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Patent Searching and Data


Title:
POLYVINYL CHLORIDE RESIN COMPOSITION AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154179
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a polyvinyl chloride resin composition containing, per 100 parts by weight of a polyvinyl chloride resin, 0.005-5 parts by weight of a vinyl alcohol polymer containing 0.01-15 mol% of a monomer unit having a specific polyoxyalkylene group in a side chain and having a saponification degree of 30-99.9 mol%, and 0.01-5 parts by weight of a zinc compound.  Also disclosed is a polyvinyl chloride resin composition containing, per 100 parts by weight of a polyvinyl chloride resin, 0.005-5 parts by weight of a vinyl alcohol polymer containing 0.5-18 mol% of an ethylene unit and having a saponification degree of a vinyl acetate unit of 30-99.9 mol%, and 0.01-5 parts by weight of a zinc compound.  The polyvinyl chloride resin compositions have excellent thermal stability during molding and can provide a molded body which rarely suffers from coloration.

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Inventors:
KATO MASAKI (JP)
TSUBOI AKIRA (JP)
NII SHINSUKE (JP)
NAKAMAE MASATO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060895
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
June 15, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KURARAY CO (JP)
KATO MASAKI (JP)
TSUBOI AKIRA (JP)
NII SHINSUKE (JP)
NAKAMAE MASATO (JP)
International Classes:
C08K3/10; C08L27/06; C08L29/04
Foreign References:
JPH0931281A1997-02-04
JP2005042008A2005-02-17
JPH11236419A1999-08-31
JP2002097210A2002-04-02
JP2007197605A2007-08-09
JPS5092947A1975-07-24
JPS5481359A1979-06-28
JPS57147552A1982-09-11
JPS60238345A1985-11-27
JPH01178543A1989-07-14
JPH06287387A1994-10-11
JPH093286A1997-01-07
JPH0931281A1997-02-04
JPH0549683B21993-07-27
JP2001019720A2001-01-23
Other References:
JAPANESE JOURNAL OF POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 47, no. 3, 1990, pages 197
JAPANESE JOURNAL OF POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 47, no. 6, 1990, pages 509
JAPANESE JOURNAL OF POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 50, no. 2, 1993, pages 65
POLYMERS & POLYMER COMPOSITES, vol. 11, 2003, pages 649
JOURNAL OF THE ADHESION SOCIETY OF JAPAN, vol. 43, no. 2, 2007, pages 43
JOURNAL OF POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 50, no. 2, 1993, pages 65
Attorney, Agent or Firm:
NAKATSUKASA, SHIGEKI (JP)
Shigeki Nakamu (JP)
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Claims:
 ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、側鎖に一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を0.01~15モル%含有し、けん化度が30~99.9モル%であるビニルアルコール系重合体を0.005~5重量部、および亜鉛化合物を0.01~5重量部含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物。
 ビニルアルコール系重合体および亜鉛化合物を、ポリ塩化ビニル樹脂に添加することによって含有させた請求項1に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。
 ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、側鎖に一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を0.01~15モル%含有し、けん化度が30~99.9モル%であるビニルアルコール系重合体0.005~5重量部、および亜鉛化合物0.01~5重量部をポリ塩化ビニル樹脂に添加するポリ塩化ビニル樹脂組成物の製造方法。
(式中R 1 は水素原子または炭素数1~2のアルキル基を表し、R 2 は水素原子または炭素数1~8のアルキル基を表し、nは1~100の整数を表す。)
 ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、エチレン単位の含有量が0.5~18モル%であり酢酸ビニル単位のけん化度が30~99.9モル%であるビニルアルコール系重合体を0.005~5重量部、および亜鉛化合物を0.01~5重量部含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物。
 ビニルアルコール系重合体および亜鉛化合物を、ポリ塩化ビニル樹脂に添加することによって含有させた請求項4に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。
 ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、エチレン単位の含有量が0.5~18モル%であり酢酸ビニル単位のけん化度が30~99.9モル%であるビニルアルコール系重合体0.005~5重量部、および亜鉛化合物0.01~5重量部をポリ塩化ビニル樹脂に添加するポリ塩化ビニル樹脂組成物の製造方法。
 ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して滑剤を0.001~10重量部含有する、請求項1、2、4、5のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。
 滑剤がポリオールの脂肪酸エステルである、請求項7に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。
 ポリオールの脂肪酸エステルがグリセリンモノステアレートである、請求項8に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。
 ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して滑剤0.001~10重量部を添加する、請求項3または6に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物の製造方法。
Description:
ポリ塩化ビニル樹脂組成物およ その製造方法

 本発明は、食品用、医療用、日用品等の 野で好適に使用されるポリ塩化ビニル樹脂 成物に関するものであり、更に記述すると 熱安定性が良く、着色が少ないポリ塩化ビ ル樹脂組成物に関するものである。

 ポリ塩化ビニル樹脂は、機械的強度、難 性、耐候性、耐薬品性等に優れた特性を有 ており、その成形体は一般用途に、さらに 食品用、医療用などの各種用途に幅広く利 されている。しかし、加熱成形加工の際に 脱塩化水素を主とする加熱分解を起こすと う欠点があったため、得られた成形体は機 的性質が低下したり、色調が悪くなったり るという問題があった。この問題を解決す ために、各種の金属石鹸類、有機錫化合物 鉛塩化合物、有機亜燐酸塩などの有機金属 を安定剤としてポリ塩化ビニル樹脂に配合 る方法が採用されている。これらの有機金 塩のうち、特に、カルシウム-亜鉛系安定剤 やバリウム-亜鉛系安定剤等の非毒性安定剤 、初期の熱安定性に優れているのでよく使 されている。

 しかしながら、上記カルシウム-亜鉛系安 定剤はポリ塩化ビニル樹脂の熱劣化を抑制す る能力がなお不十分であり、高温における長 期の熱安定性が十分でなかったため、成形品 の初期着色性を損ねたり、黒化現象を起こし たりするという問題点があった。このため、 これらの欠点を改良する手段として、酸化防 止剤を添加したり、水酸基を持つ化合物を添 加したりしたポリ塩化ビニル樹脂組成物が提 案されている。

 特許文献1(特開昭50-92947号公報)には、塩 含有樹脂に、カルシウムセッケンと、亜鉛 ッケンと、多価アルコールまたはその誘導 と中性の無機カルシウム塩とを添加する方 が開示されている。

 特許文献2(特開昭54-81359号公報)には、塩 含有重合体に水溶性重合体を添加する方法 開示されている。

 特許文献3(特開昭57-147552号公報)には、含 素樹脂にジペンタエリスリトールとジカル ン酸との反応縮合物、酸化亜鉛、炭酸亜鉛 たは脂肪酸亜鉛、ハイドロタルサイトを添 する方法が開示されている。

 特許文献4(特開昭60-238345号公報)には、熱 塑性樹脂に、エチレン単位の含有量20~50%、 酸ビニル単位の鹸化度96%以上のエチレン-酢 酸ビニル共重合体鹸化物、および、ハイドロ タルサイト系化合物を添加する方法が開示さ れている。

 特許文献5(特開平1-178543号公報)には、含 ロゲン熱可塑性樹脂に、金属石鹸、および エチレン含有量20~75モル%、酢酸ビニル部分 ケン化度50モル%以上の共重合組成物を有す エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物を添 する方法が開示されている。

