Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PLATE TYPE REACTOR, MANUFACTURING METHOD THEREFOR, AND REACTION PRODUCT MANUFACTURING METHOD USING THE PLATE TYPE REACTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/123151
Kind Code:
A1
Abstract:
In a plate type reactor, there are provided a technique for preventing the runaway of a reaction in the manufacture of a reaction product and for manufacturing the reaction product in a high productivity, a technique for filling the clearance between adjoining heat transfer plates in the plate type reactor, at least homogeneously and easily with a catalyst, and a method for suppressing the pressure loss, the occurrence of a hot spot and the loss of the catalyst even in the run under a high-load condition, thereby to manufacture the reaction product in a high efficiency in the plate type reactor. The reaction product is manufactured by arranging the heat transfer plates of the plate type reactor within a specified range of errors from a designed value, by arranging a plurality of partitions for forming a plurality of compartments in the clearances between the heat transfer plates and along the flow direction of a reaction material, by further arranging a plurality of vent plugs for plugging the bottom portions of the individual partitions removably, and by using a specific reaction material under the condition of a specific quantity of load.

Inventors:
ISOGAI SHINJI (JP)
JINNO KIMIKATSU (JP)
SAKAKURA YASUYUKI (JP)
KAWATANI YOJI (JP)
YADA SHUHEI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/056567
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 30, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
MITSUBISHI CHEM CORP (JP)
MITSUBISHI CHEM ENG CORP (JP)
ISOGAI SHINJI (JP)
JINNO KIMIKATSU (JP)
SAKAKURA YASUYUKI (JP)
KAWATANI YOJI (JP)
YADA SHUHEI (JP)
International Classes:
B01J8/02; C07C27/14; C07C45/35; C07C47/22; C07C51/21; C07C57/05
Foreign References:
JP2006000707A2006-01-05
JP2007522104A2007-08-09
FR2824755A12002-11-22
JP2004167448A2004-06-17
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (JP)
Shohei Oguri (JP)
Download PDF:
Claims:
 ガス状の原料を反応させるための反応容器と、前記反応容器に並んで設けられる複数の伝熱プレートと、前記伝熱プレートに所望の温度の熱媒を供給するための熱媒供給装置と、を有し、
 前記伝熱プレートは、断面形状の周縁又は端縁で連結している複数の伝熱管を含み、
 前記熱媒供給装置は、反応容器に収容された伝熱プレートの伝熱管に熱媒を供給する装置であるプレート式反応器において、
 対向する前記伝熱プレート間の隙間において、前記伝熱プレートの軸からなる面から等距離にある面に直交する方向における伝熱プレートの表面間の距離の設計値が5~50mmであり、前記設計値に対する前記表面間の距離の実測値の差が-0.6~+2.0mmであることを特徴とするプレート式反応器。
 前記伝熱プレートの軸方向の長さが5m以下であることを特徴とする請求項1記載のプレート式反応器。
 前記伝熱プレートの間に所定の間隔を形成するためのスペーサをさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプレート式反応器。
 前記伝熱プレートは、前記伝熱管の断面形状を伝熱プレートの軸で二分割した形状が複数連なるように成形された二枚の鋼板を接合してなることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のプレート式反応器。
 前記設計値に対する前記表面間の距離の実測値の差が、前記隙間における原料ガスの通気方向の上流側でより小さいことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のプレート式反応器。
 前記原料ガスにおける原料の反応率が70%以下となる位置における前記設計値に対する前記表面間の距離の実測値の差が、前記反応率が70%より大きくなる位置における前記設計値に対する前記表面間の距離の実測値の差よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載のプレート式反応器。
 前記隙間の全容積が3L以上であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のプレート式反応器。
 前記隙間に触媒が充填されてなる触媒層の2箇所以上の位置の温度を測定するための温度測定装置をさらに有することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のプレート式反応器。
 反応容器に複数の伝熱プレートが並んで設けられ、伝熱プレート間の隙間に触媒が充填されて触媒層が形成されるプレート式反応器を用い、前記反応容器にガス状の原料を供給して前記触媒層に通す工程と、前記伝熱プレートを構成する複数の伝熱管に所定の温度の熱媒を供給する工程とを含む、前記触媒の存在下で原料ガスを反応させてガス状の反応生成物を生成する反応生成物の製造方法において、
 前記プレート式反応器に、請求項1~8のいずれか一項に記載のプレート式反応器を用い、
 前記触媒層のピーク温度を、プレート式反応器の設計時に設定された触媒層のピーク温度の設定値にする温度の熱媒を、伝熱管に供給することを特徴とする反応生成物の製造方法。
 触媒の存在下における原料ガス中の原料の反応が発熱反応であることを特徴とする請求項9に記載の反応生成物の製造方法。
 前記反応生成物が、アクロレイン及びアクリル酸の一方又は両方、メタクロレイン及びメタクリル酸の一方又は両方、マレイン酸、フタル酸、酸化エチレン、パラフィン、アルコール、アセトン及びフェノール、又はブタジエンであることを特徴とする請求項10に記載の反応生成物の製造方法。
 ガス状の原料を反応させるための反応容器と、前記反応容器に並んで設けられる複数の伝熱プレートと、前記伝熱プレートに所望の温度の熱媒を供給する熱媒供給装置と、を有し、
 前記伝熱プレートは、断面形状の周縁又は端縁で連結している複数の伝熱管を含み、
 前記熱媒供給装置は、反応容器に収容された伝熱プレートの伝熱管に熱媒を供給する装置であるプレート式反応器を製作する方法において、
 対向する伝熱プレート間の隙間における前記伝熱プレートの軸からなる面から等距離にある面に直交する方向における伝熱プレートの表面間の距離が設計値となる間隔で伝熱プレートを配置して伝熱管と熱媒供給装置とを接合する工程を含むことを特徴とするプレート式反応器の製作方法。
 前記伝熱プレートには、前記伝熱管の断面形状を伝熱プレートの軸で二分割した形状が複数連なるように成形された二枚の鋼板を接合してなる伝熱プレートを用い、
 成形された前記鋼板には、鋼板の成形の設計値に対する誤差が±0.5mm以内である、成形された鋼板を用いることを特徴とする請求項12に記載のプレート式反応器の製作方法。
 前記伝熱プレートには、前記伝熱プレートの軸方向の長さが5m以下である伝熱プレートを用いることを特徴とする請求項12に記載のプレート式反応器の製作方法。
 前記伝熱プレートの表面間の距離が設計値となる間隔を伝熱プレート間に形成するスペーサを介して、熱媒供給装置との接合前に反応容器内に伝熱プレートを配置する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載のプレート式反応器の製作方法。
 反応原料を反応させるための反応容器と、伝熱管を有し、前記反応容器内に並んで設けられる複数の伝熱プレートと、前記伝熱管に熱媒体を供給する装置と、を有し、
 前記反応容器は、供給された反応原料が、隣り合う伝熱プレート間の隙間を通って排出される容器であり、
 前記伝熱プレートは、断面形状の周縁又は端縁で連結している複数の前記伝熱管を含み、
 隣り合う伝熱プレート間の隙間に触媒が充填されるプレート式反応器において、
 隣り合う伝熱プレート間の隙間を、反応容器内の通気方向に沿って、充填された触媒を収容する複数の区画に仕切る仕切りをさらに有することを特徴とするプレート式反応器。
 前記複数の区画のそれぞれの容積が同じであることを特徴とする請求項16記載のプレート式反応器。
 前記複数の区画のそれぞれの容積が1~100Lであることを特徴とする請求項16又は17に記載のプレート式反応器。
 前記複数の区画のそれぞれの容積が2~25Lであることを特徴とする請求項16~18のいずれか一項に記載のプレート式反応器。
 通気性を有し、各区画の端部に着脱自在に固定され、各区画に収容された触媒を保持するように各区画の端部を塞ぐ複数の通気栓をさらに有することを特徴とする請求項16~19のいずれか一項に記載のプレート式反応器。
 前記仕切り及び伝熱プレートの一方又は両方は、前記通気栓を係止するための第一の係止部を有し、
 前記通気栓は、通気性を有すると共に触媒を通さない通気板と、通気板の周縁の一部又は全部に通気板に対して垂直に設けられるスカート部と、前記スカート部に設けられて前記第一の係止部と着脱自在に係止する第二の係止部とを有することを特徴とする請求項20に記載のプレート式反応器。
 前記複数の仕切りの間隔が0.1~1mであることを特徴とする請求項16~21のいずれか一項に記載のプレート式反応器。
 請求項16~22のいずれか一項に記載のプレート式反応器を用いて反応生成物を製造する方法であって、
 前記伝熱管に所望の温度の熱媒体を供給する工程と、触媒が充填された隣り合う伝熱プレート間の隙間に反応原料を供給して前記隙間から排出される反応生成物を得る工程と、を含み、
 前記反応原料が、エチレン;炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種、又は炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1種;炭素数4以上の炭化水素;キシレン及び/又はナフタレン;オレフィン;カルボニル化合物;クメンハイドロパーオキサイド;ブテン;又はエチルベンゼン;であり、
 前記反応生成物が、酸化エチレン;炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒド及び炭素数3及び4の不飽和脂肪酸の少なくとも一方;マレイン酸;フタル酸;パラフィン;アルコール;アセトン及びフェノール;ブタジエン;又はスチレン;である方法。
 (A)伝熱プレートの間に形成された触媒層を備えたプレート式反応器に、炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種、並びに、分子状酸素を含む反応原料混合物を供給し、前記反応原料を接触気相酸化し、不飽和炭化水素、並びに、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも一種の反応生成物を製造する、又は、
 (B)伝熱プレートの間に形成された触媒層を備えたプレート式反応器に、製造方法であって、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種、並びに、分子状酸素を含む反応原料混合物を供給し、前記反応原料を接触気相酸化し、炭素数3及び4の不飽和脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の反応生成物を製造する方法において、
 前記プレート式反応器は、触媒層の平均層厚さが異なる複数の反応帯域に分割されており、前記複数の反応帯域には、独立して温度調整された熱媒体が供給され、前記酸化により生じる熱を、前記伝熱プレートを隔てて除熱し、前記触媒層内の温度が独立して制御され、
 前記反応原料混合物の入口に最も近接する反応帯域S1に供給される前記熱媒体の温度T(S1)は、前記反応帯域S1に隣接し、前記反応原料混合物の流れの下流に位置する反応帯域S2に供給される前記熱媒体の温度T(S2)より高く、
 前記炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり150リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上であり、
 前記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり160リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上であることを特徴とする、不飽和炭化水素、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒド、並びに炭素数3及び4の不飽和脂肪酸からなる群から選ばれる一種以上の反応生成物を製造する製造方法。
 特定されない任意の反応帯域S(j)に供給される熱媒体の温度をT(Sj)とし、前記反応帯域S(j)に隣接し、反応原料混合物の流れの下流に位置する反応帯域S(j+1)に供給される前記熱媒体の温度をT(Sj+1)としたときに、前記T(Sj)と前記T(Sj+1)が、T(Sj)-T(Sj+1)≧5、の関係を満たすことを特徴とする、請求項24に記載の製造方法。
 前記反応帯域の数が2~5であり、反応原料混合物の入口から出口に向かって、各反応帯域の触媒層の平均層厚さが増大することを特徴とする、請求項24又は25に記載の製造方法。
 前記炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり170~290リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]であることを特徴とする、請求項24~26のいずれか一項に記載の製造方法。
 前記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり180~300リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]であることを特徴とする、請求項24~27のいずれか一項に記載の製造方法。
 前記プレート式反応器の反応生成物出口での反応原料の転化率が、90%以上であることを特徴とする、請求項24~28のいずれかに記載の製造方法。
 前記反応原料がプロピレンであり、前記複数の反応帯域に供給される熱媒体の温度が320~400℃であることを特徴とする、請求項24~29のいずれかに記載の製造方法。
前記反応原料がアクロレインであり、前記複数の反応帯域に供給される熱媒体の温度が250~320℃であることを特徴とする、請求項24~29のいずれかに記載の製造方法。
Description:
プレート式反応器、その製作方 、及びプレート式反応器を用いる反応生成 の製造方法

 本発明は、触媒を用いた発熱又は吸熱を う反応に用いるプレート式反応器、その製 方法、及び前記プレート式反応器を用いる 気相接触反応による反応生成物の製造方法 関する。

 また、本発明はプレート式反応器、及び 触媒が充填されたプレート式反応器に反応 料を供給し、該反応原料を反応させ反応生 物を製造する製造方法に関する。

 固体の触媒の存在下でガス状の原料を反 させてガス状の反応生成物を得る気相接触 応で使用される反応器としては、例えば、 応容器中の反応管に触媒が充填される多管 反応器(例えば、特許文献1参照。)、及び、 応容器中の複数の伝熱プレート間の隙間に 媒が充填されるプレート式反応器(例えば、 特許文献2及び3参照。)、が知られている。

 気相接触反応に用いられるこれらの反応 は、一般に、高い精度で製作されることが 求される。例えば、多管式反応器における 応管やプレート式反応器における伝熱プレ トを構成する伝熱管の管径の誤差が大きい 、部分的に除熱の悪い部分ができ、触媒層 一部分で反応が暴走し、局部的に触媒が劣 してしまうことがある。しかしながら、よ 高い精度で反応器を製作しようとすると、 応器の製作に、多大な手間や多量の鋼材が 要となることがある。

 多管式反応器では、精度の高い鋼管を反 管に用いることによって反応器の精度を比 的容易に高めることができる。一方、プレ ト式反応器における伝熱管は、一般に、伝 管の断面形状を二分割した形状が複数連な ように鋼板を成形し、成形された鋼板にお る凸縁同士を溶接することによって製作さ る。またプレート式反応器では、伝熱管の 面形状や断面の大きさは、一般に、伝熱プ ート間の隙間に形成される触媒層の厚さや 態を調整する観点から決められる。したが て、プレート式反応器の製作では、前記鋼 の成形において所期の形状が得られない場 、成形された鋼板に反りが生じている場合 及び、鋼板の溶接によって反りが生じる場 等の、プレート式反応器の精度を低下させ 種々の要因によって、高い精度のプレート 反応器を製作することが難しく、それによ 反応の制御が十分に行われないことがある

 このように、プレート式反応器における 熱プレートの形態及び製造方法が、プレー 式反応器の高い精度での製作を主に困難に ている。伝熱管で構成されている伝熱プレ トを有する点でプレート式反応器と類似の 造を有するプレート式熱交換器では、通常 、伝熱プレート間の距離の設定値に対する 大誤差は3~5mm程度かそれ以上とされている

 しかしながら、触媒を用いた発熱又は吸 を伴う気相接触反応では、反応温度を厳密 制御することが重要である。触媒層の温度 制御が不十分であると、触媒の劣化や目的 反応生成物の収率の低下が生じることがあ 。したがって、プレート式反応器の精度が いと、例えば、伝熱プレート間の距離の設 値に対する誤差が大きいと、部分的に除熱 悪い部分ができ、触媒層の一部分で反応が 走し、局部的に触媒が劣化し反応生成物の 率が低下してしまうことがある。一方でプ ート式反応器の精度の向上を重視すると、 レート式反応器の製作に多大な手間や多量 鋼材が必要となり、このような反応器を用 る反応生成物の製造における生産性を低下 せることがあり、反応生成物の工業的な製 に実用できなくなることがある。

 プロパン、プロピレン、又はアクロレイ の気相接触酸化反応のような、発熱又は吸 を伴い、粒状の固体触媒が用いられる気相 応に用いられる反応器としては、例えば、 ス状の反応原料を反応させるための反応容 と、伝熱管を有し、前記反応容器内に並ん 設けられる複数の伝熱プレートと、前記伝 管に熱媒体を供給する装置と、を有し、前 反応容器は、供給されたガスが、隣り合う 熱プレート間の隙間を通って排出される容 であり、前記伝熱プレートは、断面形状の 縁又は端縁で連結している複数の前記伝熱 を含み、隣り合う伝熱プレート間の隙間に 媒が充填されるプレート式反応器が知られ いる(例えば、特許文献3参照)。

 このようなプレート式反応器は、一般に 隣り合う伝熱プレート間の隙間に形成され 複数の触媒層を有し、また伝熱プレートと 媒との接触性に優れていることから、前記 相反応による生成物を大量に効率よく製造 る観点で優れている。

 一方で前記気相反応では、気相反応を制 する観点から、触媒の充填状態の均一化が まれている。プレート式反応器では、隣り う伝熱プレート間の隙間に層状に触媒が充 されることから、前記隙間のそれぞれ及び てに触媒を一定に充填することが難しく、 記隙間に均一に触媒を充填することができ 技術が望まれていた。

 また、触媒が前記隙間に一定に充填され かった場合や、前記隙間における一部の触 が劣化した場合には、その隙間全体の触媒 取り出して再度触媒を充填する必要があっ 。このため、前記隙間における触媒の充填 態の調整を容易に行うことができる技術が まれていた。

 現在、接触気相酸化反応を利用し、不飽 脂肪酸等の反応物を製造する製造方法にお ては、工業的及び実用的な見地から、管式 交換器形状の多管式反応器が用いられてい 。該多管式反応器を用いた反応物の製造方 では、多管式反応器の反応管の内側には固 触媒が充填され、反応管の外側には温度制 された熱媒体が循環され、該熱媒体により 応管内側の温度が制御される。

 上記多管式反応器を用いて不飽和脂肪酸 の反応物を製造する場合、反応物の製造量 増加させたいときは、製造量の増加に応じ 反応管の数を増加する必要がある。しかし がら、この場合、反応管が数万本に達する ともあり、多菅式反応器の製作限界を超え ことがある。製作限界を超えた場合は、複 の反応系列を所有せざるを得ないことが現 である。

 一方、規定の反応管数あるいは反応器で 単位触媒当たりの処理負荷量を高めて所望 製造量を確保しようとする場合がある。こ 際には各反応管内で発生する反応熱が増加 、反応管の外側に循環される熱媒体によっ 反応管内側の温度を適切に制御できない状 が生じる。反応管内側の温度を適切に制御 きない場合、反応管内側に保持された触媒 一部の温度が著しく上昇する(以下、ホット スポットともいう)。該触媒の一部の温度が 限界を超えた場合、触媒の一部が損傷し、 媒の耐用期間が短くなる。

 触媒の一部が損傷した場合には、該反応 を用いた反応物の生産を停止し、触媒交換 必要となる。すなわち、触媒を交換する間 反応物の生産が停止し、所望の製造量の確 が困難になる等の重大問題が発生すること なる。また、触媒交換に至らなくても、ホ トスポットの発生により、適切な反応条件 維持が困難となり、触媒の反応成績が悪化 目的反応物の収量が低下する等の問題が発 する。

 また、特許文献4及び5には、上記多管式 応器を用いて反応原料であるプロピレンや クロレインを単位触媒当たりの処理負荷量 高めた状態で接触気相酸化反応する方法が 案されている。しかしながら、多管式反応 に用いられる反応管は半径が20~30ミリメート ルのパイプで、反応流体(反応原料混合物や 応生成物の混合物等の総称)の入口から出口 で同じ径の反応管を用いているため、反応 体の単位触媒当たりの処理負荷量が高い条 下では、反応流体の圧力損失が大きく、反 器での圧力が上昇し、結果、目的反応物の 量が低下する欠点がある。更には、反応器 圧の上昇に伴い、反応流体等を供給するた の圧縮機のエネルギーが大きくなり、目的 応物の収量以外にも、コスト的にも不利で る。

 上記問題点を解決する一つの方法として プレート式熱交換器の構造を有する接触気 酸化用の反応器が提案されている。例えば 特許文献2では、2枚の伝熱プレート間に触 を充填し、伝熱プレートの外側に熱媒体が 給されるプレート型触媒反応装置が提案さ ている。また、特許文献3では、円弧或いは 円弧に賦形された波板の2枚を対面させ、当 該両波板の凸面部を互いに接合して複数の熱 媒体流路を形成された伝熱プレートを、複数 配列してなりかつ隣り合った伝熱プレートの 波板凸面部と凹面部とが対面して所定間隔の 触媒層を形成したプレート式触媒反応器が提 案されている。

 上記提案には、プレート式反応器の構造 その接触気相酸化反応への応用については 述されているが、反応によって生じる熱を 切に制御しホットスポットを防ぎつつ、目 反応物の収量を向上させる方法については ら言及されていない。特に、単位触媒当た の処理負荷量を高めたときに、反応によっ 生じる熱を適切に制御しホットスポットを ぎ、触媒の損傷を防止し、かつ、目的反応 の収量及び製造量を向上させる方法につい は何ら言及されていない。

日本国特開2004-000944号公報

日本国特開2004-167448号公報

日本国特開2004-202430号公報

日本国特表2003-514788号公報

日本国特表2002-539103号公報

 本発明は、反応生成物の製造における反 の暴走を防止することができ、かつ高い生 性での反応生成物の製造に用いることがで るプレート式反応器を提供する。

 また、本発明は、プレート式反応器を用 る反応生成物の製造において、反応の暴走 防止し、かつ高い生産性で反応生成物を製 する方法を提供する。

 また、本発明は、隣り合う伝熱プレート の隙間に均一かつ容易に触媒を充填するこ ができるプレート式反応器を提供する。

 また、本発明は、隣り合う伝熱プレート の隙間に均一かつ容易に触媒を充填するこ ができ、かつ前記隙間における触媒の充填 態を容易に調整することができるプレート 反応器を提供する。

 さらに、本発明は、触媒が充填されたプ ート式反応器に反応原料を供給し、該反応 料を反応させ反応生成物を製造する製造方 において、単位触媒当たりの反応原料の処 負荷量を高めたときであっても、触媒を通 する反応ガスの圧力損失の増大を防止し、 つ、反応によって生じる熱を適切に制御す ことでホットスポットを防ぎ、触媒の損傷 防止しつつ目的反応生成物の収率を向上さ る新規な方法を提供することにある。

 本発明は、伝熱プレートの表面間の距離 設計値に対して許容される誤差の範囲を-0.6 ~+2.0mmに設定することによって、プレート式 応器の温度の制御に支障をきたさず、低活 の触媒の使用や触媒の希釈に頼らず、プレ ト式反応器の製作費用を安価に維持しつつ 工業的に有利な方法で有価物を製造する技 を提供する。

 すなわち本発明は、ガス状の原料を反応 せるための反応容器と、前記反応容器に並 で設けられる複数の伝熱プレートと、前記 熱プレートに所望の温度の熱媒を供給する めの熱媒供給装置と、を有し、前記伝熱プ ートは、断面形状の周縁又は端縁で連結し いる複数の伝熱管を含み、前記熱媒供給装 は、反応容器に収容された伝熱プレートの 熱管に熱媒を供給する装置であるプレート 反応器において、対向する前記伝熱プレー 間の隙間において、前記伝熱プレートの軸 らなる面から等距離にある面に直交する方 における伝熱プレートの表面間の距離の設 値が5~50mmであり、前記設計値に対する前記 面間の距離の実測値の差が-0.6~+2.0mmである レート式反応器(以下、「第一のプレート式 応器」とも言う)を提供する。

 また本発明は、前記伝熱プレートの軸方 の長さが好ましくは5m以下、更に好ましく 2m以下である第一のプレート式反応器を提供 する。

 また本発明は、好ましくは、前記伝熱プ ートの間に所定の間隔を形成するためのス ーサをさらに有する第一のプレート式反応 を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記伝熱プ ートが、前記伝熱管の断面形状を伝熱プレ トの軸で二分割した形状が複数連なるよう 成形された二枚の鋼板を接合してなる第一 プレート式反応器を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記設計値 対する前記表面間の距離の実測値の差が、 熱プレート間の隙間における原料ガスの通 方向の上流側でより小さい第一のプレート 反応器を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記原料ガ における原料の反応率が70%以下となる位置 おける前記設計値に対する前記表面間の距 の実測値の差が、前記反応率が70%より大き なる位置における前記設計値に対する前記 面間の距離の実測値の差よりも小さい第一 プレート式反応器を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記隙間の 容積が3L以上である第一のプレート式反応 を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記隙間に 媒が充填されてなる触媒層の2箇所以上の位 置の温度を測定するための温度測定装置をさ らに有する第一のプレート式反応器を提供す る。

 また本発明は、反応容器に複数の伝熱プ ートが並んで設けられ、伝熱プレート間の 間に触媒が充填されて触媒層が形成される レート式反応器を用い、前記反応容器にガ 状の原料を供給して前記触媒層に通す工程 、前記伝熱プレートを構成する複数の伝熱 に所定の温度の熱媒を供給する工程とを含 、前記触媒の存在下で原料ガスを反応させ ガス状の反応生成物を生成する反応生成物 製造方法において、前記プレート式反応器 本発明のプレート式反応器を用い、前記触 層のピーク温度をプレート式反応器の設計 に設定された触媒層のピーク温度の設定値 する温度の熱媒を、伝熱管に供給する反応 成物の製造方法(以下、「反応生成物の第一 の製造方法」とも言う)を提供する。

 また本発明は、好ましくは、触媒の存在 における原料ガス中の原料の反応が発熱反 である反応生成物の第一の製造方法を提供 る。

 また本発明は、好ましくは、前記反応生 物が、アクロレイン及びアクリル酸の一方 は両方、メタクロレイン及びメタクリル酸 一方又は両方、マレイン酸、フタル酸、酸 エチレン、パラフィン、アルコール、アセ ン及びフェノール、又はブタジエンである 応生成物の第一の製造方法を提供する。

