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Patent Searching and Data


Title:
POLYMER COMPOUND, RETICULATED POLYMER COMPOUND PRODUCED BY CROSSLINKING THE POLYMER COMPOUND, COMPOSITION FOR ORGANIC ELECTROLUMINESCENT ELEMENT, ORGANIC ELECTROLUMINESCENT ELEMENT, ORGANIC EL DISPLAY, AND ORGANIC EL LIGHTING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/123269
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a polymer compound that has a high hole transport capacity, has excellent electrochemical stability, and is suitable for film formation by a wet film forming method. Also disclosed is an organic electroluminescent element having a high current efficiency, a low drive voltage, and a long drive lifetime. The polymer compound is characterized by having a crosslinking group that is present through at least one single bond from an arylamine site contained in repeating units.

Inventors:
IIDA KOICHIRO (JP)
ENDO KYOKO (JP)
LI YANJUN (JP)
OKABE KAZUKI (JP)
YABE MASAYOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/056829
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
April 01, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI CHEM CORP (JP)
IIDA KOICHIRO (JP)
ENDO KYOKO (JP)
LI YANJUN (JP)
OKABE KAZUKI (JP)
YABE MASAYOSHI (JP)
International Classes:
C08G73/00; C08G61/12; H01L51/50
Domestic Patent References:
WO2008024379A22008-02-28
WO2008032843A12008-03-20
WO2008038747A12008-04-03
WO2005053056A12005-06-09
WO2005089024A12005-09-22
WO2005022962A12005-03-10
Foreign References:
JP2003147347A2003-05-21
JP2007324280A2007-12-13
JP2007528916A2007-10-18
JP2008280386A2008-11-20
JP2004505169A2004-02-19
JPH11251067A1999-09-17
JP2003031365A2003-01-31
JPH05234681A1993-09-10
JPH0753953A1995-02-28
JP2007067383A2007-03-15
JP2007088433A2007-04-05
JP2007110093A2007-04-26
JPH11242996A1999-09-07
JPH0741759A1995-02-10
JPH1079297A1998-03-24
JPS59194393A1984-11-05
US5645978A1997-07-08
JPH06207169A1994-07-26
JPH05331459A1993-12-14
JPH10270171A1998-10-09
JP2002100478A2002-04-05
JP2002100782A2002-04-05
Other References:
JUNGERMANN, S. ET AL.: "Novel Photo-Cross-Linkable Hole-Transporting Polymers: Synthesis, Characterization, and Application in Organic Light Emitting Diodes", MACROMOLECULES, vol. 39, no. 26, 2006, pages 8911 - 8919, XP008142411
"Handbook for Separation Purification Technology", 1993, CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN
"High-Level Separation of Minor Components and Hardly-Purifying Substances by Chemical Conversion Method", 1988, IPC
"Lecture of Experimental Chemistry, 4th Ed.,", 1990, CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN, article "Separation and Purification"
APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 60, 1992, pages 2711
ADV. MATER., vol. 12, 2000, pages 481
J. PHYS. CHEM., vol. 94, 1990, pages 7716
J. LUMIN., vol. 72-74, 1997, pages 985
CHEM. COMMUN., 1996, pages 2175
SYNTH. METALS, vol. 91, 1997, pages 209
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JOURNAL OF LUMINESCENCE, vol. 72-74, 1977, pages 985
CHEMICAL COMMUNICATIONS, 1996, pages 2175
SYNTHETIC METALS, vol. 91, 1997, pages 209
SEIJI TOKITOH; CHIHAYA ADACHI; HIDEYUKI MURATA: "Organic EL Displays", 20 August 2004, OHMSHA
See also references of EP 2272894A4
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (JP)
Shohei Oguri (JP)
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Claims:
 下記式(I)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする、高分子化合物。
(式中、R 1 及びR 2 は、各々独立に、水素原子、架橋性基以外の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、架橋性基以外の置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は架橋性基以外の置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R 1 及びR 2 は互いに結合して環を形成してもよく、
 nは0~3の整数を表し、
 Ar 1 及びAr 2 は、各々独立に、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 3 ~Ar 5 は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
 Tは架橋性基を含む基を表す。
 但し、Ar 1 、Ar 2 、及びAr 4 が、フルオレン環である場合は、置換基として架橋性基を含む基を有さない。) 
 さらに、下記式(I’)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載の高分子化合物。
(式中、R 11 及びR 12 は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R 11 及びR 12 は互いに結合して環を形成してもよく、
 mは0~3の整数を表し、
 Ar 11 及びAr 12 は、各々独立に、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 13 ~Ar 15 は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
 但し、R 11 及びR 12 、並びにAr 11 ~Ar 15 は置換基として、架橋性基を有さない。)
 架橋性基が、下記架橋性基群T’の中から選ばれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高分子化合物。 
<架橋性基群T’>
(式中、R 21 ~R 25 は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Ar 41 は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
 尚、ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよい。
 置換基同士が環を形成してもよい。) 
 下記式(II)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする、高分子化合物。
(式中、pは0~3の整数を表し、
 Ar 21 及びAr 22 は、各々独立に、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 23 ~Ar 25 は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 T 2 は下記式(IV)で表される基を含む基を表す。
 但し、Ar 21 及びAr 22 のいずれもが、直接結合であることはない。
 更に、Ar 21 、Ar 22 、及びAr 24 が、フルオレン環である場合は、置換基として架橋性基を含む基を有さない。)
(式(IV)中のベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよい。また、置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。)
 さらに、下記式(II’)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項4に記載の高分子化合物。
(式(II’)中、qは0~3の整数を表し、
 Ar 31 及びAr 32 は、各々独立に、直接結合、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 33 ~Ar 35 は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
 但し、Ar 31 及びAr 32 のいずれもが、直接結合であることはない。
 また、Ar 31 ~Ar 35 は、置換基として、式(IV)で表される基を含む基を有さない。
 更に、Ar 31 、Ar 32 、及びAr 34 が、フルオレン環である場合は、置換基として架橋性基を含む基を有さない。)
 請求項1~5のいずれか一項に記載の高分子化合物を架橋させて得られることを特徴とする、網目状高分子化合物。
 請求項1~5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする、有機電界発光素子用組成物。
 基板上に、陽極、陰極、及び該陽極と該陰極の間に有機層を有する有機電界発光素子において、
 該有機層が、請求項6に記載の網目状高分子化合物を含有する層を有することを特徴とする、有機電界発光素子。
 前記網目状高分子化合物を含有する層が、正孔注入層又は正孔輸送層であることを特徴とする、請求項8に記載の有機電界発光素子。
 前記有機層が、正孔注入層、正孔輸送層及び発光層を有し、
 該正孔注入層、該正孔輸送層及び該発光層の全てが湿式成膜法により形成されることを特徴とする、
 請求項8又は9に記載の有機電界発光素子。
 請求項8~10のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えたことを特徴とする、有機ELディスプレイ。
 請求項8~10のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えたことを特徴とする、有機EL照明。
 下記の繰り返し単位群Aより選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位、
 及び下記の繰り返し単位群Bより選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位を有することを特徴とする、高分子化合物。
<繰り返し単位群A>
<繰り返し単位群B>
Description:
高分子化合物、該高分子化合物 架橋させてなる網目状高分子化合物、有機 界発光素子用組成物、有機電界発光素子、 機ELディスプレイ及び有機EL照明

 本発明は、湿式成膜法による成膜が可能 架橋性基を有する高分子化合物と、該高分 化合物を架橋反応させて得られる網目状高 子化合物と、該高分子化合物を含有する有 電界発光素子用組成物と、網目状高分子化 物を含有する層を有する、電流効率が高く 駆動安定性に優れた有機電界発光素子、並 にこの素子を備えた有機ELディスプレイ及 有機EL照明に存する。

 近年、有機薄膜を用いた電界発光素子(有機 電界発光素子)の開発が行われている。有機 界発光素子における有機薄膜の形成方法と ては、真空蒸着法と湿式成膜法が挙げられ 。
 真空蒸着法は積層化が容易であるため、陽 及び/又は陰極からの電荷注入の改善、励起 子の発光層封じ込めが容易であるという利点 を有する。湿式成膜法は真空プロセスが要ら ず、大面積化が容易で、1つの層(塗布液)に様 々な機能をもった複数の材料を混合して入れ ることが容易である等の利点がある。
 しかしながら、湿式成膜法は積層化が困難 あるため、真空蒸着法による素子に比べて 動安定性に劣り、一部を除いて実用レベル 至っていないのが現状である。特に、湿式 膜法での積層化は、有機溶剤と水系溶剤を 用するなどして二層の積層は可能であるが 三層以上の積層化は困難であった。
 このような積層化における問題点を解決す ために、特許文献1では、下記の繰り返し単 位(III-1)及び(III-2)を含む架橋性基を有する高 子化合物が提案され、架橋性基が反応する とによって有機溶剤に不溶にする積層化方 が開示されている。

 しかしながら、特許文献1に記載の高分子化 合物は、フルオレン環の9-位に架橋性基を有 ているため、電気化学的安定性、特に還元( 電子)に対する耐久性に乏しく、特許文献1に 載の高分子化合物を用いた有機電界発光素 の駆動安定性は不十分であると考えられる
 また、特許文献2及び3では、各々下記式で される繰り返し単位を有する高分子化合物 開示されているが、これらの化合物を用い 素子を作製した場合は、平坦な膜が得られ かったり、また得られる素子の駆動寿命が いといった課題があった。

特表2004-505169号公報

国際公開第2008/038747号パンフレット

国際公開第2005/053056号パンフレット

 本発明は、正孔輸送能が高く、電気化学安 性に優れ、湿式成膜法での成膜に適した高 子化合物を提供することを課題とする。
 本発明はまた、電流効率が高く、駆動電圧 低く、更に駆動寿命が長い有機電界発光素 を提供することを課題とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するために 意検討した結果、下記の特定の繰り返し単 を含む高分子化合物が、高い電気化学的安 性、及び、高い正孔輸送能を有する積層化 容易な湿式成膜法に適した化合物であるこ を見出し、本発明に到達した。
 即ち、本発明は以下を要旨とする。
 本発明は、下記式(I)で表される繰り返し単 を含むことを特徴とする、高分子化合物(以 下、「本発明の高分子化合物(i)」と称する) 存する。

 (式中、R 1 及びR 2 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有し ていてもよい芳香族複素環基又は置換基を有 していてもよいアルキル基を表し、R 1 及びR 2 は互いに結合して環を形成してもよく、
 nは0~3の整数を表し、
 Ar 1 及びAr 2 は、各々独立に、直接結合、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を 有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 3 ~Ar 5 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。
 Tは架橋性基を含む基を表す。
 但し、Ar 1 、Ar 2 、及びAr 4 が、フルオレン環である場合は、置換基とし て架橋性基を含む基を有さない。)
 上記高分子化合物(i)は、さらに、下記式(I )で表される繰り返し単位を含むことが好ま い。

(式中、R 11 及びR 12 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有し ていてもよい芳香族複素環基又は置換基を有 していてもよいアルキル基を表し、R 11 及びR 12 は互いに結合して環を形成してもよく、
 mは0~3の整数を表し、
 Ar 11 及びAr 12 は、各々独立に、直接結合、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を 有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 13 ~Ar 15 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。
 但し、R 11 及びR 12 、並びにAr 11 ~Ar 15 は置換基として、架橋性基を有さない。)
 上記高分子化合物(i)において、架橋性基が 下記架橋性基群T’の中から選ばれることが 好ましい。 
<架橋性基群T’>

(式中、R 21 ~R 25 は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を 表す。Ar 41 は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素 基又は置換基を有していてもよい芳香族複素 環基を表す。
 尚、ベンゾシクロブテン環は、置換基を有 ていてもよい。
 置換基同士が環を形成してもよい。) 
 本発明はまた、下記式(II)で表される繰り返 し単位を含むことを特徴とする、高分子化合 物(以下、「本発明の高分子化合物(ii)」と称 る)に存する。

(式中、pは0~3の整数を表し、
 Ar 21 及びAr 22 は、各々独立に、直接結合、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を 有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 23 ~Ar 25 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表し、
 T 2 は下記式(IV)で表される基を含む基を表す。
 但し、Ar 21 及びAr 22 のいずれもが、直接結合であることはない。
 更に、Ar 21 、Ar 22 、及びAr 24 が、フルオレン環である場合は、置換基とし て架橋性基を含む基を有さない。)

(式(IV)中のベンゾシクロブテン環は、置換基 有していてもよい。また、置換基同士が互 に結合して環を形成していてもよい。)
 高分子化合物(ii)は、さらに、下記式(II’) 表される繰り返し単位を含むことが好まし 。

(式(II’)中、qは0~3の整数を表し、
 Ar 31 及びAr 32 は、各々独立に、直接結合、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を 有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 33 ~Ar 35 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。
 但し、Ar 31 及びAr 32 のいずれもが、直接結合であることはない。
 また、Ar 31 ~Ar 35 は、置換基として、式(IV)で表される基を含 基を有さない。
 更に、Ar 31 、Ar 32 、及びAr 34 が、フルオレン環である場合は、置換基とし て架橋性基を含む基を有さない。)
 本発明は、また、下記の繰り返し単位群Aよ り選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位、 及び下記の繰り返し単位群Bより選ばれる少 くとも一つの繰り返し単位を有することを 徴とする、高分子化合物に存する。
<繰り返し単位群A>

<繰り返し単位群B>

 また、本発明は、以下に示す、網目状高分 化合物、有機電界発光素子用組成物、有機 界発光素子、並びに有機ELディスプレイ及 有機EL照明に存する。
 本発明の高分子化合物を架橋させて得られ ことを特徴とする、網目状高分子化合物。
 本発明の高分子化合物を含有することを特 とする、有機電界発光素子用組成物。
 基板上に、陽極、陰極、及び該陽極と該陰 の間に有機層を有する有機電界発光素子に いて、該有機層が、本発明の網目状高分子 合物を含有する層を有することを特徴とす 、有機電界発光素子。
 前記網目状高分子化合物を含有する層が、 孔注入層又は正孔輸送層であることを特徴 する、有機電界発光素子。
 前記有機層が、正孔注入層、正孔輸送層及 発光層を有し、該正孔注入層、該正孔輸送 及び該発光層の全てが湿式成膜法により形 されることを特徴とする、有機電界発光素 。
 本発明の有機電界発光素子を備えたことを 徴とする、有機ELディスプレイ。
 本発明の有機電界発光素子を備えたことを 徴とする、有機EL照明。
 以下、「本発明の高分子化合物」とした場 は、「本発明の高分子化合物(i)」及び「本 明の高分子化合物(ii)」の両方を指すものと する。

 本発明の高分子化合物は、正孔輸送能が高 、溶剤に対する十分な溶解性を有し、成膜 の表面平坦性が高められる。このため、本 明の高分子化合物を架橋して得られる網目 高分子化合物を含有する層(以下、「架橋層 」と称する場合がある)を有する有機電界発 素子は、低い電圧で駆動可能であり、高い 光効率を有し、耐熱性が高く、駆動寿命が い。
 さらに、本発明の高分子化合物は、優れた 気化学的安定性、成膜性、電荷輸送性、発 特性、耐熱性から、素子の層構成に合わせ 、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料 ホスト材料、電子注入材料、又は電子輸送 料などとしても適用可能である。

本発明の有機電界発光素子の構造の一 を模式的に示す断面図である。

 以下に本発明の実施の形態を詳細に説明す が、以下に記載する構成要件の説明は、本 明の実施態様の一例(代表例)であり、本発 はその要旨を超えない限り、これらの内容 特定されない。
<1.高分子化合物(i)>
 本発明の高分子化合物(i)は、下記式(I)で表 れる繰り返し単位を含むことを特徴とする 高分子化合物である。

(式中、R 1 及びR 2 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有し ていてもよい芳香族複素環基又は置換基を有 していてもよいアルキル基を表し、R 1 及びR 2 は互いに結合して環を形成してもよく、
 nは0~3の整数を表し、
 Ar 1 及びAr 2 は、各々独立に、直接結合、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を 有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 3 ~Ar 5 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。
 Tは架橋性基を含む基を表す。
 但し、Ar 1 、Ar 2 、及びAr 4 が、フルオレン環である場合は、置換基とし て架橋性基を含む基を有さない。)

 [1-1.構造上の特徴]
 本発明の高分子化合物(i)は、置換基として1 分子中に少なくとも一つの架橋性基を含む基 を有するため、湿式成膜法により形成した膜 を穏和な条件で有機溶剤に不溶とすることが 可能である。
 ここで、主鎖にあるフルオレン環は、HOMO(hi ghest occupied molecular orbital)及びLUMO(lowest unocc upied molecular orbital)が広がって電荷輸送に強 関与する。
 ここで、本発明の高分子化合物(i)は、主鎖 あるフルオレン環に架橋性基を含む基を有 ていないため、電気化学的安定性、特に耐 元安定性に優れる。また、アリールアミン 位から、少なくとも一つの単結合を介して 橋性基を有するため耐酸化性にも優れる。

[1-2.Ar 1 ~Ar 5 ]
 式(I)中、Ar 1 及びAr 2 は、各々独立して、直接結合、置換基を有し ていてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基 を有していてもよい芳香族複素環基を表し、 Ar 3 ~Ar 5 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。なお、Ar 1 ~Ar 4 は、2価の基であり、Ar 5 は1価の基である。
 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素 としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレ 環、アントラセン環、フェナントレン環、 リレン環、テトラセン環、ピレン環、ベン ピレン環、クリセン環、トリフェニレン環 アセナフテン環、フルオランテン環、フル レン環などの、6員環の単環又は2~5縮合環由 来の基が挙げられる。

 置換基を有していてもよい芳香族複素環 としては、例えばフラン環、ベンゾフラン 、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピ ール環、ピラゾール環、イミダゾール環、 キサジアゾール環、インドール環、カルバ ール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピ ゾール環、ピロロピロール環、チエノピロ ル環、チエノチオフェン環、フロピロール 、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾ ソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール 、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピ ジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ト アジン環、キノリン環、イソキノリン環、 ノリン環、キノキサリン環、フェナントリ ン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン 、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレ 環などの、5又は6員環の単環又は2~4縮合環 来の基が挙げられる。

 有機溶剤に対する溶解性、及び耐熱性の点 ら、Ar 1 ~Ar 5 は、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環 、アントラセン環、フェナントレン環、トリ フェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピ リジン環、フルオレン環からなる群より選ば れる環由来の基が好ましい。
 また、Ar 1 ~Ar 5 としては、前記群から選ばれる1種又は2種以 の環を直接結合、又は―CH=CH―基により連 した2価の基も好ましく、ビフェニレン基及 ターフェニレン基、がさらに好ましい。
 Ar 1 ~Ar 5 における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環 基が後述の架橋性基以外に有していてもよい 置換基としては、特に制限はないが、例えば 、下記[置換基群Z]から選ばれる1種又は2種以 が挙げられる。

[置換基群Z]
 メチル基、エチル基等の好ましくは炭素数1 ~24、更に好ましくは炭素数1~12のアルキル基;
 ビニル基等の好ましくは炭素数2~24、更に好 ましくは炭素数2~12のアルケニル基;
 エチニル基等の好ましくは炭素数2~24、更に 好ましくは炭素数2~12のアルキニル基;
 メトキシ基、エトキシ基等の好ましくは炭 数1~24、更に好ましくは炭素数1~12のアルコ シ基;
 フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオ シ基等の好ましくは炭素数4~36、更に好まし くは炭素数5~24のアリールオキシ基;
 メトキシカルボニル基、エトキシカルボニ 基等の好ましくは炭素数2~24、更に好ましく は炭素数2~12のアルコキシカルボニル基;
 ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の ましくは炭素数2~24、更に好ましくは炭素数 2~12のジアルキルアミノ基;
 ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N -カルバゾリル基等の好ましくは炭素数10~36、 更に好ましくは炭素数12~24のジアリールアミ 基;
 フェニルメチルアミノ基等の好ましくは炭 数6~36、更に好ましくは炭素数7~24のアリー アルキルアミノ基;
 アセチル基、ベンゾイル基等の好ましくは 素数2~24、好ましくは炭素数2~12のアシル基;
 フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;
 トリフルオロメチル基等の好ましくは炭素 1~12、更に好ましくは炭素数1~6のハロアルキ ル基;
 メチルチオ基、エチルチオ基等の好ましく 炭素数1~24、更に好ましくは炭素数1~12のア キルチオ基;
 フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジ チオ基等の好ましくは炭素数4~36、更に好ま しくは炭素数5~24のアリールチオ基;

