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Title:
PIEZOELECTRIC CERAMIC, AND PIEZOELECTRIC, DIELECTRIC, AND PYROELECTRIC ELEMENTS USING THE PIEZOELECTRIC CERAMIC
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/143160
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a piezoelectric solid solution composition composed mainly of a composition represented by general formula {Mx(NayLizK1-y-z)1-x}1-m{(Ti1-u-vZruHfv)x(Nb1-wTaw)1-x}O3 wherein M represents a combination of at least one compound selected from the group consisting of (Bi0.5K0.5), (Bi0.5Na0.5), and (Bi0.5Li0.5) with at least one compound selected from the group consisting of Ba, Sr, Ca, and Mg; and x, y, z, u, v, w, and m are in the following respective ranges: 0.06 < x ≤ 0.3, 0 ≤ y ≤ 1, 0 ≤ z ≤ 0.3, 0 ≤ y + z ≤ 1, 0 < u ≤ 1, 0 ≤ v ≤ 0.75, 0 ≤ w ≤ 0.2, 0 < u + v ≤ 1, and -0.06 ≤ m ≤ 0.06. The solid solution composition is a novel composition composed mainly of (Na,K)NbO3, preferably forms the same rhombohedral-tetragonal crystal phase boundary as in PZT and is environmentally friendly. This composition has an excellent piezoelectric constant d33 and thus can be utilized as actuators, for example, for ultrasonic vibrators, ultrasonic motors, precision positioning elements, and piezoelectric transformers, as vibration control actuators, for example, for airplanes, automobiles, railway vehicles, and ships, and as vibration-proof actuators for civil engineering and construction buildings.

Inventors:
WANG RUIPING (JP)
BANDO HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059007
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
WANG RUIPING (JP)
BANDO HIROSHI (JP)
International Classes:
C04B35/00; C01G35/00; C04B35/46; C04B35/49; H01L41/187; H01L41/39
Domestic Patent References:
WO2006117990A12006-11-09
Foreign References:
JP2005008516A2005-01-13
JP2004244300A2004-09-02
JP2002255641A2002-09-11
JP2006206429A2006-08-10
JP2005502701A2005-01-27
JP2005513469A2005-05-12
JP2004300012A2004-10-28
JP3654408B22005-06-02
JP3282576B22002-05-13
JP3259677B22002-02-25
JP3259678B22002-02-25
Other References:
JPN. J. APPL. PHYS., vol. 41, 2002, pages 7119
FERROELECTRICS, vol. 286, 2003, pages 93
APPL. PHYS. LETT., vol. 85, 2004, pages 4121
JPN. J. APPL. PHYS., vol. 43, 2004, pages 6662
NATURE, vol. 432, 2004, pages 84
SOLID STATE COMMUN., vol. 129, 2004, pages 274
MAT. LETTS., vol. 59, 2005, pages 241
PHYS. STAT. SOL. (A), vol. 202, 2005, pages R57
APPL. PHYS. LETT., vol. 90, 2007, pages 092904
NATURE, vol. 403, 2000, pages 281
See also references of EP 2159206A4
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Claims:
 一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 で表される組成物を主成分とする圧電固溶体組成物。
 (式中、Mは(Bi 0.5 K 0.5 )、(Bi 0.5 Na 0.5 )及び(Bi 0.5 Li 0.5 )からなる群から選ばれる少なくとも一種とBa、Sr、Ca及び Mgからなる群から選ばれる少なくとも一種との組み合わせを示す;式中x,y,z,u,v,w及びmの範囲がそれぞれ0.06<x≦0.3、0≦y≦1、0≦z≦0.3、0≦y+z≦1、0<u≦1、0≦v≦0.75、0≦w≦0.2、0<u+v≦1、-0.06≦m≦0.06である。)
 菱面晶―正方晶の相境界を有することを特徴とする請求項1に記載の圧電固溶体組成物。
 請求項1もしくは2に記載の圧電固溶体組成物に更にBa,Bi,Ca,Ce,Cr,Cu,Dy,Er,Eu,Ga,Gd,Ge,Ho,In,La,Lu,Mn,Nd,Pr,Sc,Si,Sm,Sn,Sr,Tb,Tm,V,W,Y及びYbから選ばれた少なくとも1種の金属もしくは金属化合物を添加してなる圧電固溶体組成物。
 請求項1~3のいずれかに記載の圧電固溶体組成物を焼結して得られる圧電セラミックス。
 請求項1~3のいずれかに記載の圧電固溶体組成物を焼結して得られる誘電セラミックス。
 請求項1~3のいずれかに記載の圧電固溶体組成物を焼結して得られる焦電セラミックス。
 相対密度が95%以上であることを特徴とする請求項4に記載の圧電セラミックス。
 相対密度が95%以上であることを特徴とする請求項5に記載の誘電セラミックス。
 相対密度が95%以上であることを特徴とする請求項6に記載の焦電セラミックス。
 請求項4又は7に記載の圧電セラミックスを含有することを特徴とする圧電素子。
 請求項5又は8に記載の圧電セラミックスを含有することを特徴とする誘電素子。
 請求項6又は9に記載の圧電セラミックスを含有することを特徴とする焦電素子。
Description:
圧電セラミックス及びこれを用 た圧電・誘電・焦電素子

 本発明は、ペロブスカイト酸化物であるニ ブ酸ナトリウム(NaNbO 3 )とニオブ酸カリウム(KNbO 3 )が主体をなし、鉛を含まない圧電固溶体組 物およびこのものを焼結して得られる圧電 ラミックス、並びに当該セラミックスを用 た圧電・誘電・焦電素子に関するものであ 。

