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Patent Searching and Data


Title:
PHARMACEUTICAL COMPOSITION FOR TREATMENT OF FIBROMYALGIA
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/025091
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a novel therapeutic agent for fibromyalgia. A pharmaceutical composition comprising tizanidine as an active ingredient can be used as a therapeutic agent for fibromyalgia. The pharmaceutical composition can ameliorate a pain associated with fibromyalgia and can also ameliorate a sleep disorder, a feeling of fatigue and a depressive condition associated with fibromyalgia, and is therefore useful as a therapeutic agent for fibromyalgia.

Inventors:
OSADA KENICHI
Application Number:
PCT/JP2008/002282
Publication Date:
February 26, 2009
Filing Date:
August 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV SCHOOL ST MARIANNA (JP)
OSADA KENICHI
International Classes:
C07D417/12; A61K31/433; A61K35/36; A61P21/00; A61P25/20; A61P25/22; A61P25/24
Domestic Patent References:
WO2004039383A12004-05-13
Foreign References:
US20030130353A12003-07-10
Other References:
MITSUKO SATO ET AL.: "Sen'ikinsho ni taisuru shinshin igakuteki approach", JAPANESE JOURNAL OF PSYCHOSOMATIC MEDICINE, vol. 45, no. 11, 1 November 2005 (2005-11-01), pages 885
MITSUKO SATO ET AL.: "Sen'ikinshu ni taisuru shinshin igakuteki approach", PSYCHOSOMATIC MEDICINE, vol. 8, no. 3, 28 May 2004 (2004-05-28), pages 214 - 219
YOSHIFUMI IRIE: "Sen'ikinsho ni keishito ga soko shita 2 rei", KANPO KENKYU, no. 12 GATSUGO, 20 December 2006 (2006-12-20), pages 410 - 413
Attorney, Agent or Firm:
WASHIDA, Kimihito (Shintoshicenter Bldg. 24-1, Tsurumaki1-chome, Tama-sh, Tokyo 34, JP)
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Claims:
 チザニジンを含む、線維筋痛症を治療するための医薬組成物。
 さらに抗うつ薬を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
 さらに抗不安薬を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
 さらにワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
 さらに睡眠薬を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
Description:
線維筋痛症治療用医薬組成物

 本発明は、線維筋痛症を治療するための 薬組成物に関する。

 線維筋痛症は、中高年の女性を中心に発 する全身的慢性疼痛疾患である。多くの場 、体幹部や肩関節などで疼痛が始まり、次 に全身の筋肉や関節などに疼痛の範囲が拡 する。このとき、疼痛の範囲の拡大に対応 て疼痛の程度も激しくなることが多い。米 リウマチ学会で提唱された診断基準では、 身18箇所の特徴的な圧痛点を指圧して11箇所 以上で疼痛を感じた場合に線維筋痛症と診断 される。また、線維筋痛症は、筋骨格筋の痛 みを主体とした多様な慢性疼痛に加えて、不 眠や抑うつ状態などの様々な精神症状を伴う ことが多い。したがって、この病気が進行す ると、QOLの低下のみならず生活機能障害をも 引き起こすことになる。

 線維筋痛症は、血液検査などの各種検査 は異常を見出すことができず、その原因が だ解明されていない病気である。したがっ 、その治療方法もまだ確立されていない。 維筋痛症の治療薬としては、ワクシニアウ ルス接種家兎炎症皮膚抽出液(非特許文献1) SSRIやSNRI、アミトリプチンなどの抗うつ薬( 特許文献2)、ドーパミン受容体作動薬であ プラミペキソール(非特許文献3)、抗てんか 薬であるプレガバリン(非特許文献4)などが る程度有効であると報告されている。しか ながら、これらの薬はすべての患者に効果 有するわけではなく、また副作用を生じさ ることがあった。

