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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR MANUFACTURING MOLDED PRODUCTS OF DIRECT-REDUCED IRON AND PROCESS FOR MANUFACTURING PIG IRON
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/031537
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for manufacturing molded products of direct-reduced iron which comprises reducing, in a rotary hearth type reducing furnace, compacts of a powder which has a total iron content of 40% or above and contains fixed carbon in an atomic molar amount 0.7 to 1.5 times that of oxygen combined with metal oxides reducible in a carbon monoxide atmosphere at 1200°C, wherein the compacts are reduced in an atmosphere with the maximum temperature of 1200 to 1420°C into compacts containing direct-reduced iron which has a carbon monoxide/carbon dioxide ratio of 0.3 to 1.2, a metallic iron content of 50% by mass or above and a carbon content of 5% by mass or below and the thus reduced compacts are compression-molded with a roller type mold at 500 to 800°C.

Inventors:
IBARAKI TETSUHARU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065768
Publication Date:
March 12, 2009
Filing Date:
September 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON STEEL CORP (JP)
IBARAKI TETSUHARU (JP)
International Classes:
C21B13/10; C21B5/00; C22B1/16; C22B1/248
Foreign References:
JP2004218019A2004-08-05
JP2003027149A2003-01-29
JPH06316718A1994-11-15
JPH1112627A1999-01-19
Other References:
See also references of EP 2189546A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 回転炉床式還元炉にて、トータル鉄を40%以上含んでかつ、1200℃の一酸化炭素雰囲気で還元される金属酸化物と化合している酸素の原子モル量に対して、0.7~1.5倍の原子モル量の固定炭素を含んでいる粉体の成形体を還元するに際して、
 最高温度で1200~1420℃の雰囲気で、還元体内の一酸化炭素の、二酸化炭素に対する比を0.3から1.2として、金属鉄比率を50質量%以上、かつ、炭素比率を5質量%以下の還元鉄含有物を製造して;
 この還元鉄含有物を、500~800℃の温度にて、ローラー形式のモールドで圧縮成形する;
ことを特徴とする還元鉄成形体の製造方法。
 請求項1に記載の還元鉄成形体の製造方法であって、
 含有している金属鉄が2質量%以下の炭素含有率である前記還元鉄含有物を、圧縮成形する。
 請求項2に記載の還元鉄成形体の製造方法であって、
 1200℃以上の平均炉内温度をT(K)とした場合、前記粉体の成形体が前記回転炉床式還元炉中の1200℃の部分に滞在する時間が、t=0.13*exp(7,800/T)で求められる浸炭上限時間t以下である。
 請求項1に記載の還元鉄成形体の製造方法であって、
 平均粒子径が70マイクロメートル以下である鉄粒子、又は平均粒子径が70マイクロメートル以下の鉄粒子が焼結したものを含有している前記還元鉄含有物を、圧縮成形する。
 請求項1に記載の還元鉄成形体の製造方法であって、
 酸化鉄と炭素を含む前記粉体の成形体中の酸化珪素に対する酸化カルシウムの質量比が2.2以下である。
 請求項1に記載の還元鉄成形体の製造方法であって、
 酸化鉄と炭素を含む前記粉体の成形体中の酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化珪素、及び酸化鉄中トータル鉄の含有率の関係を、{(CaO質量%)-(MgO質量%)}/(T.Fe質量%)<0.1かつ{(CaO質量%)-(MgO質量%)}/(SiO 2 質量%)<2.0とする。
 請求項1に記載の還元鉄成形体の製造方法であって、
 酸化物を5~30質量%含んでかつ嵩密度が1.4~2.8g/cm 3 である前記還元鉄含有物を圧縮成形する。
 請求項1に記載の還元鉄成形体の製造方法で製造された還元鉄成形体を、製鉄用高炉に供給して溶融鉄を製造することを特徴とする銑鉄の製造方法。
 請求項8記載の銑鉄の製造方法であって、
 金属鉄比率が50質量%以上でかつ炭素比率が5質量%以下の還元鉄含有物を製造し;
 この還元鉄含有物をローラー形式のモールドで圧縮成形した、換算径が7~45ミリメートルでかつ見掛け密度が4.2~5.8g/cm 3 の還元鉄成形体を、製鉄用高炉に供給して溶融鉄を製造する。
 請求項8記載の銑鉄の製造方法であって、
 前記還元鉄成形体を溶銑1トン当り150kg以下の比率で前記製鉄用高炉に供給して溶融鉄を製造する。
 請求項8記載の銑鉄の製造方法であって、
 前記製鉄用高炉の炉中心から直径の2/3以内の位置に、65%以上の前記還元鉄成形体を供給して溶融鉄を製造する。
 請求項8記載の銑鉄の製造方法であって、
 前記回転炉床式還元炉で、鉄の金属化率が55~85%の前記還元鉄含有物を製造し;
 この還元鉄含有物を熱間で圧縮成形して製造した還元鉄成形体を製鉄用高炉に装入して溶融鉄を製造する。
 
Description:
還元鉄成形体の製造方法、及び 鉄の製造方法

 本発明は、回転炉床式還元炉を用いて、酸 鉄及び炭素を含む粉体を還元することによ 還元鉄含有物を製造して、この還元鉄含有 を熱間で成形する、還元鉄成形体の製造方 に関する。また、本発明は、回転炉床式還 炉で製造した部分還元鉄を成形し、これを 炉で還元溶解して溶銑を製造する、銑鉄の 造方法にも関する。
 本出願は、特願2007-230193号と、特願2008-218015 号とを基礎出願とし、その内容をここに取り 込む。

 還元鉄や合金鉄を製造する金属還元プロ スとしては各種のものがあるが、この内で 低コストで生産性の高いプロセスとして、 転炉床式還元炉(Rotary Hearth Furnace、以下、R HFと称す)の操業が実施されており、その概要 は、例えば、特許文献1に記載されている。 1は、回転炉床式還元炉の直径方向の切断面 表す。この図1に示されるように、RHFは、固 定した耐火物の天井1および側壁2の下で、車 3に乗った中央部を欠いた円盤状の耐火物製 の炉床4が、円を描くレール5の上を一定速度 回転する型式の焼成炉(以下、回転炉と称す )である。側壁2には、複数のバーナー6が設置 されており、ここから燃料及び空気を吹き込 み、炉内の雰囲気ガス成分と温度を制御する 。一般的に、回転炉の炉床の直径は10~50メー ル、かつ、幅は2~8メートルである。原料で る、酸化金属と炭素を含む粉体の成形体は 炉床4の上に供給されて、炉内上部のガスか らの輻射熱で加熱されて、成形体内部での酸 化金属と炭素との反応により、成形体内部で 金属を得る。

