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Title:
POWDER COATING MATERIAL AND FLUORINE-CONTAINING LAMINATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119493
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a powder coating material which does not contain hexavalent chromium that serves as a binder component but exhibits adhesion comparable to that of a chromium phosphate primer even after being subjected to firing at high temperatures for a long time. The powder coating material is characterized by containing a polymer compound (A) having an amide group and/or an imide group, an antioxidative substance (B) and a fluororesin (C). The powder coating material is also characterized in that the polymer compound (A) has an average particle diameter of less than 50 μm.

Inventors:
MIKAME DAISUKE (JP)
TORII HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055640
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
DAIKIN IND LTD (JP)
MIKAME DAISUKE (JP)
TORII HIROSHI (JP)
International Classes:
C09D5/03; B05D7/24; C09D5/00; C09D7/12; C09D127/12; C09D127/18; C09D177/00; C09D179/08
Domestic Patent References:
WO2004048489A12004-06-10
WO2004048489A12004-06-10
Foreign References:
JP2005335184A2005-12-08
JP2005335186A2005-12-08
JPS5374532A1978-07-03
US5789083A1998-08-04
JPH08322732A1996-12-10
Other References:
See also references of EP 2258777A4
Attorney, Agent or Firm:
YASUTOMI & Associates (JP)
Patent business corporation Yasutomi international patent firm (JP)
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Claims:
アミド基及び/又はイミド基を有する高分子化合物(A)、抗酸化性物質(B)、及び、フッ素樹脂(C)を含み、
前記高分子化合物(A)は、平均粒子径が50μm未満である
ことを特徴とする粉体塗料。
抗酸化性物質(B)は、高分子化合物(A)及び前記抗酸化性物質(B)の合計の0.1~80質量%である請求項1記載の粉体塗料。
高分子化合物(A)は、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリアミド酸、及び、ポリイミドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の粉体塗料。
高分子化合物(A)は、ポリアミドイミドである請求項1、2又は3記載の粉体塗料。
抗酸化性物質(B)は、ポリアリレンサルファイド及び窒素含有化合物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1、2、3又は4記載の粉体塗料。
抗酸化性物質(B)は、ポリアリレンサルファイドである請求項1、2、3、4又は5記載の粉体塗料。
抗酸化性物質(B)は、窒素含有化合物である請求項1、2、3、4又は5記載の粉体塗料。
抗酸化性物質(B)は、ポリアリレンサルファイド及び窒素含有化合物である請求項1、2、3、4又は5記載の粉体塗料。
フッ素樹脂(C)は、固形分質量が高分子化合物(A)、抗酸化性物質(B)及びフッ素樹脂(C)の合計の50~90質量%である請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の粉体塗料。
フッ素樹脂(C)は、パーフルオロ系樹脂である請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の粉体塗料。
フッ素樹脂(C)は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の粉体塗料。
プライマーである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載の粉体塗料。
被塗装物、前記被塗装物上に請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の粉体塗料から形成されたプライマー層、及び、前記プライマー層上に形成されたフッ素樹脂層を有することを特徴とする含フッ素積層体。
フッ素樹脂層は、膜厚が200μm以上である請求項13記載の含フッ素積層体。
 
Description:
粉体塗料及び含フッ素積層体

本発明は、粉体塗料及び含フッ素積層体に 関する。

フッ素樹脂は、塗料組成物に調製し、パン 金型、炊飯釜等の耐腐蝕性、非粘着性、耐熱 性等が要求されるものの基材に塗装してフッ 素樹脂層を形成させることに幅広い用途があ る。しかしながら、フッ素樹脂は、その非粘 着性ゆえに、金属、セラミック等からなる基 材との接着性に乏しいので、フッ素樹脂とも 基材とも親和性を有するプライマーを予め基 材に塗装することが行われてきた。

フッ素樹脂層は、一般に耐腐蝕用途におい ては厚くする必要があり、厚くするためには 、フッ素樹脂からなる粉体塗料を塗布してフ ッ素樹脂の融点以上の温度で焼成することよ りなる塗装を繰り返して重ね塗りをする必要 がある。プライマーは、この長時間の高温で の焼成に耐えて基材等との密着性を維持し得 る耐熱密着性を有することが求められる。

耐熱密着性に優れたプライマーとして、今 日まで、長時間の高温焼成に優れた耐性を有 するリン酸クロム系プライマーが幅広く用い られてきた。しかしながら、環境問題への意 識が高まり、6価クロムを含まずリン酸クロ 系プライマーに匹敵する強い耐熱密着性を するクロムフリープライマーの開発が長年 く要望されていた。

クロムフリープライマーとして、従来、フ ッ素樹脂と各種バインダー樹脂との組み合わ せが検討されてきた。バインダー樹脂として は、耐熱性の点からポリフェニレンサルファ イド〔PPS〕の使用が提案された。PPSは、しか しながら、フッ素樹脂との相溶性に劣り、フ ッ素樹脂層との密着性が不充分であるという 問題があった。

フッ素樹脂層との密着性を良好にするため 、クロムフリープライマーにおけるバインダ ー樹脂として、PPSにポリアミドイミド〔PAI〕 及び/又はポリイミド〔PI〕を添加することが 提案され(例えば、特許文献1参照。)、実施例 において、PAI:PPS=1:15~1:20の量比で用いられて る。

PPS及びPAIをバインダー樹脂とするクロムフ リープライマーとしては、また、PAI:PPS=3:1~1:3 の量比で用いるものが提案された(例えば、 許文献2参照。)。しかしながら、このクロム フリープライマーは、平滑面に塗布し得る水 性プライマーを提供するために溶融粘度が異 なる2種のフッ素樹脂を特定の量比で配合す ことを特徴とするものであり、長時間焼成 ると耐熱密着性が悪化する問題があった。

クロムフリープライマーのバインダー樹脂 としては、また、PAI:PPS=1:1のものも知られて るが(例えば、特許文献3参照。)、熱水に対 る耐久性に問題があった。

