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Patent Searching and Data


Title:
PLASMA DISPLAY PANEL AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116263
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a plasma display panel (1) wherein a plurality of pairs of display electrodes (6) and a dielectric layer (8) are formed on a front glass substrate (3). The compression stress in a surface of the front glass substrate (3), on which the dielectric layer (8) is not formed, is set within the range of 0.8-2.4 MPa. Consequently, the plasma display panel (1) has sufficient glass substrate strength, and thus hardly suffers from panel cracks.

Inventors:
AKIYAMA KOJI
NISHINAKA MASAKI
AOTO KOJI
Application Number:
PCT/JP2009/001168
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
AKIYAMA KOJI
NISHINAKA MASAKI
AOTO KOJI
International Classes:
H01J11/02; H01J9/02; H01J9/26; H01J11/22; H01J11/24; H01J11/34
Foreign References:
JP2001180957A2001-07-03
JP2001261355A2001-09-26
JP2003131580A2003-05-09
Other References:
See also references of EP 2180496A4
Attorney, Agent or Firm:
IWAHASHI, Fumio et al. (JP)
Fumio Iwahashi (JP)
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Claims:
前面ガラス基板上に複数対の表示電極と誘電体層を設けたプラズマディスプレイパネルであって、
前記前面ガラス基板の前記誘電体層を設けた面と反対側の面の応力が0.8MPa~2.4MPaの範囲の圧縮応力であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
前記前面ガラス基板の厚さが2.8mm±0.5mmであって、前記圧縮応力が1.3MPa~2.4MPaの範囲であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
前記前面ガラス基板の厚さが1.8mm±0.5mmであって、前記圧縮応力が0.8MPa~1.7MPaの範囲であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
少なくとも表示電極と誘電体層とが形成された前面ガラス基板と、背面ガラス基板とを対向配置して形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記表示電極の形成工程、前記誘電体層の形成工程、および前記前面ガラス基板と前記背面ガラス基板とを対向配置する工程のいずれにおいても、前記前面ガラス基板を前記前面ガラス基板の歪点温度より100℃以上低い熱処理温度で処理することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
前記熱処理温度が470℃以下であることを特徴とする請求項4記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
前記熱処理温度が410℃以下であることを特徴とする請求項4記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
Description:
プラズマディスプレイパネルお びその製造方法

 本発明は、表示デバイスなどに用いるプ ズマディスプレイパネルおよびその製造方 に関する。

 プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと 呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能 あることから、100インチクラスのテレビな が製品化されている。近年、PDPは従来のNTSC 式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフ ィニションテレビへの適用が進んでいる。

 PDPは、基本的には、前面板と背面板とで 成されている。前面板は、フロート法によ 硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と その一方の主面上に形成されたストライプ の透明電極とバス電極とで構成される表示 極と、この表示電極を覆ってコンデンサと ての働きをする誘電体層と、この誘電体層 に形成された酸化マグネシウム(MgO)からな 保護層とで構成されている。

 一方、背面板は、ガラス基板と、その一 の主面上に形成されたストライプ状のアド ス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体 と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、 隔壁間に形成された赤色、緑色および青色 れぞれに発光する蛍光体層とで構成されて る。

 前面板と背面板とはその電極形成面側を 向させて気密封着され、隔壁によって仕切 れた放電空間にネオン(Ne)-キセノン(Xe)の放 ガスが55kPa~80kPaの圧力で封入されている。PD Pは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印 することによって放電させ、その放電によ て発生した紫外線が各色蛍光体層を励起し 赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画 表示を実現している。

 このようなプラズマディスプレイ装置に いては、ガラスが主材料のパネルをアルミ ウムなどの金属製シャーシ部材の前面側に 持させ、そのシャーシ部材の背面側にパネ を発光させるための駆動回路を構成する回 基板を配置することによりモジュールを構 している例が開示されている(例えば、特許 文献1参照)。

 ところで、PDPなどのフラットパネルディス レイでは大画面でありながら、薄型・軽量 が求められるため、従来技術では基板とし 用いられるガラス基板の強度が不足し、製 化後の強度試験などにおいてパネル割れが 生するなどの課題があった。

特開2003-131580号公報

 本発明のPDPは、前面ガラス基板上に複数 の表示電極と誘電体層を設けたPDPであって 前面ガラス基板の誘電体層を設けた面と反 側の面の応力が0.8MPa~2.4MPaの範囲の圧縮応力 であることを特徴とする。

