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Patent Searching and Data


Title:
Β-PINENE-BASED POLYMER AND MOLDED ARTICLE COMPRISING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/125828
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a β-pinene-based polymer, which has an excellent heat resistance, an excellent light resistance, a low water absorptivity and a high transparency; and a molded article thereof. A β-pinene-based polymer which is a polymer containing 60% by mass or more of a β-pinene unit, wherein 1% by mol or more but not more than 10% by mol of 6-membered rings derived from β-pinene are aromatic 6-membered rings or the p-phenylene group content is 0.55% by mass or more but not more than 5.5% by mass, and preferably 90% by mol or more of olefinic double bonds have been hydrogenated or the cyclohexene-1,4-diyl group content is 5.6% by mass or less; and a molded article which comprises this β-pinene-based polymer.

Inventors:
NAKAHARA ATSUHIRO (JP)
TOKUYASU JIN (JP)
HORI TAKASHI (JP)
OHGI HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/057315
Publication Date:
October 15, 2009
Filing Date:
April 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KURARAY CO (JP)
NAKAHARA ATSUHIRO (JP)
TOKUYASU JIN (JP)
HORI TAKASHI (JP)
OHGI HIROYUKI (JP)
International Classes:
C08F32/00; C08F8/04
Other References:
HIROKO SUGIYAMA ET AL.: "Shokubutsu Yurai no Shikanshiki Tanka Suisokei Polymer no Gosei", POLYMER PREPRINTS, JAPAN, vol. 55, no. 2, 5 September 2006 (2006-09-05), pages 2Z10
HIROKO SUGIYAMA ET AL.: "Shokubutsu Yurai no Shikanshiki Terpene no Seimitsu Cation Jugo", POLYMER PREPRINTS, JAPAN, vol. 55, no. 1, 10 May 2006 (2006-05-10), pages 1PE011
HIROKO SUGIYAMA ET AL.: "Shokubutsu Yurai beta-pinene no Seimitsu Seigyo Cation Jugo", POLYMER PREPRINTS, JAPAN, vol. 56, no. 2, 4 September 2007 (2007-09-04), pages 1PE017
HIROKO SUGIYAMA ET AL.: "beta-pinene no Seimitsu Cation Jugo ni yoru Shinki Tanka Suisokei Polymer no Kaihatsu", ANNUAL MEETING OF UNION OF CHEMISTRY RELATED-SOCIETIES IN CHUBU AREA, JAPAN, vol. 38, 10 November 2007 (2007-11-10), pages 158
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Claims:
 β-ピネン単位を60質量%以上含有した重合体であって、β-ピネン由来の6員環のうち1モル%以上10モル%以下が芳香族性6員環であるβ-ピネン系重合体。
 オレフィン性二重結合が90モル%以上水素化されている請求項1に記載のβ-ピネン系重合体。
 β-ピネン単位を60質量%以上含有した重合体であって、p-フェニレン基が0.55質量%以上5.5質量%以下であるβ-ピネン系重合体。
 シクロヘキセン-1,4-ジイル基が5.6質量%以下である請求項3に記載のβ-ピネン系重合体。
 β-ピネン単位の含有量が90質量%以上である請求項1または3に記載のβ-ピネン系重合体。
 請求項1または3に記載のβ-ピネン系重合体からなる成形体。
 β-ピネン単位を60質量%以上含有する重合体を、不均一触媒存在下、水素圧0.1MPa~5MPaにてオレフィン性二重結合を水素化する、請求項1または3に記載のβ-ピネン系重合体の製造方法。
Description:
β-ピネン系重合体及びそれから る成形体

 本発明は、高い屈折率と低い複屈折を両 させたβ-ピネン系重合体及びそれからなる 形体及びそれの製造法に関する。

 近年、光学用樹脂への要求はますます高 になり、耐熱性及び耐光性に優れ、吸水性 低く、かつ高い透明性を有する樹脂が求め れている。しかし、従来の光学用樹脂にお てはこれらの要求性能が高い次元でバラン よく備わっておらず、光学用樹脂として種 の欠点を有する。

 例えば、透明性の高い光学用樹脂として 、従来ポリメタクリル酸メチル、ポリカー ネート等が使用されてきた。ポリメタクリ 酸メチルは透明性が高く、複屈折率が小さ 等、光学的な性質は優れているが、吸水性 大きいため寸法が変化し易く、また耐熱性 低いという欠点を有する。一方、ポリカー ネートはガラス転移温度(Tg)が高く耐熱性は 優れているが、吸水性がやや大きく、アルカ リによる加水分解を起こしやすいという欠点 を有する。

 耐熱性が高く、吸水性が小さく、かつ透 性に優れた光学用樹脂としてはノルボルネ 系モノマーの開環重合体水素添加物やノル ルネン系モノマーとエチレンとの付加型共 合体が知られている(特許文献1~4)。しかし がら、ノルボルネン系モノマーとして使用 ているテトラシクロドデセン類の多環モノ ーは、その製造が必ずしも容易ではなく、 合触媒にモリブデン、タングステンの塩化 等のレアメタルを使用する必要がある。

 上記の課題を改善した光学用樹脂として -ピネン系重合体が提案されている(特許文献 5、非特許文献1~2)。β-ピネン系重合体は耐熱 が高く、吸水性が低い材料である。また、 年問題となっている二酸化炭素の排出を抑 る、カーボンニュートラル材料としても注 されている(非特許文献1)。しかしながら、 重が小さいため屈折率が小さいという欠点 有していた。屈折率を向上させるため、芳 族系ビニル単量体と共重合する方法が検討 れている(特許文献5)。特許文献5に記載のβ- ピネンとインデンの共重合体(実施例7~12)は、 耐熱性は高いもののβ-ピネン由来のオレフィ ン性二重結合やインデン由来の芳香族性二重 結合が残っており、酸化劣化し易いため、光 や熱で着色し易いという問題点を有していた 。また、インデンのような側鎖に芳香環を有 する単量体を共重合すると複屈折が大きくな る問題があった。

特開昭64-24826号公報

特開昭60-168708号公報

特開昭61-115912号公報

特開昭61-120816号公報

特開2002-121231号公報

Satoh他、「Biomass-derived heat-resistant alicycl ic hydrocarbon polymers:poly(terpenes) and their hydrog enated derivatives」、Green Chemistry、2006年、第8 、878~882頁 Keszler他、「Synthesis of High Moleculer Weight  Poly(β-Pinene)」、Advances in Polymer Science、1992 年、第100巻、1~9頁

 従って本発明の目的は、本来有する高耐 性及び高耐光性、低吸水性、高い透明性を 持しつつ高い屈折率を有するβ-ピネン系重 体及びその成形体を提供することにある。

 すなわち本発明は、
β-ピネン単位を60質量%以上含有した重合体で あって、β-ピネン由来の6員環のうち1モル%以 上10モル%以下が芳香族性6員環であるβ-ピネ 系重合体、および該β-ピネン系重合体から る成形体である。

 また本発明は、
β-ピネン単位を60質量%以上含有した重合体で あって、p-フェニレン基が0.55質量%以上5.5質 %以下であるβ-ピネン系重合体、および該β- ネン系重合体からなる成形体である。

 さらに本発明は、
β-ピネン単位を60質量%以上含有する重合体を 、不均一触媒存在下、水素圧0.1MPa~25MPaにてオ レフィン性二重結合を水素化する、上記のβ- ピネン系重合体の製造方法である。

 本発明のβ-ピネン系重合体は、耐熱性及 耐光性に優れ、吸水性が低く、屈折率が高 、複屈折が小さく、高い透明性を有するた 、特に光学用途に好適である。

実施例3で得られたβ-ピネン系重合体(H3)の 1 H-NMRスペクトルを示す図である。重溶媒とし 重水素化テトラヒドロフランを使用した。 比較例3で得られたβ-ピネン系重合体(B3)の 1 H-NMRスペクトルを示す図である。重溶媒とし 重水素化テトラヒドロフランを使用した。

