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Patent Searching and Data


Title:
PNEUMATIC TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/057369
Kind Code:
A1
Abstract:
A technique capable of forming a tire reduced in unevenness of butyl rubber gauge value, that is, a rubber composition which has controlled unvulcanized-rubber properties and which hence attains improved evenness of butyl rubber gauge value and satisfactory air impermeability (air retention). Also provided is a tire having an inner liner made from the composition. The rubber composition, which is for use in a pneumatic tire, contains butyl rubber and which, in an unvulcanized-rubber state, has a Mooney viscosity as measured at 130°C of 45 or higher. The pneumatic tire has an inner liner made from the rubber composition, and shoulder parts of the finished tire have butyl rubber gauge values whose average and standard deviation satisfy the following relationship. (standard deviation of the butyl rubber gauge values)/(average of the butyl rubber gauge values)≤0.060

Inventors:
TAGUCHI TAKAFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/064823
Publication Date:
May 07, 2009
Filing Date:
August 20, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO RUBBER IND (JP)
TAGUCHI TAKAFUMI (JP)
International Classes:
B60C5/14; C08L17/00; C08L23/22
Foreign References:
JP2002212363A2002-07-31
JP2007204645A2007-08-16
JP2007320992A2007-12-13
JP2008150563A2008-07-03
JP2008126634A2008-06-05
JP2004514744A2004-05-20
JP2005075976A2005-03-24
JP2008013584A2008-01-24
JP2005264114A2005-09-29
JP2006089526A2006-04-06
JP2006249147A2006-09-21
Attorney, Agent or Firm:
ASAHINA, Sohta et al. (2-22 Tanimachi,2-chome, Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 12, JP)
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Claims:
ブチル系ゴムを含む空気入りタイヤ用ゴム組成物の未加硫ゴムの130℃で測定されるムーニー粘度が45以上である空気入りタイヤ用ゴム組成物からなるインナーライナーを有する空気入りタイヤであるとともに、
仕上がったタイヤのショルダー部のブチルゴムゲージの平均値および標準偏差が、
(ブチルゴムゲージの標準偏差)/(ブチルゴムゲージの平均値)≦0.060
を満たす空気入りタイヤ。
請求の範囲第1項において、空気入りタイヤ用ゴム組成物のゴム成分中における、ハロゲン化ブチルゴムの含有量が70重量%以上であり天然ゴムの含有量が30重量%以下である空気入りタイヤ。
請求の範囲第1項において、空気入りタイヤ用ゴム組成物のゴム成分中における、ハロゲン化ブチルゴムの含有量が60重量%以上、再生ブチルゴムの含有量が20重量%以下、および天然ゴムの含有量が20重量%以下である空気入りタイヤ。
Description:
空気入りタイヤ

 本発明は、空気入りタイヤに関する。

 一般にインナーライナーに用いるゴム組 物には耐空気透過性の改善が図られている

 従来、タイヤのインナーライナー製造に 用されるゴム組成物(インナーライナー用ゴ ム組成物)には、空気を透過しにくいブチル ムや塩素化ブチルゴムなどのブチル系ゴム 用いられている。

 しかし、耐空気透過性を改善させる目的 ブチルゴムゲージを厚くすることが考えら るが、使用するハロゲン化ブチルゴムは高 であるため、大量に用いるとタイヤの生産 ストが増大してしまうし、タイヤの軽量化 図れない。また、ブチルゴムゲージを厚く ても仕上がりのゴムゲージのバラツキが大 いと、ゴムゲージが最も薄い部分から空気 抜けてしまう可能性も生じる。

 特開2005-264114号公報には、タイヤ製造工 において粘度を低下させることなく、イン ーライナーのゴムゲージを薄く保持するこ でタイヤを軽量化することを目的として、 ム成分としてハロゲン化ブチルゴムを特定 用い、酸化亜鉛を分割して混練りすること より得られたインナーライナーに用いるこ ができるゴム組成物が開示されている。し し、ゴム組成物のムーニー粘度をコントロ ルし、最もゲージが必要とされる部位に所 のゲージを保持する点については、改善の 地がある。

