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Title:
POLYMER-TREATING AGENT AND DOPE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102747
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a polymer-treating agent which comprises an ionic liquid represented by the formula (1) and an aprotic solvent (e.g., DMSO) and takes a liquid form at 30°C. The polymer-treating agent takes a liquid form at around room temperature and has a low viscosity, and is therefore excellent in handling properties. (1) wherein R1 to R3 independently represent an alkyl group having 1 to 5 carbon atoms, an alkenyl group having 3 to 5 carbon atoms, or an alkoxyalkyl group represented by the formula: R4-O-(CH2)n-; R4 represents a methyl group or an ethyl group; n represents a number of 1 or 2; and Y represents a halide ion, a carboxylate ion having 1 to 3 carbon atoms in total, a perchlorate ion, a pseudo-halide ion, a cyanamide ion or a dicyanamide ion.

Inventors:
KUBOTA YUJI (JP)
HASEGAWA OSAMU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052698
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NISSHIN SPINNING (JP)
KUBOTA YUJI (JP)
HASEGAWA OSAMU (JP)
International Classes:
C08L101/00; C08B16/00; C08J3/11; C08K5/17; C08L1/00; C08L67/04; D06B9/00
Domestic Patent References:
WO2007049485A12007-05-03
Foreign References:
JPH02124901A1990-05-14
JPS60144332A1985-07-30
JP2006137677A2006-06-01
JP2006152048A2006-06-15
Attorney, Agent or Firm:
KOJIMA, Takashi (16-12 Ginza 2-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 イオン液体と非プロトン溶媒とからなり、30℃で液体状であることを特徴とするポリマー処理剤。
 下記式[1]で示される前記イオン液体および非プロトン溶媒の含有比率(モル比)が、30~90%である請求項1記載のポリマー処理剤。
 前記非プロトン溶媒が、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンおよびピリジンから選ばれる1種または2種以上である請求項1または2記載のポリマー処理剤。
 前記イオン液体が、ハロゲン化物イオン、総炭素数1~3のカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、擬ハロゲン化物イオン、シアナミドイオン、またはジシアナミドイオンをアニオン成分とする請求項1~3のいずれか1項記載のポリマー処理剤。
 前記イオン液体が、式(1)で示される4級アンモニウム系イオン液体である請求項1~4のいずれか1項記載のポリマー処理剤。
〔式中、R 1 ~R 3 は、互いに同一でも異なっていてもよい、炭素数1~5のアルキル基、炭素数3~5のアルケニル基、またはR 4 -O-(CH 2 ) n -で表されるアルコキシアルキル基を示し、R 4 は、メチル基またはエチル基を示し、nは1または2である。Yは、ハロゲン化物イオン、総炭素数1~3のカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、擬ハロゲン化物イオン、シアナミドイオン、またはジシアナミドイオンを示す。〕
 前記イオン液体が、式(2)で示される請求項5記載のポリマー処理剤。
〔式中、nおよびYは前記と同じ意味を表す。〕
 前記イオン液体が、式(3)で示される請求項6記載のポリマー処理剤。
 天然高分子化合物の処理剤である請求項1~7のいずれか1項記載のポリマー処理剤。
 前記天然高分子化合物が、セルロースである請求項8記載のポリマー処理剤。
 表面処理剤、膨潤剤または溶解剤である請求項1~9のいずれか1項記載のポリマー処理剤。
 請求項1~9のいずれか記載のポリマー処理剤を用いるポリマー処理方法。
 イオン液体と、非プロトン溶媒と、ポリマーとを含み、このポリマーが前記イオン液体および非プロトン溶媒中に溶解しているドープであって、
 下記式[1]で示される前記イオン液体および非プロトン溶媒の含有比率(モル比)が、30~99%であるドープ。
 イオン液体と、非プロトン溶媒と、2種以上のポリマーとを含み、これらポリマーが前記イオン液体および非プロトン溶媒中に溶解していることを特徴とするドープ。
 前記2種以上のポリマーのうちの1種が、セルロースである請求項13記載のドープ。
 前記2種以上のポリマーが、セルロースおよびポリ乳酸である請求項14記載のドープ。
 下記式[1]で示される前記イオン液体および非プロトン溶媒の含有比率(モル比)が、30~99%である請求項13~15のいずれか1項記載のドープ。
 前記イオン液体が、下記式(1)で示される4級アンモニウム系イオン液体である請求項12~16のいずれか1項記載のドープ。
〔式中、R 1 ~R 3 は、互いに同一でも異なっていてもよい、炭素数1~5のアルキル基、炭素数3~5のアルケニル基、またはR 4 -O-(CH 2 ) n -で表されるアルコキシアルキル基を示し、R 4 は、メチル基またはエチル基を示し、nは1または2である。Yは、ハロゲン化物イオン、総炭素数1~3のカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、擬ハロゲン化物イオン、シアナミドイオン、またはジシアナミドイオンを示す。〕
 請求項13記載のドープから再生されたブレンドポリマー。
 請求項15記載のドープから再生されたセルロース-ポリ乳酸ブレンドポリマー。
 請求項13記載のドープに、前記イオン液体および非プロトン溶媒に相溶し、かつ、前記ポリマーの溶解能を実質的に有しない媒体を加え、または請求項13記載のドープを、前記イオン液体および非プロトン溶媒に相溶し、かつ、前記ポリマーの溶解能を実質的に有しない媒体に加えることを特徴とするブレンドポリマーの製造方法。
Description:
ポリマー処理剤およびドープ

 本発明は、ポリマー処理剤およびドープ 関し、さらに詳述すると、イオン液体と非 ロトン溶媒とからなり、例えば、ポリマー 表面処理や、膨潤処理、溶解剤として好適 ポリマー処理剤、並びにイオン液体および プロトン溶媒にポリマーが溶解してなるド プに関する。

 従来、イオン液体に、セルロース、絹、ウ ル等の高分子物質が溶解することが知られ いる(非特許文献1:JACS, 2002, vol.124, p.4274-427 5、非特許文献2:JACS, 2004, vol.126, p.14350-14351 非特許文献3:Green Chem., 2005, vol.7, p.606-608参 照)。
 中でも、セルロースについては、セルロー のイオン液体溶液を利用した再生や、化学 飾、表面処理などが試みられている。

 例えば、特許文献1(特表2005-506401号公報)に 、実質的に水を含まない1-ブチル-3-メチルイ ミダゾリウムクロライドなどのイオン液体中 にセルロースを溶解させてセルロース溶液を 調製し、これに水を加えてセルロースを再生 させる方法が開示されている。
 特許文献2(国際公開第2005/054298号パンフレッ ト)には、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムク ロライドに代表されるイオン液体にセルロー スを溶解し、セルロースの水酸基をエーテル 化する手法が開示されている。
 特許文献3(特表2005-530910号公報)には、イオ 液体を含む布地処理剤で処理されたセルロ ス系布地は、機能的または美観的に優れた 観を示し、繊維強化効果が発揮され得るこ が開示されている。

 しかしながら、セルロース、絹、ウール等 溶解能を有するイオン液体のほとんどが室 で固体であるため、室温での処理は困難で る。このため、イオン液体が溶融するよう 比較的高い温度で処理する必要がある。し し、処理温度を高くすると、被処理物であ ポリマーの分子量が著しく低下し、その結 、処理後のポリマーの物性が低下するとい 問題があった。
 また、イオン液体は、粘度が高いため、液 としての取扱い性に劣るうえに、被処理物 の接触およびその後の被処理物内部への浸 などに時間を要していた。

 最近、セルロースをイミダゾリウム系イオ 液体(BMIMCl)に溶かした溶液に、DMSO,DMAc,ジオ サンを加えると溶液粘度が減少することが 告されている(非特許文献4:Journal of Cellulose  Science and Technology, 2006, 14(2), 8-12)。
 しかし、非特許文献4において、粘度特性を 評価した温度範囲が75~100℃であることから、 非特許文献4の溶液は、室温での粘度が高い 、室温で凝固している可能性が高い。した って、この場合も、室温での取扱い性には る。

