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Patent Searching and Data


Title:
POLYCRYSTAL SILICON, POLYCRYSTAL SILICON BASE, MANUFACTURING METHOD THEREOF, AND PHOTOELECTRIC CONVERSION ELEMENT USING THE POLYCRYSTAL SILICON BASE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093512
Kind Code:
A1
Abstract:
It is possible to provide a polycrystal silicon doped by nitrogen and a polycrystal silicon base formed by the polycrystal silicon. It is preferable that the polycrystal silicon have a peak at the wave number position 963 plus/minus 5 cm-1 and/or 938 plus/minus 5 cm-1 in the infrared absorption spectrum. Moreover, it is possible to provide a polycrystal silicon base manufacturing method including a step for adjusting a silicon solution containing nitrogen and a photoelectric conversion element using the base. The photoelectric conversion element using the polycrystal silicon base doped by nitrogen has a high conversion efficiency and a high cost performance as compared to the conventional technique.

Inventors:
OISHI RYUICHI
Application Number:
PCT/JP2008/050091
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
January 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHARP KK (JP)
OISHI RYUICHI
International Classes:
C01B33/02; C30B29/06; H01L21/20; H01L21/208; H01L21/318; H01L31/04
Domestic Patent References:
WO2007010622A12007-01-25
Foreign References:
JP2001516324A2001-09-25
JP2000001308A2000-01-07
JPH1168109A1999-03-09
JPH0251493A1990-02-21
JP2004296161A2004-10-21
JP2004186320A2004-07-02
JP2002137995A2002-05-14
Attorney, Agent or Firm:
FUKAMI, Hisao et al. (Nakanoshima Central Tower 22nd Floor, 2-7, Nakanoshima 2-chome, Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 05, JP)
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Claims:
 窒素によりドープされている多結晶シリコン。
 赤外吸収スペクトルにおいて、963±5cm -1 および/または938±5cm -1 の波数位置にピークを有する請求の範囲第1項に記載の多結晶シリコン。
 格子間窒素対を形成した窒素を含有する請求の範囲第1項に記載の多結晶シリコン。
 請求の範囲第1項に記載の多結晶シリコンからなる多結晶シリコン基体。
 窒素含有シリコン融液を調製する、融液調製工程を含む請求の範囲第4項に記載の多結晶シリコン基体の製造方法。
 前記融液調製工程において、窒素含有シリコン融液は、シリコン融液を、窒素原子を含むガスにより窒化するか、またはシリコン融液に窒化シリコンを含有させることにより調製される請求の範囲第5項に記載の多結晶シリコン基体の製造方法。
 前記窒素含有シリコン融液に、基板を接触させて該基板表面上に多結晶シリコンを成長させる、結晶成長工程をさらに含む請求の範囲第5項に記載の多結晶シリコン基体の製造方法。
 請求の範囲第4項に記載の多結晶シリコン基体を用いた光電変換素子。
Description:
多結晶シリコン、多結晶シリコ 基体およびその製造方法、ならびに多結晶 リコン基体を用いた光電変換素子

 本発明は、太陽電池等の光電変換素子な に好適に用いられる多結晶シリコン、多結 シリコン基体およびその製造方法に関する また本発明は、多結晶シリコン基体を用い 光電変換素子に関する。

 昨今、光電変換素子の一種である太陽電 は、クリーンエネルギーという点から期待 れている。中でも、多結晶シリコンを用い 太陽電池は、数種類ある太陽電池の中で最 コストパフォーマンスに優れていることか 、最も大きな比率を占めている。

 多結晶シリコン太陽電池は、B(ホウ素)、G a(ガリウム)などのIII族元素が少量添加された p型シリコンの表面に、拡散等によりn型層を 成させたpn接合タイプが最も一般的である 、その他にも、P(リン)などのV族元素が少量 加されたn型シリコンの表面にp型層を形成 せたもの、pまたはn型基板上に、薄膜成長に より、nまたはp型層をそれぞれ成長させたも (ヘテロ接合、pin構造なども含む)、およびMI S(Metal-Insulator-Semiconductor)構造などがある。

