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Title:
PHARMACEUTICAL AGENT COMPRISING DOPAMINE D2-LIKE RECEPTOR AGONIST AS ACTIVE INGREDIENT AND SCREENING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/090940
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a pharmaceutical agent which is effective on a disease induced by the over-response of Th2 or Th17 (e.g., multiple sclerosis); and a method for efficient screening of the pharmaceutical agent. Specifically disclosed are: a pharmaceutical agent for the treatment or prevention of a disease induced by the over-response of Th2 or Th17, which is characterized by comprising a dopamine D2-like receptor agonist as an active ingredient; and a method for screening of the pharmaceutical agent, which is characterized by utilizing the binding to a dopamine D2-like receptor and/or the active effect on a dopamine D2-like receptor as an indicator.

Inventors:
MATSUSHITA SHO (JP)
NAKANO KAZUHISA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050939
Publication Date:
July 31, 2008
Filing Date:
January 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
IMMNO INC (JP)
UNIV SAITAMA MEDICAL (JP)
MATSUSHITA SHO (JP)
NAKANO KAZUHISA (JP)
International Classes:
A61K45/00; A61K31/4045; A61K31/428; A61P3/10; A61P11/06; A61P13/12; A61P17/00; A61P17/06; A61P19/02; A61P21/00; A61P25/00; A61P29/00; A61P37/06; A61P37/08; A61P43/00
Foreign References:
JP2006516549A2006-07-06
Other References:
DIJKSTRA C.D. ET AL.: "Therapeutic effect of the D2-dopamine agonist bromocriptine on acute and relapsing experimental allergic encephalomyelitis", PSYCHONEUROENDOCRINOLOGY, vol. 19, no. 2, 1994, pages 135 - 142, XP024386762, DOI: doi:10.1016/0306-4530(94)90003-5
Attorney, Agent or Firm:
NAGAHAMA, Noriaki (Muraki Bldg. 8th Floor2-10-10, Yaesu, Chuo-ku, Tokyo 28, JP)
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Claims:
 Th2又はTh17の過剰反応に起因する疾患の治療又は予防のための医薬であって、ドーパミンD2様受容体アゴニストを有効成分とする医薬。
 ドーパミンD2様受容体アゴニストが非麦角系である請求項1に記載の医薬。
 ドーパミンD2様受容体アゴニストが、塩酸プラミペキソール水和物及び塩酸ロピニロールからなる群より選択される少なくともいずれかである請求項2に記載の医薬。
 Th2又はTh17の過剰反応に起因する疾患が、多発性硬化症、関節リウマチ、自己免疫性筋炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、慢性GVHD、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、乾癬、炎症性腸炎、及び糸球体腎炎からなる群より選択される少なくともいずれかである請求項1に記載の医薬。
 請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の医薬のスクリーニング方法であって、ドーパミンD2様受容体への結合を指標とするスクリーニング方法。
 請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の医薬のスクリーニング方法であって、ドーパミンD2様受容体に対する活性作用を指標とするスクリーニング方法。
Description:
ドーパミンD2様受容体アゴニス を有効成分とする医薬及びスクリーニング 法

 本発明は、多発性硬化症等のTh2又はTh17の 過剰反応に起因する疾患に対する医薬、及び 前記医薬のスクリーニング方法に関する。

 獲得免疫の中心的役割を担うヘルパーT細 胞は、産生するサイトカインの違いなどから 、細胞性免疫を促進するTh1(タイプ1ヘルパーT 細胞)と液性免疫を促進するTh2(タイプ2ヘルパ ーT細胞)とに分類される。また、樹状細胞(DC) は免疫応答の初期に重要な役割を担う抗原提 示細胞であるが、近年、Th1の誘導を促進(DC1) 又はTh2の誘導を促進(DC2)といった機能的差 をもったサブセットが存在することが明ら となった。これを利用して、ナイーブT細胞 らのTh1やTh2への誘導をDCを介して人為的に 御し、偏向したTh1/Th2バランスを是正する方 はいくつか試みられており、成功例も報告 れ始めている(Morita Yら;Dendritic cells genetica lly engineered to express IL-4 inhibit murine collage n-induced arthritis.J Clin Invest.2001 May;107(10):1275- 84.(文献1))。

