TSUBOI AKIRA (JP)
NAKAMAE MASATO (JP)
KATO MASAKI (JP)
TSUBOI AKIRA (JP)
NAKAMAE MASATO (JP)
JPH093286A | 1997-01-07 | |||
JPH0931281A | 1997-02-04 | |||
JPH09201921A | 1997-08-05 | |||
JPS5024531A | 1975-03-15 |
Shigeki Nakamu (JP)
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、けん化度が75~99.9モル%であり粘度平均重合度が450以下であるビニルアルコール系重合体を0.005~5重量部、および亜鉛化合物を0.01~5重量部含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物。 |
ビニルアルコール系重合体および亜鉛化合物を、ポリ塩化ビニル樹脂に添加することによって含有させた請求項1に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。 |
ビニルアルコール系重合体が、ビニルエステル系単量体を単独で重合したものである請求項1に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。 |
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して滑剤を0.001~10重量部含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。 |
滑剤がポリオールの脂肪酸エステルである、請求項4に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。 |
ポリオールの脂肪酸エステルがグリセリンモノステアレートである、請求項5に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。 |
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、けん化度が75~99.9モル%であり粘度平均重合度が450以下であるビニルアルコール系重合体0.005~5重量部、および亜鉛化合物0.01~5重量部をポリ塩化ビニル樹脂に添加するポリ塩化ビニル樹脂組成物の製造方法。 |
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して滑剤0.001~10重量部を添加する、請求項7に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物の製造方法。 |
本発明は、食品用、医療用、日用品等の 野で好適に使用されるポリ塩化ビニル樹脂 成物に関するものであり、更に記述すると 熱安定性が良く、着色が少ないポリ塩化ビ ル樹脂組成物に関するものである。
ポリ塩化ビニル樹脂はカルシウム-亜鉛系 、バリウム-亜鉛系等の安定剤を配合して成 加工され、その成形品は一般用途に、さら は食品用、医療用などに適した製品として く用いられている。
しかしながら、これらの安定剤は、ポリ 化ビニル樹脂の熱劣化を抑制する能力が不 分であるため、成形品の初期着色性を損ね り、成形時の熱安定性が十分でないという 点があった。このため、これらの欠点を改 する手段として、酸化防止剤を添加したり 水酸基を持つ化合物を添加したりしたポリ 化ビニル樹脂組成物が提案されている。
特許文献1(特開昭50-92947号公報)には、塩 含有樹脂に、カルシウムセッケンと、亜鉛 ッケンと、多価アルコールまたはその誘導 と中性の無機カルシウム塩とを添加する方 が開示されている。
特許文献2(特開昭54-81359号公報)には、塩 含有重合体に水溶性重合体を添加する方法 開示されている。
特許文献3(特開昭57-147552号公報)には、含 素樹脂にジペンタエリスリトールとジカル ン酸との反応縮合物、酸化亜鉛、炭酸亜鉛 たは脂肪酸亜鉛、ハイドロタルサイトを添 する方法が開示されている。
特許文献4(特開昭60-238345号公報)には、熱 塑性樹脂に、エチレン単位の含有量20~50%、 酸ビニル単位の鹸化度96%以上のエチレン-酢 酸ビニル共重合体鹸化物、および、ハイドロ タルサイト系化合物を添加する方法が開示さ れている。
特許文献5(特開平1-178543号公報)には、含 ロゲン熱可塑性樹脂に、金属石鹸、および エチレン含有量20~75モル%、酢酸ビニル部分 ケン化度50モル%以上の共重合組成物を有す エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物を添 する方法が開示されている。
特許文献6(特開平6-287387号公報)には、塩 ビニル系樹脂に、有機酸の金属塩、ポリビ ルアルコールのアセタール化物を添加する 法が開示されている。
特許文献7(特開平9-3286号公報)には、塩化 ニル系樹脂に、けん化度70~95モル%、平均重 度300~2000で、かつ分子鎖末端にメルカプト を有する部分けん化ポリビニルアルコール 添加する方法が開示されている。
特許文献8(特開平9-31281号公報)には、塩化 ビニル系樹脂に、亜鉛化合物、ハイドロタル サイト類、ポリビニルアルコール、および、 ポリメチルメタクリレートを添加する方法が 開示されている。
非特許文献1(高分子論文集 Vol.47, No.3, 19 7 (1990))には、ポリ塩化ビニルに、ステアリ 酸亜鉛-ステアリン酸カルシウム複合石けん 重合度が600以上の完全けん化ポリビニルア コールを添加する方法が開示されている。
非特許文献2(高分子論文集 Vol.47, No.6, 50 9 (1990))には、ポリ塩化ビニルに、ステアリ 酸亜鉛-ステアリン酸カルシウム複合石けん 重合度が500、けん化度が73.6モル%の部分け 化ポリビニルアルコールを添加する方法が 示されている。
非特許文献3(高分子論文集 Vol.50, No.2, 65 (1993))には、ポリ塩化ビニルに、ステアリン 酸亜鉛-ステアリン酸カルシウム複合石けん エチレン含有量が29モル%以上のエチレン-ビ ルアルコール共重合体を添加する方法が開 されている。