[I]β-ピネン系重合体
 本発明のβ-ピネン系重合体は、β-ピネン単 を含有する重合体を、水素化してなる重合 である。

・β-ピネン
 本発明に用いるβ-ピネン単量体としては公 のものが利用可能である。すなわち、松等 植物から採取されたものや、α-ピネン等、 の原料から合成したβ-ピネン等も利用可能 ある。

・他の共重合単量体
 本発明の重合体は、β-ピネンと共重合可能 他の単量体単位を構成単位として含有して てもよい。共重合可能な単量体は特に制限 なく、具体例としては、スチレン、α-メチ スチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチ レン、4-エチルスチレン、4-t-ブチルスチレン 、1-ビニルナフタレン、インデン等の芳香族 ニル;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸 チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク ル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ エチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メ タ)アクリル酸系モノマー;無水マレイン酸、 レイン酸、フマル酸、マレイミド;アクリロ ニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル 基含有ビニルモノマー;アクリルアミド、メ クリルアミド等のアミド基含有ビニルモノ ー;エチレン、プロピレン、イソブチレン、 タジエン、イソプレン、ノルボルネン等の レフィン類;リモネン、α-ピネン、ミルセン 、カンフェン、カレン等のβ-ピネン以外のテ レピン油由来の二重結合含有化合物;酢酸ビ ル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等 ビニルエステル類;極性基を有するスチレン 導体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリ クロライド、アリルアルコール等が挙げら る。また、2官能性の単量体、例えばp-ジビ ルベンゼン、p-ジイソプロペニルベンゼン エチレングリコールジビニルエーテル等を 有することも可能である。これらは単独で いても、2種類以上を組み合わせて用いても い。

 上記共重合可能な単量体をβ-ピネンと共 合する場合、その共重合量は重合体の全単 体単位あたり0.001~50モル%が好ましく、0.01~20 モル%がより好ましく、0.01~10モル%が最も好ま しい。共重合量が多すぎると、重合が困難に なる可能性があり、また耐熱性も低下する場 合が多い。また芳香族を側鎖に有する単量体 は複屈折が増大するため少ない方が好ましく 、その共重合量は重合体の全単量体単位あた り0.001~10モル%が好ましく、0.01~5モル%が最も ましい。

 共重合体の構造は特に制限されず、例え ランダム、ブロックおよびテーパードのい れの共重合体でもよい。共重合体はランダ 共重合体が特に好ましい。

・数平均分子量
 β-ピネン系重合体の数平均分子量は特に限 されないが、力学的物性や加工性の観点か 、600~100万g/モルが好ましく、1万~50万g/モル より好ましく、3万~20万がさらに好ましく、 4万~20万が最も好ましい。数平均分子量が小 すぎると重合体とは呼べず、大きすぎると 形が困難になる。ここで、数平均分子量は ルパーミエーションクロマトグラフィーに るポリスチレン換算の分子量を意味する。

・水素化物
 本発明の重合体はβ-ピネン単位に由来する6 員環であるシクロヘキセン環のオレフィン性 二重結合を水素化[水素添加(水添)]すること 得られるが、通常の水素化反応では、水素 反応と同時にシクロヘキセン環の脱水素反 も極少量であるが進行する。本発明のβ-ピ ン系重合体は、オレフィン性二重結合を水 化しつつも、シクロヘキセン環に由来する 香族性6員環の含有量が多い重合体である。 こで生成する芳香族環はβ-ピネン由来の6員 環(p-フェニレン基)であるため、主鎖に対し 対称であり、複屈折を小さくすることが可 である。

 本発明のβ-ピネン系重合体は、空気中の酸 による劣化防止、成形体の着色を抑制する め、β-ピネン由来のオレフィン性二重結合 、重合体中の芳香族環生成単位を除いたβ- ネン単位に対し、好ましくは20モル%以下、 り好ましくは15モル%以下、さらに好ましく 10モル%以下にまで水素化されている。本発 のβ-ピネン系重合体は、その 1 H-NMRスペクトル[テトラメチルシラン(TMS)のプ トンを0ppmとする]における4.5~6ppmのプロトン の積分値の全プロトンの積分値に対する比率 (4.5~6ppmのプロトンの積分値/全プロトンの積 値)が、好ましくは1.1×10 -2 以下(β-ピネン単独重合体の場合、水添率80モ ル%以上に相当)であり、より好ましくは8.5×10 -3 以下(同、水添率85モル%以上に相当)であり、 らに好ましくは5.6×10 -3 以下(同、水添率90モル%以上に相当)である。 たシクロヘキセン-1,4-ジイル基(-C 6 H 8 -)が、好ましくは10.7質量%以下(同、水添率80 ル%以上に相当)、より好ましくは8.4質量%以 (同、水添率85モル%以上に相当)、さらに好ま しくは5.6質量%以下(同、水添率90モル%以上に 当)である。上記比率が大きいと、オレフィ ン性二重結合の量が多くなり劣化しやすい可 能性がある。

 本発明のβ-ピネン系重合体は、水添時にβ- ネン由来のシクロヘキセン環から生成する 香族性6員環が、重合体中のβ-ピネン単位に 対し1モル%以上10モル%以下、さらに好ましく 5モル%以上10モル%以下である。本発明のβ- ネン系重合体は、その 1 H-NMRスペクトル[テトラメチルシラン(TMS)のプ トンを0ppmとする]における6~8ppmのプロトン 積分値の全プロトンの積分値に対する比率(6 ~8ppmのプロトンの積分値/全プロトンの積分値 )が、好ましくは2.2×10 -3 以上(β-ピネン単独重合体の場合、芳香族環1 ル%以上に相当)2.3×10 -2 以下(同、芳香族環10モル%以下に相当)であり 好ましくは1.1×10 -2 以上(同、芳香族環5モル%以上に相当)2.3×10 -2 以下(同、芳香族環10モル%以下に相当)である また、p-フェニレン基(-C 6 H 4 -)が0.55質量%以上5.5質量%以下であり、好まし は2.7質量%以上5.5質量%以下である。上記比 が小さいと、芳香族環の量が少なくなり屈 率が小さくなり、逆に大きいとガラス転移 度が小さくなり、さらに耐光性も低下して まう。

 なお、水素化率の高い重合体の 1 H-NMRスペクトルは非常に小さいスペクトルを 分するため、高いSN比と解像度が要求され 。通常270MHz以上のマグネットを有する核磁 共鳴装置を用い、積算回数を8000回以上する とが好ましい。SN比が悪かったり、解像度 低いと積分値を小さく見積もってしまい、 しい値が得られない。
 また、β-ピネン系重合体を溶解させる重溶 としてはβ-ピネン系重合体が溶解する重溶 であれば特に限定しないが、重溶媒中の重 素化されていない溶媒のスペクトルがβ-ピ ン系重合体のスペクトルと重ならないもし は重なっても影響の少ない0~4ppmにスペクト を持つ重溶媒を選択することが好ましい。 のような重溶媒として重テトラヒドロフラ や重ヘキサンを挙げることができる。

・ガラス転移温度(Tg)
 本発明のβ-ピネン系重合体のTgは、共重合 る単量体の種類や割合、芳香族環量により 概に規定できないが、70℃~250℃がより好ま く、100℃~230℃がさらに好ましい。Tgが低い 耐熱性が不足し、高過ぎるとβ-ピネン系重 体が脆くなる。なお示差走査熱量測定法(DSC) により測定することができる。

・全光線透過率
 本発明のβ-ピネン系重合体は、特に光学材 に使用する場合は全光線透過率が高い方が ましい。β-ピネン系重合体の全光線透過率 80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい 全光線透過率はJIS-K-7361-1-1997「プラスチッ -透明材料の全光線透過率の試験方法-第1部: ングルビーム法」に準じて測定される。

