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Patent Searching and Data


Title:
POLYMER ELECTROLYTE, POLYMER ELECTROLYTE MEMBRANE, MEMBRANE-ELECTRODE ASSEMBLY, AND SOLID POLYMER FUEL CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149815
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a polymer electrolyte which comprises, as the main component, a block/graft copolymer comprising, as constituent components, polymer blocks (A), (B) and (C) which cause phase-separation from one another, wherein the polymer block (A) comprises a vinyl compound unit as the main repeating unit and has an ion-conductive group, the polymer block (B) comprises a vinyl compound unit capable of forming a flexible phase as the main repeating unit and forms a flexible phase, and the polymer block (C) comprises a styrene derivative unit carrying an alicyclic hydrocarbon group having a polycyclic structure as the main repeating unit and forms a restrained phase; a membrane; a membrane-electrode assembly; and a solid polymer fuel cell. The polymer electrolyte has excellent durability and heat resistance, and shows little change in properties, such as the change in dimension between a dried state and a wet state, the change in mechanical properties and the change in methanol cross-over before and after the immersion in a methanol solution. The polymer electrolyte can be used stably in a solid polymer fuel cell during the long-term operation of the solid polymer fuel cell and enables excellent start-up performance of the solid polymer fuel cell.

Inventors:
OHGI HIROYUKI (JP)
ONO TOMOHIRO (JP)
NAKAI SHINJI (JP)
NAKANO TAKESHI (JP)
ISHIZONE TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060061
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
May 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KURARAY CO (JP)
TOKYO INST TECH (JP)
OHGI HIROYUKI (JP)
ONO TOMOHIRO (JP)
NAKAI SHINJI (JP)
NAKANO TAKESHI (JP)
ISHIZONE TAKASHI (JP)
International Classes:
H01M8/02; C08F297/04; H01B1/06; H01M8/10
Foreign References:
JP2006210326A2006-08-10
JP2004137444A2004-05-13
JP2007039536A2007-02-15
JP2007157455A2007-06-21
JP2007525802A2007-09-06
JPH0693114A1994-04-05
JPH10503788A1998-04-07
JP2006096988A2006-04-13
JP2005281373A2005-10-13
Other References:
J. MEMBRANE SCIENCE, vol. 197, 2002, pages 231
SYNTHESIS, no. 2, 1998, pages 148 - 152
See also references of EP 2157646A4
Attorney, Agent or Firm:
SAKAGUCHI, Shozo (Hongo-choFunabashi-shi, Chiba 33, JP)
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Claims:
 互いに相分離する重合体ブロック(A)、(B)及び(C)を構成成分とするブロック共重合体もしくはグラフト共重合体であって、重合体ブロック(A)はビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、イオン伝導性基を有し、重合体ブロック(B)は柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位を主たる繰り返し単位とし、柔軟相を形成し、重合体ブロック(C)は下記の一般式(I);
(式中、R 1 は多環構造を有する脂環式炭化水素基を表し、R 2 は水素原子、炭素数1~10のアルキル基又はアリール基を表す)
で表されるスチレン系誘導体単位を主たる繰返し単位とし、拘束相を形成する、該ブロック共重合体もしくはグラフト共重合体を主成分として含有する高分子電解質。
 一般式(I)におけるR 1 が橋架け脂環式炭化水素基である請求項1記載の高分子電解質。
 R 1 がアダマンチル基又はビアダマンチル基である請求項2記載の高分子電解質。
 重合体ブロック(A)におけるビニル系化合物単位が芳香族ビニル系化合物単位である請求項1~3のいずれか1項に記載の高分子電解質。
 重合体ブロック(A)における芳香族ビニル系化合物単位が下記一般式(II)
(式中、Arは1~3個の置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基を表し、R 3 は水素原子、炭素数1~4のアルキル基又は1~3個の置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基を表す)で表される単位である請求項4記載の高分子電解質。
 重合体ブロック(B)における柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位が炭素数2~8のアルケン単位、炭素数5~8のシクロアルケン単位、炭素数7~10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4~8の共役アルカジエン単位及び炭素数5~8の共役シクロアルカジエン単位、並びに炭素-炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数7~10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4~8の共役アルカジエン単位及び炭素数5~8の共役シクロアルカジエン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~5のいずれか1項に記載の高分子電解質。
 柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位が炭素数2~8のアルケン単位、炭素数4~8の共役アルカジエン単位、及び炭素-炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4~8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種である請求項6記載の高分子電解質。
 重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(C)の和と重合体ブロック(B)との質量比が90:10~10:90である請求項1~7のいずれか1項に記載の高分子電解質。
 重合体ブロック(C)と重合体ブロック(B)の質量比が95:5~5:95である請求項1~8のいずれか1項に記載の高分子電解質。
 イオン伝導性基が-SO 3 M又は-PO 3 HM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表される基である請求項1~9のいずれか1項に記載の高分子電解質。
 イオン交換容量が0.30meq/g以上である請求項1~10のいずれか1項に記載の高分子電解質。
 請求項1~11のいずれか1項に記載の高分子電解質からなる膜。
 請求項12記載の高分子電解質膜を使用した膜-電極接合体。
 請求項13記載の膜-電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池。
 
Description:
高分子電解質、高分子電解質膜 膜-電極接合体及び固体高分子型燃料電池

 本発明は、耐久性、耐熱性に優れる高分 電解質、それからなる高分子電解質膜、並 に該高分子電解質膜を使用した膜-電極接合 体及び固体高分子型燃料電池に関する。

 近年、エネルギー及び/又は環境問題の抜 本的解決策として、さらには将来の水素エネ ルギー時代の中心的エネルギー変換システム として、燃料電池技術が注目されている。特 に固体高分子型燃料電池(PEFC;Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、小型軽量化が可能であるなどの 理由から、電気自動車用の駆動電源や携帯機 器用の電源としての利用、さらに電気と熱を 同時利用する家庭据置き用の電源機器などへ の適用が検討されている。

 固体高分子型燃料電池は、一般に次のよ に構成される。まず、イオン伝導性を有す 高分子電解質膜の両側に、白金属の金属触 を担持したカーボン粉末と高分子電解質か なるイオン伝導性バインダーとを含む触媒 がそれぞれ形成される。各触媒層の外側に 、燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ通気 る多孔性材料であるガス拡散層がそれぞれ 成される。ガス拡散層としてはカーボンペ パー、カーボンクロスなどが用いられる。 媒層とガス拡散層を一体化したものはガス 散電極と呼ばれ、また一対のガス拡散電極 それぞれ触媒層が電解質膜と向かい合うよ に電解質膜に接合した構造体は膜-電極接合 体(MEA;Membrane Electrode Assembly)と呼ばれている この膜-電極接合体の両側には、導電性と気 密性を備えたセパレータが配置される。電極 面に燃料ガス又は酸化剤ガス(例えば空気)を 給するガス流路が膜-電極接合体とセパレー タとの接触部分又はセパレータ内に形成され ている。一方の電極(燃料極)に水素やメタノ ルなどの燃料ガスを供給し、他方の電極(酸 素極)に空気などの酸素を含有する酸化剤ガ を供給して発電する。すなわち、燃料極で 燃料がイオン化されてプロトンと電子が生 、プロトンは電解質膜を通り、電子は両電 をつなぐことによって形成される外部電気 路を移動して酸素極へ送られ、酸化剤と反 することで水が生成する。このようにして 燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに 接変換して取り出すことができる。

 固体高分子型燃料電池が実用化され普及し いくためには、性能面では、高い発電性能 みならず、長時間安定して運転できること 重要である。固体高分子型燃料電池は、一 的には、定常運転しているのではなく、起 、運転、停止を繰り返し行うものである。 転時、高分子電解質膜は湿潤下にあるもの 、停止した際には湿度低下がおきやすい。 のため、低湿度下(乾燥時)と湿潤時の寸法 化や力学特性変化が小さい電解質膜が望ま ている。また、起動後すぐに安定運転でき 等、動作環境が変化した場合にもすぐに一 の特性が発現できるような、始動性に優れ 電解質膜が望まれている。
 また、燃料としてメタノールを用いる固体 分子型燃料電池では、運転中に電解質膜の 造、特にイオン伝導性基であるスルホン酸 が凝集することにより形成されるイオンチ ンネルの構造が変化しやすく、そのため発 特性も変化しやすい。それ故、発電前後(電 解質膜においては、メタノール溶液浸漬処理 前後に相当)の特性、特にメタノール透過性 イオン伝導度等の特性の変化が小さい電解 膜が望まれている。
 また、電極活性の向上等の観点から、運転 度は高いことが望まれるため、耐熱性に優 た電解質膜が望まれている。加えて、膜― 極接合体を作成する場合に、ホットプレス よる圧着工程が多く採用されていることか も、その過程において性能が変化しないよ な耐熱性に優れた電解質が望まれている。

 一般的に、固体高分子型燃料電池用高分 電解質膜としては、化学的に安定であると う理由からパーフルオロカーボンスルホン 系高分子であるナフィオン(Nafion,デュポン の登録商標。以下同様)が用いられている。 かしながら、乾燥時と湿潤時の力学特性(引 張特性等)の変化が大きいため、長時間発電 験中に性能が低下しやすい傾向にある。加 て、ナフィオンはフッ素系のポリマーであ ため、合成及び廃棄時に環境への配慮が必 であり、かつ高価である。そのため、新規 電解質膜の開発が望まれている。

 上記課題を解決すべく、パーフルオロカ ボンスルホン酸系高分子電解質膜に代わり 非フッ素系ポリマーをベースとした高分子 解質膜が多数提案されている。例えば、耐 性芳香族ポリマーであるポリエーテルエー ルケトン(PEEK)をスルホン化したもの(特許文 献1)、ポリエーテルスルホン(PES)をスルホン したもの(非特許文献1)等が挙げられる。一 にスルホン化芳香族ポリマーはイオン伝導 を高めるためにスルホン酸基導入量を増や ているが、その結果、膨潤しやすくなり、 燥時と湿潤時の力学特性(引張特性)の変化も 大きくなっているのが実情である。

 一方、スチレンとゴム成分とからなるブ ック共重合体のポリスチレンブロックをス ホン化することにより、ポリスチレンブロ クをイオン伝導性チャンネルとした電解質 も提案されている。例えば、特許文献2にお いて、安価で、機械的、化学的に安定な高分 子電解質膜として、SEBS(ポリスチレン-ポリ( チレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロッ 共重合体の略)のスルホン化体からなる高分 電解質膜が提案されている。しかしながら 我々が実際に試験した結果、これらの高分 電解質膜においても、乾燥時と湿潤時の力 特性(引張特性等)の変化が大きく、またメ ノール溶液浸漬処理前後での、メタノール 過性、イオン伝導度等の特性の変化も大き ことが明らかとなった。これら特性の変化 大きいことは、この膜を固体高分子型燃料 池に使用した際に、安定して運転が可能な 間が限定されることを示している。

 このように、固体高分子型燃料電池におい 、長時間運転時に安定して駆動可能な、耐 性、耐熱性に優れた固体高分子型燃料電池 高分子電解質膜は未だ提案されていないの 実情である。

