Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PLATE BRICK AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119683
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a plate brick which has a long service life and which when used does not generate much smoke or gas having an irritating odor. The plate brick is made by adding an organic binder to a fire-retardant compound of raw materials comprising from 0.5 to 20 mass% of aluminum and/or aluminum alloy, mixing and then forming the result, and performing heat treatment at a temperature between 400°C and 1000°C. The plate brick is not subsequently impregnated with a carbon-containing liquid substance such as tar or pitch. The compressive strength is at least 180 MPa, and the weight increase percentage in a digestion trial by autoclave is 1% or less.

Inventors:
SHIN YASUAKI (JP)
ITO KAZUO (JP)
ICHIMARU MICHIHIKO (JP)
WAKITA TAMOTSU (JP)
ASAI MASAMICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055991
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 25, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
KROSAKIHARIMA CORP (JP)
SHIN YASUAKI (JP)
ITO KAZUO (JP)
ICHIMARU MICHIHIKO (JP)
WAKITA TAMOTSU (JP)
ASAI MASAMICHI (JP)
International Classes:
C04B35/00; B22D11/10; B22D41/32; C22C21/06
Foreign References:
JP2000094121A2000-04-04
JPH01313358A1989-12-18
JPS6029664B21985-07-11
JPS60200857A1985-10-11
JPS5565348A1980-05-16
JPH01103952A1989-04-21
Attorney, Agent or Firm:
KOHORI, Susumu et al. (JP)
Kobori Value (JP)
Download PDF:
Claims:
 アルミニウム及び/またはアルミニウム合金を0.5~20質量%含有する耐火原料配合物に有機バインダーを添加し、混練後、成形し、400℃以上1000℃以下で熱処理し、その後、タール、ピッチ等の炭素質含有液状物を含浸させないプレートれんがであって、圧縮強度が180MPa以上、かつオートクレーブによる消化試験での重量増加率が1%以下のプレートれんが。
 前記熱処理の温度が400℃以上800℃以下である請求項1に記載のプレートれんが。
 有機バインダーとしてフェノール樹脂と珪素樹脂とを併用使用した請求項1または2に記載のプレートれんが。
 プレートれんが中のアルミニウムの含有率が0.5質量%以上3.5質量%以下である請求項3に記載のプレートれんが。
 1000℃で発生するガス量が0.5cc/1g以上8cc/1g以下、見掛け気孔率が2~10%である請求項4に記載のプレートれんが。
 アルミナ系原料を75~97質量%、アルミニウム及び/またはアルミニウム合金を0.5~20質量%、シリコン、粘土、炭化珪素、及び炭化硼素のうち1種以上を0.1~15質量%含有する耐火原料配合物に有機バインダーを添加し、混練後、成形し、熱処理するプレートれんがの製造方法において、耐火原料配合物中のアルミニウム含有率に対する熱処理後のプレートれんが中のアルミニウム含有率の割合が20%以上60%以下となる条件で熱処理を行い、その後、タール、ピッチ等の炭素質含有液状物を含浸させないプレートれんがの製造方法。
 アルミナ系原料として、ジルコニア結晶及びムライトを主成分とし、残部がコランダム及び/またはマトリックスガラスからなる溶融法によって得られるジルコニアムライトであって、共晶ジルコニア結晶の結晶粒径が1.0μm以下、かつマトリックスガラスの含有量が5質量%以下である高性能ジルコニアムライトを10~40質量%使用する請求項6に記載のプレートれんがの製造方法。
Description:
プレートれんが及びその製造方

 本発明は、鉄鋼業などにおいて溶融金属 流量制御のために、スライディングノズル 置等に使用されるプレートれんが及びその 造方法に関する。

 溶鋼の流量制御のためのスライディング ズル装置には、耐火物製のプレートれんが 使用される。このプレートれんがとしては アルミナ・カーボン系の材料が一般的に使 され、その製法から不焼成品と焼成品とに 別される。通常、不焼成品は成形後に100~300 ℃で熱処理を行うことで製造される。焼成品 は、1000℃以上の高温で焼成し、焼成後、ピ チあるいはタール等を含浸することで製造 れる。