・屈折率
 本発明のβ-ピネン系重合体は、特に光学材 に使用する場合は屈折率が高い方が好まし 。β-ピネン系重合体の屈折率は1.505以上が ましく、1.507以上がより好ましい。屈折率の 測定はJIS K7142(A法)「プラスチックの屈折率 定方法」に準じて、D線にて測定される。

・耐光性
 本発明のβ-ピネン系重合体は、耐光性およ 耐候性が高い方が好ましい。例えばASTM-G53 準じて、UVB光100時間の促進暴露試験を行い JIS-K-7373に準じ測定したYI(イエロー・インデ クス)の試験前と試験後における黄変度(δYI) が10以下が好ましく、5以下がより好ましく、 2以下が最も好ましい。

・耐熱性
 本発明によれば5%質量減少温度が高い重合 を得ることが可能である。本発明のβ-ピネ 系重合体の5%質量減少温度は300℃以上が好ま しく、320℃以上がより好ましい。5%質量減少 度はJIS-K-7120-1987「プラスチックの熱重量測 法」に準じて熱天秤(TGA)で測定される、質 が5%減少した温度を意味する。

[II]β-ピネン系重合体の製造方法
・重合反応
 本発明のβ-ピネン系重合体は、カチオン重 、ラジカル重合法、配位重合法等の公知の 法により得ることができる。工業的に容易 実施でき、高分子量体が得られるという観 から、特にカチオン重合法が好ましい。

・カチオン重合
 カチオン重合は、溶媒、重合触媒の種類・ 、重合開始剤、電子供与性化合物、反応温 、反応圧力、反応時間等により制御ること 可能である。

・カチオン重合溶媒
 カチオン重合は、非特許文献1、非特許文献 2等に記載の公知の方法により行うことがで る。具体的には、例えば不活性有機溶媒中 おいて、重合触媒を添加または接触させる とにより行う。不活性有機溶媒は、β-ピネ および芳香族系単量体が溶解し、かつ重合 媒に不活性な有機溶媒であれば特に制限な 使用することができる。具体的には、ベン ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水 系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オ タン、シクロペンタン、シクロヘキサン、 チルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族 化水素系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、 塩化プロパン、塩化ブタン、1,2-ジクロロエ ン、1,1,2-トリクロロエチレン等のハロゲン 炭化水素系溶媒;エステル、エーテル等の含 素系溶媒等を用いることができる。反応性 考慮すると、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪 炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶 等が好ましい。これらの溶媒は単独で使用 ても、2種類以上を組み合わせて使用しても 良い。

 カチオン重合において不活性有機溶媒を 用する場合、不活性有機溶媒の使用量は特 限定されないが、β-ピネンを含む単量体100 量部に対して通常100~10000質量部、好ましく 150~5000質量部、より好ましくは200~3000質量部 である。不活性溶媒量が少ないと重合体が生 成した場合の粘度が高くなり撹拌が困難とな るため反応が不均一となり、均一な重合体が 得られなかったり、反応の制御が困難になる 。不活性溶媒量が多いと生産性が低下してし まう。

・重合触媒
 カチオン重合の重合触媒として酸性化合物 用いることができる。酸性化合物は特に限 されず、例えばルイス酸またはブレンステ ド酸が挙げられる。具体的にはBF 3 、BF 3 OEt 2 、BBr 3 、BBr 3 OEt 2 、AlCl 3 、AlBr 3 、AlI 3 、TiCl 4 、TiBr 4 、TiI 4 、FeCl 3 、FeCl 2 、SnCl 2 、SnCl 4 、WCl 6 、MoCl 5 、SbCl 5 、TeCl 2 、EtMgBr、Et 3 Al、Et 2 AlCl、EtAlCl 2 、Et 3 Al 2 Cl 3 、Bu 3 SnCl等の周期律表IIIA族からVIII族までの金属ハ ロゲン化合物;HF、HCl、HBr等の水素酸;H 2 SO 4 、H 3 BO 3 、HClO 4 、CH 3 COOH、CH 2 ClCOOH、CHCl 2 COOH、CCl 3 COOH、CF 3 COOH、パラトルエンスルホン酸、CF 3 SO 3 H、H 3 PO 4 、P 2 O 5 等のオキソ酸、およびこれらの基を有するイ オン交換樹脂等の高分子化合物;燐モリブデ 酸、燐タングステン酸等のヘテロポリ酸;SiO 2 、Al 2 O 3 、SiO 2 -Al 2 O 3 、MgO-SiO 2 、B 2 O 3 -Al 2 O 3 、WO 3 -Al 2 O 3 、Zr 2 O 3 -SiO 2 、硫酸化ジルコニア、タングステン酸ジルコ ニア、H + または希土類元素と交換したゼオライト、活 性白土、酸性白土、γ-Al 2 O 3 、P 2 O 5 をケイソウ土と担持させた固体燐酸等の固体 酸等が挙げられる。これらの酸性化合物は組 み合わせて用いても良く、また他の化合物等 を添加しても良い。他の化合物等は、例えば それを添加することにより酸性化合物の活性 を向上させることができる化合物等である。 金属ハロゲン化合物の酸性化合物としての活 性を向上させる化合物の例としては、MeLi、Et Li、BuLi、Et 2 Mg、(i-Bu) 3 Al、Et 2 Al(OEt)、Me 4 Sn、Et 4 Sn、Bu 4 Sn等の金属アルキル化合物が例示される。

 カチオン重合で使用する重合触媒の使用 は、重合触媒の種類により触媒能が異なる め、一概に使用量を規定することは難しい 、均一系触媒の場合、その使用量は、β-ピ ンおよび芳香族系単量体100質量部に対し、0 .001~10質量部が好ましく、0.01~5質量部がより ましく、0.01~1質量部が最も好ましい。重合 媒に固体酸やイオン交換樹脂等の不均一触 を使用する場合、その使用量はβ-ピネンお び芳香族系単量体100質量部に対し、0.1~10000 量部が好ましく、1~1000質量部がより好まし 。触媒量が少ないとカチオン重合の進行が く、多いと不経済である。

 カチオン重合を行う場合の重合開始剤と ては、重合触媒によりカチオンを発生させ 化合物であれば特に限定されないが、下式 示す官能基を少なくとも1つ有する有機化合 物が好適に使用される。例えば、t-ブチルク ライド、t-ブチルメチルエーテル、t-ブチル メチルエステル、t-ブタノール、2,5-ジクロロ -2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ジメトキシ-2,5-ジ チルヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジ ール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ セテート、クミルクロライド、クミルメト シド、クミルアルコールアセテート、クミ アルコール、p-ジクミルクロライド、m-ジク ミルクロライド、p-ジクミルメトキシド、p- クミルアルコールジアセテート、p-ジクミル アルコール、1,3,5-トリクミルクロライド、1,3 ,5-トリクミルメトキシド等を挙げることがで きる。

-C(-R 1 )(-R 2 )-X
(式中のR 1 は水素、アルキル基、アリール基を、R 2 は水素、アルキル基、アリール基を、Xはハ ゲン、アルコキシ基、アシロキシ基、水酸 を示す。)

 カチオン重合で使用する重合開始剤の使 量は、目的とする重合体の分子量により異 るため、一概に使用量を規定することは難 いがβ-ピネンおよび芳香族系単量体100質量 に対し、0.001~10質量部が好ましく、0.001~5質 部がより好ましく、0.01~1質量部が最も好ま い。重合開始剤が少ないと、重合反応速度 遅くなったり、不純物から重合が開始して 定して生産が困難となる。重合開始剤が多 と得られる重合体の分子量が小さくなり、 合体が脆くなってしまう。

