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Title:
PLASTIC FAT COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/150951
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a plastic fat composition having a small trans fatty acid content, which is suitable for roll-in, spreading, kneed-in and similar purposes, and a fat composition to be used in the preceding plastic fat composition. A fat composition which contains the following fats A, B and C and satisfies the following requirements (a) to (c): fat A: a fat which contains 20 to 60% by mass of a saturated fatty acid having 12 to 14 carbon atoms and 40 to 80% by mass of a saturated fatty acid having 16 to 18 carbon atoms in the total constituting fatty acids thereof, and in which the fats have been obtained by ester exchange; fat B: a fat which contains 20 to 60% by mass of palmitic acid, 0.5 to 6% by mass of stearic acid and 30 to 60% by mass of oleic acid in the total constituting fatty acids thereof; and fat C: a liquid oil; (a) the content of fat A in the fat composition being 0.1 to 50% by mass; (b) the content of fat B in the fat composition being 0.1% by mass or more but less than 40% by mass; and (c) the PPO/POP of the fat composition being 0.15 to 1.00.

Inventors:
IWAMOTO HIDE (JP)
OZAWA TAKUYA (JP)
ANDOU MASATAKA (JP)
HASOME YOSHIMUNE (JP)
SHIMADA MASAKO (JP)
MUROGA KAORI (JP)
HATANO YOSHIYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059987
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
June 01, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NISSHIN OILLIO GROUP LTD (JP)
IWAMOTO HIDE (JP)
OZAWA TAKUYA (JP)
ANDOU MASATAKA (JP)
HASOME YOSHIMUNE (JP)
SHIMADA MASAKO (JP)
MUROGA KAORI (JP)
HATANO YOSHIYUKI (JP)
International Classes:
A23D9/00; A21D13/00; A23D7/00
Foreign References:
JPS60180542A1985-09-14
JPH10183165A1998-07-14
Attorney, Agent or Firm:
HIRATA, Tadao et al. (JP)
Tadao Hirata (JP)
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Claims:
 下記油脂A、油脂B及び油脂Cを含有する油脂組成物であり、下記(a)~(c)の条件を満たす油脂組成物。
 油脂A:全構成脂肪酸中に炭素数12~14の飽和脂肪酸を20~60質量%、炭素数16~18の飽和脂肪酸を40~80質量%含有する油脂であり、該油脂がエステル交換することにより得られる油脂
 油脂B:全構成脂肪酸中のパルミチン酸含量が20~60質量%、ステアリン酸含量が0.5~6質量%、オレイン酸含量が30~60質量%である油脂
 油脂C:液状油
(a)油脂組成物中の油脂Aの含量が0.1~50質量%
(b)油脂組成物中の油脂Cの含量が0.1質量%以上40質量%未満
(c)油脂組成物中のPPO/POPが0.15~1.00(PPO:1位及び2位、又は2位及び3位の脂肪酸がパルミチン酸であり、3位、又は1位の脂肪酸がオレイン酸であるトリアシルグリセロール。POP:1位及び3位の脂肪酸がパルミチン酸であり、2位の脂肪酸がオレイン酸であるトリアシルグリセロール。P:パルミチン酸。O:オレイン酸。)
 前記油脂Aが、ラウリン系油脂とパーム系油脂との混合油を、エステル交換及び水素添加することにより得られる油脂であり、該油脂のヨウ素価が、0~2である請求項1に記載の油脂組成物。
 前記油脂Bが、ヨウ素価43~48のパームミッドフラクション、及びヨウ素価50~65のパームオレインをエステル交換して得られる油脂を含有する油脂である請求項1又は2に記載の油脂組成物。
 前記油脂Bが、さらに、ヨウ素価55~70のパームスーパーオレインを含有する油脂である請求項3に記載の油脂組成物。
 前記油脂Cが、5℃で流動性を有する油脂である請求項1~4のいずれか1項に記載の油脂組成物。
 請求項1~5のいずれか1項に記載の油脂組成物を用いた可塑性油脂組成物。
 前記可塑性油脂組成物が、油中水型乳化物である請求項6に記載の可塑性油脂組成物。
 前記可塑性油脂組成物が、ロールイン、スプレッド又は練り込みに用いられるものである請求項6又は7に記載の可塑性油脂組成物。
 請求項6~8のいずれか1項に記載の可塑性油脂組成物を用いた食品。
Description:
可塑性油脂組成物

 本発明は、ロールイン、スプレッド及び練 込み等の用途に適した可塑性油脂組成物及 該可塑性油脂組成物に用いる油脂組成物に するものである。
 また、本発明は、ロールイン、スプレッド び練り込み等の用途に適した可塑性油脂組 物を用いたクロワッサン、デニッシュペス リー、パイ等の層状小麦粉膨化食品、菓子 パン等の食品に関するものである。

 可塑性油脂組成物は、その性質として可塑 を有することから、ロールイン、スプレッ 及び練り込み等の用途に適している。
 可塑性油脂組成物の種類としては、マーガ ン、ファットスプレッド及びショートニン が挙げられる。

 従来、可塑性油脂組成物には、加工適性 よいことから、種々の部分水素添加油が使 されていた。しかし、部分水素添加油には トランス脂肪酸が含まれており、近年のト ンス脂肪酸問題から、可塑性油脂組成物に いても、トランス脂肪酸含量の低減化が求 られていた。

 ロールイン用可塑性油脂組成物は、クロワ サン、デニッシュペストリー、パイ等の層 小麦粉膨化食品の生地の製造に用いられる のである。ロールイン用可塑性油脂組成物 、生地の間に挟み込まれ、その後、生地が 数回折りたたまれ、圧延が繰り返されるこ により、生地中に層状に折り込まれる。生 中に層状に折り込まれたロールイン用可塑 油脂組成物は、生地中に薄い油脂の層を多 作る。これらの油脂の層は、生地の折りた み時における生地層の相互の付着を防止す 。また、焼成中にはこれらの油脂の層が、 地から発生する水蒸気や炭酸ガスの発散を えぎるため、焼成後の生地は、層状に膨張 たものとなる。そのため、作業性の面にお て、ロールイン用可塑性油脂組成物には、 展性がよく、べたつきもない等の性質が必 とされる。
 また、ロールイン用可塑性油脂組成物を用 て得られる層状小麦粉膨化食品は、フレー 状の食感(サクサクした食感)を有し、浮き( らみ具合)がよいものである。更に、近年は 、これらの性質に加えて、ジューシー感のあ る層状小麦粉膨化食品等も求められている。

 伸展性や浮きのよいロールイン用可塑性油 組成物として、油相中に直接β型結晶油脂 乳脂肪を配合するものが提案されている(例 ば、特許文献1)。しかし、このロールイン 可塑性油脂組成物は、伸展性や浮きはよい 、べたつきやジューシー感の面で満足いく のではなかった。
 このため、作業性がよく(伸展性がよい、べ たつきがない)、さらに、浮きがよく、ジュ シー感のある層状小麦粉膨化食品を得るこ のできるロールイン用可塑性油脂組成物が められていた。

 スプレッド用可塑性油脂組成物は、主とし パン等に塗って食されるものであり、その 表例としては、テーブルマーガリンが挙げ れる。スプレッド用可塑性油脂組成物は、 ン等に塗って使用されることから、スプレ ド用可塑性油脂組成物には、使用時に伸び 広がり易いというスプレッド性のよさ(ぬり 易さ)が必要とされる。
 また、通常、スプレッド用可塑性油脂組成 は、使用時に冷蔵保存されているものを取 出し、室温で使用するものであり、場合に っては、使用するまでにしばらく室温に放 されることもある。スプレッド用可塑性油 組成物の熱に対する耐性が悪いと、室温に 置されている間に、スプレッド用可塑性油 組成物が分離してしまうことがある。その め、スプレッド用可塑性油脂組成物には、 耐性のよさが必要とされる。
 更に、スプレッド用可塑性油脂組成物は、 プレッド用可塑性油脂組成物自体が食され ことから、口溶けが重要となる。そのため スプレッド用可塑性油脂組成物には、口溶 のよさが必要とされる。

 スプレッド性のよいスプレッド用可塑性油 組成物として、魚油の極度硬化油を配合し ものが提案されている(例えば、特許文献2) しかし、このスプレッド用可塑性油脂組成 は、魚油を使用していることから風味の面 満足いくものではなかった。また、このス レッド用可塑性油脂組成物は、極度硬化油 使用量が多いため、スプレッド性、口溶け 満足いくものではなかった。
 このため、スプレッド性(伸び、広がり)、 耐性、口溶けのよいスプレッド用可塑性油 組成物が求められていた。

 練り込み用可塑性油脂組成物は、菓子、パ の生地の製造に用いられるものである。練 込み用可塑性油脂組成物は、菓子、パンの 地に配合、混合されることにより、生地中 練り込まれるものである。
 練り込み用可塑性油脂組成物の一種である ターは、乳脂肪から製造されるものであり 風味の点で優れていることから、練り込み 可塑性油脂組成物として広く使用されてい 。しかし、バターは、可塑性の温度領域が いことから、作業性が悪いものであった。 た、バターは、動物油脂を使用しているこ から、コレステロールが多く、価格も高い いう問題もあった。

 そこで、バターの問題点を改善するため 、比較的価格の低い植物油脂を使用した練 込み用可塑性油脂組成物が開発されてきた しかし、植物油脂を使用した練り込み用可 性油脂組成物は、風味の点では、バターに るものは少なかった。これらの背景から、 味をより改善するために、植物油脂を使用 た練り込み用可塑性油脂組成物には、バタ や呈味成分等を配合したものが開発されて た。バターは前記した理由から、また、呈 成分はその配合量が多いと、バターと比較 て不自然な風味となることから、練り込み 可塑性油脂組成物に配合するバターや呈味 分は、できるだけ少ない方が好ましいとさ ていた。従って、練り込み用可塑性油脂組 物には、バターや呈味成分等が配合された 合に、その風味が発現しやすい性質が必要 されていた。

