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Patent Searching and Data


Title:
POLYPHENYLENE SULFIDE RESIN COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123183
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a polyphenylene sulfide resin composition comprising a polyphenylene sulfide resin (A), a fibrous filler (B), and a non-fibrous filler (C), wherein the polyphenylene sulfide resin (A) comprises an oxidatively crosslinkable polyphenylene sulfide resin (a1) having a non-Newtonian index of not less than 1.15 and less than 1.30 and a melt viscosity of not less than 20 Pa s and less than 40 Pa s at 300˚C and 1216 sec-1 and an oxidatively crosslinkable polyphenylene sulfide resin (a2) having a non-Newtonian index of not less than 1.30 and less than 1.45 and a melt viscosity of not less than 40 Pa s and less than 60 Pa s at 300˚C and 1216 sec-1. The polyphenylene sulfide resin composition has excellent chemical resistance against a fuel and the like.

Inventors:
KODAMA KAZUMI (JP)
SUGATA TAKASHI (JP)
YAMANAKA TORU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055403
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TORAY INDUSTRIES (JP)
KODAMA KAZUMI (JP)
SUGATA TAKASHI (JP)
YAMANAKA TORU (JP)
International Classes:
C08L81/02; B60K15/03; C08G75/02; C08G75/0277; C08G75/04; C08K3/26; C08K7/14; C08K9/04; F04D29/02
Foreign References:
JPH07258543A1995-10-09
JPH09151319A1997-06-10
JP2004161834A2004-06-10
JPH10237305A1998-09-08
JPH0550493A1993-03-02
JPH11335653A1999-12-07
JPH0350265A1991-03-04
JPH04202364A1992-07-23
JPH08283576A1996-10-29
JPH08325453A1996-12-10
JPH09151319A1997-06-10
JPS453368B11970-02-04
JPS5212240B21977-04-05
JPS617332A1986-01-14
Other References:
See also references of EP 2128200A4
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Claims:
(a1)非ニュートン指数1.15以上1.30未満、300℃かつ1216秒 -1 における溶融粘度が20Pa・s以上40Pa・s未満の酸化架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂、および
(a2)非ニュートン指数1.30以上1.45未満、300℃かつ1216秒 -1 における溶融粘度が40Pa・s以上60Pa・s未満の酸化架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂、
を含む(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(B)繊維状充填剤および(C)非繊維状充填剤を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(B)繊維状充填剤、(C)非繊維状充填剤の配合量が、(A)、(B)および(C)の合計量を100重量%として、(B)および(C)の合計量が65質量%以上80質量%以下である請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
前記酸化架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂(a1)の酸化架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂(a1)および酸化架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂(a2)の合計に対する質量比[(a1)/((a1)+(a2))]が、0.25以上0.90以下である請求項1または2記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(B)繊維状充填剤が、エポキシ化合物を含む表面処理剤で処理されたガラス繊維である請求項1~3のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(C)非繊維状充填剤が、50%粒子径が3.0μm以下である炭酸カルシウムである請求項1~4のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物中に含まれる、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂以外の有機成分が、(A)、(B)および(C)の合計量100質量部に対し、0.3質量部以下である請求項1~5のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
請求項1~6のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品。
成形品が車載燃料ポンプモジュール用部品である請求項7記載の成形品。
Description:
ポリフェニレンスルフィド樹脂 成物

 本発明は、耐薬品性に優れるポリフェニ ンスルフィド樹脂組成物に関する。更に詳 くは、当該樹脂組成物を射出成形してなる 形品が、薬品、なかでも自動車燃料に接触 るいは浸漬したことによって生じる寸法変 や重量変化が小さなポリフェニレンスルフ ド樹脂組成物に関するものである。

 ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹 脂と略す場合がある)は優れた耐熱性、難燃 、剛性、寸法特性、耐薬品性、電気絶縁性 耐湿熱性などエンジニアリングプラスチッ としては好適な性質を有しており、これら 性を活かし、自動車やエレクトロニクスな の分野で、主として射出成形品として広範 利用されている。近年では、その優れた耐 品性と寸法特性を活かし、薬品に接する精 部品用途にも用いられることが多くなって ているが、特に、自動車燃料周り部品では 燃料に接するとその一部あるいは全ての成 の影響により寸法並びに重量が増加してし う、という不都合があった。

 PPS樹脂に繊維状充填剤と非繊維状充填剤 配合してなる樹脂組成物として、特許文献1 には、発生ガス中のNMP含有量が2ppm以下であ 、かつクロロホルム抽出量0.2重量%以下のPPS 脂に、ガラス繊維と炭酸カルシウムを配合 てなる樹脂組成物が開示されている。さら 、PPS樹脂の後処理方法の一形態として、酸 雰囲気下での加熱処理を上げており、すな ち酸化架橋型PPS樹脂を使用できることを示 している。しかし、特許文献1に記載された PPS樹脂組成物は、燃料などに接触または浸漬 したときの寸法変化や重量変化の点で不十分 である。

 特許文献2には、(a)ポリフェニレンスルフ ィド樹脂20~100重量%および(b)ナイロン樹脂80~0 量%からなるマトリクス樹脂100重量部並びに (B)ガラス繊維10~150重量部を含有する射出溶着 用樹脂組成物が、耐オイル・ガソリン性に優 れる旨が開示されている。しかし、特許文献 2に記載されたPPS樹脂組成物は、ガラス繊維 配合上限が60質量%であり、燃料などに接触 たは浸漬したときの寸法変化や重量変化の で不十分である。

 特許文献3には、ポリアリーレンサルファ イド樹脂(以下、PAS樹脂と略す場合がある)と 維状充填剤を配合してなる樹脂組成物をブ ー成形法により成形したエンジン周辺機構 品が開示されている。特に好ましいPAS樹脂 して、重縮合反応において3ヶ以上の官能基 を有するモノマー(分岐又は架橋剤)を少量併 して製造した分岐又は架橋構造を有するPAS 脂が開示されているものの、酸化架橋型PPS 脂がエンジン周辺機構部品に優れる旨の記 はなく、また、実施例での充填剤の最大配 量は、PAS樹脂100重量部に対して45重量部で って、燃料などに接触または浸漬したとき 寸法変化や重量変化の点で不十分である。

 特許文献4~9には、溶融粘度と非ニュートン 数の範囲を規定したPPS樹脂あるいはPAS樹脂 無機充填剤を配合してなる樹脂組成物が記 されている。これら特許文献の実施例、比 例に記載されている組成物はいずれも、繊 状充填剤と非繊維状充填剤の合計量が、PPS 脂あるいはPAS樹脂、繊維状充填剤、非繊維 充填剤の合計量に対して64重量%未満であり 燃料などに接触または浸漬したときの寸法 化や重量変化の点で不十分である。

特開2004-161834号公報

特開平10-237305号公報

特開平05-050493号公報

特開平11-335653号公報

特開平03-050265号公報

特開平04-202364号公報

特開平08-283576号公報

特開平08-325453号公報

特開平09-151319号公報

 本発明は、PPS樹脂組成物の耐薬品性、更 詳しくは、当該樹脂組成物を射出成形して る成形品が、主として燃料などの薬品に接 あるいは浸漬したことによって生じる寸法 化や重量変化を小さくすることを課題とす 。

 上記とおり、PPS樹脂を架橋すること、充 剤を配合することで燃料などに対する耐薬 性の向上が期待できるが、樹脂組成物の溶 時流動性をそこなうおそれがあり、溶融成 の際は、適度な流動性を保ちながら、燃料 どに対する耐薬品性に優れた樹脂組成物が 要とされており、非ニュートン指数が異な PPS樹脂を併用することにより、課題を解決 ることができることを見いだした。 

 すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)(a1)非ニュートン指数1.15以上1.30未満、300℃ かつ1216秒 -1 における溶融粘度が20Pa・s以上40Pa・s未満の 化架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂、 よび
(a2)非ニュートン指数1.30以上1.45未満、300℃か つ1216秒 -1 における溶融粘度が40Pa・s以上60Pa・s未満の 化架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂、
を含む(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(B) 繊維状充填剤および(C)非繊維状充填剤を配合 してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成 物。
(2)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(B)繊維 状充填剤、(C)非繊維状充填剤の配合量が、(A) 、(B)および(C)の合計量を100重量%として、(B) よび(C)の合計量が65質量%以上80質量%以下で る(1)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂 成物。
(3)前記酸化架橋型ポリフェニレンスルフィド 樹脂(a1)の酸化架橋型ポリフェニレンスルフ ド樹脂(a1)および酸化架橋型ポリフェニレン ルフィド樹脂(a2)の合計に対する質量比[(a1)/ ((a1)+(a2))]が、0.25以上0.90以下である(1)または( 2)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成 。
(4)(B)繊維状充填剤が、エポキシ化合物を含む 表面処理剤で処理されたガラス繊維である(1) ~(3)のいずれか記載のポリフェニレンスルフ ド樹脂組成物。
(5)(C)非繊維状充填剤が、50%粒子径が3.0μm以下 である炭酸カルシウムである(1)~(4)のいずれ 記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成 。
(6)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物中に 含まれる、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂 以外の有機成分が、(A)、(B)および(C)の合計量 100質量部に対し、0.3質量部以下である(1)~(5) いずれか記載のポリフェニレンスルフィド 脂組成物。
(7)(1)~(6)のいずれか記載のポリフェニレンス フィド樹脂組成物を成形してなる成形品。
(8)成形品が車載燃料ポンプモジュール用部品 である(7)記載の成形品。

 本発明のPPS樹脂組成物は、耐薬品性、更 詳しくは、当該樹脂組成物を射出成形して る成形品が、主として燃料などの薬品に接 あるいは浸漬したことによって生じる寸法 化や重量変化を小さく抑制することができ 。

実施例で用いた寸法変化量、重量変化 測定用の成形体の形状を示す図で、(a)は上 図、(b)は側面図である。 本発明に係る燃料ポンプモジュールの 略図である。 実施例で用いたアウトレットカバーの 法変化率測定用の成形体の形状を示す図で( a)は正面図、(b)は下面図である。

符号の説明

1.成形体
2.寸法変化量測定位置
3.インペラ
4.アウトレットカバー
5.インレットカバー
6.ブラシホルダー
7.インペラケース
8.アウトレットカバー寸法変化率測定位置

 (1)PPS樹脂
 PPS樹脂とは下記構造式

で示される繰り返し単位を70モル%以上、よ り好ましくは90モル%以上を含む重合体であり 、上記繰り返し単位が70モル%未満では、耐熱 性が損なわれるので好ましくない。また、PPS 樹脂は、その繰り返し単位の30モル%未満を、 下記構造式

を有する繰り返し単位等で構成することが 可能である。

 かかるPPS樹脂は、通常公知の方法即ち特 昭45-3368号公報に記載される比較的分子量の 小さな重合体を得る方法或は特公昭52-12240号 報や特開昭61-7332号公報に記載される比較的 分子量の大きな重合体を得る方法などによっ て製造できる。このように得られたPPS樹脂は さらに、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによ る洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート 、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能 基含有化合物による活性化など種々の処理を 施した上で使用されることが多い。

