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Patent Searching and Data


Title:
PILE PRESS-IN DEVICE AND PILE PRESS-IN METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175269
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a pile press-in device and a pile press-in method that allow efficient construction even if electric motors and hydraulic devices are used together in order to impart a driving force on a driving member. A pile press-in device (1) comprises a chuck (5) that holds and rotates a pile (4) in order to press the pile (4) into the ground while rotating same. The pile press-in device (1) applies a driving force for rotating the chuck (5) by way of an electric motor (6) that corresponds to the electric motor of the present invention. The chuck (5) moves vertically by way of a lift cylinder (7) that is a hydraulic device operating by hydraulic pressure. An integrated control panel (50) links and controls the electric motor (6) and the lift cylinder (7).

Inventors:
ONO MASAAKI (JP)
ONO KATSUHIKO (JP)
MORIOKA YOSHIHIRO (JP)
NONAKA KENGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/006508
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 19, 2020
Export Citation:
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Assignee:
GIKEN LTD (JP)
International Classes:
E02D7/00
Foreign References:
JP2000273864A2000-10-03
JP2012162905A2012-08-30
JPH0835226A1996-02-06
Other References:
See also references of EP 3933113A4
Attorney, Agent or Firm:
KATO Shinji et al. (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175269 21 卩(:17 2020 /006508

請求の範囲

[請求項 1 ] 杭を回転しながら地盤に圧入するための杭圧入装置であって、 前記杭を把持して回転する回転手段と、

前記回転手段に作用して前記回転手段に前記回転のための駆動力を 付与する電動機と、

前記回転手段を上下動させる昇降手段としての油圧装置と、 前記電動機と前記油圧装置とを連動させて制御する制御手段と、 を備える杭圧入装置。

[請求項 2] 前記制御手段は、 前記回転手段によって把持した前記杭を圧入する 際の前記電動機の回転出力に基づいて、 前記昇降手段による前記回転 手段の上下動を制御する請求項 1記載の杭圧入装置。

[請求項 3] 前記回転出力は、 前記電動機に対するインバータ指令に基づいて算 出される請求項 2記載の杭圧入装置。

[請求項 4] 前記制御手段は、 前記電動機の前記回転出力が所定値となった場合 に、 前記昇降手段による前記回転手段の下げ動作を停止させる請求項 2又は請求項 3記載の杭圧入装置。

[請求項 5] 前記制御手段は、 前記電動機の負荷状態に応じて前記電動機の前記 回転出力を制御する請求項 2から請求項 4の何れか 1項記載の杭圧入 装置。

[請求項 6] 前記電動機を冷却する冷却手段を備える

請求項 1から請求項 5の何れか 1項記載の杭圧入装置。

[請求項 7] 前記冷却手段は、 前記電動機の回転軸に直結されたファンである請 求項 6記載の杭圧入装置。

[請求項 8] 前記冷却手段は、 前記電動機の回転軸とは独立して設けられたファ ンであり、

前記制御手段は、 前記電動機の回転出力又は負荷状態に応じて前記 ファンによる冷却量を制御する請求項 7記載の杭圧入装置。

[請求項 9] 前記冷却手段は、 冷却液が流通する冷却配管であり、 〇 2020/175269 22 卩(:170? 2020 /006508

前記冷却液は、 前記電動機を冷却した後に前記電動機の回転軸に連 結される減速機を冷却する請求項 6記載の杭圧入装置。

[請求項 10] 前記制御手段は、 前記電動機の回転出力又は負荷状態に応じて前記 冷却液による冷却量を制御する請求項 9記載の杭圧入装置。

[請求項 1 1 ] 前記昇降手段を上下方向に相対移動可能に支持するマストを備え、 前記マストは、 前記冷却液が流通する冷却配管と前記油圧装置へ作 動油を供給する油圧配管とを集束させる集束部材が取り付けられる請 求項 9又は請求項 1 0記載の杭圧入装置。

[請求項 12] 前記冷却液は、 前記杭が地盤に圧入される際に前記杭の先端から吐 出される水と兼用される請求項 9から請求項 1 1の何れか 1項記載の 杭圧入装置。

[請求項 13] 前記油圧装置に作動油を供給する油圧発生装置は、 電動機によって 駆動される請求項 1から請求項 1 2の何れか 1項記載の杭圧入装置。

[請求項 14] 複数の駆動部材の _部を電動機で駆動させ、 他の前記駆動部材を油 圧装置で駆動させる杭圧入装置であって、

前記駆動部材の駆動状態に応じて前記電動機と前記油圧装置とを制 御する制御手段

を備える杭圧入装置。

[請求項 15] 杭を把持して回転する回転手段と、 前記回転手段を昇降させる昇降 手段と、 前記回転手段に作用して前記回転手段に前記回転のための駆 動力を付与する電動機と、 前記回転手段を上下動させる昇降手段とし ての油圧装置と、 を備える杭圧入装置による杭圧入方法であって、 杭を回転しながら地盤に圧入する場合に、 前記電動機と前記油圧装 置とを連動させて制御する杭圧入方法。

Description:
\¥0 2020/175269 1 卩(:17 2020 /006508 明 細 書

発明の名称 : 杭圧入装置及び杭圧入方法

関連出願の相互参照

[0001 ] 本出願では、 2 0 1 9年2月 2 8日に日本国に出願された特許出願番号 2

0 1 9 - 0 3 5 7 3 6の利益を主張し、 当該出願の内容は引用することによ りここに組み込まれているものとする。

技術分野

[0002] 本発明は、 杭圧入装置及び杭圧入方法に関する。

背景技術

[0003] 杭を回転しながら地盤に圧入する杭圧入装置 は、 油圧モータや昇降シリン ダ等の油圧駆動装置や油圧駆動装置に作動油 を供給する油圧発生装置 (油圧 ポンプ) といった油圧装置を用いて、 杭を把持するチャックの回転駆動や上 下動を行っている。

[0004] 図 9は、 油圧モータによってチャック 1 0 1 を高出力で回転駆動させる場 合における杭圧入システム 1 0 0の従来構成図である。

[0005] 従来の杭圧入システム 1 0 0では、 杭圧入装置 1 0 2のチャック 1 0 1の 回転駆動を高出力化するためにはチャック 1 〇 1 に駆動力を付与する油圧モ —夕の台数を増やす必要があった。 このため、 油圧モータの台数増加に応じ て油圧モータへ作動油を供給するためのパワ ーユニッ ト 1 0 3 (油圧ユニッ 卜) の台数も増やしていた。 なお、 図 9のパワーユニッ ト 1 0 3八が増加さ れたパワーユニッ ト 1 0 3である。