 バターや呈味成分等の風味を発現しやすい り込み用可塑性油脂組成物として、有機酸 ノグリセリドと乳蛋白質の複合体の乳酸発 物を配合したものが提案されている(例えば 、特許文献3)。しかし、この練り込み用可塑 油脂組成物は、満足いくものではなかった
 このため、バターや呈味成分等を配合した 合に、風味の発現のよい練り込み用可塑性 脂組成物が求められていた。

特開2003-284491号公報

特開平9-143490号公報

特開平9-238612号公報

 本発明の目的は、ロールイン、スプレッ 及び練り込み等の用途に適し、トランス脂 酸含量の低い可塑性油脂組成物及び該可塑 油脂組成物に用いる油脂組成物を提供する とである。特に、ロールイン用可塑性油脂 成物に関しては、伸展性がよく、べたつき ない等の作業性のよいものを提供すること ある。また、スプレッド用可塑性油脂組成 に関しては、スプレッド性(伸び、広がり) 熱耐性、口溶けのよいものを提供すること ある。また、練り込み用可塑性油脂組成物 関しては、バターや呈味成分等を配合した 合に風味の発現がよいものを提供すること ある。

 また、本発明は、ロールイン、スプレッ 及び練り込み等の用途に適した可塑性油脂 成物を用いた食品を提供することである。 に、ロールイン用可塑性油脂組成物を用い 食品に関しては、浮きがよく、ジューシー のある層状小麦粉膨化食品を提供すること ある。また、練り込み用可塑性油脂組成物 用いた食品に関しては、風味のよい菓子、 ンを提供することである。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 検討を行った結果、下記(a)~(c)の条件を満た すように下記油脂A、油脂B及び油脂Cを配合す ることで、ロールイン、スプレッド及び練り 込み等の用途に適した可塑性油脂組成物及び 該可塑性油脂組成物に用いる油脂組成物が得 られることを見出し、本発明を完成するに至 った。

 すなわち、本発明の第1の発明は、下記油脂 A、油脂B及び油脂Cを含有する油脂組成物であ り、下記(a)~(c)の条件を満たす油脂組成物で る。
 油脂A:全構成脂肪酸中に炭素数12~14の飽和脂 肪酸を20~60質量%、炭素数16~18の飽和脂肪酸を4 0~80質量%含有する油脂であり、該油脂がエス ル交換することにより得られる油脂
 油脂B:全構成脂肪酸中のパルミチン酸含量 20~60質量%、ステアリン酸含量が0.5~6質量%、 レイン酸含量が30~60質量%である油脂
 油脂C:液状油
(a)油脂組成物中の油脂Aの含量が0.1~50質量%
(b)油脂組成物中の油脂Cの含量が0.1質量%以上4 0質量%未満
(c)油脂組成物中のPPO/POPが0.15~1.00(PPO:1位及び2 、又は2位及び3位の脂肪酸がパルミチン酸 あり、3位、又は1位の脂肪酸がオレイン酸で あるトリアシルグリセロール。POP:1位及び3位 の脂肪酸がパルミチン酸であり、2位の脂肪 がオレイン酸であるトリアシルグリセロー 。P:パルミチン酸。O:オレイン酸。)

 本発明の第2の発明は、前記油脂Aが、ラ リン系油脂とパーム系油脂との混合油を、 ステル交換及び水素添加することにより得 れる油脂であり、該油脂のヨウ素価が、0~2 ある第1の発明に記載の油脂組成物である。

 本発明の第3の発明は、前記油脂Bが、ヨ 素価43~48のパームミッドフラクション、及び ヨウ素価50~65のパームオレインをエステル交 して得られる油脂を含有する油脂である第1 の発明又は第2の発明に記載の油脂組成物で る。

 本発明の第4の発明は、前記油脂Bが、さ に、ヨウ素価55~70のパームスーパーオレイン を含有する油脂である第3の発明に記載の油 組成物である。

 本発明の第5の発明は、第1の発明~第4の発 明のいずれか1つの発明に記載の油脂組成物 用いた可塑性油脂組成物である。

 本発明の第6の発明は、前記可塑性油脂組 成物が、油中水型乳化物である第5の発明に 載の可塑性油脂組成物である。

 本発明の第7の発明は、前記可塑性油脂組 成物が、ロールイン、スプレッド又は練り込 みに用いられるものである第5の発明又は第6 発明に記載の可塑性油脂組成物である。

 本発明の第8の発明は、第5の発明~第7の発 明のいずれか1つの発明に記載の可塑性油脂 成物を用いた食品である。

 本発明によると、ロールイン、スプレッ 及び練り込み等の用途に適し、トランス脂 酸含量の低い可塑性油脂組成物及び該可塑 油脂組成物に用いる油脂組成物を提供する とができる。特に、ロールイン用可塑性油 組成物に関しては、伸展性がよく、べたつ がない等の作業性のよいものを提供するこ ができる。また、スプレッド用可塑性油脂 成物に関しては、スプレッド性(伸び、広が り)、熱耐性、口溶けのよいものを提供する とができる。また、練り込み用可塑性油脂 成物に関しては、バターや呈味成分等を配 した場合に風味の発現がよいものを提供す ことができる。

 また、本発明によると、ロールイン、ス レッド及び練り込み等の用途に適した可塑 油脂組成物を用いた食品を提供することが きる。特に、ロールイン用可塑性油脂組成 を用いた食品に関しては、浮きがよく、ジ ーシー感を有する層状小麦粉膨化食品を提 することができる。また、練り込み用可塑 油脂組成物を用いた食品に関しては、風味 よい菓子、パンを提供することができる。

 以下に本発明について詳細に説明する。
 まず、本発明の油脂組成物について説明す 。
 本発明の油脂組成物は、下記油脂A、油脂B び油脂Cを含有し、下記(a)~(c)の条件を満たす ことを特徴とする。
 油脂A:全構成脂肪酸中に炭素数12~14の飽和脂 肪酸を20~60質量%、炭素数16~18の飽和脂肪酸を4 0~80質量%含有する油脂であり、該油脂がエス ル交換することにより得られる油脂
 油脂B:全構成脂肪酸中のパルミチン酸含量 20~60質量%、ステアリン酸含量が0.5~6質量%、 レイン酸含量が30~60質量%である油脂
 油脂C:液状油
(a)油脂組成物中の油脂Aの含量が0.1~50質量%
(b)油脂組成物中の油脂Cの含量が0.1質量%以上4 0質量%未満
(c)油脂組成物中のPPO/POPが0.15~1.00(PPO:1位及び2 、又は2位及び3位の脂肪酸がパルミチン酸 あり、3位、又は1位の脂肪酸がオレイン酸で あるトリアシルグリセロール。POP:1位及び3位 の脂肪酸がパルミチン酸であり、2位の脂肪 がオレイン酸であるトリアシルグリセロー 。P:パルミチン酸。O:オレイン酸。)

 本発明で用いる油脂Aは、全構成脂肪酸中に 炭素数12~14の飽和脂肪酸を20~60質量%、好まし は25~40質量%、更に好ましくは28~35質量%含有 、かつ炭素数16~18の飽和脂肪酸を40~80質量% 好ましくは46~70質量%、更に好ましくは52~68質 量%含有する油脂である。また、油脂Aは、エ テル交換することにより得られる油脂であ 。
 油脂Aの全構成脂肪酸中の脂肪酸含量が上記 範囲にあると、得られる可塑性油脂組成物が 適度な硬さを有するものとなり、伸展性、ス プレッド性のよいものとなる。また、可塑性 油脂組成物を用いて得られる食品、特に層状 小麦粉膨化食品が浮きのよいものとなる。ま た、油脂Aがエステル交換したものであると 得られる可塑性油脂組成物が適度な可塑性 有するものとなり、スプレッド性のよいも となる。
 なお、油脂中の脂肪酸含量は、AOCS Ce1f-96に 準じて測定することができる。

 油脂Aは、例えば、ラウリン系油脂と、炭 素数16~18の脂肪酸が豊富な植物油脂とをエス ル交換及び水素添加することにより得られ 。

 本発明におけるラウリン系油脂とは、全 成脂肪酸中におけるラウリン酸含量が30質 %以上である油脂を意味し、具体的には、ヤ 油、パーム核油及びこれらの分別油等を例 することができる。ラウリン系油脂の分別 の具体例としては、パーム核オレイン(パー ム核油を分別して得られる軟質部)、パーム ステアリン(パーム核油を分別して得られる 質部)、ヤシステアリン(ヤシ油を分別して られる硬質部)等が挙げられる。これらのラ リン系油脂は1種又は2種以上を混合して用 ることもできる。

 本発明における炭素数16~18の脂肪酸が豊 な植物油脂とは、菜種油、大豆油、パーム 油脂等を例示することができ、特にパーム 油脂が好ましい。これらの炭素数16~18の脂肪 酸が豊富な植物油脂は1種又は2種以上を混合 て用いることもできる。

 本発明におけるパーム系油脂とは、パー 油及びパーム油の分別油のことを意味する パーム油の分別油の具体例としては、パー オレイン(パーム油を分別して得られる軟質 部)、パームステアリン(パーム油を分別して られる硬質部)、パームスーパーオレイン( ームオレインをさらに分別して得られる軟 部であり、スーパーオレインと呼ばれるこ もある)、パームトップオレイン(パームスー パーオレインをさらに分別して得られる軟質 部)、パームミッドフラクション(パームオレ ンをさらに分別して得られる硬質部であり PMFと呼ばれることもある)、ソフトパーム( ームステアリンをさらに分別して得られる 質部)、ハードステアリン(パームステアリン をさらに分別して得られる硬質部)等が挙げ れる。これらのパーム系油脂は、1種又は2種 以上を混合して用いることもできる。なお、 パーム油を分別する方法は、特に制限はなく 、溶剤分別、乾式分別、界面活性剤分別のい ずれの方法を選択することもできる。