 トリメチルシリル基、トリフェニルシリル 等の好ましくは炭素数2~36、更に好ましくは 炭素数3~24のシリル基;
 トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロ シ基等の好ましくは炭素数2~36、更に好まし くは炭素数3~24のシロキシ基;
 シアノ基;
 フェニル基、ナフチル基等の好ましくは炭 数6~36、更に好ましくは炭素数6~24の芳香族 化水素基;
 チエニル基、ピリジル基等の好ましくは炭 数3~36、更に好ましくは炭素数4~24の芳香族 素環基
 上記各置換基は、さらに置換基を有してい もよく、その例としては前記置換基群Zに例 示した基が挙げられる。
 Ar 1 ~Ar 5 における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環 基が後述の架橋性基以外に有してもよい置換 基の分子量としては、さらに置換した基を含 めて500以下が好ましく、250以下がさらに好ま しい。

 有機溶媒に対する溶解性が向上する点で、A r 1 ~Ar 5 における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環 基が有していてもよい置換基としては、各々 独立に、炭素数1~12のアルキル基及び炭素数1~ 12のアルコキシ基が好ましい。
 なお、nが2以上である場合、前記式(I)で表 れる繰り返し単位は、2個以上のAr 4 及びAr 5 を有することになる。その場合、Ar 4 同士及びAr 5 同士は、各々、同じでもよく、異なっていて もよい。さらに、Ar 4 同士、Ar 5 同士は、各々互いに直接又は連結基を介して 結合して環状構造を形成していてもよい。

[1-3.架橋性基]
 式(I)中のTは、架橋性基を含む基である。つ まり、本発明の高分子化合物(i)は、置換基と して1分子中に少なくとも1つの架橋性基を含 基を有する。ここで、架橋性基とは、熱及 /又は活性エネルギー線の照射により近傍に 位置するほかの分子の同一又は異なる基と反 応して、新規な化学結合を生成する基のこと をいう。
 中でも、架橋性基としては、架橋しやすい いう点から、下記<架橋性基群T’>から ばれる。
<架橋性基群T’>

(式中、R 21 ~R 25 は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を 表す。Ar 41 は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素 基又は置換基を有していてもよい芳香族複素 環基を表す。
 尚、ベンゾシクロブテン環は、置換基を有 ていてもよい。
 置換基同士が環を形成してもよい。) 

 架橋性基としては、エポキシ基、オキセタ 基などの環状エーテル基、ビニルエーテル などのカチオン重合性基が、反応性が高く 機溶剤に対する架橋が容易な点で好ましい 中でも、カチオン重合の速度を制御しやす 点でオキセタン基が特に好ましく、カチオ 重合の際に素子の劣化をまねくおそれのあ ヒドロキシル基が生成しにくい点でビニル ーテル基が好ましい。
 架橋性基としては、シンナモイル基などア ールビニルカルボニル基、ベンゾシクロブ ン環由来の基などの環化付加反応する基が 電気化学的安定性をさらに向上させる点で ましい。
 分子内において、架橋性基は分子内の芳香 炭化水素基又は芳香族複素環基に直接結合 てもよいが、-O-基、-C(=O)-基又は(置換基を していてもよい)-CH 2 -基から選ばれる基を任意の順番で1~30個連結 てなる2価の基を介して、芳香族炭化水素基 又は芳香族複素環基に結合することが好まし い。これら2価の基を介する架橋性基、すな ち、架橋性基を含む基の具体例は以下の< 橋性基を含む基群T’’>に示す通りであ が、本発明はこれらに限定されるものでは い。
 <架橋性基を含む基群T’’>

[1-4.架橋性基の位置について]
 本発明の高分子化合物(i)は、Ar 3 に、置換基として架橋性基を含む基Tを有す 。
 本発明の高分子化合物(i)が、Tの他に架橋性 基を有する場合、繰り返し単位にあってもよ く、また繰り返し単位以外の部分にあっても よい。但し、後述するR 1 及びR 2 は架橋性基を有さない。
 架橋性基を含む基がAr 3 以外にある場合、架橋性基の還元劣化が起こ りにくい点で、Ar 1 、Ar 2 、Ar 4 、及びAr 5 のいずれかにあるのが好ましい。但し、Ar 1 、Ar 2 、及びAr 4 がフルオレン環である場合は、置換基として 架橋性基を含む基を有さない。前記位置に、 架橋性基を含む場合、フルオレン環にある場 合より、還元劣化しにくくなるからである。
 また、未反応架橋性基数を低減させる点で 架橋性基はTのみに含まれるのが好ましい。

[1-5.架橋性基を含む割合]
 本発明の高分子化合物(i)が有する架橋性基 数の平均値は、好ましくは1分子中1以上、 り好ましくは2以上、また好ましくは200以下 より好ましくは100以下である。
 また、本発明の高分子化合物(i)が有する架 性基の数は、分子量1000あたりの数で表すこ とができる。
 本発明の高分子化合物(i)が有する架橋性基 数を、分子量1000あたりの数で表した場合、 分子量1000あたり、通常3.0個以下、好ましく 2.0個以下、さらに好ましくは1.0以下、また 常0.01以上、好ましくは0.05以上である。
 この上限値を上回ると、クラックによって 坦な膜が得られなかったり、また、架橋密 が大きくなりすぎたりして、架橋層中に未 応の架橋性基が増えて、得られる素子の寿 に影響を及ぼすおそれがある。一方、この 限値を下回ると、有機溶剤に対する不溶性 不十分となり、湿式成膜法で多層積層構造 形成できないおそれがある。
 ここで、本発明の高分子化合物(i)における 分子量1000あたりの架橋性基の数は、該高分 子化合物から末端基を除いて、合成時の仕込 みモノマーのモル比と、構造式から算出する 。
 例えば、後述の合成例35で合成した目的ポ マー3の場合で説明する。

 目的物35において、末端基を除いた繰り し単位の分子量は平均468.9であり、また架橋 性基は、1繰り返し単位当たり平均0.2個であ 。これを単純比例により計算すると、分子 1000あたりの架橋性基の数は、0.426個と算出 れる。

[1-6.R 1 及びR 2 について]
 R 1 及びR 2 は、各々独立に、水素原子、架橋性基以外の 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基 、架橋性基以外の置換基を有していてもよい 芳香族複素環基又は架橋性基以外の置換基を 有していてもよいアルキル基を表し、R 1 及びR 2 は互いに結合して環を形成してもよい。
 置換基を有していてもよいアルキル基とし は、好ましくは炭素数1から8の直鎖又は分 のアルキル基であり、例えばメチル、エチ 、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソ チル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘ シル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基 n-デシル基、n-ドデシル基などが挙げられる 。
 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素 、及び置換基を有していてもよい芳香族複 環基としては、前記[1-2.Ar 1 ~Ar 5 ]の項に記載のものが挙げられる。好ましい も同様である。
 また、R 1 及びR 2 が、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、又 はアルキル基である場合、有していてもよい 置換としては、前記[置換基群Z]の項に記載の ものが挙げられる。好ましい例も同様である 。
 また、R 1 及びR 2 が、互いに結合して環を形成している場合の 、フルオレン環を含む好ましい具体例を、以 下<具体例>に示すが、本発明はこれらに 定されるものではない。
<具体例>

 中でも、電気化学的安定性の点から、S-1 S-2、S-5及びS-9が好ましく、耐熱性の点からS -5がさらに好ましく、架橋前の有機溶剤に対 る溶解性が高い点からS-1及びS-2が特に好ま い。

[1-7.nについて]
 式(I)におけるnは、0~3の整数を表す。
 nは0であることが、高分子化合物の有機溶 に対する溶解性及び成膜性が高められる点 好ましい。nは1~3であることが、高分子化合 の正孔輸送能が向上する点で好ましい。
[1-8.分子量]
 本発明の高分子化合物(i)の重量平均分子量( Mw)は、通常3,000,000以下、好ましくは1,000,000以 下、より好ましくは500,000以下であり、また 常1,000以上、好ましくは2,500以上、より好ま くは5,000以上である。
 また、本発明の高分子化合物(i)の数平均分 量(Mn)は、通常3000以上、好ましくは6000以上 あり、通常1000000以下、好ましくは500000以下 である。重量平均分子量又は数平均分子量が この範囲の下限値を下回ると、架橋層の有機 溶剤に対する不溶性が低減して、積層できな くなる可能性があり、ガラス転移温度が低下 して耐熱性が損なわれる可能性がある。また 、この範囲の上限値を上回ると架橋前におい ても有機溶剤に溶解せずに、平坦な膜が得ら れない可能性がある。
 さらに、本発明の高分子化合物(i)における 散度(Mw/Mn)は、通常3.5以下、好ましくは2.5以 下、より好ましくは2.0以下である。高分子化 合物(i)の分散度がこの範囲の上限値を上回る と精製が困難となったり、有機溶剤に対する 溶解性が低下したり、電荷輸送能が低下した りする可能性がある。なお、分散度は、理想 的には1.0である。

 通常、この重量平均分子量はSEC(サイズ排除 クロマトグラフィー)測定により決定される SEC測定では高分子量成分ほど溶出時間が短 、低分子量成分ほど溶出時間が長くなるが 分子量既知のポリスチレン(標準試料)の溶出 時間から算出した校正曲線を用いて、サンプ ルの溶出時間を分子量に換算することによっ て、重量平均分子量が算出される。
[1-9.更に有される繰り返し単位 ]
 本発明の高分子化合物(i)は、架橋性基の数 調整することで、未反応架橋性基の数を低 して、得られる素子の駆動寿命を向上でき 点で、下記式(I’)で表される繰り返し単位 含むことを好ましい。

(式中、R 11 及びR 12 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有し ていてもよい芳香族複素環基又は置換基を有 していてもよいアルキル基を表し、R 11 及びR 12 は互いに結合して環を形成してもよく、
 mは0~3の整数を表し、
 Ar 11 及びAr 12 は、各々独立に、直接結合、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を 有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 13 ~及びAr 15 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。
 但し、R 11 及びR 12 、並びにAr 11 ~Ar 15 は、置換基として、架橋性基を含む基は有さ ない。)

(1-9-1.Ar 11 ~Ar 15 について)
 Ar 11 及びAr 12 は、各々独立に、直接結合、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を 有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 13 ~Ar 15 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。なお、Ar 11 、Ar 12 、及びAr 14 は2価の基であり、Ar 13 及びAr 15 は1価の基である。
 Ar 11 ~Ar 15 における置換基を有していてもよい芳香族炭 化水素基、及び置換基を有していてもよい芳 香族複素環基の具体例は、前記[1-2.Ar 1 ~Ar 5 ]の項で記載のものと同様である。また、好 しい例も同様である。但し、Ar 11 ~Ar 15 は、置換基として架橋性基を含む基を有さな い。

(1-9-2.R 11 及びR 12 について)
 式中、R 11 及びR 12 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有し ていてもよい芳香族複素環基又は置換基を有 していてもよいアルキル基を表す。
 R 11 及びR 12 の、置換基を有していてもよい芳香族炭化水 素基、置換基を有していてもよい芳香族複素 環基、及び置換基を有していてもよいアルキ ル基の具体例は、前記[1-6.R 1 及びR 2 について]の項に記載したものと同様である 好ましい例も同様である。
(1-9-3.mについて)
 mは0~3の整数を表す。
 上記mは、[1-7.nについて] の項に記載のnと 様である。好ましい例も同様である。

[1-10.繰り返し単位の割合]
 本発明の高分子化合物(i)が、式(I’)で表さ る繰り返し単位を有する場合、式(I)で表さ る繰り返し単位に対する式(I’)で表される り返し単位の割合{式(I’)で表される繰り返 し単位/式(I)で表される繰り返し単位}は、仕 みモル比で、通常0.01倍モル以上、好ましく は50モル倍以上、さらに好ましくは80モル倍 上、また通常100モル倍以下、好ましくは50モ ル倍以下である。
 上記範囲内であると、高分子化合物の正孔 送能及び還元耐性に優れる点で好ましい。 た、得られる素子の駆動電圧が低く、また 動寿命が向上する点で好ましい。
 さらに、本発明の高分子化合物(i)が、式(I) 表される繰り返し単位及び式(I’)で表され 繰り返し単位以外の、繰り返し単位を有す 場合、式(I)で表される繰り返し単位及び式( I’)で表される繰り返し単位の含有量は、合 で通常10モル%以上、好ましくは50モル%以上 更に好ましくは80モル%以上である。
 上記範囲内であると、高分子化合物の正孔 送能及び還元耐性に優れる点で好ましい。 た、得られる素子の駆動電圧が低く、また 動寿命が向上する点で好ましい。

[1-11.物性など]
 本発明の高分子化合物(i)のガラス転移温度 、通常50℃以上、80℃以上、より好ましくは 100℃以上、また 、通常300℃以下である。
 上記範囲内であると、高分子化合物の耐熱 が優れ、得られる素子の駆動寿命が向上す 点で好ましい。
 また、本発明の高分子化合物(i)のイオン化 テンシャルは、通常4.5eV以上、好ましくは4. 8eV以上、また、通常6.0eV以下、好ましくは5.7e V以下である。
 上記範囲内であると、高分子化合物の電荷 入輸送能が優れ、得られる素子の駆動電圧 低下するため好ましい。

[1-12.具体例]
 式(I)で表される繰り返し単位の好ましい具 例を、以下<式(I)で表される繰り返し単位 群C>に示すが、本発明はこれらに限定され ものではない。
<式(I)で表される繰り返し単位群C>

 式(I’)で表される繰り返し単位の好ましい 体例を、以下<式(I’)で表される繰り返し 単位群D>に示すが、本発明はこれらに限定 れるものではない。
<式(I’)で表される繰り返し単位群D>

 本発明の高分子化合物(i)に含まれてもよい 式(I)で表される繰り返し単位及び式(I’)で される繰り返し単位以外の、繰り返し単位 しては、後述の<4.合成例>の項で記載の 、以下に表される繰り返し単位の、Ar a 及びAr c が、トリアリールアミン構造を含まない2価 基であればよい。

 本発明の高分子化合物(i)に含まれていても い、式(I)で表される繰り返し単位及び式(I )で表される繰り返し単位以外の、繰り返し 位の好ましい具体例を、以下<その他の繰 り返し単位群E>に示すが、本発明はこれら 限定されるものではない。
<その他の繰り返し単位群E>

<2.高分子化合物(ii)>
 本発明の高分子化合物(ii)は、下記式(II)で される繰り返し単位を含むことを特徴とす 、高分子化合物である。

(式中、pは0~3の整数を表し、
 Ar 21 及びAr 22 は、各々独立に、直接結合、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を 有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 23 ~Ar 25 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表し、
 T 2 は下記式(IV)で表される基を含む基を表す。
 但し、Ar 21 及びAr 22 のいずれもが、直接結合であることはない。
 更に、Ar 21 、Ar 22 、及びAr 24 が、フルオレン環である場合は、置換基とし て架橋性基を含む基を有さない。)

(式(IV)中のベンゾシクロブテン環は、置換基 有していてもよい。また、置換基同士が互 に結合して環を形成していてもよい。)
[2-1.構造上の特徴]
 式(IV)で表される基は、架橋後の構造が特に 安定である。その為、本発明の高分子化合物 (ii)は架橋することで、有機溶剤に対する溶 性を十分に低下させることが可能である。
 さらに、アリールアミン部位から、少なく も一つの単結合を介して、式(IV)で表される 基を有する。そのため、アリールアミンの窒 素原子にある孤立電子が式(IV)で表される基 流れにくくなり、式(IV)で表される基の電気 安定性に優れるため好ましい。また、高分 化合物が凝集しにくくなるため、凝集に伴 高分子化合物の電荷輸送能の低下が起こり くいため好ましい。

[2-2.Ar 21 ~Ar 25 について]
 Ar 21 及びAr 22 は、各々独立に、直接結合、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を 有していてもよい芳香族複素環基を表し、
 Ar 23 ~Ar 25 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。なお、Ar 23 、Ar 24 は2価の基であり、Ar 25 は1価の基である。
 Ar 21 ~Ar 25 における置換基を有していてもよい芳香族炭 化水素基、及び置換基を有していてもよい芳 香族複素環基の具体例は、前記[1-2.Ar 1 ~Ar 5 ]の項で記載のものと同様である。また、好 しい例も同様である。

[2-3.式(IV)で表される基]
 式(II)中のT 2 は、下記式(IV)で表される基を含む基である つまり、本発明の高分子化合物(ii)は、1分子 中に少なくとも一つの下記式(IV)で表される を含む基を置換基として有する。

(式(IV)中のベンゾシクロブテン環は、置換基 有していてもよい。また、置換基同士が、 いに結合して環を形成してもよい。)
 上記式(IV)中のベンゾシクロブテン環が有し ていてもよい置換基としては、前記[置換基 Z]の項に記載のものが挙げられる。好ましい 例も同様であり、最も好ましくは無置換であ る。
 本発明の高分子化合物(ii)は、式(IV)で表さ る基が-O-基、-C(=O)-基又は(置換基を有してい てもよい)-CH 2 -基から選ばれる基を任意の順番で1~30個連結 てなる2価の基を介して、芳香族炭化水素基 又は芳香族複素環基に結合すること、つまり 、T 2 が式(IV)で表される基を含む基であることが ましい。これは、式(IV)中のベンゾシクロブ ン環の酸化還元安定性が優れるためである

[2-4.式(IV)で表される基を有する位置について ]
 本発明の高分子化合物(ii)は、T 2 として式(IV)で表される基を含む基を有する
 式(IV)を含む基であるT 2 が、Ar 23 に結合することで、他の位置に結合した場合 よりも、式(IV)の酸化還元安定性に優れ、ま 凝集しにくい点で好ましい。
 本発明の高分子化合物(ii)が、T 2 の他に式(IV)で表される基を含む基を有する 合、該基は、繰り返し単位にあってもよく また繰り返し単位以外の部分にあってもよ 。
 式(IV)で表される基を含む基が、Ar 23 以外にある場合、式(IV)で表される基の還元 化が起こりにくい点で、Ar 21 、Ar 22 、Ar 24 、及びAr 25 のいずれかにあるのが好ましい。但し、Ar 21 、Ar 22 、及びAr 24 がフルオレン環である場合は、置換基として 架橋性基を含む基を有さない。

[2-5.式(IV)で表される基を含む割合]
 本発明の高分子化合物(ii)が有する、式(IV) 表される基の割合は、前記[1-5.架橋性基を含 む割合]の項において、架橋性基を、式(IV)で される基とした場合と同様である。また、 ましい範囲も同様である。

[2-6.pの説明]
 前記式(II)におけるpは、0~3の整数を表す。
 上記pは、[1-7.nについて] の項に記載のnと 様である。好ましい例も同様である。
[2-7.さらに含まれる繰り返し単位]
 本発明の高分子化合物(ii)は、さらに、下記 式(II’)で表される繰り返し単位を含むこと 好ましい。

(式(II’)中、qは0~3の整数を表し、
 Ar 31 及びAr 32 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよ い芳香族複素環基又は直接結合を表し、
 Ar 33 、Ar 34 及びAr 35 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。
 但し、Ar 31 及びAr 32 のいずれもが、直接結合であることはない。
 また、Ar 31 ~Ar 35 は、置換基として、式(IV)で表される基を有 ない。
 更に、Ar 31 、Ar 32 、及びAr 34 が、フルオレン環である場合は、置換基とし て架橋性基を含む基を有さない。)