 PPS樹脂の非ニュートン指数は、前述した 合法などによって得られた重合体の分子量 大きいほど大きくなる傾向にあり、また、 重合体を、空気、酸素などの酸化性ガス雰 気下、あるいは前記酸化性ガスと窒素、ア ゴンなどの不活性ガスの混合ガス雰囲気下 、加熱容器中で所定の温度において希望す 溶融粘度が得られるまで加熱を行なう方法 すなわちいわゆる酸化架橋法を施すことに って大きくなり、酸化架橋時間が長かった 、温度が高かった場合に大きくなる傾向が る。酸化架橋法の加熱処理温度は通常、170 ~280℃が選択され、好ましくは200~270℃であ 、加熱処理時間は通常、0.5~100時間が選択さ 、好ましくは2~50時間であるが、この両者を コントロールすることにより目標とする粘度 レベルを得ることができる。このような酸化 架橋型PPS樹脂の具体例としては、東レ株式会 社製PPS樹脂M3102、M2900、M2100、M1900、L2520、L2120 などが挙げられる。

 本発明で使用する(A)PPS樹脂は、(a1)非ニュー トン指数1.15以上1.30以下、300℃かつ1216秒 -1 における溶融粘度が20Pa・s以上40Pa・s以下の 化架橋型PPS樹脂と、(a2)非ニュートン指数1.30 以上1.45以下、300℃かつ1216秒 -1 における溶融粘度が40Pa・s以上60Pa・s以下の 化架橋型PPS樹脂を併用する。このような併 によって、燃料などの薬品に接触あるいは 漬したことによって生じる寸法変化や重量 化の抑制と、該樹脂組成物の射出時溶融樹 流動性をバランスよく両立することができ 。

 非ニュートン指数が1.15未満のPPS樹脂を使 用した場合、樹脂組成物からなる成形品は燃 料などの薬品に接触あるいは浸漬したことに よって生じる寸法変化や重量変化の抑制が不 十分となる。

 (a1)非ニュートン指数1.15以上1.30以下、300℃ つ1216秒 -1 における溶融粘度が20Pa・s以上40Pa・s以下の 化架橋型PPS樹脂を得るための、酸化架橋法 加熱処理温度は通常、170℃~240℃が選択され 好ましくは190~240℃であり、加熱処理時間は 通常、0.5~100時間が選択され、好ましくは2~20 間であるが、この両者をコントロールする とにより目標とする粘度レベルを得ること できる。

 また、(a2)非ニュートン指数1.30以上1.45以下 300℃かつ1216秒 -1 における溶融粘度が40Pa・s以上60Pa・s以下の 化架橋型PPS樹脂を得るための、酸化架橋法 加熱処理温度は通常、200℃~270℃が選択され 好ましくは210~260℃であり、加熱処理時間は 通常、0.5~100時間が選択され、好ましくは5~50 間であるが、この両者をコントロールする とにより目標とする粘度レベルを得ること できる。

 非ニュートン指数は、キャピログラフを用 て300℃、L/D=40の条件下、せん断速度及びせ 断応力を測定し、下記式(1)を用いて算出し 値である。
SR=K・SS N   (1)
(ここで、Nは非ニュートン指数、SRはせん断 度(秒 -1 )、SSはせん断応力(ダイン/cm 2 )、Kは定数を示す)

 (a1)の(a1)と(a2)の合計に対する質量比[(a1)/( (a1)+(a2))]は、0.25以上0.90以下であることが好 しく、より好ましくは0.30以上0.70以下である 。

 また、(A)PPS樹脂としては、(a1)非ニュートン 指数1.15以上1.30未満、300℃かつ1216秒 -1 における溶融粘度が20Pa・s以上40Pa・s未満の 化架橋型PPS樹脂および、(a2)非ニュートン指 1.30以上1.45未満、300℃かつ1216秒 -1 における溶融粘度が40Pa・s以上60Pa・s未満の 化架橋型PPS樹脂を含んでいれば、本発明の 的を損なわない範囲で、これ以外のPPS樹脂 含んでいてもよい。