[0006] パワーユニッ ト 1 0 3の台数が増加すると、 増加したパワーユニッ ト 1 0

3を完成杭上に配置することが困難となり、 作業性が悪くなる可能性がある 。 また、 パワーユニッ ト 1 0 3を杭圧入装置 1 0 2から離れた場所に配置す ると、 圧力損失による作動油の圧力低下の影響も無 視できなくなる。

[0007] そこで、 特許文献 1 にはチャックを電動モータで駆動させること が開示さ れている。 チャックに駆動力を付与する油圧モータの替 わりに電動モータを 〇 2020/175269 2 卩(:170? 2020 /006508

使用することで、 高出力化が容易となり、 上述のようなパワーユニッ ト 1 0 2を増やす必要もない。 また、 電動化は、 作動油の圧力損失や作動油のリー ク等の問題が生じないという利点がある。

先行技術文献

特許文献

[0008] 特許文献 1 :特開平 8— 3 5 2 2 6号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009] 特許文献 1 に開示されているようにチャック等の駆動部 材を駆動させる装 置の一部が油圧装置から電動機に置き換えら れると、 杭圧入装置において電 動機と油圧装置とが混在することになる。 このような電動機と油圧装置とが 混在する杭圧入装置においても、 電動機と油圧装置とが混在しない従来の杭 圧入装置と同様の効率で施工を行うことが求 められる。

[0010] そこで本発明は、 駆動部材に駆動力を付与するために電動機と 油圧装置と が混在しても効率の良い施工ができる、 杭圧入装置及び杭圧入方法を提供す ることを目的とする。

課題を解決するための手段

[001 1 ] 本発明の杭圧入装置は、 杭を回転しながら地盤に圧入するための杭圧 入装 置であって、 前記杭を把持して回転する回転手段と、 前記回転手段に作用し て前記回転手段に前記回転のための駆動力を 付与する電動機と、 前記回転手 段を上下動させる昇降手段としての油圧装置 と、 前記電動機と前記油圧装置 とを連動させて制御する制御手段と、 を備える。

[0012] 本構成によれば、 杭を把持して回転する回転手段は電動機によ って駆動力 が付与され、 回転手段を上下動させる昇降手段は油圧装置 とされる。 そして 、 本構成は、 電動機と油圧装置とを連動して制御すること により、 油圧装置 と電動機との最適制御を実現するので、 駆動部材に駆動力を付与するために 電動機と油圧装置とが混在しても効率の良い 施工ができる。 〇 2020/175269 3 卩(:170? 2020 /006508

[0013] 本発明の杭圧入装置は、 前記制御手段が前記回転手段によって把持し た前 記杭を圧入する際の前記電動機の回転出力に 基づいて、 前記昇降手段による 前記回転手段の上下動を制御してもよい。 本構成によれば、 電動機の回転出 力は杭を圧入する地盤の情報 (地盤情報) が反映されるので、 電動機の回転 出力に基づいて昇降手段による回転手段の上 下動を制御することで、 効率の 良い施工ができる。

[0014] 本発明の杭圧入装置は、 前記回転出力が前記電動機に対するインバー タ指 令に基づいて算出されてもよい。 本構成によれば、 電動機の回転出力、 換言 すると地盤情報を簡易に把握できる。

[0015] 本発明の杭圧入装置は、 前記制御手段が前記電動機の前記回転出力が 所定 値となった場合に、 前記昇降手段による前記回転手段の下げ動作 を停止させ てもよい。 本構成によれば、 過大な地盤抵抗によって杭先端が破損するこ と を防止できる。

[0016] 本発明の杭圧入装置は、 前記制御手段が前記電動機の負荷状態に応じ て前 記電動機の前記回転出力を制御してもよい。 本構成によれば、 電動機の負荷 状態に応じて、 例えば回転トルクを上昇させる等するので、 効率の良い施工 ができる。

[0017] 本発明の杭圧入装置は、 前記電動機を冷却する冷却手段を備えてもよ い。

本構成によれば、 電動機のオーバーヒートを防止できる。

[0018] 本発明の杭圧入装置は、 前記冷却手段を前記電動機の回転軸に直結さ れた ファンとしてもよい。 本構成によれば、 簡易な構成で電動機を冷却できる。

[0019] 本発明の杭圧入装置は、 前記冷却手段が前記電動機の回転軸とは独立 して 設けられたファンであり、 前記制御手段が前記電動機の回転出力又は負 荷状 態に応じて前記ファンによる冷却量を制御し てもよい。 本構成によれば、 電 動機を効率良く冷却できる。

[0020] 本発明の杭圧入装置は、 前記冷却手段は冷却液が流通する冷却配管で あり

、 前記冷却液は、 前記電動機を冷却した後に前記電動機の回転 軸に連結され る前記減速機を冷却してもよい。 本構成によれば、 減速機は電動機に比べて 〇 2020/175269 卩(:170? 2020 /006508

温度上昇に強いので、 電動機及び減速機を効率良く冷却できる。

[0021 ] 本発明の杭圧入装置は、 前記制御手段が前記電動機の回転出力又は負 荷状 態に応じて前記冷却液による冷却量を制御し てもよい。 本構成によれば、 電 動機を効率良く冷却できる。

[0022] 本発明の杭圧入装置は、 前記昇降手段を上下方向に相対移動可能に支 持す るマストを備え、 前記マストは、 前記冷却液が流通する冷却配管と前記油圧 装置へ作動油を供給する油圧配管とを集束さ せる集束部材が取り付けられて もよい。 地盤の状態に応じて、 回転手段を電動機で駆動させる構成から回転 手段を油圧装置で駆動させる構成に交換する 場合がある。 本構成によれば、 冷却配管と油圧配管とを集束部材で集束させ ることで、 効率の良い交換作業 が行える。

[0023] 本発明の杭圧入装置は、 前記冷却液が、 前記杭が地盤に圧入される際に前 記杭の先端から吐出される水と兼用されても よい。 本構成によれば、 冷却液 を効率良く用いることができる。

[0024] 本発明の杭圧入装置は、 前記油圧装置に作動油を供給する油圧発生装 置が 電動機によって駆動されてもよい。 従来の杭圧入装置では、 油圧発生装置の 駆動装置として内燃機関が用いられていた。 本構成はこの内燃機関の替わり に商用電源によって駆動する電動機を用いる ので、 環境負荷を低減できる。