特開平6-93114号公報

特表平10-503788号公報 J. MembraneScience 197(2002)231

 本発明の目的は、経済的で、環境に優し 、成形性に優れた高分子電解質であって、 つ、耐久性、耐熱性に優れた、特に固体高 子型燃料電池において長時間運転時に安定 て使用可能な、乾燥時と湿潤時の寸法変化 力学特性(引張特性等)変化が小さく、また タノール溶液浸漬処理前後でのメタノール 過性等の特性の変化が小さい高分子電解質 あって、かつ始動性にも優れた高分子電解 膜、それからなる高分子電解質膜、並びに 高分子電解質膜を使用した膜-電極接合体及 固体高分子型燃料電池を提供することにあ 。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 研究を重ねた結果、互いに相分離する3種の 特定の重合体ブロックであって、それぞれイ オン伝導性機能、柔軟性機能、並びに耐熱性 及び構造保持性(拘束性)機能を有する重合体 ロックを構成成分とするブロック共重合体 主成分とする高分子電解質が、上記目的を たすことを見出し、本発明を完成した。

 すなわち、本発明は、 互いに相分離す 重合体ブロック(A)、(B)及び(C)を構成成分と るブロック共重合体もしくはグラフト共重 体であって、重合体ブロック(A)はビニル系 合物単位を主たる繰返し単位とし、イオン 導性基を有し、重合体ブロック(B)は柔軟相 形成し得るビニル系化合物単位を主たる繰 返し単位とし、柔軟相を形成し、重合体ブ ック(C)は下記の一般式(I);

(式中、R 1 は多環構造を有する脂環式炭化水素基を表し 、R 2 は水素原子、炭素数1~10のアルキル基又はア ール基を表す)
で表されるスチレン系誘導体単位を主たる繰 返し単位とし、拘束相を形成する、該ブロッ ク共重合体もしくはグラフト共重合体を主成 分として含有する高分子電解質に関する。

 上記ブロック共重合体もしくはグラフト 重合体において、重合体ブロック(A)は極性 を有するものとして、重合体ブロック(B)及 重合体ブロック(C)は、それぞれ、同じもし は類似の構造を有するものとして、3者互い にミクロ相分離を起こし、重合体ブロック(A) 同士、重合体ブロック(B)同士、及び重合体ブ ロック(C)同士がそれぞれ集合する性質がある 。

 重合体ブロック(A)はイオン伝導性基を有す ので重合体ブロック(A)同士の集合によりイ ンチャンネルが形成され、イオンの通り道 なる。重合体ブロック(B)は、実質的にイオ 伝導性基を有しない柔軟相として機能する め、膜-電極接合体や固体高分子型燃料電池 の作製に当たって成形性(組立性、接合性、 付性など)等が改善される。重合体ブロック( C)は、実質的にイオン伝導性基を有しない拘 相として機能するため、寸法安定性、形態 定性、耐久性、耐熱性、湿潤下での力学特 等が改善される。
 イオン伝導性基はスルホン酸基及びホスホ 酸基並びにそれらの塩を包含する。
 本発明はまた、該高分子電解質から得られ 膜、並びに、該膜を用いた膜-電極接合体及 び固体高分子型燃料電池に関する。

 本発明の高分子電解質は、経済的で、環 に優しく、成形性に優れ、かつ耐久性、耐 性に優れ、特に乾燥時と湿潤時の寸法の変 、力学特性(引張特性等)の変化が小さく、 たメタノール溶液浸漬処理前後でのメタノ ル透過性等の特性の変化が小さいという特 を有することから、長時間安定した性能を 揮できる。また、乾燥、湿潤という動作環 が変化した場合にもすぐに一定の特性が発 できるという特徴も有していることから始 性にも優れる。したがって、該高分子電解 から得られる膜、並びに該膜を使用した膜- 極接合体は、固体高分子型燃料電池におい 優れた性能を発揮し得る。

 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明の高分子電解質を構成するブロック 重合体もしくはグラフト共重合体は、ビニ 系化合物単位を主たる繰返し単位とし、イ ン伝導性基を有する重合体ブロック(A)を構 成分の1つとして含む。
 ビニル系化合物単位としては芳香族ビニル 化合物単位が好ましく、芳香族ビニル系化 物単位としては、下記一般式(II)

(式中、Arは1~3個の置換基を有していてもよい 炭素数6~14のアリール基を表し、R 3 は水素原子、炭素数1~4のアルキル基又は1~3個 の置換基を有していてもよい炭素数6~14のア ール基を表す)で表される単位が好ましい。 たる繰返し単位は一般式(II)で表される単位 から選ばれる1種から構成されていてもよい 、2種以上から構成されていてもよい。

 Arの定義における炭素数6~14のアリール基と てはフェニル基、ナフチル基、フェナント ル基、アントリル基、インデニル基、ビフ ニリル基等が挙げられる。該アリール基が1 ~3個の置換基を有する場合の置換基としては それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖状もしく 分岐状アルキル基(メチル基、エチル基、プ ロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、 素数1~4のハロゲン化アルキル基(クロロメチ 基、2-クロロエチル基、3-クロロプロピル基 等)などが挙げられる。
 R 3 の定義における炭素数1~4のアルキル基は直鎖 状でも分岐状でもよく、メチル基、エチル基 、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基 イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ 。R 3 の定義における炭素数6~14のアリール基とし はArの定義における1~3個の置換基を有してい てもよい炭素数6~14のアリール基と同様なも を挙げることができる。

 R 3 が炭素数1~4のアルキル基である場合、Arは置 基を有さないのが最も好ましいが、置換基 有する場合には、置換基の数は1もしくは2 であるのが好ましく、1個であるのがより好 しい。R 3 が炭素数6~14のアリール基である場合、この リール基及びArの両方もしくは一方が置換基 を有さないのが最も好ましいが、両方とも置 換基を有する場合には、置換基の数は1もし は2個であるのが好ましく、1個であるのがよ り好ましい。

 一般式(II)の芳香族ビニル系化合物単位を与 える芳香族ビニル系化合物の具体例としては スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアント ラセン、ビニルフェナントレン、ビニルビフ ェニル、α-メチルスチレン、1-メチル-1-ナフ ルエチレン、1-メチル-1-ビフェニリルエチ ン等が挙げられ、特にスチレン、α-メチル チレンが好ましい。
 上記芳香族ビニル系化合物単位を与える芳 族ビニル系化合物は各単独で用いても2種以 上組み合わせて用いてもよい。2種以上を共 合させる場合の形態はランダム共重合でも ロック共重合でもグラフト共重合でもテー ード共重合でもよい。

 重合体ブロック(A)は、本発明の効果を損 ない範囲内で、芳香族ビニル系化合物単位 外に、1種もしくは複数の他の単量体単位を 含んでいてもよい。かかる他の単量体単位を 与える単量体としては、例えば炭素数4~8の共 役アルカジエン(具体例は後述の重合体ブロ ク(B)の説明におけると同様)、炭素数2~8のア ケン(具体例は後述の重合体ブロック(B)の説 明におけると同様)、(メタ)アクリル酸エステ ル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等)、ビニ エステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル 、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)、ビニ エーテル(メチルビニルエーテル、イソブチ ビニルエーテル等)等が挙げられる。芳香族 ビニル系化合物と上記他の単量体との共重合 形態はランダム共重合である必要がある。

 重合体ブロック(A)に含まれる一般式(II)の 芳香族ビニル系化合物単位の割合は、十分な イオン伝導性を付与する観点から50モル%以上 であることが好ましく、60モル%以上であるこ とがより好ましく、80モル%以上であることが より一層好ましい。

 重合体ブロック(A)のイオン伝導性基が導 されていない状態での分子量は、高分子電 質の性状、要求性能、他の重合体成分等に って適宜選択されるが、ポリスチレン換算 数平均分子量として、通常、100~1,000,000の間 から選択されるのが好ましく、500~100,000の間 ら選択されるのがより好ましい。

 また、重合体ブロック(A)は、本発明の効 を損わない範囲内で公知の方法により架橋 れていてもよい。架橋を導入することによ 、重合体ブロック(A)が形成するイオンチャ ネル相が膨潤しにくくなり、乾燥時と湿潤 の力学特性(引張特性等)の変化や、メタノ ル溶液浸漬処理前後でのメタノール透過性 び/又はイオン伝導度等の特性の変化が更に さくなる傾向にある。

 本発明の高分子電解質で使用するブロッ 共重合体は、重合体ブロック(A)以外に、柔 相を形成し得るビニル系化合物単位を主た 繰返し単位とし、柔軟相を形成する重合体 ロック(B)を有し、重合体ブロック(B)を有す ことによってブロック共重合体が全体とし 弾力性を帯びかつ柔軟になり、膜-電極接合 体や固体高分子型燃料電池の作製に当たって 成形性(組立性、接合性、締付性など)が改善 れる。ここでいう重合体ブロック(B)はガラ 転移点あるいは軟化点が50℃以下、好まし は20℃以下、より好ましくは10℃以下のいわ るゴム状重合体ブロックである。

 柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位 しては、炭素数2~8のアルケン単位、炭素数5 ~8のシクロアルケン単位、炭素数7~10のビニル シクロアルケン単位、炭素数4~8の共役アルカ ジエン単位及び炭素数5~8の共役シクロアルカ ジエン単位、炭素-炭素二重結合の一部もし は全部が水素添加された炭素数7~10のビニル クロアルケン単位、炭素-炭素二重結合の一 部もしくは全部が水素添加された炭素数4~8の 共役アルカジエン単位、炭素-炭素二重結合 一部もしくは全部が水素添加された炭素数5~ 8の共役シクロアルカジエン単位、アクリル エステル単位、ビニルエステル単位、ビニ エーテル単位等が挙げられる。これらの単 を与えるビニル系化合物は単独で又は2種以 組み合わせて用いることができる。2種以上 を共重合させる場合の形態はランダム共重合 でもブロック共重合でもグラフト共重合でも テーパード共重合でもよい。また、(共)重合 供する単量体が炭素-炭素二重結合を2つ有 る場合にはそのいずれが重合に用いられて よく、共役アルカジエンの場合には1,2-結合 あっても1,4-結合であってもよく、またガラ ス転移点あるいは軟化点が50℃以下であれば 1,2-結合と1,4-結合との割合にも特に制限は い。