 圧電セラミックスは、電圧をかけると伸び 形を生じるため、超音波振動子、超音波モ ター、精密位置決め素子、圧電トランス等 アクチュエータとして、逆に変形を与える 電圧を発生するため、加速度センサ、カー ビゲーション用圧電ジャイロ、ソナー、超 波診断素子等のセンサとして広範な用途が る。最近、様々な機械・システムを知能化 る傾向が強まり、そのため、特にアクチュ ータの重要性が高まっている。現在、汎用 れている圧電セラミックスの主流は、チタ 酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とし、ペロブ カイト構造(ABO 3 )を呈するものである。

 このPZTセラミックスの圧電性は、菱面晶構 で反強誘電体のジルコン酸鉛(PbZrO 3 )と正方晶構造で強誘電体のチタン酸鉛(PbTiO 3 )を組み合わせたことによってもたらされる ので、菱面晶と正方晶の相境界(Morphotropic ph ase boundary、MPB、PbZrO 3 /PbTiO 3 =52/48付近)付近の組成で最も高い。そのため 多くのPZT系圧電セラミックスはMPB付近の組 に調製して用いられる。

 一方、最近、地球環境汚染の問題から種々 材料から鉛量を低減しようという動きがあ 、圧電セラミックスも例外ではない。
 事実、PZTセラミックスを代表とする現在汎 されている圧電セラミックスのほとんどは 量の鉛を含んでいる。特には、PZTは鉛を多 含んでいるので、最近では、酸性雨による の溶出など地球環境におよぼす悪影響が問 となっている。このような事情に鑑みて、P ZTの特性に匹敵する非鉛系圧電セラミックス 料の開発が望まれている。

 一般式(Na,K)NbO 3 で表される圧電磁器組成物は高い立方晶―正 方晶相転移温度(キュリー温度T c )を有するため、近年、PZTを代替する非鉛圧 セラミックスの候補物質として注目されて る(特許文献1-8、非特許文献1-9)。
 また、(Na,K)NbO 3 はペロブスカイト構造を有し、高温から低温 へ温度を変化させると立方晶―正方晶―斜方 晶―菱面晶に逐次相転移をする。
 非特許文献1-9より、(Na,K)NbO 3 にM 1 M 2 O 3 (M 1 =Ba,Sr,Ca,Pb,Liなど、M 2 =Ti,Ta,Sb,Nbなどの元素)を導入することにより 正方晶―斜方晶相転移温度(T c2 )を低温側にシフトさせることができる。

 この場合、圧電特性はT c2 が室温に近づくにつれ改善され、M 1 M 2 O 3 の導入量が3-6mol%付近で極大になる。この斜 晶―正方晶の相境界を利用し、元素の選択 よび組成の選択で圧電特性を向上するのが 来ニオブ系非鉛圧電セラミックスの開発の 流となってきた。

 図1の灰色の部分に、この斜方晶―正方晶の 相境界を利用する従来型ニオブ系非鉛圧電セ ラミックスの主な組成範囲を示す。
 一方、非特許文献10によると、鉛系[(1-x)Pb(Zn 1/3 Nb 2/3 )O 3 -xPbTiO 3 ]において、菱面晶―正方晶相境界付近の組 を有する試料で圧電特性が最適化されるが それは外部印加電場により斜方晶或いは正 晶を経由して、電気分極が菱面晶の(111)方向 から正方晶の(001)方向へ回転することによる のと明らかにされた。
 非鉛二オブ系(Na,K)NbO 3 の斜方晶―正方晶相境界においても同様の分 極回転が寄与していると仮定すると、その変 化量は鉛系における菱面晶―斜方晶等―正方 晶なる変化に比べると部分的であるに過ぎな い。

 従って、ニオブ系において、この斜方晶 正方晶の相境界を利用する限り鉛系の圧電 性に匹敵する非鉛圧電セラミックスを開発 るには困難が伴うものとされていた。

特開2006-206429号公報

特願2005-502701号公報

特願2005-513469号公報

特開2004-300012号公報

特許第3654408号明細書

特許第3282576号明細書

特許第3259677号明細書

特許第3259678号明細書 Jpn. J. Appl. Phys. 41, 7119 (2002) Ferroelectrics 286, 93 (2003). Appl. Phys. Lett. 85, 4121 (2004). Jpn. J. Appl. Phys. Part 1 43, 6662(2004). Nature, 432, 84 (2004). Solid State Commun. 129, 274(2004) Mat. Letts. 59, 241(2005). phys. stat. sol. (a) 202, R57 (2005) Appl. Phys. Lett. 90, 092904 (2007) Nature, 403,281(2000).

