効な濃度等を纏めている。

 図8のプロセスでは工程12で希土類の磁石 料における各粉体の表面に絶縁膜を形成し その後工程15で磁石材料を圧縮成形して多 質の磁石を成形する。その後図7と同様工程2 0で結着剤の前駆体を含浸し、工程25で前駆体 を硬化して磁石材料を結着剤で結着する。

 以上、図7と図8を用いて本発明に係る磁石 造プロセスの例を述べた。図9は、回転子の 周表面側に永久磁石を挿入する磁石挿入孔 有する回転電機において、結着剤の含浸工 の前に圧縮成形された多孔質の磁石を回転 の磁石挿入孔に挿入し、その後結着剤の前 体を磁石挿入孔に流し込み含浸する方法で る。工程15までは既に説明したプロセスと じである。工程17で回転子鉄心に設けられた 磁石挿入孔に多孔質の圧縮磁石を挿入し、工 程磁石22でSiO 2  の前駆体の溶液を回転子の磁石挿入孔に流 込む。

 次に工程27で回転子自身の温度を上げる 前駆体が硬化し、圧縮成形された磁石の強 が強くなると共に磁石が前記回転子鉄心の 石挿入孔に固定される。

 以上、本発明に係る磁石製造プロセスの を述べたが、具体的な永久磁石の実施例に いては以下に説明する。

[永久磁石の実施例1]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 組成を調整した母合金を急冷することによ 作製したNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を いた。NdFeB系母合金は鉄,Fe-B合金(フェロボロ ン)にNdを混合して真空あるいは不活性ガス中 または還元ガス雰囲気中で溶解し組成を均一 化しされている。必要に応じて切断した母合 金を単ロールや双ロール法などのロールを用 いた手法で、回転するロールの表面に溶解さ せた母合金をアルゴンガスなどの不活性ガス あるいは還元ガス雰囲気で噴射急冷し薄帯と した後、不活性ガス中あるいは還元性ガス雰 囲気中で熱処理する。熱処理温度は200℃以上 700℃以下でありこの熱処理によりNd 2 Fe 14 B の微結晶が成長する。薄帯は10~100μmの厚さ でありNd 2 Fe 14 Bの微結晶の大きさは10から100nmである。

 Nd 2 Fe 14 Bの微結晶が平均30nmの大きさの場合、粒界層 Nd 70 Fe 30  に近い組成であり、単磁区臨界粒径よりも いためにNd 2 Fe 14 B の微結晶内に磁壁が形成されにくい。Nd 2 Fe 14 B 微結晶の磁化はそれぞれの微結晶で磁気的 に結合しており磁化の反転は磁壁の伝搬によ って起こっていると推定されている。磁化反 転を抑制するためのひとつの手法として薄帯 を粉砕した磁粉同士の磁気的結合をしやすく することが挙げられる。そのために、磁粉間 の非磁性部をできるだけ薄くすることが有効 となり、粉砕粉はCoを添加したWC製超硬金型 に挿入後上下パンチでプレス圧力5t-20t/cm 2  で圧縮成形しプレス方向に垂直な方向で磁 間の非磁性部が少ない。これは磁粉が薄帯 粉砕した扁平粉であるために、圧縮成形し 成形体で扁平粉の配列に異方性が生じ、プ ス方向に垂直方向に扁平粉の長軸(薄帯の厚 さ方向と垂直な方向に平行)方向がそろうこ による。扁平粉の長軸方向がプレス方向の 直方向に向きやすくなる結果、成形体にお てプレス方向の垂直方向は、プレス方向よ も磁化が連続しておりそれぞれの粉におい パーミアンスが大きくなるため、磁化反転 難くなる。このため成形体のプレス方向と レス方向に垂直な方向では減磁曲線に差が じてくる。10×10×10mmの成形体において、プ ス方向と垂直方向に20kOeで着磁し減磁曲線を 測定すると残留磁束密度(Br)は0.64T、保磁力(iH c)は12.1kOeであるのに対し、プレス方向に平行 方向で20kOe の磁界で着磁後、着磁方向で減 曲線を測定するとBr0.60T,iHc11.8kOe であった。 このような減磁曲線の差は成形体に使用して いる磁粉に扁平粉を用いており、その扁平粉 の向きが成形体内で異方性を有しているため に生じているものと考えられる。

 このような減磁曲線の差は成形体に使用し いる磁粉に扁平粉を用いており、その扁平 の向きが成形体内で異方性を有しているた に生じているものと考えられる。個々の扁 粉の結晶粒は10-100nmと小さく、その結晶方 の異方性は少ないが、扁平粉の形状が異方 をもつため、扁平粉の配列方向に異方性が る場合には磁気的にも異方性が生じること なる。このような成形体の試験片に下記1)~3) のSiO 2  前駆体溶液を含浸し熱処理した。実施した 程を以下に説明する。

 結着剤であるSiO 2 前駆体には以下の3つの溶液を用いた。

 1)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を5ml,水0.96ml,脱水メチルア コール95ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

 2)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水4.8ml,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

 3)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を100ml,水3.84ml,ジラウリン ジブチル錫0.05mlを混合し、4時間25℃の温度 放置した。

 1)~3)のSiO 2  前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計 用いて30℃の温度で測定した。

 (1)上記Nd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm ,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし 縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製 た。

 (2)(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向 水平方向になるようにバット内に配置し、 着剤である1)~3)のSiO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2  前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測 定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施 した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧 縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試 により曲げ強度を評価した。

 図10に前記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mm 圧縮成形試験片の断面部のSEM観察結果の一 を示す。図10(a)が二次電子像、(b)が酸素面 析像、(c)は珪素面分析像である。(a)に示す うに扁平粉が異方性をもって堆積しており 分的にクラックが発生している。また、扁 粉の表面及び扁平粉内部のクラックに沿っ 酸素及び珪素が検出されている。このクラ クは圧縮成形時に発生したものであり、含 処理前は空洞になっている。このことから SiO 2  前駆体溶液は磁粉中のクラック内部まで含 されていることが分かった。

 (5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形 試験片に対する磁気特性については、残留磁 束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較 して、20~30%向上可能であり、20℃(発明者に確 認要)で測定した減磁曲線は、SiO 2 含浸前とSiO 2 含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃(発 者に確認要)大気中保持1時間後の熱減磁率は SiO 2 含浸ボンド磁石で3.0%でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に200℃(発明者に確認要)1時間後に室温に 戻して再着磁した後の不可逆熱減磁率は含浸 処理を施した場合1%未満であるのに対し、エ キシ系ボンド磁石(比較例1)場合3%近い値で った。これは含浸処理によりクラックを含 粉末表面がSiO 2  により保護されるため酸化等の腐食が抑制 れ、不可逆熱減磁率が低減されたからであ 。即ち、SiO 2  前駆体による含浸処理によりクラックを含 粉末表面が保護されるため酸化等の腐食が 制され、不可逆熱減磁率が低減される。不 逆熱減磁の抑制だけでなく、PCT試験や塩水 霧試験でも含浸処理磁石の方が減磁の少な 結果が得られている。

 更に(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧 縮成形試験片について大気中で225℃に1時間 持し冷却後20℃で減磁曲線を測定した。磁界 印加方向は10mm方向であり、最初に+20kOeの磁 で着磁後±1kOeから±10kOeの磁界でプラスマイ ス交互に磁界を印加して減磁曲線を測定し 。

 その結果を図11に示す。ここでは、上記2)の 条件で含浸処理した磁石と、後述する、エポ キシ樹脂をバインダーとして15vol% 含有した 縮成形ボンド磁石と、の減磁曲線を比較し いる。図11の横軸は印加した磁界、縦軸は 留磁束密度を示す。含浸処理した磁石は磁 が-8kOeよりも負側に大きな磁界が印加される と磁束が急激に低下する。圧縮成形ボンド磁 石は含浸処理した磁石よりもさらに磁界の絶 対値が小さい値で磁束が急激に低下し、-5kOe りも負側の磁界で磁束の低下が著しい。-10k Oeの磁界印加後の残留磁束密度は、含浸処理 石の場合0.44、圧縮成形ボンド磁石では0.11T あり含浸処理磁石の残留磁束密度は圧縮成 ボンド磁石の値の4倍となっている。これは 圧縮成形ボンド磁石が225℃で加熱中に各NdFeB の表面やNdFeB粉のクラック表面が酸化する とで各NdFeB粉を構成しているNdFeB結晶の磁気 方性が低下し、その結果保磁力が減少し負 磁界印加により磁化が反転し易くなったた と考えられる。これに対し、含浸処理磁石 はNdFeB粉及びクラック表面がSiO 2  膜で被覆されているため大気中加熱時の酸 が防止された結果、保磁力の減少が少ない のと考えられる。

 (7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形 試験片の曲げ強度はSiO 2 含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は30MPa以上、本実施例中の2),3) のSiO 2  前駆体溶液を用いたときは100MPa以上の曲げ 度を有する磁石成形体を作製することが可 であった。

 尚、磁石の比抵抗については焼結型の希 類磁石に比べて、本発明の磁石は約10倍の を有したが、圧縮型の希土類ボンド磁石と 較して約1/10の値となった。しかし、回転電 として使用する場合、渦電流損の発生は小 く、問題ない。特に磁石内蔵型の回転電機 おいては、高調波の磁束は回転子の磁極片2 80から内部に深く入り込まないので、磁石内 渦電流は少なく、それほど大きな問題では い。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は20~30%向上し、曲げ強度 同等~3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下 減少させること及び磁石の高信頼化が可能 あることが分かった。

 尚、本実施例と後述の[永久磁石の実施例 2]~[永久磁石の実施例5]について、結着剤1)~3) 用いた場合の磁石特性を、表2にまとめてい る。

[永久磁石の実施例2]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。また、結着剤 あるSiO 2  の前駆体として以下の3つの溶液を用いた。

 1)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水0.96ml,脱水メチルア ルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

 2)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水4.8ml,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

 3)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を100ml,水9.6ml,脱水メチルア ルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

 1)~3)のSiO 2  前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計 用いて30℃の温度で測定した。

 (1)上記Nd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm ,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし 縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製 た。

 (2)(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向 水平方向になるようにバット内に配置し、 着剤である1)~3)のSiO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2 前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測 定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施 した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧 縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試 により曲げ強度を評価した。

 (5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形 試験片に対する磁気特性については、残留磁 束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較 して、20~30%向上可能であり、20℃で測定した 磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間 持後、SiO 2  含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2  含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。 れはSiO 2  が磁粉の酸化による劣化を抑制しているた である。

 (7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形 試験片の曲げ強度はSiO 2 含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は70MPa以上、本実施例中の2),3) のSiO 2  前駆体溶液を用いたときは100MPa以上の曲げ 度を有する磁石成形体を作製することが可 であった。

 尚、磁石の比抵抗については焼結型の希 類磁石に比べて、本発明の磁石は約10倍の を有したが、圧縮型の希土類ボンド磁石と 較して約1/10の値となった。渦電流損がやや 加する恐れがあるが、使用を妨げるほどの 害とはならない。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は20~30%、曲げ強度は2~3倍 更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させ こと及び磁石の高信頼化が可能であること 分かった。

[永久磁石の実施例3]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。結着剤であるS iO 2  前駆体には以下の3つの溶液を用いた。

 1)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  を25ml,水5.9ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラ ウリン酸ジブチル錫0.05ml を混合し、2昼夜25 の温度で放置した。

 2)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水4.8ml,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

 3)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは6~8、平均は7)を25ml,水4.6ml,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

 1)~3)のSiO 2  前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計 用いて30℃の温度で測定した。

 (1)上記Nd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm ,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし 縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製 た。

 (2)(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向 水平方向になるようにバット内に配置し、 着剤である1)~3)のSiO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2  前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測 定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施 した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧 縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試 により曲げ強度を評価した。

 (5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形 試験片に対する磁気特性については、残留磁 束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較 して、20~30%向上可能であり、20℃(発明者に確 認要)で測定した減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃(発 明者に確認要)大気中保持1時間後の熱減磁率 SiO 2  含浸ボンド磁石で3.0%でありSiO 2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保 後、SiO 2 含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2 含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。こ はSiO 2  が磁粉の酸化による劣化を抑制しているた である。

 (7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形 試験片の曲げ強度はSiO 2 含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は100MPa以上の曲げ強度を有す 磁石成形体を作製することが可能であった

 尚、磁石の比抵抗については焼結型の希 類磁石に比べて、本発明の磁石は約10倍の を有したが、圧縮型の希土類ボンド磁石と 較して約1/10の値となった。しかし、この抵 値の減少はそれほど大きな問題ではない。 えば回転電機として使用する場合、渦電流 はやや増加するが使用を妨げるほどの問題 はならない。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は20~30%、曲げ強度は2~3倍 更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させ こと及び磁石の高信頼化が可能であること 分かった。

[永久磁石の実施例4]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。結着剤であるS iO 2  前駆体には以下の3つの溶液を用いた。

 1)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O)-CH 3  を25ml,水5.9ml,脱水メチルアルコール75ml,ジラ ウリン酸ジブチル錫0.05ml を混合し、2昼夜25 の温度で放置した。

 2)C 2 H 5 O-(Si(C 2 H 5 O) 2 -O)-CH 3  を25ml,水4.3ml,脱水エチルアルコール75ml,ジラ ウリン酸ジブチル錫0.05ml を混合し、3昼夜25 の温度で放置した。

 3)n-C 3 H 7 O-(Si(C 2 H 5 O) 2 -O)-n-C 3 H 7  を25ml,水3.4ml,脱水iso-プロピルアルコール75ml ,ジラウリン酸ジブチル錫0.05ml を混合し、6 夜25℃の温度で放置した。

 1)~3)のSiO 2  前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計 用いて30℃の温度で測定した。

 (1)上記Nd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm ,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし 縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製 た。

 (2)(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向 水平方向になるようにバット内に配置し、 着剤である1)~3)のSiO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2  前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測 定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施 した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧 縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試 により曲げ強度を評価した。

 (5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形 試験片に対する磁気特性については、残留磁 束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較 して、20~30%向上可能であり、20℃で測定した 磁曲線は、SiO 2 含浸前とSiO 2 含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及び 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大気 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0%でありSiO 2 含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間保 後、SiO 2  含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2  含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。 れはSiO 2  が磁粉の酸化による劣化を抑制しているた である。

 (7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形 試験片の曲げ強度はSiO 2 含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は80MPa以上の曲げ強度を有す 磁石成形体を作製することが可能であった

 尚、磁石の比抵抗については焼結型の希 類磁石に比べて、本発明の磁石は約10倍の を有したが、圧縮型の希土類ボンド磁石と 較して約1/10の値となった。渦電流損の発生 やや増加するが、この程度の抵抗値の減少 問題ではない。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は20~30%、曲げ強度は約2倍 、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させ ること及び磁石の高信頼化が可能であること が分かった。

[永久磁石の実施例5]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。結着剤であるS iO 2  前駆体には以下の3つの溶液を用いた。

 1)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水9.6ml,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、1昼夜25℃の温度で放置した。

 2)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水9.6ml,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

 3)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を100ml,水9.6ml,脱水メチルア ルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、4昼夜25℃の温度で放置した。

 1)~3)のSiO 2  前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計 用いて30℃の温度で測定した。

 (1)上記Nd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm ,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし 縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製 た。

 (2)(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧方向 水平方向になるようにバット内に配置し、 着剤である1)~3)のSiO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2  前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)(2)で使用した圧縮成形試験片は配置され SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対して、四探針法で比抵抗を測 定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を実施 した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mmの圧 縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲げ試 により曲げ強度を評価した。

