Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
POWER TRANSMISSION CHAIN AND POWER TRANSMISSION DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041494
Kind Code:
A1
Abstract:
A power transmission chain and a power transmission device in which not only the noise is reduced but also the durability is enhanced by removing an unfavorable ones from the random arrangement of pitch length and pin shape while paying attention to the maximum bending angle and the minimum bending angle. There are two kinds of links with regard to the pitch length, i.e. links (L1) of short pitch length and links (L2) of long pitch length, and there are two kinds of pins with regard to the pin shape, i.e. pins (P1) with a rolling contact faces of large curvature and pins (P2) with a rolling contact faces of small curvature. Relation of the link element and the relative rotation angle is analyzed for various arrangements and an arrangement having an increasing maximum bending angle (e.g. an arrangement where a combination (L2, P2) immediately follows a combination (L1, P1) in the advancing direction of chain) or an arrangement having a too small minimum bending angle is removed.

Inventors:
KAMAMOTO SHIGEO (JP)
TADA SEIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067291
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 25, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
JTEKT CORP (JP)
KAMAMOTO SHIGEO (JP)
TADA SEIJI (JP)
International Classes:
F16G5/18; F16H9/24
Foreign References:
JP2006242374A2006-09-14
JP2006105355A2006-04-20
JP2006002783A2006-01-05
JP2006097844A2006-04-13
JP2006097857A2006-04-13
JP2006242374A2006-09-14
Other References:
See also references of EP 2192325A4
Attorney, Agent or Firm:
SUGAHARA, Ichiro (Petit Chateau Gouda 2052-8-25, Tamagawa-gakue, Machida-shi Tokyo, JP)
Download PDF:
Claims:
 ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされるとともに、ピッチ長が異なるリンクとピン形状が異なるピンとが組み合わされて配列されている動力伝達チェーンにおいて、
 ピッチ長に関しては、ピッチ長小のリンクL1およびピッチ長大のリンクL2の2種類があり、ピン形状に関しては、長いピンかまたは転がり接触面の曲率が大きいピンをP1、短いピンかまたは転がり接触面の曲率が小さいピンをP2としての2種類があり、最大屈曲角の大きいもしくは屈曲角最小値の小さい所定の配列のうち少なくとも1つが排除されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
 請求項1記載の動力伝達チェーンにおいて、ピン形状に関しては、長いピンP1および短いピンP2の2種類があり、(L1,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P2)の組合せが来た場合に(L2,P2)が続く配列、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P2)の組合せが来た場合に(L2,P2)が続く配列、(L1,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L2,P1)の組合せが来た場合に(L1,P2)が続く配列および(L1,P1)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L2,P2)が続く配列のうちの少なくとも1つが排除されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
 請求項1記載の動力伝達チェーンにおいて、ピン形状に関しては、転がり接触面の曲率が大きいピンP1および転がり接触面の曲率が小さいピンP2の2種類があり、(L1,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P2)の組合せが来た場合に(L2,P2)が続く配列、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P2)の組合せが来た場合に(L2,P2)が続く配列、(L1,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L2,P1)の組合せが来た場合に(L1,P2)が続く配列および(L1,P1)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L2,P2)が続く配列のうちの少なくとも1つが排除されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
 請求項1記載の動力伝達チェーンにおいて、ピン形状に関しては、長いピンP1および短いピンP2の2種類があり、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが来た場合に(L1,P2)が続く配列、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが2つ連続で来た場合に(L1,P2)の組合せが続く配列、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが来た場合に(L2,P2)の組合せが続く配列および(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが3つ連続で来た場合に(L1,P2)の組合せが続く配列のうちの少なくとも1つが排除されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
 請求項1記載の動力伝達チェーンにおいて、ピン形状に関しては、転がり接触面の曲率が大きいピンP1および転がり接触面の曲率が小さいピンP2の2種類があり、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが来た場合に(L1,P2)が続く配列、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが2つ連続で来た場合に(L1,P2)の組合せが続く配列、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが来た場合に(L2,P2)の組合せが続く配列および(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが3つ連続で来た場合に(L1,P2)の組合せが続く配列のうちの少なくとも1つが排除されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備え、動力伝達チェーンが請求項1~5のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
Description:
動力伝達チェーンおよび動力伝 装置