非特許文献4(Polymers
& Polymer Composites, Vol.11, 649 (2003))には、
リ塩化ビニルに、ステアリン酸亜鉛-ステア
リン酸カルシウム複合石けん、重合度が500、
けん化度が98.5モル%のポリビニルアルコール
エチレン含有量が29モル%以上のエチレン-ビ
ニルアルコール共重合体を添加する方法が開
示されている。
非特許文献5(日本接着学会誌 Vol.43
No.2,43(2007))には、ポリ塩化ビニルに、重合度
500、けん化度が88モル%のポリビニルアルコ
ルや重合度が1700、けん化度が78モル%以上の
ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メ
チルを添加する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1~8及び非特許文 1~5に記載されたポリ塩化ビニル樹脂組成物 は、長期の熱安定性が十分でなかったり、 色したりするという問題を有していた。
本発明は、成形時の熱安定性に優れ、着 が少ない成形体を得ることができる塩化ビ ル樹脂組成物を提供することを目的とする のである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ポ 塩化ビニル樹脂に対して、けん化度75~99.9モ ル%、粘度平均重合度450以下のビニルアルコ ル系重合体(以下PVAと略すことがある)を特定 量配合することにより、該ポリ塩化ビニル樹 脂組成物に亜鉛化合物からなる安定剤を添加 した場合に、成形時の熱安定性を十分保持す ることができ、かつ成形体の着色が少ないこ とを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は、ポリ塩化ビニル 脂100重量部に対して、けん化度が75~99.9モル %であり粘度平均重合度が450以下であるビニ アルコール系重合体を0.005~5重量部、および 鉛化合物を0.01~5重量部含有するポリ塩化ビ ル樹脂組成物を提供することによって解決 れる。
このとき、ビニルアルコール系重合体お び亜鉛化合物を、ポリ塩化ビニル樹脂に添 することによって含有させることが好まし 。また、ビニルアルコール系重合体が、ビ ルエステル系単量体を単独で重合したもの あることも好ましい。
また、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対 て滑剤を0.001~10重量部含有することも好適 ある。このとき、滑剤はポリオールの脂肪 エステルであることが好ましく、グリセリ モノステアレートであることが特に好まし 。
さらに、上記課題は、ポリ塩化ビニル樹 100重量部に対して、けん化度が75~99.9モル% あり粘度平均重合度が450以下であるビニル ルコール系重合体0.005~5重量部、および亜鉛 合物0.01~5重量部をポリ塩化ビニル樹脂に添 するポリ塩化ビニル樹脂組成物の製造方法 提供することによっても解決される。この き、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して 剤0.001~10重量部を添加することが好ましい
本発明の樹脂組成物を用いた場合には、 形時の熱安定性に優れ、着色が少ない成形 を得ることができるという効果を達成する とができる。
本発明で用いられるポリ塩化ビニル樹脂 製造する原料としては、塩化ビニル単量体 他、塩化ビニル単量体を主体とし、これと 重合可能な単量体との混合物(塩化ビニル単 量体が50重量%以上)が使用される。なお、こ 塩化ビニル単量体と共重合される単量体と ては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等 ビニルエステル、アクリル酸メチル、アク ル酸エチル等のアクリル酸エステルもしく メタアクリル酸エステル、エチレン、プロ レン等のオレフィン、無水マレイン酸、ア リロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン どが挙げられる。
また、これらの単量体を用いて上記ポリ 化ビニル樹脂を製造する方法としては、該 量体を重合開始剤の存在下で懸濁重合する 法を好適に採用することができ、その際に 、通常使用されている分散安定剤、例えば メチルセルロース、ヒドロキシエチルセル ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ ロキシプロピルメチルセルロースなどの水 性セルロースエーテル、ポリビニルアルコ ル、ゼラチンなどの水溶性ポリマー;ソルビ タンモノラウレート、ソルビタントリオレー ト、グリセリントリステアレート、エチレン オキサイドプロピレンオキサイドブロックコ ポリマーなどの油溶性乳化剤;ポリオキシエ レンソルビタンモノラウレート、ポリオキ エチレングリセリンオレート、ラウリン酸 トリウムなどの水溶性乳化剤等が用いられ その中でも、けん化度65~99モル%、重合度500~4 000のポリビニルアルコールが好適に用いられ 、その添加量は塩化ビニル100重量部当たり0.0 1~2.0重量部が好ましい。懸濁重合用分散安定 は単独で使用しても良いが、塩化ビニルな のビニル系化合物を水性媒体中で懸濁重合 る際に通常使用される重合度100~4000及びけ 化度30~99モル%のポリビニルアルコール系重 体、その添加量は特に制限されないが、塩 ビニルなどのビニル系化合物100重量部当た 0.01~2.0重量部が好ましい。
