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Patent Searching and Data


Title:
PHOSPHOROAMIDE COMPOUND, METHOD FOR PRODUCING THE SAME, LIGAND, COMPLEX, CATALYST, AND METHOD FOR PRODUCING OPTICALLY ACTIVE ALCOHOL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111371
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for highly efficiently obtaining an optically active alcohol from a carbonyl compound highly enantioselectively. Also disclosed is a ligand used in such a method. Specifically, an optically active alcohol is obtained by reacting a carbonyl compound and an organic zinc compound by using a ligand (L) shown below.

Inventors:
ISHIHARA KAZUAKI (JP)
HATANO MANABU (JP)
MIYAMOTO TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052779
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
February 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV NAGOYA NAT UNIV CORP (JP)
ISHIHARA KAZUAKI (JP)
HATANO MANABU (JP)
MIYAMOTO TAKASHI (JP)
International Classes:
B01J31/22; C07F9/572; C07B53/00; C07C29/14; C07C29/143; C07C33/20; C07C33/28; C07C33/34; C07C33/46; C07C35/23; C07C35/32; C07C41/26; C07C43/23; C07D333/16; C07F9/36; C07F9/553; C07F9/59; C07F9/6533; C07F3/06
Foreign References:
JP2006035125A2006-02-09
Other References:
PALMER M.J. ET AL.: "The Use of Phosphinamide N-Protecting Groups in the Diastereoselective Reduction of Ketones", TETRAHEDRON LETTERS, vol. 38, no. 13, 1997, pages 2315 - 2316, XP004056659
PALMER M.J. ET AL.: "The Use of Phosphinamide N-Protecting Groups in the Diastereoselective Reduction of Ketones", TETRAHEDRON LETTERS, vol. 54, no. 30, 1998, pages 8827 - 8840, XP004124048
SAVIGNAC P. ET AL.: "omega-Aminophosphoramides. I. Synthesis of Diaminoethanes and Diaminopropanes", JOURNAL OF ORGANOMETALLIC CHEMISTRY, vol. 60, no. 1, 1973, pages 103 - 113, XP008113911
LI K. ET AL.: "Asymmetric carbonyl reduction with borane catalyzed by chiral phosphinamides derived from L-amino acid", TETRAHEDRON: ASYMMETRY, vol. 14, no. 1, 2003, pages 95 - 100, XP004404159
ZHOU Z.-H. ET AL.: "Synthesis of new chiral phosphorus compounds as ligand catalysts for some asymmetric reactions", GAODENG XUEXIAO HUAXUE XUEBAO, vol. 22, no. 10, SUPPL., 2001, pages 71 - 76, XP008115671
DAVENPORT A.J. ET AL.: "Chiral pyridine imidazolines from C1-symmetric diamines: Synthesis, arene rutehnium complexes and application as asymmetric catalysis for Diels-Alder reactions", JOURNAL OF ORGANOMETALLIC CHEMISTRY, vol. 691, no. 16, 2006, pages 3445 - 3450, XP005527957
HATANO M. ET AL.: "Highly Active Chiral Phosphoramide-Zn(II) Complexes as Conjugate Acid-Base Catalysts for Enantioselective Organozinc Addition to Ketones", ORGANIC LETTERS, vol. 9, no. 22, 2007, pages 4535 - 4538, XP008113915
J. AM. CHEM. SOC., vol. 120, 1998, pages 445 - 446
J. AM. CHEM. SOC., vol. 124, 2002, pages 10970 - 10971
J. ORG. LETT., vol. 5, 2003, pages 3641 - 3644
J. AM. CHEM. SOC., vol. 127, 2005, pages 16416 - 16425
J. ORG. CHEM., vol. 70, 2005, pages 448 - 455
ANGEW. CHEM. INT. ED., vol. 42, 2003, pages 2895 - 2898
See also references of EP 2128167A4
Attorney, Agent or Firm:
KOJIMA, Seiji (7-26 Jingu 3-chome, Atsuta-k, Nagoya-shi Aichi 31, JP)
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Claims:
 下記一般式(1)又は(1’)で表されるホスホロアミド化合物。
(式中、上記R 1 ~R 5 は、それぞれ独立して一価の炭化水素基である。上記R 2 及びR 3 は、それぞれ直接又は炭素原子以外の原子を介してリン原子と結合している。上記R 2 及びR 3 、並びに上記R 4 及びR 5 は、互いに結合して環を形成してもよい。上記Xは酸素原子又は硫黄原子である。上記Bはメチレン基又はカルボニル基である。)
 上記R 4 及びR 5 は、互いに結合して環を形成している請求項1記載のホスホロアミド化合物。
 上記R 2 及びR 3 は、同一の又は異なるシクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又はアリールアルケニル基である請求項1又は2記載のホスホロアミド化合物。
 上記R 1 はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又はアリールアルケニル基であり、且つ上記R 2 及びR 3 のいずれか又は両方と異なる基である請求項1乃至3のいずれかに記載のホスホロアミド化合物。
 請求項1乃至4のいずれかに記載のホスホロアミド化合物又は下記一般式(8a)、(8b)、(9a)、若しくは(9b)で表される配位子。
(式中、上記R 1 ~R 3 及びR 7 は、それぞれ独立して一価の炭化水素基である。上記R 2 及びR 3 は、それぞれ直接又は炭素原子以外の原子を介してリン原子と結合している。上記R 6 は、水素原子又は一価の炭化水素基である。上記Xは酸素原子又は硫黄原子である。上記Bはメチレン基又はカルボニル基である。)
 中心金属が亜鉛であり、配位子が請求項5記載の配位子であることを特徴とする錯体。
 下記一般式(10)で表される請求項6記載の錯体。
   L m ZnR 8 (ZnR 8 R 9 ) n       (10)
(式中、上記Lは請求項5記載の配位子又は該配位子から窒素原子上の水素原子が脱離した化合物を表す。上記R 8 及びR 9 はそれぞれ独立に一価の炭化水素基を表す。mは1~10の整数である。nは0~10の整数である。)
 請求項5記載の配位子に、一般式ZnR 8 R 9 で表される有機亜鉛化合物(式中、R 8 及びR 9 はそれぞれ独立に一価の炭化水素基を表す。)が配位して得られる請求項6又は7記載の錯体。
 請求項6乃至8のいずれかに記載の錯体を含む触媒。
 上記触媒は、光学活性アルコール合成用触媒である請求項9記載の触媒。
 上記光学活性アルコールは、光学活性第3級アルコールである請求項10記載の触媒。
 カルボニル化合物と、下記一般式(11)で表される有機亜鉛化合物又は下記一般式(12)及び(13)で表される有機亜鉛化合物とを反応させる光学活性アルコールの製造方法であって、
 上記反応は、請求項1乃至4のいずれかに記載のホスホロアミド化合物若しくは請求項5記載の配位子を添加して行うか、又は請求項6乃至8のいずれかに記載の錯体若しくは請求項9乃至11のいずれかに記載の触媒の存在下で行う光学活性アルコールの製造方法。
 ZnR 10 R 11       (11)
 ZnR 12 R 13       (12)
 ZnR 14 R 15       (13)
(式中、上記R 10 及びR 11 は、それぞれ独立に一価の炭化水素基であり、且つ、少なくとも一方はアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基である。上記R 12 及びR 13 は、それぞれ独立にアリール基、アリールアルキル基、又はアリールアルケニル基である。上記R 14 及びR 15 は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基である。)
 上記請求項1乃至4のいずれかに記載のホスホロアミド化合物の添加量は、上記カルボニル化合物に対して0.1~20mol%である請求項12記載の光学活性アルコールの製造方法。
 上記カルボニル化合物が、下記一般式(14)又は(15)で表されるケトン化合物である請求項12又は13記載の光学活性アルコールの製造方法。
(式中、R 16 は炭素数3以上の一価の炭化水素基である。R 17 はR 16 と異なる一価の炭化水素基である。nは2以上の整数である。一般式(15)の芳香環は置換基を有していてもよい。)
 上記一般式(12)で表される有機亜鉛化合物と一般式(13)で表される有機亜鉛化合物との当量比は、1:(1~5)である請求項12乃至14のいずれかに記載の光学活性アルコールの製造方法。
Description:
ホスホロアミド化合物及びその 造方法、配位子、錯体、触媒、及び光学活 アルコールの製造方法

 本発明は、新規なホスホロアミド化合物 びその製造方法に関する。また、本発明は 該ホスホロアミド化合物で構成される配位 、該配位子を含む錯体、及び該錯体を含む 媒に関する。更に、本発明は、上記ホスホ アミド化合物等を用いた光学活性アルコー の製造方法に関する。

 アルコールの合成方法として、カルボニ 化合物(アルデヒド及びケトン)と有機金属 核剤とを反応させるアルキル付加反応が知 れている。

 生理活性物質には、不斉炭素原子を有す 光学活性体が多い。このため、望みの絶対 置を有する光学活性体を得ることは重要で る。光学活性体を得る方法として、ラセミ 合物を合成し、その後、光学分割等によっ 光学活性体を分取する方法が挙げられる。 かし、この方法は、化学変換が必要である 、効率が悪い。そこで、従来より、選択的 光学活性体が得られる不斉合成方法の開発 進められている。カルボニル化合物と有機 属求核剤とを反応させ、光学活性アルコー を得る方法として、例えば、以下に記載の 法が知られている。

 非特許文献1には、以下に記載の方法によ り、光学活性第3級アルコールを得る不斉フ ニル化反応が記載されている。非特許文献1 は、生成物のエナンチオマー過剰率(ee)が91% eeであることが記載されている。

 非特許文献2~5には、特定構造のスルホンア ド化合物を添加し、反応剤としてTi(Oi-Pr) 4 を用いて、ケトンとジエチル亜鉛とを反応さ せ、光学活性第3級アルコールを得る方法が 載されている。その一例を以下に示す。非 許文献2~5には、生成物のエナンチオマー過 率(ee)が最高99%eeであることが記載されてい 。

 非特許文献6には、以下に示すように、芳 香族及び脂肪族ケトンの不斉アルキニル化反 応により、光学活性第3級アルコールを得る 法が記載されている。

 特許文献1には、ジアルキル亜鉛をアルデ ヒドに付加させる光学活性アルコールの製造 方法が記載されている。特許文献1には、ビ フトール骨格の3位と3’位に、ホスフィンオ キシドユニット又はホスフィンスルフィドユ ニットを有する不斉触媒を用いることが記載 されている。

J. Am. Chem. Soc.,1998, 120, 445-446. J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 10970-10971. J. Org. Lett., 2003, 5, 3641-3644. J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 16416-16425. J. Org. Chem., 2005, 70, 448-455. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 2895-2898.