 上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対する磁気特性については、残 留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と 比較して、20~30%向上可能であり、20℃で測定 た減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間 持後、SiO 2  含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2  含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。 れはSiO 2 が磁粉の酸化による劣化を抑制しているため である。

 上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片の曲げ強度はSiO 2  含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は130MPa以上の曲げ強度を有す 磁石成形体を作製することが可能であった

 尚、磁石の比抵抗については焼結型の希 類磁石に比べて、本発明の磁石は約10倍の を有したが、圧縮型の希土類ボンド磁石と 較して約1/10の値となった。渦電流損の発生 やや増加するが、この程度の抵抗値の減少 問題ではない。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は20~30%、曲げ強度は3~4倍 更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させ こと及び磁石の高信頼化が可能であること 分かった。

[永久磁石の実施例6]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。希土類フッ化 又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を 成する処理液は以下のようにして作製した

 (1)水に溶解度の高い塩、例えばLaの場合 酢酸La、または硝酸La4gを100mlの水に導入し、 振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に 溶解した。

 (2)10%に希釈したフッ化水素酸をLaF 3  が生成する化学反応の当量分を徐々に加え 。

 (3)ゲル状沈殿のLaF 3 が生成した溶液に対して超音波攪拌器を用い て1時間以上攪拌した。

 (4)4000~6000r.p.m の回転数で遠心分離した後 、上澄み液を取り除きほぼ同量のメタノール を加えた。

 (5)ゲル状のLaF 3  を含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸 液にした後、超音波攪拌器を用いて1時間以 上攪拌した。

 (6)(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸 オン等の陰イオンが検出されなくなるまで 3~10回繰り返した。

 (7)最終的にLaF 3  の場合、ほぼ透明なゾル状のLaF 3  となった。処理液としてはLaF 3 が1g/5mlのメタノール溶液を用いた。

 その他の使用した希土類フッ化物又はア カリ土類金属フッ化物コート膜を形成処理 について、表3に纏めた。

 希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ 物コート膜を上記Nd 2 Fe 14 B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で 実施した。

 NdF 3 コート膜形成プロセスの場合:NdF 3 濃度1g/10ml半透明ゾル状溶液
 (1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対し 15mlのNdF 3  コート膜形成処理液を添加し、希土類磁石 磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合 た。

 (2)(1)のNdF 3  コート膜形成処理を施した希土類磁石用磁 を2~5torrの減圧下で溶媒のメタノール除去を 行った。

 (3)(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石用磁 を石英製ボートに移し、1×10 -5 torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理 行った。

 (4)(3)で熱処理した磁粉に対して、蓋付きマ ール製(理研電子社製)容器に移したのち、1 10 -5 torrの減圧下で、700℃,30分の熱処理を行った

 結着剤であるSiO 2 前駆体にはCH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3 (mは3~5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用 た。

 (1)上記希土類フッ化物又はアルカリ土類金 フッ化物コート膜を施したNd 2 Fe 14 B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2  の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10 mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし て縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作 した。

 (2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧 向が水平方向になるようにバット内に配置 、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるS iO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2  前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置 れ、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前前駆体溶液内から取り出した。

 (5)上記(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対する磁気特性については、残 留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と 比較して、20~30%向上可能であり、20℃で測定 た減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間 持後、SiO 2  含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2  含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。 れはSiO 2  が磁粉の酸化による劣化を抑制しているた である。

 本実施例の希土類フッ化物又はアルカリ土 金属フッ化物コート膜を形成した希土類磁 を用いた磁石は後述する絶縁膜として機能 るだけでなく、TbF 3 とDyF 3 を、又効果は小さいがPrF 3  をコート膜形成に用いた場合、磁石の保磁 向上に寄与可能であることが分かった。

 上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片の曲げ強度はSiO 2  含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は50MPa以上の曲げ強度を有す 磁石成形体を作製することが可能であった

 更に、磁石の比抵抗についても焼結型の 土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍 上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石 比較しても同等の値となった。従って渦電 損が小さく、良好な特性を有する。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は約20%、曲げ強度は同等~ 3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少 せること及び磁石の高信頼化が可能、その TbF 3 とDyF 3 とをコート膜形成に用いた時は磁気特性大幅 向上が可能であることが分った。

[永久磁石の実施例7]
 本実施例において、〔永久磁石の実施例1〕 と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用 た。希土類フッ化物又はアルカリ土類金属 ッ化物コート膜を上記Nd 2 Fe 14 B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で 実施した。

 PrF 3 コート膜形成プロセスの場合:PrF 3 濃度0.1g/10ml 半透明ゾル状溶液を用いた。

 (1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対し 1~30mlのPrF 3 コート膜形成処理液を添加し、希土類磁石用 磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合し た。

 (2)上記(1)のPrF 3 コート膜形成処理を施した希土類磁石用磁粉 を2~5torrの減圧下で溶媒のメタノール除去を った。

 (3)上記(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石 磁粉を石英製ボートに移し、1×10 -5 torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理 行った。

 (4)上記(3)で熱処理した磁粉に対して、蓋付 マコール製(理研電子社製)容器に移したの 、1×10 -5 torrの減圧下で、700℃,30分の熱処理を行った

 結着剤であるSiO 2  前駆体にはCH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3 (mは3~5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用 た。

 (1)上記PrF 3 コート膜を施したNd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2  の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10 mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし て縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作 した。

 (2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧 向が水平方向になるようにバット内に配置 、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるS iO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2  前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置 れ、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)上記(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対する磁気特性については、残 留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と 比較して、20~30%向上可能であり、20℃で測定 た減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間 持後、SiO 2  含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2  含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。 れはSiO 2  が磁粉の酸化による劣化を抑制しているた である。

 本実施例のPrF 3  コート膜を形成した希土類磁粉を用いた磁 は後述する絶縁膜として機能するだけでな 、効果は小さいが磁石の保磁力向上に寄与 能であることが分かった。

 上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片の曲げ強度はSiO 2  含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は100MPa以上の曲げ強度を有す 磁石成形体を作製することが可能であった

 更に、磁石の比抵抗についても焼結型の 土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍 上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石 比較しても同等の値となった。従って渦電 損の発生は小さく、良好な特性を有する。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は約20%、曲げ強度は2~3倍 更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させ こと及び磁石の高信頼化が可能、その上PrF 3  をコート膜形成に用いた時は磁気特性向上 可能であることが分かった。PrF 3  をコート膜形成した希土類磁粉を用いた磁 は磁気特性,曲げ強度,信頼性が全体的に向 しておりバランスの取れた磁石であること 分かった。

[永久磁石の実施例8]
 本実施例において、〔永久磁石の実施例1〕 と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉を用 た。希土類フッ化物又はアルカリ土類金属 ッ化物コート膜を上記Nd 2 Fe 14 B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で 実施した。

 DyF 3 コート膜形成プロセスの場合:DyF 3 濃度2~0.01g/10ml 半透明ゾル状溶液を用いた。

 (1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対し 10mlのDyF 3  コート膜形成処理液を添加し、希土類磁石 磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合 た。

 (2)上記(1)のDyF 3 コート膜形成処理を施した希土類磁石用磁粉 を2~5torrの減圧下で溶媒のメタノール除去を った。

 (3)上記(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石 磁粉を石英製ボートに移し、1×10 -5 torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理 行った。

 (4)上記(3)で熱処理した磁粉に対して、蓋付 マコール製(理研電子社製)容器に移したの 、1×10 -5 torrの減圧下で、700℃,30分の熱処理を行った

 結着剤であるSiO 2 前駆体にはCH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3 (mは3~5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用 た。

 (1)上記DyF 3 コート膜を施したNd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2  の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10 mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし て縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作 した。

 (2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧 向が水平方向になるようにバット内に配置 、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるS iO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO  2 前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置 れ、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)上記(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対する磁気特性については、残 留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と 比較して、20~30%向上可能であり、20℃で測定 た減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間 持後、SiO 2  含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2  含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。 れはSiO 2  が磁粉の酸化による劣化を抑制しているた である。

 本実施例のDyF 3 コート膜を形成した希土類磁粉を用いた磁石 は後述する絶縁膜として機能するだけでなく 、磁石の保磁力向上に寄与可能であることが 分かった。

 上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片の曲げ強度はSiO 2  含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は40MPa以上の曲げ強度を有す 磁石成形体を作製することが可能であった

 更に、磁石の比抵抗についても焼結型の 土類磁石に比べて、本磁石は約100倍以上の を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石と比較 ても同等の値となった。従って、渦電流損 小さく、良好な特性を有する。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は約20%、曲げ強度は同等~ 3倍、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少 せること及び磁石の高信頼化が可能、その TbF 3 とDyF 3 とをコート膜形成に用いた時は磁気特性大幅 向上が可能であることが分かった。

[永久磁石の実施例9]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。リン酸塩化成 理膜を形成する処理液は以下のようにして 製した。

 水1lにリン酸20g,ほう酸4g,金属酸化物とし MgO,ZnO,CdO,CaOまたはBaOの4gを溶解し、界面活 剤としてEF-104(トーケムプロダクツ製),EF-122( ーケムプロダクツ製),EF-132(トーケムプロダ ツ製)を0.1wt% になるように加えた。防錆剤 してはベンゾトリアゾール(BT),イミダゾー (IZ),ベンゾイミダゾール(BI),チオ尿素(TU),2-メ ルカプトベンゾイミダゾール(MI),オクチルア ン(OA),トリエタノールアミン(TA),o-トルイジ (TL),インドール(ID),2-メチルピロール(MP)を0.0 4mol/lになるように加えた。

 リン酸塩化成処理膜を上記Nd 2 Fe 14 B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で 実施した。使用したリン酸塩化成処理液の組 成を表4に示す。

 (1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対 て5mlのリン酸塩化成処理液を添加し、希土 磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるま 混合した。

 (2)(1)のリン酸塩化成膜形成処理を施した 土類磁石用磁粉を180℃,30分、2~5torrの減圧下 で熱処理を行った。

 結着剤であるSiO 2 前駆体にはCH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3 (mは3~5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用 た。

 (1)上記リン酸塩化成膜形成処理を施したNd 2 Fe 14 B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2  の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10 mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし て縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作 した。

 (2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧 向が水平方向になるようにバット内に配置 、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるS iO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2  前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置 れ、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)上記(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 (5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形 試験片に対する磁気特性については、残留磁 束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較 して、20~30%向上可能であり、20℃で測定した 磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間 持後、SiO 2  含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2  含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。 れはSiO 2  が磁粉の酸化による劣化を抑制しているた である。

 上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片の曲げ強度はSiO 2  含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は100MPa以上の曲げ強度を有す 磁石成形体を作製することが可能であった

 更に、磁石の比抵抗についても焼結型の 土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍 上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石 比較しても同等の値となった。従って、渦 流損が小さく、良好な特性を有する。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は20~30%、曲げ強度は約3倍 、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させ ること及び磁石の高信頼化が可能であること が分かった。

[永久磁石の実施例10]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。リン酸塩化成 理膜を形成する処理液は以下のようにして 製した。水1lにリン酸20g,ほう酸4g,金属酸化 としてMgO4gを溶解し、界面活性剤としてEF-10 4(トーケムプロダクツ製)を0.1wt% になるよう 加えた。防錆剤としてはベンゾトリアゾー (BT)を用い、その濃度として0.01~0.5mol/lにな ように加えた。リン酸塩化成処理膜を上記Nd 2 Fe 14 B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で 実施した。

 (1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対 て5mlのリン酸塩化成処理液を添加し、希土 磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるま 混合した。

 (2)上記(1)のリン酸塩化成膜形成処理を施 た希土類磁石用磁粉を180℃,30分,2~5torrの減 下で熱処理を行った。

 結着剤であるSiO 2 前駆体にはCH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3 (mは3~5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用 た。

 (1)上記リン酸塩化成膜形成処理を施したNd 2 Fe 14 B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2  の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10 mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし て縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作 した。

 (2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧 向が水平方向になるようにバット内に配置 、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるS iO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2  前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置 れ、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)上記(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対する磁気特性については、残 留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と 比較して、20~30%向上可能であり、20℃で測定 た減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間 持後、SiO 2  含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2  含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。 れはSiO 2  が磁粉の酸化による劣化を抑制しているた である。上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ 2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度はSiO 2  含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は100MPa以上の曲げ強度を有す 磁石成形体を作製することが可能であった 更に、磁石の比抵抗についても焼結型の希 類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍以 の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石と 較しても同等の値となった。従って、渦電 損が小さく、良好な特性を有する。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は20~30%、曲げ強度は約3倍 、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させ ること及び磁石の高信頼化が可能であること が分かった。

[永久磁石の実施例11]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 〔実施例1〕と同様のNdFeB系の薄帯を粉砕し 磁性粉を用いた。リン酸塩化成処理膜を形 する処理液は以下のようにして作製した。 1lにリン酸20g,ほう酸4g,金属酸化物としてMgO4 gを溶解し、防錆剤としてベンゾトリアゾー (BT)を0.04mol/lになるように加えた。界面活性 としてEF-104(トーケムプロダクツ製)を用い その濃度として0.01 ~1wt%になるように加えた 。リン酸塩化成処理膜を上記Nd 2 Fe 14 B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で 実施した。

 (1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対 てのリン酸塩化成処理液5mlを添加し、希土 磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるま 混合した。

 (2)(1)のリン酸塩化成膜形成処理を施した 土類磁石用磁粉を180℃,30分,2~5torrの減圧下 熱処理を行った。

 結着剤であるSiO 2 前駆体にはCH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチル ルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 混合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用 いた。

 (1)上記リン酸塩化成膜形成処理を施したNd 2 Fe 14 B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm ,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし 縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製 た。

 (2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧 向が水平方向になるようにバット内に配置 、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるS iO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2 前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置 れ、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)上記圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)上記(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 (5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形 試験片に対する磁気特性については、残留磁 束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と比較 して、20~30%向上可能であり、20℃で測定した 磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間 持後、SiO 2  含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2  含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。 れはSiO 2  が磁粉の酸化による劣化を抑制しているた である。

 上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片の曲げ強度はSiO 2  含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は90MPa以上の曲げ強度を有す 磁石成形体を作製することが可能であった

 更に、磁石の比抵抗についても焼結型の 土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍 上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石 比較しても同等の値となった。従って、渦 流損が小さく、良好な特性を有する。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は20~30%、曲げ強度は約3倍 、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させ ること及び磁石の高信頼化が可能であること が分かった。

[永久磁石の実施例12]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。

 リン酸塩化成処理膜を形成する処理液は以 のようにして作製した。水1lにリン酸20g,ほ 酸4g、金属酸化物としてMgO4gを溶解し、界面 活性剤としてEF-104(トーケムプロダクツ製)を0 .1wt%、防錆剤としてベンゾトリアゾール(BT)を 0.04mol/lになるように加えた。リン酸塩化成処 理膜を上記Nd 2 Fe 14 B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で 実施した。

 (1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対 て2.5~30ml のリン酸塩化成処理液を添加し、 希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認でき るまで混合した。

 (2)(1)のリン酸塩化成膜形成処理を施した 土類磁石用磁粉を180℃,30分,2~5torrの減圧下 熱処理を行った。

 結着剤であるSiO 2  前駆体にはCH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水4.8ml ,脱水メチル ルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 混合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用 いた。

 (1)上記リン酸塩化成膜形成処理を施したNd 2 Fe 14 B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2  の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10 mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし て縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作 した。