 この発明は、動力伝達チェーン、さらに しくは、自動車等の車両の無段変速機(CVT) 好適な動力伝達チェーンおよび動力伝達装 に関する。

 自動車用無段変速機として、図10に示す うに、固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)を 有しエンジン側に設けられたドライブプーリ (2)と、固定シーブ(3b)および可動シーブ(3a)を し駆動輪側に設けられたドリブンプーリ(3) 、両者間に架け渡された無端状動力伝達チ ーン(1)とからなり、油圧アクチュエータに って可動シーブ(2b)(3a)を固定シーブ(2a)(3b)に 対して接近・離隔させることにより、油圧で チェーン(1)をクランプし、このクランプ力に よりプーリ(2)(3)とチェーン(1)との間に接触荷 重を生じさせ、この接触部の摩擦力によりト ルクを伝達するものが知られている。

 動力伝達チェーンとしては、特許文献1に、 ピンが挿通される前後挿通部を有する複数の リンクと、一のリンクの前挿通部と他のリン クの後挿通部とが対応するようにチェーン幅 方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能 に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピ とを備え、一のリンクの前挿通部に固定さ かつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌 入れられた第1ピンと一のリンクの前挿通部 に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの 後挿通部に固定された第2ピンとが相対的に がり接触移動することにより、リンク同士 長さ方向の屈曲が可能とされており、騒音 よび振動を低減するために、リンクのピッ 長、ピンの転がり接触面形状、ピンのプー 面との接触位置(オフセット量)などを2種類 上とすることが提案されている。

特開2006-242374号公報

 上記特許文献1に示されている動力伝達チ ェーンでは、ピッチ長が異なる複数のリンク および形状が異なるピンを組み合わせること によって騒音を低減することができるが、ピ ッチ長ランダムとピン形状ランダムとの組合 せに伴って、隣り合うリンク同士の屈曲角に ついても種々の大きさのものが出現すること になる。一般的には、屈曲角が大きいものは 、耐久性においては不利なものとなり得るの で、注意が払われ、屈曲角が小さい場合には 、デメリットがないものと考えられていた。

 この発明の目的は、ピッチ長とピン形状 のランダム配列の中から、最大屈曲角及び 曲角最小値に着目して好ましくないものを 除することで、騒音だけでなく耐久性も向 させた動力伝達チェーンおよび動力伝達装 を提供することにある。

 この発明による動力伝達チェーンは、ピ が挿通される前後挿通部を有する複数のリ クと、一のリンクの前挿通部と他のリンク 後挿通部とが対応するようにチェーン幅方 に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複 の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、 1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動 することにより、リンク同士の長さ方向の屈 曲が可能とされるとともに、ピッチ長が異な るリンクとピン形状が異なるピンとが組み合 わされて配列されている動力伝達チェーンに おいて、ピッチ長に関しては、ピッチ長小の リンクL1およびピッチ長大のリンクL2の2種類 あり、ピン形状に関しては、長いピン(また は転がり接触面の曲率が大きいピン)P1および 短いピン(または転がり接触面の曲率が小さ ピン)P2の2種類があり、最大屈曲角の大きい しくは屈曲角最小値の小さい配列ののうち 少なくとも1つが排除されていることを特徴 とするものである。特に、第1の観点では、 大屈曲角の大きさを考慮して、排除すべき 列は、(L1,P2)の組合せのチェーン進行方向す 後に(L1,P2)の組合せが来た場合に(L2,P2)が続 配列、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向す 後に(L1,P2)の組合せが来た場合に(L2,P2)が続 配列、(L1,P2)の組合せのチェーン進行方向す 後に(L2,P1)の組合せが来た場合に(L1,P2)が続 配列および(L1,P1)の組合せのチェーン進行方 すぐ後に(L2,P2)が続く配列とされている。