 また、テトラアルキルアンモニウムハライ にDMSOやTMSO(テトラメチレンスルホキシド)を 添加した系でセルロースが溶解することも知 られている(特許文献4:特開昭60-144332号公報)
 しかし、この場合も、テトラアルキルアン ニウムハライドがDMSOに溶解しなかったり、 融点が高いためか室温で塩の析出または溶液 自体の固体化が起こったりするという問題が あった。
 以上のような理由から、低粘度であり、か 、室温付近でポリマーを処理し得るポリマ 処理剤が望まれている。

 一方、セルロースとその他の高分子物質と ブレンドに関して、従来、その調製が試み れている。
 例えば、特許文献5(特開平4-224838号公報)に 、ビスコース法によって得られた再生セル ースとポリウレタンの、セルロース/プラス ックブレンドが開示されている。
 しかし、高分子物質とのブレンドに際して 予めセルロースを処理する必要があること およびセルロースを溶解する処理溶媒が限 れているのみならず、それらの処理溶媒が 用的な溶媒でないことから、使用可能な高 子物質も限定され、所望の組み合わせによ ブレンドポリマーを得ることが難しかった
 これを解決するために、セルロースの水酸 をエステル化やエーテル化することにより セルロース自体を化学修飾し、汎用的な溶 への溶解性を高め、その他の高分子物質と ブレンドポリマーを調製することも行われ いる(特許文献6:特表平8-510782号公報)。
 しかし、この場合は、セルロース自体が化 修飾されていることから、得られたブレン ポリマーに未修飾セルロースの諸物性を発 させることが難しく、根本的な問題解決に 至っていない。

特表2005-506401号公報

国際公開第2005/054298号パンフレット

特表2005-530910号公報

特開昭60-144332号公報

特開平4-224838号公報

特表平8-510782号公報 JACS, 2002, vol.124, p.4274-4275 JACS, 2004, vol.126, p.14350-14351 Green Chem., 2005, vol.7, p.606-608 Journal of Cellulose Science and Technology, 200 6, 14(2), 8-12

 本発明は、このような事情に鑑みてなさ たものであり、室温付近で液体状であり、 つ、低粘度であるため取扱い性に優れる、 オン液体を含むポリマー処理剤およびドー を提供することを目的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 検討を重ねた結果、イオン液体と非プロト 溶媒とからなる混合溶媒が、粘度が低いこ から取扱い性に優れ、しかも30℃程度でも 固せずに液相を保持すること、およびセル ース等のポリマーの溶解能に優れているこ を見出すとともに、この混合溶媒中に2種以 のポリマーを溶解させ、これを再生させる とで従来にないブレンドポリマーが得られ ことを見出し、本発明を完成した。

 すなわち、本発明は、
1.イオン液体と非プロトン溶媒とからなり、3 0℃で液体状であることを特徴とするポリマ 処理剤、
2. 下記式[1]で示される前記イオン液体およ 非プロトン溶媒の含有比率(モル比)が、30~90% である1のポリマー処理剤、
3. 前記非プロトン溶媒が、ジメチルスルホ シド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチ ルアセトアミド、N-メチルピロリドンおよび リジンから選ばれる1種または2種以上であ 1または2のポリマー処理剤、
4. 前記イオン液体が、ハロゲン化物イオン 総炭素数1~3のカルボン酸イオン、過塩素酸 オン、擬ハロゲン化物イオン、シアナミド オン、またはジシアナミドイオンをアニオ 成分とする1~3のいずれかのポリマー処理剤
5. 前記イオン液体が、式(1)で示される4級ア モニウム系イオン液体である1~4のいずれか ポリマー処理剤、
〔式中、R 1 ~R 3 は、互いに同一でも異なっていてもよい、炭 素数1~5のアルキル基、炭素数3~5のアルケニル 基、またはR 4 -O-(CH 2 ) n -で表されるアルコキシアルキル基を示し、R 4 は、メチル基またはエチル基を示し、nは1ま は2である。Yは、ハロゲン化物イオン、総 素数1~3のカルボン酸イオン、過塩素酸イオ 、擬ハロゲン化物イオン、シアナミドイオ 、またはジシアナミドイオンを示す。〕
6. 前記イオン液体が、式(2)で示される5のポ マー処理剤、
〔式中、nおよびYは前記と同じ意味を表す。
7. 前記イオン液体が、式(3)で示される6のポ マー処理剤、
8. 天然高分子化合物の処理剤である1~7のい れかのポリマー処理剤、
9. 前記天然高分子化合物が、セルロースで る8のポリマー処理剤、
10. 表面処理剤、膨潤剤または溶解剤である1 ~9のいずれかのポリマー処理剤、
11. 1~9のいずれかのポリマー処理剤を用いる リマー処理方法、
12. イオン液体と、非プロトン溶媒と、ポリ ーとを含み、このポリマーが前記イオン液 および非プロトン溶媒中に溶解しているド プであって、下記式[1]で示される前記イオ 液体および非プロトン溶媒の含有比率(モル 比)が、30~99%であるドープ、
13. イオン液体と、非プロトン溶媒と、2種以 上のポリマーとを含み、これらポリマーが前 記イオン液体および非プロトン溶媒中に溶解 していることを特徴とするドープ、
14. 前記2種以上のポリマーのうちの1種が、 ルロースである13のドープ、
15. 前記2種以上のポリマーが、セルロースお よびポリ乳酸である14のドープ、
16. 下記式[1]で示される前記イオン液体およ 非プロトン溶媒の含有比率(モル比)が、30~99 %である12~15のいずれかのドープ、
17. 前記イオン液体が、下記式(1)で示される4 級アンモニウム系イオン液体である12~16のい れかのドープ、
〔式中、R 1 ~R 3 は、互いに同一でも異なっていてもよい、炭 素数1~5のアルキル基、炭素数3~5のアルケニル 基、またはR 4 -O-(CH 2 ) n -で表されるアルコキシアルキル基を示し、R 4 は、メチル基またはエチル基を示し、nは1ま は2である。Yは、ハロゲン化物イオン、総 素数1~3のカルボン酸イオン、過塩素酸イオ 、擬ハロゲン化物イオン、シアナミドイオ 、またはジシアナミドイオンを示す。〕
18. 13のドープから再生されたブレンドポリ ー、
19. 15のドープから再生されたセルロース-ポ 乳酸ブレンドポリマー、
20. 13のドープに、前記イオン液体および非 ロトン溶媒に相溶し、かつ、前記ポリマー 溶解能を実質的に有しない媒体を加え、ま は13のドープを、前記イオン液体および非プ ロトン溶媒に相溶し、かつ、前記ポリマーの 溶解能を実質的に有しない媒体に加えること を特徴とするブレンドポリマーの製造方法
を提供する。

 本発明のポリマー処理剤は、イオン液体と プロトン溶媒とからなるものであるため、 温付近でも凝固せず液相を保持し得る。し がって、従来のイオン液体では不可能であ た室温付近での処理が可能となる。このポ マー処理剤は、粘度が低いことから取扱い に優れるばかりでなく、セルロースをはじ とする各種ポリマーの溶解性に優れるとと に、セルロースを溶解した場合の分子量低 がほとんどない。
 また、本発明のイオン液体と非プロトン溶 とからなる混合溶媒は、上述のように各種 リマーを溶解し得るため、この混合溶媒と 数種の高分子物質とを含むドープを調製し これから、ポリマーを再生させることで、 来にないブレンドポリマーの調製が可能と る。

実施例10~14で調製したポリマー処理剤 および5質量%セルロースドープの室温(20~25℃ )での粘度変化を示すグラフである。 実施例49で得られたブレンドポリマー 電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例49で得られたブレンドポリマー クロロホルムに6時間浸漬した後の電子顕微 写真を示す図である。 実施例52で得られたブレンドポリマー 電子顕微鏡写真を示す図である。