 また、従来から、Th1/Th2バランスの異常は 様々な免疫関連疾患の発症に関与すると考え られている。例えば、Th1細胞へのバランス偏 向は、慢性炎症性疾患である関節リウマチや 、臓器特異的自己免疫疾患(例えば、多発性 化症、1型糖尿病、炎症性腸疾患、糸球体腎 、肝炎、肝障害、自己免疫性溶血性貧血、 血球減少症、血小板減少症、脱髄疾患、橋 甲状腺炎、悪性貧血、乾癬)などに関与する と考えられており、また、Th2細胞へのバラン ス偏向は、アレルギー性疾患や、多くの全身 性自己免疫疾患に関与すると考えられている 。一方、近年、複数の論文により、新たなTh 分画であるTh17が報告された。この細胞はも っぱらIL-17を産生することにより、自己免疫 炎症の増悪に関与している。特に前述の多 性硬化症はこのTh17への偏向に起因する疑い が強いと考えられている(Batten,Mら;Interleukin 2 7 limits autoimmune encephalomyelitis by suppressing t he development of interleukin 17-producing T cells.Nat  Immunol.2006.7:929-936.(文献2))。Th17は、Th1とは相 互抑制的に、Th2とは相互増強的に作用する。

 前記したような各種免疫関連疾患を効果 に治療又は予防する方法として、異常とな たTh1/Th2バランスを所望の通りに調整する方 法は数多く提案されており、具体的には、例 えば、TCCR(T細胞サイトカイン受容体)ポリペ チドアンタゴニストを投与することによるTh 1媒介疾患の治療方法(特表2003-512824号公報(文 3));多発性硬化症等の自己免疫疾患により引 き起こされる過剰Th1細胞媒介免疫応答をキサ ントフィルの使用により抑制する方法(特表20 03-510353号公報(文献4));臓器特異的自己免疫疾 等を治療又は予防するための特定のベンズ ドリル誘導体を含む医薬組成物(特開2003-3008 81号公報(文献5));などが提案されている。

 しかしながら、獲得免疫システムには様 な要因が複雑に関与しており、どの免疫関 疾患にTh1偏向、Th2偏向、Th17偏向のいずれが 関与しているかは、未だ推測の域を超えない 面もあると考えられる。したがって、Th1/Th2/T h17偏向と各種疾患との関係性について、より 正確な知見を得ること、及び、各種疾患に対 するより有効な医薬を開発することが、未だ 望まれているのが現状である。

 本発明は、前記従来における諸問題を解 し、Th2又はTh17の過剰反応に起因する疾患( えば、多発性硬化症など)に対する有効な医 、及び前記医薬の効率的なスクリーニング 法を提供することを目的とするものである

 本発明者らは近年、従来Th1の過剰反応に 因すると考えられてきた多発性硬化症等の 患が、実際はTh2又はTh17の過剰反応に起因す る疾患であることを見出し、そのため、例え ばTh1分化を積極的に誘導することなどによっ て、前記多発性硬化症等の疾患を効果的に治 療又は予防できることを見出した(特願2006-211 881参照)。そこで、本発明者らは、これに関 して更なる鋭意検討を行った結果、塩酸プ ミペキソール水和物、塩酸ロピニロール等 ドーパミンD2様受容体アゴニストを用いるこ とによれば、前記したようなTh2又はTh17の過 反応に起因する疾患(例えば、多発性硬化症 ど)に対して優れた臨床的効果を奏すること ができることを新たに見出し、本発明を完成 させた。

 本発明は、本発明者らによる前記知見に づくものであり、前記課題を解決するため 手段としては、以下の通りである。

 <1> Th2又はTh17の過剰反応に起因する 患の治療又は予防のための医薬であって、 ーパミンD2様受容体アゴニストを有効成分 する医薬である。

 <2> ドーパミンD2様受容体アゴニスト が非麦角系である<1>に記載の医薬である 。

 <3> ドーパミンD2様受容体アゴニスト が、塩酸プラミペキソール水和物及び塩酸ロ ピニロールからなる群より選択される少なく ともいずれかである<2>に記載の医薬であ る。

 <4> Th2又はTh17の過剰反応に起因する 患が、多発性硬化症、関節リウマチ、自己 疫性筋炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎 慢性GVHD、1型糖尿病、全身性エリテマトー ス、乾癬、炎症性腸炎、及び糸球体腎炎か なる群より選択される少なくともいずれか ある<1>に記載の医薬である。