 リンクのピッチ長2種類(L1およびL2)とピン 形状2種類(P1およびP2)とを組み合わせる場合 (L1,P1),(L1,P2),(L2,P1)および(L2,P2)の4種類の組合 があり、従来のランダム配列は、「ランダ 」という点から、各組合せの後には、4種類 全てが現れるような配列がよいと考えられて いた。しかしながら、隣り合うリンク同士の 最大屈曲角を考えると、これが大きいものは 、耐久性に不利な要因となるので、単純にラ ンダム配列とすることは、耐久性にとって不 利な配列を出現させる可能性がある。例えば 、(L1,P1)を基準とすると、これに続く組合せ して、(L1,P1),(L1,P2),(L2,P1)および(L2,P2)があり どの組合せが続くかで騒音レベルや耐久性 が変化する可能性があるにもかかわらず、 来、このような連続の組合せは考慮されて なかった。

 この発明による動力伝達チェーンでは、 大屈曲角に着目して、好ましくない組合せ 後に続くことを排除することで、騒音の低 だけでなく耐久性の向上が図られている。

 すなわち、ピッチ長に関して、ピッチ長 のリンクをL1、ピッチ長大のリンクをL2とし 、ピン形状に関しては、長いピンかまたは転 がり接触面の曲率が大きいピンをP1、短いピ かまたは転がり接触面の曲率が小さいピン P2とし、それらの配列に関し、例えば、(L1,P 1)の組合せのチェーン進行方向すぐ後には、( L2,P2)の組合せが避けられている(言い換える 、(L1,P1)の組合せのチェーン進行方向すぐ後 は、残る3種類の組合せである(L1,P1)の組合 、(L1,P2)の組合せおよび(L2,P1)の組合せのいず れかが来るようになされている。)。

 リンクおよびピンをランダム配列した場 に、隣り合うリンク同士の相対回転角(屈曲 角)を求めると、例えば、図5(b)に示すものと る。同図において、相対回転角が大きくな ているのが、(L1,P1)の組合せのチェーン進行 方向すぐ後に(L2,P2)の組合せが来た箇所であ 。これ以外の箇所では、(L1,P1)の組合せのチ ーン進行方向すぐ後に(L2,P2)の組合せが来て いないことから、(L1,P1)の組合せのチェーン 行方向すぐ後に(L2,P2)の組合せが来ることを 除することで、最大屈曲角を低減できるこ が分かる。

 この解析結果に基づいて、最大屈曲角が きくなる箇所を調べると、上記組合せ以外 、(L1,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後 に(L1,P2)の組合せが来た場合に(L2,P2)の組合せ 続く組合せ、(L2,P2)の組合せのチェーン進行 方向すぐ後に(L1,P2)の組合せが来た場合に(L2,P 2)が続く組合せおよび(L1,P2)の組合せのチェー ン進行方向すぐ後に(L2,P1)の組合せが来た場 に(L1,P2)が続く組合せにおいても、最大屈曲 が大きくなることが判明し、これに基づい 、上記の条件が抽出されている。

 一方、この発明の第2の観点による動力伝達 チェーンは、屈曲角最小値を考慮して、排除 すべき配列は、
 (L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に (L1,P1)の組合せが来た場合に(L1,P2)が続く配列 (L2,P2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に (L1,P1)の組合せが2つ連続で来た場合に(L1,P2)の 組合せが続く配列、(L2,P2)の組合せのチェー 進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが来た場合 (L2,P2)の組合せが続く配列および(L2,P2)の組 せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合 が3つ連続で来た場合に(L1,P2)の組合せが続 配列とされている。