 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも であり、その目的は、(Na,K)NbO 3 が主体をなし、好ましくはPZTと同じ菱面晶― 正方晶相境界を形成し、環境に優しい新規な 固溶体組成物およびこのものから得られる圧 電セラミックス、並びに当該セラミックスを 用いた圧電・誘電・焦電素子を提供すること にある。

 本発明者等は、上記課題を解決するために 意検討した結果、本発明に到達した。
 すなわち、この出願は、以下の発明を提供 るものである。
〈1〉一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 で表される組成物を主成分とする圧電固溶体 組成物。
 (式中、Mは(Bi 0.5 K 0.5 )、(Bi 0.5 Na 0.5 )及び(Bi 0.5 Li 0.5 )からなる群から選ばれる少なくとも一種とBa 、 Sr、 Ca及び Mgからなる群から選ばれる少 なくとも一種との組み合わせを示す;式中x,y,z ,u,v,w及びmの範囲がそれぞれ0.06<x≦0.3、0≦y ≦1、0≦z≦0.3、0≦y+z≦1、0<u≦1、0≦v≦0.75 、0≦w≦0.2、0<u+v≦1、-0.06≦m≦0.06である。 )
〈2〉菱面晶―正方晶の相境界を有すること 特徴とする〈1〉に記載の圧電固溶体組成物
〈3〉上記〈1〉もしくは〈2〉に記載の圧電固 溶体組成物に更にBa,Bi,Ca,Ce,Cr,Cu,Dy,Er,Eu,Ga,Gd,Ge, Ho,In,La,Lu,Mn,Nd,Pr,Sc,Si,Sm,Sn,Sr,Tb,Tm,V,W,Y及びYbか 選ばれた少なくとも1種の金属もしくは金属 合物を添加してなる圧電固溶体組成物。
〈4〉上記〈1〉~〈3〉のいずれかに記載の圧 固溶体組成物を焼結して得られる圧電セラ ックス。
〈5〉上記〈1〉~〈3〉のいずれかに記載の圧 固溶体組成物を焼結して得られる誘電セラ ックス。
〈6〉上記〈1〉~〈3〉のいずれかに記載の圧 固溶体組成物を焼結して得られる焦電セラ ックス。
〈7〉相対密度が95%以上であることを特徴と る〈4〉に記載の圧電セラミックス。
〈8〉相対密度が95%以上であることを特徴と る〈5〉に記載の誘電セラミックス。
〈9〉相対密度が95%以上であることを特徴と る〈6〉に記載の焦電セラミックス。
〈10〉上記〈4〉又は〈7〉に記載の圧電セラ ックスを含有することを特徴とする圧電素 。
〈11〉上記〈5〉又は〈8〉に記載の圧電セラ ックスを含有することを特徴とする誘電素 。
〈12〉上記〈6〉又は〈9〉に記載の圧電セラ ックスを含有することを特徴とする焦電素 。

 本発明による圧電セラミックスは、鉛を含 ず環境に優しい高性能圧電セラミック材料 ある。本発明のセラミックスは、優れた圧 定数d 33 を示すため、超音波振動子、超音波モーター 、精密位置決め素子、圧電トランス等のアク チュエータや、航空機・自動車・鉄道車両・ 船舶等の振動制御や土木建築物の免振用のア クチュエータとして利用できる。

 本発明はニオブ系において初めて室温で 面晶―正方晶の相境界を形成することによ 圧電特性を向上したものであり、今後ニオ 系非鉛圧電セラミックスの開発の指針を与 るものと期待される。また、今後のニオブ 非鉛圧電セラミックスの開発はこれまでの 探索によることなく、本発明によって見出 れたMPBの組成域を主眼として行えばよくな ため、開発の高効率化が期待される。

ニオブ系非鉛圧電セラミックスの従来 組成範囲と本発明の組成範囲の概略説明図 灰色部は従来の組成範囲で、斜線部は本発 の組成範囲である。 実施例30及び実施例50の焦電係数の温度 依存性。

 本発明に係る圧電固溶体組成物は、一般式{ M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 で表される組成物を主成分としたものである 。
 式中、Mは(Bi 0.5 K 0.5 )、(Bi 0.5 Na 0.5 )及び(Bi 0.5 Li 0.5 )からなる群から選ばれる少なくとも一種とBa 、 Sr、 Ca及び Mgからなる群から選ばれる少 なくとも一種との組み合わせを示す;式中x,y,z ,u,v,w及びmの範囲がそれぞれ0.06<x≦0.3、0≦y ≦1、0≦z≦0.3、0≦y+z≦1、0<u≦1、0≦v≦0.75 、0≦w≦0.2、0<u+v≦1、-0.06≦m≦0.06である。
 本発明に係る上記一般式で示される組成物 第一の特徴は、組成物中に有害な鉛を含有 ていない点ある。そのため、製造プロセス おける鉛成分の揮発および廃棄物などから 鉛の流出がなく安全であり、また、鉛を外 環境に排出させないための環境対策が不要 なるので、コストの面からも有利な点であ 。

 本発明に係る上記一般式で示される組成物 第二の特徴は、uの範囲が0<u≦1である点 ある。すなわち、菱面晶―正方晶相境界を 成するためにBサイトの必須成分としてZrを 定した点である。(Na,K)NbO 3 は低温(例えば、(Na 0.5 K 0.5 )NbO 3 の場合は、約-150℃以下)でのみ菱面晶構造を すことが知られているが、室温付近で菱面 構造を有するものは未だ知られていない。 発明者等は、元素置換などの手法で、(Na,K)N bO 3 の低温菱面晶構造を室温以上まで保持できる 構造を鋭意検討した結果、Zrを6mol%以上ペロ スカイトのBサイトに導入することが極めて 効であることを知見した。
 この理由は現時点では明らかとなっていな が、Zrのイオン半径がNbのより大きいことに よるものと推定している。

 本発明に係る上記一般式で示される組成 の第三の特徴は、AサイトにLi及び/又はBサ トにTi、Ta少なくとも一種を含有する点であ 。これらの成分は、本発明に係る固溶体組 物が室温でペロブスカイト正方晶構造を指 するように導入されたものである。