 RHFの設備全体の例を図2に示す。原料とし ては、粉状の鉱石や酸化金属ダストなどの酸 化金属と、還元剤として炭素を用いる。還元 鉄の製造では、酸化鉄源としてペレットフィ ード等の微粒鉄鉱石や、転炉ダスト、焼結ダ スト、高炉ガスダストなどの製鉄プロセスか らの副生成物を用いる。還元剤の炭素は、コ ークス、オイルコークス、石炭などを用いる 。この還元剤の炭素としては、還元反応が生 じる温度である1100℃程度までに、揮発しな 炭素分(固定炭素)の比率が高いものがより望 ましい。この様な炭素源は、粉コークスや無 煙炭である。

 まず、図2の混合装置、ボールミル11にて 酸化金属を含む粉体と炭素を含む粉を混合 た後、これを、造粒装置12にて粒状に成形 る。この成形体を回転炉13の炉床4の上に、 一に敷きつめられるように供給する。回転 13では、炉床4の回転とともに成形体が炉内 各部分を移動する。成形体は高温ガスの輻 により、1000~1500℃に加熱されて、成形体内 炭素により、酸化金属が還元される。炉内 発生した排ガスは、排ガスダクト14を経由し て、ボイラー15と熱交換器16で熱回収して、 塵装置17で除塵された後に煙突18から大気に 出される。回転炉13内では、成形体が炉床4 に静置されていることから、成形体が炉内 崩壊しづらいといった利点がある。その結 、耐火物上に粉化した原料が付着すること 起因する問題が無い長所がある。また、生 性が高く、安価な石炭系の還元剤や粉原料 使用できる利点もある。このような方法で 造された還元鉄の金属化率は93%以下であり MIDREX法等のガス還元方式の直接還元鉄(DRI:Di rectly Reduced Iron)と比較すると、やや還元度 低いものである。

 例えば特許文献2に記載されているように 、この還元鉄を高強度に製造する方法もあり 、この高強度還元鉄を塊鉱石や焼結鉱と一緒 に高炉に供給して、銑鉄を製造することも行 われている。この方法では、予備還元した酸 化鉄を高炉内で、最終還元と溶解することか ら、高炉の熱負荷が低下して、高炉のコーク ス原単位が低下するとともに、銑鉄生産量が 増加する効果がある。

 一方で、RHF以外の還元鉄製造方法であるM IDREX法等のガス還元方式で製造されたDRIは空 率が高く、その結果、金属鉄の再酸化が起 やすい問題があった。この問題の対応のた に、例えば特許文献3や特許文献4に記載さ ているように、図3に示す装置などで、DRIを 間で成形することが行われている。この成 方法としては、還元鉄を多く含む粉状又は 状の原料を1000℃以下の比較的高温において 、原料シュート21から供給された還元鉄を凹 モールド22のある一対のローラー23の間に挟 みこみ、還元鉄成形体24(ホットブリケットア イアン(HBI))を製造する。還元鉄成形体24は、 冷装置25で常温まで冷却される。ホットブ ケット法においては、金属鉄を押し付けて 成形するため、良い成形物を作るためには DRIの金属鉄の比率が高いことが望ましく、 般的には、鉄の特に金属化率の高いDRIが成 されており、原料の金属鉄比率は90~98%であ 。この金属鉄比率であれば、特に特殊な成 技術がなくとも高強度の成形体を製造でき 。

 HBI(還元鉄成形体)は高密度であり、その 部に空隙が少ない特徴がある。従って、こ HBIは、再酸化されづらく、積載密度も高い とから、長期保存や長時間の郵送が可能で る。また、その緻密は構造から、製鋼電気 などの溶解炉での溶解速度も速い利点があ 。現在は、ホットブリケット設備が、多く 還元鉄プラントに設置されている。その使 方法は、例えば特許引用文献5に記載される 法のように、縦型溶解炉や製鋼電気炉など 還元鉄原料として用いられている。

特開2001-303115号公報

特開2004-218019号公報

米国特許第4,934,665号公報

米国特許第5,547,357号公報

特開平11-117010号公報

 RHFで生産された還元鉄は、MIDREX法等で生 される還元鉄と比較すると、より高温で処 されていることから、金属鉄の焼結により 密度とすることが可能で、この結果、再酸 されづらい利点がある。この還元鉄は、例 ば特許文献2に記載されている方法などで製 造すれば、1ヶ月程度の露天備蓄では、わず の再酸化しかしない。しかし、3ヶ月以上の 期保管する場合(特に雨天が続いて還元鉄が 濡れている場合)には、再酸化が顕著になる この結果、還元鉄の製品としての価値が低 することや、再酸化の伴う熱発生のために 還元鉄が高温になる問題が起きることもあ 。

 従って、従来は、RHFで生産された還元鉄 、隣接する高炉、転炉、製鋼電気炉などに 給されることが一般的であり、還元鉄を遠 の製鉄所に船で搬送したり、長期間保管し りすることはなかった。しかし、MIDEX法等 生産された還元鉄を鉱石採掘現場近くや鉱 積出港の敷地内で生産することにより、鉱 の付加価値を高めて出荷する効果を狙うこ が注目されている。RHFで生産された還元鉄 同様に、遠方輸送を容易に行えるような化 特性にするためには、従来の未成形の還元 のままでなく、やはりHBIとする必要が生じ きた。

 RHFで生産された還元鉄は、次の特徴があり 必ずしもホットブリケット法に向いている 性ではなかった。まず、酸化鉄(酸化ニッケ ル等も含む)の還元度が低く、また、還元剤 ある炭素分は灰分を含むことから、他の方 で作られた還元鉄よりも酸化物不純物(SiO 2 、CaO、Al 2 O 3 、その他)が多い。この結果、その内部に含 れる金属鉄の含有率が低く、一般的には40~75 質量%程度である。次に、還元に用いられる 素が完全に消費されなく、還元鉄を含む成 体内部に炭素粉又は浸炭(鉄中への溶解)され た炭素として残留する。残留した炭素粉は圧 縮成形時の金属鉄圧着の阻害要因となり、ま た、浸炭した鉄は延性が悪化して、金属鉄の 圧着性能が低下する。

 RHFで製造された還元鉄には、以上のよう 特徴があり、容易にホットブリケット製造 行える物性ではなかった。また、このよう 金属鉄以外の成分を多く含む還元鉄を熱間 形する方法も十分に研究されてこなかった 従って、上記の従来技術の欠点を克服する めの新しい技術が求められていた。