特開2006-35125号公報

 光学活性アルコールは、医薬品等の合成 間体等として重要な化合物である。そこで 従来より、カルボニル化合物と有機金属求 剤とを反応させるアルキル付加反応により 光学活性アルコールを合成する方法が求め れている。

 特に、第3級アルコールの合成は、有機金 属求核剤を用いるケトンのアルキル付加反応 に限られている。しかも、このアルキル付加 反応では、下記に示すように、還元反応及び アルドール反応等の副反応が併発する。よっ て、望む第3級アルコールだけを収率良く得 ことは難しい。更に、不斉触媒を用いるエ ンチオ選択的な光学活性第3級アルコールの 造は著しく困難とされている。

 世界的にみても、第3級アルコールの触媒 的不斉合成に成功しているのは、上記非特許 文献1~6に挙げられている研究グループに限ら れている。しかも、これらの方法では、適用 できるアルキル化剤の種類が限られること、 また、反応に多量のチタン添加剤が必要なこ と等、実用性に乏しい面がある。

 本発明の目的は、従来よりも高効率で高 ナンチオ選択的にカルボニル化合物から光 活性アルコールを得る方法を提供すること ある。本発明の他の目的は、従来よりも高 率で高エナンチオ選択的に光学活性アルコ ルが得られる触媒、配位子、並びに該配位 を構成する新規なホスホロアミド化合物及 その製造方法を提供することである。

 本発明のホスホロアミド化合物は、下記 般式(1)又は(1’)で表されることを特徴とす 。

(式中、上記R 1 ~R 5 は、それぞれ独立して一価の炭化水素基であ る。上記R 2 及びR 3 は、それぞれ直接又は炭素原子以外の原子を 介してリン原子と結合している。上記R 2 及びR 3 、並びに上記R 4 及びR 5 は、互いに結合して環を形成してもよい。上 記Xは酸素原子又は硫黄原子である。上記Bは チレン基又はカルボニル基である。)

 本発明のホスホロアミド化合物の製造方法 、
 (A)下記一般式(2a)又は(2b)で表される化合物 アミノ基を保護基で保護し、下記一般式(3a) は(3b)で表される化合物を生成する工程と、
 (B)上記一般式(3a)又は(3b)で表される化合物 、アミン化合物とを反応させ、下記一般式(4 a)又は(4b)で表されるアミド化合物を生成する 工程と、
 (C)上記一般式(4a)若しくは(4b)で表されるア ン化合物の保護基を脱保護し、又は上記一 式(4a)若しくは(4b)で表されるアミン化合物の 保護基を脱保護し、且つ上記(4a)若しくは(4b) 表されるアミド化合物のアミド基を還元し 下記一般式(5a)若しくは(5b)で表される化合 を生成する工程と、
 (D)上記一般式(5a)又は(5b)で表される化合物 、下記一般式(6)で表されるリン化合物とを 応させ、本発明のホスホロアミド化合物を 成させる工程と、
 を含むことを特徴とする。

(式中、上記R 1 ~R 5 は、それぞれ独立して一価の炭化水素基であ る。上記R 2 及びR 3 は、それぞれ直接又は炭素原子以外の原子を 介してリン原子と結合している。上記R 2 及びR 3 、並びに上記R 4 及びR 5 は、互いに結合して環を形成してもよい。上 記Xは酸素原子又は硫黄原子である。上記Yは ロゲン原子である。上記Aは保護基である。 上記Bはメチレン基又はカルボニル基である )

 第1の本発明の配位子は、本発明のホスホ ロアミド化合物で表されることを特徴とする 。また、第2の本発明の配位子は、下記一般 (8a)、(8b)、(9a)、又は(9b)で表されることを特 とする。

(式中、上記R 1 ~R 3 及びR 7 は、それぞれ独立して一価の炭化水素基であ る。上記R 2 及びR 3 は、それぞれ直接又は炭素原子以外の原子を 介してリン原子と結合している。上記R 6 は、水素原子又は一価の炭化水素基である。 上記Xは酸素原子又は硫黄原子である。上記B メチレン基又はカルボニル基である。)

 本発明の錯体は、中心金属が亜鉛であり 配位子が本発明の配位子であることを特徴 する。また、本発明の触媒は、本発明の錯 を含むことを特徴とする。

 第1の本発明の光学活性アルコールの製造方 法は、本発明のホスホロアミド化合物、又は 本発明の配位子を添加し、カルボニル化合物 と、下記一般式(11)で表される有機亜鉛化合 又は一般式(12)及び(13)で表される有機亜鉛化 合物とを反応させることを特徴とする。
 ZnR 10 R 11       (11)
 ZnR 12 R 13       (12)
 ZnR 14 R 15       (13)
(式中、上記R 10 及びR 11 は、それぞれ独立に一価の炭化水素基であり 、且つ、少なくとも一方はアルキル基、アル ケニル基、又はアルキニル基である。上記R 12 及びR 13 は、それぞれ独立にアリール基、アリールア ルキル基、又はアリールアルケニル基である 。上記R 14 及びR 15 は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル 基、又はアルキニル基である。)

 第2の本発明の光学活性アルコールの製造方 法は、本発明の錯体又は本発明の触媒の存在 下、カルボニル化合物と、下記一般式(11)で される有機亜鉛化合物又は一般式(12)及び(13) で表される有機亜鉛化合物とを反応させるこ とを特徴とする。
 ZnR 10 R 11       (11)
 ZnR 12 R 13       (12)
 ZnR 14 R 15       (13)
(式中、上記R 10 及びR 11 は、それぞれ独立に一価の炭化水素基であり 、且つ、少なくとも一方はアルキル基、アル ケニル基、又はアルキニル基である。上記R 12 及びR 13 は、それぞれ独立にアリール基、アリールア ルキル基、又はアリールアルケニル基である 。上記R 14 及びR 15 は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル 基、又はアルキニル基である。)

 本発明によれば、新規なホスホロアミド 合物を配位子として、カルボニル化合物(ア ルデヒド又はケトン)と有機金属求核剤とを 応させるアルキル付加反応を行うことがで る。その結果、従来よりも高効率で高エナ チオ選択的に、光学活性アルコールを合成 ることができる。本発明により合成される 学活性アルコールを、医薬品又は農薬の合 中間体(例えば、抗ヒスタミン剤として繁用 れるクレマスチンの合成中間体)として使用 すれば、目的とする医薬品又は農薬を高効率 で製造することができる。

(1)ホスホロアミド化合物及びその製造方法
 本発明のホスホロアミド化合物は、上記一 式(1)又は(1’)で表されることを特徴とする

 上記一般式(1)又は(1’)中、上記R 1 ~R 5 は、それぞれ独立して一価の炭化水素基であ る。該一価の炭化水素基としては、例えば、 アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、 アリール基、アリールアルキル基、及びアリ ールアルケニル基が挙げられる。

 上記アルキル基、アルケニル基、及びア キニル基(以下、「アルキル基等」と総称す る。)の炭素数には特に限定はない。上記ア キル基の炭素数は、通常1~12、好ましくは1~10 、更に好ましくは1~8、より好ましくは1~6、特 に好ましくは1~4である。また、上記アルケニ ル基及びアルキニル基の炭素数は、通常2~12 好ましくは2~10、更に好ましくは2~8、より好 しくは2~6、特に好ましくは2~4である。上記 ルキル基等が環状構造の場合、上記アルキ 基等の炭素数は、通常4~12、好ましくは4~10 更に好ましくは5~8、より好ましくは6~8であ 。

 上記アルキル基等の構造には特に限定は い。上記アルキル基等は、直鎖状でもよく 側鎖を有していてもよい。上記アルキル基 は、鎖状構造でもよく、環状構造(シクロア ルキル基、シクロアルケニル基、及びシクロ アルキニル基)でもよい。また、上記アルキ 基等は、他の置換基を1種又は2種以上有して いてもよい。更に、上記アルキル基等は、炭 素原子及び水素原子以外の原子を1個又は2個 上含んでいてもよい。例えば、上記アルキ 基等は、置換基として、炭素原子及び水素 子以外の原子を含む置換基を有していても い。また、上記アルキル基等は、鎖状構造 又は環状構造中に炭素原子及び水素原子以 の原子を1個又は2個以上含んでいてもよい 上記炭素原子及び水素原子以外の原子とし は、例えば、酸素原子、窒素原子、及び硫 原子の1種又は2種以上が挙げられる。