 また、本発明のPDPの製造方法は、少なく も表示電極と誘電体層とが形成された前面 ラス基板と、背面ガラス基板とを対向配置 て形成するPDPの製造方法であって、表示電 の形成工程、誘電体層の形成工程、および 面ガラス基板と背面ガラス基板とを対向配 する工程のいずれにおいても、前面ガラス 板を前面ガラス基板の歪点温度より100℃以 低い熱処理温度で処理することを特徴とす 。

 本発明によれば、ガラス基板の強度を確 し、パネル割れなどを生じにくいPDPを提供 ることができる。

図1は、本発明の実施の形態におけるPDP の構造を示す斜視図である。 図2は、同PDPの前面板の構成を示す断面 図である。 図3は、ガラス基板の断面に生じている 応力を示す説明図である。

符号の説明

 1  PDP
 2  前面板
 3  前面ガラス基板
 4  走査電極
 4a,5a  透明電極
 4b,5b  金属バス電極
 5  維持電極
 6  表示電極
 7  ブラックストライプ(遮光層)
 8  誘電体層
 9  保護層
 10  背面板
 11  背面ガラス基板
 12  アドレス電極
 13  下地誘電体層
 14  隔壁
 15  蛍光体層
 16  放電空間
 20  圧縮応力層
 21  圧縮応力
 30  引張応力層
 31  引張応力

 以下、本発明の実施の形態におけるPDPに いて図面を用いて説明する。

 (実施の形態)
 図1は本発明の実施の形態におけるPDPの構造 を示す斜視図である。PDPの基本構造は、一般 的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示 ように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる 前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背 面板10とが対向して配置され、その外周部を ラスフリットなどからなる封着材によって 密封着している。封着されたPDP1内部の放電 空間16には、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)な の放電ガスが55kPa~80kPaの圧力で封入されてい る。

 前面板2の前面ガラス基板3上には、走査 極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表 示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互 に平行にそれぞれ複数列配置されている。 面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7と 覆うようにコンデンサとしての働きをする 電体層8が形成され、さらにその表面に酸化 グネシウム(MgO)などからなる保護層9が形成 れている。

 また、背面板10の背面ガラス基板11上には 、前面板2の走査電極4および維持電極5と直交 する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が いに平行に配置され、これを下地誘電体層1 3が被覆している。さらに、アドレス電極12間 の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る 定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14 の溝にアドレス電極12毎に、紫外線によっ 赤色、青色および緑色にそれぞれ発光する 光体層15が順次塗布して形成されている。走 査電極4および維持電極5とアドレス電極12と 交差する位置に放電セルが形成され、表示 極6方向に並んだ赤色、青色、緑色の蛍光体 15を有する放電セルがカラー表示のための 素になる。

 図2は、本発明の実施の形態におけるPDPの前 面板2の断面図である。図2は図1と上下反転さ せて示している。図2に示すように、フロー 法などにより製造された前面ガラス基板3に 走査電極4と維持電極5よりなる表示電極6と ラックストライプ7がパターン形成されてい る。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジ ムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO 2 )などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a 5a上に形成された金属バス電極4b、5bとによ 構成されている。金属バス電極4b、5bは透明 極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目的 として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする 電性材料によって形成されている。

 誘電体層8は、前面ガラス基板3上に形成 れたこれらの透明電極4a、5aと金属バス電極4 b、5bとブラックストライプ7とを覆って設け れている。そして誘電体層8上に保護層9が形 成されている。

 次に、PDPのガラス基板の基板強度につい 説明する。

 先に述べたように、PDPは大画面・高精細 が進むと同時に軽量化・薄型化が求められ いる。このため、製品としてのPDPの強度を 状程度に維持するためには、前面ガラス基 3、背面ガラス基板11のさらなる強度の向上 求められる。

 また、PDPの製品出荷時の梱包において、 般的に緩衝材はPDP周辺部のみに設けて画像 示部となる位置には設けていない。そのた 、製品輸送時に前面ガラス基板3側を下にし て落下させて衝撃を与えた場合、前面ガラス 基板3には製品全体の自重を含めた力が加わ 、前面ガラス基板3が凸状に撓んでパネル割 が生じる。