耐熱密着性を向上させた塗料としては、ア ミド基含有性高分子化合物(A)と抗酸化性物質 (B)とからなる塗料組成物であって、抗酸化性 物質(B)は、アミド基含有性高分子化合物(A)と 抗酸化性物質(B)との合計の0.1~20質量%である 料組成物が提案された(例えば、特許文献4参 照。)。しかしながら、更なる耐熱密着性が められる。

特開昭53-74532号公報

米国特許第5789083号明細書

特開平8-322732号公報

国際公開第2004/048489号パンフレット

本発明の目的は、上記現状に鑑み、バイン ダー成分の役割を果たす6価クロムを含まず 高温で長時間焼成を行っても、リン酸クロ 系プライマーに匹敵する密着性を有する粉 塗料を提供することにある。

本発明は、アミド基及び/又はイミド基を する高分子化合物(A)、抗酸化性物質(B)、及 、フッ素樹脂(C)を含み、高分子化合物(A)は 平均粒子径が50μm未満であることを特徴とす る粉体塗料である。

本発明は、被塗装物、上記被塗装物上に上 記粉体塗料から形成されたプライマー層、及 び、上記プライマー層上に形成されたフッ素 樹脂層を有することを特徴とする含フッ素積 層体である。

以下に本発明を詳細に説明する。

本発明の粉体塗料は、アミド基及び/又は ミド基を有する高分子化合物(A)、抗酸化性 質(B)、及び、フッ素樹脂(C)を含み、高分子 合物(A)は、平均粒子径が50μm未満であること を特徴とする。

本発明は、粉体塗料であって、かつ、高分 子化合物(A)の平均粒子径が50μm未満であるの 、塗装に際し、加工性に優れ、長時間の高 での焼成に耐える耐熱密着性を有するもの ある。

従来の塗料組成物では、プライマー層の耐 熱密着性を改善するために、高分子化合物と 抗酸化性物質との量比を調整することが提案 されてきた。一方、本発明者らは、高分子化 合物(A)の粒子径に着目し、粒子径が特定の範 囲にある高分子化合物(A)を配合し、粉体塗料 の形で使用すると、高分子化合物と抗酸化性 物質との量比に関わらず、プライマー層の耐 熱密着性を改善することができることを見出 し、本発明に至った。

本発明の粉体塗料は、高分子化合物(A)と抗 酸化性物質(B)との量比に関わらず優れた耐熱 密着性を得ることができるので、本発明の粉 体塗料を製造するにあたって、原材料仕込み 時の計量機精度誤差による高分子化合物(A)と 抗酸化性物質(B)の組成比のバラツキによる塗 膜性能への影響が小さくなり、安定的な塗膜 性能を有する製品を提供でき、また、加工設 備への適合性、取扱い性等に対する市場要求 に応じて必要となる組成の変更を行っても、 要求される塗膜性能を満足することができ、 更に、組成の調整幅が大きい点で有利である 。

本発明の粉体塗料が耐熱密着性を有する機 構としては明確ではないが、以下のように考 えられる。すなわち、限定された粒子径を有 する高分子化合物(A)は、従来使用されてきた 高分子化合物よりも粒子径が小さいため、粉 体塗料として使用すると、被塗装物表面との 接触面積が増加することで基材密着力が向上 し、更に、抗酸化物質(B)との接触面積も増加 するので、高分子化合物(A)の酸化劣化を効率 良く防止することが可能となり、従来にはな い耐熱密着性を実現できたものと考えられる 。

高分子化合物(A)の平均粒子径は、45μm以下 あることが好ましく、40μm以下であること より好ましい。また、優れた耐熱密着性が られる点で、下限は5μmであることが好まし 。本明細書において、上記平均粒子径は、 ーザー回折式粒度分布測定装置によって測 し得られる値である。

抗酸化性物質(B)は、高分子化合物(A)及び抗 酸化性物質(B)の合計の0.1~90質量%であること 好ましく、0.1~80質量%であることがより好ま い。上記抗酸化性物質(B)の含有量が多すぎ と熱水処理後の密着力が低下しやすく、少 すぎると熱処理後の密着力が低下しやすい

上記抗酸化性物質(B)の含有量は、高分子化 合物(A)及び抗酸化性物質(B)の合計の30質量%以 上であることがより好ましく、30質量%を超え ることが更に好ましく、40質量%以上であるこ とが特に好ましく、40質量%を超えることが最 も好ましく、70質量%以下であることがより好 ましい。抗酸化性物質(B)の含有量が上記範囲 にあると、特定の粒子径を有する高分子化合 物(A)に対する抗酸化物質(B)の酸化劣化防止能 が効率良く作用できるため、耐熱密着性が更 に向上する。

以下に、本発明の粉体塗料に含まれる各成 分を更に具体的に説明する。

高分子化合物(A)
高分子化合物(A)は、ポリアミドイミド〔PAI〕 、ポリアミド、ポリアミド酸(ポリアミック )、及び、ポリイミドからなる群より選択さ る少なくとも1種であることが好ましく、PAI であることがより好ましい。

上記PAI、ポリアミド及びポリアミド酸は、 通常、アミド基(-NH-C(=O)-)を主鎖又は側鎖に有 し、芳香環を主鎖に有するポリマーである。

上記PAIは、アミド基と芳香環とイミド基と を有する重縮合体である。上記PAIとしては特 に限定されず、例えば、従来公知のPAIの他に も、ポリイミド〔PI〕を酸化することにより ミド基を導入したもの等を用いることがで る。

上記ポリアミドは、主鎖中にアミド結合(-N H-C(=O)-)を有する重縮合体である。上記ポリア ミドとしては特に限定されず、例えば、ナイ ロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12 の脂肪族ポリアミド;ポリパラフェニレンテ フタラミド、ポリメタフェニレンイソフタ ミド等の芳香族ポリアミド等が挙げられる

上記ポリアミド酸は、アミド基と、カルボ キシル基又はカルボキシル基の誘導体(例え 、アルキルエステル化されたカルボキシル の誘導体)とを有する重縮合体である。上記 リアミド酸としては特に限定されず、分子 が数千~数万であるポリアミド酸等が挙げら れる。