 一方で、従来は、例えば特許文献5に記載 される方法のように、HBIなどの還元鉄を専用 溶解炉又は製鋼電炉で使用する技術があった 。しかしながら、この方法では、溶解炉の設 備費と操業費がかさむ問題があり、また、製 鋼電気炉での使用では、未還元酸化鉄の影響 による電気炉の電力原単位増加などの問題が あった。そこで、前述したように、還元鉄を 高炉で使用することが望ましいが、特許引用 文献2などに記載されている技術では、高炉 の使用量が少なかったことから、還元鉄を 用する際の問題点が把握できず、ただ単に 炉に供給して溶解すれば良いとの考えしか かった。その結果、適正な還元溶解のため 操業条件の解明がなされていなかった。こ ように、還元鉄やHBIを高炉で使用する際の 正な条件が判明していない問題があった。 た、RHFと高炉との組み合わせで溶融鉄を製 する方法での両炉での最適な還元率の配分 いても十分な解析がなされていなかった。 の結果、両炉合計での最適なエネルギー消 を実現することがなされていなかった。

 以上に説明したように、RHFで製造した還 鉄を熱間で成形する技術は、高炉で使用す ための技術が完成しておらず、これを解決 るための新しい技術が求められていた。

 本発明は、以上に記載されているRHFで製 された還元鉄含有物を熱間で成形する際の 術的な課題を解決するためになされたもの あり、その詳細は、下記の(1)~(12)に記載さ る通りである。

(1)この還元鉄成形体(ホットブリケットア アン、HBI)の製造方法では、回転炉床式還元 にて、トータル鉄を40%以上含んでかつ、1200 ℃の一酸化炭素雰囲気で還元される金属酸化 物と化合している酸素の原子モル量に対して 、0.7~1.5倍の原子モル量の固定炭素を含んで る粉体の成形体を還元するに際して、最高 度で1200~1420℃の雰囲気で、還元体内の一酸 炭素の、二酸化炭素に対する比を0.3から1.2 して、金属鉄比率を50質量%以上、かつ、炭 比率を5質量%以下の還元鉄含有物を製造して ;この還元鉄含有物を、500~800℃の温度にて、 ーラー形式のモールドで圧縮成形する。

(2)上記(1)の方法において、含有している金 属鉄が2質量%以下の炭素含有率である前記還 鉄含有物を、圧縮成形してもよい。すなわ 、原料配合とRHFの操業条件を適切にして、 元鉄含有物中の金属鉄の炭素含有率を2質量 %以下とし、さらにこの還元鉄含有物を熱間 圧縮成形して、還元鉄成形体を製造しても い。

(3)上記(2)の方法において、1200℃以上の平 炉内温度をT(K)とした場合、前記粉体の成形 が前記回転炉床式還元炉中の1200℃の部分に 滞在する時間が、t=0.13*exp(7,800/T)で求められ 浸炭上限時間t以下としてもよい。ただし、t :1200℃以上のガス温度の時間(分)、T:1200℃以 の平均炉内温度(K)とする。すなわち、金属 への浸炭を抑制するために、上記(2)の操業 法において、粉体の成形体が回転炉床式還 炉中の1200℃の部分に滞在する時間が、浸炭 限時間(t=0.13*exp(7,800/T))以下としてもよい。

(4)上記(1)の方法において、平均粒子径が70 イクロメートル以下である鉄粒子、又は平 粒子径が70マイクロメートル以下の鉄粒子 焼結したものを含有している前記還元鉄含 物を、圧縮成形してもよい。

(5)上記(1)の方法において、酸化鉄と炭素を 含む前記粉体の成形体中の酸化珪素に対する 酸化カルシウムの質量比が2.2以下であっても よい。すなわち、上記(1)の操業において、酸 化鉄と炭素を含む粉体の成形体中の酸化珪素 に対する酸化カルシウムの質量比を2.2以下と することで、炉内での酸化物の溶融または軟 化を防止して、成形性の良い還元鉄含有物を 製造するようにしてもよい。

(6)上記(1)の方法において、酸化鉄と炭素を含 む前記粉体の成形体中の酸化マグネシウム、 酸化カルシウム、酸化珪素、及び酸化鉄中ト ータル鉄の含有率の関係を、{(CaO質量%)-(MgO質 量%)}/(T.Fe質量%)<0.1かつ{(CaO質量%)-(MgO質量%)} /(SiO 2 質量%)<2.0としてもよい。すなわち、上記(1) の操業において、酸化鉄と炭素を含む粉体の 成形体中の酸化マグネシウム、酸化カルシウ ム、酸化珪素、及び酸化鉄中トータル鉄の含 有率の関係を、{(CaO質量%)-(MgO質量%)}/(T.Fe質量 %)<0.1かつ {(CaO質量%)-(MgO質量%)}/(SiO 2 質量%)<2.0とすることで、炉内での酸化物の 溶融または軟化を防止して、成形性の良い還 元鉄含有物を製造するようにしてもよい。

(7)上記(1)の方法において、酸化物を5~30質量% んでかつ嵩密度が1.4~2.8g/cm 3 である前記還元鉄含有物を圧縮成形してもよ い。

(8)上記(1)の方法で製造された還元鉄成形体 を、製鉄用高炉に供給して溶融鉄を製造する ことを特徴とする銑鉄の製造方法を採用して もよい。すなわち、RHFにて、トータル鉄を40% 以上含み、かつ、鉄、マンガン、ニッケル、 クロム、鉛、及び亜鉛などの1200℃の一酸化 素雰囲気で還元される酸化金属と化合して る酸素の原子モル量に対して0.7~1.5倍の原子 ル量の炭素を含んでいる粉体の成形体を、 高温度で1200~1420℃、かつ、還元帯の一酸化 素の二酸化炭素に対する比が0.3~1.1の雰囲気 で還元する。この条件で、金属鉄比率を50質 %以上、かつ、炭素比率を5質量%以下の還元 含有物を製造する。そして、この還元鉄含 物をローラー形式のモールドで圧縮成形し 還元鉄成形体を製造する。さらに、これを 鉱石、焼結鉱、焼成ペレット等といっしょ 製鉄用高炉に供給して溶融鉄を製造しても い。