 一方、表示面と反対側の背面ガラス基板1 1側を下にして落下させる場合には、下面と る背面ガラス基板11には駆動回路基板などが 搭載される放熱を兼ねた補強板が貼り付けら れており、背面ガラス基板11が割れるパネル れとなる確率は小さくなる。また、この場 には、前面ガラス基板3は凹状となり、凸状 に変形する場合よりもパネル割れが生じにく い。すなわち、落下などの衝撃に対しては、 前面ガラス基板3の画像表示面側の状態がパ ル割れに大きく影響する。

 ところで、PDPのガラス基板は一般的にフ ート法によって形成されている。フロート では、調合したガラス原材料を溶解槽にお て1600℃程度で溶融して脱泡をさせた後、錫 を溶融させたフロートバス上に浮かべて延伸 することで所望の幅、厚さを有する平坦な板 状に成型する。その後、板状に成形されたガ ラスは約600℃程度から約200℃程度まで急冷却 される。このため、ガラス基板の最表面には 歪および応力が残留することになる。

 図3はフロート法によって形成されたガラ ス基板に生じている応力を模式的に示す図で あり、ガラス基板の断面で示している。図3 示すように、ガラス基板には、その断面方 で、表面では残留応力として圧縮応力21が生 じている圧縮応力層20が形成され、また内部 は残留応力として引張応力31が生じている 張応力層30が形成されている。ただし、これ らの圧縮応力層20と引張応力層30とが均衡し 状態で存在しており、ガラス基板の形状と ては平板を維持している。

 これに対して、先に述べたように、前面 ラス基板3側を下面とした輸送時の衝撃など では、画像表示面を凸状に撓ませる外力が作 用する。したがってフロート法によって形成 されたガラス基板は、基板最表面に圧縮応力 が残留している状態であるため、このような 衝撃の外力に対して比較的強いことになる。

 ところが発明者らは、このようなガラス 板の強度がPDPの製造工程を経ることによっ 、変化することを見出した。具体的には表 電極形成後、誘電体層形成後、保護層形成 、封着排気後の各工程後に前面ガラス基板3 の残留応力を測定したところ、それぞれの工 程を経ることによって応力は著しく低下する こととなった。

 これは表示電極や誘電体層の焼成工程、 らには、封着・排気工程などの熱プロセス 影響しているからである。つまり、これら プロセスにおいて、ガラス基板の温度が400 ~550℃程度に昇温され、その後、室温程度ま で降温される。その降温時にガラス基板全体 がゆっくりと徐冷されるため、ガラス基板に 生じていた残留圧縮応力が緩和すると考えら れる。そしてガラス基板の温度が昇温・降温 を繰り返すことによって、残留していた圧縮 応力がさらに低下すると考えられる。

 また、この圧縮応力の低下に加え、PDP1の 生産工程において、ガラス基板表面には、焼 成工程で使用するセッターとの接触や、各工 程間の搬送ローラーとの接触等によって傷( イクロクラック)が入り易くなる。この傷が ることによって、さらにガラス基板の強度 低下することになる。

 このような結果として、従来技術によっ 製造されたPDP1の前面ガラス基板3には、残 していた圧縮応力の低下が発生して、輸送 の衝撃などによる画像表示面を凸状にする みがさらに生じ易くなり、パネル割れが発 し易くなる。これらは製品梱包落下試験に る強度試験などの結果からも同様の傾向が 認されている。

 これに対して本発明の実施の形態では、 面ガラス基板3の表面に残留応力をある一定 範囲で存在させるようにして、衝撃に対して パネル割れが生じにくいPDP1を実現している

 また、発明者等はこの衝撃に対する必要 残留応力値が、基板の厚みやガラス組成に って大きく異なることを見出した。特に、 を含まない成分によって構成したガラス基 を用いた場合、従来技術と同様の残留応力 あっても、落下試験強度は著しく低下し、 来通りの基板強度の維持や、工場生産性の 保が困難になる。このような結果から、本 明の実施の形態では、PDP1の前面ガラス基板 3の種類に応じて、基板の残留応力を次の範 としている。

 前面ガラス基板3の誘電体層8を設けた面 反対側の面の応力を0.8MPa~2.4MPaの範囲の圧縮 力としている。特に前面ガラス基板の厚さ 2.8mm±0.5mmの場合には、その圧縮応力を1.3MPa~ 2.4MPaの範囲とすることが望ましい。また、前 面ガラス基板の厚さが1.8mm±0.5mmの場合には、 その圧縮応力を0.8MPa~1.7MPaの範囲とすること 望ましい。