 (2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧 向が水平方向になるようにバット内に配置 、2昼夜25℃の温度で放置した結着剤であるS iO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2 前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置 れ、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)上記(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対する磁気特性については、残 留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と 比較して、20~30%向上可能であり、20℃で測定 た減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に、不可逆熱減磁率も200℃大気中1時間 持後、SiO 2  含浸熱処理後で1%以下でありSiO 2  含浸無しの場合の3%近い値よりも小さい。 れはSiO 2  が磁粉の酸化による劣化を抑制しているた である。

 上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片の曲げ強度はSiO 2  含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は100MPa以上の曲げ強度を有す 磁石成形体を作製することが可能であった

 更に、磁石の比抵抗についても焼結型の 土類磁石に比べて、本発明の磁石は約100倍 上の値を有し、圧縮型の希土類ボンド磁石 比較しても同等の値となった。従って、渦 流損が小さく、良好な特性を有する。

 本実施例の結果から、本発明の低粘度のSiO 2  前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボン 磁石は通常の樹脂含有希土類ボンド磁石と 較して、磁気特性は20~30%、曲げ強度は約3倍 、更に不可逆熱減磁率は半分以下に減少させ ること及び磁石の高信頼化が可能であること が分かった。

[永久磁石の比較例1]
 本比較例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。

 (1)上記希土類磁石用磁粉と100μm以下のサ ズの固形エポキシ樹脂(ソマール社製EPX6136) 体積で0から20%になるようにVミキサーを用 て混合した。

 (2)前記(1)で作製した希土類磁石用磁粉と樹 とのコンパウンドを金型中に装填し、不活 ガス雰囲気中で、成形圧16t/cm 2  の条件で80℃の加熱圧縮成形した。作製し 磁石は磁気特性測定用として縦10mm,横10mm,厚 5mmのサイズを、また、強度測定用として縦1 5mm,横10mm,厚さ2mmのサイズである。

 (3)前記(2)で作製したボンド磁石の樹脂硬 を窒素ガス中で170℃,1時間の条件で行った

 (4)前記(3)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (5)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (6)前記(3)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 前記(4)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対する磁気特性を調べた。その 結果、磁石中のエポキシ樹脂含有率が高くな るに従い、磁石の残留磁束密度は減少してい った。SiO 2 結着剤を含浸して作製したボンド磁石(実施 1~5)と比較して、磁石の曲げ強度が50MPa以上 磁石で比較すると、エポキシ樹脂含有ボン 磁石は磁束密度が20~30%低下していた。また 200℃大気中保持1時間後の熱減磁率はエポキ 樹脂含有ボンド磁石が5%とSiO 2  含浸ボンド磁石の3.0% と比較して大きい。 に200℃1時間後に室温に戻して再着磁した後 の不可逆熱減磁率は含浸処理を施した場合1% 満であるのに対し[永久磁石の実施例1~5]、 ポキシ樹脂含有ボンド磁石[永久磁石の比較 1]場合3%近い値と大きかった。不可逆熱減磁 の抑制だけでなく、PCT試験や塩水噴霧試験で もエポキシ樹脂含有ボンド磁石はSiO 2  含浸ボンド磁石と比較して低いレベルであ た。

 更に前記(4)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片について大気中で225℃に1時 保持し冷却後20℃で減磁曲線を測定した。磁 界印加方向は10mm方向であり、最初に+20kOeの 界で着磁後±1kOeから±10kOeの磁界でプラスマ ナス交互に磁界を印加して減磁曲線を測定 た。その結果を図4に示す。図4では、[永久 石の実施例1]の2)の条件でSiO 2  の含浸処理した磁石と、本比較例に示すよ にエポキシ樹脂をバインダーとして15vol%  有した圧縮成形ボンド磁石との、減磁曲線 比較している。図4の横軸は印加した磁界、 軸は磁束密度を示す。SiO 2  結着剤を含浸処理した磁石は磁界が-8kOeよ も負側に大きな磁界が印加されると磁束が 激に低下する。圧縮成形ボンド磁石は含浸 理した磁石よりもさらに磁界の絶対値が小 い値で磁束が急激に低下し、-5kOeよりも負側 の磁界で磁束の低下が著しい。-10kOeの磁界印 加後の残留磁束密度は、含浸処理磁石の場合 0.44 、圧縮成形ボンド磁石では0.11T であり 浸処理磁石の残留磁束密度は圧縮成形ボン 磁石の値の4倍となっている。これは圧縮成 ボンド磁石が225℃で加熱中に各NdFeB粉の表 やNdFeB粉のクラック表面が酸化することで各 NdFeB粉を構成しているNdFeB結晶の磁気異方性 低下し、その結果保磁力が減少し負の磁界 加により磁化が反転し易くなったためと考 られる。これに対し、含浸処理磁石ではNdFeB 粉及びクラック表面がSiO 2  膜で被覆されているため大気中加熱時の酸 が防止された結果、保磁力の減少が少ない のと考えられる。

 前記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片の曲げ強度は結着剤のエポキシ樹 脂含有率を増加させると、曲げ強度は増加し 、体積含有率として20vol% で磁石の曲げ強度 48MPaとなり、ボンド磁石として必要な曲げ 度を有する。エポキシ樹脂含有ボンド磁石 SiO 2  含浸ボンド磁石と比較して、比抵抗は同等 レベルであった。

 本比較例の結果から、エポキシ樹脂含有希 類ボンド磁石は本発明の低粘度のSiO 2 前駆体を樹脂なしで冷間成形法で作製した希 土類磁石成形体中へ含浸させた希土類ボンド 磁石と比較して、磁気特性において20~30%低く 、不可逆熱減磁率並びに磁石の信頼性が低い ことが判明した。

 尚、本比較例において、樹脂の体積分率( 樹脂と希土類磁石用磁粉における樹脂の体積 分率を示す。)を変化させたエポキシ樹脂含 ボンド磁石の評価結果を表5に纏める。

[永久磁石の比較例2]
 本比較例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。

 結着剤であるSiO 2 前駆体には、CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3 (mは3~5、平均は4)を1ml,水0.19ml ,脱水メチルア コール99ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した溶液を用 た。

 上記SiO 2  前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計 用いて30℃の温度で測定した。

 (1)上記Nd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm ,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし 縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製 た。

 (2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧 向が水平方向になるようにバット内に配置 、結着剤である上記SiO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2  前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置 れ、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)上記(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対する磁気特性については、残 留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と 比較して、20~30%向上可能であり、20℃で測定 た減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に200℃1時間後に室温に戻して再着磁し 後の不可逆熱減磁率は含浸処理を施した場 1%未満であるのに対し、エポキシ系ボンド磁 石の場合3%近い値であった[永久磁石の比較例 1]。

 しかしながら、上記(7)で作製した縦15mm,横10 mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度は低い レベルの値となり、本比較例のSiO 2  含浸ボンド磁石はエポキシ樹脂含有ボンド 石と比較して、1/10程度の値しかえられなか った。これは本比較例における結着剤中のSiO 2  前駆体の含有量が1vol% と実施例おける結着 剤中のSiO 2  前駆体の含有量と比べて、1~2桁少ないため 硬化後のSiO 2  単体の曲げ強度が大きくても、磁石中の含 量が少なすぎることが影響している。

 結論として、本比較例の磁石は磁石強度 低い短所があり、使用対象によっては上記 げ強度を考慮することが必要である。

 尚、本比較例、及び後述する[永久磁石の 比較例3]の1),2),[永久磁石の比較例4]の各種特 については、表6に纏めている。

[永久磁石の比較例3]
 本比較例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。

 結着剤であるSiO 2 前駆体には以下の2つの溶液を用いた。

 1)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水0.19ml,脱水メチルア ルコール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05mlを 合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

 2)CH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水24ml,脱水エチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05ml を 合し、2昼夜25℃の温度で放置した。

 1),2)のSiO 2  前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計 用いて30℃の温度で測定した。

 (1)上記Nd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm ,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし 縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製 た。

 (2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧 向が水平方向になるようにバット内に配置 、結着剤である1),2)のSiO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2  前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置 れ、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)上記(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 [永久磁石の比較例3]の1)について、上記(5) 作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形試験 に対する磁気特性については、残留磁束密 が樹脂含有ボンド磁石[永久磁石の比較例1] 比較して、20~30%向上可能であり、20℃で測 した減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率はSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% でありSiO 2  含浸無しの場合の熱減磁率(5%)よりも小さい 。更に200℃1時間後に室温に戻して再着磁し 後の不可逆熱減磁率は含浸処理を施した場 1%未満であるのに対し、エポキシ系ボンド磁 石[永久磁石の比較例1]場合3%近い値であった

 しかしながら、上記(7)で作製した縦15mm,横10 mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度は低い レベルの値となり、本比較例のSiO 2  含浸ボンド磁石はエポキシ樹脂含有ボンド 石と比較して、1/6程度の値しかえられなか た。これは本比較例における結着剤中の水 添加量が少ないため、化学反応式1に示した SiO 2  前駆体材料中のメトキシ基の加水分解が進 しないためシラノール基が生成せず、SiO 2  前駆体の熱硬化反応におけるシラノール基 の脱水縮合反応が生じないため、熱硬化後 SiO 2  の生成量が少なくSiO 2  含浸ボンド磁石の曲げ強度が低かったのが 因である。

 結論として、[永久磁石の比較例3]の1)の 石は磁石強度が低いため、使用対象におけ 磁石強度の関係を十分に考慮して使用する とが望ましい。

 [永久磁石の比較例3]の2)について、(7)で作 した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片の げ強度はSiO 2  含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は170MPaの曲げ強度を有する磁 成形体を作製することが可能であった。

 (5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形 試験片に対する磁気特性については、残留磁 束密度が樹脂含有ボンド磁石[永久磁石の比 例1]と比較して、20%向上可能であり、20℃で 定した減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。しかしながら 200℃大気中保持1時間後の熱減磁率は本比較 例では4.0% と実施例でのSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% と比較して大きい値 なった。更に200℃1時間後に室温に戻して再 着磁した後の不可逆熱減磁率は実施例でのSiO 2  含浸処理を施した場合1%未満であるのに対 、本比較例では2%近い値であった。これはSiO 2  前駆体溶液が磁石表面から1mm強程度までし 磁石中に浸透しなかったことが影響してい ことが分かった。そのため、磁石における 央の部分の磁粉が大気中加熱時の酸化劣化 引き起こし、本比較例の磁石が実施例の磁 より不可逆熱減磁率が大きくなった原因で る。

 この結果から、本比較例のボンド磁石は 来のエポキシ系ボンド磁石に対して、遜色 ないものの、長期信頼性に関しては従来の ポキシ系ボンド磁石より低くなる可能性が る。使用対象における酸化劣化を十分に考 して使用することが望ましい。

[永久磁石の比較例4]
 本比較例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。結着剤であるS iO 2 前駆体にはCH 3 O-(Si(CH 3 O) 2 -O) m -CH 3  (mは3~5、平均は4)を25ml,水9.6ml,脱水メチルア コール75ml,ジラウリン酸ジブチル錫0.05ml を 混合し、6昼夜25℃の温度で放置した溶液を用 いた。上記SiO 2  前駆体溶液の粘度はオストワルドの粘度計 用いて30℃の温度で測定した。

 (1)上記Nd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm ,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし 縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製 た。

 (2)上記(1)で作製した圧縮成形試験片を加圧 向が水平方向になるようにバット内に配置 、結着剤である上記SiO 2  前駆体溶液をバット中に液面が垂直方向に1 mm/min になるように注入した。最終的に圧縮 形試験片の上面から5mm上方になるまでSiO 2 前駆体溶液をバット中に注入した。

 (3)上記(2)で使用した圧縮成形試験片は配置 れ、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットを真空容器 にセットし、80Pa程度まで徐々に排気した。 圧縮成形試験片表面からの気泡発生が少なく なるまで放置した。

 (4)圧縮成形試験片は配置され、SiO 2  前駆体溶液が満たされたバットをセットし 真空容器の内圧を徐々に大気圧に戻し、圧 成形試験片をSiO 2  前駆体溶液内から取り出した。

 (5)上記(4)で作製したSiO 2  前駆体溶液で含浸された圧縮成形試験片を 空乾燥炉内にセットし、1~3Paの圧力,150℃の 件で圧縮成形試験片に対して真空熱処理を した。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 上記(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮 成形試験片の曲げ強度はSiO 2  含浸前で2MPa以下であるが、SiO 2  含浸熱処理後は190MPaの曲げ強度を有する磁 成形体を作製することが可能であった。

 上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対する磁気特性については、残 留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と 比較して、20%向上可能であり、20℃で測定し 減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。しかしながら 200℃大気中保持1時間後の熱減磁率は本比較 例では3.6% と実施例でのSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% と比較して大きい値 なった。更に200℃1時間後に室温に戻して再 着磁した後の不可逆熱減磁率は実施例でのSiO 2  含浸処理を施した場合1%未満であるのに対 、本比較例では1.6% の値となった。これはSi O 2  前駆体溶液が磁石表面から2mm弱程度までし 磁石中に浸透しなかったことが影響してい ことが分かった。そのため、磁石における 央の部分の磁粉が大気中加熱時の酸化劣化 引き起こし、本比較例の磁石が実施例の磁 より不可逆熱減磁率が大きくなった原因で る。

 この結果から、本比較例のボンド磁石は 来のエポキシ系ボンド磁石に対して、遜色 ないものの、長期信頼性に関しては従来の ポキシ系ボンド磁石より低くなる可能性が る。この点を十分考慮して使用することが ましい。

[永久磁石の比較例5]
 本比較例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。また希土類フ 化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート を形成する処理液は以下のようにして作製 た。

 (1)水に溶解度の高い塩、例えばNdの場合 酢酸Nd、または硝酸Nd4gを100mlの水に導入し、 振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に 溶解した。

 (2)10%に希釈したフッ化水素酸をNdF 3  が生成する化学反応の当量分を徐々に加え 。

 (3)ゲル状沈殿のNdF 3 が生成した溶液に対して超音波攪拌器を用い て1時間以上攪拌した。

 (4)4000~6000r.p.m の回転数で遠心分離した後 、上澄み液を取り除きほぼ同量のメタノール を加えた。

 (5)ゲル状のNdF 3  を含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸 液にした後、超音波攪拌器を用いて1時間以 上攪拌した。

 (6)上記(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は 酸イオン等の陰イオンが検出されなくなる で、3~10回繰り返した。

 (7)最終的にNdF 3 の場合、ほぼ透明なゾル状のNdF 3 となった。処理液としてはNdF 3  が1g/5mlのメタノール溶液を用いた。

 希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ 物コート膜を上記Nd 2 Fe 14 B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で 実施した。

 NdF 3 コート膜形成プロセスの場合:NdF 3  濃度1g/10ml半透明ゾル状溶液
 (1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対し 15mlのNdF 3  コート膜形成処理液を添加し、希土類磁石 磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合 た。

 (2)上記(1)のNdF 3 コート膜形成処理を施した希土類磁石用磁粉 を2~5torrの減圧下で溶媒のメタノール除去を った。

 (3)上記(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石 磁粉を石英製ボートに移し、1×10 -5 torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理 行った。

 (4)上記(3)で熱処理した磁粉に対して、蓋付 マコール製(理研電子社製)容器に移したの 、1×10 -5 torrの減圧下で、700℃,30分の熱処理を行った

 (5)上記希土類フッ化物又はアルカリ土類金 フッ化物コート膜を施したNd 2 Fe 14 Bの磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2 の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10mm ,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし 縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作製 た。