 カチオン重合を行う場合、電子供与性化 物を添加することで重合反応をより制御す ことが可能である。このような電子供与性 合物としては、例えば、ジエチルエーテル ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフ ン、ジオキサン、アニソール等のエーテル 合物、炭素数2~10の環状エーテル化合物、酢 酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物、 メタノール、エタノール、ブタノール等のア ルコール化合物、トリエチルアミン、ジエチ ルアミン、ピリジン、2-メチルピリジン、2,6- ジ-t-ブチルピリジン、2,6-ルチジン、N,N-ジメ ルアセトアミド、アセトニトリル等の窒素 有化合物、テトラブチルアンモニウムクロ ド、テトラブチルアンモニウムブロミド等 アンモニウム塩等が挙げられる。

 電子供与性化合物は、反応系中に、重合 媒100質量部に対し0.01~500質量部が好ましく 0.1~200質量部がより好ましい。電子供与性化 物の量が少なすぎると副反応が多くなる傾 があり、低分子量体が多く生成し得られる 合体の強度が低下してしまう。逆に電子供 剤が多すぎると重合反応速度が著しく抑制 れ、カチオン重合反応に長時間を要するこ となり、生産性が低下する。したがって、 に好ましい電子供与性化合物の量は、重合 媒に対し0.1~100質量部である。

 カチオン重合を行う場合の反応温度は通 -120℃~60℃が好ましく、-80℃~0℃がより好ま く、-40℃~0℃が最も好ましい。反応温度が すぎると不経済であり、高すぎると反応の 御が困難である。

 カチオン重合を行うための反応圧力は特 限定されないが、0.5~50気圧が好ましく、0.7~ 10気圧がより好ましい。通常1気圧前後でカチ オン重合を行う。

 カチオン重合を行う反応時間は、特に限 されず、用いる芳香族系単量体の種類、そ 量、重合触媒の種類や量、反応温度、反応 力等の条件に応じて、反応時間を適宜決め ばよい。通常は0.01時間~24時間、好ましくは 0.1時間~10時間である。

 カチオン重合後の重合体は、例えば、再 澱、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒 去、水蒸気による溶媒の除去(スチームスト リッピング)等の、重合体を溶液から単離す 際の通常の操作によって、反応混合物から 離、取得することができる。

[III]水素化
 水素化反応は公知の任意の方法をとること できる。本発明はβ-ピネン重合体に対し、 のβ-ピネン単位のシクロヘキセン環の一部 脱水素することにより芳香環を形成させる この場合、反応温度として高温が有利であ 場合があり、熱安定性の高い不均一系触媒 用いることが多い。よって、不均一系触媒( 固体触媒)を用いた場合について説明する。

・水素化触媒
 本発明において用いる不均一系触媒は特に 定されないが、具体例を挙げると、スポン ニッケル、スポンジコバルト、スポンジ銅 どのスポンジメタル触媒;ニッケルシリカ、 ニッケルアルミナ、ニッケルゼオライト、ニ ッケル珪藻土、パラジウムシリカ、パラジウ ムアルミナ、パラジウムゼオライト、パラジ ウム珪藻土、パラジウムカーボン、パラジウ ムグラファイト、パラジウム炭酸カルシウム 、白金シリカ、白金アルミナ、白金ゼオライ ト、白金珪藻土、白金カーボン、白金グラフ ァイト、白金炭酸カルシウム、ルテニウムシ リカ、ルテニウムアルミナ、ルテニウムゼオ ライト、ルテニウム珪藻土、ルテニウムカー ボン、ルテニウムグラファイト、ルテニウム 炭酸カルシウム、イリジウムシリカ、イリジ ウムアルミナ、イリジウムゼオライト、イリ ジウム珪藻土、イリジウムカーボン、イリジ ウムグラファイト、イリジウム炭酸カルシウ ム、コバルトシリカ、コバルトアルミナ、コ バルトゼオライト、コバルト珪藻土、コバル トカーボン、コバルトグラファイト、コバル ト炭酸カルシウムなどの担持金属触媒が挙げ られる。
 これらの触媒は、活性向上、選択性向上、 定性を目的に、鉄、モリブデン、マグネシ ムなどで変性されていても良い。また、こ らの触媒は単独で使用しても良いし、複数 混合して用いても構わない。
 水素化反応は、水素化活性、入手性、取り いの容易さの面から、水素化活性をもつ金 としてニッケルもしくはパラジウムを用い ことが好ましい。また、水素化の最中に進 する望ましくない副反応をさらに抑制する めに、炭酸カルシウム、カーボン担体を用 ることが好ましい。

・溶媒
 水素化反応は、通常、有機溶媒中で行われ 。用いることのできる溶媒は、特に限定さ るものではないが、β-ピネン系重合体を容 に溶解させるものが好ましい。共重合の種 によりその溶媒が異なるため、限定するこ は困難であるが、具体例を挙げるならば、 ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭 水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン 、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサ ン、メチルシクロヘキサン、デカリン、トリ シクロデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩 メチル、塩化メチレン、塩化プロパン、塩 ブタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロ エチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢 酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒; オキサン、テトラヒドロフラン、ジエチル ーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチ エーテル等のエーテル系溶媒、メタノール エタノール、1-プロパノール、2-プロパノー 、1-ブタノール等のアルコール系溶媒など 用いることができる。
 水素化反応は、重合工程で用いた溶媒をそ まま用いることもできるし、一部の溶媒を 留などの方法により除去して用いることも きる。また、重合工程終了後、一旦重合物 前述の方法で取り出した後に用いても構わ い。未水添重合物をこれらの方法で水素化 程に導入する場合、重合工程の溶媒をその まもしくは除去したのち、別途溶媒で希釈 て用いることもできる。
 水素化反応の有機溶媒の使用量は、重合体1 00質量部に対して50質量部以上10000質量部以下 、好ましくは100質量部以上3000質量部以下、 り好ましくは150質量部以上1000質量部以下あ 。10000質量部以上で行うと、生産性が著し 低下するし、100質量部未満の場合溶液粘度 著しく高まり、水素化反応効率が低下して まう。

 高温でβ-ピネン単位を含む重合体を水素化 る場合、主鎖断裂が進行し、望む重合度の 素化体が得られなくなる場合がある。その 合には、以下、I~IVに該当する物質の共存下 に水素化を実施しても構わない。これらの物 質の共存下に水素化を実施することで、担体 に起因する高温反応時の主鎖切断を大幅に抑 制することが可能となる。
  I.  M(OR) n
  II. M(OC(=O)R’) n
  III.(R”) 3 N
  IV. ピリジン類

 I.に示されるMは、アルカリ金属、アルカリ 類金属を表し、特に限定されないが、具体 には、リチウム、ナトリウム、カリウム、 ルシウム、マグネシウムが挙げられる。nは 、Mがアルカリ金属の場合1を、アルカリ土類 属の場合2を示す。Rは水素原子、メチル基 エチル基、プロピル基、イソプロピル基、 チル基、t-ブチル基などの炭素数1~4のアルキ ル基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数6~ 10のアリール基;2-メチルフェニル基、炭素数7 ~11のアラルキル基が挙げられる。
 II.に示されるM,nは上記のI.と同等である。R は水素原子、メチル基、エチル基、プロピ 基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル 、ヘキシル基、オクチル基などの炭素数1~8 アルキル基を表す。
 III.に示されるR”は、3つが互いに同一であ ても異なっていても良く、任意の2つ以上が 結合することにより環構造を有していても良 く、それぞれ、水素原子、炭素数1~8のアルキ ル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素 6~10のアリール基、炭素数7~11のアラルキル基 、炭素数2~10のアルキレン基、炭素数6~12のア キレン置換アルキレン基をあらわし、かつ R”について水素原子以外の場合、ほかの置 換基により置換されていても良く、かつ、置 換基の一部が酸素原子、窒素原子などにより 置き換えられていても良い。
 IV.に示されるピリジン類は、ピリジン骨格 分子内に有する任意の化合物を使用するこ ができる。