[0025] 本発明の杭圧入装置は、 複数の駆動部材の一部を電動機で駆動させ、 他の 前記駆動部材を油圧装置で駆動させる杭圧入 装置であって、 前記駆動部材の 駆動状態に応じて前記電動機と前記油圧装置 とを制御する制御手段を備えて もよい。 一例として、 駆動部材は油圧シリンダに作動油を供給する 油圧ボン プであり、 電動機は油圧ポンプを駆動させる電動モータ である。 また、 電動 機は駆動部材としてのチャックを回転駆動さ せる電動モータである。 さらに 、 駆動部材を油圧シリンダとするとこれを駆動 させる油圧装置は油圧ポンプ である。

本構成によれば、 駆動部材に駆動力を付与するために電動機と 油圧装置と が混在しても効率の良い施工ができる。 〇 2020/175269 5 卩(:170? 2020 /006508

[0026] 本発明の杭圧入方法は、 杭を把持して回転する回転手段と、 前記回転手段 を昇降させる昇降手段と、 前記回転手段に作用して前記回転手段に前記 回転 のための駆動力を付与する電動機と、 前記回転手段を上下動させる昇降手段 としての油圧装置と、 を備える杭圧入装置による杭圧入方法であっ て、 杭を 回転しながら地盤に圧入する場合に、 前記電動機と前記油圧装置とを連動さ せて制御してもよい。 本構成によれば、 駆動部材に駆動力を付与するために 電動機と油圧装置とが混在しても効率の良い 施工ができる。

発明の効果

[0027] 本発明によれば、 駆動部材に駆動力を付与するために電動機と 油圧装置と が混在しても効率の良い施工ができる。

図面の簡単な説明

[0028] [図 1]本実施形態の杭圧入システムの外観図で る。

[図 2]本実施形態の杭圧入装置を上方から見た 成図である。

[図 3]本実施形態の電動モータを冷却する冷却 管を示す概略図である。

[図 4]本実施形態の杭圧入システムの制御系統 電気動力系統、 及び油圧動力 系統を示す概略図である。

[図 5]本実施形態の杭圧入システムの制御系統 示すブロック図である。

[図 6]油圧モータと電動モータとの回転特性を したグラフであり、 (3) は 油圧モータの回転特性を示し、 (匕) は電動モータの回転特性を示す。

[図 7]本実施形態の杭圧入装置におけるチャッ の交換を示す構成図である。 [図 8]変形例の電動モータの空冷を示す概略図 ある。

[図 9]従来の杭圧入システムの外観図である。

発明を実施するための形態

[0029] 以下、 図面を参照して本発明の実施の形態を説明す る。 なお、 以下に説明 する実施の形態は、 本発明を実施する場合の _ 例を示すものであって、 本発 明を以下に説明する具体的構成に限定するも のではない。 本発明の実施にあ たっては、 実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用さ れてよい。 なお、 本 実施の形態の杭圧入装置は、 施工が完了した杭 (完成杭) を反力としながら 〇 2020/175269 6 卩(:170? 2020 /006508

、 完成杭の頭部を自走して杭を順次圧入する。 この工法により、 硬質地盤や コンクリート構造物などの地中構造部への圧 入施工が可能となり、 仮設桟橋 も必要としないため、 エ期を短縮し、 環境にやさしい施工が可能となる。

[0030] 図 1は、 本実施形態の杭圧入装置 1 とパワーユニッ ト 2とを備える杭圧入 システム 3の全体構成を示す側面図である。

[0031 ] 本実施形態の杭圧入装置 1は、 杭 4を回転しながら地盤に圧入するために 、 杭 4を把持して回転するチャック 5を備える。 チャック 5は、 本発明の回 転手段に相当する。 本実施形態のチャック 5は、 本発明の電動機に相当する 電動モータ 6によって、 回転のための駆動力が付与される。 電動モータ 6は 、 一例としてインバータ制御が行われ、 供給電力の周波数、 電圧、 及び電流 の少なくとも一つが制御されることによって 回転出力 (回転トルク、 回転数 ) が制御される。

[0032] また、 チャック 5は、 昇降シリンダ 7によって上下動される。 昇降シリン ダ 7は、 本発明の昇降手段に相当し、 油圧によって動作する油圧装置 (油圧 駆動装置) である。

[0033] 本実施形態のパワーユニッ ト 2は、 電動モータ 6を制御するための制御ユ ニッ ト 8と、 昇降シリンダ 7等の油圧装置に作動油を供給する電動油圧 ニ ッ ト 9を備える。 制御ユニッ ト 8は、 電動モータ 6の回転トルク等を制御す るためのインバータ装置 1 0が備えられている。 また、 電動油圧ユニッ ト 9 は、 昇降シリンダ 7等の油圧装置に作動油を供給する油圧ポン 1 1 (油圧 発生装置) を備え、 この油圧ポンプ 1 1は電動モータ 1 2によって駆動する 。 なお、 作動油は、 電動油圧ユニッ ト 9に備えられる作動油タンク 1 3に貯 留される。

[0034] 杭圧入システム 3が備える上記電動モータ 6、 1 2は共に電源ケーブルを 介して商用電源から電力の供給を受ける。

[0035] ここで、 従来の杭圧入システム 3は、 油圧ポンプ 1 1の駆動装置として内 燃機関 (いわゆるエンジン) が用いられているが、 内燃機関は排気ガスを発 生させるため環境に負荷を与えることとなる 。 一方、 本実施形態のパワーユ 〇 2020/175269 7 卩(:170? 2020 /006508

ニッ ト 2は、 上記のように、 内燃機関の替わりに電動機である電動モータ 1 2を用いるので、 排気ガスを発生させないため環境負荷を低減 できる。

[0036] さらに、 本実施形態のパワーユニッ ト 2は、 チャック 5が電動モータ 6に よって駆動されるため、 チャック 5を油圧モータで駆動させる場合に比べて 作動油を貯留する作動油タンク 1 3が小容量で済む。 また、 電動モータ 1 2 は、 内燃機関よりも小型かつ軽量である。 このため、 本実施形態のパワーユ ニッ ト 2は、 従来に比べて小型化することができる。