 (6)上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (7)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (8)上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 上記(5)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮 成形試験片に対する磁気特性については、残 留磁束密度が樹脂含有ボンド磁石(比較例1)と 比較して、約20%向上可能であり、20℃で測定 た減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率は本比較例では3.0 %と実施例でのSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0%と同等の値となった。 更に200℃1時間後に室温に戻して再着磁した の不可逆熱減磁率は実施例でのSiO 2  含浸処理を施した場合1%未満であるのに対 、本比較例では1%未満の値となった。この結 果を表7に示す。

 しかしながら、(7)で作製した縦15mm,横10mm,厚 さ2mmの圧縮成形試験片の曲げ強度に関しては 本比較例ではSiO 2  含浸を実施していないため、2.9MPa という となり、エポキシ系ボンド磁石と比較して1/ 15程度の値となった。

 この結果から、本比較例のボンド磁石は 来のエポキシ系ボンド磁石に対して、機械 強度に乏しく、使用に当たってはこの点に 意が必要である。

[永久磁石の比較例6]
 本実施例において、希土類磁石用磁粉には 〔永久磁石の実施例1〕と同様のNdFeB系の薄 を粉砕した磁性粉を用いた。またリン酸塩 成処理膜を形成する処理液は以下のように て作製した。

 水1lにリン酸20g,ほう酸4g、金属酸化物と てMgOの4gを溶解し、界面活性剤としてEF-104( ーケムプロダクツ製)を0.1wt%になるように加 た。防錆剤としてはベンゾトリアゾール(BT) を0.04mol/lになるように加えた。

 リン酸塩化成処理膜を上記Nd 2 Fe 14 B の磁粉に形成するプロセスは以下の方法で 実施した。使用したリン酸塩化成処理液の組 成を表4に示す。

 (1)NdFeB系の薄帯を粉砕した磁性粉100gに対 て5mlのリン酸塩化成処理液を添加し、希土 磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるま 混合した。

 (2)上記(1)のリン酸塩化成膜形成処理を施 た希土類磁石用磁粉を180℃,30分,2~5torrの減 下で熱処理を行った。

 (3)上記リン酸塩化成膜形成処理を施したNd 2 Fe 14 B の磁粉を成形型に充填し、16t/cm 2  の圧力で、磁気特性測定用として縦10mm,横10 mm,厚さ5mmの試験片を、また、強度測定用とし て縦15mm,横10mm,厚さ2mmの圧縮成形試験片を作 した。

 (4)上記(3)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの 圧縮成形試験片に対して、四探針法で比抵抗 を測定した。

 (5)更に上記比抵抗を調べた圧縮成形試験 に対して、30kOe以上のパルス磁界を印加し 。その圧縮成形試験片について磁気特性を べた。

 (6)上記(3)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 圧縮成形試験片を用いて、機械的曲げ試験を 実施した。曲げ試験には試料形状15mm×10mm×2mm の圧縮成形体を用い、支点間距離12mmの3点曲 試験により曲げ強度を評価した。

 (3)で作製した縦10mm,横10mm,厚さ5mmの圧縮成形 試験片に対する磁気特性については、残留磁 束密度が樹脂含有ボンド磁石[永久磁石の比 例1]と比較して、約25%向上可能であり、20℃ 測定した減磁曲線は、SiO 2  含浸前とSiO 2  含浸熱処理後の成形体とで残留磁束密度及 保磁力の値がほぼ一致した。また、200℃大 中保持1時間後の熱減磁率は本比較例では3.1 % と実施例でのSiO 2  含浸ボンド磁石で3.0% とほぼ同等の値とな た。更に200℃1時間後に室温に戻して再着磁 した後の不可逆熱減磁率は実施例でのSiO 2  含浸処理を施した場合1%未満であるのに対 、本比較例では1.2% の値となりやや増加し ものの大きな差はなかった(表7)。しかしな ら、上記(5)で作製した縦15mm,横10mm,厚さ2mmの 縮成形試験片の曲げ強度に関しては本比較 ではSiO 2  含浸を実施していないため、2.9MPa という となり、エポキシ系ボンド磁石と比較して1/ 20程度の値となった。

 この結果から、本比較例のボンド磁石は 来のエポキシ系ボンド磁石に対して、機械 強度に乏しく、使用に当たってはこの点を 分考慮して使用することが必要である。

 上述の実施例により本発明を説明したが 本発明の磁石は次の効果を備えている。

 1)磁石としての性能が従来の樹脂による 石に比べ優れている。

 2)さらに優れた特性に加え、磁石として 強度も強い。樹脂磁石では得られなかった 性に優れ、強度においても優れている磁石 得られる。

 上述1)と2)の効果は、上述のとおり、例え ば次のようにして達成される。

 樹脂のない状態で磁粉を圧縮成形した際 生じる、1μm以下の磁粉と磁粉の隙間に結着 剤溶液を浸透させる必要がある。そのために は結着剤溶液の粘度が100mPa・s以下であるこ と、磁粉と結着剤溶液の濡れ性が高いこと 必要である。更には、硬化後の結着剤と磁 との接着性が高く、結着剤の機械的強度が きく、結着剤が連続的に形成されているこ が重要である。

 結着剤溶液の粘度に関しては磁石のサイズ 依存するが圧縮成形体の厚さが5mm以下且つ 粉と磁粉の隙間が1μm程度の場合は結着剤溶 液の粘度が100mPa・s程度で磁粉と磁粉の隙間 結着剤溶液を圧縮成形体の中心部まで導入 ることが可能である。圧縮成形体の厚さが5m m以上且つ磁粉と磁粉の隙間が1μm程度になる 、例えば30mm程度の厚さを有する圧縮成形体 では、圧縮成形体の中心部まで結着剤溶液を 導入するには、結着剤溶液の粘度が100mPa・s 度では高く、結着剤溶液の粘度が20mPa・s以 、望ましくは10mPa・s以下が必要となる。こ は通常の樹脂と比較して1桁以上低い粘度で る。そのためにはSiO 2  の前駆体であるアルコキシシロキサンにお るアルコキシ基の加水分解量の制御とアル キシシロキサン分子量の抑制とが必要とな 。即ち、アルコキシ基が加水分解するとシ ノール基が生成されるが、そのシラノール は脱水縮合反応を起こし易く、脱水縮合反 はアルコキシシロキサンの高分子量化を意 するからである。また、更にシラノール基 士は水素結合を生じるため、SiO 2  の前駆体であるアルコキシシロキサン溶液 粘度は増大する。具体的にはアルコキシシ キサンの加水分解反応当量に対する水の添 量と加水分解反応条件を制御することであ 。結着剤溶液に用いる溶媒にはアルコキシ ロキサン中のアルコキシ基は解離反応が速 ことからアルコールを用いることが望まし 。溶媒のアルコールには沸点が水より低く 度の低いメタノール,エタノール,n-プロパノ ール,iso -プロパノールが好ましいが、結着 溶液の粘度が数時間で増加しなく、かつ、 点が水より低い溶媒であれば本発明に係る 石の製造に用いることができる。

 硬化後の結着剤と磁粉との接着性に関して 、本発明に用いている結着剤であるSiO 2 前駆体は熱処理後の生成物がSiO 2  であるため、磁粉表面が自然酸化膜で覆わ ていれば、磁粉表面とSiO 2 との接着性は大きく、SiO 2 を結着剤とした希土類磁石は磁石を破断した 際の表面は磁粉またはSiO 2  の凝集破壊面が殆どである。一方、結着剤 樹脂を用いた場合は樹脂と磁粉との接着性 磁粉表面とSiO 2  と比較すると一般的に小さい。そのため、 脂を用いたボンド磁石では、磁石を破断し 際の表面は樹脂と磁粉の界面または樹脂の 集破壊面の両方が存在する。従って、磁石 度を向上させるにはSiO 2 を結着剤として用いる方が樹脂を結着剤とし て用いるより有利である。

 磁石中の希土類磁粉の含有率が75vol% 以上 なる時は、圧縮成形するタイプの希土類磁 を用いることになるが、結着剤硬化後の希 類磁石の強度は、硬化後の結着剤の連続体 生成するかどうかが大きく影響する。それ 接着界面の破断強度より同じ面積の結着剤 独の破断強度の方が大きいからである。エ キシ樹脂等の樹脂を用いた場合、全固形分 の樹脂体積分率が15vol% 以下になると樹脂と 希土類磁粉との濡れ性が良好とはいえないた め、磁石内部での樹脂硬化後の樹脂は連続体 とはならず、島状に分布する。それに対して 、前述したようにSiO 2  前駆体は希土類磁粉との濡れ性が良好であ ため、磁粉表面にSiO 2  前駆体が連続的に拡がり、その連続的に拡 った状態で熱処理により硬化しSiO 2  になる。一方、硬化後の結着剤の材料とし の強度は曲げ強さで表すとSiO 2  は樹脂系と比較して1~3桁大きい。そのため 結着剤硬化後の希土類磁石の強度は結着剤 SiO 2  前駆体を用いた方が、樹脂を用いるより桁 いに高い。

 次に本発明に係る磁石により適した磁石の 料について説明する。希土類磁石粉は、強 性の主相および他成分からなる。希土類磁 がNd-Fe-B系磁石である場合には、主相はNd 2 Fe 14 B 相である。磁石特性の向上を考慮すると、 希土類磁石粉は、HDDR法や熱間塑性加工を用 て調製された磁石粉であることが好ましい 希土類磁石粉は、Nd-Fe-B系磁石の他に、Sm-Co 磁石などが挙げられる。得られる希土類磁 の磁石特性や、製造コストなどを考慮する 、Nd-Fe-B系磁石が好ましい。ただし、本発明 希土類磁石がNd-Fe-B系磁石に限定されるもの ではない。場合によっては、希土類磁石中に は2種以上の希土類磁石粉が混在していても い。即ち、異なる組成比を有するNd-Fe-B系磁 が2種以上含まれてもよく、Nd-Fe-B系磁石とSm -Co系磁石とが混在していてもよい。

 なお、本明細書で「Nd-Fe-B系磁石」とは、 NdやFeの一部が他の元素で置換されている形 も包含する概念である。Ndは、Dy,Tb等の他の 土類元素で置換されていてもよい。置換に これらの一方のみを用いてもよく、双方を いてもよい。置換は、原料合金の配合量を 整することによって行うことができる。こ ような置換によって、Nd-Fe-B系磁石の保磁力 向上を図れる。置換されるNdの量は、Ndに対 て、0.01atom%以上,50atom%以下であることが好ま しい。0.01atom%未満であると置換による効果が 不十分となる恐れがある。50atom%を越えると 残留磁束密度を高レベルで維持できなくな 恐れがあり、磁石を使用する用途に対応し 注意することが望ましい。

 一方、Feは、Co等の他の遷移金属で置換さ れていてもよい。このような置換によって、 Nd-Fe-B系磁石のキュリー温度(Tc)を上昇させ、 用温度範囲を拡大させることができる。置 されるFeの量は、Feに対して、0.01atom%以上,30 atom%以下であることが好ましい。0.01atom% 未 であると置換による効果が不十分となる恐 がある。30atom%を越えると、保磁力の低下が きくなる恐れがあり、磁石を使用する用途 対応して注意することが望ましい。

 希土類磁石における希土類磁石粉の平均 径は、1~500μmが好ましい。希土類磁石粉の 均粒径が1μm未満であると、磁粉の比表面積 大きく酸化劣化による影響が大きく、それ 用いた希土類磁石の磁石特性の低下が懸念 れる。したがってこの場合磁石の使用状態 考え、注意することが望ましい。

 一方、希土類磁石粉の平均粒径が500μmより きいと、製造時の圧力によって磁石粉が砕 、十分な電気抵抗を得ることが難しくなる 加えて、異方性希土類磁石粉を原料として 方性磁石を製造する場合には、500μmを越え サイズにわたり、希土類磁石粉における主 (Nd-Fe-B系磁石においては、Nd 2 Fe 14 B 相)の配向方向を揃えることは難しい。希 類磁石粉の粒径は、磁石の原料である希土 磁石粉の粒径を調節することによって、制 される。なお、希土類磁石粉の平均粒径はSE M像から算出することができる。

 本発明は等方性磁石粉から製造される等 性磁石,異方性磁石粉をランダム配向させた 等方性磁石、および異方性磁石粉を一定方向 に配向させた異方性磁石のいずれにも適用可 能である。高エネルギー積を有する磁石が必 要であれば、異方性磁石粉を原料とし、これ を磁場中配向させた異方性磁石が好適である 。

 希土類磁石粉は、製造する希土類磁石の組 に応じて、原料を配合して製造する。主相 Nd 2 Fe 14 B 相であるNd-Fe-B系磁石を製造する場合には Nd,Fe、およびBを所定量配合する。希土類磁 粉は、公知の手法を用いて製造したものを いてもよいし、市販品を用いても良い。こ ような希土類磁石粉は、多数の結晶粒の集 体となっている。希土類磁石粉を構成する 晶粒は、その平均粒径が単磁区臨界粒子径 下であると、保磁力を向上させる上で好適 ある。具体的には、結晶粒の平均粒径は、50 0nm以下であるとよい。なお、HDDR法とは、Nd-Fe -B系合金を水素化させることにより、主相で るNd 2 Fe 14 B化合物をNdH 3 ,α-Fe、およびFe 2 B の三相に分解させ、その後、強制的な脱水 素処理によって再びNd 2 Fe 14 B を生成させる手法である。UPSET法とは、超 冷法により作製したNd-Fe-B系合金を、粉砕, 成型後、熱間で塑性加工する手法である。

 磁石の使用用途として高調波を含む高周 磁界が磁石に対して印加される条件下では 希土類磁石粉体表面に無機絶縁膜を形成さ ていることが好ましい。これにより磁石内 の電気抵抗を大きくでき、渦電流を低減で 、磁石中の渦電流損を低減化できる。この うな無機絶縁膜としては、燐酸,硼酸,マグ シウムイオンを含有した燐酸塩化成処理液 用いて形成された膜が良く、膜厚の均一性 磁粉の磁気特性を確保するには界面活性剤 防錆剤が併用することが望ましい。特に界 活性剤としてはパーフルオロアルキル系界 活性剤、また、防錆剤としてはベンゾトリ ゾール系防錆剤であることが望ましい。

 更に、磁粉の絶縁性並びに磁気特性の向上 図ることを目的とした無機絶縁膜としては ッ化物コート膜が望ましい。該フッ化物コ ト膜を形成する処理液としては、希土類フ 化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアル ールを主成分とした溶媒に膨潤されており 且つ、該希土類フッ化物又はアルカリ土類 属フッ化物は平均粒径が10μm以下まで粉砕 れアルコールを主成分とした溶媒に分散さ たゾル状態である溶液が望ましい。磁気特 の向上には該フッ化物コート膜が表面に形 された磁粉を1×10 -4 Pa以下の雰囲気、且つ、600~700℃温度で熱処理 することが望ましい。

 次に第1実施例の作用効果について以下に説 明する。図1に記載の第1および第2の回転電機 200,202に使用される磁石が上記説明の構造を すこと、すなわち粉体の磁石材料と濡れ性 良い結着剤の前駆体を磁石に含浸させて磁 を製造することで、次の効果の少なくとも1 または複数の効果を有している。なお上記 明のとおり、粉体の磁石材料と濡れ性の良 前駆体の結着剤としてSiO 2  が最適である。

 効果1、上述の磁石の製造工程では、高温 に熱する焼結工程が存在しないので磁石の製 造が容易である。

 効果2、また俗にボンド磁石と称せられる エポキシ樹脂を使用した磁石ではないので、 磁石のエネルギー密度が大きく、安価で比較 的良好な特性の回転電機を得ることができる 。