 塩酸チザニジンは、α-固縮およびγ-固縮抑 作用、多シナプス反射抑制作用、抗侵害作 などを有する中枢性筋弛緩剤として知られ いる化合物である。塩酸チザニジンは、頚 腕症候群や腰痛症による筋緊張状態、脳血 障害や痙性脊椎麻痺などによる痙性麻痺な に効果があるといわれている。
「線維筋痛症に対するワクシニアウイル ス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤(ノイロ ロピン)の治療効果」、厚生労働科学研究研 費補助金特別研究事業:線維筋痛症の実態調 査に基づいた疾患概念の確立に関する研究: 成15年後総括・分担研究報告書、2003年、p.13~ 15 Rao S.G. and ClauwD.J., "The management of fibr omyalgia", Drugs Today (Barc), (2004), Vol.40, p.539-5 54. Holman A.J. and Myers R.R. "A randomized, doubl e-blind, placebo-controlled trial of pramipexole, a do pamine agonist, in patients with fibromyalgia receivin g concomitant medications", (2005), Arthritis Rheum.,  Vol.52, p.2495-2505. Crofford L.J., RowbothamM.C., Mease P.J., "Pregab alinfor the treatment of fibromyalgia syndrome: result s of a randomized, double-blind, placebo-controlled tr ial", (2005), Arthritis Rheum., Vol.52, p.1264-1273.

 上述のように、従来の線維筋痛症の治療 は、すべての患者に効果を有するわけでは いことから、現在もさらなる治療薬が切望 れている。例えば、米国における大規模な 学調査によると、症状が4年以上継続してい る症例が75.5%であると報告されており、線維 痛症の特効薬がなく、その治療が現在も困 であることがわかる(Bennett R.M., Jones J., Tu rk D.C., Russell I.J. and Matallana L., "An internet  survey of 2,596 people with fibromyalgia", (2007),  BMC Musculoskelet Disord., Vol.8, 27.)。

 本発明の目的は、線維筋痛症の新規治療 を提供することである。

 本発明者は、上記課題を解決するべく鋭 研究を行った結果、チザニジンが線維筋痛 の治療に効果を有することを見出し、さら 検討を加えて本発明を完成させた。

 すなわち、本発明は、以下の線維筋痛症を 療するための医薬組成物に関する。
 [1]チザニジンを含む、線維筋痛症を治療す ための医薬組成物。
 [2]さらに抗うつ薬を含む、[1]に記載の医薬 成物。
 [3]さらに抗不安薬を含む、[1]または[2]に記 の医薬組成物。
 [4]さらにワクシニアウイルス接種家兎炎症 膚抽出液を含む、[1]~[3]に記載の医薬組成物 。
 [5]さらに睡眠薬を含む、[1]~[4]に記載の医薬 組成物。

 本発明の医薬組成物は、線維筋痛症の疼 を改善させるだけでなく、線維筋痛症の睡 障害や疲労感、抑うつ状態も改善させるこ ができる。すなわち、本発明の医薬組成物 、副作用を最小限にとどめつつ線維筋痛症 治療することができる。

 本発明の線維筋痛症を治療するための医薬 成物は、式(1)のチザニジンを有効成分とし 含むことを特徴とし、その他任意の成分を むことができる。また、本発明の医薬組成 に含まれるチザニジンは、塩であってもよ 。この場合、本発明の医薬組成物に含まれ チザニジンは、有機酸塩または無機酸塩で ることが好ましく、塩酸塩(塩酸チザニジン )であることが特に好ましい。

 前述の通り、SNRIなどの抗うつ薬が線維筋痛 症を改善させることが知られていたが、本発 明者は、抗うつ薬の中には線維筋痛症を悪化 させる例があることを見出し、線維筋痛症を 悪化させる原因について鋭意検討したところ 、下降性疼痛抑制系のアドレナリンα 2 受容体に原因があるとの仮説に至った。そこ で、本発明者は、下降性疼痛抑制系のアドレ ナリンα 2 受容体をブロックすることで線維筋痛症を改 善させることができると考え、そのような作 用を有する薬を検討した結果、チザニジンが 線維筋痛症に対する有効成分として作用しう ることを見出したのである。