 上記アルキル基として具体的には、例え 、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プ ロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチ 基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチ 基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ 基、オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が 挙げられる。上記シクロアルキル基として具 体的には、例えば、シクロペンチル基、シク ロヘキシル基、シクロヘプチル基、及び2-メ ルシクロヘキシル基が挙げられる。上記ア ケニル基としては、例えば、ビニル基、ア ル基、及びイソプロペニル基が挙げられる 上記シクロアルケニル基として具体的には 例えば、シクロヘキセニル基が挙げられる

 上記アリール基、アリールアルキル基、 びアリールアルケニル基(以下、「アリール 基等」と総称する。)の炭素数には特に限定 ない。上記アリール基等の炭素数は通常6~15 好ましくは6~12、更に好ましくは6~10である

 上記アリール基等の構造には特に限定は い。上記アリール基等は、他の置換基を1種 又は2種以上有していてもよい。例えば、上 アリール基等に含まれる芳香環は、他の置 基を1種又は2種以上有していてもよい。この 置換基の位置は、o-、m-、及びp-のいずれでも よい。上記置換基として具体的には、例えば 、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基 、ニトロ基、アミノ基、水酸基、及びアルコ キシ基の1種又は2種以上が挙げられる。これ の置換基が芳香環に位置する場合、該置換 の位置は、o-、m-、及びp-のいずれでもよい

 上記ハロゲン原子としては、例えば、フ 素原子、塩素原子、及び臭素原子の1種又は 2種以上が挙げられる。

 上記アルキル基及びアルケニル基としては 例えば、炭素数1~6、好ましくは1~4のアルキ 基及びアルケニル基の1種又は2種以上が挙 られる。上記アルキル基及びアルケニル基 して具体的には、例えば、メチル基、エチ 基、n-プロピル基、i-プロピル基、i-ブチル 、sec-ブチル基、及びt-ブチル基の1種又は2種 以上が挙げられる。尚、上記アルキル基及び アルケニル基は、更に他の置換基を有してい てもよく、また、ハロゲン化アルキル基及び ハロゲン化アルケニル基でもよい。例えば、 上記アルキル基として、メチル基及びエチル 基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子 (フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子の1種 は2種以上等)で置換された基(CF 3 -、CCl 3 -等)でもよい。

 上記アルコキシ基としては、例えば、炭 数1~6、好ましくは1~4、更に好ましくは1~3の ルコキシ基が挙げられる。上記アルコキシ として具体的には、例えば、メトキシ基、 トキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基 、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、sec-ブトキシ 、t-ブトキシ基が挙げられる。

 上記アリール基等に含まれる芳香環は、 テロ原子(酸素原子、窒素原子、及び硫黄原 子)の1種又は2種以上を有していてもよい。即 ち、上記アリール基等に含まれる芳香環は、 芳香族複素環(フラン、チオフェン、ピロー 、ベンゾフラン、インドール、チオフェン ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール イソキサゾール、オキサゾール、イソチア ール、チアゾール、ピリジン、キノリン、 ソキノリン、及びピリミジン等)でもよい。

 上記アリール基として具体的には、例え 、フェニル基、トリル基、エチルフェニル 、キシリル基、クメニル基、メシチル基、 トキシフェニル基(o-、m-、及びp-)、エトキ フェニル基(o-、m-、及びp-)、1-ナフチル基、2 -ナフチル基、並びにビフェニリル基等が挙 られる。上記アリールアルキル基として具 的には、ベンジル基、メトキシベンジル基(o -、m-、及びp-)、エトキシベンジル基(o-、m-、 びp-)、並びにフェネチル基が挙げられる。 記アリールアルケニル基として具体的には 例えば、スチリル基及びシンナミル基が挙 られる。

 上記R 2 及びR 3 は、それぞれ直接リン原子と結合しているか 、又は炭素原子以外の原子を介してリン原子 と結合している(以下、この結合を「間接結 」という。)。上記炭素原子以外の原子とし は、例えば、酸素原子、窒素原子、及び硫 原子が挙げられる。上記間接結合としてよ 具体的には、例えば、「R 2 (又はR 3 )-O-P」構造及び「R 2 (又はR 3 )-N(E)-P」構造が挙げられる。勿論、上記R 2 及びR 3 の両方が、直接リン原子と結合しているか、 又は間接結合していてもよく、上記R 2 及びR 3 の一方が直接リン原子と結合し、他方が間接 結合していてもよい。上記R 2 及びR 3 が間接結合している場合(例えば、酸素原子 介して結合している場合)、上記R 2 及びR 3 として具体的には、例えば、それぞれ独立し て炭素数3以上、好ましくは炭素数4以上、よ 好ましくは炭素数4~10の一価の炭化水素基と することができる。

 また、上記炭素原子以外の原子が窒素原子 場合、該窒素原子に結合している上記Eは、 水素原子でもよく、他の一価の炭化水素基で もよい。該他の一価の炭化水素基は、上記R 2 (又はR 3 )と同じ基でもよく、異なる基でもよい。更 、上記R 2 (又はR 3 )と上記他の一価の炭化水素とは、互いに結 して環を形成してもよい。該他の一価の炭 水素基の構造及び内容は、本発明のホスホ アミド化合物の上記R 1 ~R 3 の説明が妥当する。尚、本発明では、上記窒 素原子が2つの一価の炭化水素基を有する場 、少なくとも一方が上記R 2 (又はR 3 )に該当すればよい。上記他の一価の炭化水 基としては、例えば、炭素数1~5のアルキル 、アルケニル基、及びアルキニル基が挙げ れる。上記他の一価の炭化水素基としてよ 具体的には、例えば、メチル基、エチル基 n-プロピル基、及びi-プロピル基等が挙げら る。上記「R 2 (又はR 3 )-N(E)-P」構造としてより具体的には、例えば 「(CH 3 ) 2 N-P-」構造及び「(CH 3 CH 2 ) 2 N-P-」構造が挙げられる。

 上記R 2 及びR 3 は、互いに結合して環を形成してもよい。ま た、上記R 4 及びR 5 は、互いに結合して環を形成してもよい。上 記R 2 及びR 3 並びに上記R 4 及びR 5 は、互いに結合して環を形成している場合、 該環の構造には特に限定はない。例えば、環 員数には特に限定はない。上記R 2 及びR 3 が互いに結合して環を形成している場合、そ の環員数は、通常、上記R 2 及びR 3 が結合しているリン原子を含め、4員環~10員 、好ましくは5員環~8員環とすることができ 。また、上記R 4 及びR 5 が互いに結合して環を形成している場合、そ の環員数は、通常、上記R 4 及びR 5 が結合している窒素原子を含め、4員環~10員 、好ましくは5員環~8員環とすることができ 。また、上記環は、その構造中にヘテロ原 (酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子等)を含 んでいてもよい。更に、上記環は、他の置換 基を有していてもよい。また、上記環は、そ の構造中に不飽和結合を有していてもよい。

 上記R 2 及びR 3 が互いに結合して形成された環の具体例を以 下に示す。
(上記式中、Dはヘテロ原子(酸素原子、窒素原 子、及び硫黄原子等)を表す。)

 上記R 4 及びR 5 が互いに結合して形成された環の具体例を以 下に示す。該環として具体的には、例えば、 テトラメチレン基により形成された5員環構 、ペンタメチレン基により形成された6員環 造、ヘキサメチレン基により形成された7員 環構造、及びヘプタメチレン基により形成さ れた8員環構造が挙げられる。また、環構造 にヘテロ原子を含む構造としては、例えば 酸素原子を含む構造(モルホリル基)が挙げら れる。

 上記R 1 ~R 5 は、全て同じ基でもよく、一部又は全て異な る基でもよい。例えば、上記R 2 及びR 3 は、同じ基でもよく、異なる基でもよい。ま た、上記R 1 ~R 3 は、全て同じ基でもよい。上記R 1 ~R 3 上のうち、上記R 2 及びR 3 が同じ基で、上記R 1 がこれと異なる基でもよい。上記R 4 及びR 5 は、同じ基でもよく、異なる基でもよい。

 上記R 1 ~R 5 の具体的な構造には特に限定はない。上記R 1 ~R 5 の具体的な構造としては、例えば、上記で例 示した各構造を、必要に応じて適宜組み合わ せて採用することができる。

 上記R 1 は、例えば、アルキル基、アリールアルキル 基、又はアリールアルケニル基とすることが できる。該アルキル基としては、例えば、上 記で説明したアルキル基、特にメチル基、エ チル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチ ル基、sec-ブチル基、及びt-ブチル基とするこ とができる。上記アリールアルキル基として は、例えば、上記で説明したアリールアルキ ル基、特に、ベンジル基、並びにo-、m-、及 p-アルコキシベンジル基(メトキシベンジル 及びエトキシベンジル基等)とすることがで る。また、上記R 1 は、アルキル基、アリール基、アリールアル キル基、又はアリールアルケニル基であり、 且つ上記R 2 及びR 3 のいずれか又は両方と異なる基とすることが できる。上記R 2 及びR 3 が上記アルキル基等の場合(例えば、炭素数 5以下、3以下、又は2以下の上記アルキル基 の場合)、上記R 1 は、アリール基、アリールアルキル基、又は アリールアルケニル基とすることができる。

 上記R 2 及びR 3 は、例えば、同一の又は異なるシクロアルキ ル基、アリール基、アリールアルキル基、又 はアリールアルケニル基とすることができる 。上記アリール基としては、例えば、上記で 説明したアリール基、特にフェニル基、1-ナ チル基、2-ナフチル基、o-、m-、及びp-アル キシフェニル基(メトキシフェニル基及びエ キシフェニル基等)、並びにo-、m-、及びp-ハ ロゲン化アルキルフェニル基(トリフルオロ チルフェニル基及びトリクロロメチルフェ ル基等)が挙げられる。上記アリールアルキ 基としては、例えば、上記で説明したアリ ルアルキル基、特に、ベンジル基、並びにo -、m-、及びp-アルコキシベンジル基(メトキシ ベンジル基及びエトキシベンジル基等)とす ことができる。また、上記R 1 が上記アルキル基等である場合、上記R 2 及びR 3 の少なくとも一方は、シクロアルキル基、ア リール基、アリールアルキル基、又はアリー ルアルケニル基とすることができる。