 重合体ブロック(B)は、得られるブロック 重合体もしくはグラフト共重合体に、柔軟 、弾力性ひいては膜-電極接合体や固体高分 子型燃料電池の作製に当たって良好な成形性 を与える観点から、炭素数2~8のアルケン単位 、炭素数5~8のシクロアルケン単位、炭素数7~1 0のビニルシクロアルケン単位、炭素数4~8の 役アルカジエン単位、炭素数5~8の共役シク アルカジエン単位、炭素-炭素二重結合の一 もしくは全部が水素添加された炭素数7~10の ビニルシクロアルケン単位、炭素-炭素二重 合の一部もしくは全部が水素添加された炭 数4~8の共役アルカジエン単位、及び炭素-炭 二重結合の一部もしくは全部が水素添加さ た炭素数5~8の共役シクロアルカジエン単位 ら選ばれる少なくとも1種を主たる繰返し単 位とする重合体ブロックであることが好まし く、炭素数2~8のアルケン単位、炭素数4~8の共 役アルカジエン単位、及び炭素-炭素二重結 の一部もしくは全部が水素添加された炭素 4~8の共役アルカジエン単位から選ばれる少 くとも1種を主たる繰返し単位とする重合体 ロックであることがより好ましく、炭素数2 ~6のアルケン単位、炭素数4~8の共役アルカジ ン単位、及び炭素-炭素二重結合の一部もし くは全部が水素添加された炭素数4~8の共役ア ルカジエン単位から選ばれる少なくとも1種 主たる繰返し単位とする重合体ブロックで ることがより一層好ましい。上記で、アル ン単位として最も好ましいのはイソブテン 位であり、共役アルカジエン単位として最 好ましいのは1,3-ブタジエン単位及び/又はイ ソプレン単位である。

 重合体ブロック(B)の主たる繰返し単位が、 ニルシクロアルケン単位や共役アルカジエ 単位や共役シクロアルカジエン単位である 合のように炭素-炭素二重結合を有している 場合には、本発明の高分子電解質膜を用いた 膜-電極接合体の発電性能、耐熱劣化性の向 などの観点から、かかる炭素-炭素二重結合 その30モル%以上が水素添加されているのが ましく、50モル%以上が水素添加されている がより好ましく、80モル%以上が水素添加さ ているのがより一層好ましい。炭素-炭素二 重結合の水素添加率は、一般に用いられてい る方法、例えば、ヨウ素価測定法、 1 H-NMR測定等によって算出することができる。

 重合体ブロック(B)において、上記した柔 相を形成し得るビニル系化合物単位を与え ビニル系化合物について述べる。炭素数2~8 アルケンとしてはエチレン、プロピレン、1 -ブテン、2-ブテン、イソブテン、1-ペンテン 2-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、1-ヘ テン、2-ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン が挙げられ、炭素数5~8のシクロアルケンと てはシクロペンテン、シクロヘキセン、シ ロヘプテン及びシクロオクテンが挙げられ 炭素数7~10のビニルシクロアルケンとしては ニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセ 、ビニルシクロヘプテン、ビニルシクロオ テンなどが挙げられ、炭素数4~8の共役アル ジエンとしては1,3-ブタジエン、1,3-ペンタ エン、イソプレン、1,3-ヘキサジエン、2,4-ヘ キサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2- チル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘプタジエン、1,4- ヘプタジエン、3,5-ヘプタジエン等が挙げら 、炭素数5~8の共役シクロアルカジエンとし はシクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジ ン等が挙げられる。また、アクリル酸エス ルとしてはアクリル酸メチル、アクリル酸 チル、アクリル酸ブチル等が挙げられ、ビ ルエステルとしては酢酸ビニル、プロピオ 酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル が挙げられ、ビニルエーテルとしてはメチ ビニルエーテル、イソブチルビニルエーテ 等が挙げられる。

 また、重合体ブロック(B)は、上記柔軟相 形成し得るビニル系化合物単位以外に、ブ ック共重合体もしくはグラフト共重合体に 軟性、弾力性を与えるという重合体ブロッ (B)の目的を損なわない範囲で、他の単量体 位、例えば、重合体ブロック(A)の説明にお て挙げた芳香族ビニル系化合物単位、塩化 ニル単位等のハロゲン含有ビニル化合物単 等を含んでいてもよい。この場合、柔軟相 形成し得るビニル系化合物と他の単量体と 共重合形態はランダム共重合であることが 要である。かかる他の単量体の使用量は、 軟相を形成し得るビニル系化合物と他の単 体との合計に対して、50質量%未満であるの 好ましく、30質量%未満であるのがより好ま く、10質量%未満であるのがより一層好まし 。

 本発明の高分子電解質で使用するブロッ 共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体 ロック(B)以外に、前記一般式(I)で表される チレン系誘導体単位を主たる繰返し単位と る重合体ブロックであって、拘束相(ブロッ ク共重合体の相分離構造を保持するよう機能 する相)を形成する重合体ブロック(C)を有す 。背景技術の項で述べたように、固体高分 型燃料電池は運転時と停止時とで湿度変化 生じやすいので、その間の寸法変化、力学 特性(引張強度等)の変化が小さい高分子電解 質膜が求められており、また、発電前後(直 メタノール型固体高分子型燃料電池ではメ ノール溶液浸漬処理前後に相当)の特性、特 メタノール透過性やイオン伝導度等の特性 変化の小さい高分子電解質膜が求められて るが、これらの特性は、一般に、長時間運 の間に低下する。本発明では、これらの特 を、特に耐熱性に優れた拘束相を形成する 合体ブロック(C)を設けることによって、維 しようとするものである。

 重合体ブロック(C)の主たる繰返し単位で る前記一般式(I)で表されるスチレン系誘導 単位を与える化合物は下記の一般式(I’)

(式中、R 1 及びR 2 は前記一般式(I)におけると同義、すなわちR 1 は多環構造を有する脂環式炭化水素基を表し 、R 2 は水素原子、炭素数1~10のアルキル基又はア ール基を表す)で表されるスチレン系誘導体 ある。

 上記R 1 の定義における「多環構造を有する脂環式炭 化水素基」とは、2個以上の脂肪族環(脂環)を 有する炭化水素基を意味する。多環構造を有 する脂環式炭化水素基(以下「多脂環式炭化 素基」ということがある)R 1 は、橋架け脂環式炭化水素基、すなわち隣り 合う2つの脂環が2個以上の炭素原子を互いに 有している炭化水素基であることが、本発 のブロック共重合体もしくはグラフト共重 体の耐熱性が良好になる点から好ましい。 脂環式炭化水素基R 1 は、場合によりR 1 を構成している2個以上の脂環のうちの1個ま は2個以上に脂肪族不飽和結合を有していて もよい。但し、脂環中に存在する脂肪族不飽 和結合は、重合に関与しないか又はスチレン 系誘導体(I’)中のビニル結合よりも重合性が 低いことが必要である。そうでないと、該ス チレン系誘導体の円滑な重合が阻害されやす くなる。

 多脂環式炭化水素基R 1 の具体例としては、アダマンチル基(トリシ ロ〔3.3.1.1 3,7 〕デシル基)、ビアダマンチル基、ノルボル ル基、イソボルニル基、ビシクロノニル基 ビシクロ〔2.1.0〕ペンチル基、ビシクロ〔3.2 .1〕オクチル基、トリシクロ〔2.2.1.0 2,6 〕ヘプチル基などを挙げることができる。こ れらの多脂環式炭化水素基は、場合によりア ルキル基、ハロゲン、アルコキシル基などに より置換されていてもよい。

 多脂環式炭化水素基R 1 のベンゼン環での結合位置は、ビニル結合[-C (R 2 )=CH 2 ]の結合部位に対してオルト位、メタ位及び ラ位のいずれであってもよく、そのうちで 、スチレン系誘導体の重合反応性などの点 ら、パラ位であることが好ましい。

 一般式(I)もしくは(I’)において、R 2 は水素原子、炭素数1~10のアルキル基又はア ール基のいずれであってもよい。R 2 が炭素数1~10のアルキル基である場合、直鎖 もしくは分岐状のいずれであってもよく、 体的にはメチル基、エチル基、プロピル基 ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプ ル基、オクチル基、ノニル基、デシル基な の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、イ ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イ ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル 基、1-メチルヘプチル基などの分岐状アルキ 基などを挙げることができる。
 また、R 2 がアリール基である場合の具体例としては、 フェニル基、ナフチル基などを挙げることが でき、これらのアリール基は、炭素数1~4のア ルキル基(メチル基、エチル基等)、ハロゲン 子、炭素数1~4のアルコキシル基(メトキシ基 、エトキシ基等)などの置換基を1個又は2個以 上有していてもよい。

 上記したうちでも、R 2 は水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はアリ ール基であることが、スチレン系誘導体(I’) の製造容易性、重合反応性などの点から好ま しい。また、本発明のブロック/グラフト共 合体を膜―電極接合体ひいては固体高分子 燃料電池における高分子電解質膜として使 する場合、化学的安定性特に耐ラジカル性 要求される場合があり、このような場合に R 2 は炭素数1~4のアルキル基又はアリール基であ ることがより好ましく、製造容易性、重合反 応性を加味するとメチル基であることがより 一層好ましい。

 スチレン系誘導体(I’)の具体例としては、 記の化学式で示すスチレン系誘導体を挙げ ことができる。下記の化学式において、R 2 は一般式(I’)におけると同義である。

 R 1 が多環構造を有する脂環式炭化水素基、特に 橋架け脂環式炭化水素基である前記一般式(I) で表されるスチレン系誘導体単位を主たる繰 返し単位とする重合体ブロック(C)を構成成分 として含むブロック共重合体もしくはグラフ ト共重合体は耐熱性に優れるが、中でもR 1 がアダマンチル基もしくはビアダマンチル基 である前記一般式(I)で表されるスチレン系誘 導体単位を主たる繰返し単位とする重合体ブ ロック(C)を構成成分として含むブロック共重 合体もしくはグラフト共重合体は耐熱性に特 に優れ、さらに、上記化学式(Ia)で表される1- (4-ビニルフェニル)アダマンタン[別称:4-(1-ア マンチル)スチレン]もしくは上記化学式(Ib) 表される3-(4-ビニルフェニル)-1,1’-ビアダ ンタン、特に1-(4-ビニルフェニル)アダマン ンに由来する構造単位を主たる繰返し単位 する重合体ブロック(C)を構成成分として含 ブロック共重合体もしくはグラフト共重合 は、耐熱性に特に優れると共に、単量体の 造が容易であるという利点を有する。

 一般式(I’)で表されるスチレン誘導体は 単独で用いても2種以上組み合わせて用いて もよい。2種以上を共重合させる場合の形態 ランダム共重合でもブロック共重合でもグ フト共重合でもテーパード共重合でもよい

 重合体ブロック(C)は一般式(I)で表される チレン系誘導体単位以外の他の単量体単位 、拘束相としての機能を妨げない範囲内で 含んでいてもよく、他の単量体単位を与え 単量体としては、例えば炭素数4~8の共役ジ ン(具体例は既述の重合体ブロック(B)の説明 におけると同様)、(メタ)アクリル酸エステル ((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸 チル、(メタ)アクリル酸ブチル等)、ビニル ステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、 酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)、ビニル ーテル(メチルビニルエーテル、イソブチル ニルエーテル等)が挙げられる。この際、ス チレン系誘導体(I’)と他の単量体との共重合 形態はランダム共重合である必要がある。

 拘束相としての機能を果たす観点から、 チレン系誘導体単位(I)は、重合体ブロック( C)の50質量%以上を占めることが好ましく、70 量%以上を占めることがより好ましく、90質 %以上を占めることがより一層好ましい。