上記ポリイミドは、酸化によりPAI又はポリ アミド酸に変化するものである。

上記ポリイミドは、本発明の粉体塗料を塗 布し長時間高温で焼成する際に酸化させて主 鎖にアミド基を導入し、PAI又はポリアミド酸 に変化させることができる。PAIは、PIの主鎖 おけるイミド基の全てをアミド基に変換し ものでなければよく、ポリアミド酸は、PI 主鎖におけるイミド基の全てをアミド基と カルボキシル基とに変換したものである。

上記PIにアミド基を導入する方法としては に限定されず、例えば、PIのイミド基(イミ 環)を酸化によって開環する方法、PIのイミ 基(イミド環)にアルカリを作用させ加水分 する方法等が挙げられる。本明細書におい 、アミド基を導入することとなる分子構造 の部位、例えば、上述の酸化によりアミド に変化するイミド基等を、アミド基導入部 ということがある。

高分子化合物(A)は、平均粒子径が50μm未満 ある。上記高分子化合物(A)は、上記平均粒 径の範囲内である場合、市販されている粉 を用いてもよいし、更に、粉砕を行い微粉 した微粉末を用いてもよい。また、市販さ ているペレットタイプのものを粉砕した粉 であってもよい。粉砕方法は特に限定され いが、通常のパラペライザー粉砕、アトマ ザー粉砕等により粉砕することができる。

抗酸化性物質(B)
抗酸化性物質(B)は、上記アミド基の酸化を抑 制することができるものである。上記抗酸化 性物質(B)は、酸化還元電位が、アミド基の酸 化還元電位より低いものであって、イミド基 の酸化還元電位と同程度であるか又はイミド 基の酸化還元電位に比べて高いものが好まし く、イミド基の酸化還元電位に比べて高いも のがより好ましい。

上記抗酸化性物質(B)は、上記アミド基の酸化 に優先して自己酸化されることによって上記 アミド基の酸化を遅らせることができるもの と考えられる。例えば、ポリアミドイミド〔 PAI〕(平均粒子径:50μm)とポリフェニレンサル ァイド〔PPS〕(抗酸化性物質(B)、平均粒子径 :17μm)を50/50で混合して、スチール箔上に膜厚 が100μmになるように静電塗装し、350℃で30分 焼成して得られたフィルムを350℃雰囲気下 50時間暴露した後、フィルムの表面赤外分 によりPAIのアミド基の赤外吸収強度変化を 認すると、PPSを混合していないPAI単独で同 に作成し350℃雰囲気下に50時間暴露したフィ ルムでは、アミド基の赤外吸収強度が暴露初 期に対して大きく低下するのに対し、PPSを混 合したフィルムでは、アミド基の赤外吸収強 度の低下が小さく、アミド基の酸化を遅らせ ることができると考えられる。
上記抗酸化性物質(B)としては、上記アミド基 の酸化を充分に抑制し得る点から、酸化状態 が低い物質が好ましいと考えられる。上記抗 酸化性物質(B)としては、耐熱性物質であるこ とがより好ましい。上記抗酸化性物質(B)が耐 熱性物質であると、本発明の粉体塗料を塗装 する際の焼成を長時間行っても、上記抗酸化 性物質(B)が分解や劣化を起こしにくいので、 上記アミド基の酸化を抑制し続け、上記高分 子化合物(A)による被塗装物との密着性を維持 することができる。

上記抗酸化性物質(B)は、上記アミド基の酸 化に優先して自己酸化する自己酸化能のほか に、上記酸化されたアミド基を還元する還元 能を有していてもよい。

上記抗酸化性物質(B)は、上述のアミド基の 酸化を抑制する性質に加えて、被塗装物の酸 化を抑制する性質を有するものであってもよ い。

上記抗酸化性物質(B)としては、例えば、ポ リアリレンサルファイド〔PAS〕;窒素含有化 物;錫、亜鉛、燐等の金属;硫黄等が挙げられ る。

上記PASとしては特に限定されず、例えば、 ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェ ニレンスルフィドスルフォン、ポリビフェニ レンスルフィド、ポリフェニレンサルファイ ド〔PPS〕等が挙げられ、なかでもPPSが好適に 用いられる。半導体製造工程等アミンの使用 や金属イオンの溶出を嫌う場合、PASが好まし く用いられる。また、耐熱密着性が必要とさ れる場合、PASは耐熱バインダーでもあるため 、抗酸化性だけでなく耐熱密着性付与のため にも、PASが好適に用いられる。上記PASとして は特に限定されず、例えば、ポリフェニレン スルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィ ドスルフォン、ポリビフェニレンスルフィド 、ポリフェニレンサルファイド〔PPS〕等が挙 げられ、なかでもPPSが好適に用いられる。

上記抗酸化性物質(B)としては、窒素含有化 合物も好ましく用いられる。

本明細書において、上記「窒素含有化合物 」は、分子中に窒素原子を有する化合物であ って、上記アミド基の酸化及び被塗装物の酸 化をともに抑制し得るものである。

上記窒素含有化合物としては、アミン系化 合物、ベンゾトリアゾール系化合物、窒素硫 黄含有化合物等が挙げられる。

上記アミン系化合物は、アミノ基を有する 化合物であって、上記アミノ基が金属塩等の 塩を形成していてもよいものである。上記ア ミン系化合物としては特に限定されないが、 250℃以上での高温安定性が望まれる点で、芳 香族アミン類であることが好ましい。芳香族 アミン類としては、フェニル基及び/又はナ チル基を有するものが好ましく、フェニル 及び/又はナフチル基を有する芳香族アミン としては特に限定されず、例えば、ジナフ ルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、フ ェニル-β-ナフチルアミン、ジフェニル-p-フ ニレンジアミン、フェニルシクロヘキシル-p -フェニレンジアミン等が挙げられる。