 特許文献6(特開平6-287387号公報)には、塩 ビニル系樹脂に、有機酸の金属塩、ポリビ ルアルコールのアセタール化物を添加する 法が開示されている。

 特許文献7(特開平9-3286号公報)には、塩化 ニル系樹脂に、けん化度70~95モル%、平均重 度300~2000で、かつ分子鎖末端にメルカプト を有する部分けん化ポリビニルアルコール 添加する方法が開示されている。

 特許文献8(特開平9-31281号公報)には、塩化 ビニル系樹脂に、亜鉛化合物、ハイドロタル サイト類、ポリビニルアルコール、および、 ポリメチルメタクリレートを添加する方法が 開示されている。

 非特許文献1(高分子論文集 Vol.47, No.3, 19 7 (1990))には、ポリ塩化ビニルに、ステアリ 酸亜鉛-ステアリン酸カルシウム複合石けん 重合度が600以上の完全けん化ポリビニルア コールを添加する方法が開示されている。

 非特許文献2(高分子論文集 Vol.47, No.6, 50 9 (1990))には、ポリ塩化ビニルに、ステアリ 酸亜鉛-ステアリン酸カルシウム複合石けん 重合度が500、けん化度が73.6モル%の部分け 化ポリビニルアルコールを添加する方法が 示されている。

 非特許文献3(高分子論文集 Vol.50, No.2,65(1 993))には、ポリ塩化ビニルに、ステアリン酸 鉛-ステアリン酸カルシウム複合石けん、エ チレン含有量が29モル%以上のエチレン-ビニ アルコール共重合体を添加する方法が開示 れている。

 非特許文献4(Polymers & Polymer Composites, Vol.11, 649 (2003))には、ポリ塩化ビニルに、 テアリン酸亜鉛-ステアリン酸カルシウム複 石けん、重合度が500、けん化度が98.5モル% ポリビニルアルコールやエチレン含有量が29 モル%以上のエチレン-ビニルアルコール共重 体を添加する方法が開示されている。

 非特許文献5(日本接着学会誌 Vol.43 No.2,43 (2007))には、ポリ塩化ビニルに、重合度が500 けん化度が88モル%のポリビニルアルコール 重合度が1700、けん化度が78モル%以上のポリ ニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル 添加する方法が開示されている。

 しかしながら、特許文献1~8及び非特許文 1~5に記載されたポリ塩化ビニル樹脂組成物 は、長期の熱安定性が十分でなかったり、 色したりするという問題を有していた。

特開昭50-92947号公報

特開昭54-81359号公報

特開昭57-147552号公報

特開昭60-238345号公報

特開平1-178543号公報

特開平6-287387号公報

特開平9-3286号公報

特開平9-31281号公報

高分子論文集 Vol.47,No.3,197 (1990) 高分子論文集 Vol.47,No.6,509 (1990) 高分子論文集 Vol.50,No.2,65 (1993) Polymers & Polymer Composites, Vol.11,649 (20 03) 日本接着学会誌 Vol.43,No.2,43 (2007)

 本発明は、成形時の熱安定性に優れ、着 の少ない成形体が得られる塩化ビニル樹脂 成物を提供することを目的とするものであ 。

 本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ポ 塩化ビニル樹脂に対して、側鎖に一般式(1) 表されるポリオキシアルキレン基を有する 量体単位を0.01~15モル%含有し、けん化度が30 ~99.9モル%であるビニルアルコール系重合体を 特定量配合することにより、該ポリ塩化ビニ ル樹脂組成物に亜鉛化合物からなる安定剤を 添加した場合に、成形時の熱安定性を十分保 持することができ、かつ成形体の着色が少な いことを見出し、第一の発明を完成するに至 った。

 すなわち、第一の発明は、ポリ塩化ビニル 脂100重量部に対して、側鎖に一般式(1)で表 れるポリオキシアルキレン基を有する単量 単位を0.01~15モル%含有し、けん化度が30~99.9 ル%であるビニルアルコール系重合体を0.005~ 5重量部、および亜鉛化合物を0.01~5重量部含 するポリ塩化ビニル樹脂組成物である。
(式中R 1 は水素原子または炭素数1~2のアルキル基を表 し、R 2 は水素原子または炭素数1~8のアルキル基を表 し、nは1~100の整数を表す。)

 このとき、ビニルアルコール系重合体お び亜鉛化合物を、ポリ塩化ビニル樹脂に添 することによって含有させることが好まし 。

 また、ポリ塩化ビニル樹脂に対して、エ レン単位の含有量が0.5~18モル%であり、酢酸 ビニル単位のけん化度が30~99.9モル%であるビ ルアルコール系重合体を特定量配合するこ により、該ポリ塩化ビニル樹脂組成物に亜 化合物からなる安定剤を添加した場合にも 成形時の熱安定性を十分保持することがで 、成形体の着色が少ないことを見出し、第 の発明を完成するに至った。

 すなわち、第二の発明は、ポリ塩化ビニ 樹脂100重量部に対して、エチレン単位の含 量が0.5~18モル%であり酢酸ビニル単位のけん 化度が30~99.9モル%であるビニルアルコール系 合体を0.005~5重量部、および亜鉛化合物を0.0 1~5重量部含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物 である。

 このとき、ビニルアルコール系重合体お び亜鉛化合物を、ポリ塩化ビニル樹脂に添 することによって含有させることが好まし 。

 また、上記各発明において、ポリ塩化ビ ル樹脂100重量部に対して滑剤を0.001~10重量 含有することが好適である。このとき、滑 がポリオールの脂肪酸エステルであること 好ましく、グリセリンモノステアレートで ることが特に好ましい。

 また、上記課題は、ポリ塩化ビニル樹脂100 量部に対して、側鎖に一般式(1)で表される リオキシアルキレン基を有する単量体単位 0.01~15モル%含有し、けん化度が30~99.9モル%で あるビニルアルコール系重合体0.005~5重量部 および亜鉛化合物0.01~5重量部をポリ塩化ビ ル樹脂に添加するポリ塩化ビニル樹脂組成 の製造方法を提供することによっても解決 れる。
(式中R 1 は水素原子または炭素数1~2のアルキル基を表 し、R 2 は水素原子または炭素数1~8のアルキル基を表 し、nは1~100の整数を表す。)

 さらに、上記課題は、ポリ塩化ビニル樹 100重量部に対して、エチレン単位の含有量 0.5~18モル%であり酢酸ビニル単位のけん化度 が30~99.9モル%であるビニルアルコール系重合 0.005~5重量部、および亜鉛化合物0.01~5重量部 をポリ塩化ビニル樹脂に添加するポリ塩化ビ ニル樹脂組成物の製造方法を提供することに よっても解決される。

 このとき、各製造方法において、ポリ塩 ビニル樹脂100重量部に対して滑剤0.001~10重 部を添加することが好ましい。

 以下、ビニルアルコール系重合体をPVAと することがある。また、側鎖に一般式(1)で されるポリオキシアルキレン基を有する単 体単位を含有するビニルアルコール系重合 を、POA変性PVAと略することがある。また、 チレン単位を含有するビニルアルコール系 合体を、エチレン変性PVAと略することがあ 。さらに、POA変性PVAおよびエチレン変性PVA 合わせて単に変性PVAと略することがある。

 本発明の樹脂組成物を用いた場合には、 形時の熱安定性が良く、成形体の着色が少 いという効果を達成することができる。

 本発明で用いられるポリ塩化ビニル樹脂 製造する原料としては、塩化ビニル単量体 他、塩化ビニル単量体を主体とし、これと 重合可能な単量体との混合物(塩化ビニル単 量体が50重量%以上)が使用される。なお、こ 塩化ビニル単量体と共重合される単量体と ては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等 ビニルエステル、アクリル酸メチル、アク ル酸エチル等のアクリル酸エステルもしく メタアクリル酸エステル、エチレン、プロ レン等のオレフィン、無水マレイン酸、ア リロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン どが挙げられる。

