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Title:
POLYMERIZABLE COMPOSITION, RESIN MOLDED ARTICLE, LAMINATED ARTICLE, AND DIELECTRIC DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047349
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are: a polymerizable composition comprising a cylcoolefin monomer, a polymerization catalyst, a crosslinking agent, an auxiliary crosslinking agent, an inorganic filler (1) having a positive temperature coefficient of dielectric constant, and an inorganic filler (2) having a negative temperature coefficient of dielectric constant; a crosslinkable resin molded article obtained by the bulk polymerization of the polymerizable composition; a crosslinked resin molded article obtained by the bulk polymerization and crosslinking of the polymerizable composition; a laminated article obtained by laminating at least the crosslinkable resin molded article or the crosslinked resin molded article; and a dielectric device obtained using the laminated article.

Inventors:
KOJIMA KIYOSHIGE (JP)
KIUCHI TAKASHI (JP)
SHIGA NAOMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/068135
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 21, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ZEON CORP (JP)
KOJIMA KIYOSHIGE (JP)
KIUCHI TAKASHI (JP)
SHIGA NAOMI (JP)
International Classes:
C08L65/00; B32B27/00; C08G61/08; C08J5/00; C08K3/00; H01B3/00
Domestic Patent References:
WO1998058987A11998-12-30
Foreign References:
JP2008173979A2008-07-31
JP2000510639A2000-08-15
JP2008143956A2008-06-26
JPH08269229A1996-10-15
JPH09205320A1997-08-05
JPH07309625A1995-11-28
JP2008184565A2008-08-14
Attorney, Agent or Firm:
TOKOSHIE PATENT FIRM (JP)
It can exceed and is a patent business corporation. (JP)
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Claims:
 シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、架橋助剤、比誘電率の温度変化率が正の無機充填剤1、及び比誘電率の温度変化率が負の無機充填剤2を含有してなる重合性組成物。
 比誘電率の温度変化率が正の無機充填剤1の比誘電率が30以下である請求項1記載の重合性組成物。
 比誘電率の温度変化率が負の無機充填剤2の比誘電率が30以上である請求項1または2記載の重合性組成物。
 連鎖移動剤をさらに含むものである請求項1~3いずれか記載の重合性組成物。
 請求項1~4いずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる架橋性樹脂成形体。
 請求項1~4いずれかに記載の重合性組成物を塊状重合し、架橋してなる架橋樹脂成形体。
 少なくとも、請求項5に記載の架橋性樹脂成形体、又は請求項6に記載の架橋樹脂成形体を積層してなる積層体。
 比誘電率の温度変化率が絶対値で200ppm/℃以下である請求項7記載の積層体。
 請求項7または8に記載の積層体を用いてなる誘電体デバイス。
Description:
重合性組成物、樹脂成形体、積 体、及び誘電体デバイス

  本発明は、重合性組成物、樹脂成形体 積層体、及び誘電体デバイスに関する。さ に詳しくは、高比誘電率かつ低誘電正接で り、比誘電率の温度変化が小さく、しかも 熱性、及び冷熱衝撃試験での耐クラック性 優れた積層体の製造に有用な、重合性組成 、架橋性樹脂成形体及び架橋樹脂成形体、 れらを用いて得られる積層体、並びに、前 積層体を用いて得られる誘電体デバイスに する。

 高比誘電率と低誘電正接とを有する新材 は、エレクトロニクス産業において、高周 デバイスでの使用や、デバイスのさらなる 型化に必要とされている。かかる新材料を 薄膜、シート、プラーク及び他の成形形状 できれば、これらは、マイクロ波の周波数 の使用に対応した回路基板、高エネルギー 度キャパシタ、誘電体フィルタ、誘電体ア テナ、埋設デバイス及びマルチチップモジ ール等の誘電体デバイスとして使用できる め、特に有用である。これらには、例えば 無線通信技術において様々な用途がある。 くのセラミック材料は、望ましい高比誘電 と低誘電正接とを有するが、加工性に乏し ために容易に薄膜にはできない。また、フ ルムやその他の成形品に成形したセラミッ 材料は一般に脆いという問題がある。

 そこで、近年提案されている一つの試み 、高比誘電率を有するセラミックフィラー ポリマーマトリックスとを含む高分子複合 料(コンポジット)を使用することであるが 誘電体デバイスとして機能させるためには 比誘電率の温度変化率(TCK)の低減が課題とな る。

 例えば、特許文献1には、(1)ポリマーマト リックスと;(2)(a)K’<30、TCK’>0ppm/℃であ 少なくとも1種の第1のセラミック材料と、(b )K’>30、TCK’<-300ppm/℃である少なくとも1 種の第2のセラミック材料との混合物を含む 状セラミック充填剤であって、K’≧5、(TCK の絶対値)≦200ppm/℃となるように(a)と(b)を効 果的な比率で配合した粒状セラミック充填剤 とを含有する電気基板複合材料が開示されて いる。特許文献1には、ポリマーマトリック として、フルオロポリマー、ポリブタジエ を含む熱硬化性樹脂、ポリエチレン等のポ オレフィンなどが例示され、第1のセラミッ 材料としては、アルミナ、シリカ、酸化マ ネシウム、及びチタン酸マグネシウムが例 され、第2のセラミック材料としては、チタ ニア、チタン酸カルシウム、及びチタン酸ス トロンチウムが例示されている。

 特許文献2には、温度によって殆ど変化し ない高い誘電率を有するポリマー組成物であ って、熱可塑性ポリマー、1GHz及び20℃におい て少なくとも約50の誘電率を有する高誘電性 ラミック、及び、1GHz及び20℃において少な とも約5の誘電率を有する第二のセラミック 材料の、いずれか一方の誘電率が温度の上昇 によって増加し、他方の誘電率が、温度の上 昇によって減少し、該高誘電性セラミック及 び該第二のセラミック材料は、ポリマー組成 物中に、該ポリマー組成物の誘電率が1GHzに いて少なくとも4であるのに十分な量で含ま ていることを特徴とする組成物が開示され いる。高誘電性セラミックとしては、スト ンチウムチタネート、バリウムネオジウム タネート、バリウムストロンチウムチタネ ト/マグネシウムジルコネート、二酸化チタ ン、バリウムチタネート、カルシウムチタネ ート、バリウムマグネシウムチタネート、鉛 ジルコニウムチタネート及びこれらの混合物 、第二のセラミック材料としては、アルミナ 、マイカ、マグネシウムチタネート及びこれ らの混合物が例示され、熱可塑性ポリマーと しては、ポリ(フェニレンスルフィド)やエチ ンとノルボルネンを重合したシクロオレフ ン性コポリマーなどが例示されている。

米国特許第5552210号明細書

国際公開第97/042639号

 しかしながら、特許文献1や2の高分子複合 料は、高比誘電率、低誘電正接及び比誘電 の温度変化が小さい等の誘電特性を有する 、流動性に劣り、高分子材料に多量の高誘 フィラーを均一に分散するのが難しく、ガ スクロス等の繊維状強化材に含浸させた状 で用いることが出来ない、また、該複合材 から得られる成形品は、耐熱性及び冷熱衝 試験での耐クラック性等の信頼性に劣るな の問題があることが、本発明者らの検討に り明らかとなった。
 本発明の目的は、高比誘電率かつ低誘電正 であり、比誘電率の温度変化が小さく、し も耐熱性、及び冷熱衝撃試験での耐クラッ 性に優れた積層体の製造に有用な、重合性 成物、架橋性樹脂成形体及び架橋樹脂成形 、それらを用いて得られる積層体、並びに 前記積層体を用いて得られる誘電体デバイ を提供することにある。

 本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討 結果、シクロオレフィンモノマー、重合触 、架橋剤、架橋助剤及び充填剤を含む重合 組成物において、充填剤として、比誘電率 温度変化率が正の無機充填剤と比誘電率の 度変化率が負の無機充填剤とを配合すると 該組成物によれば、加熱溶融時の樹脂流動 に優れたプリプレグを製造でき、さらに誘 特性、耐熱性及び冷熱衝撃試験での耐クラ ク性のいずれの特性にも優れた積層体が得 れることを見出した。本発明者らは、かか 知見に基づいて本発明を完成するに至った

 すなわち、本発明によれば、
〔1〕シクロオレフィンモノマー、重合触媒 架橋剤、架橋助剤、比誘電率の温度変化率 正の無機充填剤1、及び比誘電率の温度変化 が負の無機充填剤2を含有してなる重合性組 成物、
〔2〕比誘電率の温度変化率が正の無機充填 1の比誘電率が30以下である前記〔1〕記載の 合性組成物、
〔3〕比誘電率の温度変化率が負の無機充填 2の比誘電率が30以上である前記〔1〕または 2〕記載の重合性組成物、
〔4〕連鎖移動剤をさらに含むものである前 〔1〕~〔3〕いずれか記載の重合性組成物、
〔5〕前記〔1〕~〔4〕いずれかに記載の重合 組成物を塊状重合してなる架橋性樹脂成形 、
〔6〕前記〔1〕~〔4〕いずれかに記載の重合 組成物を塊状重合し、架橋してなる架橋樹 成形体、
〔7〕少なくとも、前記〔5〕に記載の架橋性 脂成形体、又は前記〔6〕に記載の架橋樹脂 成形体を積層してなる積層体、
〔8〕比誘電率の温度変化率が絶対値で200ppm/ 以下である前記〔7〕記載の積層体、並びに
〔9〕前記〔7〕または〔8〕に記載の積層体を 用いてなる誘電体デバイス、
が提供される。

 本発明によれば、高比誘電率かつ低誘電 接であり、比誘電率の温度変化が小さく、 かも耐熱性、及び冷熱衝撃試験での耐クラ ク性に優れた積層体の製造に有用な、重合 組成物、架橋性樹脂成形体及び架橋樹脂成 体、それらを用いて得られる積層体、並び 、前記積層体を用いて得られる誘電体デバ スが提供される。本発明の積層体は、前記 通りの特性を有することから、マイクロ波 周波数での使用に対応した回路基板、高エ ルギー密度キャパシタ、誘電体フィルタ、 電体アンテナ、埋設デバイス及びマルチチ プモジュール等の誘電体デバイスに好適に 用することができる。

実施例に係る無線通信機器の送信部Tx ジュールを示すブロック図である。 図1の送信部Txモジュールに含まれるパ ーアンプ部PAの回路図である。 実施例に係るPA積層モジュールの完成 態における斜視図である。 図3のPA積層モジュールの完成状態にお る内部の接続構造を概略的に示す断面図で る。 各種材料で作製したマイクロストリッ ラインの伝送損失の測定結果である。 バンドパスフィルタの回路の一例であ 。 インダクタ素子(L)及びコンデンサ素子( C)を、本発明の積層体の内部に配置して作製 たバンドパスフィルタの一例の斜視図であ 。 各種材料で作製した1.8GHz帯バンドパス ィルタの通過帯域における伝送損失の測定 果である。 λ/4共振器によるバンドパスフィルタの 一構成例である。 λ/2共振器によるバンドパスフィルタ 一構成例である。