 本発明に係る上記一般式で示される組成物 第四の特徴は、Aサイトの必須成分として、 (Bi 0.5 K 0.5 )、(Bi 0.5 Na 0.5 )、(Bi 0.5 Li 0.5 )からなる群から選ばれる少なくとも一種とBa 、
Sr、 Ca、 Mgからなる群から選ばれる少なく も一種との組み合わせを用いた点である。 れら成分をAサイトに導入することにより、 記ZrあるいはTi,Hf成分との電気的中性を保つ ことが可能となる。
 したがって、本発明の固溶体組成物は、上 第二の特徴、第三の特徴及び第四の特徴を せもつことで、室温における菱面晶―正方 相境界を形成することが可能となったもの 推論される。

 図1にニオブ系非鉛圧電セラミックスの従 来の組成範囲と本発明の組成範囲の概略を図 1に示す。図1の灰色部分は、従来の斜方晶― 方晶の相境界を利用しニオブ系非鉛圧電セ ミックスの主な組成範囲であるが、本発明 それは、これとは異なり、菱面晶―正方晶 境界を形成する、新規なニオブ系非鉛圧電 ラミックスの提供にあり、主な組成の範囲 図1の斜線の部分で示される。

 本発明に係るペロブスカイト固溶体組成物 、所望の各種金属塩、例えば炭酸塩、シュ 酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物等、種々 形態のものを原料として用い、これらの原 を所定の組成に混合し、最終的に前記一般 で示される組成になるように調製すること よって得ることができる。
 また、その圧電セラミックスは、上記組成 を所望の組成になるように配合し、たとえ エタノールなどの溶媒中でボールミル等に り混合し、この混合物を乾燥し、大気中で ましくは仮焼する。仮焼条件は、原料の種 及び組成により異なるが、通常、温度は850~ 1000℃、時間は2~10時間である。こうして得ら た仮焼後の混合物をボールミル等で粉砕し バインダーを添加し、1軸圧力で成形した。 この成形体をたとえば電気炉で高温(たとえ 1000~1300℃)にて焼成することにより得ること できる。

 また、上記のペロブスカイト構造(ABO 3 )の組成式においては、A-サイトを構成する原 子とB-サイトを構成する原子が1:1となる化学 論比となること、すなわちm=0が最も好まし 。
 しかし、原料秤量工程や混合工程や造粒工 や焼結工程などにおいて構成元素が化学量 比から数mol%程度、例えば±6mol%以内の範囲 変動することがある。また、上記のように 成比の変動により、結晶構造が単一なペロ スカイト構造ではなく数mol%の不純物相が生 る場合があるが、本発明の圧電固溶体組成 においては、上記のように組成比を化学量 比から数mol%変動する場合でも、数mol%の不 物が生じる場合でも、圧電特性などの電気 特性は大きく変化しない。

 また、本発明においては、上記一般式で示 れる圧電固溶体組成物だけではなく、該組 物に更にBa,Bi,Ca,Ce,Cr,Cu,Dy,Er,Eu,Ga,Gd,Ge,Ho,In,La,L u,Mn,Nd,Pr,Sc,Si,Sm,Sn,Sr,Tb,Tm,V,W,Y及びYbから選ばれ た少なくとも1種の金属もしくは金属を含む 合物を添加した圧電固溶体組成物とするこ もできる。金属の含有量は特に制約されな が、組成物全体の15重量%以下、好ましくは10 重量%以下更に好ましくは5重量%以下である。
 上記金属を含む化合物としては、所望の各 金属塩、例えば炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸 、水酸化物、酸化物等、種々の形態のもの 原料として用いることができる。

 この圧電固溶体組成物は、上記一般式で表 れる組成物を主成分とし、上記添加金属を 助成分として所定量含有するものである。 のため、上記一般式で表される組成物は燒 するとき、上記添加元素が燒結助剤として き、緻密化しやすくなる。その結果、常圧 の燒結で95%以上という高い相対密度を有す 、機械強度の優れた圧電セラミックスが得 れる。
 また、上記一部の添加元素(例えばMn)はこれ を所定の範囲内で上記一般式で表される組成 物に添加し燒結することにより、緻密化およ び粒子の成長を促進し、これを添加していな い圧電セラミックスより更に圧電特性・誘電 特性が向上される。そのため、鉛を含有せず 、優れた特性を有する環境に優しい新規な圧 電セラミックス、並びに当該セラミックスを 用いた圧電・誘電・焦電素子として利用する ことができる。

 このような圧電固溶体組成物は、前記一般 で示される組成物を好ましくは仮焼・粉砕 せた後、Ba,Bi,Ca,Ce,Cr,Cu,Dy,Er,Eu,Ga,Gd,Ge,Ho,In,La,L u,Mn,Nd,Pr,Sc,Si,Sm,Sn,Sr,Tb,Tm,V,W,Y及びYbから選ばれ た少なくとも1種の金属もしくは金属を含む 合物を所望の組成になるように配合するこ により得られる。
 またこの圧電固溶体組成物の焼結体はこの 成物をボールミルで混合し、好ましくはバ ンダーを添加し、1軸圧力で成形した。この 成形体を電気炉で高温たとえば1000~1300℃にて 焼成することにより得ることができる。
 また、上記焼成後に得られる上記圧電セラ ックスにおいては、上記添加物として添加 れる金属元素がペロブスカイト構造のA-サ ト及び/又はB-サイトに入っても良いし、粒 或いは粒界に含有されても良い。