 しかし、これらのプレートれんがには使 時に発煙や刺激臭を発生する問題がある。 焼成品ではバインダーとしてのフェノール 脂の分解ガスが発生し、焼成品では含浸さ たタール等の分解ガスが発生するためであ 。

 そこで、分解ガスの発生の少ないプレー れんがとして、熱処理をこれらの中間とな 400~1000℃で行ういわゆる軽焼品が過去研究 れている。

 例えば特許文献1には、耐火原料、フェノ ール系レジン、及び球状のアトマイズ粉から なるアルミニウム粉末の配合物を混練、成形 した後、550~650℃の温度で加熱処理する製造 法が記載されている。加熱処理温度が550℃ 満では、フェノール系レジンの耐酸化性が ると共に分解ガスが発生し、使用時に臭気 発生し、650℃を超えると炭化アルミニウム 生成するとされている。また、炭化アルミ ウムが生成すると、常温、常圧下で水と容 に反応して水酸化アルミニウムを生成し、 積膨張と重量増加を伴うため、保管中にプ ートが崩壊してしまうことが多いとされて る。

 特許文献2には、耐火性無機材料骨材90~99. 5重量%と、アルミニウムまたはアルミニウム 金のファイバー0.5~10質量%からなる配合物に 、フェノール樹脂を添加して、700℃、850℃、 あるいは1000℃で熱処理することが記載され いる。アルミニウムまたはアルミニウム合 の融点(アルミニウムの場合は660℃)以上で熱 処理することで、周囲組織の粒間にアルミニ ウムを浸透させ、耐火物の強度を飛躍的に向 上させることができ、しかも耐スポーリング 性も大幅に高めることができるとされている 。また、熱処理温度が1000℃よりも高くなる 、ファイバーとしての良好な特性を保持で なくなり、ファイバーと粉末との特性上の が無くなり、しかも、アルミニウムの浸透 進行してファイバーの存在していた箇所に 隙が生じ、むしろ耐食性が劣化することが るとされている。

 特許文献3には、耐火性無機原料、炭素質原 料及び金属質原料からなり、それらの原料は 、粒子径が0.1μm以上4000μm以下である連続粒 分布系を構成し、フェノール樹脂を加えて 非酸化性雰囲気にて800~1500℃で焼成し、かつ 含浸処理を行わない製造方法が記載されてい る。また、その実施例には、850℃で焼成され 、見掛気孔率が5.0%の耐火物が記載されてい 。

特開2000-94121号公報

特開平1-313358号公報

特開平11-199328号公報

 特許文献1の製造方法においては、使用時 の分解ガスの発生は少なくなるものの、従来 の焼成含浸品と比較すると耐用性にかなり劣 る。その理由は、結合組織であるフェノール 樹脂が分解揮発するためポーラスな組織とな り、強度が不足しているためである。また、 熱処理温度の上限が650℃と低いため、アルミ ニウムの溶融や反応による強度発現効果が不 十分なこともある。

 一方、特許文献2や特許文献3に記載され いるようにアルミニウムの融点660℃以上で10 00℃以下の温度にて熱処理した場合には、特 文献1と比較するとアルミニウムの溶融や反 応によりプレートれんがの強度は向上する。 しかしながら、その熱処理温度によってプレ ートれんがの耐用性が大きく異なり、必ずし も十分な耐用性のあるプレートれんがが得ら れない。

 そこで本発明が解決しようとする課題は 使用時に発煙や刺激臭のあるガスの発生量 少なく、しかも高耐用なプレートれんが、 びその製造方法を提供することにある。

 プレートれんがの製造時の熱処理温度が4 00~1000℃の場合、その熱処理時に、アルミニ ムの溶融、炭化アルミニウムの生成、その のアルミニウム化合物の生成などが生じる このため、熱処理後のプレートれんがの特 が熱処理温度によって大きく異なる。した って、従来のプレートれんがの製造方法に いては、その熱処理条件によって耐用性が きく異なるものが得られていた。

 そこで本発明者は、400~1000℃の様々な温 で熱処理したプレートれんがにおいて実炉 ストを行い、発煙及び刺激臭、並びに耐用 について調査を行った。その結果、従来と 較して発煙や刺激臭のあるガスの発生量が なく、しかも高耐用なプレートれんがとし は、ある特定の特性を具備するプレートれ がが有用であるという知見を得た。