 以下、本発明についてさらに詳しく説明す 。
 本発明に係るポリマー処理剤は、イオン液 と非プロトン溶媒とからなり、30℃で液体 であるものである。ここで、イオン液体と 、100℃以下で流動性があり、完全にイオン ら成る液体をいうが、80℃以下で液体である ものがより好ましく、70℃以下で液体である のがより一層好ましい。本発明のポリマー 理剤は、30℃で固体のイオン液体を用いた 合でも、30℃で液体状を呈するものである。
 本発明のポリマー処理剤を構成するイオン 体は任意であり、従来公知の各種イオン液 を用いることができるが、ポリマーの溶解 などの点から、アニオン成分が、ハロゲン 物イオン、総炭素数1~3のカルボン酸イオン 過塩素酸イオン、擬ハロゲン化物イオン、 アナミドイオン、またはジシアナミドイオ であるイオン液体が好ましい。

 ハロゲン化物イオンとしては、Cl - 、Br - 、I - が挙げられ、総炭素数1~3のカルボン酸イオン としては、C 2 H 5 CO 2 - 、CH 3 CO 2 - 、HCO 2 - 等が挙げられ、擬ハロゲン化物イオンとして は、一価でありハロゲン化物に類似した特性 を有するCN - 、SCN - 、OCN - 、ONC - 、N 3 - 等が挙げられるが、ポリマーの溶解性を高め るという点から、ハロゲン化物イオン、総炭 素数1~3のカルボン酸イオン、または擬ハロゲ ン化物イオンが好ましく、特に、Cl - 、Br - 、HCO 2 - 、SCN - が好ましい。

 一方、カチオン成分としては、脂肪族系カ オンおよび芳香族系カチオンのいずれも用 ることができる。
 脂肪族系カチオンとしては、4つの置換基の うち少なくとも1つがその他の置換基と異な (非対称カチオン)脂肪族アンモニウム塩であ ることが、低融点、非プロトン溶媒との相溶 性の点で好ましい。
 特に、テトラアルキルではない、エーテル を含む下記式(1)で示される4級アンモニウム 塩系イオン液体が、低融点、非プロトン溶媒 との相溶性、セルロースの溶解性(低粘度)の で好ましい。

〔式中、R 1 ~R 3 は、互いに同一でも異なっていてもよい、炭 素数1~5のアルキル基、炭素数3~5のアルケニル 基、またはR 4 -O-(CH 2 ) n -で表されるアルコキシアルキル基を示し、R 4 は、メチル基またはエチル基を示し、nは1ま は2である。Yは、ハロゲン化物イオン、総 素数1~3のカルボン酸イオン、過塩素酸イオ 、擬ハロゲン化物イオン、シアナミドイオ 、またはジシアナミドイオンを示す。〕

 式(1)において、炭素数1~5のアルキル基とし は、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2- プロピル基、1-ブチル基、2-ブチル基、2-メチ ルプロピル基、1,1-ジメチルエチル基、1-ペン チル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、1-メチ ルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブ ル基、2,2-ジメチルプロピル基等が挙げられ 。炭素数3~5のアルケニル基としては、1-プ ペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、イソ ロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基( ロチル基)、3-ブテニル基、イソクロチル基 2-メチルアリル基(メタリル基)等が挙げられ 。R 4 -O-(CH 2 ) n -で表されるアルコキシアルキル基としては メトキシまたはエトキシメチル基、メトキ またはエトキシエチル基が挙げられる。

 これらの中でも、式(1)におけるR 1 ~R 3 が、互いに同一でも異なっていてもよい、メ チル基、エチル基、アリル基、メタリル基、 またはR 4 -O-(CH 2 ) n -で表されるアルコキシアルキル基(特に、メ キシエチル基またはメトキシメチル基)であ るものが好ましい。
 より具体的には、置換基のうち1つがアルコ キシアルキル基である下記式(2)で示されるイ オン液体を好適に用いることができる。

〔式中、nおよびYは上記と同じ意味を表す。

 特に、n=2およびY=Cl - である、下記式(3)で示されるジエチルメチル メトキシエチルアンモニウムクロライド(DEMEC l)が好ましい。

 芳香族系カチオンとしては、イミダゾリウ カチオン、ピリジニウムカチオンが挙げら る。
 イミダゾリウムカチオンとしては、例えば ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリ ルキルイミダゾリウムカチオン等が挙げら 、具体例としては、1-エチル-3-メチルイミ ゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾ リウムイオン、1-プロピル-3-メチルイミダゾ ウムイオン、1-(1,2または3-ヒドロキシプロ ル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,2,3-ト メチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチル -3-エチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチ -3-プロピルイミダゾリウムイオン、1-ブチル -2,3-ジメチルイミダゾリウムイオンなどが挙 られる。
 イミダゾリウム系イオン液体としては、1- チル-3-メチルイミダゾリウムクロライド(BMIM Cl)が好適である。

 ピリジニウムカチオンとしては、N-プロピ ピリジニウムイオン、N-ブチルピリジニウム イオン、3-メチル-N-ブチルピリジニウムイオ 、1-ブチル-4-メチルピリジニウムイオン、1- ブチル-2,4-ジメチルピリジニウムイオンなど 挙げられる。
 ピリジニウム系イオン液体としては、3-メ ル-N-ブチルピリジニウムクロライド(MBPyriCl) 好適である。
 なお、上述した各イオン液体は、2種以上組 み合わせて用いることもできる。

 非プロトン溶媒としては、プロトン供与性 持たない溶媒であれば任意であるが、好ま くはドナー数が10以上、かつ、アクセプタ 数が10以上の溶媒が好ましく、さらには誘電 率10以上の溶媒が好ましい。
 非プロトン溶媒の具体例としては、ジメチ スルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミ ド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メ ルピロリドン(NMP)、アセトニトリル、ピリ ンなどが挙げられ、これらは1種単独で用い も、2種以上混合して用いてもよい。
 これらの中でも、溶解速度の点からはDMSOが 好ましく、室温液体化の点からはDMFが好まし い。
 これらの非プロトン溶媒について、ドナー 、アクセプター数、融点、誘電率を表1に示 す。

参考文献:ドナーとアクセプター,1983,p.22-32

 本発明のポリマー処理剤において、イオン 体と非プロトン溶媒とからなる混合溶媒が3 0℃で液体状である限り、イオン液体および プロトン溶媒を任意の割合で配合すること できるが、下記式[1]で示されるイオン液体 よび非プロトン溶媒の含有比率(モル比)を、 30~90%とすることが好ましく、40~75%とすること がより好ましく、50~70%とすることがより一層 好ましい。このとき、非プロトン溶媒の質量 比は、使用するイオン液体と非プロトン溶媒 の種類にもよるため一概には規定できないが 、本発明のポリマー処理剤においては、イオ ン液体および非プロトン溶媒の全質量の5~85 量%とすることが好ましく、15~80質量%とする とがより好ましい。
 この範囲とすることで、室温で液体状であ 、かつ、ポリマー処理剤としての特性も十 に発揮させ得る。

 本発明のポリマー処理剤の調製は、イオ 液体と非プロトン溶媒とが分離せず、均一 相溶する方法であれば、特に限定されるも ではない。例えば、イオン液体に非プロト 溶媒を混合してよいし、非プロトン溶媒に オン液体を混合してもよい。また、イオン 体が30℃において固体であっても液体であ ても、上記の調製方法が適応できるが、必 に応じて上記の方法で調製したポリマー処 剤を適宜加熱してもよい。

 本発明のポリマー処理剤は、ポリマーの表 処理剤、溶解剤、膨潤剤などとして好適に いることができる。
 ポリマー処理剤の粘度は、低い程好ましい 、ポリマー処理剤の被処理物への浸透の容 さや、液体としての取扱いの容易さ、連続 程の場合に洗浄層への処理剤の混入を少な することなどを考慮すると、25℃で100Pa・s 下であることが好ましく、10Pa・s以下である ことがより好ましく、1Pa・s以下であること より一層好ましい。