 本発明の重合性組成物は、シクロオレフ ンモノマー、重合触媒、架橋剤、架橋助剤 比誘電率の温度変化率が正の無機充填剤1、 及び比誘電率の温度変化率が負の無機充填剤 2を含有してなる。

(シクロオレフィンモノマー)
 本発明に使用されるシクロオレフィンモノ ーは、炭素原子で形成される脂環構造を有 、かつ該脂環構造中に重合性の炭素-炭素二 重結合を1つ有する化合物である。本明細書 おいて「重合性の炭素-炭素二重結合」とは 連鎖重合(開環重合)可能な炭素-炭素二重結 をいう。開環重合には、イオン重合、ラジ ル重合、及びメタセシス重合など種々の形 のものが存在するが、本発明においては、 常、メタセシス開環重合をいう。

 シクロオレフィンモノマーの脂環構造とし は、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及び れらの組み合わせ多環などが挙げられる。 脂環構造を構成する炭素数に特に限定はな が、通常、4~30個、好ましくは5~20個、より ましくは5~15個である。
 シクロオレフィンモノマーは、アルキル基 アルケニル基、アルキリデン基、及びアリ ル基などの、炭素数1~30の炭化水素基や、カ ルボキシル基又は酸無水物基などの極性基を 置換基として有していてもよいが、得られる 積層体を低誘電正接とする観点から、極性基 を持たない、すなわち、炭素原子と水素原子 のみで構成されるものが好ましい。

 シクロオレフィンモノマーとしては、単 のシクロオレフィンモノマーと多環のシク オレフィンモノマーのいずれをも用いるこ ができる。得られる積層体の誘電特性、及 耐熱性の特性を高度にバランスさせる観点 ら、多環のシクロオレフィンモノマーが好 しい。多環のシクロオレフィンモノマーと ては、特にノルボルネン系モノマーが好ま い。「ノルボルネン系モノマー」とは、ノ ボルネン環構造を分子内に有するシクロオ フィンモノマーをいう。例えば、ノルボル ン類、ジシクロペンタジエン類、及びテト シクロドデセン類などが挙げられる。

 シクロオレフィンモノマーとしては、架橋 の炭素-炭素不飽和結合を持たないものと、 架橋性の炭素-炭素不飽和結合を1以上有する ののいずれをも用いることができる。本明 書において「架橋性の炭素-炭素不飽和結合 」とは、開環重合には関与せず、架橋反応に 関与可能な炭素-炭素不飽和結合をいう。架 反応とは橋架け構造を形成する反応であり 縮合反応、付加反応、ラジカル反応、及び タセシス反応など種々の形態のものが存在 るが、本発明においては、通常、ラジカル 橋反応又はメタセシス架橋反応、特にラジ ル架橋反応をいう。架橋性の炭素-炭素不飽 結合としては、芳香族炭素-炭素不飽和結合 を除く炭素-炭素不飽和結合、すなわち、脂 族炭素-炭素二重結合又は三重結合が挙げら 、本発明においては、通常、脂肪族炭素-炭 素二重結合をいう。架橋性の炭素-炭素不飽 結合を1以上有するシクロオレフィンモノマ 中、不飽和結合の位置は特に限定されるも ではなく、炭素原子で形成される脂環構造 の他、該脂環構造以外の任意の位置、例え 、側鎖の末端や内部に存在していてもよい 例えば、前記脂肪族炭素-炭素二重結合は、 ビニル基(CH 2 =CH-)、ビニリデン基(CH 2 =C<)、又はビニレン基(-CH=CH-)として存在し 、良好にラジカル架橋性を発揮することか 、ビニル基及び/又はビニリデン基として存 するのが好ましく、ビニリデン基として存 するのがより好ましい。

 架橋性の炭素-炭素不飽和結合を持たない シクロオレフィンモノマーとしては、例えば 、シクロペンテン、3-メチルシクロペンテン 4-メチルシクロペンテン、3,4-ジメチルシク ペンテン、3,5-ジメチルシクロペンテン、3- ロロシクロペンテン、シクロへキセン、3- チルシクロへキセン、4-メチルシクロヘキセ ン、3,4-ジメチルシクロヘキセン、3-クロロシ クロヘキセン、及びシクロへプテンなどの単 環シクロオレフィンモノマー;ノルボルネン 5-メチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボ ネン、5-プロピル-2-ノルボルネン、5,6-ジメ ル-2-ノルボルネン、1-メチル-2-ノルボルネ 、7-メチル-2-ノルボルネン、5,5,6-トリメチル -2-ノルボルネン、5-フェニル-2-ノルボルネン テトラシクロドデセン、1,4,5,8-ジメタノ-1,2, 3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン(TCD)、2-メ チル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒ ロナフタレン、2-エチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3 ,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、2,3-ジメ ル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒド ロナフタレン、2-ヘキシル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2 ,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、2-エチ デン-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒ ドロナフタレン、2-フルオロ-1,4,5,8-ジメタノ- 1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、1,5- メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタ ドロナフタレン、2-シクロへキシル-1,4,5,8- メタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレ 、2,3-ジクロロ-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a -オクタヒドロナフタレン、2-イソブチル-1,4,5 ,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフ レン、1,2-ジヒドロジシクロペンタジエン、5 -クロロ-2-ノルボルネン、5,5-ジクロロ-2-ノル ルネン、5-フルオロ-2-ノルボルネン、5,5,6- リフルオロ-6-トリフルオロメチル-2-ノルボ ネン、5-クロロメチル-2-ノルボルネン、5-メ キシ-2-ノルボルネン、5,6-ジカルボキシル-2- ノルボルネンアンハイドレート、5-ジメチル ミノ-2-ノルボルネン、及び5-シアノ-2-ノル ルネンなどのノルボルネン系モノマー;を挙 ることができ、好ましくは架橋性の炭素-炭 素不飽和結合を持たないノルボルネン系モノ マーである。

 架橋性の炭素-炭素不飽和結合を1以上有す シクロオレフィンモノマーとしては、例え 、3-ビニルシクロヘキセン、4-ビニルシクロ キセン、1,3-シクロペンタジエン、1,3-シク へキサジエン、1,4-シクロへキサジエン、5- チル-1,3-シクロへキサジエン、1,3-シクロへ タジエン、及び1,3-シクロオクタジエンなど 単環シクロオレフィンモノマー;5-エチリデ -2-ノルボルネン、5-メチリデン-2-ノルボル ン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5- ニル-2-ノルボルネン、5-アリル-2-ノルボル ン、5,6-ジエチリデン-2-ノルボルネン、ジシ ロペンタジエン、及び2,5-ノルボルナジエン などのノルボルネン系モノマー;を挙げるこ ができ、好ましくは架橋性の炭素-炭素不飽 結合を1以上有するノルボルネン系モノマー である。
 これらのシクロオレフィンモノマーは、そ ぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせ て用いることができる。

 本発明に使用されるシクロオレフィンモノ ーとしては、架橋性の炭素-炭素不飽和結合 を1以上有するシクロオレフィンモノマーを むものが好ましい。かかるシクロオレフィ モノマーを用いると、得られる積層体にお て耐熱性や耐クラック性等の信頼性が向上 、好適である。
 本発明の重合性組成物に配合するシクロオ フィンモノマー中、架橋性の炭素-炭素不飽 和結合を1以上有するシクロオレフィンモノ ーと架橋性の炭素-炭素不飽和結合を持たな シクロオレフィンモノマーとの配合割合は 望により適宜選択されるが、重量比(架橋性 の炭素-炭素不飽和結合を1以上有するシクロ レフィンモノマー/架橋性の炭素-炭素不飽 結合を持たないシクロオレフィンモノマー) 、通常、5/95~100/0、好ましくは10/90~90/10、よ 好ましくは15/85~70/30の範囲である。当該配 割合がかかる範囲にあれば、得られる積層 において、耐熱性、及び冷熱衝撃試験での クラック性等の特性を高度に向上させるこ ができ、好適である。

 なお、本発明の重合性組成物には、本発 の効果の発現が阻害されない限り、以上の クロオレフィンモノマーと共重合可能な任 のモノマーが含まれていてもよい。

(重合触媒)
 本発明に使用される重合触媒としては、前 シクロオレフィンモノマーを重合できるも であれば特に限定はないが、本発明の重合 組成物は、後述の架橋性樹脂成形体の製造 おいて、直接塊状重合に供して用いるのが 適であり、通常、メタセシス重合触媒を用 るのが好ましい。

 メタセシス重合触媒としては、前記シク オレフィンモノマーをメタセシス開環重合 能である、通常、遷移金属原子を中心原子 して、複数のイオン、原子、多原子イオン 及び化合物などが結合してなる錯体が挙げ れる。遷移金属原子としては、5族、6族及 8族(長周期型周期表による。以下、同じ。) 原子が使用される。それぞれの族の原子は に限定されないが、5族の原子としては、例 ば、タンタルが挙げられ、6族の原子として は、例えば、モリブデンやタングステンが挙 げられ、8族の原子としては、例えば、ルテ ウムやオスミウムが挙げられる。遷移金属 子としては、中でも、8族のルテニウムやオ ミウムが好ましい。すなわち、本発明に使 されるメタセシス重合触媒としては、ルテ ウム又はオスミウムを中心原子とする錯体 好ましく、ルテニウムを中心原子とする錯 がより好ましい。ルテニウムを中心原子と る錯体としては、カルベン化合物がルテニ ムに配位してなるルテニウムカルベン錯体 好ましい。ここで、「カルベン化合物」と 、メチレン遊離基を有する化合物の総称で り、(>C:)で表されるような電荷のない2価 炭素原子(カルベン炭素)を持つ化合物をい 。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時 触媒活性に優れるため、本発明の重合性組 物を塊状重合に供して架橋性樹脂成形体を る場合、得られる成形体には未反応のモノ ーに由来する臭気が少なく、生産性良く良 な成形体が得られる。また、酸素や空気中 水分に対して比較的安定であって、失活し くいので、大気下でも使用可能である。

 ルテニウムカルベン錯体の具体例として 、以下の式(1)又は式(2)で表される錯体が挙 られる。

 式(1)及び(2)において、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原 子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子 、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含 んでもよい、環状又は鎖状の、炭素数1~20の 化水素基を表す。X 1 及びX 2 は、それぞれ独立して任意のアニオン性配位 子を示す。L 1 及びL 2 はそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベ ン化合物又はヘテロ原子含有カルベン化合物 以外の中性電子供与性化合物を表す。また、 R 1 とR 2 は互いに結合して、ヘテロ原子を含んでいて もよい脂肪族環又は芳香族環を形成してもよ い。さらに、R 1 、R 2 、X 1 、X 2 、L 1 及びL 2 は、任意の組合せで互いに結合して多座キレ ート化配位子を形成してもよい。

 ヘテロ原子とは、周期律表15族及び16族の 原子を意味し、具体的には、窒素原子(N)、酸 素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S)、砒素原 子(As)、セレン原子(Se)などを挙げることがで る。これらの中でも、安定なカルベン化合 が得られる観点から、N、O、P、及びSなどが 好ましく、Nが特に好ましい。

