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Title:
PLUG FOR COLD DRAWING AND PRODUCTION METHOD OF METAL PIPE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/022547
Kind Code:
A1
Abstract:
A plug (1) has a first columnar portion (20), a tapered portion (30), and a second columnar portion (40). The first columnar portion (20) has an outside diameter D1. The second columnar portion (40) has an outside diameter D2 larger than D1. The tapered portion (30) is formed between the first columnar portion (20) and the second columnar portion (40). The tapered portion (30) has a tapered surface (31) the outside diameter of which increases gradually from the first columnar portion (20) toward the second columnar portion (40), and an axial length L. The outside diameters D1 and D2 of the plug (1), and the axial length L satisfy the expressions (1) through (4). The cold drawing plug can therefore reduce residual tensile stress on the outer surface of a metal pipe after cold drawing. 0.25≤ρ≤2.00 (1), 0.06≤L/D2≤0.8 (2), L/D2≤0.3xρ+0.575 (3), L/D2≥0.1xρ (4), where, ρ=(D2-D1)/D1x100.

Inventors:
OKUI TATSUYA (JP)
KURODA KOUICHI (JP)
KAWAKAMI TADASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063788
Publication Date:
February 19, 2009
Filing Date:
July 31, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL IND (JP)
OKUI TATSUYA (JP)
KURODA KOUICHI (JP)
KAWAKAMI TADASHI (JP)
International Classes:
B21C3/16; B21C1/24
Foreign References:
JPH09155414A1997-06-17
JPH11300411A1999-11-02
JP2006167763A2006-06-29
JPH11300411A1999-11-02
JPH02197313A1990-08-03
Other References:
See also references of EP 2177281A4
Attorney, Agent or Firm:
UEBA, Hidetoshi et al. (4th Fl. Kadono Bldg.,2-1, Tenma 2-chome, Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 43, JP)
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Claims:
 金属管の冷間引抜加工に用いられるプラグであって、
 外径D1を有する第1の円柱部と、
 前記第1の円柱部と同軸に形成され、外径D1よりも大きい外径D2を有する第2の円柱部と、
 前記第1の円柱部と前記第2の円柱部との間に形成され、前記第1の円柱部から前記第2の円柱部に向かって徐々に大きくなる外径を有するテーパ表面と軸方向長さLとを有するテーパ部とを備え、
 前記外径D1及びD2と、前記軸方向長さLとは、式(1)~(4)を満たすことを特徴とする冷間引抜加工用プラグ。
 0.25≦ρ≦2.00 (1)
 0.06≦L/D2≦0.8 (2)
 L/D2≦0.3×ρ+0.575 (3)
 L/D2≧0.1×ρ (4)
 ここで、ρ=(D2-D1)/D1×100である。
 請求項1に記載の冷間引抜加工用プラグであってさらに、
 前記テーパ表面のうち、前記第1の円柱部の端縁との結合部分は、凹状になめらかに湾曲していることを特徴とする冷間引抜加工用プラグ。
 外径D1を有する第1の円柱部、前記第1の円柱部と同軸に形成され外径D1よりも大きい外径D2を有する第2の円柱部、及び、前記第1の円柱部と前記第2の円柱部との間に形成され前記第1の円柱部から前記第2の円柱部に向かって徐々に大きくなる外径を有するテーパ表面と軸方向長さLとを有するテーパ部を備え、前記外径D1及びD2と前記軸方向長さLとが、式(1)~(4)を満たす冷間引抜加工用プラグと、ダイスとを準備する工程と、
 素管の一端を前記ダイスに挿入する工程と、
 前記冷間引抜加工用プラグを、引き抜き方向に向かって、前記第2の円柱部から前記素管に挿入する工程と、
 前記冷間引抜加工用プラグを所定の位置で保持しながら、前記素管を引き抜く工程とを備えることを特徴とする金属管の製造方法。
 0.25≦ρ≦2.00 (1)
 0.06≦L/D2≦0.8 (2)
 L/D2≦0.3×ρ+0.575 (3)
 L/D2≧0.1×ρ (4)
 ここで、ρ=(D2-D1)/D1×100である。
 請求項3に記載の金属管の製造方法であって、
 前記冷間引抜加工用プラグの前記テーパ表面のうち、前記第1の円柱部の端縁との結合部分は、凹状になめらかに湾曲していることを特徴とする金属管の製造方法。
Description:
冷間引抜加工用プラグ及び金属 の製造方法