 特開2006-89526号公報には、タイヤ用ゴム組 成物製造時における加工性を向上させ、得ら れたタイヤ用ゴム組成物をインナーライナー に用いることで耐空気透過性および耐亀裂成 長性能を維持したタイヤを提供することを目 的として、天然ゴムおよび/またはその変性 からなるゴム成分に、シリカ、炭酸カルシ ムおよびカーボンブラックを特定量配合し インナーライナーに用いることができるゴ 組成物が開示されている。しかし、ムーニ 粘度が高すぎて、通常のタイヤに使用でき い点については改善の余地がある。

 特開2006-249147号公報には、タイヤの転が 抵抗性能を向上させ、加工性を向上させる とを目的として、天然ゴムからなるゴム成 、BET比表面積(窒素吸着比表面積)の低いシリ カおよびカーボンブラックを含有したインナ ーライナーに用いることができるゴム組成物 が開示されている。しかし、同じくムーニー 粘度が高すぎて、通常のタイヤに使用できな い点については、改善の余地がある。

 本発明は、タイヤに成型したときに、ブ ルゴムゲージのバラツキを低減できる手法 つまり未加硫ゴム特性をコントロールする とで、ブチルゴムゲージの均一性を改善し 耐空気透過性(空気保持性)が良好であるゴ 組成物およびそれからなるインナーライナ を有するタイヤを提供することを目的とす 。

 本発明は、ブチル系ゴムを含む空気入りタ ヤ用ゴム組成物の未加硫ゴムの130℃で測定 れるムーニー粘度が45以上である空気入り イヤ用ゴム組成物からなるインナーライナ を有する空気入りタイヤであるとともに、 上がったタイヤのショルダー部のブチルゴ ゲージの平均値および標準偏差が、
(ブチルゴムゲージの標準偏差)/(ブチルゴム ージの平均値)≦0.060
を満たす空気入りタイヤに関する。

 空気入りタイヤ用ゴム組成物のゴム成分 、ハロゲン化ブチルゴムの含有量が80重量% 上であり天然ゴムの含有量が20重量%以下で ることが好ましい。

 空気入りタイヤ用ゴム組成物のゴム成分 、ハロゲン化ブチルゴムの含有量が60重量% 上、再生ブチルゴムの含有量が20重量%以下 および天然ゴムの含有量が20重量%以下であ ことが好ましい。

本発明の空気入りタイヤ用ゴム組成物 らなるインナーライナーを有する空気入り イヤにおいて、仕上がったタイヤのショル ー部のブチルゴムゲージを説明する概略部 断面図である。 本発明の空気入りタイヤ用ゴム組成物 らなるインナーライナーを有する空気入り イヤでおいて、本発明でいうブチルゴムゲ ジの平均値を計算する、タイヤのショルダ 部のブチルゲージをタイヤ周上8ヵ所のデー タを採取することを説明する概略一部切欠斜 視図である。 ムーニー粘度とブチルゴムゲージ(mm)の 標準偏差[b]/ブチルゴムゲージ(mm)の平均値[a] の関係を表すグラフである。

符号の説明

 1、11 トレッド
 2、12 第1ベルト
 3、13 第2ベルト
 4、14 カーカス
 5、15 インナーライナー
 6 サイドウォール
 7 クリンチエイペックス
 8 ビードエイペックス
 9 ビードコア
 A タイヤのショルダー部
 B ブチルゴムゲージ
 a~h タイヤ周上のショルダー部のブチルゲ ジ8ヵ所

 本発明の空気入りタイヤ用ゴム組成物は ブチル系ゴムを含む空気入りタイヤ用ゴム 成物の未加硫ゴムの130℃で測定されるムー ー粘度が45以上であるゴム組成物からなる

 本発明の空気入りタイヤ用ゴム組成物に いるゴム成分としては、ブチル系ゴムを用 ることができる。

 ブチル系ゴムとしては、たとえば、ブチ ゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X-IIR)など あげられ、これらのブチル系ゴムはとくに 限はなく、単独で用いてもよく、2種以上を 組み合わせて用いてもよい。

 また、本発明の空気入りタイヤ用ゴム組 物に用いるゴム成分として、ジエン系ゴム 配合してもよい。

 ジエン系ゴムとしては、たとえば、天然 ム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴ (BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレ プロピレンジエンゴム(EPDM)などがあげられ これらのジエン系ゴムはとくに制限はなく 単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせ 用いてもよい。これらのジエン系ゴムは単 で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用 いてもよい。