 すなわち、本発明のプレートれんがは、 ルミニウム及び/またはアルミニウム合金を 0.5~20質量%含有する耐火原料配合物に有機バ ンダーを添加し、混練後、成形し、400℃以 1000℃以下で熱処理し、その後、タール、ピ チ等の炭素質含有液状物を含浸させないプ ートれんがであって、圧縮強度が180MPa以上 かつオートクレーブによる消化試験での重 増加率が1%以下であることを特徴とするも である。

 プレートれんがの製造時の熱処理温度が4 00℃を超えると、熱処理中にフェノール樹脂 の有機バインダーが分解し揮発するため、 織がポーラスになり低強度になる。このた プレートれんがの耐用性が低下する。一方 熱処理温度がある程度の温度以上になると ルミニウム及び/またはアルミニウム合金が 溶融したり、反応したりするため強度が向上 してくる。したがって、プレートれんがが十 分な耐用性を持つためには、圧縮強度が180MPa 以上必要である。180MPa未満では使用時の強度 が不十分で割れや摩耗等により耐用性が不十 分となる。

 本発明のプレートれんがは、アルミニウ 及び/またはアルミニウム合金を0.5~20質量% 有する耐火原料配合物を使用し、400℃以上10 00℃以下で熱処理しているため、熱処理温度 高い場合などの製造条件によってはアルミ ウムが反応しすぎて炭化アルミニウムの生 が過剰になる場合がある。炭化アルミニウ が過剰に生成すればプレートれんがの耐消 性が低下する。耐消化性が不十分な場合に 保管中に組織に亀裂が生じるため、強度が 下して耐用性が低下する。とくに高温で多 になる環境では短期間の保管であっても消 が発生する。具体的には、オートクレーブ よる消化試験での重量増加率が1%を超える 、プレートれんがが保管されている間に消 を生じることがある。

 また、本発明のプレートれんがは、その 造時の熱処理温度を400℃以上800℃以下とす こともできる。熱処理温度が800℃を超える 炭化アルミニウムが過剰に発生しやすくな ためである。

 本発明のプレートれんがに使用される有 バインダーとしては、フェノール樹脂と珪 樹脂とを併用使用することができる。熱処 温度が400℃以上1000℃以下で熱処理されるプ レートれんがの有機バインダーとしてこれら を併用使用することで、炭化アルミニウムの 耐消化性をより高める効果がある。しかも、 組織が緻密化し、高強度なプレートれんがと することができる。

 本発明のプレートれんがは、有機バイン ーを使用しているため、熱処理温度が低す るとプレートれんが中に有機バインダー起 のガスが発生する。本発明のプレートれん において1000℃で発生するガス量は0.5cc/1g以 8cc/1g以下とすることが好ましい。ガス発生 が8cc/1g以下であれば、実際の現場で使用し もプレートれんがの使用時に発煙が少なく り、人が不快と感じるほどの異臭もほとん ない。一方、ガス発生量が0.5cc/1g未満では 使用時のプレートれんが表面におけるガス 形成が不十分となり、溶融金属に対する化 的侵食を低減する効果が少なくなり、耐用 が不十分となることがある。

 また、本発明のプレートれんがは、有機 インダーを使用しているため、熱処理温度 高くなれば気孔率が増加する。気孔率が高 ぎると気孔へスラグ成分がより多く浸透す ため耐食性が低下する。このため見掛け気 率は、低い方が耐用性が向上するため2~10% 好ましく、より好ましくは4~8%である。見掛 気孔率が、2%未満では組織が緻密になりす て耐熱衝撃性が不足することがあり、10%を えると組織がポーラスになって耐食性が不 分となることがある。

 また、プレートれんが中のアルミニウム 含有率は、0.5質量%以上3.5質量%以下が好ま い。熱処理後にアルミニウムを残存させる とは、実用時に熱負荷の大きな箇所へ残存 ルミニウムが選択的に移動し、自己含浸し 緻密さを維持し、耐用性を向上させる効果 ある。0.5質量%以下では耐用性が低下傾向と り、3.5質量%を超えると使用時の受熱によっ て炭化アルミニウムやアルミナに変化し、組 織が緻密になりすぎて耐熱衝撃性が低下する ため、耐用性が低下傾向になる。