 リンクのピッチ長2種類(L1およびL2)とピン 形状2種類(P1およびP2)とを組み合わせる場合 (L1,P1),(L1,P2),(L2,P1)および(L2,P2)の4種類の組合 があり、従来のランダム配列は、「ランダ 」という点から、各組合せの後には、4種類 全てが現れるような配列がよいと考えられて いた。しかしながら、隣り合うリンク同士の 屈曲角を考えると、単純にランダム配列とす ることは、耐久性にとって不利な配列を出現 させる可能性がある。

 この発明の第2の観点による動力伝達チェ ーンでは、屈曲角最小値に着目して、好まし くない組合せが後に続くことを排除すること で、騒音の低減だけでなく耐久性の向上が図 られている。隣り合うリンク同士の屈曲角が 小さい場合、変形が小さいということでは耐 久性に有利となるが、ピン同士の転がり接触 面の全体が接触しないために、ピンの一部に 常に荷重がかかるという点で耐久性に不利と なる。また、屈曲角が小さい組合せが続くと 、プーリのシーブ面間にあっても挟持力を負 担しないピンが出てくるという点でも耐久性 に不利となる。

 そこで、ピッチ長に関して、ピッチ長小 リンクをL1、ピッチ長大のリンクをL2とし、 ピン形状に関しては、長いピンかまたは転が り接触面の曲率が大きいピンをP1、短いピン または転がり接触面の曲率が小さいピンをP 2とし、リンクおよびピンをランダム配列し 場合に、隣り合うリンク同士の相対回転角( 曲角)を求め、屈曲角が所定値よりも小さい 箇所を調べると、上記の4つの配列((L2,P2)の組 合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組 せが来た場合に(L1,P2)が続く配列、(L2,P2)の組 合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組 せが2つ連続で来た場合に(L1,P2)の組合せが続 く配列、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方向 ぐ後に(L1,P1)の組合せが来た場合に(L2,P2)の組 合せが続く配列および(L2,P2)の組合せのチェ ン進行方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが3つ連続 で来た場合に(L1,P2)の組合せが続く配列)が抽 され、これらの配列を排除することで、屈 角最小値を大きくできることが分かる。

 ここで、最大屈曲角が大きくなるために 排除するべきとして挙げられている組合せ 、全部で4つあり、これら4つ全てが排除さ ることが最良であるが、少なくとも1つの組 せを排除すれば、従来のものに比べて、耐 性を向上させることができる。4つの組合せ のうちの1つだけでなく、少なくとも2つまた 少なくとも3つを排除することがより好まし いのはもちろんのことである。一方、屈曲角 最小値を小さくするべきとして挙げられてい る組合せは全部で4つあり、同様に、少なく も1つの組合せを排除すれば、従来のものに べて、耐久性を向上させることができる。

 なお、本発明において、上記排除すべき 列をなくすには、(L2,P2)の組合せを(L1,P1)な に置き換えてももちろんよいが、その順序 けを変更することでも排除すべき配列から れるようにすることができる。

 リンクのピッチ長が2種類とされることで 、打音発生の周期がずれて、音圧レベルのピ ークが低減される。ピンの長さについては、 これが2水準とされることで、プーリに接触 る位置が2水準となり、音圧レベルのピーク 低減される。また、第1ピンおよび第2ピン 転がり接触面形状については、第1ピンと第2 ピンとの接触位置の軌跡がインボリュート曲 線とされかつそのインボリュートの基礎円半 径が2水準とされることで、音圧レベルのピ クが低減される。ピンに関しては、長いピ をP1、短いピンをP2とした場合と、転がり接 面の曲率が大きいピンをP1、転がり接触面 曲率が小さいピンをP2とした場合とで同様の 効果を得ることができる。第1ピンおよび第2 ンは、通常、いずれか一方の転がり接触面 平坦面とされ、他方の転がり接触面が相対 に転がり接触移動可能なインボリュート曲 に形成される。ただし、第1ピンおよび第2 ンは、それぞれの接触面が所要の曲面に形 されるようにしてもよい。