重合に使用される開始剤としては、従来 ら塩化ビニル単量体等の重合に使用されて る、油溶性または水溶性の重合開始剤を用 ることができる。油溶性の重合開始剤とし は、例えば、ジイソプロピルパーオキシジ ーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキ ジカーボネート、ジエトキシエチルパーオ シジカーボネート等のパーカーボネート化 物;t-ブチルパーオキシネオデカネート、t- チルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパー オキシピバレート、α-クミルパーオキシネオ デカネート等のパーエステル化合物;アセチ シクロヘキシルスルホニルパーオキサイド 2,4,4-トリメチルペンチル-2-パーオキシフェ キシアセテート、3,5,5-トリメチルヘキサノ ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ ド等の過酸化物;アゾビス-2,4-ジメチルバレ ニトリル、アゾビス(4-2,4-ジメチルバレロニ リル)等のアゾ化合物等が挙げられる。水溶 性の重合開始剤としては、例えば過硫酸カリ ウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、ク メンハイドロパーオキサイド等が挙げられる 。これらの油溶性あるいは水溶性の重合開始 剤は単独で、または2種類以上を組合せて用 ることができる。
重合に際し、必要に応じて、重合反応系 その他の各種添加剤を加えることができる 添加剤としては、例えば、アルデヒド類、 ロゲン化炭化水素類、メルカプタン類など 重合調節剤、フェノール化合物、イオウ化 物、N-オキサイド化合物などの重合禁止剤 どが挙げられる。また、pH調整剤、架橋剤な ども任意に加えることができる。
重合に際し、重合温度には特に制限はな 、20℃程度の低い温度はもとより、90℃を超 える高い温度に調整することもできる。また 、重合反応系の除熱効率を高めるために、リ フラックスコンデンサー付の重合器を用いる ことも好ましい実施態様の一つである。
重合には、必要に応じて、重合に通常使 される防腐剤、防黴剤、ブロッキング防止 、消泡剤、スケール防止剤、帯電防止剤等 添加剤を任意に添加することができる。
本発明のポリ塩化ビニル樹脂組成物に含 されるPVAは、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂 重合した後に該ポリ塩化ビニル樹脂に添加 ることによって含有させることができる。 PVAは粉として、あるいは、水または有機溶 に溶解させてポリ塩化ビニル樹脂に添加す ことができる。該PVAをポリ塩化ビニル樹脂 合時に添加すると、該PVAがポリ塩化ビニル 脂の分散剤として作用するため、得られる リ塩化ビニル樹脂が有する平均粒子径や可 剤吸収性等の品質に悪影響を及ぼすことが る。
ポリ塩化ビニル樹脂に添加するPVAのけん 度は75~99.9モル%であり、好ましくは78~98.5モ %であり、特に好ましくは80~96モル%である。 けん化度が75モル%より小さい場合、長期の熱 安定性が低下するため好ましくない。なお、 PVAのけん化度はJIS K6726に従って測定した値 ある。
上記PVAの粘度平均重合度(以下単に重合度と
言うことがある)は450以下であり、好ましく
430以下であり、特に好ましくは410以下であ
。粘度平均重合度の下限については特に制
はないが、PVAの製造上の観点から、粘度平
重合度は50以上が好ましく、100以上がより好
ましい。粘度平均重合度が450より大きいと、
長期の熱安定性が著しく低下するため好まし
くない。なお、PVAの粘度平均重合度はJIS K672
6に従って測定した値である。すなわち、PVA
けん化度99.5モル%以上に再けん化し、精製し
た後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から
次式により求めることができる。
P=([η]×1000/8.29) (1/0.62)
本発明において、PVAは単独で使用しても あるいは特性の異なる2種以上を混合して使 用してもよい。
PVAは、ビニルエステル系単量体を塊状重 法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法 分散重合法等の従来公知の方法を採用して 合させ、得られたビニルエステル系重合体 けん化することにより製造することができ 。工業的観点から好ましい重合方法は、溶 重合法、乳化重合法および分散重合法であ 。重合操作にあたっては、回分法、半回分 および連続法のいずれの重合方式を採用す ことも可能である。
重合に用いることができるビニルエステ 系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、 酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル ビニル、バーサチック酸ビニルなどを挙げ ことができ、これらの中でも酢酸ビニルが 業的観点から好ましい。
ビニルエステル系単量体の重合に際して 本発明の主旨を損なわない範囲であればビ ルエステル系単量体を他の単量体を共重合 せても差し支えないが、ビニルエステル系 量体を単独で重合することが好ましい。
ビニルエステル系単量体の重合に際して 得られるPVAの重合度を調節することなどを 的として、連鎖移動剤を共存させても差し えない。連鎖移動剤としては、アセトアル ヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアル ヒド、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド ;アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサノ ン、シクロヘキサノンなどのケトン類;2-ヒド ロキシエタンチオールなどのメルカプタン類 ;チオ酢酸などのチオカルボン酸類;トリクロ エチレン、パークロロエチレンなどのハロ ン化炭化水素類が挙げられ、中でもアルデ ド類およびケトン類が好適に用いられる。 鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤 連鎖移動定数および目的とするPVAの重合度 応じて決定されるが、一般にPVAに対して0.1~ 10重量%が望ましい。ここで、連載移動剤とし てチオカルボン酸類などを用いた際には、連 鎖移動剤に由来する官能基がビニルエステル 系重合体の末端に導入され、けん化によって 末端にSH基を有するPVAが得られる場合がある しかしながら、下記の実施例でも示される うに、このようなPVAを用いた場合には、得 れるポリ塩化ビニル樹脂組成物の熱安定性 上の効果がそれほど大きくない。よって、 鎖移動剤としてチオカルボン酸類を用いな ことが望ましい。また、PVAの末端にはSH基 有さないことが好ましい。