 <5> 前記<1>から<4>のうちの ずれかに記載の医薬のスクリーニング方法 あって、ドーパミンD2様受容体への結合を指 標とするスクリーニング方法である。

 <6> 前記<1>から<4>のうちの ずれかに記載の医薬のスクリーニング方法 あって、ドーパミンD2様受容体に対する活性 作用を指標とするスクリーニング方法である 。

 本発明によると、従来における諸問題を 決することができ、Th2又はTh17の過剰反応に 起因する疾患(例えば、多発性硬化など)に対 る有効な医薬、及び前記医薬の効率的なス リーニング方法を提供することができる。

図1は、ドーパミンD2様受容体アゴニス (カバサール、パーロデル、ビ・シフロール )の、EAEに対する効果(予防的効果)を示したグ ラフである。(縦軸は各群のEAE臨床スコアの 均値を、横軸はEAE誘導開始後の日数を示す ) 図2は、ドーパミンD2様受容体アゴニス (レキップ)の、EAEに対する効果(治療的効果) を示したグラフである。(縦軸は各群のEAE臨 スコアの平均値を、横軸は経口投与開始後 日数を示す。) 図3は、ドーパミンD2様受容体アゴニス (カバサール、レキップ)の細胞内cAMP濃度に する効果を示したグラフである。

 (医薬)
 本発明の医薬は、Th2又はTh17の過剰反応に起 因する疾患の治療又は予防のために使用され 得る医薬であり、ドーパミンD2様受容体アゴ ストを有効成分として含有し、更に必要に じてその他の成分を含有してなる。

 <ドーパミンD2様受容体アゴニスト>
 「ドーパミン受容体」にはD1~D5までの5つの ブタイプが存在し、Gタンパク質と共役して 細胞内にシグナルを送る働きを有することが 一般に知られている。前記D1及びD5は「ドー ミンD1様受容体」として、アデニルシクラー ゼ活性を上昇させ、cAMP濃度を上昇させるGsタ ンパクと共役することが知られている。一方 で、前記D2~D4は「ドーパミンD2様受容体」と て、アデニルシクラーゼ活性を抑制するGiタ ンパクと共役することが知られている。した がって、前記「ドーパミンD2様受容体アゴニ ト」としては、前記ドーパミン受容体のサ タイプD2~D4の少なくともいずれかの作用を 性化させる働きを有する物質を使用するこ ができる。

 即ち、前記ドーパミンD2様受容体アゴニ トとしては、特に制限はなく、目的に応じ 適宜選択することができ、例えば、公知の ーパミンD2様受容体アゴニスト(ドーパミンD2 様受容体作用薬)を使用してもよいし、後述 る本発明のスクリーニング方法により、ド パミンD2様受容体に対する結合能力及び/又 ドーパミンD2様受容体に対する活性作用を有 すると評価された物質を使用してもよい。

 前記ドーパミンD2様受容体アゴニストの 体例としては、例えば、塩酸プラミペキソ ル水和物、塩酸ロピニロール、塩酸タリペ ソール、ロチゴチンなどの非麦角系のドー ミンD2様受容体アゴニスト、及び、カベルゴ リン、メシル酸ブロモクリプチンなどの麦角 系のドーパミンD2様受容体アゴニストが挙げ れるが、これらの中でも、塩酸プラミペキ ール水和物や塩酸ロピニロール等の非麦角 のドーパミンD2様受容体アゴニストが特に ましい。なお、前記塩酸プラミペキソール 和物は、商品名「ビ・シフロール」として 本ベーリンガーインゲルハイム株式会社か 、前記塩酸ロピニロールは、商品名「レキ プ」としてグラクソ・スミスクライン株式 社から、前記塩酸タリペキソールは、商品 「ドミン」として日本ベーリンガーインゲ ハイム株式会社から、前記ロチゴチンは、 品名「ニュープロ」としてシュワルツワー 社から、前記カベルゴリンは、商品名「カ サール」としてファイザー株式会社から、 記メシル酸ブロモクリプチンは、商品名「 ーロデル」としてノバルティスファーマ株 会社から、それぞれ入手することができる

 前記医薬中の前記ドーパミンD2様受容体 ゴニストの含有量は、特に制限はなく、目 に応じて適宜選択することができ、また、 記医薬は前記ドーパミンD2様受容体アゴニス トそのものであってもよい。