 本発明は、プラグ及び金属管の製造方法 関し、さらに詳しくは、冷間引抜加工に用 られるプラグと、そのプラグを用いた金属 の製造方法に関する。

 金属管の寸法精度の向上や、内外面の平 化を目的として、金属管に対して冷間引抜 工を実施する場合がある。冷間引抜加工は 一般的に、ダイスとプラグとを用いる。ダ スは金属管を縮径し、金属管の外径を所望 寸法に調整する。さらに、金属管の外面を 滑化する。一方、プラグは、金属管の内径 法を調整し、かつ、金属管の内面を平滑化 る。

 近年、冷間引抜加工に用いられるプラグ 、その目的に応じて、種々の形状が提案さ ている。たとえば、特開2006-167763号公報及 特開平11-300411号公報は、被加工材である金 管(以下、素管という)の内面のしわ疵の除去 を目的とした段付きプラグを開示する。これ らの特許文献に開示された段付きプラグは、 プラグ後部にリング状の突起部が形成され、 突起部によりプラグ表面に段差が設けられる 。この段差を利用して、素管内面をしごき加 工する。これにより、素管内面のしわ疵が除 去され、表面粗さが改善されるとしている。

 ところで、冷間引抜加工では、引抜後の 属管の外面の周方向に引張残留応力が生じ ことが多い。金属管の外面に凹み疵があれ 、その凹み疵と引張残留応力との相互作用 より、冷間加工後に実施される熱処理時に 金属管の外面に割れが発生する場合がある したがって、冷間引抜後の金属管の外面の 張残留応力は低い方が好ましい。

 特開平2-197313号公報は、残留応力を低減 、金属管の内圧疲労特性を向上する金属管 製造方法を開示する。この文献では、プラ の後半部分の外径がプラグの前半部分の外 よりも大きい二段構造のプラグを採用する このプラグにより、ダイスにより縮径され 素管を0.1~1.5%の拡管率で拡管する。これによ り、冷間引抜加工後の金属管の残留応力を変 化させ、内圧疲労特性を向上するとしている 。

 しかしながら、特開平2-197313号公報に開 されるように、単に拡管率を0.1~1.5%としただ けでは、金属管の残留応力は変化するものの 、金属管の外面の引張残留応力が低減しない 場合がある。

 本発明の目的は、冷間引抜加工後の金属 の外面の引張残留応力を低減できる冷間引 加工用プラグを提供することである。

 本発明者らは、図1に示すように、外径D1 有する第1円柱部20と、外径D1よりも大きい 径D2を有する第2円柱部40と、第1円柱部20及び 第2円柱部40の間に形成されるテーパ部30とを えるプラグを採用し、冷間引抜加工中に、 ーパ部30で素管を拡管することにより、冷 引抜加工後の金属管の外面の引張残留応力 低減しようと考えた。

 そして、本発明者らは、図1に示す形状の プラグにより引張残留応力が低減する原理を 以下のとおりに推定した。テーパ部30で素管 拡管した場合、プラグが抜けた後の金属管 弾性回復による周方向の圧縮ひずみは、金 管の外面側よりも内面側の方が大きくなる そのため、金属管の外面側に圧縮方向の応 が作用する。その結果、金属管の外面周方 の引張残留応力が低減する。

 このような原理で引張残留応力が低減す 場合、本発明者らは、拡管率だけでなく、 ーパ部30の軸方向長さLも、引張残留応力の 減に関係すると考えた。拡管率が同じであ ても、軸方向長さLが異なれば、テーパ部30 よる素管の変形の仕方も異なる。そのため 引張残留応力を低減する圧縮方向の応力の きさも異なると推定されるからである。

 以上の推定に基づいて、本発明者らは、有 要素法を用いて、式(A)に定義される拡管率 (%)と、L/D2とが異なる複数のプラグによる冷 引抜加工をシミュレートした。そして、冷 引抜加工後の金属管外面の引張残留応力を めた。
 ρ=(D2-D1)/D1×100 (A)

 調査結果を図2に示す。図中の横軸は拡管 率ρ(%)を示し、縦軸はL/D2を示す。図中の各プ ロットの図形は、シミュレートに用いたプラ グのテーパ半角θの値を表す。各図形が対応 るテーパ半角θの値は、図2中の凡例に示す おりである。図中の各プロットの横に示す 値は、冷間引抜前の素管の降伏応力YSに対 る冷間引抜後の金属管の外面円周方向の引 残留応力σの比(=σ/YS)を示す。