 太陽電池等の光電変換素子に用いられる多 晶シリコン基体の作製方法としては、たと ば次のような方法が挙げられる。
(1)キャスト法、(2)電磁キャストEMC(Electro-Magnet ic Casting)法、(3)HEM(Heat Exchange Method)法、など の、シリコン融液を凝固させて大きなインゴ ットまたはブロックを作製し、必要に応じて 、スライスなどの工程を経てウェハを作製す る方法。
(4)シリコン融液から直接ウェハ形状のSiを引 上げるEFG(Edge-defined Film Growth)法、ストリン グリボン(String Ribbon)法、デンドライトウェ 法(Dendritic Web法)、HRG(Horizontal Ribbon Growth)法 等のリボン成長法。
(5)シリコン融液にシリコン成長用基板を接触 させて基板上に成長させるRGS(Ribbon Growth on  Substrate)法、RST(Ribbon on Sacrificial Carbon Templat e)法、特許文献1(特開2001-223172号公報)に記載 方法などのシリコン融液にシリコン成長用 板を接触させて基板上に成長させる方法。
(6)シリコン融液を不活性ガス中などに滴下し て落下中に凝固させたり、小さな鋳型で直径 数mm以下の粒状シリコンを得る方法。この場 には、粒状シリコン中には単結晶粒も存在 ている。

 一方、近年、例えば非特許文献1(井上直 著,「バルクシリコン結晶における分析・評 技術」,応用物理,第72巻,第5号(2003),p550-556)に あるように、単結晶シリコンを用いる半導体 大規模集積回路においては、集積回路の微細 化・高集積化とともに、回路の歩留や性能を 制限する結晶欠陥をなくす技術として、窒素 のドーピングが注目されている。このような 窒素ドーピングは、半導体集積回路のデバイ ス活性領域にあたるシリコン表面近傍の欠陥 を減少させ、活性層の下にゲッタリング層を 形成する効果をもたらすが、このような効果 は、ほぼ基板の表面近傍(μmオーダー)しか使 しない半導体集積回路では有効であると考 られる。しかしながら、光電変換素子の分 においては、半導体集積回路とは異なり、 板の表面から深い領域(数100μmオーダー)ま 使うため、このような窒素ドーピングが光 変換素子、太陽電池の特性に与える影響に いては、単結晶シリコン、多結晶シリコン 問わず、研究された例はないのが現状であ 。

 前記キャスト法で作製した多結晶シリコン ェハなどでは、石英坩堝の内面にシリコン 固着しないようにSi 3 N 4 の離型剤を用いており、結晶中にSi 3 N 4 の粒が混入することがある。このような多結 晶シリコンは窒素を含有はするものの、窒素 ドーピングとはいえない。このようにして作 製された多結晶シリコンが窒素ドーピングさ れない理由は、石英坩堝の軟化点が1700℃程 であるのに対し、Si 3 N 4 の融点は1900℃程度とさらに高く、実質的に 窒素原子Nがシリコン融液中に溶け出さない めであると考えられる。

特開2001-223172号公報 井上直久著,「バルクシリコン結晶にお る分析・評価技術」,応用物理,第72巻,第5号(2 003),p550-556

 光電変換素子の一種である太陽電池は、 リーンエネルギーという点から期待され、 の導入量は着実に増加しているものの、今 さらに普及し、地球環境の保全に役立つた には、さらにコストパフォーマンスを上げ ことが必要である。本発明は、このような 状に鑑みなされたものであって、窒素ドー された多結晶シリコンおよび多結晶シリコ 基体を提供することを目的とする。また、 発明の別の目的は、当該多結晶シリコン基 を製造する方法を提供することである。さ に、本発明の別の目的は、当該窒素ドープ れた多結晶シリコン基体を用いた、従来と 較して変換効率の高い光電変換素子を提供 ることである。

 本発明者は、鋭意研究の結果、窒素がド ピングされた多結晶シリコンを作製するこ に成功し、当該窒素ドープされた多結晶シ コンを用いることにより、従来と比較して 換効率の高い、ひいてはコストパフォーマ スの高い光電変換素子が提供されることを 出し、本発明を完成するに至った。すなわ 、本発明は、以下のとおりである。