 効果3、上記磁石は磁石材による成形がな された後、結着剤の硬化を比較的低い温度で 行うことが可能であり、成形された磁石材の 形状や寸法の変化が少ない。磁石の形状や寸 法に関し高い精度で製造できるので、モータ や発電機として高い特性が得られる。例えば 、寸法誤差によるコギングトルクを小さくし たり、複雑な磁石の形状によってギャップの 磁束密度の高調波を小さくすることができる 。磁石材単体でも、結着剤で結着した後の切 削加工が非常に少なく、又容易である。例え ば接着剤の食み出し部分を切削するなど、実 質的な磁石形状の形成加工では無いので、加 工が容易である。従来の焼結磁石では焼結の ために高温に熱するので、その後の温度が下 がる過程で収縮し、磁石材の形状が変化する 。従って従来の焼結磁石では、焼結工程の後 に磁石の形状や寸法を整えるための切削加工 に多くの時間を費やすことが必要であった。 上記実施の形態では、極めて少ない切削加工 で、場合によっては切削加工なしで必要な磁 石形状を得ることができる。

 効果4、上述の如く磁石材の成形形状がそ の後の結着剤の含浸や硬化の工程でほとんど 変化しないので、プレス加工等による磁石材 の曲線形状を高い精度で維持したままで磁石 を製造することが可能である。理論的には好 ましい磁石の厚みや形状が分かっていても、 量産可能な方法が無いために製品化が困難で あった磁石の曲線形状を実現でき、良好な特 性の回転電機を得ることが可能である。図5 示したような形状よりもさらに複雑な形状 可能である。

 効果5、焼結の希土類磁石は電気抵抗が小 さく渦電流による損失や発熱が大きい。上記 磁石は粉末磁石表面に絶縁皮膜を形成でき、 上記渦電流損や磁石の発熱を大幅に低減でき る。自動車用の回転電機、特にハイブリッド 車両に使用される回転電機は100度を超える環 境で使用される可能性があり、磁石内での渦 電流による発熱を低く抑えることが必要であ る。上述の実施の形態では電気抵抗を大きく できるので、磁石の発熱を低減できる。また その分回転電機の損失を低減でき、効率向上 となる。

[第2実施例]
 次に本発明の永久磁石回転電機を車載電動 クチュエータ装置用電機システムに適用し 第2実施例を示す。第2実施例では、車載電 アクチュエータ装置として電動パワーステ リング装置を例に挙げて説明する。

 まず、図12を用いて、本実施例の電動パ ーステアリング装置の概略構成について説 する。図12は、本実施例の電動パワーステア リング装置のシステム構成を示す。

 本実施例の電動パワーステアリング装置( 以下、「EPS」という)300は、ステアリングシ フト(コラム)の近傍に永久磁石回転電機401を 設け、ステアリングシャフトをアシストする コラム式EPSである。

 尚、EPSとしては、ラックアンドピニオン ヤの近傍にモータを設けてピニオンギヤを シストするピニオン式EPS、ラックアンドピ オンギヤの近傍にモータ設けてラックをア ストするラッククロス式EPSなどがある。本 施例の永久磁石回転電機401はそれらのEPSに 適用可能である。

 運転者がステアリングホイール(ハンドル )301を回転させると、その主操舵力(回転力)は 、ステアリングシャフト302を介してラックア ンドピニオンギヤ307に伝達される。また、ス テアリングシャフト302には、永久磁石回転電 機401から出力された補助操舵力(回転力)が減 機304を介して伝達される。

 ラックアンドピニオンギヤ307は、入力さ た主操舵力(回転力)と補助操舵力(回転力)と を直線の往復力に変換して左右のタイロッド に伝達する機構であり、ラックギヤが形成さ れたラックシャフト(いずれも図示省略)と、 ニオンギヤが形成されたピニオンシャフト( いずれも図示省略)から構成されている。ラ クギヤとピニオンギヤは動力変換部(図示省 )において噛み合っており、ここで、回転力 が直線の往復力に変換される。

 ラックアンドピニオンギヤ307において直 の往復力に変換された操舵力は、ラックシ フトに連結された左右のタイロッドに伝達 れ、左右のタイロッドら左右の車輪に伝達 れる。これにより、左右の車輪は舵取りさ る。

 ステアリングシャフト302にはトルクセン 303が設けられている。トルクセンサ303は、 テアリングホイール301に与えられた操舵力( 回転トルク)を検出するためのものである。

 永久磁石回転電機401は制御装置305によっ 制御されている。永久磁石回転電機401と制 装置305はEPSのアクチュエータ(電機システム )を構成している。EPSは車載用のバッテリ306 電源としている。制御装置305はインバータ 置であり、トルクセンサ303の出力に基づい 、永久磁石回転電機401の出力トルクが目標 ルクとなるように、バッテリ306から供給さ た直流電力を多相の交流電力に変換し、永 磁石回転電機401に供給している。

 本実施例では、コギングトルクが小さく 小型軽量,高効率の集中巻式の永久磁石回転 電機401をEPSに用いているので、操作性のよい 、コンパクトなEPSを提供できる。

 次に、図13を用いて、本実施例のEPSに用 られる電動アクチュエータ(電機システム)の 電気的な接続関係について説明する。

 図13は、本実施例のEPSに用いられる電動 クチュエータ(電機システム)の電気的な回路 構成を示す。

 制御装置305は、インバータ主回路(変換回 路)を構成するパワーモジュール416と、パワ モジュール416のパワー半導体スイッチング 子のオン・オフ動作(スイッチング動作)を制 御する制御モジュール422とを備えている。パ ワーモジュール416のインバータ主回路は、6 のパワー半導体スイッチング素子をブリッ 接続して構成した3相ブリッジ回路から構成 れている。パワーモジュール416のインバー 主回路の入力側(直流側)にはバッテリ306が 出力側(交流側)には永久磁石回転電機401の電 機子巻線238がそれぞれ電気的に接続されてい る。パワーモジュール316の6つのパワー半導 スイッチング素子のそれぞれのスイッチン を制御モジュール422で制御することにより バッテリ306から出力された直流電力は、パ ーモジュール416のインバータ主回路におい 3相交流電力に変換され、永久磁石回転電機1 の電機子巻線238に供給される。

 制御モジュール422は、パワー半導体スイ チング素子のオン・オフ動作(スイッチング 動作)を制御するための制御信号を生成し、 の制御信号をパワーモジュール416のドライ 回路(図示省略)に出力する制御部を構成して いる。制御モジュール416には、入力パラメー タとして、トルクセンサ303によって検出され たステアリングホイール301のトルク検出値Tf, エンコーダEによって検出され、F/V変換器418 よって変換された回転子250の回転速度検出 ωf及びレゾルバPSによって検出された回転子 250の磁極位置検出値θmが入力される。

 トルク検出値Tfはトルク指令値Tsと共にト ルク制御回路17に入力される。トルク制御回 417は、トルク検出値Tfとトルク指令値Tsに基 づいてトルク目標値Teを算出し、この算出さ たトルク目標値Teの比例積分などによって 流指令値Is及び回転角θ1を出力する。回転角 θ1は、エンコーダEから出力された位置情報θ と共に位相シフト回路423に入力される。位相 シフト回路423は、回転子250の位置情報θを、 転角θ1の指令に応じて位相シフトし、回転 θaとして出力する。回転角θaは磁極位置検 値θmと共に正弦波・余弦波発生回路419に入 される。正弦波・余弦波発生回路419は、回 角θa及び磁極位置検出値θmに基づいて電機 巻線238の各相巻線(ここでは3相)の誘起電圧 位相シフトした正弦波基本波形(駆動電流波 形)値Iavを発生して出力する。尚、上記位相 フト量は零の場合でもよい。

 正弦波基本波形(駆動電流波形)値Iavは電 指令値Isと共に2相-3相変換回路420に入力され る。2相-3相変換回路420は、正弦波基本波形( 動電流波形)値Iav及び電流指令Isに基づいて 各相に対応した電流指令Isa,Isb,Iscを出力する 。制御モジュール422は各相個別に電流制御系 421A,421B,421Cを備えている。各相の電流制御系4 21A,421B,421Cには、対応する相の電流指令Isa,Isb, Iscと、対応する相の電流検出値Ifa,Ifb,Ifcが入 される。電流検出値Ifa,Ifb,Ifcは電流検出器CT によって検出されたものであり、パワーモジ ュール416の変換回路から各相の電機子巻線238 に供給された相電流である。各相の電流制御 系421A,421B,421Cは、対応する相の電流指令Isa,Isb ,Iscと、対応する相の電流検出値Ifa,Ifb,Ifcに基 づいて、対応する相のパワー半導体スイッチ ング素子のスイッチング動作を制御するため の制御信号を出力する。各相の制御信号は、 パワーモジュール416の対応する相のドライバ 回路(図示省略)に入力される。

 パワーモジュール416の各相のドライバ回 (図示省略)は、対応する相の制御信号に基 いて、対応する相のパワー半導体スイッチ グ素子のスイッチング動作させるための駆 信号を出力する。各相の駆動信号は、対応 る相のパワー半導体スイッチング素子に入 される。パワー半導体スイッチング素子が イッチング動作すると、電機子巻線238には バッテリ306から供給された直流電力が交流 力に変換されて供給される。永久磁石回転 機401は回転子250の回転位置に応じた回転磁 を発生し、回転子250が回転する。

 電機子巻線438に供給される各相電流の合 電流は、界磁磁束に直角或いは位相シフト た位置(各相電流の合成の起磁力を永久磁石 より90度以上進ませる制御を弱め界磁制御と う)に常に形成される。これにより、無整流 子で、かつ直流機と同等の特性を得ることが できる。

 制御装置305によって電機子巻線438に流す 流の作る電機子起磁力の合成ベクトルを永 磁石の中心より90度の位置に作ることによ て最大トルクを発生し、また、位相を必要 応じてシフトすることによって、高速まで 転を可能にできる。

 このような制御により、3相の正弦波誘起 電圧と3相の正弦波電流とが作る出力(トルク) は回転によらず、脈動の少ない一定の出力を 得ることができる。

 次にEPSに用いられる永久磁石回転電機に いて説明する。概略の構成は、図3と同じで あるが、回転子の構成については図14を用い 説明する。

 本実施例の永久磁石回転電機401は、車載 ッテリ(例えば出力電圧12V)を電源とするも であり、ステアリングシャフトの近傍に配 される。従って、取り付け位置の制限から 型化が必要であると共に、ステアリングを ワーアシストすることから大トルク(例えば 4Nm)の出力が必要である。

 永久磁石回転電機401は、固定子230と、こ 固定子230の内側に回転可能に支持された回 子250とを備えた、表面磁石型の同期電動機 ある。永久磁石回転電機401は、14ボルト系 源(出力電圧が12ボルトのバッテリ)から供給 れる電力で駆動される。尚、車載電源とし は、24ボルト系電源若しくは42ボルト系電源 (バッテリの出力電圧36ボルト)又は48ボルト系 電源がある。ハイブリッド車などでは100ボル ト,300V,600Vなどもある。自動車の種類によっ 、永久磁石回転電機401の駆動電源電圧が変 る。本実施例のEPSは、上記いずれの電源に 対応可能である。

 固定子230は、珪素鋼板を積層した磁性体 形成された固定子鉄心232と、固定子鉄心の ロット234内に保持された図13に示す電機子 線438とを備えている。ただし図14でスロット 234に設けられた電気子巻線438は図5に示すよ に巻回されているが、この記載を省略する 固定子鉄心232は、等間隔に配置されたティ ス236が設けられ、構成される。複数のティ ス236には、それぞれ、電機子巻線438が巻回 れている。電機子巻線438は分布巻あるいは 中巻のどちらの方式であっても良いが、本 施形態では集中巻方式で巻かれている。

 電機子巻線438を分布巻とすると弱め界磁 御に優れ、また、リラクタンストルクの発 にも優れる。永久磁石回転電機401としては モータの小型化や巻線抵抗の低減がたいへ 重要である。電機子巻線438を集中巻とする とにより、電機子巻線5のコイルエンド長を 短くできる。これにより、永久磁石回転電機 401の回転軸方向の長さを短くすることができ る。また、電機子巻線438のコイルエンドの長 さを短くできるので、電機子巻線438の抵抗を 小さくでき、モータの温度上昇を抑えること ができる。また、コイル抵抗を小さくできる ことから、モータの銅損を小さくできる。し たがって、モータへの入力エネルギーの内、 銅損によって消費される割合を小さくでき、 入力エネルギーに対する出力トルクの効率を 向上することができる。

 また、永久磁石回転電機401はステアリン シャフト(コラム)の近傍に置かれる場合、 ックアンドピニオンの近傍に置かれる場合 どがあるが、何れも小型化が要求される。 た、小型化された構造で電機子巻線を固定 ることが必要であり、巻線作業が容易なこ も重要である。分布巻に比べ集中巻は巻線 業,巻線の固定作業が容易である。

 電機子巻線238は、U相,V相,W相の3相から構 され、それぞれ複数の単位コイルから構成 れる。複数の単位コイルは、コイルエンド において3相の各相毎に、板状導体から形成 された図21に示す結線リング411によって結線 れている。

 永久磁石回転電機401は大きなトルクが要 される。例えば車の走行停止状態、あるい 走行停止に近い運転状態でステアリングホ ール(ハンドル)が速く回転されると操舵車 と地面との間の摩擦抵抗のため、上記モー には大きなトルクが要求される。このとき は大電流がステータコイルに供給される。 の電流は条件により異なるが100アンペア以 の電流が流れる。このような大電流を安全 供給でき、また上記電流による発熱を低減 るために、板状導体から形成された結線リ グ411を用いることはたいへん重要である。 記結線リング411を介して電機子巻線438に電 を供給することにより接続抵抗を小さくで 、銅損による電圧降下を押えることができ 。このことにより、大電流の供給が容易に る。また、インバータの素子の動作に伴う 流の立ち上がり時定数が小さくなる効果が る。

 回転子250は、珪素鋼板を積層した磁性体か なる回転子鉄心252と、この回転子鉄心252の 面に接着剤によって固定された複数の永久 石である永久磁石254を備えている。永久磁 254と256は、前述したSiO 2 により結着された磁石である。回転子鉄心は 、シャフト218に固定されている。尚、永久磁 石254,256の飛散を防止するために、永久磁石25 4,256の外周側(固定子側)の全周を覆うように マグネットカバーを設けたり、テープを巻 つけたりしても良い。

 図21に示すように固定子鉄心232は、軸方 両側からカップ状のブラケット409によって み込まれるようにして支持固定されている ブラケット409には軸受216が設けられている 軸受216はシャフト218を回転可能に軸支して る。シャフト218上には、回転子250の位置を 出するためのレゾルバPSと、エンコーダEが けられている。

 結線リング411によって接続されたU相,V相, W相の各相には、パワーケーブルを介して、 部のバッテリから電力が供給される。

 図14に示した実施例では、回転子250は10個 の磁石でN,Sの5極対を形成し、固定子230はス ット234を12個持つ、いわゆる10極12スロット モータである。このモータは、極数Pとスロ ト数Nの最小公倍数である60回のコギングト クの周期性を持ち、いわゆる2極3スロット 繰り返しで得られる集中巻モータよりもコ ングトルクが小さい。