 また、これらの単量体を用いて上記ポリ 化ビニル樹脂を製造する方法としては、該 量体を重合開始剤の存在下で懸濁重合する 法を好適に採用することができ、その際に 、通常使用されている分散安定剤、例えば メチルセルロース、ヒドロキシエチルセル ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ ロキシプロピルメチルセルロースなどの水 性セルロースエーテル、ポリビニルアルコ ル、ゼラチンなどの水溶性ポリマー;ソルビ タンモノラウレート、ソルビタントリオレー ト、グリセリントリステアレート、エチレン オキサイドプロピレンオキサイドブロックコ ポリマーなどの油溶性乳化剤;ポリオキシエ レンソルビタンモノラウレート、ポリオキ エチレングリセリンオレート、ラウリン酸 トリウムなどの水溶性乳化剤等が用いられ 。その中でも、けん化度65~99モル%、重合度50 0~4000のポリビニルアルコールが好適に用いら れ、その添加量は塩化ビニル100重量部当たり 0.01~2.0重量部が好ましい。懸濁重合用分散安 剤は単独で使用しても良く、塩化ビニルな のビニル系化合物を水性媒体中で懸濁重合 る際に通常使用される、重合度100~4000及び ん化度30~99モル%のポリビニルアルコール系 合体が好適に使用される。その添加量は特 制限されないが、塩化ビニルなどのビニル 化合物100重量部当たり0.01~2.0重量部が好まし い。

 重合に使用される開始剤としては、従来 ら塩化ビニル単量体等の重合に使用されて る、油溶性または水溶性の重合開始剤を用 ることができる。油溶性の重合開始剤とし は、例えば、ジイソプロピルパーオキシジ ーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキ ジカーボネート、ジエトキシエチルパーオ シジカーボネート等のパーカーボネート化 物;t-ブチルパーオキシネオデカネート、t- チルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパー オキシピバレート、α-クミルパーオキシネオ デカネート等のパーエステル化合物;アセチ シクロヘキシルスルホニルパーオキサイド 2,4,4-トリメチルペンチル-2-パーオキシフェ キシアセテート、3,5,5-トリメチルヘキサノ ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ ド等の過酸化物;アゾビス-2,4-ジメチルバレ ニトリル、アゾビス(4-2,4-ジメチルバレロニ リル)等のアゾ化合物等が挙げられる。水溶 性の重合開始剤としては、例えば過硫酸カリ ウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、ク メンハイドロパーオキサイド等が挙げられる 。これらの油溶性あるいは水溶性の重合開始 剤は単独で、または2種類以上を組合せて用 ることができる。

 重合に際し、必要に応じて、重合反応系 その他の各種添加剤を加えることができる 添加剤としては、例えば、アルデヒド類、 ロゲン化炭化水素類、メルカプタン類など 重合調節剤、フェノール化合物、イオウ化 物、N-オキサイド化合物などの重合禁止剤 どが挙げられる。また、pH調整剤、架橋剤な ども任意に加えることができる。

 重合に際し、重合温度には特に制限はな 、20℃程度の低い温度はもとより、90℃を超 える高い温度に調整することもできる。また 、重合反応系の除熱効率を高めるために、リ フラックスコンデンサー付の重合器を用いる ことも好ましい実施態様の一つである。

 重合には、必要に応じて、重合に通常使 される防腐剤、防黴剤、ブロッキング防止 、消泡剤、スケール防止剤、帯電防止剤等 添加剤を任意に添加することができる。

 ここで、第一の発明において用いられるP OA変性PVAについて説明する。POA変性PVAは、側 に一般式(1)で表されるポリオキシアルキレ 基を有する単量体単位を0.01~15モル%含有し いることが必要である。

 式中、R 1 は水素原子または炭素数1~2のアルキル基を表 し、R 2 は水素原子または炭素数1~8のアルキル基を表 し、nは1~100の整数を表す。R 2 は水素原子または炭素数1~4のアルキル基が好 ましい。nは3~20であることが好ましい。

 一般式(1)で表されるポリオキシアルキレ 基を有する単量体単位の含有量は0.01~15モル %である必要があり、0.02~12モル%であることが 好ましく、0.05~10モル%がさらに好ましい。該 有量が0.01モル%未満の場合は、長期の熱安 性が低下するため好ましくない。また該含 量が15モル%を超える場合も、長期の熱安定 が低下するため好ましくない。

 該POA変性PVAの製造方法として、末端にア ル基を有するポリオキシアルキレンやポリ キシアルキレンの(メタ)アクリル酸エステ あるいは窒素原子上にポリオキシアルキレ 基を有する(メタ)アクリル酸アミドといった オキシアルキレン基を有する不飽和単量体存 在下に、酢酸ビニル等のビニルエステル類を 重合し、次いでけん化する方法が好ましい( 公平5-49683号公報あるいは特開2001-19720号公報 参照)。

 一般式(1)で示されるポリオキシアルキレ 基を有する不飽和単量体としては、例えば 下記一般式(2)および(3)で示される不飽和単 体などが挙げられる。

 式中、R 1 は水素原子または炭素数1~2のアルキル基を表 す。R 2 は水素原子または炭素数1~8のアルキル基を表 す。nは1~100の整数を表す。R 3 は水素原子または-COOM基であり、ここでMは水 素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基 を意味する。R 4 は水素原子、メチル基または-CH 2 -COOM基であり、ここでMは前記定義のとおりで ある。Xは-O-、-CH 2 -O-、-CO-、-CO-O-または-CO-NR 5 -であり、ここでR 5 は水素原子または炭素数1~4の飽和アルキル基 を意味する。nは3~20であることが好ましい。

 一般式(2)で示される不飽和単量体のR 2 としては水素原子または炭素数1~4のアルキル 基が好ましく、水素原子、メチル基またはブ チル基がより好ましく、水素原子またはメチ ル基がさらに好ましい。さらに、R 1 が水素原子またはメチル基またはエチル基で あり、R 2 が水素原子またはメチル基であり、R 3 が水素原子であることが特に好ましい。

 例えば、R 2 が水素原子、R 3 が水素原子の場合、一般式(2)で示される不飽 和単量体として具体的には、ポリオキシエチ レンモノアクリレート、ポリオキシエチレン モノメタクリレート、ポリオキシエチレンモ ノアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンモ ノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレン モノアリルエーテル、ポリオキシエチレンモ ノメタアリルエーテル、ポリオキシエチレン モノビニルエーテル、ポリオキシプロピレン モノアクリレート、ポリオキシプロピレンモ ノメタクリレート、ポリオキシプロピレンモ ノアクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン モノメタクリル酸アミド、ポリオキシプロピ レンモノアリルエーテル、ポリオキシプロピ レンモノメタアリルエーテル、ポリオキシプ ロピレンモノビニルエーテル、ポリオキシブ チレンモノアクリレート、ポリオキシブチレ ンモノメタクリレート、ポリオキシブチレン モノアクリル酸アミド、ポリオキシブチレン モノメタクリル酸アミド、ポリオキシブチレ ンモノアリルエーテル、ポリオキシブチレン モノメタアリルエーテル、ポリオキシブチレ ンモノビニルエーテルなどが挙げられる。な かでも、ポリオキシエチレンモノアクリル酸 アミド、ポリオキシエチレンモノメタクリル 酸アミド、ポリオキシエチレンモノビニルエ ーテル、ポリオキシプロピレンモノアクリル 酸アミド、ポリオキシプロピレンモノメタク リル酸アミド、ポリオキシプロピレンモノビ ニルエーテル、ポリオキシブチレンモノアク リル酸アミド、ポリオキシブチレンモノメタ クリル酸アミド、ポリオキシブチレンモノビ ニルエーテルが好適に用いられ、ポリオキシ エチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキ シエチレンモノビニルエーテル、ポリオキシ ブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキ シブチレンモノビニルエーテルが特に好適に 用いられる。

