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Title:
PROCESS AND APPARATUS FOR PRODUCTION OF COMPOSITION HAVING HIGH POLYPHENOL CONTENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/099222
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a process for producing a composition having a high polyphenol content, particularly a composition having a high cacao polyphenol content and a low theobromine content in a simple manner and with high efficiency. The process for producing a composition having a high polyphenol content is characterized by comprising the following steps (a) to (d): (a) extracting a plant containing a polyphenol or a processed product of the plant with a solvent to produce a crude polyphenol extract; (b) contacting the crude polyphenol extract with a cation exchange resin which has been substituted by a hydrogen ion in advance and subsequently passing a first solvent containing no ionic substance through the cation exchange resin to produce a first polyphenol eluate; (c) passing the first polyphenol eluate through a cation exchange resin which has been substituted by a hydrogen ion in advance and subsequently passing a second solvent containing no ionic substance through the cation exchange resin to produce a second polyphenol eluate; and (d) drying or condensing the second polyphenol eluate. The process can produce a polyphenol-containing composition having a polyphenol content of 33 wt% or more and a theobromine content of 1 wt% or less in its solid content.

Inventors:
HANAMURA SATOSHI
CHIKAUCHI KEN
KANAZAWA SHIGERU
KOGA JINICHIRO
KANEGAE MINORU
Application Number:
PCT/JP2009/052118
Publication Date:
August 13, 2009
Filing Date:
February 06, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MEIJI SEIKA KAISHA (JP)
HANAMURA SATOSHI
CHIKAUCHI KEN
KANAZAWA SHIGERU
KOGA JINICHIRO
KANEGAE MINORU
International Classes:
A61K31/353; A61K36/18; A61P39/06; C07D311/62
Domestic Patent References:
WO2001093690A22001-12-13
WO1996010404A11996-04-11
Foreign References:
JPH11292870A1999-10-26
JPH11228565A1999-08-24
JP2004305012A2004-11-04
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu (2-8 Toranomon 1-chome,Minato-ku, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 以下の工程を有するポリフェノール含有組成物の製造方法。
(a)ポリフェノールを含有する植物体またはその加工品を溶媒で抽出し、ポリフェノール粗抽出液を得る工程、
(b)前記ポリフェノール粗抽出液を、予め水素イオン置換処理した陽イオン交換樹脂に接触させ、引き続き、前記陽イオン交換樹脂に、イオン性物質を含まない第1の溶媒を通液し、第1のポリフェノール溶出液を得る工程、
(c)前記第1のポリフェノール溶出液を、予め水素イオン置換処理した陽イオン交換樹脂に再度通液した後に、イオン性物質を含まない第2の溶媒を通液して第2のポリフェノール溶出液を得る工程、および
(d)前記第2のポリフェノール溶出液を濃縮または乾燥させる工程。
 前記植物体がカカオであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
 前記工程(a)において、前記抽出に用いる溶媒が、40~70重量%のエタノール水溶液である、請求項1または2に記載の製造方法。
 前記工程(b)及び前記工程(c)において、前記第1および第2の溶媒の通液がSV=2~10の流速で実施されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
 前記工程(c)に先立ち、前記第1のポリフェノール溶出液からテオブロミンの沈殿物を析出させ、次いで前記沈殿物を除去することによって得られる溶液を前記工程(c)で使用することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
 前記イオン性物質を含まない第1および第2の溶媒が、それぞれ、脱イオン水またはエタノール水溶液である、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
 前記イオン性物質を含まない第2の溶媒が、35℃以下の脱イオン水またはエタノール濃度が30重量%以下のエタノール水溶液である、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
 請求項1~7に記載の製造方法によって得られるポリフェノール含有組成物。
 固形分中のポリフェノール含量が33重量%以上であり、テオブロミン含量が1重量%以下であるポリフェノール含有組成物。
 ポリフェノールを含有する植物体またはその加工品からポリフェノール含有組成物を製造するための装置であって、
 ポリフェノールを含有する植物体またはその加工品からポリフェノール粗抽出液を得る手段を有する抽出区分と、
 前記抽出区分から移送手段を介して移送されたポリフェノール粗抽出液を、予め水素イオン置換処理した陽イオン交換樹脂に接触させ、引き続き上記陽イオン交換樹脂に、イオン性物質を含まない第1の溶媒を通液し、第1のポリフェノール溶出液を得る手段を有する第1の分離精製、および前記第1の分離精製区分から移送手段を介して移送された上記第1のポリフェノール溶出液を、予め水素イオン置換処理した陽イオン交換樹脂に再度通液した後に、イオン性物質を含まない第2の溶媒を通液して第2のポリフェノール溶出液を得る手段を有する第2の分離精製を可能とする分離精製区分と、
 前記分離精製区分から移送手段を介して移送された上記第2のポリフェノール溶出液を濃縮または乾燥する手段を有する回収区分と
を有することを特徴とする製造装置。
Description:
ポリフェノール高含有組成物の 造方法および製造装置

 本発明は、ポリフェノール高含有組成物 よびその製造方法に関する。より詳しくは テオブロミンおよびポリフェノールが共存 る植物体またはその加工品から、ポリフェ ールを選択的に抽出することによって、テ ブロミン含量が低く、ポリフェノール含量 高い組成物を効率よく製造する方法に関す 。

 一般に、様々な果物や野菜中に含まれて る植物ポリフェノールを摂取することは、 康維持に有益であることが知られている。 かでも、カカオに含まれるカカオポリフェ ールは、抗酸化作用、歯石形成抑制作用、 腫瘍作用、抗ストレス作用、発癌予防作用 どの様々な生理効果を有することが知られ いる(例えば特許文献1~5参照)。

 カカオポリフェノールは、カカオの抽出 として得ることができ、近年、そのような 出物を使用したココアおよびチョコレート どのカカオ飲食品が注目されている。しか 、一般的に、市販のココアまたはチョコレ トなどに含まれるカカオポリフェノールの 量は低い。そのため、カカオ飲食品によっ 上述の生理効果を発揮させるためには、そ らをかなり大量に摂取することが必要とな 。しかし、そのような大量摂取は様々な弊 を引き起こす可能性がある。したがって、 リフェノール含量が高い組成物、特に、カ オポリフェノール高含有組成物の製造方法 確立できれば、大量のココアやチョコレー を摂取せずに、生理効果を発揮するのに十 な量のポリフェノールを無理なく摂取する とが可能となる。

 このような観点において、カカオからカ オポリフェノールを抽出する様々な方法が 討されている。例えば、抽出時に熱水また エタノールを使用する方法が提案されてい (例えば特許文献1,6,7参照)。例示したカカオ ポリフェノールの抽出方法に見られるように 、従来のポリフェノールの抽出方法は、抽出 、合成吸着剤への吸着処理、洗浄および溶媒 による溶出など、煩雑な操作を必要とし、ポ リフェノールを効率よく、かつ安価に得るこ とは難しいことが多い。そのため、果物や野 菜を原料として、効率よく、かつ安価にポリ フェノール高含有組成物を製造する方法が待 ち望まれている。

特開平7-213251号公報

特開平7-238028号公報

特開平7-274894号公報

特開平9-206026号公報

特開平9-234018号公報

特開平9-224606号公報

特開2000-256345号公報 Martin L. Price and Larry G. Butler, J. Agric Food Chem., Vol. 25 No.6, 1268-1273, 1977 AOAC Official Methods of Analysis (1990) 980.14, 「Theobromine and Caffeine in Cacao Products Liquid  Chromatographic Method」 Food Chemistry 68 (2000) Yinrong Lu, L. Yeap F oo 「Antioxidant and radical scavenging activities of  polyphenols from apple pomace」 Journal of Nutrition, 1999, 129: 1725-1730 Satos hiNagaoka, Kenji Miwa, Michiko Eto, Yasuo Kuzuya, Gor o Hori and Kazuhiro Yamamoto「Soy Protein Peptic Hyd rolysate with Bound Phospholipids Decreases Micellar S olubility and Cholesterol Absorption in Rats and Caco -2 Cells」

 そもそも、カカオから得られる粗抽出物 、多くの場合、カカオポリフェノールの他 、テオブロミン、アミノ酸、およびタンパ などの成分を含んでおり、粗抽出物中のカ オポリフェノールの含量は高いとは言い難 。粗抽出物をさらに分離精製した場合であ ても、カカオポリフェノールとテオブロミ との分離は難しく、カカオポリフェノール 分はテオブロミンを含んでいることが多い テオブロミンは、優れた生理効果を有する 方で、それらを多く摂取すると、気分が悪 なることが知られている。したがって、カ オポリフェノールの抽出物を飲食品として 用する場合、抽出物におけるカカオポリフ ノール含量は高く、その一方でテオブロミ 含量が低いことが望まれる。