 さらに本発明は、ガス状の原料を反応さ るための反応容器と、前記反応容器に並ん 設けられる複数の伝熱プレートと、前記伝 プレートに所望の温度の熱媒を供給する熱 供給装置と、を有し、前記伝熱プレートは 断面形状の周縁又は端縁で連結している複 の伝熱管を含み、前記熱媒供給装置は、反 容器に収容された伝熱プレートの伝熱管に 媒を供給する装置であるプレート式反応器 製作する方法において、対向する伝熱プレ ト間の隙間における前記伝熱プレートの軸 らなる面から等距離にある面に直交する方 における伝熱プレートの表面間の距離が設 値となる間隔で伝熱プレートを配置して伝 管と熱媒供給装置とを接合する工程を含む レート式反応器の製作方法を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記伝熱プ ートには、前記伝熱管の断面形状を伝熱プ ートの軸で二分割した形状が複数連なるよ に成形された二枚の鋼板を接合してなる伝 プレートを用い、成形された前記鋼板には 鋼板の成形の設計値に対する誤差が±0.5mm以 内である、成形された鋼板を用いる前記プレ ート式反応器の製作方法を提供する。

 又は本発明は、好ましくは、前記伝熱プ ートには、前記伝熱プレートの軸方向の長 が5m以下、好ましくは2m以下である伝熱プレ ートを用いる前記プレート式反応器の製作方 法を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記伝熱プ ートの表面間の距離が設計値となる間隔を 熱プレート間に形成するスペーサを介して 熱媒供給装置との接合前に反応容器内に伝 プレートを配置する工程をさらに含む前記 レート式反応器の製作方法を提供する。

 また、本発明は、好ましくは、プレート 反応器における隣り合う伝熱プレート間の 間に、反応原料の流通方向に沿って、触媒 収容することができる複数の区画を形成し 各区画に触媒を一定に充填することが可能 プレート式反応器を提供する。

 また、本発明は、好ましくは、プレート 反応器における隣り合う伝熱プレート間の 間に、反応原料の流通方向に沿って、触媒 収容することができる複数の区画を形成し さらに各区画で独立して触媒の充填と抜き しとを行うことが可能なプレート式反応器 提供する。

 すなわち本発明は、反応原料を反応させ ための反応容器と、伝熱管を有し、前記反 容器内に並んで設けられる複数の伝熱プレ トと、前記伝熱管に熱媒体を供給する装置 、を有し、前記反応容器は、供給された反 原料が、隣り合う伝熱プレート間の隙間を って排出される容器であり、前記伝熱プレ トは、断面形状の周縁又は端縁で連結して る複数の前記伝熱管を含み、隣り合う伝熱 レート間の隙間に触媒が充填されるプレー 式反応器において、隣り合う伝熱プレート の隙間を、反応容器内の通気方向に沿って 充填された触媒を収容する複数の区画に仕 る仕切りをさらに有するプレート式反応器( 以下、「第二のプレート式反応器」とも言う )を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記複数の 画のそれぞれの容積が同じである第二のプ ート式反応器を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記複数の 画のそれぞれの容積が1~100Lである第二のプ ート式反応器を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記複数の 画のそれぞれの容積が2~25Lである第二のプ ート式反応器を提供する。

 また本発明は、好ましくは、通気性を有 、各区画の端部に着脱自在に固定され、各 画に収容された触媒を保持するように各区 の端部を塞ぐ複数の通気栓をさらに有する 二のプレート式反応器を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記仕切り び伝熱プレートの一方又は両方は、前記通 栓を係止するための第一の係止部を有し、 記通気栓は、通気性を有すると共に触媒を さない通気板と、通気板の周縁の一部又は 部に通気板に対して垂直に設けられるスカ ト部と、前記スカート部に設けられて前記 一の係止部と着脱自在に係止する第二の係 部とを有する第二のプレート式反応器を提 する。

 また本発明は、好ましくは、前記複数の 切りの間隔が0.1~1mである第二のプレート式 応器を提供する。

 また本発明は、好ましくは、第二のプレー 式反応器を用いて反応生成物を製造する方 であって、
 前記伝熱管に所望の温度の熱媒体を供給す 工程と、触媒が充填された隣り合う伝熱プ ート間の隙間に反応原料を供給して前記隙 から排出される反応生成物を得る工程と、 含み、
 前記反応原料が、エチレン;炭素数3及び4の 化水素、並びにターシャリーブタノールか なる群から選ばれる少なくとも1種、又は炭 素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからな 群から選ばれる少なくとも1種;炭素数4以上 炭化水素;キシレン及び/又はナフタレン;オ フィン;カルボニル化合物;クメンハイドロ ーオキサイド;ブテン;又はエチルベンゼン; あり、
 前記反応生成物が、酸化エチレン;炭素数3 び4の不飽和脂肪族アルデヒド及び炭素数3及 び4の不飽和脂肪酸の少なくとも一方;マレイ 酸;フタル酸;パラフィン;アルコール;アセト ン及びフェノール;ブタジエン;又はスチレン; である方法(以下、「反応生成物の第二の製 方法」とも言う。)を提供する。

 さらに、本発明者らは、上記課題を解決 るために鋭意検討を行い、伝熱プレートの に形成された触媒層の平均層厚さが異なる 数の反応帯域に分割されているプレート式 応器に、反応原料を供給し、該反応原料を 触気相酸化し、目的反応生成物を製造する 造方法において、上記複数の反応帯域に供 される熱媒体の温度に着目し、本発明を完 するに至った。すなわち、本発明の要旨は 下の通りである。

 すなわち本発明は、
 (A)伝熱プレートの間に形成された触媒層を えたプレート式反応器に、炭素数3及び4の 化水素、並びにターシャリーブタノールか なる群から選ばれる反応原料の少なくとも1 、並びに、分子状酸素を含む反応原料混合 を供給し、前記反応原料を接触気相酸化し 不飽和炭化水素、並びに、炭素数3及び4の 飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ば る少なくとも一種の反応生成物を製造する 又は、
 (B)伝熱プレートの間に形成された触媒層を えたプレート式反応器を用いる製造方法で って、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデ ドからなる群から選ばれる反応原料の少な とも1種、並びに、分子状酸素を含む反応原 混合物を供給し、前記反応原料を接触気相 化し、炭素数3及び4の不飽和脂肪酸からな 群から選ばれる少なくとも一種の反応生成 を製造する方法において、
 前記プレート式反応器は、触媒層の平均層 さが異なる複数の反応帯域に分割されてお 、前記複数の反応帯域には、独立して温度 整された熱媒体が供給され、前記酸化によ 生じる熱を、前記伝熱プレートを隔てて除 し、前記触媒層内の温度が独立して制御さ 、
 前記反応原料混合物の入口に最も近接する 応帯域S1に供給される前記熱媒体の温度T(S1) は、前記反応帯域S1に隣接し、前記反応原料 合物の流れの下流に位置する反応帯域S2に 給される前記熱媒体の温度T(S2)より高く、
 前記炭素数3及び4の炭化水素、並びにター ャリーブタノールからなる群から選ばれる 応原料の少なくとも1種を酸化するときの、 記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当た り150リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kP a)換算]以上であり、
 前記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒ からなる群から選ばれる反応原料の少なく も1種を酸化するときの、前記反応原料の負 量が、触媒1リットル当たり160リットル毎時 [標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上である 、不飽和炭化水素、炭素数3及び4の不飽和脂 族アルデヒド、並びに炭素数3及び4の不飽 脂肪酸からなる群から選ばれる一種以上の 応生成物を製造する製造方法(以下、「反応 成物の第三の製造方法」とも言う。)を提供 する。

 また本発明は、好ましくは、特定されな 任意の反応帯域S(j)に供給される熱媒体の温 度をT(Sj)とし、前記反応帯域S(j)に隣接し、反 応原料混合物の流れの下流に位置する反応帯 域S(j+1)に供給される前記熱媒体の温度をT(Sj+1 )としたときに、前記T(Sj)と前記T(Sj+1)が、T(Sj) -T(Sj+1)≧5、の関係を満たす反応生成物の第三 の製造方法を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記反応帯 の数が2~5であり、反応原料混合物の入口か 出口に向かって、各反応帯域の触媒層の平 層厚さが増大する、反応生成物の第三の製 方法を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記炭素数3 及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタ ールからなる群から選ばれる反応原料の少 くとも1種を酸化するときの、前記反応原料 負荷量が、触媒1リットル当たり170~290リッ ル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]で る、反応生成物の第三の製造方法を提供す 。

 また本発明は、好ましくは、前記炭素数3 及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群 ら選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化 るときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1 リットル当たり180~300リットル毎時[標準状態( 温度0℃、101.325kPa)換算]である、反応生成物 第三の製造方法を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記プレー 式反応器の反応生成物出口での反応原料の 化率が、90%以上である、反応生成物の第三 製造方法を提供する。

 また本発明は、好ましくは、前記反応原 がプロピレンであり、前記複数の反応帯域 供給される熱媒体の温度が320~400℃である、 又は、前記反応原料がアクロレインであり、 前記複数の反応帯域に供給される熱媒体の温 度が250~320℃である、反応生成物の第三の製 方法を提供する。

 第一のプレート式反応器では、プレート 反応器における伝熱プレートの表面間の距 の実測値が、その設計値に対して前述した 定の範囲に含まれることから、熱媒の温度 制御によって反応を暴走させずに制御でき さらにこのような制御が可能なプレート式 応器を、多大な手間や多量の鋼材を使用し くても製作でき、工業的な実用により一層 適なプレート式反応器を得ることができる

 また第一のプレート式反応器では、前記 熱プレートの軸方向の長さが5m以下、好ま くは2m以下であることが、伝熱プレートの表 面間の距離の設計値に対する実測値の差が小 さなプレート式反応器を得る観点からより一 層効果的である。

 また第一のプレート式反応器では、前記 熱プレートの間に所定の間隔を形成するた のスペーサをさらに有することが、伝熱プ ートの表面間の距離の設計値に対する実測 の差が小さなプレート式反応器を得る観点 らより一層効果的である。

 また第一のプレート式反応器では、前記 熱プレートが、前記伝熱管の断面形状を伝 プレートの軸で二分割した形状が複数連な ように成形された二枚の鋼板を接合してな ことが、伝熱プレートの表面間の距離の設 値に対する実測値の差を小さくする観点か より一層効果的である。

 また第一のプレート式反応器では、前記 計値に対する前記表面間の距離の実測値の が、伝熱プレート間の隙間における原料ガ の通気方向の上流側でより小さいことが、 応の制御の精度を高める観点からより効果 であり、前記原料ガスにおける原料の反応 が70%以下となる位置における前記設計値に する前記表面間の距離の実測値の差が、前 反応率が70%より大きくなる位置における前 設計値に対する前記表面間の距離の実測値 差よりも小さいことがより一層効果的であ 。

 また第一のプレート式反応器では、前記 熱プレート間の隙間の全容積が3L以上であ ことが、反応生成物を高い生産性で製造す 観点からより一層効果的である。

 また第一のプレート式反応器は、前記伝 プレート間の隙間に触媒が充填されてなる 媒層の2箇所以上の位置の温度を測定するた めの温度測定装置をさらに有することが、反 応の制御の精度を高める観点からより一層効 果的である。

 また反応生成物の第一の製造方法では、 媒の存在下における原料ガス中の原料の反 が発熱反応であることが、本発明の効果が 著に得られる観点からより効果的であり、 記反応生成物が、アクロレイン及びアクリ 酸の一方又は両方、メタクロレイン及びメ クリル酸の一方又は両方、マレイン酸、フ ル酸、酸化エチレン、パラフィン、アルコ ル、アセトン及びフェノール、又はブタジ ンであることがより一層効果的である。

 また第一のプレート式反応器の製作方法 は、前記伝熱プレートにおいて、鋼板の成 の設計値に対する誤差が±0.5mm以内である、 成形された鋼板を用いることが、前記設計値 に対する実測値の差を小さくする観点からよ り一層効果的である。

 また第一のプレート式反応器の製作方法 は、対向する伝熱プレートの表面間の距離 設計値となる間隔を伝熱プレート間に形成 るスペーサを介して接合前の伝熱プレート 配置することが、前記設計値に対する実測 の差を小さくする観点からより一層効果的 ある。

 第二のプレート式反応器では、前記仕切 を有することから、仕切りによって形成さ る各区画の容量に応じた量の触媒を充填す ことができ、各区画において触媒の充填状 を一定にすることによって、プレート式反 器における隣り合う伝熱プレート間の隙間 体に触媒を均一に充填することができる。 のように、本発明のプレート式反応器では 従来のプレート式反応器に比べて、隣り合 伝熱プレート間の隙間に均一かつ容易に触 を充填することができる。

 また第二のプレート式反応器では、前記 数の区画のそれぞれの容積が同じであるこ が、各区画における触媒の充填状態を容易 一定にする観点からより一層効果的である

 また第二のプレート式反応器では、前記 数の区画のそれぞれの容積が1~100Lであるこ が、各区画における触媒の充填作業を容易 する観点からより一層効果的である。

 また第二のプレート式反応器では、前記 数の区画のそれぞれの容積が2~25Lであるこ が、各区画における触媒の充填作業を容易 する観点からより一層効果的である。

 また第二のプレート式反応器では、前記 気栓をさらに有することが、隣り合う伝熱 レート間の隙間に充填された触媒を区画単 で取り出し、隣り合う伝熱プレート間の隙 に均一かつ容易に触媒を充填し、かつ前記 間における触媒の充填状態を容易に調整す 観点からより一層効果的である。

 また第二のプレート式反応器では、前記 一の係止部と前記通気板と前記スカート部 前記第二の係止部とを有することが、各区 の端部へ通気栓を十分な強度で固定すると に通気栓の着脱操作を容易に行う観点から り一層効果的である。

 また第二のプレート式反応器では、前記 数の仕切りの間隔が0.1~1mであることが、各 画における触媒の充填作業を容易にする観 からより一層効果的である。

 近年、化学製品は大規模設備において、 量生産されることが多く、製造設備内に設 される反応器は大型化され、挿入される触 量も大量となっていて、大型反応器に触媒 均一に、効率よく充填することは非常に重 である。特に、反応熱が発生或いは吸収さ 、反応熱による温度上昇或いは下降が、反 速度や反応成績、更には触媒の劣化程度に 響する反応の場合には、ガス及び液等の反 原料と触媒を均一に接触させることが、よ 良い反応器を設計する上で、重大問題であ 。

 反応生成物の第二の製造方法では、前記 料が、エチレン;炭素数3及び4の炭化水素、 びにターシャリーブタノールからなる群か 選ばれる少なくとも1種、又は炭素数3及び4 不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選 れる少なくとも1種;炭素数4以上の炭化水素; キシレン及び/又はナフタレン;オレフィン;カ ルボニル化合物;クメンハイドロパーオキサ ド;ブテン;又はエチルベンゼン;であり、得 れる前記反応生成物が、酸化エチレン;炭素 3及び4の不飽和脂肪族アルデヒド及び炭素 3及び4の不飽和脂肪酸の少なくとも一方;マ イン酸;フタル酸;パラフィン;アルコール;ア トン及びフェノール;ブタジエン;又はスチ ン;である方法において、前記プレート式反 器を用いることから、前記反応原料が伝熱 レート間に均一に充填された触媒によって 理されるので、このような接触反応におけ 反応熱の除熱或いは加熱方法を改善する観 からより一層効果的である。

 また反応生成物の第三の製造方法では、 媒が充填されたプレート式反応器に反応原 を供給し、該反応原料を反応させ反応物を 造する製造方法において、単位触媒当たり 反応原料の処理負荷量を高めたときに、触 を通過する反応流体の圧力損失の増大を防 し、かつ、反応によって生じる熱を適切に 御することでホットスポットを防ぎ、触媒 損傷を防止しつつ目的反応生成物の収率を 上させることが可能である。

図1は、本発明の一実施の形態における プレート式反応器の構成を概略的に示す図で ある。 図2は、図1のプレート式反応器をA-A’ で切断したときの断面図である。 図3は、図1のプレート式反応器をB-B’ で切断したときの断面図である。 図4は、図1のプレート式反応器の外観 一例を示す図である。 図5は、伝熱管1の寸法を示す図である 図6は、熱媒混合装置の一例を示す図で ある。 図7は、仕切り7の一例を示す図である 図8は、通気栓8の一例を示す図である 図9は、通気栓8の設置状態の一例を示 図である。 図10は、温度測定装置9の一例を示す図 である。 図11は、伝熱プレート2間の隙間に形成 された触媒層の一例を示す図である。 図12は、伝熱プレートの他の形態を概 的に示す図である。 図13は、本発明のプレート式反応器に ける第二の実施形態の構成を概略的に示す である。 図14は、図13のプレート式反応器をA-A 線に沿って切断したときの断面を示す図で る。 図15は、図13のプレート式反応器をB-B 線に沿って切断したときの断面を示す図で る。 図16は、隣り合う伝熱プレート2とその 間に設けられる仕切り7を示す図である。 図17は、仕切り7の一例を示す図である 。 図18は、仕切り7の他の例を示す図であ る。 図19は、仕切り7の他の例を示す図であ る。 図20は、仕切り7の他の例を示す図であ る。 図21は、仕切り7の他の例を示す図であ る。 図22は、仕切り7の他の例を示す図であ る。 図23は、本発明のプレート式反応器に ける第三の実施形態の構成を概略的に示す である。 図24は、図23のプレート式反応器をA-A 線に沿って切断したときの断面を示す図で る。 図25は、図23のプレート式反応器をB-B 線に沿って切断したときの断面を示す図で る。 図26は、仕切り7を示す図である。 図27は、隣り合う伝熱プレート2とその 間に設けられる仕切り7及び通気栓8を示す図 ある。 図28は、通気栓8の斜視図である。 図29は、通気栓8の展開図である。 図30は、通気栓8と仕切り7との着脱自 構造を示す図である。 図31は、通気栓8の取り外しに用いられ る工具の一例を示す図である。 図32は、通気栓8と仕切り7との他の着 自在構造を示す図である。 図33は、本発明に用いられる通気栓の の例を示す図である。 図34は、本発明に用いられる通気栓の の例を示す図である。 図35は、本発明に用いられる通気栓の の例を示す図である。 図36は、本発明に用いられる通気栓の の例を示す図である。 図37は、本発明に用いられる通気栓の の例を示す図である。 図38は、本発明に用いられる通気栓の の例を示す図である。 図39は、本発明に用いられる通気栓の の例とその着脱固定構成とを示す図である 図40は、本発明に用いられる通気栓の の例とその着脱固定構成とを示す図である 図41は、プレート式反応器の縦断面図 示す。 図42は、プレート式反応器の縦断面図 示す。 図43は、伝熱プレートの拡大図を示す

符号の説明

1、a~c 伝熱管
2、57 伝熱プレート
3 挟持板
4 保持棒
5 熱媒供給装置
6 ガス分配部
7 仕切り
8 通気栓
9 温度測定装置
10、46 穴あき板
11、12 ジャケット
13、16、18 ノズル
14 熱交換器
15 ポンプ
17 分配管
19 マンホール
20 窓
21 通気板
22 第一のスカート部
23 第二のスカート部
24 係止窓
25、50、51 係止爪
26 支持体
27 温度測定部
28 スペーサロッド
29 フランジ
30 コネクタ
31 ケーブル
32 固定用フランジ
33~35 流路
36、43 触媒層
37~39、40~42 反応帯域
44 ケーシング
45 熱媒体収容部
47 温度調整装置
48、48’ 通気口
49、49’ ケーシング端部
52 第一の通気管
53 第二の通気管
54 フランジ部
55 固定ピン
56 付勢部材
58 反応ガス入口
59 反応ガス出口
60-1 熱媒体流路
60-2 熱媒体流路
60-3 熱媒体流路
61 熱媒体供給口
P 一対の伝熱プレートの間隔
L 波の周期
H 波の高さ
Y 熱媒が流れる方向を示す矢印
x 間隔

<第一のプレート式反応器>
 第一のプレート式反応器は、ガス状の原料 反応させるための反応容器と、前記反応容 内に並んで設けられる複数の伝熱プレート 、前記伝熱プレートに所望の温度の熱媒を 給するための熱媒供給装置と、を有する。

 前記反応容器には、ガス状の原料(原料ガ ス)が供給され、生成ガスが排出され、かつ 数の伝熱プレートが並んで収容される容器 用いることができる。プレート式反応器は 般に加圧条件下の雰囲気での反応に用いら ることから、前記反応容器は3,000kPa(キロパ カル)の内圧に耐えられる耐圧性の容器であ ことが好ましい。このような反応容器とし は、例えば円筒部またはその一部を組み合 せたシェル、複数の伝熱プレートが収容さ るように板部材によって内部が区切られた ェル、及び、複数の伝熱プレートが収容さ るように平面の内面を構成する部材によっ 囲まれてなる筐体状の内部を有する容器等 挙げられる。

 前記伝熱プレートは、断面形状の周縁又 端縁で鉛直方向に連結している複数の伝熱 を含む。このように伝熱プレートは、並列 る複数の伝熱管を含む板状体である。伝熱 レートにおいて、伝熱管は直接連結されて てもよいし、プレートやヒンジ等の適当な 材を介して間接的に連結されていてもよい 伝熱プレートは、伝熱管の断面形状を二分 した形状が直接又は間接的に複数連なる形 にそれぞれ成形された二枚の鋼板を接合す ことによって形成されることが、安価に伝 プレートを得る観点から好ましい。

 前記伝熱プレートの間隔は、設計値に応 て設定され、等間隔であってもよいし、二 上の異なる間隔であってもよい。例えば反 容器の内部の形状が矩形である場合では、 熱プレートは、伝熱プレート間において伝 プレートの軸が互いに平行になり、伝熱プ ート間において伝熱管の軸が互いに平行に るように設けられる。また例えば反応容器 内部が円筒状である場合では、伝熱プレー は、前述のように設けられてもよいし、伝 プレートの軸が反応容器の横断面の半径方 になり、伝熱プレート間において伝熱管の が互いに平行になるように(すなわち放射状 に)設けられてもよい。

 前記反応容器内に収容される伝熱プレー の数は、特に制限されず、実用的には反応 必要な触媒量から決定され、通常、数十枚 ら数百枚である。また、前記反応容器内に 容される伝熱プレートの数は、反応生成物 工業的な生産における高い生産性を実現す 観点から、伝熱プレート間の隙間の全容量 3L(リットル)以上となる数であることが好ま しく、100L以上となる数であることがより好 しく、250L以上となる数であることがさらに ましい。伝熱プレート間の隙間にスペーサ 挿入されている場合は、スペーサと伝熱プ ートで囲まれた一区画の容積が1L以上であ ことが好ましく、10L以上であることがより ましい。

 反応容器に収容されている前記伝熱プレ トの軸間の距離は、気相接触反応において 応温度を十分に制御する観点から、10~50mmで ある。なお、伝熱プレートの軸とは、前記隙 間から前記伝熱プレートを見たときに、前記 隙間におけるガスの通気方向に沿って伝熱プ レートを切断したときの伝熱プレートの断面 において、伝熱プレートにおいて全ての伝熱 管が一直線上で連結している場合はこの直線 を言い、全ての伝熱管の連結部が一直線上に ない場合は、全ての連結部を挟む二本の平行 線の間の中点を通る直線を言う。

 前記伝熱プレートの軸間の距離は、反応 伴う熱を有効に除去し、触媒層のホットス ットによる(発熱反応の場合)触媒の劣化を ぎ、一方触媒層全層に亘る温度を最適な範 に制御して、高い反応率と高い反応成績を る観点から、平均値で10~50mm(隣り合う伝熱プ レートにおける伝熱管の幅の半値の和の1.1~5 )であることが好ましく、10~40mmであること より好ましく、20~35mmであることがさらに好 しい。

 前記伝熱プレートの軸間の距離は、触媒 直径(通常、好ましくは工業触媒では、1~10mm )や触媒の反応活性、更には触媒の耐高温性 にも影響される。反応熱の除熱に対しては 伝熱プレートの軸間距離が小さいほど反応 制御は容易であるが、触媒の直径の5~10倍以 の伝熱プレートの軸間距離でないと、触媒 填時にブリッジングを起こし、充填密度が 下することがある。

 前記伝熱プレートは、前記反応容器内に いて、伝熱プレートの表面の凸縁が互いに 向するように並べられてもよいし、一方の 熱プレートの表面の凸縁が他方の伝熱プレ トの表面の凹縁に対向するように並べられ もよい。

 前記伝熱管は、前記伝熱プレートが反応 器内に収容されたときに、伝熱管の軸が反 容器内の通気方向に対して横断する方向に 般に配置される。このとき、伝熱管の軸と 応容器内の通気方向との角度は、反応容器 において伝熱管の軸がガスの通気方向に対 て横断していれば特に限定されない。伝熱 は、反応容器内の通気方向に対して伝熱管 軸が直交すること、すなわち伝熱管を流れ 熱媒の流れ方向が反応容器内の通気方向に して直交すること、が、伝熱管内の熱媒の 度の調整によって原料の反応を制御する観 からより好ましい。

 前記伝熱管は、伝熱管内の熱媒と伝熱管 外接する触媒層との間で熱が交換される伝 性を有する材料で形成される。このような 料としては、例えばステンレス及びカーボ スチール、ハステロイ、チタン、アルミニ ム、エンジニアリングプラスチック及び銅 挙げられる。好ましくはステンレスが用い れる。ステンレスでは、304、304L、316、及び 316Lが好ましい。伝熱管の断面形状は、円形 もよいし、楕円形やラグビーボール型等の 円形でもよいし、円弧を対称に接続してな 葉形でもよいし、矩形等の多角形でもよい 、これらの複数を組み合わせた形状であっ もよい。伝熱管の断面形状における周縁と 、円形における周縁を意味し、伝熱管の断 形状における端縁とは、略円形における長 端の縁や、多角形における一角の縁を意味 る。