 油脂Aの調製において、水素添加は必須で はなく、元々ヨウ素価の低い原料油脂を用い た場合、エステル交換のみで調製することも できる。また、油脂Aの調製において、エス ル交換及び水素添加の両方を行う場合、そ 順番に制限はなく、エステル交換を行った に水素添加を行うことも、水素添加を行っ 後にエステル交換を行うこともできる。

 油脂Aの調製において、水素添加を行わない 場合、油脂Aのヨウ素価は、17以下であること が好ましく、13以下であることがより好まし 、0~10であることが更に好ましい。
 また、油脂Aの調製において、水素添加を行 う場合、油脂Aのヨウ素価は、トランス脂肪 の含有量を十分に低減させるという意味で 10以下であることが好ましく、5以下である とがより好ましく、0~2であることが更に好 しく、0であることが最も好ましい。
 なお、油脂のヨウ素価は、「社団法人 日 油化学会 基準油脂分析試験法2.3.4.1-1996」の 方法に準じて測定することができる。

 油脂Aを調製するためのエステル交換の方 法は、特に制限はなく、通常の方法により行 うことができ、合成触媒を使用した化学的エ ステル交換、リパーゼを触媒とした酵素的エ ステル交換のどちらの方法でも行うことがで きる。

 化学的エステル交換は、ナトリウムメトキ ド等の化学触媒を触媒として用いてエステ 交換反応が行われる。化学的エステル交換 よるエステル交換反応は、位置特異性の乏 いエステル交換反応となる(ランダムエステ ル交換とも言われる)。
 化学的エステル交換は、例えば、常法に従 て、原料油脂を十分に乾燥させ、触媒を原 油脂に対して0.1~1質量%添加した後、減圧下 80~120℃で0.5~1時間攪拌しながら反応を行う とができる。エステル交換反応終了後は、 洗にて触媒を洗い流した後、通常の食用油 精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施す とができる。

 酵素的エステル交換は、リパーゼを触媒と て用いてエステル交換反応が行われる。
 リパーゼは、リパーゼ粉末やリパーゼ粉末 セライト、イオン交換樹脂等の担体に固定 した固定化リパーゼを使用することができ 。酵素的エステル交換によるエステル交換 応は、リパーゼの種類によって、位置特異 の乏しいエステル交換反応、1,3位特異性の いエステル交換反応のどちらで行うことも きる。
 位置特異性の乏しいエステル交換反応を行 ことのできるリパーゼとしては、アルカリ ネス属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式 会社製のリパーゼQLM、リパーゼPL等)、キャン ディダ属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株 会社製のリパーゼOF等)等が挙げられる。
 1,3位特異性の高いエステル交換反応を行う とのできるリパーゼとしては、リゾムコー ミーハイ由来の固定化リパーゼ(ノボザイム ズ社製のリポザイムTLIM、リポザイムRMIM等)等 が挙げられる。
 酵素的エステル交換は、例えば、リパーゼ 末又は固定化リパーゼを原料油脂に対して0 .02~10質量%、好ましくは0.04~5質量%添加した後 40~80℃、好ましくは40~70℃で0.5~48時間、好ま しくは0.5~24時間攪拌しながら反応を行うこと ができる。エステル交換反応終了後は、ろ過 等によりリパーゼ粉末又は固定化リパーゼを 除去後、通常の食用油の精製工程で行われる 脱色、脱臭処理を施すことができる。

 油脂Aを調製するための水素添加の方法は 、特に制限はなく、通常の方法により行うこ とができる。水素添加は、例えば、ニッケル 触媒の下、水素圧0.02~0.3Mpa、160~200℃の条件に て行うことができる。

 油脂Aの好ましい態様としては、ラウリン系 油脂と、パーム系油脂との混合油をエステル 交換し、その後、ヨウ素価10以下となるまで 素添加することで得られる油脂を例示する とができる。また、ラウリン系油脂と、パ ム系油脂を、ヨウ素価10以下となるように れぞれ別々に水素添加を行い、その後、こ らの混合油をエステル交換することで得ら る油脂も例示することができる。ここで、 ウリン系油脂と、パーム系油脂との配合比 、ラウリン系油脂:パーム系油脂の質量比で 30:70~70:30であることが好ましい。
 水素添加は、完全水素添加(ヨウ素価0~2とな るまで水素添加する)であることが好ましい
 ラウリン系油脂としては、パーム核油又は ーム核オレインが好ましい例として挙げら る。また、パーム系油脂としては、パーム 又はパームステアリンが好ましい例として げられる。
 油脂Aが上記の組み合わせで調製されたもの であると、得られる可塑性油脂組成物が適度 な可塑性を有するものとなり、伸展性、スプ レッド性、口溶けのよいものとなる。また、 可塑性油脂組成物を用いて得られる食品、特 に層状小麦粉膨化食品が浮きのよいものとな る。

 また、油脂Aの好ましい態様としては、ヨウ 素価10以下のラウリン系油脂と、ヨウ素価20 下のパーム系油脂との混合油をエステル交 することで得られる油脂を例示できる。こ で、ヨウ素価10以下のラウリン系油脂と、ヨ ウ素価20以下のパーム系油脂との配合比は、 ウリン系油脂:パーム系油脂の質量比で、30: 70~70:30であることが好ましい。ヨウ素価10以 のラウリン系油脂としては、例えば、パー 核ステアリン、ヤシステアリンが挙げられ 。パーム核ステアリンのヨウ素価は、10以下 であることが好ましいが、7以下であること 更に好ましい。ヨウ素価20以下のパーム系油 脂としては、ハードステアリンが挙げられる 。ハードステアリンのヨウ素価は20以下が好 しく、16以下が更に好ましく、13以下が最も 好ましい。
 油脂Aが上記の組み合わせで調製されたもの であると、得られる可塑性油脂組成物が適度 な可塑性を有するものとなり、伸展性、スプ レッド性、口溶けのよいものとなる。また、 可塑性油脂組成物を用いて得られる食品、特 に層状小麦粉膨化食品が浮きのよいものとな る。

 本発明の油脂組成物中における油脂Aの含量 (条件(a))は、0.1~50質量%であり、1~30質量%であ ことが好ましく、2~20質量%であることがよ 好ましく、2~15質量%であることが更に好まし い。
 油脂組成物中における油脂Aの含量が上記範 囲にあると、得られる可塑性油脂組成物の伸 展性、スプレッド性及び熱耐性がよく、べた つきのないものとなる。また、可塑性油脂組 成物を用いて得られる層状小麦粉膨化食品が 浮きのよいものとなる。

 本発明の油脂組成物がロールイン用である 合、油脂組成物中における油脂Aの含量は、 0.1~50質量%であり、1~30質量%であることが好ま しく、2~20質量%であることがより好ましく、2 ~15質量%であることが更に好ましい。
 ロールイン用油脂組成物中における油脂Aの 含量が上記範囲にあると、得られる可塑性油 脂組成物の伸展性がよく、べたつきのないも のとなる。また、可塑性油脂組成物を用いて 得られる層状小麦粉膨化食品が浮きのよいも のとなる。

 本発明の油脂組成物がスプレッド用である 合、油脂組成物中における油脂Aの含量は、 0.1~50質量%であり、1~30質量%であることが好ま しく、2~20質量%であることがより好ましく、2 ~15質量%であることが更に好ましい。
 スプレッド用油脂組成物中における油脂Aの 含量が上記範囲にあると、得られる可塑性油 脂組成物のスプレッド性及び熱耐性がよいも のとなる。

 本発明の油脂組成物が練り込み用である場 、油脂組成物中における油脂Aの含量は、0.1 ~50質量%であり、1~30質量%であることが好まし く、2~20質量%であることがより好ましく、2~15 質量%であることが更に好ましい。
 練り込み用油脂組成物中における油脂Aの含 量が上記範囲にあると、熱耐性がよいものと なる。

 本発明で用いる油脂Bは、全構成脂肪酸中に パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸 を含有するものである。
 油脂Bの全構成脂肪酸中のパルミチン酸含量 は、20~60質量%であり、好ましくは25~55質量%で あり、更に好ましくは30~50質量%である。また 、油脂Bの全構成脂肪酸中のステアリン酸含 は、0.5~6質量%であり、好ましくは3~6質量%で り、更に好ましくは3~5質量%である。また、 油脂Bの全構成脂肪酸中のオレイン酸含量は 30~60質量%であり、好ましくは35~55質量%であ 、更に好ましくは37~50質量%である。
 油脂Bの全構成脂肪酸中の脂肪酸含量が上記 範囲にあると、得られる可塑性油脂組成物が 伸展性、スプレッド性、可塑性及び口溶けの よいものとなる。また、可塑性油脂組成物を 用いて得られる層状小麦粉膨化食品がジュー シーな食感を有し、浮きもよいものとなる。

 本発明の油脂組成物がロールイン用である 合、本発明で用いる油脂Bの全構成脂肪酸中 のパルミチン酸含量は、20~60質量%であり、好 ましくは30~50質量%であり、更に好ましくは38 量%を超え50質量%以下である。また、油脂B 全構成脂肪酸中のステアリン酸含量は、0.5~6 質量%であり、好ましくは3~6質量%であり、更 好ましくは3~5質量%である。また、油脂Bの 構成脂肪酸中のオレイン酸含量は、30~60質量 %であり、好ましくは35~55質量%であり、更に ましくは37~50質量%である。
 ロールイン用油脂組成物に用いる油脂Bの全 構成脂肪酸中の脂肪酸含量が上記範囲にある と、得られる可塑性油脂組成物が伸展性のよ いものとなる。また、可塑性油脂組成物を用 いて得られる層状小麦粉膨化食品がジューシ ーな食感を有し、浮きもよいものとなる。