 本発明は、窒素によりドープされている多 晶シリコンを提供する。ここで、本発明の 結晶シリコンは、赤外吸収スペクトルにお て、963±5cm -1 および/または938±5cm -1 の波数位置にピークを有することが好ましい 。

 また、本発明の窒素ドープされた多結晶 リコンは、格子間窒素対を形成した窒素を 有することが好ましい。

 また本発明は、上記多結晶シリコンから る多結晶シリコン基体を提供する。本発明 多結晶シリコン基体は、光電変換素子に好 に用いることができる。

 さらに本発明は、窒素含有シリコン融液 調製する、融液調製工程を含む上記多結晶 リコン基体を製造する方法を提供する。

 ここで、上記窒素含有シリコン融液は、 リコン融液を、窒素原子を含むガスにより 化することにより調製されてもよく、また シリコン融液に窒化シリコンを含有させる とにより調製されてもよい。また、本発明 多結晶シリコン基体の製造方法は、上記窒 含有シリコン融液に、基板を接触させて該 板表面上に多結晶シリコンを成長させる、 晶成長工程をさらに含んでもよい。

 本発明の窒素ドープされた多結晶シリコ および窒素ドープされた多結晶シリコン基 によれば、従来と比較して変換効率が高く コストパフォーマンスが高い光電変換素子 提供することができる。

格子間窒素対を模式的に示す立体構造 である。 本発明の多結晶シリコン基体の製造方 の結晶成長工程において好適に用いられる 置の概略断面図である。 実施例1および比較例1で得られた多結 シリコン基体の赤外吸収スペクトルである 実施例2および比較例2で得られた太陽 池のセル特性をプロットしたグラフである

符号の説明

 11 窒素原子、12 Si原子、21 多結晶シリ ン基体、22 基板、23 坩堝、24 窒素含有シ コン融液、25 加熱用ヒータ、26 坩堝台、27 断熱材、28 坩堝昇降用台、29 軸。

 <多結晶シリコン>
 本発明の多結晶シリコンは、窒素によりド プされていることを特徴とする。多結晶シ コン自体は、B(ホウ素)、Ga(ガリウム)などの III族元素が少量添加されたp型であってもよ 、あるいはP(リン)などのV族元素が少量添加 れたn型であってもよい。または、窒素を除 いて、ドーパントが添加されていない多結晶 シリコンであってもよい。このような窒素ド ープされた多結晶シリコンは、光電変換素子 用の半導体材料として好適に用いることがで き、本発明の多結晶シリコンを用いた光電変 換素子は、従来と比較して高い変換効率を有 する。

 本発明の多結晶シリコンは、好ましくは赤 吸収スペクトルにおいて、963±5cm -1 および/または938±5cm -1 の波数位置にピークを有する。このような波 数位置にピークを有する窒素ドープされた多 結晶シリコンを用いることにより、光電変換 素子の変換効率を向上させることが可能とな る。これらの特徴的なピークは、図1に示す うな格子間窒素対に由来するものと考えら る。したがって、本発明の多結晶シリコン 、好ましくは格子間窒素対を形成した窒素 含有する。ここで、図1は、格子間窒素対を 式的に示す立体構造図であり、11は窒素原 を、12はSi原子を示している。図1に示される ように、格子間窒素対は、2つの窒素原子11が Si原子の格子位置を置換し、Si-N結合を形成し てなる。

 本発明の多結晶シリコンにおいて、ドープ れる窒素は、質量数14の 14 Nであってもよく、その同位体である質量数15 の 15 Nであってもよい。あるいは、これらの組み わせであってもよい。窒素ドープされる限 、同位体の組成比にかかわらず同等の効果 得ることができる。ただし、これら同位体 天然存在比が 14 N/ 15 N=99.634%/0.366%であることから、コスト面を考 すると、窒素は、 14 Nのみからなるか、または、 14 Nと 15 Nとを同位体存在比で含む窒素であることが ましい。