 さらに、本発明者の研究によって、熱処 前後のプレートれんが中のアルミニウムの 化率が、プレートれんがの耐用性及び使用 の発煙に大きく影響を与えることもわかっ 。そして、上記の特性を満足するプレート んがは例えば以下のような製造方法で製造 ることができることがわかった。

 その製造方法とは、アルミナ系原料を75~9 7質量%、アルミニウム及び/またはアルミニウ ム合金を0.5~20質量%、シリコン、粘土、炭化 素、及び炭化硼素のうち1種以上を0.1~15質量% 含有する耐火原料配合物に有機バインダーを 添加し、混練後、成形し、熱処理するプレー トれんがの製造方法において、耐火原料配合 物中のアルミニウム含有率に対する熱処理後 のプレートれんが中のアルミニウム含有率の 割合が20%以上60%以下となる条件で熱処理を行 い、その後、タール、ピッチ等の炭素質含有 液状物を含浸させないことを特徴とするもの である。

 本発明において、アルミニウム及びアル ニウム合金は、上述のとおり耐用性向上の 的、より具体的には他の耐火原料、雰囲気 ス、及び/または有機バインダー等と反応す ることで結合組織を形成し強度を向上する目 的、並びに使用中の酸化を防止する目的で配 合する。アルミニウム及びアルミニウム合金 の配合量は、0.5質量%未満ではその効果が不 分であり、20質量%を超えると耐熱衝撃性が 下する。ここで、アルミニウム合金として 、Al-Mg合金、Al-Si合金、及びAl-Mg-Si合金のう の1種以上であって、しかも強度向上効果の からAl含有率が30質量%以上のものを使用す ことが好ましい。

 また、本発明の製造方法においては、耐 原料配合物中のアルミニウム含有率(A質量%) に対する熱処理後のプレートれんが中のアル ミニウム含有率(B質量%)の割合((B/A)×100))が20% 上60%以下となる条件で熱処理を行う。前記 合が20%未満となる条件の熱処理では、溶損 大きくなり耐用性が低下する。一方、前記 合が60%超となる条件の熱処理では、アルミ ウム及び/またはアルミニウム合金の反応が 不十分となり強度が不足すると共にプレート れんがの面荒れが大きくなって耐用性が不足 し、しかも使用時のガス発生が多くなる。な お、耐火原料配合物中のアルミニウム含有率 とは、耐火原料として使用されるアルミニウ ム及びアルミニウム合金中の化学成分として のアルミニウム(Al)の含有率のことである。 ルミニウムとアルミニウム合金を併用使用 る場合には、アルミニウム含有率はそれぞ のAl成分の合量とする。また、プレートれん が中のアルミニウム含有率とは、プレートれ んがに含まれる金属としてのAlの含有率をい 。

 本発明の製造方法において、シリコン、 土、炭化珪素、及び炭化硼素のうち1種以上 が0.1質量%未満では耐消化性が不十分となり 15質量%を超えると使用時に過焼結となり耐 ポーリング性が低下する。

 さらに、本発明の製造方法においては、 ルミナ原料として、ジルコニア結晶及びム イトを主成分とし、残部がコランダム及び/ またはマトリックスガラスからなる溶融法に よって得られるジルコニアムライトであって 、共晶ジルコニア結晶の結晶粒径が1.0μm以下 、かつマトリックスガラスの含有量が5質量% 下である高性能ジルコニアムライトを10~40 量%使用することができる。この高性能ジル ニアムライトは、従来のジルコニアムライ よりも熱膨張率が小さいため、極めて耐用 に優れるプレートれんがが得られる。

 本発明のプレートれんがは、タールやピ チ等を含浸させることなく、従来のタール ピッチを含浸させたプレートれんがと同等 耐用性を示す。

 そして、有機バインダー由来の有害物は 処理によりほとんどが揮発し、しかもター やピッチ等を含浸させないため、使用時に 害ガスの発生が非常に少なく、人体や自然 境に与える悪影響を少なくできる。