 これらI.~IV.に挙げる化合物は、1種類のみ 単独で用いてもよいし、複数種類を同時に用 いても良い。これらの化合物は、トータルの 使用量として、水素化反応液100質量部あたり 、0.005質量部以上10質量部以下、このましく 0.01質量部以上5質量部以下である。使用量が 少ないと望ましくない反応を抑制する効果が 得られず、多すぎても望ましくない反応を抑 制する能力が向上するわけではない。

・水素添加反応の反応温度
 本発明における水素化反応の温度は使用す 触媒により適切な値がことなることがあり 必ずしも規定できないが、通常、60℃~300℃ 好ましくは120℃~250℃、より好ましくは150℃ ~220℃である。例えば、150℃以上の高温条件 で、脱水素反応が有意に進行し、所望の水 化重合体を得やすい。本発明では、160℃以 、場合により180℃以上の水素化反応温度を 定することができる。

・反応時間
水素化反応時間は、使用する触媒種、触媒量 、反応温度により異なるため、必ずしも限定 できないが、通常、5分~20時間、好ましくは10 分~15時間である。反応時間が短すぎる場合、 所望する水素化率を得ることができない。ま た、反応時間が長すぎる場合、望まない副反 応の進行が顕著になり、所望する物性の水素 化重合物が得られない場合がある。

・水素圧
 本発明における水素化反応は、β-ピネン重 体に含まれるシクロヘキセン環の炭素炭素 飽和結合を水素化させることを目的の1つと するが、その一方、シクロヘキセン環の一部 を脱水素することにより芳香族環を形成させ る。そのため、水素化反応における水素圧力 には制限がある。水素化反応の圧力は、使用 する触媒により適切な値を異にすることがあ るが、水素圧として0.1MPa~5MPaである。一般に 素ガス分圧が高いほど、水素化に有利とな 、この範囲以上の場合、脱水素による芳香 化がごくわずか進行するのみである。
 水素化反応は、水素ガスが存在する条件下 実施するが、水素ガスのほかに、水素化反 に不活性であるならば、任意のガスと混合 て実施しても構わない。不活性ガスの具体 として、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸 炭素などが挙げられる。また、反応条件に っては、反応に使用する溶媒がガス成分と て有意な量の分圧を有することになるが差 支えない。これらの水素化反応に不活性な スが存在する場合、分圧として0.01MPa以上、 5MPa未満がこのましい。5MPa以上の場合、反応 置が大型化してしまい、設備費を多く必要 なってしまう。

・水素化反応の実施形態
 本発明における水素化反応の実施形態は公 の任意の方法をとることができる。使用す 触媒の形状により適切な反応形態がある場 があるが、例えば、バッチ反応、セミ連続 応、連続反応方式をとることができる。連 反応形式において、プラグフロー形式(PFR) 連続流通撹拌形式(CSTR)を取ることができる また、固定床反応槽を用いることができる 積極的に混合して反応を行う場合、撹拌に り混合する方法、ループ形式にて水素化反 液を循環させて混合する方法などをとるこ ができる。
 水素化反応を行ったあとの抜き取り液は一 分割し、水素化反応に再び用いることがで る。再び用いることで、水素化にともなう 熱の局所化の回避や、水素化反応率が向上 る場合がある。
 これらの任意の反応形式において、同一、 しくは異なる2つ以上の反応形式を連結して 水素化反応を行うことができる。より高い水 素化反応率を目指す場合、固定床を用い、プ ラグフロー形式で反応させる工程を含むこと が望ましい場合がある。

 水素化触媒の使用量は、使用する水素化触 の種類、重合体濃度、反応形式などにより 触媒の使用量は異なるため限定することが 難であるが、懸濁床で実施する場合、水素 反応液100質量部あたりの触媒使用量は、通 、0.01~20質量部、好ましくは、0.05~15質量部 より好ましくは0.1~10質量部である。使用量 少ない場合、水素化反応に長時間必要とな 、また、使用量が多い場合、不均一触媒を 合する動力が多く必要になる。また、固定 を用いる場合、反応溶液あたりの触媒使用 を規定することが困難であり、任意の量を 用することができる。
 固定床で水素化反応を行う場合、公知の手 をとることができる。多管式などの縦型の 型反応器に触媒を充填し、そこにβ-ピネン 重合体溶液と水素を供給して水素化するも であり、このとき、重合体溶液と水素はと に上部から供給する方法、ともに下部から 給する方法、重合対溶液を上部から水素を 部から供給する方法などが挙げられる。
 使用した水素化触媒は、水素化反応終了後 必要に応じ重合体と分離することができる 分離は公知である任意の方法をとることが きるが、不均一系触媒を使用した場合、連 もしくはバッチ式濾過、遠心分離、静置に る沈降・デカンテーションにより分離でき 。これらの分離手法を用い触媒を分離した しても、微量の金属成分が重合体に残留し いることがある。この場合、得られるβ-ピ ン系重合体の水素化物の性能(耐候性など) 低下することがある。溶存している金属成 を除去するため、凝集沈澱法、吸着法、洗 法および水相抽出法などを用いることによ 残留する金属を分離することができる。分 により回収された触媒は、一部除去、一部 規触媒を追加するなどの手段を必要により った後に、再び水素化反応に使用すること できる。

 水素化後のβ-ピネン系重合体は、例えば 再沈澱、加熱下での溶媒除去、減圧下での 媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチーム ストリッピング)等の、重合体を溶液から単 する際の通常の操作によって、反応混合物 ら分離、取得することができる。

 本発明のβ-ピネン系重合体は、単独で使 することもできるし、ポリアミド、ポリウ タン、ポリエステル、ポリカーボネート、 リオキシメチレン樹脂、アクリル樹脂、ポ ビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコ ール共重合体、ポリオレフィン、ポリスチレ ン、スチレン系ブロック共重合体等の他の重 合体と配合した組成物として使用することも できる。組成物として使用する場合、安定剤 、滑剤、顔料、耐衝撃性改良剤、加工助剤、 補強剤、着色剤、難燃剤、耐候性改良剤、紫 外線吸収剤、酸化防止剤、防かび剤、抗菌剤 、光安定剤、耐電防止剤、シリコンオイル、 ブロッキング防止剤、離型剤、発泡剤、香料 等の各種添加剤;ガラス繊維、ポリエステル 維等の各種繊維;タルク、マイカ、モンモリ ナイト、スメクタイト、シリカ、木粉等の 填剤;各種カップリング剤等の任意成分を必 要に応じて配合することができる。

[IV]成形体
 本発明のβ-ピネン系重合体の成形体は、常 に従って得ることが可能である。成形方法 しては、射出成形法、熱プレス成形法、押 成形法、切削加工法、活性エネルギー線硬 型樹脂を用いる方法等の公知の手法が、適 に採用される。その中でも、生産性の観点 ら、射出成形法、熱プレス成形法、押出成 法が、好ましく用いられる。