 R 2 が炭素数1~8のアルキル基の場合、一般式(2)で 示される不飽和単量体としては、上記のR 2 が水素原子の場合に例示した不飽和単量体の 末端のOH基が炭素数1~8のアルコキシ基に置換 れたものが挙げられる。なかでも、ポリオ シエチレンモノメタクリル酸アミド、ポリ キシエチレンモノビニルエーテル、ポリオ シブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリ キシブチレンモノビニルエーテルの末端のO H基がメトキシ基に置換された不飽和単量体 好適に用いられ、ポリオキシエチレンモノ タクリル酸アミド、ポリオキシブチレンモ メタクリル酸アミドの末端のOH基がメトキシ 基に置換された不飽和単量体が特に好適に用 いられる。

 式中、R 1 は水素原子または炭素数1~2のアルキル基を表 す。R 2 は水素原子または炭素数1~8のアルキル基を表 す。nは1~100の整数を表す。R 3 は水素原子または-COOM基であり、ここでMは水 素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基 を意味する。R 4 は水素原子、メチル基または-CH 2 -COOM基であり、ここでMは前記定義のとおりで ある。R 6 は水素原子またはメチル基であって、R 1 とは異なる官能基である。mは1~10の整数であ 。Xは-O-、-CH 2 -O-、-CO-、-CO-O-または-CO-NR 5 -であり、ここでR 5 は水素原子または炭素数1~4の飽和アルキル基 を意味する。nは3~20であることが好ましい。

 一般式(3)で示される不飽和単量体のR 1 としては炭素数1~2のアルキル基が好ましい。 R 2 としては水素原子または炭素数1~4のアルキル 基が好ましく、水素原子、メチル基またはブ チル基がより好ましく、水素原子またはメチ ル基がさらに好ましい。R 6 は水素原子であることが好ましい。さらに、 R 1 がメチル基またはエチル基であり、R 2 が水素原子またはメチル基であり、R 3 が水素原子であり、R 6 が水素原子であることが特に好ましい。

 例えば、一般式(3)のR 1 がメチル基またはエチル基、R 2 が水素原子、R 3 が水素原子、R 6 が水素原子の場合、一般式(3)で示される不飽 和単量体として具体的には、ポリオキシエチ レンポリオキシプロピレンモノアクリレート 、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン モノメタクリレート、ポリオキシエチレンポ リオキシプロピレンモノアクリル酸アミド、 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモ ノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモ ノメタアリルエーテル、ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレンモノビニルエーテル、 ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノ アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキ シブチレンモノメタクリレート、ポリオキシ エチレンポリオキシブチレンモノアクリル酸 アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチ レンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエ チレンポリオキシブチレンモノアリルエーテ ル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレン モノメタアリルエーテル、ポリオキシエチレ ンポリオキシブチレンモノビニルエーテルな どが挙げられる。なかでも、ポリオキシエチ レンポリオキシブチレンモノアクリル酸アミ ド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレン モノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレ ンポリオキシブチレンモノビニルエーテルが 好適に用いられ、ポリオキシ
エチレンポリオキシブチレンモノメタクリル 酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブ チレンモノビニルエーテルが特に好適に用い られる。

 R 2 が炭素数1~8のアルキル基の場合、一般式(3)で 示される不飽和単量体としては、上記のR 2 が水素原子の場合に例示した不飽和単量体の 末端のOH基が炭素数1~8のアルコキシ基に置換 れたものが挙げられる。なかでも、ポリオ シエチレンポリオキシブチレンモノメタク ル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキ ブチレンモノビニルエーテルの末端のOH基 メトキシ基に置換された不飽和単量体が好 に用いられ、ポリオキシエチレンポリオキ ブチレンモノメタクリル酸アミドの末端のOH 基がメトキシ基に置換された不飽和単量体が 特に好適に用いられる。

 次に、第二の発明で用いるエチレン変性P VAについて説明する。エチレン変性PVAのエチ ン単位の含有量(エチレン変性量と言うこと がある)は0.5~18モル%であり、好ましくは1~15モ ル%である。エチレン単位の含有量が0.5モル% 満の場合、ポリ塩化ビニル樹脂が着色し、 チレン単位の含有量が18モル%を超えると長 の熱安定性が著しく低下するため好ましく い。

 エチレン単位の含有量は、エチレン変性P VAの前駆体であるエチレン単位を含有するポ ビニルエステルのプロトンNMRから求める。 ず、得られたポリビニルエステルをn-ヘキ ン/アセトンで再沈精製を3回以上十分に行っ た後、80℃での減圧乾燥を3日間して分析用の ポリビニルエステルを作成する。次いで、該 ポリビニルエステルをDMSO-D6に溶解し、500MHz プロトンNMR(JEOL GX-500)を用いて80℃で測定す 。ビニルエステルの主鎖メチンに由来する ーク(4.7~5.2ppm)とエチレン、ビニルエステル よび第3成分の主鎖メチレンに由来するピー ク(0.8~1.6ppm)を用いてエチレン単位の含有量を 算出する。

 本発明のポリ塩化ビニル樹脂組成物に含 されるPOA変性またはエチレン変性PVAは、例 ば、ポリ塩化ビニル樹脂を重合した後に該 リ塩化ビニル樹脂に添加することによって 有させることができる。該変性PVAは粉とし 、あるいは、水または有機溶剤に溶解させ ポリ塩化ビニル樹脂に添加することができ 。該変性PVAをポリ塩化ビニル樹脂重合時に 加すると、該変性PVAがポリ塩化ビニル樹脂 分散剤として作用するため、得られるポリ 化ビニル樹脂が有する平均粒子径や可塑剤 収性等の品質に影響を及ぼすことがあり、 に悪影響となることがある。

 POA変性PVAのけん化度は30~99.9モル%であり 好ましくは40~98.5モル%であり、特に好ましく は50~96モル%である。けん化度が30モル%より小 さい場合、長期の熱安定性が低下するため好 ましくない。なお、POA変性PVAのけん化度はJIS  K6726に従って測定した値である。

 エチレン変性PVAの酢酸ビニル単位のけん 度は30~99.9モル%であり、好ましくは、35~98.5 ル%であり、特に好ましくは40~96モル%である 。けん化度が30モル%未満であると、長期の熱 安定性が著しく低下するため好ましくない。 なお、酢酸ビニル単位のけん化度とは、エチ レン変性PVAの各単位のうちエチレン単位など の共重合単位を除いた酢酸ビニル単位のけん 化度を言い、けん化度はJIS K6726に従って測 した値である。

 上記POA変性PVAの粘度平均重合度(以下単に 重合度と言うことがある)の上限は、通常5000 下であり、好ましくは3000以下であり、特に 好ましくは1000以下である。粘度平均重合度 5000より大きいと、長期の熱安定性が著しく 下するため好ましくない。粘度平均重合度 下限については特に制限はないが、POA変性P VAの製造上の観点から、粘度平均重合度は50 上が好ましく、100以上がより好ましい。