 なかでも、インスレーションとの粘着、 架橋の理由から、ブチル系ゴムとしてはX-II Rを、ジエン系ゴムとしてはNRを用いることが 好ましい。

 耐空気透過性を向上させることができる いう理由から、ゴム成分中におけるハロゲ 化ブチルゴム(X-IIR)の含有量は、70~100重量% 好ましく、75~100重量%がより好ましく、80~100 量%がさらに好ましい。また、ブチル系ゴム とNRを併用する場合、タイヤの他の部材(例え ばインスレーション等)を構成するゴム成分 の接着性を高めるため、ゴム成分中におけ 天然ゴム(NR)の含有量は、30~0重量%が好まし 、25~0重量%がより好ましく、20~0重量%がさら 好ましい。

 天然ゴム(NR)としては、TSR、RSS♯3などタ ヤ工業において一般的なものを使用するこ ができる。

 ハロゲン化ブチルゴム(X-IIR)としては、塩 素化ブチルゴム(Cl-IIR)、臭素化ブチルゴム(Br- IIR)、フッ素化ブチルゴム(F-IIR)、ヨウ素化ブ ルゴム(I-IIR)などがあげられ、塩素化ブチル ゴム(Cl-IIR)が好ましい。

 塩素化ブチルゴム(Cl-IIR)としては、エク ン化学(株)製のクロロブチルゴム1068、エク ン化学(株)製のクロロブチルゴム1066、ラン セス(株)製のクロロブチル1240などがあげら る。

 本発明の空気入りタイヤ用ゴム組成物に いるゴム成分として、ハロゲン化ブチルゴ および天然ゴムに加えて、再生ブチルゴム 用いることができる。

 本発明で使用する再生ブチルゴムとは、 イヤのチューブやタイヤ製造時に使用する ラダー等のブチルゴムを多く含むゴム製品 原料としこれを粉砕したもの、またはこの 砕物を、加熱・加圧したものをいい、ゴム 分の架橋結合を切断(脱硫処理)し再加硫可 としたものを含む。一般的に、再生ブチル 50重量%以上のブチルゴムを含む。

 再生ブチルゴムとしては、たとえば、村 ゴム(株)製のチューブ再生ゴム、USS東洋(株) 製のブラダー再生ゴムなどがあげられる。村 岡ゴム(株)製のチューブ再生ゴムは、チュー 用ブチルゴムを加圧条件下で加熱処理して 造された再生ゴムである。USS東洋(株)製の ラダー再生ゴムとは、押し出し機粉砕によ て得られるものである。これらの再生ブチ ゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を組 合わせて用いてもよい。

 本発明では、資源の再利用の観点から、 ム成分としてブチル系ゴムおよびNRに加え 再生ブチルゴムを併用することが好ましい

 ブチル系ゴムおよびNRに加えて再生ブチ ゴムを併用する場合、再生ブチルゴムはハ ゲン化されていないブチルゴム(レギュラー チルゴム)の含有率が高いため、ブチル系ゴ ムとして、レギュラーブチルゴムと比べて耐 空気透過性が高く加硫速度が速いハロゲン化 ブチルゴムを用いることが好ましい。ゴム成 分中におけるハロゲン化ブチルゴム(X-IIR)の 有量は、60~100重量%が好ましく、70~100重量%が より好ましく、80~100重量%がさらに好ましい また、ブチル系ゴムおよびNRに加えて再生ブ チルゴムを併用する場合、タイヤの他の部材 (例えばインスレーション等)を構成するゴム 分との接着性を高めることができるという 由から、ゴム成分中における天然ゴム(NR)の 含有量は、20~0重量%が好ましく、15~0重量%が り好ましく、10~0重量%がさらに好ましい。ま た、ブチル系ゴムおよびNRに加えて再生ブチ ゴムを併用する場合、耐空気透過性および 硫速度を維持するため、ゴム成分中におけ 再生ブチルゴムの含有量は、20~0重量%が好 しく、15~0重量%がより好ましく、10~0重量%が らに好ましい。

 本発明のゴム組成物には、前記ゴム成分 外に、従来タイヤ工業で配合される配合剤 たとえば、カーボンブラック、シリカ、炭 カルシウム、タルク、クレーなどの補強用 填剤、オイル、粘着付与樹脂(粘着付与レジ ン)、均質化剤、各種老化防止剤、ワックス ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄などの加硫 、各種加硫促進剤などを必要に応じて適宜 合することができる。