 ドープされる窒素が質量数14の 14 Nのみである場合には、格子間 14 N- 14 N窒素対に由来する963±5cm -1 および764±5cm -1 の波数位置にピークが現れる。ドープされる 窒素が質量数15の 15 Nのみである場合には、963±5cm -1 のピークは、格子間 15 N- 15 N窒素対に由来する938±5cm -1 にシフトし、764±5cm -1 のピークもまた低波数側にシフトする。また 、 14 Nと 15 Nの両方をドープした場合には、963±5cm -1 および938±5cm -1 のピークに加えて、格子間 14 N- 15 N窒素対に由来するピークが948cm -1 付近に現れるとともに、低波数側にももう一 つのピークが現れる。なお、これら本発明の 多結晶シリコンに特徴的なピークのうち、低 波数側のピーク(たとえばドープされる窒素 14 Nのみである場合、764±5cm -1 )は、感度が低いため、実際上は高波数側の ークが現れていることで、格子間窒素対の 在を確認することができる。

 本発明の多結晶シリコンにおいて、ドープ れた窒素の濃度は、特に限定されるもので ないが、後述する本発明の多結晶シリコン 体の製造方法によれば、多結晶シリコン中 窒素濃度(1cm 3 あたりの窒素原子数)を6×10 18 cm -3 程度以下の範囲で適宜調整することが可能で ある。一般に、シリコン中の窒素の固溶限界 は5×10 15 cm -3 程度といわれているため、これ以上の窒素濃 度を有する場合、一部の窒素は、過飽和の状 態となったり、粒界部分や欠陥部分に入り込 んでいると考えられる。

 ここで、赤外吸収スペクトル測定における 記特徴的なピークの検出は、多結晶シリコ 中の窒素濃度が比較的高い(たとえば、3×10 16 cm -3 程度以上)場合には、室温の測定でも十分可 である。一方、窒素濃度が比較的低い場合 は、測定の感度を上げるために、液体ヘリ ム温度での測定または試料の厚さ調整等が 要となることが多い。このような高感度化 より、1×10 14 cm -3 程度までの低い窒素濃度においても、上記特 徴的なピークの検出が可能となる。さらに窒 素濃度が低い場合には、放射光等の高輝度赤 外線源などを用いる必要がある。

 なお、多結晶シリコン中の窒素濃度の分 方法としては、SIMS(Secondary Ion Mass Spectromet ry、二次イオン質量分析法)やCPAA(Charged Particl e Activation Analysis、荷電粒子放射化分析)を挙 げることができ、これらがもっとも高感度で ある。

 上記のような本発明の多結晶シリコンが 電変換素子に用いられた場合に、高い変換 率を示すのは、上記格子間窒素対は、酸素 どと比較して3桁程度大きな拡散係数を有す るため、格子間窒素対が光電変換素子作製プ ロセス中の熱処理過程において、シリコン結 晶中を動き回り、欠陥部分に留まって、欠陥 をパッシベートしたり、不純物のゲッタリン グを助長するためであると考えられる。

 また、ドープされた窒素がシリコン結晶中 おいて格子間窒素対を形成することの有利 は、単体の窒素と比較した場合においても らかである。すなわち、格子間窒素対の拡 係数は、単体の窒素よりも4~5桁大きいこと ら、格子間窒素対が欠陥をパッシベートし り、不純物のゲッタリングを助長する能力 、単体の窒素と比較して極めて高いと考え れる。したがって、ドープされた窒素は、 リコン結晶中で単体として存在するよりも 格子間窒素対として存在することがより好 しい。格子間窒素対として存在することに り、光電変換素子においてより高い変換効 をもたらすことが可能となる。ここで、ド プされた窒素のうち、格子間窒素対を形成 る窒素の割合は特に制限されるものではな が、この割合が高いほど、変換効率向上の 果は高い。なお、前述のキャスト法で作製 た多結晶シリコンウェハにおいてみられる うな離型剤(Si 3 N 4 )由来のSi 3 N 4 粒子が混入するような場合、混入したSi 3 N 4 粒子は、多結晶シリコンとの混合物として存 在し、シリコン結晶中を自由に動き回ること ができないため、上記のように欠陥をパッシ ベートしたり、不純物のゲッタリングを助長 するような効果はみられないものと考えられ る。