 本発明の油脂組成物がスプレッド用である 合、本発明で用いる油脂Bの全構成脂肪酸中 のパルミチン酸含量は、20~60質量%であり、好 ましくは25~55質量%であり、更に好ましくは30~ 50質量%である。また、油脂Bの全構成脂肪酸 のステアリン酸含量は、0.5~6質量%であり、 ましくは3~6質量%であり、更に好ましくは3~5 量%である。また、油脂Bの全構成脂肪酸中 オレイン酸含量は、30~60質量%であり、好ま くは35~55質量%であり、更に好ましくは37~50質 量%である。
 スプレッド用油脂組成物に用いる油脂Bの全 構成脂肪酸中の脂肪酸含量が上記範囲にある と、得られる可塑性油脂組成物がスプレッド 性及び口溶けのよいものとなる。

 本発明の油脂組成物が練り込み用である場 、本発明で用いる油脂Bの全構成脂肪酸中の パルミチン酸含量は、20~60質量%であり、好ま しくは25~55質量%であり、更に好ましくは30~50 量%である。また、油脂Bの全構成脂肪酸中 ステアリン酸含量は、0.5~6質量%であり、好 しくは3~6質量%であり、更に好ましくは3~5質 %である。また、油脂Bの全構成脂肪酸中の レイン酸含量は、30~60質量%であり、好まし は35~55質量%であり、更に好ましくは37~50質量 %である。
 練り込み用油脂組成物に用いる油脂Bの全構 成脂肪酸中の脂肪酸含量が上記範囲にあると 、得られる可塑性油脂組成物が可塑性及び口 溶けのよいものとなる。

 油脂Bは、例えば、パーム油や、パームオレ イン、パームスーパーオレイン、パームトッ プオレイン、パームミッドフラクション等の パーム油の分別油を原料油脂として用いるこ とができる。パームオレインは、ヨウ素価50~ 65であることが好ましく、ヨウ素価54~60であ ことがより好ましい。パームスーパーオレ ンは、ヨウ素価55~70であることが好ましく、 ヨウ素価58~70であることがより好ましい。パ ムトップオレインは、ヨウ素価60~75である とが好ましく、ヨウ素価65~75であることがよ り好ましい。パームミッドフラクションは、 ヨウ素価43~48であることが好ましい。
 また、油脂Bは、例えば、パームオレイン、 パームスーパーオレイン又はパームトップオ レインをエステル交換して得られる油脂を原 料油脂として用いることもできる。エステル 交換させるパームオレインは、ヨウ素価50~65 あることが好ましく、ヨウ素価54~60である とがより好ましい。エステル交換させるパ ムスーパーオレインは、ヨウ素価55~70である ことが好ましく、ヨウ素価58~70であることが り好ましい。エステル交換させるパームト プオレインは、ヨウ素価60~75であることが ましく、ヨウ素価65~75であることがより好ま しい。
 油脂Bの原料油脂として用いられるパーム油 の分別油の調製方法は、特に制限はなく、溶 剤分別、乾式分別、界面活性剤分別のいずれ の方法を選択することもできる。
 油脂Bの調製するためのエステル交換は、油 脂Aを調製するためのエステル交換を同様の 法、条件で行うことができる。

 油脂Bは、前記した原料油脂を1種又は2種 上を混合して調製することもできる。

 油脂Bの好ましい態様としては、例えば、ヨ ウ素価50~65のパームオレインをエステル交換 て得られる油脂とヨウ素価43~48のパームミ ドフラクションの混合油や、ヨウ素価50~65の パームオレインをエステル交換して得られる 油脂とヨウ素価55~70のパームスーパーオレイ とヨウ素価43~48のパームミッドフラクショ の混合油等を例示することができる。
 油脂Bが上記の組み合わせで調製されたもの であると、得られる可塑性油脂組成物が伸展 性、スプレッド性、可塑性及び口溶けのよい ものとなる。また、可塑性油脂組成物を用い て得られる層状小麦粉膨化食品がジューシー な食感を有し、浮きもよいものとなる。

 油脂Bがヨウ素価50~65のパームオレインをエ テル交換して得られる油脂とヨウ素価43~48 パームミッドフラクションの混合油である 合の配合比は、ヨウ素価50~65のパームオレイ ンをエステル交換して得られる油脂:ヨウ素 43~48のパームミッドフラクションの質量比で 、1:20~5:1であることが好ましく、1:10~3:1であ ことがより好ましい。
 油脂Bがヨウ素価50~65のパームオレインをエ テル交換して得られる油脂とヨウ素価55~70 パームスーパーオレインとヨウ素価43~48のパ ームミッドフラクションの混合油である場合 の配合比は、ヨウ素価50~65のパームオレイン エステル交換して得られる油脂:ヨウ素価55~ 70のパームスーパーオレイン:ヨウ素価43~48の ームミッドフラクションの質量比で、1:1:20~ 5:5:1であることが好ましく、1:1:10~3:3:1である とがより好ましい。
 油脂Bが上記の組み合わせで調製されたもの であると、得られる可塑性油脂組成物が伸展 性、スプレッド性、可塑性及び口溶けのよい ものとなる。また、可塑性油脂組成物を用い て得られる層状小麦粉膨化食品がジューシー な食感を有し、浮きもよいものとなる。

 本発明の油脂組成物がロールイン用である 合、油脂Bの好ましい態様としては、例えば 、ヨウ素価54~60のパームオレインをエステル 換して得られる油脂とヨウ素価43~48のパー ミッドフラクションの混合油等を例示する とができ、その配合比は、ヨウ素価54~60のパ ームオレインをエステル交換して得られる油 脂:ヨウ素価43~48のパームミッドフラクション の質量比で、1:20~5:1であることが好ましく、1 :10~3:1であることがより好ましい。
 油脂Bが上記の組み合わせで調製されたもの であると、得られる可塑性油脂組成物が伸展 性のよいものとなる。また、可塑性油脂組成 物を用いて得られる層状小麦粉膨化食品がジ ューシーな食感を有し、浮きもよいものとな る。

 本発明の油脂組成物がスプレッド用である 合、油脂Bの好ましい態様としては、例えば 、ヨウ素価54~60のパームオレインをエステル 換して得られる油脂とヨウ素価58~70のパー スーパーオレインとヨウ素価43~48のパームミ ッドフラクションの混合油等を例示すること ができ、その配合比は、ヨウ素価54~60のパー オレインをエステル交換して得られる油脂: ヨウ素価58~70のパームスーパーオレイン:ヨウ 素価43~48のパームミッドフラクションの質量 で、1:1:20~5:5:1であることが好ましく、1:1:10~ 3:3:1であることがより好ましい。
 油脂Bが上記の組み合わせで調製されたもの であると、得られる可塑性油脂組成物が伸展 性、スプレッド性及び口溶けのよいものとな る。

 本発明の油脂組成物が練り込み用である場 、油脂Bの好ましい態様としては、例えば、 ヨウ素価54~60のパームオレインをエステル交 して得られる油脂とヨウ素価43~48のパーム ッドフラクションの混合油等を例示するこ ができ、その配合比は、ヨウ素価54~60のパー ムオレインをエステル交換して得られる油脂 :ヨウ素価43~48のパームミッドフラクションの 質量比で、1:20~5:1であることが好ましく、1:10 ~3:1であることがより好ましい。
 油脂Bが上記の組み合わせで調製されたもの であると、得られる可塑性油脂組成物が可塑 性及び口溶けのよいものとなる。

 本発明の油脂組成物中における油脂Bの含量 は、10~90質量%であり、10~80質量%であることが 好ましく、30~80質量%であることがより好まし く、45~80質量%であることが更に好ましい。
 油脂組成物中における油脂Bの含量が上記範 囲にあると、得られる可塑性油脂組成物が伸 展性、スプレッド性、可塑性及び口溶けのよ いものとなる。また、可塑性油脂組成物を用 いて得られる層状小麦粉膨化食品がジューシ ーな食感を有し、浮きもよいものとなる。

 本発明の油脂組成物がロールイン用である 合、油脂組成物中における油脂Bの含量は、 10~90質量%であり、30~80質量%であることが好ま しく、40~70質量%であることがより好ましく、 50~70質量%であることが更に好ましい。
 ロールイン用油脂組成物中における油脂Bの 含量が上記範囲にあると、得られる可塑性油 脂組成物が伸展性のよいものなる。また、可 塑性油脂組成物を用いて得られる層状小麦粉 膨化食品がジューシーな食感を有し、浮きも よいものとなる。

 本発明の油脂組成物がスプレッド用である 合、油脂組成物中における油脂Bの含量は、 10~90質量%であり、15~80質量%であることが好ま しく、20~70質量%であることがより好ましく、 45~65質量%であることが更に好ましい。
 スプレッド用油脂組成物中における油脂Bの 含量が上記範囲にあると、得られる可塑性油 脂組成物がスプレッド性及び口溶けのよいも のとなる。

 本発明の油脂組成物が練り込み用である場 、油脂組成物中における油脂Bの含量は、10~ 90質量%であり、30~80質量%であることが好まし く、40~80質量%であることがより好ましく、60~ 80質量%であることが更に好ましい。
 練り込み用油脂組成物中における油脂Bの含 量が上記範囲にあると、得られる可塑性油脂 組成物が可塑性及び口溶けのよいものとなる 。