 しかし、EPS用途では、極小さなコギング ルクでも、ハンドルを握る人が感じるため コギングトルクをさらに低減することが望 しい。

 トルク脈動を減らすために、さら周方向 界磁極すなわち磁石配置にスキューを施す とが望ましい。具体的構造を図15に示す。 石のみをスキューしてもよいが製作の容易 を考慮すると磁石を保持する回転子鉄心と 石とを先ず一体とし、回転子鉄心と磁石と 一体物、以下コアと記す、が互いに周方向 スキューするように固定する構造が好まし 。上図では、回転子を2つのコアに分割し、 割したコアをそれぞれ電気角θだけ周方向 ずらしている。三相モータの場合、この電 角θは一般的に30°あるいは、15°となる。

 また他の実施例を図16に示す。この実施 では回転子を3個のコアに分割し、2番目のコ アを1番目と3番目のコアに対して角θだけス ューしている。分割された第1乃至第3コアの 軸方向の長さの比をa:b:c=1:2:1とする。これに り、図15の場合には回転時に軸方向に力が くが、図16の場合には、内力となって、軸方 向に力が働かない。これによる低ノイズ化な どに効果がある。

 第2実施例において、コギングトルクを低 下させたい場合には、回転子を分割して、周 方向にスキューすなわちずらせばよい。図17 コギングトルクの状況を示し、横軸が電気 で表した回転角度であり、縦軸がトルクの きさを示し、各グラフはトルクの変動部分 取り出して示している。例えば、電気角60° 周期のコギングトルクが、スキューがあった 場合には軸方向に2分割して、互いに周方向 電気角30°ずらすと、電気角60°周期の脈動を 低減することができる。しかし、電気角30° 期のコギングトルクは残る。また、同じく 転子を2分割して互いに電気角15°周期ずらす と、電気角30°周期のコギング成分は無くな が、60°周期のコギング成分は残る。コギン トルクの波形に含まれる次数成分が一つで 他の次数成分がないあるいは少ない場合に このようにすることが有効である。

 本実施例のさらなる別方式では、分割に り低減できないコギングトルクをも解決す 方法として、理想的に回転子にスキューを す。磁石の形状は回転子の回転軸線方向に して連続的に周方向に傾斜させるようずら たヘリカル形状になる。その磁石形状を図1 8示す。図19にその原理を示す。図19には回転 の磁石2極分、すなわち1極対を平面に展開 た図を示している。磁石は軸の端部から、 部まで、3相モータの場合60°ずらすように構 成する。この形状を円筒状に丸めると、磁石 は図18のヘリカル形状となる。点Aの部分と点 Bの部分は30°ずれているため、AとB点は相対 に30°スキューしたのと同じ効果で、トルク プルを相殺する。さらに、点Aと点Cは、15° れているため、上述した15°のスキューと同 じ効果になる。このように、すべての軸上に トルク脈動を相殺する対となる点が存在する ので、さらに高次でも同様の原理で、すべて の高調波によるコギングトルクを消すことが できるのでトルク脈動を低減することができ る。電気的に60°以下の周期のトルク脈動は 論的にはすべてゼロにすることができる。 18の磁石形状と図19の磁石形状は異なるが、 磁極をスキューすることによりコギングト クが低減できるので、磁石の形状が異なっ いてもコギング低減効果が得られる。

 従来の焼結磁石では、このような複雑な形 は、焼結後の後加工で製作するので、高価 あり、低コストが要求される自動車用モー には採用できなかった。しかし、この形状 プレスで成形することは比較的容易である 本実施例のモータは、SiO 2  により結着された磁石を使用しているため プレスの形状がほぼそのまま最終形状とな 。このため、結着剤で結着した後の磁石の 削加工が不要となったり、あるいは簡素化 きたりする。上記形状の磁石を使用するこ により高次のコギングトルクを非常に低い に低減したモータを実現することができる

 図20は、図19よりもさらに複雑な形状にし た磁石である。図19では磁石形状がかまぼこ であるのに対し図19はブロック形状であり 体的な形状は異なっているが、磁極をスキ ーすることでコギングを低減する点は同じ ある。図20に示す磁石は、回転軸方向に略V 形状となるような形状となっており、この 石を利用した回転電機は、固定子が発生す 回転磁界に対して永久磁石が発生する軸方 の力成分がV字形状の一方と他方で逆方向と って打ち消し合うので軸方向に力を受けな 。このため低騒音化や構成が簡単になる利 がある。この磁石は軸方向に2分割で同じも のを反対につきあわせて構成しても良い。こ こで磁石のV字形状とは、回転子の回転軸に った軸で見ると、磁石が回転方向である回 子の周方向に徐々にスキューし、磁石の途 でスキュー方向が逆転し回転子の周方向に ける反対方向となり、この反対方向に磁石 徐々にスキューする形状である。このスキ ー方向が逆転する位置を磁石の回転軸方向 おける中央付近とすることで、回転軸方向 発生する力を互いに打ち消すようにできる 上述のとおり、スキューの折り返し点で磁 を分割しても同様の効果が得られる。

 このような方法でコギングトルクを解決 ても、電動パワーステアリング用モータで さらなる課題が現れる。それは、製作誤差 起因するトルク脈動である。一般に電源周 数よりも低次で、回転数に対して、2,4,6,8,10 ,12次などの調波成分になることが多い。上述 のモータでは、10極を実施例としているので スキューによるトルク脈動低減の効果は、 転数に対して、30次以上となる。これより 低次の脈動は製作誤差に起因するものとな 。

 また、突極磁極鉄心42と固定子ヨーク41間 の隙間、あるいは突極磁極の長さの不均一等 、製作誤差によって、固定子内径の芯円度は 悪くなってコギングトルク,脈動トルクが発 する。このコギングトルク,脈動トルクは一 の脈動トルクと異なり、大きさや位相がモ タ毎に異なるために予防が大変難しい。

 例えば、回転子250はセグメント状の永久 石256の1個が例えばS3で示すように厚さが厚 なってしまった場合、1回転あたり、突極磁 極鉄心42の数12に相当するコギングトルクが 生する。これは、前に説明した永久磁石の 数と突極磁極鉄心42の極数に起因する60サイ ル/回転のコギングトルクに比して遥かに大 きな値となる。車載アクチュエータ装置のう ち特に電動パワーステアリング装置ではハン ドルを介して運転者にその脈動が伝わってし まう。

 このように、運転者に脈動が伝わってし うほどの極小さなコギングトルクを抑える めには、組立,加工に伴うアンバランスを部 品ベースで精度を上げて対処することは大変 難しく、製造コストがかさむという問題があ った。

 そこで、製作誤差によってコギングトルク 逆相のコギングトルクを発生する重みを持 た回転子の磁気アンバランスを、回転子の 石を切削することで作り出すことができる これは,上記のSiO 2  により磁性粉体を結着させた磁石の特徴を かしたもので、すなわち、切削作業中に磁 の周辺部分を破壊することなく、その部分 けを加工できる作業性の良さ故に可能にな たものである。従来のボンド磁石では、後 工により、周辺部が崩れたりする。一方,焼 結磁石割れてしまう等の問題があり、磁石そ のものを、回転子の製作後に加工することは できなかった。

 このようにして、製作によって生じてし うコギングトルクを、後処理で補償するこ ができるので、EPSのように製作誤差による ギングトルクが問題になるモータを安価に 供することが可能になる。

 この補正は、固定子230を組み上げた後に 気的なアンバランス量を測定し、それに対 した磁気的な不平衡量を、例えば切削加工 よって取り去ることができる。

 次に、図21を用いて本実施例の磁気アン ランス補正装置について説明する。

 永久磁石回転電機401は低速で一定回転で 動される。413はトルク検出器であり、コギ グトルクの測定値を出力する。更に回転の 置を検出するレゾルバPS,エンコーダEにより コギングトルクの大きさとともに、位相を出 すことができる。414は磁気アンバランス量計 算装置であり、永久磁石回転電機401からのコ ギングトルクの計測結果に基づいてそれを補 正する突極磁性鉄心442表面の442a溝の位相と きさ、あるいは永久磁石254,256表面の溝406aの 位相と大きさを、固定子,回転子の形状,永久 石の特性から算出し、磁気アンバランスの 正量を計算する装置である。コギングトル の大きなモータにおいては、磁気アンバラ スに該当する溝406aを回転子250に付与するこ とによって、コギングトルクを小さくするこ とができる。モータの全数を行うことによっ て、例えば、回転バランスを全数取るのと同 じ方式でコギングトルク補正を行ことは可能 で、これによって、コギングトルクの小さな モータを提供することができる。また、必要 に応じて、コギングトルクの大きなモータの み補正を行うことも可能である。

 以上、本実施例では、固定子230と回転子2 50との間に空隙面に溝を設けて補正する方法 示したが、予め設けた溝などに磁性体を付 させることによっても可能であることはい までもない。また、空隙面及びその周囲に 性体の変形による付加,除去あるいはその他 の方法による磁性体の付加,除去によっても 正することが可能である。また、必要に応 ては磁界計算を利用して、413のトルクセン によって検出できたコギングトルクを0にす 固定子磁気補正量,回転子磁気補正量を算出 すると一層精度を上げることができる。

 尚、本実施例では、集中巻固定子で突極 極数を12、回転子250の極数を10とした例、す なわち突極磁極数M,回転子の極数Pとの比をM:P =6n:6n±2(nは正の整数)とした永久磁石回転電機 を用いて説明したが、これに限定されるもの でなく、突極磁極数M,回転子250の極数Pとの比 をM:P=3n:3n±1(nは正の整数)とした永久磁石回転 電機にも適用可能である。例えば永久磁石の 極数を8、固定子の突極磁極数を9とすること 可能である。

 また、突極磁極数を12、突極磁極数を8と た、いわゆる3:2の磁極の選択によっても、 極磁極表面の溝の付ける位置によって同様 コギングトルク補正を行うことができる。 の場合には突極磁極表面の中心ではなく、 ギングトルク低減できる突極磁極の特定の 置に適当の大きさの溝を配置することによ てコギングトルク最小化することができる

 次に第2実施例の作用効果を以下に示す。図 12から図21に記載の第2実施例において、回転 機に使用される磁石が上記説明の構造を為 こと、すなわち粉体の磁石材料と濡れ性の い結着剤の前駆体を磁石に含浸させて磁石 製造することで、次の効果の少なくとも1つ または複数の効果を有している。なお上記説 明のとおり、粉体の磁石材料と濡れ性の良い 前駆体の結着剤としてSiO 2  が最適である。

 効果1、上述の磁石の製造工程では、高温 に熱する焼結工程が存在しないので磁石の製 造が容易である。なお、結着剤で結着後に磁 気特性を改善するために温度を挙げたとして も1000℃より低い温度で、磁石材の焼結温度 り低く、焼結磁石に比べ、歪みの影響は小 い。従って焼結磁石に比べ製造コストを下 ることが可能となる。

 効果2、また俗にボンド磁石と称せられる エポキシ樹脂を使用した磁石ではないので、 磁石のエネルギー密度が大きく、安価で比較 的良好な特性の回転電機を得ることができる 。

 効果3、上記磁石は磁石材による成形がな された後、結着剤の硬化を比較的低い温度で 行うことが可能であり、成形された磁石材の 形状や寸法の変化が少ない。磁石の形状や寸 法に関し高い精度で製造できるので、モータ や発電機として高い特性が得られる。例えば 、寸法誤差によるコギングトルクを小さくし たり、上記磁石を回転子における回転軸線と 平行な方向に対して周方向にずれるように配 置したヘリカル形状のスキューなど複雑な磁 石の形状によってギャップの磁束密度の高調 波を小さくすることができる。磁石材単体で も、結着剤で結着した後の切削加工が非常に 少なく、又容易である。例えば接着剤の食み 出し部分を切削するなど、実質的な磁石形状 の形成加工では無いので、加工が容易である 。従来の焼結磁石では焼結のために高温に熱 するので、その後の温度が下がる過程で収縮 し、磁石材の形状が変化する。従って従来の 焼結磁石では、焼結工程の後に磁石の形状や 寸法を整えるための切削加工に多くの時間を 費やすことが必要であった。上記実施の形態 では、極めて少ない切削加工で、場合によっ ては切削加工なしで必要な磁石形状を得るこ とができる。

 効果4、上述の如く磁石材の成形形状がそ の後の結着剤の含浸や硬化の工程でほとんど 変化しないので、プレス加工等による磁石材 の曲線形状を高い精度で維持したままで磁石 を製造することが可能である。理論的には好 ましい磁石の形状としてスキューが分かって いても、量産可能な方法が無いために製品化 が困難であったヘリカル形状の磁石を実現で き、良好な特性の回転電機を得ることが可能 である。図18や図20に示したような形状より さらに複雑な形状も可能である。

 効果5、焼結の希土類磁石は、電気抵抗が 小さく渦電流による損失や発熱が大きい。上 記磁石は電気絶縁物であるSiO系の結着剤で希 土類磁性粉を結着するので永久磁石内部の電 気抵抗が大きく渦電流が減少し渦電流損や発 熱を低減できる。更に電気絶縁膜を施した希 土類磁性粉に対しても上述の結着剤の前駆体 は濡れ性が良好で、内部抵抗が非常に高い永 久磁石を作ることが可能となる。このため磁 石内部の渦電流損や発熱を大幅に低減できる 。自動車用の回転電機、特にハイブリッド車 両に使用される回転電機は100度を超える環境 で使用される可能性があり、磁石内での渦電 流による発熱を低く抑えることが必要である 。上述の実施の形態では電気抵抗を大きくで きるので、磁石の発熱を低減できる。またそ の分回転電機の損失を低減でき、効率向上と なる。

 効果6、焼結の希土類磁石は、切削成形後 にコーティングをして腐食を防止する。これ を回転子に組込むのが従来の方式である。こ のため、回転子に組込んだ後に加工すること はできなかった。さらに、ボンド磁石も回転 子成形後に加工することはできなかった。本 発明による磁石を用いた回転機では、磁石の 後加工性の良さを活かし、回転子組立て、さ らに着磁後にコギングトルクを測定し、そこ から、磁極のアンバランスを検出し、それに 応じた切削加工をする。

 これらの固定子巻線が作る起磁力の調波 分を図22から図25に示す。棒グラフの横軸は 、極対あたりの周方向の空間起磁力における 次数を1次として、黒棒が同期次数,斜線棒が 同期次数をしめす。図22は、いわゆる分布 であり、(A)には2極6スロットのモータの固定 子が作る起磁力の高調波成分を示し、(B)には 2極12スロットのモータの固定子が作る起磁力 の高調波成分を示す。図からわかるように、 非同期成分は空間5次以上しか無いことが分 る。また、2極12スロットモータの方が空間 調波が少ない。この高調波は磁石の渦電流 原因になっている。

 一方、図23は集中巻であり、(A)には8極9ス ロットのモータの固定子が作る起磁力の高調 波成分を示し、(B)には10極9スロットのモータ の固定子が作る起磁力の高調波成分を示す。 このように、集中巻は分布巻に比べて起磁力 の非同期成分が大きい。特に、8極9スロット 場合には、5/4次の成分が大きく、10極9スロ トの場合には、4/5次の成分が大きい。回転 の磁極数が、固定子起磁力の空間次数と一 した場合だけ、モータにトルクが生じる。 って、10極9スロットのモータの場合には、8 極モータを回せる固定式磁力があるにもかか わらず、その成分は回転子と同期しないから 、その分は回転子には非同期成分として働き 、渦電流を生じさせる。これが磁石の温度上 昇による減磁を引き起こす。