 前記ルテニウムカルベン錯体としては、 られる架橋樹脂成形体及び積層体の機械的 度と耐衝撃性とが高度にバランスされ得る とから、ヘテロ原子含有カルベン化合物と てヘテロ環構造を有するカルベン化合物を 位子として少なくとも1つ有するものが好ま しい。ヘテロ環構造としては、イミダゾリン 環構造又はイミダゾリジン環構造が好ましい 。

 ヘテロ環構造を有するカルベン化合物と ては、以下の式(3)又は式(4)で示される化合 が挙げられる。

式(3)又は式(4)において、R 3 ~R 6 は、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原 ;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、 黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含ん もよい、環状又は鎖状の、炭素数1~20個の炭 化水素基を表す。また、R 3 ~R 6 は任意の組合せで互いに結合して環を形成し ていてもよい。

 前記式(3)又は式(4)で表される化合物とし は、1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデ ン、1,3-ジ(1-アダマンチル)イミダゾリジン-2- リデン、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリジ ン-2-イリデン、1,3-ジメシチルオクタヒドロ ンズイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジイソプ ピル-4-イミダゾリン-2-イリデン、1,3-ジ(1-フ ェニルエチル)-4-イミダゾリン-2-イリデン、1, 3-ジメシチル-2,3-ジヒドロベンズイミダゾー -2-イリデンなどが挙げられる。

 また、前記式(3)又は式(4)で示される化合 のほかに、1,3,4-トリフェニル-2,3,4,5-テトラ ドロ-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イリデン、1,3- シクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン-2- リデン、N,N,N’,N’-テトライソプロピルホル ムアミジニリデン、1,3,4-トリフェニル-4,5-ジ ドロ-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イリデン、3-(2,6 -ジイソプロピルフェニル)-2,3-ジヒドロチア ール-2-イリデンなどのヘテロ原子含有カル ン化合物も用い得る。

 前記式(1)及び式(2)において、アニオン(陰イ オン)性配位子X 1 、X 2 は、中心金属原子から引き離されたときに負 の電荷を持つ配位子である。例えば、弗素原 子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、及び沃素 子(I)などのハロゲン原子、ジケトネート基 置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ 、アリールオキシ基、及びカルボキシル基 どを挙げることができる。これらの中でも ロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好 しい。

 また、中性の電子供与性化合物は、中心 属から引き離されたときに中性の電荷を持 配位子であればいかなるものでもよい。そ 具体例としては、カルボニル類、アミン類 ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エ テル類、ホスフィン類、チオエーテル類、 香族化合物、オレフィン類、イソシアニド 、チオシアネート類などが挙げられる。こ らの中でも、ホスフィン類、エーテル類及 ピリジン類が好ましく、トリアルキルホス ィンがより好ましい。

 前記式(1)で表される錯体化合物としては ベンジリデン(1,3-ジメシチル-4-イミダゾリ ン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィ ン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3- ジメシチル-4,5-ジブロモ-4-イミダゾリン-2-イ デン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテ ウムジクロリド、(1,3-ジメシチル-4-イミダ リン-2-イリデン)(3-フェニル-1H-インデン-1-イ リデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテ ニウムジクロリド、(1,3-ジメシチルイミダゾ ジン-2-イリデン)(3-メチル-2-ブテン-1-イリデ ン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウ ムジクロリド、ベンジリデン(1,3-ジメシチル- オクタヒドロベンズイミダゾール-2-イリデン )(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム ジクロリド、ベンジリデン[1,3-ジ(1-フェニル チル)-4-イミダゾリン-2-イリデン](トリシク ヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド 、ベンジリデン(1,3-ジメシチル-2,3-ジヒドロ ンズイミダゾール-2-イリデン)(トリシクロヘ キシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、 ンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン) (1,3,4-トリフェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,2, 4-トリアゾール-5-イリデン)ルテニウムジクロ リド、(1,3-ジイソプロピルヘキサヒドロピリ ジン-2-イリデン)(エトキシメチレン)(トリシ クロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロ ド、ベンジリデン(1,3-ジメシチルイミダゾリ ジン-2-イリデン)ピリジンルテニウムジクロ ド、(1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデ ン)(2-フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシ ルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3-ジ メシチル-4-イミダゾリン-2-イリデン)(2-フェ ルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィ ン)ルテニウムジクロリド、(1,3-ジメシチル-4, 5-ジブロモ-4-イミダゾリン-2-イリデン)[(フェ ルチオ)メチレン](トリシクロヘキシルホス ィン)ルテニウムジクロリド、(1,3-ジメシチ -4,5-ジブロモ-4-イミダゾリン-2-イリデン)(2- ロリドン-1-イルメチレン)(トリシクロヘキ ルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの ヘテロ原子含有カルベン化合物及び中性の 子供与性化合物が各々1つ結合したルテニウ ム錯体化合物;

 ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホ スフィン)ルテニウムジクロリド、(3-メチル-2 -ブテン-1-イリデン)ビス(トリシクロペンチル ホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、2 の中性電子供与性化合物が結合したルテニ ム化合物;

 ベンジリデンビス(1,3-ジシクロヘキシル ミダゾリジン-2-イリデン)ルテニウムジクロ ド、ベンジリデンビス(1,3-ジイソプロピル-4 -イミダゾリン-2-イリデン)ルテニウムジクロ ドなどの、2つのヘテロ原子含有カルベン化 合物が結合したルテニウム錯体化合物;など 挙げられる。

 前記式(2)で表される錯体化合物としては (1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)( フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホ フィン)ルテニウムジクロリド、(t-ブチルビ ニリデン)(1,3-ジイソプロピル-4-イミダゾリン -2-イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン) ルテニウムジクロリド、ビス(1,3-ジシクロヘ シル-4-イミダゾリン-2-イリデン)フェニルビ ニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げら れる。

 これらの錯体化合物の中でも、前記式(1) 表され、かつ配位子として前記式(4)で表さ る化合物を1つ有するものが最も好ましい。

 これらのルテニウムカルベン錯体は、Org.  Lett., 1999年, 第1巻, 953頁や、Tetrahedron. Lett ., 1999年, 第40巻, 2247頁などに記載された方 によって製造することができる。

 前記メタセシス重合触媒は、それぞれ単 で、あるいは2種以上を組み合わせて用いら れる。メタセシス重合触媒の使用量は、モル 比(メタセシス重合触媒中の金属原子:シクロ レフィンモノマー)で、通常、1:2,000~1:2,000,00 0、好ましくは1:5,000~1:1,000,000、より好ましく 1:10,000~1:500,000の範囲である。

 メタセシス重合触媒は所望により、少量 不活性溶媒に溶解又は懸濁して使用するこ ができる。かかる溶媒としては、n-ペンタ 、n-ヘキサン、n-ヘプタン、流動パラフィン 及びミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族 化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、 メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキ サン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシ クロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デ カヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、ト リシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、及 びシクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベ ゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香 炭化水素;インデンやテトラヒドロナフタレ などの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニ トロメタン、ニトロベンゼン、及びアセトニ トリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエー ルやテトラヒドロフランなどの含酸素炭化 素;などが挙げられる。これらの中では、鎖 脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族 化水素、及び脂環と芳香環とを有する炭化 素の使用が好ましい。

(架橋剤)
 本発明で使用される架橋剤は、本発明の重 性組成物を重合反応に供して得られる重合 (シクロオレフィンポリマー)において架橋 応を誘起する目的で使用される。従って、 重合体は、後架橋可能な熱可塑性樹脂とな 。ここで「後架橋可能な」とは、該樹脂を 熱することにより架橋反応を進行させて架 樹脂になし得ることを意味する。前記重合 をマトリックス樹脂とする本発明の架橋性 脂成形体は、加熱により溶融し、高粘度で るため、その形状は保持する一方、任意の 材を接触させた場合、その表面では、該部 の形状に対し追従性を発揮し、最終的に架 して硬化する。本発明の架橋性樹脂成形体 かかる特性は、本発明の架橋性樹脂成形体 積層し、加熱して溶融、架橋して得られる 層体において層間密着性の向上に寄与する のと考えられる。

 本発明において架橋剤としては、特に限定 れないが、通常、ラジカル発生剤が好適に いられる。ラジカル発生剤としては、例え 、有機過酸化物、ジアゾ化合物、及び非極 ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましく 有機過酸化物、及び非極性ラジカル発生剤 ある。
 有機過酸化物としては、例えば、t-ブチル ドロペルオキシド、p-メンタンヒドロペルオ キシド、及びクメンヒドロペルオキシドなど のヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキ ド、t-ブチルクミルペルオキシド、α,α’-ビ ス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベン ン、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル- 2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、及び2 ,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサ ンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロ オニルペルオキシドやベンゾイルペルオキ ドなどのジアシルペルオキシド類;2,2-ジ(t-ブ チルペルオキシ)ブタン、1,1-ジ(t-ヘキシルペ オキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルペ オキシ)-2-メチルシクロヘキサン、及び1,1-ジ (t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどの ルオキシケタール類;t-ブチルペルオキシア テートやt-ブチルペルオキシベンゾエートな どのペルオキシエステル類;t-ブチルペルオキ シイソプロピルカルボナートやジ(イソプロ ルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオ シカルボナート類;t-ブチルトリメチルシリ ペルオキシドなどのアルキルシリルペルオ シド類;3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキ パン、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7 -トリパーオキソナン、及び3,6-ジエチル-3,6- メチル-1,2,4,5-テトロキサンなどの環状パー キサイド類;が挙げられる。中でも、重合反 に対する障害が少ない点で、ジアルキルペ オキシド類、ペルオキシケタール類、及び 状パーオキサイド類が好ましい。

 ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’-ビ スアジドベンザル(4-メチル)シクロヘキサノ や2,6-ビス(4’-アジドベンザル)シクロヘキサ ノンなどが挙げられる。

 非極性ラジカル発生剤としては、2,3-ジメ チル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4- フェニルヘキサン、1,1,2-トリフェニルエタ 、及び1,1,1-トリフェニル-2-フェニルエタン どが挙げられる。

 ラジカル発生剤を架橋剤として使用する 合、1分間半減期温度は、硬化(本発明の重 性組成物を重合反応に供して得られる重合 の架橋)の条件により適宜選択されるが、通 、100~300℃、好ましくは150~250℃、より好ま くは160~230℃の範囲である。ここで1分間半減 期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で 解する温度である。ラジカル発生剤の1分間 減期温度は、例えば、各ラジカル発生剤メ カー(例えば、日本油脂株式会社)のカタロ やホームページを参照すればよい。

 前記ラジカル発生剤は、それぞれ単独で 又は2種以上を組み合わせて用いることがで きる。本発明の重合性組成物へのラジカル発 生剤の配合量としては、シクロオレフィンモ ノマー100重量部に対して、通常、0.01~10重量 、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0. 5~5重量部の範囲である。

(架橋助剤)
 本発明に使用される架橋助剤は、得られる 層体の耐熱性や耐クラック性を向上する目 で使用される。架橋助剤としては、開環重 には関与せず、架橋剤により誘起される架 反応に関与可能な架橋性の炭素-炭素不飽和 結合を2以上有する多官能化合物が好ましい かかる架橋性の炭素-炭素不飽和結合は、架 助剤を構成する化合物中、例えば、分子末 に存在するビニリデン基として、特に、イ プロペニル基やメタクリル基として存在す のが好ましく、メタクリル基として存在す のがより好ましい。