 エチレン変性PVAの粘度平均重合度(以下単 に重合度と言うことがある)は50~3000であり、 ましくは100~2800であり、特に好ましくは150~2 500である。粘度平均重合度が50未満の場合、 チレン変性PVAの製造上の観点から好ましく い。粘度平均重合度が3000を超えると長期の 熱安定性が著しく低下するため好ましくない 。

 なお、POA変性またはエチレン変性PVAの粘度 均重合度はJIS K6726に従って測定した値であ る。すなわち、変性PVAをけん化度99.5モル%以 に再けん化し、精製した後、30℃の水中で 定した極限粘度[η]から次式により求めるこ ができる。
  粘度平均重合度=([η]×1000/8.29) (1/0.62)

 本発明において、変性PVAは単独で使用し も、あるいは特性の異なる2種以上を混合し て使用してもよい。

 変性PVAは、ビニルエステル系単量体と、 チレンまたは側鎖に一般式(1)で表されるポ オキシアルキレン基を有する単量体とを、 状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化 合法、分散重合法等の従来公知の方法を採 して重合させ、得られたビニルエステル系 合体をけん化することにより製造すること できる。工業的観点から好ましい重合方法 、溶液重合法、乳化重合法および分散重合 である。重合操作にあたっては、回分法、 回分法および連続法のいずれの重合方式を 用することも可能である。なお、POA変性PVA 、あらかじめ無変性のPVAを重合してから、 ポキシ化合物などを用いてPOA基を側鎖にグ フト化することで得ることも可能である。

 重合に用いることができるビニルエステ 系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、 酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル ビニル、バーサチック酸ビニルなどを挙げ ことができ、これらの中でも酢酸ビニルが 業的観点から好ましい。

 POA変性PVAにおいて、ビニルエステル系単 体の重合に際して、本発明の主旨を損なわ い範囲であれば、側鎖に一般式(1)で表され ポリオキシアルキレン基を有する単量体以 の他の単量体をビニルエステル系単量体と 重合させても差し支えない。また、エチレ 変性PVAにおいても、エチレンとビニルエス ル系単量体との共重合に際して、本発明の 旨を損なわない範囲であれば、エチレン以 の他の単量体をさらに共重合させても差し えない。使用しうる単量体としては、例え 、プロピレン、n-ブテン、イソブチレンな のα-オレフィン;アクリル酸およびその塩、 クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク ル酸n-プロピル、アクリル酸i-プロピル、ア クリル酸n-ブチル、アクリル酸i-ブチル、ア リル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシ 、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタ シルなどのアクリル酸エステル類;メタクリ ル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メ クリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、 メタクリル酸i-プロピル、メタクリル酸n-ブ ル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル酸t- チル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メ クリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデ ルなどのメタクリル酸エステル類;アクリル ミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルア クリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミ プロパンスルホン酸およびその塩、アクリ アミドプロピルジメチルアミンおよびその またはその4級塩、N-メチロールアクリルア ドおよびその誘導体などのアクリルアミド 導体;メタクリルアミド、N-メチルメタクリ アミド、N-エチルメタクリルアミド、メタク リルアミドプロパンスルホン酸およびその塩 、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン およびその塩またはその4級塩、N-メチロール メタクリルアミドおよびその誘導体などのメ タクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテ 、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニル エーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブ ルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル 、t-ブチルビニルエーテル、ドデシルビニル ーテル、ステアリルビニルエーテルなどの ニルエーテル類;アクリロニトリル、メタク リロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩 ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロ ン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリル などのアリル化合物;マレイン酸、イタコン 、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およ その塩またはそのエステル;ビニルトリメト シシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イ ソプロペニルなどが挙げられる。

 また、重合に際して、得られる変性PVAの 合度を調節することなどを目的として、連 移動剤を共存させても差し支えない。連鎖 動剤としては、アセトアルデヒド、プロピ ンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズ ルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メ チルエチルケトン、ヘキサノン、シクロヘキ サノンなどのケトン類;2-ヒドロキシエタンチ オール、ドデシルメルカプタンなどのメルカ プタン類;トリクロロエチレン、パークロロ チレンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げ れ、中でもアルデヒド類およびケトン類が 適に用いられる。連鎖移動剤の添加量は、 加する連鎖移動剤の連鎖移動定数および目 とする変性PVAの重合度に応じて決定される 、一般にビニルエステル系単量体に対して0. 1~10重量%が望ましい。

 本発明では、ビニルエステル系単量体を 常よりも高い温度条件で重合して得られる1 ,2-グリコール結合の含有量の多い変性PVAを用 いることもできる。この場合、1,2-グリコー 結合の含有量は、好ましくは1.9モル%以上、 り好ましくは2.0モル%以上、さらに好ましく は2.1モル%以上である。

 ビニルエステル系重合体のけん化反応に 、従来公知の水酸化ナトリウム、水酸化カ ウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基性 媒、またはp-トルエンスルホン酸などの酸 触媒を用いた、加アルコール分解ないし加 分解反応が適用できる。けん化反応に用い れる溶媒としては、メタノール、エタノー などのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチ などのエステル類;アセトン、メチルエチル ケトンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン どの芳香族炭化水素などが挙げられ、これ は単独で、または2種以上を組合せて用いる とができる。中でも、メタノールまたはメ ノールと酢酸メチルとの混合溶液を溶媒と て用い、塩基性触媒である水酸化ナトリウ の存在下にけん化反応を行うのが簡便であ 好ましい。

 ポリ塩化ビニル樹脂組成物中の変性PVAの 有量は、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対 て0.005~5重量部であり、好ましくは0.04~3重量 部である。0.005重量部未満では、長期の熱安 性が十分でなく、5重量部を超えると、ポリ 塩化ビニル樹脂が着色し好ましくない。

 本発明で用いられるPOA変性PVAをポリ塩化 ニル樹脂の重合時に添加した場合では、ポ 塩化ビニル樹脂製造後の樹脂洗浄により該P OA変性PVAがほとんど除去されてしまうため、 リ塩化ビニル樹脂組成物中のPOA変性PVAの含 量は0.005重量部未満となり、熱安助剤とし の効果は得られない。この点は、エチレン 性PVAにおいても同様である。

 本発明では、変性PVAが、25℃におけるpKa 3.5~5.5の酸および/またはその金属塩を含有し てもよい。酸の種類についてとくに制限はな く、その具体例として、酢酸(pKa4.76)、プロピ オン酸(pKa4.87)、酪酸( pKa4.63)、オクタン酸(pKa 4.89)、アジピン酸(pKa5.03)、安息香酸(pKa4.00)、 酸(pKa3.55)、吉草酸(pKa4.63)、ヘプタン酸(pKa4.6 6)、乳酸(pKa3.66)、フェニル酢酸(pKa4.10)、イソ 酸(pKa4.63)、シクロヘキサンカルボン酸(pKa4.7 0)などを挙げることができる。とくに好まし 用いることができる酸は、酢酸、プロピオ 酸、および乳酸である。また、上記の酸の 属塩を用いることもできる。金属塩の種類 しては特に制限はないが、通常、ナトリウ 、カリウム、マグネシウム、カルシウム等 アルカリ金属塩が用いられる。

 pKaが3.5~5.5の酸および/またはその金属塩 含有量は、変性PVA100重量部に対して0.05~5重 部の割合が好ましく、より好ましくは0.1~3重 量部、さらに好ましくは0.15~2重量部である。 変性PVAに対する酸および/またはその金属塩 含有量が0.05重量部未満の場合、長期の熱安 性が低下し、5重量部を超えると、ポリ塩化 ビニル樹脂が着色するおそれがある。