 また、本発明のプレートれんがの製造方 によれば、熱処理後のアルミニウムの含有 を制御することで、使用時に発煙や刺激臭 あるガスの発生が少なく耐用性に優れたプ ートれんがをより確実にしかも安定して製 することができる。

 さらに、耐火原料配合物に高性能ジルコ アムライトを配合することで、より耐熱衝 性が向上し耐用性の高いプレートれんがを 造することができる。

 本発明のプレートれんがは、アルミニウ 及び/またはアルミニウム合金を0.5~20質量% 有する耐火原料配合物に有機バインダーを 加し、混練後、成形し、400℃以上1000℃以下 処理して、タールやピッチ等を含浸しない 造方法において、製造条件を検討すること 製造される。

 具体的には以下の本発明の製造方法によ て本発明のプレートれんがを得ることがで る。

 本発明のプレートれんがの製造方法は、 火原料配合物中に、アルミニウム及び/また はアルミニウム合金を0.5~20質量%配合する。 ルミニウム及びアルミニウム合金は、他の 属と比較して、有機バインダーと組み合わ ることで400~1000℃の熱処理後に高い強度向上 効果を奏する。アルミニウム及びアルミニウ ム合金としては、一般的に耐火物の原料とし て使用されているものを使用することができ 、その形態としてはフレーク、アトマイズ、 あるいはファイバーなどを使用することがで きる。また、アルミニウム合金としては、Al- Mg合金、Al-Si合金、及びAl-Mg-Si合金のうちの1 以上であって、強度向上効果の面からAl含有 率が30質量%以上のものを使用する。これらの アルミニウム合金もアルミニウムと同様に、 使用時の酸化防止効果、さらには製造時には 400~1000℃で有機バインダー、雰囲気ガスある は他の耐火原料等と反応することで強度向 効果を奏する。

 アルミニウム及び/またはアルミニウム合 金の耐火原料配合物中の配合量は、0.5~20質量 %とする。より好ましくは、アルミニウムを 独使用する場合は0.5~10質量%、アルミニウム 金を単独使用する場合は0.5~20質量%、アルミ ニウムとアルミニウム合金とを併用使用する 場合はこれらの合量が1~20質量%とする。

 そのほか耐火原料配合物中には、耐火物 原料として一般的に使用されているもので れば問題なく配合でき、例えば、アルミナ 原料、金属、炭素質原料、粘土、炭化珪素 び炭化硼素を使用できる。

 アルミナ系原料としては、アルミナ、ム イト、アルミナマグネシアスピネル、ジル ニアムライト、及びアルミナジルコニアの ち1種以上を使用することができる。

 さらにジルコニアムライトとしては、ジ コニア結晶及びムライトを主成分とし、残 がコランダム及び/またはマトリックスガラ スからなる溶融法によって得られるジルコニ アムライトであって、共晶ジルコニア結晶の 結晶粒径が1.0μm以下、かつマトリックスガラ スの含有量が5質量%以下である高性能ジルコ アムライトを使用することができる。この 性能ジルコニアムライトは、例えばPCT/JP2009 /051632で開示されたものを使用することがで る。

 本発明においては、さらに耐熱衝撃性を 要とする使用条件では、この高性能ジルコ アムライトを使用することで、耐熱衝撃性 向上させることがで、従来の焼成含浸品並 の耐用性を備えることができる。

 アルミニウム及びアルミニウム合金以外 金属としては、クロム、クロム合金、マグ シウム、鉄、ニッケル、及びシリコンのう 1種以上を0.1~10質量%使用することができる とくにシリコンは耐消化性を向上する効果 高い点からより好ましい。

 炭素質原料としては、黒鉛、ピッチ、及 カーボンブラックのうち1種以上を0.1~10質量 %使用することができる。炭素質原料は耐熱 撃性を向上させる効果がある。

 粘土、炭化珪素及び炭化硼素のうち1種以 上は、アルミニウム及び/またはアルミニウ 合金と併用使用することで、プレートれん の耐酸化性及び耐消化性を向上させること できる。粘土、炭化珪素及び炭化硼素のう 1種以上は0.1~10質量%使用することができる。