 重合体ブロック(C)を重合体ブロック(A)及 重合体ブロック(B)とミクロ相分離させ、か 拘束相として機能させる観点から、重合体 ロック(C)として特に好適な例としては、ポ 1-(4-ビニルフェニル)アダマンタンブロック ポリ3-(4-ビニルフェニル)-1,1’-ビアダマン ンブロック;任意の相互割合の、1-(4-ビニル ェニル)アダマンタンと3-(4-ビニルフェニル)- 1,1’-ビアダマンタンからなる共重合体ブロ ク等が挙げられる。

 また、重合体ブロック(C)は、本発明の効 を損わない範囲内で公知の方法により架橋 せてもよい。架橋を導入することにより、 束力が更に高くなり、耐久性及び耐熱性が に向上する他、乾燥時と湿潤時の寸法変化 力学特性(引張特性)変化及びメタノール溶 処理前後でのメタノール透過性等の特性変 が更に小さくなる傾向にある。

 重合体ブロック(C)の分子量は、高分子電 質の性状、要求性能、他の重合体成分等に って適宜選択される。分子量が大きい場合 高分子電解質の力学特性が高くなる傾向に るが、大きすぎるとブロック共重合体もし はグラフト共重合体の成形が困難になり、 子量が小さい場合、力学特性が低くなる傾 にあり、必要性能に応じて分子量を適宜選 することが重要である。ポリスチレン換算 数平均分子量として、通常、100~1,000,000の間 から選択されるのが好ましく、1,000~100,000の から選択されるのがより好ましい。

 重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)及 重合体ブロック(C)から構成されるブロック 重合体の構造は、特に限定されないが、例 して、A-B-C型トリブロック共重合体、A-B-C-A テトラブロック共重合体、A-B-A-C型テトラブ ロック共重合体、B-A-B-C型テトラブロック共 合体、A-B-C-B型テトラブロック共重合体、C-B- C-A型テトラブロック共重合体、C-A-B-A-C型ペン タブロック共重合体、C-B-A-B-C型ペンタブロッ ク共重合体、A-C-B-C-A型ペンタブロック共重合 体、A-C-B-A-C型ペンタブロック共重合体、A-B-C- A-B型ペンタブロック共重合体、A-B-C-A-C型ペン タブロック共重合体、A-B-C-B-C型ペンタブロッ ク共重合体、A-B-A-B-C型ペンタブロック共重合 体、A-B-A-C-B型ペンタブロック共重合体、B-A-B- A-C型ペンタブロック共重合体、B-A-B-C-A型ペン タブロック共重合体、B-A-B-C-B型ペンタブロッ ク共重合体、C-A-C-B-C型ペンタブロック共重合 体等が挙げられる。

 重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)及び 合体ブロック(C)から構成されるグラフト共 合体の構造は、ブロック共重合体と同様に に限定されない。グラフト共重合体の構造 しては、重合体ブロック(A)、(B)及び(C)のう 1種が幹で残る2種が枝である構造、1種の幹 対し、別の1種がグラフトして第1の枝を形 し、第1の枝から残る1種がグラフトして第2 枝を形成している構造等が挙げられる。
 ブロック共重合体とグラフト共重合体の組 合わせの場合では、重合体ブロック(A)、(B) び(C)のうち、2種類がブロック共重合体であ り、そのブロック共重合体を幹として、残る 一種がグラフトされて枝を形成している構造 等を挙げることができる。
 これらブロック共重合体もしくはグラフト 重合体は、各単独で用いても2種以上組み合 わせて用いてもよい。これらのブロック共重 合体もしくはグラフト共重合体は、各単独で 用いても2種以上組み合わせてもよい。

 本発明のブロック共重合体もしくはグラ ト共重合体において、2個以上の重合体ブロ ック(A)を有する場合、それらは構造や分子量 などが互いに同じであっても又は異なってい てもよい。また、該ブロック共重合体もしく はグラフト共重合体が2個以上の重合体ブロ ク(B)を有する場合、それらは構造や分子量 どが互いに同じであっても又は異なってい もよい。また、該ブロック共重合体もしく グラフト共重合体が2個以上の重合体ブロッ (C)を有する場合、それらは構造や分子量な が互いに同じであっても又は異なっていて よい。

 本発明の高分子電解質を構成するブロッ 共重合体もしくはグラフト共重合体におい 、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(C)の と重合体ブロック(B)との質量比は、柔軟性 弾力性ひいては膜-電極接合体や固体高分子 型燃料電池の作製に当たって良好な成形性を 与える観点から、90:10~10:90であるのが好まし 、85:15~15:85であるのがより好ましく、80:20~20 :80であるのがより一層好ましい。

 本発明の高分子電解質を構成するブロッ 共重合体もしくはグラフト共重合体におい 、重合体ブロック(C)と重合体ブロック(B)と 質量比は、寸法安定性、形態安定性、耐久 及び/又は耐熱性の観点から、95:5~5:95である のが好ましく、90:10~10:90であるのがより好ま く、85:15~15:85であるのがより一層好ましい

 本発明の高分子電解質を構成するブロッ 共重合体もしくはグラフト共重合体のイオ 伝導性基が導入されていない状態での数平 分子量は特に制限されないが、ポリスチレ 換算の数平均分子量として、通常、10,000~2,0 00,000が好ましく、15,000~1,000,000がより好まし 、20,000~500,000がより一層好ましい。

 本発明の高分子電解質を構成するブロック 重合体もしくはグラフト共重合体は重合体 ロック(A)中にイオン伝導性基を有すること 必要である。本発明でイオン伝導性に言及 る場合のイオンとしてはプロトンなどが挙 られる。イオン伝導性基としては、該高分 電解質膜を用いて作製される膜-電極接合体 が十分なイオン伝導度を発現できるような基 であれば特に限定されないが、中でも-SO 3 M又は-PO 3 HM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン はアルカリ金属イオンを表す)で表されるス ホン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩が 適に用いられる。イオン伝導性基としては また、カルボキシル基又はその塩も用いる とができる。イオン伝導性基の導入位置を 合体ブロック(A)にするのは、イオン伝導性 の導入が容易なため及びイオンチャンネル 成を容易にするためである。

 重合体ブロック(A)中へのイオン伝導性基 導入位置については特に制限はなく、主た 繰返し単位である芳香族ビニル系化合物単 に導入しても既述の他の単量体単位に導入 てもよい。しかし、イオンチャンネル形成 容易にする観点や直接メタノール型固体高 子型燃料電池におけるメタノールクロスオ バー(燃料であるメタノールが一方の電極側 から他方の電極側へ電解質膜を透過してしま う現象)の抑制の観点から、芳香族ビニル系 合物単位の芳香環に導入するのが好ましい

 本発明において、イオン伝導性基は実質 重合体ブロック(A)のみに存在する。これは1 つにはイオンチャンネルの形成を容易にする ためであり、また、1つにはイオンチャンネ 形成を重合体ブロック(A)に実質上限定し、 合体ブロック(C)を実質上拘束層として機能 せることにより、長時間発電後のイオンチ ンネルの構造変化を大幅に抑制するためで る。構造変化によりイオンチャンネルが大 くなると、メタノールが透過しやすくなり 発電効率も悪くなる傾向にある。本発明に いて、イオン伝導性基が実質上重合体ブロ ク(A)のみに存在するとは、ブロック共重合 中に存在するイオン伝導性基の75モル%以上 好ましくは90モル%以上が重合体ブロック(A) 存在することを意味するものとする。

 イオン伝導性基の導入量は、高分子電解 の性能を決める上で重要である。本発明の 分子電解質を固体高分子型燃料電池におけ 高分子電解質膜として使用するのに十分な オン伝導性を発現するためには、本発明の 分子電解質のイオン交換容量は0.30meq/g以上 なるような量であることが好ましく、0.35meq /g以上であることがより好ましい。イオン交 容量の上限については、イオン交換容量が きくなりすぎると親水性が高まり、膨潤し すい傾向にあるので、3.0meq/g以下であるの 好ましい。

 本発明で用いられるブロック共重合体も くはグラフト共重合体は主として以下の製 方法によって得ることができる。すなわち イオン伝導性基を有さないブロック共重合 もしくはグラフト共重合体を製造した後、 オン伝導性基を結合させる方法である。

 まずイオン伝導性基を有さないブロック共 合体もしくはグラフト共重合体の製造法に いて述べる。
 重合体ブロック(A)、(B)又は(C)を構成する単 体の種類、分子量等によって、重合体ブロ ク(A)、(B)又は(C)の製造法は、ラジカル重合 、アニオン重合法、カチオン重合法、配位 合法等から適宜選択されるが、工業的な容 さから、ラジカル重合法、アニオン重合又 カチオン重合法が好ましく選択される。特 、分子量、分子量分布、重合体の構造、重 体ブロック(A)、(B)及び(C)の結合の容易さ等 らいわゆるリビング重合法が好ましく、具 的にはリビングラジカル重合法、リビング ニオン重合法又はリビングカチオン重合法 好ましい。

 製造法の具体例として、1-(4-ビニルフェ ル)アダマンタン単位等のスチレン系誘導体 位を主たる繰返し単位とする重合体ブロッ (C)、スチレン単位又はα-メチルスチレン単 からなる重合体ブロック(A)及び共役アルカ エン単位からなる重合体ブロック(B)を成分 するブロック共重合体もしくはグラフト共 合体の製造法について述べる。この場合、 業的容易さ、分子量、分子量分布、重合体 ロック(A)、(B)及び(C)の結合の容易さ等から ビングアニオン重合法、リビングカチオン 合法で製造するのが好ましく、次のような 体的な合成例が示される。

 本発明の高分子電解質を構成するブロック 重合体もしくはグラフト共重合体をアニオ 重合によって製造するに当たっては、
(1)シクロヘキサン溶媒中で有機リチウム化合 物等のアニオン重合開始剤を用いて、10~100℃ の温度条件下で、1-(4-ビニルフェニル)アダマ ンタン等のスチレン系誘導体を重合し、その 後共役アルカジエン、スチレンを逐次重合さ せて、又はスチレン、共役アルカジエン及び スチレン系誘導体の順に逐次重合させてA-B-C ブロック共重合体を得る方法、
(2)シクロヘキサン溶媒中で有機リチウム化合 物等のアニオン重合開始剤を用いて、10~100℃ の温度条件下で、1-(4-ビニルフェニル)アダマ ンタン等のスチレン系誘導体を重合し、その 後スチレン、共役アルカジエンを逐次重合さ せた後、安息香酸フェニル等のカップリング 剤を添加してC-A-B-A-C型ブロック共重合体を得 る方法、
(3)シクロヘキサン溶媒中で有機リチウム化合 物等のアニオン重合開始剤を用いて、10~100℃ の温度条件下で、1-(4-ビニルフェニル)アダマ ンタン等のスチレン系誘導体、共役アルカジ エン、1-(4-ビニルフェニル)アダマンタン等の スチレン系誘導体を逐次重合させてC-B-C型ブ ック共重合体を調製し、ついで、有機リチ ム化合物等のアニオン重合開始剤系及びN,N, N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンを添 し共役アルカジエン単位をアニオン化した 、スチレンを重合させ、C-B(-g-A)-C型ブロック ・グラフト共重合体を得る方法、