上記ベンゾトリアゾール系化合物は、ベン ゾトリアゾールを基本骨格とする化学構造を 有する化合物であって、金属塩等の塩を形成 していてもよいものである。上記ベンゾトリ アゾール系化合物としては特に限定されず、 例えば、ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキ -5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-( 2-ヒドロキシ-5-テトラオクチルフェニル)ベン ゾトリアゾール等が挙げられる。

上記窒素硫黄含有化合物は、窒素原子と硫 黄原子とを有する化合物であって、金属塩等 の塩を形成していてもよいものである。上記 窒素硫黄含有化合物としては特に限定されず 、例えば、ベンゾチアゾール系化合物、スル フェンアミド系化合物、チオ尿素類等が挙げ られる。上記ベンゾチアゾール系化合物とし てはベンゾチアゾールを基本骨格とする化合 物であれば特に限定されず、例えば、2-メル プトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾ ルジスルフィド、2-(N,N″-ジエチルチオカル バモイルチオ)ベンゾチアゾール、ジ-2-ベン チアゾリルジスルフィド等が挙げられる。

上記スルフェンアミド系化合物としては、 スルフェンアミド基を有する化合物であれば 特に限定されず、例えば、N,N″-シクロヘキ ル-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-te rt-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミ ド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリル ルフェンアミド、N,N″-ジシクロヘキシル-2- ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N″- イソプロピルベンゾチアゾール-2-スルフェ 等が挙げられる。本明細書において、上記 ルフェンアミド系化合物は、スルフェンア ド基を有するとともに、ベンゾチアゾール 基本骨格とする構造部分を有する化合物を 含む概念である。

上記チオ尿素類としては窒素原子に結合す る水素原子の少なくとも1個が炭素数1~6の飽 又は不飽和の炭化水素基に置換されていて よいチオ尿素が好ましく、このようなチオ 素類としては特に限定されず、例えば、N,N -ジエチルチオ尿素、N,N″-ジブチルチオ尿素 、チオ尿素、N,N″-ジフェニルチオ尿素等が げられる。

上記抗酸化性物質(B)としては、被塗装物が 酸化膜を形成しやすい酸化膜速形成性金属か らなるものである場合、上記窒素含有化合物 を用いることが好ましく、上記窒素含有化合 物をPASと併用することが被塗装物との接着性 を向上させる点で好ましい。上記酸化膜速形 成性金属は、少なくとも本発明の粉体塗料の 塗装における焼成により、ステンレスと同程 度に酸化膜を形成しやすいものであればよく 、被塗装物として本発明の粉体塗料を塗布す る時点で既に酸化膜を形成しているものであ ってもよい。上記酸化膜速形成性金属として は、ステンレス等が挙げられる。

上記窒素含有化合物としては、ベンゾチア ゾール系化合物が好適に用いられ、ベンゾチ アゾール系化合物のなかでも特に、亜鉛との 塩である亜鉛系酸化防止剤が好適に用いられ る。

上記抗酸化性物質(B)としては、被塗装物が 酸化膜遅形成性金属からなるものである場合 、上記窒素含有化合物を用いてもよいが、用 いなくとも本発明の粉体塗料の塗装における 焼成により被塗装物との接着性に著しい低下 は見られない点で、上記窒素含有化合物を用 いなくてもよく、被塗装物の酸化を抑制する 性質を必ずしも有しないが上述のアミド基の 酸化を抑制する性質を有するものを用いるこ とで充分であり、例えば、PASのみを用いても よい。本明細書において、上記酸化膜遅形成 性金属は、ステンレス(例えば、SUS304)よりも 化膜を形成する速度が遅い金属である。上 酸化膜遅形成性金属は、酸化膜形成性の程 が相違する点で、上述の酸化膜速形成性金 とは異なる。上記酸化膜遅形成性金属とし は、例えば、アルミニウム、鉄等が挙げら る。

上記抗酸化性物質(B)としては、1種又は2種 上を組み合わせて用いることができる。組 合わせて用いる場合、上述した抗酸化性物 (B)の質量は、組み合わせた全ての抗酸化性 質(B)の合計質量である。

上記抗酸化性物質(B)としては、ポリアリレ ンサルファイド及び窒素含有化合物からなる 群より選択される少なくとも1種が好ましく いられる。

上記抗酸化性物質(B)としてPASとその他の抗 酸化性物質とを組み合わせて用いる場合、上 記PASと上記その他の抗酸化性物質とは、質量 比で、PAS:その他の抗酸化性物質=50:50~99:1とな るように組み合わせることが好ましい。上記 その他の抗酸化性物質としては、上述の抗酸 化性物質(B)のうちPAS以外のものが挙げられ、 なかでも窒素含有化合物が好ましく用いられ る。上記その他の抗酸化性物質としては、窒 素含有化合物;錫、亜鉛、燐等の金属;硫黄等 挙げられる。

上記抗酸化性物質(B)の平均粒子径としては 、好ましい上限は、200μm、より好ましい上限 は、150μmである。上記抗酸化性物質(B)の平均 粒子径は上記範囲内であれば、好ましい下限 を0.01μm、より好ましい下限を0.1μmとするこ ができる。また、上記抗酸化性物質(B)の平 粒子径は、フッ素樹脂(C)の平均粒子径に比 て相対的に小さいことが好ましく、20μm以下 であることが更に好ましい。

フッ素樹脂(C)
本発明の粉体塗料は、フッ素樹脂(C)を有する ので、塗装することによりフッ素樹脂(C)を主 成分とする第1層(表層)、並びに、上記高分子 化合物(A)及び上記抗酸化性物質(B)を主成分と する第2層の2層構造に分かれた塗膜を形成す ことができる。上記フッ素樹脂(C)を含む本 明の粉体塗料は、上記第1層上にフッ素樹脂 (D)からなるフッ素樹脂層(以下、フッ素樹脂 (D)ともいう。)を積層する場合、上記第1層中 のフッ素樹脂(C)と上記フッ素樹脂(D)との相溶 性により、上記フッ素樹脂層との接着性に優 れた塗膜を形成することができる。