 以下、本発明を実施例により更に詳細に 明するが、本発明はこれらの実施例に限定 れるものではない。

実施例1~68
 まず、化学的に高純度のK 2 CO 3 、Na 2 CO 3 、BaCO 3 、SrCO 3 、CaCO 3 、MgO、Bi 2 O 3 、Li 2 CO 3 、Nb 2 O 5 、Ta 2 O 5 、TiO 2 、ZrO 2 及びHfO 2 を原料として用い、所望の組成になるように 配合し、エタノール中でボールミルにより混 合した。次に、この混合物を乾燥し、大気中 で仮焼した。仮焼条件は、原料の種類及び組 成により異なるが、温度は850~1000℃、時間は2 ~10時間である。こうして得られた仮焼後の混 合物をボールミルで粉砕し、バインダーを添 加し、1軸圧力で成形した。この成形体を電 炉で1000~1300℃にて焼成し、緻密な圧電セラ ックスペレットを得た。

 得られた緻密な圧電セラミックスについ は、圧電特性を評価するため、両面を鏡面 磨した後、金スパッタ膜を付け、電極とし 。これにより、本発明の圧電セラミックス 用いた誘電素子を得た。次に、100-180℃のシ リコーンオイル中で20-50kV/cmの条件で分極処 を行った。これにより、本発明の圧電セラ ックスを用いた圧電素子を得た。

 得られた上記圧電素子について、24時間放 した後、電気機械結合係数k p 及び圧電d 33 定数を測定した。電気機械結合係数k p は、インピーダンスアナライザーを用い、共 振-反共振法により測定した。圧電定数 d 33 の測定には、d 33 メータ(YE2730A、APC)を用いた。また、得られた 上記誘電素子の比誘電率ε r の測定にはインピーダンスアナライザーを用 い、測定周波数は1kHzとした。また、比誘電 ピークの温度をキュリー温度T c とした。結晶構造を粉末X線回折パターンか 決定した。

 本発明の実施例の圧電セラミックスの化学 成及びキュリー温度T c 、比誘電率ε r 、電気機械結合係数k p 、圧電定数d 33 及び室温の結晶構造(正:正方晶;菱:菱面晶;菱/ 正:相境界付近)を表1に示す。得られたセラミ ックスの相対密度は、組成及び製造法によっ て多少の差はあるが、ほとんどの試料におい て95%以上であった。
 なお、比較例1は上記特許文献8中の表1の実 例41を、比較例2は同実施例42を引用した。

[考察]
 実施例1~7は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.10,y=0.50,z=v=w=0,m=0と つつ、uの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは1 600以上の高い比誘電率ε r を示し、比較例1~2よりも優れていた。また、 菱面晶―正方晶相境界の付近の組成を有する 実施例5のものは2700以上の比誘電率、40%以上 高い電気機械結合係数k p 、300pC/N以上の圧電定数d 33 を示し、特に優れている。

 実施例8~11は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0と つつ、uの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは1 700以上の高い比誘電率ε r 及び30%以上の高い電気機械結合係数k p を示し、比較例1~2よりも優れていた。特に、 菱面晶―正方晶相境界の付近の組成を有する 実施例10のものは高いキュリー温度T c 、高い電気機械結合係数k p と高い圧電定数d 33 を同時に有し、特に優れている。

 実施例12~15は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 Na 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0と つつ、uの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは2 20℃以上のキュリー温度、1300以上の高い比誘 電率ε r 及び30%以上の高い電気機械結合係数k p を示し、比較例1~2よりも優れていた。特に、 菱面晶―正方晶相境界の付近の組成を有する 実施例13、14のものは高いキュリー温度T c 、高い電気機械結合係数k p と高い圧電定数d 33 を同時に有し、特に優れている。

 実施例16~19は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 Li 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0と つつ、uの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは2 30℃以上のキュリー温度、1500以上の高い比誘 電率ε r 及び35%以上の高い電気機械結合係数k p を示し、比較例1~2よりも優れていた。特に、 菱面晶―正方晶相境界の付近の組成を有する 実施例18のものは243℃という高いキュリー温 T c 、54.0%という高い電気機械結合係数k p と420pC/Nという高い圧電定数d 33 を同時に有し、特に優れている。

 実施例20~23は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とSrとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0と つつ、uの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは2 10℃以上のキュリー温度、1700以上の高い比誘 電率ε r を示し、誘電率は比較例1~2よりも優れていた 。特に、菱面晶―正方晶相境界の付近の組成 を有する実施例21、22のものは220℃以上とい 高いキュリー温度T c 、50%以上という高い電気機械結合係数k p と300pC/N以上という高い圧電定数d 33 を同時に有し、特に優れている。

 実施例24~27は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 Na 0.5 )とSrとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0と つつ、uの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは2 10℃以上のキュリー温度、1400以上の高い比誘 電率ε r を示し、誘電率は比較例1~2よりも優れていた 。特に、菱面晶―正方晶相境界の付近の組成 を有する実施例25、26のものは220℃以上とい 高いキュリー温度T c 、50%以上という高い電気機械結合係数k p と320pC/N以上という高い圧電定数d 33 を同時に有し、特に優れている。

 実施例28~31は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 Li 0.5 )とSrとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0と つつ、uの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは2 20℃以上のキュリー温度、1200以上の高い比誘 電率ε r 及び24%以上の高い電気機械結合係数k p を示す。特に、菱面晶―正方晶相境界の付近 の組成を有する実施例30のものは235℃という いキュリー温度T c 、49.0%という高い電気機械結合係数k p と335pC/Nという高い圧電定数d 33 を同時に有し、特に優れている。