 なお、本発明において、溶解とは、ポリマ が媒体中に均一相として存在するように視 されることをいう。膨潤とは、媒体がポリ ーの凝集分子鎖中に浸入し、分子鎖同士の 互作用が緩和されているが、完全に分子鎖 凝集が解かれるまでには至っていない状態 いう。
 また、本発明のポリマー処理剤には、その 果を発現させる限度においてその他の成分 添加することもできる。その他の成分とし は、香料、染料、撥水剤、撥油剤、抗菌剤 防カビ剤などが挙げられる。

 本発明のポリマー処理剤で処理されるポリ ーとしては、イオン液体に溶解または膨潤 るものであれば特に限定はなく、例えば、 鎖もしくはタンパク質等の天然高分子化合 、またはこれらの混合物が挙げられる。
 糖鎖としては、セルロース、キチン、キト ンなどが挙げられる。
 セルロースとしては、植物由来セルロース 動物由来セルロース、バクテリア由来セル ース、再生セルロースが挙げられる。具体 には、綿、麻、竹、バナナ、月桃、ハイビ カスローゼル、ケナフ、広葉樹パルプ、針 樹パルプ、ホヤセルロース、バクテリアセ ロース、レーヨン、キュプラ、テンセル、 オン液体による再生セルロースなどが挙げ れ、イオン液体に溶解,膨潤し得る限り、そ れらの誘導体も含まれる。誘導体としては、 例えばセルロースの水酸基をエーテル化また はエステル化した誘導体や、シアノエチル化 した誘導体や、カーバメート化した誘導体な どが挙げられる。
 なお、セルロースの結晶構造は任意であり I型、II型、III型、IV型、非晶のいずれか1つ 構造またはそれらの組合せからなる構造を するセルロースを採用できる。また、セル ースの結晶化度に関わらず本発明の方法が 用できる。
 タンパク質としては、絹、羊毛、コラーゲ 、ケラチン、セリシン、フィブロイン、カ イン等が挙げられる。

 また、上記ポリマーは、上述したイオン液 に溶解または膨潤する天然高分子化合物以 に、非プロトン溶媒に溶解または膨潤する の他の高分子化合物を含んでいてもよい。
 非プロトン溶媒に溶解または膨潤するその の高分子化合物としては、アクリル樹脂、 リカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリ乳酸、 リカプロラクトン、ポリアミド(ナイロン) ポリスチレンなどが挙げられる。
 なお、その他の高分子化合物の含有量は任 であるが、ポリマー全体に対して、5~95質量 %程度が好適である。

 さらに、上記ポリマーは、イオン液体にも プロトン溶媒にも溶解または膨潤しない物 を含んでいてもよい。
 このような物質としては、ガラス繊維、金 繊維、炭素繊維、ロックウールなどが挙げ れる。
 なお、これらの物質の含有量は任意である 、ポリマー全体に対して、5~95質量%程度が 適である。

 上記ポリマーの構造は任意であり、糸,織 物,編物,不織布,紙等の繊維構造物、フィルム 、ビーズ、板、ブロックなどの各種構造を採 用できる。

 以上で説明したポリマー処理剤を用いたポ マー処理方法は、当該ポリマー処理剤を、 リマーを含む被処理物と接触させて、当該 リマーを膨潤または溶解させたり、表面処 したりするものである。
 接触方法としては特に制限はなく、ポリマ 処理剤中へ被処理物を浸漬させたり、ポリ ー処理剤を含む槽内に被処理物を通過させ りする方法や、被処理物へポリマー処理剤 噴霧する方法などが挙げられる。

 接触時間は、所望の効果に応じて適宜決定 ればよく、例えば、ポリマー処理剤との長 間の接触により、ポリマーは、その内部ま 膨潤や溶解し、ポリマー処理剤との短時間 接触により、ポリマーは、その表面近傍の が膨潤や溶解する。一般的には、0.01秒から 180分間程度の範囲で適宜調節すればよい。
 接触温度は、ポリマー処理剤が液体状であ 温度領域であればよい。本発明では30℃に いても液体であることから、加熱なしに被 理物の処理が可能でエネルギー的に有利で る。また、低温であるほどポリマーの分子 低下も少ないため、被処理物の物性低下を 小限に食い止めることができる。具体的に 非プロトン溶媒の種類によるが、-100℃以上 あればよく、0~100℃程度が好ましく、15~60℃ 程度がより好ましい。

 接触処理後に被処理物に残存したポリマー 理剤は、ポリマー処理剤と相溶でかつポリ ーを溶解・膨潤させない溶液で洗浄するこ で容易に除去することができる。
 このような溶媒としては、例えば、水、メ ノール,エタノール等のアルコール類、テト ラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル類 アセトン,メチルエチルケトン等のケトン類 アセトニトリル、クロロホルム等が挙げら る。
 接触処理および必要に応じて行われる洗浄 理後、被処理物を適宜乾燥させればよい。 燥手法は任意であり、公知の各種方法を用 ることができる。具体例としては、ヒート ラム、熱風、赤外線、天日による方法など 挙げられる。

 本発明に係るドープは、イオン液体と、非 ロトン溶媒と、ポリマーとを含み、ポリマ がイオン液体および非プロトン溶媒に溶解 ているものである。この場合、ポリマーは2 種以上用いてもよい。2種以上の組み合わせ して、イオン液体に溶解する2種以上のポリ ー、イオン液体に溶解するポリマーの少な とも1種と、非プロトン溶媒に溶解するポリ マーの少なくとも1種などが挙げられる。
 なお、イオン液体、非プロトン溶媒および リマーは、上記ポリマー処理剤で述べたも と同様のものが挙げられる。

 このドープにおいては、イオン液体と非プ トン溶媒との配合量は、上記式[1]で示され イオン液体および非プロトン溶媒の含有比 (モル比)を、30~99%とすることが好ましく、40 ~85%とすることがより好ましく、50~75%とする とがより一層好ましい。このとき、非プロ ン溶媒の質量比は、使用するイオン液体と プロトン溶媒の種類にもよるため一概には 定できないが、本発明のドープにおいては イオン液体および非プロトン溶媒の全質量 5~99質量%とすることが好ましく、15~98質量%と することがより好ましい。
 また、ドープ中のポリマー含有量は、使用 るポリマーの種類にもよるため一概には規 できないが、本発明のドープにおいては、0 .1~50質量%程度とすることができる。

 本発明のドープの調製法は特に限定され ものではなく、上述したイオン液体と非プ トン溶媒との混合溶媒にポリマーを溶解し 調製しても、イオン液体にポリマーを溶解 た後に非プロトン溶媒を添加して調製して 、イオン液体に、これに溶解するポリマー 溶解し、一方、非プロトン溶媒に、これに 解するポリマーを溶解し、それぞれの溶液 混合して調製してもよい。既に述べたよう 、本発明のイオン液体と非プロトン溶媒と 混合溶媒は、室温付近で液体状であるとと に粘度が低く、ポリマーをより低温で溶解 得、ポリマーの物性低下などを起こしにく ことから、イオン液体と非プロトン溶媒と 混合溶媒にポリマーを溶解する方法が好適 ある。

 本発明のドープを用いることで再生ポリマ を製造することができ、特に2種以上のポリ マーを含むドープの場合には、これら各ポリ マーのブレンドポリマーを製造することがで きる。
 特に、本発明のイオン液体と非プロトン溶 との混合溶媒は、未修飾セルロースを容易 溶解できるうえ、非プロトン溶媒を適宜選 することにより、種々のポリマーをも溶解 きるため、従来困難であった、未修飾セル ースと種々のポリマーとのブレンドポリマ が製造でき、例えば、セルロースとポリ乳 とのブレンドポリマーなどを容易に製造す ことができる。
 なお、ポリ乳酸を含むドープを調製する場 、非プロトン溶媒としては、DMAc、NMPを用い ることが好ましい。