上記2層構造に分かれた塗膜は、本明細書 おいて、便宜上「2層構造に分かれた」とい が、実際には、被塗装物近傍ほど高分子化 物(A)及び抗酸化性物質(B)の濃度が高く、被 装物から離れるにつれ抗酸化性物質(B)にか ってフッ素樹脂(C)の濃度が高くなり、塗膜 最表面にはフッ素樹脂(C)が高濃度で存在し いると考えられる。従って、上記塗膜は、 成分の配合量によっては、フッ素樹脂(C)か なる層と、高分子化合物(A)及び抗酸化性物 (B)からなる層との間に高分子化合物(A)及び ッ素樹脂(C)からなるいわば中間層ともいう き層が存在する場合がある。

本発明の粉体塗料において、フッ素樹脂(C) は、塗装時の焼成の温度が300℃以上のもので あることが好ましい。上記塗装時の焼成の温 度は、一般的に、フッ素樹脂(C)の融点以上の 温度である。

本発明の粉体塗料は、300℃以上の温度にお ける数10時間という長時間の焼成を行った後 も被塗装物との密着力低下が起きにくいも である。このような優れた耐熱密着性は、 来、クロム系プライマーを用いることによ てのみ達成することができたものであるが 本発明の粉体塗料は、クロムやクロム化合 を用いなくても優れた耐熱密着性を奏する とができる。

上記フッ素樹脂(C)は、フッ素を有する単量 体を重合して得られる重合体からなるもので ある。

上記フッ素樹脂(C)としては、クロロトリフ ルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチ ン、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキ フルオロプロピレン〔HFP〕、ビニリデンフ オライド〔VdF〕、及び、パーフルオロ(アル ルビニル)エーテル〔PAVE〕からなるフッ素 有単量体群のなかから選ばれる1種又は2種以 上のフッ素含有単量体を重合することにより 得られた含フッ素重合体からなるものである ことが好ましく、この含フッ素重合体は、上 記1種又は2種以上のフッ素含有単量体と、エ レン、プロピレン等のフッ素非含有単量体 から選ばれる1種若しくは2種以上のフッ素 含有単量体とを共重合することにより得ら たものであってもよい。

上記フッ素樹脂(C)としては、耐腐蝕性の点 でテトラフルオロエチレン系共重合体からな るものであることがより好ましい。

本明細書において、上記「テトラフルオロ エチレン系共重合体」は、TFEと、上述のフッ 素含有単量体群におけるTFE以外のフッ素含有 単量体及び/又はフッ素非含有単量体とを重 し得られた重合体である。上記TFE以外のフ 素含有単量体、並びに、上記フッ素非含有 量体としてはそれぞれ1種又は2種以上用いて もよい。

上記フッ素樹脂(C)としては、融点が上述の 塗装時における焼成の温度未満であり、かつ 、上述の焼成の温度において耐熱性を有する ものが更に好ましい。

上記フッ素樹脂(C)としては、耐腐蝕性と耐 熱性とを兼ね備えている点でパーフルオロ系 樹脂が好ましく採用される。

上記パーフルオロ系樹脂は、通常、300℃以 上の焼成温度が要求される樹脂であり、パー フルオロオレフィンと、パーフルオロビニル エーテル及び/又は微量共単量体とを重合し 得られるパーフルオロ系重合体からなるも である。上記パーフルオロオレフィンとし は特に限定されず、例えば、TFE、HFP等が挙 られる。上記パーフルオロビニルエーテル しては特に限定されず、例えば、パーフル ロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ( チルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピ ルビニルエーテル)等が挙げられる。

上記微量共単量体としては、上記パーフル オロオレフィンでもなくパーフルオロビニル エーテルでもないフッ素含有単量体、並びに /又は、フッ素非含有単量体を1種若しくは2種 以上用いることができる。上記パーフルオロ 系重合体の分子鎖における上記微量共単量体 に由来する繰り返し単位は、上記パーフルオ ロ系重合体の全単量体単位の10モル%未満であ ることが好ましい。

上記フッ素樹脂(C)としては、乳化重合若し くは懸濁重合で得たディスパージョン又は粉 末を用いることができるほか、更に、粉砕を 行い微粉化した微粉末を用いることができる 。

上記フッ素樹脂(C)を粉末で用いる場合の平 均粒子径は、0.1~50μmであることが好ましい。 0.1μm未満であると、フッ素樹脂層をあまり厚 くすることができず、50μmを超えると、本発 の粉体塗料を塗装して得られる塗膜の平滑 が悪くなる場合がある。薄塗り等に使用す 場合、平均粒子径のより好ましい上限は、1 0μmである。膜厚が200μmを超えるライニング に用いる場合、平均粒子径のより好ましい 限は、1μm、より好ましい上限は、40μmであ 、更に好ましい下限は、5μmである。

上記フッ素樹脂(C)は、固形分質量が上記高 分子化合物(A)、上記抗酸化性物質(B)、及び、 上記フッ素樹脂(C)の合計の50~90質量%であるこ とが好ましい。50質量%未満であると、上記粉 体塗料をプライマーとして用いる場合、プラ イマー層と、プライマー層上のフッ素樹脂層 との密着性が悪くなりやすく、90質量%を超え ると、上記塗膜と被塗装物との密着性が悪く なりやすい。より好ましい下限は、60質量%で あり、より好ましい上限は、85質量%である。

添加剤等
本発明の粉体塗料は、造膜性、塗膜の耐腐蝕 性等を向上する目的で、必要に応じ、上記高 分子化合物(A)、抗酸化性物質(B)、又は、フッ 素樹脂(C)の何れでもないその他の200℃以上の 耐熱性を有する樹脂を配合したものであって もよい。

上記その他の樹脂としては特に限定されず 、例えば、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポ リエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテ ルケトン樹脂等が挙げられ、これらは、1種 は2種以上を用いることができる。