 実施例32~35は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とCaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0と つつ、uの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは2 40℃以上のキュリー温度、1500以上の高い比誘 電率ε r 及び22%以上の高い電気機械結合係数k p を示す。特に、菱面晶―正方晶相境界の付近 の組成を有する実施例33、34のものは240℃以 という高いキュリー温度T c 、50%以上という高い電気機械結合係数k p と300pC/N以上という高い圧電定数d 33 を同時に有し、特に性能が高く、比較例1~2よ りは優れている。

 実施例36~39は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 Na 0.5 )とCaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0と つつ、uの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは2 10℃以上のキュリー温度、1500以上の高い比誘 電率ε r を示し、誘電率は比較例1~2よりも優れていた 。特に、菱面晶―正方晶相境界の付近の組成 を有する実施例37、38のものは245℃以上とい 高いキュリー温度T c 、44%以上という高い電気機械結合係数k p と260pC/N以上という高い圧電定数d 33 を同時に有し、特に優れている。

 実施例40~43は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 Li 0.5 )とCaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0と つつ、uの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは2 20℃以上のキュリー温度、1400以上の高い比誘 電率ε r を示し、誘電率は比較例1~2よりも優れていた 。特に、菱面晶―正方晶相境界の付近の組成 を有する実施例42のものは254℃という高いキ リー温度T c 、50.2%という高い電気機械結合係数k p と355pC/Nという高い圧電定数d 33 を同時に有するため、アクチュエータ部品と して利用することが出来る。

 以上の実施例で分かるように、一般式
     {M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3
(式中、Mは(Bi 0.5 K 0.5 )、(Bi 0.5 Na 0.5 )及び(Bi 0.5 Li 0.5 )からなる群から選ばれる少なくとも一種とBa 、 Sr、 Ca及び Mgからなる群から選ばれる少 なくとも一種との組み合わせを示す;式中x,y,z ,u,v,w及びmの範囲がそれぞれ0.06<x≦0.3、0≦y ≦1、0≦z≦0.3、0≦y+z≦1、0<u≦1、0≦v≦0.75 、0≦w≦0.2、0<u+v≦1、-0.06≦m≦0.06である。 )
で表される組成物を主成分とした本発明に係 る圧電固溶体組成物は、x,y,z,u,v,w及びmの値が 上記の範囲内である場合、Mは(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとの組み合わせでも、(Bi 0.5 Na 0.5 )とBaとの組み合わせでも、(Bi 0.5 Li 0.5 )とBaとの組み合わせでも、(Bi 0.5 K 0.5 )とSrとの組み合わせでも、(Bi 0.5 Na 0.5 )とSrとの組み合わせでも、(Bi 0.5 Li 0.5 )とSrとの組み合わせでも、(Bi 0.5 K 0.5 )とCaとの組み合わせでも、(Bi 0.5 Na 0.5 )とCaとの組み合わせでも、(Bi 0.5 Li 0.5 )とCaとの組み合わせでも、菱面晶-正方晶相 界が形成する。菱面晶―正方晶相境界付近 組成を有するものは何れも特性が特に優れ いる。すなわち、本発明において、以上の み合わせは同等の効果を持つ。実施例44~68で は、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとの組み合わせを例に選び、x,y,z,u,v,w及 mの値を変化させたときの効果を調べる。こ れらの効果は(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとの組み合わせに限らず、ほかの組み合 わせにも有効である。

 実施例44~47は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.12,y=0.50,z=0.02,v=w=0,m=0 としつつ、uの値を変化させた場合の圧電セ ミックスである。これらの圧電セラミック は1160以上の高い比誘電率ε r を示し、比較例1より優れていた。特に、菱 晶―正方晶相境界の付近の組成を有する実 例45、46のものは高いキュリー温度T c 、高い電気機械結合係数k p と高い圧電定数d 33 を同時に有するため、アクチュエータ部品と して利用することが出来る。

 実施例48~49は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.12,y=0.50,z=0.04,v=w=0,m=0 としつつ、uの値を変化させた場合の圧電セ ミックスである。これらの圧電セラミック は高いキュリー温度と1000以上の高い比誘電 ε r を示すため、誘電セラミックスとして利用す ることができる。特に、実施例49のものは高 比誘電率ε r 、高い電気機械結合係数k p と高い圧電定数d 33 を同時に有するため、比較例1より優れてい 。

 実施例50~52は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50, u=0.06, z=v=w =0,m=0としつつ、(Bi 0.5 K 0.5 )とBaの割合を変化させた場合の圧電セラミッ クスである。これらの圧電セラミックスは235 ℃以上のキュリー温度、1800以上の高い比誘 率ε r 及び28%以上の高い電気機械結合係数k p を示し、比較例1~2よりも優れていた。特に、 実施例50のものは237℃という高いキュリー温 T c 、52.0%という高い電気機械結合係数k p と376pC/Nという高い圧電定数d 33 を同時に有し、特に優れている。

 実施例53~55は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとMgとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50, z=v=0,m=0 としつつ、uとwの値を変化させた場合の圧電 ラミックスである。これらの圧電セラミッ スは220℃以上のキュリー温度、1450以上の高 い比誘電率ε r 及び35%以上の高い電気機械結合係数k p を示し、比較例1~2よりも優れていた。特に、 実施例54のものは高いキュリー温度T c 、高い誘電率ε r 、高い電気機械結合係数k p と高い圧電定数d 33 を同時に有するため、アクチュエータ部品と して利用することが出来る。