 各伝熱プレートにおいて、伝熱プレート 軸方向における前記伝熱管の直径は、(1)伝 プレートの軸及び伝熱管の軸の両方と直交 る方向の曲げ(撓み)剛性、(2)伝熱管の形状 成形性と成形精度、(3)反応熱の除去に必要 伝熱面積、を十分に確保する観点から、ま (4)適度な反応ガスの流れ分布と触媒層の伝 係数、(5)伝熱管内の適度な熱媒の流速と伝 係数、を得る観点から、10~100mmであることが 好ましく、15~70mmであることがより好ましく 20~50mmであることがさらに好ましい。

 また各伝熱プレートにおいて、伝熱プレ トの軸に直交する方向における前記伝熱管 半径は、気相接触反応において反応温度を 分に制御する観点から、1.5 ~25mmである。前 記伝熱管の半径は、(1)隣り合う伝熱プレート 間の距離を、この伝熱プレート間で発生する 反応熱に対応して制御し、触媒層温度を調整 する観点、(2)反応熱の除熱に必要な伝熱面積 、及び(3)伝熱管の形状の成形性と成形精度、 を十分に確保する観点、適度な(4)反応ガスの 流速分布の乱れと触媒層の伝熱係数、(5)反応 ガスの圧力損失、及び(6)伝熱管内の熱媒の流 速と伝熱係数、を得る観点から、1.5~25mmであ ことが好ましく、3~20mmであることがより好 しく、5~15mmであることがさらに好ましい。

 プレート式反応器においては、伝熱プレ ト間の距離は、通常、触媒層の温度を制御 ることを目的として調整される。前述した 熱プレートの軸方向、及び軸に直交する方 における伝熱管のそれぞれの半径は、伝熱 レート間の距離及び触媒の粒径とも関連し 前述の記載の範囲内で上記の目的を達成す ことが可能である。

 なお、一枚の伝熱プレート中の複数の伝 管のそれぞれにおける断面の形状及び大き は、一定であってもよいし異なっていても い。

 また伝熱管の軸方向における長さは、特 制限されないが、一般に0.5~20mである。伝熱 管の軸方向における長さは、反応生成物の大 量生産の観点から、3~15mであることが好まし 、6~10mであることがより好ましい。

 伝熱プレートの軸方向(即ち、伝熱管の軸 と直交する伝熱管の断面における伝熱管の連 結方向)における長さは、反応容器内に収容 た伝熱プレートの撓み等の変形を防止する 点から、5m以下であることが好ましく、0.5~2m であることがより好ましく、0.5~1.5mであるこ がさらに好ましい。

 伝熱プレートを製作する際に用いる鋼板 板幅規格及び入手し易さも、実用的な、か 安価な伝熱プレートの製作には重要であり 通常、入手可能な鋼板の大きさは、国際的 も1.5~2mかそれ以下である。従って、上記実 サイズの板幅を超える場合は、2枚以上の鋼 板を接合して用いることも可能であるが、鋼 板の接合部での成形性については、成形精度 が低下する場合がある。

 伝熱プレートの表面間の距離の設計値の 現では、鋼板の成形時に起因する誤差が重 である。鋼板の成形時に起因する誤差には 伝熱管の軸方向の誤差と伝熱管の連結方向 誤差とがあり、どちらも重要である。特に 応ガスの流れ方向(通常は伝熱管の連結方向 )に伝熱プレート間の表面間の距離を変更す ときは、反応ガスの流れ方向における伝熱 の形状の成形精度が特に重要になる。これ の誤差を所望の値以下に抑える観点から、 熱プレートの軸方向の長さは、2m以下が好ま しい。

 対向する前記伝熱プレートの表面間の距 の設計値は5~50mmである。ここで伝熱プレー の表面間の距離とは、対向する伝熱プレー 間の隙間において、前記伝熱プレートの軸 らなる面から等距離にある面に直交する方 における伝熱プレートの表面間の距離を言 。又は、伝熱プレートの表面間の距離とは 前記隙間から前記伝熱プレートを見たとき 、前記隙間におけるガスの通気方向に沿っ 伝熱プレートを切断したときの伝熱プレー の断面において、前記伝熱プレートの軸か 等距離にある線に直交する方向における伝 プレートの表面間の距離を言う。伝熱管と 媒供給装置とが接続されるにあたり、反応 器内への熱媒の漏出、及び反応容器から伝 管や熱媒供給装置へのガスの漏出を防止す ために、伝熱管は一般に溶接によって熱媒 給装置に接合される。したがって、一般に 反応容器内において、伝熱プレートは不可 的に固定される。このため、反応容器内の 熱プレートの配置は、一般に、所望の反応 績に応じた設計値で予め決められている。

 前記設計値は、反応の制御と反応成績と 条件に基づいて決めることができる。反応 制御の条件は、例えば、反応時における触 層のピーク温度の絶対値の上限値によって めることができる。反応成績は、例えば、 料の転化率及び生成物の選択率を考慮して 主に生成物の収量によって決めることがで る。前記設計値は、触媒の種類、原料ガス 組成及び流量、及び熱媒の温度等のさらな 因子を考慮して、反応の制御の条件を満た 、かつ反応成績の条件を満たすときの触媒 の厚さ、すなわち伝熱プレートの表面間の 離、として求められる。なお、触媒層のピ ク温度は、発熱反応では触媒層の最高温度 吸熱反応では触媒層の最低温度である。

 前記設計値は、コンピュータシミュレー ョンによる計算、伝熱プレートを一対のみ する等の簡素な構成を有するプレート式反 器及び触媒の総収容量が3L程度の小型のプ ート式反応器等の試験機による実験、又は 触媒が充填される一本の反応管と反応管の 囲に熱媒を循環させるジャケットとを有す 管式の反応試験機による実験から求めるこ ができる。コンピュータシミュレーション 、例えばアンシス株式会社のCFX、CD adapco社 STAR-CD、PSE社のgPROMS等のソフトを用いて行う ことができる。

 前記設計値は、反応の精密な制御及び反 成績(反応収率或いは選択率)、触媒量当た の反応生成物の生産性(空時収率)の観点から 5~50mmであることが好ましく、7~30mmであること がより好ましく、10~25mmであることがさらに ましい。触媒の高い生産性を達成するため は、伝熱プレートの表面間の距離は狭い方 温度制御が容易で、反応の精密な制御が可 であるが、伝熱プレートの表面間の距離は 入する触媒の粒径でも制約される。工業触 では、触媒の粒径は1~10mmが多く採用され、 記設計値はこれらの条件の観点からも上記 範囲内において好ましくは決めることがで る。

 対向する前記伝熱プレートの表面間の距 の設計値に対する実測値の差(設計値-実測 )は-0.6~+2.0mmである。ここで「-」は、前記実 値が前記設計値に対して小さいことを表し 「+」は、前記実測値が前記設計値に対して 大きいことを表す。

 前記伝熱プレートの表面間の距離は、5~50 mmの範囲内であれば、対向する伝熱プレート 表面の如何なる位置の間の距離であっても い。例えば、伝熱プレートの表面間の距離 、伝熱プレートに含まれる伝熱管のうち、 応容器における原料ガスの通気方向におい 最も上流側に位置する伝熱管を伝熱管Aとし たときに、対向する一対の伝熱プレートにお ける伝熱管Aによる凸縁間の距離であっても いし、対向する一対の伝熱プレートにおけ 伝熱管Aとその下流側に隣接する伝熱管との 続部による凹縁間の距離であってもよいし 対向する一対の伝熱プレートにおける一方 は他方の伝熱プレートにおける伝熱管Aとそ の下流側に隣接する伝熱管との接続部による 凹縁と他方又は一方の伝熱プレートにおける 伝熱管Aによる凸縁と間の距離であってもよ 。

 前記伝熱プレートの表面間の距離は、例 ば、この表面間の距離の設計値と同じ太さ 有する棒を挿入することによって測定する とができる。また前記伝熱プレートの表面 の距離は、例えば、前記隙間に挿入される 入棒部材と、挿入棒部材の先端に、挿入棒 材の軸に直交して配置される前記設計値の さを有する測定棒部材とを有する測定部材 前記隙間に挿入し、測定棒部材の端部と前 隙間における伝熱プレートの表面とが接触 たときの挿入棒部材の軸の角度や回転角度 測定することによって、この角度から測定 部材に接触した部分の伝熱プレートの表面 の距離を求めることができる。

 前記設計値に対する前記実測値の差が+2.0 mmより大きいと、反応の十分な制御、暴走反 の抑止、触媒の劣化の防止、及び反応の収 の低下の防止を行うことができないことが る。また、前記設計値に対する前記実測値 差が-0.6mm未満であると、伝熱プレート間の 間への触媒のフィードに支障を来たすこと あり、又は触媒のフィードが支障なく行わ たとしても、形成された触媒層の充填密度 低下し触媒量が足らずに所期の反応率が達 されないことがある。前記設計値に対する 記実測値の差は、より精密な反応の制御の 点から、-0.5~+1.5mmであることが好ましく、-0 .5~+1.0mmであることがより好ましく、-0.3~+1.0mm あることがさらに好ましい。

 なお、前記設計値に対する前記実測値の は、プレート式反応器全体において-0.6~+2.0m mの範囲内にあることが最も望ましいが、反 の暴走の防止と高い生産性の維持とを両立 る観点から、全ての実測値のうちの50%以上 前記設計値に対する差が-0.6~+2.0mmに含まれて いることが好ましく、全ての実測値のうちの 70%以上の前記設計値に対する差が-0.6~+2.0mmに まれていることがより好ましく、80%以上の 記設計値に対する差が-0.6~+2.0mmに含まれて ることがさらに好ましく、90%以上の前記設 値に対する差が-0.6~+2.0mmに含まれていること がより一層好ましい。

 前記実測値の測定点は、伝熱プレートの 方向において2~30であることが好ましく、5~2 5であることがより好ましく、10~20であること がさらに好ましい。また、前記実測値の測定 点は、伝熱プレートにおける伝熱管の軸方向 において2~50であることが好ましく、5~30であ ことがより好ましく、10~20であることがさ に好ましい。

 後述するように、隣り合う伝熱プレート 間隔を制御するため、伝熱プレート間にス ーサ(仕切り)を挿入することがあるが、そ 場合にはスペーサが伝熱プレートの間隔を 整する効果を有するので、この場合では、 記実測値は、スペーサ間の中央の位置から2 所を測定すればよい。スペーサを複数枚設 するときの設置間隔は、通常、50cm~1mである が、剛性の高い伝熱プレートを使用し、伝熱 プレート同士を接合する側板及び溶接を工夫 することで、伝熱プレート間の距離を制御で きれば、スペーサ間の距離を1m以上とする事 可能である。

 前記設計値に対する前記実測値の差は、 えば、伝熱プレートを二枚の成形された鋼 の接合によって形成する場合に、鋼板の成 の設計値に対する誤差が十分に小さな(例え ば誤差が±0.5mm以下である)、精度の高い成形 板を選んで用いる方法、及び、精度が十分 ない成形鋼板を選別し、修正して精度を高 て用いる方法、を行うことによって-0.6~+2.0m mにすることができる。鋼板の成形の設計値 対する誤差については、例えばレーザー式 位計を成形鋼板の両面に設置し、変位計又 鋼板を移動させることによって、成形鋼板 両面の変位を測定し、成形鋼板の形状、そ 成形精度、及び前記設計値に対する誤差を めることができる。

 さらに、前記伝熱管に、伝熱管の軸方向 おける長さが10m以下である伝熱管を用いる とは、伝熱管や伝熱プレートの撓みを防止 る観点から有効であり、前記設計値に対す 前記実測値の差を-0.6~+2.0mmにする観点から ましい。

 前記設計値に対する前記実測値の差は、 一の値であってもよいが、気相接触反応に いたときの予想される反応率に応じて、伝 プレートの軸方向において異なる複数の値 あってもよい。例えば、気相接触反応にお て、特に反応の激しい、原料の反応率が小 い反応が行われる伝熱プレート間の隙間に ける原料ガスの入口部で、前記設計値に対 る前記実測値の差を原料ガスの出口部のそ と比べてより小さくすること、すなわち前 設計値に対する前記実測値の差が、伝熱プ ート間の隙間における通気方向において上 側でより小さいこと、が、反応の暴走を抑 する観点から好ましい。

 このような観点から、原料の反応率が70% 下となる位置における前記設計値に対する 記実測値の差をより小さくすることが好ま く、原料の反応率が60%以下となる位置にお る前記設計値に対する前記実測値の差をよ 小さくすることがより好ましく、原料の反 率が50%以下となる位置における前記設計値 対する前記実測値の差をより小さくするこ がさらに好ましい。また、前述の観点から 前記の位置における前記設計値に対する前 実測値の差は、他の位置における前記設計 に対する前記実測値の差に比べて、絶対値 0.2mm以上小さいことが好ましく、絶対値で0. 5mm以上小さいことがより好ましい。

 前記伝熱プレート間の隙間における、前 伝熱プレートの軸方向において原料の反応 が所定の値となる位置は、伝熱管の断面形 及びその大きさ、伝熱管を流れる熱媒の温 及びその流量、伝熱プレートの表面間の距 、触媒の種類、及び原料ガスの組成とその 量等の、反応の進行と伝熱に係る諸条件に って決められ、例えば前述した試験機によ 実験や前述したコンピュータシミュレーシ ンによる計算から決めることができる。

 前記熱媒供給装置は、前記伝熱プレート おける前記伝熱管の両端において伝熱管と 合し、所望の温度の熱媒を伝熱管に供給す ための装置である。前記熱媒供給装置には プレート式反応器において、前記伝熱管に 媒を供給するための通常の装置を利用する とができる。熱媒供給装置は、複数の伝熱 の全てに一方向に熱媒を供給する装置であ てもよいし、複数の伝熱管の一部に一方向 熱媒を供給し、複数の伝熱管の他の一部に 逆方向に熱媒を供給する装置であってもよ 。

 また熱媒供給装置は、伝熱プレートの軸 向を横断する方向に区切られてなる複数の 媒循環室を有することが、伝熱プレートの 方向に沿って触媒層に複数の反応帯域を形 する観点から好ましい。また熱媒供給装置 、前記伝熱管を介して反応容器の内外で熱 を循環させる装置であることが好ましい。

 さらに熱媒供給装置は、伝熱管に供給す 熱媒の温度を調整する装置を有する。この うな装置としては、例えば、熱媒の循環流 中に設けられる熱交換器、及び熱媒供給装 における前記室の熱媒に、異なる温度の熱 を混合するための熱媒混合装置、熱媒の温 測定装置、熱媒の流量を調節する為の装置 挙げられる。前記熱媒混合装置には、例え 熱媒供給装置内に突出し、熱媒供給装置内 熱媒を分散して供給することができる分配 、熱媒供給装置内に設けられる通液板、及 通称スタティックミキサーと呼ばれる静止 混合器を用いることができる。

 前記分配管としては、例えば分配管の長 方向に沿って管壁にスリットや孔のような 数の通液口を有する分配管、及び通液口を する枝管をさらに有する分配管が挙げられ 。前記分配管は、熱媒供給装置内における 媒の流れ方向に対して直交する方向に延出 て設けられることが好ましく、枝管を有す 分配管は、主管と枝管とを有し、これらが に熱媒供給装置内における熱媒の流れ方向 対して直交する方向に延出して設けられ、 つ主管と枝管の延出方向が互いに直交する うに設けられることが、異なる温度の熱媒 分散における効率の向上及び圧力損失の抑 の観点から好ましい。

 第一のプレート式反応器は、前述した以 の他の構成要素をさらに有していてもよい このような他の構成要素としては、例えば スペーサ、通気栓、温度測定装置、及びプ ート挟持部が挙げられる。

 前記スペーサ(仕切り)は、前記伝熱プレ トの間に所定の間隔を形成するための部材 ある。前記スペーサは、伝熱プレートの表 に当接し、伝熱プレートの間隔を保つのに 分な剛性を有することが好ましい。また前 スペーサは、伝熱プレートの軸方向におい 伝熱プレートの表面に断続的に当接する部 であることが、スペーサを鋼材で形成する 合に、プレート式反応器に要する鋼材の量 削減する観点から好ましい。また前記スペ サは、伝熱プレートの軸方向において伝熱 レートの表面に連続して当接する部材であ ことが、反応容器内における伝熱プレート 撓み等の変形を防止する観点から好ましい さらに前記スペーサは、伝熱管の軸方向に ける触媒の通過を許容しない部材であるこ が、触媒の充填の観点から、前記伝熱プレ ト間の隙間を所定の容量の区画に仕切るこ ができ、伝熱プレート間の隙間に触媒を容 かつ正確に充填する観点から好ましい。ス ーサは、伝熱管の軸方向において、10箇所以 上配置されることが、又は100~1,000mmの間隔で 置されることが、反応容器内における伝熱 レートの変形を防止する観点から好ましい 前記スペーサとしては、例えば、棒、板、 ロック等の種々の形態の部材、及び後述す 第二のプレート式反応器における仕切りが げられる。

 前記通気栓は、通気性を有し、伝熱プレ トの隙間、又はスペーサをさらに有する場 では前記区画の、伝熱プレートの軸方向に ける端部を、触媒の通過を許容しないよう 着脱自在に塞ぐための部材である。このよ な通気栓としては、例えば、伝熱プレート 軸方向における伝熱プレート間の隙間又は 記区画の端部を塞ぐ通気板と、この通気板 設けられ、前記伝熱プレート又は前記スペ サと着脱自在に係止する係止部材とを有す 部材が挙げられる。前記通気栓は、前記区 の端部に着脱自在に配置される部材である とが、伝熱プレート間の隙間に触媒を容易 つ正確に充填する観点から好ましい。前記 気栓には、後述する第二のプレート式反応 における通気栓を用いることができる。

 前記温度測定装置は、前記伝熱プレート の隙間に形成された触媒層の温度を測定す 装置である。このような温度測定装置とし は、可撓性を有する支持体とこの支持体に 持される温度測定部とを有する装置が挙げ れる。前記支持体としては、可撓性を有す 紐、帯、鎖、管を用いることができる。ま 前記温度測定部としては、例えば、白金測 抵抗体、サーミスタ、熱電対、及び光ファ バ型温度測定器が挙げられる。

 一反応容器当たりの前記温度測定装置の 置数は、触媒層の温度を把握する観点から 2~20であることが好ましい。また支持体の太 さ(幅)は0.5~5mmであることが好ましい。さらに 温度測定部は、触媒層の温度の測定を反応の 制御に反映させる観点から、一本の支持体に 1~30設けられることが好ましく、触媒層に複 の反応帯域が形成される場合では、一反応 域に対して1~10設けられることが好ましい。 記温度測定装置は、前記伝熱プレート間の 間において、隣り合う伝熱プレートから等 離の位置に直線状に前記支持体を張り、前 支持体が張られている状態で前記隙間に触 を充填することによって、前記隙間に適切 配置することができる。伝熱プレートの変 、伝熱菅の形状誤差による部分的な反応異 や触媒層の温度分布異常への影響をチェッ する目的では、温度測定位置は、一触媒層 おいて2箇所以上であることが必要である。 反応制御の容易さの観点では、温度測定位置 は多い方が好ましい。

 前記プレート挟持部は、前記伝熱プレー が並ぶ方向における両端の伝熱プレートに 少なくとも伝熱管の軸方向に沿って原料ガ の通気を遮断するように当接して、前記複 の伝熱プレートを伝熱プレートが並ぶ方向 挟持する部材である。プレート挟持部は、 応容器内に設けられていてもよいし、反応 器の対向する一対の壁を構成してもよい。 レート挟持部は、反応容器の壁におけるガ の滞留部の形成を防止する観点から好まし 。このようなプレート挟持部としては、前 複数の伝熱プレートが並ぶ方向における両 の伝熱プレートの少なくとも一本の伝熱管 、伝熱管の延出方向において伝熱管全体に 接する一対の挟持板と、これらの挟持板を 通して保持する保持棒とが挙げられる。

 さらに保持棒が、例えば少なくとも先端 にナットが螺着可能なネジを有する棒のよ な、所定の間隔で挟持板を対向方向に連結 ることができる部材であることが、挟持す 伝熱プレートとの間隔を微調整する観点、 媒の充填やプレート式反応器内部の点検時 おける足場を容易に設置する観点、及び他 条件のプレート式反応器への転用が可能で る観点からより好ましい。

 第一のプレート式反応器では、このプレ ト式反応器を気相接触反応に用いる場合に 前記伝熱プレート間の隙間に触媒が充填さ る。前記触媒は、気相接触反応の原料及び 応生成物に応じて選ばれる。前記触媒には 気相接触反応で管又は伝熱プレート間の隙 に充填される通常の粒状の触媒を用いるこ ができる。触媒は一種でも二種以上でもよ 。このような触媒としては、例えば粒径(最 長径)が1~20mmである触媒が挙げられる。用い れる触媒の粒径は1~10mmであることがより好 しい。また触媒の形状としては、公知のも が使用でき、例えば球状、円柱状、ラシヒ ング状、サドル状が挙げられる。

<反応生成物の第一の製造方法>
 第一のプレート式反応器は、熱交換能を有 ており、原料ガスと固体の触媒とが用いら る気相接触反応のうち、反応器に熱交換機 を必要とする発熱反応又は吸熱反応に用い ことができる。すなわち第一プレート式反 器は、前記反応容器にガス状の原料を供給 て前記触媒層に通す工程と、前記伝熱プレ トを構成する複数の伝熱管に所定の温度の 媒を供給する工程とを含む、前記触媒の存 下で原料ガスを反応させてガス状の反応生 物を生成する反応生成物の第一の製造方法 用いることができる。このような製造方法 、公知のプレート式反応器を用いる気相接 反応と同様に行うことができ、又は公知の 管式反応器を用いる気相接触反応と同様の 件で行うことができる。

 前記発熱反応を伴う気相接触反応として 、例えば:プロパン、プロピレンと酸素から 又はアクロレイン及びアクリル酸の一方又は 両方を生成する反応;イソブチレンと酸素か メタクロレイン及びメタクリル酸の一方又 両方を生成する反応;エチレンと酸素から酸 エチレンを生成する反応;炭素数3の炭化水 と酸素から、炭素数3の不飽和脂肪族アルデ ド及び不飽和脂肪酸の一方又は両方を生成 る反応;炭素数4の炭化水素及びターシャー タノールの一方又は両方と酸素から、炭素 4の不飽和脂肪族アルデヒド及び不飽和脂肪 の一方又は両方を生成する反応;炭素数3又 4の不飽和脂肪族アルデヒドと酸素から炭素 3又は4の不飽和脂肪酸を生成する反応;n-ブ ンやベンゼン等の炭素数4以上の炭化水素と 素からマレイン酸を生成する反応;キシレン 及び/又はナフタレンと酸素からフタル酸を 成する反応;ブテンの酸化脱水素によりブタ エンを生成する反応;が挙げられる。

 前記吸熱反応を伴う気相接触反応として 、例えば、エチルベンゼンの脱水素により チレンを生成する反応が挙げられる。

 反応生成物の第一の製造方法は、メタア ロレイン及びメタアクリル酸の一方又は両 、アクロレイン及びアクリル酸の一方又は 方、マレイン酸、フタル酸、酸化エチレン 又はブタジエンの製造に好適に用いること できる。

 例えば、(メタ)アクロレイン(アクロレイ 又はメタクロレイン)及び(メタ)アクリル酸 一方又は両方を製造する反応生成物の第一 製造方法は、反応器として第一のプレート 反応器を用いる以外は、日本国特開2003-25280 7号公報に記載されているような、プロパン プロピレン又はイソブチレンを触媒の存在 で分子状酸素又はそれを含有するガスを用 て酸化する公知の方法によって行うことが きる。また前記触媒には、同公報に記載さ ているような、Mo-V-Te系複合酸化物触媒、Mo-V -Sb系複合酸化物触媒、Mo-Bi系複合酸化物触媒 及びMo-V系複合酸化物触媒等の、(メタ)アク ル酸を生成する気相接触酸化反応での使用 おいて公知の触媒を公知の用法で用いるこ ができる。

 また反応生成物の第一の製造方法は、触 の存在下における原料ガス中の原料の反応 しての発熱反応を伴う気相接触反応におい 、好適に用いることができる。

 反応生成物の第一の製造方法では、反応 における触媒層の伝熱プレート軸方向の温 分布中のピーク温度を、第一のプレート式 応器の設計時に設定された触媒層のピーク 度の設定値にする温度の熱媒を、熱媒供給 置から伝熱管に供給する。このような熱媒 温度の制御は、例えば前記設計値に基づく ィードバック制御等の公知の制御方法を利 して行うことができる。反応時における熱 の温度の制御は、触媒層のピーク温度が前 設計値に対して±20℃となるように行われる ことが好ましく、触媒層のピーク温度が前記 設計値に対して±10℃となるように行われる とがより好ましく、触媒層のピーク温度が 記設計値に対して±5℃となるように行われ ことがさらに好ましい。前記設定値は、プ ート式反応器の前記設計値を決める際の実 から求められ、又は前記のコンピュータシ ュレーションによる計算において決められ 。また熱媒の温度の制御は、前記熱媒供給 置を利用して行うことができる。

<第一のプレート式反応器の製作方法>
 第一のプレート式反応器は、対向する前記 熱プレートの表面間の距離が前記設計値と る間隔で前記伝熱プレートを配置して前記 熱管と前記熱媒供給装置とを溶接等により 合することによって得られる。前記伝熱プ ートは、例えば前記設計値に等しい太さを する棒部材を介して伝熱プレートを並べる とによって、前記設計値となる間隔で配置 ることができる。前記棒部材は、伝熱管と 媒供給装置との接合の後に伝熱プレート間 隙間から抜き出される。

 又は、前記伝熱プレートは、プレート式 応器が前記スペーサを有する場合は、接合 の伝熱プレートとスペーサとを交互に密に 置することによって、前記設計値となる間 で配置することができる。