 架橋助剤の具体例としては、p-ジイソプ ペニルベンゼン、m-ジイソプロペニルベンゼ ン、及びo-ジイソプロペニルベンゼンなどの イソプロペニル基を2つ有する多官能化合物 などの、イソプロペニル基を2以上有する多 能化合物;エチレンジメタクリレート、1,3-ブ チレンジメタクリレート、1,4-ブチレンジメ クリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタク レート、ポリエチレングリコールジメタク レート、ポリエチレングリコールジメタク レート、エチレングリコールジメタクリレ ト、トリエチレングリコールジメタクリレ ト、ジエチレングリコールジメタクリレー 、及び2,2’-ビス(4-メタクリロキシジエトキ シフェニル)プロパンなどの、メタクリル基 2つ有する多官能化合物や、トリメチロ-ルプ ロパントリメタクリレートやペンタエリトリ トールトリメタクリレートなどの、メタクリ ル基を3つ有する多官能化合物などの、メタ リル基を2以上有する多官能化合物;などを挙 げることができる。中でも、架橋助剤として は、得られる積層体の耐熱性や耐クラック性 を向上させる観点から、メタクリル基を2以 有する多官能化合物が好ましい。メタクリ 基を2以上有する多官能化合物の中では、特 、トリメチロ-ルプロパントリメタクリレー トやペンタエリトリトールトリメタクリレー トなどの、メタクリル基を3つ有する多官能 合物がより好適である。

 前記架橋助剤は、それぞれ単独で、ある は2種以上を組み合わせて用いることができ る。本発明の重合性組成物への架橋助剤の配 合量としては、シクロオレフィンモノマー100 重量部に対して、通常、0.1~100重量部、好ま くは0.5~50重量部、より好ましくは1~30重量部 ある。

(無機充填剤)
 本発明においては、比誘電率の温度変化率 正の無機充填剤1、及び比誘電率の温度変化 率が負の無機充填剤2が用いられる。本発明 重合性組成物に、かかる2種類の無機充填剤 配合することで、得られる積層体は、高比 電率かつ低誘電正接であり、比誘電率の温 変化が小さいという優れた誘電特性を発現 る。また、本発明の重合性組成物は、従来 プリプレグや積層体の製造に用いられてい 、エポキシ樹脂等を溶媒に溶かしてなる重 体ワニスと比べて低粘度であるため、容易 充填剤を高配合することができる。よって 得られる架橋性樹脂成形体、架橋樹脂成形 又は積層体中には、充填剤が、従来のプリ レグ又は積層体の限界含有量を超えて含ま 得る。従って、本発明の積層体の前記誘電 性は、従来の積層体と比べて、格別顕著に れたものとなる。

 本発明において、比誘電率の温度変化率と 、2GHzでの-30~+100℃の温度範囲における比誘 率の温度変化率をいう。本発明の所望の効 を高める観点から、比誘電率の温度変化率 正の無機充填剤1としては、1GHzにて20℃で測 定した時、その比誘電率が、通常、30以下の のが好適に用いられる。また、比誘電率の 度変化率が負の無機充填剤2としては、1GHz て20℃で測定した時、その比誘電率が、通常 、30以上のものが好適に用いられる。
 なお、無機充填剤の比誘電率は、ネットワ クアナライザーを用いて空洞共振器法によ 誘電率を測定し、該誘電率を比誘電率に変 して求めることができる。一方、無機充填 の比誘電率の温度変化率は、空洞共振器を ーブンに導入して-30~+100℃の温度範囲にて 電率を測定し、該誘電率を比誘電率に変換 、温度変化に対する比誘電率変化の割合と て求めることができる。上記温度範囲にお て、比誘電率の温度変化率が正の値となる 合を、比誘電率の温度変化率が正と、比誘 率の温度変化率が負の値となる場合を、比 電率の温度変化率が負と、それぞれいう。

 かかる無機充填剤としては、前記特許文 1(特開平8-269229号公報)に記載されるものを 別な限定なく用いることができる。比誘電 の温度変化率が正の無機充填剤1としては、 えば、アルミナ(比誘電率11)、シリカ(比誘 率3.8)、酸化マグネシウム(比誘電率12)、チタ ン酸マグネシウム(比誘電率18)、水酸化アル ニウム(比誘電率9)、及び水酸化マグネシウ (比誘電率11)などが挙げられる。これらの比 電率の温度変化率が正の無機充填剤1は、そ れぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて いることができる。かかる無機充填剤1は、 燃効果を発揮する場合、難燃剤としての機 を兼ねてもよい。本発明の重合性組成物へ 配合量は、所望により適宜選択すればよい 、シクロオレフィンモノマー100重量部に対 て、通常、10~300重量部、好ましくは20~200重 部、より好ましくは30~150重量部の範囲であ 。

 比誘電率の温度変化率が負の無機充填剤2 としては、例えば、チタニア(比誘電率90)、 タン酸カルシウム(比誘電率180)、及びチタン 酸ストロンチウム(比誘電率250)などが挙げら る。これらの比誘電率の温度変化率が負の 機充填剤2は、それぞれ単独で、又は2種以 を組み合わせて用いることができる。かか 無機充填剤2は、難燃効果を発揮する場合、 燃剤としての機能を兼ねてもよい。本発明 重合性組成物への配合量は、所望により適 選択すればよいが、シクロオレフィンモノ ー100重量部に対して、通常、10~300重量部、 ましくは20~200重量部、より好ましくは30~150 量部の範囲である。

 比誘電率の温度変化率が正の無機充填剤1 と比誘電率の温度変化率が負の無機充填剤2 好適な組合せとしては、本発明の所望の効 を向上させる観点から、前者としてチタン マグネシウム、水酸化アルミニウム及び水 化マグネシウムからなる群より選ばれる少 くとも1種と、後者としてチタン酸カルシウ 及び/又はチタン酸ストロンチウムとの組合 せが挙げられる。

 本発明の重合性組成物中での、比誘電率 温度変化率が正の無機充填剤1と比誘電率の 温度変化率が負の無機充填剤2との配合割合 、得られる積層体の比誘電率の温度変化が 低になるように適宜選択すればよいが、重 比(比誘電率の温度変化率が正の無機充填剤1 /比誘電率の温度変化率が負の無機充填剤2)で 、通常、5/95~95/5、好ましくは10/90~90/10、より ましくは20/80~80/20の範囲である。また、本 明の重合性組成物中、比誘電率の温度変化 が正の無機充填剤1と比誘電率の温度変化率 負の無機充填剤2との合計配合量は、所望に より適宜選択すればよいが、シクロオレフィ ンモノマー100重量部に対して、通常、20~600重 量部、好ましくは40~400重量部、より好ましく は60~300重量部の範囲である。本発明の重合性 組成物には、本発明に用いる無機充填剤以外 の充填剤を配合可能であるが、本発明の重合 性組成物に配合する全充填剤中、前記2種類 無機充填剤の合計配合量としては、通常、30 重量%以上が好適である。

(重合性組成物)
 本発明の重合性組成物には、上記する、シ ロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤 架橋助剤、及び前記2種類の無機充填剤を必 須成分として、所望により、非ハロゲン難燃 剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、連鎖移動 剤、反応性流動化剤、老化防止剤及びその他 の配合剤を添加することができる。

 本発明においては、架橋樹脂成形体や積層 が民生用途の場合は、重合性組成物に非ハ ゲン難燃剤を配合することが好ましい。非 ロゲン難燃剤とは、ハロゲン原子を含まな 難燃剤である。非ハロゲン難燃剤としては 工業的に用いられるものであれば格別な限 なく用いることができる。例えば、水酸化 ルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属 酸化物難燃剤;酸化マグネシウムや酸化アル ミニウム等の金属酸化物難燃剤;ジメチルホ フィン酸アルミニウムやジエチルホスフィ 酸アルミニウムなどのホスフィン酸塩;トリ ェニルホスフェート、トリクレジルホスフ ート、トリキシレニルホスフェート、クレ ルジフェニルホスフェート、レゾルシノー ビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェ ールAビス(ジフェニル)ホスフェート、及び スフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェー などの、ホスフィン酸塩以外の含燐難燃剤; ラミン誘導体類、グアニジン類、及びイソ アヌル類等の含窒素難燃剤;ポリ燐酸アンモ ニウム、燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、 ポリ燐酸メラム、燐酸グアニジン、及びフォ スファゼン類等の燐及び窒素の双方を含有す る難燃剤;などを挙げることができる。
 これらの非ハロゲン難燃剤は、それぞれ単 で、あるいは2種以上を組み合わせて用いる ことができる。非ハロゲン難燃剤の配合量は 、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択さ れるが、シクロオレフィンモノマー100重量部 に対して、通常、20~400重量部、好ましくは30~ 300部、より好ましくは50~250重量部の範囲であ る。

 重合調整剤は、重合活性を制御したり、 合反応率を向上させたりする目的で配合さ るものであり、例えば、トリアルコキシア ミニウム、トリフェノキシアルミニウム、 アルコキシアルキルアルミニウム、アルコ シジアルキルアルミニウム、トリアルキル ルミニウム、ジアルコキシアルミニウムク リド、アルコキシアルキルアルミニウムク リド、ジアルキルアルミニウムクロリド、 リアルコキシスカンジウム、テトラアルコ シチタン、テトラアルコキシスズ、テトラ ルコキシジルコニウムなどが挙げられる。 れらの重合調整剤は、それぞれ単独で、あ いは2種以上を組み合わせて用いることがで きる。重合調整剤の配合量は、例えば、モル 比(メタセシス重合触媒中の金属原子:重合調 剤)で、通常、1:0.05~1:100、好ましくは1:0.2~1:2 0、より好ましくは1:0.5~1:10の範囲である。

 重合反応遅延剤は、本発明の重合性組成 の粘度増加を抑制し得るものである。従っ 、重合反応遅延剤を配合してなる重合性組 物は、架橋性樹脂組成物として、例えば、 リプレグを作製する際、容易に繊維状強化 に均一に含浸させることができ、好ましい 重合反応遅延剤としては、トリフェニルホ フィン、トリブチルホスフィン、トリメチ ホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシ ロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニル スフィン、アリルジフェニルホスフィン、 リアリルホスフィン、スチリルジフェニル スフィンなどのホスフィン化合物;アニリン 、ピリジンなどのルイス塩基;等を用いるこ ができる。その配合量は、所望により適宜 整すればよい。