 上記一般式(1)又は(1’)中、上記Xは酸素原 子又は硫黄原子である。通常、上記Xは酸素 子である。

 本発明のホスホロアミド化合物として具体 には、例えば、以下の一般式で表される化 物が挙げられる。

 上記式中、上記Xは酸素原子又は硫黄原子で ある。上記Bはメチレン基又はカルボニル基 ある。上記R 1’ は炭素数2以上、好ましくは3以上、より好ま くは3~10のアルキル基又はアリールアルキル 基であり、且つ上記R 2’ 及びR 3’ とは異なる基である。上記R 2’ 及び上記R 3’ は同一の又は異なるシクロアルキル基、アリ ール基、アリールアルキル基、又はアリール アルケニル基である。上記R 4’ はアルキル基、アルケニル基、又はアルキニ ル基である。尚、上記R 1’ ~R 4’ には、上記R 1 ~R 4 の説明が妥当する。

 本発明のホスホロアミド化合物としてより 体的には、例えば、以下の化合物が挙げら る。尚、以下の化合物において、上記R 1 に該当する基の立体配置は逆でもよい。また 、下記式中、「Cy」はシクロアルキル基(シク ロヘキシル基等)である。

 本発明のホスホロアミド化合物の製造方 には特に限定はない。本発明のホスホロア ド化合物は、例えば、本発明のホスホロア ド化合物の製造方法により合成することが きる。

(2)ホスホロアミド化合物の製造方法
 本発明のホスホロアミド化合物の製造方法 、上記工程(A)~(D)を含む。尚、本発明の製造 方法において、上記R 1 ~R 5 及びXには、本発明のホスホロアミド化合物 おける上記R 1 ~R 5 及びXの説明が妥当する。

<工程(A)>
 上記工程(A)は、上記一般式(2a)又は(2b)で表 れる化合物(以下、「化合物(2a)又は(2b)」と う。)のアミノ基を保護基で保護し、上記一 式(3a)又は(3b)で表される化合物(以下、「化 物(3a)又は(3b)」という。)を生成する工程で る。

 出発物質である上記化合物(2a)又は(2b)は 例えば、市販のアミノ酸(天然アミノ酸及び 天然アミノ酸)を用いることができる。勿論 、上記化合物(2a)又は(2b)は、任意の方法によ 合成して得てもよい。また、出発物質は、 記化合物(2a)又は(2b)の光学活性体のみで構 されていてもよく、ラセミ体等の光学活性 の混合物でもよい。出発物質がラセミ体等 光学活性体の混合物の場合、反応後、光学 割により、光学活性なホスホロアミド化合 を得ることができる。上記光学分割の方法 は特に限定はなく、公知の方法を適用する とができる。本発明の製造方法では、出発 質として、化合物(2a)又は(2b)の光学活性体を 用いると、光学分割を経ることなく、光学活 性なホスホロアミド化合物を得ることができ るので好ましい。

 上記式中、上記Aは保護基である。該保護 基は、上記化合物(2a)又は(2b)に含まれるアミ 基を保護することができる限り、その構造 特に限定はない。上記保護基としては、例 ば、t-ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンジル オキシカルボニル基、及びt-アミルオキシカ ボニル基が挙げられる。例えば、上記化合 (2a)又は(2b)と、炭酸ジ-t-ブチルとを反応さ ることにより、保護基である上記t-ブトキシ カルボニル基をアミノ基に導入することがで きる。

 上記工程(A)の反応条件についても特に限 はない。上記工程(A)は、例えば、溶媒(エタ ノール等)中で、上記化合物(2a)又は(2b)及び上 記保護基を導入する保護試薬を反応させるこ とにより行うことができる。反応温度にも特 に限定はないが、室温(20~30℃)で行うことが ましい。

<工程(B)>
 上記工程(B)は、上記化合物(3a)又は(3b)と、 ミン化合物とを反応させ、上記一般式(4a)又 (4b)で表されるアミド化合物(以下、「アミ 化合物(4a)又は(4b)」という。)を生成する工 である。

 上記工程(B)において、上記アミン化合物は 上記アミド化合物(4a)又は(4b)を得ることが きる限り、その種類に特に限定はない。通 は、上記R 4 及びR 5 を有する第2級アミンが用いられる。しかし 上記工程(B)では、上記R 4 (又はR 5 )を有する第一級アミンを用いてアミド化合 を得た後、N-アルキル化反応により、上記R 5 (又はR 4 )を導入し、上記アミド化合物(4a)又は(4b)を生 成してもよい。また、上記アミン化合物は、 環状アミン化合物でもよく、非環状アミン化 合物でもよい。上記環状アミンとしては、4 環~10員環、好ましくは5員環~8員環のアミン 合物を用いることができる。また、上記環 、その構造中にヘテロ原子(酸素原子、窒素 子、及び硫黄原子等)を含んでいてもよい。 更に、上記環は、他の置換基を有していても よい。また、上記環は、その構造中に不飽和 結合を有していてもよい。上記環状アミン化 合物として具体的には、例えば、ピロリジン 、ピペリジン、及びモルホリンが挙げられる 。

 上記工程(B)の反応条件は、上記アミド化 物(4a)又は(4b)を得ることができる限り、特 限定はない。例えば、溶媒としては、ハロ ン化アルキル(ジクロロメチレン等)を用いる ことができる。また、反応温度にも特に限定 はないが、室温(20~30℃)で行うことが好まし 。更に、反応時間は、通常1~48時間、好まし は3~30時間、更に好ましくは12~24時間である また、ジシクロカルボジイミド(DCC)及び1-ヒ ドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等を加える ことができる。

 更に、本発明の製造方法では、上記化合 (3a)又は(3b)及び上記アミン化合物の割合に 特に限定はない。通常、上記化合物(3a)又は( 3b)1当量に対して、上記アミン化合物を1~3当 、好ましくは1.5~2.5当量用いることができる また、本発明の製造方法では、DCC等のその の成分の割合にも特に限定はない。例えば 本発明の製造方法では、上記化合物(3a)又は (3b)1当量に対して、上記DCC及び上記HOBtをそれ ぞれ1~2当量用いることができる。

<工程(C)>
 上記工程(C)は、上記アミド化合物(4a)若しく は(4b)の保護基を脱保護することにより(以下 「工程(C1)」という。)、又は上記アミド化 物(4a)若しくは(4b)の保護基を脱保護し、且つ 上記アミド化合物(4a)又は(4b)のアミド基を還 することにより(以下、「工程(C2)」という )、上記一般式(5a)若しくは(5b)で表される化 物(以下、「化合物(5a)又は(5b)」という。)を 成する工程である。

 本発明では、上記工程(C1)により、上記B カルボニル基である化合物を生成すること できる。また、本発明では、上記工程(C2)に り、上記Bがメチレン基である化合物を生成 することができる。

 上記工程(C)において、上記脱保護の方法 び反応条件には特に限定はない。上記脱保 の方法及び反応条件は、保護基の種類によ 適宜選択することができる。例えば、上記 護基がt-ブトキシカルボニル基の場合、酸 理(AcOH、AcCl、及びHBr等)することにより、保 基を脱保護することができる。

 上記工程(C)において、上記アミド基を還元 る方法及び反応条件には特に限定はない。 記アミド基を還元する方法としては、例え 、テトラヒドロフラン又はエーテル溶媒中 水素化アルミニウムリチウム(LiAlH 4 )により還元する方法が挙げられる。この場 、LiAlH 4 の量は、通常、1~10当量、好ましくは2~8当量 更に好ましくは3~7当量である。

 上記工程(C2)において、「アミド基の還元 」及び「保護基の脱保護」の順序には特に限 定はない。本発明では、「アミド基の還元」 を行った後、「保護基の脱保護」を行っても よい。また、本発明では、「保護基の脱保護 」を行った後、「アミド基の還元」を行って もよい。

<工程(D)>
 上記工程(D)は、上記化合物(5a)又は(5b)と、 記一般式(6)で表されるリン化合物(以下、「 ン化合物(6)」という。)とを反応させ、本発 明のホスホロアミド化合物を生成する工程で ある。

 上記一般式(6)中、上記R 2 、R 3 、及びXには、本発明のホスホロアミド化合 における上記R 2 、R 3 、及びXの説明が妥当する。また、上記一般 (6)中、上記Yはハロゲン原子である。該ハロ ン原子としては、例えば、フッ素原子、塩 原子、又は臭素原子が挙げられる。

 上記工程(D)において、上記リン化合物(6) 量には特に限定はない。上記リン化合物(6) 量は、上記化合物(5a)又は(5b)1当量に対して 通常1~3当量、好ましくは1~2当量、更に好ま くは1~1.5当量である。

 上記工程(D)において、更にアミン化合物 共存させることができる。該アミン化合物 共存させることにより、上記化合物(5a)又は (5b)と上記リン化合物(6)との反応の効率を高 ることができる。上記アミン化合物として 、例えば、トリエチルアミン等が挙げられ 。また、上記アミン化合物の量は、上記化 物(5a)又は(5b)1当量に対して、通常1~4当量、 ましくは1~3当量、更に好ましくは1~2.5当量で ある。

 上記工程(D)の反応条件には特に限定はな 。例えば、反応温度は室温(20~30℃)とするこ とができる。また、反応時間は1~24時間、好 しくは1~12時間、更に好ましくは1~6時間とす ことができる。