(2-5-1.Ar 31 ~Ar 35 について)
 Ar 31 及びAr 32 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよ い芳香族複素環基又は直接結合を表し、
 Ar 33 ~Ar 35 は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。なお、Ar 31 、Ar 32 及びAr 34 は2価の基であり、Ar 33 及びAr 35 は1価の基である。
 Ar 31 ~Ar 35 における置換基を有していてもよい芳香族炭 化水素基、及び置換基を有していてもよい芳 香族複素環基の具体例は、前記[1-2.Ar 1 ~Ar 5 ]の項で記載のものと同様である。また、好 しい例も同様である。
 但し、Ar 31 ~Ar 35 は、置換基として式(IV)で表される基を含ま い。
 更に、Ar 31 、Ar 32 、及びAr 34 が、フルオレン環である場合は、置換基とし て架橋性基を含む基を有さない。
(2-5-2.qについて)
 式(II’)におけるqは0~3の整数を表す。
上記qは、[1-7.nについて] の項に記載のnと同 である。好ましい例も同様である。

[2-6.繰り返し単位の割合]
 本発明の高分子化合物(ii)が、式(II’)で表 れる繰り返し単位を有する場合、式(II)で表 れる繰り返し単位に対する式(II’)で表され る繰り返し単位の割合{式(II’)で表される繰 返し単位/式(II)で表される繰り返し単位}は 前記[1-10.繰り返し単位の割合]の項で記載の ものと同様である。つまり、式(I)で表される 繰り返し単位を、式(II)で表される繰り返し 位に、式(I’)で表される繰り返し単位を、 (II’)で表される繰り返し単位に置き換えた 合と同様である。また、好ましい態様も同 である。本発明の高分子化合物(ii)は、式(II )で表される繰り返し単位及び式(II’)で表さ る繰り返し単位以外の、繰り返し単位を含 でいてもよい。

[2-7.物性など]
 本発明の高分子化合物(ii)の物性は、前記[1- 10.物性など]の項に記載のものと同様である また、好ましい態様も同様である。
[2-8.具体例]
 式(II)で表される繰り返し単位の好ましい具 体例を、以下<式(II)で表される繰り返し単 群F>に示すが、本発明はこれらに限定さ るものではない。
<式(II)で表される繰り返し単位群F>

 また、前記<式(I)で表される繰り返し単位 群C>の項で記載した具体例のうち、式(IV)で 表される基を有する繰り返し単位も、式(II) 表される繰り返し単位の好ましい具体例と て挙げられる。
 式(II’)で表される繰り返し単位の好ましい 具体例を、以下<式(II’)で表される繰り返 単位群G>に示すが、本発明はこれらに限 されるものではない。
<式(II’)で表される繰り返し単位群G>

 また、前記<式(I’)で表される繰り返し単 位群D>の項に記載した具体例のうち、式(II )で表される繰り返し単位に該当するものは 、式(II’)で表される繰り返し単位群の好ま い具体例として挙げられる。
 本発明の高分子化合物(ii)に含まれてもよい 、式(II)で表される繰り返し単位及び式(II’) 表される繰り返し単位以外の、繰り返し単 としては、後述の<4.合成法>の項で記載 の、以下に表される繰り返し単位の、Ar a 及びAr c が、トリアリールアミン構造を含まない2価 基であればよい。

 本発明の高分子化合物(ii)に含まれていても よい、式(II)で表される繰り返し単位及び式(I I’)で表される繰り返し単位以外の、繰り返 単位の好ましい具体例を、以下<その他の 繰り返し単位群H>に示すが、本発明はこれ に限定されるものではない。
<その他の繰り返し単位群H>

<3.特に好ましい高分子化合物>
 本発明の高分子化合物は、下記の繰り返し 位群Aより選ばれる少なくとも一つの繰り返 し単位、及び下記の繰り返し単位群Bより選 れる少なくとも一つの繰り返し単位を有す 高分子化合物であることが特に好ましい。
<繰り返し単位A>

<繰り返し単位B>

<4.合成法>
 本発明の高分子化合物は、目的とする化合 の構造に応じて原料を選択し、公知の手法 用いて合成することができる。
 本発明の高分子化合物は、下記式のように 般式(Va)で表されるハロゲン化物と、一般式 (Vb)で表される二級アミン化合物又は一般式(V c)であらわされるホウ素化合物とを、炭酸カ ウム、tert-ブトキシナトリウム、トリエチ アミン等の塩基存在下、逐次重合すること 得られる。必要に応じて、銅やパラジウム 体等の遷移金属触媒を用いることも出来る
 つまり、本発明の高分子化合物は、式(Va)と 式(Vb)とをN-Ar結合を形成する反応(例えば、Buc hwald-Hartwigカップリング、Ullmannカップリング ど)により、また、式(Va)と式(Vc)とをAr-Ar結 を形成する反応(例えば、Suzukiカップリング ど)によって、それぞれ逐次重合させること によって得られる。

(式中、Xはハロゲン原子又は、CF 3 SO 2 O-基のようなスルホン酸エステル基を示し、A rは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基 は置換基を有してもよい芳香族複素環基を し、
R’はヒドロキシ基又は互いに結合して環を 成してもよいアルコキシ基を示し、
Ar a 、Ar b 、及びAr c は各々独立に置換基を有してもよい2価の芳 族炭化水素基又は置換基を有してもよい2価 芳香族複素環基を示す。)
 但し、本発明の高分子化合物(i)を合成する 合は、Ar a 又はAr b 、並びにAr a 又はAr c 、の少なくとも1つは下記式(VI)で表される2価 の基を含む。

(式中、R 51 、及びR 52 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有し ていてもよい芳香族複素環基又は置換基を有 していてもよいアルキル基を表し、R 51 、及びR 52 は互いに結合して環を形成してもよい。)
 R 51 及びR 52 は、前記[1-6.R 1 及びR 2 について]の項におけるR 1 及びR 2 と同様である。好ましい態様も同様である。
 Ar a 及びAr c は、各々独立に、置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基又は置換基を有していても よい芳香族複素環基を表す。上記合成方法の 場合、Ar a 及びAr c の好ましい具体例としては、後述の<置換 を有していてもよい2価の基群A>、<置換 を有していてもよい2価の基群B>、及び< 置換基を有していてもよい2価の基群C>が挙 げられる。
 また、Ar b は、式(Vb)で好ましい具体例を挙げており、 体的には後述の<具体例群D>及び<具体 群E>が挙げられる。
 本発明の高分子化合物は、適宜Ar a 、Ar c 及び式(Vb)の選択を行って、本発明の高分子 合物を合成することができる。
 例えば、本発明の高分子化合物(i)を合成す 場合は、高分子化合物中に、式(VI)で表され る2価の基及び架橋性基を含む基が含まれる に適宜Ar a 、Ar c 及び式(Vb)の選択を行って、本発明の高分子 合物(i)を合成する。

 Ar a 及びAr c の少なくとも一つは、式(VI)で表される2価の を有するとは、例えば、Ar a 又はAr c が後述の<置換基を有していてもよい2価の 群A>から選ばれる基であることを意味す 。
 同様に、Ar a 及びAr c の少なくとも一つは、架橋性基を有するとは 、例えば、Ar a 又はAr c が後述の<置換基を有していてもよい2価の 群B>から選ばれる基であることを意味す 。
 これより、例えば、Ar a が<置換基を有していてもよい2価の基群A> ;から選ばれる基であり、Ar c が<置換基を有していてもよい2価の基群B> ;から選ばれる基であることにより、本発明 高分子化合物(i)を合成できる。
 Ar a と式(Vb)の場合も同様である。
 また、本発明の高分子化合物(ii)を合成する 場合は、高分子化合物中に、式(IV)で表され 基が含まれる様に適宜Ar a 、Ar c 、及び式(Vb)の選択を行って、本発明の高分 化合物(ii)を合成する。

 Ar a 及びAr c の少なくとも一つは、式(IV)で表される基を するとは、例えば、Ar a 又はAr c が後述の<置換基を有していてもよい2価の 群B>に記載の具体例において、式(IV)で表 れる基を有する基であることを意味する。
 Ar a と式(Vb)の場合も同様である。
 以下に、Ar a 、及びAr c が、前記式(VI)で表される2価の基を含み、架 性基を含む基有さない場合の好ましい具体 を以下<置換基を有していてもよい2価の 群A>に示すが、本発明はこれらに限定され るものではない。 
 <置換基を有していてもよい2価の基群A>

 以下に、Ar a 及びAr c が、前記式(VI)で表される2価の基を有さず、 橋性基を含む基を有する場合の好ましい具 例を、以下<置換基を有していてもよい2 の基群B>に示すが、本発明はこれらに限定 されるものではない。
<置換基を有していてもよい2価の基群B>

 以下に、Ar a 、及びAr c が、前記式(VI)で表される2価の基を有さず、 橋性基を含む基を有さない場合の好ましい 体例を以下<置換基を有していてもよい2 の基群C>示すが、本発明はこれらに限定さ れるものではない。
<置換基を有していてもよい2価の基群C>

 以下に、式(Vb)の、前記式(VI)で表される2価 基を有さず、架橋性基を含む基を有する好 しい具体例を以下<具体例群D>に示すが 本発明はこれらに限定されるものではない  
<具体例群D>

 以下に、式(Vb)の、前記式(VI)で表される2価 基を有さず、かつ架橋性基を含む基を有さ い場合の、好ましい具体例を<具体例群E&g t;示すが、本発明はこれらに限定されるもの はない。
<具体例群E>

 化合物の精製方法としては、「分離精製 術ハンドブック」(1993年、(財)日本化学会編 )、「化学変換法による微量成分及び難精製 質の高度分離」(1988年、(株)アイ ピー シー 発行)、あるいは「実験化学講座(第4版)1」(199 0年、(財)日本化学会編)の「分離と精製」の に記載の方法をはじめとし、公知の技術を 用可能である。具体的には、抽出(懸濁洗浄 煮沸洗浄、超音波洗浄、酸塩基洗浄を含む) 、吸着、吸蔵、融解、晶析(溶剤からの再結 、再沈殿を含む)、蒸留(常圧蒸留、減圧蒸留 )、蒸発、昇華(常圧昇華、減圧昇華)、イオン 交換、透析、濾過、限外濾過、逆浸透、圧浸 透、帯域溶解、電気泳動、遠心分離、浮上分 離、沈降分離、磁気分離、各種クロマトグラ フィー(形状分類:カラム、ペーパー、薄層、 ャピラリー、移動相分類:ガス、液体、ミセ ル、超臨界流体。分離機構:吸着、分配、イ ン交換、分子ふるい、キレート、ゲル濾過 排除、アフィニティー)などが挙げられる。

 生成物の確認や純度の分析方法としては ガスクロマトグラフ(GC)、高速液体クロマト グラフ(HPLC)、高速アミノ酸分析計(高分子化 物)、キャピラリー電気泳動測定(CE)、サイズ 排除クロマトグラフ(SEC)、ゲル浸透クロマト ラフ(GPC)、交差分別クロマトグラフ(CFC)、質 量分析(MS、LC/MS,GC/MS,MS/MS)、核磁気共鳴装置(NM R(1HNMR,13CNMR))、フーリエ変換赤外分光高度計(F T-IR)、紫外可視近赤外分光高度計(UV.VIS,NIR)、 子スピン共鳴装置(ESR)、透過型電子顕微鏡(T EM-EDX)電子線マイクロアナライザー(EPMA)、金 元素分析(イオンクロマトグラフ、誘導結合 ラズマ-発光分光(ICP-AES)原子吸光分析(AAS)、 光X線分析装置(XRF))、非金属元素分析、微量 成分分析(ICP-MS,GF-AAS,GD-MS)等を必要に応じ、適 用可能である。

<5.高分子化合物の用途>
 本発明の高分子化合物は、電荷輸送材料と て用いられることが好ましく、特に有機電 発光素子材料として用いられることが好ま い。有機電界発光素子材料として用いられ 場合は、有機電界発素子における正孔注入 及び/又は正孔輸送層の電荷輸送材料として 用いることが好ましい。
 また、有機電界発光素子を簡便に製造でき ことから、本発明の高分子化合物は、湿式 膜法で形成される有機層に用いることが好 しい。

<6.網目状高分子化合物>
 本発明の高分子化合物は、下記<7.有機電 発光素子用組成物>[成膜方法]の項で記載 ように、加熱及び/又は光などの活性エネル ギー照射により、架橋反応を起こし、網目状 高分子化合物を形成することができる。網目 状高分子化合物を含む層は、下記詳述の正孔 注入層及び/又は正孔輸送層であることが好 しい。
 本発明の網目状高分子化合物の架橋率は、 記[6-1.架橋率の測定方法]の項で記載の方法 測定した場合で、通常70%以上、好ましくは8 0%以上、また通常120%以下、好ましくは110%以 である。上記範囲内であると、網目状高分 化合物を含有する層と、該層上に湿式成膜 で形成された層とが混合せず、得られる素 の特性に影響しない点で好ましい。

 [6-1.架橋率の測定方法]
 本発明における架橋率は、以下の方法にて 厚L1及びL2を各々測定し、L2/L1を算出した値 ある。
[6-1-1.成膜方法、及び膜厚L1の測定方法]
 25mm×37.5mmサイズのガラス基板を超純水で洗 し、乾燥窒素で乾燥して、UV/オゾン洗浄を う。
 測定サンプル(通常、測定する化合物の固形 分濃度が1重量%となるように調製された溶液) を前記ガラス基板にスピンコートして膜を形 成する。
 スピンコート条件は、下記の通りである。
 [スピンコート条件]
 気温:23℃
 相対湿度: 60%
 スピナ回転数: 1500rpm
 スピナ回転時間:30秒とした。
 塗布後、80℃、1分加熱乾燥を行い、次いで 230℃にて、60分間加熱乾燥する。得られた を約1mm幅で掻き取り、膜厚計(テンコールP-15 、ケーエルエーテンコール社製)で膜厚L1(nm) 測定する。

[6-1-2.膜厚L2の測定方法]
 膜厚L1測定後の基板をスピナにセットし、 定サンプルに用いた溶剤と同様の溶剤を膜 測定した箇所に垂らし、10秒後に、上記の< ;スピンコート条件>と同様にスピンコート 行う。続いて再び同じ箇所の膜厚L2(nm)を測 し、架橋率L2/L1を算出する。

<7.有機電界発光素子用組成物>
 本発明の有機電界発光素子用組成物は、本 明の高分子化合物を少なくとも1種含む組成 物である。
 本発明の有機電界発光素子用組成物は、陽 と陰極の間に配置された有機層を有する有 電界発光素子において、通常、該有機層を 式成膜法により形成する際の塗布液として いられる。本発明の有機電界発光素子用組 物は、該有機層のうち、正孔輸送層を形成 るために用いられることが好ましい。
 なお、ここでは、有機電界発光素子におけ 陽極-発光層間の層が1つの場合には、これ 「正孔輸送層」と称し、2つ以上の場合は、 極に接している層を「正孔注入層」、それ 外の層を総称して「正孔輸送層」と称す。 た、陽極-発光層間に設けられた層を総称し て「正孔注入・輸送層」と称する場合がある 。
 本発明の有機電界発光素子用組成物は、本 明の高分子化合物を含有することを特徴と るが、通常、さらに溶剤を含有する。
 該溶剤は、本発明の高分子化合物を溶解す ものが好ましく、通常、高分子化合物を常 で0.05重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、 らに好ましくは1重量%以上溶解する溶剤で る。
 なお、本発明の有機電界発光素子用組成物 、本発明の高分子化合物の1種のみを含むも のであってもよく、2種以上を含むものであ てもよい。
 本発明の有機電界発光素子用組成物は、本 明の高分子化合物を通常0.01重量%以上、好 しくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重 量%以上、また、通常50重量%以下、好ましく 20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下 有する。

 また、上記組成物は、各種添加物等の添加 を含んでいてもよい。この場合は、溶剤と ては、本発明の高分子化合物と添加剤の双 を0.05重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、 らに好ましくは1重量%以上溶解する溶剤を 用することが好ましい。
 本発明の有機電界発光素子用組成物に含ま る、本発明の高分子化合物の架橋反応を促 する添加物としては、アルキルフェノン化 物、アシルホスフィンオキサイド化合物、 タロセン化合物、オキシムエステル化合物 アゾ化合物、オニウム塩などの重合開始剤 重合促進剤、縮合多環炭化水素、ポルフィ ン化合物、ジアリールケトン化合物などの 増感剤等が挙げられる。これらは1種を単独 で用いてもよく、2種以上を併用してもよい
 本発明の有機電界発光素子用組成物は、正 注入層を形成するために用いる場合、形成 た層の抵抗値を低下する点で、さらに電子 容性化合物を含有することが好ましい。
 電子受容性化合物としては、酸化力を有し 上述の正孔輸送性化合物から一電子受容す 能力を有する化合物が好ましい。具体的に 、電子親和力が4eV以上である化合物が好ま く、5eV以上の化合物である化合物がさらに ましい。

 電子受容性化合物の例としては、例えば、4 -イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨード ウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボ ラート等の有機基の置換したオニウム塩、塩 化鉄(III)(特開平11-251067号公報)、ペルオキソ 硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合 、テトラシアノエチレン等のシアノ化合物 トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(特 2003-31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物、フ ラーレン誘導体、ヨウ素等が挙げられる。
 上記の化合物のうち、強い酸化力を有する で、有機基の置換したオニウム塩、高原子 の無機化合物等が好ましい。また、種々の 剤に対する溶解性が高く湿式成膜法で膜を 成するのに適用可能である点で、有機基の 換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族 ウ素化合物等が好ましい。
 電子受容性化合物として好適な有機基の置 したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホ 素化合物の具体例としては、国際公開第2005 /089024号パンフレットに記載のものが挙げら 、その好ましい例も同様である。例えば、 記構造式で表わされる化合物が挙げられる 、これらに限定されるものではない。

 なお、電子受容性化合物は1種類を単独で用 いてもよく、また2種類以上を任意の組み合 せ、及び比率で用いてもよい。
 本発明の有機電界発光素子用組成物に含有 れる溶剤としては、特に制限されるもので ないが、本発明の高分子化合物を溶解させ 必要があることから、好ましくは、トルエ 、キシレン、メチシレン、シクロヘキシル ンゼン等の芳香族化合物;1,2-ジクロロエタ 、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の 含ハロゲン溶剤;エチレングリコールジメチ エーテル、エチレングリコールジエチルエ テル、プロピレングリコール-1-モノメチル ーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル 1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベ ゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキ シトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキ トルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメ チルアニソール等の芳香族エーテル等のエー テル系溶剤;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、乳酸 エチル、乳酸n-ブチル等の脂肪族エステル;酢 酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香 酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソプ ロピル、安息香酸プロピル、安息香酸n-ブチ 等のエステル系溶剤等の有機溶剤が挙げら る。これらは1種を単独で用いてもよく、2 以上を併用してもよい。
 本発明の有機電界発光素子用組成物に含有 れる溶剤の組成物中の濃度は、通常10重量% 上、好ましくは50重量%以上、より好ましく 80重量%以上である。
 なお、水分は有機電界発光素子の性能劣化 中でも特に連続駆動時の輝度低下を促進す 可能性があることが広く知られており、塗 中に残留する水分をできる限り低減するた に、これらの溶剤の中でも、25℃における の溶解度が1重量%以下であるものが好ましく 、0.1重量%以下である溶剤がより好ましい。