(9)上記(8)の方法において、金属鉄比率が50質 %以上でかつ炭素比率が5質量%以下の還元鉄 有物を製造し;この還元鉄含有物をローラー 形式のモールドで圧縮成形した、換算径が7~4 5ミリメートルでかつ見掛け密度が4.2~5.8g/cm 3 の還元鉄成形体を、製鉄用高炉に供給して溶 融鉄を製造する;ようにしてもよい。すなわ 、上記(8)の方法において、金属鉄比率を50質 量%以上、かつ、炭素比率を5質量%以下の還元 鉄含有物を製造して、この還元鉄含有物をロ ーラー形式のモールドで圧縮成形した、換算 径が7~45ミリメートル、かつ見掛け密度が4.2~5 .8g/cm 3 の還元鉄成形体を、製鉄用高炉に供給して溶 融鉄を製造する。なお、換算径は、還元鉄成 形体の容積の1/3乗で定義される。

(10)上記(8)の方法において、前記還元鉄成 体を溶銑1トン当り150kg以下の比率で前記製 用高炉に供給して溶融鉄を製造してもよい

(11)上記(8)の方法において、前記製鉄用高 の炉中心から直径の2/3以内の位置に、65%以 の前記還元鉄成形体を供給して溶融鉄を製 してもよい。

(12)上記(8)の方法において、前記回転炉床 還元炉で、鉄の金属化率が55~85%の前記還元 含有物を製造し;この還元鉄含有物を熱間で 縮成形して製造した還元鉄成形体を製鉄用 炉に装入して溶融鉄を製造する;ようにして もよい。すなわち、上記(8)の方法において、 RHFで鉄の金属化率が55~85%の還元鉄含有物を製 造して、この還元鉄含有物を熱間で圧縮成形 して、還元鉄成形体を製造する。そして、こ れを製鉄用高炉に装入して溶融鉄を製造して もよい。

 本発明を用いれば、RHFで、酸化鉄粉体や 鐵設備から回収される酸化鉄含有ダストを 切に還元するとともに、熱間で成形して、 質な形状の還元鉄成形体(ホットブリケット アイアン)を製造することができる。また、RH Fでと熱間成形機で製造した良質な形状の還 鉄成形体は、再酸化しづらい性状であり、 期間の保管や長距離輸送を行うことができ 。この還元鉄成形体を適正な条件で高炉に 給することで、高炉でのコークス原単位を 減するとともに、銑鉄の時間当たり生産量 増加することができる。

図1は、回転炉床式還元炉の構造を示す 図である。 図2は、回転炉床式還元炉の処理工程全 体を示す図である。 図3は、熱間成形装置(ホットブリケッ )の概略を示す図である。

符号の説明

 1  天井
 2  側壁
 3  車輪
 4  炉床
 5  レール
 6  バーナー
 11 ボールミル
 12 装置造粒
 13 回転炉
 14 排ガスダクト
 15 ボイラー
 16 熱交換器
 17 集塵装置
 18 煙突
 21 原料シュート
 22 凹状モールド
 23 ローラー
 24 還元鉄成形体

 本発明に係る還元鉄成形体の製造方法、及 銑鉄の製造方法の実施形態を以下に説明す 。
 本実施形態では、酸化鉄と炭素を含む粉体 原料として使用する。酸化鉄は、酸化第一 (ウスタイト、FeO)、三四酸化鉄(マグネタイ 、Fe 3 O 4 )、酸化第二鉄(ヘマタイト、Fe 2 O 3 )のいずれでも良く、これらが混合したもの 使用できる。また、金属鉄粉が混合してい も良い。酸化鉄源は、鉄鉱石、砂鉄などの 石類と、製鉄所などで発生する酸化鉄含有 ストなどである。炭素源は、粉コークス、 炭、石油コークスなどを用いる。還元反応 は、1000℃以上でも揮発しない固定炭素(FC)が 寄与することから、固定炭素の比率が多いも のが望ましい。この観点からは、粉コークス 、石油コークス、無煙炭、中揮発分炭などが 良い。また、製鉄業の炭素分を多く含むダス トなどを利用することも良い。

 原料には、鉄鉱石、酸化鉄含有ダスト、 ークス、石炭などの不純物が混入している これらは、酸化ニッケル、酸化マンガン、 化クロム、酸化亜鉛等の容易に還元される 属酸化物と、酸化珪素、酸化カルシウム、 化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化 タン等の容易に還元されない金属酸化物が る。炭素源を除く、粉体の全鉄含有率(トー タル鉄(T.Fe)含有率)は40%以上が良い。トータ 鉄が40%以下の場合は、還元後の金属鉄比率 50%以下になることがあり、ホットブリケッ 化を良好に行える条件を外れることがある なお、ここでトータル鉄含有率とは、酸化 中の鉄含有量と金属鉄量の合計を粉体総量 割った値である。

 原料の粉体は、平均粒子径が100ミクロン 下のものを用いる。平均粒子径が100ミクロ 以上であると、粒子内の物質移動が遅くな 、還元のための時間がかかりすぎるため、1 00ミクロン以上の粒子は好ましくない。また 造粒操作においても、粒子径が小さいもの ど、成形体を製造しやすいため、この観点 らも粒子は細かい方が良い。

 原料中の酸化鉄と炭素の比率を適正な条件 して、原料を配合する。RHFでの反応は、MO+C =M+CO及びMO+CO=M+CO 2 である。ここでMは金属元素を表す記号であ 。本発明者らは、RHFの内部での反応を調査 た結果は以下のとおりである。酸化鉄、酸 ニッケル、酸化マンガン、酸化クロム、酸 亜鉛等の1300℃で一酸化炭素によって還元さ る金属は、RHF内で金属化される。その金属 率は、RHFの操業条件等で決まる。一方、酸 珪素、酸化カルシウム、酸化アルミニウム 酸化マグネシウム、酸化チタン等の1300℃で 一酸化炭素によって還元されない金属は、RHF 内で還元されずに、酸化物として残る。

炭素配合量は、酸化鉄、酸化ニッケル、酸 化マンガン、酸化クロム、酸化亜鉛等の容易 に還元される金属と化合している酸素(以下 活性酸素と称する)との比率で決める。また 酸化鉄等の還元反応は約1000℃を越えた時点 で起きるため、還元反応に寄与する炭素は固 定炭素である。従って、活性酸素と固定炭素 の比率を調整すれば、RHF内で良好な反応を起 こせることを見出した。その条件は、活性酸 素の原子モル量に対して原子モル量の固定炭 素の比率(C/O)が、0.7~1.5であることである。C/O が0.7以下の場合は、RHFでの還元条件に関らず 、炭素不足で、還元が不十分になることから 、多くの場合で鉄の金属化率が55%以下となる 。この条件では、還元後の金属鉄比率が50%以 下になり、ホットブリケット処理を良好に行 える条件を外れる。また、C/Oが1.5以上の場合 は、還元反応に対して、極めて多い量の炭素 が配合されているため、還元後に炭素が大量 に、還元生成物当り5質量%程度、残留する。 の炭素は、ホットブリケット工程で、鉄粒 同士の接触を妨げ、成形処理の阻害要因と ることから、残留炭素が5質量%以上残る条 であるC/Oが1.5以上は避ける。