<その他>
 上記一般式(1)又は(1’)中、上記Xが酸素原子 である本発明のホスホロアミド化合物は、例 えば、上記R 2 及びR 3 を有するハロゲン化ホスフィンオキシドと反 応させて得ることができる。また、上記一般 式(1)又は(1’)中、上記Xが硫黄原子である本 明のホスホロアミド化合物は、例えば、上 R 2 及びR 3 を有するハロゲン化ホスフィンスルフィドと 反応させて得ることができる。

 本発明の製造方法において、上記各工程 、各生成物を単離してから行ってもよく、 成物を単離せずに一連に行ってもよい。

 本発明の製造方法では、上記各工程以外 他の工程を有していてもよい。該他の工程 しては、他の化学反応工程が挙げられる。 た、本発明の製造方法では、該他の工程と て、必要に応じて、光学活性体のみを分離 る光学分割、並びに生成物の濃縮、精製、 び単離等の物理的操作工程を含んでいても い。

(3)配位子
 第1の本発明の配位子は、本発明のホスホロ アミド化合物で表される。また、第2の本発 の配位子は、上記一般式(8a)、(8b)、(9a)、又 (9b)で表される。尚、第2の本発明の配位子に おいて、上記R 1 ~R 3 及びXには、本発明のホスホロアミド化合物 上記R 1 ~R 3 及びXの説明が妥当する。

 第2の本発明の配位子において、上記R 6 は、水素原子又は一価の炭化水素基である。 また、上記R 7 は一価の炭化水素基である。尚、上記一価の 炭化水素基としては、例えば、アルキル基、 アルケニル基、アルキニル基、アリール基、 アリールアルキル基、及びアリールアルケニ ル基が挙げられる。上記一価の炭化水素基の 種類及び構造は、本発明のホスホロアミド化 合物における上記R 1 ~R 3 の説明が妥当する。また、上記Bはメチレン 又はカルボニル基である。

 上記R 1 ~R 3 、R 6 及びR 7 の具体的な構造には特に限定はない。上記R 1 ~R 3 、R 6 及びR 7 の具体的な構造としては、例えば、上記で例 示した各構造を、必要に応じて適宜組み合わ せて採用することができる。また、上記R 6 及びR 7 は、上記R 1 ~R 3 と同じ基でもよく、異なる基でもよい。

 上記一般式(8a)、(8b)、(9a)、及び(9b)で表され る化合物として具体的には、例えば、以下の 構造の化合物が挙げられる。

 上記式中、上記Xは酸素原子又は硫黄原子で ある。上記R 1’ は炭素数2以上、好ましくは3以上、より好ま くは3~10のアルキル基、アリール基、又はア リールアルキル基であり、且つ上記R 2’ 及び上記R 3’ とは異なる基である。上記R 2’ 及び上記R 3’ は同一の又は異なるシクロアルキル基、アリ ール基、アリールアルキル基、又はアリール アルケニル基である。上記R 6’ は、アルキル基(好ましくは炭素数1~5のアル ル基)又はアリールアルキル基である。上記R 7’ はアリール基、アリールアルキル基、又はア リールアルケニル基である。尚、上記R 1’ ~R 3’ には、上記R 1 ~R 3 の説明が妥当する。上記R 6’  及びR 7’ には、上記R 6 及びR 7 の説明が妥当する。

(4)錯体
 本発明の錯体は、中心金属が亜鉛であり、 位子が本発明の配位子である。

 本発明の錯体は、中心金属が亜鉛であり、 位子が本発明の配位子である限り、その構 には特に限定はない。本発明の錯体として 体的には、例えば、本発明の配位子に、一 式ZnR 8 R 9 で表される有機亜鉛化合物が配位した錯体が 挙げられる。本発明の錯体としては、例えば 、下記一般式(10)で表される錯体が挙げられ 。
   L m ZnR 8 (ZnR 8 R 9 ) n       (10)

 上記R 8 及びR 9 はそれぞれ独立に一価の炭化水素基である。 該一価の炭化水素基としては、例えば、アル キル基、アルケニル基、アルキニル基、アリ ール基、アリールアルキル基、及びアリール アルケニル基が挙げられる。該一価の炭化水 素基の種類及び構造は、本発明のホスホロア ミド化合物の上記R 1 ~R 3 の説明が妥当する。また、上記R 8 及びR 9 は、同じ基でもよく、異なる基でもよい。

 上記Lは、本発明の配位子又は該配位子か ら窒素原子上の水素原子が脱離した化合物を 表す。即ち、本発明の錯体は、本発明の配位 子に亜鉛が配位した構造でもよい。また、本 発明の錯体は、本発明の配位子から窒素原子 上の水素原子が脱離し、ここに亜鉛が配位し た構造でもよい(下記式参照)。本発明の配位 に有機亜鉛化合物を加えると、ガスの発生 認められることがある。これは、下記式に り、本発明の錯体(C)が形成されたためと考 られる(本説明は、発明者の推測である。従 って、この説明及び下記式は、本発明を何ら 限定する趣旨の説明ではない。)。

 上記mは1~10、好ましくは1~8、更に好まし は1~5、より好ましくは1~3、特に好ましくは1~ 2の整数である。また、上記nは0~10、好ましく は0~8、更に好ましくは0~5、より好ましくは0~3 、特に好ましくは0~2の整数である。上記nは 常1又は0である。

 本発明の錯体は、例えば、溶媒(例えば、ヘ キサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素、ト ルエン等の芳香族炭化水素、並びに塩化メチ レン等のハロゲン化アルキル)中に本発明の 位子と、有機亜鉛化合物(ZnR 8 R 9 で表される有機亜鉛化合物等。R 8 及びR 9 はそれぞれ独立に一価の炭化水素基を表す。 )とを混合して得ることができる。更に、ア キンを混合することもできる。この場合、 加した有機亜鉛化合物が該アルキンと反応 ることにより生成したアルキニル亜鉛が、 発明の配位子に配位して、本発明の錯体を 成すると考えられる(尚、当該説明は発明者 推測である。この説明は、本発明を何ら限 する趣旨の説明ではない。)。即ち、本発明 の錯体として、添加した有機亜鉛化合物が有 する有機基と、本発明の錯体を形成している 亜鉛が有する有機基とは、同じでもよく、異 なっていてもよい。

 本発明の錯体の形態には特に限定はない 本発明の錯体は、溶媒中に存在していても い。また、該溶媒を留去して残渣として存 していてもよい。更に、本発明の錯体は、 製した状態でそのまま用いてもよい。また 本発明の錯体は、錯体として単離すること く、例えば、反応溶媒中で形成させ、その ま引き続き反応に用いてもよい。

(5)触媒
 本発明の触媒は、本発明の錯体を含む。

 本発明の触媒は、本発明の錯体を含む限 、その組成には特に限定はない。本発明の 媒は、本発明の錯体以外の他の成分を含ん いてもよい。また、本発明の触媒の形態に 特に限定はない。本発明の触媒は、溶媒中 存在していてもよい。また、該溶媒を留去 て残渣として存在していてもよい。更に、 発明の触媒は、調製した状態でそのまま用 てもよい。また、本発明の触媒は、触媒と て単離することなく、例えば、反応溶媒中 形成させ、そのまま引き続き反応に用いて よい。

 上記触媒は、カルボニル化合物(アルデヒ ド又はケトン)と有機金属求核剤とを反応さ るアルキル付加反応を触媒することができ 。よって、上記触媒は、アルコール合成用 媒として利用することができる。また、上 触媒は、エナンチオ選択性に優れる。よっ 、上記触媒は、光学活性アルコール合成用 媒として利用することができる。特に、上 触媒は、従来合成が困難であったケトンの ルキル付加反応による光学活性第3級アルコ ルの合成用触媒として利用することができ 。

(6)光学活性アルコールの製造方法。
 第1の本発明の光学活性アルコールの製造方 法は、本発明のホスホロアミド化合物又は本 発明の配位子を添加し、カルボニル化合物( ルデヒド又はケトン)と、上記一般式(11)で表 される有機亜鉛化合物又は一般式(12)及び(13) 表される有機亜鉛化合物とを反応させるこ を特徴とする。

 第2の本発明の光学活性アルコールの製造 方法は、本発明の錯体又は本発明の触媒の存 在下、カルボニル化合物(アルデヒド又はケ ン)と、上記一般式(11)で表される有機亜鉛化 合物又は一般式(12)及び(13)で表される有機亜 化合物とを反応させることを特徴とする。

 有機亜鉛化合物を用いたアルコール合成 おいて、ケトンとアルデヒドとを対比した 合、以下の差異が認められる。第1に、ケト ンは立体的及び電子的要因により、アルデヒ ドに比べて反応性が低い。第2に、有機亜鉛 合物も反応性が低いため、アルコール合成 応進行そのものが困難なことが多く、反応 進行しても副反応を伴うことがある。第3に キラル触媒によるケトンのエナンチオ面認 は、通常、アルデヒドのエナンチオ面認識 比べて難しい。このため、従来の触媒を用 た不斉アルキル付加反応は、アルデヒドか の光学活性第2級アルコールの合成に限られ ていた。しかし、本発明の光学活性アルコー ルの製造方法は、ケトン化合物から光学活性 第3級アルコールを製造する方法だけでなく アルデヒド化合物から光学活性第2級アルコ ルを合成する方法にも適用することができ 。特に、本発明によれば、ケトンのアルキ 付加反応により、従来合成が困難とされて たエナンチオ選択的な光学活性第3級アルコ ールを、従来よりも高効率で高エナンチオ選 択的に合成することができる。以下の説明に おいて、「光学活性アルコール」は、ケトン 化合物を出発物質とする場合は「光学活性第 3級アルコール」となり、アルデヒド化合物 出発物質とする場合は「光学活性第2級アル ール」となる。