 第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、 のリンクの前挿通部の前側部分に設けられ ピン固定部に固定されかつ他のリンクの後 通部の前側部分に設けられたピン可動部に 動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリ クの前挿通部の後側部分に設けられたピン 動部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリ クの後挿通部の後側部分に設けられたピン 定部に固定されていることが好ましい。

 ピン固定部へのピンの固定は、例えば、 械的圧入によるピン固定部内縁とピン外周 との嵌合固定とされるが、これに代えて、 き嵌めまたは冷やし嵌めによってもよい。 合固定は、ピン固定部の長さ方向に対して 交する部分の縁(上下の縁)で行われるのが ましい。この嵌合固定の後、予張力付与工 において予張力が付与されることにより、 ンクのピン固定部(ピン圧入部)に均等にかつ 適正な残留圧縮応力が付与される。

 この発明による動力伝達チェーンでは、 1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプ リと接触して摩擦力により動力伝達する。 ずれか一方のピンがプーリと接触するチェ ンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうち のいずれか一方は、このチェーンが無段変速 機で使用される際にプーリに接触する方のピ ン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と す)とされ、他方は、プーリに接触しない方 のピン(インターピースまたはストリップと されており、以下では、「第2ピン」または インターピース」と称す)とされる。

 リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼 とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素 具鋼に限られるものではなく、軸受鋼など 他の鋼でももちろんよい。リンクは、前後 通部がそれぞれ独立の貫通孔(柱有りリンク )とされていてもよく、前後挿通部が1つの貫 孔(柱無しリンク)とされていてもよい。ピ の材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が 用される。

 なお、この明細書において、リンクの長 方向の一端側を前、同他端側を後としてい が、この前後は便宜的なものであり、リン の長さ方向が前後方向と常に一致すること 意味するものではない。

 上記の動力伝達チェーンは、いずれか一 のピン(インターピース)が他方のピン(ピン) よりも短くされ、長い方のピンの端面が無段 変速機のプーリの円錐状シーブ面に接触し、 この接触による摩擦力により動力を伝達する ものであることが好ましい。各プーリは、円 錐状のシーブ面を有する固定シーブと、固定 シーブのシーブ面に対向する円錐状のシーブ 面を有する可動シーブとからなり、両シーブ のシーブ面間にチェーンを挟持し、可動シー ブを油圧アクチュエータによって移動させる ことにより、無段変速機のシーブ面間距離し たがってチェーンの巻き掛け半径が変化し、 スムーズな動きで無段の変速を行うことがで きる。

 この発明による動力伝達装置は、円錐面 のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面 状のシーブ面を有する第2のプーリと、これ 第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝 達チェーンとを備えたもので、動力伝達チェ ーンが上記に記載のものとされる。

 この動力伝達装置は、自動車等の車両の 段変速機としての使用に好適なものとなる

 この発明の動力伝達チェーンおよび動力 達装置によると、ランダム配列を基本とし がら、最大屈曲角及び屈曲角最小値に着目 て、好ましくない組合せが後に続くことを 除することで、耐久性の点からも配列の適 化が図られており、これにより、使用する ンクおよびピンの形状を変更することなく その配列の変更だけで、騒音の低減および 久性の向上が実現されている。

図1は、この発明による動力伝達チェー ンの1実施形態の一部を示す平面図である。 図2は、リンク、ピンおよびインターピ ースの基準形状を示す拡大側面図である。 図3は、異なるピッチ長のリンクの形状 を示す拡大側面図である。 図4は、異なる形状のピンを示す拡大側 面図である。 図5(a)は、従来の配列の1例を示し、図5( b)は、この従来の配列の相対回転角について 解析結果を示している。 図6(a)(b)(c)は排除すべき配列を示す表で ある。 図7は、本発明の着目点である屈曲角最 小値出現部分の配列を説明する図である。 図8(a)(b)(c)は排除すべき配列を示す表で ある。 図9は、動力伝達チェーンがプーリに取 り付けられた状態を示す正面図である。 図10は、無段変速機を示す斜視図であ 。