この原料粉体をRHFで還元する方法を、図1 び図2を用いて説明する。まず、原料粉体を 合装置(図2のボールミル11)にて混合した後 これを造粒装置12にて粒状の成形体を製造す る。混合装置は、ボールミルに限定されるも のではなく、ニーダー式、流動層式、水中混 合等の装置でも良い。造粒装置としては、デ ィスク式造粒粒装置(ペレタイザー)、ローラ 式圧縮成形装置(ブリケッター)、押出式成 装置などがある。この成形体を回転炉13の炉 床4の上に、均一に敷きつめられるように供 する。炉床4上の成形体の層数は2層以下が良 い。これは伝熱を良好にするための条件であ る。成形体の大きさは、球状のもので、平均 直径8~20mm、その他の形状のもので、平均換算 径が7~22mmのものが良い。小さ過ぎるものは、 炉床4の上の成形体の厚みが薄くなりすぎて 生産性が低下する問題があり、また、大き ぎるものは、成形体内部の伝熱が悪化する 題がある。回転炉13の内部では、炉床4の回 とともに成形体が炉内の加熱帯から還元帯 移動する。成形体は高温ガスの輻射により 還元帯内部では1200~1420℃に加熱されて、成 体内で炭素と酸化金属が反応して、還元鉄 生成する。成形体の炉内の滞在時間は10~30分 間であり、加熱時間を除いた還元時間は6~25 間である。

 この反応で生成した還元鉄含有物は、還元 (被還元金属の酸素原子の除去率)が65~90%で り、鉄の金属化率55~85%のものである。この 元鉄含有物は金属鉄比率を50質量%以上含み かつ、その炭素比率は5質量%以下となる。還 元温度を1200℃以上とする理由は、これ以下 温度であれば、酸化鉄の還元反応が極めて く、反応時間が30分以上かかってしまい、工 業的に経済性のある条件で還元鉄を製造でき ないためである。また、還元温度を1420℃以 にする理由は、これ以上の温度であると、 え反応後の残留炭素が5質量%以下であっても 、残留(混在)した炭素が金属鉄の結晶内に侵 する浸炭現象が速くなり、還元鉄の浸炭比 が2質量%以上となるためである。なお、浸 比率が2質量%以上となると、鉄粒子の中にセ メンタイト(Fe 3 C)が相当量存在する結果、常温から800℃にか て鉄の延性が悪化して、ホットブリケット 理時に、鉄粒子が延びなくなることが問題 なる。また、浸炭量は、炉内温度と反応時 によっても影響されるため、還元鉄含有物 残留炭素と金属鉄の比率が0.02対1から0.06対1 の範囲で、かつ炉内ガスの最高温度が1420℃ 下の場合は、炉内でガス温度が1200℃以上の 分の平均温度と1200℃以上のガス温度の部分 に成形体が存在する時間との関係が、本発明 者らの実験で求められた式の関係:浸炭上限 間t<0.13*exp(7,800/T)を満たすことが望ましい( ただし、t:1200℃以上のガス温度の時間(分)、T :1200℃以上の平均炉内温度(K)である)。

 本発明の方法で製造される還元鉄ペレッ は、その構造が、酸化鉄とその他酸化物と 混合体間に金属鉄粒子が適度に分散してい 状態を形成している特徴を持つ。更に、金 鉄には炭素が過剰に存在しないことが重要 ある。また、場合によっては、金属鉄粒子 ットワークを形成することもある。従って 本発明の方法は、従来法の製造方法に対し 、還元率が極端には上げないことが操業上 特徴である。このために、RHF炉内の還元帯 雰囲気を弱還元性とする。雰囲気が強還元 であると、炭素と酸化鉄との反応による還 に加えて、ガス中の一酸化炭素と酸化鉄の 応が進行して、炭素が還元鉄ペレット内に 留しやすくなる。この場合は、セメンタイ が形成されてしまう。

本発明者らの実験では、還元帯ガス中の一酸 化炭素の二酸化炭素に対する比(CO/CO 2 比)は、1.2以下が良く、また望ましくは1.0以 が良い。ただし、CO/CO 2 比が0.3以下であると、酸化鉄の還元が正常に 進まない。ここで、還元帯とは、還元鉄ペレ ットの中心温度が1000℃以上である炉内の位 であり、また、ここでのガス成分の定義は 形体から300mm以上の炉内空間の平均値である 。成形体から300mm以下では、酸化鉄の還元反 により発生する一酸化炭素の影響を受けて るため、ガス全体の組成との偏差があるこ から、この部分のガス組成は本発明のガス 成の定義から外す。

 RHFで製造された還元鉄含有物が含んでい 酸化物総量は、原料の不純物混入比率と、 の還元率(残量酸化鉄比率)とにより決まる 不純物を多く含んでいる場合や、鉄の金属 率が85%以下の場合は、不純物としての容易 還元されない金属酸化物に加えて、未還元 酸化鉄も残留する。このため、還元鉄含有 の酸化物総量が5~30質量%となる。この場合は 、酸化物が接着の阻害要因となるため、ホッ トブリケット処理が困難であることから、前 述したように還元鉄含有物中の金属鉄の炭素 含有率を2質量%以下とする。更に、ホットブ ケット処理が最も容易とするためには、還 鉄含有物が70マイクロメートル以下である 粒子を粒子の状態のもの、又は、鉄粒子が 結したネットワーク構成物の状態のものか 構成されるものとする。

 還元ペレット内に残る酸化物の形態も還 鉄含有物の金属鉄の構造と密度に影響する この酸化物の融点が低く、炉内で溶融又は 化すると、冷却後の還元鉄含有物の酸化物 子が粗大化する。この結果、還元鉄粒子と 化物が分離してしまい、還元鉄含有物の全 的な結合状態が悪化する。その結果、還元 含有物の密度が低下する問題が起きる。本 明では、酸化物粒子の大きさを5~100ミクロ に制御する。5ミクロン以下では、酸化物粒 と金属鉄粒子が分離してしまい、密な構造 ならない。また、100ミクロン以上では、粗 な酸化物粒子に内部に金属鉄粒子が取り込 れてしまい、還元鉄含有物の熱間での成形 が低下する。なお、ここで、酸化物の大き とは、単独で存在する場合は、この大きさ あり、焼結体である場合は、ここの粒子径 ある。