 同様に図24は集中巻であり、2極3スロット 系列のモータの固定子が作る起磁力の高調波 成分を示し、(B)には4極3スロット系列のモー の固定子が作る起磁力の高調波成分を示す これは、図5の実施例に相当する。2極3スロ ト系列のモータは、1次よりも低次の非同期 の調波は無いが、それでも分布巻に比べて、 高調波が多いことが分かる。逆に4極3スロッ 系列のモータには、1/2次の大きな低次成分 ある。

 同様に図25には集中巻であり、10極12スロ トのモータの固定子が作る起磁力の高調波 分を示し、(B)には14極2スロットモータのモ タの固定子が作る起磁力の高調波成分を示 。これは、図14のモータに相当する。この 合にも、非同期の大きな調波成分があるこ が分かる。

 以上のなかで、特に注目すべきなのは、 数>スロット数の関係になるにつれて、非 同期の成分が大きくなることである。固定子 が極を構成しようとする場合に、より多くの コイルで構成した方が、高調波が少なくなる ということを意味する。従って、集中巻のモ ータは、スロット数が少ないため、渦電流が 多く、特に極数>スロット数の組合せに関 ては、磁石の渦電流が流れやすいと言える

 図27は希土類磁性粉を模式的に描いた図 あり、磁性粉502は面積の広い第1の面504とこ 第1の面より面積の狭い第2の面506とを有す 扁平形状を成している。第2の面506は非常に いので、第1の面に対して略垂直に近い場合 が多い。この図は磁性粉体502を模式的に描い たので扁平な長方形を成しているが、実際は 長方形ではなく、扁平ではあるが形や大きさ が一定ではない。

 図27は磁性粉502を圧縮成形した場合の磁 粉502の配列を模式的に示した図である。説 を簡単にするために磁性粉体502はそれぞれ 積の広い第1の面504とこの第1の面より面積の 狭い第2の面506とを有している扁平な長方形 したが、上述のとおり非常に扁平であるが れぞれ色々な形状を成している。図27に示す Z軸に沿って磁性粉を圧縮すると多くの磁性 は第1の面504を互いに対向するように、すな ち第1の面がほぼ軸Xと軸Yからなる面に沿っ 配置となるように積層される。図27に示す 面積の広い第1の面504が軸Xと軸Yからなる面 なった積層磁石に対して軸Xと軸Yからなる面 に沿って着磁した場合と、Z軸に沿って着磁 た場合とを比較すると、軸Xと軸Yからなる面 に沿って着磁した場合の方がZ軸に沿って着 した場合より残留磁束密度や保持力などの 気特性が良好である。

 図28は図5や図14で説明したかまぼこ型の 久磁石254を示す。永久磁石254あるいは256は 化方向が逆であるが形状および発生する磁 量は同じであり、永久磁石254を代表例とし 以下説明する。回転子の半径方向で固定子 対向する面276は回転子鉄心より極率の大き 曲面形状を成している。また永久磁石254の 方向の両サイドは略半径方向を向いている 、圧縮成形した場合に型から外し易いよう 径方向に対し固定子側がやや狭くなる方向 少し傾斜をつけても良い。

 希土類磁性粉を圧縮成形する場合の圧縮 向として、回転子の回転軸方向に圧縮する 永久磁石の磁気特性が良好となる。図27で 石粉502を圧縮するZ軸を回転子の回転軸方向 すると、大部分の磁性粉502は、面積の広い 1の面504が回転軸に垂直な面となるように積 層される。これは積層された回転子鉄心の各 鋼板の積層方向とほぼ同じ方向となる。この 方向の積層磁石は図27の軸Xおよび軸Yの面で 磁されることとなる。従って上述の如く良 な磁気特性の磁石が得られ、回転電機の特 面からも好ましい。

 生産性向上の観点で圧縮成形を行い易く るには、図28の回転子の半径方向からの圧 が好ましい。回転子の半径方向の圧縮は、 縮対象である磁性粉の厚みの薄い方向であ 。希土類磁性粉は鉄などに比べ非常に硬く 圧縮方向の磁性粉の幅が薄い方が圧縮され 磁性粉の密度が高くなる。圧縮された状態 の磁性粉の密度は永久磁石の磁束密度に大 な影響を及ぼし、磁性粉の密度が低いと、 久磁石の磁気特性が悪くなる。また磁石形 が曲面を有し特性面からの形状に対する精 が問題となる場合、圧縮方向の磁性粉の幅 小さい方から圧縮する方が好ましい結果を やすい。従ってかまぼこ型磁石では半径方 から圧縮成形した方が良い場合がある。

 図29はかまぼこ型の永久磁石254を回転子 心252に取り付けた状態を回転軸に垂直な断 で示した図である。回転子鉄心252はその表 に窪み282を形成しており、前記窪み282の内 に永久磁石254の鉄心側部分が接着層284によ 固定されている。図28で記載のとおり、永久 磁石254と256とは着磁方向が異なる以外は同じ であり取り付け構造は同じであるので、永久 磁石254を代表例として記載した。かまぼこ型 の形状は図28で説明のとおりであり、同じ参 符号は図28を含む他図と同じことを示す。 のかまぼこ型永久磁石は図28における回転軸 方向の圧縮成形で製造されても良いし、回転 子の半径方向の圧縮成形で製造されても良い 。半径方向の圧縮により成形された場合の磁 石内部286の磁性粉の配列を拡大して278で示す 。面積の大きい第1の面は回転子の径方向と 垂直の面、すなわち固定子鉄心に対向して る。上述の如くこの磁性粉の配列は面積の い第1の面に略垂直に磁化されることで磁性 の配置に対する磁化特性は悪くなるが、圧 方向の磁性粉の厚みが薄くなることから生 性に優れており、また磁性粉の圧縮密度を げやすい利点がある。磁性粉の圧縮密度を げることは磁気特性の改善につながる。

 図30は円筒型磁石712の製造方法の説明図 ある。回転子250の外周に円筒形磁石712を嵌 、磁極位置に磁化方向が反転するように着 して図3など上述の回転電機を作ることが可 である。比較的小型の回転電機はこの円筒 磁石712を使用することで生産性が向上する

 圧縮成形する外側の型702と内側の型704と 間に希土類の磁性粉を詰め、回転軸方向に 縮成形し、その後上述の結着剤の前駆体を 浸することで磁石を形成する。この磁石を 述の回転子鉄心252の外周に固定子し、着磁 ることで回転子が完成する。この場合磁性 の配列の多くは、面積の広い第1面は回転軸 に垂直な方向の配列となるので、着磁方向が 面積の広い第1の面に沿った方向となり、磁 粉の配列方向で見ると優れた磁気特性が得 れる。

 図30では説明を簡単にするため磁石の形 を単純な円筒形としたが、コギングを含む ルク脈動を低減するためには磁石の固定子 面を曲面とすることが望ましい。従来の焼 型磁石では焼結温度による磁石の形状変化 ため、外周の形状を曲線とすることは製造 術の観点でいろいろな課題を抱えていたが 上記説明の製法では比較的容易に製造でき 。

 図31は固定子側面を曲面とした円筒磁石71 2を使用した回転子を回転軸に垂直な面で断 下した状態を示す。シャフト218に回転子250 固定されており、回転子250の外周に円筒形 磁石712が設けられている。円筒形磁石712の 定子側は極率の大きい曲線となっており、 の曲線は回転電機の内部誘起電圧が正弦波 近づくような曲線となっている。このよう 円筒磁石を図30の如く回転軸に沿った方向の 圧縮成形で作ることができるので、焼結型に 比べ生産性が大きく改善できる。また磁性分 の大部分はその第1の面が軸に垂直な面とな 、優れた磁気特性が得られる。さらに回転 の積層面とも一致しており、この点でも磁 的に好ましい。渦電流も流れ難い。

 図30や図31で説明の磁石や回転電機は比較 的小型の回転電機に向いている。自動車用は もちろんそれ以外の分野に使用する回転電機 でも効果は大きい。図30や図31を含む上記説 の全実施例は自動車用として説明したが、 動車以外の分野の回転電機であっても使用 能であり、自動車用として説明した効果は れなりに他の分野の回転電機でも適用され 。自動車用は使用環境が厳しいので特にそ 効果が顕著に現れるが、他の分野の回転電 でも従来の回転電機に比べると効果があり もちろん使用可能である。

 本発明では、SiO 2  により結着された磁石により、回転子を構 するので、磁石の渦電流が流れにくいこと 特徴がある。磁石の磁粉はそれぞれが電気 に絶縁物であるSiO 2  により結着されているので、磁石内部の電 抵抗が大きくなる。希土類磁性粉は純鉄な に比べると非常に硬く、プレス加工しても 層状態の磁性粉間に隙間ができ易い。SiO 2  の前駆体は希土類磁性粉に対して濡れ性が 常に良好で、前記磁性粉間の隙間に浸透し 性粉を互いに結着する。このため磁石の強 が高くまた内部の電気抵抗が高い磁石を得 ことができる。このような磁石には渦電流 生じにくい。自動車用の回転電機は他の分 の回転電機に対して使用される電力に対す 回転機の体積が小さい。すなわち体積あた の電力量が大きい。このような厳しい環境 使用される車両用回転電機では渦電流の低 効果が大きい。また分布巻より集中巻の方 渦電流が生じ易い。従って上記磁石は集中 のモータに関して、有効である。

 以上、本発明の各実施例について説明し が、これらの実施例を用いることにより以 に示すような作用効果が得られる。

 本発明の各実施例によれば、回転電機に けられている永久磁石を次のようにして製 する。まず磁性材料を圧縮成型し、この圧 成型した磁性材料にこの材料と濡れ性が優 た結着剤の前駆体を含浸し、結着剤にて磁 材料を結着した磁石を得る。回転電機にこ ような磁石を使用することで、エポキシ樹 を結着剤として使用した磁石を使用する回 電機より、より高性能の回転電機を得るこ ができる。このように、磁石粉末にエポキ などの絶縁材を混入させずに圧縮すること 、成形磁石の磁石重量比を高めることがで る。よって、高エネルギー密度の磁石を得 ことができ、モータの高出力化を図ること できる。尚、永久磁石の製造には、結着剤 磁性材料を結着する工程の他に、さらに磁 する工程が必要である。この磁化する工程 、結着剤で磁性材料を結着した磁石材の形 体(磁石と記載する)を回転電機の部品に組 んだ後で行っても良い。むしろ磁化しない 態で回転電機の回転子などの部品に固定し その後磁化する方法が回転電機を製造し易 場合が多い。上記磁石は上記磁化の工程で 化されることにより、永久磁石としての作 をなす。

 また、本発明の各実施例によれば、その 駆体が磁石材料と濡れ性が良好な結着剤で 磁石材料を結着した永久磁石を、永久磁石 転電機に使用したことである。本発明にお ては磁石材料と濡れ性が良好な結着剤を使 することで磁石における磁性材料の割合を くでき、エポキシ樹脂を結着剤として使用 た場合に比べ磁石の磁気エネルギーの低下 低減でき、良好な特性を維持できる。

 また、本発明の各実施例によれば、上記磁 は、各々の磁石材料の間に絶縁物である結 剤が存在し、各々の部分の磁石が絶縁され ことになるので、3次元的な固体の磁石とし て電気抵抗率が高く、渦電流損が小さくなる 特徴がある。この結果、高効率で、高速回転 に対応可能な回転電機を得ることができる。 具体的には、磁石粉末に濡れ性の良い結着剤 としてSiO 2 の前駆体を薄く含浸させており、SiO 2  が絶縁物なので、各磁石粉末が薄い絶縁コ ティングを施した状態になる。この結果、 石の電気抵抗率が大きくなり、渦電流が流 にくくなる。この磁石を回転子表面に貼り けることで、高速回転時に磁石の温度を抑 、減磁に対する耐力のあるモータを実現す ことができる。特に、本実施例のような表 磁石式回転電機は、ギャップ表面の磁石に 電流損が流れやすいため、磁石が発熱する 合があるが、本実施例の回転機の磁石は、 気抵抗が大きいために、渦電流を低減でき このような問題を解決することができる。

 また、本発明の各実施例によれば、磁石材 して磁気特性の優れた希土類磁石材を使用 ることで、磁気特性に優れた磁石を製造で 、特性が良好な回転電機を得ることができ 。前駆体が希土類磁石材料と濡れ性が良好 結着剤として例えばSiO 2  を使用することができ、SiO 2  で希土類磁石材を結着することで磁気特性 低下を抑えた永久磁石を製造することがで 、この磁石を回転子に使用することで特性 良好な回転電機を得ることができる。

 また、本発明の各実施例によれば、永久 石を比較的低い温度で製造できるため、磁 材のプレス成型による形状・寸法を高い精 で維持した状態で磁石材の結着を行うこと できる。結果として高い精度で磁石を生産 ることが容易と成る。このため結着剤によ 固められた後の磁石は成形処理が焼結磁石 比べ非常に簡単であり、磁石の最終形状が ずかな切削加工で得られることが多く、場 によっては切削作業無しで磁石を完成する とが可能となる。また、複雑な形状の磁石 熱収縮がほとんどないので、型の精度で磁 の寸法精度を実現することができ、寸法精 の高い磁石を利用した回転ムラの無い高精 な回転電機を得ることができる。これによ 、従来の焼結磁石で出来なかった曲線形状 有する特に複雑で連続的な3次元形状をした 磁石、例えばヘリカル形状をしたスキュー磁 石を用いて回転子を簡単に構成できるので、 トルク脈動のない制御性の良いモータにする ことができる。

 また、本発明の各実施例によれば、永久 石の加工性が良く、一部だけ加工すること 出来るため、最終形状後に切削加工するこ が容易であるという特徴がある。このため 磁石を貼り付けて回転子を組立てて着磁し 後に、磁極毎のバランスを取るために切削 工をする。このように磁極のエネルギーの い磁石を切削することにより、回転子磁極 エネルギーのばらつきを抑え、それに起因 るコギングトルクを小さくすることができ 。尚、この切削加工は、磁石材料を後加工 きる特徴を生かしている。従来の焼結磁石 は、回転子組立後に加工すると、割れや酸 による腐食の問題が発生し、実際にはでき かった。これにより、トルク脈動を少なく 、制御性の良い回転機を得ることが可能に る。

 次に、上記各実施例に適用可能な永久磁 に関する他の実施形態を以下に列挙する。

 上記実施例の永久磁石は、磁性粉体を結着 にて結着しているが、回転電機に使用する 合、場所に応じて磁性粉体の粒子の大きさ 変えてもよい。ここで、磁性粉体の粒子の きさが大きい方が磁気特性が優ているので 例えば、減磁の厳しい永久磁石の角部や、 面部に大きな磁性粉体を集めると信頼性を 上することができる。尚、このように、場 によって磁性粉体の粒子の大きさを変更す といった技術は、結着剤がSiO 2 である必要はなく、従来のボンド磁石にも適 用することができる。また、磁性粉体の粒子 の大きさを変更するのに、一度に圧縮成形す る必要はなく、例えば、粒子の大きさが異な る磁石を夫々別々に成形し、最終的にこれら の磁石を一体化しても構わない。

 更に、固定子に対向する側に高保磁力の磁 粉体を配置し、固定子から離れる側に高残 磁束密度の磁性粉体を配置することも考え れる。このように永久磁石を構成すること より、高残留磁束密度の磁性粉体は、高保 力の磁性粉体よりも希土類含有量が少なく 全体を高保磁力の磁性粉体で成形するより 磁束密度が高く、高トルク化及び低コスト が図れる。特に異なる磁性粉体を層状に配 するとよい。尚、この永久磁石の成形方法 しては、同一型内で夫々の磁性粉体を層状 別々もしくは同時に圧縮成形した後、SiO 2 の前駆体を含浸させることが考えられる。

