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Patent Searching and Data


Title:
PNEUMATIC TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/087776
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a pneumatic tire which is improved in internal pressure holding properties while satisfactorily maintaining durability. The pneumatic tire comprises an inner liner layer formed of a film comprising a thermoplastic resin or a thermoplastic elastomer composition of a blend of a thermoplastic resin with an elastomer. In the pneumatic tire, a carcass layer comprising a plurality of reinforcing cords is mounted between a pair of bead parts, and the carcass layer is wound up around the bead core from the inner side of the tire toward the outer side of the tire. An inner liner layer comprising a film formed of a thermoplastic resin or a thermoplastic elastomer composition of a blend of a thermoplastic resin with an elastomer is disposed at a position which is nearer to the tire bore sided than the carcass layer. The inner liner layer is wound up around the bead core from the inner side of the tire toward the outer side of the tire. The winding-up height of the inner liner layer (L-TUH) is brought to not less than 25% of the sectional height (SH) of the tire.

Inventors:
MATSUDA JUN (JP)
HARA YUICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/071014
Publication Date:
July 24, 2008
Filing Date:
October 29, 2007
Export Citation:
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Assignee:
YOKOHAMA RUBBER CO LTD (JP)
MATSUDA JUN (JP)
HARA YUICHI (JP)
International Classes:
B60C5/14
Domestic Patent References:
WO2005097522A12005-10-20
Foreign References:
JPH1081108A1998-03-31
JPH11320705A1999-11-24
JPH01314164A1989-12-19
JP2005075010A2005-03-24
JP2000190713A2000-07-11
JPS62139705A1987-06-23
Other References:
See also references of EP 2103452A4
Attorney, Agent or Firm:
OGAWA, Shin-ichi et al. (Noguchi & SaikaInternational Patent Office,37 Kowa Building, 4-5,Tsukiji 1-chome, Chuo-ku, Tokyo 45, JP)
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Claims:
 一対のビード部間に複数本の補強コードを含むカーカス層を装架し、該カーカス層をビードコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げた空気入りタイヤにおいて、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルムを含むインナーライナー層を前記カーカス層よりタイヤ内腔側に配置し、該インナーライナー層を前記ビードコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げ、該インナーライナー層の巻き上げ高さ(L-TUH)をタイヤ断面高さ(SH)の25%以上にしたことを特徴とする空気入りタイヤ。
 前記カーカス層の端末位置と前記インナーライナー層の端末位置とをタイヤ径方向に互いに5mm以上離間させたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記インナーライナー層は前記フィルムを一対のゴムシートで挟み込んだ構造を有することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記インナーライナー層は前記フィルムを一対のゴムシートで挟み込んだ構造を有することを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
 前記ゴムシートはゴム成分中のブチルゴム配合量を50重量%以下に規制したゴム組成物から構成されることを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
 前記ゴムシートはゴム成分中のブチルゴム配合量を50重量%以下に規制したゴム組成物から構成されることを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
Description:
空気入りタイヤ

 本発明は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹 にエラストマーをブレンドした熱可塑性エ ストマー組成物からなるフィルムをインナ ライナー層に用いた空気入りタイヤに関し 更に詳しくは、耐久性を十分に維持しなが 内圧保持性能を向上することを可能にした 気入りタイヤに関する。

 従来、少なくとも1層のカーカス層を備え た空気入りラジアルタイヤにおいて、空気漏 れを抑制するために、タイヤ最内面に配置さ れたインナーライナー層を厚くしたり、空気 透過係数が小さい材料をインナーライナー層 に使用することが行われている。しかしなが ら、インナーライナー層を厚くした場合、タ イヤ重量の増加やそれに伴う転がり抵抗の悪 化を引き起こすことになる。一方、空気透過 係数が小さい材料をインナーライナー層に使 用した場合(例えば、特許文献1参照)、タイヤ 重量の増加を伴うことなく空気漏れを抑制す ることができるが、インナーライナー層を透 過した空気が一旦カーカス層に到達すると、 その空気がカーカス層の巻き上げ部分にまで 急速に伝播し、そこからタイヤ外表面に漏出 してしまう。これは、一般的に撚りコードで あるカーカスコードの空気透過係数はゴム組 成物のそれに比べて非常に大きいからである 。

 従って、内圧保持性能を効果的に向上す ためには、空気漏れに対する寄与が大きい イドウォール部に空気透過係数が小さい材 を配置することが有効であり、具体的な手 として、ブチルゴムを主体とするゴム組成 からなる空気透過防止層をサイドウォール に設けることが提案されている。(例えば、 特許文献2参照)。しかし、この場合、一般的 サイドウォール部に使用されるジエン系ゴ とブチルゴムとの接着性が悪いため、屈曲 形が大きいサイドウォール部にブチルゴム 主体とするゴム組成物からなる空気透過防 層を配置することは耐久性の観点から非常 問題がある。