 この現象を防止し、酸化物粒子の大きさ 適正にするためには、低融点の酸化物化合 を生成しない原料の化学組成とすることが い。低融点の酸化物は、カルシウムフェラ トやカルシウムシリケートに不純物が混在 ているものなどがある。これらが生成しな 原料化学組成を調査したところ、酸化カル ウムと酸化鉄の比率と酸化カルシウムと酸 珪素の比を制御すれば良いことが判った。 た、酸化マグネシウムは、カルシウムフェ イトやカルシウムシリケートの生成を抑制 ることも判明した。実験により、1200~1400℃ 酸化物が溶融又は軟化しない条件として、 化珪素に対する酸化カルシウムの質量比が2 .2以下であることが良いことが判明した。ま 、いっそうの改善のためには、指数A{(CaO質 %)-(MgO質量%)}/(T.Fe質量%)<0.1、かつ 指数B{(C aO質量%)-(MgO質量%)}/(SiO質量2%)<2.0であると良 いことが求められた。また、フッ素と塩素は 酸化物の融点を低下させる元素であることか ら、(F質量%)+0.4(Cl質量%)<0.25%の条件である 良い。ここで、塩素濃度に係る係数は、塩 の原子量差と軟化に関る影響度を考慮する めのものである。特に、製鉄ダストなどの サイクルを行う場合は、酸化物組成を限定 ることが重要な手段となる。

 上記の方法で製造した還元鉄含有物を熱 成形(ホットブリケット処理)する。熱間成 の方法そのものの原理は、一般的なホット リケット法と同様であり、図3に示す装置で 形処理する。フィーダー21から、還元鉄22( 状と粒状の混合物の還元鉄含有物)を500~800℃ の状態で、凹状モールド23のある一対のロー ー24の間に挟みこみ、凹状モールド23の内部 で圧縮して、密度の高い還元鉄成形体25を製 する。還元鉄成形体25は、水冷装置26で常温 まで冷却される。成形されずに粉として残っ たものは、熱いままで、返送装置26を経由し 、フィーダー21に戻される。

 本発明における成形の条件は、以下に記 されるとおりである。ローラー24に供給さ る還元鉄含有物の温度を500~800℃とする。特 良好な範囲は、500~650℃である。本発明者ら の実験では、500℃以下の還元鉄は延性が低い ため、圧縮成形時に互いに圧着することが少 なく、還元鉄成形体の製造が上手く行かず、 強度が不足するとともに、還元鉄成形体から 欠けて粉になる部分が多くなる問題が生じる 。また、RHFで製造した還元鉄含有物の場合は 、800℃以上の場合は、その中の一部の酸化物 が軟化してしまい金属鉄粒子の同士の接着面 に入り込んで、その接着効果が小さくなる問 題が起きる。これは、この還元鉄含有物は、 金属酸化物を多く含むことから、アルカリ金 属の塩化物や酸化物が、金属酸化物との無機 複合となって、その融点を下げることの影響 が大きいためである。また、800℃以上では、 凹状モールド23の磨耗が大きくなる問題も起 る。これらの問題は、還元鉄含有物の温度 650℃以下とすることで、更に改善される。

 RHFから排出される還元鉄含有物の温度は1 000~1200℃であることから、まず還元鉄含有物 500~800℃に冷却する。冷却中の再酸化が起き ないように、望ましくは、窒素を混入するな どの方法で5容積%以下の低酸素濃度の雰囲気 作り、この内でRHFから排出された還元鉄含 物を冷却する。冷却のために還元鉄含有物 直接水をかけると、水が還元されて水素が 生して好ましくないことから、水を用いな 冷却方法を実施する。冷却する装置として 、外部水冷の回転式ドラムクーラーなどの 部雰囲気を制御できる装置が良い。

 本発明での熱間成形の原料以下に記載の おりである。金属鉄を50質量%以上含み、か 、その炭素比率は5質量%以下である還元鉄 有物を使用する。本発明者らが行った種々 実験によって、50質量%以下の金属鉄の還元 含有物を成形する場合は、成形体のバイン ーとなる金属鉄が不足して、成形体の強度 不十分になることが解明された。

 また、RHFによって製造された還元鉄含有物 、金属鉄以外の含有物(不純物であり、圧縮 時の延性がない)が多いため、圧縮時の成形 強度が発現しづらい。本発明者らは、塊状 元鉄含有物においては、その容積減少率の 形体強度に対する影響が大きいことを見出 た。高い容積減少率の塊状還元鉄含有物で 、たとえ鉄粒子が偏在していても、圧縮さ る間に、混在する酸化物の間を鉄粒子が移 して、空隙部を鉄粒子が埋めることができ 。この結果、空隙率が高い還元鉄含有物で 、還元鉄成形体の強度が発現しやすくなる そこで、酸化物総量が5~30質量%となる場合な どの成形のための条件が悪い場合は、稠密で ない還元鉄含有物が良く、嵩比重が3.0g/cm 3 以下、望ましくは2.8g/cm 3 以下、のものであることが望ましい。一方、 還元鉄含有物の嵩比重が小さくなると、還元 鉄含有物が凹状モールド23の中に十分に充填 れずに、還元鉄成形体の密度が低くなる問 が起き、その結果、還元鉄成形体の強度が 下する。これは、嵩比重の値で決まるもの あり、嵩比重が1.4g/cm 3 以上であることも重要な条件である。ここで 、嵩比重とは、定容積の容器に充填された物 質の質量を容器の容積で割った値である。

 また、このような酸化物総量の多い還元 含有物では、前述したように、望ましくは 元鉄に浸炭した炭素が金属鉄に対して2質量 %以下であるものを使用すると良い。これは 炭素含有率が2質量%以下の鉄粒子は鉄粒子中 にセメンタイト(低延性物質)の析出が少なく 800℃以下で延性を大きく保つことができる めである。この結果、成形時の金属鉄の密 性を向上する。

 更に、良好な成形条件とするためには、 元鉄含有物が70マイクロメートル以下であ 鉄粒子を粒子の状態、又は鉄粒子が焼結し ネットワーク構成物の状態とする。この条 であれば、微細な鉄粒子が還元鉄含有物全 に多数存在して、これが圧縮成形時に粒子 士が結合する機会が増えるためであり、こ 結果、高強度の成形体を製造できる。特に 圧縮時の延性がない酸化物が5~30質量%と多く 含まれる場合で、この条件の鉄粒子を含む還 元鉄含有物を用いることが良い。