 また、上記実施例では、回転子鉄心の表 に永久磁石を貼り付けるか、回転子鉄心に 石挿入孔を形成して、この磁石挿入孔内に 久磁石を挿入するようにしたが、上記実施 の永久磁石を用いれば容易に円筒形状に成 することができるので永久磁石を円筒状に 形し、この円筒状の永久磁石を回転子鉄心 外側に配置固定してもよい。このような円 状の永久磁石は、回転子鉄心に対して軸方 から挿入するだけでよいので製造が容易と ると共に、永久磁石が破損しない限り、遠 力によって永久磁石が回転子鉄心から離れ しまうことはない。また、上記実施例の永 磁石を用いれば円筒形状の内周径と外周径 高精度に成形することが可能であるため、 成形後に切削加工を施さなくても回転子鉄 の外周と永久磁石の内周との間の隙間をで るだけ小さくすることが可能であり、更に 定子と永久磁石の外周との間の隙間も精度 くすることが可能となる。

 また、上記実施例の永久磁石を用いれば 1つの永久磁石の中に異方性と等方性の両方 を備えた永久磁石を製造することが可能とな る。回転電機に用いる場合には、隣の極に近 い側を異方性とし、その間を等方性とした方 がよく、このように構成すれば、着磁を良好 に行うことができる。

 また、一般的な磁性粉体は扁平した板状 呈しているが、上記実施例の永久磁石は、 着剤を含浸する前に圧縮成形することから 図10に示したように磁性粉体の扁平する方 がほぼ同一方向を向くようになる。ここで 転電機に用いた場合には、扁平した面が固 子側に向くように構成すれば、扁平してい い側の面が固定子側に向くより、優れた磁 特性を得ることができる。また、磁性粉体 扁平した面の方向を着磁する方向と一致さ ることで着磁も良好に行うことができる。 に扁平した面の方向から圧縮される方が扁 していない面の方向から圧縮されるよりも い強度を有しているので、応力が作用する 向に扁平した面が向くように構成するとよ 。例えば、遠心力の作用する方向に扁平し 面が向くように構成することが考えられる

 また、上記第1実施例においては、同等の 回転電機として説明したが、第1の回転電機 低速高トルク型の回転電機とし、第2の回転 機を高速低トルク型の回転電機に構成して 第1の回転電機は、主に駆動することをメイ ンに行い、第2の回転電機は、主に発電する とをメインに行うようにしてもよい。この き、第1の回転電機は、小型で高トルクの特 が要求されることから回転子の磁極として 束密度の高い焼結磁石を用いるとよい。こ に対して、第2の回転電機は、トルクはあま り必要ないが、高速回転時に連れ回る際の鉄 損を低減することが望まれている。ここで第 2の回転電機における回転子の磁極として磁 密度の高い焼結磁石を用いた場合、高速回 時に連れ回されると、鉄損は、永久磁石の 束密度の2乗に比例して大きくなるため、あ り有効ではない。そこで第2の回転電機にお ける回転子の磁極として上記実施例で用いた ような、磁性粉体をSiO系の材料で結着して構 成した永久磁石を用い、リラクタンストルク の利用率を第1の回転電機より大きくするこ により車両の総合効率を向上させることが きる。

 また、上記実施例において、SiO 2 を磁性粉体の結着剤として用いたが、SiO 2 を絶縁体として用いることも考えられる。具 体的には、回転子鉄心や固定子鉄心に用いら れる積層鋼板の夫々の鋼板間にSiO 2  を介在させてもよい。この場合、積層鋼板 一枚一枚に接着剤を塗布して一体化させる 要がなく、積層鋼板を積層させた状態でSiO 2  の前駆体に浸けることで粘度の低いSiO 2  の前駆体は、鋼板間に入り込み各鋼板同士 結着させることができる。

 また、SiO 2 の前駆体を別の用途で使用する方法として、 コイルにSiO 2 の前駆体を塗布することでコイルの表面に絶 縁層を形成することが考えられる。SiO 2  の前駆体は粘度が低いため、束になって巻 されているコイルの夫々に絶縁層を形成す ことも可能である。このようにSiO 2  の前駆体を塗布することでどんなに狭い箇 でも絶縁機能を有した高硬度の表面処理を すことができる。

 次に、上記の各実施形態から把握し得る 求項に記載以外の発明について、以下にそ 作用効果と共に記載する。

 (1)固定子に対して回転子が相対回転を行 永久磁石式回転電機であって、前記固定子 、周方向に複数のスロットを有する固定子 心と、該固定子鉄心の前記スロット内に巻 される固定子巻線とから構成されており、 記回転子は、周方向に異なった磁極が形成 れるように着磁された永久磁石を有してお 、該永久磁石は、磁性粉体を結着して構成 れ、該磁性粉体の粒子の大きさは位置によ て異なっていることを特徴とする永久磁石 回転電機。このように構成することにより 用途に応じて優れた磁気特性が必要な箇所 粒子の大きな磁性粉体を用いることが可能 なる。

 (2)(1)に記載の永久磁石式回転電機であっ 、前記永久磁石は、角部を有する形状に成 されており、該角部における前記磁性粉体 粒子が他の部位に比べて大きいことを特徴 する永久磁石式回転電機。このように構成 ることにより、減磁の厳しい角部の磁気特 を改善することが可能となる。

 (3)(1)に記載の永久磁石式回転電機であっ 、前記永久磁石は、前記固定子と対向する 面側における前記磁性粉体の粒子が他の部 に比べて大きいことを特徴とする永久磁石 回転電機。このように構成することにより 磁気特性や信頼性を向上させることができ 。

 (4)固定子に対して回転子が相対回転を行 永久磁石式回転電機であって、前記固定子 、周方向に複数のスロットを有する固定子 心と、該固定子鉄心の前記スロット内に巻 される固定子巻線とから構成されており、 記回転子は、周方向に異なった磁極が形成 れるように着磁された永久磁石を有してお 、該永久磁石は、場所によって種類の異な 磁性粉体を結着して構成されていることを 徴とする永久磁石式回転電機。このように 久磁石の特性を場所によって異ならせるこ ができるので、望まれる特性に合った永久 石とすることが可能となる。

 (5)(4)に記載の永久磁石式回転電機であっ 、前記永久磁石は、種類の異なる磁性粉体 層状に配置した状態で結着したことを特徴 する永久磁石式回転電機。磁性粉体は扁平 状となっているため、種類の異なる磁性粉 を層状に構成することで異なる磁性粉体を 確に分けることができ、製造も容易となる

 (6)(4)に記載の永久磁石式回転電機であっ 、前記永久磁石は、前記固定子鉄心に対向 る側に高保磁力の磁性粉体を配置し、前記 定子鉄心から離れる側に高残留磁束密度の 性粉体を配置していることを特徴とする永 磁石式回転電機。このように構成すること より、高残留磁束密度の磁性粉体は、高保 力の磁性粉体よりも希土類含有量が少なく 全体を高保磁力の磁性粉体で成形するより 磁束密度が高く、高トルク化及び低コスト が図れる。

 (7)(4)に記載の永久磁石式回転電機の製造方 であって、前記永久磁石は、同一型内で夫 の磁性粉体を層状に別々もしくは同時に圧 成形した後、SiO 2  の前駆体を含浸させて成形されることを特 とする永久磁石式回転電機の製造方法。こ ように構成することにより、場所によって 性の異なる永久磁石を容易に製造すること 可能となる。

 (8)固定子に対して回転子が相対回転を行 永久磁石式回転電機であって、前記固定子 、周方向に複数のスロットを有する固定子 心と、該固定子鉄心の前記スロット内に巻 される固定子巻線とから構成されており、 記回転子は、回転子鉄心と、該回転子鉄心 外周に配置され、周方向に異なった磁極が 成されるように着磁された永久磁石とを有 ており、該永久磁石は、磁性粉体をSiO系の 料にて結着して円筒形状に構成されて前記 転子鉄心に装着されていることを特徴とす 永久磁石式回転電機。このように構成する とにより、永久磁石の部品点数を低減でき 組付け性も向上させることができる。また 遠心力が作用した際にも永久磁石の脱落を ぐことが可能となる。

 (9)固定子に対して回転子が相対回転を行 永久磁石式回転電機であって、前記固定子 、周方向に複数のスロットを有する固定子 心と、該固定子鉄心の前記スロット内に巻 される固定子巻線とから構成されており、 記回転子は、周方向に異なった磁極が形成 れるように着磁された永久磁石を有してお 、該永久磁石は、異方性の場所と等方性の 所を両方有していることを特徴とする永久 石式回転電機。このように永久磁石を場所 よって等方性としたり、異方性としたりす ことができるので、望まれる特性に合った 久磁石とすることが可能となる。

 (10)(9)に記載の永久磁石式回転電機であっ て、隣の極に近い側を異方性とし、その間を 等方性としたことを特徴とする永久磁石式回 転電機。このように構成することにより着磁 を良好に行うことができる。

 (11)固定子に対して回転子が相対回転を行 う永久磁石式回転電機であって、前記固定子 は、周方向に複数のスロットを有する固定子 鉄心と、該固定子鉄心の前記スロット内に巻 装される固定子巻線とから構成されており、 前記回転子は、周方向に異なった磁極が形成 されるように着磁された永久磁石を有してお り、該永久磁石は、扁平した磁性粉体を結着 して構成され、夫々の該磁性粉体は、扁平し た面の方向がほぼ前記固定子鉄心側に向いて いることを特徴とする永久磁石式回転電機。 このように構成すると、扁平していない側の 面が固定子側に向くより、優れた磁気特性を 得ることができる。

 (12)固定子に対して回転子が相対回転を行 う永久磁石式回転電機であって、前記固定子 は、周方向に複数のスロットを有する固定子 鉄心と、該固定子鉄心の前記スロット内に巻 装される固定子巻線とから構成されており、 前記回転子は、周方向に異なった磁極が形成 されるように着磁された永久磁石を有してお り、該永久磁石は、扁平した磁性粉体を結着 して構成され、該磁性粉体は、扁平した面の 方向が着磁する方向とほぼ一致していること を特徴とする永久磁石式回転電機。このよう に構成することにより、着磁を良好に行うこ とができる。

 (13)固定子に対して回転子が相対回転を行 う永久磁石式回転電機であって、前記固定子 は、周方向に複数のスロットを有する固定子 鉄心と、該固定子鉄心の前記スロット内に巻 装される固定子巻線とから構成されており、 前記回転子は、周方向に異なった磁極が形成 されるように着磁された永久磁石を有してお り、該永久磁石は、扁平した磁性粉体を結着 して構成され、該磁性粉体は、扁平した面の 方向が応力の作用する方向とほぼ一致してい ることを特徴とする永久磁石式回転電機。こ のように構成することにより、応力に対する 永久磁石の耐久性を向上させることができる 。

 (14)(13)に記載の永久磁石式回転電機であ て、前記磁性粉体の扁平した面の方向は、 心力が作用する方向とほぼ同一方向を向い いることを特徴とする永久磁石式回転電機 このように構成することにより、回転子が 転する際に作用する遠心力に対する永久磁 の耐久性を向上させることができる。

 (15)エンジンと回転電機により駆動される ハイブリット車両であって、前記回転電機は 、主に車両の駆動を行う第1の回転電機と、 第1の回転電機よりも高速で回転することが 能で、かつ、前記第1の回転電機よりも最大 トルクが小さい、主に発電を行う第2の回転 機を有し、前記第1の回転電機は、磁極とし 焼結磁石を用いており、前記第2の回転電機 は、磁極として磁性粉体をSiO系の材料にて結 着した永久磁石を用い、更に前記第1の回転 機よりも多くのリラクタンストルクが得ら るように構成されていることを特徴とする イブリット車両。尚、前記第1の回転電機は リラクタンストルクが得られなくても構わ い。このように構成することにより、第1の 回転電機は、小型で高トルクを得ることがで き、第2の回転電機は、高速回転の時に連れ された場合の鉄損を少なくできるので車両 総合効率を向上させることができる。

 (16)固定子に対して回転子が相対回転を行う 回転電機であって、前記固定子は、周方向に 複数のスロットを有する固定子鉄心と、該固 定子鉄心の前記スロット内に巻装される固定 子巻線とから構成されており、前記回転子は 、鋼板を積層することにより構成された回転 子鉄心と、該回転子鉄心の周方向に異なった 磁極を生じさせる磁極部とから構成されてお り、前記回転子鉄心における夫々の前記鋼板 の間にSiO 2  を介在させたことを特徴とする回転電機。 層された鋼板をSiO 2 の前駆体に浸けることで粘度の低いSiO 2 の前駆体は、鋼板間に入り込み各鋼板同士を 結着させることができる。

 (17)固定子に対して回転子が相対回転を行う 回転電機であって、前記固定子は、周方向に 複数のスロットを有する固定子鉄心と、該固 定子鉄心の前記スロット内に巻装される固定 子巻線とから構成されており、前記回転子は 、周方向に異なった磁極を有しており、前記 固定子巻線の表面にはSiO 2  の層が形成されていることを特徴とする回 電機。SiO 2  の前駆体は粘度が低いため、束になって巻 されているコイルの夫々に絶縁層を形成す ことも可能である。このようにSiO 2  の前駆体を塗布することでどんなに狭い箇 でも絶縁機能を有した高硬度の表面処理を すことができる。
 上記記載は実施例についてなされたが、本 明はそれに限らず、本発明の精神と添付の 求の範囲の範囲内で種々の変更および修正 することができることは当業者に明らかで る。

本発明の一実施の形態を示すシステム 。 図1の回転電機を駆動するための電気回 路。 図1の回転電機の回転軸に沿った断面図 。 図1の回転電機の回転軸に垂直な面での 断面図。 集中巻モータの断面図。 磁石の固定方法に関する実施例。 磁石組体の製造工程を説明する図。 磁石組体の製造工程における他の実施 。 磁石組体の製造工程における他の実施 。 製造された磁石の断面図。 磁石の実験結果を示す図。 電動パワーステアリングの構成図。 図13を動かすための回路構成。 EPS用モータの代表的な断面図。 2分割してスキューする実施例。 3分割してスキューする実施例。 スキューの方式とコギングトルクの関 係。 連続的なスキュー方式の実施例となる 磁石形状。 スキューがトルク脈動を消す原理。 略V字の連続的なスキュー形状の磁石 施例。 回転子のアンバランスを計測する装置 。 2極6スロット、あるいは、2極12スロッ のモータにおける起磁力の高調波成分。 8極9スロット、あるいは、10極9スロッ のモータにおける起磁力の高調波成分。 2極3スロット系列と4極3スロット系列 モータにおける起磁力の高調波成分。 10極12スロットと14極2スロットのモー における起磁力の高調波成分。 希土類磁性粉を模式的に描いた図。 磁性粉を圧縮成形した場合の磁性粉の 配列を模式的に示した図。 かまぼこ型の永久磁石を示した図。 かまぼこ型の永久磁石を回転子鉄心に 取り付けた状態を回転軸に垂直な断面で示し た図。 円筒型磁石の製造方法の説明図。 固定子側面を曲面とした円筒磁石を使 用した回転子を回転軸に垂直な面で断面下し た状態を示す図。

符号の説明

 100 電気自動車
 200,202 回転電機
 230 固定子
 232 固定子鉄心
 250 回転子
 252 回転子鉄心
 254,256 永久磁石
 300 EPS
 401 永久磁石回転電機