 本発明の多結晶シリコンの形状は、特に 定されるものではなく、適用する部材に応 た適宜の形状とすることができる。たとえ 、インゴット状、塊状、棒状、板状、シー 状、膜状、粒状などを挙げることができる

 本発明の多結晶シリコンは、たとえば太 電池等の光電変換素子の半導体材料として 適に用いることができる。典型的には、本 明の多結晶シリコンからなる多結晶シリコ 基体を用いて光電変換素子を作製する。こ ような多結晶シリコン基体もまた、本発明 範囲に属する。本発明の多結晶シリコン基 とは、本発明の多結晶シリコンを主成分と るものであり、その形状は特に制限される のではない。光電変換素子に用いられる多 晶シリコン基体の形状としては、たとえば ンゴット状、塊状、棒状、板状、シート状 膜状、粒状などを挙げることができる。こ で、粒状の多結晶シリコン基体は、たとえ 前述した、シリコン融液を不活性ガス中な に滴下して落下中に凝固させる方法等によ 作製することが可能であり、太陽電池用材 として利用可能である。

 本発明の多結晶シリコン基体を製造する めの方法に特に制限はなく、たとえば、(i) 素(N)含有シリコン融液から、キャスト法や 磁キャスト法等によりインゴットを作製し 後、これをスライスする方法、(ii)窒素含有 シリコン融液から、成長用基板を使わずに、 直接ウェハ形状のリボンを引き上げる方法、 (iii)窒素含有シリコン融液に成長用基板を接 させ、該基板表面上に多結晶シリコン基体 形成する方法、(iv)窒素含有シリコン融液か ら、粒状のシリコンを直接作製する方法など を挙げることができるが、以下に示す方法を 好適に用いることができる。以下に示す製造 方法は、本発明の多結晶シリコン基体を製造 するための好適な一例であるに過ぎず、他の 方法を用いて製造することも勿論可能である 。

 <多結晶シリコン基体の製造方法>
 本発明の多結晶シリコン基体の製造方法は 窒素含有シリコン融液を調製する融液調製 程を含むことを特徴とする。得られた窒素 有シリコン融液を用いて、多結晶シリコン 体を製造する方法としては、前述のように (1)キャスト法、(2)電磁キャストEMC法、(3)HEM 、など窒素含有シリコン融液を凝固させて きなインゴットまたはブロックを作製し、 要に応じてスライスなどの工程を経てウェ を作製する方法、(4)窒素含有シリコン融液 ら直接ウェハ形状の結晶Siを引き上げるリ ン成長法、(5)窒素含有シリコン融液にシリ ン成長用基板を接触させて基板上にSiを成長 させる方法、(6)窒素含有シリコン融液から粒 状シリコンを得る方法、などがある。以下で は好適な一例として、上記(5)の方法に属する 結晶成長方法を用いた例を示すが、いずれの 方法によっても、窒素含有シリコン融液を用 意することで容易に多結晶シリコン基体を作 製することが可能である。

 (1)融液調製工程
 本工程において、窒素含有シリコン融液を 製する。窒素含有シリコン融液の調製は、 来公知の方法を適宜用いて調製されたシリ ン融液に窒素を含有させることによりなさ る。なお、シリコン融液は、作製する多結 シリコン基体をp型またはn型とするために それぞれB(ホウ素)、Ga(ガリウム)などのIII族 素や、P(リン)などのV族元素などを含んでい てもよい。