 しかし、従来の抽出方法は、煩雑な操作 必要とするだけでなく、その性質を考慮す と、カカオポリフェノールとテオブロミン の分離が難しく、抽出物中のテオブロミン 量も低い傾向がある。したがって、本発明 、簡便かつ効率よく、ポリフェノール高含 組成物を提供することを目的とし、特に、 カオポリフェノール含量が高く、その一方 テオブロミン含量の低い組成物を製造する 法を提供することを目的とする。

 本発明者らは、上述の状況に鑑み鋭意検 を行った結果、予め水素イオン置換処理し 陽イオン交換樹脂に、ポリフェノールとテ ブロミンとが共存する粗抽出液を接触させ とき、テオブロミンが効率よく樹脂に吸着 れ、ポリフェノールが効率よく溶出される とを見出した。本発明はこの知見に基づく のであり、以下に記載の事項をその特徴と るものである。

 (1)以下の工程を有するポリフェノール含有 成物の製造方法。
(a)ポリフェノールを含有する植物体またはそ の加工品を溶媒で抽出し、ポリフェノール粗 抽出液を得る工程、
(b)上記ポリフェノール粗抽出液を、予め水素 イオン置換処理した陽イオン交換樹脂に接触 させ、引き続き上記陽イオン交換樹脂に、イ オン性物質を含まない第1の溶媒を通液し、 1のポリフェノール溶出液を得る工程、
(c)上記第1のポリフェノール溶出液を、予め 素イオン置換処理した陽イオン交換樹脂に 度通液した後に、イオン性物質を含まない 2の溶媒を通液し、第2のポリフェノール溶出 液を得る工程、および
(d)上記第2のポリフェノール溶出液を濃縮ま は乾燥させる工程。

 (2)上記植物体がカカオであることを特徴 する、上記(1)に記載の製造方法。

 (3)上記工程(a)において、上記抽出に用い 溶媒が、40~70重量%のエタノール水溶液であ 、上記(1)または(2)に記載の製造方法。

 (4)上記工程(b)及び上記工程(c)において、 記第1および第2の溶媒の通液がSV=2~10の流速 実施されることを特徴とする、上記(1)~(3)の いずれかに記載の製造方法。

 (5)上記工程(c)に先立ち、上記第1のポリフ ェノール溶出液からテオブロミンの沈殿物を 析出させ、次いで上記沈殿物を除去すること によって得られる溶液を上記工程(c)で使用す ることを特徴とする、上記(1)~(4)のいずれか 記載の製造方法。

 (6)上記イオン性物質を含まない第1および 第2の溶媒が、それぞれ、脱イオン水または タノール水溶液である、上記(1)~(5)のいずれ に記載の製造方法。

 (7)上記イオン性物質を含まない第2の溶媒 が、35℃以下の脱イオン水またはエタノール 度が30重量%以下のエタノール水溶液である 上記(1)~(6)のいずれかに記載の製造方法。

 (8)上記(1)~(7)に記載の製造方法によって得 られるポリフェノール含有組成物。

 (9)固形分中のポリフェノール含量が33重 %以上であり、テオブロミン含量が1重量%以 であるポリフェノール含有組成物。

 (10)ポリフェノールを含有する植物体または その加工品からポリフェノール含有組成物を 製造するための装置であって、 
 ポリフェノールを含有する植物体またはそ 加工品からポリフェノール粗抽出液を得る 段を有する抽出区分と、 
 上記抽出区分から移送手段を介して移送さ たポリフェノール粗抽出液を、予め水素イ ン置換処理した陽イオン交換樹脂に接触さ 、引き続き上記陽イオン交換樹脂に、イオ 性物質を含まない第1の溶媒を通液し、第1 ポリフェノール溶出液を得る手段を有する 1の分離精製、および上記第1の分離精製区分 から移送手段を介して移送された上記第1の リフェノール溶出液を、予め水素イオン置 処理した陽イオン交換樹脂に再度通液した に、イオン性物質を含まない第2の溶媒を通 して第2のポリフェノール溶出液を得る手段 を有する第2の分離精製を可能とする分離精 区分と、 
 上記分離精製区分から移送手段を介して移 された上記第2のポリフェノール溶出液を濃 縮または乾燥する手段を有する回収区分と 
を有することを特徴とする製造装置。

 なお、本出願は、同出願人によって2008年 2月7日に出願された日本国特願2008-27946号に基 づく優先権主張を伴うものであって、この明 細書を参照することにより、本明細書の一部 に組み込むものとする。

 本発明の製造方法によれば、簡便な方法 、かつ効率よく、ポリフェノール高含有組 物を製造することができる。本発明では粗 出液を予め多孔性樹脂などで前処理する必 がないので、工程が簡素であり、ポリフェ ールの回収率が高く、必要な溶剤量も少な て済むという利点がある。また、本発明の 造方法によって得られる組成物は、一般的 従来のカカオ抽出物と比較して、固形分に けるポリフェノール含量が高いため、様々 用途において有益である。特に、本発明に って得られるカカオポリフェノール高含有 成物は、従来のカカオ抽出物と比較してテ ブロミンの含量が低いため、飲食物及び医 品などに配合しやすい。

図1は、本発明の製造装置の一実施形態 を説明するフロー図である。 図2は、抽出溶媒としてエタノール水溶 液を使用した場合におけるエタノール濃度と 抽出効果との関係を示すグラフである。 図3は、実施例6および比較例1で検討し ミセル不溶化能の測定結果を示すグラフで る。

符号の説明

100:抽出区分
100a、100b:配管
110:抽出タンク
120:原料タンク
130:溶媒タンク
140:遠心分離機
200:分離精製区分
200a、200b、200c:配管
210:カラム
212:廃液タンク
220:濃縮機
230:カラム
232:廃液タンク
240a、240b、240c、240d:溶媒タンク
300 回収区分
300a 配管
310:濃縮機
320:噴霧乾燥機
322: 回収タンク

 以下、本発明について詳細に説明する。 発明の第1は、ポリフェノール含有組成物の 製造方法に関する。この製造方法は、ポリフ ェノールを含有する植物体またはその加工品 を溶媒で抽出し、ポリフェノール粗抽出液を 得る工程と、上記ポリフェノール粗抽出液を 、予め水素イオン置換処理した陽イオン交換 樹脂に接触させた後に溶出させ、ポリフェノ ール溶出液を得る工程と、必要に応じて、ポ リフェノール溶出液を濃縮または乾燥する工 程とを有することを特徴とする。このような 方法によれば、ポリフェノール粗抽出液中の 不要な成分を、上記陽イオン交換樹脂に吸着 させ、除去することができる。その結果、ポ リフェノールに富む画分を選択的に溶出する ことができる。得られる組成物の固形分あた りのポリフェノール含量をより高めるために 、上記陽イオン樹脂との接触を繰り返し実施 することが好ましい。本発明の製造方法の一 実施形態では、予め水素イオン置換処理した 陽イオン交換樹脂を用いる分離精製工程を少 なくとも2回実施することが好ましい。

 本発明の製造方法の好ましい一実施形態 、(a)ポリフェノールを含有する植物体また その加工品を溶媒で抽出し、ポリフェノー 粗抽出液を得る工程と、(b)上記ポリフェノ ル粗抽出液を、予め水素イオン置換処理し 陽イオン交換樹脂に接触させ、引き続き上 陽イオン交換樹脂にイオン性物質を含まな 第1の溶媒を通液し、第1のポリフェノール 出液を得る工程と、次いで(c)上記第1のポリ ェノール溶出液を、再度、予め水素イオン 換処理した陽イオン交換樹脂に通液した後 、引き続き、イオン性物質を含まない第2の 溶媒を通液して第2のポリフェノール溶出液 得る工程と、必要に応じて(d)上記第2のポリ ェノール溶出液を濃縮または乾燥する工程 を有する。なお、工程(c)で使用する陽イオ 交換樹脂は、先の工程(b)で使用した上記陽 オン交換樹脂を再生して再利用しても、別 準備した上記陽イオン交換樹脂を使用して よい。