 補強用充填剤としてはカーボンブラック たは炭酸カルシウムを用いることが好まし 、これらの補強用充填剤は単独で用いても く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

 カーボンブラックとしては、とくに制限 なく、従来からタイヤ工業で使用されるも を使用することができ、たとえば新日鉄化 (株)製のニテロン55Uなどがある。

 カーボンブラックの含有量は、ゴム組成 の強度を上げることができるという理由か 、ゴム成分100重量部に対して、50~80重量部 好ましく、60~70重量部がより好ましい。

 炭酸カルシウムとしては、とくに制限は く、従来からタイヤ工業で使用されるもの 使用することができ、たとえば常陸大理石( 株)製のHTO-12などがある。

 炭酸カルシウムの含有量は、ゴム組成物 単価を下げることができるという理由から ゴム成分100重量部に対して、10~30重量部が ましく、15~25重量部がより好ましい。

 プロセスオイルとしては、具体的にパラ ィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセ オイル、芳香族系プロセスオイルなどを用 ることができ、たとえば出光興産(株)製の イアナプロセスPA32、株式会社ジャパンエナ ー(JOMO)製のプロセス200などがある。これら プロセスオイルは単独で用いてもよく、2種 以上を組み合わせて用いてもよい。

 プロセスオイルの含有量は、ゴムの加工 を向上させることができるという理由から ゴム成分100重量部に対して、5~30重量部が好 ましく、10~15重量部がより好ましい。

 本発明では、均質化剤(例えば市販の混合 樹脂)を用いることができる。

 混合樹脂とは、2種以上の樹脂の混合物のこ とをいう。混合樹脂に使用する樹脂としては 、たとえば、フェノール性粘着樹脂、クロマ ン樹脂、イエデン樹脂、クロマンイエデン樹 脂などの芳香族炭化水素系樹脂、C 5 、C 8 、C 9 などの脂肪族炭化水素系樹脂などがあげられ 、これらのなかから2種以上を選択して混合 たものを使用することができる。なかでも 芳香族炭化水素系樹脂と脂肪族炭化水素系 脂との組み合わせが好ましく、高分子芳香 炭化水素樹脂と脂肪族炭化水素樹脂との組 合わせがより好ましい。

 混合樹脂としては、具体的には、ストラ トール社製のストラクトール40MS、ラインケ ミー社(Rhein Chemie Corp.)のレノジン145A、フロ ポリマー社(Flow Polymers Inc.)のプロミックス 400などがあげられる。

 混合樹脂の配合量は、ゴムの均質性を向 させ、耐空気透過性を向上させることがで るという理由から、ゴム成分100重量部に対 て、3~8重量部が好ましく、4~6重量部がより ましい。

 本発明では、加硫前のゴム成分の粘着性 向上させるため、粘着性樹脂としてフェノ ル性樹脂を用いることができる。フェノー 性粘着樹脂としては、具体的には、スケネ タディ製のSP1068レジンがあげられる。

 フェノール性粘着樹脂の配合量は、ゴム 粘着性を向上させることができるという理 から、ゴム成分100重量部に対して、1.0~4.0重 量部が好ましく、1.5~2.5重量部がより好まし 。

 図1は、本発明の空気入りタイヤ用ゴム組 成物からなるインナーライナーを有する空気 入りタイヤにおいて、仕上がったタイヤのシ ョルダー部のブチルゴムゲージを説明する概 略部分断面図である。

 図1では、本発明の空気入りタイヤにおい て、トレッド1、第1ベルト2、第2ベルト3、カ カス4、インナーライナー5、サイドウォー 6、クリンチエイペックス7、ビードエイペッ クス8、ビードコア9の各部材を模式的に示し おり、本願で測定するタイヤのショルダー AのブチルゴムゲージBを示した図である。

 また、図2は、本発明の空気入りタイヤ用 ゴム組成物からなるインナーライナーを有す る空気入りタイヤにおいて、本発明でいうブ チルゴムゲージの平均値を計算するときの、 タイヤのショルダー部のブチルゲージをタイ ヤ周上8ヵ所のデータを採取することを説明 る概略一部切欠斜視図である。