[0037] さらに、 詳細を後述するように、 チャック 5の駆動装置を電動モータ 6と することで、 チャック 5の回転出力は電気的に高出力化が可能とさ る。 す なわち、 チャック 5を油圧モータで駆動させる場合では、 チャック 5を高出 力化するためには油圧モータの台数と共に、 油圧モータに作動油を供給する パワーユニッ ト 2の台数を増加させる必要があった (図 9参照) 。 一方、 本 実施形態の杭圧入システム 3のように、 チャック 5の駆動装置を電動モータ 6とすることで、 パワーユニッ ト 2の台数を増加させることなくチャック 5 の回転出力の高出力化が可能となる。

[0038] このように、 本実施形態の杭圧入装置 1 (杭圧入システム 3) は、 複数の 駆動部材の一部を電動機で駆動させ、 他の駆動部材を油圧装置で駆動させる 。 すなわち、 本実施形態の杭圧入装置 1 において、 駆動部材をチャック 5と すると、 電動機はチャック 5を回転駆動させる電動モータ 6である。 また、 他の駆動部材を昇降シリンダ 7とすると、 これを駆動させる油圧装置は油圧 ポンプ 1 1である。 また、 本実施形態の杭圧入システム 3において、 駆動部 材をパワーユニッ ト 2が備える油圧ポンプ 1 1 とすると、 電動機は油圧ボン プ 1 1 を駆動させる電動モータ 1 2である。

[0039] 次に、 本実施形態の杭圧入装置 1の構成を図 2も参照して詳述する。 図 2 は、 図 1 に示す杭圧入装置 1 を上方から見た平面図である。

[0040] 杭圧入装置 1は、 上述のように、 完成杭 4巳 (反力杭) に反力をとって所 定長さの鋼管からなる圧入杭 4 を所定位置に圧入するものである (図 1参 照) 。 杭圧入装置 1は、 例えば、 複数の杭 4、 4、 を一方向に配列し 〇 2020/175269 8 卩(:170? 2020 /006508

て打設される護岸工事や擁壁工事に用いら れる。 杭圧入装置 1で圧入される 圧入杭 4 は、 杭圧入装置 1の近傍に移動可能に設置されているクレー ( 図示省略) によって吊り下げられている。 なお、 以下の説明では、 杭 4にお いて、 杭圧入装置 1で圧入する杭を符号 4 を用いて圧入杭とし、 既設の杭 を符号 4巳を用いて完成杭とし、 後述するクランプ 2 3により把持される完 成杭 4巳を反力杭という。

[0041 ] 杭圧入装置 1は、 円管形状を有する圧入杭 4 を着脱可能に把持するチャ ック 5と、 チャック 5を上下方向ソに相対移動可能に支持するマ ト 2 0と 、 マスト 2 0を前後方向 X 1 に相対移動可能に支持するサドル 2 1 とを備え ている。 杭圧入装置 1は、 マスト 2 0の移動により、 複数が配列される完成 杭 4巳上をその配列方向に沿って移動 (自走) する。 なお、 パワーユニッ ト 2は、 完成杭 4巳上を杭圧入装置 1 と共に移動する。

[0042] サドル 2 1は、 サドル本体 2 2と、 サドル本体 2 2から垂下する複数 (図

1の例では 3つ) のクランプ 2 3と、 を有している。 クランプ 2 3は、 完成 杭 4巳の上端 2 3の内側に揷入された状態で、 図示しない油圧シリンダによ って完成杭 4巳を内側から保持および解放するように構 される。

[0043] マスト 2 0は、 サドル本体 2 2上に設けられる板状のスライ ドフレーム 2 4と、 スライ ドフレーム 2 4上に回転部 2 5を介して設けられるマストべ一 ス部 2 6と、 マストべース部 2 6の前端に設けられる上下レール部 2 7と、 を備えている。 マストべース部 2 6は、 回転部 2 5の上下方向ソを中心とし た回転軸回りに旋回可能に設けられている。

[0044] 上下レール部 2 7は、 上下方向ソに延在している。 上下レール部 2 7の前 側には、 チャック 5が上下移動自在に嵌合されている。 マスト 2 0の下端に は、 左右方向 X 2の両側から前方に向けて突出するマストア ム部 2 8、 2 8が設けられている。

[0045] チャック 5は、 チャック本体 3 0 (図 1参照) と、 チャック本体 3 0を回 転可能に支持するチャックフレーム 3 1 とを備えている。 チャック本体 3 0 は、 図 2に示すように、 圧入杭 4 を上下方向 7 に揷通可能な揷通孔を有す 〇 2020/175269 9 卩(:170? 2020 /006508

る。 チャックフレーム 3 1 には、 マスト 2 0の一対のマストアーム部 2 8の それぞれに先端を固定された一対の昇降シリ ンダ 7 (7 、 7巳) が設けら れる。 チャックフレーム 3 1は、 昇降シリンダ 7の伸縮によって上下レール 部 2 7に沿って上下方向ソに摺動自在に嵌合する

[0046] —対の昇降シリンダ 7は、 ロッ ドの伸縮方向を上下方向ソに向けて配置さ れ、 ロッ ド先端がマストアーム部 2 8の突出端に固定されている。 そのため 、 昇降シリンダ 7のロッ ドを伸張された状態から収縮させると、 昇降シリン ダ 7を介してチャックフレーム 3 1及びチャック本体 3 0が下方に移動し、 チャック本体 3 0で把持される圧入杭 4 を下方に向けて圧入する方向に移 動させることができる。 このように、 昇降シリンダ 7は、 チャックフレーム 3 1 を介してチャック本体 3 0に作用してチャック本体 3 0に圧入杭 4八の 圧入のための推進駆動力を付与するものであ る。 なお、 チャックフレーム 3 1の内部には、 圧入杭 4八のストロークを検知するストロークセン (図示 省略) が設けられている。

[0047] チャック本体 3 0は、 図 2に示すように、 チャックフレーム 3 1内に回転 可能に支持され、 圧入杭 4 を把持する部分である。 チャック本体 3 0は、 内部に複数のチャック爪 3 5を備えている。 チャック本体 3 0は、 チャック 爪 3 5により圧入杭 4 を外周側から押圧することにより圧入杭 4 を把持 して、 チャックフレーム 3 1 に対して回転する。