 再生ポリマーや、ブレンドポリマーを製 する具体的手法としては、イオン液体およ 非プロトン溶媒に相溶し、かつ、ポリマー 溶解能を実質的に有しない媒体を本発明の ープに加えたり、イオン液体および非プロ ン溶媒に相溶し、かつ、ポリマーの溶解能 実質的に有しない媒体に本発明のドープを えたりすることで再生ポリマーやブレンド リマーを製造できる。

 ここで、イオン液体および非プロトン溶媒 対して相溶し、かつ、ポリマーの溶解能を 質的に有しない媒体の具体例としては、水 メタノール,エタノール等のアルコール類、 テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテ 類、アセトン,メチルエチルケトン等のケト 類、アセトニトリル、クロロホルムなどが げられ、これらは1種単独で、または2種以 混合して用いることができる。これらの中 も、水、アルコール類が好ましく、環境面 配慮すると水がより好ましい。
 なお、「ポリマーの溶解能を実質的に有し い媒体」とは、ポリマーを全く溶解しない 体という意味ではなく、本発明のドープに え、その添加量を臨界量以上に増大させた 合にポリマーを析出させることが可能な媒 を意味する。

 本発明のドープと上記媒体との使用割合は ポリマーが析出してくる割合であれば任意 あり、また使用する媒体によっても変動す ものであるため一概に規定することはでき いが、効率的にポリマーを析出させるため は、媒体/ドープの液量比は1以上が好まし 、2以上がより好ましく、5以上がさらに好ま しい。
 なお、ドープ中に媒体を加える方法、媒体 にドープを加える方法は任意である。

 再生ポリマーやブレンドポリマーの形態は 特に限定されるものではなく、粉状、粒状 塊状、綿状、短繊維状、長繊維状、棒状、 ポンジ状、フィルム状等の各種形状とする とができる。
 たとえば、ドープを上記媒体に加える手法 は、Tダイなどを通してドープを媒体中に押 し出すなどにより、フィルム状や、長繊維状 の再生ポリマーやブレンドポリマーを連続的 に得ることもできる。

 以下、合成例、実施例および比較例を挙 て、本発明をより具体的に説明するが、本 明は、下記の実施例に限定されるものでは い。

[合成例1]N,N-ジエチル-N-メチル-N-2-メトキシエ チルアンモニウムクロライドの合成

 ジエチルアミン(関東化学(株)製)71質量部と2 -メトキシエチルクロライド(関東化学(株)製)8 8質量部とを混合し、オートクレーブ中、120 で24時間反応させた。この時、最高到達内圧 は4.5kgf/cm 2 (0.44MPa)であった。24時間後、析出した結晶を テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)を 用いて洗浄して濾別した。濾液を常圧蒸留し 、沸点135℃付近の留分を81質量部得た。この 合物が2-メトキシエチルジエチルアミンで ることを核磁気共鳴スペクトル(以下、NMRと う)により確認した。
 続いて、オートクレーブ中にてテトラヒド フラン(和光純薬工業(株)製)80質量部に2-メ キシエチルジエチルアミン9.0質量部を溶解 、攪拌を行いつつ、窒素中15%塩化メチルガ (日本特殊化学工業(株)製)を導入した。内圧 4kgf/cm 2 (0.39MPa)になるまで塩化メチルガスを加えた後 、3時間かけて徐々に60℃まで昇温した。この 時、最高到達内圧は5.4kgf/cm 2 (0.53MPa)であった。この後、攪拌を続けながら 放冷し、析出した結晶を濾別した。この結晶 を減圧下乾燥し、目的物であるN,N-ジエチル-N -メチル-N-2-メトキシエチルアンモニウムクロ ライド(以下、DEMEClという)を12質量部得た。

[合成例2]N,N-ジエチル-N-メチル-N-2-メトキシエ チルアンモニウムチオシアネートの合成

 合成例1の中間生成物である2-メトキシエチ ジエチルアミン(20g:152.4mmol)を、テトラヒド フラン(和光純薬工業(株)製)中で攪拌し、こ れにヨウ化メチル(シグマアルドリッチジャ ン(株)製)(11.29ml:182.9mmol)を滴下した。室温に 約24時間攪拌した後、析出した結晶を濾別 た。この結晶を減圧下乾燥し、目的物であ N,N-ジエチル-N-メチル-N-2-メトキシエチルア モニウムヨーダイド(以下、DEMEIという)を得 。構造確認はNMRにより行った。
 次に文献(J. M. Pringle et al., Journal of Mater ials Chemistry, 2002, vol.12, p3475-3480)記載の方法 に準じて、DEMEIのI - イオンをSCN - イオンに置換し、N,N-ジエチル-N-メチル-N-2-メ トキシエチルアンモニウムチオシアネート( 下、DEMESCNという)を得た。構造確認はNMRによ り行った。

[合成例3]N,N-ジエチル-N-(2-メトキシエチル)-N-( 2-プロペニル)アンモニウムクロライドの合成

 合成例1の中間生成物である2-メトキシエ ルジエチルアミン(3.43g:0.026mol)をアセトニト リル中で攪拌し、これに3-クロロプロペン(東 京化成工業(株)製)(2.6ml:0.031mol)を滴下した。 所、室温にて約72時間攪拌した後、真空ポン プで原料および溶媒を除去し、N,N-ジエチル-N -(2-メトキシエチル)-N-(2-プロペニル)アンモニ ウムクロライド(以下、DEMPClという)を得た。 造確認はNMRにより行った。

[1]固液特性
[実施例1]
 20mlサンプル瓶に、合成例1で得られたDEMECl( 点59~60℃)12.0gと、DMF(大伸化学(株)製)4.0gとを 加え、DEMEClを70℃で溶解させてポリマー処理 を調製した。

[実施例2]
 DEMEClを10.7g、DMFを5.3g用いた以外は実施例1と 同様にしてポリマー処理剤を調製した。

[実施例3]
 DEMEClを8.0g、DMFを8.0g用いた以外は実施例1と 様にしてポリマー処理剤を調製した。

[実施例4]
 DEMEClを5.3g、DMFを10.7g用いた以外は実施例1と 同様にしてポリマー処理剤を調製した。

[実施例5]
 DEMEClを4.0g、DMFを12.0g用いた以外は実施例1と 同様にしてポリマー処理剤を調製した。

[実施例6]
 DMFをDMSO(和光純薬工業(株)製)に変更した以 は実施例2と同様にしてポリマー処理剤を調 した。

[実施例7]
 DMFをDMSOに変更した以外は実施例3と同様に てポリマー処理剤を調製した。

[実施例8]
 DMFをDMSOに変更した以外は実施例4と同様に てポリマー処理剤を調製した。

[実施例9]
 DMFをDMSOに変更した以外は実施例5と同様に てポリマー処理剤を調製した。

 上記実施例1~9で得られたポリマー処理剤に いて、0℃および室温(20~25℃)での性状を調 た。具体的には、各ポリマー処理剤をそれ れの温度で24時間放置後に、溶液の状態を目 視で観察した。結果を表2に示す。
 なお、表中の含有比率とは、イオン液体お び非プロトン溶媒の含有比率、すなわち、 リマー処理剤に対する非プロトン溶媒の割 を示し、上述の式[1]を用いて算出した。
 後述する以降の実施例および比較例におい も、含有比率は上記式[1]を用いて算出した

 表2に示されるように、DEMEClに、非プロトン 溶媒であるDMFまたはDMSOを加えることにより 室温で液体状態を維持するばかりでなく、 にDMFとの含有比率によっては、0℃において 液体状態を保っていることが分かる。
 なお、実施例1~9で得られたポリマー処理剤 、微結晶セルロース(SIGMA-ALDRICH社製)を加え 5質量%セルロースドープをそれぞれ調製し ものについても、同様に0℃および室温(20~25 )での性状を調べた結果、表2と同様の性状 確認された。