 出発物質である上記カルボニル化合物の 類及び構造には特に限定はない。上記ケト 化合物は芳香族ケトンでもよく、脂肪族ケ ンでもよい。また、上記アルデヒド化合物 芳香族アルデヒドでもよく、脂肪族アルデ ドでもよい。

 上記ケトン化合物としては、例えば、下 一般式(14)又は(15)で表されるケトン化合物 挙げられる。

 式中、R 16 は炭素数3以上の一価の炭化水素基である。 た、R 17 はR 16 と異なる一価の炭化水素基である。該一価の 炭化水素基としては、例えば、アルキル基、 アルケニル基、アルキニル基、アリール基、 アリールアルキル基、及びアリールアルケニ ル基が挙げられる。上記アルキル基、アルケ ニル基、アルキニル基、アリール基、アリー ルアルキル基、及びアリールアルケニル基の 種類及び構造は、本発明のホスホロアミド化 合物の上記R 1 ~R 3 の説明が妥当する。上記一般式(14)中、R 17 はメチル基又はエチル基とすることができる 。

 上記一般式(15)において、nは2以上の整数 好ましくは2~6、更に好ましくは2~5である。

 また、上記一般式(15)の芳香環は、置換基 を1種又は2種以上有していてもよい。この置 基の位置は、o-、m-、及びp-のいずれでもよ 。上記置換基として具体的には、例えば、 ロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、 トロ基、アミノ基、水酸基、及びアルコキ 基の1種又は2種以上が挙げられる。これら 置換基が芳香環に位置する場合、該置換基 位置は、o-、m-、及びp-のいずれでもよい。

 上記ハロゲン原子としては、例えば、フ 素原子、塩素原子、及び臭素原子の1種又は 2種以上が挙げられる。

 上記アルキル基及びアルケニル基としては 例えば、炭素数1~6、好ましくは1~4のアルキ 基及びアルケニル基の1種又は2種以上が挙 られる。上記アルキル基及びアルケニル基 して具体的には、例えば、メチル基、エチ 基、n-プロピル基、i-プロピル基、i-ブチル 、sec-ブチル基、及びt-ブチル基の1種又は2種 以上が挙げられる。尚、上記アルキル基及び アルケニル基は、更に他の置換基を有してい てもよく、また、ハロゲン化アルキル基及び ハロゲン化アルケニル基でもよい。例えば、 上記アルキル基として、メチル基及びエチル 基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子 (フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子の1種 は2種以上等)で置換された基(CF 3 -、CCl 3 -等)でもよい。

 上記アルコキシ基としては、例えば、炭 数1~6、好ましくは1~4、更に好ましくは1~3の ルコキシ基が挙げられる。上記アルコキシ として具体的には、例えば、メトキシ基、 トキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基 、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、sec-ブトキシ 、t-ブトキシ基が挙げられる。

 上記アルデヒド化合物としては、例えば、 般式R 18 CHOで表されるアルデヒド化合物が挙げられる 。上記式中、R 18 は一価の炭化水素基である。該一価の炭化水 素基としては、例えば、アルキル基、アルケ ニル基、アルキニル基、アリール基、アリー ルアルキル基、及びアリールアルケニル基が 挙げられる。上記アルキル基、アルケニル基 、アルキニル基、アリール基、アリールアル キル基、及びアリールアルケニル基の種類及 び構造は、本発明のホスホロアミド化合物の 上記R 1 ~R 3 の説明が妥当する。

 上記一般式(11)中、上記R 10 及びR 11 は、それぞれ独立に一価の炭化水素基である 。上記一価の炭化水素基としては、例えば、 アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、 アリール基、アリールアルキル基、及びアリ ールアルケニル基が挙げられる。上記一価の 炭化水素基、並びに上記アルキル基、アルケ ニル基、又はアルキニル基の種類及び構造は 、本発明のホスホロアミド化合物の上記R 1 ~R 3 の説明が妥当する。また、上記R 10 及びR 11 は、同じ基でもよく、異なる基でもよい。上 記一般式(11)中、上記R 10 及びR 11 は、それぞれ独立に一価の炭化水素基であり 、且つ、少なくとも一方はアルキル基、アル ケニル基、又はアルキニル基とすることがで きる。

 上記一般式(12)中、上記R 12 及びR 13 は、それぞれ独立にアリール基、アリールア ルキル基、又はアリールアルケニル基である 。また、上記一般式(13)中、上記R 14 及びR 15 は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル 基、又はアルキニル基である。上記アルキル 基、アルケニル基、アルキニル基、アリール 基、アリールアルキル基、及びアリールアル ケニル基の種類及び構造は、本発明のホスホ ロアミド化合物の上記R 1 ~R 3 の説明が妥当する。また、上記R 12 及びR 13 は、同じ基でもよく、異なる基でもよい。上 記R 14 及びR 15 は、同じ基でもよく、異なる基でもよい。

 本発明の光学活性アルコールの製造方法 おいて、各成分の量及び割合には特に限定 ない。例えば、上記一般式(11)で表される有 機亜鉛化合物の量は通常、上記カルボニル化 合物(ケトン化合物又はアルデヒド化合物)に して1~5当量、好ましくは1~4当量、更に好ま くは1~3当量とすることができる。また、同 に、上記一般式(12)で表される有機亜鉛化合 物の量は通常、1~3当量、好ましくは1~2当量、 更に好ましくは1~1.5当量とすることができる 更に、上記一般式(13)で表される有機亜鉛化 合物の量は通常、1~4当量、好ましくは1~3当量 、更に好ましくは1~2.5当量とすることができ 。更に、上記一般式(12)で表される有機亜鉛 化合物と一般式(13)で表される有機亜鉛化合 との当量比は通常、1:(1~5)、好ましくは1:(1~4) 、更に好ましくは1:(1~3)、より好ましくは1:(1~ 2)とすることができる。

 更に、本発明の光学活性アルコールの製 方法において、本発明のホスホロアミド化 物の添加量は通常、上記カルボニル化合物( ケトン化合物又はアルデヒド化合物)に対し 0.1~20mol%、好ましくは0.5~15mol%、更に好ましく は1~15mol%、より好ましくは5~15mol%とすること できる。

 本発明の光学活性アルコールの製造方法 反応条件には特に限定はない。反応時間は 常6~48時間、好ましくは12~36時間、更に好ま くは18~24時間である。また、反応温度は通 0~70℃、好ましくは10~50℃、更に好ましくは15 ~40℃、より好ましくは20~30℃である。

 本発明の光学活性アルコールの製造方法 、溶媒存在下で行ってもよく、無溶媒下で ってもよい。該方法を無溶媒下で行うと、 収率で光学活性アルコールを得ることがで るので好ましい。また、該方法を溶媒存在 で行うと、出発原料として固体のカルボニ 化合物(例えば、固体のケトン化合物)等を 用することができるので好ましい。上記溶 としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、 びトルエンが挙げられる。上記溶媒は1種の でもよく、2種以上の混合溶媒でもよい。尚 、収率向上のため、上記溶媒は、更にアルコ ール(メタノール及びエタノール等)を含有し いてもよい。

 本発明の光学活性アルコールの製造方法は 反応促進剤としてチタン添加剤(Ti(Oi-Pr) 4 等)を用いなくてもよい。従来は、反応促進 として、等モル量~過剰量のチタン添加剤が いられていた。しかし、該チタン添加剤は 吸湿分解性が強く、取り扱いが容易でない 本発明では、かかるチタン添加剤を用いな てもよいことから、容易に光学活性アルコ ルの製造方法を行うことができる。勿論、 発明では、上記チタン添加剤を使用しても わない。しかし、上記チタン添加剤の使用 は2当量以下、好ましくは1当量以下、更に ましくは0.5当量以下、より好ましくは0.3当 以下、特に好ましくは0.1当量以下とするこ ができる。

 本発明の光学活性アルコールの製造方法 は、更にアルキンを混合することができる 該アルキンを混合することにより、該アル ン由来のアルキニル基を、上記カルボニル 合物(アルデヒド又はケトン)に付加させる とができる。これは、添加した有機亜鉛化 物が上記アルキンと反応することにより生 したアルキニル亜鉛が、本発明の配位子に 位して錯体を形成し、該錯体が上記カルボ ル化合物と反応するためと考えられる(尚、 該説明は発明者の推測である。この説明  、本発明を何ら限定する趣旨の説明ではな 。)。即ち、本発明の光学活性アルコールの 造方法では、上記有機亜鉛化合物が有する 機基と、上記カルボニル化合物に付加され 有機基とは、同じでもよく、異なっていて よい。

 本発明により得られる光学活性アルコー の種類及び構造には特に限定はない。本発 の光学活性アルコールの製造方法では、不 アルキル化反応だけでなく、不斉フェニル 反応も可能である。また、本発明の光学活 アルコールの製造方法では、種々の有機亜 化合物を使用できる。その結果、種々の種 及び構造の光学活性アルコールを製造する とができる。

 以下、実施例により本発明を具体的に説 する。尚、本発明は、実施例に示す形態に られない。本発明の実施形態は、目的及び 途等に応じて、本発明の範囲内で種々変更 ることができる。

<A>ホスホロアミド化合物を用いた光学活 性第3級アルコールの合成
(1)ホスホロアミド化合物の合成
 以下の方法により、以下の化学式で表され ホスホロアミド化合物(L1)及び(L2)を合成し 。ホスホロアミド化合物(L1)及び(L2)の構造及 びその合成スキームは以下の通りである。