本発明では、ビニルエステル系単量体を 常よりも高い温度条件で重合して得られる1 ,2-グリコール結合の含有量の多いPVAを用いる こともできる。この場合、1,2-グリコール結 の含有量は、好ましくは1.9モル%以上、より ましくは2.0モル%以上、さらに好ましくは2.1 モル%以上である。
ビニルエステル系重合体のけん化反応に 、従来公知の水酸化ナトリウム、水酸化カ ウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基性 媒、またはp-トルエンスルホン酸などの酸 触媒を用いた、加アルコール分解ないし加 分解反応が適用できる。けん化反応に用い れる溶媒としては、メタノール、エタノー などのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチ などのエステル類;アセトン、メチルエチル ケトンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン どの芳香族炭化水素などが挙げられ、これ は単独で、または2種以上を組合せて用いる とができる。中でも、メタノールまたはメ ノールと酢酸メチルとの混合溶液を溶媒と て用い、塩基性触媒である水酸化ナトリウ の存在下にけん化反応を行うのが簡便であ 好ましい。
ポリ塩化ビニル樹脂組成物中のPVAの含有 は、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して0 .005~5重量部であり、好ましくは0.04~3重量部で ある。0.005重量部未満では、長期の熱安定性 十分でなく、5重量部を超えると、ポリ塩化 ビニル樹脂が着色し好ましくない。
本発明で用いられるPVAをポリ塩化ビニル 脂の重合時に添加した場合では、ポリ塩化 ニル樹脂製造後の樹脂洗浄により該PVAがほ んど除去されてしまうため、ポリ塩化ビニ 樹脂組成物中のPVAの含有量は0.005重量部未 となり、熱安助剤としての効果は得られな 。
本発明では、PVAが、25℃におけるpKaが3.5~5 .5の酸および/またはその金属塩を含有しても よい。酸の種類についてとくに制限はなく、 その具体例として、酢酸(pKa4.76)、プロピオン 酸(pKa4.87)、酪酸( pKa4.63)、オクタン酸(pKa4.89) アジピン酸(pKa5.03)、安息香酸(pKa4.00)、ギ酸( pKa3.55)、吉草酸(pKa4.63)、ヘプタン酸(pKa4.66)、 酸(pKa3.66)、フェニル酢酸(pKa4.10)、イソ酪酸( pKa4.63)、シクロヘキサンカルボン酸(pKa4.70)な を挙げることができる。とくに好ましく用 ることができる酸は、酢酸、プロピオン酸 および乳酸である。また、上記の酸の金属 を用いることもできる。金属塩の種類とし は特に制限はないが、通常、ナトリウム、 リウム、マグネシウム、カルシウム等のア カリ金属塩が用いられる。
pKaが3.5~5.5の酸および/またはその金属塩 含有量は、PVA100重量部に対して0.05~5重量部 割合が好ましく、より好ましくは0.1~3重量部 、さらに好ましくは0.15~2重量部である。PVAに 対する酸および/またはその金属塩の含有量 0.05重量部未満の場合、長期の熱安定性が低 し、5重量部を超えると、ポリ塩化ビニル樹 脂が着色するおそれがある。
なお、該酸および/またはその金属塩を所 定量含有させる方法は特に問わず、例えば、 PVAを製造する時のけん化で用いるアルカリ触 媒の種類や量などを調整する方法、PVA製造後 に該酸および/またはその金属塩を追加した 、除去したりする方法が挙げられる。
本発明で用いる亜鉛化合物としては、ス アリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛やオレイン 亜鉛等の亜鉛の脂肪族カルボン酸塩や、安 香酸亜鉛、p-第三ブチル安息香酸亜鉛等の 香族カルボン酸亜鉛、アミノ酸亜鉛塩、リ 酸エステル亜鉛塩のような有機酸の亜鉛塩 酸化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機亜鉛塩などが げられる。上記亜鉛化合物の添加量は、ポ 塩化ビニル樹脂100重量部に対して0.01~5重量 であり、好ましくは0.05~3重量部である。上 添加量が0.01重量部未満では、十分な熱安定 効果は得られず、5重量部を超えるとポリ塩 化ビニル樹脂組成物の成形品が黒化するため 好ましくない。該亜鉛化合物は、ポリ塩化ビ ニル樹脂を重合した後に該ポリ塩化ビニル樹 脂に添加することによって含有させることが できる。
本発明のポリ塩化ビニル樹脂組成物は、 常用いられる安定剤、フェノール系酸化防 剤、リン系酸化防止剤、光安定剤、紫外線 収剤、防曇剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤 改質剤、強化剤、顔料、発泡剤、可塑剤等 併用することができる。また、本発明のポ 塩化ビニル樹脂組成物には、その機械的特 を損なわない範囲であれば、他の樹脂を混 してもよい。
上記滑剤としては、流動パラフィン、天 パラフィン、マイクロワックス、ポリエチ ンワックスなどの炭化水素;ステアリン酸、 ラウリン酸などの脂肪酸;ステアリン酸アミ 、パルミチン酸アミド、メチレンビスステ ロアミド、エチレンビスステアロアミドな の脂肪酸アミド;ブチルステアレートなどの ノアルコールの脂肪酸エステル;硬化ひまし 油、エチレングリコールモノステアレート、 グリセリンモノステアレート、トリエチレン グリコールジ-2-エチルヘキサノエートなどの ポリオールの脂肪酸エステル;セチルアルコ ルやステアリルアルコールなどのアルコー が挙げられる。中でも、ポリオールの脂肪 エステルを用いた場合、本発明の効果が一 発現する。このとき、ポリオールの脂肪酸 ノエステルであることが好ましく、グリセ ンの脂肪酸エステルであることも好ましい また、脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数が8~ 22であることが好ましく、ステアリン酸エス ルであることがさらに好ましい。これらの でも、グリセリンモノステアレートが特に 適である。上記滑剤の添加量は、ポリ塩化 ニル樹脂100重量部に対して、好ましくは0.00 1~10重量部、さらに好ましくは0.05~5重量部で る。