 以下、図面を参照して、この発明の実施 態について説明する。以下の説明において 上下は、図2の上下をいうものとする。

 図1は、この発明による動力伝達チェーン の一部を示しており、動力伝達チェーン(1)は 、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設け られた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリン (11)(21)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)( 21)同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数 のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2 ピン)(15)とを備えている。インターピース(15) は、ピン(14)よりも短くなされ、両者は、イ ターピース(15)が前側に、ピン(14)が後側に配 置された状態で対向させられている。

 この発明の動力伝達チェーン(1)では、リ ク(11)(21)については、図2に示したリンク(11) と図3に示したリンク(21)との2種類が使用され ており、ピン(14)の断面形状については、図4( a)に示したものと図4(b)に示したものとの2種 が使用されている。

 チェーン(1)は、幅方向同位相の複数のリ クで構成されるリンク列を進行方向(前後方 向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、こ の3列のリンク列からなるリンクユニットを 行方向に複数連結して形成されている。こ 実施形態では、リンク枚数が9枚のリンク列 リンク枚数が8枚のリンク列2つとが1つのリ クユニットとされている。

 図2および図3に示すように、リンク(11)(21) の前挿通部(12)は、ピン(14)が移動可能に嵌め わせられるピン可動部(16)およびインターピ ース(15)が固定されるインターピース固定部(1 7)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)が固定 れるピン固定部(18)およびインターピース(15) が移動可能に嵌め合わせられるインターピー ス可動部(19)からなる。

 各ピン(14)は、インターピース(15)に比べ 前後方向の幅が広くなされており、インタ ピース(15)の上下縁部には、各ピン(14)側にの びる突出縁部(15a)(15b)が設けられている。

 チェーン幅方向に並ぶリンク(11)(21)を連 するに際しては、一のリンク(11)(21)の前挿通 部(12)と他のリンク(11)(21)の後挿通部(13)とが 応するようにリンク(11)(21)同士が重ねられ、 ピン(14)が一のリンク(11)(21)の後挿通部(13)に 定されかつ他のリンク(11)(21)の前挿通部(12) 移動可能に嵌め合わせられ、インターピー (15)が一のリンク(11)(21)の後挿通部(13)に移動 能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)(21) 前挿通部(12)に固定される。そして、このピ (14)とインターピース(15)とが相対的に転が 接触移動することにより、リンク(11)(21)同士 の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる

 リンク(11)(21)のピン固定部(18)とインター ース可動部(19)との境界部分には、インター ピース可動部(19)の上下の凹円弧状案内部(19a) (19b)にそれぞれ連なりピン固定部(18)に固定さ れているピン(14)を保持する上下の凸円弧状 持部(18a)(18b)が設けられている。同様に、イ ターピース固定部(17)とピン可動部(16)との 界部分には、ピン可動部(16)の上下の凹円弧 案内部(16a)(16b)にそれぞれ連なりインターピ ース固定部(17)に固定されているインターピ ス(15)を保持する上下の凸円弧状保持部(17a)(1 7b)が設けられている。

 ピン(14)を基準としたピン(14)とインター ース(15)との接触位置の軌跡は、円のインボ ュートとされており、この実施形態では、 ン(14)の転がり接触面(14a)が、断面において 径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート 線とされ、インターピース(15)の転がり接触 面(15c)が平坦面(断面形状が直線)とされてい 。これにより、各リンク(11)(21)がチェーン(1) の直線領域から曲線領域へまたは曲線領域か ら直線領域へと移行する際、前挿通部(12)に いては、ピン(14)が固定状態のインターピー (15)に対してその転がり接触面(14a)がインタ ピース(15)の転がり接触面(15c)に転がり接触( 若干のすべり接触を含む)しながらピン可動 (16)内を移動し、後挿通部(13)においては、イ ンターピース(15)がインターピース可動部(19) を固定状態のピン(14)に対してその転がり接 触面(15c)がピン(14)の転がり接触面(14a)に転が 接触(若干のすべり接触を含む)しながら移 する。