 本発明の油脂組成物中における油脂Aの含量 に対する油脂Bの含量の比(油脂B/油脂A)は、1~9 9であることが好ましく、1~50であることがよ 好ましく、5.6~20であることが更に好ましく 5.6~16であることが最も好ましい。
 油脂Aの含量に対する油脂Bの含量の比が上 範囲にあると、得られる可塑性油脂組成物 スプレッド性、耐熱性及び口溶けのよいも となる。また、可塑性油脂組成物を用いて られる層状小麦粉膨化食品がジューシーな 感を有し、浮きもよいものとなる。

 本発明の油脂組成物がロールイン用である 合、油脂組成物中における油脂Aの含量に対 する油脂Bの含量の比(油脂B/油脂A)は、1~99で ることが好ましく、1~50であることがより好 しく、5.6~20であることが更に好ましく、5.6~ 15であることが最も好ましい。
 油脂Aの含量に対する油脂Bの含量の比が上 範囲にあると、得られる可塑性油脂組成物 耐熱性及び口溶けのよいものとなる。また 可塑性油脂組成物を用いて得られる層状小 粉膨化食品がジューシーな食感を有し、浮 もよいものとなる。

 本発明の油脂組成物がスプレッド用である 合、油脂組成物中における油脂Aの含量に対 する油脂Bの含量の比(油脂B/油脂A)は、1~99で ることが好ましく、1~50であることがより好 しく、5.6~20であることが更に好ましく、5.6~ 15であることが最も好ましい。
 油脂Aの含量に対する油脂Bの含量の比が上 範囲にあると、得られる可塑性油脂組成物 スプレッド性、耐熱性及び口溶けのよいも となる。

 本発明の油脂組成物が練り込み用である場 、油脂組成物中における油脂Aの含量に対す る油脂Bの含量の比(油脂B/油脂A)は、1~99であ ことが好ましく、1~50であることがより好ま く、5.6~20であることが更に好ましく、5.6~16 あることが最も好ましい。
 油脂Aの含量に対する油脂Bの含量の比が上 範囲にあると、得られる可塑性油脂組成物 可塑性、耐熱性及び口溶けのよいものとな 。

 本発明で用いる油脂Cは、液状油である。本 発明における液状油とは、20℃で流動性を有 る油脂のことをいう(好ましくは5℃で流動 を有する油脂、より好ましくは5℃で流動性 び透明性を有する油脂である)。
 油脂Cとしては、20℃で流動性を有する油脂 あれば、特に制限させることなく使用する とができる。ただし、20℃で流動性を有し かつ油脂Bの構成を満たす油脂は、油脂Cには 属さないものとし、油脂Bに属するものとす 。

 油脂Cとしては、例えば、液状植物油や、 中鎖脂肪酸を構成脂肪酸とするトリアシルグ リセロール含有油脂等が挙げられる。

 液状植物油としては、大豆油、菜種油、 ーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿 油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁 等が挙げられる。これらの液状植物油は、2 0℃で流動性を有すれば、エステル交換、分 等の加工処理したものも用いることができ 。これらの液状植物油は、1種又は2種以上を 混合して用いることもできる。

 中鎖脂肪酸を構成脂肪酸とするトリアシル リセロール含有油脂とは、中鎖脂肪酸が1つ 以上エステル結合したトリアシルグリセロー ルを含有する油脂のことをいう。中鎖脂肪酸 が3つエステル結合したトリアシルグリセロ ルは、MCTと呼ばれることがある。また、中 脂肪酸が1つ又は2つエステル結合し、残りの 脂肪酸として長鎖脂肪酸が結合したトリアシ ルグリセロールは、MLCTと呼ばれることがあ 。
 なお、本発明における中鎖脂肪酸とは、炭 数6~10の飽和脂肪酸のことであり、具体的に は、n-ヘキサン酸、n-オクタン酸、及びn-デカ ン酸等が挙げられる。

 中鎖脂肪酸を構成脂肪酸とするトリアシ グリセロール含有油脂中における中鎖脂肪 を構成脂肪酸とするトリアシルグリセロー の含量は、4~100質量%であることが好ましく 10~100質量%であることが更に好ましく、15~100 質量%であることが最も好ましい。

 油脂Cとしては、液状植物油と中鎖脂肪酸 を構成脂肪酸とするトリアシルグリセロール 含有油脂を混合して用いることもできる。

 本発明の油脂組成物中における油脂Cの含量 (条件(b))は、0.1質量%以上40質量%未満であり、 10質量%以上40質量%未満であることが好ましく 、15質量%以上40質量%未満であることがより好 ましい。
 油脂組成物中における油脂Cの含量が上記範 囲にあると、得られる可塑性油脂組成物が伸 展性、スプレッド性、口溶け及び可塑性のよ いものとなる。また、可塑性油脂組成物を用 いて得られる層状小麦粉膨化食品が更にジュ ーシーな食感を有するものとなる。

 本発明の油脂組成物がロールイン用である 合、油脂組成物中における油脂Cの含量は、 0.1質量%以上40質量%未満であり、10質量%以上40 質量%未満であることが好ましく、20質量%以 40質量%未満であることがより好ましく、25質 量%以上40質量%未満であることが更に好まし 。
 ロールイン用油脂組成物中における油脂Cの 含量が上記範囲にあると、得られる可塑性油 脂組成物が伸展性のよいものとなる。また、 可塑性油脂組成物を用いて得られる層状小麦 粉膨化食品が更にジューシーな食感を有する ものとなる。

 本発明の油脂組成物がスプレッド用である 合、油脂組成物中における油脂Cの含量は、 0.1質量%以上40質量%未満であり、10質量%以上40 質量%未満であることが好ましく、20質量%以 40質量%未満であることがより好ましく、25質 量%以上40質量%未満であることが更に好まし 。
 スプレッド用油脂組成物中における油脂Cの 含量が上記範囲にあると、得られる可塑性油 脂組成物がスプレッド性及び口溶けのよいも のとなる。

 本発明の油脂組成物が練り込み用である場 、油脂組成物中における油脂Cの含量は、0.1 質量%以上40質量%未満であり、10質量%以上40質 量%未満であることが好ましく、13~35質量%で ることがより好ましく、15~30質量%であるこ が更に好ましい。
 練り込み用油脂組成物中における油脂Cの含 量が上記範囲にあると、得られる可塑性油脂 組成物が可塑性のよいものとなる。

 本発明の油脂組成物中のPPO/POP(条件(c))は、0 .15~1.00であり、好ましくは0.15~0.90であり、よ 好ましくは0.15~0.85である。PPO/POPは、油脂組 成物中のPOP含量に対するPPO含量の比である。 また、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸を意 する。また、PPOは1位及び2位、又は2位及び3 位の脂肪酸がパルミチン酸であり、3位、又 1位の脂肪酸がオレイン酸であるトリアシル リセロールを意味する。また、POPは1位及び 3位の脂肪酸がパルミチン酸であり、2位の脂 酸がオレイン酸であるトリアシルグリセロ ルを意味する。
 なお、油脂組成物中のPOP含量及びPPO含量は JAOCS,vol70,11,1111-1114(1993)を参考にしたガスク マトグラフィー法によるPOPとPPOの合計含量 分析、及びJ.High Resol.Chromatogr.,18,105-107(1995) 参考にした銀イオンカラム-高速液体クロマ トグラフィーによるPOPとPPOの組成比分析を組 み合わせることにより測定することができる 。
 油脂組成物中のPPO/POPが上記範囲にあると、 得られる可塑性油脂組成物が伸展性、スプレ ッド性、可塑性及び口溶けのよいものとなる 。また、可塑性油脂組成物を用いて得られる 層状小麦粉膨化食品がジューシーな食感を有 し、浮きもよいものとなる。

 本発明の油脂組成物がロールイン用である 合、油脂組成物中のPPO/POPは、0.15~1.00であり 、好ましくは0.40~0.90であり、より好ましくは 0.65~0.85である。
 ロールイン用油脂組成物中のPPO/POPが上記範 囲にあると、得られる可塑性油脂組成物が伸 展性のよいものなる。また、可塑性油脂組成 物を用いて得られる層状小麦粉膨化食品がジ ューシーな食感を有し、浮きもよいものとな る。

 本発明の油脂組成物がスプレッド用である 合、油脂組成物中のPPO/POPは、0.15~1.00であり 、好ましくは0.15~0.60であり、より好ましくは 0.20~0.45である。
 スプレッド用油脂組成物中のPPO/POPが上記範 囲にあると、得られる可塑性油脂組成物がス プレッド性及び口溶けのよいものとなる。

 本発明の油脂組成物が練り込み用である場 、油脂組成物中のPPO/POPは、0.15~1.00であり、 好ましくは0.15~0.55であり、より好ましくは0.1 5~0.35である。
 練り込み用油脂組成物中のPPO/POPが上記範囲 にあると、得られる可塑性油脂組成物が可塑 性及び口溶けのよいものとなる。

 本発明の油脂組成物は、トランス脂肪酸を 質的に含有しないことが好ましい。本発明 おいてトランス脂肪酸を実質的に含有しな とは、油脂組成物を構成する全構成脂肪酸 のトランス脂肪酸含量が、好ましくは10質 %未満、より好ましくは5質量%未満、更に好 しくは2質量%未満であることを意味する。
 なお、油脂中のトランス脂肪酸含量は、AOCS  Ce1f-96に準じて測定することができる。

 本発明の油脂組成物は、本発明の効果を なわない範囲において、上記油脂A、油脂B 油脂C以外のその他の油脂を含有させること できる。その他の油脂の含量は、35質量%以 であることが好ましく、30質量%以下である とがより好ましく、20質量%以下であること 更に好ましく、10質量%以下であることが更 一層好ましく、0質量%(油脂A、油脂B及び油 Cのみからなる)であることが最も好ましい。 その他の油脂としては、例えば、乳脂等が挙 げられる。