(4)非極性溶媒中有機リチウム化合物等のアニ オン重合開始剤を用い、0.1~10質量%の濃度の 性化合物の存在下、-30℃~30℃の温度にて、5~ 50質量%の濃度のα-メチルスチレンを重合させ 、得られるリビングポリマーに共役アルカジ エン、1-(4-ビニルフェニル)アダマンタン等の スチレン系誘導体を逐次重合させA-B-C型ブロ ク共重合体を得る方法、
(5)非極性溶媒中有機リチウム化合物等のアニ オン重合開始剤を用い、0.1~10質量%の濃度の 性化合物の存在下、-30℃~30℃の温度にて、5~ 50質量%の濃度のα-メチルスチレンを重合させ 、得られるリビングポリマーに1-(4-ビニルフ ニル)アダマンタン等のスチレン系誘導体、 共役アルカジエンを逐次重合させた後、安息 香酸フェニル等のカップリング剤を添加して A-C-B-C-A型ブロック共重合体を得る方法、
などを採用/応用することができる。

 本発明の高分子電解質を構成するブロック 重合体もしくはグラフト共重合体をカチオ 重合によって製造するに当たっては、
(6)ハロゲン系/炭化水素系混合溶媒中、-78℃ 、2官能性ハロゲン化開始剤を用いて、ルイ 酸存在下、イソブテンをカチオン重合させ 後、スチレン、1-(4-ビニルフェニル)アダマ タン等のスチレン系誘導体を逐次重合させ C-A-B-A-C型ブロック共重合体を得る方法、
などを採用/応用することができる。

 本発明のブロック共重合体の製造に用い スチレン系誘導体(I’)は、公知の方法、ま はそれに準じた方法で製造することができ 。例えば、前記化学式(Ia)で表される1-(4-ビ ルフェニル)アダマンタンは、以下の反応式 (I)又は(II)に示される、“Synthesis”,1998年、第 2号、148-152頁又は特開2006-96988号公報に記載さ れている方法により製造することができ、ま た、前記化学式(Ib)で表される3-(4-ビニルフェ ニル)-1,1’-ビアダマンタンは、以下の反応式 (III)に示される、特開2006-96988号公報に記載さ れている方法により製造することができる。

 1-(4-ビニルフェニル)アダマンタン及び3-(4 -ビニルフェニル)-1,1’-ビアダマンタン以外 スチレン系誘導体(I’)も、前記した反応式(I )~(III)に準じた方法で製造することができる

 次に、得られるブロック共重合体もしくは ラフト共重合体にイオン伝導性基を結合さ る方法について述べる。
 まず、得られるブロック共重合体もしくは ラフト共重合体にスルホン酸基を導入する 法について述べる。スルホン化は、公知の ルホン化の方法で行える。このような方法 しては、ブロック共重合体もしくはグラフ 共重合体の有機溶媒溶液や縣濁液を調製し スルホン化剤を添加し混合する方法やブロ ク共重合体もしくはグラフト共重合体に直 ガス状のスルホン化剤を添加する方法等が 示される。

 使用するスルホン化剤としては、硫酸、 酸と脂肪族酸無水物との混合物系、クロロ ルホン酸、クロロスルホン酸と塩化トリメ ルシリルとの混合物系、三酸化硫黄、三酸 硫黄とトリエチルホスフェートとの混合物 、さらに2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン に代表される芳香族有機スルホン酸等が例 される。また、使用する有機溶媒としては 塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、 キサン等の直鎖式脂肪族炭化水素類、シク ヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類等が例 でき、必要に応じて複数の組合せから、適 選択して使用してもよい。

 得られるブロック共重合体もしくはグラ ト共重合体にホスホン酸基を導入する方法 ついて述べる。ホスホン化は、公知のホス ン化の方法で行える。具体的には、例えば ブロック共重合体もしくはグラフト共重合 の有機溶媒溶液や懸濁液を調製し、無水塩 アルミニウムの存在下、該共重合体をクロ メチルエーテル等と反応させ、芳香環にハ メチル基を導入後、これに三塩化リンと無 塩化アルミニウムを加えて反応させ、さら 加水分解反応を行ってホスホン酸基を導入 る方法などが挙げられる。あるいは、該共 合体に三塩化リンと無水塩化アルミニウム 加えて反応させ、芳香環にホスフィン酸基 導入後、硝酸によりホスフィン酸基を酸化 てホスホン酸基とする方法等が例示できる

 スルホン化又はホスホン化の程度としては すでに述べたごとく、本発明の高分子電解 のイオン交換容量が0.30meq/g以上、特に0.35meq /g以上となるように、しかし、3.0meq/g以下で るようにスルホン化またはホスホン化する とが望ましい。これにより実用的なイオン 導性能が得られる。最終的に得られる高分 電解質のイオン交換容量やスルホン化もし はホスホン化されたブロック共重合体もし はグラフト共重合体のイオン交換容量、又 ブロック共重合体もしくはグラフト共重合 における重合体ブロック(A)中のスルホン化 又はホスホン化率は、酸価滴定法、赤外分 スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル( 1 H-NMRスペクトル)測定等の分析手段を用いて算 出することができる。

 イオン伝導性基は、適当な金属イオン(例 えばアルカリ金属イオン)又は対イオン(例え アンモニウムイオン)で中和されている塩の 形で導入されていてもよい。例えば、適当な 方法でイオン交換することにより、スルホン 酸基を塩型にしたブロック共重合体もしくは グラフト共重合体を得ることができる。具体 的には、スルホン酸基を導入したブロック共 重合体等を食塩水等に浸漬することにより、 スルホン酸基をナトリウム塩型にしたブロッ ク共重合体等を得ることができる。

 本発明の高分子電解質は、本発明に用い ブロック共重合体もしくはグラフト共重合 に加え、必要に応じて、本発明の効果を損 わない範囲で、軟化剤を含有していてもよ 。軟化剤としては、パラフィン系、ナフテ 系もしくはアロマ系のプロセスオイル等の 油系軟化剤、パラフィン、植物油系軟化剤 可塑剤等があり、これらは各単独で又は2種 以上組み合わせて用いることができる。

 本発明の高分子電解質は、さらに、必要 応じて、本発明の効果を損なわない範囲で 各種添加剤、例えば、フェノール系安定剤 イオウ系安定剤、リン系安定剤、光安定剤 帯電防止剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、顔 、染料、増白剤、カーボン繊維等を各単独 又は2種以上組み合わせて含有していてもよ い。

 本発明の高分子電解質は、さらに、必要 応じて、本発明の効果を損なわない範囲で 無機充填剤を含有していてもよい。かかる 機充填剤の具体例としては、タルク、炭酸 ルシウム、シリカ、ガラス繊維、マイカ、 オリン、酸化チタン、モンモリロナイト、 ルミナ等が挙げられる。

 本発明の高分子電解質における上記ブロ ク共重合体もしくはグラフト共重合体の含 量は、イオン伝導性の観点から、50質量%以 であるのが好ましく、70質量%以上であるの より好ましく、90質量%以上であるのがより 層好ましい。

 本発明は、また、本発明の高分子電解質か 調製される高分子電解質膜に関する。
 本発明の高分子電解質膜の調製方法につい は、かかる調製のための通常の方法であれ いずれの方法も採用できる。例えば、本発 の高分子電解質を構成するブロック共重合 もしくはグラフト共重合体、必要に応じて 記したような添加剤を適当な溶媒と混合し 該ブロック共重合体もしくはグラフト共重 体を溶解もしくは懸濁せしめ、PET、ガラス の板状体にキャストするか又はコーターや プリケーター等を用いて塗布し、適切な条 で溶媒を除去することによって、所望の厚 を有する電解質膜を得る方法や、熱プレス 形、ロール成形、押し出し成形等の公知の 法を用いて電解質膜を得る方法などを用い ことができる。また、得られた電解質膜層 上に、新たに、同じもしくは異なるブロッ 共重合体もしくはグラフト共重合体を含む 液を塗布して乾燥することにより積層化さ てもよい。また、上記のようにして得られ 、同じもしくは異なる電解質膜同士を熱ロ ル成形等で圧着させて積層化させてもよい

 このとき使用する溶媒は、ブロック共重 体もしくはグラフト共重合体の構造を破壊 ることなく、キャストもしくはコートが可 な程度の粘度の溶液を調製することが可能 ものであれば特に限定されない。具体的に 、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類 トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族 化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の直鎖式 肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環式 肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン等の ーテル類、メタノール、エタノール、プロ ノール、イソプロパノール、ブタノール、 ソブチルアルコール等のアルコール類、あ いはこれらの混合溶媒等を例示できる。ブ ック共重合体もしくはグラフト共重合体の 成、分子量、イオン交換容量等に応じて、 記に例示した溶媒の中から、1種又は2種以 の組合せを適宜選択し、使用することがで る。

 また、溶媒除去の条件は、本発明の高分 電解質膜を構成するブロック共重合体もし はグラフト共重合体中のスルホン酸基等の オン伝導性基が脱落する温度以下で、溶媒 完全に除去できる条件であれば任意に選択 ることが可能である。所望の物性を発現さ るため、複数の温度を任意に組み合わせた 、通風気下と真空下等を任意に組み合わせ もよい。具体的には、室温~60℃程度の真空 件下で、数時間予備乾燥した後、100℃以上 真空条件下、好ましくは100~120℃で12時間程 の乾燥条件で溶媒を除去する方法や60~140℃ 通風気下で数分~数時間程度の乾燥条件で溶 媒を除去する方法等が例示できるが、これら に限定されるものではない。

本発明の高分子電解質からなる膜の厚みは 用途に応じて適宜選択される。例えば、該膜 を固体高分子型燃料電池用電解質膜として使 用する場合、必要な性能、膜強度、ハンドリ ング性等の観点から、その膜厚が5~500μm程度 あることが好ましい。膜厚が5μm未満である 場合には、膜の機械的強度や、ガス及びメタ ノール等の燃料の遮断性が不充分となる傾向 がある。逆に、膜厚が500μmを超えて厚い場合 には、膜の電気抵抗が大きくなり、充分なイ オン伝導性が発現しないため、電池の発電特 性が低くなる傾向がある。該膜厚はより好ま しくは10~300μmである。

 次に、本発明の高分子電解質膜を用いた -電極接合体について述べる。膜-電極接合 の製造については特に制限はなく、公知の 法を適用することができ、例えば、イオン 導性バインダーを含む触媒ペーストを印刷 やスプレー法により、ガス拡散層上に塗布 乾燥することで触媒層とガス拡散層との接 体を形成させ、ついで1対の接合体をそれぞ の触媒層を内側にして、高分子電解質膜の 側にホットプレスなどにより接合させる方 や、上記触媒ペーストを印刷法やスプレー により高分子電解質膜の両側に塗布し、乾 して触媒層を形成させ、それぞれの触媒層 、ホットプレスなどによりガス拡散層を圧 させる方法がある。さらに別の製造法とし 、イオン伝導性バインダーを含む溶液又は 濁液を、高分子電解質膜の両面及び/又は1 のガス拡散電極の触媒層面に塗布し、電解 膜と触媒層面とを張り合わせ、熱圧着など より接合させる方法がある。この場合、該 液又は懸濁液は電解質膜及び触媒層面のい れか一方に塗付してもよいし、両方に塗付 てもよい。さらに他の製造法として、まず 上記触媒ペーストをポリテトラフルオロエ レン(PTFE)製などの基材フィルムに塗布し、 燥して触媒層を形成させ、ついで、1対のこ 基材フィルム上の触媒層を高分子電解質膜 両側に加熱圧着により転写し、基材フィル を剥離することで電解質膜と触媒層との接 体を得、それぞれの触媒層にホットプレス よりガス拡散層を圧着する方法がある。こ らの方法においては、イオン伝導性基をNa どの金属との塩にした状態で行い、接合後 酸処理によってプロトン型に戻す処理を行 てもよい。