 本明細書において使用する用語「ポリフ ノールを含有する植物体またはその加工品 とは、植物体またはその加工品の成分中に リフェノールを含有するものであればよく その他、共存する成分については特に限定 れないことを意味する。すなわち、本発明 よる製造方法はポリフェノールを含有する 々な植物体およびその加工品に適用可能で る。特に限定するものではないが、本発明 、ポリフェノールとテオブロミンとが共存 る、カカオ、マテ、チャノキ、コーラ、ガ ナ、コーヒーノキなどの植物体またはその 工品からポリフェノール成分を選択的に抽 するのに有用である。

 以下、原料としてカカオの植物体または の加工品を使用した場合を一例として、本 明によるポリフェノール含有組成物の製造 法について詳細に説明する。しかし、本発 による製造方法は、カカオ以外の植物体お びその加工品を原料として使用した場合に いても、同様に実施可能であることはいう でもない。なお、本明細書に使用する用語 ポリフェノール高含有組成物」とは、固形 におけるポリフェノール成分の含量が33重 %以上、より好ましくは40重量%以上であるこ を意図している。特に、原料としてカカオ 植物体またはその加工品を使用した場合に 、固形分におけるカカオポリフェノールの 量が33重量%以上、より好ましくは40重量%以 であり、その一方で、固形分におけるテオ ロミンの含量が1重量%以下、より好ましく 0.9重量%以下であることを意図している。

 本発明において原料として使用可能な「 カオの植物体またはその加工品」とは、例 ば、カカオ樹皮、カカオ葉、カカオ豆およ カカオシェルなどの植物体、およびカカオ ブ、カカオマス、脱脂カカオマス、ココア ウダーなどのカカオ豆加工品であってよい なお、カカオマスはカカオ豆を磨砕して得 れ、脱脂カカオマスはカカオマスから油脂 除去することによって得られる。カカオマ からの油脂の除去方法は、特に制限されず 圧搾などの公知の方法を適用することがで る。脱脂カカオマスを粉砕することによっ ココアパウダーが得られる。そして、これ 例示した原料の中でも、カカオマスやココ パウダーは、その加工工程において、磨砕 粉砕などの微粒化処理が施されているため ポリフェノールの抽出を効率的に実施する とができる観点から好ましい。

 本発明による製造方法の一実施形態にお て、工程(a)は、ポリフェノールを含有する 料からポリフェノール粗抽出液を得る工程 関する。この工程は、溶媒抽出を行うこと 外は特に限定されず、周知の抽出技術を適 することができる。例えば、抽出釜に原料 入れ、所定量の抽出溶媒に一定時間浸漬し 出液を得る方法や、カラムに充填した原料 抽出溶媒を送液し、所定量の抽出液を得る 法などの、周知の溶媒抽出方法から適宜選 すればよい。抽出溶媒に溶解しない成分(残 渣)については、遠心分離処理、ろ過処理な の方法を用いて除去する。このようにして られるポリフェノール粗抽出液は、抽出処 によって得られたままの多量の溶媒を含む 液であっても、抽出溶媒の一部を留去した 液であってもよい。抽出溶媒の一部を留去 た際に、沈殿や析出物が発生した場合は、 心分離処理、ろ過処理などの公知の方法に り除去する。

 カカオの植物体またはその加工品を原料 して用いた場合、工程(a)では、溶媒抽出に る抽出液(以下、「カカオ粗抽出液」と略記 する)を調製する。調製方法としては、溶媒 出を適用すること以外は特に限定されない 溶媒抽出として使用する溶媒は、水、エタ ール、メタノール、およびアセトニトリル どの有機溶媒またはその水溶液であってよ 。特に限定するものではないが、水、エタ ールおよびその水溶液は、食品製造に汎用 れる溶媒である観点から好ましい。これら 溶媒は、人体に無害という理由からも好ま い。そのような溶媒は、エタノールを単独 使用してもよいが、水、または水とエタノ ルとの混合物、すなわちエタノール水溶液 使用することがより好ましい。エタノール 溶液におけるエタノール濃度は、好ましく 30~95重量%、より好ましくは40~70重量%であり さらに好ましくは50重量%である。

 抽出時の温度は、抽出溶媒として水を使 する場合は、理論的には0~100℃の範囲、好 しくは50~90℃の範囲が好ましい。また、溶媒 としてエタノール水溶液を使用する場合は、 理論的には0~80℃の範囲、好ましくは40~70℃の 範囲が好ましい。抽出時間は、使用する原料 およびその他の抽出パラメーターを考慮して 、所望の抽出対象物に応じて適宜決定すれば よい。特に限定するものではないが、抽出時 間は、通常、約10~60分間である。上述のよう して得られるカカオ粗抽出液は、カカオポ フェノールとともに、テオブロミン、アミ 酸類、糖類、色素類、および油脂などのそ 他の不要な成分を多量に含有している。

 本発明による製造方法の一実施形態にお て、工程(b)および(c)は、予め水素イオン置 処理した陽イオン交換樹脂を用いた分離精 に関する。一実施形態において、工程(b)は 工程(a)で得たポリフェノール粗抽出液から 主にタンパク、アミノ酸などの不要な成分 除去して、第1のポリフェノール溶出液を得 ることを目的とする。また、工程(c)は、工程 (b)の溶出液から主にテオブロミンなどの不要 な成分を除去して、第2のポリフェノール溶 液を得ることを目的とする。不要な成分の 去は、上記陽イオン交換樹脂に粗抽出液ま は第1のポリフェノール溶出液をそれぞれ接 させた後に、適切な溶媒を通液することに って達成される。

 ここで、本明細書において使用する用語 陽イオン交換樹脂」とは、特に限定される のではなく、強酸性または弱酸性の周知の イオン交換樹脂を意図している。さらに、 予め水素イオン置換処理した陽イオン交換 脂」とは、反応基となる樹脂中の陽イオン 、予め水素イオンで置換処理していること 示している。本発明において使用可能な陽 オン交換樹脂の具体例として、三菱化学社 のダイヤイオン(登録商標)シリーズSK1B、SK11 0、SK116、P206、WK40、およびロームアンドハー 社製のアンバーライト(登録商標)IR-120B、IR-2 00CT、IRC50、IR-124、さらにザ・ダウケミカル・ カンパニー社製のダウエックス(登録商標)50W- X8が挙げられる。

 上記陽イオン交換樹脂に対する水素イオ の置換処理は、例えば、適当な濃度の酸を 脂に接触させることによって実施すること できる。上記置換処理を実施するために、 えば、1N-塩酸を使用することができる。本 明では、陽イオン交換樹脂を予め水素イオ 置換処理することによって、陽イオン交換 脂にテオブロミンがより吸着しやすくなる 考えられる。したがって、本発明において 用する陽イオン交換樹脂は、特に限定され ものではないが、いかなる樹脂を使用した 合であっても、予め水素イオン置換処理を うことが必須となる。

 一般に、陽イオン交換樹脂などを充填材 して使用するイオン交換クロマトからの目 物質の溶出には、イオン交換樹脂とイオン 換できる物質を含む、塩酸、水酸化ナトリ ム、塩化カルシウム、および塩化ナトリウ などのイオン性溶液が使用される。しかし 本発明における製造方法では、陽イオン交 樹脂からのポリフェノールの溶出は、脱イ ン水などのイオン性物質を含まない溶媒を 液することによって実施される。本明細書 おいて使用する用語「イオン性物質を含ま い溶媒」とは、陽イオン交換樹脂と吸脱着 るような物質を含まない溶媒を意図してい 。本発明では、イオン性物質を含まない溶 の具体例として、脱イオン水、有機溶媒の 溶液が挙げられる。有機溶媒の水溶液とし は、工程(a)において先に例示したとおりで り、好ましい溶媒としてエタノール水溶液 挙げられる。本発明では、コストの観点か 、脱イオン水が最も好ましい。

 本発明では、予め水素イオンで置換処理 た陽イオン交換樹脂と、イオン性物質を含 ない溶媒との組み合わせによって、カカオ 抽出物中のテオブロミンなどの不要な成分 選択的に陽イオン交換樹脂に吸着させ、カ オポリフェノールを優先的に溶出させるこ が可能である。本発明の一実施形態では、 程(b)および(c)の目的に応じて、それぞれ適 な溶出溶媒を選択し、使用することが好ま い。以下、工程(b)および(c)について、さら 詳細に説明する。