 <その他の成分>
 前記その他の成分としては、特に制限はな 、本発明の効果を損なわない範囲内で、目 に応じて適宜選択することができ、例えば 医薬的に許容され得る担体などが挙げられ 。前記担体としても、特に制限はなく、例 ば、後述する前記医薬の剤型等に応じて適 選択することができる。また、前記医薬中 前記その他の成分の含有量としても、特に 限はなく、目的に応じて適宜選択すること できる。

 <剤型、製造>
 前記医薬の剤型としては、特に制限はなく 例えば、所望の投与方法に応じて適宜選択 ることができ、例えば、経口固形剤(錠剤、 被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等)、 口液剤(内服液剤、シロップ剤、エリキシル 等)、注射剤(溶液、懸濁液、用事溶解用固 剤等)、坐剤、軟膏剤、貼付剤、ゲル剤、ク ーム剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散剤 どが挙げられる。

 前記経口固形剤としては、例えば、前記 ーパミンD2様受容体アゴニストに、賦形剤 更には必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢 、着色剤、矯味・矯臭剤等の添加剤を加え 常法により製造することができる。

 前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白 、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、 酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロー 、珪酸などが挙げられる。前記結合剤とし は、例えば、水、エタノール、プロパノー 、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、 ラチン液、カルボキシメチルセルロース、 ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ ロピルスターチ、メチルセルロース、エチ セルロース、シェラック、リン酸カルシウ 、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる 前記崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプ 、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭 水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリ 硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセ ド、乳糖などが挙げられる。前記滑沢剤と ては、例えば、精製タルク、ステアリン酸 、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが げられる。前記着色剤としては、例えば、 化チタン、酸化鉄などが挙げられる。前記 味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮 クエン酸、酒石酸などが挙げられる。

 前記経口液剤としては、例えば、前記ド パミンD2様受容体アゴニストに、矯味・矯 剤、緩衝剤、安定化剤等の添加剤を加え、 法により製造することができる。

 前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白 、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられ 。前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸 トリウムなどが挙げられる。前記安定化剤 しては、例えば、トラガント、アラビアゴ 、ゼラチンなどが挙げられる。

 前記注射剤としては、例えば、前記ドー ミンD2様受容体アゴニストに、pH調節剤、緩 衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を 添加し、常法により皮下用、筋肉内用、静脈 内用等の注射剤を製造することができる。

 前記pH調節剤及び前記緩衝剤としては、 えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウ 、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。前 安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナ リウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸 どが挙げられる。前記等張化剤としては、 えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙 られる。前記局所麻酔剤としては、例えば 塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどが挙 られる。

 前記坐剤としては、例えば、前記ドーパ ンD2様受容体アゴニストに、ポリエチレン リコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸ト グリセリド等の公知の坐剤製剤用担体と、 要に応じてツイーン(TWEEN:登録商標)等の界面 活性剤などを加えた後、常法により製造する ことができる。

 前記軟膏剤としては、例えば、前記ドー ミンD2様受容体アゴニストに、公知の基剤 安定剤、湿潤剤、保存剤等を配合し、常法 より混合し、製造することができる。

 前記基剤としては、例えば、流動パラフ ン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オク ルドデシルアルコール、パラフィンなどが げられる。前記保存剤としては、例えば、 ラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息 酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルな が挙げられる。

 前記貼付剤としては、例えば、公知の支 体に前記軟膏剤としてのクリーム剤、ゲル 、ペースト剤等を、常法により塗布し、製 することができる。前記支持体としては、 えば、綿、スフ、化学繊維からなる織布、 織布、軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポ ウレタン等のフィルム、発泡体シートなど 挙げられる。