 上記膜-電極接合体を構成するイオン伝導 性バインダーとしては、例えば、「Nafion」( 録商標、デュポン社製)や「Gore-select」(登録 標、ゴア社製)などの既存のパーフルオロカ ーボンスルホン酸系ポリマーからなるイオン 伝導性バインダー、スルホン化ポリエーテル スルホンやスルホン化ポリエーテルケトンか らなるイオン伝導性バインダー、リン酸や硫 酸を含浸したポリベンズイミダゾールからな るイオン伝導性バインダー等を用いることが できる。また、本発明の高分子電解質の主成 分であるブロック共重合体もしくはグラフト 共重合体からイオン伝導性バインダーを作製 してもよい。なお、電解質膜とガス拡散電極 との密着性を一層高めるためには、ガス拡散 電極と接触する高分子電解質膜と同一もしく は類似の構造を有するイオン伝導性バインダ ーを用いることが好ましい。

 上記膜-電極接合体の触媒層の構成材料に ついて、導電材/触媒担体としては特に制限 なく、例えば炭素材料が挙げられる。炭素 料としては、例えば、ファーネスブラック チャンネルブラック、アセチレンブラック のカーボンブラック、活性炭、黒鉛などが げられ、これら単独であるいは2種以上混合 て使用される。触媒金属としては、水素や タノールなどの燃料の酸化反応及び酸素の 元反応を促進する金属であればいずれのも でもよく、例えば、白金、金、銀、パラジ ム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、 、コバルト、ニッケル、クロム、タングス ン、マンガン、パラジウム等、あるいはそ らの合金、例えば白金-ルテニウム合金が挙 げられる。中でも白金や白金合金(例えばPt-Ru 合金等)が多くの場合用いられる。触媒とな 金属の粒径は、通常は、10~300オングストロ ムである。これら触媒はカーボン等の導電 /触媒担体に担持させた方が触媒使用量は少 くコスト的に有利である。また、触媒層に 、必要に応じて撥水剤が含まれていてもよ 。撥水剤としては例えばポリテトラフルオ エチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレ -ブタジエン共重合体、ポリエーテルエーテ ルケトン等の各種熱可塑性樹脂が挙げられる 。

 上記膜-電極接合体のガス拡散層は、導電 性及びガス透過性を備えた材料から構成され 、かかる材料として例えばカーボンペーパー やカーボンクロス等の炭素繊維よりなる多孔 性材料が挙げられる。また、かかる材料には 、撥水性を向上させるために、撥水化処理を 施してもよい。

 上記のような方法で得られた膜-電極接合体 を、極室分離と電極へのガス供給流路の役割 を兼ねた導電性のセパレータ材の間に挿入す ることにより、固体高分子型燃料電池が得ら れる。本発明の膜-電極接合体は、燃料ガス して水素を使用した純水素型、メタノール 改質して得られる水素を使用したメタノー 改質型、天然ガスを改質して得られる水素 使用した天然ガス改質型、ガソリンを改質 て得られる水素を使用したガソリン改質型 メタノールを直接使用する直接メタノール 等の固体高分子型燃料電池用膜-電極接合体 して使用可能である。
 本発明の高分子電解質を用いた燃料電池は 耐久性及び耐熱性に優れ、長時間運転時に 定して駆動可能である。また、乾燥、湿潤 いう動作環境が変化した場合にもすぐに一 の特性が発現できるという特徴も有してい ことから始動性にも優れる。

 以下に、参考例、実施例及び比較例を挙げ 本発明をさらに具体的に説明するが、本発 はこれらにより何ら限定されるものではな 。なお、参考例、実施例及び比較例で用い 薬品(化合物等)は入手し得る限りの最高の 度のものを用い、また、溶剤は十分に脱気 たものを使用した。
 参考例で得られた生成物(中間化合物、最終 化合物)の構造の確認、各実施例、比較例で られた重合体の数平均分子量の測定、及び 実施例、比較例で得られた高分子電解質、 分子電解質膜のイオン交換容量、膜強度、 オン伝導度、線膨張率、メタノール透過速 、並びに動的粘弾性試験は次のようにして った。

(1)生成物の構造の確認:
 以下の参考例1で生成した生成物(中間化合 、最終化合物)を重クロロホルムに溶解し、 磁気共鳴装置(ブルカー社製「BRUCKER DPX300」 )を使用して、プロトン核( 1 H)及び炭素核( 13 C)の磁気共鳴スペクトルを27℃で測定して、 の構造の確認を行った。また、参考例1で生 した一部の生成物については、構造の確認 当たって、日本分光社製の赤外線分析装置 FT/IR-460」を使用して赤外線吸収スペクトル KBr法により測定した。
(2)数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)の測 :
 ピーク分子量が既知の標準ポリスチレンを い、該標準ポリスチレンで校正したゲル浸 クロマトグラフ(GPC)(東ソー社製「HLC-8220」) 使用して、重合体の数平均分子量(Mn)及び重 量平均分子量(Mw)を測定した(展開溶媒:テトラ ヒドロフラン、温度:40℃)。分子量分布は重 平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn) して求めた。

(3)イオン交換容量の測定
 実施例又は比較例で得られた膜を用い、試 を密閉できるガラス容器中に秤量(a(g))し、 こに過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液を 加して一晩攪拌した。系内に発生した塩化 素を、フェノールフタレイン液を指示薬と 、0.01NのNaOH標準水溶液(力価f)にて滴定(b(ml)) した。イオン交換容量は、次式により求めた 。
イオン交換容量(meq/g) =(0.01×b×f)/a
(4)膜強度の測定
 実施例又は比較例で得られた膜を用い、試 をダンベル状に成形して、23℃、相対湿度50 %下に24時間以上保管した試料(ドライ試料)、 び23℃、水中に24時間以上保管した試料(ウ ット試料)について、引張速度500mm/minの条件 の破断強度を測定した。

(5)膜のイオン伝導度の測定
 実施例又は比較例で得られた膜を用い、1cm 4cmの試料を一対の白金電極で挟み、開放系 ルに装着した。測定セルを温度40℃の水中に 設置し、交流インピーダンス法により膜のイ オン伝導度を測定した。
(6)膜のイオン伝導度の安定性試験
 実施例又は比較例で得られた膜を用い、1cm 4cmの試料を一対の白金電極で挟み、開放系 ルに装着した。測定セルを温度40℃、相対湿 度50%に調節した恒温恒湿器内に設置した後、 交流インピーダンス法により膜のイオン伝導 度を測定した。ついで、測定セルを温度40℃ 水中に設置し、交流インピーダンス法によ 膜のイオン伝導度を経時的に測定し、1分間 のイオン伝導度の変化率が1%以下になった段 を安定化時間とした。

(7)線膨張率の測定
 実施例又は比較例で得られた膜を用い、23 、相対湿度50%下に12時間以上保管した後、試 料を1cm×4cm片に切り取り、10M-MeOH水溶液中に4 間浸漬した後、試験片の長辺方向の長さ(b(c m)を計測し、次式により求めた。
 線膨張率(%) =(b-4)/4×100
(8)メタノール透過速度の測定
 メタノール透過速度は、実施例又は比較例 得られた膜をH型セルに挟み込み、セルの片 側に55mlの3M(モル/リットル)のメタノール水溶 液を、他方のセルに55mlの純水を注入し、25℃ で攪拌しながら、膜を通って純水中に拡散し てくるメタノール量をガスクロマトグラフィ ーを用いて測定することで算出した(膜の面 は、4.5cm 2 )。

(9)動的粘弾性試験:
 実施例又は比較例で得られた膜を用い、広 動的粘弾性測定装置(レオロジ社製「DVE-V4FT オスペクトラー」)を使用して、引張りモー ド(周波数 11Hz)で、昇温速度を毎分3℃として 、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E’’及び損失 接tanδを測定し、損失正接のピーク温度をT (℃)とした。なお、Tαは高分子の耐熱性を示 す、ガラス転移温度に準じた特性値である。
(10)燃料電池用単セルの出力性能の評価
 実施例1の(d)で作成した固体高分子型燃料電 池用単セルについて、出力性能を評価した。 アノードには水素を用い、250ml/min、バブラ水 温80℃及び大気開放の条件下、カソードには 気を用い、800ml/min、バブラ水温80℃及び大 開放の条件下、セル温度80℃にて試験した。

参考例1  
1-(4-ビニルフェニル)アダマンタンの製造
 特開2006-96988号公報に記載された方法と同様 の方法で、1-(4-ビニルフェニル)アダマンタン (20g)を合成した。

実施例1  
(a)ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポ イソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ1-(4- ビニルフェニル)アダマンタン(重合体ブロッ (C))からなるブロック共重合体の合成
1400mLオートクレーブに脱水シクロヘキサン526 ml及びsec-ブチルリチウム(1.3M-シクロヘキサン 溶液)2.89mlを仕込んだ後、1-(4-ビニルフェニル )アダマンタンのシクロヘキサン溶液(1-(4-ビ ルフェニル)アダマンタン:27g、シクロヘキサ ン200ml)、スチレン27.5ml及びイソプレン70.4mlを 逐次添加し、それぞれ45℃で重合させ、つい 安息香酸フェニルの3質量%シクロヘキサン 液35.3mlを添加してカップリングさせること より、ポリ(1-(4-ビニルフェニル)アダマンタ )-b-ポリスチレン-b-ポリイソプレン-b-ポリス チレン-b-ポリ(1-(4-ビニルフェニル)アダマン ン)(以下、AdSSISAdSと略記する)を合成した。 られたAdSSISAdSの数平均分子量(GPC測定、ポリ チレン換算)は136400であり、 1 H-NMR測定から求めたポリイソプレンの1,4-結合 量は94.0%、スチレン単位の含有量は24.7質量% 1-(4-ビニルフェニル)アダマンタン単位の含 量は26.8質量%であった。
 合成したAdSSISAdSのシクロヘキサン溶液を調 し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕 んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用 て、水素雰囲気下において50℃で12時間水素 添加反応を行い、ポリ(1-(4-ビニルフェニル) ダマンタン)-b-ポリスチレン-b-水添ポリイソ レン-b-ポリスチレン-b-ポリ(1-(4-ビニルフェ ル)アダマンタン)(以下、AdSSEPSAdSと略記する )を得た。得られたAdSSEPSAdSの水素添加率を 1 H-NMRスペクトル測定により算出したところ、9 9.9%であった。