 シリコン融液に窒素を含有させる方法は特 制限されるものではないが、好適な方法と て、シリコン融液を、窒素原子を含むガス より窒化する方法を挙げることができる。 素原子を含むガスとしては、たとえば窒素 ス、NOx、NH 3 などを用いることができる。なかでも、窒素 ガスがコスト面、環境面などを考慮してもっ とも望ましいものと考えられる。このような 窒素原子を含むガスを、たとえば1600℃程度 温度条件下、シリコン融液に接触させるこ によりシリコン融液を窒化する。窒素原子 含むガスを接触させる手段としては、特に 定されないが、たとえば、単に、窒素原子 含むガスを融液液面に吹き込むようにして よく、あるいはもっと積極的に、シリコン 液中で窒素原子を含むガスをバブリングす ようにしてもよい。また、窒素原子を含む スをシリコン融液に接触させるにあたって 、窒素原子を含むガスのみを接触させても く、Arガス等の不活性ガスとの混合ガスを接 触させるようにするなどしてもよい。後者の 場合、その混合比は適宜調整されるものであ り、特に制限されない。また、窒素原子を含 むガスの導入は連続的であってもよく、断続 的であってもよい。なお、窒素原子を含むガ スの流量およびガスの導入時間は、特に制限 されるものではなく、シリコン結晶中にドー プされる窒素量を考慮して適宜調整される。

 シリコン融液に窒素を含有させる別の好 な方法として、シリコン融液に窒化シリコ を含有させる方法を挙げることができる。 化シリコンは、少量の不純物を除いては、 リコンと窒素しか含まないため、窒素ドー 用材料として非常に好適である。当該窒化 リコンを含有させる方法を用いる場合、シ コンの融点が1410℃程度であるのに対し、窒 化シリコンの融点は1900℃程度と高温である とから、窒化シリコンがシリコン融液中で 解するよう、シリコン融液の温度を窒化シ コンの融点近くまで上げる必要がある場合 多い。そのためには、必要に応じて、装置 成や装置の材質などを変更することが好ま い。使用する窒化シリコンに特に制限はな が、たとえばプラズマCVD法等によりシリコ 上に成膜した窒化シリコン膜を好適に用い ことができる。なかでも、光電変換素子の 射防止膜として使用されている窒化シリコ 膜のような材料は、水素を多く含んでおり 結晶性がさほど高くないことから、結晶性 化シリコンほど融点が高くないため、窒素 ーピング用材料としてより好適に用いるこ ができる。プラズマCVD法等によりシリコン に成膜した窒化シリコン膜を窒素ドープ用 料として使用する場合、窒化シリコン膜の をシリコン融液に投入してもよく、あるい 窒化シリコン膜が形成されたシリコンウェ ごと投入するようにしてもよい。シリコン 液に対する窒化シリコンの量は特に制限さ ないが、結晶中にドーピングしたい窒素濃 の数倍程度の窒素濃度のシリコン融液とな ようにすることが好ましい。なお、窒化シ コン以外でも、シリコンに対して悪影響を ぼさず、かつ窒素原子を含有する材料であ ば窒素ドープ用材料として使用することが きる。また、シリコン融液に窒素を含有さ る別の好適な方法として、窒素原子を含む 結晶シリコンインゴットの端材などを原料 して用いることも考えられる。

 上記いずれの方法においても、窒素原子を むガスの流量あるいは導入時間、または窒 シリコン、窒素含有シリコン等の窒素ドー 用材料の量を適宜調整することにより、多 晶シリコン中の窒素濃度を6×10 18 cm -3 以下の範囲内で適宜調整することができる。

 (2)結晶成長工程
 本工程において、当該窒素含有シリコン融 に、基板を接触させて該基板表面上に多結 シリコンを成長させ、多結晶シリコン基体 形成する。本工程に用いる装置に特に制限 ないが、図2に示される装置を好適に用いる ことができる。以下、図2に示される装置を いて本工程を行なう場合について説明する

 図2において、軸29は、図中の矢印で示す うに、その一端に取り付けられた結晶成長 の基板22の表面が窒素含有シリコン融液24中 に浸漬された後、該窒素含有シリコン融液24 ら引き上げられるように動作可能となって る。窒素含有シリコン融液24の液面の調整 、坩堝台26に取り付けられた坩堝昇降用台28 よってなされる。坩堝台26の下面は、断熱 27で被覆されている。なお、図2に示される 置は、真空排気ができるようチャンバ内に 置されることが好ましい。また、図示され いないが、図2に示される装置には、たとえ 軸29を上記のように動作させる手段、加熱 ヒータ25を制御する手段およびシリコンを追 加投入する手段が付設されている。