<アミノ酸誘導体(1)からアミド(2)の合成>
 窒素雰囲気下、アミノ酸誘導体(1)(4.25g、20.0 mmol)を加えた反応容器に、脱水した塩化メチ ン(100ml)を加えて、アミノ酸誘導体(1)を溶解 した。次いで、ジシクロヘキシルカルボジイ ミド(DCC)(4.54g、22.0mmol)及び1-ヒドロキシベン トリアゾール(HOBt)(2.97g、22.0mmol)を加えた。 記アミノ酸誘導体(1)は、L-バリンの窒素原子 上をtert-ブトキシカルボニル基(Boc)で保護し アミノ酸誘導体である。

 その後、該溶液を0℃に冷却し、ピロリジ ン(3.67ml、44.0mmol)を10分間かけて滴下した。滴 下後、0℃で15分間撹拌し、その後、室温に昇 温させ、更に24時間撹拌した。

 反応終了をTLCで確認し、上記溶液を0℃に 冷却した後に、10%クエン酸水溶液(20ml)を加え 、10分間撹拌した後、室温に昇温した。混合 からクロロホルム(50ml×2)で抽出を行い、抽 した有機層を10%クエン酸水溶液(20ml)及び飽 塩化ナトリウム水溶液(20ml)で洗浄し、硫酸 グネシウムで乾燥した。抽出した有機層を セライト」(商品名)を用いてろ過し、溶媒 減圧留去した。得られた濃縮液をシリカゲ カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エ チル=(3/1)~(1/1))を通して精製を行い、アミド(2 )を得た。該アミド(2)の収率は82%(4.43g)であっ 。

<アミド(2)からジアミン(3)の合成>
 得られたアミド(2)を入れた反応容器にメタ ールを加え、アミド(2)が溶解した後に0℃に 冷却した。同溶液に塩化アセチル(20ml)を10分 けて滴下した。滴下後、0℃で3時間撹拌し 後、室温に昇温させ、さらに1時間撹拌した その後、溶媒を減圧留去して、脱Bocアミン 定量的に得た。脱Bocアミンは精製を行わず 、次の反応に用いた。

 窒素雰囲気下、還流管を装着させた反応 器に、水素化リチウムアルミニウム(3.80g,100 mmol)を加えた。反応容器を0℃に冷却した後、 脱水したテトラヒドロフラン(THF)(100ml)を加え た。次いで、得られた脱Bocアミンのテトラヒ ドロフラン溶液(50ml)を10分かけて滴下した。 下後、0℃で30分間撹拌した後、反応溶液を4 8時間還流させた。

 反応終了をTLCで確認の上、0℃に冷却した 後に、激しく撹拌しながら硫酸ナトリウム(10 g)及び水(20ml)を注意深く滴下した。滴下後、0 ℃で30分間撹拌した後、「セライト」(商品名 )を用いてろ過を行った。残渣をジエチルエ テルで洗浄した後、合わせた有機層を減圧 去した。得られた濃縮液を塩基性のシリカ ルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸 エチル=(3/1)~(1/1))に通して精製を行い、ジア ン(3)を得た。ジアミン(3)の収率は61%(1.56g)で った。

<ジアミン(3)からホスホロアミド化合物(L1) 合成>
 窒素雰囲気下、ジアミン(3)を加えた反応容 に、テトラヒドロフラン(20ml)を加えた。次 で、トリエチルアミン(2.22g,22.0mmol)を加え、 反応容器を0℃に冷却した。冷却した後、ジ ェニルホスフィン酸クロリド(2.60g,11.0mmol)を5 分かけて滴下した。滴下後、0℃で30分間撹拌 した後、室温に昇温させ、更に3時間撹拌し 。反応終了をTLCで確認の上、0℃に冷却した に水(10ml)を加え、室温に昇温した。混合液 らクロロホルム(20ml×2)で抽出を行い、抽出 た有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(10ml) 洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。「 ライト」(商品名)を用いてろ過を行い、溶 を減圧留去した。得られた濃縮液を塩基性 シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキ ン/酢酸エチル=(3/1)~(1/1))を通して精製を行 、ホスホロアミド化合物(L1)を得た。ホスホ アミド化合物(L1)の収率は86%(3.06g)であった

 ホスホロアミド化合物(L1)のスペクトルデー タは以下の通りであった。

 上記と同様の方法により、ホスホロアミ 化合物(L2)を合成した。

 塩化メチレン中で、ホスホロアミド化合物( L1)の 31 P-NMR(121MHz)を測定した。次いで、ホスホロア ド化合物(L1)に、1当量のジエチル亜鉛を加え 、 31 P-NMR(121MHz)を測定した。

 測定の結果、ホスホロアミド化合物(L1)は 、22.20ppmにsingletのピークを与えた。この溶液 にジエチル亜鉛を1当量加えたところ、1当量 エタンガスの発生を伴って、23.38ppmに新し singletのピークが現れた。

(2)光学活性第三級アルコールの合成(I)-ケト のエチル化反応
 配位子としてホスホロアミド化合物(L1)及び (L2)を用いた。該配位子を添加し、アセトフ ノンとジエチル亜鉛とを反応させ、光学活 第3級アルコールを合成した。

 窒素雰囲気下、ホスホロアミド化合物(L2) (45.6mg,0.10mmol)を入れたシュレンク反応管に、 エチル亜鉛(1.0M ヘプタン溶液)(3.0ml,3.0mmol) 加え、室温で30分撹拌した。次いで、アセト フェノン(120.2mg,1.0mmol)を反応溶液に加え、室 にて24時間撹拌した。

 反応終了をTLCで確認した。確認後、0℃に 冷却した後に飽和塩化アンモニウム水溶液(10 ml)を加え、室温に昇温した。混合液からジエ チルエーテル(15ml×2)で抽出を行い、抽出した 有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(10ml)で洗 浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで 、「セライト」(商品名)を用いてろ過を行い 溶媒を減圧留去した。

 得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロ トグラフィー(ペンタン/ジエチルエーテル=( 10/1)~(2/1))を通して精製を行い、光学活性第3 アルコールを得た。収率は80%(120.1mg)であっ 。更に、キラルカラムを充填したガスクロ トグラフィーにより、得られた光学活性第3 アルコールのエナンチオマー過剰率を測定 た。その結果、エナンチオマー過剰率は93%e e(S)であった。

 配位子として、ホスホロアミド化合物(L2) に代えて、ホスホロアミド化合物(L1)を用い 反応温度を室温として、上記と同様の方法 より、光学活性第3級アルコールを合成した その結果、収率は21%であった。また、エナ チオマー過剰率は87%ee(S)であった。一方、 記反応温度を、室温から50℃の条件に変更し て、上記と同様に光学活性第三級アルコール の合成を行った。その結果、収率は32%であっ た。また、エナンチオマー過剰率は78%ee(S)で った。

 配位子として、ホスホロアミド化合物(L1) 及び(L2)を用い、上記と同様の方法により、 下に記載の光学活性第三級アルコールを合 した。合成した光学活性第三級アルコール 構造、並びに反応時間(h)、収率(%)、及びエ ンチオマー過剰率(%ee)を以下に記載する。

(3)光学活性第三級アルコールの合成(II)-ケト のフェニル化反応
 上記(2)記載の光学活性第3級アルコールの合 成方法において、上記ジエチル亜鉛に代えて 、ジフェニル亜鉛(1.0M ヘプタン溶液)(1.0ml,3.0 mmol)及びジエチル亜鉛(1.0M ヘプタン溶液)(2.0m l,2.0mmol)を用いた。その他は、上記(2)記載の 成方法と同じ方法で、p-クロロアセトフェノ ンとジフェニル亜鉛及びジエチル亜鉛とを反 応させ、光学活性第3級アルコールを合成し 。

 上記と同様の方法により、以下に記載の 学活性第3級アルコールを合成した。合成し た光学活性第3級アルコールの構造、並びに 応時間(h)、収率(%)、及びエナンチオマー過 率(%ee)を以下に記載する。

 また、配位子の量及び反応温度を変更し 上記と同様の方法により、光学活性第3級ア ルコールを合成した。その結果を以下に示す 。

 更に、反応剤(ジフェニル亜鉛及びジエチ ル亜鉛)の量を変更し、上記と同様の方法に り、光学活性第3級アルコールを合成した。 の結果を以下に示す。

(4)光学活性第3級アルコールの合成(III)
 上記(1)記載の方法と同様の方法により、以 に示すホスホロアミド化合物を合成した。 記(2)記載の光学活性第3級アルコールの合成 方法において、ホスホロアミド化合物(L1)及 (L2)の代わりに、これらのホスホロアミド化 物を配位子として用いた。その他は、上記( 2)記載の方法と同じ方法で、光学活性第3級ア ルコールを合成した。合成したホスホロアミ ド化合物の構造、並びに反応時間、収率、及 びエナンチオマー過剰率を以下に記載する。

(5)実施例の結果
 ホスホロアミド化合物(L1)のスペクトルデー タ及び1当量のエタンガスの発生が認められ ことから、ホスホロアミド化合物(L1)とジエ ル亜鉛は、亜鉛錯体を形成していることが かる。

 また、この結果から、該亜鉛錯体は、以 のスキームで形成された一般式(C1)で表され る亜鉛錯体と考えられる(尚、この考察は、 明者の推測である。従って、この結論は、 発明を何ら限定する趣旨の説明ではない。)

 ホスホロアミド化合物(L1)及び(L2)を用い ことにより、従来合成が困難とされていた 学活性第3級アルコールを、高効率で高エナ チオ選択的に合成できる。しかも、従来用 られていたチタン添加剤等の反応剤を加え くても、光学活性第3級アルコールを、高効 率で高エナンチオ選択的に合成できる。