 以下、本発明の実施形態を、図面を用い より具体的に説明する。

<第一の実施の形態>
 第一のプレート式反応器は、例えば図1~4に されるように、伝熱管1を有し、前記反応容 器内に並んで設けられる複数の伝熱プレート 2と、伝熱プレート2が並ぶ方向における両端 伝熱プレート2に、少なくとも伝熱管1の軸 沿って当接して、複数の伝熱プレート2を伝 プレート2が並ぶ方向に挟持する一対の挟持 板3と、これらの挟持板3を連結する複数の保 棒4と、伝熱プレート2における伝熱管1の両 に当接して伝熱管1に熱媒を供給する熱媒供 給装置5と、伝熱管1の軸を横断する方向にお て、複数の伝熱プレート2における両端を覆 い、隣り合う伝熱プレート2間の隙間にガス 流通させるガス分配部6と、隣り合う伝熱プ ート2間の隙間を、ガスの通気方向に沿って 、充填された触媒を収容する複数の区画に仕 切る仕切り7と、各区画の下端を塞ぐ通気栓8 、所定の区画の中央部に、伝熱管1の軸を横 断する方向へ張設されている温度測定装置9 、複数の伝熱プレート2の上方を覆うように けられる穴あき板10とを有する。

 伝熱管1は、例えば伝熱プレート2の軸方 における直径(長径、L)が30~50mmであり、伝熱 レート2の軸方向に直交する方向における直 径(短径、H)が10~20mmである、断面形状が円弧 楕円弧、矩形及び多角形の一部を主構成要 とする形状である管である。伝熱管1の長さ 通常0.1~20mであり、例えば10mである。図5に 、円弧を断面形状の構成要素とする、断面 状が葉形の伝熱管を示している。図5中、伝 管の長径をL、短径をHで表す。

 伝熱プレート2は、複数の伝熱管1が断面 状の端縁で連結した形状を有している。伝 プレート2は、楕円弧が連続して形成するよ に成形された二枚の鋼板を、両鋼板におけ 弧の端に形成される凸縁で溶接により互い 接合することによって形成されている。前 鋼板には、厚さ2mm以下、好適には1mm以下の 板が用いられる。成形された前記鋼板の形 は精密に検査され、例えば、成形の設計値 対する誤差が±1%以内である成形された鋼板 はそのまま用いられ、成形の設計値に対する 誤差が±5%を超える成形された鋼板は、成形 設計値に対する誤差が±2%以内になるように 正された後に用いられている。

 なお、隣り合う伝熱プレート2は、表面の 凸縁同士が対向するように並列していてもよ いが、図1のプレート式反応器では、一方の 熱プレート2の表面の凸縁と、他方の伝熱プ ート2の表面の凹縁とが対向するように並列 している。

 伝熱プレート2は、全て同じ伝熱管1で構 してもよいし、断面の大きさが異なる伝熱 1によって構成してもよい。例えば伝熱プレ ト2は、断面の大きさが異なる三種の伝熱管 のそれぞれによって、伝熱プレート2の上部 中部、及び下部が構成されていてもよい。 り具体的には、伝熱プレート2は、図7に示す ように、三種の伝熱管のそれぞれの長軸が一 直線上に配置されるように形成され、例えば 、伝熱プレート2の上部は、伝熱プレート2の さの20%分が最も断面の大きさが大きい伝熱 aで構成され、伝熱プレート2の中部は、伝 プレート2の高さの30%分が二番目に断面の大 さが大きい伝熱管bで構成され、伝熱プレー ト2の下部は、伝熱プレート2の高さの40%分が も断面の大きさの小さい伝熱管cで構成され 、伝熱プレート2の高さの10%分は、伝熱プレ ト2の上端部及び下端部の接合板部で形成さ ていてもよい。伝熱管aの断面形状は、例え ば長径(L)が50mmであり、短径(H)が20mmの葉形で り、伝熱管bの断面形状は、例えば長径(L)が 40mmであり、短径(H)が16mmの葉形であり、伝熱 cの断面形状は、例えば長径(L)が30mmであり 短径(H)が10mmの葉形である。

 伝熱プレート2は、伝熱プレート2の軸方 における長さは通常0.5~10mであり、好ましく 2m以下である。伝熱プレート2の軸方向にお る長さが2m以上の場合は、2枚の伝熱プレー 2を接合するか、組み合わせて用いることも できる。

 挟持板3は、図2及び図3に示すように、一 の板であり、例えばステンレス製の一対の である。挟持板3は、縁部で保持棒4によっ 結合することができるように、伝熱プレー 2よりも大きく形成されている。

 保持棒4は、図3に示すように、一対の挟 板3を貫通して連結する複数の棒であり、例 ば両端部にネジを有するステンレス製の棒 ある。挟持板3は、図2~図4に示すように、保 持棒4の両端部において、伝熱プレート2の上 の伝熱管1(前記伝熱管a)の外周に接する位置 に、ナットによって固定される。挟持板3は 保持棒4のネジの設置長さの範囲で、伝熱プ ート2を挟持する方向において位置を変えて 固定することができる。また保持棒4は、上 方向において、伝熱プレート2間の隙間に配 される仕切り7と重なる位置に配置されてい る。一対の挟持板3及び保持棒4は前記プレー 挟持部を構成している。

 熱媒供給装置5は、図1及び図2に示すよう 、伝熱プレート2の伝熱管1の両端に接する 対の容器であり、例えば接する伝熱管1に対 する開口部を有するステンレス製の一対の ャケット11、12と、ジャケットに設けられ、 熱媒の供給と排出に用いられるノズル13と、 ャケット11から排出された熱媒の温度を調 するための熱交換器14と、ジャケット11と熱 換器14との間で熱媒を循環させるためのポ プ15とを有する。熱媒供給装置5は、ネジ及 ナット等の通常の固定部材と、ガスケット のシールとを用いて、挟持板3の側縁部にお て、挟持板3と互いに気密に接合している。

 ジャケット11、12の内部は、所定の本数の 伝熱管1ごとにおいて熱媒が一方向又は逆方 に流れて熱媒がジャケット11、12間を往復す ように、伝熱プレート2の軸を横断する方向 に沿って、連通又は遮断するように適宜に区 切られていてもよい。

 なお、熱媒供給装置5は、例えば図2中の 印Yで示されるように、一方のジャケット11 ら他方のジャケット12へ熱媒を全ての伝熱管 1において一方向に流す装置であってもよい

 さらに熱媒供給装置5は、例えばジャケッ ト11、12に、又はジャケット11、12における、 熱プレート2の軸方向に対して遮断されてな る複数の室のうちの任意の室に、熱媒混合装 置を有している。熱媒混合装置は、図6に示 ように、ジャケット内外を連通するノズル16 と、ジャケット内部においてノズル16に連結 、ジャケット内の熱媒の流れ方向に対して 交する方向に延出する分配管17とを有して る。分配管17は、例えば先端が塞がれており 、分配管の長手方向の全体にわたって複数の 孔が設けられている管である。

 ガス分配部6は、例えば、前記複数の伝熱 プレートの端部に離間する覆いを形成し、前 記熱媒供給装置及びプレート挟持部が形成す る反応容器の側壁の両端を密閉する反応容器 カバーと、原料ガスが供給され、又は反応生 成ガスが排出されるガスの通気口(ノズル18) から構成することができる。前記反応容器 バーには、ドーム形状、円錐形状、四角垂 状、三角柱形状、筐体等の種々の形状のカ ーを用いることができる。また前記通気口 は、例えば反応容器カバーに開口するノズ とその端部に形成されるフランジとを有す 通常の通気口を用いることができる。前記 応容器カバーは、前記反応容器の側壁に対 て通常は一対が設けられ、これらは同一で ってもよいし異なっていてもよい。また前 通気口は、反応容器カバーに通常は一つ設 られるが、複数設けられていてもよい。さ に前記通気口は、プレート式反応器におい 通常は一対設けられるが、これらは同一で ってもよいし異なっていてもよい。

 より具体的には、ガス分配部6は、図1及 図3に示すように、挟持板3の上端縁とジャケ ット11、12の上端縁、及び挟持板3の下端縁と ャケット11、12の下端縁、のそれぞれに、例 えば前記固定部材とシールとを用いて気密に 接合して複数の伝熱プレート2の両端を覆う 対の部材である。ガス分配部6は、例えば、 まぼこ型のステンレス製の蓋である。ガス 配部6は、それぞれ、ノズル18とマンホール1 9とを有する。一方のガス分配部6のノズル18 介して、ガスが伝熱プレート2間の隙間に向 て供給され、また前記隙間から他方の蓋の ズル18を介してガスが排出される。前記プ ート式反応器では、挟持板3、熱媒供給装置5 、及びガス分配部6が気密に接合することに って反応容器が形成されている。

 マンホール19は、ガス分配部6が設置され 状態でガス分配部6に対して作業員が出入り するための開閉扉である。ノズル18及びマン ール19の配置は特に限定されないが、ガス 配部6がかまぼこ型の蓋である場合では、例 ば図1に示すように、ノズル18は蓋の一端部 設けられ、マンホール19は蓋の他端部に設 られる。さらにガス分配部6には、圧力の異 な急上昇時や異常反応時の安全対策として 安全弁や破裂板等の不図示の安全装置が、 口部及び/或いは出口部のガス分配部6の本 やノズル18に設置される。また、反応器出口 側のガス分配部6及びマンホール19については 、反応生成物を含有するガスが滞留すること によって発生する目的物の分解や副生成物の 蓄積が発生する場合には、滞留部を少なくす る為の構造や付加物を設置することが望まし い。

 仕切り7は、隣り合う伝熱プレート2の間 、伝熱管1の軸を横断する方向、すなわちプ ート式反応器におけるガスの通気方向、に って設けられている。仕切り7は、図7に示 ように、例えば伝熱管1の表面に当接する、 分な剛性を有する板状の部材であり、下部 矩形の貫通孔である窓20を有している。仕 り7は、伝熱プレート2の間隔を所定の間隔に 維持するスペーサとなっている。仕切り7は プレート式反応器全体において同じ間隔で けられていてもよいし、異なる間隔で設け れていてもよい。仕切り7は、例えば400mmの じ間隔で並列して設けられ、伝熱プレート2 の隙間に12Lの容積の複数の区画を形成して る。

 通気栓8は、図8に示すように、各区画の 面形状と同じ矩形の通気板21と、通気板21の 辺から下方に垂設される第一のスカート部2 2と、通気板21の長辺から下方に垂設される第 二のスカート部23とを有している。第一のス ート部22には、矩形の係止窓24と、その隣に 併設される係止爪25とが形成されている。

 通気板21は例えば2mmの円形の孔が開口率30 %で形成された板である。係止窓24は、係止爪 25を収容する幅と高さを有する大きさで形成 れている。また係止爪25は、第一のスカー 部22の下端縁からの平行な二本の切り込みを 外側に凸に折り曲げて形成されている。対向 する一対の第一のスカート部22において、一 の係止窓24と他方の係止爪25とが対向し、一 方の係止爪25と他方の係止窓24とが対向して る。仕切り7の窓20は、係止窓24と係止爪25と 同時に含まれる幅及び高さを有する大きさ 形成されている。

 通気栓8は、各区画の下端から通気板21を に各区画に挿入される。このとき係止爪25 、外側への付勢に抗して仕切り7に押さえら るが、窓20に到達したときに、図9に示すよ に、仕切り7の押さえつけから開放されて窓 20に向けて進出し、窓20に係止する。

 温度測定装置9は、例えば図2に示すよう 、伝熱プレート2が形成する複数の隙間のう 、最も外側の隙間と、それより内側の任意 隙間とに設けられる。また温度測定装置9は 、伝熱プレート2間の一つの隙間において、 熱管1の軸方向、すなわち熱媒の流れ方向、 沿って、熱媒の入口近傍と出口近傍とを含 複数箇所に設けられる。温度測定装置9の設 置位置は、伝熱プレート2の一本の伝熱管1に ける上流側の熱媒と下流側の熱媒との温度 に応じて決めることができる。例えば熱媒 温度を0.5℃単位で制御する場合では、温度 定装置9は、伝熱プレート2の一本の伝熱管1 おける上流側の熱媒と下流側の熱媒との温 差が2℃以上になる位置に設けられる。

 温度測定装置9は、図10に示すように、可 性を有する支持体26と、支持体26に支持され ている複数の温度測定部27と、支持体26から 平方向に延出し、伝熱プレート2の表面に接 る複数のスペーサロッド28と、支持体26の基 端に設けられるフランジ29と、フランジ29に 続されるコネクタ30と、コネクタ30に接続さ るケーブル31と、支持体26の先端に設けられ る固定用フランジ32とを有している。

 支持体26は管壁の平均厚さが0.2mmであるス テンレス製の管である。支持体26内には、温 測定部27である11本の熱電対が挿入されてい る。各温度測定部27は、各触媒層における温 変化に応じて配置される。例えば温度測定 27は、触媒層における反応ガスの入口近傍 、出口近傍と、各触媒層の各反応帯域にお てそれぞれ最大温度になると予測される三 所とに設けられる。より具体的には温度測 部27は、図10に示すように、各隙間の通気方 において、各隙間の上端部に一つ、伝熱管a 群によって形成される第一の反応帯域の中央 部に三つ、伝熱管b群によって形成される第 の反応帯域の中央部に三つ、伝熱管cによっ 形成される第三の反応帯域の上部に三つ、 隙間の下端部に一つが、それぞれ設けられ 。

 なお、各伝熱管1において熱媒の温度差が 2℃以上になる位置や、各触媒層の各反応帯 において最大温度になると予測される位置 、この反応器の試験機を用いた実験結果に づいて、又はアンシス株式会社のCFX、CD adap co社のSTAR-CD、PSE社のgPROMS等のソフトを用いる コンピュータシミュレーションの結果に基づ いて決めることができる。

 スペーサロッド28は、支持体26に基端が固 定され水平方向に延出するステンレス製の棒 材である。スペーサロッド28は、支持体26に ける位置に応じた長さを有しており、支持 26が各隙間の中心面に支持されたときに伝熱 プレート2の表面にスペーサロッド28の先端が 接触する長さを有している。スペーサロッド 28は、支持体26の中央部から基端部にかけて 本設けられており、対向する伝熱プレート2 それぞれに交互に接触するように設けられ いる。

 フランジ29は、反応容器の上部に支持体26 を固定するために、例えばフランジ29を反応 器内の所定の高さに支持するフランジ支持 材に載せられている。フランジ支持部材は 例えば上側のガス分配部6から垂設するボル トが挿通され、ナットによって所定の高さに 保たれる部材であり、例えば支持体26を挟む 本の鋼線と、ボルト用の孔を有し二本の鋼 を支持する鋼線支持部材と、ボルト用の孔 前記ボルトが挿入された鋼線支持部材を下 ら締め上げるナットとによって構成される 固定用フランジ32は、通気栓8の通気板21に ける孔の直径よりも大きな直径を有する円 又は輪であり、例えば支持体26の先端を通気 板21の前記孔に通した後に支持体の先端に固 される。

 図10の温度測定装置9は、垂直方向におい 、前記隙間の下端部では、各伝熱プレート2 から等距離の位置で、支持体26の先端が固定 フランジ32によって通気栓8に固定されてお 、前記隙間の上端部では、各伝熱プレート2 から等距離の位置で、支持体26の基端が前記 ランジ支持部材によって固定されている。 ランジ支持部材のナットを締め付けること より、ナットが上方に移動し、支持体26は ランジ支持部材によって上方に張られ、そ ぞれのスペーサロッド28が伝熱プレート2の 面に接触した状態で直線状になる。

 前記プレート式反応器では、前述した構 によって、伝熱プレート2は、例えば、伝熱 管aの外壁間の最短距離が14mm(各伝熱プレート 2の軸間の距離が30mm)の等間隔で並列している 。

 伝熱プレート2は、伝熱プレート2とスペ サ7とを交互に配置することによって所望の 置に配置され、この位置で伝熱管1の両端が ジャケット10、11と溶接されて接合している ここで伝熱プレート2の表面間の距離は、伝 プレート2間の隙間から伝熱プレート2を見 とき(図1)に、前記隙間におけるガスの通気 向(図1中のB-B’線)に沿って伝熱プレート2を 断したときの伝熱プレート2の断面(図3及び 5)において、伝熱プレート2の軸から等距離 ある線に直交する方向における伝熱プレー 2の表面間の距離である。伝熱プレート2は 伝熱プレート2の軸が鉛直方向に沿うように また伝熱管1の軸が水平方向に沿うように配 置されていることから、例えば、伝熱プレー ト2の表面間の距離の設計値は、軸が鉛直方 となるように配置されている伝熱プレート2 おいて、水平方向における伝熱プレート2の 表面間の距離のうち、一方の伝熱プレートの 凸縁と他方の伝熱プレートの凹縁間の距離で 20mmであり、前記距離の実測値は19.5~21mmであ とき、このときの伝熱プレート2の表面間の 離の設計値に対する差は-0.5~1.0mmとなる。

 隣り合う伝熱プレート2間の隙間の各区画 には触媒が充填される。触媒には、例えば、 最大平均粒径が5mmであり、形状がリングであ るモリブデン(Mo)-ビスマス(Bi)系触媒が用いら れる。伝熱プレート2と仕切り7とによって形 される区画に、この区画の容積に応じた所 の容積の触媒が充填される。

 伝熱プレート2間の隙間に触媒が充填され た状態を図11に示す。図11に示すように、伝 プレート2は、2枚の薄板が円弧や楕円弧、矩 形或いは多角形の一部に成型され、互いに向 き合って接合され、断面積の異なる三種の熱 媒の流路33、34、35を形成している。流路33の はもっとも大きく、従って触媒層36の幅は 路33の間でもっとも狭くなっている。流路34 35は、流路33に比べて流路の幅は順次小さく なっており、従って触媒層36の幅は、順次広 なっている。

 触媒層36は、流路33、34、35に応じて三つ 反応帯域37、38、39を形成している。触媒層36 の厚さを、伝熱プレート2の軸に直角な方向 伝熱プレート2間の距離の平均値とすると、 応帯域37における触媒層36の厚さは例えば8~1 5mmであり、反応帯域37に続く反応帯域38にお る触媒層36の厚さは例えば10~20mmであり、反 帯域38に続く反応帯域39における触媒層36の さは例えば15~30mmである。

 前記プレート式反応器を用いて気相接触 応を行う場合、反応温度は伝熱管1を流れる 熱媒の温度によって制御される。熱媒の温度 は、原料、生成物、触媒の種類によって異な るが、一般に200~600℃であることが好ましい 熱媒の温度の一例としては、反応原料ガス C3~C4不飽和炭化水素のとき、300~400℃である 各反応帯域に供給される熱媒の温度は、そ ぞれ独立に決定され、制御される。反応原 ガスが(メタ)アクロレインのときは、250~320 の範囲で熱媒の温度が選択される。

 特に反応原料ガスの反応転化率が重要で り、所望の転化率を得るために熱媒の温度 制御される。プレート式反応器の運転時に 媒層の温度を許容温度以上にすると、触媒 活性の低下、選択率の低下、活性や選択率 低下速度の増大等の問題を生じることがあ 。ここで「転化率」とは、触媒層に供給さ た原料ガス(例えばプロピレン)の供給量に する、反応によって生成物へ転化された原 ガスの量の比率を言い、「選択率」とは、 応によって転化した原料ガスの量に対する 目的とする生成物に変換された原料ガスの の比率を言う。

 所定の転化率を得るために、熱媒の温度 制御するが、触媒の性能を長期間にわたり く保つ為には、触媒層の最大温度が使用す 触媒の最大許容温度以下であることが重要 あり、より好ましくは、所望の反応成績を られる範囲で可能な限り触媒層の最大温度 低く保つ事が重要である。

 熱媒は、2~5の反応帯域にそれぞれ、触媒 のピーク温度を前記設定値±10℃以内とする 温度で供給され、反応ガスの流れ方法と直角 な方向(十字流方向)に流れる。一本の伝熱管1 における入口と出口とにおける熱媒の温度差 は0.5~10℃であることが好ましく、2~5℃である ことがより好ましい。図11に示す形態におい 、所定の温度に制御された熱媒は、例えば 路33~35における伝熱管1のそれぞれ一本毎に される場合があり、また同じ反応帯域の伝 管1の全てに同時に流す場合もある。また、 ある反応帯域の伝熱管1に供給され排出され 熱媒を同じあるいは別の反応帯域の伝熱管1 供給することも可能である。

 反応成績に関連する可能性が高く、プレ ト式反応器の注目すべき製作の精度として 、触媒層36の厚み(伝熱プレート2の表面間の 距離)を決定する伝熱管a~cの厚み及び1対の伝 プレート2の軸間の距離である。伝熱プレー ト2の軸間の距離が一定で伝熱管1の厚みが設 よりも薄すぎる場合、あるいは伝熱プレー 2の軸間の距離が設定よりも大きすぎると、 触媒層36の厚み(伝熱プレート2の表面間の距 )が大きくなり、熱の授受が効率的に行われ 、触媒層36や反応原料の温度を正しく維持 きなくなることがある。

 伝熱プレート2の軸間の距離が一定で熱媒 流路の厚みが設定よりも大きすぎる場合、あ るいは伝熱プレート2の軸間の距離が設定よ も小さすぎると、触媒層36の厚み(伝熱プレ トの表面間の距離)が小さくなり、熱の授受 効率的になるが、設定した触媒が正しく充 できず、気相接触反応を正しく維持できな なることがある。

 前記プレート式反応器において、熱媒に 例えば345℃の熱媒を伝熱管1に流し、原料ガ スとしてプロピレン、分子状酸素、水蒸気及 び不活性ガスを含むガスを上側のガス分配部 6から流すことによって、アクロレインとア リル酸とを含む反応ガスが得られる。前記 計値から決められる所望の収量の反応生成 を得るための原料ガスの供給量で原料ガス 供給され、前記設計値から決められる熱媒 温度及び供給量で熱媒が伝熱管1に供給され 触媒層36の最大温度(ピーク温度)Aが温度測 装置9によって測定される。

 ピーク温度Aが前記設定値±10℃以内であ 場合には、熱媒は熱媒の設定された温度及 供給量で伝熱管1に供給される。ピーク温度A が前記設定値+10℃より高い場合には、熱媒は 熱媒の設定された温度より低い温度及び熱媒 の設定された供給量で伝熱管1に供給される ピーク温度Aが前記設定値-10℃より低い場合 は、熱媒は熱媒の設定された温度より高い 度及び熱媒の設定された供給量で伝熱管1に 供給される。このように触媒層36のピーク温 に応じて熱媒の温度を制御することによっ 、原料ガスの供給量を変えることなく、ま 反応の収量を下げることなく反応生成物を 造し続けることができる。

 前記プレート式反応器は、設計値に対す 誤差が±1%以内に成形された鋼板を接合して 形成された伝熱プレート2を用いることから 触媒層のピーク温度の実測値が該ピーク温 の設定値となるように熱媒の温度を制御す ことによって、生産性の高い条件での反応 成物の製造を維持することができる。

 また前記プレート式反応器は、仕切り7を 有することから、伝熱プレート2を、伝熱プ ート2の表面間の距離の設計値の通りに配置 る観点から効果的である。さらに前記プレ ト式反応器は、仕切り7を有することから、 伝熱プレート2間の隙間に複数の区画が形成 れ、区画ごとに触媒が充填されることから 前記隙間に均一に触媒を充填する観点から 果的である。

 また前記プレート式反応器は、温度測定 置9を有することから、触媒層36の温度を測 することができ、触媒層36のピーク温度に じた熱媒の温度の制御による高い効率での 成物の製造を行う観点から効果的である。

 また前記プレート式反応器は、熱媒混合 置を有することから、熱媒供給装置5におけ る熱媒の温度を迅速かつ精密に制御する観点 から効果的である。

 また前記プレート式反応器は、通気栓8を 有することから、任意の区画の触媒のみを抜 出すことが可能であり、触媒層36の均一化及 保守点検作業の高効率化の観点から効果的 ある。

 また前記プレート式反応器は、ガス分配 6及びマンホール19を有し、さらに保持棒4が 仕切り7と重なる位置に配置されていること ら、触媒の充填作業や保守点検作業におけ 足場又はその支持部材として保持棒4を利用 ることができ、プレート式反応器内部で効 よく作業する観点から効果的である。

 なお、第一のプレート式反応器には、特 文献2に開示されているような、原料ガスの 流れ方向に沿って形成される三つの反応帯域 40、41、42毎に触媒層43の幅が拡大する、図12 示す形態も含まれる。

 プレート式反応器は 一般に精度良く製 することが難しく、例えば同様の構成を有 るプレート式熱交換器は、一般に、伝熱プ ートの表面間の距離は設計値に対して3~5mm以 上の誤差を有する。第一のプレート式反応器 では、熱媒の温度の制御によって反応を制御 できる誤差範囲内に伝熱プレートが配置され たプレート反応器を提供することができ、プ レート式反応器の工業的な利用の可能性を大 幅に拡大することができる。

 第一のプレート式反応器は、固相の触媒 存在下で気相の原料を反応させる反応に用 ることができ、特に、使用時の反応器内の 度と準備や点検のための作業が行われる常 との差が大きい条件での使用や、原料ガス 生成ガスが使用時の条件に長期に晒される とによるこれらのガスの変質が反応器の損 を生じ得る条件で用いる場合、原料ガス成 の反応に伴う反応熱が著しく大きくて熱に って触媒の劣化が起こりやすく、触媒層の 度管理が重要な場合に、より顕著に効果を する。

<第二のプレート式反応器>
 第二のプレート式反応器は、反応原料を反 させるための反応容器と、伝熱管を有し、 記反応容器内に並んで設けられる複数の伝 プレートと、前記伝熱管に熱媒体を供給す 熱媒体供給装置と、隣り合う伝熱プレート の隙間を、反応容器内の通気方向に沿って 充填された触媒を収容する複数の区画に仕 る仕切りとを有する。