 一方、先述したフロート法によって形成 れたPDP製造工程を経ていない初期状態のガ ス基板においては、基板の厚さが2.8mm±0.5mm あっては1.3MPa~2.4MPaの残留応力を有し、基板 の厚さが1.8mm±0.5mmであっては0.8MPa~1.7MPaの残 応力を有している。

 したがって、発明者等の検討によれば、 れら初期状態での残留応力を維持すること よって、製品梱包落下試験などにおいても ネル割れなどのない良好な結果を得ること できる。そのため、輸送時の衝撃に対して ガラス割れが生じにくいPDPを製造すること でき、基板強度の維持、生産性の確保が可 となる。

 なお、本発明の実施の形態においてガラ 基板の残留応力の測定は、偏向透過光の位 角を測定することにより行った。測定装置 してはポーラリメーター(神港精機株式会社 製 SP-II型)を使用した。この応力測定装置で 原理上、圧縮応力と引張応力とで偏向透過 の見える色が異なる特性を有するため、圧 応力および引張応力いずれかを判断するこ が可能である。

 また、残留応力の測定箇所は、前面ガラ 基板3の画像表示面つまり誘電体層などを形 成していない側の面について行っている。こ れは先に述べた製品梱包での落下時の衝撃な どによるパネル割れが、画像表示面側を起点 としていることを考慮したためである。また 、この箇所での測定値は、後述する製品梱包 落下試験の結果と明確な関係が得られている 。

 次に、本発明の実施の形態におけるPDPの 造方法について説明する。

 先に述べたように、従来技術においては PDP1の各部位を形成する際の焼成工程や乾燥 工程などの熱プロセスによって、ガラス基板 に生じている応力が変化する。そこで本発明 の実施の形態では、ガラス基板の残留する応 力を一定範囲にするため、PDPの各構成要素の 形成を従来の製造方法よりも低温の熱プロセ スで行うようにしている。

 発明者らが検討した結果、ガラス基板へ 残留応力を前述の範囲とするためには、ガ ス基板の歪点温度から100℃以上低い温度の 度範囲で、PDP1を製造する必要があることが 判明した。つまりこの温度を超えた熱プロセ スを前面ガラス基板3が受けた場合、初期状 のガラス基板に残留している圧縮応力が緩 され、前述の残留応力範囲から外れる。そ 結果、輸送時の衝撃などによってガラス割 が発生し易くなることが判った。

 本発明の実施の形態においては、前面ガ ス基板3として、旭硝子株式会社製PD200およ ソーダライムガラスASを使用した。PD200では 歪点が約570℃であるため、前面ガラス基板3 表面の温度が470℃以下の温度範囲となる熱 ロセスでPDP1を製造した。一方、ソーダライ ガラスASでは歪点が約510℃であるため、前 ガラス基板3の表面の温度が410℃以下の温度 囲となる熱プロセスでPDP1を製造した。これ によって、前面ガラス基板3の表面において 、ガラス基板がフロート法によって製造さ た初期状態の残留応力を維持したままPDP1を 造することができる。

 以下、本発明の実施の形態におけるPDPの 造方法の詳細について説明する。ここでは 面ガラス基板3として上記ソーダライムガラ スASを使用し、前面ガラス基板3の温度が410℃ 以下の温度範囲となる熱プロセスによってPDP 1を製造する方法について記載する。なお、 面ガラス基板3としてPD200を使用し、前面ガ ス基板3の温度が470℃以下の温度範囲とする 造方法によっても本発明の効果が得られる

 また本発明の実施の形態においては、前 ガラス基板3の温度の測定に際しては、高温 での測定を考慮して、ガラス基板表面に接触 させるKタイプの熱電対を用いた。この場合 、測定誤差は±5℃程度である。

 まず、初期状態の前面ガラス基板3上に、 走査電極4および維持電極5と遮光層7とを形成 する。透明電極4a、5aはスパッタ法などの薄 プロセスを用いて形成し、フォトリソグラ ィ法などによって所望の形状にパターニン する。

 ここで、金属バス電極4b、5bの形成方法に ついて詳しく説明する。従来技術においては 、感光性成分、ガラス成分および導電性成分 などを含むペーストをスクリーン印刷法など によって塗布し、フォトリソグラフィ法など によってパターニングした後、形状維持を目 的として含有しているガラス成分のガラス化 のため、560℃~600℃で焼成する手法が一般的 ある。しかしながら、このような方法では 上述したようにガラス基板に残留している 縮応力が減少するため、本発明の効果が得 れない。