[0048] チャック本体 3 0の外周には、 チャック回転ギア 3 6が固定されている。

チャック回転ギア 3 6の周囲にはチャックフレーム 3 1 に回転可能に支持さ れた複数 (図 2の例では 8つ) の駆動ギア 3 7八 ~ 3 7 1 ~ 1がチャック回転ギ ア 3 6と嚙み合っている。 駆動ギア 3 7八~ 3 7 1 ~ 1は、 それぞれ、 電動モー 夕 6八~ 6 1 ~ 1によって回転駆動される。 電動モータ 6八~ 6 1 ~ 1は、 それぞれ 駆動ギア 3 7八~ 3 7 1 ~ 1の上方でチャックフレーム 3 1 に固定されており、 駆動ギア 3 7八~ 3 7 1 ~ 1もチャックフレーム 3 1 に回転可能に固定されてい る。

[0049] なお、 以下では、 駆動ギア 3 7八~ 3 7 ! !を総称して駆動ギア 3 7と称し 〇 2020/175269 10 卩(:170? 2020 /006508

、 電動モータ 6八〜 6 1 ~ 1を総称して電動モータ 6と称する。

[0050] このような構成の杭圧入装置 1は、 電動モータ 6で駆動ギア 3 7を回転駆 動することで、 チャック回転ギア 3 6を介してチャック本体 3 0が回転し、 これによってチャック本体 3 0に把持された圧入杭 4八が回転する。 このよ うに、 電動モータ 6及び駆動ギア 3 7は、 チャック回転ギア 3 6を介してチ ャック本体 3 0に作用してチャック本体 3 0に圧入杭 4八の圧入のための回 転駆動力を付与する。

[0051 ] また、 本実施形態の杭圧入装置 1は、 電動モータ 6の才ーバーヒートを防 止するために、 電動モータ 6を冷却する冷却手段を備える。 本実施形態の冷 却手段は、 図 3に示されるように冷却配管 4 1であり、 電動モータ 6はその 周囲に配された冷却配管 4 1 を流れる冷却液によって冷却される。 また、 本 実施形態の冷却液は一例として水 (以下 「冷却水」 という。 ) とするが、 こ れに限らず、 不凍液等であってもよい。

[0052] 冷却配管 4 1は、 冷却水によって電動モータ 6と電動モータ 6の回転軸に 連結される減速機 4 2とを冷却する。 本実施形態の冷却配管 4 1は、 図 3の 矢印で示されるように、 冷却水が電動モータ 6を冷却した後に減速機 4 2を 冷却するように配設される。 この構成によれば、 減速機 4 2は電動モータ 6 に比べて温度上昇に強いので、 電動モータ 6及び減速機 4 2を効率良く冷却 できる。

[0053] なお、 冷却水を冷却するラジェータゃ冷却水を送水 する冷却用電動ポンプ 等は、 一例として、 杭圧入装置 1 とは別に現場内に設置され、 冷却水は現場 に設置された大容量タンクから電動モータ 6及び減速機 4 2へ送水される。

[0054] より具体的には、 大容量タンク内の水 (冷却水) は、 冷却用電動ポンプに よってマスト 2 0上に取り付けた配管へ送水され、 マスト 2 0とチャック 5 の渡り配管を経由してチャック 5上部に設置したマニホールドブロック (以 下 「上流側マニホールドブロック」 という。 ) に送られる。 この上流側マニ ホールドブロックにはリリーフ機能があり冷 却配管 4 1の保護が行われる。 そして、 上流側マニホールドブロックは、 各電動モータ 6へ配設される冷却 〇 2020/175269 1 1 卩(:170? 2020 /006508

配管 4 1へ分岐し、 各電動モータ 6及び減速機 4 2へ冷却水が送水される。 各電動モータ 6及び減速機 4 2を冷却した冷却水は、 下流側マニホールドブ ロックを介してマスト 2 0上の配管を経由して大容量タンクへ戻る。

[0055] また、 大容量タンク内の冷却水は、 杭 4が地盤に圧入される際に杭 4の先 端から吐出される水としても兼用される。 これにより、 本実施形態の杭圧入 装置 1は、 冷却水を効率良く用いることができる。

[0056] 次に、 本実施形態の杭圧入装置 1の制御について詳述する。 図 4は、 本実 施形態の杭圧入システム 3の制御系統、 電気動力系統、 及び油圧動力系統を 示す概略図である。

[0057] 杭圧入装置 1は、 杭圧入システム 3の制御を司る統合制御盤 5 0を備える 。 統合制御盤 5 0は、 本発明の制御手段に相当する。

[0058] 本実施形態の統合制御盤 5 0は、 主として、 電動モータ 6 (電動機) と昇 降シリンダ 7 (油圧装置) とを連動させて制御する制御装置である。 これに より本実施形態の杭圧入システム 3は、 油圧装置と電動機との最適制御を実 現するので、 駆動部材 (例えばチャック 5) に駆動力を付与するために電動 機と油圧装置とが混在しても効率の良い施工 を可能とするものである。

[0059] なお、 統合制御盤 5 0は、 操作盤 5 1 を用いてオペレータが設定した荷重 やトルクの設定値に基づいて杭圧入装置 1 を制御する。 操作盤 5 1は、 オペ レータにより保持されて無線通信により統合 制御盤 5 0との間で、 設定値等 の情報の送受信を行う。

[0060] パワーユニッ ト 2が備える制御ユニッ ト 8と統合制御盤 5 0は、 電動系制 御ライン 5 2八で接続され情報の入出力が行われる。 また、 制御ユニッ ト 8 と電動モータ 6とは、 電気動カライン 5 2巳で接続され、 制御ユニッ ト 8か ら電動モータ 6ヘインバータ制御により電力が供給される

[0061 ] パワーユニッ ト 2が備える電動油圧ユニッ ト 9と統合制御盤 5 0とは、 油 圧系制御ライン 5 3八で接続され情報の入出力が行われる。 また、 電動油圧 ユニッ ト 9とマスト 2 0とは、 油供給ライン 5 3巳が接続され、 電動油圧ユ ニッ ト 9からマスト 2 0へ作動油が供給される。 〇 2020/175269 12 卩(:170? 2020 /006508

[0062] マスト 2 0には、 昇降油圧制御バルブ 5 4と回転油圧制御バルブ 5 5とが 設けられる。 昇降油圧制御バルブ 5 4、 回転油圧制御バルブ 5 5には、 油供 給ライン 5 3巳に対応する接続口が設けられている。 なお、 昇降油圧制御バ ルブ 5 4及び回転油圧制御バルブ 5 5は、 一例として電磁バルブである。