[2]粘度特性
[実施例10]
 50mlサンプル瓶に、合成例1で得られたDEMECl( 点59~60℃)と、DMSO(和光純薬工業(株)製)とを DMSO/DEMECl=0.8(モル比)(含有比率44%)で加え、DEME Clを70℃で溶解させてポリマー処理剤を調製 た。

[実施例11]
 DMSO/DEMECl=1.0(モル比)(含有比率50%)とした以外 は実施例10と同様にしてポリマー処理剤を調 した。

[実施例12]
 DMSO/DEMECl=1.2(モル比)(含有比率55%)とした以外 は実施例10と同様にしてポリマー処理剤を調 した。

[実施例13]
 DMSO/DEMECl=1.5(モル比)(含有比率60%)とした以外 は実施例10と同様にしてポリマー処理剤を調 した。

[実施例14]
 DMSO/DEMECl=2.3(モル比)(含有比率70%)とした以外 は実施例10と同様にしてポリマー処理剤を調 した。

 実施例10~14で調製したポリマー処理剤の室 (20~25℃)での粘度を測定した。また、実施例1 0~14で調製したポリマー処理剤に、短繊維状 ルロース(ARBOCEL B400,J.RETTENMAIER&SO EHNE社製 )を加えて5質量%セルロースドープをそれぞれ 調製したものについても、室温(20~25℃)での 度を測定した。これらの結果を図1に示す。
 なお、粘度は、粘度計(VISCOMETER TVB-10、東機 産業(株)製)により測定した。粘度測定に際し ては、液体の粘度に合わせてローターとその 回転数を適宜選択した。

 図1に示されるように、室温(20~25℃)におけ ポリマー処理剤の粘度は、DMSO/DEMEClのモル比 が0.8~2.3の範囲内、すなわち上述した式[1]で されるイオン液体および非プロトン溶媒の 有比率が44~70%の範囲内において、1Pa・s以下 示し、非常に低粘度であることが分かる。
 また、これらポリマー処理剤の5質量%セル ースドープの粘度が、上記範囲内において10 0Pa・s以下を示していることからも、ポリマ 処理剤、およびドープとしての取扱いが容 であることが示唆される。

[3]再生セルロースの分子量
[実施例15~17]
 50mlサンプル瓶に、合成例1で得られたDEMECl( 点59~60℃)26.0gと、DMSO(和光純薬工業(株)製)13. 0gとを加え(DEMECl/DMSO=1/1.2(モル比)、(含有比率5 5%))、DEMEClを70℃で溶解させてポリマー処理剤 を調製した。
 このポリマー処理剤に、微結晶セルロース( SIGMA-ALDRICH社製)2.1gを、室温(20~25℃)(実施例15) 60℃(実施例16)、100℃(実施例17)で溶解させ、 セルロースドープを調製した。
 このようにして調製したセルロースドープ4 1.1gを、攪拌下で水300gに少しずつに分けて加 、最終的に全量加えた後、30分間攪拌を続 てセルロースを析出させた。
 デカンテーションにより水相を捨て、新た 300gの水を加えて攪拌する操作を4回繰り返 てセルロースからDEMEClを洗い流し、再生セ ロースを得た。乾燥後の再生セルロースの 量はそれぞれ、2.0g、1.9g、2.0gであった。

[比較例1]
 実施例15と同様にして、微結晶セルロース 、合成例1で得られたDEMEClに100℃で溶かし、D EMEClのセルロース溶液を調製した。この溶液 用い、実施例15と同様にして再生セルロー を得た。乾燥後の再生セルロースの質量は 2.0gであった。

[再生セルロースの分子量測定]
 上記実施例15~17および比較例1で得られた再 セルロースの分子量を、TAPPI標準法T238su-63 従って測定した。具体的な測定法を以下に す。
 発煙硝酸(比重1.52、関東化学(株)製)300mlに、 濃硝酸(比重1.38、関東化学(株)製)50mlを少しず つ加え、比重1.50の濃硝酸を調製した。続い 氷水で冷やしながらこの濃硝酸に五酸化二 ン(国産化学(株)製)200gを加えて硝化反応用の 混酸を調製した。氷水冷却下でこの混酸100ml 、実施例15~17および比較例1で得られた再生 ルロース、並びに対照として微結晶セルロ ス(SIGMA-ALDRICH社製)をそれぞれ1g加えてよく 散させ、1時間反応させた。反応終了後、ガ スフィルタで吸引ろ過し、生成した硝酸セ ロースを混酸から分離した。この硝酸セル ースを氷冷水(300ml)中に分散させ、ガラスフ ィルタで再びろ過し、氷冷水とメタノールで 十分に洗浄した。続いて50℃の乾燥機中で乾 した。

 得られた三硝酸セルロースをテトラヒドロ ラン(和光純薬工業(株)製)に0.1%(w/v)となるよ うに溶解し、これを分析試料としてゲル浸透 クロマトグラフィー(以下、GPCという)にて分 量分布を測定した。
 GPCは2695 Separations Module(日本ウォーターズ( )製)にGPC KF-801カラム(昭和電工(株)製)を直 に3本接続したものを用い、流速1ml/min、カラ ム温度40℃にて測定した。この重量平均分子 (Mw)は、単分散ポリスチレン標準試料STANDARD SM-105(昭和電工(株)製)を用いて作成した検量 から、ポリスチレン換算値として求めた値 ある。結果を表3に示す。

 表3に示されるように、本発明のポリマー 処理剤を用いた場合、再生セルロースの分子 量低下が抑えられ、また、より低い温度でセ ルロースを溶解することにより、長時間保存 しても分子量の低下がより抑えられることが 分かる。

[4]綿糸の表面処理
[実施例18]
 50mlサンプル瓶に、合成例1で得られたDEMECl( 点59~60℃)27.97gと、DMF(大伸化学(株)製)12.03gを 加え(DEMECl/DMSO=1/1(モル比)、(含有比率50%))、DEM EClを70℃で溶解させてポリマー処理剤を調製 た。ポリマー処理剤の温度を室温まで徐冷 た後、このポリマー処理剤に50番手3撚綿糸( カネボウカタン糸)(カネボウ繊維(株)製)30cmを 室温にて、30秒間浸漬させた。その後、糸を で数回洗浄し、充分に乾燥させ目的の糸を た。糸の質量は処理前後で不変であった。

[実施例19]
 浸漬時間を30秒間から60秒間(1分間)に代えた 以外は実施例18と同様にして目的の糸を得た 糸の質量は処理前後で不変であった。

[実施例20]
 浸漬時間を30秒間から180秒間(3分間)に代え 以外は実施例18と同様にして目的の糸を得た 。糸の質量は処理前後で不変であった。

[実施例21]
 浸漬時間を30秒間から300秒間(5分間)に代え 以外は実施例18と同様にして目的の糸を得た 。糸の質量は処理前後で不変であった。

[実施例22]
 浸漬時間を30秒間から1200秒間(20分間)に代え た以外は実施例18と同様にして目的の糸を得 。糸の質量は処理前後で不変であった。

 上記実施例18~22で得られた綿糸について引 強度を下記手法により測定した。比較とし 、未処理綿糸の引張強度も下記手法により 定した。
[引張強度]
 インストロン万能試験機(5582型)(INSTRON社製) 使用して、つかみ間距離25cm,引張速度30cm/min とし、JIS L1095-9.5に準じて行った。
 これらの結果を表4に示す。なお、強度比は 、未処理綿糸の強度を1として表した。

 表4に示されるように、本発明のポリマー処 理剤を用いることで、室温(20~25℃)という比 的低い温度で綿糸を処理することが可能で り、また、実施例18~21では、当該表面処理に よって綿糸の引張強度が向上していることが わかる。
 なお、DEMEClは室温(20~25℃)では固体であり、 この温度で綿糸を処理することはできない。