 本発明の重合性組成物に連鎖移動剤を配 することにより、該組成物を重合して得ら る架橋性樹脂成形体の表面では、加熱溶融 の追従性がより向上し得る。それゆえ、連 移動剤を配合してなる重合性組成物を用い 得られた架橋性樹脂成形体を積層し、加熱 て溶融、架橋して得られる積層体では、層 密着性が一層高まり、好ましい。かかる架 性樹脂成形体は、例えば、他の部材と積層 る際、溶融積層が可能であり、それを用い 得られた積層体においては、配線埋め込み 、機械的強度、耐熱性及び冷熱衝撃試験で 耐クラック性を高度にバランスさせること でき、好適である。本明細書において「他 部材」とは、本発明の架橋性樹脂成形体又 架橋樹脂成形体以外の部材をいう。なお、 線埋め込み性は、架橋性樹脂成形体として リプレグを得、それを、配線を有する回路 板上に重ねて加熱プレスして架橋し、得ら た積層体を配線方向に対し垂直な方向で切 し、当該切断面を目視により観察すること より評価することができる。配線が埋め込 れていない部分がないのが好ましい。

 連鎖移動剤は、架橋性の炭素-炭素不飽和結 合を1以上有していてもよい。連鎖移動剤の 体例としては、1-ヘキセン、2-ヘキセン、ス レン、ビニルシクロヘキサン、アリルアミ 、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジ エーテル、エチルビニルエーテル、メチル ニルケトン、2-(ジエチルアミノ)エチルアク リレート、及び4-ビニルアニリンなどの、架 性の炭素-炭素不飽和結合を持たない連鎖移 動剤;ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニ 、メタクリル酸アリル、メタクリル酸スチ ル、アクリル酸アリル、メタクリル酸ウン セニル、アクリル酸スチリル、及びエチレ グリコールジアクリレートなどの、架橋性 炭素-炭素不飽和結合を1つ有する連鎖移動剤 ;アリルトリビニルシランやアリルメチルジ ニルシランなどの、架橋性の炭素-炭素不飽 結合を2以上有する連鎖移動剤などが挙げら れる。これらの中でも、得られる積層体にお いて、誘電特性、配線埋め込み性、耐熱性、 及び耐クラック性の各特性を高度にバランス させる観点から、架橋性の炭素-炭素不飽和 合を1以上有するものが好ましく、架橋性の 素-炭素不飽和結合を1つ有するものがより ましい。かかる連鎖移動剤の中でも、ビニ 基とメタクリル基とを1つずつ有する連鎖移 剤が好ましく、メタクリル酸ビニル、メタ リル酸アリル、メタクリル酸スチリル、及 メタクリル酸ウンデセニルなどが特に好ま い。
 これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、 るいは2種以上を組み合わせて用いることが できる。本発明の重合性組成物への連鎖移動 剤の配合量としては、シクロオレフィンモノ マー100重量部に対して、通常、0.01~10重量部 好ましくは0.1~5重量部である。

 前記の通り、本発明の重合性組成物を重 反応に供して得られる重合体は、後架橋可 な熱可塑性樹脂となる。本発明において「 応性流動化剤」とは、かかる重合体中にお て、実質的に遊離の状態で存在しており、 動化剤として重合体のガラス転移温度(Tg)を 低下させて加熱溶融時の重合体の流動性を高 め、当該重合体をマトリックス樹脂とする本 発明の架橋性樹脂成形体を加熱溶融させた際 、該成形体表面の、当該表面に接触させる任 意の部材の形状に対する追従性を向上させる 一方、架橋剤により架橋反応が誘起された後 においては当該反応に関与して重合体への結 合反応性を示す単官能化合物をいう。

 反応性流動化剤を含む前記重合体を後述 架橋性樹脂成形体のマトリックス樹脂とし 用いた場合、当該成形体を回路基板などと 層する際、該成形体を加熱することで容易 溶融積層することができ、しかも得られる 層体においては充分な層間密着性と配線埋 込み性が得られる。さらに、反応性流動化 は、積層する際の加熱で架橋剤により誘起 れる架橋反応に関与して重合体への結合反 性を示すため、架橋反応の進行と共に、重 体中、遊離の状態で存在するものが減少し 架橋反応の終了時点では実質的に遊離の状 で存在するものがないと推定される。従っ 、いわゆる可塑剤のように、得られる積層 の耐熱性を低下させる因子となることがな 。むしろ、得られる積層体において耐熱性 耐クラック性を高める効果を奏し得る。

 本発明に使用される反応性流動化剤とし は、例えば、重合性の炭素-炭素不飽和結合 を持たず、かつ架橋剤により誘起される架橋 反応に関与して重合体への結合反応性を示す 基を1つ有する単官能化合物が挙げられる。 合性の炭素-炭素不飽和結合(炭素-炭素二重 合又は三重結合)としては、例えば、シクロ レフィンモノマーの脂環構造中の重合性の 素-炭素二重結合や、ビニル基などの、開環 重合に関与し得る脂肪族炭素-炭素不飽和結 基などが挙げられる。架橋剤により誘起さ る架橋反応に関与して重合体への結合反応 を示す基としては、例えば、架橋性の炭素- 素不飽和結合、又は前記結合反応性を示す 機基が挙げられる。得られる重合体への結 反応性に優れることから、反応性流動化剤 しては、重合性の炭素-炭素不飽和結合を持 たず、かつ架橋性の炭素-炭素不飽和結合を1 有する単官能化合物が好ましい。反応性流 化剤を構成する化合物中、架橋性の炭素-炭 素不飽和結合は、例えば、分子末端に存在す るビニリデン基として、特に、イソプロペニ ル基やメタクリル基として存在するのが好ま しく、メタクリル基として存在するのがより 好ましい。前記有機基としては、例えば、エ ポキシ基、イソシアネート基、及びスルホン 酸基などが挙げられる。

 本発明において反応性流動化剤としては 得られる重合体への結合反応性に特に優れ ことから、以下の一般式(A)で示される環状 化水素基含有メタクリレート化合物が特に ましい。

 前記一般式(A)中、Rは、置換又は非置換の炭 素数3~30の飽和脂環式基、又は置換又は非置 の炭素数6~30の芳香族基を示し、nは0~10の整 である。
 炭素数3~30の飽和脂環式基としては、例えば 、シクロブチル基、シクロペンチル基、シク ロヘキシル基、及びシクロオクチル基などの 単環式基;ビシクロヘキシル基などの二環式 ;トリシクロ[5,2,1,0 2,6 ]デカニル基(ジシクロペンタニル基ともいう )などの三環式基;アダマンチル基などの四 式基;などが挙げられる。飽和脂環式基とし は、得られる架橋樹脂成形体や積層体の耐 性を向上させる観点から、三環式基又は四 式基が好ましく、トリシクロ[5,2,1,0 2,6 ]デカニル基又はアダマンチル基がより好ま く、トリシクロ[5,2,1,0 2,6 ]デカニル基が特に好ましい。
 炭素数6~30の芳香族基としては、例えば、フ ェニル基などの単環式基;ナフチル基やビフ ニル基などの二環式基;フルオレニル基など 三環式基;などが挙げられる。芳香族基とし ては、飽和脂環式基と同様の観点から、単環 式基が好ましく、フェニル基がより好ましい 。
 前記飽和脂環式基及び芳香族基の置換基と ては、炭素数3~11のアルキル基や炭素数3~11 アルコキシ基、カルボキシル基や酸無水物 などの極性基などが挙げられる。
 nとしては、好ましくは0~5、特に好ましくは 1である。

 前記一般式(A)で示される化合物の具体例 しては、シクロヘキシルメタクリレート、 クロオクチルメタクリレート、フェニルメ クリレート、ベンジルメタクリレート、ト ルメタクリレート、アダマンチルメタクリ ート、及びジシクロペンタニルメタクリレ トなどが挙げられ、好ましくは、シクロヘ シルメタクリレート、フェニルメタクリレ ト、ベンジルメタクリレート、トリルメタ リレート、アダマンチルメタクリレート、 びジシクロペンタニルメタクリレート、よ 好ましくは、ベンジルメタクリレート、ア マンチルメタクリレート、及びジシクロペ タニルメタクリレート、さらに好ましくは ベンジルメタクリレートである。

 本発明に用いられる反応性流動化剤として 、上記化合物の他、例えば、ラウリルメタ リレート、シクロオクテニルメタクリレー 、テトラヒドロフルフリルメタクリレート 及びメトキシジエチレングリコールメタク レートなどの、メタクリル基を1つ有する単 官能化合物;イソプロペニルベンゼンなどの イソプロペニル基を1つ有する単官能化合物; などが挙げられ、好ましくはメタクリル基を 1つ有する単官能化合物である。
 以上の反応性流動化剤は、それぞれ単独で あるいは2種以上を組み合わせて用いること ができる。反応性流動化剤の配合量は、所望 により適宜選択すればよいが、シクロオレフ ィンモノマー100重量部に対し、通常、0.1~100 量部、好ましくは0.5~50重量部、より好まし は1~30重量部である。

 本発明に用いる反応性流動化剤と架橋助 はいずれも、本発明の架橋性樹脂成形体を 成する重合体中、実質的に遊離の状態で存 しており、従って、該重合体に対し可塑効 を発現する。そのため、該成形体を加熱す と重合体が溶融し、適度な流動性を示す。 方、該成形体の加熱を続けると架橋剤によ 架橋反応が誘起されるが、反応性流動化剤 架橋助剤はいずれも、架橋反応に関与して 合体への結合反応性を示すことから、架橋 応の進行と共に、遊離の状態で存在するも が減少し、架橋反応の終了時点では実質的 遊離の状態で存在するものがないものと推 される。このように、反応性流動化剤と架 助剤とは同様の特性を有するが、重合体へ 結合反応性は、反応性流動化剤に比べて架 助剤の方が高いものと思われ、従って、可 効果は、架橋助剤に比べて反応性流動化剤 より、長く発現され得る。架橋助剤の使用 、得られる積層体において架橋密度を高め 観点から好ましいが、架橋性樹脂成形体の 熱時に、該成形体を構成する重合体で、よ 早期に架橋構造が形成されると充分な重合 の流動性が得られず、架橋性樹脂成形体表 の、他の部材に対する追従性が低下する。 の点、反応性流動化剤と架橋助剤とを併用 ると、重合体において、架橋助剤による可 効果の発現が消失した後においても、反応 流動化剤による可塑効果の持続的発現が期 され、得られる積層体では、配線埋め込み 、耐熱性、及び耐クラック性がバランス良 向上することになり、非常に好適である。

 本発明の重合性組成物に対し反応性流動化 と架橋助剤とを共に配合する場合、得られ 積層体において、配線埋め込み性、耐熱性 及び耐クラック性をバランス良く向上させ 観点から、反応性流動化剤(単官能化合物) 架橋性の炭素-炭素不飽和結合を2つ有する多 官能化合物(ニ官能化合物)、及び架橋性の炭 -炭素不飽和結合を3つ有する多官能化合物( 官能化合物)を組合わせて用いるのが好まし い。
 本発明の重合性組成物に対し反応性流動化 を配合する場合、反応性流動化剤と架橋助 との配合割合は、所望により適宜選択すれ よいが、重量比(反応性流動化剤/架橋助剤) 、通常、5/95~90/10、好ましくは10/90~70/30、よ 好ましくは15/85~70/30の範囲である。配合割 がかかる範囲にあれば、架橋性樹脂成形体 おいては、加熱時の表面の流動性が向上し また、積層体においては配線埋め込み性、 熱性及び冷熱衝撃試験での耐クラック性の 特性がバランスされ、好適である。