 工程(b)において、陽イオン交換樹脂と、 リフェノール粗抽出液、より具体的にはカ オ粗抽出液との接触は、陽イオン交換樹脂 粗抽出液中のカカオポリフェノール以外の 要な成分を樹脂に吸着させ、引き続きカカ ポリフェノール画分を選択的に溶出するこ ができれば、いかなる方法を用いてもよい また、カカオ粗抽出液と陽イオン交換樹脂 の接触処理の条件は、カカオ粗抽出液の濃 などに応じて適宜選択することができる。

 例えば、本発明の工程(b)は、予め水素イ ン置換処理した陽イオン交換樹脂をカラム 充填し、次いでこのカラム内の陽イオン交 樹脂にカカオ粗抽出液を通液させることに って実施することができる。別法として、 発明の工程(b)は、予め水素イオン置換処理 た陽イオン交換樹脂をカカオ粗抽出液に直 投入し、撹拌を行うことによって実施する ともできる。このような方法を用いた場合 は、カカオ粗抽出液中の不要な成分を陽イ ン交換樹脂に吸着させた後、ろ過などの分 方法によって陽イオン交換樹脂を回収する 要がある。すなわち、後者の方法は、回分 理となるため、作業効率の観点からすると カラムを用いた方法がより好ましい。

 カラムを用いた方法によって工程(b)を実 する場合、実質的には、陽イオン交換樹脂 平衡化する溶媒が必要となる。本発明では 平衡化するための溶媒として、エタノール 量が0~50重量%、より好ましくは0~10重量%のエ タノール水溶液を使用する。そして、陽イオ ン交換樹脂を平衡化させた後にカカオ粗抽出 液を通液させ、引き続き、イオン性物質を含 まない溶媒を通液することによって、第1の カオポリフェノール溶出液を得る。

 工程(b)において溶出に使用する溶媒は、 オン性物質を含まない溶媒であれば、特に 定されない。しかし、工程(b)において、ポ フェノール粗抽出液に含まれる主にタンパ およびアミノ酸などの不要な成分を分離す 観点から、それらの分離が容易となる溶媒 適宜選択して使用することが好ましい。例 ば、脱イオン水、エタノール水溶液などの 機溶媒の水溶液が挙げられる。一般的には 溶出に使用する溶媒は、抽出液と同じエタ ール濃度とする。したがって、例えば、エ ノール含量が30~95重量%のエタノール水溶液 使用することができる。しかし、本発明の 程(b)においては、脱イオン水を使用した場 にも同様に不要な成分を樹脂に吸着させ分 することができる。

 溶出に使用する溶媒の温度は、特に限定 れない。例えば、脱イオン水を使用する場 は、理論的には0~100℃の範囲、好ましくは5~ 50℃の範囲である。また、エタノール水溶液 使用する場合は、理論的には0~80℃の範囲、 好ましくは5~50℃の範囲である。イオン性物 を含まない溶媒は、SV=1~10程度、好ましくはS V=2~10程度の流速でカラムを通液することが好 ましい。このような流速で通液することによ って、固形分あたりのカカオポリフェノール 含量が高い組成物(溶液状態)を得ることが容 となる。なお、流速に関し、例えば「SV=1」 とは、1時間あたり樹脂量と等倍(1倍)容量の を流すことを意味する。

 工程(b)において、カラムに充填する陽イ ン交換樹脂の樹脂量は、適宜選択すること できる。例えば、樹脂の充填量は、カカオ 抽出液の液量に対して、1/50倍以上、好まし くは1/25倍以上の容量が好ましい。工程(c)に いて別途カラムを準備する場合には、樹脂 充填量を少なくしてもよい。工程(b)におい 使用する樹脂量が少ない場合、タンパクや ミノ酸などの不要な成分が吸着されるだけ 、テオブロミンは吸着されずに溶出しやす なる。したがって、得られる溶出液には、 リフェノールとともに多量のテオブロミン 含まれる。

 本発明による一実施形態において、工程( c)は、先の工程(b)で得られる第1のポリフェノ ール溶出液から、主にテオブロミンなどの不 要な成分を除去する工程である。工程(c)で使 用する上記陽イオン交換樹脂は、先の工程(b) で使用した上記陽イオン交換樹脂を再生して 再利用しても、別途準備した上記陽イオン交 換樹脂を使用してもよい。テオブロミンは、 カカオポリフェノールよりも上記陽イオン交 換樹脂に吸着しやすい。そのため、上記陽イ オン交換樹脂に第1のポリフェノール溶出液 接触させることによって、テオブロミンを 去することができ、ポリフェノールに富む 分が得られる。上記陽イオン交換樹脂との 触方法は、特に限定されないが、工程(b)と 様にカラムを用いた方法によって効率よく 施することができる。具体的には、上記陽 オン交換樹脂を平衡化させた後に、第1のポ フェノール溶出液を通液させ、引き続き、 オン性物質を含まない溶媒を通液する。

 工程(c)の一実施形態では、工程(b)によっ 得られる第1のポリフェノール溶出液をその まま使用してもよい。別の実施形態として、 上記溶出液から不要な成分を沈殿させ、その 沈殿物を除去して得られる溶液を使用しても よい。このような実施形態は、工程(b)におい て上記陽イオン交換樹脂の使用量が少ない場 合、特に好ましい。なぜならば、工程(b)にお いて上記陽イオン交換樹脂の使用量が少ない 場合、溶出液は多量のテオブロミンを含んで いる。したがって、工程(c)に先立ち、第1の リフェノール溶出液中に含まれるテオブロ ンを沈殿物として除去することが可能とな ためである。したがって、このような実施 態は、テオブロミン含量が少ないポリフェ ール高含有組成物を効率よく得るために有 となる。

 テオブロミンの沈殿は、溶出液中の溶媒 留去など、公知の方法によって実施するこ ができる。なお、分離したテオブロミンは 公知の方法によって適宜精製し、副産物と て利用することもできる。上述のようなテ ブロミンの除去工程を実施した場合、工程( c)では、テオブロミン沈殿物を除去して得ら る溶液をそのまま陽イオン交換樹脂に接触 せ、さらにイオン性物質を含まない溶媒を 液させる。別の実施形態として、上記溶液 のエタノール濃度を、溶出液における濃度 同程度にするために、上記溶液にエタノー を適宜添加してもよい。このような実施形 では、エタノールを添加した溶液を、陽イ ン交換樹脂に接触させ、さらにイオン性物 を含まない溶媒を通液させる。

 本発明では、工程(c)においてテオブロミ を効率良く除去するために、溶出に使用す 溶媒を適切に選択することが好ましい。工 (c)において溶出に使用する溶媒は、テオブ ミンを上記陽イオン樹脂に効率良く吸着さ ることができる一方で、ポリフェノールを 択的に溶出できる、イオン性物質を含まな 溶媒であればよい。例えば、脱イオン水、 タノール水溶液などの有機溶媒の水溶液が げられる。

 溶出溶媒として脱イオン水を使用する場 、脱イオン水の温度は35℃以下、より好ま くは25℃以下とすることが望ましい。35℃を える温度の脱イオン水を使用すると、テオ ロミンが樹脂に吸着し難くなり、ポリフェ ールとともに溶出しやすくなる傾向がある 溶出溶媒としてエタノール水溶液などの有 溶媒の水溶液を使用する場合、先の工程で 用した溶媒よりも低い濃度の溶媒を使用す ことが好ましい。例えば、抽出時に使用し エタノール水溶液よりも濃度の低いエタノ ル水溶液を使用することができる。より具 的には、工程(c)においてエタノール水溶液 使用する場合、エタノール含量が0~30重量% より好ましくは0~10重量%のエタノール水溶液 を用いることが好ましい。エタノール水溶液 のエタノール濃度が30重量%を超えると、テオ ブロミンが吸着し難くなり、ポリフェノール とともに溶出しやすくなる傾向がある。

 工程(c)における溶出溶媒の流速は、先に 明した工程(b)と同様であってよい。工程(c) おける樹脂の充填量は、第1のポリフェノー ル溶出液またはさらに処理を施して得た溶液 の液量に対して、1倍以上、好ましくは1.5倍 上の容量が好ましい。別法として、工程(b) 使用した上記陽イオン交換樹脂を再生して 利用してもよい。

 上述のように、本発明による製造方法で 、予め水素イオン置換処理した陽イオン交 樹脂による分離精製を複数工程に分けて実 することによって、カラム内に充填させる 脂量および通液させる溶媒量を少なくする とが可能となるため、作業効率がよい。ま 、複数回の分離精製は、最終的に得られる 成物のポリフェノール含量を高める観点か も好ましい。本発明による製造方法におい 、上記陽イオン交換樹脂による分離精製は 工程(b)および(c)の2回の実施に限定するもの でなく、必要に応じて同様の分離精製を繰り 返し実施してもよい。また、工程(a)での抽出 、工程(b)および(c)での分離精製に加えて、分 離精製に関する公知の技術を適用してもよい 。