[0063] 昇降油圧制御バルブ 5 4は、 電動油圧ユニッ ト 9から昇降シリンダ 7への 作動油の供給を制御するために、 統合制御盤 5 0からの制御信号に応じて開 閉される。 一方、 本実施形態の回転油圧制御バルブ 5 5は、 電動油圧ユニッ 卜 9には接続されていない。 回転油圧制御バルブ 5 5は、 チャック 5を油圧 モータで駆動させる場合に用いられるもので あり、 本実施形態の杭圧入装置 1は、 チャック 5を電動モータ 6で駆動させるので、 この油圧モータがない ためである。

[0064] なお、 杭圧入システム 3には、 電動油圧ユニッ ト 9から杭圧入装置 1の油 圧装置へ供給された作動油を電動油圧ユニッ ト 9へ戻す油戻りラインや、 油 圧装置からリークした作動油を電動油圧ユニ ッ ト 9へ戻すリーク油戻りライ ンも設けられている。

[0065] また、 杭圧入装置 1 には状況検知部 5 6が設けられている。 状況検知部 5

6は、 例えばチャック 5の回転以外の状況データを検知して統合制 盤 5 0 へ送信する。 状況データは、 例えば、 昇降シリンダ 7へ供給される作動油の 油圧、 杭圧入装置 1の姿勢を示す機械姿勢、 クランプ 2 3による完成杭 4巳 の把持状態を示すクランプ安全状態等である 。

[0066] また、 電動モータ 6は、 各々内部に温度センサ 5 7が設けられ、 温度セン サ 5 7によって検知された温度情報を統合制御盤 5 0へ送信している。 電動 モータ 6の温度は、 例えば回転出力やトルクの負荷率によって変 動する。 な お、 温度センサ 5 7は、 一例として測温抵抗体であるが、 これに限らず、 熱 電対等、 他のセンサとされでもよい。 このように統合制御盤 5 0は、 電動モ —夕 6の温度変化を監視することで、 温度センサ 5 7の検知温度に基づいて 、 電動モータ 6の故障や水冷システムの不具合など不測の 態に検知する。

[0067] 次に、 本実施形態の統合制御盤 5 0の機能の詳細について図 5も参照して 〇 2020/175269 13 卩(:170? 2020 /006508

説明する。 図 5は、 杭圧入システム 3の制御系統を示すブロック図である。 図 5に示される (1) から (8) は、 各構成間で入出力される情報について 示した下記 (1) から (8) は対応している。

[0068] (1) 制御ユニッ ト 8から統合制御盤 5 0へ:電動モータ 6の回転出力 情報 (リアルタイム出力やトルクの合計値 (複数の電動モータの合計値) 、 平均値、 異常監視情報、 電動モータ 6の電圧値や電流値等) を出力。

(2) 電動モータ 6から統合制御盤 5 0へ:電動モータ 6の温度情報を 出力。

(3) 状況検知部 5 6から統合制御盤 5 0へ:昇降シリンダ 7へ供給さ れる作動油の油圧、 杭圧入装置 1の機械姿勢、 クランプ安全状態等を出力。

(4) 統合制御盤 5 0から制御ユニッ ト 8へ:統合制御盤 5 0で杭圧入 装置 1の圧入荷重や引抜荷重を算出することで設 トルク (回転トルク信号 ) を算出、 算出した設定トルクに基づいてインバータ指 令を制御ユニッ ト 8 へ出力。 インバータ指令はブーストや電動モータの停 止等を含む。

(5) 統合制御盤 5 0から昇降油圧制御バルブ 5 4へ:バルブの開閉信 号。 例えば、 回転トルクが所定値以上となった場合にはバ ルブの閉信号を出 力。

(6) 電動油圧ユニッ ト 9から統合制御盤 5 0へ:作動油の現在圧力や 流量等を示す作動油状態信号を出力。

(7) 統合制御盤 5 0から電動油圧ユニッ ト 9へ:作動油の圧力制御要 求信号を出力。 これを受けて電動油圧ユニッ ト 9は作動油の圧力や流量を制 御。

(8) 統合制御盤 5 0から電動ボンプ制御部 5 8へ:電動モータ 6の温 度情報に基づいて冷却水の流量を示す流量信 号を出力。 電動ポンプ制御部 5 8は、 流量信号に基づいた流量で冷却水を送液する ように冷却用電動ポンプ 5 9を制御。

[0069] 上記 (1) から (8) に示されるように、 統合制御盤 5 0には、 杭 4の圧 入荷重や引抜荷重、 機械姿勢、 クランプ安全状態、 電動モータ 6の温度、 作 〇 2020/175269 14 卩(:170? 2020 /006508

動油の状態等の杭圧入システム 3の機械状態を示す各種情報が入力される。 そして統合制御盤 5 0は、 操作盤 5 1 を介してオペレータが任意に設定した 値 (荷重やトルク) を順守するように機械状態を自動で制御する 。 なお、 統 合制御盤 5 0は、 電動油圧ユニッ ト 9のリリーフ圧力を制御することで荷重 を制御し、 制御ユニッ ト 8のインバータ指令を制御することでトルク 制御 する。 また、 (1) から (8) に示したデータの他にも、 エラー信号や異常 信号等、 必要に応じて各構成部間で信号の入出力が行 われる。

[0070] 以下に、 本実施形態の統合制御盤 5 0による各種制御について詳述する。

[0071 ] 統合制御盤 5 0は、 チャック 5によって把持した杭 4を圧入する際の電動 モータ 6の回転出力に基づいて、 昇降シリンダ 7によるチャック 5の上下動 を制御する。 本実施形態は回転出力の一例を回転トルクと して制御するが、 これに限らず、 回転数、 又は回転トルクと回転数との組み合わせに基 づいて 制御が行われてもよい。 また、 本実施形態ではチャック 5が回転しているこ とが、 昇降シリンダ 7によるチャック 5の下降のトリガーとされる。 すなわ ち、 チャック 5が回転していない状態では、 昇降シリンダ 7はチャック 5を 下降させない。 なお、 チャック 5が杭 4を把持していない場合、 昇降シリン ダ 7は、 チャック 5の位置確認等のためにチャック 5を下降又は上昇可能と されている。

[0072] ここで、 杭 4の圧入時のトルクの算出について説明する

[0073] まず、 統合制御盤 5 0から制御ユニッ ト 8へ入力される回転トルク信号 ( インバータ指令:周波数や電圧の設定値) は杭 4が地盤から受けた力の全量 に相当する。 そして、 杭 4の周面部と杭 4の先端部で発生するトルクの割合 は地盤条件によって異なる。 このトルクの割合は、 例えば、 杭 4の圧入時に おけるチャック 5の回転トルク (以下 「圧入時回転トルク」 という。 ) と杭 4の引抜時におけるチャック 5の回転トルク (以下 「引抜時回転トルク」 と いう。 ) との差で推定する事ができる。 圧入時回転トルクは杭 4の周面部に 発生するトルクと杭 4の先端部で発生するトルクの合計であり、 引抜時回転 トルクは杭 4周面部に発生するトルクである。 このため、 杭 4の先端部で発 〇 2020/175269 15 卩(:170? 2020 /006508