本発明の粉体塗料は、必要に応じ、塗装作 業性や上記粉体塗料から得られる塗膜の性質 を改善するために、添加剤類を含むものであ ってもよい。

上記添加剤類としては特に限定されず、例 えば、レベリング剤、固体潤滑剤、顔料、光 輝材、充填材、顔料分散剤、沈降防止剤、水 分吸収剤、表面調整剤、チキソトロピー性付 与剤、粘度調整剤、ゲル化防止剤、紫外線吸 収剤、光安定剤、可塑剤、色分かれ防止剤、 皮張り防止剤、スリ傷防止剤、防カビ剤、抗 菌剤、抗蝕剤、帯電防止剤、シランカップリ ング剤等が挙げられる。

本明細書において、上記抗蝕剤は、アミド 基の酸化は抑制しないが被塗装物の酸化を抑 制する性質を有するものを意味する。

本発明の粉体塗料は、高分子化合物(A)、抗 酸化性物質(B)及びフッ素樹脂(C)、並びに、所 望により加える添加剤等を混合機により混合 することで調製できる。混合機としては特に 限定されないが、通常のV型ブレンダー、ヘ シェルミキサー等を用いることができる。

本発明の粉体塗料は、プライマーとして好 適に用いることができる。上記プライマーは 、上塗り塗料を塗装することに先立ち、被塗 装物上に塗装する下塗り塗料である。

本発明の粉体塗料から得られるプライマー 層の膜厚は10~300μmであることが好ましく、膜 厚を200μm以上とすることも容易である。

本発明は、被塗装物、上記被塗装物上に上 述の粉体塗料から形成されたプライマー層、 及び、上記プライマー層上に形成されたフッ 素樹脂層を有することを特徴とする含フッ素 積層体でもある。

上記プライマー層は、被塗装物に本発明の 粉体塗料を塗装することにより得られるもの である。

上記被塗装物は、本発明の粉体塗料を塗装 する対象である。上記被塗装物としては特に 限定されず、例えば、アルミニウム、ステン レス〔SUS〕、鉄等の金属;耐熱樹脂;セラミッ 等からなるものが挙げられ、金属からなる のであることが好ましい。金属としては、 体金属又は合金であってよく、また、得ら る塗膜との接着性が良好である点で、ステ レス、銅、銅合金等の酸化膜速形成性金属 あってもよいし、アルミニウム、鉄等の酸 膜遅形成性金属であってもよい。

上記酸化膜速形成性金属は、表面に酸化皮 膜を形成しやすく、この酸化皮膜が、従来の 粉体塗料を塗装して得られるコーティング膜 との密着性を低下させる原因となっていたも のと考えられる。本発明の粉体塗料は、抗酸 化性物質(B)としてアミド基の酸化を抑制する のみならず被塗装物の酸化を抑制することが できる物質を用いることにより、被塗装物が 酸化膜速形成性金属からなるものであっても 、上記塗膜との充分な密着性を得ることがで きる。

上記被塗装物は、本発明の粉体塗料を塗装 することにより得られる塗膜との接着性を向 上させ得る点から、上記粉体塗料を塗装する 前に、樹脂成分の除去及び粗面化処理を行っ たものであることが好ましい。上記樹脂成分 の除去の方法としては、有機溶剤、アルカリ 等を用いて行う方法;300℃以上の温度で樹脂 分を分解させる方法等が挙げられる。上記 塗装物としては、上記粉体塗料を塗装する とにより得られる塗膜との密着性を向上さ 、剥がれ難く、耐磨耗性に優れ得る点から 上記粉体塗料を塗装する前に、金属粉末及 /又はセラミック粉末を溶射することにより 金属基材上に溶射層を施した下地形成処理 行ったものも好適に用いられる。

上記プライマー層は、本発明の粉体塗料を 塗布し、所望により80~380℃で10~60分間焼成を うことにより上記被塗装物上に形成するこ ができる。

上記塗布の方法としては、静電塗布、流動 浸漬塗布又はロトライニング塗布を用いるこ とが好ましい。

上記焼成は、上述のように、本発明の粉体 塗料中の高分子化合物(A)、抗酸化性物質(B)、 及び、フッ素樹脂(C)の融点にもよるが、通常 、フッ素樹脂(C)の融点以上の温度で10~60分間 熱することにより行う。上記焼成は、上塗 塗料を塗装する前に行ってもよいし、上塗 塗料を塗装する前には行わず、上塗り塗料 塗布した後の焼成時に上塗り塗料の焼成と 時に行うものであってもよい。

上記フッ素樹脂層は、プライマー層上に形 成するものであって、好ましくはフッ素樹脂 (D)からなるものである。

本発明の粉体塗料から被塗装物上に形成さ れたプライマー層の表面には、フッ素樹脂(C) が多く含まれている。従って、フッ素樹脂(D) としては、上記プライマー層の表面との相溶 性及び接着性を高める意味で、フッ素樹脂(C) と同一又は類似の組成を有するフッ素樹脂を 用いることが好ましい。

上記フッ素樹脂層は、プライマー層との密 着性を高め得る点で、フッ素樹脂(D)とともに フッ素樹脂(C)を含むものであってもよい。

本発明の粉体塗料から得られるプライマー 層とフッ素樹脂層との密着性は、フッ素樹脂 (C)として末端官能基を有するポリマーからな る樹脂を利用することにより向上させること ができる。

上記末端官能基としては特に限定されず、例 えば、-COOR 1 (R 1 は、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、又は 、炭素数1~3のパーフルオロアルキル基を表す 。)、-COF、-CONH 2 、-CH 2 OH、-COOM 1 、-SO 4 M 2 、-SO 3 M 3 (M 1 、M 2 及びM 3 は、同一又は異なり、I族原子若しくは1価の イオンとなることができる原子団を表す。) 、-SO 4 M 4 1/2 、-SO 3 M 5 1/2 (M 4 及びM 5 は、同一又は異なり、II族原子、鉄等の遷移 属、若しくは、2価の陽イオンとなることが できる原子団を表す。)が挙げられる。上記I 原子としては、例えば、水素原子、ナトリ ム原子、カリウム原子等が挙げられ、上記1 価の陽イオンとなることができる原子団とし ては、例えば、アンモニウム基等が挙げられ る。上記II族原子としては、例えば、カルシ ム、マグネシウム等が挙げられる。遷移金 としては、例えば、鉄等が挙げられる。