 本発明の油脂組成物は、上記油脂A、油脂 B、油脂Cを、必要に応じて加熱溶解させた後 均一に混合することで製造することができ 。なお、例えば、油脂Aが1種類、油脂Bが2種 類(油脂B-1、油脂B-2とする)、油脂Cが2種類(油 C-1、油脂C-2とする)から構成される油脂組成 物の場合は、油脂A、油脂B-1、油脂B-2、油脂C- 1、油脂C-2を一度にまとめて混合することで 造することもできる。

 本発明の油脂組成物は、ロールイン用、 プレッド用、練り込み用等の可塑性油脂組 物に好適に使用することができる。

 次に、本発明の可塑性油脂組成物について 明する。
 本発明の可塑性油脂組成物は、本発明の油 組成物を用いることを特徴とする。なお、 発明の油脂組成物を用いた本発明の可塑性 脂組成物とは、本発明の油脂組成物を油相 配合して調製した可塑性油脂組成物以外に 本発明の油脂組成物を構成する上記油脂A、 油脂B及び油脂Cを別々に油相に配合して調製 た可塑性油脂組成物も含むものである。

 本発明の可塑性油脂組成物は、油相中に 、油脂成分として本発明の油脂組成物を含 するものである。可塑性油脂組成物の油相 における油脂成分の合計量に対する油脂組 物の含量は、上記油脂A、油脂B及び油脂Cの 計含量で規定することができ、65~100質量%で あることが好ましく、70~100質量%であること より好ましく、80~100質量%であることが更に ましく、90~100質量%であることが更に一層好 ましく、100質量%(油相中の油脂成分が油脂A、 油脂B及び油脂Cのみからなる)であることが最 も好ましい。

 また、本発明の可塑性油脂組成物は、水相 有するものと、水相を有さないものとに大 される。
 水相を有する可塑性油脂組成物の形態とし は、油中水型乳化物、水中油型乳化物、二 乳化型乳化物が挙げられるが、油中水型乳 物であること好ましい。油中水型乳化物タ プの可塑性油脂組成物としては、マーガリ 、ファットスプレッドが挙げられる。

 可塑性油脂組成物が油中水型乳化物、水中 型乳化物、二重乳化型乳化物等である場合 油相の含量は、48~98質量%であることが好ま く、60~98質量%であることが好ましい、水相 含量は、2~52質量%であることが好ましく、2~ 40質量%であることがより好ましい。
 油相には、油脂成分(上記油脂A、油脂B及び 脂Cを含有する本発明の油脂組成物)、バタ 、乳化剤、香料等が配合される。水相には 水、食塩、脱脂粉乳、呈味成分等が配合さ る。
 可塑性油脂組成物の油相、水相の含量が上 範囲であると、得られる可塑性油脂組成物 可塑性及び口溶けのよいものとなる。

 水相を有さない可塑性油脂組成物の形態 しては、ショートニングが挙げられる。可 性油脂組成物がショートニングであるの場 、油相の含量は100質量%となる。ショートニ ングには、油脂成分(上記油脂A、油脂B及び油 脂Cを含有する本発明の油脂組成物)、乳化剤 が配合される。

 可塑性油脂組成物の油相には、本発明の 果を損なわない範囲において、油脂成分と て本発明の油脂組成物を構成する上記油脂A 、油脂B、油脂C以外のその他の油脂を含有さ ることもできる。油脂成分の合計量に対す その他の油脂の含量は、35質量%以下である とが好ましく、30質量%以下であることがよ 好ましく、20質量%以下であることが更に好 しく、10質量%以下であることが更に一層好 しく、0質量%(油相中の油脂成分が油脂A、油 脂B及び油脂Cのみからなる)であることが最も 好ましい。その他の油脂としては、例えば、 乳脂等が挙げられる。

 可塑性油脂組成物、特に、練り込み用可 性油脂組成物には、バター(脂肪分としては 乳脂のみからなる)を配合することもできる 可塑性油脂組成物中におけるバターの配合 は、5~30質量%であることが好ましく、5~20質 %であることがより好ましく、5~10質量%であ ことが更に好ましい。可塑性油脂組成物に 記範囲のバターを配合すると、得られる可 性油脂組成物が風味のよいものとなる。

 可塑性油脂組成物、特に、練り込み用可塑 油脂組成物には、呈味成分を配合すること できる。呈味成分としては、蛋白酵素分解 (例えば、大日本明治製糖株式会社製のコク ベース ラクティックイーストエキス等を使 することができる。)、バター酵素分解物( えば、バターバッズ社製のバターバッズ等 使用することができる。)等が挙げられる。 塑性油脂組成物中における呈味成分の配合 は、0.1~5質量%であることが好ましく、0.1~2 量%であることがより好ましく、0.3~1質量%で ることがより更に好ましい。可塑性油脂組 物に上記範囲の呈味成分を配合すると、得 れる可塑性油脂組成物が風味のよいものと る。
 特に、本発明の可塑性油脂組成物と、蛋白 素分解物やバター酵素分解物を組み合わせ と、油脂成分が植物油ベースであっても、 好なバター風味を有する可塑性油脂組成物 得られる。なお、可塑性油脂組成物中にお る蛋白酵素分解物とバター酵素分解物の配 比は、蛋白酵素分解物:バター酵素分解物の 質量比で、8:2~2:8であることが好ましい。

 可塑性油脂組成物には、乳化剤を配合す ことができる。乳化剤としては、ポリグリ リン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステ 、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベ ト、縮合リシノレイン脂肪酸エステル、グ セリン脂肪酸エステル等の合成乳化剤や、 豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシ ン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サ ニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等 合成乳化剤でない乳化剤が挙げられる。可 性油脂組成物中における乳化剤の配合量は 0.01~5質量%であることが好ましく、0.05~2質量 %であることがより好ましく、0.1~1質量%であ ことが更に好ましい。

 可塑性油脂組成物は、その他の成分とし 、通常、可塑性油脂組成物に配合される成 を配合することができる。その他の成分と ては、増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等 塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味 、糖類や糖アルコール類、ステビア、アス ルテーム等の甘味料、β‐カロテン、カラ ル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール 茶抽出物(カテキン等)、ルチン等の酸化防止 剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、 卵及び各種卵加工品、香料、全脂粉乳、脱脂 粉乳、乳清蛋白等の乳製品、調味料、pH調整 、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナ ツペースト、香辛料、ココアマス、ココア ウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介 等の食品素材や食品添加物が挙げられる。

 上記増粘安定剤としては、グアーガム、 ーカストビーンガム、カラギーナン、アラ アガム、アルギン酸類、ペクチン、キサン ンガム、プルラン、タマリンドシードガム サイリウムシードガム、結晶セルロース、 ルボキシメチルセルロース、メチルセルロ ス、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱 、化工澱粉等が挙げられる。

 本発明の可塑性油脂組成物において、上 その他の成分の含量は、好ましくは10質量% 下、更に好ましくは5質量%以下である。

 本発明の可塑性油脂組成物の製造方法は、 に制限されるものではなく、公知の方法に り製造することができる。
 具体的には、先ず、本発明の油脂組成物を む油相を溶解し、必要により水相を混合乳 した後、冷却し、結晶化させることで製造 ることができる。冷却、結晶化は、冷却可 化させることが好ましい。
 冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、更 好ましくは-5℃/分以上である。この際、徐 却より急冷却の方が好ましい。
 冷却する機器としては、密閉型連続式チュ ブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネ ター、パーフェクター等のマーガリン製造 やプレート型熱交換機等が挙げられる。ま 、冷却する機器としては、開放型のダイア ーラーとコンプレクターとの組合せも挙げ れる。
 また、油相の溶解後又は混合乳化後は、殺 処理することが望ましい。殺菌方法は、タ クでのバッチ式でも、プレート型熱交換機 掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構 ない。
 なお、本発明の油脂組成物は、油脂組成物 構成する上記油脂A、油脂B及び油脂Cを別々 油相に配合することもできる。

 本発明の可塑性油脂組成物は、その形状と て、シート状、ブロック状、円柱状、直方 状等様々な形状とすることができる。
 可塑性油脂組成物がロールイン用可塑性油 組成物の場合、シート状に成型されたもの あることが好ましい。シート状とした場合 幅は50~1000mmであることが好ましく、長さは5 0~1000mmであることが好ましく、厚さは1~50mmで ることが好ましい。

 本発明の可塑性油脂組成物は、トランス 肪酸を実質的に含有しないことが好ましい 本発明においてトランス脂肪酸を実質的に 有しないとは、可塑性油脂組成物における 構成脂肪酸中のトランス脂肪酸含量が、好 しくは10質量%未満、より好ましくは5質量% 満、更に好ましくは2質量%未満であることを 意味する。

 本発明の可塑性油脂組成物は、ロールイ 用可塑性油脂組成物、スプレッド用可塑性 脂組成物、練り込み用可塑性油脂組成物等 して用いることができる。

 ロールイン用可塑性油脂組成物は、デニ シュペストリー、クロワッサン、パイ等の 状小麦粉膨化食品の製造に好適に用いるこ ができる。ロールイン用可塑性油脂組成物 、伸展性がよく、べたつきがない等の作業 がよいものである。

 スプレッド用可塑性油脂組成物は、スプ ッドやフィリング材として用いることがで る。スプレッド用可塑性油脂組成物は、ス レッド性(伸び、広がり)、熱耐性、口溶け よいものである。

 練り込み用可塑性油脂組成物は、菓子や ンの製造に好適に用いることができる。練 込み用可塑性油脂組成物は、バターや呈味 分等を配合した場合に風味の発現がよいも である。また、練り込み用可塑性油脂組成 は、クリーミング性及び吸卵性のよいもの ある。クリーミング性がよいと、製造時の 業性がよいものとなる。吸卵性がよいと、 をより多く配合することも可能になるため バラエティーに富んだ配合での製造が可能 なる。