 上記図2に示される装置を用いた多結晶シ リコン基体の形成方法は概略次のとおりであ る。まず、窒素含有シリコン融液24の温度を たとえば1420~1440℃程度に調整する。ついで 軸29を動作させ、基板22の表面を窒素含有シ リコン融液24中に浸漬させる。浸漬時間は、 望する多結晶シリコン基体21の厚みに応じ 適宜の時間を採り得るが、たとえば厚み300μ mの多結晶シリコン基体を得るための浸漬時 はおよそ3~4秒程度である。このような基板22 の窒素含有シリコン融液24への浸漬により、 板22の表面上に多結晶シリコン基体21が形成 される。

 <光電変換素子>
 本発明は、たとえば上述のような方法で作 した多結晶シリコン基体を用いた光電変換 子を提供する。光電変換素子としては、太 電池の他、フォトダイオード等を挙げるこ ができる。本発明の光電変換素子は、多結 シリコンの窒素ドーピングにより、窒素ド ピングされていない場合と比較して変換効 が高い。同一プロセスで変換効率の高い光 変換素子を作製することができるため、本 明の光電変換素子はコストパフォーマンス も優れる。

 本発明の光電変換素子においては、本発 の多結晶シリコン基体を用いること以外は 従来公知の構造を採用することができる。 た、光電変換素子の作製方法についても特 限定されるものではなく、従来公知の方法 適用することができる。たとえば、本発明 p型多結晶シリコン基体上にn型層を形成さ たタイプ、本発明のn型多結晶シリコン基体 にp型層を形成させたタイプ、薄膜シリコン 等とのヘテロ接合を形成したタイプ、MIS(Metal -Insulator-Semiconductor)構造等を挙げることがで る。

 以下、実施例および比較例を挙げて本発 をより詳細に説明するが、本発明はこれら 限定されるものではない。

 (多結晶シリコン基体の作製)
 <実施例1>
 チャンバ内に設置された図2に示される装置 を用いて、窒素含有シリコン融液の調製およ び多結晶シリコン基体の形成を行なった。ま ず、比抵抗が2ω・cmになるようにボロン濃度 調整したシリコン原料100kgを高純度黒鉛製 堝23に入れた後、チャンバ内を十分Arガスで 換し、その後はArガスを常時チャンバー上 から流したままにした。次に、シリコン原 を加熱用ヒータ25により溶融し、1600℃まで 温し、シリコン原料が完全に溶解したこと 確認した後、Arガスとともに少量の窒素ガス を120分間導入した。窒素ガスとArガスとの流 比はおよそ1:2であり、混合ガスの流量は、9 0L/minであった。その後、坩堝温度を1425℃に 持して安定化を図った。このようにして得 れた窒素含有シリコン融液に、黒鉛製の基 22の浸漬時間が5秒となる条件で、図2中左側 ら基板22の下面を接触させ、多結晶シリコ 基体を形成した。当該多結晶シリコン基体 厚みは370μmであった。

 <比較例1>
 窒素ガスを導入しないこと以外は、実施例1 と同様にして、窒素ドープされていない多結 晶シリコン基体を形成した。当該多結晶シリ コン基体の厚みは370μmであった。

 実施例1で得られた多結晶シリコン基体につ いて、SIMS(二次イオン質量分析法)を用いて測 定した窒素濃度(1cm 3 あたりの窒素原子数)は、面内でばらつきが るものの、3~7×10 16 cm -3 程度であった。測定条件は次のとおりである 。装置:二次イオン質量分析計(CAMECA社製、IMS- 6F)、一次イオン:Cs + 、加速電圧:10kV、二次検出イオン: 29 Si 14 N 、二次引出電圧:4.5kV、一次電流:100nA、一次ビ ームスキャン領域:80μm□、データ取込領域33 mφ、測定時間1秒/ポイント。通常、二次検出 イオンとして 28 Si 14 N を測定した方が検出限界が低いが、本サンプ ルでは、炭素濃度が高く、 28 Si 14 N では 30 Si 12 C が検出限界を上げたため、 29 Si 14 N を採用した。またバックグラウンドの確認は 測定中に、一次ビームのスキャン領域を小さ くしたときのデータ挙動から確認した。