 前記反応容器には、反応容器における通 方向に並列する複数の伝熱プレートと、隣 合う伝熱プレート間の隙間に触媒が充填さ てなる、反応容器における通気方向に並列 る複数の触媒層とが形成される。反応容器 は、例えば、通気方向に対する横断面の形 が矩形であるケーシングや、前記横断面の 状が円形であるシェルが用いられる。

 前記反応容器は、供給された反応原料が り合う伝熱プレート間の隙間を通って排出 れる容器であり、通常、一対の通気口を有 る。前記一対の通気口は、一方が反応容器 供給される反応原料の供給口となり、他方 反応容器で生成した反応生成物の排出口と る。通気口の形態は、反応容器への反応原 の供給と反応容器からの反応生成物の排出 が行われる形状であれば特に限定されない 一対の通気口は、対向して設けられている とが好ましい。このような通気口としては 例えば、ケーシングやシェルの両端に設け れる一対の通気口や、シェルの中心軸を含 中心部とシェルの内周部とにそれぞれ円筒 に形成され、シェルの横断面において放射 に反応流体を通気させる一対の通気口が挙 られる。

 前記伝熱プレートは、断面形状における 縁又は端縁で一方向に連結している複数の 熱管を含む板状に形成される。

 このような伝熱プレートは、特許文献1に 開示されているように、円弧、楕円弧、矩形 等のパターンが連続して形成された二枚の波 板を、両波板のパターンの端に形成される凸 縁で互いに接合することによって形成するこ とができる。又は伝熱プレートは、複数の前 記伝熱管を周縁又は端縁で連結して形成する ことができる。又は伝熱プレートは、複数の 前記伝熱管を反応容器において周縁又は端縁 で接するように積み重ねて形成することがで きる。

 伝熱プレートの形状は、反応容器の形状 大きさに応じて決められるが、一般に矩形 ある。また伝熱プレートの大きさは、反応 器の形状や大きさに応じて決められるが、 えば矩形の伝熱プレートである場合には、 (すなわち伝熱管の連結高さ)が0.5~5m、より ましくは1~3mであり、横(すなわち伝熱管の長 さ)が0.05~10m、より好ましくは1~10mであるが、 常の場合、横方向の制限はない。

 反応容器において隣り合う伝熱プレート 、伝熱プレートの表面の凸縁が互いに対向 るように並べられてもよいし、一方の伝熱 レートの表面の凸縁が他方の伝熱プレート 表面の凹縁に対向するように並べられても い。隣り合う伝熱プレート間の距離は、伝 管の横断方向において伝熱プレート間に3~40 mm、より好ましくは3~15mmの幅の隙間が形成さ るように、各伝熱プレートにおける伝熱管 長軸間の距離の平均値で15~50mm、より好まし くは23~50mm(隣り合う伝熱プレートにおける伝 管の幅の半値の和の1.1~5倍、より好ましく 1.1~2倍)の範囲で設定することができる。伝 プレート間の距離は、高い反応率と高い反 成績を得る観点から、伝熱管の長軸管の距 の平均値で10~50mmであることが好ましく、10~4 0mmであることがより好ましく、20~35mmである とがさらに好ましい。

 伝熱プレートにおける伝熱管は、反応容 内の通気方向に対して平行な方向に延出す ように形成されていないことが、伝熱管中 熱媒体の温度の調整によって原料の反応を 御する観点から好ましく、反応容器内の通 方向に対して直交する方向に延出するよう 形成されていること、すなわち伝熱管を流 る熱媒体の方向が反応容器内の通気方向に して直交する方向であること、が、伝熱管 の熱媒体の温度の調整によって原料の反応 制御する観点からより好ましい。

 前記伝熱管は、伝熱管内の熱媒体と伝熱 に外接する触媒層との間で熱が交換される 熱性を有する材料で形成される。このよう 材料としては、例えばステンレス及びカー ンスチールが挙げられる。伝熱管の断面形 は、円形でもよいし、楕円形やラグビーボ ル型等の略円形でもよいし、矩形でもよい 伝熱管の断面形状における周縁とは、円形 おける周縁を意味し、伝熱管の断面形状に ける端縁とは、略円形における長軸端の縁 、矩形における一角の縁を意味する。

 一枚の伝熱プレート中の複数の伝熱管の れぞれにおける断面の形状及び大きさは、 定であってもよいし異なっていてもよい。 熱管の断面形状の大きさは、例えば伝熱管 幅が3~50mm、より好ましくは3~20mm又は5~50mmで り、伝熱管の高さが10~100mm、より好ましく 10~50mm又は20~100mmである。

 伝熱管の幅は、伝熱プレートで授受する 位時間当たり又は単位面積当たりの熱量が さい場合は、触媒層の厚みを厚くし触媒層 厚みを大きく取って触媒を増やし、反応速 を高くする観点から、3~20mmであることがよ 好ましく、伝熱プレートで授受する単位時 当たり又は単位面積当たりの熱量が大きい 合は、触媒層の厚みを薄くし伝熱を良くし 触媒量を減らして反応速度を低減する観点 ら、5~50mmであることがより好ましい。また 熱管の高さは、伝熱プレートで授受する単 時間当たり又は単位面積当たりの熱量が小 い場合は、触媒層の厚みを厚くし触媒層の みを大きく取って触媒を増やし反応速度を くする観点から、10~50mmであることがより好 ましく、伝熱プレートで授受する単位時間当 たり又は単位面積当たりの熱量が大きい場合 は、触媒層の厚みを薄くし伝熱を良くし、触 媒量を減らして反応速度を低減する観点から 20~100mmであることがより好ましい。

 前記熱媒体供給装置は、前記伝熱管に熱 体を供給する装置であればよい。このよう 熱媒体供給装置としては、例えば、複数の 熱管の全てに一方向に熱媒体を供給する装 や、複数の伝熱管の一部に一方向に熱媒体 供給し、複数の伝熱管の他の一部には逆方 に熱媒体を供給する装置が挙げられる。熱 体供給装置は、前記伝熱管を介して反応管 外で熱媒体を循環させる装置であることが ましい。前記熱媒体供給装置は、熱媒体の 度を調整する装置を有することが、反応容 における反応を制御する観点から好ましい

 前記仕切りは、隣り合う伝熱プレート間 隙間に、反応容器内の通気方向に沿って設 られ、前記隙間に複数の区画を形成する。 記仕切りは、各区画に触媒が充填されたと に、各区画に触媒を保持することができる 材であればよい。前記仕切りは、伝熱プレ トと同じ材料で形成されることが好ましく 伝熱性を有することが好ましく、反応容器 おける反応に対する反応性を有さないこと 好ましく、反応容器における反応が発熱反 である場合には耐熱性を有することが好ま い。また前記仕切りは、各区画内に充填さ た触媒を保持する観点から、剛性を有する とが好ましい。このような仕切りとしては 例えば、ステンレス製の板、角棒、丸棒、 、グラスウール、及びセラミック板が挙げ れる。

 前記仕切りの形状は、各仕切りによって 成される区画に触媒が保持される形状であ ばよく、伝熱管と接する形状であってもよ し、密着する形状であってもよい。さらに 記仕切りは、それぞれの伝熱管の外壁の表 に接する形状であることが、各区画内に充 された触媒を保持する観点から好ましく、 熱管の外壁の表面に密着する形状であるこ がより好ましい。また前記仕切りは、正面 が隣り合う伝熱プレート間の最短距離の幅 有する四角形となる形状であることが、仕 りを容易に設置する観点から好ましい。

 前記仕切りは、仕切りによって形成され 区画の容積が、一区画への触媒の充填を正 かつ容易に行うことができる観点から、1~10 0Lとなる間隔で設けられることが好ましい。 切りによって形成される区画のそれぞれの 積は、同一であってもよいし異なっていて よいが、全区画への触媒の正確かつ容易な 填の観点から同一であることが好ましい。 記一区画の容積は、1.5~30Lであることがより 好ましく、2~15Lであることがさらに好ましく 3~15Lであることがより一層好ましく、5~10Lで あることがさらに一層好ましい。また、仕切 り間の距離(仕切りの間隔)は、同様の観点か 0.1~1mであることが好ましい。なお仕切りの 隔は、前記伝熱管の軸方向における前記区 の長さであり、前記区画を形成している隣 合う仕切り間の距離、又は前記区画を形成 ている、伝熱管が接続している反応容器の 壁面と仕切りとの距離である。

 前記仕切りは、仕切りの性状に応じて適 に伝熱プレート間の隙間に設けることがで る。例えば可撓性を有する仕切りや、伝熱 レート間の最短距離の幅を有する形状の仕 りは、予め反応容器に設置されている複数 伝熱プレートにおける隣り合う伝熱プレー 間の隙間に挿入することによって伝熱プレ ト間の隙間に設けることができる。また、 熱プレートの表面に密着する形状の仕切り 、反応容器に伝熱プレートを設置する際に 伝熱プレートと仕切りとを交互に設置する とによって伝熱プレート間の隙間に設ける とができる。

 前記区画へ充填される触媒には、気相反 で管又は伝熱プレート間の隙間に充填され 通常の粒状の触媒を用いることができる。 媒は一種でも二種以上でもよい。このよう 触媒としては、例えば粒径(最長径)が1~20mm ある触媒、及び粒径(最長径)が3~20mmであり、 比重が0.7~1.5である触媒が挙げられる。また 媒の形状としては、公知のものが使用でき 例えば球状、円柱状、ラシヒリング状、サ ル状が挙げられる。触媒の形状は、前記仕 りが伝熱プレートの表面に密着しない形状 形成されている場合では、伝熱プレートと 切りとの隙間よりも触媒の最短径が大きい 状であることが、前記区画からの触媒の漏 を防止する観点から好ましく、前記仕切り 伝熱プレートの表面に密着しない形状に形 されている場合では、仕切りと伝熱プレー との隙間の最大値の1.2~2倍の最小径を有する 形状であることがより好ましい。

 隣り合う伝熱プレート間の隙間への触媒 充填は、各区画への触媒の充填によって行 れる。各区画には、一区画の容量と同量の 媒を一区画に連続して又は断続的に充填す ことによって、触媒を充填することができ 。触媒の適切な充填状態は、例えば区画間 おける充填された触媒(触媒層)の天面の位 の対比や、各区画における前記天面の実測 と各区画の前記天面の計算値との比較によ て判断することができる。

 第二のプレート式反応器は、前述した構 要素以外の他の構成要素をさらに有してい もよい。このような他の構成要素としては 例えば、通気性を有し、前記反応容器内の 気方向における下流側の伝熱プレートの端 に設けられ、充填された触媒の反応容器か の漏洩を防止するための漏洩防止部材(例え ば通気栓)、及び、前記仕切りの一端部に設 られ、前記漏洩防止部材又は伝熱プレート 掛け止めるための係止部材(前記仕切りを固 するための仕切り用係止部)が挙げられる。

 前記通気栓は、各区画の通気性と触媒の 持とを両立する部材であって、各区画の通 方向における端部に着脱自在に固定される 材である。通気栓は、各区画からの触媒の れを防止することが可能であれば、各区画 おける通気方向の上流側の端部に設けても いし、下流側の端部に設けてもよいし、両 部に設けてもよい。また通気栓は、全体が 気性を有していてもよいし、各区画の通気 向に対してのみ通気性を有していてもよい なお、通気とは、一般に、反応原料や反応 成物の状態の一つである気体が通ることを 味するが、本明細書においては、反応原料 反応生成物の状態が気体以外の流体(例えば 液体)である場合では、この流体が通ること も意味する。

 前記通気栓は、各区画における通気性を 保する観点から、各区画の通気方向に対す 開口率が10%以上であることが好ましい。前 開口率は、さらに、通気栓を区画の端部に 定したときの圧力損失の発生を防止する観 から、20%以上であることがより好ましく、3 0%以上であることがさらに好ましい。

 また前記通気栓は、各区画に触媒を保持 る観点から、各区画の通気方向に対する孔 が5mm以下であることが好ましく、3mm以下で ることがより好ましく、1mm以下であること さらに好ましい。

 前記通気栓は、通気性を有する一以上の 材によって構成することができる。前記通 栓としては、例えば、板状の網や多孔板等 通気板;この通気板を筒状に成形した形状の 通気筒;前記通気板と、その周縁の一部又は 部に通気板に対して垂直に設けられるスカ ト部とを有する部材;及び、断面形状が円形 は矩形の第一の通気筒と、第一の通気筒の 側に収容され、かつ摺動自在な第二の通気 とを有する通気性二重管;が挙げられる。前 記通気筒、スカート部を有する部材、及び通 気性二重管は、触媒を保持するための十分な 強度を得る観点から好ましい。前記スカート 部を有する部材は、各区画の端部における着 脱を容易に行う観点からさらに好ましい。

 前記スカート部を有する部材において、 記通気板は、各区画からの触媒の漏れを防 する観点から、各区画の断面形状と同じ形 であることが好ましい。前記スカート部は 通気板の周縁の一部に、例えば各区画にお て対向する仕切り又は伝熱プレートに接す 一対のスカート部として設けられることが 通気栓の着脱自在な固定を容易に行う観点 ら好ましく、通気板の周縁の全部に設けら ることが、通気栓の強度を高める観点から ましい。また、スカート部は、通気板の両 側に突出するように設けられてもよいし、 気板の片面側のみに突出するように設けら てもよい。

 前記通気栓は、各区画の端部において着 自在に固定される。着脱自在に固定するた の構成は、通気栓の固定及び取り外しを容 に行う観点、及び触媒を保持するのに十分 強度で通気栓を固定する観点から、区画側 すなわち伝熱プレート及び仕切りの一方又 両方に設けられる第一の係止部と、この第 の係止部と着脱自在に係止する、通気栓に けられる第二の係止部とであることが好ま い。第一及び第二の係止部としては、例え 孔とこの孔に進出する方向に付勢されてい 爪、及び、孔とボルト及びナット、等が挙 られる。第一及び第二の係止部は、反応容 の温度が比較的高い場合での焼き付きを防 する観点から、前記の孔と爪のような簡易 構成であることが好ましい。

 前記通気栓は、触媒の保持に十分な剛性 有する材料で形成される。このような材料 しては、例えばステンレス等の金属及びセ ミックが挙げられる。通気栓は、耐熱性や 反応性の観点から、伝熱プレートと同じ材 で形成されることが好ましい。

 また各区画に充填された触媒は、通気栓を り外して区画の端部から触媒を取り出すこ によって、区画単位で抜き出すことができ 。
 以下、本発明のプレート式反応器を、図面 用いてより具体的に説明する。

<第二の実施の形態>
 第二のプレート式反応器は、例えば図13~15 示すように、矩形のケーシング44と、伝熱管 1を有し、ケーシング44内に対向して並んで設 けられる複数の伝熱プレート2と、伝熱管1に 給される熱媒体を収容する熱媒体収容部45 、隣り合う伝熱プレート2間の隙間をケーシ グ44内の通気方向に沿って、触媒が充填さ 保持される複数の区画に仕切る複数の仕切 7と、伝熱プレート2の上部及び下部に設けら れる穴あき板10、46と、熱媒体収容部45の熱媒 体を循環させるためのポンプ15と、循環する 媒体の温度を調整するための温度調整装置4 7とを有する。

 ケーシング44は、断面形状が矩形の通気 を形成しており、前記反応容器に相当する ケーシング44は、ケーシング44の上端及び下 に、対向する一対の通気口48、48’を有して いる。伝熱管1は、例えば長径が30~50mmであり 径が10~20mmの断面形状が楕円形の管である。

 伝熱プレート2は、複数の伝熱管1が断面 状の端縁で連結した形状を有している。伝 プレート2は、楕円弧が連続して形成された 枚の波板を両波板の弧の端に形成される凸 で互いに接合することによって形成されて る。隣り合う伝熱プレート2は、表面の凸縁 同士が対向するように並列していてもよいが 、図13のプレート式反応器では、一方の伝熱 レート2の表面の凸縁と、他方の伝熱プレー ト2の表面の凹縁とが対向するように並列し いる。

 伝熱プレート2は、例えば図16に示すよう 、断面の大きさが異なる三種の伝熱管a~cを 部、中部、及び下部のそれぞれにおいて含 でいる。伝熱プレート2は、伝熱管a~cの長軸 が一直線上に配置されるように形成されてい る。また例えば、伝熱管aは、伝熱プレート2 高さの20%分の伝熱プレート2を形成し、伝熱 管bは伝熱プレート2の高さの30%分の伝熱プレ ト2を形成し、伝熱管cは伝熱プレート2の高 の40%分の伝熱プレート2を形成している。伝 熱プレート2の高さの10%分は、伝熱プレート2 上端部及び下端部の接合板部で形成されて る。

 伝熱プレート2の上部に形成されている伝 熱管aの断面形状は、長径が50mmであり、短径 20mmの楕円形であり、伝熱プレート2の中部 形成されている伝熱管bの断面形状は、長径 40mmであり、短径が16mmの楕円形であり、伝 プレート2の下部に形成されている伝熱管cの 断面形状は、長径が30mmであり、短径が10mmの 円形である。

 なお、伝熱プレート2は、反応容器全体に おいて異なる間隔で並列していてもよいが、 図13のプレート式反応器では、同じ間隔(例え ば伝熱管aの外壁間の最短距離が14mm(各伝熱プ レート2の伝熱管の長軸間の距離が30mm))で並 している。

 熱媒体収容部45は、ケーシング44の対向す る一対の壁に設けられる容器であり、各伝熱 管1に熱媒体を供給するための供給口が前記 に形成されており、例えば反応容器全体に いて、熱媒体が伝熱管1を介して熱媒体収容 45間を蛇行するように、所定の高さにおい 複数に区切られている。

 仕切り7は、隣り合う伝熱プレート2の間 、ケーシング44内の通気方向に沿って設けら れている。仕切り7は、反応容器全体におい 異なる間隔で設けられていてもよいが、図13 のプレート式反応器では、同じ間隔(例えば1, 000mm)で並列し、23Lの容積の区画を形成してい る。仕切り7の設置間隔は5cm~2mであることが ましく、10cm~1mであることがより好ましい。 熱プレートと仕切り間の区画の容積は、隙 への充填物の充填を区画単位で行い、触媒 正確かつ容易な充填を行う観点から、1~100L 好ましく、1.5~30Lであることがより好ましい 。

 仕切り7には、各区画に触媒が充填された ときに、充填された触媒を各区画に保持する ことができる部材が用いられる。仕切り7に 、例えば図17~19に示すように、伝熱プレート 2の表面の凹凸に密着する側縁を有する形状 板や網を用いることができる。

 また仕切り7には、各区画に充填された触 媒が仕切り7との間の隙間から隣り合う区画 漏れなければ、隣り合う伝熱プレート2の伝 管aに接し、伝熱プレート2における他の伝 管b及びcの凸縁及び凹縁には当接しない部材 を用いることができ、例えば図20及び21に示 ように、隣り合う伝熱プレート2間の最短距 の直径又は幅を有する丸棒や角棒を用いる とができる。

 さらに仕切り7は、図18に示すように、充 される触媒の粒の大きさよりも小さな目を する網であってもよいし、各区画に充填さ た触媒が隣り合う区画に漏れなければ、図1 9に示すように、触媒の粒より大きな目(例え 触媒の最短径の0.8倍以下)を有する網であっ てもよい。

 隣り合う二枚の伝熱プレート2が、一方の 伝熱プレート2の凸縁に他方の伝熱プレート2 凹縁が対向するように並列する場合では、 切り7には、図22に示すように、仕切り7の側 縁が、伝熱プレート2の凹縁に向けて突出し 伝熱プレート2の凸縁から離間するジグザグ の板や網を用いることができる。このよう 仕切り7は、一方の凸縁に他方の凹縁が対向 するように並列する二枚の伝熱プレート2の 離(各伝熱プレート2における伝熱管1の長軸 の距離の平均値)が、各伝熱プレート2におけ る伝熱管の最大の短径の半値の和の0.9~1.5倍 あるときに、好適に用いることができる。

 図17~19及び22に示すような、伝熱プレート 2の表面の凹凸に接する側縁を有する形状の 切り7は、伝熱プレート2をケーシング44に設 する際に、伝熱プレート2とそれに当接する 仕切り7とを交互に設置することによって二 の伝熱プレート2間に設けられる。図20及び21 に示すような、隣り合う伝熱プレート2間の 短距離の直径又は幅を有する仕切り7は、伝 プレート2とそれに当接する仕切り7とを交 に設置することによって二枚の伝熱プレー 2間に設けてもよいし、既に併設されている 熱プレート2の隣り合う伝熱プレート2の間 挿入することによって設けてもよい。網又 薄い鋼板のように可撓性を有する仕切り7は 既に併設されている伝熱プレート2の隣り合 う伝熱プレート2の間に挿入することによっ 設けることも可能である。

 穴あき板10、46は、それぞれ、充填される 触媒の最長径に対して0.20~0.99倍の径を有する 孔が20~99%の開口率で設けられている板である 。図13のプレート式反応器では、穴あき板10 46は、最も外側に配置される伝熱プレート2 ケーシング44の壁との間の隙間への通気を防 止するために、図15に示すように、最も外側 配置されている伝熱プレート2の端縁からケ ーシング44の壁までの隙間を塞ぐように形成 れている。

 ポンプ15には、所望の温度の熱媒体を移 することができる装置が用いられる。また 温度調整装置47には、熱媒体の温度を所望の 温度に制御することができる熱交換器等の装 置が用いられる。熱媒体収容部45、ポンプ15 及び温度調整装置47は熱媒体供給装置を構成 している。

 伝熱プレート2間への触媒の充填は、各区 画へ触媒の充填することによって行われる。 伝熱プレート2と仕切り7とによって形成され いる区画は全て同じ容積を有していること ら、一区画の容量と同等の容量(例えば一区 画の容量に対して95~100%の体積)の触媒が各区 に充填される。

 触媒の良好な充填状態は、所定量の触媒 充填した時の高さの理論値と実測値との比 (例えば理論値に対する実測値の誤差が10%以 内)や、各区画間での触媒の充填高さの比較( えば各区画間の充填高さの差が充填高さの2 %以内)によって判断することができる。

 なお、仕切り7は、穴あき板46の孔又は伝 プレート2の端部に設けられた孔や輪のよう な係合部に掛かるフックを有し、このフック を係合部に係止することによって仕切り7を 設することによって、隣り合う伝熱プレー 2間の隙間に設けることも可能である。この うな構成によれば、グラスウール等の保形 を有さない材料を仕切り7に用いることが可 能となる。

 前記プレート式反応器は、仕切り7を有す ることから、区画単位で触媒を一定の状態で 充填することによって、触媒を反応器全体で 均一に充填することができる。したがって、 このような区画が形成されない伝熱プレート 2間への触媒の充填に比べて、触媒の量を設 値に対して正確に、各区画間の充填状態(例 ば、充填密度、空隙率)を均質にできる充填 をより容易に行うことができる。

 また前記プレート式反応器は、伝熱プレ ト2と仕切り7とによって形成される全区画 同じ容量を有することから、一回の触媒の 填作業に用いられる触媒が一定である。し がって、このような区画が形成されない伝 プレート2間への触媒の充填に比べて、触媒 充填作業をより迅速に行うことができる。

 さらに前記プレート式反応器は、仕切り7 を有することから、触媒の充填状態を区画単 位で判断することができる。したがって、触 媒の充填状態が不良である場合には、不良と 判断された区画の触媒のみを充填し直すこと によって、触媒の充填状態を修正することが できる。したがって、このような区画が形成 されない伝熱プレート2間への触媒の充填に べて、触媒の充填作業の調整をより容易に うことができる。

<第三の実施の形態>
 第二のプレート式反応器は、例えば図23~25 示すように、穴あき板46に代えて、通気性を 有し各区画の下端部を塞ぐ複数の通気栓8を する以外は、前記第二の形態のプレート式 応器と同様の構成を有する。

 本実施形態において、ケーシング44は、 面形状が矩形の通気路を形成しており、前 反応容器に相当する。ケーシング44は、ケー シング44の上端及び下端に、対向する一対の 気口48、48’を有しており、通気口48を含む ーシング端部49と、通気口48’を含むケーシ ング端部49’と、伝熱プレート2が収容される ケーシング本体とから構成されている。ケー シング端部49、49’は、ケーシング本体に対 て着脱自在にそれぞれ接続されている。伝 管1は、例えば長径が20~100mmであり短径が5~50m mの断面形状が楕円形の管である。

 伝熱プレート2は、複数の伝熱管1が断面 状の端縁で連結した形状を有している。伝 プレート2は、楕円弧が連続して形成された 枚の波板を両波板の弧の端に形成される凸 で互いに接合することによって形成されて る。隣り合う伝熱プレート2は、表面の凸縁 同士が対向するように並列していてもよいが 、図23のプレート式反応器では、一方の伝熱 レート2の表面の凸縁と、他方の伝熱プレー ト2の表面の凹縁とが対向するように並列し いる。

 伝熱プレート2は、例えば図16に示すよう 、断面の大きさが異なる三種の伝熱管a~cを 部、中部、及び下部のそれぞれにおいて含 でいる。伝熱プレート2は、伝熱管a~cの長軸 が一直線上に配置されるように形成されてい る。また本実施形態において、例えば、伝熱 管aは、伝熱プレート2の高さの30%分の伝熱プ ート2を形成し、伝熱管bは伝熱プレート2の さの25%分の伝熱プレート2を形成し、伝熱管 cは伝熱プレート2の高さの45%分の伝熱プレー 2を形成している。

 伝熱プレート2の上部に形成されている伝 熱管aの断面形状は、長径が50mmであり、短径 20mmの楕円形であり、伝熱プレート2の中部 形成されている伝熱管bの断面形状は、長径 40mmであり、短径が16mmの楕円形であり、伝 プレート2の下部に形成されている伝熱管cの 断面形状は、長径が30mmであり、短径が10mmの 円形である。