上記末端官能基の量は、フッ素樹脂(C)のポ リマー分子鎖中の炭素数100万個あたり50~100000 個の範囲であることが好ましい。50個未満で ると、密着力が低下しやすく、100000個を超 ると、焼成時の発泡が激しくなり、塗膜欠 を生じやすい。フッ素樹脂(C)のポリマー分 鎖中の炭素数100万個あたり、より好ましい 限は、100個、更に好ましい下限は、500個で り、より好ましい上限は、50000個、更に好 しい上限は、10000個である。

上記末端官能基の量は、赤外分光光度計を 用いて測定し得られる値である。

上記末端官能基を有するポリマーにおける 末端官能基の量は、通常、適切な触媒、連鎖 移動剤及び重合条件を選んで重合することに より調整することができる。

上記末端官能基を有するポリマーにおける 官能基の量は、上記官能基を有するモノマー を重合することによって増やすことができる 。

上記官能基を有するモノマーを単量体とし て重合し得られたフッ素樹脂(C)のポリマーを 適宜酸、アルカリ等の反応試剤と反応させる 事及び熱により処理する事により、上記(末 )官能基は反応試剤及び熱の作用により、化 構造の一部が変化する。

本発明の含フッ素積層体は、本発明の粉体 塗料を塗装して得られたプライマー層上に、 フッ素樹脂(D)からなる上塗り塗料を塗装し、 フッ素樹脂(D)の融点以上の温度で30~120分間焼 成することにより得ることができる。

フッ素樹脂(D)を含有する上塗り塗料は、所 望の膜厚によって粉体塗料タイプと液状塗料 タイプとが使い分けられ、耐腐蝕性の観点( 膜化の観点)では、粉体塗料を用いることが ましい。フッ素樹脂(D)を含有する上塗り塗 には、本発明の粉体塗料と同様の分散媒、 散剤、添加剤、その他の樹脂等を用いるこ ができる。

本発明の含フッ素積層体は、また、上記上 塗り塗料の代わりに、フッ素樹脂(D)を含むフ ッ素樹脂フィルムを用いて形成するものであ ってもよい。

上記フッ素樹脂(D)は、熱安定性、塗料の加 工性(流れ性)、成形品の防汚染性(非粘着性) 優れる点で、フッ素化したパーフルオロ樹 であることが好ましく、フッ素化したテト フルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビ ニル)エーテル共重合体〔PFA〕、フッ素化し テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプ ピレン共重合体〔FEP〕であることがより好 しい。フッ素化は、例えば、フッ素樹脂と ッ素含有ガスとを接触させることにより行 ことができる。

上記フッ素樹脂(D)は、塗膜の性質を改善す るために、充填剤等を含むものであってもよ い。上記充填剤としては特に限定されず、例 えば、カーボン繊維、顔料、光輝剤(マイカ 雲母等)、ガラス粉末等が挙げられる。

フッ素樹脂層(D)の膜厚としては、特に限定 されず、10μm以上であることが好ましい。

本発明の粉体塗料は、フッ素樹脂層(D)の膜 厚が200μm以上であっても、充分な密着性を保 持することができ、高温で長時間の焼成が必 要なライニング加工に特に有用である。

本発明の含フッ素積層体の用途としては特に 限定されず、例えば、従来のPAIエナメル線と 比較し耐加工劣化性に優れる点で、耐熱エナ メル線等の各種電線の被覆材用途;
情報機器部品(紙分離爪、プリンタガイド、 ア、ベアリング)、コネクタ、バーニインソ ット、ICソケット、油田用電気部品、リレ 、電磁波シールド、リレーケース、スイッ 、カバー、端子板母線等の電気・電子産業 連用途;
バルブシート、油圧用シール、バックアップ リング、ピストンリング、ウェアバンド、ベ ーン、ボールベアリングリテーナー、ローラ ー、カム、ギア、ベアリング、ラビリンスシ ール、ポンプ部品、機械的リンク機構、ブッ シング、ファスナ、スプラインライナー、ブ ラケット、油圧ピストン、ケミカルポンプケ ーシング、バルブ、弁、タワーパッキン、コ イルボビン、パッキン、コネクター、ガスケ ット、バルブシール等の機械工業関連用途;
スラストワッシャ、シールリング、ギア、ベ アリング、タペット、エンジン部品(ピスト 、ピストンリング、バルブステア)、トラン ミッション部品(スプール弁、ボール逆止弁 、シーリング)、ロッカーアーム等の車両工 関連用途;
ジェットエンジン部品(ブッシング、ワッシ 、スペーサー、ナット)、パワーコントロー クラッチ、ドアヒンジ用ベアリング、コネ ター、チューブクランプ、ブラケット、油 部品、アンテナ、レドーム、フレーム、燃 系統部品、コンプレッサ部品、ロケットエ ジン部品、ウェアストリップ、コネクタシ ルフ、宇宙構造体等の航空、宇宙産業関連 途等が挙げられる。その他にも、製罐機ピ カバー、メッキ装置用部品、原子力関連部 、超音波トランデューサ、ポテンショメー シャフト、給水栓部品等の用途が挙げられ 。

本発明の含フッ素積層体の用途としては、 また、攪拌翼、タンク内面、ベッセル、塔、 遠心分離器、ポンプ、バルブ、配管、熱交換 器、メッキ冶具、タンクローリー内面、スク リューコンベア等の耐腐蝕用途;半導体工場 クト等の半導体関連用途;OAロール、OAベルト 、製紙ロール、フィルム製造用カレンダーロ ール、インジェクション金型等の工業用離型 用途;炊飯釜、ポット、ホットプレート、ア ロン、フライパン、ホームベーカリー、パ トレー、ガステーブル天板、パン天板、鍋 釜等の家電・厨房関連用途;各種ギアを含む 密機構摺動部材、製紙ロール、カレンダー ール、金型離型部品、ケーシング、バルブ 弁、パッキン、コイルボビン、オイルシー 、継ぎ手、アンテナキャップ、コネクター ガスケット、バルブシール、埋設ボルト、 設ナット等の工業部品関連用途等が挙げら る。