 なお、該酸および/またはその金属塩を所 定量含有させる方法は特に問わず、例えば、 変性PVAを製造する時のけん化で用いるアルカ リ触媒の種類や量などを調整する方法、変性 PVA製造後に該酸および/またはその金属塩を 加したり、除去したりする方法が挙げられ 。

 本発明で用いる亜鉛化合物としては、ス アリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛やオレイン 亜鉛等の亜鉛の脂肪族カルボン酸塩や、安 香酸亜鉛、p-第三ブチル安息香酸亜鉛等の 香族カルボン酸亜鉛、アミノ酸亜鉛塩、リ 酸エステル亜鉛塩のような有機酸の亜鉛塩 酸化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機亜鉛塩などが げられる。上記亜鉛化合物の添加量は、ポ 塩化ビニル樹脂100重量部に対して0.01~5重量 であり、好ましくは0.05~3重量部である。上 添加量が0.01重量部未満では、十分な熱安定 効果は得られず、5重量部を超えると塩化ビ ニル樹脂組成物の成形品が黒化するため好ま しくない。該亜鉛化合物は、ポリ塩化ビニル 樹脂を重合した後に該ポリ塩化ビニル樹脂に 添加することによって含有させることができ る。

 本発明のポリ塩化ビニル樹脂組成物は、 常用いられる安定剤、フェノール系酸化防 剤、リン系酸化防止剤、光安定剤、紫外線 収剤、防曇剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤 改質剤、強化剤、顔料、発泡剤、可塑剤等 併用することができる。また、本発明のポ 塩化ビニル樹脂組成物には、その機械的特 を損なわない範囲であれば、他の樹脂を混 してもよい。

 上記滑剤としては、流動パラフィン、天 パラフィン、マイクロワックス、ポリエチ ンワックスなどの炭化水素;ステアリン酸、 ラウリン酸などの脂肪酸;ステアリン酸アミ 、パルミチン酸アミド、メチレンビスステ ロアミド、エチレンビスステアロアミドな の脂肪酸アミド;ブチルステアレートなどの ノアルコールの脂肪酸エステル;硬化ひまし 油、エチレングリコールモノステアレート、 グリセリンモノステアレート、トリエチレン グリコールジ-2-エチルヘキサノエートなどの ポリオールの脂肪酸エステル;セチルアルコ ルやステアリルアルコールなどのアルコー が挙げられる。中でも、ポリオールの脂肪 エステルを用いた場合、本発明の効果が一 発現する。このとき、ポリオールの脂肪酸 ノエステルであることが好ましく、グリセ ンの脂肪酸エステルであることも好ましい また、脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数が8~ 22であることが好ましく、ステアリン酸エス ルであることがさらに好ましい。これらの でも、グリセリンモノステアレートが特に 適である。上記滑剤の添加量は、ポリ塩化 ニル樹脂100重量部に対して、好ましくは0.00 1~10重量部、さらに好ましくは0.05~5重量部で る。

 上記安定剤としては、周知のものを用い ことができ、具体的には、カルシウム石鹸 バリウム石鹸等のアルカリ土類金属の石鹸 アルミニウム石鹸、有機リン酸金属塩等の 機金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金 炭酸塩、ゼオライト等の無機複合金属塩等 無機金属塩、塩素酸バリウム、過塩素酸バ ウム、過塩素酸ナトリウム等のハロゲン酸 酸塩、β-ジケトン、多価アルコール、エポ シ化合物等の非金属安定剤が挙げられる。

 また、上記可塑剤としては、例えば、フ ル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、 ジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸など 酸とn-プロパノール、イソプロパノール、n- ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノー 、n-ペンタノール、イソペンタノール、tert- ペンタノール、n-ヘキサノール、イソヘキサ ール、n-ヘプタノール、イソヘプタノール n-オクタノール、イソオクタノール、2-エチ ヘキサノール、n-ノナノール、イソノナノ ル、n-デカノール、イソデカノール、ラウリ ルアルコール、ミリスチルアルコール、パル ミチルアルコール、ステアリルアルコールな どの直鎖および分岐のアルキルアルコール単 独または混合物からなるエステルやブタンジ オールとアジピン酸のエステルのようなエス テル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ アマニ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ アマニ油脂肪酸ブチル、オクチルエポキシ テアレート、エポキシトリグリセライド、 ポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル エピクロルヒドリンとビスフェノールAの低 子量反応性生物樹脂のようなエポキシ系可 剤;トリクレジルホスフェート、トリキシレ ニルホスフェート、モノブチルジキシレニル ホスフェート、トリオクチルホスフェートな どのリン酸エステル系可塑剤などが挙げられ る。

 上記フェノール系酸化防止剤としては、 常用いられるものであればいずれでもよく 例えば、2,6-ジ第三ブチル-p-クレゾール、2,6 -ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール ステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフ ェニル)-プロピオネート、ジステアリル(3,5- 第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネ ト、チオジエチレングリコールビス〔(3,5- 第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオ ート〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第 ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネー ト〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第三ブ チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ア ド〕、4,4’-チオビス(6-第三ブチル-m-クレゾ ル)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-第三ブ ルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル -6-第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3-ビス(4- ドロキシ-3-第三ブチルフェニル)ブチリック アジッド〕グリコールエステル、2,2’-エチ デンビス(4,6-ジ第三ブチルフェノール)、2,2 エチリデンビス(4-第二ブチル-6-第三ブチル ェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキ -5-第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2-第 ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチ -5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレー ト、1,3,5-トリス(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキ ベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5- リス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニ ル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌ ート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ第三ブ チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート メタン、2第三ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロ ルオキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フ ェノール、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{(3-第三ブ チル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピ ニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサス ピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコ ールビス〔(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチ ルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられ 。上記フェノール系酸化防止剤の添加量は ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、好 しくは0.01~5重量部、更に好ましくは0.1~3重量 部である。

 上記リン系酸化防止剤としては、通常用 られるものであればいずれでもよく、例え 、トリスノニルフェニルホスファイト、ト ス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト トリス〔2-第三ブチル-4-(3-第三ブチル-4-ヒ ロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェ ル〕ホスファイト、トリデシルホスファイ 、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デ シル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデ ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、 ジステアリルペンタエリスリトールジホスフ ァイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリ ールジホスファイト、ビス(2,4-ジ第三ブチ フェニル)ペンタエリスリトールジホスファ ト、ビス(2,6-ジ第三ブチル-4-メチルフェニ )ペンタエリスリトールジホスファイト、ビ (2,4,6-トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリ リトールジホスファイト、テトラ(トリデシ )イソプロピリデンジフェノールジホスファ イト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデン ビス(2-第三ブチル-5-メチルフェノール)ジホ ファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2 -メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル) タントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ 三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナ ト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフ ナンスレン-10-オキサイド、2,2’-メチレン ス(4-メチル-6-第三ブチルフェニル)-2-エチル キシルホスファイト等があげられる。上記 ン系酸化防止剤の添加量は、ポリ塩化ビニ 樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.001~5 重量部、更に好ましくは0.005~3重量部である