 そこで、本発明の実施の形態においては 上述した焼成での焼成温度をガラス基板の 点温度より100℃低い温度以下とするために 以下の製造方法を用いている。

 すなわち、金属バス電極4b、5bを形成する 材料として微細配線用金属ペーストを用いて いる。このペーストは、数ナノメートルサイ ズの銀(Ag)粒子(以下、金属ナノ粒子と呼ぶ)を 室温で分散剤によって分散させたものである (以下、ナノAgペーストと呼ぶ)。このナノAgペ ーストは、加熱によって分散剤が除去される とともに、金属ナノ粒子が粒子効果によって 焼結して導電性を有した膜を形成することが できるものである。

 本発明の実施の形態では、ナノAgペース としてハリマ化成株式会社製のペーストNPS しくはNPS-HTBを用いた。これらのナノAgペー トをあらかじめパターニングされたスクリ ンを使用し、スクリーン印刷法によって基 上にパターン塗布を行う。そして、ペース NPSの場合には、乾燥焼成工程として210℃~230 の熱処理を60分行う。一方、ペーストNPS-HTB 用いた場合には、200℃~240℃で10分間の乾燥 程の後、300℃~350℃で30分~60分の焼成工程を い形成している。

 なお、上記のナノAgペーストを用いる以 にも、スパッタ法などの真空薄膜形成プロ スによって、金属単層膜またはクロム/銅/ク ロム、クロム/アルミニウム/クロムなどの金 多層膜を形成しても良い。ただし、この場 には、ガラス基板の温度を410℃以下とする 要がある。そして、このような薄膜形成後 レジスト層を形成してフォトリソグラフィ によってパターン形成を行う。

 以上の、ナノAgペーストを用いる方法、 るいは、真空薄膜形成を用いる方法のいず かを用いることによって、金属バス電極4b、 5bを形成すれば前面ガラス基板3に残留する圧 縮応力をガラス基板が製造された初期状態の 値に維持することができる。

 また、遮光層7も同様に、黒色顔料を含む ペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔 料をガラス基板の全面に形成した後、フォト リソグラフィ法を用いてパターニングし、焼 成することにより形成する。この場合も前面 ガラス基板3の温度が410℃以下となるように る必要がある。

 次に誘電体層8について説明する。誘電体 層8は、まず走査電極4、維持電極5および遮光 層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体 ーストをスクリーン印刷法、ダイコート法 どにより塗布して誘電体ペースト層を形成 る。その後、所定の時間放置することによ て塗布した誘電体ペースト層表面がレベリ グされて平坦な表面になる。

 従来技術においては、誘電体ペーストは ラス粉末などの誘電体層材料、バインダお び溶剤を含む塗料である。そして上記工程 後、このガラス粉末をガラス化するために 誘電体層材料の軟化点温度付近である550℃~ 600℃によって焼成する。しかしこの技術では ガラス基板に残留する圧縮応力が減少するた め、本発明の効果が得られない。

 これに対して本実施の形態においては、 ロキサン結合をもつオリゴマーからなる樹 バインダと、メチルエチルケトンあるいは ソプロピルアルコールなどの溶剤との混合 に、シリカ粒子を50重量%~60重量%程度分散し て調整したペーストを用いた。ここで、樹脂 バインダとしては、JSR株式会社のグラスカを 使用し、シリカ粒子としては日産化学工業株 式会社のIPA-STを使用した。

 このペーストを、走査電極4、維持電極5 よび遮光層7を覆うように前面ガラス基板3上 にダイコート法によって塗布し、100℃で60分 燥させた後、250℃~350℃で10分~30分間焼成す 。本発明の実施の形態では、焼成後の誘電 層8の厚みを12μm~15μm程度とした。

 また本発明の実施の形態では、ゾルゲル法 用いて誘電体層8の形成を行うことも可能で ある。ゾルゲル法とは、金属アルコキシドな どの粒子がコロイド状に分散したゾルを、加 水分解・重縮合反応により流動性を失ったゲ ルとし、これを加熱して誘電体層8を形成す 方法である。ここでは、実質的に鉛成分を まない誘電体層8とするために、原材料とし はテトラエトキシシラン(TEOS)によって酸化 素(SiO 2 )膜を形成する。