上記安定剤としては、周知のものを用い ことができ、具体的には、カルシウム石鹸 バリウム石鹸等のアルカリ土類金属の石鹸 アルミニウム石鹸、有機リン酸金属塩等の 機金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金 炭酸塩、ゼオライト等の無機複合金属塩等 無機金属塩、塩素酸バリウム、過塩素酸バ ウム、過塩素酸ナトリウム等のハロゲン酸 酸塩、β-ジケトン、多価アルコール、エポ シ化合物等の非金属安定剤が挙げられる。
また、上記可塑剤としては、例えば、フ ル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、 ジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸など 酸とn-プロパノール、イソプロパノール、n- ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノー 、n-ペンタノール、イソペンタノール、tert- ペンタノール、n-ヘキサノール、イソヘキサ ール、n-ヘプタノール、イソヘプタノール n-オクタノール、イソオクタノール、2-エチ ヘキサノール、n-ノナノール、イソノナノ ル、n-デカノール、イソデカノール、ラウリ ルアルコール、ミリスチルアルコール、パル ミチルアルコール、ステアリルアルコールな どの直鎖および分岐のアルキルアルコール単 独または混合物からなるエステルやブタンジ オールとアジピン酸のエステルのようなエス テル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ アマニ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ アマニ油脂肪酸ブチル、オクチルエポキシ テアレート、エポキシトリグリセライド、 ポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル エピクロルヒドリンとビスフェノールAの低 子量反応性生物樹脂のようなエポキシ系可 剤;トリクレジルホスフェート、トリキシレ ニルホスフェート、モノブチルジキシレニル ホスフェート、トリオクチルホスフェートな どのリン酸エステル系可塑剤などが挙げられ る。
上記フェノール系酸化防止剤としては、 常用いられるものであればいずれでもよく 例えば、2,6-ジ第三ブチル-p-クレゾール、2,6 -ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール ステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフ ェニル)-プロピオネート、ジステアリル(3,5- 第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネ ト、チオジエチレングリコールビス〔(3,5- 第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオ ート〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第 ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネー ト〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第三ブ チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ア ド〕、4,4’-チオビス(6-第三ブチル-m-クレゾ ル)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-第三ブ ルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル -6-第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3-ビス(4- ドロキシ-3-第三ブチルフェニル)ブチリック アジッド〕グリコールエステル、2,2’-エチ デンビス(4,6-ジ第三ブチルフェノール)、2,2 エチリデンビス(4-第二ブチル-6-第三ブチル ェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキ -5-第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2-第 ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチ -5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレー ト、1,3,5-トリス(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキ ベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5- リス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニ ル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌ ート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ第三ブ チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート メタン、2第三ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロ ルオキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フ ェノール、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{(3-第三ブ チル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピ ニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサス ピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコ ールビス〔(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチ ルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられ 。上記フェノール系酸化防止剤の添加量は ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、好 しくは0.01~5重量部、更に好ましくは0.1~3重量 部である。