 ホスホロアミド化合物(L1)及び(L2)とを比 すると、ホスホロアミド化合物(L2)を用いた 合、収率が高く、しかも、エナンチオ過剰 が高い。よって、ホスホロアミド化合物(L2) を用いると、より高効率で高エナンチオ選択 的に、光学活性第三級アルコールを合成する ことができる。

 更に、様々な本発明のホスホロアミド化 物を合成し、これを配位子としてケトンの ルキル付加反応を行った結果、いずれの配 子でも高エナンチオ選択的に第3級アルコー ルを合成できる。

<B>ホスホロアミド化合物を用いた光学活 性第2級アルコールの合成
(1)配位子の合成
 以下の方法により、以下の化学式で表され 配位子(L3)~(L12)を合成した。配位子(L3)~(L12) 構造及びその合成スキームは以下の通りで る。

<アミノ酸塩酸塩(1)からホスホロアミド(2) 合成>
 窒素雰囲気下、アミノ酸塩酸塩(1)(3.35g、20mm ol)を加えた反応容器に、塩化メチレン(50ml)を 加えた。次いで、トリエチルアミン(4.44g、22m mol)を加え、反応容器を0℃に冷却した。冷却 た後、ジフェニルホスフィン酸クロリド(5.2 0g、22mmol)を5分かけて滴下した。滴下後、0℃ 30分間撹拌した後、室温に昇温させ、更に3 間撹拌した。反応終了をTLCで確認の上、0℃ に冷却した後に水(20ml)を加え、室温に昇温し た。混合液からクロロホルム(30ml×2)で抽出を 行い、抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム 水溶液(20ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾 燥した。「セライト」(商品名)を用いてろ過 行い、溶媒を減圧留去した。得られた濃縮 をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘ キサン/酢酸エチル=(3/1)~(1/1))に通して精製を い、ホスホロアミド(2)を得た。ホスホロア ド(2)の収率は68%(4.51g)であった。

<エステル(2)からカルボン酸(3)の合成>
 得られたホスホロアミド(2)(3.31g、10mmol)を加 えた反応容器に、1,4-ジオキサン(20ml)を加え 。次いで、同溶液を0℃に冷却し、2M水酸化 トリウム水溶液(5.5ml)を10分間かけて滴下し 。滴下後、0℃で15分間撹拌した後、室温に 温させ、更に5時間撹拌した。反応終了をTLC 確認の上、0℃に冷却した後に飽和クエン酸 水溶液を加え、pH3~4に調製した。混合液から 酸エチル(30ml×2)で抽出を行い、抽出した有 層を水(20ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(20m l)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。 セライト」(商品名)を用いてろ過を行い、 媒を減圧留去した。得られた粗生成物をト エンとヘキサンを1:1で混合した溶媒を用い 再結晶を行い、カルボン酸(3)を得た。カル ン酸(3)の収率は99%以上(3.17g)であった。

<カルボン酸(3)からアルコール(4)の合成>
 窒素雰囲気下、還流管を装着させた反応容 に、水素化ホウ素ナトリウム(908mg、24mmol)を 加えた。反応容器を0℃に冷却した後、脱水 たテトラヒドロフラン(THF)(30ml)を加えた。次 いで、得られたカルボン酸(3)(3.17g、10mmol)の トラヒドロフラン溶液(20ml)を一度に加えた 次いで、同溶液に、ヨウ素(2.54g、10mmol)のテ ラヒドロフラン溶液(10ml)を10分間かけて滴 した。滴下後、0℃で15分間撹拌した後、反 溶液を18時間還流させた。反応終了をTLCで確 認の上、0℃に冷却した後に、反応溶液が均 になるまでメタノールを注意深く滴下した 滴下終了後、0℃で30分間撹拌した後、溶媒 減圧留去した。得られた濃縮液に、20%水酸 カリウム水溶液(20ml)を加えた。溶液を室温 4時間撹拌した後、クロロホルム(50ml×2)で抽 を行い、抽出した有機層を水(20ml)と飽和塩 ナトリウム水溶液(20ml)で洗浄し、硫酸マグ シウムで乾燥した。「セライト」(商品名) 用いてろ過を行い、溶媒を減圧留去した。 られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマト ラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=(3/1)~(1/1))に して精製を行い、アルコール(4)を得た。ア コール(4)の収率は47%(1.42g)であった。

<カルボン酸(3)からアミド(5)の合成>
 窒素雰囲気下、得られたカルボン酸(3)(3.17g 10mmol)を加えた反応容器に、脱水した塩化メ チレン(50ml)を加えて溶解した。次いで、DCC(2. 27g、11mmol)及びHOBt(1.48g、11mmol)を加えた。次い で、同溶液を0℃に冷却し、ピぺリジン(2.17ml 22mmol)を10分間かけて滴下した。滴下後、0℃ で15分間撹拌した後、室温に昇温させ、更に2 4時間撹拌した。反応終了をTLCで確認の上、0 に冷却した後に10%クエン酸水溶液(10ml)を加 、10分間撹拌した後、室温に昇温した。混 液からクロロホルム(30ml×2)で抽出を行い、 出した有機層を10%クエン酸水溶液(10ml)と飽 塩化ナトリウム水溶液(10ml)で洗浄し、硫酸 グネシウムで乾燥した。「セライト」(商品 )を用いてろ過を行い、溶媒を減圧留去した 。得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマ トグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=(3/1)~(1/1)) に通して精製を行い、アミド(5)を得た。アミ ド(5)の収率は62%(2.38g)であった。

<アミド(5)からアミン(6)の合成>
 窒素雰囲気下、還流管を装着させた反応容 に、水素化リチウムアルミニウム(152g、40mmo l)を加えた。反応容器を0℃に冷却した後、脱 水したテトラヒドロフラン(THF)(40ml)を加えた 次いで、得られたアミド(5)のテトラヒドロ ラン溶液(20ml)を10分かけて滴下した。滴下 、0℃で30分間撹拌した後、反応溶液を48時間 還流させた。反応終了をTLCで確認の上、0℃ 冷却した後に、激しく撹拌しながら硫酸ナ リウム(4g)と水(10ml)を注意深く滴下した。滴 後、0℃で30分間撹拌した後、「セライト」( 商品名)を用いてろ過を行った。残渣をジエ ルエーテルで洗浄した後、合わせた有機層 減圧留去した。得られた濃縮液を塩基性の リカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサ /酢酸エチル=(3/1)~(1/1))に通して精製を行い アミン(6)を得た。アミン(6)の収率は57%(1.30g) あった。

(2)光学活性第2級アルコールの合成
 配位子として、ホスホロアミド化合物(L1)及 び配位子(L3)~(L12)を用いた。該配位子を添加 、ベンズアルデヒドとジエチル亜鉛とを反 させ、光学活性第2級アルコールを合成した

 窒素雰囲気下、ホスホロアミド化合物(L1) 及び配位子(L3)~(L12)(0.10mmol)を入れたシュレン 反応管に、ジエチル亜鉛(1.0M トルエン溶液 )(3.0ml,3.0mmol)を加え、0℃で30分撹拌した。次 で、ベンズアルデヒド(1.0mmol)を反応溶液に え、0℃で24時間撹拌した。

 反応終了をTLCで確認した。確認後、飽和 化アンモニウム水溶液(10ml)を加え、室温に 温した。混合液からジエチルエーテル(15ml× 2)で抽出を行い、抽出した有機層を飽和塩化 トリウム水溶液(10ml)で洗浄し、硫酸マグネ ウムで乾燥した。次いで、「セライト」(商 品名)を用いてろ過を行い、溶媒を減圧留去 た。

 得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロ トグラフィー(ペンタン/ジエチルエーテル=( 10/1)~(2/1))を通して精製を行い、光学活性第2 アルコールを得た。合成した光学活性第2級 ルコールの構造、並びに反応時間、収率、 びエナンチオマー過剰率を、上記各配位子 構造と併記する。

 ホスホロアミド化合物(L1)及び配位子(L3)~( L12)を用いることにより、アルデヒド化合物 ら光学活性第2級アルコールを合成できる。 かも、従来用いられていたチタン添加剤等 反応剤を加えなくても、光学活性第2級アル コールを、高効率で高エナンチオ選択的に合 成できる。ホスホロアミド化合物(L1)は、光 活性第2級アルコールの合成及び光学活性第3 級アルコールの合成のいずれにも有効である 。

 配位子(L3)~(L7)(エステル)を用いた場合は 配位子(L8)(カルボン酸)及び配位子(L9)(アルコ ール)を用いた場合よりも高収率であり、且 高エナンチオ選択的である。また、配位子(L 3)~(L6)を用いた場合は、配位子(L7)を用いた場 よりも高エナンチオ選択的である。更に、 位子(L6)を用いた場合は、配位子(L3)を用い 場合よりも高収率である。

 アミド構造を有する配位子(L10)より、ア ドが還元されている配位子(L11)が高エナンチ オ選択的である。また、第2級アミン(L10)より 、第3級アミン(L12)が収率及びエナンチオ選択 のいずれも優れている。

 本発明は、カルボニル化合物(アルデヒド 及びケトン)、特にケトンから高効率で高エ ンチオ選択的に、光学活性アルコールを合 するのに有用である。本発明により合成さ る光学活性アルコールは、医薬品及び農薬 又はその合成中間体として有用である。例 ば、本発明により合成される光学活性アル ールを用いることにより、従来必須であっ 光学分割工程を省略して、医薬品(例えば、 ヒスタミン剤として繁用されるクレマスチ )を合成することができる。