 図2では、本発明の空気入りタイヤにおい て、トレッド11、第1ベルト12、第2ベルト13、 ーカス14、インナーライナー15の各部材を模 式的に示しており、本願で測定するタイヤの ショルダー部AのブチルゴムゲージBと、測定 所(a~h点)を示した図である。

 本発明の空気入りタイヤを構成するイン ーライナーはブチル系ゴムを配合する空気 りタイヤ用ゴム組成物からなるので、図1お よび2に示すように、本発明では空気入りタ ヤにおけるインナーライナーの厚さをブチ ゴムゲージという。

 また、本発明の空気入りタイヤ用ゴム組成 からなるインナーライナーを有する空気入 タイヤにおいて、ブチルゴムゲージ(mm)の平 均値を[a]、ブチルゴムゲージの標準偏差(mm) [b]とすると、仕上がったタイヤのショルダ 部のブチルゴムゲージの平均値[a]および標 偏差[b]が、
[b]/[a]≦0.060
を満たすことが必要であり、
[b]/[a]≦0.045
を満たすことがより好ましい。

 ブチルゴムゲージ(mm)の平均値[a]およびブ チルゴムゲージの標準偏差(mm)[b]について、 下(1)~(4)に詳細に説明する。

(1)ブチルゴムゲージ(mm)
 本発明でいうブチルゴムゲージとは、空気 りタイヤにおけるインナーライナーの厚さ 意味し、通常は、0.25~1.50mmである。

(2)ブチルゴムゲージ(mm)の平均値[a]
 本発明でいうブチルゴムゲージ(mm)の平均値 [a]とは、タイヤのショルダー部のゲージをタ イヤ周上8ヵ所のデータを採取し、その総和 サンプル数(N数)で割った値を意味する。

 平均値[a]を測定するタイヤの箇所は、タ ヤのショルダー部である。

(3)ブチルゴムゲージ(mm)の標準偏差[b]
 本発明でいうブチルゴムゲージ(mm)の標準偏 差[b]とは、個々の測定値を平均値から差し引 き、その絶対値を総和し、(測定個数-1)で除 た値を意味する。

(4)[b]/[a]
 本発明でいう(ブチルゴムゲージ(mm)の標準 差/ブチルゴムゲージ(mm)の平均値)、つまり[b ]/[a]とは、ブチルゴムゲージの変動係数であ 、ブチルゴムゲージの厚みのバラツキ状況 意味する。

 空気入りタイヤにおいては、内圧保持性 維持させなければならないという理由から インナーライナーにおいてブチルゴムゲー の仕上がりのバラツキを低減させることが ましい。空気入りタイヤのインナーライナ において、ブチルゴムゲージの仕上がりに ラツキが多いと、薄い部分から空気が抜け 早期に内圧が低下する傾向がある。

 本発明でいう空気入りタイヤのインナーラ ナーにおいて、ブチルゴムゲージの仕上が のバラツキが低減されているとは、
[b]/[a]
の値が小さいことを意味し、本発明では、[b] /[a]の値が0.060以下であることを、ブチルゴム ゲージの仕上がりのバラツキが低減している という。[b]/[a]は、タイヤのインナーライナ のブチルゴムゲージのバラツキを低減させ ければならないという理由から、0.060以下で あることが必要であり、0.050以下がより好ま い。

 なお、本発明でいう[b]/[a]の値は、ブチル ゴムゲージの仕上がりのバラツキを示してい るので、[b]/[a]の値は0(つまり、バラツキがな いことを示す)であってもよい。

 そして、本発明でいう空気入りタイヤのイ ナーライナーにおいて、ブチルゴムゲージ 仕上がりのバラツキを低減させるためには (1)未加硫ゴムのムーニー粘度(ML 1+4 、130℃)を特定の値にコントロールすること 必要である。また、以下に説明する(2)ハロ ン化ブチルゴム、(3)混合樹脂または(4)未加 ゴムの特性をコントロールすることによっ も、本発明でいう空気入りタイヤのインナ ライナーにおいて、ブチルゴムゲージの仕 がりのバラツキを低減させることが可能で る。