 (2)繊維状充填剤
 (B)繊維状充填剤としては特に制限はなく、 ラス繊維、ガラスミルドファイバー、ワラ テナイト繊維、チタン酸カリウムウィスカ 、炭酸カルシウムウィスカー、酸化亜鉛ウ スカー、硼酸アルミニウムウィスカー、ア ミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維 アスベスト繊維、石コウ繊維、などが挙げ れるが、なかでもガラス繊維が好ましい。 た、これらは中空であってもよく、さらに これら充填剤を2種以上併用することも可能 である。かかる繊維状充填剤は必要により、 イソシアネート系化合物、有機シラン系化合 物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系 化合物、エポキシ化合物などのカップリング 剤で表面処理されていてよく、特に、エポキ シ化合物を含む表面処理剤で処理されたガラ ス繊維が好ましい。エポキシ化合物としては 、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラ ンなどが選択される。一般的に表面処理剤は 、有機物の表面処理剤を含んだ水溶液として 紡糸直後のガラス繊維に対し1~30質量%塗布さ 、その後乾燥させ固形分として0.01~3.0質量% 着させる。

 (3)非繊維状充填剤
 (C)非繊維状充填剤としては特に制限はなく ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト カオリン、マイカ、クレー、パイロフィラ ト、ベントナイト、アスベスト、タルク、 ルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化亜鉛 酸化カルシウム、アルミナ、酸化マグネシ ム、マグネシウム・アルミニウム酸化物、 化珪素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、 化鉄などの金属化合物、炭酸リチウム、炭 カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイ などの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリ ムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水 化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの 酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ 窒化ホウ素、炭化珪素、シリカなどの非繊 状充填剤が挙げられ、これら2種以上を併用 することも可能である。本発明の効果、機械 的物性、調達容易性などの観点から、炭酸カ ルシウム、硫酸カルシウムの配合が好ましく 、さらに好ましくは炭酸カルシウムである。

 また、非繊維状充填剤は、レーザ回折/散 乱式粒度分布測定装置を用いて測定した50%粒 子径(もしくはメディアン径)が3.0μm以下であ ことが好ましく、この条件を満たす炭酸カ シウムは好適な非繊維状充填剤である。よ 好ましい50%粒子径は1.5μm以上2.5μm以下であ 。50%粒子径が大きすぎると燃料などの薬品 接触あるいは浸漬したことによって生じる 法変化や重量変化の抑制効果が小さい傾向 あり、小さすぎると樹脂組成物中で分散不 を起こす場合がある。

 (4)繊維状充填剤、非繊維状充填剤の配合割
 (B)繊維状充填剤と(C)非繊維状充填剤は、そ 合計量が、(A)、(B)、(C)の合計量に対して65 量%以上80質量%以下であることが望ましく、 り望ましくは67質量%以上78質量%以下である 65質量%を下回ると燃料などの薬品に接触あ いは浸漬したことによって生じる寸法変化 重量変化の抑制効果が不十分であり、80質 %を上回ると該樹脂組成物の加工性、機械的 度、射出時溶融樹脂流動性などが大きく低 するため好ましくない。

 (B)繊維状充填剤と(C)非繊維状充填剤の質 比は特に限定されるものではないが、機械 強度の観点から、(B)/((B)+(C))が0.40以上0.99以 であることが好ましく、より好ましくは0.50 以上0.71以下である。

 (5)その他の添加剤
 本発明のPPS樹脂組成物には、シラン化合物 離型剤、結晶核剤などの通常の添加剤およ 少量の他種ポリマーを添加することができ が、これら添加剤が有機物である場合、そ 合計量は、(A)PPS樹脂、(B)繊維状充填剤、(C) 繊維状充填剤の合計量100質量部に対し、0.3 量部以下であることが好ましい。有機物の 加が多くなると、燃料などの薬品に接触あ いは浸漬したことによって生じる寸法変化 重量変化の抑制効果が小さくなる傾向にあ 。