[5]溶解速度特性
[実施例23]
 20mlサンプル瓶に、合成例1で得られたDEMECl( 点59~60℃)1.32gと、DMF(大伸化学(株)製)3.96gと 加え(DEMECl/DMF=1/7.5(モル比)、(含有比率88%))、D EMEClを70℃で溶解させてポリマー処理剤を調 した。

[実施例24]
 DEMEClを1.65g、DMFを3.30g(DEMECl/DMF=1/5(モル比)、( 含有比率83%))に代えた以外は実施例23と同様 してポリマー処理剤を調製した。このポリ ー処理剤に、微結晶セルロース(SIGMA-ALDRICH社 製)0.05g(1質量%)または0.26g(5質量%)を、室温(20~2 5℃)、60℃、100℃の各温度で溶解させ、それ れについてセルロースが完全に溶解するま にかかった時間を目視で観察した。

[実施例25]
 DEMEClを2.55g、DMFを2.55g(DEMECl/DMF=1/2.5(モル比) (含有比率71%))に代えた以外は実施例23と同様 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶セ ルロース0.05g(1質量%)または0.27g(5質量%)に代え た以外は実施例24と同様にしてセルロースの 解速度を観察した。

[実施例26]
 DEMEClを3.07g、DMFを1.54g(DEMECl/DMF=1/1.2(モル比) (含有比率55%))に代えた以外は実施例23と同様 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶セ ルロース0.05g(1質量%)または0.24g(5質量%)に代え た以外は実施例24と同様にしてセルロースの 解速度を観察した。

[実施例27]
 DEMEClを3.79g、DMFを1.26g(DEMECl/DMF=1/0.8(モル比) (含有比率44%))に代えた以外は実施例23と同様 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶セ ルロース0.05g(1質量%)または0.27g(5質量%)に代え た以外は実施例24と同様にしてセルロースの 解速度を観察した。

[実施例28]
 DEMEClを4.19g、DMFを0.84g(DEMECl/DMF=1/0.5(モル比) (含有比率33%))に代えた以外は実施例23と同様 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶セ ルロース0.05g(1質量%)または0.26g(5質量%)に代え た以外は実施例24と同様にしてセルロースの 解速度を観察した。

[実施例29]
 DEMEClを2.04g、DMFをDMSO(和光純薬工業(株)製)3.4 1g(DEMECl/DMSO=1/7(モル比)、(含有比率88%))に代え 以外は実施例23と同様にしてポリマー処理 を調製した。

[実施例30]
 DEMEClを2.53g、DMSOを2.54g(DEMECl/DMSO=1/4.7(モル比) 、(含有比率82%))に代えた以外は実施例29と同 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶 ルロース0.05g(1質量%)または0.27g(5質量%)に代 た以外は実施例24と同様にしてセルロース 溶解速度を観察した。

[実施例31]
 DEMEClを3.91g、DMSOを1.30g(DEMECl/DMSO=1/2.3(モル比) 、(含有比率70%))に代えた以外は実施例29と同 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶 ルロース0.05g(1質量%)または0.27g(5質量%)に代 た以外は実施例30と同様にしてセルロース 溶解速度を観察した。

[実施例32]
 DEMEClを2.56g、DMSOを1.28g(DEMECl/DMSO=1/1.2(モル比) 、(含有比率55%))に代えた以外は実施例29と同 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶 ルロース0.04g(1質量%)または0.20g(5質量%)に代 た以外は実施例30と同様にしてセルロース 溶解速度を観察した。

[実施例33]
 DEMEClを3.81g、DMSOを1.27g(DEMECl/DMSO=1/0.8(モル比) 、(含有比率44%))に代えた以外は実施例29と同 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶 ルロース0.05g(1質量%)または0.27g(5質量%)に代 た以外は実施例30と同様にしてセルロース 溶解速度を観察した。

[実施例34]
 DEMEClを4.25g、DMSOを0.85g(DEMECl/DMSO=1/0.5(モル比) 、(含有比率33%))に代えた以外は実施例29と同 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶 ルロース0.05g(1質量%)または0.27g(5質量%)に代 た以外は実施例30と同様にしてセルロース 溶解速度を観察した。

[実施例35]
 DEMEClをBMIMCl(ACROS ORGANICS社製)1.59g、DMFをDMSO3. 18g(DEMECl/DMSO=1/4.5(モル比)、(含有比率82%))に代 た以外は実施例23と同様にしてポリマー処 剤を調製した。

[実施例36]
 BMIMClを2.33g、DMSOを2.33g(BMIMCl/DMSO=1/2.2(モル比) 、(含有比率69%))に代えた以外は実施例35と同 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶 ルロース0.05g(1質量%)または0.25g(5質量%)に代 た以外は実施例24と同様にしてセルロース 溶解速度を観察した。

[実施例37]
 BMIMClを3.00g、DMSOを1.50g(BMIMCl/DMSO=1/1.1(モル比) 、(含有比率52%))に代えた以外は実施例35と同 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶 ルロース0.05g(1質量%)または0.24g(5質量%)に代 た以外は実施例36と同様にしてセルロース 溶解速度を観察した。

[実施例38]
 BMIMClを4.12g、DMSOを0.82g(BMIMCl/DMSO=1/0.5(モル比) 、(含有比率33%))に代えた以外は実施例35と同 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶 ルロース0.05g(1質量%)または0.26g(5質量%)に代 た以外は実施例36と同様にしてセルロース 溶解速度を観察した。

[実施例39]
 DEMEClを2.33g、DMFをピリジン(関東化学(株)製)2 .33g(DEMECl/ピリジン=1/2.3(モル比)、(含有比率70% ))に代えた以外は実施例23と同様にしてポリ ー処理剤を調製した。微結晶セルロース0.05g (1質量%)または0.25g(5質量%)に代えた以外は実 例24と同様にしてセルロースの溶解速度を観 察した。

[実施例40]
 DEMEClを3.00g、ピリジンを1.50g(DEMECl/ピリジン= 1/1.2(モル比)、(含有比率55%))に代えた以外は 施例39と同様にしてポリマー処理剤を調製し た。微結晶セルロース0.05g(1質量%)または0.24g( 5質量%)に代えた以外は実施例39と同様にして ルロースの溶解速度を観察した。

[実施例41]
 DEMEClを2.33g、DMFをNMP(ゴードー溶剤(株)製)2.33 g(DEMECl/NMP=1/1.8(モル比)、(含有比率64%))に代え 以外は実施例23と同様にしてポリマー処理 を調製した。微結晶セルロース0.05g(1質量%) たは0.25g(5質量%)に代えた以外は実施例24と同 様にしてセルロースの溶解速度を観察した。

[実施例42]
 DEMEClを3.00g、NMPを1.50g(DEMECl/NMP=1/0.9(モル比) (含有比率47%))に代えた以外は実施例41と同様 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶セ ルロース0.05g(1質量%)または0.24g(5質量%)に代え た以外は実施例41と同様にしてセルロースの 解速度を観察した。

[実施例43]
 DEMEClを3.00g、DMFをDMAc(和光純薬工業(株)製)1.4 4g(DEMECl/DMAc=1/1(モル比)、(含有比率50%))に代え 以外は実施例23と同様にしてポリマー処理 を調製した。微結晶セルロース0.05g(1質量%) たは0.23g(5質量%)に代えた以外は実施例24と同 様にしてセルロースの溶解速度を観察した。

[実施例44]
 DEMEClを3.00g、DMFをアセトニトリル(関東化学( 株)製)1.50g(DEMECl/アセトニトリル=1/2.2(モル比) (含有比率69%))に代えた以外は実施例23と同 にしてポリマー処理剤を調製した。微結晶 ルロース0.05g(1質量%)または0.24g(5質量%)に代 た以外は実施例24と同様にしてセルロースの 溶解速度を観察した。