 また、本発明において好適な反応性流動 剤と架橋助剤との組合せとしては、ベンジ メタクリレート、アダマンチルメタクリレ ト及びジシクロペンタニルメタクリレート らなる群から選ばれる少なくとも1つの化合 物(以上、反応性流動化剤)と、トリメチロ-ル プロパントリメタクリレート(以上、架橋助 )とからなる組合せが挙げられる。かかる組 せによれば、架橋助剤としてニ官能化合物 含まずとも、架橋性樹脂成形体においては 加熱時の表面の流動性が向上し、また、積 体においては配線埋め込み性、耐熱性及び 熱衝撃試験での耐クラック性の各特性が高 にバランスされ、非常に好適である。

 反応性流動化剤と架橋助剤とからなる組 せの、本発明の重合性組成物への配合量(反 応性流動化剤と架橋助剤との合計配合量)と ては、シクロオレフィンモノマー100重量部 対して、通常、0.2~200重量部、好ましくは1~10 0重量部、より好ましくは2~60重量部である。

 老化防止剤として、フェノール系老化防 剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止 及びイオウ系老化防止剤からなる群から選 れる少なくとも1種の老化防止剤を配合する ことは、架橋反応を阻害しないで、得られる 積層体の耐熱性を高度に向上させることがで き、好適である。これらの中でも、フェノー ル系老化防止剤とアミン系老化防止剤が好ま しく、フェノール系老化防止剤がより好まし い。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で 、あるいは2種以上を組み合わせて用いるこ ができる。老化防止剤の使用量は、所望に り適宜選択されるが、シクロオレフィンモ マー100重量部に対して、通常、0.0001~10重量 、好ましくは0.001~5重量部、より好ましくは0 .01~2重量部の範囲である。

 本発明の重合性組成物には、その他の配 剤を配合することができる。その他の配合 としては、着色剤、光安定剤、顔料、及び 泡剤などを用いることができる。着色剤と ては、染料や顔料などが用いられる。染料 種類は多様であり、公知のものを適宜選択 て使用すればよい。これらのその他の配合 は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組 み合わせて用いることができ、その使用量は 、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択さ れる。

 本発明の重合性組成物は、上記成分を混 して得ることができる。混合方法としては 常法に従えばよく、例えば、重合触媒を適 な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液 )を調製し、別にシクロオレフィンモノマー 架橋剤などの必須成分、及び所望によりそ 他の配合剤等を配合した液(モノマー液)を調 製し、該モノマー液に該触媒液を添加し、攪 拌することによって調製することができる。

(架橋性樹脂成形体)
  本発明の架橋性樹脂成形体は、前記重合 組成物を塊状重合することにより得られる 重合性組成物を塊状重合して架橋性樹脂成 体を得る方法としては、例えば、(a)重合性 成物を支持体上に塗布し、次いで塊状重合 る方法、(b)重合性組成物を成形型内に注入 、次いで塊状重合する方法、(c)重合性組成 を繊維状強化材に含浸させ、次いで塊状重 する方法などが挙げられる。

本発明の重合性組成物は低粘度であるため 、(a)の方法における塗布は円滑に実施でき、 (b)の方法における注入では、複雑形状の空間 部であっても迅速に泡かみを起こさずに重合 性組成物を行き渡らせることができ、(c)の方 法においては繊維状強化材に対して速やかに 満遍なく重合性組成物を含浸させることがで きる。

  (a)の方法によれば、フィルム状や板状 の架橋性樹脂成形体が得られる。該成形体 厚さは、通常、15mm以下、好ましくは5mm以下 より好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0. 1mm以下である。支持体としては、例えば、ポ リテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテ レフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレ ン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタ レート、ポリアリレート、及びナイロンなど の樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレ 、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、 、及び銀などの金属材料からなるフィルム 板;などが挙げられる。中でも、金属箔又は 脂フィルムの使用が好ましい。金属箔又は 脂フィルムの厚さは、作業性などの観点か 、通常、1~150μm、好ましくは2~100μm、より好 ましくは3~75μmである。金属箔としては、そ 表面が平滑であるものが好ましく、その表 粗度(Rz)としては、AFM(原子間力顕微鏡)によ 測定される値で、通常、10μm以下、好ましく は5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに ましくは2μm以下である。金属箔の表面粗度 が上記範囲にあれば、得られる誘電体デバイ スにおいて、高周波伝送におけるノイズ、遅 延、及び伝送ロス等の発生が抑えられ、好ま しい。また、金属箔の表面は、シランカップ リング剤、チオールカップリング剤、及びチ タネートカップリング剤などの公知のカップ リング剤や接着剤などで処理されているのが 好ましい。(a)の方法によれば、例えば、支持 体として銅箔を用いた場合、樹脂付き銅箔〔 Resin Coated Copper (RCC)〕を得ることができる

  支持体上に本発明の重合性組成物を塗 する方法としては、スプレーコート法、デ ップコート法、ロールコート法、カーテン ート法、ダイコート法、及びスリットコー 法などの公知の塗布方法が挙げられる。

  支持体上に塗布された重合性組成物を 望により乾燥させ、次いで塊状重合する。 状重合は重合性組成物を所定の温度で加熱 て行われる。重合性組成物の加熱方法とし は特に制約されず、支持体に塗布された重 性組成物を、加熱プレート上に載せて加熱 る方法、プレス機を用いて加圧しながら加 (熱プレス)する方法、加熱したローラーで押 圧する方法、加熱炉内で加熱する方法などが 挙げられる。

  (b)の方法によれば、任意の形状の架橋 樹脂成形体を得ることができる。その形状 しては、シート状、フィルム状、柱状、円 状、及び多角柱状等が挙げられる。

  ここで用いる型としては、従来公知の 形型、例えば、割型構造、すなわち、コア とキャビティー型を有する成形型を用いる とができ、それらの空隙部(キャビティー)に 重合性組成物を注入して塊状重合させる。コ ア型とキャビティー型は、目的とする成形品 の形状にあった空隙部を形成するように作製 される。成形型の形状、材質、大きさなどは 特に制限されない。さらに、ガラス板や金属 板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサ ーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形 で挟んで形成される空間内に重合性組成物 注入し塊状重合することにより、シート状 はフィルム状の架橋性樹脂成形体を得るこ もできる。

  重合性組成物を成形型のキャビティー に充填する際の充填圧力(注入圧)は、通常、 0.01~10MPa、好ましくは0.02~5MPaである。充填圧 が低すぎると、キャビティー内周面に形成 れた転写面の転写が良好に行われない傾向 あり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性 高くしなければならず経済的ではない。型 圧力は、通常、0.01~10MPaの範囲内である。重 性組成物の加熱方法としては、成形型に配 された電熱器やスチームなどの加熱手段を 用する方法や、成形型を電気炉内で加熱す 方法などが挙げられる。

  (c)の方法は、シート状又はフィルム状 架橋性樹脂成形体を得るのに好適に使用さ る。得られる成形体の厚さは、通常、0.001~10 mm、好ましくは0.005~1mm、より好ましくは0.01~0. 5mmの範囲である。この範囲にあれば、積層時 の賦形性、及び積層体の機械的強度や靭性な どが向上し、好適である。例えば、重合性組 成物の繊維状強化材への含浸は、重合性組成 物の所定量を、スプレーコート法、ディップ コート法、ロールコート法、カーテンコート 法、ダイコート法、及びスリットコート法等 の公知の方法により繊維状強化材に塗布し、 所望によりその上に保護フィルムを重ね、上 側からローラーなどで押圧することにより行 うことができる。重合性組成物を繊維状強化 材に含浸させた後、含浸物を所定温度に加熱 することで重合性組成物を塊状重合させ、所 望の架橋性樹脂成形体を得る。架橋性樹脂成 形体中、繊維状強化材の含有量としては、通 常、10~90重量%、好ましくは20~80重量%、より好 ましくは30~70重量%の範囲である。この範囲に あれば、得られる積層体の誘電特性と機械的 強度がバランスされ、好適である。

  繊維状強化材としては、無機系及び/又 有機系の繊維が使用でき、例えば、PET(ポリ エチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊 、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド( イロン)繊維、及び液晶ポリエステル繊維な どの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アル ナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊 、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維 ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、及 シリカ繊維などの無機繊維;などを挙げるこ ができる。これらの中でも、有機繊維やガ ス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液 ポリエステル繊維、及びガラス繊維が好ま い。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラ 、Sガラス、Dガラス、及びHガラス等の繊維 好適に用いることができる。これらは1種単 独で、又は2種以上を組合せて用いることが きる。繊維状強化材の形状としては、特に 定されず、例えば、マット、クロス、及び 織布などが挙げられる。

 繊維状強化材に重合性組成物を含浸させ なる含浸物の加熱方法としては、例えば、 浸物を支持体上に設置して前記(a)の方法の うにして加熱する方法、予め型内に繊維状 化材を設置しておき、該型内で重合性組成 を含浸させて含浸物を得、前記(b)の方法の うにして加熱する方法などが挙げられる。

  前記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法にお ても、重合性組成物を重合させるための加 温度は、通常、30~250℃、好ましくは50~200℃ より好ましくは90~150℃の範囲であって、か 架橋剤、通常、ラジカル発生剤の1分間半減 温度以下、好ましくは1分間半減期温度の10 以下、より好ましくは1分間半減期温度の20 以下である。また、重合時間は適宜選択す ばよいが、通常、1秒間~20分間、好ましくは 10秒間~5分間である。重合性組成物をかかる 件で加熱することにより未反応モノマーの ない架橋性樹脂成形体が得られるので好適 ある。

 以上のようにして得られる架橋性樹脂成 体を構成する重合体は、実質的に架橋構造 有さず、例えば、トルエンに可溶である。 該重合体の分子量は、ゲル・パーミエーシ ン・クロマトグラフィー(溶離液:テトラヒ ロフラン)で測定されるポリスチレン換算の 量平均分子量で、通常、1,000~1,000,000、好ま くは5,000~500,000、より好ましくは10,000~100,000 範囲である。

  本発明の架橋性樹脂成形体は、後架橋 能な樹脂成形体であるが、その構成樹脂の 部分が架橋されたものであってもよい。例 ば、型内で重合性組成物を塊状重合したと には、型の中心部分は重合反応熱が発散し くいので、型内の一部の温度が高くなりす る場合がある。高温部では架橋反応が起き 架橋が生ずることがある。しかし、熱を発 しやすい表面部が後架橋可能な架橋性の樹 で形成されていれば、本発明の架橋性樹脂 形体は所望の効果を充分に発揮し得る。

  本発明の架橋性樹脂成形体は、塊状重合 完結させて得られるものであり、保管中に らに重合反応が進行するという恐れがない また、本発明の架橋性樹脂成形体は、ラジ ル発生剤などの架橋剤を含有してなるが、 橋反応を起す温度以上に加熱しない限り、 面硬度が変化するなどの不具合を生じず、 存安定性に優れる。
 本発明の架橋性樹脂成形体は、例えば、プ プレグとして、本発明の架橋樹脂成形体及 積層体の製造に好適に用いられる。