生するトルクは、 圧入時回転トルクと引抜時回転トルクとの差 から算出され る。 そして、 杭 4の先端部で発生するトルクの上昇率又は下 率等から、 地 盤の深さ方向における地盤情報が得られる。

[0074] このように、 電動モータ 6の回転出力は杭 4を圧入する地盤情報が反映さ れる。 従って、 杭圧入システム 3は、 電動モータ 6の回転出力に基づいて昇 降シリンダ 7によるチャック 5の上下動を制御することで、 効率の良い施工 が可能となる。 そして、 本実施形態の杭圧入システム 3は、 杭 4の圧入力、 引抜力、 回転トルクの実測数値を相関的に結びつける ことで地盤の状態を推 定し、 チャック 5の最適な上下ストロークや回転出力によっ 自動運転を行 うことが可能となる。

[0075] また、 本実施形態の統合制御盤 5 0は、 電動モータ 6の回転出力 (本実施 形態では回転トルク) を電動モータ 6に対するインバータ指令に基づいて算 出する。 これにより、 電動モータ 6の回転出力、 換言すると地盤情報を簡易 に把握できる。

[0076] さらに本実施形態の統合制御盤 5 0は、 電動モータ 6の回転出力が所定値 となった場合に、 昇降シリンダ 7によるチャック 5の下げ動作 (以下 「チャ ック下げ動作」 という。 ) を停止させる過負荷保護を行う。

[0077] 本実施形態の過負荷保護について具体的に説 明する。 まず、 オペレータは 操作盤 5 1 を介して回転トルクの上限である上限トルク を設定する。 そして 、 杭 4を把持しているチャック 5が昇降シリンダ 7によって圧入方向へ下げ られる。 チャック下げ動作によって杭 4の回転圧入が続けられ、 杭 4の先端 部に対する地盤抵抗によって圧入力が上昇す ると、 これに伴って電動モータ 6の回転トルクが上昇する。 統合制御盤 5 0は、 上限トルクに回転トルクが 達するとチャック 5の下げ操作を停止、 すなわち昇降シリンダ 7の動作を停 止させる。 これにより、 過大な地盤抵抗によって杭 4の先端に溶接されたビ ッ ト (爪) が破損することが防止される。 なお、 昇降シリンダ 7の動作の停 止は、 統合制御盤 5 0が昇降油圧制御バルブ 5 4へバルブの閉信号を出力す ると共に、 電動油圧ユニッ ト 9へ油圧ポンプ 1 1及び電動モータ 1 2の停止 〇 2020/175269 16 卩(:170? 2020 /006508

信号を出力する。

[0078] また、 本実施形態の統合制御盤 5 0は、 電動モータ 6の負荷状態に応じて 電動モータ 6の回転出力を制御する。 電動モータ 6の負荷状態は、 一例とし て、 インバータ装置 1 0から電動モータ 6へ出力される電流の値 (電流値) により判定される。 より具体的には、 実際に電動モータ 6へ出力される電流 値 (以下 「実電流値」 という。 ) と電流値の上限として予め定められた上限 電流値との差が負荷状態であり、 この差が小さいほど高負荷状態となる。

[0079] すなわち、 統合制御盤 5 0は、 電動モータ 6の負荷状態をリアルタイムで 監視することで、 常用トルクを一時的にインバータ制御により 過大に増加 ( 以下 「トルクブースト」 という。 ) して杭 4を回転させる制御や、 負荷状態 に応じてトルクを制限する制御を行う。 トルクブーストは、 電動モータ 6の 出力 (計回転数とトルク値との積) 内であれば、 トルクを定格値 (1 0 0 % ) 以上に上げることである。

[0080] ここで、 トルクブーストについて図 6を参照して説明する。 図 6は、 油圧 モータと電動モータとの回転特性を示したグ ラフであり、 (3) は油圧モー 夕の回転特性を示し、 (匕) は電動モータの回転特性を示す。 図 6 (3) に 示されるように、 油圧モータは回転トルクが 1 0 0 %となると、 油圧リリー フ制御が行われて作動油の流量が〇になり回 転が停止する。 一方、 図 6 (匕 ) に示されるように、 電動モータは、 トルクが 1 0 0 %となっても出力線と の交点における回転数を出す事が可能であり 、 さらにトルクブーストによっ て 1 0 0 %以上の出力が可能である。 すなわち、 杭 4の圧入力を増加させよ うとしても、 油圧モータであれば設定トルク (トルク 1 0 0 %) の手前から 回転数が低下するためにトルクブーストがで きない。 一方、 電動モータであ れば回転を停止させることなく トルクブーストが可能である。 このため、 電 動モータは油圧モータでは不可能である 1 0 0 % (定格) 以上でのトルクを 設定可能となる。

[0081 ] そこで、 統合制御盤 5 0は、 電動モータ 6の負荷状態に応じて、 すなわち 電動モータ 6の負荷に余裕がある場合には、 トルクブーストを行って回転卜 \¥0 2020/175269 17 卩(:17 2020 /006508

ルクを一時的に上昇させることで、 効率の良い施工が可能となる。 なお、 卜 ルクブーストは、 電動モータ 6の負荷が大きくなるため短時間のみ行われ

[0082] また、 統合制御盤 5 0は、 電動モータ 6の負荷状態が過大となった場合に 、 電動モータ 6の回転出力を下げる制御を行う。 負荷状態が過大となった場 合とは、 実測電流値と上限電流値との差で判定される だけでなく、 電動モー 夕 6の温度が所定値以上となった場合に負荷状 が過大であると判定されて もよい。

[0083] また、 通常の制御において、 冷却水は各電動モータ 6への均等に一定流量 で流されるが、 本実施形態の統合制御盤 5 0は、 電動モータ 6の回転出力又 は負荷状態に応じて冷却水による冷却量を制 御してもよい。 すなわち、 統合 制御盤 5 0は、 電動モータ 6の回転出力が大きいほど、 又は高負荷状態ほど 冷却水の流量を増加させるように電動ポンプ 制御部 5 8へ制御信号を出力す る。