(1)未加硫ゴムのムーニー粘度
 未加硫ゴムのムーニー粘度(ML 1+4 、130℃)を高めにコントロールすることで、 硫工程時のゴム流れを抑制し、プレス内圧 加時にあっても、タイヤのショルダー部に ムが残り、ブチルゴムゲージの仕上がりの ラツキを低減させることができる。

 本発明でいう空気入りタイヤのインナーラ ナーにおいて、ブチルゴムゲージの仕上が のバラツキを低減させるためには、タイヤ ショルダー部のゴム残りゲージを残すとい 理由から、(1)未加硫ゴムのムーニー粘度(ML 1+4 、130℃)が45~55であることが必要であり、45~50 あることが好ましい。

 空気入りタイヤのインナーライナーにお て、タイヤのショルダー部が最もゴムが残 にくく、またタイヤのショルダー部が最も くなりやすい。そして、空気入りタイヤの ンナーライナーは、最も薄い箇所から選択 に空気が抜けやすい。つまり、空気入りタ ヤのインナーライナーにおいて、タイヤの ョルダー部のゴム残りゲージを残すことで 局部的に薄いところを作らないことが重要 ある。

(2)ハロゲン化ブチルゴム
 ハロゲン化ブチルゴムについては、高粘度 HT-1068(クロロブチルゴム1068)の方が低粘度の HT-1066(クロロブチルゴム1066)よりも、配合ゴ の粘度を高く保てるのでブチルゴムゲージ 仕上がりのバラツキを低減させることがで る。

(3)混合樹脂
 混合樹脂は、オイルと置換することによっ 、配合物の粘度を高くすることによっても チルゴムゲージの仕上がりのバラツキを低 させることが可能である。

(4)未加硫ゴムの特性をコントロール
 配合物のスコーチを早めることによっても チルゴムゲージの仕上がりのバラツキを低 させることが可能である。

 本発明は、空気入りタイヤのブチルゴム ージを上げるとタイヤの耐空気透過性(空気 保持性)は改善されるが、空気入りタイヤの 量が重くなるという二律背反の関係をバラ スよく改善したものである。そして、本発 は、空気入りタイヤのブチルゴムゲージの ラツキを抑える(ブチルゴムゲージを均一に る)ことで、空気入りタイヤにおけるインナ ーライナーにおいて、局部的に薄い箇所を無 くし、タイヤの重量が重くならないように改 善したものである。

 本発明のゴム組成物は、一般的な方法で 造される。すなわち、バンバリーミキサー ニーダー、オープンロールなどでゴム成分 どの前記配合剤を混練りし、その後加硫す ことにより、本発明のゴム組成物を製造す ことができる。

 本発明のゴム組成物は、空気(内圧)保持 を高めることができるという理由から、タ ヤ部材のなかでもインナーライナーとして 用することが好ましい。

 本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴ 組成物を用いて、通常の方法により製造す ことができる。すなわち、必要に応じて前 配合剤を配合した本発明のゴム組成物を未 硫の状態で、たとえばインナーライナーの 状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ 材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形 する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱 圧することにより、本発明の空気入りタイ を製造することができる。

 実施例にもとづいて本発明を詳細に説明 るが、本発明はこれらのみに限定されるも ではない。

 実施例において使用した各種薬品を以下に 載する。
天然ゴム(NR):TSR
ハロゲン化ブチルゴムA(X-IIR-A):エクソン化学( 株)製のクロロブチルゴム1068(125℃におけるム ーニー粘度ML(1+8):50±5)
ハロゲン化ブチルゴムB(X-IIR-B):エクソン化学( 株)製のクロロブチルゴム1066(125℃におけるム ーニー粘度ML(1+8):38±4)
チューブ再生ブチルゴム:村岡ゴム工業(株)製 のブチルチューブ由来の再生ゴム(ブチルゴ 、加圧条件下で加熱処理されたもの)
ブラダー再生ブチルゴム:USS東洋(株)製のブラ ダー由来の再生ゴム(押出機により粉砕され もの)
カーボンブラック:新日鉄化学(株)製のニテロ ン55U
プロセスオイル:出光興産(株)製のダイアナプ ロセスPA32
フェノール性粘着樹脂:スケネクタディ製のSP 1068レジン
混合樹脂:シルアンドザイラリー社製のスト クトール40MS(粘着付与樹脂としてフェノール 性粘着樹脂を含まない。)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸 「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛3号
粉末硫黄:細井化学工業(株)製のHK200-5(5%オイ 処理)
加硫促進剤MBTS:大内新興化学工業(株)製のノ セラーMBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)