(架橋樹脂成形体)
 本発明の架橋樹脂成形体は、本発明の重合 組成物を塊状重合し、架橋してなるもので る。かかる架橋樹脂成形体は、例えば、前 架橋性樹脂成形体を架橋することにより得 れる。架橋性樹脂成形体の架橋は、該成形 を、該成形体を構成する重合体において架 反応が生ずる温度以上に維持することによ て行うことができる。加熱温度は、通常、 橋剤により架橋反応が誘起される温度以上 ある。例えば、架橋剤としてラジカル発生 を使用する場合、通常、1分間半減期温度以 上、好ましくは1分間半減期温度より5℃以上 い温度、より好ましくは1分間半減期温度よ り10℃以上高い温度である。典型的には、100~ 300℃、好ましくは150~250℃の範囲である。加 時間は、0.1~180分間、好ましくは0.5~120分間、 より好ましくは1~60分間の範囲である。また 本発明の重合性組成物を、前記架橋性樹脂 形体が架橋する温度以上に維持することに り、具体的には、ここに記載する、温度及 時間で加熱することにより、シクロオレフ ンモノマーの塊状重合と、当該重合により ずるシクロオレフィンポリマーにおける架 反応とを共に進行させて、本発明の架橋樹 成形体を製造することも可能である。この うにして架橋樹脂成形体を製造する場合、 記(a)の方法に準じ、例えば、支持体として 箔を用いれば、銅張積層板〔Copper Clad Lamina tes (CCL)〕を得ることができる。

(積層体)
 本発明の積層体は、少なくとも、前記架橋 樹脂成形体、又は前記架橋樹脂成形体を積 してなるものである。両成形体はそれぞれ 連続的に積層されていても、他の層を挟ん 間接的に積層されていてもよい。
 本発明の架橋性樹脂成形体を積層してなる 層体としては、例えば、前記(a)の方法で得 れる、銅箔と架橋性樹脂成形体とが層状に 体化してなるRCCが挙げられる。また、本発 の架橋樹脂成形体を積層してなる積層体と ては、例えば、前記(a)の方法に準じて得ら る、銅箔と架橋樹脂成形体とが層状に一体 してなるCCLが挙げられる。前記(a)の方法に いて、支持体として、別途得られた架橋樹 成形体を用いれば、架橋性樹脂成形体と架 樹脂成形体との積層体を得ることもできる
 また、架橋性樹脂成形体がシート状又はフ ルム状である場合、該成形体、及び所望に り、シート状又はフィルム状の架橋樹脂成 体を、任意に積層し、又はさらに、例えば 前記金属箔を積層し、熱プレスして架橋す ことにより、架橋樹脂成形体を積層してな 、本発明の積層体が得られる。その際、前 RCCやCCLなどの積層体を積層してもよい。熱 レスするときの圧力は、通常、0.5~20MPa、好 しくは3~10MPaである。熱プレスは、真空又は 減圧雰囲気下で行ってもよい。熱プレスは、 平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレ ス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバ クモールドコンパウンド(BMC)などのプレス 形機を用いて行なうことができる。

 かくして得られる本発明の積層体は、高 誘電率かつ低誘電正接であり、比誘電率の 度変化が小さいという優れた誘電特性を有 る。本発明の積層体の1GHzで20℃の条件での 誘電率としては、好ましくは5以上、より好 ましくは7以上、1GHzで20℃の条件での誘電正 としては、通常、0.008以下、好ましくは0.005 下、より好ましくは0.003以下、2GHzで-30~+100 の範囲で温度変化する条件での比誘電率の 度変化率としては、絶対値で、好ましくは20 0ppm/℃以下、より好ましくは100ppm/℃以下であ る。これらの特性値は、後述の実施例に記載 の方法により測定することができる。また、 本発明の積層体は、耐熱性及び冷熱衝撃試験 での耐クラック性等の特性にも優れる。

(誘電体デバイス)
 本発明の積層体は、例えば、マイクロ波の 波数での使用に対応した回路基板、キャパ タ(C)、インダクタ(L)、LCフィルタ、ストリ プライン共振フィルタ、誘電体アンテナ、 設デバイス、マルチチップモジュール、及 高周波モジュール等の誘電体デバイスの製 に好適に使用することができる。

 例えば、マイクロ波回路基板としては、 周波での伝送損失が小さいものが好ましい 伝送損失は誘電損失(tanδに相当)と導体損失 (導体の粗度に依存)との和であり、tanδ(1GHzに て20℃で測定)が0.006以下、導体の粗度(Rz)が1μ m以下であるのが好ましい。さらにマイクロ 回路基板を小型化する場合、比誘電率を大 くして波長短縮効果により面積縮小するこ が好ましい。好ましい比誘電率(1GHzにて20℃ 測定)の範囲は、通常、5~25、好ましくは7~20 ある。この範囲であると、小型化しても配 間に寄生容量が生じにくい。

 キャパシタ(C)としては、容量は回路パター の設計に依存するが、例えば、面積S=1mm 2 、絶縁体厚みd=50μmで設計した場合、誘電体 バイスとしてのQ値〔Q値=(誘電損失+導体損失 ) -1 〕は、1GHzで20℃の条件で、通常、150以上であ り、好ましくは200以上である。これらを構成 する材料としては、tanδ(1GHzにて20℃で測定) 0.006以下であるのが好ましい。また、大きな 容量を得るためには、比誘電率は高いほうが よく、1GHzで20℃の条件で、通常、5以上、好 しくは7以上、より好ましくは9以上である。

 インダクタ(L)としては、インダクタンスは 路パターンの設計に依存するが、L/S=80/80の5 巻きインダクタを1mm 2 内に作製した場合、誘電体デバイスとしての Q値は、1GHzで20℃の条件で、通常、35以上であ り、好ましくは40以上である。これらを構成 る材料としては、tanδ(1GHzにて20℃で測定)が 0.006以下であり、Rzが1μm以下であるのが好ま い。

 低伝送損失であり、高Q値のコンデンサと 高Q値のインダクタからなる、非常に高性能 LCフィルターが得られれば、当該フィルター を回路基板内部に埋設することにより、該基 板の小型化・高集積化・高感度化・低消費電 力化が可能となる。回路基板にそれらのデバ イスを埋設する上では、通常、回路基板の比 誘電率の温度依存性が小さいことが求められ る。比誘電率の温度変化率としては、回路基 板使用環境とされる-30℃~+100℃における2GHzで の比誘電率の変化率として、通常、絶対値で 、200ppm/℃以下、好ましくは100ppm/℃以下、よ 好ましくは50ppm/℃以下である。さらにパワ アンプや半導体チップを前記回路基板に実 することで、高集積・小型・高感度・低消 電力を可能にする、これまでにない高周波 ジュールを作製することができる。本発明 積層体は、これらの誘電体デバイスの製造 好適に用いることができる。

 以下、実施例及び比較例により本発明を らに具体的に説明するが、本発明はこれら 実施例に限定されるものではない。なお、 施例及び比較例における部及び%は、特に断 りのない限り重量基準である。

 実施例及び比較例における各特性は、以下 方法に従い測定して評価した。
(1)比誘電率
 インピーダンスアナライザー(アジレントテ クノロジー社製、型番号E4991A)を用いて周波 1GHzで20℃における誘電率(ε)を容量法で測定 、比誘電率(εr)を算出して以下の基準で評 した。
◎:7以上
○:5以上、7未満
×:5未満
(2)誘電正接
 インピーダンスアナライザー(アジレントテ クノロジー社製、型番号E4991A)を用いて周波 1GHzで20℃における誘電正接を容量法にて測 し、以下の基準で評価した。
◎:0.003以下
○:0.003超、0.008以下
×:0.008超
(3)比誘電率の温度変化率
 2GHzで共振するマイクロストリップライン共 振器を設計し作製した。該共振器をネットワ ークアナライザー(アジレントテクノロジー 製)に接続し、周波数2GHzにおいて-30~+100℃の 度範囲での誘電率(ε)の温度変化を測定した 後、真空の誘電率をε 0 として、
比誘電率の温度変化率=|〔(ε-ε 0 )/ε 0 〕/〔100-(-30)〕|
の式により、該変化率を絶対値として求め、 以下の基準で評価した。
◎:100ppm/℃以下
○:100ppm/℃超、200ppm/℃以下
×:200ppm/℃超
(4)耐熱性
 積層体を20mm角に切断し、試験片を得た。該 試験片を260℃の半田浴上に20秒間フローさせ 。かかる操作を別々の試験片を用いて3回繰 り返し(n=3)、それぞれの試験片表面の膨れを 視により観察し、以下の基準で評価した。
◎:n=3で膨れなし
○:n=2で膨れなし
×:n=2以上で膨れ発生
(5)耐クラック性
 積層体サンプルについて、-65~+150℃の温度 囲で所定回数の冷熱衝撃試験を行った後に 観観察を行い、以下の基準に従って評価し 。なお、冷熱衝撃試験は、冷熱衝撃試験装 (エスペック社製、型番TSA-71H-W)により行った 。
◎:500サイクル終了後のサンプルで、クラッ の発生が確認されない
○:300サイクル終了後のサンプルで、クラッ の発生が確認されない
×:300サイクル終了後のサンプルで、クラック の発生が確認される

実施例1
 ベンジリデン(1,3-ジメシチル-4-イミダゾリ ン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィ ン)ルテニウムジクロリド 51部と、トリフェ ルホスフィン 79部とを、トルエン 952部に 解させて触媒液を調製した。これとは別に シクロオレフィンモノマーとしてテトラシ ロドデセン(TCD)100部、連鎖移動剤としてジ ニルベンゼン 0.74部、架橋剤として3,3,5,7,7- ンタメチル-1,2,4-トリオキセパン(1分間半減 温度205℃)2部、反応性流動化剤としてベン ルメタクリレート 15部、多官能性架橋助剤 してトリメチロールプロパントリメタクリ ート 20部、比誘電率の温度変化率が正の無 機充填剤1として水酸化アルミニウム(難燃剤 しての機能も兼ねる)100部、比誘電率の温度 変化率が負の無機充填剤2としてチタン酸カ シウム 180部、及びフェノール系老化防止剤 として3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソー  1部を混合してモノマー液を調製した。こ に上記触媒液をシクロオレフィンモノマー10 0gあたり0.12mLの割合で加えて撹拌し、重合性 成物を調製した。

 ついで、得られた重合性組成物をガラス ロス(Eガラス)に含浸させ、これを120℃にて5 分間で重合反応を行い、厚さ0.15mmのプリプレ グ(架橋性樹脂成形体)を得た。また、プリプ グのガラスクロス含有量は40%であった。

 次に、作製したプリプレグシート6枚を重 ね、さらに厚さ12μmのF2銅箔(シランカップリ グ剤処理電解銅箔、粗度Rz=1,600nm、古河サー キットホイル社製)で、積層したプリプレグ ートを挟み、205℃で20分間、3MPaにて加熱プ スを行い、架橋樹脂成形体が積層された積 体を得た。得られた積層体の比誘電率、誘 正接、比誘電率の温度変化率、耐熱性及び クラック性を評価した。その結果を表1に示 。