 <対象疾患>
 前記医薬の対象疾患としては、特に制限は く、Th2又はTh17の過剰反応に起因する疾患の 中から、目的に応じて適宜選択することがで きる。ここで、Th2又はTh17の過剰反応とは、 ルパーT細胞におけるTh1(タイプ1ヘルパーT細 )、Th2(タイプ2ヘルパーT細胞)、Th17(タイプ17 ルパーT細胞)のバランスが、それぞれ、異 にTh2又はTh17に偏向した状態のことをいい、 れら過剰反応に起因する疾患としては、従 から、例えば、アレルギー性疾患や多くの 身性自己免疫疾患などが知られている。ま 、近年、本発明者らによって、従来Th1過剰 応に起因すると考えられていた多発性硬化 等の疾患が、実際はTh2又はTh17の過剰反応に 起因する疾患であることが示された(特願2006- 211881参照)。したがって、前記Th2又はTh17の過 反応に起因する疾患としては、従来からTh2 はTh17の過剰反応に起因する疾患として知ら れているアレルギー性疾患や多くの全身性自 己免疫疾患に加え、更に、従来はTh1過剰反応 に起因するとされていた、多発性硬化症や関 節リウマチ等の疾患も挙げることができる。 Th17又はTh2過剰反応に起因する疾患か否かは 例えば、ドーパミンD2様受容体を活性化する ことにより、その疾患に対して予防あるいは 治療の効果があるか否かにより評価すること が可能である。ドーパミンD2様受容体を活性 する薬剤(アゴニスト)は、上記の通り、公 である。本発明における対象疾患としては 多発性硬化症、関節リウマチ、自己免疫性 炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、慢性GV HD、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、乾 癬、炎症性腸炎、糸球体腎炎が特に好適であ る。

 <投与>
 前記医薬の投与対象としては、特に制限は く、目的に応じて適宜選択することができ 例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブ 、サルなどが挙げられる。

 また、前記医薬の投与方法としては、特 制限はなく、前記医薬の剤型等に応じて適 選択することができ、例えば、経口投与、 射による投与などが挙げられる。

 また、前記医薬の投与量としては、特に 限はなく、投与対象である患者の年齢、体 、性別、症状等に応じて適宜選択すること できるが、ヒト成人1日あたり、有効成分で ある前記ドーパミンD2様受容体アゴニストの として、0.1~30mg程度が好ましいと考えられ 。また、前記医薬の投与頻度としても、特 制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ ができ、例えば、前記1日あたりの投与量を 1日に1回で投与してもよいし、複数回に分 て投与してもよい。

 また、前記医薬の投与時期としても、特 制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ ができ、例えば、前記疾患の発症前に予防 に投与されてもよいし、前記疾患の発症後 治療的に投与されてもよい。前記医薬は、 症前の投与、及び発症後の投与のいずれに いても、前記Th2又はTh17の過剰反応に起因す る疾患に対して優れた効果を奏することがで きる。

 (スクリーニング方法)
 本発明のスクリーニング方法は、本発明の 記医薬をスクリーニングするための方法で り、例えば、ドーパミンD2様受容体への結 を指標とする方法(第1のスクリーニング方法 )、及び、ドーパミンD2様受容体に対する活性 作用を指標とする方法(第2のスクリーニング 法)が挙げられる。

 <第1のスクリーニング方法(結合を指標)> ;
 前記第1のスクリーニング方法としては、前 記ドーパミンD2様受容体への結合を指標とす 方法であれば、特に制限はなく、目的に応 て適宜選択することができ、例えば、(a)被 物質のドーパミンD2様受容体への結合能力 評価する工程、及び、(b)前記工程(a)で前記 ーパミンD2様受容体への結合能力を有すると 評価された前記被験物質を選択する工程、を 含む方法などが挙げられる。

 なお、前記被験物質としては、特に制限 なく、例えば、前記医薬の候補物質の中か 、目的に応じて適宜選択することができる

 -(a)評価工程-
 前記評価工程における、前記被験物質の前 ドーパミンD2様受容体への結合能力の評価 法としては、特に制限はなく、目的に応じ 適宜選択することができ、例えば、ドーパ ンD2様受容体タンパク質を発現させた細胞株 と前記被験物質との結合アッセイによる方法 などが挙げられる。

 なお、例えば、ドーパミンD2様受容体の 現に関してのみ相違のある2種類の細胞株へ 前記被験物質の結合の程度に差があるとい 結果が得られた場合、前記被験物質は、前 ドーパミンD2様受容体に対して結合能力を していると評価することができる。

 -(b)選択工程-
 前記選択工程では、前記工程(a)で前記ドー ミンD2様受容体への結合能力を有すると評 された前記被験物質を選択する。

 <第2のスクリーニング方法(活性作用を指 )>
 前記第2のスクリーニング方法としては、前 記ドーパミンD2様受容体に対する活性作用を 標とする方法であれば、特に制限はなく、 的に応じて適宜選択することができ、例え 、(a’)被験物質のドーパミンD2様受容体に する活性作用を評価する工程、及び(b’)前 工程(a’)で前記ドーパミンD2様受容体に対す る活性作用を有すると評価された前記被験物 質を選択する工程、を含む方法などが挙げら れる。