 本発明の医薬組成物に含まれるチザニジ は、当業者に知られる方法を用いて製造し ものでもよいが、市販の製剤を利用しても い。このような製剤の例には、ノバルティ ファーマ株式会社の「テルネリン顆粒」お び「テルネリン錠」、長生堂製薬株式会社 「アストネリン錠」、メディサ新薬株式会 の「エンチニン錠」、キョーリンリメディ 株式会社の「ギボンズ錠」、辰巳化学株式 社の「ザンピーク顆粒」、ニプロファーマ 式会社の「セブレチン錠」、日医工株式会 の「チザニン顆粒」および「チザニン錠」 大正薬品工業株式会社の「チザネリン錠」 東和薬品株式会社の「チロルビット錠」、 原製薬株式会社の「テトリネン錠」、日新 薬株式会社の「テルザニン錠」、共和薬品 業株式会社の「テルリラーク錠」、大洋薬 工業株式会社の「メキタック錠」、日本薬 工業株式会社の「モトナリン錠」などの塩 チザニジン製剤が含まれる(それぞれ登録商 標)。

 本発明の医薬組成物の剤形は、特に限定 れず、錠剤や顆粒剤、細粒剤、丸剤、散剤 カプセル剤など、常用される任意の剤形と ることができる。例えば、錠剤の場合には 1日あたり約9~12錠を経口投与することで1日 たりの投与量が満足できるようにチザニジ の1錠当たりの含量を設定し、セルロースや 還元麦芽糖などの結合剤、ショ糖脂肪酸エス テルなどの潤沢剤、その他香料などを加えて 常法通り打錠すればよい。

 本発明の医薬組成物の1日当たりの投与量 は、線維筋痛症を改善させうる量であって副 作用の少ない量のチザニジンを投与しうる量 であれば特に限定されず、例えば、塩酸チザ ニジンをチザニジンとして1日当たり2~9mg程度 投与しうる量であればよい。本発明の医薬組 成物全量に対するチザニジンの配合量(割合) 特に限定されず、剤形などに応じて適宜設 すればよい。

 本発明の医薬組成物の用法は、線維筋痛 を改善させることができれば特に限定され い。例えば、上記1日当たりの投与量(例え 、塩酸チザニジンをチザニジンとして2~9mg程 度含む量)の本発明の医薬組成物を3回に分け 、食前、食間または食後に経口投与すれば い。このように本発明の医薬組成物を投与 ることで、線維筋痛症の疼痛を改善させる けでなく、線維筋痛症の睡眠障害や疲労感 抑うつ状態も改善させることができる(実施 例参照)。

 また、本発明の医薬組成物は、線維筋痛 の治療薬として知られている抗うつ薬をさ に含んでいてもよい。このような抗うつ薬 例には、SSRI(パロキセチン、フルボキサミ 、サートラリンなど)、SNRI(ミルナシプラン ど)、アミトリプチン、スルピリドなどが含 れる。本発明の医薬組成物に含まれるこれ の抗うつ薬の量は、投与する患者の症状な に応じて適宜設定すればよい。これらの抗 つ薬は、塩酸チザニジンと同時に投与する うにしてもよいし、別個に投与するように てもよい。