 図2を参照して、本発明者らは、拡管率ρ及 L/D2が図2中の領域AR内である場合、換言すれ ば、外径D1、D2及び軸方向長さLが、以下の式( 1)~式(4)を満たす場合、σ/YSが0.5未満に低減し 引張残留応力が有効に低減することを見出 た。
 0.25≦ρ≦2.00 (1)
 0.06≦L/D2≦0.8 (2)
 L/D2≦0.3×ρ+0.575 (3)
 L/D2≧0.1×ρ (4)
 以上の知見に基づいて、本発明者らは以下 発明を完成した。

 本発明によるプラグは、金属管の冷間引抜 工に用いられる。本発明によるプラグは、 1の円柱部と、第2の円柱部と、テーパ部と 備える。第1の円柱部は、外径D1を有する。 2の円柱部は、第1の円柱部と同軸に形成され る。第2の円柱部は、外径D1よりも大きい外径 D2を有する。テーパ部は、第1の円柱部と第2 円柱部との間に形成される。テーパ部は、 1の円柱部から第2の円柱部に向かって徐々に 大きくなる外径を有するテーパ表面と、軸方 向長さLとを有する。外径D1及びD2と、軸方向 さLとは、式(1)~(4)を満たす。
 0.25≦ρ≦2.00 (1)
 0.06≦L/D2≦0.8 (2)
 L/D2≦0.3×ρ+0.575 (3)
 L/D2≧0.1×ρ (4)
 ここで、ρ=(D2-D1)/D1×100である。

 好ましくは、テーパ表面のうち、第1の円 柱部の端縁との結合部分は、凹状になめらか に湾曲している。

 この場合、冷間引抜加工中、第1の円柱部 とテーパ部との結合部に過剰な荷重が掛かっ た場合のプラグの破損を抑制できる。

 本発明による金属管の製造方法は、素管 一端をダイスに挿入する工程と、上述の冷 引抜加工用プラグを、引き抜き方向に向か て、第2の円柱部から素管に挿入する工程と 、冷間引抜加工用プラグを所定の位置で保持 しながら、素管を冷間で引き抜く工程とを備 える。

 この場合、製造された金属管の外面の周 向の引張残留応力を低減できる。

本発明の実施の形態による冷間加工用 ラグの側面図である。 図1に示した冷間加工用プラグを用いて 金属管を冷間引抜加工したときの、拡管率と プラグのテーパ部の長さと冷間引抜後の引張 残留応力との関係を示す図である。 図1と異なる形状の、本実施の形態によ る冷間加工用プラグの側面図である。 図1及び図3と異なる形状の、本実施の 態による冷間加工用プラグの側面図である 本実施の形態による金属管の製造工程 第1工程を示す図である。 本実施の形態による金属管の製造工程 第2工程を示す図である。 本実施の形態による金属管の製造工程 第3工程を示す図である。

 以下、図面を参照し、本発明の実施の形 を詳しく説明する。図中同一又は相当部分 は同一符号を付してその説明は繰り返さな 。

 [冷間引抜加工用プラグ]
 本発明の実施の形態による冷間引抜加工用 ラグ(以下、単にプラグという)は、金属管 冷間引抜加工に用いられる。以降、冷間引 加工前及び冷間引抜加工中の被加工材を「 管」といい、冷間引抜加工後の被加工材を に「金属管」という。

 図1を参照して、プラグ1は、第1円柱部20 、テーパ部30と、第2円柱部40と、逃げ部50と 備える。これらは、同軸に連続的に形成さ る。

 第1円柱部20は、外径D1(mm)を有する。第1円 柱部20の先端は、棹10の端部と周知の方法(例 ば螺着)で結合される。棹10は、冷間引抜加 中、プラグ1を支持し、プラグ1を所定の位 に保持する。第1円柱部20は、冷間引抜加工 に、図示しないダイスで縮径された素管の 面と接触し、素管の内径を一定にする。

 テーパ部30は、第1円柱部20と第2円柱部40 の間に形成される。テーパ部30は、テーパ表 面31を有する。テーパ表面31は、第1円柱部20 後端縁21と第2円柱部の前端縁41との間に形成 される。テーパ表面31は円錐台状であり、第1 円柱部20から第2円柱部40に向かって徐々に大 くなる外径を有する。また、テーパ部30は 方向長さL(mm)を有する。