 -(a’)評価工程-
 前記評価工程における、前記被験物質の前 ドーパミンD2様受容体に対する活性作用を 価する方法としては、特に制限はなく、目 に応じて適宜選択することができ、例えば 前記被験物質存在下での、細胞内cAMP濃度、 胞内ドーパミン(DA)合成量、細胞内ドーパミ ン(DA)貯蔵量等の変化を調べる方法などが挙 られる。前記各種変化は、例えば、従来公 の手法を用いて調べることができる。

 なお、例えば、前記被験物質存在下では 前記被験物質非存在下と比較して、細胞内c AMP濃度が低下し、細胞内DA合成量が減少し、 び/又は細胞内DA貯蔵量が減少するという結 が得られた場合、前記被験物質は、前記ド パミンD2様受容体に対する活性作用を有し いると評価することができる。

 -(b’)選択工程-
 前記選択工程では、前記工程(a’)で前記ド パミンD2様受容体に対する活性作用を有す と評価された前記被験物質を選択する。

 前記スクリーニング方法としては、前記 1のスクリーニング及び前記第2のスクリー ングのいずれかのみを行ってもよいし、両 を行ってもよいが、効率的に前記医薬を選 することができる点で、両者を行うことが ましい。この場合、前記第1のスクリーニン 及び前記第2のスクリーニングをこの順に行 うことにより、より効率的に前記医薬を選択 することができる。

 以下に本発明の実施例を説明するが、本 明は、これらの実施例に何ら限定されるも ではない。

 (実施例1:EAEモデルマウスにおけるドーパミ D2様受容体アゴニストの効果(1))
 多発性硬化症のモデルとされる実験的自己 疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導したマウスに、ド パミンD2様受容体アゴニストを投与し、その 効果(予防的効果)を検討した。

 <方法>
 6週齢のSJL/Jマウス(雌)にPLP139-151(100μg)+CFA(100 μg)を皮下注射し(day0)、EAE誘導を開始した。da y3より、以下に示す各種ドーパミンD2様受容 アゴニストを、各群4匹ずつに、1日おきに経 口投与し、EAE臨床スコアを観察した。各種ド ーパミンD2様受容体アゴニストは、リン酸緩 生理食塩水(PBS)で溶解し、以下に示す各用 で投与した。また、コントロール群にはPBS みを投与した。

 なお、各種ドーパミンD2様受容体アゴニ トについて、「カバサール」(一般名;カベル ゴリン)はファイザー株式会社より、「パー デル」(一般名;メシル酸ブロモクリプチン) ノバルティスファーマ株式会社より、「ビ シフロール」(一般名;塩酸プラミペキソール 水和物)は日本ベーリンガーインゲルハイム 式会社より入手したものをそれぞれ使用し 。

 [実験群]
A群:コントロール(PBS)群
B群:カバサール0.3mg/kg/day(一般名;カベルゴリ )群
C群:パーロデル0.2mg/kg/day(一般名;メシル酸ブ モクリプチン)群
D群:ビ・シフロール0.1mg/kg/day(一般名;塩酸プ ミペキソール水和物)群。

 [EAE臨床スコア]
1; 尾の緊張低下
2; 後肢の不全対麻痺
3; 後肢の対麻痺
4; 四肢麻痺
5; 瀕死又は死亡。

 <結果>
 結果を図1に示す。ビ・シフロール投与群で は、コントロール(cont.)群に対して、特に顕 なEAE臨床スコアの減少が見られた。即ち、 ・シフロール投与群では、EAE臨床スコアはEA E誘導開始時からスコア0のまま変化せず、こ は、ビ・シフロールの投与によりEAEの発症 完全に阻止することができたことを示して る(図1)。

 (実施例2:EAEモデルマウスにおけるドーパミ D2様受容体アゴニストの効果(2))
 EAEを誘導したマウスに、ドーパミンD2様受 体アゴニストを投与し、その効果(治療的効 )を検討した。