本発明の粉体塗料は、上述の構成よりなる ので、塗装に際し、高温で長時間焼成を行っ ても密着性が低下しにくく、リン酸クロム系 プライマーに匹敵する耐熱密着性を有する含 フッ素積層体を得ることができる。

以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく 説明するが、本発明はこれら実施例のみに限 定されるものではない。

実施例1
ポリアミドイミド樹脂(商品名:トーロン4000T-4 0、ソルベイアドバンストポリマーズ社製)〔P AI〕を粉砕機(商品名:アトマイザー、ダルト 社製)で粉砕し、平均粒子径が36μmのPAI粒子 砕品を得た。得られたPAI粒子粉砕品70g、テ ラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキル ビニル)エーテル共重合体〔PFA〕(融点:310℃、 平均粒子径:25μm)400g、ポリフェニレンサルフ イド樹脂〔PPS〕(商品名:ライトンV-1、フィ ップス社製、平均粒子径:17μm)30gを混合機(商 品名:V型ブレンダー、ダルトン社製)で均一分 散し、本発明の粉体塗料を得た。

アルミナ粉(商品名:トサエメリー#40、宇治 化学工業社製)を用いて吹き付け圧力1.0MPaで ブラスト処理した鉄板(SS400、縦100mm×横50mm× さ1.5mm、平均粗さ〔Ra〕=2~3μm)上に、上記粉 塗料を膜厚が100μmになるように静電塗装し 350℃で30分間焼成した。得られた上記粉体塗 料の乾燥皮膜上にPFA粉体塗料(平均粒子径:220 m、メルトフローレート:6g/10分)を、焼成後の 膜厚合計が1.1mmになるように盛り置きし、350 で1時間焼成し積層体Aを得た。

得られた積層体Aから試験片を切り出し、 の試験片について下記評価を行った。

耐熱性試験
10mmの幅に切れ目を入れた試験片を350℃の電 炉に入れ、20時間、30時間又は50時間加熱し 後、室温に戻し、テンシロン万能試験機を いてJIS K 6854-1(1999年)に準拠して引っ張り速 度50mm/分で試験片に対して90°方向に剥離接着 強さを測定した。但し、上記加熱後に試験片 の塗膜が剥離した場合、剥離接着強さは0kgf/c mとした。

耐熱水処理試験
10mmの幅に切れ目を入れた試験片を98℃の熱水 に24時間、72時間又は120時間浸漬した後、室 に戻し、耐熱性試験と同様にして試験片に して90°方向に剥離接着強さを測定した。

剥離状態評価
上記剥離接着強さの試験において、剥離状態 を観察し以下のように評価した。
/A:被塗装物と粉体塗料の焼成塗膜との間での 剥離〔基材剥離〕
/B:粉体塗料の焼成塗膜とPFA樹脂層との間での 剥離〔層間剥離〕
/C:粉体塗料の焼成塗膜の破壊による剥離〔凝 集破壊〕

実施例2
PAIの量を60g、PPSの量を40gに変更した以外は実 施例1と同様の方法にて積層体Bを作成し、実 例1と同様の評価を行った。

実施例3
PAIの量を50g、PPSの量を50gに変更した以外は実 施例1と同様の方法にて積層体Cを作成し、実 例1と同様の評価を行った。

実施例4
PAIの量を40g、PPSの量を60gに変更した以外は実 施例1と同様の方法にて積層体Dを作成し、実 例1と同様の評価を行った。

実施例5
PAIの量を30g、PPSの量を70gに変更した以外は実 施例1と同様の方法にて積層体Eを作成し、実 例1と同様の評価を行った。

実施例6
PAIの量を10g、PPSの量を90gに変更した以外は実 施例1と同様の方法にて積層体Fを作成し、実 例1と同様の評価を行った。

実施例7
実施例1で用いた鉄基材に代えて、実施例1で いたものと同じアルミナ粉を用いてブラス 処理したステンレス鋼板(SUS304、縦100mm×横50 mm×厚さ1.5mm、平均粗さ〔Ra〕=2~3μm)を用いた 外は実施例1と同様の方法にて積層体Gを作成 し、実施例1と同様の評価を行った。

実施例8
PAIの量を60gに変更し、抗酸化性物質としてPPS 40gに代えて、ベンゾチアゾール系化合物(2-メ ルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩)1.0gとPPS40g の混合物を用いた以外は実施例1と同様の方 法にて積層体Hを作成し、実施例1と同様の評 を行った。

実施例9
PFAの量を233.3gに変更した以外は実施例1と同 の方法にて積層体Iを作成し、実施例1と同様 の評価を行った。

比較例1
ポリアミドイミド樹脂(商品名:トーロン4000T-4 0、ソルベイアドバンストポリマーズ社製)〔P AI〕を粉砕機(商品名:アトマイザー、ダルト 社製)にて粉砕し平均粒子径が50μmのPAI粒子 砕品を得た。得られたPAI粒子粉砕品50g、PPS 50g用いた以外は実施例1と同様にして、比較 積層体aを作成し実施例1と同様の評価を行 た。

以上の結果を表1及び2に示す。なお、表中 /A、/B、及び、/Cは上述の剥離状態評価であ 。

表1に示すように、実施例1~9は耐熱性試験 の剥離接着強さの低下がなく優れた耐熱密 性を示した。

比較例1の結果から、粒子径の大きいPAIを いると、試験前の剥離接着強さが粒子径の かいPAIを用いた場合と比べると劣り、特に 熱水性試験後の剥離接着強さが大きく低下 ることが分かった。

上記より、本発明の粉体塗料は高温長時間 の熱処理、及び、耐熱水性において優れた性 能を示した。

本発明の粉体塗料は上述の構成よりなるので 、耐熱性に優れた塗膜を得ることができ、高 度の耐熱密着性が求められるプライマー層形 成用塗料として好適に利用することができる 。
 




 
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