 上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4- ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ- 4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- クトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビ (2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)な どの2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2-ヒド キシ-5-第三オクチルフェニル)ベンゾトリア ゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ第三ブチルフ ニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒ ロキシ-3-第三ブチル-5-メチルフェニル)-5-ク ロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5- ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2 -メチレンビス(4-第三オクチル-6-ベンゾトリ ゾリル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-3-第三 チル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾ ールのポリエチレングリコールエステルなど の2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾー ル類;フェニルサリシレートレゾルシノール ノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル- 3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート ヘキサデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ ベンゾエートなどのベンゾエート類;2-エチル -2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’- デシルオキザニリドなどの置換オキザニリ 類;エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリ ート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキ フェニル)アクリレートなどのシアノアクリ レート類などが挙げられる。上記紫外線吸収 剤の添加量は、塩化ビニル100重量部に対して 、好ましくは0.005~10重量部、更に好ましくは0 .01~5重量部である。

 上記光安定剤としては、例えば、2,2,6,6- トラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2 ,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート 2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエ ト、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル) バケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピ リジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テト メチル-4-ピペリジル)ブタンテトラカルボキ シレート、テトラテス(1,2,2,6,6-ペンタメチル- 4-ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート 、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキ レート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ヒド キシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシ チル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール/ コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6- トラエチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジ ブロモエタン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テト メチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジ ロロ-6-モノホリノ-s-トリアジン重縮合物、1, 6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピレリジルアミ )ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミ -s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス 2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピ ペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8, 12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビ (N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ )アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ〕ウン カン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2 ,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-ト アジン-6-イルアミノ〕ウンデカンなどのヒ ダードアミン化合物が挙げられる。上記光 定剤の添加量は、ポリ塩化ビニル樹脂100重 部に対して、好ましくは0.001~5重量部、更に ましくは0.05~3重量部である。

 本発明のポリ塩化ビニル樹脂組成物の加 方法としては、押し出し加工、カレンダー 工、ブロー成形、プレス加工、粉体成形、 出成形等が挙げられる。

 以下、本発明を実施例によりさらに詳細 説明する。なお、以下の実施例および比較 において、特に断りがない場合、部および% はそれぞれ重量部および重量%を示す。

実施例1
(ポリ塩化ビニル樹脂の製造)
 重合度850、けん化度72モル%のポリビニルア コールを塩化ビニルに対して600ppmに相当す 量で脱イオン水に溶解させ、分散安定剤を 製した。このようにして得られた分散安定 を、スケール付着防止剤NOXOL WSW(CIRS社製)が 固形分として0.3g/m 2 になるように塗布されたグラスライニング製 オートクレーブに仕込んだ。次いで、グラス ライニング製オートクレーブにジイソプロピ ルパーオキシジカーボネートの70%トルエン溶 液0.04部を仕込み、オートクレーブ内の圧力 0.0067MPaとなるまで脱気して酸素を除いた後 塩化ビニル30部を仕込み、オートクレーブ内 の内容物を57℃に昇温して撹拌下に重合を開 した。重合開始時におけるオートクレーブ の圧力は0.83MPaであった。重合を開始してか ら7時間経過後、オートクレーブ内の圧力が0. 44MPaとなった時点で重合を停止し、未反応の 化ビニルを除去した後、重合反応物を取り し、65℃にて一晩乾燥を行い、ポリ塩化ビ ル樹脂(PVC)を得た。

(POA変性PVAの製造)
 撹拌機、窒素導入口、添加剤導入口および 始剤添加口を備えた6L反応槽に酢酸ビニル40 0部、メタノール600部およびポリオキシアル レン基を有する単量体としてポリオキシブ レンメタクリル酸アミド(一般式(2)においてR 1 が炭素数2のアルキル基、R 2 が水素原子、R 3 が水素原子、R 4 がメチル基、R 5 が水素原子、Xが-CONH-、n=10に相当)1.7部を仕込 み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリング より系中を窒素置換した。上記の反応槽内 を60℃に調整し、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2 ,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を加えて重 を開始した。重合中は重合温度を60℃に維持 し、ポリオキシブチレンメタクリル酸アミド の20%メタノール溶液を53mL/hrで連続添加し、5 間後に重合率が50%に達したところで冷却し 重合を停止した。次いで、減圧下にて未反 の酢酸ビニルを除去し、ポリ酢酸ビニル(PVA c)のメタノール溶液を得た。30%に調整したPVAc 溶液にアルカリモル比(NaOHのモル数/PVAc中の ニルエステル単位のモル数)が0.01となるよう にNaOHメタノール溶液(10%濃度)を添加してけん 化した。以上の操作によりけん化度88モル%の PVAを得た。重合後に未反応酢酸ビニルモノマ ーを除去して得られたPVAcのメタノール溶液 n-ヘキサンに投入してPVAcを沈殿させ、回収 たPVAcをアセトンで溶解する再沈精製を3回行 った後、60℃で減圧乾燥してPVAcの精製物を得 た。該PVAcのプロトンNMR測定から求めた変性 は0.5モル%であった。該PVAの粘度平均重合度 常法のJIS K6726に準じて測定したところ500で あった。等速電気泳動法(イソタコフォレシ )により測定した酢酸ナトリウム含有量は0.5% であった。

(熱安定性試験)
 ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対し、1%濃 のPOA変性PVA水溶液を用いて表1に示す量にな ようにPOA変性PVA水溶液を添加し、減圧乾燥 により50℃で8時間乾燥した。このポリ塩化 ニル樹脂組成物にステアリン酸亜鉛2重量部 、ステアリン酸カルシウム1重量部、ジオク ルフタレート20重量部を混合した。このポリ 塩化ビニル樹脂組成物をテストロールにより 175℃で5分間混練し、厚さ0.45mmのシートを作 した。このシートを50×70mmにカットした。こ のシート片をギヤーオーブン中に入れ、180℃ の温度で完全に黒色になるまでの時間を測定 し、熱安定性の指標とした。

(着色性試験)
 上記テストロールで得られたシートを45×30m mにカットし、得られたシート片を数枚重ね わせ、185℃で5分間プレスして厚さ5mmの試験 を作成し、目視により着色性を比較し、以 の基準にしたがって判定した。
  A:着色がほとんどない。
  B:黄色である。
  C:黄褐色である。

実施例2
 実施例1において、重合時にポリオキシアル キレン基を有する単量体をポリオキシエチレ ンメタクリル酸アミド(n=10)に変更し、酢酸ビ ニルとメタノールの仕込み重量を変更し、け ん化時にアルカリモル比を変更した以外は同 様の方法で、表1に示すPOA変性PVAを得た。実 例1と同様にして熱安定性、着色性の評価を った。評価結果を表1に示す。

実施例3
 実施例1において、重合時にポリオキシアル キレン基を有する単量体をポリオキシエチレ ンポリオキシブチレンメタクリル酸アミド( 般式(3)においてR 1 が炭素数2のアルキル基、R 2 が水素原子、R 3 が水素原子、R 4 がメチル基、R 5 が水素原子、R 6 が水素原子、Xが-CONH-、m=2、n=10に相当)に変更 し、酢酸ビニルとメタノールの仕込み重量を 変更し、けん化時にアルカリモル比を変更し た以外は同様の方法で、表1に示すPOA変性PVA 得た。実施例1と同様にして熱安定性、着色 の評価を行った。評価結果を表1に示す。

実施例4、5
 実施例1において酢酸ビニルとメタノールの 仕込み重量およびポリオキシアルキレン基を 有する単量体の仕込み重量を変更し、けん化 時にアルカリモル比を変更した以外は同様の 方法で、表1に示すPOA変性PVAを得た。実施例1 同様にして熱安定性、着色性の評価を行っ 。評価結果を表1に示す。