 この動力伝達チェーン(1)では、ピンの上 移動の繰り返しにより、多角形振動が生じ これが騒音の要因となるが、ピン(14)とイン ターピース(15)とが相対的に転がり接触移動 かつピン(14)を基準としたピン(14)とインター ピース(15)との接触位置の軌跡が円のインボ ュートとされていることにより、ピンおよ インターピースの接触面がともに円弧面で る場合などと比べて、振動を小さくするこ ができ、騒音を低減することができる。

 より一層の騒音および振動の低減のため は、形状が異なる2種類以上のリンク(11)(21) ピン(14)をランダムに配列することが好まし く、これにより、打音発生の周期がずれて、 音のエネルギーが異なる周波数帯に分散され 、音圧レベルのピークが低減される。

 図2および図3において、符号AおよびBで示 す箇所は、チェーン(1)の直線領域においてピ ン(14)とインターピース(15)とが接触している (断面では点)であり、AB間の距離がピッチ長 である。図2のリンク(11)に対して、AB間の距 (ピッチ長)を大きくしたものが、図3のリン (21)となっており、リンク(11)(21)については ピッチ長小のものと大のものとが使用され いる。

 図4において、ピン(14)のインボリュート 線の半径Rbについて、図4(a)に示すインボリ ート曲線の半径Rbが大きいものと図4(b)に示 インボリュート曲線の半径Rbが小さいものと の2種類が使用されている。これら2種類のピ (14)は、図2のピッチ長が小さいリンク(11)お び図3のピッチ長が長いリンク(21)のいずれ も挿通可能であり、リンク(11)のピッチ長2種 類(以下では、ピッチ長小を「L1」、ピッチ長 大を「L2」とする)とピン形状2種類(以下では Rb大を「P1」、Rb小を「P2」とする)とを組み わせることで、(L1,P1),(L1,P2),(L2,P1)および(L2,P 2)の4種類の組合せが可能となっている。

(第1実施例)
 従来のランダム配列は、上記4種類のランダ ム配列とされており、各組合せの後には、4 類の組合せの全てが現れるような配列がよ と考えられていた。しかしながら、隣り合 リンク同士の最大屈曲角を考えると、最大 曲角が大きいものは、耐久性低下の要因と り得るので、単純にランダム配列とするこ は、騒音および耐久性を含めて考えた場合 最適でない可能性がある。そこで、最大屈 角に着目して、以下のようにして、好まし ない組合せが後に続くことを排除すること 、騒音の低減だけでなく耐久性の向上が図 れている。

 図5(a)は、従来の配列の1例を示すもので (L1,P2)の組合せの後に、4種類全ての組合せが 現れている。この従来の配列の隣り合うリン ク(11)(21)同士の相対回転角(屈曲角)を求めた が、図5(b)に示されている。図5(b)において、 相対回転角が大きくなっているのは、(L1,P1) 組合せの後に(L2,P2)の組合せが続いた箇所で る。これ以外の箇所では、(L1,P1)の組合せの 後には、(L2,P2)の組合せ以外の(L1,P1)の組合せ (L1,P2)の組合せまたは(L2,P1)の組合せが続い おり、この解析結果から、(L1,P1)の組合せの に(L2,P2)の組合せが続くことを排除すること で、最大屈曲角大のものを減らすことができ ることが分かる。

 このような観点から、更に解析を行って 最大屈曲角大となる組合せをチェックする 図6(a)(b)(c)に示した配列の箇所で図5(b)に示 たのと同様の相対回転角度大となることが かった(解析結果の図示は省略)。すなわち、 これらの配列をなくすことで、耐久性に不利 な要因である最大屈曲角を低減できることが 分かる。なお、図6(a)(b)(c)に示した配列は、 の順序で続いた場合に最大屈曲角が大きく ることから、2番目の組合せと3番目の組合せ の順序を変更するだけでも、最大屈曲角大と なることを解消することができる。