 なお、伝熱プレート2は、本実施形態にお いて、反応容器全体において異なる間隔で並 列していてもよいが、図23のプレート式反応 では、同じ間隔(例えば伝熱管aの外壁間の 短距離が5mm(各伝熱プレート2の伝熱管の長軸 間の距離が25mm))で並列している。

 熱媒体収容部45は、前記第二の形態にお る熱媒体収容部45と同じである。

 仕切り7は、隣り合う伝熱プレート2の間 、ケーシング44内の通気方向に沿って設けら れている。仕切り7は、反応容器全体におい 異なる間隔で設けられていてもよいが、図23 のプレート式反応器では、同じ間隔(例えば50 0mm)で並列し、25Lの容積の区画を形成してい 。本実施形態において、例えば仕切り7は、 26に示すような、伝熱プレート2の表面の凹 に密着する側縁を有する形状のステンレス の板であり、下端部に窓20を有している。

 通気栓8は、図27に示すように、各区画の 端部に設けられる。通気栓8は、例えば図28 示すように、各区画の断面形状の同じ矩形 通気板21と、通気板21の短辺から下方に垂設 される第一のスカート部22と、通気板21の長 から下方に垂設される第二のスカート部23と を有している。第一のスカート部22には、図2 8に示すように、矩形の係止窓24と、その隣に 併設される係止爪50とが形成されている。

 通気栓8は、図29に示すように、通気板21 各スカート部22及び23とを展開した形状であ て、スカート部22には係止窓24と係止爪50と る切り込みとが形成されているステンレス の板を、通気板21と各スカート部22、23との 界で折り曲げ、各スカート部の縁を溶接す ことによって形成されている。通気板21は えば2mmの円形の孔が開口率30%で形成された である。

 第一のスカート部22において、係止爪50は 、第一のスカート部22の下端縁からの平行な 本の切り込みを外側に凸に折り曲げて形成 れている。それぞれの第一のスカート部22 おいて、係止窓24及び係止爪50は、通気板21 対する位置関係がそれぞれにおいて同じに けられている。したがって、対向する一対 第一のスカート部22において、一方の係止窓 24と他方の係止爪50とが対向し、一方の係止 50と他方の係止窓24とが対向している。なお 係止窓24は、係止爪50を収容する幅と高さを 有する大きさで形成されており、仕切り7の 20は、係止窓24と係止爪50とが同時に含まれ 幅及び高さを有する大きさで形成されてい 。

 通気栓8は、各区画の下端から通気板21を に各区画に挿入される。このとき係止爪50 、外側への付勢に抗して仕切り7に押さえら るが、窓20に到達したときに、図30に示すよ うに、仕切り7の押さえつけから開放されて 20に向けて進出し、窓20に係止する。窓20は 一係止部に相当し、係止爪50は第二の係止部 に相当している。

 穴あき板10は、本実施形態では、充填さ る触媒の最長径に対して0.3~0.8倍の径を有す 孔が20~40%の開口率で設けられている板であ 。図23のプレート式反応器では、穴あき板10 は、最も外側に配置される伝熱プレート2と ーシング44の壁との間の隙間への通気を防止 するために、図25に示すように、最も外側に 置されている伝熱プレート2の端縁からケー シング44の壁までの隙間を塞ぐように形成さ ている。

 ポンプ15及び温度調整装置47は、前記第一 の形態におけるポンプ15及び温度調整装置47 同じである。熱媒体収容部45、ポンプ15、及 温度調整装置47は熱媒体供給装置を構成し いる。

 伝熱プレート2間への触媒の充填は、各区 画へ触媒の充填することによって行われる。 伝熱プレート2と仕切り7とによって形成され いる区画は全て同じ容積を有していること ら、本実施形態では、例えば、一区画の容 と同等の容量(例えば一区画の容量に対して 97~103%の体積)の触媒が各区画に充填される。

 触媒の良好な充填状態は、本実施形態で 、触媒の充填高さの理論値と実測値との比 (例えば理論値に対する実測値の誤差が3%以 )や、各区画間での触媒の充填高さの比較( えば各区画間の充填高さの差が充填高さの5% 以内)によって判断することができる。

 一区画における触媒の充填状態が不良で った場合には、その区画の通気栓8が外され 、その区画の下端からその区画に充填された 触媒のみが抜き出される。仕切り7の窓20は、 通気栓8が固定されるときに係止窓24と係止爪 50とを含む大きさに形成されていることから 窓20は、仕切り7を介して隣り合う二つの通 栓8の係止窓24及び係止爪50に対して開口し いる。さらに、係止窓24は係止爪50を含む大 さに形成されていることから、仕切り7を介 して隣り合う二つの通気栓8における一方の 止窓24は他方の係止爪50に対して開口し、他 の係止窓24は一方の係止爪50に対して開口し ている。このように、係止している係止爪50 、通気板21の下側の空間に対して、隣の通 栓8によって遮られないことから、通気板21 下側の空間において、係止爪50を直接押すこ とができる。したがって通気栓8は、例えば 31に示すような、係止窓24に挿入可能な鉤を 端に有する工具を用い、仕切り7を介して隣 り合う通気栓8の係止窓24及び仕切り7の窓20を 通して、前記の鉤で係止爪50を押し、係止爪5 0と窓20との係止を解除することによって外す ことができる。

 触媒を抜き出したら再び通気栓8をその区 画の下端から挿入して固定し、その区画に触 媒を充填することにより、各区画における触 媒の充填をやり直すことができる。

 前記プレート式反応器は、仕切り7を有す ることから、区画単位で触媒を一定の状態で 充填することによって、触媒を反応器全体で 均一に充填することができる。したがって、 このような区画が形成されない伝熱プレート 2間への触媒の充填に比べて、触媒の正確な 填をより容易に行うことができる。

 また前記プレート式反応器は、伝熱プレ ト2と仕切り7とによって形成される全区画 同じ容量を有することから、一回の触媒の 填作業に用いられる触媒が一定である。し がって、このような区画が形成されない伝 プレート2間への触媒の充填に比べて、触媒 充填作業をより迅速に行うことができる。

 さらに前記プレート式反応器は、仕切り7 を有することから、触媒の充填状態を区画単 位で判断することができる。したがって、触 媒の充填状態が不良である場合には、不良と 判断された区画の触媒のみを充填し直すこと によって、触媒の充填状態を修正することが できる。したがって、このような区画が形成 されない伝熱プレート2間への触媒の充填に べて、触媒の充填作業の調整をより容易に うことができる。

 また前記プレート式反応器は、通気栓8を 有することから、区画単位で触媒を容易に抜 き出すことができる。したがって、触媒の充 填状態が不良である場合には、不良と判断さ れた区画の通気栓を取り外して触媒を区画か ら抜き出し、その区画へ触媒を充填し直すこ とによって、特定の区画の触媒の充填状態を 容易に修正することができる。したがって、 このような区画が形成されない伝熱プレート 2間への触媒の充填に比べて、触媒の充填作 の調整をより一層容易に行うことができる

 また通気栓8は、矩形の通気板21と第一及 第二のスカート部22、23とを有することから 、各区画の触媒層を支える十分な強度を得る 観点で優れている。また、通気栓8は、鋼板 打ち抜き、折り曲げ、及び溶接によって得 れることから、このような優れた通気栓8を 易に得ることができる。

 また通気栓8は、対向する一対の第一のス カート部22のそれぞれに係止窓24と係止爪50と を有し、対向する一対の第一のスカート部22 おいて、一方の係止窓24と他方の係止爪50と が対向し、一方の係止爪50と他方の係止窓24 が対向することから、仕切り7を介して隣り う通気栓8において、それぞれの通気栓8か 突出する係止爪50が重なり又は当接すること がなく、通気栓8を十分な強度で固定し、ま 通気栓8の取り外しを容易に行う観点におい 優れている。

 さらに仕切り7の窓20が、通気栓8が固定さ れるときに係止窓24と係止爪50とを含む大き に形成されていることから、仕切り7に接す 二つの通気栓8のいずれの係止爪50とも着脱 在に係止する。このように前記プレート式 応器は、単一の規格の窓20を有する仕切り7 設けられることから、通気栓8の着脱自在な 構成を安価に構成する観点において優れてい る。

 また前記プレート式反応器は、通気板21 下方で係止爪50と窓20との係止という接触面 の小さな接触によって通気栓8が固定される ことから、酸化反応のような比較的高温の条 件の反応に用いられたときの係止爪50と窓20 の焼き付きを防止する観点から優れている

 なお、前記プレート式反応器では、第二 係止部としての窓20を仕切り7に設けている 、このような第二の係止部を伝熱プレート5 の下端部に設けても、図23のプレート式反応 と同様に通気栓8を設けることができる。こ のように、通気栓は、仕切りがなくとも伝熱 プレート5の下端部を利用して着脱自在に固 することによっても係止させることができ 。さらには第二の係止部を仕切り7の下端部 伝熱プレート5の下端部の両方に設けてもよ く、この場合では通気栓の固定強度を高める 観点から効果的である。

 また仕切りには、例えば、第二の係止部 種類や設置場所、仕切りと伝熱プレートと 間に生じる隙間の大きさ、伝熱プレート間 距離に応じて種々の仕切りを用いることが きる。このような仕切りとしては、例えば 18及び19に示すように、伝熱プレート2の表 の凹凸に密着する側縁を有する形状の網、 り合う伝熱プレート2間の最短距離の直径又 幅を有する板や図20及び21に示すような丸棒 や角棒、図22に示すように、仕切り7の側縁が 、伝熱プレート2の凹縁に向けて突出し、伝 プレート2の凸縁から離間するジグザグ型の や網、及び、グラスウール等の保形性を有 ない材料による部材が挙げられる。

 図18及び19に示すような仕切りは、本実施 形態では、例えば、この仕切りに用いられて いる網が、触媒が漏れ出ない程度の大きさの 目(例えば触媒の最長径の0.5倍以下)を有する 合に好適に用いることができる。仕切りに いる網の目の大きさは、触媒の最小径の0.8 以下の目開きであることが好ましい。

 また、図20及び21に示すような仕切りは、 本実施形態では、伝熱プレートと仕切りとの 間に、触媒が漏れ出るほどの幅の隙間が形成 されない場合に、好適に用いることができる 。また、図22に示すような仕切りは、本実施 態では、一方の凸縁に他方の凹縁が対向す ように並列する二枚の伝熱プレート2の距離 (各伝熱プレート2における伝熱管1の長軸間の 距離の平均値)が、各伝熱プレート2における 熱管の最大の短径の半値の和の0.9~1.5倍であ るときに、好適に用いることができる。

 仕切りには、例えば第二の係止部を仕切 に設けない場合では、前述のいずれの仕切 をも用いることができる。また例えば第二 係止部が窓である場合には、通気栓を支え ことが可能な窓を設けることができる板状 部材を用いることができる。また例えば第 の係止部が窓である場合には、仕切りには 前記窓として用いられる十分な大きさの目 有する網状の部材を用いることができる。

 図26、18、19、及び22に示すような、伝熱 レートの表面の凹凸に接する側縁を有する 状の仕切りは、伝熱プレートをケーシング 設置する際に、伝熱プレートとそれに当接 る仕切りとを交互に設置することによって 枚の伝熱プレート間に設けられる。図20及び 21に示すような、隣り合う伝熱プレート間の 短距離の直径又は幅を有する仕切りは、伝 プレートとそれに当接する仕切りとを交互 設置することによって二枚の伝熱プレート に設けてもよいし、既に併設されている伝 プレートの隣り合う伝熱プレートの間に挿 することによって設けてもよい。網や布、 は薄い鋼板のように可撓性を有する仕切り 、既に併設されている伝熱プレートの隣り う伝熱プレートの間に挿入することによっ 設けることも可能である。

 なお、仕切りは、通気栓8の孔又は伝熱プ レート2の端部に設けられた孔や輪のような らなる係止部に掛かるフックを有し、この ックを係止部に係止することによって仕切 を張設することによって、隣り合う伝熱プ ート2間の隙間に設けることも可能である。 のような構成は、グラスウール等の保形性 有さない材料を仕切りに用いる観点から好 しい。

 また、前記プレート式反応器における通 栓8には、図32に示すように、係止爪50に代 て、先端が窓20の下端面に接する係止爪51を する通気栓を用いることもできる。このよ な通気栓は、通気栓を各区画に強く固定す 観点においてより一層優れている。また係 爪51を有する通気栓は、プレート式反応器 長期の使用の際にも通気栓が落下して触媒 伝熱プレート間の隙間から脱落するのを防 観点からも有効である。

 また通気栓には、窓20と係止爪50のような 適切な着脱自在構造を有すれば、様々な形態 の通気栓を用いることができる。このような 通気栓としては、例えば図33に示すような網 は通気板で形成される円筒、図34に示すよ な通気孔を有する板、図35及び36に示すよう 通気板又は網を一対のスカート部で支持す 形状の部材、図37及び38に示すような表面が 網で構成される箱状の部材が挙げられる。

 さらにこのような形態に基づく他の形態 通気栓には、図39に示すような、各区画の 気方向に対して通気性を有する第一の通気 52と、各区画の通気方向に対して通気性を有 し、第一の通気管52の内部を摺動自在な第二 通気管53とを有する二重管構造の通気栓が げられる。このような通気栓を用いる場合 は、例えば仕切り7には、仕切り7の下端部の 表面から突出するフランジ部54を設け、両端 仕切り7に接するまで通気栓を伸ばしてフラ ンジ部54に載せ、通気栓の摺動方向への伸縮 固定ピン55によって固定することによって 前記通気栓が各区画の下部に設置される。

 固定ピン55は、例えば、固定軸と、その 端に設けられる輪と、その他端に、固定軸 延出方向に対して直交する方向に設けられ 可撓性を有する金属薄板とから構成される 固定ピン55を通気栓の下面の通気孔から挿入 すると、通気孔の通過時には金属薄板が撓み 、通気孔を通過した後には金属薄板の撓みが 解除されて、固定ピン55が通気栓から吊り下 っている状態が形成される。また、固定ピ 55の輪を引くことにより、金属薄板が撓み がら通気孔を通過することで固定ピン55が引 き抜かれ、さらに第二の通気管53を摺動させ ことによって、伝熱プレートの下方から前 通気栓を取り外すことができる。

 又は、前記他の形態の通気栓には、図40 示すような、第一の通気管52、第二の通気管 53、及び第二の通気管53を第一の通気管52から 突出する方向に付勢するコイルばねのような 付勢部材56とを有する通気栓が挙げられる。 の通気栓も、フランジ部54を有する仕切り7 よって各区画の下部に設置される。この通 栓は、付勢部材56の付勢に抗して通気栓を めてフランジ部54の上に載せることによって 、各区画の下部に設置される。また、付勢部 材56の付勢に抗して通気栓を縮めることによ て、伝熱プレートの下方から前記通気栓を り外すことができる。固定ピン55及び第二 通気管53の摺動は、固定ピン55の輪又は第二 通気管53の下部の通気孔に、図31に示す工具 の鉤を掛けて行うことができる。

<反応生成物の第二の製造方法>
 本発明における反応生成物の第二の製造方 は、前述した第二のプレート式反応器を用 て反応生成物を製造する方法であって、前 伝熱管に所望の温度の熱媒体を供給する工 と、触媒が充填された隣り合う伝熱プレー 間の隙間に反応原料を供給して前記隙間か 排出される反応生成物を得る工程と、を含 。第一の方法において、前記反応原料は、 チレン;炭素数3及び4の炭化水素、並びにタ シャリーブタノールからなる群から選ばれ 少なくとも1種、又は炭素数3及び4の不飽和 肪族アルデヒドからなる群から選ばれる少 くとも1種;炭素数4以上の炭化水素;キシレン 及び/又はナフタレン;オレフィン;カルボニル 化合物;クメンハイドロパーオキサイド;ブテ ;又はエチルベンゼン;であり、前記反応生 物は、酸化エチレン;炭素数3及び4の不飽和 肪族アルデヒド及び炭素数3及び4の不飽和脂 肪酸の少なくとも一方;マレイン酸;フタル酸; パラフィン;アルコール;アセトン及びフェノ ル;ブタジエン;又はスチレン;である。

 第二のプレート式反応器は、固定床接触 応の工程に適用され、このような反応工程 中でも特に、高い反応熱のために触媒が劣 したり、反応成績が低下することがある反 工程に適用される。特に第二のプレート式 応器は、ガスや液等の、触媒が充填されて る触媒層を流通可能な流体の反応原料に適 可能であるが、液状態ある場合に比べて除 のしにくいガスである場合に好適に用いる とができる。

 例えば、第二のプレート式反応器が有効 適用される反応は、前記原料が、エチレン; 炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリ ブタノールからなる群から選ばれる少なく も1種、又は炭素数3及び4の不飽和脂肪族ア デヒドからなる群から選ばれる少なくとも1 種;n-ブタンやベンゼン等の炭素数4以上の炭 水素;キシレン及び/又はナフタレン;オレフ ン;カルボニル化合物;クメンハイドロパーオ キサイド;ブテン;又はエチルベンゼン;であり 、得られる前記反応生成物が、酸化エチレン ;炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒド及び 炭素数3及び4の不飽和脂肪酸の少なくとも一 ;マレイン酸;フタル酸;パラフィン;アルコー ル;アセトン及びフェノール;ブタジエン;又は スチレン;である反応である。

 特に好ましくは、第二のプレート式反応 は、ホットスポットが発生しやすいことが られている、気相接触酸化反応に適用され 。反応原料が、炭素数3及び4の炭化水素、 びにターシャリーブタノールからなる群か 選ばれる反応原料の少なくとも1種、又は、 素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドから る群から選ばれる反応原料の少なくとも1種 ある反応が挙げられる。

 具体的には、上記炭素数3の炭化水素とし ては、プロピレン、プロパンが挙げられる。 上記炭素数4の炭化水素としては、イソブチ ン、ブテン類、ブタン類が挙げられる。ま 、上記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒ ドとしては、アクロレイン、メタクロレイン が挙げられ、炭素数3及び4の不飽和脂肪酸と ては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げら る。

 反応生成物の第二の製造方法において、 媒には、前記の反応原料を用いる従来の接 反応、例えば多管式反応器を用いる前記反 原料の接触反応、で用いられる公知の触媒 利用することができる。触媒には、前記接 反応において反応性を有さない、ムライト ール等の不活性粒子を混合してもよい。ま 、反応生成物の第二の製造方法において、 熱管に供給される熱媒体の温度は、例えば 来の接触反応、例えば多管式反応器を用い 前記反応原料の接触反応、における反応条 を基準として、第二のプレート式反応器を いる反応における反応条件の最適化から求 ることができる。さらに反応生成物の第二 製造方法におけるその他の反応条件は、例 ば前述の熱媒体の温度と同様に、公知技術 利用した最適化によって求めることができ 。又は反応生成物の第二の製造方法におけ 反応条件には、前述した反応生成物の第一 製造方法や、後述する反応生成物の第三の 造方法の反応条件を適用することができる

<反応生成物の第三の製造方法>
 反応生成物の第三の製造方法は、(A)伝熱プ ートの間に形成された触媒層を備えたプレ ト式反応器に、炭素数3及び4の炭化水素、 びにターシャリーブタノールからなる群か 選ばれる反応原料の少なくとも1種、並びに 分子状酸素を含む反応原料混合物を供給し 前記反応原料を接触気相酸化し、不飽和炭 水素、並びに、炭素数3及び4の不飽和脂肪 アルデヒドからなる群から選ばれる少なく も一種の反応生成物を製造する、又は、(B) 熱プレートの間に形成された触媒層を備え プレート式反応器に、炭素数3及び4の不飽和 脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反 応原料の少なくとも1種、並びに、分子状酸 を含む反応原料混合物を供給し、前記反応 料を接触気相酸化し、炭素数3及び4の不飽和 脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも一 種の反応生成物を製造する方法である。

 さらに反応生成物の第三の製造方法では 前記プレート式反応器は、触媒層の平均層 さが異なる複数の反応帯域に分割されてお 、前記複数の反応帯域には、独立して温度 整された熱媒体が供給され、前記酸化によ 生じる熱を、前記伝熱プレートを隔てて除 し、前記触媒層内の温度が独立して制御さ る。

 さらに反応生成物の第三の製造方法では 前記反応原料混合物の入口に最も近接する 応帯域S1に供給される前記熱媒体の温度T(S1) は、前記反応帯域S1に隣接し、反応原料混合 の流れの下流に位置する反応帯域S2に供給 れる前記熱媒体の温度T(S2)より高い。

 さらに反応生成物の第三の製造方法では 前記炭素数3及び4の炭化水素、並びにター ャリーブタノールからなる群から選ばれる 応原料の少なくとも1種を酸化するときの、 記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当た り150リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kP a)換算]以上であり、前記炭素数3及び4の不飽 脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる 応原料の少なくとも1種を酸化するときの、 前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当 り160リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325k Pa)換算]以上である。

 反応生成物の第三の製造方法に用いられ 反応原料は、炭素数3及び4の炭化水素、並 にターシャリーブタノールからなる群から ばれる反応原料の少なくとも1種、又は、炭 数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからな 群から選ばれる反応原料の少なくとも1種で る。上記炭素数3の炭化水素としては、プロ ピレン、プロパンが挙げられる。上記炭素数 4の炭化水素としては、イソブチレン、n-ブテ ン、イソブテン、n-ブタン、イソブタンが挙 られる。上記炭素数3及び4の不飽和脂肪族 ルデヒドとしては、アクロレイン、メタク レインが挙げられる。

 これら反応原料の状態は、前記触媒層を 通する流動性を有していれば特に限定され いが、ガス(反応原料ガス)の状態であるこ が好適に例示できる。

 また、上記反応生成物である不飽和炭化 素、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒ 、並びに炭素数3及び4の不飽和脂肪酸におけ る、不飽和炭化水素としては、ブタジエンが 挙げられ、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アル ヒドとしては、アクロレイン、メタクロレ ンが挙げられ、炭素数3及び4の不飽和脂肪 としては、アクリル酸、メタクリル酸、マ イン酸、無水マレイン酸が挙げられる。

 ここで、反応生成物の第三の製造方法が 上記反応生成物すべてにおいて適用が可能 あると考える理由は以下の通りである。

 上記の理由としては、例えば、炭素数3の プロピレンからアクロレイン、炭素数4のイ ブチレンからメタクロレイン、及びノルマ ブテンからブタジエンの製造に用いられる 媒の基本組成(例えばモリブデン(Mo)-ビスマ (Bi)系)、製法、及び形状は、基本的に同じで あること、また、当該反応生成物の製造にお ける反応形式、プロセスが工業的に同一であ ることが挙げられる。更には、不飽和脂肪族 アルデヒドであるアクロレインからアクリル 酸、メタクロレインからメタクリル酸、及び ブテン類から無水マレイン酸においても、同 様の基本組成(例えばモリブデン(Mo)-バナジュ ウム(V)系)、形状の触媒を用い、同じ反応形 、プロセスによって工業的に反応製造され ことが挙げられる。これらの反応はいずれ 分子状酸素による接触気相酸化であり、大 な発熱を伴う反応で、本発明者らの知見で 同様な反応特性を有しており、反応生成物 第三の製造方法を効果的に適用できると考 ている。

 上記プレート式反応器に供給される上記 応原料混合物は、反応原料、分子状酸素、 び必要に応じて窒素や水蒸気等の反応に不 性なガスを含む。上記反応原料は、1種のみ の構成としてもよく、また2種以上を混合し 混合物(例えば、混合ガス)としてもよい。上 記反応原料混合物(例えば、反応混合ガス)の 成は、目的に応じて適宜選択される。

 上記反応原料の、上記反応原料混合物に する含有量は、特に限定されないが、反応 料の総量として、5~13モル%であることが好 しい。また、上記分子状酸素の、上記反応 料混合物に対する含有量は、反応原料の総 の1~3倍量であることが好ましい。

 上記不活性なガスの、上記反応原料混合 に対する含有量は、上記反応原料混合物全 から反応原料の総量と分子状酸素量を除い 値となる。なお、上記不活性なガスは、反 系から排出される排気ガスを再循環した不 性ガスを用いてもよい。

 反応生成物の第三の製造方法には、目的 応じて、公知の触媒を用いることが可能で る。触媒の組成としては、モリブデン、タ グステン、ビスマス等を含む金属酸化物、 は、バナジウム等を含む金属酸化物が挙げ れる。該組成の金属酸化物粉末を、球状、 レット状、又はリング状に成型し、高温で 成して触媒として用いる。また、触媒の形 は、公知の形状が採用でき、直径が1~15mm(ミ リメートル)の球状、又は楕円形以外の形状 1~15mmの相当直径を有するペレット状、ある は円柱の円柱中心に穴の開いたリング状の 状のもので、円外径が4~10mm、円内径が1~3mm、 高さが2~10mmの形状が好適に用いられる。上記 直径、相当直径、円外径及び高さが、3~5mmの 媒がより好ましい。

 反応原料がプロピレンの場合、上記金属酸 物として、下記一般式(1)で表される化合物 好適に例示される。
 Mo(a)Bi(b)Co(c)Ni(d)Fe(e)X(f)Y(g)Z(h)Q(i)Si(j)O(k)・・ 式(1)

 上記式(1)中、Moはモリブデン、Biはビスマ ス、Coはコバルト、Niはニッケル、Feは鉄、X ナトリウム、カリウム、ルビジュウム、セ ウム及びタリウムからなる群から選ばれる なくとも一種の元素、Yはほう素、りん、砒 及びタングステンからなる群から選ばれる なくとも一種の元素、Zはマグネシウム、カ ルシウム、亜鉛、セリウム及びサマリウムか らなる群から選ばれる少なくとも一種の元素 、Qはハロゲン元素、Siはシリカ、Oは酸素を す。