 本発明による製造方法では、必要に応じ 、工程(a)~(c)を含む分離精製工程を経て得ら れるポリフェノール溶出液を、濃縮または乾 燥する工程(d)を設けることが好ましい。この ような濃縮または乾燥によって、目的とする ポリフェノール高含有組成物を固形状態で得 ることが容易となる。濃縮または乾燥は、公 知の方法を適用することが可能である、例え ば、濃縮方法の一例として、減圧濃縮および 加熱濃縮が挙げられる。乾燥方法の一例とし て、噴霧乾燥および凍結乾燥が挙げられる。 なお、工程(d)における濃縮または乾燥の際に テオブロミンの沈殿物が生じた場合には、沈 殿物を除去することによって、最終的に得ら れる組成物中のテオブロミン含量をさらに低 下させることもできる。テオブロミンの沈殿 物の除去は、ろ過や遠心分離などの公知の方 法によって実施することができる。

 本発明の第2は、本発明の第1による製造 法によって得られるポリフェノール高含有 成物に関する。そのような組成物は、固形 あたりのポリフェノール含量が高いため、 リフェノールが有効となる様々な用途に利 することが可能となる。特に、本発明によ て得られるカカオポリフェノール組成物は カカオポリフェノール含量が高い一方で、 オブロミン含量が従来品と比較して著しく いことを特徴とする。そのため、飲食品や 薬品に好適に添加することができる。

 例えば、本発明による組成物を、一般に 剤に使用できる各種賦形剤、安定剤、香味 などと調合することによって、薬理効果を する錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤など 医薬品を提供することができる。また、本 明による組成物を、ココア、コーヒー、チ コレート、ビスケット、スナック、キャン ー、錠菓、ガム、グミ、ゼリー、羊かん、 イスクリーム、シャーベット、飲料、乳製 、パン、ソーセージおよびハムなどの飲食 に配合することで、それらに薬理効果を付 することもできる。なお、飲食品や医薬品 の適用を考慮した場合、組成物における固 分中のポリフェノール含量が33重量%以上で り、テオブロミン含量が1重量%以下である カオポリフェノール含有組成物が好ましい 本発明によれば、そのようなカカオポリフ ノール含量が高くかつテオブロミン含量の い、望ましい組成物を提供することができ 。

 本発明の第3は、ポリフェノールを含有する 植物体またはその加工品からポリフェノール 含有組成物を製造するための装置に関する。  
 本発明の製造装置は、ポリフェノールを含 する植物体またはその加工品からポリフェ ール粗抽出液を得る手段を有する抽出区分 、上記抽出区分から移送手段を介して移送 れたポリフェノール粗抽出液を、予め水素 オン置換処理した陽イオン交換樹脂に接触 せ、引き続き上記陽イオン交換樹脂に、イ ン性物質を含まない第1の溶媒を通液し、第 1のポリフェノール溶出液を得る手段を有す 第1の分離精製および上記第1の分離精製区分 から移送手段を介して移送された上記第1の リフェノール溶出液を、予め水素イオン置 処理した陽イオン交換樹脂に再度通液した に、イオン性物質を含まない第2の溶媒を通 して第2のポリフェノール溶出液を得る手段 を有する第2の分離精製を可能とする分離精 区分と、上記分離精製区分から移送手段を して移送された上記第2のポリフェノール溶 液を濃縮または乾燥する手段を有する回収 分と 
を有することを特徴とする。

 抽出区分は、少なくとも、上記植物体ま はその加工品(以下、原料ともいう)と抽出 使用する溶媒を収容することができる容器 備える。抽出は、容器内で原料と溶媒とを 触させることによって実施され、不溶成分( 渣)を除去手段によって除去することにより 、ポリフェノール粗抽出液が得られる。容器 は、原料と抽出溶媒とを注入するための少な くとも1つの開口部、およびポリフェノール 抽出液を排出するための開口部を備えてい ことが好ましい。例えば、容器はカラム、 出釜、タンクであってよい。抽出効率を向 させるために、容器内にはプロペラ、スク ューなどの攪拌手段が設けられてもよい。 た、容器内には回転刃などの原料を微細に 砕する手段が設けられてもよい。不溶成分 除去手段は、例えば、容器外に設けられる 心分離装置、およびろ過装置であってよい 必要に応じて、抽出区分にエバポレータ、 圧濃縮機などの濃縮手段を追加することに って、分離精製区分への移送に先立ち、粗 出液の溶媒を留去して液量を減らすことも きる。

 抽出区分で得られたポリフェノール粗抽 液は、移送手段を介して、分離精製区分に 送される。移送手段は、例えば送液ポンプ び配管であってよい。必要に応じて、配管 は、調節弁を設けてもよい。送液ポンプ及 調節弁によって、分離精製区分にポリフェ ール粗抽出液を移送する際の、流量、流速 調節することができる。

 分離精製区分は、第1および第2の分離精 を含む少なくとも2回の分離精製が可能とな 配置を有する。すなわち、第1および第2の 離精製は、それぞれ独立した区分として配 されても、同じ区分内での循環を可能とす 配管などの移送手段を備える配置であって よい。

 第1および第2の分離精製をそれぞれ独立 た区分の配置とする場合、第1の分離精製区 は、予め水素イオン置換処理した陽イオン 換樹脂を収容した第1のカラム、およびイオ ン性物質を含まない第1の溶媒を収容する第1 溶媒タンクを備える。カラム内に収容され 上記樹脂に、抽出区分から移送されたポリ ェノール粗抽出液を通液した後、さらに第1 の溶媒タンクから移送されるイオン性物質を 含まない第1の溶媒を通液することによって 第1のポリフェノール溶出液が得られる。

 同様に、第2の分離精製区分は、予め水素 イオン置換処理した陽イオン交換樹脂を収容 した第2のカラム、およびイオン性物質を含 ない第2の溶媒を収容する第2の溶媒タンクを 備える。カラム内に収容された上記樹脂に、 抽出区分から移送されたポリフェノール粗抽 出液を通液した後、さらに第2の溶媒タンク ら移送されるイオン性物質を含まない第2の 媒を通液することによって、第2のポリフェ ノール溶出液が得られる。第1の分離精製区 および第2の分離精製区分は配管などの移送 段を介して連絡しており、第1の分離精製区 分で得られる第1のポリフェノール溶出液は 送手段を介して第2の分離精製区分に移送さ る。

 第1の分離精製区分において第1のカラム 収容される樹脂量を少なくした場合、第1の リフェノール溶出液中にはテオブロミンが く含まれることになる。したがって、第1の ポリフェノール溶出液を第2の分離精製区分 移送する前にテオブロミンを除去する除去 分を設けてもよい。そのような除去区分は 例えば、第1および第2の分離精製区分の間に 設けられ、第1のポリフェノール溶出液を収 する容器と、溶出液からテオブロミンを析 させ除去する手段と、テオブロミンを除去 た後に得られる溶液を、第2の分離精製区分 移送する配管などの移送手段を備える。除 手段は、例えば、ろ過装置、遠心分離装置 あってよい。また、除去区分は、テオブロ ンの析出を促進するために、冷却装置など 温度制御手段、およびエバポレータ、減圧 縮機などの濃縮装置を備えていてもよい。

 一方、第1および第2の分離精製を同じ区 内で循環させる配置とする場合、分離精製 分は、予め水素イオン置換処理した陽イオ 交換樹脂を収容したカラムと、イオン性物 を含まない第1の溶媒を収容する第1の溶媒タ ンクと、イオン性物質を含まない第2の溶媒 収容する第2の溶媒タンクと、第1の溶媒の通 液によって得られる第1のポリフェノール溶 液を再度、カラムに移送するための配管な の移送手段を備える。このような分離精製 分では、抽出区分から移送されたポリフェ ール粗抽出液がカラムに通液され、さらに 1の溶媒タンクから供給される第1の溶媒が通 液されることで、第1のポリフェノール溶出 が得られる。次いで、この第1のポリフェノ ル溶出液が、移送手段を介して再生したカ ムに再度移送され、カラムに通液された後 、第2の溶媒タンクから供給される第2の溶 が通液されることによって、第2のポリフェ ール溶出液が得られる。