 組成物に配合し得るシラン化合物として 、エポキシシラン化合物、アミノシラン化 物、ウレイドシラン化合物、イソシアネー シラン化合物のほか種々のものが使用でき 。

 かかる化合物の具体例としては、γ-グリ ドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グ シドキシプロピルトリエトキシシシラン、 -(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ キシシランなどのエポキシ基含有アルコキ シラン化合物、γ-メルカプトプロピルトリ トキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリ トキシシランなどのメルカプト基含有アル キシシラン化合物、γ-ウレイドプロピルト エトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリ トキシシシラン、γ-(2-ウレイドエチル)アミ ノプロピルトリメトキシシランなどのウレイ ド基含有アルコキシシラン化合物、γ-イソシ アナトプロピルトリエトキシシラン、γ-イソ シアナトプロピルトリメトキシシラン、γ-イ ソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン 、γ-イソシアナトプロピルメチルジエトキシ シラン、γ-イソシアナトプロピルエチルジメ トキシシラン、γ-イソシアナトプロピルエチ ルジエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピ ルトリクロロシランなどのイソシアナト基含 有アルコキシシラン化合物、γ-(2-アミノエチ ル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメト シシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシ ランなどのアミノ基含有アルコキシシラン 合物、およびγ-ヒドロキシプロピルトリメ キシシラン、γ-ヒドロキシプロピルトリエ キシシランなどの水酸基含有アルコキシシ ン化合物などが挙げられ、中でも、エポキ 基含有アルコキシシラン化合物が望ましい

 離型剤としては、ポリエチレン、ポリプ ピレン等のポリオレフィン、またはモンタ 酸エステルワックス類、またはステアリン リチウム、ステアリン酸アルミニウム等の 属石鹸、脂肪酸アミド系重縮合物、例えば チレンジアミン・ステアリン酸重縮合物、 チレンジアミン・ステアリン酸・セバシン 重縮合物などが挙げられる。

 結晶核剤としてはポリエーテルエーテル トン樹脂、ナイロン樹脂、タルク、カオリ 等が挙げられる。

 他種ポリマーとしてはポリエチレン樹脂 ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、A BS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート 脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポ ブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタ ル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂 ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォ 樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミ 樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテ ケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂 ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイ ド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化 リエチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹 、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエ ストマなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。

 また、次亜リン酸塩等の着色防止剤、エ テル系化合物等の可塑剤、カーボンブラッ 、黒鉛などの着色剤、あるいは防食剤、酸 防止剤、熱安定剤、渇剤、紫外線吸収剤、 燃剤、帯電防止剤、発泡剤などの通常の添 剤を添加することができる。

 (6)各成分の配合
 本発明のPPS樹脂組成物の配合方法には特に 限はないが、原料の混合物を単軸あるいは2 軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー 及びミキシングロールなど通常公知の溶融混 合機に供給して280~380℃の温度で溶融混練す 方法などを代表例として挙げることができ 。原料の混合順序についても特に制限はな 。好ましい様態として、2軸押出機を用い、( B)繊維状充填剤以外の原料を予め混合して押 機のスクリュウモータに近い供給口から投 ・溶融・混練し、次いで(B)繊維状充填剤を 押出機へいわゆるサイドフィード供給機を いて投入・混練し、該押出機口金部から吐 された溶融樹脂をいわゆる空中ホットカッ 装置で切断、水冷し乾燥してペレットを得 方法、もしくは溶融樹脂をストランドカッ 装置で切断する方法などが挙げられる。

 また、少量添加剤成分については、他の 分を上記方法などで混練し、ペレット化し 後、成形前に予備混合してもしくはしない 添加することもできる。

 (7)PPS樹脂組成物の成形・用途
 本発明のPPS樹脂組成物は、射出成形、押出 形、圧縮成形、吹込成形、射出圧縮成形、 ランスファー成形、真空成形など、熱可塑 樹脂の公知の成形方法により成形してよい 、なかでも射出成形が好ましい。射出成形 る場合の成形条件は、PPS樹脂組成物を射出 形できる条件であれば特に制限はないが、 型温度は、好ましくは110℃以上160℃以下、 らに好ましくは120℃以上150℃以下である。 型温度が低すぎる場合、PPS樹脂の結晶化が 十分となり燃料吸液時の寸法変化が大きく り、金型温度が高すぎる場合には成形品の 却に時間がかかるため生産効率が低下する