 凹状モールド23では、正方形又は長方形 、厚み方向の中央が盛り上がった形状とな 成形体を製造する。基本的には、その成形 は、いずれのサイズでも良いが、高炉で使 する用途向けには、2辺が10mm角、厚み5mm程度 の大きさ以上、2辺が40mmと120mm、厚み25mm程度 大きさ以下のものを製造する。換算径で表 すると7~45ミリメートルの還元鉄成形体が高 炉に適したものである。ここで、換算径とは 、還元鉄成形体の容積の1/3乗の値で定義され るものである。

 還元鉄成形体の密度は、見掛け密度で4.2g/cm 3 以上が望ましい。RHFで製造した還元鉄成形体 においては、この見掛け密度以下では、還元 鉄成形体の強度が低く、長期保管や搬送に耐 えられないからである。なお、この見掛け密 度が一般的なHBIの見掛け密度よりも低いが、 この理由は、RHFで製造した還元鉄には、金属 鉄よりも低比重である残留酸化物と炭素が多 く含まれるためである。ただし、高炉向けの 還元鉄成形体の見掛け密度が高すぎても問題 が生じる。つまり、本発明の還元鉄成形体は 、完全に還元されていないため、高炉の炉内 でも還元鉄成形体内の酸化鉄を還元する必要 がある。還元鉄成形体の高炉炉内での還元速 度を高くするためには、還元鉄成形体内への ガス浸透が良好な条件である、高密度すぎな いものが良い。本発明者らの実験では、還元 鉄成形体の見掛け密度が5.8g/cm 3 以下であると、気孔からガスが入りやすく、 この結果、還元が進みやすいことが判明した 。また、還元鉄成形体の見掛け密度が5.0g/cm 3 未満であると、更に還元が進みやすいことも 解明した。従って、RHFで製造した還元鉄成形 体を高炉で使用する場合は、見掛け密度が4.2 ~5.8g/cm 3 、望ましくは4.2~5.0g/cm 3 、であることが良い。ここで、見掛け比重と は、成形体の質量を成形体の容積で割った値 である。

 以上に説明した還元鉄成形体を高炉で還元 解する。高炉原料としては、本発明の還元 成形体、塊鉱石、焼結鉱、焼成ペレット等 鉄源と冶金用コークスを、炉上部のベルを 由して、高炉炉内に供給する。高炉に供給 る還元鉄成形体は、前述したように、金属 比率50質量%以上、かつ、炭素比率5質量%以 の還元鉄含有物を圧縮成形したものである その換算径は7~45ミリメートル、かつ見掛け 度が4.2~5.8g/cm 3 、望ましくは4.2~5.0g/cm 3 、のものである。換算径が7mm以下のものは、 他の装入物と層状に炉内に充填された場合に 、この充填物のガス通過圧力損出が増加して 、操業しづらくなるため、避けるべきである 。また、換算径が45mm以上のものは、還元速 と溶解速度が低いため、固体の状態で炉下 まで降下することから、炉下部の反応が不 性になる問題が起きる。見掛け密度の条件 、前述したとおりの理由である。

 高炉炉内での還元鉄成形体の供給位置も 要な技術である。本発明者らは、還元鉄成 体を、高炉を上から見た外周円の内部にお て、炉中心から直径に2/3以内の位置に、65% 上の還元鉄成形体を供給することが良いこ を見出した。還元鉄成形体を高炉の外周側 多く入れると、還元鉄成形体は鉱石等と比 して還元・溶解が速いため、外周部の充填 (バーダン)の降下速度が大きくなりすぎて まう。この結果、還元の遅い外周部の鉱石 未還元のままで炉下部に到達してしまい、 下部が過冷却されてしまう問題が出る。ま 、還元鉄成形体を炉中心部に多く供給する 、炉中心部のガス流れが促進されるととも 、充填物の降下の促進される効果が出る。 れは、還元鉄成形体が還元粉化しないため 充填物中のガス圧力損出を低減できること 、還元鉄成形体の降下速度が大きいことが 因である。この結果、中心部でのガス流れ 促進されて、送風量を増加することができ かつ、中心部での充填物が短時間で還元さ る。この結果、高炉での銑鉄生産性(生産t/d) を向上できる。

 以上に記載した還元鉄成形体を製鉄用高 に供給する量は、溶銑1トン当り150kg以下比 とすることにより、高炉の銑鉄生産性を向 できる良い条件となる。当然、これ以上の を高炉に装入しても良いが、この場合は、 炉シャフト融着帯の位置が下がりすぎて、 元鉄装入による銑鉄生産性の向上効果が小 くなる。

 本発明を実施する場合には、RHFでは、鉄 金属化率が55~85%の還元鉄含有物を製造して これを熱間成形した還元鉄成形体を高炉で 元・溶解することが良い。RHFでは、還元速 が高く短時間に酸化鉄を還元することがで る。しかし、プロセスの特性として、炉内 囲気ガスに二酸化炭素がある比率で混入し しまう。この結果、鉄の金属化率で85%以上 高還元を実施するためには、炉内温度を1420 ℃以上、反応後の還元鉄含有物中に残留炭素 を5質量%以上とすることが必要となる。この 果、鉄の金属化率を80%から90%に向上するた に、エネルギー消費が30%増加し、経済的な 業を実施できない。従って、鉄の金属化率 85%以下、望ましくは80%以下とすることが良 。

 本発明の方法を、図2に記載のRHF設備と図 3に記載のホットブリケット装置を連結した 備を用いて、原料条件を変えて、酸化鉄の 元・成形処理を実施した。なお、RHFは炉床 径24メートル、処理能力24トン/時のものであ り、ホットブリケット装置は処理能力16トン/ 時のものである。また、以上の設備で製造し た還元鉄成形体を4800立方メートルの高炉に 給して、操業結果を調査した。これらの結 を表1から表3に記載する。

 原料の粉体の性状を表1に示す。原料1は 鉄鋼プロセスから回収された酸化鉄を含む ストやスラッジ等の副産物を原料としたも であり、金属鉄や酸化第一鉄を含み、不純 としての酸化金属等が多いものである。炭 源は粉コークス(FC89質量%)を用いた。原料2は 、酸化第二鉄主体の粉体と無煙炭(FC80質量%、 揮発分8質量%)の混合物である。原料3は、原 2は、三四酸化鉄(マグネタイト)を含む酸化 二鉄の粉体と粉コークス(FC89質量%)の混合物 ある。なお、Fe酸化度(O/Fe)は、酸化鉄と化 している酸素とT.Feの元素比率を示すもので る。