 また、本発明の医薬組成物は、線維筋痛症 治療薬として知られている抗不安薬をさら 含んでいてもよい。このような抗不安薬の には、ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト( アルプラゾラム、ロラゼパム、ロフラゼプ酸 エチル、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド 、フルジアゼパム、エチゾラム、フルトプラ ゼパムなど)、5-HT 1A アゴニスト(クエン酸タンドスピロン、塩酸 スピロンなど)、選択的セロトニン再取り込 阻害剤(塩酸フルオキセチン、塩酸セルトラ リン、塩酸パロキセチンなど)、抗てんかん (クロナゼパム、ガバペンチンなど)、CRF(corti cotropinreleasing factor)受容体拮抗剤(TS-041、DPC-36 8など)などが含まれる。本発明の医薬組成物 含まれるこれらの抗不安薬の量は、投与す 患者の症状などに応じて適宜設定すればよ 。これらの抗不安薬は、塩酸チザニジンと 時に投与するようにしてもよいし、別個に 与するようにしてもよい。

 また、本発明の医薬組成物は、線維筋痛 の治療薬として知られているワクシニアウ ルス接種家兎炎症皮膚抽出液をさらに含ん いてもよい。このようなワクシニアウイル 接種家兎炎症皮膚抽出液の例には、ノイロ ロピン(登録商標)などが含まれる。本発明 医薬組成物に含まれるこれらのワクシニア イルス接種家兎炎症皮膚抽出液の量は、投 する患者の症状などに応じて適宜設定すれ よい。これらのワクシニアウイルス接種家 炎症皮膚抽出液は、塩酸チザニジンと同時 投与するようにしてもよいし、別個に投与 るようにしてもよい。

 また、本発明の医薬組成物は、線維筋痛 の治療の際に用いられている睡眠薬をさら 含んでいてもよい。このような睡眠薬の例 は、アモバルビタール、アルプラゾラム、 スタゾラム、塩酸フルラゼパム、塩酸リル ザホン、オキサゾラム、ガンマーオリザノ ル、クアゼパム、クエン酸タンドスピロン クロキサゾラム、クロラゼプ酸ニカリウム クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、トフ パム、トリアゾラム、ニトラゼパム、ブロ ゾラム、ロフラゼプ酸エチル、ホップ、カ コソウ、チョウトウコウ、アリルイソプロ ルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素、ゾ クロン、酒石酸ゾルピデム、ブロチゾラム ロルメタゼパム、フルニトラゼパム、塩酸 ルマザホンなどが含まれる。本発明の医薬 成物に含まれるこれらの睡眠薬の量は、投 する患者の症状などに応じて適宜設定すれ よい。これらの睡眠薬は、塩酸チザニジン 同時に投与するようにしてもよいし、別個 投与するようにしてもよい。

 本発明の医薬組成物の製造方法は、所定 量のチザニジンを加えるステップを含む。 た、本発明の医薬組成物の製造方法は、抗 つ薬、抗不安薬、ワクシニアウイルス接種 兎炎症皮膚抽出液または睡眠薬を加えるス ップをさらに含んでいてもよい。

 一方、塩酸チザニジンと同じ筋緊張治療 として塩酸エペリゾンが知られている。本 明者は、塩酸チザニジンと同様に塩酸エペ ゾンにも線維筋痛症を改善させる効果があ かどうかを調べた。その結果、驚くべきこ に、塩酸エペリゾンは、適応病態が塩酸チ ニジンに類似しているものの、塩酸エペリ ンには線維筋痛症を改善させる効果が認め れなかった。したがって、中枢性筋緊張治 薬の中でも特に塩酸チザニジンが線維筋痛 に有効であると考えられる。

 以下、本発明を実施例を参照して詳細に 明するが、本発明はこれらの実施例により 定されない。

 [実施例1]
 実施例1では、様々な治療法を用いても全身 の疼痛が改善しなかった線維筋痛症の患者(59 歳、女性)に本発明の医薬組成物(塩酸チザニ ン)を投与した例を示す。

 塩酸チザニジンの投与10ヶ月前に左肩甲 部に鈍痛が出現した。検査を行ったが、異 を見出せなかった。翌月、背部痛が悪化す とともに、さらに両側肩関節から頚部痛、 上肢痛、手指のしびれ感、全身倦怠感が出 した。整形外科でブロックを施行したが症 が変化しなかった。また、針治療、マッサ ジなどを行うも効果がなかった。