 本発明のPPS樹脂組成物は、薬品、なかで 自動車燃料に接したり浸漬したりした場合 寸法変化や重量変化が小さいことを特徴と たものであるから、自動車燃料に接したり 漬したりする部品に好適である。その具体 としては、車載燃料ポンプモジュール用部 が上げられ、より具体的には、インペラ、 ラシホルダ、アウトレットカバー、インレ トカバー、インペラケースが挙げられる。

 以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に 明する。
なお、実施例及び比較例の中で述べられる、 PPS樹脂の非ニュートン指数、燃料浸漬処理後 の寸法変化量並びに重量変化量、引張強度、 アウトレットカバー成形品の寸法変化率の値 は次の方法に従って測定した。

 [非ニュートン指数]
 キャピログラフを用いて300℃、L/D=40の条件 、せん断速度及びせん断応力を測定し、前 式(1)を用いて非ニュートン指数を算出した なお、(A)PPS樹脂が2種のPPS樹脂の混合物の場 合、どちらか片方のPPS樹脂の非ニュートン指 数が1.15を下回る場合には、その混合物の非 ュートン指数も測定した。

 [寸法変化量、重量変化量]
 寸法変化量、重量変化量の評価に用いた樹 成形品の形状を図1に示す。図1(a)は上面図 図1(b)は側面図であり、寸法は、符号2に示し た位置(6箇所)の厚みを測定し、平均値を取っ て求めた。寸法並びに重量を測定した成形品 をフューエルC(トルエン:イソオクタン=50容量 %:50容量%):メタノール=85容量%:15容量%(以下、 ューエルC混合液と称することがある)に浸漬 させ、80℃、300kPaの環境下に所定時間おいた ち取り出し、表面に付着したフューエルC混 合液を除き、寸法並びに重量を測定した。寸 法変化量、重量変化量はそれぞれ、フューエ ルC混合液浸漬処理後の寸法、重量から初期 寸法、重量をそれぞれ差し引いた値である

 [引張強度]
 ISO527-1、ISO527-2に従い、シリンダー温度320℃ 、金型温度130℃の条件下で引張試験片を作成 し、23℃の温度環境下で引張強度を測定した

 [アウトレットカバー成形品の寸法変化率]
アウトレットカバー成形品の評価に用いた樹 脂成形品の形状を図3に示す。図3(a)は正面図 図3(b)は下面図であり、寸法は、符号8に示 た内径(8点)をニコン製測定顕微鏡を用いて 定し、平均内径を求めた。寸法を測定した 形品をフューエルC(トルエン:イソオクタン=5 0容量%:50容量%):メタノール=85容量%:15容量%に 漬させ、80℃、300kPaの環境下に所定時間おい たのち取り出し、表面に付着したフューエル C混合液を除き、寸法を測定した。寸法変化 はそれぞれ、フューエルC混合液浸漬処理後 寸法から初期の寸法をそれぞれ差し引いて 期の寸法で除したパーセント値である。

 [参考例1(PPSの製造)]
 PPS-1の製造
 東レ製PPS樹脂M3910(リニア型。非ニュートン 数1.07。300℃かつ1216秒 -1 における溶融粘度18Pa・s)を棚式熱風乾燥機に 入れ、220℃の温度環境下に5時間おき、PPS-1を 得た。非ニュートン指数は1.22、300℃かつ1216 -1 における溶融粘度は37Pa・sであった。