 これらのシリコン、粘土、炭化珪素及び 化硼素のうち1種以上を耐火原料配合物中に 0.1~15質量%の割合で使用することで、耐消化 と耐酸化性をより向上することができる。 なわち、耐火原料配合物は、アルミナ系原 を75~97質量%、アルミニウム及び/またはアル ニウム合金を0.5~20質量%、シリコン、粘土、 炭化珪素及び炭化硼素のうち1種以上を0.1~15 量%とすることがより好ましい。

 耐火原料配合物の粒度構成は、タールや ッチ等の炭素質含有液状物の含浸を不要と るために熱処理時のアルミニウムの反応に る緻密化と高強度化を考慮して設計するこ がより好ましい。これによって、低気孔率 強度と耐熱衝撃性をバランス良く具備する レートれんがを得ることができる。具体的 は、粒径1mm以上3mm以下が15~45質量%、粒径100 m以上1mm未満が20~40質量%、粒径10μm以上100μm 満が10~30質量%、粒径10μm未満が10~30質量%とな るようにすることが好ましい。粒径1mm以上3mm 以下の粗粒部は15質量%未満になると弾性率が 上昇し耐熱衝撃性が低下傾向となり、45質量% を超えると組織がポーラスになり耐食性が低 下傾向となる。粒径100μm以上1mm未満の中間粒 部は、20質量%未満では耐熱衝撃性が低下傾向 となり、40質量%を超えると組織がポーラスに なり強度及び耐食性が低下傾向となる。粒径 10μm以上100μm未満の微粉部は10質量%未満では 織がポーラスになり強度及び耐食性が低下 向となり、30質量%を超えると耐熱衝撃性が 下傾向となる。粒径10μm以下の超微粉部は10 質量%未満では組織がポーラスになり強度が 下傾向となり、30質量%を超えると組織が緻 になりすぎて耐熱衝撃性が低下傾向となる

 本発明では、このような耐火原料配合物 有機バインダーを添加し、混練し、フリク ョンプレスあるいは油圧プレスなどにより 定形状に成形し、熱処理する。

 耐火原料配合物に添加する有機バインダ としては、耐火物のバインダーとして一般 に使用されているフェノール樹脂、フラン 脂、及び珪素樹脂等のうち1種以上を使用す ることができる。これらの有機バインダーは 、エチレングリコール等の溶媒に希釈して粘 度を調整して使用しても良い。

 これらの有機バインダーのなかでも、フ ノール樹脂と珪素樹脂とを併用使用するこ がより好ましい。これによって、プレート んがを400~1000℃で熱処理した場合の耐消化 を飛躍的に向上させることができる。従来 珪素樹脂は、耐酸化性や強度に優れること 公知であったが、本発明ではアルミニウム び/またはアルミニウム合金を使用し400~1000 で熱処理されたプレートれんがの耐消化性 上効果に非常に優れていることが新たに判 した。したがって、従来のようにタールや ッチを含浸しなくても消化による品質劣化 生じることがない。

 熱処理は、被熱処理物(プレートれんがの 成形体)を容器に入れた状態、この容器の中 コークス粒を充填した状態、あるいは容器 中を窒素ガス雰囲気にした状態などの大気 遮断した条件下、すなわち非酸化性雰囲気 行うことが好ましい。これにより、熱処理 の酸化を防止でき、より緻密で高強度なプ ートれんがを得ることができる。

 本発明では、この熱処理を、耐火原料配 物中のアルミニウム含有率に対する熱処理 のプレートれんが中アルミニウムの含有率 割合が20%以上60%以下となる条件で行うこと できる。

 この熱処理の条件を決定するためには、 象となる熱処理炉において400℃以上1000℃以 下程度の温度で熱処理条件を変えて何度かテ ストを行い、熱処理後のプレートれんが中の アルミニウム含有率を定量分析する。そして 、熱処理後のプレートれんが中のアルミニウ ム含有率が、耐火原料配合物中のアルミニウ ム含有率に対して20%以上60%未満となる熱処理 の条件、すなわち熱処理炉、熱処理温度、キ ープ時間、マッフル形状、昇温速度等を決定 する。ここでいう熱処理温度とは、熱処理炉 の温度制御のために測定される温度のことを いう。上述のように被熱処理物を容器へ入れ て容器外で側温する場合には被熱処理物の温 度とは異なる場合がある。熱処理条件が決定 されればその後は熱処理毎のアルミニウムの 量を測定することなくその条件にて熱処理行 うことができる。