 本発明の有機電界発光素子用組成物に含有 れる溶剤として、20℃における表面張力が40 dyn/cm未満、好ましくは36dyn/cm以下、より好ま くは33dyn/cm以下である溶剤が挙げられる。
 即ち、本発明における架橋層を湿式成膜法 より形成する場合、下地との親和性が重要 ある。膜質の均一性は有機電界発光素子の 光の均一性、安定性に大きく影響するため 湿式成膜法に用いる塗布液には、よりレベ ング性が高く均一な塗膜を形成しうるよう 表面張力が低いことが求められる。このよ な溶剤を使用することにより、本発明にお る架橋層を均一に形成することができる。
 このような低表面張力の溶剤の具体例とし は、前述したトルエン、キシレン、メチシ ン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族系 剤、安息香酸エチル等のエステル系溶剤、 ニソール等のエーテル系溶剤、トリフルオ メトキシアニソール、ペンタフルオロメト シベンゼン、3-(トリフルオロメチル)アニソ ール、エチル(ペンタフルオロベンゾエート) が挙げられる。
 これらの溶剤の組成物中の濃度は、通常10 量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ま くは50重量%以上である。

 本発明の有機電界発光素子用組成物に含有 れる溶剤としてはまた、25℃における蒸気 が10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下で、通常0.1 mmHg以上の溶剤が挙げられる。このような溶 を使用することにより、有機電界発光素子 湿式成膜法により製造するプロセスに好適 、また、本発明の高分子化合物の性質に適 た組成物を調製することができる。このよ な溶剤の具体例としては、前述したトルエ 、キシレン、メチシレン等の芳香族系溶剤 エーテル系溶剤及びエステル系溶剤が挙げ れる。これらの溶剤の組成物中の濃度は、 常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、よ 好ましくは50重量%以上である。
 本発明の有機電界発光素子用組成物に含有 れる溶剤として、25℃における蒸気圧が2mmHg 以上、好ましくは3mmHg以上、より好ましくは4 mmHg以上(但し、上限は好ましくは10mmHg以下で る。)である溶剤と、25℃における蒸気圧が2 mmHg未満、好ましくは1mmHg以下、より好ましく は0.5mmHg以下である溶剤との混合溶剤が挙げ れる。このような混合溶剤を使用すること より、湿式成膜法により本発明の高分子化 物、更には電子受容性化合物を含む均質な を形成することができる。このような混合 剤の組成物中の濃度は、通常10重量%以上、 ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量 %以上である。

 有機電界発光素子は、有機化合物からな 層を多数積層して形成するため、膜質が均 であることが非常に重要である。湿式成膜 で層形成する場合、その材料や、下地の性 によって、スピンコート法、スプレー法な の塗布法や、インクジェット法、スクリー 法などの印刷法等の成膜方法が採用できる 例えばスプレー法は、凹凸のある面への均 な膜形成に有効であるため、パターニング れた電極や画素間の隔壁による凹凸が残る に、有機化合物からなる層を設ける場合に 好ましい。スプレー法による塗布の場合、 ズルから塗布面へ噴射された塗布液の液滴 できる限り小さい方が、均一な膜質が得ら るため好ましい。そのためには、塗布液に 気圧の高い溶剤を混合し、塗布雰囲気中に いて噴射後の塗布液滴から溶剤の一部が揮 することにより、基板に付着する直前に細 い液滴が生成する状態が好ましい。また、 り均一な膜質を得るためには、塗布直後に 板上に生成した液膜がレベリングする時間 確保することが必要で、この目的を達成す ためにはより乾燥の遅い溶剤、すなわち蒸 圧の低い溶剤をある程度含有させる手法が いられる。

 具体例としては、25℃における蒸気圧が2mmHg 以上10mmHg以下である溶剤としては、例えば、 キシレン、アニソール、シクロヘキサノン、 トルエン等の有機溶剤が挙げられる。25℃に ける蒸気圧が2mmHg未満である溶剤としては 安息香酸エチル、安息香酸メチル、テトラ ン、フェネトール等が挙げられる。
 混合溶剤の比率は、25℃における蒸気圧が2m mHg以上である溶剤が、混合溶剤総量中、5重 %以上、好ましくは25重量%以上、但し50重量% 満であり、25℃における蒸気圧が2mmHg未満で ある溶剤が、混合溶剤総量中、30重量%以上、 好ましくは50重量%以上、特に好ましくは75重 %以上、但し、95重量%未満である。

 なお、有機電界発光素子は、多数の有機 合物からなる層を積層して形成するため、 層がいずれも均一な層であることが要求さ る。湿式成膜法で層形成する場合、層形成 の溶液(組成物)に水分が混入することによ 、塗膜に水分が混入して膜の均一性が損な れるおそれがあるため、溶液中の水分含有 はできるだけ少ない方が好ましい。具体的 は、有機電界発光素子組成物中に含まれる 分量は、好ましくは1重量%以下、より好まし くは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量% 以下である。

 また、有機電界発光素子は、陰極等の水分 より著しく劣化する材料が多く使用されて るため、素子の劣化の観点からも、水分の 在は好ましくない。溶液中の水分量を低減 る方法としては、例えば、窒素ガスシール 乾燥剤の使用、溶剤を予め脱水する、水の 解度が低い溶剤を使用する等が挙げられる なかでも、水の溶解度が低い溶剤を使用す 場合は、塗布工程中に、溶液塗膜が大気中 水分を吸収して白化する現象を防ぐことが きるため好ましい。
 この様な観点からは、本発明の有機電界発 素子用組成物は、例えば25℃における水の 解度が1重量%以下(好ましくは0.1重量%以下)で ある溶剤を、該組成物中10重量%以上含有する ことが好ましい。なお、上記溶解度条件を満 たす溶剤が30重量%以上であればより好ましく 、50重量%以上であれば特に好ましい。

 なお、本発明の有機電界発光素子用組成物 含有される溶剤として、前述した溶剤以外 も、必要に応じて、各種の他の溶剤を含ん いてもよい。このような他の溶剤としては 例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジ チルアセトアミド等のアミド類;ジメチルス ホキシド等がある。
 また、本発明の有機電界発光素子用組成物 、レベリング剤や消泡剤等の塗布性改良剤 どの各種添加剤を含んでいてもよい。

[成膜方法]
 前述の如く、有機電界発光素子は、多数の 機化合物からなる層を積層して形成するた 、膜質が均一であることが非常に重要であ 。湿式成膜法で層形成する場合、その材料 、下地の性質によって、スピンコート法、 プレー法などの塗布法や、インクジェット 、スクリーン法などの印刷法等の成膜方法 採用できる。
 湿式成膜法を用いる場合、本発明の高分子 合物及び必要に応じて用いられるその他の 分(電子受容性化合物、架橋反応を促進する 添加物や塗布性改良剤等)を、適切な溶剤に 解させ、上記有機電界発光素子用組成物を 製する。この組成物を、スピンコート法や ィップコート法等の手法により、形成する の下層に該当する層上に塗布し、乾燥した 、架橋することにより、本発明における架 層を形成する。
 本発明の高分子化合物を架橋反応させ、網 状高分子化合物とする場合に、通常加熱を う。
 加熱の手法は特に限定されないが、例とし は加熱乾燥等が挙げられる。加熱乾燥の場 の条件としては、通常120℃以上、好ましく 400℃以下に本発明の有機電界発光素子用組 物を用いて形成された層を加熱する。
 加熱時間としては、通常1分以上、好ましく は24時間以下である。加熱手段としては特に 定されないが、形成された層を有する積層 をホットプレート上に載せたり、オーブン で加熱するなどの手段が用いられる。例え 、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上 加熱する等の条件を用いることができる。

 加熱の手法は特に限定されないが、加熱乾 の場合の条件としては、通常100℃以上、好 しくは120℃以上、より好ましくは150℃以上 また通常400℃以下、好ましくは350℃以下、 り好ましくは300℃以下に、有機電界発光素 用組成物を用いて形成された層を加熱する 加熱時間としては、通常1分以上、好ましく は24時間以下である。加熱手段としては特に 定されないが、形成された層を有する積層 をホットプレート上に載せたり、オーブン で加熱するなどの手段が用いられる。例え 、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上 加熱する等の条件を用いることができる。
 光などの活性エネルギー照射による場合に 、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハ ゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・ 外光源を直接用いて照射する方法、あるい 前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コ ベア型光照射装置を用いて照射する方法な が挙げられる。光以外の活性エネルギー照 では、例えばマグネトロンにより発生させ マイクロ波を照射する装置、いわゆる電子 ンジを用いて照射する方法が挙げられる。
 照射時間としては、架橋反応が充分に起こ ために必要な条件を設定することが好まし が、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以 照射される。
 加熱及び光などの活性エネルギー照射は、 れぞれ単独、あるいは組み合わせて行って よい。組み合わせる場合、実施する順序は に限定されない。

 加熱及び光などの活性エネルギー照射は 実施後に層に含有する水分及び/又は表面に 吸着する水分の量を低減するために、窒素ガ ス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うこ とが好ましい。同様の目的で、加熱及び/又 光などの活性エネルギー照射を組み合わせ 行う場合には、少なくとも発光層の形成直 の工程を窒素ガス雰囲気等の水分を含まな 雰囲気で行うことが特に好ましい。

 <8.有機電界発光素子>
 本発明の有機電界発光素子は、基板上に、 極、陰極、及び該陽極と該陰極の間に配置 れた有機層を有する有機電界発光素子にお て、該有機層が、本発明の網目状高分子化 物を含有する層(架橋層ともいう)である有 電界発光素子である。
 さらに、本発明の有機電界発光素子は、本 明における架橋層が、正孔注入層及び/又は 正孔輸送層であることが好ましい。
 本発明の架橋層は、本発明の有機電界発光 子用組成物を用いて湿式成膜法にて形成さ ることが好ましい。
 また、該正孔輸送層の陰極側には、湿式成 法で形成される発光層を有することが好ま く、さらに、該正孔輸送層の陽極側には、 式成膜法で形成される正孔注入層を有する とが好ましい。すなわち、本発明の有機電 発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層及び 光層の全てが湿式成膜法で形成されること 好ましい。特にこの湿式成膜法で形成され 発光層は低分子材料からなる層であること 好ましい。
 図1は、本発明の有機電界発光素子の構造の 一例を模式的に示す断面図である。図1に示 有機電界発光素子は、基板の上に、陽極、 孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止 ,電子注入層及び陰極を、この順に積層して 成される。この構成の場合、通常は正孔輸 層が上述の本発明の有機化合物含有層に該 することになる。

[1]基板
 基板は有機電界発光素子の支持体となるも であり、石英やガラスの板、金属板や金属 、プラスチックフィルムやシートなどが用 られる。特にガラス板や、ポリエステル、 リメタクリレート、ポリカーボネート、ポ スルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ま い。合成樹脂基板を使用する場合にはガス リア性に留意する必要がある。基板のガス リア性が小さすぎると、基板を通過した外 により有機電界発光素子が劣化することが るので好ましくない。このため、合成樹脂 板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化 等を設けてガスバリア性を確保する方法も ましい方法の一つである。

[2]陽極
 陽極は、後述する発光層側の層(正孔注入層 又は発光層など)への正孔注入の役割を果た ものである。この陽極は、通常、アルミニ ム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金 の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物 どの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン 金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3- チルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニ リン等の導電性高分子などにより構成される 。陽極の形成は通常、スパッタリング法、真 空蒸着法などにより行われることが多い。ま た、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微 粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化 物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合に は、適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基 板上に塗布することにより陽極を形成するこ ともできる。更に、導電性高分子の場合は、 電解重合により直接基板上に薄膜を形成した り、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を 形成することもできる(Applied Physics Letters,199 2年,Vol.60,pp.2711参照)。陽極は異なる物質で積 して形成することも可能である。
 陽極の厚みは、必要とする透明性により異 る。透明性が必要とされる場合は、可視光 透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上 することが望ましく、この場合、厚みは、 常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常 1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である 不透明でよい場合、陽極は基板と同一でも い。また、更には上記の陽極の上に異なる 電材料を積層することも可能である。
 なお、陽極に付着した不純物を除去し、イ ン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を 上させることを目的として、陽極表面を紫 線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、 ルゴンプラズマ処理することが好ましい。

[3]正孔注入層
 陽極の上には、正孔注入層が形成される。
 正孔注入層は、陽極の陰極側に隣接する層 正孔を輸送する層である。
 なお、本発明の有機電界発光素子は、正孔 入層を省いた構成であってもよい。
 正孔注入層は、正孔輸送性化合物を含むこ が好ましく、正孔輸送性化合物と電子受容 化合物とを含むことがより好ましい。更に 、正孔注入層中にカチオンラジカル化合物 含むことが好ましく、カチオンラジカル化 物と正孔輸送性化合物とを含むことが特に ましい。
 正孔注入層は、必要に応じて、バインダー 脂や塗布性改良剤を含んでもよい。なお、 インダー樹脂は、電荷のトラップとして作 し難いものが好ましい。
 また、正孔注入層は、電子受容性化合物の を湿式成膜法によって陽極上に成膜し、そ 上から直接、電荷輸送材料組成物を塗布、 層することも可能である。この場合、電荷 送材料組成物の一部が電子受容性化合物と 互作用することによって、正孔注入性に優 た層が形成される。

(正孔輸送性化合物)
 上記の正孔輸送性化合物としては、4.5eV~6.0e Vのイオン化ポテンシャルを有する化合物が ましい。ただし、湿式成膜法に用いる場合 は、湿式成膜法に用いる溶剤への溶解性が い方が好ましい。
 正孔輸送性化合物としては、成膜性に優れ 高い電荷輸送能を有する点から、本発明の 分子化合物であることが好ましい。つまり 本発明の有機電界発光素子用組成物を用い 層を形成することが好ましい。
 本発明の高分子化合物以外の化合物を正孔 送性化合物として用いる場合、正孔輸送性 合物の例としては、芳香族アミン化合物、 タロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体 オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン 導体等が挙げられる。中でも非晶質性、可 光の透過率の点から、芳香族アミン化合物 好ましい。

 芳香族アミン化合物の種類は特に制限され 、低分子化合物であっても高分子化合物で ってもよいが、表面平滑化効果の点から、 量平均分子量が1000以上、及び1000000以下の 分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型炭 水素化合物)が好ましい。
 芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい としては、下記式(1)で表わされる繰り返し 位を有する高分子化合物も挙げることがで る。

(上記式(1)中、Ar b1 及びAr b2 は、各々独立して、置換基を有していてもよ い芳香族炭化水素基、又は置換基を有してい てもよい芳香族複素環基を表わす。Ar b3 ~Ar b5 は、各々独立して、置換基を有していてもよ い芳香族炭化水素基、又は置換基を有してい てもよい芳香族複素環基を表わす。Z b は、下記の連結基群の中から選ばれる連結基 を表わす。また、Ar b1 ~Ar b5 のうち、同一のN原子に結合する二つの基は いに結合して環を形成してもよい。)

(上記各式中、Ar b6 ~Ar b16 は、各々独立して、置換基を有していてもよ い芳香族炭化水素環、又は置換基を有してい てもよい芳香族複素環由来の1価又は2価の基 表わす。R b5 及びR b6 は、各々独立して、水素原子又は任意の置換 基を表わす。)
 Ar b1 ~Ar b16 としては、任意の芳香族炭化水素環又は芳香 族複素環由来の1価又は2価の基が適用可能で る。これらの基は各々同一であっても、互 に異なって いてもよい。また、これらの は、更に任意の置換基を有していてもよい
 一般式(1)で表される繰り返し単位を有する 香族三級アミン高分子化合物の具体例とし は、国際公開第2005/089024号パンフレットに 載の化合物が挙げられる。
 正孔注入層の材料として用いられる正孔輸 性化合物は、このような化合物のうち何れ 1種を単独で含有していてもよく、2種以上 含有していてもよい。
 2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合 、その組み合わせは任意であるが、芳香族三 級アミン高分子化合物1種又は2種以上と、そ 他の正孔輸送性化合物1種又は2種以上とを 用するのが好ましい。

(電子受容性化合物)
 電子受容性化合物としては、前記<7.有機 界発光素子用組成物>の項に記載のものと 同様である。また、好ましい具体例も同様で ある。
(カチオンラジカル化合物)
 カチオンラジカル化合物としては、正孔輸 性化合物から一電子取り除いた化学種であ カチオンラジカルと、対アニオンとからな イオン化合物が好ましい。但し、カチオン ジカルが正孔輸送性の高分子化合物由来で る場合、カチオンラジカルは高分子化合物 繰り返し単位から一電子取り除いた構造と る。
 カチオンラジカルとしては、正孔輸送性化 物として前述した化合物から一電子取り除 た化学種であることが好ましい。正孔輸送 化合物として好ましい化合物から一電子取 除いた化学種であることが、非晶質性、可 光の透過率、耐熱性、及び溶解性などの点 ら好適である。
 ここで、カチオンラジカル化合物は、前述 正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混 することにより生成させることができる。 ち、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性 合物とを混合することにより、正孔輸送性 合物から電子受容性化合物へと電子移動が こり、正孔輸送性化合物のカチオンラジカ と対アニオンとからなるカチオンイオン化 物が生成する。

 PEDOT/PSS(Adv.Mater.,2000年,12巻,481頁)やエメラル ン塩酸塩(J.Phys.Chem.,1990年,94巻,7716頁)等の高 子化合物由来のカチオンラジカル化合物は 酸化重合(脱水素重合)することによっても 成する。
ここでいう酸化重合は、モノマーを酸性溶液 中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的 に、又は、電気化学的に酸化するものである 。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマ が酸化されることにより高分子化されると もに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオ とする、高分子の繰り返し単位から一電子 り除かれたカチオンラジカルが生成する。
 正孔注入層は、湿式成膜法でも、真空蒸着 などの乾式成膜法でも形成することができ 。成膜性が優れる点で、湿式成膜法で形成 れるのが好ましい。
 正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好まし は10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましく は500nm以下の範囲である。
 なお、正孔注入層における電子受容性化合 の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通 0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である 但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル% 以下である。

 (その他の構成材料)
 正孔注入層の材料としては、本発明の効果 著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性 合物や電子受容性化合物に加えて、さらに その他の成分を含有させてもよい。その他 成分の例としては、各種の発光材料、電子 送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良 などが挙げられる。なお、その他の成分は 1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の み合わせ及び比率で併用してもよい。
 (溶剤)
 湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成 の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔 注入層の構成材料を溶解しうる化合物である ことが好ましい。また、この溶剤の沸点は通 常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200 ℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であ ることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると 、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性 がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥 工程の温度を高くする必要があり、他の層や 基板に悪影響を与える可能性がある。
 溶剤として例えば、エーテル系溶剤、エス ル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド 溶剤などが挙げられる。

 エーテル系溶剤としては、例えば、エチレ グリコールジメチルエーテル、エチレング コールジエチルエーテル、プロピレングリ ール-1-モノメチルエーテルアセタート(PGMEA) 等の脂肪族エーテル;1,2-ジメトキシベンゼン 1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェ ネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシ ルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチル ニソール、2,4-ジメチルアニソール等の芳香 エーテル、等が挙げられる。
 エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フ ニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メ ル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、 息香酸n-ブチル等の芳香族エステル、等が げられる。
 芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、 ルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼ 、3-イロプロピルビフェニル、1,2,3,4-テトラ メチルベンゼン、1,4-ジイソプロピルベンゼ 、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタ ン等が挙げられる。
 アミド系溶剤としては、例えば、N,N-ジメチ ルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド 等が挙げられる。
 その他、ジメチルスルホキシド、等も用い ことができる。
 これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2 以上を任意の組み合わせ及び比率で用いて よい。 

 (成膜方法)
  正孔注入層形成用組成物を調製後、この 成物を湿式成膜により、正孔注入層の下層 該当する層(通常は、陽極)上に塗布し、乾燥 することにより正孔注入層を形成する。
 成膜工程における温度は、組成物中に結晶 生じることによる膜の欠損を防ぐため、10 以上が好ましく、50℃以下が好ましい。
 成膜工程における相対湿度は、本発明の効 を著しく損なわない限り限定されないが、 常0.01ppm以上、通常80%以下である。
 塗布後、通常加熱等により正孔注入層形成 組成物の膜を乾燥させる。乾燥させる方法 しては、通常、加熱工程が行なわれる。加 工程において使用する加熱手段の例を挙げ と、クリーンオーブン、ホットプレート、 外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射 どが挙げられる。中でも、膜全体に均等に を与えるためには、クリーンオーブン及び ットプレートが好ましい。