・光学材料
 本発明のβ-ピネン系重合体は、対称性良く 鎖中に芳香族が多く存在するため、高い屈 率と低い複屈折とを両立させられることか 種々の光学材料に使用可能であり、その範 は特に限定されないが、耐熱性に優れ、低 水性および高透明性が要求される光学材料 好適である。光学材料としては、例えばレ ズ、非球面レンズ、フレネルレンズ、銀塩 メラ用レンズ、デジタル電子カメラ用レン 、ビデオカメラ用レンズ、プロジェクター レンズ、複写機用レンズ、携帯電話用カメ レンズ、メガネ用レンズ、青色発光ダイオ ドを使用するデジタル光ディスク装置用非 面ピックアップレンズ、ロッドレンズ、ロ ドレンズアレー、マイクロレンズ、マイク レンズアレー、各種レンズアレー、ステッ インデックス型、グラジエントインデック 型、シングルモード型、マルチコア型、偏 面保存型、側面発光型等の光ファイバー、 ファイバーコネクタ、光ファイバー用接着 、デジタル光ディスク(コンパクトディスク 、光磁気ディスク、デジタルディスク、ビデ オディスク、コンピュータディスク、導光体 、光拡散性成形体、液晶用ガラス基板代替フ ィルム、位相差フィルム、帯電防止層、反射 防止層、ハードコート層、透明導電層、アン チグレア層等の機能性を有する機能性薄膜、 フラットパネルディスプレー用反射防止フィ ルム、タッチパネル用基板、透明導電性フィ ルム、反射防止フィルム、防げんフィルム、 電子ペーパー用基板、有機エレクトロルミネ ッセンス用基板、プラズマディスプレー用前 面保護板、プラズマディスプレー用電磁波防 止板、フィールドエミッションディスプレー 用前面保護板、圧電素子を使用し特定部位の 光を前面拡散させる導光板、偏光子、検光子 等を構成するプリズム、回折格子、内視鏡、 高エネルギーレーザーを導波する内視鏡、ダ ハミラーに代表されるカメラ用ミラーもしく はハーフミラー、(自動車用ヘッドライトレ ズ、自動車用ヘッドライト用リフレクター の)車両用灯具に使用される透明材、太陽電 用前面保護板、住宅用窓ガラス、移動体(自 動車、電車、船舶、航空機、宇宙船、宇宙基 地、人工衛星等)用窓ガラス、窓ガラス用反 防止フィルム、半導体露光時の防塵フィル 、電子写真感光材用保護フィルム、紫外光 より書き込みもしくは書き換え可能な半導 (EPROM等)封止材、発光ダイオード封止材、紫 光発光ダイオード封止材、白色発光ダイオ ド封止材、SAWフィルター、光学的バンドパ フィルター、第二次高調波発生体、カー効 発生体、光スイッチ、光インターコネクシ ン、光アイソレーター、光導波路、有機エ クトロルミネッセンスを使用した面発光体 材、半導体微粒子を分散させた面発光体部 、蛍光物質を溶解または分散させた蛍光体 が挙げられる。

・導光体
 導光体は、公知の各種の形状において形成 れ得るものであって、例えば板状、ブロッ 状、ロッド状、屈曲形状、湾曲形状等の各 の形態とされ、また少なくとも片面にスク ーン印刷でドットを付けたものや、例えばV 溝のような線状パターン、半球レンズ状の凹 凸、シボパターンを導光体の表面に賦型した ものも、その対象とされる。

・光拡散性成形体
 光拡散性成形体は、上記したβ-ピネン系重 体に対して、従来と同様な光拡散剤が更に 合されて含有せしめられ、そしてその得ら た光拡散性組成物を用いて、板状、ブロッ 状等の所定の形状の成形体が成形されるこ となる。
・機能性薄膜
 β-ピネン系重合体を用いた基板の少なくと 片面に、コーティングによって形成される 能性薄膜は、特に限定されるものではない 、好ましくは帯電防止層、反射防止層、ハ ドコート層、透明導電層、アンチグレア層 の機能性を有する薄膜である。

・光学フィルム
 β-ピネン系重合体を用いた光学用フィルム 、特に偏光板保護フィルムに好適となる。 のような光学用フィルムを成形する方法は 特に制限されるものではなく、例えば、溶 流延法や溶融押出法等の、従来から公知の 種の方法を採用することが出来る。その中 も、溶剤を使用しない溶融押出法の方が、 球環境上や作業環境上、或いは製造コスト 観点から、好ましく採用される。また、位 差等の光学性能を特に向上させるためには 溶液流延法も、有利に用いられる。

・レンズシート
 レンズシートとは、シート主面の少なくと 一方に形成された1つ又は複数のレンズ形状 によって構成されるレンズ群からなるレンズ 部にて、シートに照射された光線の方向を変 化させ、集光、屈折、反射、分散等の機能を 有するものを指している。そして、そのよう なレンズシートとしては、一般に、プリズム シート、フレネルレンズシート、レンチキュ ラーレンズシート、マイクロレンズアレイシ ート等と称すものが、含まれることとなる。

・プラスチックレンズ
 プラスチックレンズとは、レンズ機能を有 るプラスチック成形体を意味し、特に限定 れるものではないが、眼鏡レンズ、カメラ ンズ、双眼鏡レンズ、顕微鏡レンズ、プロ ェクターレンズ、fθレンズ又はピックアッ レンズ等の各種レンズが、該当する。

・車両用灯具
 車両用灯具の「灯具」とは、光源とランプ バーとを少なくとも有するものとして、用 られており、また「車両」とは、二輪自動 、三輪自動車、四輪自動車、その他の自動 、鉄道車両、フォークリフトその他の産業 車両等々、広義の車両を意味するものとし 、用いられている。そして、「車両灯具」 は、こうした各種車両に装着された照明用 しくは識別用、標識用の灯具を意味し、特 限定はされないが、前照灯(ヘッドランプ) 尾灯(テールランプ)、制動灯(ストップラン )、方向指示灯(所謂ウインカー)、車幅灯、 退灯等が該当する。

・医療機材
 医療用器材としては、例えば、注射用の液 薬品容器、アンプル、プレフィルドシリン 、輸液用バッグ、固形薬品容器、点眼薬容 、点滴薬容器等の、液体又は粉体、固体の 品容器;血液検査用のサンプリング用試験管 、採血管、検体容器等のサンプル容器;メス カンシ(鉗子)、ガーゼ、コンタクトレンズ等 の医療材料等の滅菌容器;注射器等の医療器 ;ビーカー、シャーレ、フラスコ等の医療用 験器具;医療検査用プラスチックレンズ等の 光学部品;医療用輸液チューブ、配管、継ぎ 、バルブ等の配管材料;義歯床、人工心臓、 造歯根等の人工臓器やその部品等が、例示 れる。

 以上、本発明の実施形態について説明し が、本発明は上記の具体例に限定されるも ではない。また、例示した物質等は、特に 明がない限り、単独で用いても組み合わせ 用いてもよい。

 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳し 説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。

参考例1
 充分乾燥させたガラス製コック付フラスコ 充分に窒素置換した後、これに、脱水したN -ヘキサンの1100質量部と、脱水した塩化メチ ンの1100質量部と、蒸留精製したβ-ピネンの 40質量部と、脱水したトリエチルアミンの4.5 量部とを加え、-78℃の温度に冷却した。更 、-78℃で撹拌しながら、二塩化エチルアル ニウムの1.0mol/Lヘキサン溶液の70質量部を加 え、重合を開始した。10分間重合した後、メ ノールの10質量部を添加して、重合を終了 せた。その後、室温にて減圧して塩化メチ ンを除いた後、蒸留水の800質量部にクエン の20質量部を添加した水溶液を添加し、30分 拌した。水層を抜き取り、蒸留水を加えて 層が中性になるまで洗浄し、触媒を除去し 。かくして得られたメチルシクロヘキサン をメタノール/アセトン(60/30vol%)の混合溶媒 10000質量部に再沈殿後、充分に乾燥して、β -ピネン重合体(A1)の39質量部を得た。この得 れたβ-ピネン重合体(A1)の重量平均分子量は5 3,000、数平均分子量は32,000であった。

参考例2
 十分乾燥させたガラス製コック付フラスコ 、十分窒素置換した後、脱水したN-ヘキサ 184質量部、脱水した塩化メチレン210質量部 脱水したジエチルエーテル0.5質量部を加え -78℃に冷却した。さらに-78℃で撹拌しなが 、二塩化エチルアルミニウムの1.0mol/Lヘキサ ン溶液7.2質量部を加えた。さらに-78℃に保持 した状態でp-ジクミルクロライドの0.1mol/Lヘ サン溶液3.0質量部を加えたところ赤燈色に 化した。ただちに蒸留精製したβ-ピネン60質 量部を1時間かけて添加したところ次第に濃 色になり、溶液の粘度が上昇した。β-ピネ の添加終了後、メタノール30質量部を添加し て、反応を終了した。蒸留水100質量部にクエ ン酸5質量部を添加した水溶液を添加し、5分 拌した。水層を抜き取り、蒸留水を加えて 層が中性になるまで洗浄し、アルミ化合物 除去した。得られた有機層をメタノール/ア セトン(60/40vol%)の混合溶媒5000質量部に再沈後 、十分に乾燥してβ-ピネン重合体(A2)60質量部 を得た。得られたβ-ピネン重合体(A2)の重量 均分子量は116,000、数平均分子量は51,000、ガ ス転移温度は95℃であった。