 PPS-2の製造
 東レ製PPS樹脂M3910を棚式熱風乾燥機に入れ 220℃の温度環境下に8時間おき、PPS-2を得た 非ニュートン指数は1.35、300℃かつ1216秒 -1 における溶融粘度は46Pa・sであった。

 PPS-3の製造
 東レ製PPS樹脂L4230(リニア型。非ニュートン 数1.05。300℃かつ1216秒 -1 における溶融粘度6Pa・s)を棚式熱風乾燥機に れ、220℃の温度環境下に17時間おき、PPS-3を 得た。非ニュートン指数は1.40、300℃かつ1216 -1 における溶融粘度は49Pa・sであった。

 [実施例および比較例で用いた配合材]
(A)PPS樹脂:
 (a1)PPS-1
 (a2)PPS-2、PPS-3
 (a3)L4230。

 (B)繊維状充填剤:
 ・NSGヴェトロテックス(株)製ガラス繊維EC10- 910(繊維径10μm)。表面処理剤にエポキシ化合 を含まない。

 ・日本電気硝子(株)製ガラス繊維T717(繊維 径13μm)、T747H(繊維径10.5μm)。いずれも表面処 剤にエポキシ化合物を含む。

 (C)非繊維状充填剤:
 ・炭酸カルシウム:(株)カルファイン製 KSS10 00(50%粒子径4.2μm)
 ・炭酸カルシウム:(株)カルファイン製 ACE25 (50%粒子径1.9μm)
 ・炭酸カルシウム:(株)カルファイン製 ACE35 (50%粒子径1.2μm)
 ・硫酸カルシウム:United States Gypsum Company  CAS-20-4(50%粒子径4.3μm)。

 (D1)その他の無機系添加剤
 ・黒着色剤:カーボンブラック 三菱化学(株 )製 MA100
 ・結晶核剤-1:タルク 林化成(株)製 ミセル ン

 (D2)その他の有機系添加剤
 ・離型剤-1:ポリエチレンパウダー 三井化 (株)製 7000FP
 ・離型剤-2:モンタン酸エステルワックス  ラリアント製 Licowax-E
 ・シラン:β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エ チルトリメトキシシラン 
 ・結晶核剤-2:ポリエーテルエーテルケトン( 粉末)。

 実施例1~3
 繊維状充填剤を除く上記配合剤を、表1に示 す割合でドライブレンドし、シリンダー温度 320℃に設定したスクリュー式2軸押出機のス リュー根元部から供給し、また、繊維状充 剤を、表1に示す割合で同押出機にサイドフ ードし、両者を溶融混練してペレタイズし 。得られたペレットを乾燥後、射出成形機 用いて、シリンダー温度320℃、金型温度130 の条件で射出成形することにより、所定の 性評価用試験片を得た。得られた試験片に いて、前述した方法で寸法変化量、重量変 量、引張強度、アウトレットカバー成形品 寸法変化率を測定した。その結果を表1に示 す。

 ここで得られた樹脂組成物および成形体 、後述する比較例に比べて寸法変化量、重 変化量およびアウトレットカバー成形品の 法変化率が小さく、また、機械的物性(引張 強度)も良好であった。

 比較例1~18
 実施例1~3と同様にして、表1、2に示す割合 ドライブレンド、溶融混練、ペレタイズ、 形、評価を行った。その結果を表1、表2に示 す。本発明の範囲外のPPSを用いた結果、寸法 変化量、重量変化量、アウトレットカバー成 形品の寸法変化率が大きいか、または、強度 が低くなった。また、比較例3は押出加工性 悪く、また、押出機の口金部から吐出され 樹脂組成物は脆く、ペレット形状が非常に かった。このため、評価を行なわなかった

 本発明のPPS樹脂組成物は、PPS樹脂が本来 つ耐熱性、難燃性、剛性、電気絶縁性など 有しながら、薬品、特に、自動車等の燃料 接触あるいは浸漬したことによって生じる 法変化や重量変化を特に抑制したものであ 、自動車燃料周り部品に好適である。