 加熱工程における加熱温度は、本発明の効 を著しく損なわない限り、正孔注入層形成 組成物に用いた溶剤の沸点以上の温度で加 することが好ましい。また、正孔注入層形 用組成物に用いた溶剤が2種類以上含まれて いる混合溶剤の場合、少なくとも1種類がそ 溶剤の沸点以上の温度で加熱されるのが好 しい。溶剤の沸点上昇を考慮すると、加熱 程においては、好ましくは120℃以上、好ま くは410℃以下で加熱することが好ましい。
 加熱工程において、加熱温度が正孔注入層 成用組成物の溶剤の沸点以上が好ましい。 た、加熱時間は、塗布膜の十分な架橋が起 らなければ限定されないが、好ましくは10 以上、通常180分以下である。加熱時間が長 ぎると他の層の成分が拡散する傾向があり 短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向 ある。加熱は2回にわけて行ってもよい。

 <真空蒸着法による正孔注入層の形成>
 真空蒸着により正孔注入層を形成する場合 は、正孔注入層の構成材料(前述の正孔輸送 性化合物、電子受容性化合物等)の1種又は2種 以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ (2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼ 入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10 -4 Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2 以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを 熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以 の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を 御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置か た基板の陽極上に正孔注入層を形成させる なお、2種以上の材料を用いる場合は、それ らの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させ て正孔注入層を形成することもできる。
 蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく なわない限り限定されないが、通常0.1×10 -6 Torr(0.13×10 -4 Pa)以上、通常9.0×10 -6 Torr(12.0×10 -4 Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を 著しく損なわない限り限定されないが、通常 0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。蒸着 の成膜温度は、本発明の効果を著しく損な ない限り限定されないが、好ましくは10℃ 上で、好ましくは50℃以下で行われる。
 正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好まし は10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましく は500nm以下の範囲である。

[4]正孔輸送層
 正孔輸送層は、正孔注入層がある場合には 孔注入層の上に、正孔注入層が無い場合に 陽極の上に形成することができる。また、 発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層を いた構成であってもよい。
 正孔輸送層を形成する材料としては、正孔 送能が高く、かつ、注入された正孔を効率 く輸送することができる材料であることが ましい。そのために、イオン化ポテンシャ が小さく、可視光の光に対して透明性が高 、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、ト ップとなる不純物が製造時や使用時に発生 にくいことが好ましい。また、多くの場合 発光層に接するため、発光層からの発光を 光したり、発光層との間でエキサイプレッ スを形成して効率を低下させたりしないこ が好ましい。
 正孔輸送性化合物としては、上記の点から 特に、本発明の高分子化合物であることが ましい。本発明の高分子化合物以外の化合 を正孔輸送性化合物として用いる場合、従 、正孔輸送層の構成材料として用いられて る材料を用いることができる。従来用いら ている材料としては、例えば、前述の正孔 入層に使用される正孔輸送性化合物として 示したものが挙げられる。また、4,4'-ビス[N -(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニルで 代表わされる2個以上の3級アミンを含み2個以 上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香 族ジアミン(特開平5-234681号公報)、4,4’,4’’ -トリス(1-ナフチルフェニルアミノ)トリフェ ルアミン等のスターバースト構造を有する 香族アミン化合物(J.Lumin.,72-74巻、985頁、1997 年)、トリフェニルアミンの四量体から成る 香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、 2,2',7,7'-テトラキス-(ジフェニルアミノ)-9,9'- ピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Meta ls,91巻、209頁、1997年)、4,4'-N,N'-ジカルバゾー ビフェニルなどのカルバゾール誘導体など 挙げられる。また、例えばポリビニルカル ゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特 開平7-53953号公報)、テトラフェニルベンジジ を含有するポリアリーレンエーテルサルホ (Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等が挙げられ る。

 湿式成膜で正孔輸送層を形成する場合は、 記正孔注入層の形成と同様にして、正孔輸 層形成用組成物を調製した後、塗布後、加 乾燥させる。
 正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔 送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる 剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いた のと同様である。また、塗布条件、加熱乾 条件等も正孔注入層の形成の場合と同様で る。
 真空蒸着により正孔輸送層を形成する場合 また、その成膜条件等は上記正孔注入層の 成の場合と同様である。
 正孔輸送層は、上記正孔輸送性化合物の他 各種の発光材料、電子輸送性化合物、バイ ダー樹脂、塗布性改良剤などを含有してい もよい。
 正孔輸送層はまた、架橋性化合物を架橋し 形成される層であってもよい。架橋性化合 は、架橋性基を有する化合物であって、架 することにより網目状高分子化合物を形成 る。
 この架橋性基の例を挙げると、オキセタン 、エポキシ基などの環状エーテル基;ビニル 基、トリフルオロビニル基、スチリル基、ア クリル基、メタクリロイル基、シンナモイル 基等の不飽和二重結合を含む基;ベンゾシク ブテン環由来の基などが挙げられる。

 架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、 リマーのいずれであってもよい。架橋性化 物は1種のみを有していてもよく、2種以上 任意の組み合わせ及び比率で有していても い。
 架橋性化合物としては、架橋性基を有する 孔輸送性化合物を用いることが好ましい。 孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン 導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体 トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェ ントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、 タロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体 の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニル アミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフ ン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯 などが挙げられる。その中でも、ピリジン 導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体 トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェ ントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等 含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘 導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導 体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフ ェニルアミン誘導体がより好ましい。
 架橋性化合物を架橋して正孔輸送層を形成 るには、通常、架橋性化合物を溶剤に溶解 は分散した正孔輸送層形成用組成物を調製 て、湿式成膜により塗布して架橋させる。

 正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合 の他、架橋反応を促進する添加物を含んで てもよい。架橋反応を促進する添加物の例 挙げると、アルキルフェノン化合物、アシ ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン 合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合 、オニウム塩等の重合開始剤及び重合促進 ;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、 ジアリールケトン化合物等の光増感剤;など 挙げられる。
 また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の 布性改良剤;電子受容性化合物;バインダー 脂;などを含有していてもよい。
 正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物 通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上 、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量 %以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ま くは10重量%以下含有する。
 このような濃度で架橋性化合物を含む正孔 送層形成用組成物を下層(通常は正孔注入層 )上に成膜後、加熱及び/又は光などの活性エ ルギー照射により、架橋性化合物を架橋さ て網目状高分子化合物にする。
 塗布時の温度、湿度などの条件、並びに塗 後の加熱条件は、前記<7.有機電界発光素 >[成膜方法]の項に記載の方法と同様であ 。また、好ましい態様も同様である。
 正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好まし は10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましく は500nm以下の範囲である。

[5]発光層
 発光層は、正孔輸送層が有る場合には正孔 送層の上に、正孔輸送層が無くて正孔注入 が有る場合には正孔注入層の上に、正孔輸 層と正孔注入層が無い場合には陽極の上に 成される。
 発光層は前述の正孔注入層や正孔輸送層、 び後述する正孔阻止層や電子輸送層等とは 立した層であってもよいが、独立した発光 を形成せず、正孔輸送層や電子輸送層など の有機層が発光層の役割を担ってもよい。
 発光層は、電界を与えられた電極間におい 、陽極から直接に、又は正孔注入層や正孔 送層等を通じて注入された正孔と、陰極か 直接に、又は陰極バッファ層や電子輸送層 正孔阻止層等を通じて注入された電子との 結合により励起されて、主たる発光源とな 層である。
 発光層は、本発明の効果を著しく損なわな 限り、任意の方法で形成することができる 、例えば、湿式成膜法又は真空蒸着法によ 陽極上に形成される。ただし、大面積の発 素子を製造する場合には、湿式成膜法の方 好ましい。湿式成膜法、及び真空蒸着法の 法は、正孔注入層と同様の方法を用いて行 うことができる。

 発光層は、少なくとも、発光の性質を有す 材料(発光材料)を含有するとともに、好ま くは、正孔輸送の性質を有する材料(正孔輸 材料)、或いは、電子輸送の性質を有する材 料(電子輸送材料)とを含有する。更に、発光 は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、そ 他の成分を含有していてもよい。これらの 料としては、後述のように湿式成膜法で発 層を形成する観点から、何れも低分子系の 料を使用することが好ましい。
 発光材料としては、任意の公知の材料を適 可能である。例えば、蛍光発光材料であっ もよく、燐光発光材料であってもよいが、 部量子効率の観点から、好ましくは燐光発 材料である。
 なお、溶剤への溶解性を向上させる目的で 発光材料の分子の対称性や剛性を低下させ り、或いはアルキル基などの親油性置換基 導入したりすることも、重要である。

 以下、発光材料のうち蛍光色素の例を挙げ が、蛍光色素は以下の例示物に限定される のではない。
 青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光色 素)としては、例えば、ナフタレン、クリセ 、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマ ン、p-ビス(2-フェニルエテニル)ベンゼン及 それらの誘導体等が挙げられる。
 緑色発光を与える蛍光色素(緑色蛍光色素) しては、例えば、キナクリドン誘導体、ク リン誘導体、Al(C 9 H 6 NO) 3 などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
 黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光色 素)としては、例えば、ルブレン、ペリミド 誘導体等が挙げられる。
 赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光色 素)としては、例えば、DCM(4-(dicyanomethylene)-2-me thyl-6-(p-dimethylaminostyryl)-4H-pyran)系化合物、ベ ゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベン チオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキ ンテン等が挙げられる。

 燐光発光材料として、具体的には、トリス( 2-フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2-フ ェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2-フェ ルピリジン)パラジウム、ビス(2-フェニルピ ジン)白金、トリス(2-フェニルピリジン)オ ミウム、トリス(2-フェニルピリジン)レニウ 、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタ ェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパ ジウムポルフィリン、オクタフェニルパラ ウムポルフィリン等が挙げられる。
 高分子系の発光材料としては、ポリ(9,9-ジ クチルフルオレン-2,7-ジイル)、ポリ[(9,9-ジ クチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-se c-ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]、ポリ [(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(1,4- ベンゾ-2{2,1’-3}-トリアゾール)]などのポリフ ルオレン系材料、ポリ[2-メトキシ-5-(2-ヘチル ヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]な のポリフェニレンビニレン系材料が挙げら る。
 また、本発明の高分子化合物を発光材料と て用いることもできる。

 発光材料として用いる化合物の分子量は、 発明の効果を著しく損なわない限り任意で るが、通常10000以下、好ましくは5000以下、 り好ましくは4000以下、更に好ましくは3000 下、また、通常100以上、好ましくは200以上 より好ましくは300以上、更に好ましくは400 上の範囲である。発光材料の分子量が小さ ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス 生の原因となったり、膜を形成した際の膜 の低下を招いたり、あるいはマイグレーシ ンなどによる有機電界発光素子のモルフォ ジー変化を来したりする場合がある。一方 発光材料の分子量が大き過ぎると、有機化 物の精製が困難となってしまったり、溶剤 溶解させる際に時間を要したりする傾向が る。
 なお、上述した発光材料は、いずれか1種の みを用いてもよく、2種以上を任意の組み合 せ及び比率で併用してもよい。
 発光層における発光材料の割合は、本発明 効果を著しく損なわない限り任意であるが 好ましくは0.05重量%以上、好ましくは35重量 %以下である。発光材料が少なすぎると発光 ラを生じる可能性があり、多すぎると電流 率が低下する可能性がある。なお、2種以上 発光材料を併用する場合には、これらの合 の含有量が上記範囲に含まれるようにする

 低分子系の正孔輸送材料の例としては、 述の正孔輸送層の正孔輸送材料として例示 た各種の化合物の他、4,4’-ビス[N-(1-ナフチ ル)-N-フェニルアミノ]ビフェニルに代表され 、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合 香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミ (特開平5-234681号公報)、4,4’,4” -トリス(1- フチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン 等のスターバースト構造を有する芳香族アミ ン化合物(Journal of Luminescence,1997年,Vol.72-74,pp. 985)、トリフェニルアミンの四量体から成る 香族アミン化合物(Chemical Communications,1996年,p p.2175)、2,2’,7,7’-テトラキス-(ジフェニルア ノ)-9, 9’-スピロビフルオレン等のスピロ 合物(Synthetic Metals,1997年,Vol.91,pp.209)等が挙げ られる。

 低分子系の電子輸送材料の例としては、2,5- ビス(1-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール(BND) 、2,5-ビス(6’-(2’,2”-ビピリジル))-1,1-ジメ ル-3,4-ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソ フェナントロリン(BPhen)や、2,9-ジメチル-4,7- フェニル-1,10-フェナントロリン(BCP、バソク ロイン)、2-(4-ビフェニリル)-5-(p-ターシャル ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(tBu-PB D)や、4,4’-ビス(9-カルバゾール)-ビフェニル( CBP)、9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセン(ADN)等 ある。
 これら正孔輸送材料や電子輸送材料は発光 においてホスト材料として使用されること 好ましい。ホスト材料の具体例としては、 開2007-067383号公報、特開2007-88433号公報、特 2007-110093号公報に記載のものが挙げられ、 の好適例も同様である。

 発光層の形成法としては、湿式成膜法、真 蒸着法が挙げられるが、上述したように、 質で欠陥がない薄膜を容易に得られる点や 形成のための時間が短くて済む点、更には 本発明の有機化合物による正孔輸送層の架 の効果を享受できる点から、湿式成膜法が ましい。湿式成膜法により発光層を形成す 場合、上述の材料を適切な溶剤に溶解させ 塗布溶液を調製し、それを上述の形成後の 孔輸送層の上に塗布・成膜し、乾燥して溶 を除去することにより形成する。その形成 法としては、前記正孔輸送層の形成方法と 様である。
 発光層の膜厚は、通常3nm以上、好ましくは5 nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm 以下の範囲である。

 [6]正孔阻止層
 発光層5と後述の電子注入層8との間に、正 阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発 光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接す るように積層される層である。
 この正孔阻止層6は、陽極2から移動してく 正孔を陰極9に到達するのを阻止する役割と 陰極9から注入された電子を効率よく発光層 5の方向に輸送する役割とを有する。
 正孔阻止層6を構成する材料に求められる物 性としては、電子移動度が高く正孔移動度が 低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差 )が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いこ が挙げられる。このような条件を満たす正 阻止層の材料としては、例えば、ビス(2-メ ル-8-キノリノラト)(フェノラト)アルミニウ 、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(トリフェ ルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子 体、ビス(2-メチル-8-キノラト)アルミニウム -μ-オキソ-ビス-(2-メチル-8-キノリラト)アル ニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチ ルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特 平11-242996号公報)、3-(4-ビフェニルイル)-4-フ ェニル-5(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾ ール等のトリアゾール誘導体(特開平7-41759号 報)、バソクプロイン等のフェナントロリン 誘導体(特開平10-79297号公報)などが挙げられ 。更に、国際公開第2005-022962号パンフレット に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少 くとも1個有する化合物も、正孔阻止層6の 料として好ましい。

 なお、正孔阻止層6の材料は、1種のみを用 てもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び 率で併用してもよい。
 正孔阻止層6の形成方法に制限はない。従っ て、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で 形成できる。
 正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著し く損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以 、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下 、好ましくは50nm以下である。

[7]電子輸送層
 電子輸送層は素子の電流効率をさらに向上 せることを目的として、発光層と電子注入 との間に設けられる。
 電子輸送層は、電界を与えられた電極間に いて陰極から注入された電子を効率よく発 層の方向に輸送することができる化合物よ 形成される。電子輸送層に用いられる電子 送性化合物としては、陰極又は電子注入層 らの電子注入効率が高く、かつ、高い電子 動度を有し注入された電子を効率よく輸送 ることができる化合物であることが必要で る。
 このような条件を満たす材料としては、8- ドロキシキノリンのアルミニウム錯体など 金属錯体(特開昭59-194393号公報)、10-ヒドロキ シベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジア ゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体 、シロール誘導体、3-又は5-ヒドロキシフラ ン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体 ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズ ミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,948号明 書)、キノキサリン化合物(特開平6-207169号公 報)、フェナントロリン誘導体(特開平5-331459 公報)、2-t-ブチル-9,10-N,N’-ジシアノアント キノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリ ン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが げられる。
 電子輸送層の膜厚は、通常下限は1nm、好ま くは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ま くは100nm程度である。
 電子輸送層は、前記と同様にして湿式成膜 、或いは真空蒸着法により正孔阻止層上に 層することにより形成される。通常は、真 蒸着法が用いられる。

 [8]電子注入層
 電子注入層は、陰極から注入された電子を 率よく、電子輸送層又は発光層へ注入する 割を果たす。
 電子注入を効率よく行うには、電子注入層 形成する材料は、仕事関数の低い金属が好 しい。例としては、ナトリウムやセシウム のアルカリ金属、バリウムやカルシウムな のアルカリ土類金属等が用いられる。その 厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
 更に、後述するバソフェナントロリン等の 窒素複素環化合物や8-ヒドロキシキノリン アルミニウム錯体などの金属錯体に代表さ る有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリ ム、セシウム、リチウム、ルビジウム等の ルカリ金属をドープする(特開平10-270171号公 、特開2002-100478号公報、特開2002-100482号公報 などに記載)ことにより、電子注入・輸送性 向上し優れた膜質を両立させることが可能 なるため好ましい。この場合の膜厚は通常 5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常200n m以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
 電子注入層は、湿式成膜法或いは真空蒸着 により、発光層又はその上の正孔阻止層上 積層することにより形成される。
 湿式成膜法の場合の詳細は、正孔注入層及 発光層の場合と同様である。
 一方、真空蒸着法の場合には、真空容器内 設置されたるつぼ又は金属ボートに蒸着源 入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10 -4 Pa程度にまで排気した後、るつぼ又は金属ボ トを加熱して蒸発させ、るつぼ又は金属ボ トと向き合って置かれた基板上の発光層、 孔阻止層又は電子輸送層上に電子注入層を 成する。
 電子注入層としてのアルカリ金属の蒸着は クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロム 充填したアルカリ金属ディスペンサーを用 て行う。このディスペンサーを真空容器内 加熱することにより、クロム酸アルカリ金 が還元されてアルカリ金属が蒸発される。 機電子輸送材料とアルカリ金属とを共蒸着 る場合は、有機電子輸送材料を真空容器内 設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適 な真空ポンプで10 -4 Pa程度にまで排気した後、各々のるつぼ及び ィスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、 つぼ及びディスペンサーと向き合って置か た基板上に電子注入層を形成する。
 このとき、電子注入層の膜厚方向において 一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃 分布があっても構わない。

[9]陰極
 陰極は、発光層側の層(電子注入層又は発光 層など)に電子を注入する役割を果たす。陰 の材料としては、前記の陽極に使用される 料を用いることが可能であるが、効率よく 子注入を行うには、仕事関数の低い金属が ましく、スズ、マグネシウム、インジウム カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な 属又はそれらの合金が用いられる。具体例 しては、マグネシウム-銀合金、マグネシウ -インジウム合金、アルミニウム-リチウム 金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
 陰極の膜厚は通常、陽極と同様である。
 低仕事関数金属から成る陰極を保護する目 で、この上に更に、仕事関数が高く大気に して安定な金属層を積層すると、素子の安 性が増すので好ましい。この目的のために アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム 金、白金等の金属が使われる。