 テーパ部30は、ダイスで縮径された素管 拡管する。これにより、冷間引抜加工後の 属管の外面の引張残留応力が低減される。

 第2円柱部40は、第1円柱部20と同軸に形成 れる。第2円柱部40は、外径D1よりも大きい 径D2(mm)を有する。第2円柱部40は、テーパ部30 で拡管された素管の内面と接触し、冷間引抜 加工後の金属管の内径を一定にする。

 逃げ部50は、第2円柱部の後端に形成され 。逃げ部50は、逆テーパ表面51を有する。逆 テーパ表面51は円錐台状であり、その外径は プラグ1の後端に向かって徐々に小さくなる 。逃げ部50は、素管がプラグ1を通過するとき に、プラグ1の後端により素管の内面に疵が 生するのを抑制する。なお、プラグ1は逃げ 50を有しなくてもよい。

 プラグ1はさらに、式(1)~(4)を満たす。
 0.25≦ρ≦2.00 (1)
 0.06≦L/D2≦0.8 (2)
 L/D2≦0.3×ρ+0.575 (3)
 L/D2≧0.1×ρ (4)
 ここで、拡管率ρ(%)は式(A)で定められる。
 ρ=(D2-D1)/D1×100 (A)

 プラグ1が式(1)~(4)を満たすことにより、 張残留応力が有効に低減される。より具体 には、素管の降伏応力YS(MPa)に対する金属管 引張残留応力σの比(=σ/YS)を0.5未満にするこ とができる。以下、式(1)~式(4)について詳述 る。

 [式(1)について]
 式(1)は拡管率ρの範囲を規定する。拡管率ρ は、換言すれば、第1円柱部20と第2円柱部40と の段差hの大きさを示す。拡管率ρが小さけれ ば、段差hが小さい。そのため、テーパ部30が 素管を拡管するときに素管に与えるひずみが 小さい。テーパ部30が与えるひずみが小さけ ば、金属管の外面側で圧縮方向に作用する 力も小さくなる。そのため、冷間引抜加工 の金属管外面の引張残留応力が低減しにく 。

 一方、拡管率ρが大きい場合、段差hが大 くなる。段差hが大きければ、テーパ部30が 管に与えるひずみも大きい。そのため、引 残留応力が低減されやすい。しかしながら 段差hが大きすぎれば、冷間引抜時にプラグ 1に掛かる荷重が過剰に大きくなる。

 拡管率ρが式(1)を満たせば、プラグ1に過 な荷重が掛かるのを防ぎつつ、金属管の引 残留応力を有効に低減できる。好ましい拡 率の下限値は0.30%であり、好ましい拡管率 上限値は1.00%である。

 [式(2)について]
 式(2)は、第2円柱部40の外径D2に対するテー 部30の軸方向長さLの比(=L/D2)の範囲を規定す 。L/D2が小さすぎる場合、具体的には、L/D2 0.06よりも小さい場合、引張残留応力は低減 にくい。その理由は定かではないが、以下 理由が推定される。L/D2が小さければ、外径 D2に対して軸方向長さLが短い。この場合、テ ーパ部30は素管の内面表層部分のみを局所的 変形する。このような局所的な変形は、素 外面に影響を与えない。そのため、テーパ 30で拡管されても、冷間引抜加工後の金属 に、引張残留応力を低減する圧縮方向の応 が発生しにくくなると推定される。

 一方、L/D2が大きすぎる場合、具体的には 、L/D2が0.8を超える場合も引張残留応力は低 しにくい。L/D2が大きければ、外径D2に対し 軸方向長さLが長い。軸方向長さLが長いほど 、テーパ部30は、素管全体を一様に変形する つまり、素管は内面側も外面側も一様に変 する。素管外面側と内面側とで変形の程度 差が生じなければ、金属管の外面側で圧縮 向に作用する応力が発生しにくくなり、そ 結果、引張残留応力が低減しにくくなると 定される。