 また、ビード部のチェーファー等の補強部 とカーカス層との間に空気透過係数が小さ 材料を配置する構造(例えば、引用文献3参 )やインナーライナー層をビードコアの下側 で廻り込むように配置する構造(例えば、特 許文献4参照)が提案されているが、これら構 では前述したようにカーカス層の巻き上げ 分からタイヤ外表面に漏出する空気を抑制 ることは難しく、しかもブチルゴムを主体 するゴム組成物からなる空気透過防止層と 辺ゴム層との接着性の問題も解決されない まである。

日本国特開平11-123907号公報

日本国特開2000-190713号公報

日本国特開昭62-139705号公報

日本国特開平11-320705号公報

 本発明の目的は、熱可塑性樹脂又は熱可 性樹脂にエラストマーをブレンドした熱可 性エラストマー組成物からなるフィルムを ンナーライナー層に用い、耐久性を十分に 持しながら内圧保持性能を向上することを 能にした空気入りタイヤを提供することに る。

 上記目的を達成するための本発明の空気 りタイヤは、一対のビード部間に複数本の 強コードを含むカーカス層を装架し、該カ カス層をビードコアの廻りにタイヤ内側か 外側へ巻き上げた空気入りタイヤにおいて 熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂にエラスト ーをブレンドした熱可塑性エラストマー組 物からなるフィルムを含むインナーライナ 層を前記カーカス層よりタイヤ内腔側に配 し、該インナーライナー層を前記ビードコ の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げ、 インナーライナー層の巻き上げ高さ(L-TUH)を タイヤ断面高さ(SH)の25%以上にしたことを特 とするものである。

 本発明では、熱可塑性樹脂又は熱可塑性 ラストマー組成物からなるフィルムを含む ンナーライナー層をカーカス層よりタイヤ 腔側に配置し、該インナーライナー層をビ ドコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き げ、該インナーライナー層の巻き上げ高さ( L-TUH)をタイヤ断面高さ(SH)の25%以上にするこ により、カーカス層の巻き上げ部分に伝播 た空気がタイヤ外表面に漏出するのを効果 に抑制することができる。また、熱可塑性 脂又は熱可塑性エラストマー組成物からな フィルムはゴム組成物との接着性が良いた 耐久性も悪化しない。従って、耐久性を十 に維持しながら内圧保持性能を向上するこ ができる。

 本発明において、カーカス層の端末位置 インナーライナー層の端末位置とをタイヤ 方向に互いに5mm以上離間させることが好ま い。これにより、カーカス層の端末位置又 インナーライナー層の端末位置を起点とす エッジセパレーションの発生を抑制するこ ができる。

 インナーライナー層はフィルムを一対の ムシートで挟み込んだ構造を有することが ましい。特に、ゴムシートはゴム成分中の チルゴム配合量を50重量%以下に規制したゴ 組成物から構成されることが好ましい。こ により、フィルムを含むインナーライナー と周辺ゴム層との接着性を更に改善するこ が可能になる。

図1は本発明の実施形態からなる空気入 りタイヤを示す子午線半断面図である。 図2は本発明におけるインナーライナー 層の拡大断面図である。

符号の説明

 1 トレッド部
 2 サイドウォール部
 3 ビード部
 4 カーカス層
 4e カーカス層の端末位置
 5 ビードコア
 6 ベルト層
 7 インナーライナー層
 7e インナーライナー層の端末位置
 11 フィルム
 12,13 ゴムシート

 以下、本発明の構成について添付の図面 参照しながら詳細に説明する。図1は本発明 の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、 1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビ ード部である。左右一対のビード部3,3間には 複数本の補強コードを含むカーカス層4が装 され、そのカーカス層4がビードコア5の廻り にタイヤ内側から外側に巻き上げられている 。カーカス層4の補強コードとしては、一般 にナイロンコードやポリエステルコード等 有機繊維コードが使用される。トレッド部1 おけるカーカス層4の外周側には複数層のベ ルト層6が埋設されている。これらベルト層6 補強コードがタイヤ周方向に対して傾斜し かつ層間で補強コードが互いに交差するよ に配置されている。

