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Title:
PROCESS FOR PREPARING A EUCALYPTUS EXTRACT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/153989
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a process for preparing a eucalyptus extract, in which the effective constituents are obtained as physiologically active substances with high purity and high yield, while the smell peculiar to eucalyptus is reduced. Macrocarpal A, B and C, which are physiologically active substances contained in eucalyptus, are prepared with a higher content than with conventional extraction processes from an extraction residue obtained by removing the essential oil constituents from eucalyptus plant material and extracting the residue with water or an organic solvent aqueous solution, by further extraction with an organic solvent aqueous solution or with an organic solvent, to prepare an extract with a favourable aroma and appearance and favourable physical properties.

Inventors:
MAEDA YUUICHI (JP)
NARISE ATSUSHI (JP)
KIKUCHI SANAE (JP)
OSAWA KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/002760
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
June 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
LOTTE CO LTD (JP)
MAEDA YUUICHI (JP)
NARISE ATSUSHI (JP)
KIKUCHI SANAE (JP)
OSAWA KENJI (JP)
International Classes:
A23L1/30; A23L27/10; A23L29/00; A23L33/00; A23G3/34; A23G4/00; A61K36/18
Foreign References:
JPH08109118A1996-04-30
JPH08259452A1996-10-08
JP2006036672A2006-02-09
JP3365782B22003-01-14
JP2804232B21998-09-24
JP2006036672A2006-02-09
JP2001348307A2001-12-18
JP2000256345A2000-09-19
Other References:
NAGATA H. ET AL.: "Inhibitory effects of macrocarpals on the biological activity of Porphyromonas gingivalis and other periodontopathic bacteria", ORAL MICROBIOL. IMMUNOL., vol. 21, no. 3, June 2006 (2006-06-01), pages 159 - 163, XP002633653
See also references of EP 2286678A4
Attorney, Agent or Firm:
HAMADA, HARUO (JP)
Haruo Hamada (JP)
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Claims:
 ユーカリ属植物より精油成分を除去し、その残渣を水または有機溶媒水溶液で抽出する第一工程、第一工程で得られた抽出残渣を有機溶媒水溶液または有機溶媒で抽出する第二工程からなることを特徴とするユーカリ抽出物の調製方法。
 請求項1に記載の第一工程で使用する水または有機溶媒水溶液は30重量%濃度以下の溶液であり、第二工程で使用する有機溶媒水溶液または有機溶媒は30重量%濃度を超える溶液であることを特徴とするユーカリ抽出物の調製方法。
 請求項1または2で得られた抽出物は、マクロカルパールA、BおよびCを有効成分として含有することを特徴とするユーカリ抽出物の調製方法。
 請求項1乃至3のいずれかに記載の方法で得られたユーカリ抽出物を配合することを特徴とする飲食品。
Description:
ユーカリ抽出物の調製方法

 本発明は、ユーカリ抽出物の調製方法に するものであり、詳しくは、ユーカリ属植 より精油成分を除去し、その残渣を水また 有機溶媒水溶液で抽出して得られた抽出残 をさらに有機溶媒水溶液または有機溶媒で 出することにより、高収率のマクロカルパ ル類を得る、新規なユーカリ抽出物の調製 法に関する。

 ユーカリ属植物は、オーストラリア,ニュ ージーランド原産の高木で、日本でも各地で 栽培されている。葉から得られる精油(ユー リ油)は清涼感があり、薬用として鼻カタル, 気管支カタルに用いられるほか、パップ剤, 磨き,虫避けなどに用いられている。また、 植物は生育速度が極めて早いことが特徴で り、物質生産には適している。従来、ユー リの抽出物より有効な生理活性物質を単離 、その部分化学構造を決定し、マクロカル ール類と命名し、ユーカリ属植物より採取 ることを特徴とする新規なマクロカルパー 類およびその製造方法が開示されている(特 許文献1)。また、う蝕、歯周病両者の予防、 療に有効な成分を抽出するにあたり、ユー リ属植物から精油成分(ユーカリ油)を除去 た残渣を極性溶媒で抽出した抽出物および れに含まれるフロログルシノール誘導体が 蝕、歯周病の各原因菌に対して非常に強い 菌活性を有すること、さらには歯周病原因 であるポルフィロモナス・ジンジバリスの 生するコラゲナーゼ阻害効果をも併せ持つ とが明らかにされている(特許文献2)。