 なお、耐火原料配合物中のアルミニウム 有率は、アルミニウムの配合割合により計 によって求めることができる。アルミニウ 合金を使用する場合も、その合金中のアル ニウム含有率から、耐火原料配合物中のア ミニウム含有率を計算によって求めること できる。本発明において耐火原料配合物と 、バインダー及び溶剤や水等の液体は含ま いものとする。

 また、熱処理後のプレートれんが中のア ミニウムの含有率は、ICP法あるいは湿式法 ど公知の方法によって求めることができる

 熱処理後は、タール、ピッチ等の炭素質 有液状物を含浸させることなく、プレート んがとして使用する。

 表1~表3に示す耐火原料配合物に有機バイ ダーを添加して混練し、フリクションプレ でプレートれんがを成形した。成形後、乾 し、表中の温度で熱処理を行った。プレー れんがの大きさは縦約500mm、横約200mm、厚さ 約40mmとした。

 熱処理は、容器内にプレートれんがを入 コークス粒を充満し、この容器を熱処理炉( 電気炉)に入れて行った。昇温速度は50℃/hと 、表中の各熱処理温度で7時間キープし、キ ープ後は加熱を止め炉内温度が400℃以下にな ったら密閉容器を取り出し、作業が可能な温 度になった時点でプレートれんがを取り出し た。熱処理温度の制御は、密閉容器の上部に 配置した熱電対で行った。

 熱処理後のプレートれんがから各試験サ プルを切り出し、JIS―R2205の方法で見掛け 孔率を、JIS-R2206の方法で圧縮強度を測定し 。ガス発生量については、JACTの標準試験法 準じて、ジョージフィッシャー社のPGD型を 用し1000℃でのガス発生量を測定した。ただ し、ガス発生量の測定前に試験サンプルを110 ℃で24時間乾燥した。発煙及び臭気は、使用 場にてテストを行った。すなわち、70t取鍋 スライディングノズル装置にて1回目の鋳造 直後に作業場で取鍋のメンテナンスを行う際 、プレートれんがから発生する発煙と臭気を 人の感覚で観察した。表においては発煙ある いは臭気があるものを×とし、発煙及び臭気 ほとんど無いものを○とした。消化試験は 以下の手順で行った。たて20mm、よこ20mm、 さ20mmのサンプルを準備し、110℃で24時間乾 し重量W1を測定した。このサンプルをビーカ ーに入れて水滴がサンプル中に入らないよう 時計皿でふたをしてオートクレーブの中に置 く。加熱して0.3MPaの圧力で3時間保持した。 却後、サンプルを取り出し、110℃で24時間乾 燥しサンプルの重量W2を測定した。重量増加 (%)は100×(W2-W1)/W1とした。

 耐火原料配合中のアルミニウム含有率は その配合割合から計算によって求め、熱処 後のプレートれんが中のアルミニウム含有 はICP法によって定量した。なお、表1~表3に す耐火原料としてのアルミニウムはAl成分 100質量%の原料を使用し、アルミニウム-マグ ネシウム合金はAl成分が50質量%、Mg成分が50質 量%の原料を使用した。

 プレートれんがの実炉テストでは、熱処 後に、湿度90%、温度30℃の室内で20日間保管 したものを使用した。溶鋼鍋で5セット使用 、5チャージ目から使用前に目視で損傷状況 確認し、使用可否を判断した。表には5セッ トの使用回数の平均を示した。