[10]その他
 以上、図1に示す層構成の有機電界発光素子 を例に説明してきたが、本発明の有機電界発 光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲におい て、別の構成を有していてもよい。例えば、 その性能を損なわない限り、陽極と陰極との 間に、上記説明にある層の他に任意の層を有 していてもよく、また、任意の層が省略され ていてもよい。
 なお、本発明においては、正孔輸送層に本 明の高分子化合物を使用することにより、 孔注入層、正孔輸送層及び発光層を全て湿 成膜法により積層形成することができる。 れにより、大面積のディスプレイを製造す ことが可能となる。
 なお、図1とは逆の構造、即ち、基板上に陰 極、電子注入層、発光層、正孔注入層、陽極 の順に積層することも可能であり、既述した ように少なくとも一方が透明性の高い2枚の 板の間に本発明の有機電界発光素子を設け ことも可能である。
 さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた 構造(発光ユニットを複数積層させた構造)と ることも可能である。その際には段間(発光 ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの 合はその2層)の代わりに、例えばV 2 O 5 等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障 が少なくなり、電流効率・駆動電圧の観点 らより好ましい。
 本発明は、有機電界発光素子が、単一の素 、アレイ状に配置された構造からなる素子 陽極と陰極がX-Yマトリックス状に配置され 構造のいずれにおいても適用することがで る。

<有機ELディスプレイ及び有機EL照明>
 本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明 は、上述のような本発明の有機電界発光素子 を用いたものである。本発明の有機ELディス レイ及び有機EL照明の型式や構造について 特に制限はなく、本発明の有機電界発光素 を用いて常法に従って組み立てることがで る。
 例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社 平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波 、村田英幸著)に記載されているような方法 、本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照 明を形成することができる。

 以下、実施例を示して本発明について更に 体的に説明する。ただし、本発明は以下の 施例に限定されるものではなく、本発明は の要旨を逸脱しない限り任意に変更して実 できる。なお、以下の説明においては、特 断らない限り、dbaはジベンジリデンアセト を表し、tBuはt-ブチル基を表し、THFはテト ヒドロフランを表し、Meはメチル基を表し、 Etはエチル基を表し、iPrはi-プロピル基を表 、Phはフェニル基を表し、Acはアセチル基を し、DMSOはジメチルスルホキシドを表し、TBA Bはテトラブチルアンモニウムブロマイドを し、DMEはジメトキシエタンを表し、Tf 2 Oは無水トリフルオロメタンスルホン酸を表 、DMFはジメチルフォルムアミドを表し、dppf 1,1’-ジフェニルホスフィノフェロセンを表 し、NBSはN-ブロモスクシンイミドを表す。

[合成例]
 以下に、本発明の高分子化合物の合成例を す。
[モノマーの合成]
(合成例1)

 化合物1(10.0g)、化合物2(16.3g)、ジメチルスル ホキシド80mlに、水酸化カリウムを加え、室 で6時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(100ml) 及び水(100ml)を加え攪拌後、分液し、水層を 酸エチル(100ml×2回)で抽出し、有機層を合わ 、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。 らに、シリカゲルカラムクロマトグラフィ (n-ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製すること により、目的物1(13.3g)を得た。
(合成例2)

 窒素気流中、目的物1(3.0g)、化合物3(1.44g)、 トリウム-tert-ブトキシド(1.13g)、トルエン(50 ml)を、60℃に加熱下、30分間撹拌し、トリス( ベンジリデン)ジパラジウム(0)クロロホルム 錯体(0.09g)及びトリ-tert-ブチルホスフィン(0.07 g)を加え、加熱還流下、3時間撹拌した。室温 まで放冷した後、反応液にトルエン(100ml)及 水(100ml)を加え攪拌後、分液し、水層をトル ン(100ml×2回)で抽出し、有機層を合わせ、硫 酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに 、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘ キサン/酢酸エチル=10/1)で精製することによ 、目的物2(3.4g)を得た。 
(合成例3)

 窒素気流中、-5℃で目的物2(3.4g)及びDMF100ml 、NBSを30mlDMFに溶かして滴下し、この温度で2 時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(100ml)及 水(100ml)を加え攪拌後、分液し、水層を酢酸 チル(100ml×2回)で抽出し、有機層を合わせ、 硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さら に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n- ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製することに り、目的物3(2.3g)を得た。
(合成例4)

 窒素気流中、ピレン(10.11g)、ジメトキシエ ン(400ml)を加えて氷浴で0℃に冷却しながら撹 拌し、ジメトキシエタン50mlに溶解させた臭 (15.18g)を滴下し、室温まで昇温して8時間撹 させた後、一晩放置した。析出した結晶を 取し、エタノール懸洗を行い、トルエンに り再結晶することによって、目的物4(1,6-ジ ロモピレン及び1,8-ジブロモピレンの混合物) (5.8g)を得た。
 1H NMR(CDCl 3 ,400MHz)
 1,8-ジブロモピレン
 δ8.53(s,2H)、8.28(d,2H, J=8.40)、8.05(d,2H,J=8.00)、8 .04(s,2H)
 1,6-ジブロモピレン
 δ8.47(d,2H,J=9.60)、8.27(d,2H,J=8.40)、8.13(d,2H,J=9.20 )、8.06(d,2H,J=8.40)
(合成例5)

 反応容器内にフッ化カリウム(23.01g)を仕込 、減圧下、加熱乾燥と窒素置換とを繰り返 て系内を窒素雰囲気とした。3-ニトロフェニ ルボロン酸(6.68g)、4-ブロモ-ベンゾシクロブ ン(7.32g)、及び脱水テトラヒドロフラン(50ml) 仕込み、撹拌した。そこへ、トリス(ジベン ジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホル 錯体(0.21g)を加え、さらに系内を十分に窒素 換して、室温でトリ-t-ブチルホスフィン(0.4 7g)を加え、添加終了後、そのまま1時間攪拌 せた。反応終了後、反応液に水を加え、酢 エチルで抽出した。得られた有機層を2回水 し、硫酸ナトリウムを加え脱水乾燥し、濃 した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマ グラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて精製 、目的物5(8.21g)を得た。
(合成例6)

 目的物5(8.11g)、テトラヒドロフラン36ml、エ ノール36ml、及び10%Pd/C(1.15g)を仕込み、70℃ 加熱撹拌した。そこへヒドラジン一水和物(1 0.81g)をゆっくり滴下した。2時間反応後、放 し、反応液をセライトでろ過して濾液を濃 した。この濾液に酢酸エチルを加え、水で 浄し、有機層を濃縮した。得られた粗生成 をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸 エチル)にて精製することにより、目的物6(4.9 0g)を得た。
(合成例7)

 2-ニトロフルオレン(25.0g)、1-ブロモヘキサ (58.61g)、テトラブチルアンモニウムブロマイ ド(7.63g)、及びジメチルスルホキシド(220ml)を 込み、17M水酸化ナトリウム水溶液(35ml)をゆ くり滴下し、室温で3時間反応させた。反応 液に、酢酸エチル(200ml)及び水(100ml)を加え攪 後、分液し、水層を酢酸エチルで抽出し、 機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後 濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲル ラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エ ル)で精製することにより、目的物7(44.0g)を た。
(合成例8)

 目的物7(44.0g)、テトラヒドロフラン(120ml)、 びエタノール(120ml)に10%Pd/C(8.6g)を加え、50℃ で加熱攪拌した。そこへ、ヒドラジン一水和 物(58.0g)をゆっくり滴下し、この温度で3時間 応した。反応液を放冷し、セライトによる 圧濾過し、ろ液を濃縮して残渣をメタノー を添加し、晶出した結晶を濾取して乾燥す ことにより、目的物8(34.9g)を得た。
(合成例9)

 窒素を通じた200mL4つ口フラスコにジクロロ ス(アセトニトリル)パラジウム(II)(212mg、0.03 等量)、及びヨウ化銅(104mg、0.02等量)を入れ、 これにあらかじめ窒素をバブリングして脱気 したジオキサン75mLを入れて攪拌した。この にトリ-t-ブチルホスフィン(331mg、0.06等量)を 添加して15分、室温で攪拌した。この溶液に -i-プロピルアミン(3.31g、1.2等量)、4-ブロモ ンゾシクロブテン5.00g(1.0等量)、及び1,7-オ タジイン20.3g(7.0等量)を加えて室温下9時間反 応させた。得られた反応混合物を400Paの減圧 、バス温60℃で軽沸分を留去した後、飽和 塩水50mL、1N塩酸5mLを添加し、酢酸エチル(30mL )で3回抽出し、得られた酢酸エチル層を飽和 塩水(30mL)で2回洗浄した。酢酸エチル層を濃 縮すると粗成生物(7.7g)が得られた。この粗生 成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶剤:n-ヘキサン/酢酸エチル混合溶剤)にて精 製することにより2.78g(48.9%収率、ガスクロマ グラフィーで分析した純度95.4%)の目的物9を 無色の油状物として得た。
(合成例10)

 窒素を通じた100mL4つ口フラスコにm-ヨウ化 トロベンゼン(3.64g、1.1等量)、炭酸カリウム( 5.06g、2.75等量)、ヨウ化銅(111mg、0.044等量)、 リフェニルホスフィン307mg(0.088等量)、5%Pd/C62 3mg(Pdとして0.022等量)を入れ、これにあらかじ め窒素をバブリングして脱気したジメトキシ エタン/水=1/1(体積比)の混合溶剤を95mL入れて 温下、1時間攪拌した。この液に目的物9(2.77 g、1.0等量)をジメトキシエタン2mLに溶解させ 溶液を添加し、70℃のバス(内温63℃)で7時間 加熱反応した。得られた反応混合物は、セラ イトを通してろ過した後、エバポレーターで 濃縮、1N塩酸25mLを添加して酢酸エチル(30mL)で 3回抽出、得られた酢酸エチル層を飽和食塩 (20mL)で3回洗浄した。酢酸エチル層を濃縮し 得られた粗生成物を酢酸エチル-n-ヘキサン 混合溶剤から再結晶して2.50g(57.1%収率、液 クロマトグラフィーで分析した純度99.5%)の 的物10をごく薄い黄色の針状結晶として得た 。
(合成例11)

 100mLナスフラスコに目的物10(2.31g)、テトラ ドロフラン15mL、及びエタノール15mLを添加し て溶解させた。この溶液に水素化触媒として ラネーニッケル1.07g(日興リカ社製、R-200)を添 加、水素で3回置換後、水素下、室温で35時間 反応させた。反応液を、セライトを通してろ 過、濃縮して2.8gの粗生成物を得た。この粗 成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ (溶剤:n-ヘキサン/酢酸エチル混合溶剤)にて 製することにより1.72g(80.1%収率、液体クロマ トグラフィーで分析した純度99.1%)の目的物11 白色の針状結晶として得た。
(合成例12)

 窒素気流中、3-ブロモスチレン(5.0g)、3-ニト ロフェニルボロン酸(5.5g)、トルエン:エタノ ル(80ml:40ml)、及び2M炭酸ナトリウム水溶液(20m l)を仕込み、60℃に加熱下、30分間撹拌して脱 気した。テトラキス(トリフェニルホスフィ )パラジウム(0.95g)を加え、6時間還流した。 温まで放冷した後、反応液に塩化メチレン(1 00ml)及び水(100ml)を加え攪拌後、分液し、水層 を塩化メチレンで抽出し、有機層を合わせ、 硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得ら れた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグ ラフィー(n-ヘキサン/塩化メチレン)で精製す ことにより、目的物12(5.5g)を得た。
(合成例13)

 窒素気流中、目的物12(2.5g)、酢酸(60ml)、エ ノール(60ml)、1N塩酸(2ml)、水(8ml)及び還元鉄(1 2.4g)を仕込み、1時間加熱還流した。室温で反 応液を濾過し、酢酸エチル(100ml)及び水(100ml) 加え攪拌後、炭酸水素ナトリウム飽和水溶 で中和し、分液し、水層を酢酸エチルで抽 し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで 燥後、濃縮した。得られた粗生成物をシリ ゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/ 酢酸エチル)で精製することにより、目的物13 (2.1g)を得た。
(合成例14)

 窒素気流中、1,2-ジブロモベンゼン(21.0g) 3-メトキシフェニルボロン酸(29.9g)、トルエ :エタノール(147ml:147ml)、及び2M炭酸ナトリウ 水溶液(295ml)を仕込み、60℃に加熱下、30分 撹拌して脱気した。テトラキス(トリフェニ ホスフィン)パラジウム(6.17g)を加え、6時間 流した。室温まで放冷した後、水を加え攪 後、分液し、水層をトルエンで抽出し、有 層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、 縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカ ムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/塩化メチ レン)で精製することにより、中間体1(15.5g)を 得た。

 中間体1(15.5g)を塩化メチレン(70ml)に溶解さ 、濃硫酸(1.4g)を添加した。塩化鉄(21.6g)を少 ずつゆっくりと加えた。7時間、反応後、塩 化メチレン(100ml)を加え、冷メタノールに添 し、析出している結晶を濾別した。粗結晶 塩化メチレン(250ml)に溶解させ、1N塩酸(100ml) て洗浄し、有機層をセライト濾過したのち 濃縮し、メタノールで懸洗して中間体2(7.41g )を得た。
 中間体2(7.41g)を塩化メチレン(110ml)に溶解さ 、氷冷下、三臭化ホウ素(1M塩化メチレン溶 :65ml)を加えて、3時間攪拌した。反応液に水 を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗 、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。析 出した結晶を塩化メチレン/酢酸エチル(5/1)溶 液にて懸洗し、中間体3(6.58g)を得た。

 中間体3(6.58g)に塩化メチレン(130ml)を加え、 水トリフルオロメタンスルホン酸(17.8g)を添 加した。さらにピリジン(4.4g)をゆっくりと加 え、室温にて5時間反応した。析出している 晶を濾別し、水洗、メタノール懸洗、塩化 チレン/メタノール(1/9)懸洗2回を行い、中間 4(5.9g)を得た。
 窒素気流中、中間体4(3.88g)、4-ニトロフェニ ルボロン酸(2.72g)、トルエン:エタノール(48ml:4 8ml)、及び2M炭酸ナトリウム水溶液(24ml)を仕込 み、40℃に加熱下、30分間撹拌して脱気した テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジ ウム(0.53g)を加え、6時間還流した。室温まで 冷した後、水を加え攪拌後、析出している 晶を濾別した。さらに酢酸エチルで懸洗す ことにより、中間体5(2.35g)を得た。
 中間体5(2.35g)をN,N-ジメチルホルムアミド(195 ml)に溶解させ、5%Pd/C(1.06g)を仕込み、水素で 内を置換後、水素下、70℃で4時間反応させ 。反応液を窒素置換後、セライト濾過し、 液を約30mlまで濃縮し、メタノールに添加し 。さらに水を添加して晶出した結晶を濾別 ることにより、目的物14(1.03g)を得た。
(合成例15)

 目的物14(1.82g)、2-ブロモ-9,9-ジヘキシルフル オレン(3.7g)、及びtert-ブトキシナトリウム(0.9 4g)、及びトルエン(25ml)を仕込み、系内を十分 に窒素置換して、50℃まで加温した(溶液A)。
 一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ ラジウムクロロホルム錯体(0.09g)のトルエン4 ml溶液に、ジフェニルホスフィノフェロセン( 0.20g)を加え、50℃まで加温した(溶液B)。
 窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、5時間 加熱還流反応した。原料が消失したことを 認し、テトラヒドロフランを加えてセライ 濾過し、濾液を濃縮し、シリカゲルカラム ロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル) て精製し、得られた粗結晶をn-ヘキサン、メ タノールにて懸洗して、目的物15(1.34g)を得た 。
(合成例16)

 目的物15(0.50g)、3-(3-ブロモフェニル)ベンゾ クロブテン(0.63g)、tert-ブトキシナトリウム( 0.26g)、及びトルエン(15ml)を仕込み、系内を十 分に窒素置換して、50℃まで加温した(溶液A)
 一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ ラジウムクロロホルム錯体(0.02g)のトルエン1 ml溶液に、ジフェニルホスフィノフェロセン( 0.05g)を加え、50℃まで加温した(溶液B)。
 窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、6時間 加熱還流反応した。原料が消失したことを 認し、テトラヒドロフランを加えてセライ 濾過し、濾液を濃縮し、シリカゲルカラム ロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル) て精製することにより、目的物16(0.12g)を得 。
(合成例17)

  窒素気流中、目的物12(2.8g)、4-ブロモベン シクロブテン(3.65g)、炭酸カリウム(2.73g)、(n -C 4 H 9 ) 4 Br(2.67g)、脱水DMF(76ml)、及びパラジウム触媒 P d 2 (diphenylCl 2 NOH) 2 Cl 2 15.1mgを130℃8時間反応後、室温で反応液に酢 エチル(100ml)及び水(100ml)を加え攪拌後、分液 し、水層を酢酸エチル(100ml)で2回抽出し、有 層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、 縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマ グラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精 製することにより、目的物17(trans、1.7g、LC:98% )を得た。
 (合成例18)

 窒素気流中、目的物17(1.6g)、酢酸(30ml)、エ ノール(30ml)、塩酸(1N、1ml)、水(4ml)及び還元 (5.5g)を2時間還流した。室温で反応液を濾過 、酢酸エチル(100ml)及び水(100ml)を加え攪拌 、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で中和し 分液し、水層を酢酸エチル(50ml)で2回抽出し 有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥 、濃縮した。さらに、シリカゲルカラムク マトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=3/1) 精製することにより、目的物18(1.3g)を得た
(合成例19)

 反応容器内に3-ブロモフェニルボロン酸(10.0 g)、m-ジヨードベンゼン(8.21g)、炭酸ナトリウ (15.83g)、トルエン(150mL)、エタノール(150mL)、 水(75mL)を仕込み、減圧脱気を行った後、窒素 雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフ ン)パラジウム(0)(1.726g)を加えた。80℃で約4.5 時間攪拌した後、室温まで放冷した。反応液 に水を加え、酢酸エチル-ヘキサン混合溶剤 抽出後、得られた有機層を濃縮した。粗生 物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー( キサン)にて精製し、目的物19(7.39g)を得た。
(合成例20)

 窒素雰囲気下、p-ジブロモベンゼン(50g)、THF (740mL)を仕込み、-78℃に冷却した。1.55Mのn-ブ ルリチウムヘキサン溶液(125.7mL)を約40分か て滴下した。さらに約1時間攪拌した後、ア トラキノン(15.44g)を加えた。さらに約3時間 拌後、約1時間かけて室温まで昇温した。さ らに約3.5時間撹拌した後、水(100mL)を加え、TH Fを減圧留去した。酢酸エチルで抽出し、有 層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で 燥、ろ過、濃縮した。得られた粗生成物を 塩化メチレン-ヘキサン混合溶剤で懸濁洗浄 た後、次いでメタノールで懸濁洗浄するこ により、目的物20(25.8g)を得た。
(合成例21)

 窒素雰囲気下、目的物20(25.7g)、酢酸(400mL)、 及び亜鉛粉末(27.4g)を仕込み、加熱還流した 8時間後、酢酸(190mL)を追加し、さらに約8時 加熱還流した。室温まで放冷し、水(400mL)を え、ろ取、水洗した。得られた固体を塩化 チレン(2.5L)に懸濁し、不溶物をろ別し、ろ を濃縮した。得られた粗生成物を塩化メチ ン(3L)に溶解させ、シリカゲルカラムクロマ トグラフィー(塩化メチレン)で精製した後、 化メチレンで懸濁洗浄、次いでクロロホル 懸濁洗浄を行うことにより、目的物21(10.7g) 得た。
(合成例22)

 窒素雰囲気下、m-ジブロモベンゼン(25g)、THF (370mL)を仕込み、-78℃に冷却した。1.6Mのn-ブ ルリチウムヘキサン溶液(61mL)を約10分かけて 滴下した。さらに約1時間攪拌した後、アン ラキノン(7.72g)を加えた。さらに約1時間攪拌 後、約1時間かけて室温まで昇温した。さら 約3.5時間撹拌した後、水(150mL)を加え、THFを 圧留去した。酢酸エチルで抽出し、有機層 水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥 ろ過、濃縮した。得られた粗生成物を、塩 メチレン-ヘキサン混合溶剤で懸濁洗浄する ことにより、目的物22(17.4g)を得た。
(合成例23)