(b)ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポ イソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(1-(4 -ビニルフェニル)アダマンタン)(重合体ブロ ク(C))からなるブロック共重合体のスルホン 物の合成
(a)で得られたブロック共重合体(AdSSEPSAdS)45gを 、5L攪拌機付きガラス製反応容器中にて1時間 真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メ チレン481mlを加え、室温にて2時間攪拌して溶 解させた。一方、塩化メチレン120ml中、0℃に て無水酢酸59.8mlと硫酸26.8mlとを反応させて得 られたスルホン化試薬を179ml採取し、上記AdSS EPSAdS溶液に5分かけて徐々に滴下した。室温 て72時間攪拌後、1Lの蒸留水を反応系に添加 反応を停止させた。次いで反応容器に冷却 と冷却トラップをセットし、40~70℃下で攪 しながら、塩化メチレンを留去し、スルホ 化物を凝固析出させた。析出した固形分を タノールで60分間洗浄し、ついでろ過した。 この洗浄及びろ過の操作を5回繰り返すこと 、残存酸を完全に除去した。最後にろ集し 重合体を真空乾燥してスルホン化AdSSEPSAdSを た。得られたスルホン化AdSSEPSAdSの1-(4-ビニ フェニル)アダマンタン単位はスルホン化さ れず、スチレン単位のみスルホン化された。 スチレン単位中のベンゼン環のスルホン化率 は 1 H-NMR分析から100mol%、イオン交換容量は1.98meq/g であった。

(c)燃料電池用電解質膜の作製
(b)で得られたスルホン化AdSSEPSAdSの11質量%ト エン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液 調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋 製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約65 0μmの厚みでコートし、室温で十分乾燥させ のち、十分真空乾燥させることで、厚さ30μm の膜を得た。
(d)固体高分子型燃料電池用単セルの作製
 固体高分子型燃料電池用の単セルを以下の 順で作製した。Pt触媒担持カーボン(田中貴 属社製TEC10E50E)とNafion分散液(DuPont社製:DE2021) とをPtとNafionとの質量比が1:1になるように混 し、ボールミルにて均一に分散させてペー トを調製した。次いで、PTFE(ダイキン工業 製:D-1、60質量%分散液)にて20質量%PTFE処理を したカーボンペーパー(東レ社製:HGP-H-060)上 、上記ペーストをコーターを用いて塗工し 後(Pt担持量:0.57mg/cm 2 )、5cm角に打ち抜くことで電極を作製した。 いで、(c)で作製した燃料電池用電解質膜を9c m角に切り取り、上記で作製した2枚の電極で 解質膜をはさんだ後、熱プレス(115℃、8min 1MPa)にて接合することにより膜-電極接合体 作製した。次いで、セパレーターとして1本 サーペンタイン流路を有するグラファイト ーボン及び175μm厚シリコーン製のガスケッ を使用し、単セルを作製した。

実施例2  
(a)ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポ イソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ1-(4- ビニルフェニル)アダマンタン(重合体ブロッ (C))からなるブロック共重合体の合成
3方コック付きの200mLナスフラスコに脱水シク ロヘキサン29ml及びsec-ブチルリチウム(1.3M-シ ロヘキサン溶液)0.17mlを仕込んだ後、1-(4-ビ ルフェニル)アダマンタンのシクロヘキサン 溶液(1-(4-ビニルフェニル)アダマンタン:2.34g シクロヘキサン40ml)、スチレン0.86ml及びイソ プレン4.24mlを逐次添加し、それぞれ45℃で重 させ、ついで安息香酸フェニルの3質量%シ ロヘキサン溶液0.8mlを添加してカップリング させることにより、ポリ(1-(4-ビニルフェニル )アダマンタン)-b-ポリスチレン-b-ポリイソプ ン-b-ポリスチレン-b-ポリ(1-(4-ビニルフェニ )アダマンタン)(AdSSISAdS)を合成した。得られ たAdSSISAdSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチ ン換算)は81410であり、 1 H-NMR測定から求めたポリイソプレンの1,4-結合 量は94.0%、スチレン単位の含有量は12.7質量% 1-(4-ビニルフェニル)アダマンタン単位の含 量は40.8質量%であった。
 合成したAdSSISAdSのシクロヘキサン溶液を調 し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕 んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用 て、水素雰囲気下において50℃で12時間水素 添加反応を行い、ポリ(1-(4-ビニルフェニル) ダマンタン)-b-ポリスチレン-b-水添ポリイソ レン-b-ポリスチレン-b-ポリ(1-(4-ビニルフェ ル)アダマンタン)(AdSSEPSAdS)を得た。得られ AdSSEPSAdSの水素添加率を 1 H-NMRスペクトル測定により算出したところ、9 9.9%であった。

(b)ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポ イソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(1-(4 -ビニルフェニル)アダマンタン)(重合体ブロ ク(C))からなるブロック共重合体のスルホン 物の合成
(a)で得られたブロック共重合体(AdSSEPSAdS)5.47g 、500mL攪拌機付きガラス製反応容器中にて1 間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩 メチレン52.6mlを加え、室温にて2時間攪拌し て溶解させた。一方、塩化メチレン16.8ml中、 0℃にて無水酢酸8.40mlと硫酸3.76mlとを反応さ て得られたスルホン化試薬を8.7ml採取し、上 記AdSSEPSAdS溶液に徐々に滴下した。室温にて72 時間攪拌後、200mlの蒸留水を反応系に添加し 応を停止させた。次いで反応容器に冷却管 冷却トラップをセットし、40~70℃下で攪拌 ながら、塩化メチレンを留去し、スルホン 物を凝固析出させた。析出した固形分をメ ノールで60分間洗浄し、ついでろ過した。こ の洗浄及びろ過の操作を5回繰り返すことで 残存酸を完全に除去した。最後にろ集した 合体を真空乾燥してスルホン化AdSSEPSAdSを得 。得られたスルホン化AdSSEPSAdSの1-(4-ビニル ェニル)アダマンタン単位はスルホン化され ず、スチレン単位のみスルホン化された。ス チレン単位中のベンゼン環のスルホン化率は 1 H-NMR分析から100mol%、イオン交換容量は1.14meq/g であった。

(c)燃料電池用電解質膜の作製
(b)で得られたスルホン化AdSSEPSAdSの18質量%ト エン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液 調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋 製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約35 0μmの厚みでコートし、室温で十分乾燥させ のち、十分真空乾燥させることで、厚さ30μm の膜を得た。

実施例3  
(a)ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポ イソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ1-(4- ビニルフェニル)アダマンタン(重合体ブロッ (C))からなるブロック共重合体の合成
3方コック付きの500mLナスフラスコに脱水シク ロヘキサン48ml及びsec-ブチルリチウム(1.3M-シ ロヘキサン溶液)0.16mlを仕込んだ後、1-(4-ビ ルフェニル)アダマンタンのシクロヘキサン 溶液(1-(4-ビニルフェニル)アダマンタン:3.0g、 シクロヘキサン21ml)、スチレン1.32ml及びイソ レン2.65mlを逐次添加し、それぞれ45℃で重 させ、ついで安息香酸フェニルの3質量%シク ロヘキサン溶液0.94mlを添加してカップリング させることにより、ポリ(1-(4-ビニルフェニル )アダマンタン)-b-ポリスチレン-b-ポリイソプ ン-b-ポリスチレン-b-ポリ(1-(4-ビニルフェニ )アダマンタン)(AdSSISAdS)を合成した。得られ たAdSSISAdSの数平均分子量(GPC測定、ポリスチ ン換算)は87140であり、 1 H-NMR測定から求めたポリイソプレンの1,4-結合 量は94.0%、スチレン単位の含有量は19.4質量% 1-(4-ビニルフェニル)アダマンタン単位の含 量は50.0質量%であった。
 合成したAdSSISAdSのシクロヘキサン溶液を調 し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕 んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用 て、水素雰囲気下において50℃で12時間水素 添加反応を行い、ポリ(1-(4-ビニルフェニル) ダマンタン)-b-ポリスチレン-b-水添ポリイソ レン-b-ポリスチレン-b-ポリ(1-(4-ビニルフェ ル)アダマンタン)(AdSSEPSAdS)を得た。得られ AdSSEPSAdSの水素添加率を 1 H-NMRスペクトル測定により算出したところ、9 9.9%であった。

(b)ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポ イソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(1-(4 -ビニルフェニル)アダマンタン)(重合体ブロ ク(C))からなるブロック共重合体のスルホン 物の合成
(a)で得られたブロック共重合体(AdSSEPSAdS)5.1g 、1L攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1 間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩 メチレン125mlを加え、室温にて2時間攪拌し 溶解させた。一方、塩化メチレン15ml中、0℃ にて無水酢酸7.50mlと硫酸3.35mlとを反応させて 得られたスルホン化試薬を15.9ml採取し、上記 AdSSEPSAdS溶液に徐々に滴下した。室温にて72時 間攪拌後、300mlの蒸留水を反応系に添加し反 を停止させた。次いで反応容器に冷却管と 却トラップをセットし、40~70℃下で攪拌し がら、塩化メチレンを留去し、スルホン化 を凝固析出させた。析出した固形分をメタ ールで60分間洗浄し、ついでろ過した。この 洗浄及びろ過の操作を5回繰り返すことで、 存酸を完全に除去した。最後にろ集した重 体を真空乾燥してスルホン化AdSSEPSAdSを得た 得られたスルホン化AdSSEPSAdSの1-(4-ビニルフ ニル)アダマンタン単位はスルホン化されず 、スチレン単位のみスルホン化された。スチ レン単位中のベンゼン環のスルホン化率は 1 H-NMR分析から94.5mol%、イオン交換容量は1.53meq/ gであった。

(c)燃料電池用電解質膜の作製
(b)で得られたスルホン化AdSSEPSAdSの20質量%ト エン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液 調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋 製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約25 0μmの厚みでコートし、室温で十分乾燥させ のち、十分真空乾燥させることで、厚さ40μm の膜を得た。

比較例1
(a)スルホン化SEBSの合成
 塩化メチレン34.9ml中、0℃にて無水酢酸17.5ml と硫酸7.6mlとを反応させてスルホン化試薬を 製した。一方、SEBS(スチレン-(エチレン-ブ レン)-スチレン)ブロック共重合体[(株)クラ 製「セプトン8007」]100gを、攪拌機付きガラ 製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで 素置換した後、塩化メチレン1000mlを加え、3 5℃にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、 ルホン化試薬を5分かけて徐々に滴下した。 35℃にて4.5時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪 しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固 出させた。析出した固形分は、90℃の蒸留水 で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄 びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくな まで繰り返し、最後にろ集した重合体を真 乾燥してスルホン化SEBSを得た。得られたス ホン化SEBSのスチレン単位のベンゼン環のス ルホン化率は 1 H-NMR分析から26.1mol%、イオン交換容量は0.68meq/ gであった。
(b)燃料電池用電解質膜の作製
(a)で得られたスルホン化SEBSの5質量%THF溶液を 調製し、ポリテトラフルオロエチレンシート 上に約1000μmの厚みでキャストし、室温で十 乾燥させたのち、十分真空乾燥させること 、厚さ50μmの膜を得た。