(第2実施例)
 一方、図7に示すように、隣り合う第1ピン(1 4)の接触位置同士をつないだ線を1つの矢印で 表して、第1ピン(14)の接触位置が円周方向に うのに適切な屈曲角を有しているもの(○印 および実線で示す)に対して、屈曲角が小さ もの(×印および破線で示す)が出現する。屈 角が小さくなる配列の一例として、(L2,P2)の 組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1)の 合せが来た場合に(L1,P2)が続く配列が挙げら る。屈曲角が小さすぎるものは、耐久性低 の要因となり得るので、単純にランダム配 とすることは、騒音および耐久性を含めて えた場合、最適でない可能性がある。そこ 、屈曲角最小値に着目して、好ましくない 合せが後に続くことを排除することで、騒 の低減だけでなく耐久性の向上が可能とな 。

 図8に示す配列は、種々の配列に対するリ ンク要素と相対回転角の関係を解析して、上 記以外に屈曲角が小さくなるものを抽出した もので、(a)は、(L2,P2)の組合せのチェーン進 方向すぐ後に(L1,P1)の組合せが2つ連続で来た 場合に(L1,P2)の組合せが続く配列、(b)は、(L2,P 2)の組合せのチェーン進行方向すぐ後に(L1,P1) の組合せが来た場合に(L2,P2)の組合せが続く 列、(c)は、(L2,P2)の組合せのチェーン進行方 すぐ後に(L1,P1)の組合せが3つ連続で来た場 に(L1,P2)の組合せが続く配列となっている。 れらは、いずれも、図7に破線で示すような 屈曲角となっており、これらの配列をなくす ことで、耐久性に不利な要因である屈曲角が 小さすぎるものを排除できる。なお、図7お び図8(a)(b)(c)に示した配列は、この順序で続 た場合に屈曲角が小さくなることから、例 ば2番目の組合せと3番目の組合せの順序を 更するだけでも、屈曲角が小さくなりすぎ ことを解消することができる。

 なお、上記第1実施例、第2実施例におい は、ピン形状について、転がり接触面の曲 が大きいピンP1および転がり接触面の曲率が 小さいピンP2を例示しているが、長いピンお び短いピンの2種類を使用する場合でも、長 いピンをP1、短いピンをP2とすることで、上 と同様の屈曲角低減効果を得ることができ 。

 この発明の動力伝達チェーン(1)は、図10 示すV型プーリ式CVTで使用されるが、この際 図9に示すように、プーリ軸(2e)を有するプ リ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の 各円錐状シーブ面(2c)(2d)にインターピース(15) の端面が接触しない状態で、ドライブピン(14 )の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に 接触し、この接触による摩擦力により動力が 伝達される。

 実線で示した位置にあるドライブプーリ( 2)の可動シーブ(2b)を固定シーブ(2a)に対して 近・離隔させると、ドライブプーリ(2)にお る巻き掛け径は、同図に鎖線で示すように 接近時には大きく、離隔時には小さくなる ドリブンプーリ(3)では、図示省略するが、 の可動シーブがドライブプーリ(2)の可動シ ブ(2b)とは逆向きに移動し、ドライブプーリ( 2)の巻き掛け径が大きくなると、ドリブンプ リ(3)の巻き掛け径が小さくなり、ドライブ ーリ(2)の巻き掛け径が小さくなると、ドリ ンプーリ(3)の巻き掛け径が大きくなる。こ 結果、変速比が1:1である状態(初期値)を基 にして、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が 小で、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が最 であるU/D(アンダードライブ)状態が得られ、 また、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が最大 で、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が最小の O/D(オーバードライブ)状態が得られる。