 窒素雰囲気下、目的物22(17.4g)、酢酸(242mL)、 及び亜鉛粉末(18.6g)を仕込み、加熱還流した 10.5時間後、室温まで放冷し、水(250mL)を加え 、ろ取、水洗した。得られた固体を塩化メチ レン(500mL)に懸濁し、不溶物をろ別し、ろ液 濃縮し、ヘキサンで懸濁洗浄した。得られ 粗生成物を塩化メチレン(200mL)に溶解させ、 リカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メ チレン)に供した。得られた固体を1,2-ジメト シエタン(102mL)に加熱還流下で完全に溶解さ せ、ゆっくりと室温まで冷却し、析出した固 体をろ取することにより、目的物23(3.7g)を得 。
(合成例24)

 反応容器内に1,3,5-トリブロモベンゼン(22g) 3-ビフェニルボロン酸(4.95g)、トルエン(110ml) 及びエタノール(100ml)を仕込み窒素バブリン グを10分行い脱気を行った。別の容器に炭酸 トリウム(7.9g)と水(38ml)を加え攪拌しながら 窒素バブリングにより脱気を行った。この 溶液を反応容器に加え、すぐにテトラキス( トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(866mg) 加えて昇温し加熱還流を行った。反応終了 、反応液に水を加え、トルエンで抽出した 得られた有機層に硫酸ナトリウムを加え脱 乾燥し、濃縮した。粗生成物をシリカゲル ラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロ メタン)にて精製し、目的物24(7.51g)を得た。
(合成例25)

 目的物24(7.0g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(11 .68g)酢酸カリウム(9.71g)、ジメチルフォルムア ミド(100ml)を加え窒素バブリングをしながら 拌を開始した。15分後、窒素バブリングをフ ローに変え、PdCl 2 (dppf)・CH 2 Cl 2 (660mg)を加え80℃まで昇温した。反応終了後放 冷し、ジクロロメタンと水により抽出洗浄を 行い、硫酸ナトリウムにより乾燥後濃縮した 。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフ ィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて精製すること により、目的物25(10g)を得た。
(合成例26)

 反応容器内に目的物25(5.8g)、4-ブロモヨード ベンゼン(7.5g)、トルエン(72ml)、及びエタノー ル(72ml)を仕込み窒素バブリングを10分行い脱 を行った。別の容器に炭酸ナトリウム(7.6g) 水(36ml)を加え攪拌しながら、窒素バブリン により脱気を行った。この水溶液を反応容 に加え、すぐにテトラキス(トリフェニルホ スフィン)パラジウム(0)(1.0g)を加えて昇温し 熱還流を行った。反応終了後、反応液に水 加え、ジクロロメタンで抽出した。得られ 有機層に硫酸ナトリウムを加え脱水乾燥し 濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムク マトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて 製し、目的物26(3.9g)を得た。
(合成例27)

 反応容器内にトルエン(100ml)、エタノール(50 ml)、4-ブロモフェニルボロン酸(9.99g)、1,3-ジ ードベンゼン(8.41g)、炭酸ナトリウム(8.41g)、 及び水35mlを仕込み、窒素を吹き込み系内を 分に窒素雰囲気として、撹拌した。そこへ テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジ ウム(0.884g)を加えて昇温し、7時間加熱還流さ せた。
 反応終了後、反応液に水を加えトルエンで 出した。得られた有機層を2回水洗し、硫酸 ナトリウムを加え脱水乾燥し、濃縮した。粗 生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ ー(ヘキサン/トルエン)にて精製し、目的物27( 3.54g)を得た。
(合成例28)

 反応容器内に9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7- ボロン酸(3.0g、7.1mmol)、4-ブロモヨードベン ン(4.42g、15.6mmol)、トルエン(45ml)、エタノー (45ml)を仕込み、減圧下、窒素置換を繰り返 系内を窒素雰囲気とした。さらに系内を十 に窒素置換して、テトラキス(トリフェニル ホスフィン)パラジウム(0.54g、0.5mmol)を添加し 、脱気処理をした炭酸ナトリウム(4.52g、43mmol )の水溶液(22ml)を添加し、6時間反応させた。 応終了後、反応液に水を加え、トルエンで 出した。得られた有機層を2回水洗し、硫酸 ナトリウムを加え脱水乾燥し、濃縮した。粗 生成物をn-ヘキサンで洗浄し、シリカゲルカ ムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチ ン)にて精製し、さらに塩化メチレン/メタノ ール懸洗を行い、目的物28(3.15g)を得た。
(合成例29)

 窒素雰囲気下の反応容器中にジクロロメタ (200ml)を加え、N-フェニルカルバゾール(2.29g) とビス(ピリジン)ヨードニウムテトラフロロ ラート(7.76g)を溶解させた。次に、氷冷下で トリフロロメタンスルホン酸(1.75ml)を滴下投 し、徐々に室温まで上げながら一昼夜攪拌 た。反応終了後、反応液に0.5Mチオ硫酸ナト リウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出 した。得られた有機層を水洗し、硫酸ナトリ ウムを加え脱水乾燥し、濃縮した。粗生成物 のジクロロメタン溶液にメタノールを加えて 再沈殿させ、メタノール還流条件で沈殿物を 洗浄し、目的物29(4.00g)を得た。
(合成例30)

 目的物29(4.00g)、p-ブロモフェニルボロン酸(3 .05g)、トルエン(30ml)、エタノール(15ml)、及び2 .6M炭酸ナトリウム水溶液(20ml)を加え、超音波 洗浄器で振動を与えながら真空脱気し、窒素 で系内を置換した。そこへ、テトラキス(ト フェニルホスフィン)パラジウム(0.27g)を加え 75℃で3時間加熱撹拌した。反応終了後、反応 液に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。 得られた有機層を硫酸ナトリウムを加え脱水 乾燥し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカ ラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロ タン)にて単離し、熱ジメトキシエタンから の再結晶精製により目的物30(2.25g)を得た。
(合成例31)

 窒素雰囲気下の反応容器中にジエチルエー ル(100ml)を加え、3,3’-ジブロモ-1,1’-ビフェ ニル(9.00g)を溶解させ、-78℃に冷却した。そ へ1.6M n-ブチルリチウム ヘキサン溶液(40ml) 15分かけて滴下投入し、-78℃で1時間攪拌し 後、0℃まで昇温して更に2時間攪拌した。 方、窒素雰囲気下でホウ酸トリメチル(33ml) ジエチルエーテル(160ml)に溶かし-78℃に冷却 た溶液を別の容器で調製し、そこへ上述の 合液を45分かけて滴下投入し、液温度を徐 に室温に戻しながら4時間攪拌した。反応終 後、0℃で反応液に3N塩酸(144ml)を徐々に加え 、室温で4時間攪拌後、白色沈殿を3Gガラスロ ートで回収した。水とジエチルエーテルで洗 浄後乾燥し、目的物31(3.16g)を得た。
(合成例32)

 目的物31(2.85g)、p-ヨードブロモベンゼン(6.68 g)、トルエン(40ml)、エタノール(20ml)、及び2.6M 炭酸ナトリウム水溶液(30ml)を加え、超音波洗 浄器で振動を与えながら真空脱気し、窒素で 系内を置換した。そこへ、テトラキス(トリ ェニルホスフィン)パラジウム(0.41g)を加え75 で6時間加熱撹拌した。反応終了後、反応液 に水とトルエンを加え、トルエン層を0.1N塩 と水で洗浄し、硫酸ナトリウムを加え脱水 燥し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカ ムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホル ム)にて単離し、目的物32(3.01g)を得た。
[高分子化合物の合成]
(合成例33)

 窒素気流中、化合物4(2.512g)、目的物3(0.302g) 化合物5(1.033g)、目的物4(0.792g、1,8-ジブロモ レン:1,6-ジブロモピレン=37:63)、トルエン(40m l)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒ ロキシド水溶液(20ml)を加え、テトラキス(ト リフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.058g)を 加えて、加熱還流下、8時間攪拌した。放冷 、エタノールに反応液を添加し、析出した ポリマー1を濾取、乾燥した。窒素気流中、 ポリマー1、ブロモベンゼン(0.140g)、トルエ (100ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウ ムヒドロキシド水溶液(50ml)を加え、テトラキ ス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.0 58g)を加えて、加熱還流下、2.5時間攪拌した 続いて、フェニルボロン酸(0.610g)を加え、加 熱還流下、6時間攪拌した。放冷後、トルエ 及び水を加え、有機層を50mlになるまで濃縮 、エタノールを添加し、析出した粗ポリマ を濾取、乾燥した後、トルエン及びテトラ ドロフランを展開溶剤としたシリカゲルカ ムによって精製し、テトラヒドロフラン溶 からエタノールに再沈殿、濾取、乾燥する とによって、目的ポリマー1(2.20g)を得た。
 重量平均分子量(Mw)=26,000
 数平均分子量(Mn)=13,000
 分散度(Mw/Mn)=2.0
(合成例34)

 アニリン(1.98g、21.3mmol)、合成例6で得られ た目的物6(0.22g、1.1mmol)、2,7-ジブロモ-9,9-ジヘ キシルフルオレン(5.52g、11.2mmol)、及びtert-ブ キシナトリウム(6.90g、71.8mmol)、トルエン(51m l)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、50 まで加温した(溶液A)。トリス(ジベンジリデ アセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0. 23g、0.2mmol)のトルエン15ml溶液に、トリ-t-ブチ ルホスフィン(0.37g、1.8mmol)を加え、50℃まで 温した(溶液B)。窒素気流中、溶液Aに溶液Bを 添加し、1時間、加熱還流反応した。原料が 失したことを確認し、4,4’-ジブロモビフェ ル(3.29g、10.5mmol)を追添加した。1時間加熱還 流した後、重合が始まったことが確認できた ので、さらに、4,4’-ジブロモビフェニル(0.07 g、0.2mmol)を1時間おきに計3回(計0.21g)追添加し た。4,4’-ジブロモビフェニルを全量添加後 さらに30分間加熱還流し、反応液を放冷して 、反応液をエタノール水溶液(エタノール300ml +水50ml)中に滴下し、粗ポリマー2を晶出させ 。

 得られた粗ポリマー2をトルエン140mlに溶 させ、ブロモベンゼン(0.70g、4.5mmol)、tert-ブ トキシナトリウム(3.45g、35.9mmol)を仕込み、系 内を十分に窒素置換して、50℃まで加温した( 溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ ラジウムクロロホルム錯体(0.11g、0.1mmol)のト ルエン8ml溶液に、トリ-t-ブチルホスフィン(0. 19g、0.9mmol)を加え、50℃まで加温した(溶液D) 窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間 加熱還流反応した。この反応液に、N,N-ジフ ニルアミン(3.80g、22.5mmol)のトルエン(2ml)溶 を添加し、さらに、6時間、加熱還流反応し 。反応液を放冷し、エタノール水溶液(エタ ノール300ml+50ml)中に滴下し、末端残基をキャ プした粗ポリマー2を得た。

 この末端残基をキャップした粗ポリマー2を トルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析 出したポリマーを濾別した。得られたポリマ ーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し 、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した 。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフ ィーにより2回精製し、目的ポリマー2を得た( 1.38g)。
 重量平均分子量(Mw)=67850
 数平均分子量(Mn)=35400
 分散度(Mw/Mn)=1.92
(合成例35)

 合成例8で得られた目的物8(3.64g、10.4mmol)、 成例6で得られた目的物6(0.51g、2.6mmol)、4,4’- ジブロモビフェニル(2.03g、13mmol)、tert-ブトキ シナトリウム(2.88g、30.0mmol)、及びトルエン(20 ml)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、50 まで加温した(溶液A)。
 一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ ラジウムクロロホルム錯体(0.148g、0.0143mmol) トルエン15ml溶液に、トリ-t-ブチルホスフィ (0.210g、0.104mmol)を加え、50℃まで加温した( 液B)。
 窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、1時間 加熱還流反応した。原料が消失したことを 認し、4,4’-ジブロモビフェニル(1.91g、6.1mmo l)を追添加した。1時間加熱還流した後、重合 が始まったことが確認できたので、さらに、 4,4’-ジブロモビフェニル(0.041g、0.13mmol)を追 加し、さらに1時間加熱還流反応させた。反 応液を放冷して、反応液をメタノール200ml中 滴下し、粗ポリマー3を晶出させた。

 得られた粗ポリマー3をトルエン200mlに溶解 せ、ブロモベンゼン(2.04g、13mmol)、tert-ブト シナトリウム(1.50g、16mmol)を仕込み、系内を 十分に窒素置換して、50℃まで加温した(溶液 C)。
 一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ ラジウムクロロホルム錯体(0.108g、10.4 mmol) トルエン10ml溶液に、トリ-t-ブチルホスフィ (0.026g、13mmol)を加え、50℃まで加温した(溶 D)。

 窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間 加熱還流反応した。この反応液に、N,N-ジフ ェニルアミン(3.82g、22.6mmol)のトルエン(2ml)溶 を添加し、さらに、8時間、加熱還流反応し た。反応液を放冷し、メタノールに滴下し、 エンドキャップした粗ポリマー3を得た。
 このエンドキャップした粗ポリマー3をトル エンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出し たポリマーを濾別した。得られたポリマーを トルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、ア ンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾 取したポリマーをカラムクロマトグラフィー により精製し、目的ポリマー3を得た(1.01g)。 お、目的ポリマー3の重量平均分子量及び数 平均分子量を測定したところ、以下の通りで あった。
 重量平均分子量(Mw)=43300
 数平均分子量(Mn)=26400
 分散度(Mw/Mn)=1.64

(合成例36~41)
 合成例35の合成法に従い、モノマー体(即ち 目的物6、目的物8及び4,4’-ジブロモビフェ ル)を下記表1の化合物に変え、目的ポリマ 4~9を得た。得られた目的ポリマーについて 表1にまとめた。

(合成例42)

 合成例8で得られた目的物8(7.5g、21.5mmol)、合 成例6で得られた目的物6(0.22g、1.1mmol)、4,4’- ブロモスチルベン(3.82g、11.3mmol)、tert-ブト シナトリウム(6.95g、72.3mmol)、及びトルエン(1 20ml)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、5 0℃まで加温した(溶液A)。
 一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ ラジウムクロロホルム錯体(0.06g、0.06mmol)の ルエン5ml溶液に、トリ-t-ブチルホスフィン(0 .33g、0.45mmol)を加え、50℃まで加温した(溶液B) 。

 窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、3時間 加熱還流反応した。原料が消失したことを 認し、4,4’-ジブロモビフェニル(3.31g、10.6mm ol)を追添加した。1.5時間加熱還流した後、重 合が始まったことが確認できたので、さらに 、4,4’-ジブロモビフェニル(0.07g、0.2mmol)を1.5 時間おきに計3回追添加した。4,4’-ジブロモ フェニルを全量添加後、さらに1時間加熱還 流し、反応液を放冷して、反応液をエタノー ル300ml中に滴下し、粗ポリマー10を晶出させ 。
 得られた粗ポリマー10をトルエン180mlに溶解 させ、ブロモベンゼン(0.71g、4.5mmol)、tert-ブ キシナトリウム(3.5g、36.4mmol)を仕込み、系内 を十分に窒素置換して、50℃まで加温した(溶 液C)。
 一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ ラジウムクロロホルム錯体(0.12g、0.1mmol)のト ルエン10ml溶液に、トリ-t-ブチルホスフィン(0 .18g、0.9mmol)を加え、50℃まで加温した(溶液D)

 窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間 加熱還流反応した。この反応液に、N,N-ジフ ェニルアミン(3.82g、22.6mmol)のトルエン(2ml)溶 を添加し、さらに、8時間、加熱還流反応し た。反応液を放冷し、エタノール/水(250ml/50ml )溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリ ー10を得た。
 このエンドキャップした粗ポリマー10をト エンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出 たポリマーを濾別した。得られたポリマー トルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、 ンモニア含有エタノールにて再沈殿した。 取したポリマーをカラムクロマトグラフィ により精製し、目的ポリマー10を得た(0.9g)。 なお、目的ポリマー10の重量平均分子量及び 平均分子量を測定したところ、以下の通り あった。
 重量平均分子量(Mw)=60000
 数平均分子量(Mn)=27000
 分散度(Mw/Mn)=2.2

(合成例43~47)
 合成例42の合成法に従い、モノマー体を下 表-2の化合物に変え、アリールアミンポリマ ーとして目的ポリマー11~15を得た。得られた 的ポリマーについても表2にまとめた。

(合成例48~58)
 合成例35、42の合成法と同様に、下記反応式 のような各種モノマー体を、下記反応式及び 表3に従い、各種アリールアミンポリマー目 物16~26を得た。得られたポリマーについて表 3にまとめた。

 (合成例59) 
 合成例35、42の合成法と同様に、下記反応式 のような各種モノマー体を、下記反応式及び 表4に従い、各種アリールアミンポリマー目 物27を得た。得られたポリマーについて表4 まとめた。

(合成例60~64)
 合成例35、42の合成法と同様に、下記反応式 のような各種モノマー体を、下記反応式及び 表5に従い、目的ポリマー28~32を得た。得られ たポリマーについて表5にまとめた。

[比較例用ポリマーの合成]
(比較合成例1)

 窒素気流中、化合物4(3.26g)、化合物6(0.45g)、 目的物4(1.530g、1,8-ジブロモピレン:1,6-ジブロ ピレン=33:67)、化合物5(1.34g)のトルエン(59ml) 溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒド キシド水溶液(11ml)を加え、テトラキス(トリ フェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.075g)を加 えて、加熱還流下、6時間撹拌した。放冷後 メタノールに反応液を添加し、析出した粗 リマーを濾取、乾燥した。窒素気流中、得 れた粗ポリマー、ブロモベンゼン(0.20g)、ト エン(100ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモ ニウムヒドロキシド水溶液(24ml)を加え、テト ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム( 0)(0.451g)を加えて、加熱還流下、2時間撹拌し 。続いて、フェニルボロン酸(1.80g)を加え、 加熱還流下、6時間撹拌した。放冷後、エタ ールに反応液を添加し、析出した粗ポリマ を濾取、乾燥した後、トルエン及びテトラ ドロフランを展開溶剤としたシリカゲルカ ムによって精製し、テトラヒドロフラン溶 からエタノールに再沈殿、濾取、乾燥する とによって、比較ポリマー1(1.45g)を得た。
 重量平均分子量(Mw)=22,000
 数平均分子量(Mn)=14,000
(比較合成例2)

 窒素気流中、化合物1(10.0g)、ビス(ピナコ ート)ジボラン(10.8g)、酢酸カリウム(10.13g)、 ジメチルスルホキシド(150ml)を仕込み、60℃に 加熱してから30分間撹拌し、(ビスジフェニル ホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウム 体(0.74g)を加え、80℃で6時間反応した。反応 、室温まで放冷し、反応液にトルエン(100ml) 及び水(120ml)を加え攪拌後、分液し、水層を ルエンで抽出し、有機層を合わせ、硫酸マ ネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗 成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ (n-ヘキサン/酢酸エチル)で精製することによ り、目的物33(7.9g)を得た。

 窒素気流中、目的物33(7.9g)、3-ブロモアニ リン(3.47g)、トルエン:エタノール(60ml:30ml)、2M 炭酸ナトリウム水溶液(20ml)を仕込み、60℃に 熱下、30分間撹拌して系内を脱気して、テ ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (0.7g)を加え、6時間還流した。室温まで放冷 た後、反応液にトルエン(100ml)及び水(120ml)を 加え攪拌後、分液し、水層をトルエンで抽出 し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾 燥後、濃縮した。得られた粗生成物をシリカ ゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/ 酸エチル)で精製することにより、目的物34(3 .8g)を得た。