 L/D2が式(2)を満たせば、引張残留応力を低 減できる。L/D2が式(2)を満たす場合、素管内 から外面に向かってある程度の深さまで変 し、かつ、素管外面近傍部分はあまり変形 ない。したがって、素管の内面側と外面側 変形の程度に差が生じる。このような変形 が金属管の外面側で圧縮方向の応力を発生 せ、引張残留応力が低減すると推定される 好ましいL/D2の下限値は0.1であり、好ましいL /D2の上限値は0.3である。

 [式(3)及び式(4)について]
 式(3)及び式(4)は、拡管率ρとL/D2との関係を 定する。

 拡管率ρが小さく、かつ、L/D2が大きいた に式(3)を満たさない場合、テーパ部30のテ パ半角θが小さく、かつ、軸方向長さLが長 。この場合、素管の内面側と外面側とが一 に変形し、変形差が生じない。そのため、 間引抜加工後の金属管の外面に圧縮方向の 力が発生しにくく、引張残留応力が低減し くい。式(3)を満たせば、素管の内面側と外 側とで変形差が生じ、圧縮方向の応力が発 するため、引張残留応力が有効に低減され 。

 一方、拡管率ρが大きく、かつ、L/D2が小 いために式(4)を満たさない場合、テーパ部3 0のテーパ半角θが大きく、かつ、軸方向長さ Lが短い。この場合、素管は、内面表層部分 みが局所的に変形する。そのため、変形に る影響が素管外面まで伝わらず、引張残留 力が低減しにくい。さらに、冷間引抜時に ーパ部30に過剰な荷重が掛かる。式(4)を満た せば、素管の内面側と外面側とで変形差が生 じる。そのため、冷間引抜加工後の金属管外 面の引張残留応力が低減する。さらに、テー パ部30に過剰な荷重が掛かるのを抑制できる

 プラグ1は、周知の材質からなる。プラグ 1の材質は、たとえば、超硬合金や工具鋼で る。さらに、表面に硬質のコーティング膜 形成されてもよい。また、プラグ1は中実で ってもよいし、中空であってもよい。

 図1では、テーパ表面31は円錐台状とした 、図3に示すように、テーパ表面31の縦断形 が曲線になっていてもよい。要するに、テ パ表面31は、第1円柱部20から第2円柱部40に かって徐々に大きくなる外径を有していれ 、その縦断形状が直線であっても曲線であ てもよい。

 好ましくは、図4に示すように、テーパ表 面31のうち、第1円柱部20との結合部分32は、 状になめらかに湾曲している。結合部分32は 、図4に示すように、単一のコーナRを有して てもよいし、複数の曲率を有していてもよ 。結合部分32がなめらかに湾曲していれば 第1円柱部20とテーパ部30との結合部に過剰な 荷重が掛かった場合にプラグが破損するのを 抑制できる。

 [金属管の製造方法]
 上述のプラグ1を用いた金属管の製造方法は 以下のとおりである。初めに、素管を準備す る。素管は、たとえば、熱間加工により製造 される。より具体的には、素管は、穿孔圧延 により製造されてもよいし、熱間押出や熱間 鍛造により製造されてもよい。さらに、上述 のプラグ1と、図5に示すダイス70とを準備す 。ダイス70は、周知のダイスであり、アプロ ーチ部72と、ベアリング部71と、逃げ部73とを 備える。アプローチ部72の内径は、引抜方向 向かって徐々に小さくなる。ベアリング部7 1の内径は一定である。逃げ部73の内径は、引 抜方向に向かって徐々に大きくなる。

 準備された素管に対して、冷間引抜加工 実施する。初めに、素管の先端部を口絞り 工する。続いて、図5に示すように、素管60 先端部61を、ドローベンチに固定されたダ ス70に挿入する。挿入後、先端部61をドロー ンチのチャック(図示せず)で掴み、素管60を 固定する。

 次に、プラグ支持用の棹10の先端にプラ 1を取り付ける。続いて、図6に示すように、 プラグ1を素管60内に挿入する。このとき、プ ラグ1を第2円柱部40側から、引抜方向に向か て素管60内に挿入する。

 続いて、チャックで固定された素管60を 引抜方向に引く。このとき、プラグ1を引抜 向に押し進めて、図7に示すように、テーパ 部30が、ダイス70のベアリング部71よりも出側 となる位置で保持する。プラグ1を保持した 、素管60を引き抜いて金属管とする。以上の 工程により製造された金属管は、上述のとお り、従来の冷間引抜加工で製造された金属管 と比較して、外面の引張残留応力が低減され る。