 ノイロトロピン(登録商標:鎮痛薬)16U/日、 エチゾラム(抗不安薬)0.5mg/日を投与したが効 がなかった。このときの疼痛のスコアは、 小感知電流値:5.5、痛み対応電流値:71.9、痛 度:1203.6であった。また、J-FIQ(Japanese version of FIBROMYALGIA IMPACT QUESTIONNAIRE)スコアは、67.1 7であった。

 ここで疼痛のスコアについて説明する。 実施例では、Aβ線維およびAδ線維を伝わる 痛の程度を知覚・痛覚定量分析装置(PainVisio n PS-2100:ニプロ株式会社)を用いて数値化した 。最小感知電流値とは、被験者が知覚しうる 最小の電流値であり、知覚閾値を数値化した ものである。痛み対応電流値とは、疼痛の痛 みと同程度の痛みを与える電流値であり、実 際に感じている痛みの程度を数値化したもの である。痛み度とは、「痛み度=(痛み対応電 値-電流知覚閾値)/電流知覚閾値×100」で算 される値であり、実際に感じている痛みの 度を痛みに慣れた部分を差し引いて数値化 たものである。これらのスコアの中では、 み度が実際に感じている疼痛の程度に最も く相関している。

 次いで、J-FIQスコアについて説明する。J- FIQは、米国で標準化されている線維筋痛症患 者のQOL評価法であるFIQ(FIBROMYALGIA IMPACT QUESTIO NNAIRE)を日本語に翻訳したものである(FIQにつ ては「Burckhardt C.S., Clark S.R. and Bennett R.M . "The FibromyalgiaImpact Questionnaire: Development an d validation", (1991), Journal of Rheumatology, Vol.18 , p.728-734.」を参照)。J-FIQスコアは、日常生 のQOLや身体の疼痛の程度だけでなく、抑う 状態なども含めた線維筋痛症の総合的症状 程度を示しており、最低点(症状が全くない 態)が0点で、最高点(症状が強く、寝たっき の状態)が100点である。

 ノイロトロピン16U/日、エチゾラム0.5mg/日 を投与するとともに、塩酸チザニジン(ノバ ティスファーマ株式会社:テルネリン錠)2mg/ (チザニジンとして)を1日3回の食事の後にさ に投与するようにした。

 塩酸チザニジン投与開始から約1ヵ月後、 疼痛が顕著に改善しただけでなく、ADL、抑う つ気分および全身倦怠感も改善した。疼痛の スコアは、最小感知電流値:6.5、痛み対応電 値:18.4、痛み度:181.9であった。また、J-FIQス アは、32.46に低下した。

 以上のように、本症例では、ノイロトロピ やエチゾラムの投与だけでは疼痛の改善が られなかったが、塩酸チザニジンは通常の 量よりも少ないわずか2mg/日(チザニジンと て)の量で有効であった。また、塩酸チザニ ンは、疼痛だけでなく抑うつ気分および全 倦怠感も改善させ、患者のADLを改善させる とができた。

 [実施例2]
 実施例2では、様々な治療法を用いても全身 の疼痛が改善しなかった線維筋痛症の患者(42 歳、男性)に本発明の医薬組成物(塩酸チザニ ンおよび抗うつ薬)を投与した例を示す。

 塩酸チザニジンの投与約3年前に、頭痛、 頚部痛、背部痛、大腿部痛が出現した。MRIな どの検査を行ったが、異常は見出せなかった 。硬膜外ブロックを施行したが、短期間しか 効果が続かなかった。温熱療法、牽引療法、 電気マッサージなどを行うも効果がなかった 。疼痛のためADLが低下し、休職することにな った。さらに、抑うつ気分、全身倦怠感も出 現した。