 上記空気入りタイヤにおいて、カーカス 4のタイヤ内腔側にはインナーライナー層7 配置されている。このインナーライナー層7 、図2の拡大断面図に示すように、熱可塑性 樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物からな るフィルム11と、フィルム11の両側に積層さ たゴムシート12,13とから構成されている。イ ンナーライナー層7はフィルム11を含むことが 必要であるが、フィルムの片側にゴムシート を積層した構造やフィルムの単体であっても 良い。

 上記インナーライナー層7は、カーカス層 4と同様に、ビードコア5の廻りにタイヤ内側 ら外側へ巻き上げられている。そして、イ ナーライナー層7の巻き上げ高さL-TUH)はタイ ヤ断面高さ(SH)の25%以上、より好ましくは、30 %~50%に設定されている。

 上述のように構成される空気入りタイヤ は、インナーライナー層7を透過した空気が カーカス層4に到達し、その空気がカーカス 4の補強コードを通ってカーカス層4の巻き上 げ部分にまで伝播した場合であっても、フィ ルム11を含むインナーライナー層7の巻き上げ 高さ(L-TUH)をタイヤ断面高さ(SH)の25%以上にし いるので、カーカス層4の巻き上げ部分に伝 播した空気がタイヤ外表面に漏出するのを効 果的に抑制することができる。但し、インナ ーライナー層7の巻き上げ高さ(L-TUH)がタイヤ 面高さ(SH)の25%未満であるとカーカス層4の き上げ部分の周辺での空気漏れ抑制効果が 十分になる。また、熱可塑性樹脂又は熱可 性エラストマー組成物からなるフィルム11は ゴム組成物との接着性が良いため耐久性も悪 化しない。その結果、従来のようにブチルゴ ムを主体とするゴム組成物からなるインナー ライナー層を備えた空気入りタイヤに比べて 耐久性を十分に維持しながら内圧保持性能を 向上することができる。

 上記空気入りタイヤにおいて、カーカス 4の端末位置4eとインナーライナー層7の端末 位置7eとはタイヤ径方向に互いに5mm以上離間 せると良い。つまり、図1において、カーカ ス層4の巻き上げ高さ(C-TUH)とインナーライナ 層7の巻き上げ高さ(L-TUH)との差(δTUH)を、δTU H=|(L-TUH)-(C-TUH)|≧5mmの関係にすると良い。こ により、カーカス層4の端末位置4e又はイン ーライナー層7の端末位置7eを起点とするエ ジセパレーションの発生を抑制して耐久性 改善することができる。

 インナーライナー層7はフィルム11を一対 ゴムシート12,13で挟み込んだサンドイッチ 造とすることが最も好ましい。特に、ゴム ート12,13を構成するゴム組成物はゴム成分中 のブチルゴム配合量を50重量%以下に規制した ものであると良い。勿論、ブチルゴムを含ま ないゴム組成物が最適である。これにより、 フィルム11を含むインナーライナー層7と周辺 ゴム層との接着性を更に改善することが可能 になる。上記ゴム成分中のブチルゴム配合量 が50重量%を超えるとインナーライナー層7と 辺ゴム層との接着性が不十分になる。

 フィルム11の厚さは、特に限定されるも ではないが、0.001mm~0.300mmの範囲から選択す ことができる。一方、フィルム11に積層され るゴムシート12,13の厚さは、0.10mm~0.70mmにする と良く、これが厚過ぎると重量増加を招くこ とになる。

  以下に、本発明で使用されるフィルム ついて説明する。このフィルムは、熱可塑 樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーを レンドした熱可塑性エラストマー組成物か 構成することができる。

 本発明で使用される熱可塑性樹脂として 、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えばナイ ン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナ イロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N61 0)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6 /66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイ ンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、 ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合 〕、ポリエステル系樹脂〔例えばポリブチ ンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレ タレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート (PEI)、ポリブチレンテレフタレート/テトラメ チレングリコール共重合体、PET/PEI共重合体 ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレ ート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシア キレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタ レート共重合体などの芳香族ポリエステル〕 、ポリニトリル系樹脂〔例えばポリアクリロ ニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、ア リロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタ リロニトリル/スチレン共重合体、メタクリ ニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕 ポリ(メタ)アクリレート系樹脂〔例えばポリ メタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸 エチル、エチレンエチルアクリレート共重合 体(EEA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、 チレンメチルアクリレート樹脂(EMA)〕、ポリ ビニル系樹脂〔例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリ ニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エ レン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVD C)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビ リデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルア クリレート共重合体〕、セルロース系樹脂〔 例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース 〕、フッ素系樹脂〔例えばポリフッ化ビニリ デン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロ フルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチ レン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹 〔例えば芳香族ポリイミド(PI)〕などを挙げ ことができる。