[実施例45]
 DEMEClを3.00g、アセトニトリルを0.68g(DEMECl/ア トニトリル=1/1(モル比)、(含有比率50%))に代 た以外は実施例44と同様にしてポリマー処 剤を調製した。微結晶セルロース0.04g(1質量% )または0.19g(5質量%)に代えた以外は実施例44と 同様にしてセルロースの溶解速度を観察した 。

[実施例46]
 DEMEClを合成例3で得られたDEMPCl3.00g、DMFをDMSO 1.50g(DEMPCl/DMSO=1/1.3(モル比)、(含有比率57%))に えた以外は実施例23と同様にしてポリマー処 理剤を調製した。微結晶セルロース0.05g(1質 %)または0.24g(5質量%)に代えた以外は実施例24 同様にしてセルロースの溶解速度を観察し 。

[実施例47]
 DEMEClを合成例2で得られたDEMEI3.00g、DMFをDMSO1 .50g(DEMEI/DMSO=1/1.8(モル比)、(含有比率64%))に代 た以外は実施例23と同様にしてポリマー処 剤を調製した。

[実施例48]
 DEMEClを合成例2で得られたDEMESCN3.00g、DMFをDMS O1.50g(DEMESCN/DMSO=1/1.3(モル比)、(含有比率57%))に 代えた以外は実施例23と同様にしてポリマー 理剤を調製した。

[比較例2]
 DEMEClをテトラブチルアンモニウムクロライ (TBACl)(和光純薬工業(株)製)3.00g、DMFをDMSO0.84g (TBACl/DMSO=1/1(モル比)、(含有比率50%))に代えた 外は実施例23と同様にしてポリマー処理剤 調製した。微結晶セルロース0.04g(1質量%)ま は0.20g(5質量%)に代えた以外は実施例24と同様 にしてセルロースの溶解速度を観察した。

[比較例3]
 TBAClを3.00g、DMSOを1.50g(TBACl/DMSO=1/1.8(モル比) (含有比率64%))に代えた以外は比較例2と同様 してポリマー処理剤を調製した。微結晶セ ロース0.05g(1質量%)または0.24g(5質量%)に代え 以外は比較例2と同様にしてセルロースの溶 解速度を観察した。

[比較例4]
 DEMEClをトリエチルメチルアンモニウムクロ イド(TEMACl)(和光純薬工業(株)製)3.00g、DMFをDM SO1.55g(TEMACl/DMSO=1/1(モル比)、(含有比率50%))に えた以外は実施例23と同様にしてポリマー処 理剤を調製した。微結晶セルロース0.05g(1質 %)または0.24g(5質量%)に代えた以外は実施例24 同様にしてセルロースの溶解速度を観察し 。

[比較例5]
 DEMEClをテトラエチルアンモニウムクロライ (TEACl)(和光純薬工業(株)製)3.00g、DMFをDMSO1.50g (TEACl/DMSO=1/1.1(モル比)、(含有比率52%))に代え 以外は実施例23と同様にしてポリマー処理剤 を調製した。微結晶セルロース0.05g(1質量%)ま たは0.24g(5質量%)に代えた以外は実施例24と同 にしてセルロースの溶解速度を観察した。

 上記実施例23~48、および比較例2~5で調製し ポリマー処理剤の室温(20~25℃)および30℃に ける性状を表5に、セルロースの溶解速度の 察結果を表6に示す。
 なお、表6において、ポリマー処理剤にセル ロースが溶解した場合は「溶解」とし、セル ロースが完全に溶解するまでにかかった時間 を記載した。また、30時間を経過した時点で セルロースがわずかに残っているものにつ ては「一部不溶」、ほとんど溶解していな ものは「不溶」とした。また、ポリマー処 剤の性状が固体であった場合、あるいはイ ン液体と非プロトン溶媒が完全に相溶して ない場合は、セルロースの溶解速度の観察 実施せず、表中「-」で示した。

 表6に示されるように、本発明のポリマー 処理剤の組成に関わらず、イオン液体/非プ トン溶媒のモル比が1/1(含有比率50%)、または それに近い配合である場合にセルロース溶解 速度が最も優れていることが分かる。また、 セルロース溶解温度が高い程、セルロース溶 解速度が優れるが、セルロースの分子量低下 を抑えるという観点を考慮すると、本発明の ポリマー処理方法としては60℃以下での処理 適していることが分かる。

[6]ブレンドポリマーの作製
[実施例49]Lポリ乳酸/セルロース(1/5:質量比)ブ レンドポリマー
 モル比1/1(含有比率50%)のDEMECl/NMP混合溶媒0.76 gに、短繊維状セルロース(ARBOCEL B400,J.RETTENMAI ER&SO EHNE社製)0.10gを添加して60℃で溶解し これにさらにNMP25mlを加えてセルロース含有 溶液を調製した。
 一方、Lポリ乳酸(三井化学(株)製)0.02gをNMP20m lに160℃で溶解してポリ乳酸含有溶液を調製 た。
 これら各溶液を室温まで徐冷した後、室温 撹拌しながら混合し、ドープを調製した。 のドープをろ過後、メタノール300mlを加え 生じた沈殿をメンブレンフィルターにてろ して集め、40℃で乾燥してブレンドポリマー 0.10gを得た。
 得られたブレンドポリマーを、SEM(S-4800、( )日立製作所製)にて撮影した電子顕微鏡写真 を図2に示す。
 また、このブレンドポリマーをクロロホル に6時間浸漬した後の電子顕微鏡写真を図3 示す。

[実施例50]Lポリ乳酸/セルロース(1/1:質量比)ブ レンドポリマー
 短繊維状セルロースを0.05g、Lポリ乳酸を0.05 g用いた以外は、実施例49と同様にしてブレン ドポリマーを得た。

[実施例51]Lポリ乳酸/セルロース(5/1:質量比)ブ レンドポリマー
 短繊維状セルロースを0.02g、Lポリ乳酸を0.10 g用いた以外は、実施例49と同様にしてブレン ドポリマーを得た。

[実施例52]Lポリ乳酸/セルロース(10/1:質量比) レンドポリマー
 短繊維状セルロースを0.05g、Lポリ乳酸を0.5g 用いた以外は、実施例49と同様にしてブレン ポリマーを得た。得られたブレンドポリマ の電子顕微鏡写真を図4に示す。

[比較例6]NMP溶解、再生Lポリ乳酸
 Lポリ乳酸(三井化学(株)製)0.10gをNMP20mlに160 で溶解してポリ乳酸含有溶液を調製した。
 この溶液をろ過後、メタノール300mlを加え 生じた沈殿をメンブレンフィルターにてろ して集め、40℃で乾燥して再生Lポリ乳酸0.10g を得た。

[比較例7]DEMECl溶解、再生セルロース
 短繊維状セルロース0.10gをDEMECl2.00gに160℃で 溶解してセルロース含有溶液を調製した。
 この溶液にメタノール20mlを加えて生じた沈 殿をメンブレンフィルターにてろ過して集め 、40℃で乾燥して再生セルロース0.09gを得た

 上記実施例49~51で得られたブレンドポリマ について、TG/DTA分析(示差熱熱重量同時測定 置TG/DTA6200、セイコーインスツルメンツ(株) )により、熱分解点(10%質量減少温度)および 終質量減少率(600℃)を測定した。結果を表7 示す。
 なお、比較例6,7で得られたLポリ乳酸、短繊 維状セルロースについても同様の測定を行っ た。結果を併せて表7に示す。

 表7に示されるように、ブレンドポリマーの 熱分解点は、Lポリ乳酸および短繊維状セル ースのそれぞれが示す熱分解点の間に位置 、多量成分の熱特性を反映した結果を示し いることが分かる。
 また、図2~4に示されるように、得られたブ ンドポリマーは、セルロース中にポリ乳酸 均一にブレンドされていることがわかる。