 RHF・熱間成形の操業条件とホットブリケッ アイアンの製造結果を表2-1及び表2-2に示す なお、原料は全て、平均14mmの球状のペレッ トとしてRHFに供給された。表2-1及び表2-2中の RHF1からRHF3は、原料1を用いて、種々の温度条 件でRHFを操業した結果である。鉄の金属化率 は68~80%であり、還元帯のガス温度が高いほど 鉄の金属化率が高くなっている。それに伴い 残留炭素比率が低下している。鉄中炭素比率 はいずれも1質量%以下と低かった。成形体の 密度は1.8~2.3と本発明の適正な範囲であった 。これを成形温度510~650℃で幅12mm、長さ40mm、 厚み7mmのブリケットに成形した。成形体は、 見掛け密度4.5~5.3g/cm 3 、強度10~17MPaと高強度であった。この強度は 高炉で使用できる下限値の7MPaより大きかっ た。

 RHF4は、原料2を処理時間20分、最高温度1350 で操業した結果である。金属化率62%、還元 含有物中の金属鉄比率56%であった。嵩比重1. 5g/cm 3 の還元鉄含有物ができ、これを成形温度750℃ で幅40mm、長さ150mm、厚み25mmの大型ブリケッ に成形した。成形体は、見掛け密度4.7g/cm 3 、強度12MPaと良好なものであった。

 RHF5、RHF6は、原料3を処理時間12分、還元 最高温度1300℃で操業した結果と、処理時間1 2分、還元帯最高温度1410℃で操業した結果で る。RHF5では、処理時間が短く、還元帯ガス 温度も中程度であったため、金属化率59%、還 元鉄含有物中の金属鉄比率54%と金属鉄の少な いものであった。一方、RHF6では、処理時間 還元帯温度ともに還元に良い条件であった め、金属化率78%、還元鉄含有物中の金属鉄 率75%であった。なお、原料3は、平均粒子径 68ミクロンと粒子径が大きかったため、他 原料よりも還元時間がかかるものであった これを成形温度550℃、600℃で幅30mm、長さ120m m、厚み20mmに成形した。成形体は、見掛け密 、強度ともに良好であった。特に、RHF6では 、強度18MPaの高強度成形体が製造できた。な 、RHF1~RHF6までのいずれの場合も、還元鉄含 物の鉄粒子の平均径は70ミクロン以下と良 な条件内であった。なお、1200℃以上の温度 部分での原料成形体の滞在時間は、いずれ 操業条件でも、浸炭上限時間以下であった この結果、金属鉄の炭素含有率は、全て2質 量%以下であった。

 RHFで製造した還元鉄成形体を前述の高炉 還元・溶解することの熱経済評価を行った 比較データを搾取するたねに、この高炉で 還元鉄成形体を使用してない場合の創業結 を高炉1に記載する。還元材比(コークス+微 炭)は503kg/t-hmであり、銑鉄生産量は10、058ト ン/日であった。同一の操業条件において、 元鉄成形体を装入した結果が表3の高炉2~高 6に記載されている。高炉2では、高炉炉中心 から2/3の位置に55%装入した。この条件は、本 発明のより良い条件である高炉炉中心付近に より多く還元鉄成形体を装入することの条件 を外れるため、金属鉄装入量あたりの還元材 削減と銑鉄生産増加量がやや少なかった。高 炉3では、高炉への還元鉄成形体の供給量が17 0kg/t-hmと多いことから、本発明のより良い条 を外れるため、やはり金属鉄装入量あたり 還元材削減と銑鉄生産増加量がやや少なか た。一方、高炉4~高炉6の操業では、いずれ 本発明の最適条件を実現しているため、還 材削減比率や銑鉄生産量の増加においては きわめて良好な結果となった。ただし、高 6では、HBIの密度が上限に近かったため、や や還元遅れが起きていた。

 高炉での操業が良好であった高炉5での高 炉操業のエネルギー消費量変化とRHF4の条件 のRHFの使用エネルギーを比較して、その経 性を評価した。RHFでの燃料エネルギー単位( ークス炉ガス+炭素)は、13.1GJ/kg-Feであり、 置されているボイラーでの蒸気回収エネル ーと電力消費エネルギーがほぼ相殺するた 、RHFでのエネルギー消費は13.1GJ/kg-Feであっ 。表3の高炉銑鉄生産量の変化から計算する 、高炉の還元鉄成形体1kg当り0.85kgのT.Feがあ り、このうち金属鉄の0.59kg分の銑鉄がほぼエ ネルギー増分なしに増産されて、0.26kg分に通 常の高炉消費エネルギー実績値(14.8GJ/kg-Fe)が 要であった。従って、高炉消費エネルギー 、3.8GJ/kg-Feとなる。従って、RHFと高炉での 合エネルギー消費は16.9GJ/kg―Feであった。

 一方、焼結設備と高炉の組み合わせの処 においては、焼結設備のエネルギー消費量 、1.9GJ/kg-Feであり、焼結比率80%で操業して た。これに高炉消費エネルギーの14.8GJ/kg-Fe 加えると、総合エネルギー消費は16.7GJ/kg-Fe あった。従って、RHF4の操業条件であれば、R HFと高炉の組み合わせでのエネルギー消費量 焼結設備と高炉の組み合わせでのエネルギ 消費量がほぼ同等であった。ただし、焼結 備と高炉の組み合わせでのコークス消費量( 350kg/トン銑鉄)でのコークス製造エネルギー 考慮すると、焼結設備と高炉との組み合わ の方が0.6GJ/kg-Fe分の消費エネルギーが多かっ た。つまり、RHFと高炉での組み合わせで、本 発明に記載される方法での適正な条件で操業 を行えば、従来製銑法と比較してエネルギー 消費を少なくできる。その条件としては、RHF での鉄の金属化率が55~85%である。この条件よ りも金属化率が高くなると、RHFでのエネルギ ー消費が急速に増加して、高炉でセーブでき るエネルギー量を上回る。

 本発明を用いれば、RHFで、酸化鉄粉体や製 設備から回収される酸化鉄含有ダストを適 に還元するとともに、熱間で成形して、良 な形状の還元鉄成形体(ホットブリケットア イアン)を製造することができる。また、RHF と熱間成形機で製造した良質な形状の還元 成形体は、再酸化しづらい性状であり、長 間の保管や長距離輸送を行うことができる この還元鉄成形体を適正な条件で高炉に供 することで、高炉でのコークス原単位を低 するとともに、銑鉄の時間当たり生産量を 加することができる。