 また上記式(1)中、a、b、c、d、e、f、g、h i、j及びkは、それぞれMo、Bi、Co、Ni、Fe、X、 Y、Z、Q、Si及びOの原子比を表し、モリブデン 原子(Mo)が12のとき、0.5≦b≦7、0≦c≦10、0≦d 10、1≦c+d≦10、0.05≦e≦3、0.0005≦f≦3、0≦g 3、0≦h≦1、0≦i≦0.5、0≦j≦40であり、kは 元素の酸化状態によって決まる値である。

 一方、反応原料がアクロレインの場合、上 金属酸化物として、下記一般式(2)で表され 化合物が好適に例示される。
Mo(12)V(a)X(b)Cu(c)Y(d)Sb(e)Z(f)Si(g)C(h)O(i)・・・式(2)

 上記式(2)中、XはNb及びWからなる群から選 ばれる少なくとも一種の元素を示す。YはMg、 Ca、Sr、Ba及びZnからなる群から選ばれる少な とも一種の元素を示す。ZはFe、Co、Ni、Bi、A lからなる群から選ばれる少なくとも一種の 素を示す。但し、Mo、V、Nb、Cu、W、Sb、Mg、Ca 、Sr、Ba、Zn、Fe、Co、Ni、Bi、Al、Si、C及びOは 素記号である。

 また上記式(2)中、a、b、c、d、e、f、g、h びiは各元素の原子比を表し、モリブデン原 (Mo)12に対して、0<a≦12、0≦b≦12、0≦c≦12 、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0 h≦500であり、iは前記各成分のうちCを除い 各成分の酸化度によって決まる値である。

 実用的な反応器に於いては、単位触媒当 りの反応原料の処理負荷量を高めて、目的 応生成物の生産性を増加させることが要求 れる。しかしながら、単位触媒当たりの反 原料の処理負荷量を高めた場合、反応によ て生じる熱を適切に制御しホットスポット 防ぎ、触媒の損傷を防止し、かつ、反応原 の転化率及び目的反応生成物の収率を向上 せるための方策が必要となる。

 これに対応するために、反応生成物の第三 製造方法に用いられるプレート式反応器は その形状等は特に限定されないが、下記(1) び(2)を特徴とする。
(1)伝熱プレートの間に形成された触媒層の平 均層厚さが異なる複数の反応帯域に分割され ていること。
(2)複数の反応帯域には、温度調整された熱媒 体が供給され、必要に応じ、複数の独立して 温度調整された熱媒体が供給され、接触気相 酸化反応により生じる熱を、伝熱プレートを 隔てて除熱し、触媒層内の温度が独立して制 御できること。

 このようなプレート式反応器として、前 した本発明のプレート式反応器を利用する とができる。本発明のプレート式反応器を 二の方法において用いることは、反応生成 の第三の製造方法において、本発明のプレ ト式反応器の効果と反応生成物の第三の製 方法の効果との両方の効果を得られる観点 ら好ましい。

 以下、反応生成物の第三の製造方法に用 られる上記プレート式反応器の実施態様に いて記載する。なお、以下の記載では、便 上、反応原料、反応原料混合物、及び反応 よって生じる反応生成物の混合物等の総称 ある反応流体の一態様である「反応ガス」 用いて説明する場合がある。

 プレート式反応器の第1の態様としては、 一対の伝熱プレートに挟まれた空間内に触媒 を充填して反応帯域が形成され、伝熱プレー トの外側に熱媒体が供給される熱媒体流路を 有するプレート式反応器が挙げられる。

 上記プレート式反応器の反応帯域は複数 領域に分割することが可能であり、一対の 熱プレートの間隔を調整することで各反応 域に充填された触媒層厚さを変化させるこ が可能である。特に、供給される反応原料 合物の入口から出口に向かって、反応帯域 各領域の触媒層厚さが増大する構造である とが好ましい。また、伝熱プレート対の外 が複数の熱媒体流路に分割され、各々異な た温度を有する熱媒体を該流路に供給する とが可能である。

 上記プレート式反応器に供給される反応 スの方向は伝熱プレートに沿って流れ、熱 体は一対の伝熱プレートの外側に供給され 。当該熱媒体の流れ方向は、特に制限は無 が、工業的規模での反応装置には通常、多 の触媒を収容する必要があり、多数の伝熱 レート対が設置されるので、反応ガスの流 と直角方向が都合よい。

 通常の反応に於ける反応量は、反応ガス 入口部分が最も大きく、反応に伴う反応熱 発生は最大で、反応ガスの出口方向に減少 る。伝熱プレートの間隔を調整して触媒層 平均層厚さを変えることによって反応及び 応によって生じる熱をより精密に制御でき 触媒層温度の上昇に伴う、ホットスポット 防ぎ、触媒の損傷を防止することができる

 また、上記プレート式反応器を用いるこ で、多管式反応器にみられた、反応ガスの 位触媒当たりの処理負荷量が高い条件下に ける、反応ガスの圧力損失の増大、及びこ に伴う目的反応生成物の収率が低下を解消 ることが可能である。更には、反応器内圧 上昇に伴う、反応ガス等の供給用圧縮機の ネルギーコストが削減可能である。

 図41に上記プレート式反応器の第1の具体例 示す。
 熱媒体流路(60-1、60-2、及び60-3)と触媒層(43) を隔離する薄板の伝熱プレート(57)は反応ガ ス入口(58)から出口(59)への流れに沿って、触 層(43)の厚さを変えるために変形している。 ここで、触媒層の平均層厚さは反応ガスの流 れ方向と直角方向に測ったプレート間の距離 のことである。

 一対の伝熱プレート(57)の間に形成された 触媒層(43)の厚さは、各熱媒体流路(60-1、60-2 及び60-3)に対応し、其々反応帯域(S1、S2、及 S3)を形成する。(61)は熱媒体供給口である。 なお、上記において、反応帯域を3つとして るが、これは例示であり、反応帯域の数は 定されない。

 また、伝熱プレート(57)には、平板、凹凸を 有するようにエンボス加工されたもの、又は 反応ガスの流れと直角方向に成形された波板 の使用が可能である。反応ガスと熱媒体との 伝熱効率を考慮すれば、凹凸板又は波板形状 が好適に用いられる。ここで、第1の具体例 おいて、伝熱プレート(57)にエンボス加工、 は波板が使用された場合の触媒層の平均層 さは以下に示す式で規定した。
(式)[触媒層の平均層厚さ]=[触媒層の体積]í[ 熱プレートの長さ(幅)(図41における紙面に垂 直方向の長さ)]í[伝熱プレートの反応ガスの れ方向の長さ]

 ここで、[触媒層の体積]は、触媒層が形 される一対の伝熱プレートを地面に対し垂 に保ち、かつ底(各反応帯域の最も下面)に蓋 を設置して、一対の伝熱プレートに挟まれた 空間内に水等の液体又は直径1mm以下のガラス ビーズを注ぎ入れたときに、該空間を満たす のに必要な水等の液体又は直径1mm以下のガラ スビーズの体積とする。

 前記プレート式反応器の第二の態様とし は、円弧、楕円弧、矩形或いは多角形の一 を主構成要素とした連続したパターンに賦 された波板の2枚を対面させ、当該両波板の 凸面部を互いに接合して複数の熱媒体流路を 形成した伝熱プレートを、複数配列してなり かつ隣り合った伝熱プレートの波板凸面部と 凹面部とが対面して所定間隔の触媒層を形成 したプレート式反応器が挙げられる。ここで 、上記「円弧、楕円弧、矩形或いは多角形の 一部を主構成要素とした連続したパターンに 賦形された波板」とは、波板の波の形状が円 弧、楕円弧、矩形或いは多角形の一部を主構 成要素とした連続したパターン(形状)である とを意味する。

 上記プレート式反応器において、波板に 形された円弧、楕円弧、矩形或いは多角形 一部の形状を変えることにより、触媒層に 給される反応ガスの入口から出口に向かっ 触媒層の厚さを変化させることが可能であ 。また、上記プレート式反応器は、反応帯 を複数の領域に分割することが可能であり 複数の領域に分割された反応帯域を上記触 層の厚さの変化に対応させることが可能で る。さらに、分割された複数の反応帯域に 、独立して温度調整された熱媒体が供給さ 、接触気相酸化反応により生じる熱を、伝 プレートを隔てて除熱し、触媒層内の温度 独立して制御することが可能である。

 上記プレート式反応器に供給される反応 スの方向は伝熱プレートの外側に沿って流 、熱媒体は一対の伝熱プレートの内側に供 される。当該熱媒体の流れ方向は、反応ガ の流れに対して直角方向、即ち十字流の方 に流れる。

 通常の反応に於ける反応量は、反応ガス 入口部分が最も大きく、反応に伴う反応熱 発生は最大で、反応ガスの出口方向に減少 る。この反応熱の除熱を効率よくするため 、一の伝熱プレートと隣り合う伝熱プレー とに使用される波板の凹凸形状を変え、両 熱プレートの間隙を調整して触媒層の平均 厚さを変化させることが好ましい。触媒層 平均層厚さを変化させることにより、反応 より精密に制御することができ、触媒層温 の上昇に伴う、ホットスポットを防ぎ、触 の損傷を防止することができる。

 図42に上記プレート式反応器の第2の具体例 示す。
 図42に示されたように、伝熱プレート(57)は 2枚の薄板が円形、楕円形、矩形或いは多角 形の一部を主構成要素とした連続したパター ンに変形され、互いに反対方向に向き合って (鏡像関係に)接合され、熱媒体流路(60-1、60-2 60-3)を形成する。また、一対の伝熱プレー (57)が互いに熱媒体流路の半分に相当する距 だけずれて向かい合い間隙を形成し、形成 れた間隙に触媒が充填され、触媒層(43)が形 成される。さらに、一対の伝熱プレート(57) 、触媒層(43)へ反応混合ガスを導入する反応 ス入口(58)と反応ガスを導出する反応ガス出 口(59)を具備する。

 上記熱媒体流路はそれぞれ流路の断面形 (断面積)が異なり、熱媒体流路(60-1)の幅は っとも大きくなる。熱媒体流路(60-1)の幅が っとも大きい場合、隣り合った上記伝熱プ ート(57)の間隔は一定なので、隣り合った伝 プレートの波板凸面部と凹面部とが対面し 形成される間隔(A)(すなわち、触媒層(43)の 厚)はもっとも狭くなる。熱媒体流路(60-2)か (60-3)へと熱媒体流路の幅が、順次小さくな 、この熱媒体流路に対応する触媒層(43)の厚 さは増大する。従って、熱媒体流路(60-1、60-2 、及び60-3)に対応する触媒層(43)は、それぞれ 触媒層の平均層厚さが異なり、触媒層の平均 層厚さが異なる複数の反応帯域(S1、S2、及びS 3)を形成することができる。

 ここで、触媒層の平均層厚さとは、各反応 域(S1、S2、及びS3)の各触媒層において、反 ガスの流れ方向と直角方向に測定された上 間隔(A)の平均値を意味する。第2の具体例に いては、以下に示す計算式を用いて規定し 。
(式)[触媒層の平均層厚さ]=[触媒層の体積]í[ 熱プレートの長さ(幅)(図42における紙面に垂 直方向の長さ)]í[伝熱プレートの反応ガスの れ方向の長さ]

 ここで、[触媒層の体積]は、触媒層が形 される一対の伝熱プレートを地面に対し垂 に保ち、かつ底(各反応帯域の最も下面)に蓋 を設置して、一対の伝熱プレートに挟まれた 空間内に水等の液体又は直径1mm以下のガラス ビーズを注ぎ入れたときに、該空間を満たす のに必要な水等の液体又は直径1mm以下のガラ スビーズの体積とする。

 なお、上記において、反応帯域を3つとし ているが、これは例示であり、反応生成物の 第三の製造方法において反応帯域の数は限定 されない。

 図43によって上記プレート式反応器の第2 具体例で用いられる伝熱プレート(57)の構成 を更に詳しく説明する。図43は、円弧、楕円 、矩形又は多角形の一部を主構成要素とし 連続したパターンに変形された波板の2枚を 対面させ、該両波板の凸部を互いに接合して 、複数の熱媒体流路が形成された伝熱プレー トを示す。

 熱媒体流路の大きさ、及び触媒層の平均 厚さは、波板の波の周期にあたる(L)と、波 高さ(H)で規定される。このとき、波の周期( L)は10~100mmであることが好ましく、20~50mmであ ことがより好ましい。一方、高さ(H)は、5~50 mmであることが好ましく、10~30mmであることが より好ましい。

 該伝熱プレートが一対で平行、かつ互い 熱媒体流路の半分に相当する距離(L/2)だけ れて向かい合い間隙を形成し、その間隙に 媒が充填され、触媒層が形成される。

 この平行な一対の伝熱プレートの間隔(P) 熱媒体流路の周期(L)及び高さ(H)を変えるこ により、触媒層の厚さが調節される。一対 伝熱プレートの間隔Pは通常、10~50mmであり 20~50mmであることがより好ましい。

 図43では、伝熱プレートの形状が円弧の 部で描かれているが、形状は楕円弧、矩形 三角形又は多角形の一部を主構成要素とす 連続したパターンであってもよい。上記周 (L)と高さ(H)を変えることで触媒層厚さを精 良く制御できる。なお、触媒層厚さは、伝 プレートの長さ(幅)方向(紙面に垂直な方向) おいて均一であることが好ましい。

 また、上記触媒層の平均層厚さは、図43 示す間隔(x)と相関し、当該間隔(x)は上記式 規定した触媒層の平均層厚さの通常0.7~0.9倍 ある。

 各反応器の伝熱プレート(57)の薄板の板厚 は2mm以下、好適には1mm以下の鋼板が用いられ る。

 伝熱プレート(57)の反応ガス流れ方向の長 さは0.5~10m(メートル)であり好ましくは0.5~5m、 さらに好ましくは0.5~3mである。通常入手でき る薄板鋼板のサイズから、1.5m以上の時は2枚 プレートを接合するか、組み合わせて用い こともできる。

 反応ガスの流れ方向と直角の方向(図41及 42では紙面に垂直方向の奥行き)の長さは特 制限はなく、通常0.1~20mが用いられ、好まし くは3~15mが用いられる。より好ましくは6~10m ある。伝熱プレート(57)は図43に示した配置 同様に積層され、積層される枚数には制限 無い。実際的には、反応に必要な触媒量か 決定されるが、数十枚から数百枚である。

 上記各反応帯域の触媒層の平均層厚さは 特に限定されないが、4~50mmであることが好 しい。また、上記各反応帯域の触媒層の平 層厚さは、反応原料の負荷量及び触媒の形 (粒径等)によっても異なるが、図41に示すプ レート式反応器においては、反応帯域(S1)の 媒層の平均層厚さは4~18mm(より好ましくは5~13 mm)であり、該反応帯域(S1)に続く反応帯域(S2) 触媒層の平均層厚さは5~23mm(より好ましくは 7~17mm)であり、該反応帯域(S2)に続く反応帯域( S3)の触媒層の平均層厚さは8~27mm(より好まし は10~22mm)であることが好ましく例示できる。

 一方、図42に示すプレート式反応器にお ては、反応帯域(S1)の触媒層の平均層厚さは5 ~20mm(より好ましくは7~15mm)であり、該反応帯 (S1)に続く反応帯域(S2)の触媒層の平均層厚さ は7~25mm(より好ましくは10~20mm)であり、該反応 帯域(S2)に続く反応帯域(S3)の触媒層の平均層 さは12~30mm(より好ましくは15~25mm)であること が好ましく例示できる。

 なお、該複数の反応帯域の触媒層の平均 厚さは、反応ガスの入口から出口の方向に 置するに従って、順次増加することが好ま い。

 特に、炭素数3及び4の炭化水素、並びに ーシャリーブタノールからなる群から選ば る反応原料の少なくとも1種を酸化するとき 、反応原料の負荷量が、触媒1リットル当た り150リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kP a)換算]以上である場合、及び/又は、炭素数3 び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群か ら選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化 るときの、反応原料の負荷量が、触媒1リッ ル当たり160リットル毎時[標準状態(温度0℃ 101.325kPa)換算]以上である場合は、上記触媒 (43)へ反応混合ガスを導入する反応ガス入口 (58)に連結される反応帯域(S1)の触媒層の平均 厚さは5~15mm(特に好ましくは7~12mm)であり、 反応帯域(S1)に続く反応帯域(S2)の触媒層の平 均層厚さは7~17mm(特に好ましくは10~15mm)であり 、該反応帯域(S2)に続く反応帯域(S3)の触媒層 平均層厚さは12~27mm(特に好ましくは15~20mm)で あることがより好ましい。

 上記触媒層の平均層厚さが上記範囲より さい場合、上記反応帯域S1へ触媒を充填す ときに、触媒粒子が触媒層内でブリッジを こし、充填時間が長くなる等の困難が伴う とがある。当然ながら触媒層の最小の層厚 は、触媒粒子の粒径より大きくなければな ない。通常、触媒層の最小厚さは触媒粒径 1.5倍以上が好ましい。従って、上記例示で 触媒層の平均層厚さは触媒粒子の粒径が、3~ 5mmの時に好適である。

 一方、触媒層の平均層厚さが上記範囲よ 大きい場合、ホットスポット発生の原因と り易い。特に反応ガスの出口付近の反応帯 、例えば、反応帯域(S3)の触媒層内の温度が 上昇し、ホットスポット現象が生じる状況、 又は反応原料の転化率が最適値より高くなり すぎるようなホットスポットに近い状況にな れば、反応成績が低下し、目的反応生成物の 収率が低下する場合がある。上記状況が悪化 し、ホットスポットが発生した場合には、触 媒が損傷することもある。この際には、熱媒 体の温度を下げて反応量を制限し、反応熱の 除去を促進したり、反応混合ガスの供給量を 下げ、反応原料の負荷量を低下させたりする 必要がある。

 上記触媒層の平均層厚さの詳細は、反応 の変化によって異なるが、触媒層(43)の入口 から出口まで連続的に変化させても良いし、 段階的に変化させても良い。寧ろ、触媒を製 造する際の反応活性の不揃いを考慮すれば、 段階的に上記触媒層の平均層厚さを変化させ た方が自由度を確保できて良い。

 また、上記反応帯域の分割数は2~5が好ま く、反応ガスの入口から出口に向かって、 反応帯域の触媒層の平均層厚さが増大する とが好ましい。

 さらに、各反応帯域における触媒層の反 ガスの流れ方向の長さは、反応原料の転化 等を考慮して決定されるが、例えば、上記 応帯域が3つに分割された場合では、全触媒 層長さに対して、反応帯域(S1)部分が10%~55%、 応帯域(S2)部分が20%~65%、反応帯域(S3)部分が2 5%~70%の触媒層長さを適用することが好ましい 。また、反応帯域(S3)部分の触媒層長さは反 原料の転化率の達成度によって変化させる とが好ましい。

 上述のように、実用的な反応器に於いて 、単位触媒当たりの反応原料の処理負荷量 高めた場合でも、反応によって生じる熱を 切に制御しホットスポットを防ぎ、触媒の 傷を防止し、かつ、反応原料の転化率及び 的反応生成物の収率を向上させることが必 となる。

 反応生成物の第三の製造方法においては 炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャ ーブタノールからなる群から選ばれる反応 料の少なくとも1種を酸化するときの、反応 料の負荷量が、触媒1リットル当たり150リッ トル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以 上である。上記炭素数3及び4の炭化水素、並 にターシャリーブタノールからなる群から ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化する ときの、反応原料の負荷量は、触媒1リット 当たり170~290リットル毎時[標準状態(温度0℃ 101.325kPa)換算]であることが好ましく、触媒1 リットル当たり200~250リットル毎時[標準状態( 温度0℃、101.325kPa)換算]であることが特に好 しい。上記反応原料の負荷量が、触媒1リッ ル当たり150リットル毎時[標準状態(温度0℃ 101.325kPa)換算]以上とは、上記単位触媒当た の反応原料の処理負荷量を高めた状態を意 する。

 また、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アル ヒドからなる群から選ばれる反応原料の少 くとも1種を酸化するときの、反応原料の負 量が、触媒1リットル当たり160リットル毎時 [標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上である 。上記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒ からなる群から選ばれる反応原料の少なく も1種を酸化するときの、反応原料の負荷量 が、触媒1リットル当たり180~300リットル毎時[ 標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]であること 好ましく、触媒1リットル当たり200~250リッ ル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]で ることが特に好ましい。上記反応原料の負 量が、触媒1リットル当たり160リットル毎時[ 標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上とは、 記単位触媒当たりの反応原料の処理負荷量 高めた状態を意味する。

 反応生成物の第三の製造方法においては 反応原料の転化率及び目的反応生成物の収 を向上させるために、複数の反応帯域に供 される熱媒体温度を独立して制御する。な 、反応生成物の第三の製造方法において温 の単位はセルシウス度[℃]である。

 反応生成物の第三の製造方法において、 応原料混合物の入口に最も近接する反応帯 S1に供給される熱媒体の温度T(S1)は、反応帯 域S1に隣接し、反応原料混合物の流れの下流 位置する反応帯域S2に供給される熱媒体の 度T(S2)より高いことが、反応原料の転化率及 び目的反応生成物の収率を向上させるために 重要である。

 また、「T(S1)-T(S2)」は5℃以上であること より好ましく、10℃以上であることがさら 好ましく、15℃以上であることが特に好まし い。なお、「T(S1)-T(S2)」は40℃以下であるこ が好ましい。

 なお、上記反応帯域S2の、反応原料混合 の流れの下流に位置する反応帯域に供給さ る熱媒体の温度は、任意であり、温度T(S2)と 同じであっても、異なっていてもよい。しか し、特に反応原料の転化率が90%以上の領域を 含む反応帯域では温度T(S2)より、低い温度が ましい。

 上記図41及び42に記載されたプレート式反 応器の例では、反応帯域(S1)に供給される熱 体の温度T(S1)は、反応帯域(S2)に供給される 媒体の温度T(S2)より高い場合に、反応原料の 転化率及び目的反応生成物の収率を向上させ ることが可能となる。

 また、反応原料混合物の出口に最も近接 る反応帯域に供給される熱媒体の温度は、 反応帯域に隣接し、反応原料混合物の流れ 上流に位置する反応帯域に供給される熱媒 の温度より低いことが、目的反応生成物の 率をより向上させるために、好ましい。ま 、該温度差の絶対値は5℃以上であることが より好ましく、10℃以上であることが特に好 しい。なお、該温度差の絶対値は30℃以下 あることが好ましい。

 反応生成物の第三の製造方法において、 定されない任意の反応帯域S(j)に供給される 熱媒体の温度をT(Sj)とし、反応帯域S(j)に隣接 し、反応原料混合物の流れの下流に位置する 反応帯域S(j+1)に供給される熱媒体の温度をT(S j+1)としたときに、前記T(Sj)と前記T(Sj+1)が、T( Sj)>T(Sj+1)、の関係を満たすことがより好ま い。

 上記図41及び42に記載されたプレート式反 応器の例では、反応帯域(S1)に供給される熱 体の温度をT(S1)、反応帯域(S2)に供給される 媒体の温度をT(S2)、反応帯域(S3)に供給され 熱媒体の温度をT(S3)としたときに、T(S1)>T(S 2)>T(S3)、の関係を満たすことが好ましいこ となる。

 反応生成物の第三の製造方法において、 定されない任意の反応帯域S(j)に供給される 熱媒体の温度をT(Sj)とし、前記反応帯域S(j)に 隣接し、反応原料混合物の流れの下流に位置 する反応帯域S(j+1)に供給される前記熱媒体の 温度をT(Sj+1)としたときに、前記T(Sj)と前記T(S j+1)が、T(Sj)-T(Sj+1)≧5、の関係を満たすことが 、目的反応生成物の収率をより向上させるた めに、より好ましい。また、T(Sj)-T(Sj+1)≧10で あることがさらに好ましく、T(Sj)-T(Sj+1)≧15で あることが特に好ましい。なお、T(Sj)-T(Sj+1) 値は、30以下であることが好ましい。

 上述のように反応原料の転化率を最適に つために、熱媒体の温度が調節される。反 生成物の第三の製造方法においては、反応 進行を促進して反応原料の転化率の向上を りたいときには、反応原料混合物の流れ方 の上流に位置する反応帯域へ供給される熱 体の温度を上げて反応を調節する。逆に、 過ぎた転化率を下げたいときには、先ず第1 に、反応原料混合物の流れ方向の下流に位置 する反応帯域に供給される熱媒体の温度を下 げて反応転化率を調節する。

 反応生成物の第三の製造方法において、 レート式反応器の反応生成物出口での反応 料の転化率は、90%以上であることが好まし 、より好ましくは95%以上であり、特に好ま くは97%以上である。

 熱媒体は、複数の反応帯域にそれぞれ最 な温度で供給される。このとき、熱媒体を す方向は、反応ガスの流れ方向と直交させ ことが好ましい。

 また、熱媒体の入口温度と出口温度の温 差は0.5~10℃であることが好ましく、2~5℃で ることがより好ましい。

 図42に示すプレート式反応器の場合は、 媒体流路(60-1、60-2、60-3)のそれぞれにおいて 、1~複数の流路毎に、熱媒体の流量、温度、 び流す方向を変えることも可能である。ま 、一つの反応帯域においても、1~複数の流 毎に、独立して同温の熱媒体を同じ方向に す場合も、逆の方向に流す場合もある。ま 、ある反応帯域の熱媒体流路に供給され排 された熱媒体を同じあるいは別の反応帯域 熱媒体流路に供給することも可能である。