 また、実施例1および比較例1で得られた多 晶シリコン基体について、赤外吸収スペク ルの測定を行なった。結果を図3に示す。測 条件は次のとおりである。装置:Nicolet710赤 分光装置、測定温度:室温、分解能:2cm -1 、スキャン回数:1024回。図3に示されるように 、実施例1の多結晶シリコン基体においては 格子間窒素対に由来すると考えられる2つの ークが963cm -1 および764cm -1 の波数位置に認められた。高波数側のピーク (963cm -1 )は、ブロードなピークの上にのっているも の、これら2つのピーク自体はシャープであ 、容易に判別可能であった。このように、 結晶シリコン中に3~7×10 16 cm -3 程度の濃度で窒素が含まれているときには、 室温での赤外吸収スペクトル測定で十分に本 発明の多結晶シリコンに特徴的なピークを検 出可能であることがわかる。一方、比較例1 多結晶シリコン基体においては、これらの ークは、認められなかった。なお、実施例1 よび比較例1の赤外吸収スペクトルにおける 600cm -1 近傍にみられる大きなピークは、シリコンの 格子位置に置換した炭素によるピークである 。

 (太陽電池の作製)
 <実施例2>
 以下の手順に従い、実施例1の多結晶シリコ ン基体を用いて光電変換素子の1種である太 電池の作製を行なった。まず、実施例1の多 晶シリコン基体(厚み370μm)からレーザー切 により156mm角サイズに切り出した。次に、こ の多結晶シリコン基体を水酸化ナトリウム溶 液中で異方性エッチングを行ない、当該基体 の受光面側にテクスチャー構造を形成した。 その後、太陽電池の受光面となる側の面にPSG (リンガラス)液をスピンコートで塗布し、拡 炉に入れてn + 型層を形成した。拡散の際に表面に形成され たPSG(リンガラス)膜をフッ酸で除去後、面のn + 型層上に反射防止膜としてプラズマCVD法によ り窒化シリコン膜を形成した。次いで、太陽 電池の裏面側となる面にアルミペーストをス クリーン印刷により塗布し、焼成することに より、p + 型層および裏面電極(アルミ電極)を同時に形 した。次に、銀ペーストを用い、スクリー 印刷により受光面側の電極パターンを形成 焼成することにより、受光面電極(銀電極) 形成すると同時に、当該銀電極とn + 型層との導通をとった。最後に、銀電極部分 にはんだをディップし太陽電池を作製した。 なお、n + 型層が周辺部分で裏面電極とショートすると 、太陽電池のフィルファクターが下がり変換 効率が低くなるため、n + 型層と裏面電極との絶縁分離を行なった。得 られた太陽電池について、AM1.5、100mW/cm 2 の照射下にて、セル特性の評価を行なった。 測定したセル特性(セル変換効率)の結果を図4 に示す(同一プロセスで作製した4つの太陽電 セルのセル変換効率を示す)。図4において 縦軸は太陽電池のセル変換効率(%)を示す。 お、セル変換効率の測定は、AM1.5、100mW/cm 2 の照射下にて、「結晶系太陽電池セルの出力 測定方法(JIS C 8913(1988))に従った。

 <比較例2>
 比較例1の多結晶シリコン基体を用いたこと 以外は、実施例2と同様にして太陽電池を作 し、セル特性の評価を行なった。測定した ル特性(セル変換効率)の結果を図4に示す(同 プロセスで作製した5つの太陽電池セルのセ ル変換効率を示す)。

 図4から明らかなように、窒素によりドー プされた本発明の多結晶シリコンを用いるこ とにより、太陽電池の変換効率が大幅に向上 することがわかった。

 今回開示された実施の形態および実施例 すべての点で例示であって制限的なもので ないと考えられるべきである。本発明の範 は上記した説明ではなくて請求の範囲によ て示され、請求の範囲と均等の意味および 囲内でのすべての変更が含まれることが意 される。