 <方法>
 6週齢のSJL/Jマウス(雌)にPLP139-151(100μg)+CFA(100 μg)を皮下注射し、EAE誘導を開始した。EAEを 症させたマウス4匹を、2匹ずつ2群に分け、 れぞれをコントロール群とレキップ群とし 。EAE誘導開始後24日目より、レキップ群には 、ドーパミンD2様受容体アゴニストであるレ ップ(一般名;塩酸ロピニロール)を、1日おき に経口投与し、実施例1と同様にEAE臨床スコ を観察した。レキップ(一般名;塩酸ロピニロ ール)は、グラクソ・スミスクライン株式会 より入手したものを使用し、リン酸緩衝生 食塩水(PBS)で溶解し、0.1mg/kg/dayの用量で投与 した。また、コントロール群にはPBSのみを投 与した。

 <結果>
 結果を図2に示す。レキップ投与群では、経 口投与開始後10日目から、コントロール群に して、顕著なEAEスコアの減少が見られた。

 以上のことから、ドーパミンD2様受容体 ゴニストが、多発性硬化症をはじめとするTh 2又はTh17の過剰反応に起因する疾患に対する れた医薬となり得ることが示唆された。中 も非麦角系であるビ・シフロール(一般名; 酸プラミペキソール水和物)及びレキップ(一 般名;塩酸ロピニロール)はその効果が特に顕 であることが判明した。

 (実施例3:麦角系及び非麦角系ドーパミンD2 受容体アゴニストの細胞内cAMP濃度に対する 果)
 10%FCS/RPMIにて培養しているTHP-1細胞をPMA(50ng/ ml)で48時間刺激した。その後、刺激した細胞 回収し、遠心(1200rpm、5min)後、上清を除き、 ドーパミンD2様受容体アゴニストとして、30pg /mlの麦角アルカロイド誘導体であるカバサー ル、及び500pg/mlの非麦角アルカロイド誘導体 あるレキップを添加した。その60分後に1mM  IBMX(PDE阻害剤)で10分間前処理し、1μMのドーパ ミンで10分間刺激した。対照としては、フォ スコリン(陽性対照)を用いた。その後、THP-1 細胞を細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer;Molecular  Devices社)にて融解した後、CatchPoint Cyclic-AMP Fluorescent Assay Kit(Bulk kit)(Molecular Devices社) 用いて細胞内cAMPを測定し、その結果を統計 析ソフト(statview)にて解析した。その結果、 図3に示すように、ドーパミン(-)において、 キップで前処理した場合、有意にcAMP濃度は 下したが、ドーパミン刺激をした場合でも cAMP濃度は低下していた。一方、カバサール で前処理した場合、ドーパミン(-)において、 有意にcAMP濃度が上昇したが、ドーパミン刺 をした場合でもcAMP濃度は維持された。

 なお、本発明者らは以前に、多発性硬化 がTh2又はTh17の過剰反応に起因する疾患であ ることを見出し、そのため、例えばTh1分化を 積極的に誘導することなどによって、前記疾 患を効果的に治療又は予防できることを見出 した(特願2006-211881参照)。本発明についても 前記ビ・シフロール(一般名;塩酸プラミペキ ソール水和物)、レキップ(一般名;塩酸ロピニ ロール)等のドーパミンD2様受容体アゴニスト 、好ましくは非麦角系のドーパミンD2様受容 アゴニストの投与により、まず樹状細胞に けるドーパミンD2様受容体が活性化され、 れにより、樹状細胞からシグナルを受けた イーブT細胞のTh1分化が誘導されて、Th1/Th2/Th 17のバランスをTh1に偏向させるという作用メ ニズムが推測される。そして、このメカニ ムにおいて、樹状細胞内におけるcAMP濃度の 低下が関与していると推測される。樹状細胞 におけるD2、D3受容体の発現は低レベルであ ため、ドーパミンD2様受容体アゴニストがナ イーブT細胞やメモリーT細胞に直接作用してT h1への偏向を誘導した可能性もある。前記ド パミンD2様受容体アゴニストは、多発性硬 症のみならず、Th2やTh17の過剰反応に起因す 疾患に対して広く臨床的効果を奏すること 期待される。

 本発明の医薬は、Th2やTh17の過剰反応に起 因する疾患(例えば、多発性硬化症、関節リ マチ、自己免疫性筋炎、気管支喘息、アト ー性皮膚炎、慢性GVHD,1型糖尿病、全身性エ テマトーデス、乾癬、炎症性腸炎、糸球体 炎など)の治療又は予防剤として有用であり また、本発明のスクリーニング方法は、前 医薬を効率的にスクリーニングする方法と て有用である。