 反応によって生じる熱を、前記伝熱プレ トを隔てて除熱し、反応帯域内の触媒層内 温度を、より確実に独立して制御するため 反応帯域に供給される熱媒体の温度を安定 に制御することが肝要であり、熱媒体の温 はそれぞれ独立した温度制御手段を有する とが好ましい。例えば、反応帯域S(j+1)から た熱媒体を上流の反応帯域S(j)に還流すると きも、温度制御手段で熱媒体温度T(Sj)を調整 たあと、反応帯域S(j)に供給することが好ま しい。また、他の反応帯域からの熱媒体や異 なる温度の熱媒体と合流し、或いは分岐した あとで温度調整をし、反応帯域S(j)へ供給す ことも可能である。

 熱媒体流路に供給される熱媒体の温度は 200~600℃で供給されることが好ましい。反応 原料が、炭素数3及び4の炭化水素、並びにタ シャリーブタノールからなる群から選ばれ 反応原料の少なくとも1種のときは、250~450 で各反応帯域に供給されることが好ましく より好ましくは、300~420℃である。該反応原 が、プロピレンの場合は、複数の反応帯域 供給される熱媒体の温度が250~400℃であるこ とが好ましく、320~400℃であることがより好 しい。

 一方、反応原料が、炭素数3及び4の不飽 脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる 応原料の少なくとも1種のときは、200~350℃で 各反応帯域に供給されることが好ましく、よ り好ましくは、250~330℃である。該反応原料 アクロレインの場合は、複数の反応帯域に 給される熱媒体の温度が250~320℃であること 好ましい。

 同じ反応帯域では、熱媒体の温度は基本 に同じであることが好ましいが、ホットス ット現象が発生しない範囲で変化させるこ は可能である。

 熱媒体流路に供給される熱媒体の流量は 応熱量と伝熱抵抗から決定される。しかし 伝熱抵抗は、通常、液体である熱媒体より 応ガスの気体側が大きいので問題になるこ は少ないが、熱媒体流路内の液線速度は好 には0.3m/s以上が採用される。反応ガス側伝 抵抗に比較し、熱媒体側の抵抗が小さく問 にならない値とするには、0.5~1.0m/sが最も適 当である。大きすぎると熱媒体の循環ポンプ の動力が大きくなって経済面で好ましくない 。なお、用いられる熱媒体は、公知のものを 使用することが可能である。

 反応生成物の第三の製造方法において、 応圧力は、通常、常圧~3,000kPa(キロパスカル )、好ましくは常圧~1,000kPa(キロパスカル)、よ り好ましくは常圧~300kPaである。

 次に実施例を用いて、具体的に説明する 、本発明は何ら実施例に限定されるもので ない。

(実施例1)
 第一のプレート式反応器は触媒層での熱の 受が効率的にできるので、熱の授受を必要 する反応であれば、いずれの原料、触媒、 応に対しても適用可能であるが、ここでは ロピレンを酸素で酸化して、アクロレイン アクリル酸を製造する反応を実施例として す。

 プロピレンを分子状酸素により酸化して クロレインを製造するに当たり、触媒を、 本国特開昭63-54942号公報、日本国特公平6-130 96号公報、日本国特公平6-38918号公報等に開示 される方法により、以下のように製造した。

(触媒の製造)
 パラモリブテン酸アンモン94重量部を純水40 0重量部に加熱溶解した。一方、硝酸第二鉄7. 2重量部、硝酸コバルト25重量部及び硝酸ニッ ケル38重量部を純水60重量部に加熱溶解させ 。これらの溶液を十分に攪拌しながら混合 、スラリー状の溶液を得た。

 次に、純水40重量部にホウ砂0.85重量部及 硝酸カリウム0.36重量部を加熱下で溶解させ 、上記スラリーに加えた。次に粒状シリカ64 量部を加えて攪拌した。次に予めMgを0.8重 %複合した次炭酸ビスマス58重量部を加えて 拌混合し、このスラリーを加熱乾燥した後 空気雰囲気で300℃、1時間熱処理し、得られ 粒状固体を、成型機を用いて直径4mm、高さ3 mmの錠剤に打錠成型し、次に500℃、4時間の焼 成を行って触媒Aを得た。

 得られた触媒Aは、Mo(12)Bi(5)Ni(3)Co(2)Fe(0.4)Na (0.2)Mg(0.4)B(0.2)K(0.1)Si(24)O(x)(酸素の組成xは各金 属の酸化状態によって定まる値である)の組 比を有する複合酸化物であった。

 図1のプレート式反応器と同様の構成を有 するプレート式反応器Aを用いてプロピレン 酸化反応を行った。プレート式反応器Aは、 さ1mmのステンレスプレートを成形し、成形 れたプレートの2枚を接合して形成された伝 熱プレートを有し、伝熱管1の長径(L)は40mmで り、伝熱管の短径(H)は20mmであり、伝熱プレ ートの軸間の距離(P)は26mmであり、反応帯域 一つ有し、触媒Aを収容している。成形され プレートの形状を、CCDレーザー変位計((株) ーエンス社製 LK-G152)によって測定したとこ ろ、成形されたプレートにおける成形の設計 値に対する誤差は±0.2mm未満であった。プレ ト式反応器Aにおいて、伝熱プレートは、そ 軸が鉛直方向となるように配置されている

 プレート式反応器Aにおける伝熱プレート の表面間の距離の設計値は、一方の伝熱プレ ートの伝熱管による凸縁と他方の伝熱プレー トの伝熱管の連結部による凹縁との間の距離 で15mmであった。前記伝熱プレートの表面間 距離を、伝熱プレートの軸方向に沿って7箇 、伝熱プレートにおける伝熱管の軸方向に って3箇所、合計で21箇所測定したところ、 定点の81%である17箇所で、前記設計値と実 値との差が0.2mm以内であった。なお、伝熱プ レートの表面間の距離は、長さ50cm、直径4mm 棒部材の先端から30mmの位置に、直径1mm、長 15.2mmと14.8mmの測定棒部材を直角に取り付け 2種類の測定用金具を、伝熱プレートの隙間 に挿入して測定した。プレート式反応器Aは 伝熱プレートの表面間の距離における設計 に対する実測値の差が0mmである場合とする

 熱媒には硝酸塩類混合物溶融塩(ナイター )を用いた。熱媒を、反応帯域に応じた温度 調整し、伝熱管に供給した。熱媒は熱媒の 速が毎秒0.7m以上となるように供給した。

 原料ガスとして、プロピレン濃度が9.5モ %、水濃度9.5モル%、酸素濃度14.2モル%、窒素 66.8%である反応原料混合ガスを毎時6750リット ル(標準状態)の割合で、反応器入口の圧力が0 .07MPaG(メガパスカルゲージ)となるようにプレ ート式反応器に供給した。

 プレート式反応器Aにおける伝熱管の長径 、短径、反応帯域の長さ、及び伝熱プレート 間の距離(P)を表1に示す。また熱媒の温度、 料であるプロピレン(PP)の転化率、目的物で るアクロレイン(ACR)とアクリル酸(AA)の合計 率をプロピレン(PP)転化率で割って得られる 選択率、及び触媒層のピーク温度を表2に示 。

(実施例2)
 伝熱プレートの軸間の距離(P)が26.5mmである 外はプレート式反応器Aと同じ構造を有する プレート式反応器Bを用い、まず、実施例1と 様の条件にて反応を実施した。プレート式 応器Bにおける、伝熱プレートの表面間の距 離の実測値は、一方の伝熱プレートの凸縁と 他方の伝熱プレートの凹縁との間の距離で、 実施例1と同様に前記距離を測定したところ 測定点の76%である16箇所で15.5±0.2mmであった プレート式反応器Bは、前記設計値に対する 実測値の差が+0.5mmである場合に相当する。こ の反応において、触媒層のピーク温度は419℃ となり、さらに増大したので、一旦反応を停 止した。

 プレート式反応器Bの触媒層のピーク温度 が、実施例1における触媒層のピーク温度と じになるように、熱媒の温度を338℃に下げ 以外は実施例1と同様に反応を実施したとこ 、表2に示すように、実施例1と同等の反応 績が得られた。

(実施例3)
 伝熱プレートの軸間の距離(P)が27.5mmである 外はプレート式反応器Aと同じ構造を有する プレート式反応器Cを用い、まず、実施例1と 様の条件にて反応を実施した。プレート式 応器Cにおける、伝熱プレートの表面間の距 離の実測値は、一方の伝熱プレートの凸縁と 他方の伝熱プレートの凹縁との間の距離で、 実施例1と同様に前記距離を測定したところ 測定点の86%である18箇所で16 .5±0.2mmであっ 。プレート式反応器Cは、前記設計値に対す 実測値の差が+1.5mmである場合に相当する。 の反応において、触媒層のピーク温度は442 となり、さらに増大したので、一旦反応を 止した。

 プレート式反応器Cの触媒層のピーク温度 が、実施例1における触媒層のピーク温度と じになるように、熱媒の温度を330℃に下げ 以外は実施例1と同様に反応を実施したとこ 、表2に示すように、実施例1と同等の反応 績が得られた。

(比較例1)
 伝熱プレートの軸間の距離(P)が28.5mmである 外はプレート式反応器Aと同じ構造を有する プレート式反応器Dを用い、まず、実施例3と 様の条件にて反応を実施した。プレート式 応器Dにおける、伝熱プレートの表面間の距 離の実測値は、一方の伝熱プレートの凸縁と 他方の伝熱プレートの凹縁との間の距離で、 実施例1と同様に前記距離を測定したところ 測定点の90%である19箇所で17 .5±0.2mmであっ 。プレート式反応器Dは、前記設計値に対す 実測値の差が+2.5mmである場合に相当する。 の反応において、触媒層のピーク温度は450 を超え、暴走反応が起こる可能性があるこ から一旦反応を停止した。熱媒の温度を300 に下げた以外は実施例1と同様に反応を実施 したが、転化率が50%を超えず、反応が進まな かった。

(実施例4)
 二つの反応帯域を有するプレート式反応器E を用いてプロピレンの酸化を行った。プレー ト式反応器Eにおいて、第一反応帯域は、プ ート式反応器Bと同じ構造である。第一反応 域に続く第二反応帯域は、伝熱管の短径(H) 16mmであり、反応帯域の長さが400mmであり、 熱プレートの軸間の距離が27.5mmであるプレ ト式反応器と同じ構造である。

 プレート式反応器Eにおける第一反応帯域 では、伝熱プレートの表面間の距離の設計値 は、一方の伝熱プレートの凸縁と他方の伝熱 プレートの凹縁との間の距離で15.5mmであった 。第一反応帯域は、伝熱プレートの表面間の 距離において平均値に対する実測値の差が+0. 5mmである場合に相当する。またプレート式反 応器Eにおける第二反応帯域では、伝熱プレ トの表面間の距離の設計値は、一方の伝熱 レートの凸縁と他方の伝熱プレートの凹縁 の間の距離で18.5mmであった。また、実施例1 同様に前記距離を測定したところ、測定点 87%である13箇所で、実測値が18.5±0.2mmであっ た。第二反応帯域は、伝熱プレートの表面間 の距離において平均値に対する実測値の差が +1.5mmである場合に相当する。

 各反応帯域において、触媒層のピーク温 が実施例1における触媒層のピーク温度と同 じになるように、第一の反応帯域における熱 媒の温度を330℃とし、第二の反応帯域の熱媒 の温度を328℃とした以外は、実施例1と同様 条件にて反応を実施した。その結果、表2に すように、実施例1と同様に優れた反応成績 が得られた。

(比較例2)
 二つの反応帯域を有するプレート式反応器F を用いてプロピレンの酸化を行った。プレー ト式反応器Fにおいて、第一反応帯域は、プ ート式反応器Dと同じ構造であり、第二反応 域は、実施例4における第二反応帯域と同じ である。プレート式反応器Fにおける第一反 帯域は、前記設計値に対する実測値の差が+2 .5mmである場合に相当し、プレート式反応器F おける第二反応帯域は、実施例4と同様に前 記設計値に対する実測値の差が+1.5mmである場 合に相当する。

 実施例4と同じ熱媒の温度とした以外は実 施例1と同様の条件で反応を実施した、その 果、触媒層のピーク温度が450℃を超え、暴 反応が起こる可能性があることから、一旦 応を停止した。第一の反応帯域における熱 の温度を300℃に下げた以外は実施例1と同様 反応を実施したが、転化率が50%を超えず、 応が進まなかった。

(実施例5)
 プレート式反応器として、充填テスト用に 16に示すものを製作した。伝熱プレートは6 設置した。伝熱プレートにおける伝熱管の 方向における長さ(伝熱プレートの幅)は5mで ある。伝熱プレートの下部には通気板(多孔 )の係止部材を設置した。この通気板からの 熱プレートの軸方向における伝熱プレート 高さは、1.88mで、伝熱管の無い直線部が前 通気板から上方に150mm形成されている。仕切 りは50cm間隔で設置されている。仕切りは、 17に示す形状のもので、その板厚は5mmであっ た。

 伝熱プレートは、板厚が1mmのステンレス( SUS304L)製鋼板を、その断面形状が、円弧状の 部と凹部間に形成される突縁とが連続する 状となるように成形し、成形された二枚の 板における前記突縁同士を溶接することに って製作した。この伝熱プレートにおける 熱管の仕様を以下の表3に示す。なお、前記 プレート式反応器において、隣り合う伝熱プ レートにおける前記直線部間距離は24mmであ た。

 前記プレート式反応器において、隣り合 伝熱プレートと仕切りとによって形成され 区画に触媒を充填した。触媒には、Mo(12)Bi(5 )Co(3)Ni(2)Fe(0.4)Na(0.4)B(0.2)K(0.08)Si(24)O(x)の組成の 複合金属酸化物粉末を調製し、これを成型し て外径4mmφ、高さ3mmの円柱状に成形し、焼成 てなる触媒を用いた。ここで、Mo、Bi、Co、N i、Fe、Na、B、K、Si、Oは原子記号であり、O(x) (x)は各金属酸化物の酸化状態によって定ま 値である。

 触媒の充填には、仕切りの間隔50cmと同じ 幅を有する振動フィーダを用いた。1L(リット ル)/毎分以下(約0.8~0.9L/min)の充填速度で前記 画に触媒を供給した。より詳しくは、触媒 11.6リットル計量し、それぞれビニール袋に 分けしたもの33袋を準備し、前記振動フィ ダで各区画に充填した。各区画の容積から めた充填高さの計算理論値は182.5cmである。

 その後、充填層高さを測定するため、形 された触媒層の上面をならして、伝熱プレ トの上端との距離を測定し、この距離と前 通気板からの伝熱プレートの高さとの差か 充填高さを決定した。この距離の測定は、 区画において、5cmの間隔で11箇所行った。 動フィーダによる触媒供給速度のバラつき あり、一時的に供給速度が大きくなるとき あった。極端に供給速度が振れたときは、 媒層高さが大きくなり、時にはブリッジン が発生し、伝熱プレート間区画から溢れる ともあったが、その時は、区画下部に取り けられた係止部材を外し、通気板を取り外 て、触媒を抜き出し、再度充填を行った。 充填は、充填作業の総数300回中、合計で3回 施すれば十分であった。

 充填層高の測定結果から、触媒層の層高 、理論値から±5cm以内であった。触媒層の さは、前記理論値に対して±2.7%のバラつき 有していた。この結果から、前記仕切りを するプレート式反応器では、前記区画毎に 媒を充填することによって、前記隙間に非 に均一に触媒を充填することができること わかった。

(実施例6)
 反応生成物の第三の製造方法に係る本実施 において用いられる、反応原料の転化率、 的反応生成物の選択率、目的反応生成物の 率、及び反応原料の負荷量の計算方法を下 に記す。
<1> 反応原料(プロピレン、アクロレイン 等)の転化率[%] =
(反応器で他物質に転化した反応原料のモル )/(反応器に供給された反応原料のモル数)×10 0
<2>目的反応生成物の選択率[%] =(反応器 口における目的反応生成物のモル数)/(反応 で他物質に転化した反応原料のモル数)×100
<3>目的反応生成物の収率[%] =
(反応器出口における目的反応生成物のモル )/(反応器に供給された反応原料のモル数)×10 0
<4>反応原料の負荷量[NL/L・hr] =
反応原料の毎時供給量L[リットル][標準状態 算]/反応に供される触媒量L[リットル]
 ここで、標準状態とは、温度0℃、101.325kPa( 対圧)におかれた状態をいう。

 プロピレンを分子状酸素により接触気相 化し、アクリル酸を製造するに当たり、プ ピレンからアクロレイン及びアクリル酸に 換する前段用触媒としてMo(12)Bi(5)Co(3)Ni(2)Fe(0 .4)Na(0.4)B(0.2)K(0.08)Si(24)O(x)の組成の金属酸化物 粉末を調製し、これを成型して外径4mmφ、高 3mmの円筒状ペレット触媒を得た。更にアク レインをアクリル酸に転換する後段用触媒 して、Mo(12)V(2.4)Ni(15)Nb(1)Cu(1)Sb(59)Si(7)O(x)の組 成の金属酸化物粉末を調製し、この粉末を成 型して、外径5mmφ、内径2mmφ、及び高さ3mmの ング形状の触媒を得た。ここで、O(x)の(x)は 金属酸化物の酸化状態によって定まる値で る。

 プレート式反応器には図42に示す構造の のを用いた。波形形状の薄いステンレスプ ート(板厚1mm)を2枚接合して反応温度調節用 熱媒体流路を形成した。図43に示す波形形状 の周期(L)、高さ(H)及び波数を表4に示す。

 該接合された波形伝熱プレートの一対に 前段反応器には前段用触媒を、後段反応器 は後段用触媒を、それぞれ充填して触媒層 形成した。前段反応器及び後段反応器とも 媒層は波形形状の仕様によって、表4に示す ように、反応ガスの流れ方向の上流から反応 帯域(S1)、反応帯域(S2)及び反応帯域(S3)に分割 した。1対の波形伝熱プレートは図42に示すよ うに平行に設置し、その間隔(図43に示すP)を2 6mmに調整した。伝熱プレートの幅は114mmであ た。

 表4に示す触媒量は各反応器を垂直にし、 触媒層最下部に板を取り付けて上部より水を 注いで測った体積測定の結果である。該触媒 量を反応原料の負荷量の計算に用いた。

 反応原料として、前段反応器の入口(反応 帯域(S1))からプロピレンを9.5モル%含有する反 応原料混合物(以下、反応混合ガス)を通気し 。反応混合ガスは、プロピレン以外に、酸 15.2モル%、窒素65.9モル%及び水蒸気9.4モル% 含む。

 表4に示す前段反応器に上記前段触媒を充 填し、プロピレンの酸化反応を行った。熱媒 体には綜研テクニクス(株)社製のNeoSK-OIL(登録 商標)1400を用いそれぞれ温度を調節した後、 応帯域(S1)~反応帯域(S3)へ供給した。熱媒体 供給量は熱媒体の流速が毎秒0.7m以上となる ようにした。

 プロピレン濃度が9.5モル%である反応混合 ガスを5,670リットル毎時[標準状態(温度0℃、1 01.325kPa)換算]の割合で反応器の入口に供給し 。また、各反応帯域(S1)、(S2)、及び(S3)へ供 された熱媒体の温度はそれぞれ342℃、329℃ 及び329℃とした。プロピレンの供給量は539 ットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換 ](以下、NL/Hrともいう)であった。反応器入口 の圧力は0.109MPaG(メガパスカルゲージ)で、反 器の触媒層の入口と出口の圧力差(圧力損失 )は14kPaと非常に小さかった。

 出口ガスをガスクロマトグラフィで分析 たところ、プロピレンの転化率は97.2%、ア リル酸の収率は10.1%、アクロレインの収率は 81.7%であった。プロピレンの負荷量は167リッ ル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算](以 下、NL/L・Hrともいう)であった。

(実施例7)
 各反応帯域(S1)、(S2)、及び(S3)に供給した熱 体の温度をそれぞれ360℃、345℃、及び329℃ 調節したこと以外は実施例6と同様に反応を 実施した。出口ガスをガスクロマトグラフィ で分析したところ、プロピレンの転化率は98. 3%、アクリル酸とアクロレインの収率の合計 92.7%であった。

(実施例8)
 反応混合ガスの供給量を7,817リットル毎時[ 準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]に増加した と、並びに各反応帯域(S1)、(S2)、及び(S3)に 給した熱媒体の温度をそれぞれ342℃、335℃ 及び334℃に調節したこと以外は実施例6と同 に反応を実施した。プロピレンの供給速度 743NL/Hrであった。

 出口ガスをガスクロマトグラフィで分析 たところ、プロピレンの転化率は95.4%、ア リル酸の収率は11.5%、アクロレインの収率は 79.2%であった。プロピレンの負荷量は、231NL/L ・Hrであった。反応器入口の圧力は、0.134MPaG( メガパスカルゲージ)であり、反応器の触媒 の圧力損失は、30kPa(キロパスカル)であった

(実施例9)
 実施例8で得られた反応器出口ガスを後段反 応器に供給して、アクロレインを酸化し、ア クリル酸を製造した。酸化反応のための分子 状酸素の供給源として、空気を2,186毎時[標準 状態(温度0℃、101.325kPa)換算]と窒素を680リッ ル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]を 前段反応器出口ガスと混合して後段反応器 供給した。

 後段反応器の各反応帯域(S1)、(S2)、及び(S 3)に供給された熱媒体の温度は、それぞれ284 、278℃及び278℃であった。熱媒体の供給量 、それぞれ反応帯域の熱媒体流路内での流 が毎秒0.4m以上となるようにした。後段反応 器入口の圧力は、0.097MPaG((メガパスカルゲー )で、反応器の触媒層の圧力損失は、29kPa(キ ロパスカル)であった。

 出口ガスをガスクロマトグラフィで分析 たところ、アクロレインの転化率は99.4%、 段反応器に供給されたプロピレンに対する クリル酸収率は、86.3%であった。アクロレイ ンの負荷量は201NL/L・Hrであった。

(実施例10~12、並びに比較例3及び4)
 反応に用いた反応混合ガスを、プロピレン9 .4モル%、酸素15.2モル%、窒素65.9モル%及び水 気9.5モル%の組成にすること、プロピレンの 荷量を219NL/L・Hrで供給すること、並びに、 反応帯域(S1)、(S2)、及び(S3)に供給した熱媒 の温度を表2に示す温度に調整したこと以外 は実施例6と同様に反応を実施した。ガスク マトグラフィで分析した出口ガスの分析結 を表5に示す。続けて反応を230時間以上行っ が、転化率や収率は安定していて、触媒の 化を示す兆候は無かった。

(実施例13及び比較例5)
 上記前段反応器であって、表4に示す周期(L) 、高さ(H)、波数及び波板間隔Pが同じである 、伝熱プレートの幅が96mmであるプレート式 応器を用いた。当該伝熱プレート式反応器 上記後段用触媒を充填した。充填高さは1.8m で、触媒量は2.5L(リットル)であった。

 比較例5として、反応管として内径27mmの テンレス製管を用い、該反応菅に後段用触 を充填高さ1.8mまで充填した管型反応器を準 した。触媒量は1.0Lであった。

 上記のプレート式反応器と管型反応器を 直に固定し、上部より室温の空気を供給し 入口圧力と出口圧力を測定して、触媒層の 力損失を求めた。結果を表6に示す。

 ここで通気量[NL/L・Hr]は、触媒1L(リットル) 1時間当たりのガス供給量を表す。なお、ガ スの容積は標準状態(0℃、101.325kPa)換算での 積を用いる。
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2008年3月31日出願の日本特許出願 (特願2008-091298)、2008年3月31日出願の日本特許 願(特願2008-091705)、2008年3月31日出願の日本 許出願(特願2008-091818)、及び2008年12月24日出 の日本特許出願(特願2008-327973)に基づくもの あり、その内容はここに参照として取り込 れる。

 プレート式反応器は、その製作において 伝熱プレートの配置が設計値から外れたこ により、設計時に想定した所望の反応成績 実際のプレート式反応器では得られないこ があった。しかしながら、第一のプレート 反応器及びその製作方法は、伝熱プレート 配置の許容される誤差を特定し、その誤差 範囲で伝熱プレートを固定する技術を提供 る。これにより、プレート式反応器の構造 変更を伴わずに熱媒の温度を制御する反応 成物の第一の製造方法によって、実際のプ ート式反応器で所期の反応成績を達成する 術が確立し、気相接触反応による反応生成 の工業生産へのプレート式反応器の利用の 能性が大幅に拡大することが期待される。 のように、本発明によって、気相接触反応 よる反応生成物の製造の分野のさらなる発 が期待される。

 また、プレート式反応器では、触媒層の さを調整することによって反応を制御する とが行われることがある。このようなプレ ト式反応器では、反応器全体において触媒 均一に充填することがより一層困難である 、第二のプレート式反応器は、触媒の適切 充填を迅速、正確、かつ容易に行うことが き、プレート式反応器の設置、保守管理、 び定期点検における作業性の格段の向上が 待される。

 また反応生成物の第二の製造方法によれ 、触媒が充填されたプレート式反応器に反 原料を供給し、該反応原料を反応させ反応 を製造する製造方法において、触媒の充填 態のバラつきによる反応成績の低下が防止 れ、触媒の性能に応じた所期の反応成績の 成、及び改良された触媒によるさらなる反 成績の向上が期待される。

 また反応生成物の第三の製造方法によれば 触媒が充填されたプレート式反応器に反応 料を供給し、該反応原料を反応させ反応物 製造する製造方法において、単位触媒当た の反応原料の処理負荷量を高めたときに、 媒を通過する反応ガスの圧力損失の増大を 止し、かつ、反応によって生じる熱を適切 制御することでホットスポットを防ぎ、触 の損傷を防止しつつ目的反応生成物の収率 向上させることが可能である。
 よって、本発明の工業的価値は顕著である




 
Previous Patent: WO/2009/123045

Next Patent: WO/2009/123155