 なお、分離精製区分は、陽イオン交換樹 を水素イオン置換処理するため塩酸、樹脂 浄に用いる水酸化ナトリウム溶液などの処 溶液を収容する第3および第4の溶媒タンク 備えてもよい。さらに、必要に応じてカラ に供給する溶媒を収容する溶媒タンクを追 してもよい。ポリフェノール溶出液を得た に、カラムに第3および第4の溶媒タンクから 処理溶液を通液することによって、カラム内 の樹脂を再生し、分離精製を連続的に実施す ることが可能となる。第1から第3の各溶媒タ クからカラムへの溶媒の供給は、送液ポン 及び配管などの移送手段によって達成され 。この移送手段は、必要に応じて、調節弁 含んでいてもよい。送液ポンプ及び調節弁 よって、カラムに供給する溶媒の流量、流 を調節することができる。

 分離精製区分で得られたポリフェノール 出液は、移送手段を介して、回収区分に移 される。移送手段は、例えば送液ポンプ及 配管であってよい。必要に応じて、配管に 、調節弁を設けてもよい。送液ポンプ及び 節弁によって、回収区分にポリフェノール 抽出液を移送する際の、流量、流速を調節 ることができる。

 ポリフェノール溶出液は、移送手段を介 て、回収区分に移送される。回収区分は、 送されたポリフェノール溶出液を収容する 器と、溶出液中の溶媒を容器から除去する 段とを有する。溶媒の除去手段は、例えば 圧濃縮機といった通常の濃縮、凍結乾燥機 または噴霧乾燥機といった通常の粉末化に 用される装置であってよい。

 本発明の製造装置の一実施形態を図1に示 す。図1に示すように、本発明の製造装置は 抽出区分100と、分離精製区分200と、回収区 300とを有する。抽出区分100は、原料からの 出を実施するための抽出タンク110、原料を 容するための原料タンク120、抽出溶媒を収 する溶媒タンク130、抽出後の不溶物を除去 るための遠心分離機140とを有する。抽出タ ク110と遠心分離機140は、配管100aによって連 している。

 分離精製区分200は、第1の分離精製を行う ためのカラム210、溶出液を濃縮するための濃 縮機220、第2の分離精製を行うためのカラム23 0、カラムの洗浄処理を行う溶媒を収容する めの溶媒タンク240a、カラムの平衡化処理を う溶媒を収容するための溶媒タンク240b、溶 出に使用する溶媒を収容するための溶媒タン ク240cおよび240dを有する。カラム210、濃縮機2 20およびカラム230は、それぞれ配管200aおよび 200bを介して連絡している。このような分離 製区分200は、配管100bを介して抽出区分100と 絡している。参照符号212および232は、それ れ廃液を収容するための廃液タンクを示す

 回収区分300は、分離精製区分200から配管2 00cを介して移送された溶出液を濃縮するため の濃縮機310、濃縮液を乾燥するための噴霧乾 燥機320を有する。濃縮機310および噴霧乾燥機 320は、配管300aを介して連絡している。参照 号322は、乾燥によって得られる組成物を収 する回収タンクを示す。

 このように構成される本発明の製造装置 よれば、ポリフェノールを含有する植物体 たはその加工品を原料として、ポリフェノ ル含量の高い組成物を効率よく得ることが 能となる。なお、本発明の製造装置は、先 説明した本発明の製造方法を実施するため 使用することを意図している。したがって 各区分において使用する溶媒、カラムに収 する樹脂などの諸条件については、製造方 における諸条件と同様である。 

 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に 明するが、本発明はこれら実施例に限定さ るものではない。

 各実施例および各比較例に記載したカカ ポリフェノールの含量およびテオブロミン 含量は、以下の方法による測定によって得 値である。

(ポリフェノール含量)
 ポリフェノール含量は、プルシアンブルー によって測定した。より詳細には、Martin L.  Price and Larry G. Butler, J. Agric Food Chem., V ol. 25 No.6, 1268-1273, 1977に記載の方法を参照 、市販のエピカテキンを標準品として、各 施例および各比較例で得た組成物の固形分 ついて定量分析を行うことによって得た値 ある。

 具体的な分析方法の概略は、以下のとおり ある。 
 組成物をn-ヘキサンで処理して脱脂した後 50重量%メタノール水溶液を用いて抽出し、 験溶液とした。次いで、蒸留水50mLに各試験 液100μLを添加し、攪拌しながら0.1M 硫酸鉄( III)アンモニウム-0.1N 塩酸溶液3mLを加え、そ 20分後に8mM ヘキサシアノ鉄(III)カリウム水 液3mLを加え、さらに20分後に720nmの吸光度を 測定した。さらに、蒸留水50mLに各サンプル の溶媒(50重量%メタノール)100μLを加えたもの 、および(-)エピカテキン(シグマ社製)メタノ ル溶液を用い、同様の処理を行って検量線 作成し、各試験溶液中のポリフェノール含 を算出した。

(テオブロミン含量)
 テオブロミン含量は、AOAC Official Methods of Analysis (1990) 980.14 「Theobromine and Caffeine in  Cacao Products Liquid Chromatographic Method」に記 された方法を参照し、市販のテオブロミン 標準品として、各実施例および各比較例で られる組成物の固形分について定量分析を うことによって得た値である。

 具体的な分析方法の概略は、以下のとおり ある。 
 先ず、組成物を試料として遠沈管に正確に り取り、石油エーテル30mlを加えてよく撹拌 した後、遠心分離して上清を捨てる。脱脂さ れた試料を三角フラスコに移し入れ、水を加 えて約100mlとする。この溶液を100℃の湯浴中 25分間加熱した。加熱後の溶液を直ちに冷 し、2重量%硫酸亜鉛水溶液10ml、および1.8重 %水酸化バリウム10mlを加えて混合した後、静 置した。この溶液に水を加えて200mlに定容し 再度、100℃の湯浴中で10分間加熱した。加 後の溶液をろ過することによって、試料溶 を調製した。このようにして得た試料溶液 使用して、高速液体クロマトグラフによる 定を実施した。高速液体クロマトグラフに る測定条件は、以下のとおりである。
 分析用カラム: Waters μ-Bondapak C18 10μm 4mmI D×300mm(またはこれと同等のもの)
 移動層: 水:アセトニトリル(85:15)
 移動層流量: 1.0ml/分、検出;UV273nm

(抽出溶媒の検討)
 抽出溶媒としてエタノール水溶液を使用し 溶媒の組成が、ポリフェノール回収率と固 分あたりのポリフェノール含量に与える影 について検討した。手順は以下のとおりで る。  
 先ず、10gのカカオ豆(産地で乾燥を終えたも の、カカオポリフェノール含量7.1重量%、テ ブロミン含量1.3重量%)を磨砕した。この磨砕 したカカオ豆を、0~100重量%のエタノール水溶 液200mlに添加し、50℃、30分間撹拌した。次い で、不溶物を遠心分離処理にて取り除いて、 カカオ粗抽出液を得た。得られたカカオ粗抽 出液を凍結乾燥し、この固形分中のポリフェ ノール含量を測定した。結果を図2に示す。 リフェノール回収率、および固形分あたり ポリフェノール含量の結果を考慮すると、 タノール濃度50重量%付近が抽出溶媒として ましいことが分かった。

(実施例1)
 ココアパウダー(油脂含量12重量%、カカオポ リフェノール含量10.4重量%、テオブロミン含 2.0重量%)を使用し、以下の手順に従って、 リフェノール含有組成物を調製した。 
 先ず、上記ココアパウダー100gを1000mlの水に 分散し、90℃で30分間撹拌した後、不溶物を 心分離処理にて取り除くことにより、カカ 粗抽出液を得た。
 次に、予め水素イオン置換処理を施した陽 オン交換樹脂(アンバーライト IR-120B)を1000m l充填したカラムに、上記カカオ粗抽出液をSV =5の流速で通液した。続いて、上記カラムに2 5℃の脱イオン水を通液した。上記カカオ粗 出液および上記脱イオン水の通液によって 溶出液2000mlを分取した。 
 次に、上記溶出液2000mlを凍結乾燥すること よって、ポリフェノール含有組成物を得た この組成物の固形分中の成分を分析した結 、ポリフェノール含量は40.2重量%、テオブ ミン含量は0.6重量%であった。 
 同様にして別途調製したカカオ粗抽出液を 結乾燥し、固形分中の成分を分析した結果 ポリフェノール含量は8.2重量%、テオブロミ ン含量は3.3重量%であった。