 本発明で使用されるエラストマーとして 、例えば、ジエン系ゴム及びその水素添加 〔例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、 BR(高シスBR及び低シスBR)、NBR、水素化NBR、水 化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えばエチレ プロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性 チレンプロピレンゴム(M-EPM)〕、ブチルゴム (IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエ 系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、 イオノマー、含ハロゲンゴム〔例えばBr-IIR Cl-IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共 合体の臭素化物(Br-IPMS)、クロロプレンゴム(C R)、ヒドリンゴム(CHC,CHR)、クロロスルホン化 リエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、 レイン酸変性塩素化ポリエチレン(M-CM)〕、 リコーンゴム(例えばメチルビニルシリコー ンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフ ェニルビニルシリコーンゴム)、含イオウゴ (例えばポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム( えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フ 素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロ チレン-プロピレン系ゴム、含フッ素シリコ 系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)、熱 可塑性エラストマー(例えばスチレン系エラ トマー、オレフィン系エラストマー、ポリ ステル系エラストマー、ウレタン系エラス マー、ポリアミド系エラストマー)などを挙 ることができる。

 本発明で使用される熱可塑性エラストマ 組成物において、熱可塑性樹脂成分(A)とエ ストマー成分(B)との組成比は、フィルムの さや柔軟性のバランスで適宜決めればよい 、好ましい範囲は10/90~90/10、更に好ましく 20/80~85/15(重量比)でである。

 本発明に係る熱可塑性エラストマー組成 には、上記必須成分(A)及び(B)に加えて第三 分として、相溶化剤などの他のポリマー及 配合剤を混合することができる。他のポリ ーを混合する目的は、熱可塑性樹脂成分と ラストマー成分との相溶性を改良するため 材料のフィルム成形加工性を良くするため 耐熱性向上のため、コストダウンのため等 あり、これに用いられる材料としては、例 ばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス レン、ABS、SBS、ポリカーボネート等が挙げ れる。

 上記熱可塑性エラストマー組成物は、予め 可塑性樹脂とエラストマー(ゴムの場合は未 加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、 続相を形成する熱可塑性樹脂中にエラスト ー成分を分散させることにより得られる。 ラストマー成分を加硫する場合には、混練 で加硫剤を添加し、エラストマーを動的に 硫させても良い。また、熱可塑性樹脂また エラストマー成分への各種配合剤(加硫剤を 除く)は、上記混練中に添加しても良いが、 練の前に予め混合しておくことが好ましい 熱可塑性樹脂とエラストマーの混練に使用 る混練機としては、特に限定はなく、スク ュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2 混練押出機等が挙げられる。中でも樹脂成 とゴム成分の混練およびゴム成分の動的加 には2軸混練押出機を使用するのが好ましい 。さらに、2種類以上の混練機を使用し、順 混練してもよい。溶融混練の条件として、 度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であ ば良い。また、混練時の剪断速度は2500~7500se c -1 であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒 ら10分、また加硫剤を添加した場合には、 加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好 しい。上記方法で作製された熱可塑性エラ トマー組成物は、樹脂用押出機による成形 たはカレンダー成形によってフィルム化さ る。フィルム化の方法は、通常の熱可塑性 脂または熱可塑性エラストマーをフィルム する方法によれば良い。

 このようにして得られる熱可塑性エラス マー組成物の薄膜は、熱可塑性樹脂のマト クス中にエラストマーが不連続相として分 した構造をとる。かかる状態の分散構造を ることにより、ヤング率を1~500MPaの範囲に 定し、タイヤ構成部材として適度な剛性を 与することが可能になる。

 上記熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラスト ー組成物はシート又はフィルムに成形して 体でタイヤ内部に埋設することが可能であ が、隣接するゴムとの接着性を高めるため 接着層を積層しても良い。この接着層を構 する接着用ポリマーの具体例としては、分 量100万以上、好ましくは300万以上の超高分 量ポリエチレン(UHMWPE)、エチレンエチルア リレート共重合体(EEA)、エチレンメチルアク リレート樹脂(EMA)、エチレンアクリル酸共重 体(EAA)等のアクリレート共重合体類及びそ らの無水マレイン酸付加物、ポリプロピレ (PP)及びそのマレイン酸変性物、エチレンプ ピレン共重合体及びそのマレイン酸変性物 ポリブタジエン系樹脂及びその無水マレイ 酸変性物、スチレン-ブタジエン-スチレン 重合体(SBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン- スチレン共重合体(SEBS)、フッ素系熱可塑性樹 脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂などを挙げ ることができる。これらは常法に従って例え ば樹脂用押出機によって押し出してシート状 又はフィルム状に成形することができる。接 着層の厚さは特に限定されないが、タイヤ軽 量化のためには厚さが少ない方がよく、5μm~1 50μmが好ましい。