上記リン系酸化防止剤としては、通常用 られるものであればいずれでもよく、例え 、トリスノニルフェニルホスファイト、ト ス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト トリス〔2-第三ブチル-4-(3-第三ブチル-4-ヒ ロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェ ル〕ホスファイト、トリデシルホスファイ 、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デ シル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデ ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、 ジステアリルペンタエリスリトールジホスフ ァイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリ ールジホスファイト、ビス(2,4-ジ第三ブチ フェニル)ペンタエリスリトールジホスファ ト、ビス(2,6-ジ第三ブチル-4-メチルフェニ )ペンタエリスリトールジホスファイト、ビ (2,4,6-トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリ リトールジホスファイト、テトラ(トリデシ )イソプロピリデンジフェノールジホスファ イト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデン ビス(2-第三ブチル-5-メチルフェノール)ジホ ファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2 -メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル) タントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ 三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナ ト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフ ナンスレン-10-オキサイド、2,2’-メチレン ス(4-メチル-6-第三ブチルフェニル)-2-エチル キシルホスファイト等があげられる。上記 ン系酸化防止剤の添加量は、ポリ塩化ビニ 樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.001~5 重量部、更に好ましくは0.005~3重量部である
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4- ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ- 4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- クトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビ (2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)な どの2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2-ヒド キシ-5-第三オクチルフェニル)ベンゾトリア ゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ第三ブチルフ ニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒ ロキシ-3-第三ブチル-5-メチルフェニル)-5-ク ロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5- ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2 -メチレンビス(4-第三オクチル-6-ベンゾトリ ゾリル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-3-第三 チル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾ ールのポリエチレングリコールエステルなど の2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾー ル類;フェニルサリシレートレゾルシノール ノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル- 3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート ヘキサデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ ベンゾエートなどのベンゾエート類;2-エチル -2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’- デシルオキザニリドなどの置換オキザニリ 類;エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリ ート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキ フェニル)アクリレートなどのシアノアクリ レート類などが挙げられる。上記紫外線吸収 剤の添加量は、塩化ビニル100重量部に対して 、好ましくは0.005~10重量部、更に好ましくは0 .01~5重量部である。