 表1に示す実施例1~実施例4及び比較例1~比 例7は、異なる熱処理温度で製造した場合を 示す。熱処理温度が高くなるにつれて、圧縮 強度が向上し、見掛け気孔率が高くなる傾向 にある。実施例1~実施例4は、650℃、700℃、及 び750℃で熱処理したものであるが、圧縮強度 が180MPa以上、かつ消化試験での重量増加率が 1%以下と本発明の範囲内である。しかも、耐 原料配合物中のアルミニウム含有率に対す 熱処理後のプレートれんが中のアルミニウ 含有率の割合が20%以上60%以下と本発明の範 内である。これらの実施例は実炉でのプレ トれんがの使用結果が8回または9回と良好 ある。なお、実施例3は、実施例2と比較する と有機バインダーとしてフェノール樹脂と珪 素樹脂とを併用使用していることのみが異な る。実施例3は、耐消化性に優れ、緻密で高 度になっていることがわかる。またプレー れんがの寿命も1回多い。

 これに対して、熱処理温度が600℃の比較 4は、圧縮強度が169MPaと低く、プレートれん がの使用回数も6回と少ない。耐火原料配合 中のアルミニウム含有率に対する熱処理後 プレートれんが中のアルミニウム含有率の 合も68%と多い。この比較例4は熱処理温度が いため、アルミニウムの溶融及び反応が不 分となり十分な強度が得られなかったもの 考えられる。熱処理温度が450℃及び550℃の 較例2及び比較例3も同様である。

 比較例5は、熱処理温度が850℃の場合であ るが、消化試験での重量増加率が1.1%と本発 の範囲外である。この比較例5では、耐火原 配合物中のアルミニウム含有率に対する熱 理後のプレートれんが中のアルミニウム含 率の割合が16%と少ないことから、炭化アル ニウムが過剰に生成していると考えられる また比較例5では、プレートれんがの耐用性 が低下する結果になっている。熱処理後のア ルミニウムの残存量が少ない場合には、耐用 性が低下する傾向になる。熱処理温度が1000 の比較例6も同様である。

 比較例1は従来の不焼成品、比較例7は従 の焼成後にタールを含浸したものであるが ガス発生量がそれぞれ20.2cc/g、14.7cc/gと多く っている。

 表2に示す実施例5~7はアルミニウム-マグ シウム合金を使用した場合であり、アルミ ウムのみを使用した場合と比較すると、低 熱処理温度でも、十分な強度があり、耐消 性も優れる。耐火原料配合物中のアルミニ ム含有率に対する熱処理後のプレートれん 中のアルミニウム含有率の割合が、本発明 範囲内となり、しかも良好な耐用性を示し いる。

 また、実施例8は、耐火原料配合物中にア ルミナ系原料としてアルミナ-マグネシアス ネルを配合した例であり、これも十分な耐 性を示している。

 実施例9~12は、アルミニウムの配合量及び 耐火原料配合物の粒度構成を変えたものであ る。熱処理後のアルミニウムの含有率が5質 %以上になるとそれ未満の場合と比較すると ややプレートれんがの耐用性が低下してい が実用上問題のないレベルである。

 表3に示す実施例15及び実施例16は、共晶ジ コニア結晶の結晶粒径が1.0μm以下、かつマ リックスガラスの含有量が5質量%以下である 高性能ジルコニアムライト(ジルコニアムラ トB)を使用した場合である。従来のジルコニ アムライト(ジルコニアムライトA)を使用した 実施例13及び実施例14と比較すると耐用性に れる結果となった。ここで、ジルコニアム イトAは、化学成分としてAl 2 O 3 が44質量%、ZrO 2 が37質量%、SiO 2 が18質量%、マトリックスガラスの含有量が0.9 質量%、及び共晶ジルコニア結晶の結晶粒径 2.5μmのものを使用し、高性能ジルコニアム イト(ジルコニアムライトB)は、化学成分と てAl 2 O 3 が44質量%、ZrO 2 が37質量%、SiO 2 が18質量%、マトリックスガラスの含有量が0.9 質量%、及び共晶ジルコニア結晶の結晶粒径 0.2μmのものを使用した。

 比較例9は、シリコン、粘土、炭化珪素、及 び炭化硼素を含有しない場合であるが、消化 試験での重量増加率が大きく、シリコンを含 有しかつ有機バインダーとしてフェノール樹 脂と珪素樹脂とを併用使用した実施例17と比 すると耐消化性に劣ることがわかる。




 
Previous Patent: WO/2009/119628

Next Patent: ABSORPTION HEAT PUMP UNIT