(実施例2)
 ココアパウダー(油脂含量12重量%、カカオポ リフェノール含量10.4重量%、テオブロミン含 2.0重量%)を使用し、以下の手順に従って、 リフェノール含有組成物を調製した。 
 先ず、上記ココアパウダー2gを50重量%エタ ール水溶液20mlに分散し、50℃で30分間撹拌し た後、不溶物を遠心分離処理にて取り除くこ とにより、カカオ粗抽出液を得た。 
 次に、予め水素イオン置換処理を施した陽 オン交換樹脂(ダウエックス 50W-X8)を20ml充 したカラムに、このカカオ粗抽出液をSV=5の 速で通液した。続いて、カラムに25℃の脱 オン水を通液した。上記カカオ粗抽出液お び上記脱イオン水の通液によって、溶出液50 mlを分取した。 
 次に、上記溶出液50mlを凍結乾燥することに よって、ポリフェノール含有組成物を得た。 この組成物の固形分中の成分を分析した結果 、ポリフェノール含量は53.4重量%、テオブロ ン含量は0.7重量%であった。 
 同様にして別途調製したカカオ粗抽出液を 結乾燥し、固形分中の成分を分析した結果 ポリフェノール含量は19.9重量%、テオブロ ン含量は5.3重量%であった。

(実施例3)
 10gのカカオ豆(産地で乾燥を終えたもの、カ カオポリフェノール含量7.3重量%、テオブロ ン含量1.3重量%)を使用し、以下の手順に従っ て、ポリフェノール含有組成物を調製した。  
 先ず、上記カカオ豆10gを磨砕した後、50重 %エタノール水溶液200mlを添加し、50℃にて30 間撹拌した。次いで、不溶成分を遠心分離 理にて除去することにより、カカオ粗抽出 を得た。 
 次に、予め水素イオン置換処理を施した陽 オン交換樹脂(アンバーライト IR-120B)を200ml 充填したカラムに、上記カカオ粗抽出液をSV= 5の流速で通液した。続いて、カラムに25℃の 脱イオン水を通液した。上記カカオ粗抽出液 および上記脱イオン水を通液によって、溶出 液600mlを分取した。 
 次に、上記600mlの溶出液を凍結乾燥するこ によって、ポリフェノール含有組成物を得 。この組成物の固形分中の成分を分析した 果、ポリフェノール含量は62.3重量%、テオブ ロミン含量は0.6重量%であった。 
 同様にして別途調製したカカオ粗抽出液を 結乾燥し、固形分中の成分を分析した結果 ポリフェノール含量は28.4重量%、テオブロ ン含量は8.5重量%であった。

(実施例4)
 100gのカカオシェル(カカオポリフェノール 量3.5重量%、テオブロミン含量2.0重量%)を使 し、以下の手順に従って、ポリフェノール 有組成物を調製した。 
 先ず、上記カカオシェル100gを磨砕した後、 50重量%エタノール水溶液500mlを添加し、50℃ て30分間撹拌した。次いで、不溶成分を遠心 分離処理にて除去することにより、カカオシ ェル粗抽出液を得た。 
 次に、予め水素イオン置換処理を施した陽 オン交換樹脂(アンバーライト IR-120B)を500ml 充填したカラムに、このカカオシェル粗抽出 液をSV=5の流速で通液した。続いて、カラム 25℃の脱イオン水を通液した。カカオシェル 粗抽出液および脱イオン水の通液によって、 溶出液1500mlを分取した。 
 次に、上記溶出液1500mlを凍結乾燥すること よって、ポリフェノール含有組成物を得た この組成物の固形分中の成分を分析した結 、ポリフェノール含量は20.5重量%、テオブ ミン含量は0.4重量%であった。 
 同様にして別途調製したカカオ粗抽出液を 結乾燥し、固形分中の成分を分析した結果 ポリフェノール含量は7.8重量%、テオブロミ ン含量は0.9重量%であった。

(実施例5)
 100gのカカオ豆(産地で乾燥を終えたもの、 カオポリフェノール含量7.1重量%、テオブロ ン含量1.3重量%)を使用し、以下の手順に従 て、ポリフェノール含有組成物を調製した  
 先ず、上記カカオ豆100gを磨砕した後、50重 %エタノール水溶液1000mlを添加し、50℃にて1 0分間撹拌した。次いで、不溶成分を遠心分 処理にて除去し、カカオ粗抽出液を得た。   
 次に、予め水素イオン置換処理を施した陽 オン交換樹脂(アンバーライト IR-120B)を1000m l充填したカラムに、上記カカオ粗抽出液をSV =5の流速で通液した。続いて25℃の脱イオン を通液した。上記カカオ粗抽出液および上 脱イオン水の通液によって、溶出液3000mlを 取した。 
 次に、上記3000mlの溶出液を、乾燥温度(入口 温度)160℃の条件下で噴霧乾燥を行い、ポリ ェノール含有組成物を得た。この組成物の 形分中の成分を分析した結果、ポリフェノ ル含量は59.0重量%、テオブロミン含量は0.6重 量%であった。 
 同様にして別途調製したカカオ粗抽出液を 結乾燥し、固形分中の成分を分析した結果 ポリフェノール含量は28.4重量%、テオブロ ン含量は8.5重量%であった。

(実施例6)
 実施例5によって得たポリフェノール含有組 成物を使用し、以下の評価項目から、組成物 による生理効果について検討した。その結果 を表1および図3に示す。

(DPPHラジカル消去能)
 DPPH(1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(1,1 -Dyphenyl-2-picrylhydrazyl;DPPH)ラジカル消去能は、F ood Chemistry 68 (2000) Yinrong Lu, L.Yeap Foo 「An tioxidant and radical scavenging activities of polyphe nols from apple pomace」に記載の方法に従い、 販のエピカテキンを指標として測定した。 定方法の概略は、以下の通りである。 
 指標のエピカテキンおよび各サンプルを50 量%エタノール水溶液にて溶解した。この溶 100μlに0.1mM DPPH溶液2mlを加え、30分間室温で 静置した後、520nmの吸光度を測定した。ブラ ク溶液(DPPH溶液)の吸光度の値を阻害率100%と して、各サンプルの阻害率を算出した。測定 で得られた数値が低いほど、DPPHラジカル消 能が高いことを示す。

(ミセル不溶化能)
 ミセル不溶化能は、Journal of Nutrition ,1999,1 29:1725-1730 Satoshi
Nagaoka, Kenji Miwa, Michiko Eto, Yasuo Kuzuya,Goro H ori and Kazuhiro Yamamoto「Soy Protein Peptic Hydroly sate with Bound Phospholipids Decreases Micellar Solub ility and Cholesterol Absorption in Rats and Caco-2  Cells」に記載の方法に従い、市販のエピカテ ンを指標として測定した。 
 測定方法の概略は、以下の通りである。タ ロコール酸ナトリウム 7.44mmol/L、コレステ ール 1.94mmol/L、オレイン酸 1mmol/L、モノオ イン酸 0.5mmol/L、フォスファチジルコリン  0.6mmol/L、塩化ナトリウム 132mmol/Lをリン酸Buff er(pH7.4)に分散させ、10分間超音波処理をして セル溶液を調整した。この溶液に、指標の ピカテキン及びサンプルを50重量%エタノー 水溶液と良く混合し、37℃で60分間加温した 。その後、遠心分離にて沈殿物を取り除き、 上清液のコレステロール量を市販のコレステ ロールE-テストワコー(和光純薬工業株式会社 製)のキットを用いて測定した。測定で得ら た数値が高いほど、ミセル不溶化能が高い とを示す。

(比較例1)
 市販品のカカオポリフェノール素材(株式会 社明治フードマテリア製、商品名「カカオポ リフェノール」)を使用し、実施例6と同様の 討を行った。その結果を表1および図3に示 。

 注記:(1)各含量は、固形分の全重量を基準 としたときの含有率である。

 表1から明らかなように、本発明のポリフ ェノール含有組成物(実施例6)は、市販品(比 例1)と比較して、ポリフェノール含量が高く 、かつテオブロミン含量が低いことが分かる 。また、市販品と比較して、ラジカル消去能 が高いことが分かる。さらに、図3から、市 品と比較して、ミセル不溶化能についても いことも分かる。ここで、「DPPHラジカル消 能が高い」ことは、組成物が高い抗酸化力 有することを示唆する。また、「ミセル不 化能が高い」ことは、コレステロールのミ ルを不溶化する能力が高く、血中コレステ ールを低下させる能力を有することを示唆 る。このような観点から、本発明によれば 従来の市販品よりも、より有用なポリフェ ール含有組成物を提供できることが明らか ある。