 以上、本発明の好ましい実施形態につい 詳細に説明したが、添付の請求の範囲によ て規定される本発明の精神及び範囲を逸脱 ない限りにおいて、これに対して種々の変 、代用及び置換を行うことができると理解 れるべきである。

 タイヤサイズ195/60R15であって、一対のビ ド部間に複数本の補強コードを含むカーカ 層を装架し、該カーカス層をビードコアの りにタイヤ内側から外側へ巻き上げた空気 りタイヤにおいて、カーカス層よりタイヤ 腔側に配置されるインナーライナー層の構 材料、タイヤ断面高さ(SH)に対するインナー ライナー層の巻き上げ高さ(L-TUH)の比(L-TUH/SH) 及び、カーカス層の巻き上げ高さ(C-TUH)とイ ンナーライナー層の巻き上げ高さ(L-TUH)との (δTUH)を種々異ならせた従来例、実施例1~4及 比較例1~2のタイヤを製作した。

 従来例のタイヤは、ブチルゴムを主体と るゴム組成物からなる厚さ0.5mmのインナー イナー層を採用し、そのインナーライナー をタイヤ内面にて終端させたものである。 施例1~3のタイヤは、熱可塑性樹脂にエラス マーをブレンドした熱可塑性エラストマー 成物からなるフィルムを一対のゴムシート 挟み込んだサンドイッチ構造を有する厚さ0. 5mmのインナーライナー層を採用し、そのイン ナーライナー層をビードコアの廻りにタイヤ 内側から外側へ巻き上げたものである。熱可 塑性エラストマー組成物は、ポリアミド系樹 脂(ナイロン6,66)に含ハロゲンゴム(臭素化ブ ルゴム)をブレンドしたものとした。実施例4 及び比較例1のタイヤは、ビニルアルコール/ チレン共重合体(EVOH)からなるフィルムを一 のゴムシートで挟み込んだサンドイッチ構 を有する厚さ0.4mmのインナーライナー層を 用し、そのインナーライナー層をビードコ の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げた のである。比較例2のタイヤは、ブチルゴム 主体とするゴム組成物からなる厚さ0.5mmの ンナーライナー層を採用し、そのインナー イナー層をビードコアの廻りにタイヤ内側 ら外側へ巻き上げたものである。

 表1において、各インナーライナー層の通 気度を示しているが、これはJIS K7126「プラ チックフィルム及びシートの気体透過度試 方法(A法)」に基づいて測定される通気度の 数を用い、従来例を100とする指数にて示し ものである。この指数値が大きいほど耐気 透過性が優れていることを意味する。

 上述した従来例、実施例1~4及び比較例1~2 タイヤについて、下記の評価方法により、 圧保持性能及び耐久性を評価し、その結果 表1に示した。

 内圧保持性能:
 各試験タイヤを正規リムに装着し、初期圧 250kPa、室温21℃、無負荷条件にて3ヶ月間放 し、3時間毎に内圧を測定し、測定内圧Pt、 期圧力P0、経過日数tとして、次式で回帰し α値を求めた。
 Pt/P0=exp(-αt)

 得られたα値を用いて、t=30(日)を代入し β=〔1-exp(-αt)〕×100からβ値を求め、そのβ値 を1ヶ月当たりの内圧低下率(%/月)とした。評 結果は、内圧低下率の逆数を用い、従来例 100とする指数にて示した。この指数値が大 いほど内圧保持性能が優れていることを意 する。

 耐久性:
 各試験タイヤを正規リムに装着し、正規の 気圧を充填し、その空気圧に対応する最大 重(JATMAイヤーブックの空気圧-負荷能力対応 表参照)、速度80km/hの条件でドラム上を走行 、外観目視にて確認可能な損傷が発生した 点で走行を終了し、その走行距離を求めた 評価結果は、従来例を100とする指数にて示 た。この指数値が大きいほど耐久性が優れ いることを意味する。

 この表1から明らかなように、実施例1~4の タイヤは、従来例に比べて耐久性を十分に維 持しながら内圧保持性能を向上することがで きた。一方、比較例1のタイヤは、インナー イナー層の巻き上げ高さ(L-TUH)が不十分であ ため内圧保持性能の改善効果が不十分であ た。比較例2のタイヤは、ブチルゴムを主体 とするゴム組成物からなるインナーライナー 層の巻き上げ高さ(L-TUH)を大きく設定してい ため耐久性の低下が顕著であった。