実施例1
 窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器内に、 クロヘキサンの27質量部およびイソプロパ ール1質量部と、上記で得られたβ-ピネン重 体(A1)の12質量部を収容し、撹拌することに り、β-ピネン重合体(A1)を完全に溶解した。 その後、水素添加触媒として、36.6%ニッケル 持アルミナ(品番:N163A 日揮化学株式会社製) の7質量部を加え、撹拌して、充分に分散さ た後、かかる耐圧容器内を充分に水素で置 し、撹拌しながら、150℃、水素圧力3MPa で 30分反応させた後、常圧に戻した。反応後の 溶液を0.5μmのテフロン(登録商標)フィルター よりろ過して、触媒を分離除去した後、メ ノール/アセトン(60/40vol%)の混合溶媒の3000質 量部に再沈殿せしめ、その後、充分に乾燥し て、β-ピネン系重合体(H1)の11質量部を得た。 かくして得られたβ-ピネン系重合体(H1)の 1 H-NMRを測定したところ、残存するオレフィン 二重結合は6.5モル%、残存する芳香族環は6.3 モル%であった。ガラス転移温度は124℃であ た。また 1 H-NMRにおいて6~8ppmのプロトンの積分値の全プ トンの積分値に対する割合は1.4×10 -2 、また4.5~6ppmのプロトンの積分値の全プロト の積分値に対する割合は3.7×10 -3 であった。この得られたβ-ピネン系重合体(H1 )の重量平均分子量は52,000、数平均分子量は31 ,200であった。β-ピネン系重合体(H1)評価結果 表1に示す。

実施例2
 実施例1の水素化反応において、反応時間を 30分から3時間30分に変更した以外は実施例1と 同様にしてβ-ピネン系重合体(H2)を得た。β- ネン系重合体(H2)評価結果を表1に示す。

実施例3
 β-ピネン重合体(A1)に変えて、参考例3で得 れたβ-ピネン重合体(A2)を用いる以外は実施 1と同様にして、β-ピネン系重合体(H3)を得 。β-ピネン系重合体(H3)の 1 H-NMRを測定したところ、残存するオレフィン 二重結合は6.5モル%、残存する芳香族環は6.3 モル%であった。ガラス転移温度は125℃であ た。また 1 H-NMRにおいて6~8ppmのプロトンの積分値の全プ トンの積分値に対する割合は1.4×10 -2 、また4.5~6ppmのプロトンの積分値の全プロト の積分値に対する割合は3.7×10 -3 であった。この得られたβ-ピネン系重合体(H3 )の重量平均分子量は114,000、数平均分子量は4 9,300であった。β-ピネン系重合体(H3)評価結果 を表1に示す。

実施例4
 窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器内に、 クロヘキサンの103質量部と、参考例3で得ら れたβ-ピネン重合体(A2)の45質量部を収容し、 撹拌することにより、β-ピネン重合体(A2)を 全に溶解した。その後、水素添加触媒とし 、5質量%パラジウム担持カーボン(品番:E106O/W  エボニック デグサ ジャパン株式会社製) 0.5質量部を加え、撹拌して、充分に分散さ た後、かかる耐圧容器内を充分に水素で置 し、撹拌しながら、200℃、水素圧力:3MPaで、 9時間反応させた後、常圧に戻した。反応後 溶液を0.5μmのテフロン(登録商標)フィルター によりろ過して、触媒を分離除去した後、メ タノール/アセトン(60/40vol%)の混合溶媒の3000 量部に再沈殿せしめ、その後、充分に乾燥 て、β-ピネン系重合体(A3)の42質量部を得た
 窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器内に、 クロヘキサンの27質量部およびイソプロパ ール1質量部と、得られたβ-ピネン重合体(A3) の3.0質量部を収容し、撹拌することにより、 β-ピネン重合体(A3)を完全に溶解した。その 、水素添加触媒として、36.6質量%ニッケル担 持アルミナ(品番:N163A 日揮化学株式会社製) 1.8質量部を加え、撹拌して、充分に分散さ た後、かかる耐圧容器内を充分に水素で置 し、撹拌しながら、200℃、水素圧力:3MPa で 6時間反応させた後、常圧に戻した。反応後 の溶液を0.5μmのテフロン(登録商標)フィルタ によりろ過して、触媒を分離除去した後、 タノール/アセトン(60/40vol%)の混合溶媒の300 量部に再沈殿せしめ、その後、充分に乾燥 て、β-ピネン系重合体(H4)の2.7質量部を得た 。かくして得られたβ-ピネン系重合体(H4)の 1 H-NMRを測定したところ、残存するオレフィン 二重結合は0.5モル%、残存する芳香族環は3.4 モル%であった。ガラス転移温度は129℃であ た。また 1 H-NMRにおいて6~8ppmのプロトンの積分値の全プ トンの積分値に対する割合は7.7×10 -3 、また4.5~6ppmのプロトンの積分値の全プロト の積分値に対する割合は2.7×10 -4 であった。この得られたβ-ピネン系重合体(H4 )の重量平均分子量は100,000、数平均分子量は4 3,700であった。β-ピネン系重合体(H4)評価結果 を表1に示す。

比較例1
 窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器内に、 クロヘキサンの127質量部と、上記で得られ β-ピネン重合体(A1)の25質量部を収容し、撹 することにより、β-ピネン重合体(A1)を完全 に溶解した。その後、水素添加触媒として、 5%パラジウム担持アルミナ粉末(エヌ・イーケ ムキャット株式会社製)の7.5質量部を加え、 拌して、充分に分散させた後、かかる耐圧 器内を充分に水素で置換し、撹拌しながら 160℃、水素圧力:6MPa で、25時間反応させた 、常圧に戻した。反応後の溶液を0.5μmのテ ロン(登録商標)フィルターによりろ過して、 触媒を分離除去した後、メタノール/アセト (60/40vol%)の混合溶媒の3000質量部に再沈殿せ め、その後、充分に乾燥して、β-ピネン系 合体(B1)の24質量部を得た。かくして得られ β-ピネン系重合体(B1)の 1 H-NMRを測定したところ、残存するオレフィン 二重結合は1.7モル%、残存する芳香族環は0.4 モル%であった。ガラス転移温度は129℃であ た。また 1 H-NMRにおいて6~8ppmのプロトンの積分値の全プ トンの積分値に対する割合は9.1×10 -4 、また4.5~6ppmのプロトンの積分値の全プロト の積分値に対する割合は9.7×10 -4 であった。この得られたβ-ピネン系重合体(B1 )の重量平均分子量は51,900、数平均分子量は31 ,600であった。β-ピネン系重合体(B1)評価結果 表1に示す。

比較例2
 特開2002-121231の実施例12と同様にしてインデ ン/β-ピネン(質量比60/40)共重合体(B2)を得た。 得られたインデン/β-ピネン共重合体(B2)の重 平均分子量は64,000、数平均分子量は24,300で った。インデン/β-ピネン共重合体(B2)の評 結果を表1に示す。