 次に、本発明の食品について説明する。
 本発明の食品は、本発明の可塑性油脂組成 を用いることを特徴とする。
 本発明の食品としては、デニッシュペスト ー、クロワッサン、パイ等の層状小麦粉膨 食品、スプレッド、フィリング材、菓子、 ン、バタークリーム等が挙げられる。
 また、本発明の食品への本発明の可塑性油 組成物の配合量は、使用される食品の種類 よって異なるため、特に制限されるもので ない。
 また、本発明の食品の製造方法は、特に制 されるものではなく、本発明の可塑性油脂 成物を用いること以外は、公知の原料を使 し、公知の配合、公知の方法により、製造 ることができる。

 デニッシュペストリー、クロワッサン、パ 等の層状小麦粉膨化食品の製造には、本発 のロールイン用可塑性油脂組成物を好適に いることができる。層状小麦粉膨化食品の 造に用いるロールイン用可塑性油脂組成物 、シート状であることが好ましい。
 層状小麦粉膨化食品は、例えば、シート状 ロールイン用可塑性油脂組成物を生地の間 挟み込み、その後、生地を複数回折りたた 、生地中にロールイン用可塑性油脂組成物 層状に折り込んだ後、生地を焼成すること より製造することができる。
 本発明のロールイン用可塑性油脂組成物を いて層状小麦粉膨化食品を製造すると、ロ ルイン用可塑性油脂組成物は伸展性がよく べたつきもないことから、作業性がよいも となる。また、本発明のロールイン用可塑 油脂組成物を用いて製造した層状小麦粉膨 食品は、浮きがよく、ジューシー感を有す ものとなる。

 スプレッド、フィリング材には、本発明の プレッド用可塑性油脂組成物を好適に用い ことができる。
 スプレッド及びフィリング材は、スプレッ 用可塑性油脂組成物をそのままスプレッド フィリング材として用いることもできる。 た、スプレッド及びフィリング材は、スプ ッド用可塑性油脂組成物とピーナツ、チョ レート等を混合して調製することもできる スプレッドは、パンや菓子等に塗って使用 れるものである。本発明の食品は、スプレ ドを塗ったパンや菓子等も含むものである フィリング材は、パンや菓子等に挟んで使 されるものである。また、本発明の食品は フィリング材を挟んだパンや菓子等も含む のである。
 本発明のスプレッド用可塑性油脂組成物を いて製造したスプレッド及びフィリング材 、スプレッド性、熱耐性及び口溶けのよい のとなる。

 菓子、パンには、本発明の練り込み用可塑 油脂組成物を好適に用いることができる。
 菓子やパンは、例えば、練り込み用可塑性 脂組成物を生地中に通常の方法で練り込ん 後、生地を焼成することにより製造するこ ができる。
 本発明の練り込み用可塑性油脂組成物を用 て製造される菓子やパンとしては、生地中 マーガリン、ファットスプレッド、ショー ニングが配合されるものであれば特に制限 されない。菓子の具体例としては、クッキ 、ビスケット、ケーキ等が挙げられる。
 本発明の練り込み用可塑性油脂組成物を用 て製造した菓子、パンは、バターや呈味成 等を配合した場合に風味の発現がよいもの なる。
 特に、本発明の練り込み用可塑性油脂組成 と、蛋白酵素分解物やバター酵素分解物を み合わせたものを使用すると、油脂成分が 物油ベースであっても、良好なバター風味 有する菓子やパンが得られる。なお、菓子 パンに用いる練り込み用可塑性油脂組成物 における蛋白酵素分解物とバター酵素分解 の配合比は、蛋白酵素分解物:バター酵素分 解物の質量比で、8:2~2:8であることが好まし 。

 バタークリームには、本発明の練り込み用 塑性油脂組成物を好適に用いることができ 。
 バタークリームは、例えば、練り込み用可 性油脂組成物を起泡させることにより製造 ることができる。バタークリームには、必 に応じて糖等を配合して起泡させることも きる。
 バタークリームは、パンや菓子等に塗った 、挟んだりして使用されるものである。ま 、本発明の食品は、バタークリームを塗っ り、挟んだりしたパンや菓子等も含むもの ある。
 本発明の練り込み用可塑性油脂組成物を用 て製造したバタークリームは、バターや呈 成分等を配合した場合に風味の発現がよい のとなる。

 次に、実施例及び比較例により本発明を 細に説明する。しかしながら、本発明はこ らの実施例になんら制限されるものではな 。

〔測定方法〕
 以下に示す油脂中の脂肪酸含量、油脂のヨ 素価、油脂中のトランス脂肪酸含量、油脂 のPPOとPOP含量の測定は以下の方法により測 した。
 油脂中の脂肪酸含量は、AOCS Ce1f-96に準じて 測定した。
 油脂のヨウ素価は、「社団法人 日本油化 会 基準油脂分析試験法2.3.4.1-1996」の方法に 準じて測定した。
 油脂中のトランス脂肪酸含量は、AOCS Ce1f-96 に準じて測定した。
 油脂中のPOP含量及びPPO含量は、JAOCS,vol70,11,1 111-1114(1993)を参考にしたガスクロマトグラフ ー法によるPOPとPPOの合計含量の分析、及びJ .High Resol.Chromatogr.,18,105-107(1995)を参考にした イオンカラム-高速液体クロマトグラフィー によるPOPとPPOの組成比の分析を組み合わせる ことにより測定した。

〔油脂Aの調製〕
 パームステアリン(ヨウ素価33、日清オイリ グループ株式会社社内製)10kgとパーム核オ イン(ヨウ素価25、ラウリン酸含量41質量%、 清オイリオグループ株式会社社内製)10kgとを 混合して減圧下115~120℃で加熱乾燥した後、 媒としてナトリウムメトキシド20gを添加し 30分間減圧下で攪拌しながらエステル交換反 応を進行させた。エステル交換反応終了後、 水洗、脱色した後、ニッケル触媒を用いて160 ~200℃にて水素添加を行い、ヨウ素価を2以下 調整した。ヨウ素価が2以下になったのを確 認した後、温度を100℃以下に下げ、ニッケル 触媒をろ過により除去し、脱色、脱臭を行う ことで、油脂A(ヨウ素価0.1、炭素数12~14の飽 脂肪酸含量31.0質量%、炭素数16~18の飽和脂肪 含量64.7質量%)を得た。

〔油脂a〕
 油脂aとして、パームステアリン(ヨウ素価33 、炭素数12~14の飽和脂肪酸含量1.4質量%、炭素 数16~18の飽和脂肪酸含量65.9質量%、日清オイ オグループ株式会社社内製)を使用した。

〔油脂B-1の調製〕
 油脂B-1として、パーム油(ヨウ素価52、商品 ;精製パーム油、日清オイリオグループ株式 会社製)を分別して得られた軟質部であるパ ムオレインを、さらに分別して得られた硬 部であるパームミッドフラクション(ヨウ素 45、パルミチン酸含量48.0質量%、ステアリン 酸含量4.9質量%、オレイン酸含量37.7質量%、日 清オイリオグループ株式会社社内製)を得た

〔油脂B-2の調製〕
 油脂B-2として、パーム油(ヨウ素価52、商品 ;精製パーム油、日清オイリオグループ株式 会社製)を分別して得られた軟質部であるパ ムオレインを、さらに分別して得られた軟 部であるパームスーパーオレイン(ヨウ素価6 5、パルミチン酸含量33.0質量%、ステアリン酸 含量3.6質量%、オレイン酸含量47.6質量%、日清 オイリオグループ株式会社社内製)を得た。

〔油脂B-3の調製〕
 パーム油(ヨウ素価52、商品名;精製パーム油 、日清オイリオグループ株式会社製)を分別 て得られた軟質部であるパームオレイン(ヨ 素価56)20kgを、115-120℃で減圧乾燥し、ナト ウムメトキシド20gを
添加し、30分間減圧下で攪拌し、エステル交 反応を進行させた。エステル交換反応終了 、水洗、脱色、脱臭を行うことで、油脂B-3( ヨウ素価56、パルミチン酸含量39.8質量%、ス アリン酸含量4.4質量%、オレイン酸含量42.6質 量%、日清オイリオグループ株式会社社内製) た。

〔油脂B-4〕
 パーム油(ヨウ素価52、商品名:精製パーム油 、パルミチン酸含量43.8質量%、ステアリン酸 量4.4質量%、オレイン酸含量39.7質量%、日清 イリオグループ株式会社製)を油脂B-4とした 。

〔油脂C-1〕
 油脂C-1として、菜種油(商品名:日清菜種サ ダ油、日清オイリオグループ株式会社製)を いた。菜種油は、5℃において液状で、透明 性を有するものであった。

〔油脂C-2〕
 油脂C-2として、大豆油(商品名:日清大豆白 油、日清オイリオグループ株式会社製)を用 た。大豆油は、5℃において液状で、透明性 を有するものであった。

〔その他油脂〕
 その他油脂として、バター(商品名:明治醗 バター、明治乳業株式会社製)、パーム油の 度硬化油(商品名:パーム極度硬化油、横関 脂株式会社製)、大豆油の硬化油(商品名:大 硬化油40、日清オイリオグループ株式会社製 )を用いた。