 また、上述のゾルゲル法以外に、プラズマC VD法などによっても、テトラエトキシシラン( TEOS)を原材料として、酸化珪素(SiO 2 )膜を形成することができる。この場合も、 面ガラス基板3の温度が410℃以下となるよう することが必要がある。

 次に保護層9の形成方法について説明する 。保護層9を形成する方法としては、スクリ ン印刷法、スパッタ法、電子ビーム蒸着法 イオンプレーティング法、有機金属原料を いた熱CVD(化学的気相成長法)などがある。現 在では蒸着源のマグネシウム(Mg)を主成分と る金属酸化物のペレットに、電子ビームを 射して加熱蒸発させ、酸素雰囲気中でマグ シウム(Mg)を主成分とする金属酸化物である 化マフネシウム(MgO)薄膜を形成させる電子 ーム蒸着法が最も広く用いられている。本 明の実施の形態では、電子ビーム蒸着法に り保護層9を形成するが、その際に、ガラス 板の基板温度を270℃~350℃としている。なお 基板温度は酸化マグネシウム(MgO)の膜成長、 素雰囲気などによって適宜調整し、前面ガ ス基板3の温度が410℃以下となるようにして いる。このような方法によって、保護層9を 成することによってガラス基板に残留する 力を維持することができる。

 なお、保護層9の主成分である酸化マグネ シウム(MgO)は、水分、炭酸水素系、炭酸系等 不純物ガスの吸着性が高い。このため保護 9を形成した後に、これら不純物ガスを保護 層9から脱離させるための焼成工程を行う場 がある。しかしながら、この焼成工程にお ても、前面ガラス基板3の温度が410℃以下と る温度範囲で行う必要がある。

 以上のような工程によって前面ガラス基 3上に、所定の構成物である走査電極4、維 電極5、遮光層7、誘電体層8および保護層9が 成され、前面ガラス基板3の残留応力を初期 状態に維持した前面板2を完成させることが きる。

 一方、背面板10は次のようにして形成す 。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材料 含むペーストをスクリーン印刷する方法や 金属膜を全面に形成した後、フォトリソグ フィ法を用いてパターニングする方法など よりアドレス電極12用の構成物となる材料層 を形成し、それを所望の温度で焼成すること によりアドレス電極12を形成する。

 次に、アドレス電極12が形成された背面 ラス基板11上にダイコート法などによりアド レス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗 して誘電体ペースト層を形成する。その後 誘電体ペースト層を焼成することにより下 誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペー トはガラス粉末などの誘電体材料とバイン および溶剤を含んだ塗料である。

 そして、下地誘電体層13上に隔壁材料を む隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形 にパターニングすることにより、隔壁材料 を形成した後、焼成することにより隔壁14を 形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布 た隔壁形成用ペーストをパターニングする 法としては、フォトリソグラフィ法やサン ブラスト法を用いることができる。その後 隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および 隔壁14の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペー トを塗布し、焼成することにより蛍光体層1 5が形成される。以上の工程により、背面ガ ス基板11上に所定の構成部材を有する背面板 10が完成する。

 このようにして所定の構成部材を備えた 面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電 極12とが直交するように対向配置して、その 囲を封着し、放電空間16内から大気を排気 た後に、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)などを含む 放電ガスを封入することによりPDP1が完成す 。

 この封着と排気の工程は以下のように行 れる。封着前に前面板2もしくは背面板10の 囲の所定位置に封着材を塗布し、封着材を 定時間乾燥させる。その後、前面板2の表示 電極6と背面板10のアドレス電極12とが交差す ように前面板2と背面板10とを対向配置させ 固定治具などによって固定する。

 従来技術においては、封着材として、低 点の結晶化フリットガラスと所定のフィラ を混合して有機溶剤で混練したペースト状 封着材などが用いられる。そして460℃~550℃ 程度で焼成して封着材を固化する。しかしな がら、この技術ではガラス基板に残留する圧 縮応力が減少するため、本発明の効果が得ら れない。

 これに対して、本発明の実施の形態では 封着材として、UV硬化型の材料を用いる。 れによって従来技術では行えない低温での 着・排気工程を実現することができ、ガラ 基板に残留する応力を維持することができ 。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型シー ル剤TU7113を封着材として使用した。これらを ペースト状にし、ディスペンサーを備えた塗 布装置などを用いて封着材を塗布する。