 実施例56~57は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50, z=w=0,m=0と つつ、uとvの値を変化させた場合の圧電セラ ミックスである。これらの圧電セラミックス は210℃以上のキュリー温度、1900以上の高い 誘電率ε r 、45%以上の高い電気機械結合係数k p 及び295pC/Nという高い圧電定数d 33 を示し、比較例1~2よりも優れていた。これら のものは高いキュリー温度T c 、高い電気機械結合係数k p と高い圧電定数d 33 を同時に有するため、アクチュエータ部品と して利用することが出来る。

 実施例58~61は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50, u=0.06,z=v=0,m =0としつつ、wの値を変化させた場合の圧電セ ラミックスである。これらの圧電セラミック スは2000以上の高い比誘電率ε r 及び39%以上の高い電気機械結合係数k p を示し、比較例1~2よりも優れていた。特に、 実施例58、59のものは200℃以上という高いキ リー温度T c 、47%以上という高い電気機械結合係数k p と350pC/N以上という高い圧電定数d 33 を同時に有するため、アクチュエータ部品と して利用することが出来る。

 実施例62~67は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.08,u=0.06,z=v=w=0,m=0と つつ、yの値を変化させた場合の圧電セラミ クスである。これらの圧電セラミックスは2 30℃以上のキュリー温度、1900以上の高い比誘 電率ε r 及び30%以上の高い電気機械結合係数k p を示し、比較例1~2よりも優れていた。特に、 実施例67のものは239℃の高いキュリー温度T c 、48.9%の高い電気機械結合係数k p と355pC/Nの高い圧電定数d 33 を同時に有し、特に優れている。

 実施例68は、上記一般式{M x (Na y Li z K 1-y-z ) 1-x } 1-m {(Ti 1-u-v Zr u Hf v ) x (Nb 1-w Ta w ) 1-x }O 3 において、Mとして(Bi 0.5 K 0.5 )とBaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50, u=0.06,z=v=w=0 としつつ、m=0.005場合の圧電セラミックスで る。この実施例は、242℃のキュリー温度、18 50の比誘電率ε r 、44.0%の電気機械結合係数k p 及び240pC/Nの圧電d 33 定数を示し、比較例1~2よりも優れていた。ま た、これらの特性は実施例10のそれと大きく 化していない。

 既往の研究により、圧電セラミックスの圧 ・誘電・焦電や機械などの特性は添加剤を れることにより調節され、幅広い用途に対 することができる。実施例69~97及び実施例98 ~102は、Mがそれぞれ(Bi 0.5 K 0.5 )とBaの組み合わせ、(Bi 0.5 K 0.5 )とCaの組み合わせである場合を例として、添 加剤の効果を調べたものである。この効果は (Bi 0.5 K 0.5 )とBa、(Bi 0.5 K 0.5 )とCaの組み合わせの場合に限らず、ほかの組 み合わせ・組成にも広く有効である。

実施例69~97
 実施例69~97は実施例10(比誘電率ε r =1998、電気機械結合係数k p =45.2%、圧電d 33 定数=315pC/N、キュリー温度T c =234℃、機械的品質因数Q m =51)において、仮焼後の混合物にBa,Bi,Ca,Ce,Dy,Er ,Eu,Ga,Gd,Ge,Ho,In,La,Lu,Mn,Nd,Pr,Si,Sm,Sn,Sr,Tb,Tm,V,W,Y及 びYbから選ばれた少なくとも1種の金属もしく は金属を含む化合物を添加し、ボールミルで 粉砕し、バインダーを添加し、1軸圧力で成 した。この成形体を電気炉で1000~1300℃にて 成し、緻密な圧電セラミックスペレットを た。

 得られた緻密な圧電セラミックスについ は、圧電特性を評価するため、両面を鏡面 磨した後、金スパッタ膜を付け、電極とし 。これにより、本発明の圧電セラミックス 用いた誘電素子を得た。次に、100-180℃のシ リコーンオイル中で20-50kV/cmの条件で分極処 を行った。これにより、本発明の圧電セラ ックスを用いた圧電素子を得た。

 得られた上記圧電素子について、24時間放 した後、電気機械結合係数k p 、機械的品質因数Q m 及び圧電d 33 定数を測定した。電気機械結合係数k p 及び機械的品質因数Q m は、インピーダンスアナライザーを用い、共 振-反共振法により測定した。圧電定数 d 33 の測定には、d 33 メータ(YE2730A、APC)を用いた。また、得られた 上記誘電素子の比誘電率ε r の測定にはインピーダンスアナライザーを用 い、測定周波数は1kHzとした。また、比誘電 ピークの温度をキュリー温度T c とした。

 本発明の実施例69~97の圧電セラミックスの 学組成及び比誘電率ε r 、電気機械結合係数k p 、圧電定数d 33 、機械的品質因数Q m 及びキュリー温度T c を表2に示す。得られたセラミックスの相対 度は、組成及び製造法によって多少の差は るが、ほとんどの試料において95%以上であ た。

[考察]
 実施例69~71は、実施例10においてMnO 2 を0.10重量%、0.25重量%及び0.50重量%を添加した ものである。添加する前の実施例10に比べ、 の三つの実施例何れにおいても、比誘電率 r ・電気機械結合係数k p ・圧電定数d 33 ・機械的品質因数Q m が向上した。MnO 2 を0.25重量%添加された実施例70は2100以上の比 電率ε r 、55%以上の電気機械結合係数k p 及び400pC/N以上の圧電定数d 33 を示し、特に優れている。