比較例2
(a)スルホン化SEPSの合成
 SEPS(スチレン-(エチレン-プロピレン)-スチレ ン)ブロック共重合体[(株)クラレ製「セプト 2002」]を用い、反応時間を6時間にした以外 、比較例1の(1)と同様の条件にてスルホン化S EPSを得た。得られたスルホン化SEPSのスチレ 単位のベンゼン環のスルホン化率は 1 H-NMR分析から32.5mol%、イオン交換容量は0.84meq/ gであった。
(b)燃料電池用電解質膜の作製
(a)で得られたスルホン化SEPSの22質量%トルエ /イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調 し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製 東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約450μm 厚みでコートし、室温で十分乾燥させたの 、十分真空乾燥させることで、厚さ50μmの膜 を得た。

比較例3
(a)ポリスチレン(重合体ブロック(A))と水添ポ ブタジエン(重合体ブロック(B))からなるブ ック共重合体(SEBS)の製造
 重合体ブロック(A)を得る際に、芳香族ビニ 系化合物としてスチレンを用い、重合体ブ ック(B)を得る際にブタジエンを用いて、既 の方法(特開2005-281373号公報)と同様の方法で 、ポリスチレン-b-ポリブタジエン-b-ポリスチ レン(以下SBSと略記する)を合成した。得られ SBSの数平均分子量は69700であり、 1 H-NMR測定から求めた1,4-結合量は60.4%、スチレ 単位の含有量は39.6質量%であった。
 合成したSBSを用いて、水素添加反応を50℃ 7時間行ったことを除いて実施例1(a)における 水素添加反応と同様にして水素添加率99.7%の リスチレン-b-水添ポリブタジエン-b-ポリス レン(以下SEBSと略記する)を得た。
(b)スルホン化SEBSの合成
 (a)で得られたSEBS30gを、攪拌機付きガラス製 反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒 置換した後、塩化メチレン300mlを加え、35℃ て4時間攪拌して溶解させた。一方、塩化メ チレン13.4ml中、0℃にて無水酢酸6.7mlと硫酸2.9 mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を 上記で得られたSEBS溶液に5分かけて徐々に 下した。35℃にて5時間攪拌後、2Lの蒸留水の 中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体 を凝固析出させた。析出した固形分は、90℃ 蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。 の洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化が なくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合 体を真空乾燥してスルホン化SEBSを得た。得 れたスルホン化SEBSのスチレン単位のベンゼ 環のスルホン化率は 1 H-NMR分析から27.4mol%、イオン交換容量は0.94meq/ gであった。
(c)燃料電池用電解質膜の作製
 (b)で得られたスルホン化SEBSを用いる以外比 較例1(b)と同様の方法にて厚さ50μmの膜を得た 。

比較例4
(a)スルホン化SEBSの合成
 比較例3(a)で得られたSEBS30gを、攪拌機付き ガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、 いで窒素置換した後、塩化メチレン300mlを え、35℃にて4時間攪拌して溶解させた。一 、塩化メチレン29.1ml中、0℃にて無水酢酸14.6 mlと硫酸6.3mlとを反応させて得られたスルホ 化試薬を、上記で得られたSEBS溶液に5分かけ て徐々に滴下した。35℃にて5時間攪拌後、2L 蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注 、重合体を凝固析出させた。析出した固形 は、90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ 過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水の pHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ した重合体を真空乾燥してスルホン化SEBSを 得た。得られたスルホン化SEBSのスチレン単 のベンゼン環のスルホン化率は 1 H-NMR分析から50.0mol%、イオン交換容量は1.61meq/ gであった。
(b)燃料電池用電解質膜の作製
 (a)で得られたスルホン化SEBSを用いる以外比 較例1(b)と同様の方法にて厚さ50μmの膜を得た 。

比較例5
 パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子 解質膜として、DuPont社ナフィオンフィルム( Nafion117)を選択した。

比較例6
[ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポリ イソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(4-tert -ブチルスチレン)(重合体ブロック(C))からな ブロック共重合体]のスルホン化物の合成
(a)ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポ イソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(4-te rt-ブチルスチレン)(重合体ブロック(C))からな るブロック共重合体の合成
1400mLオートクレーブに脱水シクロヘキサン576 ml及びsec-ブチルリチウム(1.15M-シクロヘキサ 溶液)1.78mlを仕込んだ後、4-tert-ブチルスチレ ン32.2ml、スチレン13.5ml、イソプレン81.6ml、ス チレン13.4ml及び4-tert-ブチルスチレン31.5mlを 次添加し、50℃で逐次重合させることにより 、ポリ(4-tert-ブチルスチレン)-b-ポリスチレン -b-ポリイソプレン-b-ポリスチレン-b-ポリ(4-ter t-ブチルスチレン)(以下、tBSSIStBSと略記する) 合成した。得られたtBSSIStBSの数平均分子量( GPC測定、ポリスチレン換算)は89000であり、 1 H-NMR測定から求めたポリイソプレンの1,4-結合 量は94.1%、スチレン単位の含有量は17.7質量% 4-tert-ブチルスチレン単位の含有量は43.4質量 %であった。
 合成したtBSSIStBSのシクロヘキサン溶液を調 し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕 んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用 て、水素雰囲気下において50℃で12時間水素 添加反応を行い、ポリ(4-tert-ブチルスチレン) -b-ポリスチレン-b-水添ポリイソプレン-b-ポリ スチレン-b-ポリ(4-tert-ブチルスチレン)(以下 tBSSEPStBSと略記する)を得た。得られたtBSSEPStB Sの水素添加率を 1 H-NMRスペクトル測定により算出したところ、9 9.9%であった。

(b)ポリスチレン(重合体ブロック(A))、水添ポ イソプレン(重合体ブロック(B))及びポリ(4-te rt-ブチルスチレン)(重合体ブロック(C))からな るブロック共重合体のスルホン化物の合成
(a)で得られたブロック共重合体(tBSSEPStBS)50gを 、攪拌機付きガラス製反応容器中にて1時間 空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メ レン480mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解 させた。溶解後、塩化メチレン84.9ml中、0℃ て無水酢酸42.5mlと硫酸19.0mlとを反応させて られたスルホン化試薬を5分かけて徐々に滴 した。室温にて72時間攪拌下、反応後、1Lの 蒸留水中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、 重合体を凝固析出させた。析出した固形分を 90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過し 。この洗浄及びろ過の操作を先浄水のpHに変 化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した 重合体を真空乾燥してスルホン化tBSSEPStBSを た。得られたスルホン化tBSSEPStBSの4-tert-ブチ ルスチレン単位はスルホン化されず、スチレ ン単位のみスルホン化された。スチレン単位 中のベンゼン環のスルホン化率は 1 H-NMR分析から100mol%、イオン交換容量は1.48meq/g であった。

(c)燃料電池用電解質膜の作製
(b)で得られたスルホン化tBSSEPStBSの16質量%ト エン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液 調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋 製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約35 0μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、80℃ 、3分間乾燥して厚さ30μmの膜を得た。

高分子電解質膜としての性能試験 の結果
 実施例1~3及び比較例1~4及び6で作製した膜、 及び比較例5のナフィオン膜のイオン伝導度 線膨張率、引張試験の結果を表1に示す。表1 において、破断強度の保持率(%)は[(ウェット 料についての破断強度(MPa)/(ドライ試料につ いての破断強度(MPa)]×100として算出した。

 実施例1~3、及び比較例1~5の比較から、比較 1~4の拘束相を有さないブロック共重合体か 作成された膜及び比較例5の燃料電池用の電 解質膜の代表例であるナフィオン膜に比べ、 拘束相を形成する重合体ブロック(C)が存在す る実施例1~3の高分子電解質膜は、イオン伝導 度及び/又はイオン交換容量が同等である場 には、ドライ時に対するウエット時の破断 度の保持率が、大幅に改善されていること 明らかである。
 同様に、寸法変化の指標になる線膨張率も 幅に低減できていることが明らかである。 た、耐熱性の指標になる動的粘弾性測定か 得られる高温側のTαも大幅に向上できてい ことが明らかである。
 また、イオン伝導度及びイオン交換容量が 等の実施例3と比較例6との比較から、拘束 が多環構造を有する脂環式炭化水素基を有 るスチレン系誘導体に由来する構造単位か 形成されることにより、特に寸法変化の指 になる線膨張率を大幅に低減できているこ が明らかである。また、耐熱性の指標にな 動的粘弾性測定から得られる高温側のTαも 幅に向上できていることが明らかである。

 実施例1~3及び比較例1で作製した膜について 、並びに該膜を10M(モル/リットル)のメタノー ル水溶液に室温下、68時間浸漬し、ついで純 で十分洗浄した後の該膜について、3M-メタ ール水溶液のメタノール透過速度を測定し 結果を表2に示す。表2において、メタノー 透過速度の変化率(倍)は(10Mメタノール水溶 処理後の3M-メタノール水溶液のメタノール 過速度)(μmol・cm -2 ・min -1 )/(10Mメタノール水溶液処理前の3M-メタノール 水溶液のメタノール透過速度)(μmol・cm -2 ・min -1 )として算出した。

 比較例1の拘束相を有さないブロック共重 合体から作成された電解質膜では、10Mメタノ ール水溶液処理後の膜のメタノール透過速度 の変化率が大きいのに対し、実施例1~3の拘束 相を形成する重合体ブロック(C)を有するブロ ック共重合体から作成された電解質膜では、 処理後の膜のメタノール透過速度の変化率を 低く保つことができることが明らかとなった 。

 実施例1~3及び比較例3、4で作製した膜の 境が乾燥状態(40℃、相対湿度50%)から湿潤状 (40℃、水中)に変化した場合について、膜の イオン伝導度の安定化時間を測定した結果を 表3に示す。

 比較例3、4に比べ、実施例1~3の拘束相を 成する重合体ブロック(C)を有するブロック 重合体から作成された電解質膜では、イオ 伝導度が安定するのに要する時間が大幅に 縮化できることが明らかとなった。

 実施例1の(d)で作製した固体高分子型燃料電 池用単セルの発電特性として、電流密度に対 する電圧の変化を測定した。結果を図1に示 。単セルの最高出力密度は423mW/cm 2 であり、固体高分子型燃料電池用高分子電解 質膜として有用であることが明らかとなった 。また、発電試験後の単セルを解体したとこ ろ、その膜-電極接合体には剥離等全く見ら ず、接合性にも優れていることが明らかと った。

 これらの結果から、本発明の高分子電解 から作成された膜は、耐熱性、耐久性に優 、特に固体高分子型燃料電池において長時 運転時に安定して使用可能であり、乾燥時 湿潤時の寸法変化や力学特性(引張特性等) 化が小さく、またメタノール溶液浸漬処理 後でのメタノール透過性等の特性の変化が さく、かつ始動性にも優れるという利点を し、固体高分子型燃料電池用高分子電解質 として、非常に有用であることが明らかと った。

固体高分子型燃料電池用単セルの電流 度―出力電圧を示す図である(実施例1(d))。