実施例6
 滑剤としてグリセリンモノステアレートを ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、1重 量部添加した例である。表1に示すような処 で実施例1と同様に混合して、熱安定性、透 性の評価を行った。評価結果を表1に示す。

比較例1
 実施例1において、重合時にポリオキシアル キレン基を有する単量体を使用せず、酢酸ビ ニルとメタノールの仕込み重量を変更し、け ん化時にアルカリモル比を変更した以外は同 様の方法で、表1に示すPVAを得た。実施例1と 様にして熱安定性、着色性の評価を行った 評価結果を表1に示す。長期の熱安定性が十 分でなかった。

比較例2、3
 POA変性PVAのポリ塩化ビニル樹脂(PVC)に対す 配合量を表1に示すように変更した以外は実 例1と同様の方法で、熱安定性、着色性の評 価を行った。評価結果を表1に示す。POA変性PV A配合量が多すぎる場合は黄色に着色し、少 すぎる場合は長期の熱安定性が十分でなか た。

比較例4
 ポリ塩化ビニル樹脂にPOA変性PVAを添加しな ったこと以外は、実施例1と同様にして熱安 定性、着色性の評価を行った。評価結果を表 1に示す。熱安定性が十分ではなかった。

比較例5、6
 ステアリン酸亜鉛の配合量を表1に示すよう に変更した以外は実施例1と同様にして、熱 定性、着色性の評価を行った。評価結果を 1に示す。いずれも熱安定性が不十分であっ 。

実施例7
(エチレン変性PVAの製造)
 撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口およ 開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸 ビニル26.4kg、メタノール33.5kgを仕込み、60℃ 昇温した後30分間窒素バブリングにより系 を窒素置換した。次いで反応槽圧力が0.22MPa なるようにエチレンを導入した。開始剤と て2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバ ロニトリル)をメタノールに溶解した濃度2.8 g/L溶液を調製し、窒素ガスによるバブリング を行って窒素置換した。上記の反応槽内温を 60℃に調整した後、上記の開始剤溶液77mLを注 入し、重合を開始した。重合中はエチレンを 導入して反応槽圧力を0.22MPaに、重合温度を60 ℃に維持し、上記の開始剤溶液を241mL/hrで連 添加した。5時間後に重合率が60%に達したと ころで冷却して重合を停止した。反応槽を開 放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリ ングして脱エチレンを完全に行った。次いで 減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去し 、エチレン-ポリ酢酸ビニル共重合体(エチレ 変性PVAc)のメタノール溶液を得た。30%に調 した該溶液にアルカリモル比(NaOHのモル数/ 性PVAc中のビニルエステル単位のモル数)が0.0 1となるようにNaOHメタノール溶液(10%濃度)を 加してけん化した。得られたエチレン変性PV Aのけん化度は90モル%であった。

 重合後に未反応酢酸ビニルモノマーを除 して得られたエチレン変性PVAcのメタノール 溶液をn-ヘキサンに投入してエチレン変性PVAc を沈殿させ、回収したエチレン変性PVAcをア トンで溶解する再沈精製を3回行った後、60 で減圧乾燥してエチレン変性PVAcの精製物を た。該エチレン変性PVAcのプロトンNMR測定か ら求めたエチレン単位の含有量は5モル%であ た。上記のエチレン変性PVAcのメタノール溶 液をアルカリモル比0.2でけん化した後、メタ ノールによるソックスレー抽出を3日間実施 、次いで乾燥してエチレン変性PVAの精製物 得た。該エチレン変性PVAの粘度平均重合度 常法のJIS K6726に準じて測定したところ400で った。

(熱安定性試験)
 実施例1と同様にして得られたポリ塩化ビニ ル樹脂100重量部に対して、1%濃度のエチレン 性PVAの水/メタノール(=1/1重量比)混合溶液を 用いて表2に示す量になるようにエチレン変 PVA溶液を添加し、減圧乾燥機により50℃で8 間乾燥した。このポリ塩化ビニル樹脂組成 にステアリン酸亜鉛2重量部、ステアリン酸 ルシウム1重量部、ジオクチルフタレート20 量部を混合した。このポリ塩化ビニル樹脂 成物をテストロールにより160℃で5分間混練 し、厚さ0.45mmのシートを作成した。このシー トを50×70mmにカットした。このシート片をギ ーオーブン中に入れ、180℃の温度で完全に 色になるまでの時間を測定し、熱安定性の 標とした。

(着色性試験)
上記テストロールで得られたシートを45×30mm カットし、得られたシート片を数枚重ね合 せ、185℃で5分間プレスして厚さ5mmの試験片 を作成し、目視により着色性を比較し、以下 の基準にしたがって判定した。
  A:着色がほとんどない。
  B:わずかに着色が認められる。
  C:黄色である。
  D:黄褐色である。

実施例8~15
 実施例7において、重合時に酢酸ビニルとメ タノールの仕込み重量および反応槽内のエチ レンの圧力を変更し、けん化時にアルカリモ ル比を変更した以外は同様の方法で、表2に すエチレン変性PVAを得た。実施例7と同様に て熱安定性、着色性の評価を行った。評価 果を表2に示す。

実施例16~19
 滑剤としてグリセリンモノステアレートを ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、1重 量部添加した例である。表2に示すような処 で実施例7と同様に混合して、熱安定性、透 性の評価を行った。評価結果を表2に示す。

比較例7、8
 実施例7において、重合時に酢酸ビニルとメ タノールの仕込み重量および反応槽内のエチ レンの圧力を変更し、けん化時にアルカリモ ル比を変更した以外は同様の方法で、表2に すエチレン変性PVAを得た。実施例7と同様に て熱安定性、透明性の評価を行った。評価 果を表2に示す。いずれも熱安定性が十分で なかった。

比較例9
 実施例7において、重合時に酢酸ビニルとメ タノールの仕込み重量を変更し、エチレンを 用いなかった以外は同様の方法で、表2に示 PVAを得た。実施例7と同様にして熱安定性、 明性の評価を行った。評価結果を表2に示す 。黄色に着色した。

比較例10
 実施例7において、けん化時にアルカリモル 比を変更した以外は同様の方法で、表2示す チレン変性PVAを得た。実施例7と同様にして 安定性、透明性の評価を行った。評価結果 表2に示す。熱安定性が十分でなく、黄色に 着色した。

比較例11、12
 実施例7において、エチレン変性PVAのポリ塩 化ビニル樹脂(PVC)に対する配合量を変更した 外は同様の方法で、表2に示す変性PVAを得た 。実施例7と同様にして熱安定性、透明性の 価を行った。評価結果を表2に示す。エチレ 変性PVAの配合量が少なすぎる場合は熱安定 が十分でなく、配合量が多すぎる場合は著 く黄色に着色した。

比較例13
 ポリ塩化ビニル樹脂にエチレン変性PVAを添 しなかったこと以外は、実施例7と同様にし て熱安定性、透明性を評価した。評価結果を 表2に示す。熱安定性が十分ではなかった。

比較例14、15
 ステアリン酸亜鉛の配合量を表2に示すよう に変更した以外は実施例7と同様にして、熱 定性、着色性の評価を行った。評価結果を 2に示す。いずれも熱安定性が不十分であり シートが着色した。

比較例16~19
 滑剤としてグリセリンモノステアレートを ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して1重量 部添加した例である。表2に示すような処方 実施例7と同様に混合して、熱安定性、透明 の評価を行った。評価結果を表2に示す。




 
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