 MnO 2 を0.25重量%添加された実施例70において最も れた特性が得られているため、添加剤とし 使われているBa,Bi,Ca,Ce,Dy,Er,Eu,Ga,Gd,Ge,Ho,In,La,Lu ,Nd,Pr,Si,Sm,Sn,Sr,Tb,Tm,V,W,Y及びYbから選ばれた少 くとも1種の金属もしくは金属を含む化合物 の添加量を0.25重量%と固定した。

 実施例72~75、実施例77~78、実施例80~81、実施 83、実施例89及び実施例94の圧電セラミック は、実施例10のそれに比し、更に高い比誘 率ε r 、電気機械結合係数k p 及び圧電定数d 33 を同時に有することが判る。特にY 2 O 3 を0.25重量%添加された実施例72は2300以上の高 比誘電率ε r 、52.9%の高い電気機械結合係数k p 及び430pC/Nの圧電定数d 33 を示すため、特に優れている。
 また、実施例96~97は、実施例10のそれに比し 、更に高い電気機械結合係数k p 及び圧電定数d 33 を同時に有することが判る。
 また、実施例85、実施例90及び実施例92は、 施例10のそれに比し、更に高い比誘電率ε r 及び電気機械結合係数k p を同時に有することが判る。
 また、実施例95は、実施例10のそれに比し、 更に高い電気機械結合係数k p を有することが判る。
 また、実施例76、実施例79、実施例82、実施 86及び実施例91は、実施例10のそれに比し、 に高い比誘電率ε r 及び高い機械的品質因数Q m を有することが判る。
 また、実施例87及び実施例88は、実施例10に ずる比誘電率ε r 、電気機械結合係数k p 及び圧電定数d 33 を有すると同時に、実施例10のそれに比し、 に高い機械的品質因数Q m 及びキュリー温度T c 有することが判る。
 また、実施例84及び実施例93は、実施例10に ずる比誘電率ε r 、電気機械結合係数k p 、圧電定数d 33 及びキュリー温度T c を有すると同時に、実施例10のそれに比し、 に高い機械的品質因数Q m 有することが判る。

実施例98~102
 実施例98~102では、実施例32(比誘電率ε r =1523、電気機械結合係数k p =44.0%、圧電d 33 定数=250pC/N、キュリー温度T c =260℃、機械的品質因数Q m =50)において、仮焼後の混合物にCr,Cu,Mn及びSc ら選ばれた少なくとも1種の金属もしくは金 属を含む化合物を添加し、ボールミルで粉砕 し、バインダーを添加し、1軸圧力で成形し 。この成形体を電気炉で1000~1300℃にて焼成 、緻密な圧電セラミックスペレットを得た

 得られた緻密な圧電セラミックスについ は、圧電特性を評価するため、両面を鏡面 磨した後、金スパッタ膜を付け、電極とし 。これにより、本発明の圧電セラミックス 用いた誘電素子を得た。次に、100-180℃のシ リコーンオイル中で20-50kV/cmの条件で分極処 を行った。これにより、本発明の圧電セラ ックスを用いた圧電素子を得た。

 得られた上記圧電素子について、24時間放 した後、電気機械結合係数k p 、機械的品質因数Q m 及び圧電d 33 定数を測定した。電気機械結合係数k p 及び機械的品質因数Q m は、インピーダンスアナライザーを用い、共 振-反共振法により測定した。圧電定数 d 33 の測定には、d 33 メータ(YE2730A、APC)を用いた。また、得られた 上記誘電素子の比誘電率ε r の測定にはインピーダンスアナライザーを用 い、測定周波数は1kHzとした。また、比誘電 ピークの温度をキュリー温度T c とした。

 本発明の実施例98~102の圧電セラミックスの 学組成及び比誘電率ε r 、電気機械結合係数k p 、圧電定数d 33 、機械的品質因数Q m 及びキュリー温度T c を表3に示す。得られたセラミックスの相対 度は、組成及び製造法によって多少の差は るが、ほとんどの試料において95%以上であ た。

[考察]
 実施例98~102の圧電セラミックスは、実施例3 2のそれに比し、更に高い機械的品質因数Q m を有することが判る。特に実施例99及び実施 102は、100以上の機械的品質因数Q m を有し、特に優れている。

 本発明に係る圧電固溶体組成物は強誘電体 ある。強誘電体である圧電セラミックスは 電セラミックスでもあり、赤外線センサな として利用することが出来る。実施例30及 実施例50に対して、25℃から75℃までの温度 囲で温度(T)を上昇させながら発生する焦電 流(i p )を測定し、静的測定法で焦電係数pを測定し 。なお、焦電係数pは次の式から求めた。
ここで、Aは試料の電極面積、tは時間である 昇温速度dT/dtを1.2℃/分に制御し、焦電電流i p を電流計(Keithley、486)により測定した。
 実施例30及び実施例50の焦電係数の温度依存 性を図2に示す。室温(32℃)の焦電係数は実施 30が2.85x10 -4 C/m 2 ・℃で、実施例50が1.8x10 -4 C/m 2 ・℃で、何れもPZTの1~5x10 -4 C/m 2 ・℃に匹敵する。また、何れの試料も焦電係 数が温度上昇とともに大きくなり、センサと しての感度が増加する。