 ミルナシプラン(抗うつ薬)を150mg/日まで 量して投与したが、効果がなかった。この きの疼痛のスコアは、最小感知電流値:7.7、 み対応電流値:17.7、痛み度:128.5であった。 た、J-FIQスコアは、70.46であった。

 ミルナシプラン150mg/日を投与するととも 、塩酸チザニジン(ノバルティスファーマ株 式会社:テルネリン錠)3mg/日(チザニジンとし )を1日3回の食事の後にさらに投与するよう した。

 塩酸チザニジン投与開始から約1ヵ月後、 塩酸チザニジンの投与量を4mg/日に増量した

 塩酸チザニジン投与開始から約2ヵ月後、 塩酸チザニジンの投与量を5mg/日に増量した その後、腰痛が軽快し、大腿部および頚部 筋肉の緊張がとれてきた。さらに抑うつ気 、全身倦怠感も改善した。J-FIQスコアは、59. 6に低下した。

 塩酸チザニジン投与開始から約3ヵ月後、 疼痛が改善しただけでなく、ADL、抑うつ気分 および全身倦怠感もさらに改善した。疼痛の スコアは、最小感知電流値:7.0、痛み対応電 値:13.4、痛み度:90.5であった。

 以上のように、本症例では、ミルナシプラ の投与だけでは疼痛の改善が見られなかっ が、塩酸チザニジンをミルナシプランと組 合わせて投与することで疼痛の改善が見ら た。また、塩酸チザニジンは、抑うつ気分 よび全身倦怠感も改善させ、患者のADLを改 させることができた。

 [実施例3]
 実施例3では、他の薬剤の治療では全身の疼 痛が改善しなかった線維筋痛症の患者(31歳、 女性)に本発明の医薬組成物(塩酸チザニジン よび抗うつ薬)を投与した例を示す。

 塩酸チザニジンの投与1年前に、頚部痛、 肩関節部痛、背部痛が出現し、次第に前胸部 痛にまで拡大した。呼吸苦、咳、嚥下時の疼 痛が始まった。3DCTや血液検査などの検査を ったが、異常は見出せなかった。不眠のた 、エチゾラム(抗不安薬)の投与を開始した。

 ミルナシプラン(抗うつ薬)75mg/日を投与し たが、頚部から背部痛が特にひどく、さらに 下腹部痛も出現し、呼吸苦、抑うつ気分、全 身倦怠感も併発し、休職となった。このとき の疼痛のスコアは、最小感知電流値:6.3、痛 対応電流値:14.3、痛み度:126.6であった。

 ミルナシプラン75mg/日を投与するととも 、塩酸チザニジン(ノバルティスファーマ株 会社:テルネリン錠)2mg/日(チザニジンとして )を1日3回の食事の後にさらに投与するように した。

 塩酸チザニジン投与開始から約1ヵ月後、 頚部から肩関節部の痛み、背部痛が改善し、 両側上腕痛も軽快した。呼吸苦、抑うつ気分 、全身倦怠感も改善し、仕事に復帰できた。 さらに、エチゾラムを投与しなくても睡眠で きるようになった。疼痛のスコアは、最小感 知電流値:7.2、痛み対応電流値:14.3、痛み度:99 .0であった。

 以上のように、本症例では、ミルナシプラ の投与だけでは疼痛の改善が見られなかっ が、塩酸チザニジンをミルナシプランと組 合わせて投与することで疼痛の改善が見ら た。また、塩酸チザニジンは、呼吸苦、抑 つ気分および全身倦怠感も改善させ、患者 ADLを改善させることができた。

 本出願は、2007年8月23日出願の特願2007-2169 67に基づく優先権を主張する。当該出願明細 および図面に記載された内容は、すべて本 明細書に援用される。

 本発明の医薬組成物は、線維筋痛症の疼 を改善させるだけでなく、線維筋痛症の睡 障害や疲労感、抑うつ状態も改善させるこ ができるため、線維筋痛症の治療薬として 用である。