 4-n-オクチルアニリン(2.285g、11.13mmol)、目 物34(0.2g、0.59mmol)、4,4’-ジブロモビフェニ (1.83g、5.86mmol)、及びtert-ブトキシナトリウム (3.6g、37.49mmol)、トルエン(20ml)を仕込み、系内 を十分に窒素置換して、50℃まで加温した(溶 液A)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパ ジウムクロロホルム錯体(0.12g、0.12mmol)のト エン10ml溶液に、トリ-t-ブチルホスフィン(0.1 89g、0.94mmol)を加え、50℃まで加温した(溶液B) 窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、1時間 加熱還流反応した。原料が消失したことを 認し、4,4’-ジブロモビフェニル(1.72g、5.51mm ol)を追添加した。1時間加熱還流した後、重 が始まったことが確認できたので、さらに 4,4’-ジブロモビフェニル(0.036g、0.12mmol)を40 おきに計3回(計0.11g)追添加した。4,4’-ジブ モビフェニルを全量添加後、さらに1時間加 熱還流し、反応液を放冷して、反応液をエタ ノール300ml中に滴下し、比較粗ポリマー2を晶 出させた。

 得られた比較粗ポリマー2をトルエン110ml 溶解させ、ブロモベンゼン(0.39g、2.48mmol)、t ert-ブトキシナトリウム(3.8g、39.74mmol)を仕込 、系内を十分に窒素置換して、50℃まで加温 した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセト )ジパラジウムクロロホルム錯体(0.13g、0.12mmo l)のトルエン10ml溶液に、トリ-t-ブチルホスフ ィン(0.2g、0.99mmol)を加え、50℃まで加温した( 液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、 2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N, N-ジフェニルアミン(2.1g、12.4mmol)のトルエン(2 ml)溶液を添加し、さらに、6時間、加熱還流 応した。反応液を放冷し、エタノール/水(250 ml/50ml)溶液に滴下し、末端残基をキャップし 比較粗ポリマー2を得た。

 この末端残基をキャップした比較粗ポリマ 2をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し 、析出したポリマーを濾別した。得られたポ リマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗 浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿 した。濾取したポリマーをカラムクロマトグ ラフィーにより精製し、比較ポリマー2を得 (0.84g)。
 重量平均分子量(Mw)=51600
 数平均分子量(Mn)=26500
 分散度(Mw/Mn)=1.95
(比較合成例3)

 化合物7(10.09g)、化合物6(2.08g)、2,7-ジブロモ- 9,9-ジヘキシルフルオレン(12.85g)、及びtert-ブ キシナトリウム(9.23g)、トルエン(70ml)を仕込 み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加 した(溶液A)。トリス(ジベンジリデンアセト ン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.16g)のト エン5ml溶液に、トリ-t-ブチルホスフィン(0.2 4g)を加え、60℃まで加温した(溶液B)。窒素気 中、溶液Aに溶液Bを添加し、1時間、加熱還 反応した。2,7-ジブロモ-9,9-ジヘキシルフル レン(0.15g)を30分おきに計3回追添加した。さ らに1時間加熱還流し、反応液を放冷して、 応液をエタノール中に滴下し、比較粗ポリ ー3を晶出させた。
 得られた比較粗ポリマー3をトルエン290mlに 解させ、ブロモベンゼン(0.94g)、tert-ブトキ ナトリウム(4.32g)を仕込み、系内を十分に窒 素置換して、60℃まで加温した(溶液C)。トリ (ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムク ロホルム錯体(0.16g)のトルエン10ml溶液に、ト リ-t-ブチルホスフィン(0.24g)を加え、60℃まで 加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液D 添加し、2時間、加熱還流反応した。この反 応液に、N,N-ジフェニルアミン(5.08g)のトルエ (10ml)溶液を添加し、さらに、4時間、加熱還 流反応した。反応液を放冷し、エタノール中 に滴下し、末端残基をキャップした比較粗ポ リマー3を得た。 
 この末端残基をキャップした比較粗ポリマ 3をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し 、析出したポリマーを濾別した。得られたポ リマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗 浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿 した。濾取したポリマーをカラムクロマトグ ラフィーにより精製し、比較ポリマー3を得 (11.27g)。 
 重量平均分子量(Mw)=47500 
 数平均分子量(Mn)=23700 
 分散度(Mw/Mn)=2.00
(比較合成例4)

 窒素気流中、化合物4(3.57g)、化合物5(2.61g)、 化合物8(0.61g)のトルエン(50ml)の溶液に、20%テ ラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液( 25ml)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフ ィン)パラジウム(0)(0.06g)を加えて、加熱還流 、4時間撹拌した。放冷後、エタノールに反 応液を添加し、析出した粗ポリマーを濾取、 乾燥した。窒素気流中、得られた粗ポリマー 、ブロモベンゼン(0.22g)、トルエン(100ml)の溶 に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキ ド水溶液(40ml)を加え、テトラキス(トリフェ ニルホスフィン)パラジウム(0)(0.06g)を加えて 加熱還流下、2時間撹拌した。続いて、フェ ニルボロン酸(0.87g)を加え、加熱還流下、6時 撹拌した。放冷後、エタノールに反応液を 加し、析出した比較粗ポリマー4を濾取、乾 燥した後、トルエン及びテトラヒドロフラン を展開溶剤としたシリカゲルカラムによって 精製し、テトラヒドロフラン溶液からエタノ ールに再沈殿、濾取、乾燥することによって 、比較ポリマー4(2.80g)を得た。
 重量平均分子量(Mw)=41400 
 数平均分子量(Mn)=22600
 分散度(Mw/Mn)=1.83

 [有機電界発光素子の作成]
(実施例1)
 図1に示す有機電界発光素子を作製した。
 ガラス基板1上にインジウム・スズ酸化物(IT O)透明導電膜を120nmの厚さに堆積したもの(三 真空社製、スパッタ成膜品)を、通常のフォ トリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用 いて2mm幅のストライプにパターニングして陽 極2を形成した。パターン形成したITO基板を 界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純 による水洗、超純水による超音波洗浄、超 水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気で乾 させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
 まず、下記構造式(P1)で表される正孔輸送能 高分子材料(重量平均分子量:26500,数平均分子 :12000)、下記構造式(A1)で表される4-イソプロ ピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテト ラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート及 安息香酸エチルを含有する正孔注入層形成 塗布液を調製した。この塗布液を下記条件 陽極2上にスピンコートにより成膜して、膜 厚30nmの正孔注入層3を得た。

  <正孔注入層形成用塗布液>
     溶剤         安息香酸エチル
     塗布液濃度      P1:2.0重量%
                A1:0.8重量%
   <正孔注入層3の成膜条件>
     スピナ回転数     1500rpm
     スピナ回転時間    30秒
     スピンコート雰囲気  大気中
     加熱条件       大気中 230℃ 3時
  引き続き、下記構造式(H1)で表される本発 の高分子化合物(i)(合成例33で得られた目的 リマー1)を含有する有機電界発光素子用組 物を調製し、下記の条件でスピンコートに り塗布して、加熱により架橋させることに り膜厚22nmの正孔輸送層4を形成した。

<正孔輸送層形成用塗布液>
    溶剤         トルエン
    固形分濃度      0.4重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
    スピナ回転数     1500rpm
    スピナ回転時間    30秒
    スピンコート雰囲気  窒素中
    加熱条件       窒素中、230℃、1時

 ここで、正孔注入層3及び正孔輸送層4を成 した基板を真空蒸着装置内に移し、油回転 ンプにより装置の粗排気を行った後、装置 の真空度が1.3×10 -4 Pa以下になるまでクライオポンプを用いて排 した後、下記構造式(E4)で表される化合物と 以下に示すイリジウム錯体(D2)を真空蒸着法 て成膜し、発光層5を得た。(E4)の蒸着速度は 0.5Å/秒、イリジウム錯体(D2)の蒸着速度は0.03 Å/秒に制御して膜厚32nmの膜の発光層5を形成 した。

 次に、以下の構造式で表される化合物(E3) を真空蒸着法によって積層し正孔阻止層6を た。蒸着速度を0.7~1.2Å/秒の範囲で制御し、 発光層5の上に積層して膜厚10nmの膜の正孔阻 層6を形成した。

 続いて、トリス(8-ヒドロキシキノリナート) アルミニウムを加熱して蒸着を行い、電子輸 送層7を成膜した。この時、蒸着速度は0.7~1.3 /秒の範囲で制御し、膜厚30nmの膜を正孔阻 層6の上に積層して電子輸送層7を形成した。
 ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素 子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取 り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅の ストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITO トライプとは直交するように素子に密着さ て、別の真空蒸着装置内に設置して有機層 同様にして装置内の真空度が1.3×10 -4 Pa以下になるまで排気した。
 電子注入層8として、先ずフッ化リチウム(Li F)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0 .08~0.13Å/秒の範囲で制御し、0.5nmの膜厚で電 輸送層7の上に成膜した。次に、陰極9とし アルミニウムを同様にモリブデンボートに り加熱して、蒸着速度0.5~6.0Å/秒の範囲で制 御して膜厚80nmのアルミニウム層を形成した 以上の2層の蒸着時の基板温度は室温に保持 た。

 引き続き、素子が保管中に大気中の水分等 劣化することを防ぐため、以下に記載の方 で封止処理を行った。
 真空蒸着装置に連結された窒素グローブボ クス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周 部に、約1mmの幅で光硬化性樹脂30Y-437(スリー ンド社製)を塗布し、中央部に水分ゲッター シート(ダイニック社製)を設置した。この上 、陰極形成を終了した基板を、蒸着された が乾燥剤シートと対向するように貼り合わ た。その後、光硬化性樹脂が塗布された領 のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた
 以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面 部分を有する有機電界発光素子が得られた この素子の発光特性は以下の通りである。
  輝度/電流:17.2[cd/A]@100cd/m 2
  電圧:5.5[V]@100cd/m 2
  電流効率:9.7[lm/W]@100cd/m 2
 素子の発光スペクトルの極大波長は516nmで り、イリジウム錯体(D2)からのものと同定さ た。色度はCIE(x,y)=(0.311,0.622)であった。
 この素子の発光特性及び駆動寿命を表1に表 す。駆動寿命は初期輝度2500cd/m 2 、室温駆動での輝度半減時間を示す。

 表6に示すが如く、本発明の高分子化合物を 用いて形成された有機電界発光素子は、駆動 電圧が低く、電流効率が高く、さらに駆動寿 命が長いことがわかる。
(比較例1)
 実施例1において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H1)で表される本発明の高 子化合物(i)を、下記構造式(H2)で表される高 分子化合物(比較合成例1で合成された比較ポ マー1)に変更して形成した他は、実施例1と 様にして図1に示す有機電界発光素子を作製 した。尚、正孔輸送層の膜厚は、20nmであっ 。

 以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面 部分を有する有機電界発光素子が得られた この素子の発光特性は以下の通りである。
  輝度/電流:18.5[cd/A]@100cd/m 2
  電圧:6.1[V]@100cd/m 2
  電流効率:9.5[lm/W]@100cd/m 2
 素子の発光スペクトルの極大波長は516nmで り、イリジウム錯体(D2)からのものと同定さ た。色度はCIE(x,y)=(0.311,0.622)であった。
 得られた有機電界発光素子の初期輝度を2500 cd/m 2 、室温駆動での輝度半減時間を示す。

(実施例2)
 実施例1において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H1)で表される本発明の高 子化合物(i)を、下記構造式(H3)で表される本 発明の高分子化合物(合成例64で合成された目 的ポリマー32)に変更して形成した他は、実施 例1と同様にして図1に示す有機電界発光素子 作製した。尚、正孔輸送層の膜厚は、20nmで あった。

 得られた素子の発光特性は以下の通りであ 。
  輝度/電流:13.4[cd/A]@100cd/m 2
  電圧:5.3[V]@100cd/m 2
  電流効率:7.9[lm/W]@100cd/m 2
(比較例2)
 実施例1において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H1)で表される本発明の高 子化合物(i)を、下記構造式(H4)で表される高 分子化合物(比較合成例9で合成された比較ポ マー9)に変更して形成した他は、実施例1と 様にして図1に示す有機電界発光素子を作製 した。尚、正孔輸送層の膜厚は、20nmであっ 。

 得られた素子の発光特性は以下の通りであ 。
  輝度/電流:17.1[cd/A]@100cd/m 2
  電圧:5.5[V]@100cd/m 2
  電流効率:9.7[lm/W]@100cd/m 2

 実施例2及び比較例2において得られた有機 界発光素子の100cd/m 2 における電圧、電流効率、及び初期輝度を2,5 00cd/m 2 とした時の駆動寿命を比較例2の値で規格化 たものを表7に示す。

 表7に示すが如く、本発明の高分子化合物を 用いて作製した有機電界発光素子は、駆動電 圧が低く、また駆動寿命が長いことが分かる 。
(実施例3)
 実施例2において、発光層5を下記のように て形成したほかは、実施例2と同様にして有 電界発光素子を形成した。
 下記構造式(E5)で表される化合物、及び下記 構造式(D3)で表される化合物を含有する有機 界発光素子用組成物を調製し、下記の条件 スピンコートにより成膜を行い、加熱する とで膜厚40nmの発光層5を形成した。

  <発光層層形成用塗布液>
    溶剤              トルエン
    塗布液濃度           (E5)0.80重量%
                            (D3) 0.08重量%
  <発光層の成膜条件>
    スピナ回転数          1500rpm
    スピナ回転時間         30秒
    スピンコート雰囲気       窒素中
       加熱条件             130℃ 1時間、減圧下(0.1MPa)
 
  得られた素子の発光特性は以下の通りで る。
  輝度/電流:4.3[cd/A]@1,000cd/m 2
  電圧:8.1[V]@1,000cd/m 2

(実施例4)
 実施例3において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H3)で表される本発明の高 子化合物を、下記構造式(H5)で表される本発 明の高分子化合物(合成例34で合成された目的 ポリマー2)に変更して形成した他は、実施例3 と同様にして図1に示す有機電界発光素子を 製した。尚、正孔輸送層の膜厚は、20nmであ た。

 得られた素子の発光特性は以下の通りであ 。
  輝度/電流:2.7[cd/A]@1,000cd/m 2
  電圧:6.6[V]@1,000cd/m 2
(実施例5)
 実施例3において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H3)で表される本発明の高 子化合物を、下記構造式(H6)で表される本発 明の高分子化合物(ii)(合成例44で合成された 的ポリマー12)に変更して形成した他は、実 例3と同様にして図1に示す有機電界発光素子 を作製した。尚、正孔輸送層の膜厚は、20nm あった。

 得られた素子の発光特性は以下の通りであ 。
  輝度/電流:3.9[cd/A]@1,000cd/m 2
  電圧:6.9[V]@1,000cd/m 2
(実施例6)
 実施例3において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H3)で表される本発明の高 子化合物を、下記構造式(H7)で表される本発 明の高分子化合物(ii)(合成例56で合成された 的ポリマー24)に変更して形成した他は、実 例3と同様にして図1に示す有機電界発光素子 を作製した。尚、正孔輸送層の膜厚は、20nm あった。

 得られた素子の発光特性は以下の通りであ 。
  輝度/電流:4.0[cd/A]@1,000cd/m 2
  電圧:7.7[V]@1,000cd/m 2
(実施例7)
 実施例3において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H3)で表される本発明の高 子化合物を、下記構造式(H8)で表される本発 明の高分子化合物(ii)(合成例63で合成された 的ポリマー31)に変更して形成した他は、実 例3と同様にして図1に示す有機電界発光素子 を作製した。尚、正孔輸送層の膜厚は、20nm あった。

 得られた素子の発光特性は以下の通りであ 。
  輝度/電流:3.7[cd/A]@1,000cd/m 2
  電圧:8.1[V]@1,000cd/m 2
(実施例8)
 実施例3において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H3)で表される本発明の高 子化合物を、下記構造式(H9)で表される本発 明の高分子化合物(ii)(合成例40で合成された 的ポリマー8)に変更して形成した他は、実施 例3と同様にして図1に示す有機電界発光素子 作製した。尚、正孔輸送層の膜厚は、20nmで あった。 

 得られた素子の発光特性は以下の通りであ 。
  輝度/電流:3.8[cd/A]@1,000cd/m 2
  電圧:7.2[V]@1,000cd/m 2
(比較例3)
 実施例3において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H3)で表される本発明の高 子化合物を、下記構造式(H10)で表される高 子化合物(比較合成例3で合成された比較ポリ マー3に変更して形成した他は、実施例3と同 にして図1に示す有機電界発光素子を作製し た。尚、正孔輸送層の膜厚は、20nmであった

 得られた素子の発光特性は以下の通りであ 。
  輝度/電流:2.9[cd/A]@1,000cd/m 2
  電圧:8.5[V]@1,000cd/m 2
 実施例3~8、及び比較例3において得られた有 機電界発光素子の1,000cd/m 2 における電圧、電流効率、及び初期輝度を1,0 00cd/m 2 とした時の駆動寿命を比較例3の値で規格化 たものを表8に示す。

 表8に示すが如く、本発明の高分子化合物を 用いて形成した有機電界発光素子は、駆動電 圧が低く、電流効率が高く、更に駆動寿命が 長い。
(実施例9)
 正孔輸送層4、発光層5を、下記の様にして 成したほかは、実施例3と同様にして有機電 発光素子を形成した。
(正孔輸送層4の形成)
 実施例3において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H3)で表される本発明の高 子化合物を、下記構造式(H11)で表される本 明の高分子化合物(ii)(合成例61で合成された 的ポリマー29)に変更して形成した他は、実 例3と同様にして膜厚20nmの正孔輸送層を形 した。 

 (発光層の形成)
 実施例3において発光層5を形成するにあた 、前記式(E5)で表される化合物を、下記構造 (E6)で表される化合物に、また、発光層形成 様塗布液の組成を以下に変更した他は、実施 例3と同様に形成して膜厚47nmで発光層5を得た 。

  <発光層形成用塗布液>
    溶剤         シクロヘキシルベン ン
    塗布液濃度      E6:2.30重量%
               D3:0.23重量%
 以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面 部分を有する有機電界発光素子が得られた この素子の発光特性は以下の通りである。
  輝度/電流:2.5[cd/A]@100cd/m 2
 素子の発光スペクトルの極大波長は464nmで り、化合物(D1)からのものと同定された。色 はCIE(x,y)=(0.142,0.161)であった。
(比較例4)
 実施例9において正孔輸送層4を形成するに たり、前記構造式(H11)で表される本発明の高 分子化合物(ii)を、下記構造式(H12)で表される 高分子化合物(比較合成例2で合成された比較 リマー2)に変更して形成した他は、実施例9 同様にして図1に示す有機電界発光素子を作 製した。尚、正孔輸送層の膜厚は、20nmであ た。

 得られた2mm×2mmのサイズの発光面積部分を する有機電界発光素子の発光特性は以下の りである。
  輝度/電流:2.1[cd/A]@100cd/m 2
 素子の発光スペクトルの極大波長は464nmで り、化合物(D1)からのものと同定された。色 はCIE(x,y)=(0.143,0.173)であった。

 実施例9、及び比較例4において得られた有 電界発光素子の100cd/m 2 における電流効率を表9に示す。

 表9に示すが如く、本発明の高分子化合物を 用いて形成した素子は、電流効率が高いこと がわかる。
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである

 本出願は、2008年4月2日出願の日本特許出 (特願2008-096522号)に基づくものであり、その 内容はここに参照として取り込まれる。

 本発明の高分子化合物は、有機EL光素子が 用される各種の分野、例えば、フラットパ ル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用 壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生 した光源(例えば、複写機の光源、液晶ディ スプレイや計器類のバックライト光源)、表 板、標識灯等の分野において、好適に使用 ることが出来る。
 また、本発明の高分子化合物は、本質的に れた耐酸化還元安定性を有することから、 機電界発光素子に限らず、電子写真感光体 有機太陽電池など有機デバイス全般に有用 ある。

 1 基板
 2 陽極
 3 正孔注入層
 4 正孔輸送層
 5 発光層
 6 正孔阻止層
 7 電子輸送層
 8 電子注入層
 9 陰極