 なお、冷間引抜中のプラグ1の保持位置は 、図7の位置に制限されない。たとえば、テ パ部30が、ダイス70のベアリング部71内に含 れていても、本発明の効果は有効に得られ 。ただし、プラグ1のテーパ部30は、図7に示 ように、ダイス70のベアリング部71よりも出 側に位置するのが好ましい。テーパ部30を通 中の素管60の外面が、ダイス70のベアリング 部71により拘束されている場合よりも、ダイ 70に拘束されていない方が、拡管中の素管60 の内面側と外面側との変形差が大きくなるた めと推定される。

 プラグ形状と冷間引抜加工後の金属管の 張残留応力との関係を有限要素法にて調査 た。具体的には、二次元軸対称弾塑性解析 基づいてシミュレーションを行い、冷間引 加工後の金属管の外面の周方向の引張残留 力σを計算した。

 被加工材となる素管の外径は55mmとし、肉 厚は11.5mmとした。また、冷間引抜加工前の素 管の降伏応力YSは284MPaとした。冷間引抜加工 用いるダイスは、図5に示すダイス70と同じ 状とし、ダイス穴径Ddは45.1mm、アプローチ 2αは25°とした。

 さらに、シミュレーションに用いた複数の ラグは、図1に示すプラグ1と同じ形状とし 各プラグの寸法形状(外径D1、D2、段差h、テ パ半角θ、軸方向長さL)は、表1に示すとおり とした。
 表1中の各試験番号のプラグを用いて冷間引 抜加工をシミュレートし、冷間引抜加工後の 金属管の外面の周方向の引張残留応力σを計 した。そして、素管の降伏応力YS(=284MPa)を いて、σ/YSを求めた。

 シミュレート結果を表1に示す。表1を参 して、試験番号2~5、7~9、12及び13は、プラグ 状がいずれも式(1)~式(4)を満たした。そのた め、冷間引抜加工後の引張残留応力は小さく 、σ/YSが0.5未満であった。

 一方、試験番号1は、プラグ形状が式(3)を 満たさなかった。そのため、σ/YSが0.5以上と った。試験番号6は、L/D2が0.8を超え、式(2) 満たさなかった。そのため、σ/YSが0.5以上と なった。試験番号10は、拡管率ρが0.25未満で り、式(1)を満たさなかった。また、L/D2が0.0 6未満であり、式(2)を満たさなかった。その め、σ/YSが0.5以上となった。試験番号11は、L /D2がいずれも0.06未満であり、式(2)を満たさ かった。そのため、σ/YSがいずれも0.5以上と なった。試験番号14及び15は、プラグ形状が (2)及び式(4)を満たさなかったため、σ/YSが0.5 以上となった。試験番号16は、プラグ形状が (4)を満たさなかったため、σ/YSが0.5以上と った。

 実機による冷間引抜加工試験を表2に示す試 験番号21~26の条件で実施した。
 プラグ形状のタイプは、従来の円筒型プラ 形状のものと、図1に示す本発明のプラグ形 状のものとを準備した。円筒型プラグ形状の 外径は、表2中のD2欄に示すとおりであった。 本発明のプラグ形状は、表2中のD2、D1、h、θ Lに示すとおりであり、いずれも式(1)~式(4) 満たした。各試験番号では、表2に示すダイ 穴径Dd及びアプローチ角2αを有するテーパ イスを使用した。

 上述のダイス及びプラグを用いて、素管 冷間引抜し、金属管とした。冷間引抜後の 属管の外径及び肉厚は表2に示すとおりであ った。冷間引抜後、金属管の外面の円周方向 の引張残留応力σ(MPa)をX線にて測定した。

 測定結果を表2に示す。同一の寸法形状( 径及び肉厚)の金属管を製造した場合の円筒 プラグと本発明プラグの引張残留応力を比 すると、本発明プラグの方が、円筒型プラ よりも、引張残留応力σが小さかった。具 的には、試験番号22の方が、試験番号21より 引張残留応力σが小さかった。同様に、試 番号24の方が、試験番号23よりも引張残留応 が小さく、試験番号26の方が、試験番号25よ りも引張残留応力が小さかった。

 以上、本発明の実施の形態を説明したが 上述した実施の形態は本発明を実施するた の例示に過ぎない。よって、本発明は上述 た実施の形態に限定されることなく、その 旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形 を適宜変形して実施することが可能である