[0084] さらに、 統合制御盤 5 0は、 各電動モータ 6に設けられた温度センサ 5 7 が所定値以上の温度を検知した場合に高負荷 状態であるとして、 冷却水の流 量を増加させるように電動ポンプ制御部 5 8へ制御信号を出力してもよい。

[0085] また、 本実施形態の杭圧入装置 1は、 地盤の状態に応じてチャック 5の交 換が可能とされている。 図 7は、 本実施形態の杭圧入装置 1 におけるチャッ ク 5の交換を示す構成図である。 なお、 本実施形態の杭圧入装置 1は、 チャ ック 5と共に昇降シリンダ 7等も含んだ構成 (以下 「チャック八3 3丫」 と いう。 ) が地盤の状態に応じて交換可能とされる。

[0086] 図 7に示されるチャック八3 3丫6 0八は、 油圧標準回転仕様であり、 油 圧モータ 6 1 によってチャック 5を回転させる。 また、 チャック八3 3丫6 〇巳は、 油圧高出力回転仕様であり、 チャック八3 3丫6 0八よりも油圧モ —夕 6 1の台数を増加させることでより高出力でチ ック 5を回転させる。 チャック八3 3丫6〇〇は、 本実施形態の電動モータ 6によってチャック 5 を回転させる電動高出力回転仕様である。 〇 2020/175269 18 卩(:170? 2020 /006508

[0087] チャック八3 3丫6 0八又はチャック八3 3丫6 0巳が使用される場合、 回転油圧制御バルブ 5 5を介して油供給ライン 5 3巳と油圧モータ 6 1 とが 接続され、 電動油圧ユニッ ト 9から油圧モータ 6 1へ作動油が供給される。

[0088] なお、 油圧高出力回転仕様のチャック八3 3丫6 0巳は、 増加させた油圧 モータ 6 1 に対応する回転油圧制御バルブ 5 5と、 各油圧モータ 6 1から入 力される各種情報を中継して統合制御盤 5 0へ出力する中継制御盤を含むボ ックスがマスト 2 0上に取り付けられる。

[0089] また、 電動高出力回転仕様のチャック八3 3丫6〇〇は、 マスト 2 0上に 電動モータ 6を冷却するための冷却水が流通する冷却配 4 1 と、 昇降シリ ンダ 7に作動油を供給する油圧配管のハンガーが 体となった集束部材 6 2 を取り付けられる。 これにより、 電動高出力回転仕様のチャック八3 3丫6 〇〇を使用する場合であっても、 冷却配管 4 1 と油圧配管とを集束部材 6 2 で集束させることで、 効率の良い交換作業が行える。

[0090] 以上、 本発明を、 上記実施形態を用いて説明したが、 本発明の技術的範囲 は上記実施形態に記載の範囲には限定されな い。 発明の要旨を逸脱しない範 囲で上記実施形態に多様な変更または改良を 加えることができ、 該変更また は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に 含まれる。

[0091 ] (変形例)

本変形例は、 電動モータ 6の冷却手段を外扇式とする。 すなわち、 本変形 例の電動モータ 6は空冷によって冷却される。 図 8は、 本変形例における電 動モータ 6の冷却手段の概略構成図であり、 電動モータ 6の冷却手段は電動 モータ 6に設けられたファン 6 5とされる。

[0092] 図 8の例では、 ファン 6 5は電動モータ 6の上方に設けられ、 ファン 6 5 の回転軸 6 5八は電動モータ 6の回転軸 6八に直結される。 これにより、 フ ァン 6 5の駆動力は電動モータ 6から得られるので、 簡易な構成により電動 モータ 6を冷却できる。 なお、 図 8では、 電動モータ 6と減速機 4 2とが台 座 6 6を介して連結されているが、 これは一例であり、 台座 6 6を介さずに 電動モータ 6と減速機 4 2とが連結されてもよい。 〇 2020/175269 19 卩(:170? 2020 /006508

[0093] 本変形例では、 ファン 6 5からの送風によって電動モータ 6の下方までの 冷却が可能とされている。 また、 電動モータ 6の表面には、 複数のフィン 6 7が電動モータ 6の高さ方向、 換言すると送風方向に沿って設けられている 。 これにより、 電動モータ 6の表面積が増加するので空冷による冷却効 が 高められる。 なお、 本変形例の減速機 4 2は、 冷却配管 4 1が配設されて冷 却水によって冷却されるが、 これに限らず、 ファン 6 5の能力が十分であれ ば空冷により冷却されてもよい。 このように、 本変形例は、 電動モータ 6を 空冷によって冷却するので、 簡易な構成で電動機を冷却できる。

[0094] また、 ファン 6 5は、 電動モータ 6の回転軸 6八とは独立して設けられて もよい。 ファン 6 5の回転軸 6 5八が電動モータ 6の回転軸 6八に連結され ていると、 ファン 6 5の冷却量が電動モータ 6の回転数に依存することにな り、 ファン 6 5の冷却量は制御し難い。 そこで、 ファン 6 5の回転軸 6 5八 と電動モータ 6の回転軸 6八とを連結しないことにより、 ファン 6 5による 冷却量を電動モータ 6の回転数に依存することなく制御可能とす 。

[0095] すなわち、 統合制御盤 5 0は、 電動モータ 6の回転出力又は負荷状態に応 じて、 電動モータ 6の回転軸 6八から独立したファン 6 5による冷却量を制 御する。 より具体的には、 統合制御盤 5 0は、 ファン 6 5を回転させるため のモータ (以下 「ファン駆動モータ」 という。 ) の回転数を電動モータ 6の 回転出力又は負荷状態に応じて制御する。 例えば、 電動モータ 6の回転出力 が大きくなるほど、 又は電動モータ 6が高負荷状態となるほど、 統合制御盤 5 0は、 ファン 6 5の回転数が高くなるようにファン駆動モー を制御する 。 これにより、 杭圧入システム 3は、 電動モータ 6を効率良く冷却できる。 符号の説明

[0096] 1 杭圧入装置

5 チャック (回転手段)

6 電動モータ (電動機)

7 昇降シリンダ (油圧装置)

1 1 油圧ポンプ (油圧発生装置) 〇 2020/175269 20 卩(:170? 2020 /006508

2 0 マスト

4 1 冷却配管 (冷却手段)

4 2 減速機

5 0 統合制御盤 (制御手段)

6 1 集束部材

6 5 ファン (冷却手段)