上記光安定剤としては、例えば、2,2,6,6- トラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2 ,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート 2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエ ト、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル) バケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピ リジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テト メチル-4-ピペリジル)ブタンテトラカルボキ シレート、テトラテス(1,2,2,6,6-ペンタメチル- 4-ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート 、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキ レート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ヒド キシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシ チル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール/ コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6- トラエチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジ ブロモエタン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テト メチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジ ロロ-6-モノホリノ-s-トリアジン重縮合物、1, 6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピレリジルアミ )ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミ -s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス 2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピ ペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8, 12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビ (N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ )アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ〕ウン カン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2 ,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-ト アジン-6-イルアミノ〕ウンデカンなどのヒ ダードアミン化合物が挙げられる。上記光 定剤の添加量は、ポリ塩化ビニル樹脂100重 部に対して、好ましくは0.001~5重量部、更に ましくは0.05~3重量部である。
本発明のポリ塩化ビニル樹脂組成物の加 方法としては、押し出し加工、カレンダー 工、ブロー成形、プレス加工、粉体成形、 出成形等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細 説明する。なお、以下の実施例および比較 において、特に断りがない場合、部および% はそれぞれ重量部および重量%を示す。
実施例1
(ポリ塩化ビニル樹脂の製造)
重合度850、けん化度72モル%のポリビニルア
コールを塩化ビニルに対して600ppmに相当す
量で脱イオン水に溶解させ、分散安定剤を
製した。このようにして得られた分散安定
を、スケール付着防止剤NOXOL WSW(CIRS社製)が
固形分として0.3g/m 2
になるように塗布されたグラスライニング製
オートクレーブに仕込んだ。次いで、グラス
ライニング製オートクレーブにジイソプロピ
ルパーオキシジカーボネートの70%トルエン溶
液0.04部を仕込み、オートクレーブ内の圧力
0.0067MPaとなるまで脱気して酸素を除いた後
塩化ビニル30部を仕込み、オートクレーブ内
の内容物を57℃に昇温して撹拌下に重合を開
した。重合開始時におけるオートクレーブ
の圧力は0.83MPaであった。重合を開始してか
ら7時間経過後、オートクレーブ内の圧力が0.
44MPaとなった時点で重合を停止し、未反応の
化ビニルを除去した後、重合反応物を取り
し、65℃にて一晩乾燥を行い、ポリ塩化ビ
ル樹脂(PVC)を得た。
(PVAの製造)
撹拌機、窒素導入口、添加剤導入口および
始剤添加口を備えた6L反応槽に酢酸ビニル24
50g、メタノール1050gを仕込み、60℃に昇温し
後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置
換した。連鎖移動剤として2-メルカプトエタ
ール(以下、2-MEと記載する)をメタノールに
解した濃度20%溶液を調製し、窒素ガスによ
バブリングを行って窒素置換した。上記の
応槽内温を60℃に調整し、2-ME0.2gを添加した
後に、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチル
バレロニトリル)1.2gを加えて重合を開始した
重合中は重合温度を60℃に維持し、2-MEの20%