 その後、封着材を圧着するように前面板2 と背面板10とを仮固定し、その封着材部分にU V照射をし、150℃にて30分昇温することによっ て封着材を硬化する。これによって封着工程 が完了する。

 次にPDP1内のガスを排気する。PDP1内に物 的な吸着をしているガスの脱離を促すため 200℃程度で60分程度に昇温維持する。その後 、ネオン(Ne)やキセノン(Xe)などを含む放電ガ を所定の圧力(例えば、Ne-Xe混合ガスの場合 約530hPa~800hPaの圧力)で放電空間16へ封入する 。最後に排気管などの部分を気密封止して排 気工程は完了する。

 以上のように本発明の実施の形態におい は、PDP1の製造に際し、表示電極6の形成工 、誘電体層8の形成工程、および前面板2と背 面板10とを対向配置して形成する工程のいず においても、少なくとも、前面板2を構成す る前面ガラス基板3の温度が、前面ガラス基 3の歪点温度より100℃以上低い温度で行われ 。また、このとき、ガラス基板の種類によ ては470℃以下の温度であってもよく、410℃ 下であってもよい。

 この結果、前面板2の前面ガラス基板3の 電体層8を設けていない側の面、すなわち表 側の面での残留応力を、ガラス基板が製造 れた初期状態の残留応力である0.8MPa~2.4MPaの 範囲とすることができる。さらに前面ガラス 基板3の厚さが2.8mm±0.5mmにあっては、その残 応力が1.3MPa~2.4MPaの範囲であってもよく、前 ガラス基板3の厚さが1.8mm±0.5mmにあっては、 その残留応力が0.8MPa~1.7MPaの範囲であること 望ましい。

 これによってガラス基板に残留する圧縮 力を維持することができ、輸送時の衝撃な の外力に対してもパネル割れなどのない強 の強いPDP1を得ることができる。

 (実施例)
 次に、本発明の実施の形態におけるPDPの作 効果について説明する。本発明の実施の形 における効果を確認するために落下強度試 を行った。具体的には、画面サイズが対角4 2インチのPDPサンプルを作製し、製品出荷時 同様の梱包をし、画像表示面を下面となる うにして高さ50cmより落下させ、梱包材で梱 された内部のPDPサンプルの割れの有無を確 した。試験したPDPサンプル数は、従来技術 製造方法によるPDPサンプル、本発明の実施 形態によるPDPサンプルをそれぞれ100台ずつ った。なおこの実施例におけるPDPサンプル 、全て前面ガラス基板3としてその厚さが1.8 mm±0.5mmのガラス基板を用いている。

 上記の落下強度試験の結果、従来技術の 造方法によるPDPサンプルでは、100台中6台に おいて前面ガラス基板3に割れが生じていた 一方、本発明の実施の形態によるPDPサンプ では、100台中全てにおいて前面ガラス基板3 割れは生じなかった。

 そこで、従来技術でのPDPサンプルと、本 明の実施の形態でのPDPサンプルのそれぞれ1 0台について、前面ガラス基板3の残留応力を 定した。その結果、従来技術の製造方法を いた前面ガラス基板3については、残留応力 が0.8MPa~1.7MPaの適正範囲から外れてほぼ応力 生じていなかった。これに対して本発明の 施の形態における製造方法を用いた前面ガ ス基板3の残留応力は上記の範囲内であった

 これは本発明の実施の形態におけるPDPの 造方法においては、前面ガラス基板3がその ガラス基板の歪点温度から100℃低い温度以下 でPDP1が製造されたため、前面ガラス基板3に 初生じていた残留応力がほぼ減少すること く維持され、これによってPDP1が強度を有し たと考えられる。

 なお、本発明によれば、従来技術と比較 て低温での熱プロセスであるため、焼成炉 どにおいてガラス基板面内の温度勾配を起 として生じる基板の熱割れなどの発生を抑 する効果がある。

 なお、上述の本発明の実施の形態では、 熱プロセスの設定温度およびその処理時間 例を記載したが、この設定に限られるもの はなく、前面ガラス基板3の歪点温度から100 ℃低い温度以下でPDPを製造することにより、 ガラス基板基板の残留応力を初期常態の残留 応力に維持することができ、本発明の効果を 奏することができる。

 以上述べてきたように、本発明は、ガラ 基板強度を十分に有し、かつパネル割れの 生が少ないPDPを提供することができ、大画 の表示デバイスなどに有用である。