(ロールイン用マーガリンの調製)
 以下の表1及び表2に示す配合で、油脂組成 を構成する油脂A、油脂B-1、油脂B-2、油脂B-3 油脂C-1、油脂C-2、油脂aと、乳化剤、香料を 混合することで油相を調製した。次に、以下 の表1及び表2に示す配合で水相を調製し、調 した油相と水相とを以下の表1及び表2に示 配合比で混合して予備乳化を行った。得ら た予備乳化物を、コンビネーターを用いて 冷可塑化した後、レスティングチューブを してシート状に成型することで、実施例1~5 び比較例1~5のロールイン用マーガリンを得 。得られたシート状のロールイン用マーガ ンの大きさは、幅220mm、長さ300mm、厚さ10mmで あった。
 なお、実施例1~5及び比較例1~5のロールイン マーガリン中のトランス脂肪酸含量は、全 1質量%未満であった。
 また、ロールイン用マーガリンを構成する 脂組成物の配合及び油脂組成物中のPPO/POPを 表1-1及び表2-1に示した。

 実施例1~5及び比較例1~5のロールイン用マ ガリンを用いて、表3の配合で下記製法によ り、クロワッサンを製造した。クロワッサン の製造におけるロールイン時の作業性(マー リンの伸展性、べたつき)を下記評価基準に り比較評価した。また、焼成したクロワッ ンの生地浮き及びジューシー感を下記評価 準により比較評価した。なお、評価結果は 10名のパネラーの比較評価結果の総合評価 した。結果を以下の表1及び表2に示した。

<クロワッサンの製法>
 上記の配合で生地を調製し、得られた生地3 kgにシート状に成型したロールイン用マーガ ン750gをのせ、常法に従い、ロールイン用マ ーガリンを生地に折り込み、成型の後、焼成 してクロワッサンを製造した。

<ロールイン時のマーガリンの伸展性の評 基準>
◎ :ひび割れがなく薄く伸び、良好
○ :ひび割れがなく良好
△ :若干のひび割れが起こり、やや不良
× :ひび割れが起こり、不良

<ロールイン時のマーガリンのべたつきの 価基準>
◎ :べたつきなく薄く伸び、良好
○ :べたつきなく良好
△ :若干べたつきが起き、やや不良
× :べたつきが起き、不良

<クロワッサンの生地浮きの評価基準>
◎ :非常に生地浮きが良く、ほとんどの生地 と生地の間に十分な隙間があり良好
○ :生地浮きが良く、生地と生地の間に隙間 がある
△ :生地浮きが悪く、生地と生地の間に十分 な隙間の無い部分が多い
× :生地浮きが悪く、ほとんどの生地と生地 間に十分な隙間が無い

<クロワッサンのジューシー感の評価基準&g t;
◎ :ジューシー感が強く、非常に良好
○ :ジューシー感があり良好
△ :若干パサパサ感あり
× :パサパサ感あり

 表1から分かるように、実施例のロールイ ン用マーガリンは、作業性(ロールイン時の ーガリンの伸展性、べたつき)に優れていた また、実施例のロールイン用マーガリンを いて製造したクロワッサンは、生地浮きに れると共に、ジューシー感を有していた。

 一方、表2から分かるように、比較例のロー ルイン用マーガリンの場合、全ての評価項目 が満足いくものはなかった。
 PPO/POPが1.00を超える比較例1のロールイン用 ーガリンの場合、該マーガリンを用いて製 したクロワッサンは、ジューシー感が満足 くものではなかった。
 PPO/POPが1.00を超える比較例2のロールイン用 ーガリンの場合、該マーガリンを用いて製 したクロワッサンは、ジューシー感及び生 浮きが満足いくものではなかった。
 PPO/POPが0.15未満である比較例3のロールイン マーガリンの場合、全て評価項目が満足い ものではなかった。
 油脂Cが40質量%を超える比較例4のロールイ 用マーガリンの場合、ロールイン時のマー リンのべたつきが満足いくものではなく、 た、該マーガリンを用いて製造したクロワ サンの生地浮きも満足いくものではなかっ 。
 油脂Aを配合していない比較例5のロールイ 用マーガリンの場合、ロールイン時の伸展 が満足いくものではなく、また、該マーガ ンを用いて製造したクロワッサンの生地浮 及びジューシー感も満足いくものではなか た。

 (スプレッドの調製)
 以下の表4及び表5に示す配合で、油脂組成 を構成する油脂A、油脂B-1、油脂B-2、油脂B-3 油脂C-1、油脂C-2、油脂aと、乳化剤、香料を 混合することで油相を調製した。次に、以下 の表4及び表5に示す配合で水相を調製し、調 した油相と水相とを以下の表4及び表5に示 配合比で混合して予備乳化を行った。得ら た予備乳化物を、オンレーターを用いて急 可塑化することで、実施例6~8及び比較例6~10 スプレッドを得た。
 なお、実施例6~8及び比較例6~10のスプレッド 中のトランス脂肪酸含量は、全て1質量%未満 あった。
 また、スプレッドを構成する油脂組成物の 合及び油脂組成物中のPPO/POPを表4-1及び表5-1 に示した。

 実施例6~8及び比較例6~10のスプレッドを用 いて、口溶け、スプレッド性及び熱耐性を下 記評価基準により比較評価した。なお、評価 結果は、10名のパネラーにおける比較評価結 の総合評価とした。結果を以下の表4及び表 5に示した。

<スプレッドの口溶けの評価基準>
◎ :口中でほとんど抵抗なく短時間で溶け、 良好
○ :口中で短時間で溶け、良好
△ :口中で溶けるのにやや時間がかかり、や や不良
× :口中で溶け残りやべたつきがあり、不良

<スプレッドのスプレッド性>
◎ :抵抗なく薄く均一に伸び、良好
○ :薄く均一に伸び、良好
△ :やや抵抗があり伸びにくく、やや不良
× :抵抗があり均一に伸びず、不良

<スプレッドの熱耐性の評価基準>
◎ :20℃で1週間保管した際に液油の分離が起 きない
△ :20℃で1週間保管した際に若干液油の分離 が起きる
× :20℃で1週間保管した際に液油の分離が起 る

 表4から分かるように、実施例のスプレッ ドは、口溶け、スプレッド性及び熱耐性に優 れていた。

 一方、表5から分かるように、比較例のスプ レッドの場合、全ての評価項目が満足いくも のはなかった。
 PPO/POPが0.15未満である比較例6のスプレッド 場合、口溶け及び熱耐性が満足いくもので なかった。
 PPO/POPが1.00を超える比較例7のスプレッドの 合、全て評価項目が満足いくものではなか た。
 PPO/POPが0.15未満である比較例8のスプレッド 場合、全て評価項目が満足いくものではな った。
 油脂Cが40質量%を超える比較例9のスプレッ の場合、全て評価項目が満足いくものでは かった。
 油脂Aを配合していない比較例10のスプレッ の場合、口溶け及びスプレッド性が満足い ものではなかった。

 (バター風味マーガリンの調製)
 以下の表6及び表7に示す配合で、油脂組成 を構成する油脂A、油脂B-1、油脂B-2、油脂B-3 油脂B-4、油脂C-2と、バター、乳化剤、香料 着色料を混合することで油相を調製した。 に、以下の表6及び表7に示す配合で水相を 製し、調製した油相と水相とを以下の表6及 表7に示す配合比で混合して予備乳化を行っ た。得られた予備乳化物を、オンレーターを 用いて急冷可塑化することで、実施例9~13及 比較例11~12のバター風味マーガリンを得た。 蛋白酵素分解物は、大日本明治製糖株式会社 製のコクベース ラクティックイーストエキ を使用し、バター酵素分解物は、バターバ ズ社製のバターバッズを使用した。
 なお、実施例9~13及び比較例11のバター風味 ーガリン中のトランス脂肪酸含量は、全て1 質量%未満であった。また、比較例12のバター 風味マーガリン中のトランス脂肪酸含量は、 12.8質量%であった。
 また、バター風味マーガリンを構成する油 組成物の配合及び油脂組成物中のPPO/POPを表 6-1及び表7-1に示した。

 実施例9~13及び比較例11、12のバター風味 ーガリンを用いて、クリーミング性及び吸 性を下記試験方法により比較評価した。ま 、表8の配合で下記製法により、クッキーを 造し、焼成したクッキーの風味を下記評価 準により比較評価した。なお、焼成したク キーの風味の評価結果は、10名のパネラー 比較評価結果の総合評価とした。結果を以 の表6及び表7に示した。

<クリーミング性及び吸卵性試験方法>
 マーガリン200gと篩いにかけた上白糖200gと ホバートミキサーN-50(ビーター使用)で比重 0.75になるまで攪拌した。1速(低速)で攪拌し がら、少しずつ溶いた全卵をマーガリンと が分離しかかる直前まで加えていき、加え 卵の重量を測定した。クリーミング性は、 重が0.75になるまで時間で評価した。吸卵性 は、下記式及び評価基準から評価した。
  吸卵性=加えた卵の全重量(g)/マーガリン重 量(200g)

<クリーミング性の評価基準>
良好 :5分未満
普通 :5分以上~10分未満
不良 :10分以上

<吸卵性の評価基準>
良好 :0.8以上
普通 :0.5以上0.8未満
不良 :0.5未満

<クッキーの製法>
 クッキーを表8の配合にて、シュガーバッタ ー法で作製した。

<クッキーの風味の評価基準>
◎ :バター風味が良く出ていて、大変よい
○ :バター風味の出方は普通
△ :バター風味の出方があまり良くない
× :バター風味の出方が良くなく、不良

 表6から分かるように、実施例のバター風 味マーガリンは、クリーミング性及び吸卵性 に優れていた。また、実施例のバター風味マ ーガリンを用いて製造したクッキーは、バタ ー風味の発現がよいものであった。

 一方、表7から分かるように、油脂A及び液 油を配合しておらず、PPO/POPも0.15未満である 比較例11のバター風味マーガリンの場合、全 の評価項目で満足いくものはなかった。
 また、油脂Aを配合しておらず、PPO/POPも0.15 満である比較例12のバター風味マーガリン 、風味が満足いくものではなかった。また 比較例12のバター風味マーガリンは、トラン ス脂肪酸含量も高く、好ましいものではなか った。