タノール溶液を5.0mL/hrで連続添加した。4時
後に重合率が60%に達したところで冷却して
合を停止した。次いで、減圧下にて未反応
酢酸ビニルを除去し、ポリ酢酸ビニル(PVAc)
メタノール溶液を得た。30%に調整したPVAc溶
液にアルカリモル比(NaOHのモル数/PVAc中のビ
ルエステル単位のモル数)が0.01となるように
NaOHメタノール溶液(10%濃度)を添加してけん化
した。得られたPVAはメタノールで洗浄した。
以上の操作により重合度400、けん化度93モル%
のPVAを得た。等速電気泳動法(イソタコフォ
シス))により測定した酢酸ナトリウム含有量
は0.5%であった。
(熱安定性試験)
ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対し、1%濃
のPVA水溶液を用いて表1に示す量になるよう
PVA水溶液を添加し、減圧乾燥機により50℃
8時間乾燥した。このポリ塩化ビニル樹脂組
物にステアリン酸亜鉛2重量部、ステアリン
酸カルシウム1重量部、ジオクチルフタレー
20重量部を混合した。このポリ塩化ビニル樹
脂組成物をテストロールにより160℃で5分間
練し、厚さ0.45mmのシートを作成した。この
ートを50×70mmにカットした。このシート片を
ギヤーオーブン中に入れ、180℃の温度で完全
に黒色になるまでの時間を測定し、熱安定性
の指標とした。
(着色性試験)
上記テストロールで得られたシートを45×30m
mにカットし、得られたシート片を数枚重ね
わせ、185℃で5分間プレスして厚さ5mmの試験
を作成し、目視により着色性を比較し、以
の基準にしたがって判定した。
A:着色がほとんどない。
B:わずかに着色が認められる。
C:黄色である。
D:黄褐色である。
実施例2~7
実施例1において、重合時に酢酸ビニルとメ
タノールの仕込み重量を変更し、けん化時に
アルカリモル比を変更した以外は同様の方法
で、表1に示すPVAを得た。実施例1と同様にし
熱安定性、着色性の評価を行った。評価結
を表1に示す。
実施例8
実施例1で得られたPVA100重量部に対して、酢
酸ナトリウム含有量が2重量部になるように
酸ナトリウムを追加で添加した以外は同様
方法で、表1に示すPVAを得た。実施例1と同様
にして熱安定性、着色性の評価を行った。評
価結果を表1に示す。
実施例9
実施例1で得られたPVA100重量部に対して、酢
酸ナトリウム含有量が5重量部になるように
酸ナトリウムを追加で添加した以外は同様
方法で、表1に示すPVAを得た。実施例1と同様
にして熱安定性、着色性の評価を行った。評
価結果を表1に示す。
実施例10
(末端SH化PVAの製造)
撹拌機、窒素導入口、添加剤導入口および
始剤添加口を備えた6L反応槽に酢酸ビニル24
50g、メタノール1050gを仕込み、60℃に昇温し
後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置
換した。連鎖移動剤としてチオ酢酸をメタノ
ールに溶解した濃度5%溶液を調製し、窒素ガ
によるバブリングを行って窒素置換した。
記の反応槽内温を60℃に調整し、先に調整
たチオ酢酸のメタノール溶液9.6gを添加した
に、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)2.0g
を加えて重合を開始した。重合中は重合温度
を60℃に維持し、チオ酢酸の5%メタノール溶
を23.2mL/hrで連続添加した。4時間後に重合率
60%に達したところで冷却して重合を停止し
。次いで、減圧下にて未反応の酢酸ビニル
除去し、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール
液を得た。30%に調整したPVAc溶液にアルカリ
モル比(NaOHのモル数/PVAc中のビニルエステル
位のモル数)が0.01となるようにNaOHメタノー
溶液(10%濃度)を添加してけん化した。得られ
たPVAはメタノールで洗浄した。以上の操作に
より重合度400、けん化度93モル%の末端SH化PVA
得た。等速電気泳動法(イソタコフォレシス
))により測定した酢酸ナトリウム含有量は0.5%
であった。この変性PVAを重水に溶解し、核磁
気共鳴分析を行ったところ、分子の片末端に
SH基が存在していることが確認された。
実施例1で使用したPVAに替えて、末端SH化P VAを使用した以外は同様にして熱安定性、着 性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例11~14
滑剤としてグリセリンモノステアレートを
塩化ビニル樹脂100重量部に対して0.5重量部
加した例である。表1に示すような処方で実
施例1と同様に混合して、熱安定性、着色性
評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例1~4
実施例1において、重合時に酢酸ビニルとメ
タノールの仕込み重量を変更し、けん化時に
アルカリモル比を変更した以外は同様の方法
で、表1に示すPVAを得た。実施例1と同様にし
熱安定性、着色性の評価を行った。評価結
を表1に示す。いずれも長期の熱安定性が十
分でなかった。けん化度が70モル%と低い比較
例4では、黄色に着色した。
比較例5、6
PVAのポリ塩化ビニル樹脂(PVC)に対する配合
を表1に示すように変更した以外は実施例1と
同様の方法で、熱安定性、着色性の評価を行
った。評価結果を表1に示す。PVA配合量が多
ぎる場合は黄色に着色し、少なすぎる場合
長期の熱安定性が十分でなかった。
比較例7
ポリ塩化ビニル樹脂にPVAを添加しなかった
と以外は、実施例1と同様にして熱安定性、
着色性の評価を行った。評価結果を表1に示
。熱安定性が十分ではなかった。
比較例8、9
ステアリン酸亜鉛の配合量を表1に示すよう
に変更した以外は実施例1と同様にして、熱
定性、着色性の評価を行った。評価結果を
1に示す。いずれも熱安定性が不十分であり
シートが着色した。
比較例10~12
滑剤としてグリセリンモノステアレートを
塩化ビニル樹脂100重量部に対して0.5重量部
加した例である。表1に示すような処方で実
施例1と同様に混合して、熱安定性、着色性
評価を行った。評価結果を表1に示す。