実施例2
 シクロオレフィンモノマーをTCD 80部とジシ クロペンタジエン 20部とし、比誘電率の温 変化率が正の無機充填剤1を水酸化マグネシ ム(難燃剤としての機能も兼ねる)140部とし 以外は実施例1と同様にしてプリプレグ及び 層体を得、各特性を評価した。その結果を 1に示す。

実施例3
 比誘電率の温度変化率が正の無機充填剤1を チタン酸マグネシウム 140部とし、比誘電率 温度変化率が負の無機充填剤2をチタン酸ス トロンチウム 130部とした以外は実施例1と同 様にしてプリプレグ及び積層体を得、各特性 を評価した。その結果を表1に示す。

実施例4
 連鎖移動剤をアリルメタクリレートとし、 誘電率の温度変化率が正の無機充填剤1をチ タン酸マグネシウム 140部とし、比誘電率の 度変化率が負の無機充填剤2をチタン酸スト ロンチウム 130部とした以外は実施例1と同様 にしてプリプレグ及び積層体を得、各特性を 評価した。その結果を表1に示す。

実施例5
 比誘電率の温度変化率が正の無機充填剤1を チタン酸マグネシウム 140部とし、比誘電率 温度変化率が負の無機充填剤2をチタン酸ス トロンチウム 130部とした以外は実施例2と同 様にしてプリプレグ及び積層体を得、各特性 を評価した。その結果を表1に示す。

比較例1
 ベンジルメタクリレートとトリメチロール ロパントリメタクリレートを用いない以外 実施例1と同様にしてプリプレグ及び積層体 を得、各特性を評価した。その結果を表1に す

比較例2
 テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエ レン)に、実施例1で得られたプリプレグに 合したのと同じ無機充填剤を、該プリプレ の場合と同量配合し、厚さ0.15mmのシートを 、実施例1と同様にして積層体を作製して各 性を評価した。その結果を表1に示す。

 表1より、実施例1~5で得られた積層体は評 価した各特性のいずれもが概してバランス良 く優れることが分かる。これに対し、架橋助 剤を含まない重合性組成物を用いて得られた 比較例1の積層体は耐熱性及び耐クラック性 劣り、樹脂層のマトリックス樹脂をテフロ (登録商標)として得られた比較例2の積層体 比誘電率の温度変化が大きく、耐熱性及び クラック性に劣ることが分かる。

実施例6
 実施例5で作製した積層体に対し、コンデン サ、インダクタ、及びマイクロストリップラ インを載置し、プリント基板製造分野におけ る常法に従って誘電体デバイスを作製した。

 誘電体デバイスとして具体的に、無線通 機器の送信部Txモジュールを構成する、パ ーアンプ部PAとバンドパスフィルタBPFとを積 層基板の表面に配置してなる、PAをBPFと積層 ジュール化したPA積層モジュールを作製し 。

 図1に、無線通信機器の送信部Txモジュール ブロック図を示す。Txモジュールは、電圧 御発振器VCO、ミキサMIX、パワーアンプ部PA、 及びバンドパスフィルタBPFを備える。VCOで高 周波搬送波を発生させ、信号入力端子BB INよ りベースバンド信号を入力し、MIXで高周波搬 送波とベースバンド信号を混合した高周波信 号を作り出す。次にPAで高周波信号を増幅し BPFを通して、必要な高周波信号だけが選択 れ、信号出力端子TX OUTを介してアンテナ部 へと接続される。
 図1に示すTxモジュールにおいてはPAとBPFと 積層モジュール化されている。以下、作製 たPA積層モジュールについて具体的に説明す る。

 図2に、図1のTxモジュールに含まれるPAの 路図を示す。PAは、半導体素子の2段構成か なるIC1と、入力整合回路部IM1と、出力整合 路部OM1と、バイアス回路部BC1とを含んでい 。

 IC1は、信号入力端子Pin1から入力された信 号を増幅する役割を担い、IM1は、Pin1でのイ ピーダンスをIC1の入力インピーダンスに整 させる回路である。OM1は、IC1の出力インピ ダンスとのBPFの入力インピーダンスを整合 せる回路である。BC1は、直流電力を供給し IC1に含まれる半導体を増幅素子として動作 せる役割を担う。IM1は、インダクタL1とコン デンサC1、及びC2とが接続された回路で構成 れる。OM1は、インダクタL2とコンデンサC3、 びC4とが接続されている。また、BC1は、IC1 増幅された信号を電源端子Vcc1へ漏洩させな よう、高インピーダンスを持つインダクタ 子インダクタL3とL4と、接地コンデンサC5とC 6により構成されている。

 図3は、PAとBPFを積層基板の表面に配置し なる、PAをBPFと積層モジュール化した、PA積 層モジュールの完成状態における斜視図であ り、図4は、図3のPA積層モジュールの完成状 における内部の接続構造を概略的に示す断 図である。

 PA積層モジュールは、積層基板100と、能 素子であるIC1と、受動素子であるBPF1と、イ ダクタ素子やコンデンサ素子等の受動素子6 0及び70と、Vcc1、Pin1、及びBPF入力端子、BPF出 端子、並びにTx Outと、接地用パターンと、 貫通ビアホール40と、ブラインドビアホール3 0と、インナービアホール20、導体パターン50 を備える。受動素子60は、図2のBC1を構成す 受動素子であり、受動素子70は、図2のIM1及 OM1をそれぞれ構成する受動素子である(図2 照)。

 積層基板100は、実施例5で得られた積層体 を5つ積層してなる。能動素子であるIC1は、 層基板100の表面上に配置されている。IC1の 極は、半田付けにより、積層基板100の表面 に形成された導体パターンに接続されてい 。なお、接続は、ワイヤーボンディング等 より行ってもよい。受動素子60と70及びBPFも 半田付けにて前記導体パターンに接続され いる。

 図4において、貫通ビアホール40は、積層 板100を厚さ方向に貫通し、接地導体層に導 している。ブラインドビアホール30は、積 基板100の表面に設けられた導体層50と、次層 の導体層50との間を接続する。インナービア ール20は、積層基板100の内部に形成された 体層50を接続する。ブラインドビアホール30 、一端が積層基板100の内部で終端されてお 、インナービアホール20は両端が積層基板10 0の内部で終端されている。

図5に、各種材料で作製した積層基板上に形 したマイクロストリップラインの伝送損失 測定結果を示す。測定には、実施例5で作製 た積層体からなる積層基板を用いたもの(本 実施例)、前記積層体を構成する架橋樹脂成 体部分(誘電体層)を低温焼成セラミック(LTCC) に変えた積層体からなる積層基板を用いたも の(LTCC製)、前記積層体を構成する架橋樹脂成 形体部分のマトリックス樹脂をビスマレイミ ド・トリアジン樹脂に変えた積層体からなる 積層基板を用いたもの(BTレジン製)、及び前 積層体を構成する架橋樹脂成形体部分のマ リックス樹脂をエポキシ樹脂に変えた積層 からなる積層基板を用いたもの(FR4製)を用い た。図5に示す結果によれば、本実施例のも では、従来用いられている、上記の通りの 汎用樹脂材料、高機能樹脂材料、及び低温 成セラミックを用いてなるものと比較して 伝送損失が少なく、周波数が高くなるほど の優位性が顕著になることが分かる。
 従って、モジュール基板上の配線において ICのような能動素子同士を、ICとBPFのように 、能動素子と受動素子とを、又はBPF出力端子 からアンテナ入力端子のように、受動素子同 士を、ストリップライン又はマイクロストリ ップラインの伝送ライン(通常、50ωライン)で 接続する場合、従来の汎用樹脂材料や低温焼 成セラミック等を用いた基板を用いる場合と 比較して、本発明の積層体からなる基板を用 いた場合では、伝送損失が少なく、優れた省 電力型のモジュールを作製することが可能で ある。

実施例7
 本発明の架橋性樹脂成形体や架橋樹脂成形 を用いて積層体を作製する際、それらの成 体に、例えば、銅箔を積層して導体層を設 、当該導体層に導体パターンを形成して所 の受動素子を作製することもできる。
図6に、代表的な受動素子であるバンドパス ィルタBPFの回路の一例を、図7に、本発明の 層体に設けられた導体層をパターン化して ンダクタ素子及びコンデンサ素子を作製し 得られたバンドパスフィルタの一例の斜視 を示す。図7では、積層基板内に形成された バンドパスフィルタは、フィルタ内の電力漏 れを防ぎ、なおかつ外部からのノイズを防止 するために、上下を接地電極で覆われ、さら に周囲を、通過周波数のλ/2以下の間隔に配 され、接地電極に導通している、インナー アホール又はスルーホールによって囲まれ いる。かかるバンドパスフィルタも前記(誘 体デバイス)の項で述べた所望の電気的特性 を良好に発現する。

 図8には、各種材料で作製した1.8GHz帯バン ドパスフィルタの通過帯域における伝送損失 の測定結果を示す。測定には、本実施例のBPF (本実施例)、積層体を構成する架橋樹脂成形 部分(誘電体層)を低温焼成セラミック(LTCC) 変えて得られたBPF(LTCC製)、及び積層体を構 する架橋樹脂成形体のマトリックス樹脂を ポキシ樹脂に変えて得られたBPF(FR4製)を用い た。図8に示す結果によれば、本実施例のBPF は、従来のLTCC製のBPFや汎用樹脂製のBPFと比 て伝送損失が非常に少ないことが分かる。

 なお、バンドパスフィルタ回路は、上記 ごとき、インダクタ素子やコンデンサ素子 どの集中定数の組み合わせに限らず、分布 数を用いて形成することも可能である。例 ば、図9に示すようなλ/4共振器によるバン パスフィルタや図10に示すようなλ/2共振器 よるバンドパスフィルタ等を、本発明の積 体からなる積層基板上、又は当該積層基板 内部に設けてもよい。このような分布定数 よる回路を用いた場合でも、本発明の積層 はQ値に優れており、低損失なバンドパスフ ルタを作製するのに有用である。

実施例8
本発明によれば、本発明の積層体を作製する 際、銅箔を積層して導体層を設け、当該導体 層に導体パターンを形成してインダクタやコ ンデンサ等所望の受動素子を作製することに より、バンドパスフィルタ等の受動素子を、 本発明の積層体中に内蔵してなる積層基板を 得ることもできる。
積層基板内に形成されたバンドパスフィルタ は、フィルタ内の電力漏れを防ぎ、なおかつ 外部からのノイズを防止するために、上下を 接地電極で覆われ、さらに周囲を、通過周波 数のλ/2以下の間隔に配置され、接地電極に 通している、インナービアホール又はスル ホールによって囲まれている。かかるバン パスフィルタ内蔵基板は、実施例6で述べた 送線路の低損失特性(図5)、及び実施例7で述 べたバンドパスフィルタの低損失特性(図8)を 併せ持ち、優れた低損失性を発揮することが 可能である。また、従来、積層基板の上面に 配置されていたBPFを内蔵することにより、高 周波モジュールの実装面積が増加し、積層基 板表面の実装面積が増加し、集積化、小型化 に有利となる。更に、部品点数の削減、半田 付け数の低減により、生産性及び信頼性の向 上に大きく寄与する。