(実施例7)
 本実施例は、分離精製の工程で使用する陽 オン交換樹脂の検討に関する。カカオ豆(産 地で乾燥を終えたもの、カカオポリフェノー ル含量7.0重量%、テオブロミン含量1.2重量%)を 使用し、以下の手順にしたがって、ポリフェ ノール含有組成物を調製した。 
 先ず、カカオ豆10gを磨砕した後、50重量%エ ノール水溶液を200ml添加し、50℃にて30分間 拌し、次いで、不溶成分を遠心分離処理に 除去してカカオ粗抽出液を得た。 
 次に、予め水素イオン置換処理した各種陽 オン交換樹脂(表2を参照)200mlを充填したカ ムに、カカオ抽出液をSV=5の流速で通液した 続いて、カラムに25℃の脱イオン水を通液 た。上記カカオ粗抽出液および上記脱イオ 水の通液によって、溶出液600mlを分取した。  
 上記溶出液600mlを凍結乾燥することにより リフェノール含有組成物を得た。得られた 成物の固形分中の成分を分析し、各組成物 おける成分を比較することによって、樹脂 種類による影響について検討した。その結 を表2に示す。 

(比較例2)
 実施例7において使用した各種陽イオン交換 樹脂にかえて、水酸化物イオン置換処理した 陰イオン交換樹脂(表2を参照)を使用したこと を除き、実施例7と同様の操作を行うことに って、溶出液を得た。次に、実施例と同様 して溶出液を凍結乾燥することによって、 リフェノール含有組成物を得た。得られた 成物の固形分中の成分について、実施例7と 様にして分析を行った。その結果を表2に示 す。

注記:
(1)各含量は、固形分の全重量を基準としたと きの含有率である。
(2)「ダイヤイオン」(登録商標)のシリーズは 三菱化学株式会社製である。
(3)「アンバーライト」(登録商標)のシリーズ 、ロームアンドハース株式会社製である。

 表2に示したように、分離精製において陽 イオン交換樹脂を使用した場合(実施例7)は、 陰イオン交換樹脂を使用した場合(比較例2)と 比較して、いずれも固形分中のポリフェノー ル含量は高く、その一方でテオブロミン含量 は低い。このことから、充填材として、強酸 性または弱酸性の陽イオン交換樹脂のいずれ を選択した場合であっても、テオブロミンを 良好に吸着することができ、テオブロミンと ポリフェノールとの分離に効果的であること が分かった。一方、陰イオン交換樹脂を使用 した場合(比較例2)は、陽イオン交換樹脂を使 用した場合(実施例7)と比較して、いずれも、 ポリフェノール含量は著しく低く、テオブロ ミン含量は高い。このような結果から、充填 材として、充填材として陰イオン交換樹脂を 使用した場合には、樹脂がテオブロミンだけ でなく、ポリフェノールについても吸着して しまう傾向があることが分かった。

(実施例8)
 本実施例は、陽イオン交換樹脂を用いた分 精製の工程で使用する溶媒の検討に関する 具体的には、陽イオン交換樹脂を充填した ラムの平衡化溶液、およびカラムからの溶 液として、種々の溶媒を使用して検討を行 た。 
 カカオ豆(産地で乾燥を終えたもの、カカオ ポリフェノール含量7.4重量%、テオブロミン 量1.3重量%)を使用し、以下の手順にしたがっ て、ポリフェノール含有組成物を調製した。  
 先ず、カカオ豆2gを磨砕した後、50重量%エ ノール水溶液を20ml添加し、50℃にて30分間撹 拌し、次いで、不溶成分を遠心分離処理にて 除去してカカオ粗抽出液を得た。 
 次に、予め、水素イオン置換処理した陽イ ン交換樹脂(アンバーライト IR-120B 強酸性 イオン交換樹脂)を20ml充填したカラムに、 記表3に示す各種平衡化溶液を100ml通液した その後、このカカオ粗抽出液をSV=5で通液し 。続いて、上記カラムに表3に示すカラム溶 離液を通液した。 
 次に、カカオ粗抽出液およびカラム溶離液 通液によって、各溶出液を分取し、それぞ 凍結乾燥することによって、各ポリフェノ ル含有組成物を得た。各組成物の固形分の 分についてそれぞれ分析し、その成分を比 することによって、溶媒の影響について検 した。その結果を表3に示す。

注記:
(1)平衡化溶液の温度は、それぞれ25℃である
(2)カラム溶離液の温度は、それぞれ25℃であ 。
(3)各含量は、固形分の全重量を基準としたと きの含有率である。

 表3から明らかなように、平衡化溶液およ びカラム溶離液として脱イオン水を使用した 場合に、ポリフェノール含量が最も高く、か つテオブロミン含量が最も低い組成物が得ら れた。また、エタノール水溶液を使用した場 合には、エタノール濃度が高くなるにつれて 、テオブロミンが溶出されやすくなる傾向が みられる。このことから、脱イオン水を使用 した場合に、テオブロミンが陽イオン交換樹 脂に最も吸着されやすくなることが分かった 。

(実施例9)
 カカオ豆(産地で乾燥を終えたもの、カカオ ポリフェノール含量7.3重量%、テオブロミン 量1.3重量%)を使用し、以下の手順にしたがっ て、ポリフェノール含有組成物を調製した。  
 先ず、カカオ豆100gを磨砕した後、50重量%エ タノール水溶液を1000ml添加し、50℃にて30分 撹拌し、次いで、不溶成分を遠心分離処理 て除去することにより、カカオ粗抽出液を た。 
 次に、予め、水素イオン置換処理した陽イ ン交換樹脂(アンバーライトIR-120B 強酸性陽 イオン交換樹脂)を20ml充填したカラムに、上 カカオ粗抽出液をSV=5の流速で通液した。続 いて、カラムに25℃の脱イオン水を通液した 上記カカオ粗抽出液および脱イオン水の通 によって、溶出液600mlを分取した。 
 次に、上記溶出液600mlを減圧濃縮すること よって40mlの濃縮液を得た。この濃縮液を18 間静置した後、析出した沈殿を遠心分離に って、取り除いた。 
 次に、先の操作で得た遠心上清液を、再度 予め水素イオン置換処理した陽イオン交換 脂(アンバーライト IR-120B)を80ml充填したカ ムに、SV=5の流速で通液した。続いて、25℃ 脱イオン水を通液した。上記遠心上清液お び上記脱イオン水を通液によって、溶出液2 00mlを分取した。 
 次に、上記溶出液200mlを凍結乾燥すること より、ポリフェノール含有組成物を得た。 の組成物の固形分中の成分を分析した結果 ポリフェノール含量は52.9%、テオブロミン含 量は0.9%であった。

(実施例10)
 カカオ豆(産地で乾燥を終えたもの、カカオ ポリフェノール含量7.3重量%、テオブロミン 量1.3重量%)を使用し、以下の手順にしたがっ て、ポリフェノール含有組成物を調製した。  
 先ず、カカオ豆100gを磨砕した後、50重量%エ タノール水溶液を1000ml添加し、50℃にて30分 撹拌し、次いで、不溶成分を遠心分離処理 て除去することによってカカオ粗抽出液を た。 
 次に、予め水素イオン置換処理した陽イオ 交換樹脂(アンバーライトIR-120B 強酸性陽イ オン交換樹脂)を20ml充填したカラムに、上記 カオ粗抽出液をSV=5の流速で通液した。続い て、カラムに25℃の脱イオン水を通液した。 記カカオ粗抽出液および上記脱イオン水の 液によって、溶出液600mlを分取した。引き き、上記溶出液600mlを減圧濃縮することによ って40mlの濃縮液を得た。 
 次に、先の操作で得た濃縮液を、再度、予 水素イオン置換処理した陽イオン交換樹脂( アンバーライト IR-120B)を160ml充填したカラム に、SV=5の流速で通液した。続いて、25℃の脱 イオン水を通液した。上記濃縮液および上記 脱イオン水の通液によって、溶出液360mlを分 した。 次に、上記溶出液360mlを凍結乾燥す ることにより、ポリフェノール含有組成物を 得た。この組成物の固形分中の成分を分析し た結果、ポリフェノール含量は51.9%、テオブ ミン含量は0.9%であった。

 以上の説明からして、本発明の精神と範 に反することなしに、広範に異なる実施態 を構成することができることは明白であり 本発明は請求の範囲において限定した以外 、その特定の実施態様によって制約される のではない。