比較例3
 窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器内に、 クロヘキサンの127質量部と、参考例3で得ら れたβ-ピネン重合体(A2)の25質量部を収容し、 撹拌することにより、β-ピネン重合体(A2)を 全に溶解した。その後、水素添加触媒とし 、5%パラジウム担持カーボン(品番:E1002NN/W  ボニック デグサ ジャパン株式会社製)の7.5 質量部を加え、撹拌して、充分に分散させた 後、かかる耐圧容器内を充分に水素で置換し 、撹拌しながら、130℃、水素圧力:15MPa で、2 5時間反応させた後、常圧に戻した。反応後 溶液を0.5μmのテフロン(登録商標)フィルター によりろ過して、触媒を分離除去した後、メ タノール/アセトン(60/40vol%)の混合溶媒の3000 量部に再沈殿せしめ、その後、充分に乾燥 て、β-ピネン系重合体(B3)の24質量部を得た かくして得られたβ-ピネン系重合体(B3)の 1 H-NMRを測定したところ、残存するオレフィン 二重結合は0.023モル%、残存する芳香族環は0 .0027モル%であった。ガラス転移温度は132℃で あった。また 1 H-NMRにおいて6~8ppmのプロトンの積分値の全プ トンの積分値に対する割合は5.9×10 -6 、また4.5~6ppmのプロトンの積分値の全プロト の積分値に対する割合は1.3×10 -5 であった。この得られたβ-ピネン系重合体(B3 )の重量平均分子量は103,400、数平均分子量は4 5,400であった。β-ピネン系重合体(B3)評価結果 を表1に示す。β-ピネン系重合体(B3)評価結果 表1に示す。

参考例3 [水素添加触媒の調製]
 トリイソブチルアルミニウム(東ソー・ファ インケム株式会社製)をあらかじめシクロ
ヘキサンに20%の濃度で溶解しておいた溶液を 、窒素置換したガラス製ナスフラスコに
窒素気流下で29.2ml添加し、0℃に冷却した。 こに、2-エチルヘキサン酸ニッ
ケル(キシダ化学株式会社製)のトルエン溶液( ニッケル6%)を窒素気流下で7.4m
l添加し、均一系水素添加触媒を調製した。

比較例4
 窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器内に、 クロヘキサンの470質量部と、参考例3で得ら れたβ-ピネン重合体(A2)の30質量部を収容し、 撹拌することにより、β-ピネン重合体(A2)を 全に溶解した。耐圧容器内を十分に水素で 換し、室温下、1000rpmで撹拌しながら、参考 4で調製した水素添加触媒を7質量部添加し 。ただちに、水素で1MPaまで加圧し、50℃ま 昇温した。50℃に昇温後、さらに水素添加触 媒を7質量部添加し、120℃まで昇温した。120 で9時間反応させた後、常圧・室温に戻した 蒸留水100質量部にクエン酸8.1質量部と30%過 化水素水溶液4.8質量部を添加した水溶液を 圧容器に添加し、30分撹拌した。水層を抜 取り、蒸留水を加えて水層が中性になるま 洗浄し、触媒を除去した。得られたシクロ キサン層をメタノール/アセトン(60/40vol%)の 合溶媒の6000質量部に再沈殿せしめ、その後 充分に乾燥して、β-ピネン系重合体(B4)の29 量部を得た。かくして得られたβ-ピネン系 合体(B4)の 1 H-NMRを測定したところ、残存するオレフィン 二重結合は50.0モル%、残存する芳香族環は0. 4モル%であった。ガラス転移温度は115℃であ た。また 1 H-NMRにおいて6~8ppmのプロトンの積分値の全プ トンの積分値に対する割合は9.4×10 -4 、また4.5~6ppmのプロトンの積分値の全プロト の積分値に対する割合は2.9×10 -2 であった。この得られたβ-ピネン系重合体(B4 )の重量平均分子量は113,000、数平均分子量は5 0,800であった。β-ピネン系重合体(B4)評価結果 を表1に示す。

 なお、上記した各工程で得られる材料に いて、また下記の工程で製造される材料に いて、その物性測定は、以下の如くして行 た。

○成形
 得られたβ-ピネン系重合体は、プレス成形 しくは射出成形にて試験片を作製した。プ ス成形は180℃にて50mm×50mm×3mmtサイズの成形 体を得た。射出成形は、シリンダ温度240℃、 金型温度60℃、金型は50mm×50mm×3mmtを用いて実 施した。
○分子量
 数平均分子量及び重量平均分子量は、何れ 、ゲル・パーミエーション・クロマトグラ ィー(GPC)による測定に基づき、ポリスチレ 換算値で求められたものである。ここでは GPC装置として、東ソー株式会社製のHLC-8020( 番)を用い、カラムとして、東ソー株式会社 のTSKgel・GMH-Mの2本とG2000Hの1本とを直列に繋 いだものを用いた。
○残存二重結合率
 JEOL製 400MHzマグネットの核磁気共鳴装置を いて室温にて1000回積算にて測定した。得ら れた 1 H-NMRスペクトル(テトラメチルシラン(TMS)のプ トンを0ppmとする)。4.5~6ppmの積分値をβ-ピネ ン由来のオレフィン性二重結合(1H)とし、6~8pp mの積分値を芳香族環(4H)とし、残存二重結合 および芳香族環生成率を算出した。芳香族 生成率を全単量体単位数に対するモル%で算 出した。二重結合水素添加率は芳香族環生成 単位を除いた全単量体単位数に対するモル% 算出した。
○ガラス転移温度(Tg)
 充分に乾燥して、溶媒を除去したサンプル 用いて、示差走査熱量測定法(DSC)により測 した。ここでは、測定装置としては、メト ー・トレド株式会社製のDSC30(品番)を用いた
○全光線透過率
 株式会社村上色彩研究所製のHR-100(品番)を いて、JIS-K-7361-1に準拠して、測定した。
○屈折率(n D )
 株式会社アタゴ製のDR-M2(品番)を用いて、JIS -K-7142に準拠して、25℃で測定した。

○光弾性係数
 プレス成形により作成した200μmのフィルム 、Tgよりも20℃低い温度で、一晩アニールし た後、Tgよりも20℃高い温度で、長軸方向に っ張り応力をかけ、その際のレターデーシ ンを、エリプソメーターM220(日本分光株式会 社製)で測定し、応力に対するレターデーシ ンの変化量から、光弾性係数Kを算出した。
   ○:K ≦ 2.0×10 -10  cm 2 /dyn  良好
   ×:2.0×10 -10  cm 2 /dyn < K  不良

○耐光性試験
 ASTM-G53に準じて、100時間の促進暴露試験を い、YI(イエロー・インデックス)の試験前と 験後における黄変度(δYI)を測定した。ここ は、紫外線曝露試験機(株式会社東洋精機製 作所製ATLAS-UVCON)を用いた。YIの測定は、JIS-K-7 373に準じて行った。そして、以下の判定基準 に従って、評価した。
 δYI=(紫外線暴露100時間後のYI)-(紫外線暴露 のYI)
 ○:δYI ≦ 10  長期の耐光性が良好
 ×:10 < δYI  長期の耐光性が不良

 実施例の結果からいずれもβ-ピネン単位を6 0質量%以上含有した重合体であって、β-ピネ 由来の6員環のうち1モル%以上が芳香族性6員 環であるβ-ピネン系重合体であるため、屈折 率が高く、全光線透過率および光弾性係数お よび耐光性のバランスが良いことがわかる。
 実施例および比較例1、比較例3から、芳香 環が少ないと屈折率が低くなることがわか 。屈折率が低いとレンズに用いた場合レン が厚くなり、β-ピネン系重合体の使用量が くなるだけでなく、レンズを組み込んだ製 自体が大きくなってしまう。
 比較例2から共重合性単量体との共重合によ りβ-ピネン由来以外の芳香族環が多いと耐熱 性や屈折率は良好であるものの、全光線透過 率および光弾性係数が悪く、光学性能が劣る ことがわかる。また、オレフィン性二重結合 の水素添加率が低いと耐光性が低いことがわ かる。
 実施例および比較例5からオレフィン性二重 結合が90モル%以上水素化し、かつβ-ピネン由 来の6員環のうち1モル%以上を芳香族性6員環 するためには水素化触媒として担持金属触 (不均一触媒)が好ましいことがわかる。




 
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