実施例1および比較例1~3
(未加硫ゴムの作製)
 表1に記載する硫黄および加硫促進剤以外の 前記各種薬品を(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバ リーにて150℃で3分間混練りした後、さらに 黄および加硫促進剤を配合して、オープン ールにて90℃で2分間混練りし、未加硫ゴム( 合物A~D)を得た。得られた未加硫ゴムを、以 下の測定に用いた。

実施例2および3
(未加硫ゴムの作製)
 表2に記載する硫黄および加硫促進剤以外の 前記各種薬品を(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバ リーにて150℃で3分間混練りした後、さらに 黄および加硫促進剤を配合して、オープン ールにて90℃で2分間混練りし、未加硫ゴム( 合物EおよびF)を得た。得られた未加硫ゴム 、以下の測定に用いた。

<ムーニー粘度指数>
 JIS K6300に準じて、130℃における未加硫ゴム のムーニー粘度(ML1+4)を測定した。ムーニー 度の値が小さいほど粘度が低く、ムーニー 度の値が大きいほど粘度が高いことを示す

(空気入りタイヤの製造)
 前記未加硫ゴム(配合物A~F)をインナーライ ーの形状に成形し、それを他のタイヤ部材 貼りあわせて150℃で30分の条件にて加硫する ことにより空気入りタイヤ(タイヤサイズ215/4 5R17)を製造した。

 未加硫ゴム(配合物A~F)のそれぞれについ 、タイヤを6本製造した。

<仕上がりタイヤのブチルゴムゲージ>
 配合物Aを用いて製造したタイヤ6本につい タイヤを解体し、タイヤのショルダー部の チルゴムゲージをタイヤ1本につき周上8ヵ所 、合計48ヵ所を万能投影機にて測定した。配 物B~Fについても同様に測定した。

 「タイヤのショルダー部のブチルゲージ タイヤ1本につき周上8ヵ所」とは、タイヤ ショルダー部を周上に均等に選んで測定し 8ヵ所(図2でいう測定箇所(a~h点)である)であ 、各仕様各6本分において8ヵ所を決めた。

 なお、表3および表4中の[a]:ブチルゴムゲ ジの平均値(mm)とは測定した48ヵ所のゴムゲ ジの平均値である。配合物B~Dについても同 にして測定した。

 測定結果を表3および表4に示す。

 また、ムーニー粘度とブチルゴムゲージ( mm)の標準偏差[b]/ブチルゴムゲージ(mm)の平均 [a]との関係を表した結果を図3に示す。

<耐空気透過性試験>
 前記未加硫ゴム(配合物A~F)を用いて製造し タイヤ6本について、インナーライナーの形 に成形し、それを他のタイヤ部材と貼りあ せて得られた空気入りタイヤを用いて、耐 気透過性試験を行った。

 215/45R17サイズのタイヤを作製し、リム組 したのち、内圧を2.5Mpaに設定した。内圧封 込めの条件で3ヵ月放置し、タイヤの内圧の 低下を、タイヤ内圧低下率(%/月)として測定 た。タイヤ内圧低下率(%/月)が小さいほど耐 気透過性に優れており、内圧保持性能が良 であることを示す。

 測定結果を表5および表6に示す。

 実施例1~3では、耐空気透過試験において タイヤ間のバラツキが小さく、最低でも2.5 上となっている。

 比較例1では、同じく最低で2.5であるが、 平均が2.7であり、その分タイヤ重量が重い。

 比較例2では、同じく最低が2.6で良好だが 、平均がさらに厚くタイヤ重量が重い。

 比較例3では、同じく最低が2.7で良好だが 、比較例2と同様である。

 本発明によれば、ブチル系ゴムを含む空 入りタイヤ用ゴム組成物の未加硫ゴムの130 で測定されるムーニー粘度が45以上である ム組成物を用いて、タイヤに成型したとき 、ブチルゴムゲージのバラツキを低減でき 手法、つまり未加硫ゴム特性をコントロー することで、ブチルゴムゲージの均一性を 善し、耐空気透過性(空気保持性)が良好であ るゴム組成物およびそれからなるインナーラ イナーを有するタイヤを提供することができ る。