 このようにユーカリ抽出物は抗菌効果や 抗炎症効果の他にもセラミド産生促進効果 髪質改善剤等の多様な効果を有する一方で ユーカリ抽出物は特有の臭いを有し、その いは抽出物の配合量が微量でも臭いを感じ ことが出来る位強いものであることから、 粧品や医薬品、医薬部外品等の用途で使用 る際には効果の面で十分な量を配合するこ ができなかった問題に対しても種々の取り みがなされてきた。例えば、ユーカリ抽出 の製造方法に関して、ユーカリ特有の臭い 原因物質である、1,8-シネオール(1,8-cineole) マクロカルパールAの比をコントロールする とにより臭いを減少させる製造方法が開示 れており(特許文献3)、またユーカリ属植物 極性溶媒により抽出した抽出物溶液を、吸 剤を添加して色および臭いを除去する方法( 特許文献4)が開示されている。一方、植物原 の有効成分を高収率にするために、ユーカ 属植物原料を低温で水抽出した残渣をアル リ液で再抽出した抽出液と先の低温水抽出 に吸着剤を添加して処理した液とを混合し ポリフェノール類を製造する方法(特許文献 5)が開示されている。

 このようにユーカリ抽出物を調製する方 は各種開示されているが、有効成分として 濃度のマクロカルパール類を得るための簡 な工程且つ高収率に得ることは難しく、ま 、得られた抽出物に対しても呈味や外観、 性面において不十分で汎用性に乏しいもの あった。

特許第3365782号公報

特許第2804232号公報

特開2006-036672号公報

特開2001-348307号公報

特開2000-256345号公報

 本発明は飲食品に対する用途に適した、 ーカリ特有の呈味(苦味、渋み)を減少させ つ生理活性物質として有効な成分を高純度 つ高収率で得られるユーカリ抽出物の調製 法を提供するものである。

 上記の課題を解決するために鋭意検討を ねた結果、ユーカリ属植物より精油成分を 去し、その残渣を水または有機溶媒水溶液 抽出して得られた抽出残渣をさらに有機溶 水溶液または有機溶媒で抽出することによ 、高収率のマクロカルパール類を得ること できることを見出し、本発明を完成させる 至った。

 すなわち本発明は、主に以下の構成を有す 。
(1)ユーカリ属植物より精油成分を除去し、そ の残渣を水または有機溶媒水溶液で抽出する 第一工程、第一工程で得られた抽出残渣を有 機溶媒水溶液または有機溶媒で抽出する第二 工程からなることを特徴とするユーカリ抽出 物の調製方法。
(2)上記(1)に記載の第一工程で使用する水また は有機溶媒水溶液は30重量%濃度以下の溶液で あり、第二工程で使用する有機溶媒水溶液ま たは有機溶媒は30重量%濃度を超える有機溶媒 溶液であることを特徴とするユーカリ抽出物 の調製方法。
(3)上記(1)または(2)で得られた抽出物は、マク ロカルパールA、BおよびCを有効成分として含 有することを特徴とするユーカリ抽出物の調 製方法。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の方法で得 られたユーカリ抽出物を配合することを特徴 とする飲食品。

 本発明により、ユーカリ中に含まれる生 活性物質であるマクロカルパールA、Bおよ Cを従来の抽出方法と比較して高含有量にて 製できるため、製品に応用する際にユーカ 抽出物の添加量を減らすことが可能となり 生産率を向上させることができる。また、 クロカルパール類以外の成分が少なくなる とから呈味や外観、物性面で非常に良好な 出物を調製することが可能となる。更に、 発明の調製方法は溶剤抽出のみであり、カ ムなど特別な分離精製手段を使用する必要 なく、簡便で高純度に調製できるため時間 、コスト的に非常に有利となる。

 以下に、本発明の調製方法について詳細 説明する。

 本発明に用いる、ユーカリ属植物の原料 しては、フトモモ科ユーカリ属植物であれ 特に限定されないが、単独或いは2種以上を 組み合わせて用いられる。抽出する植物体の 部位としては、特に限定されないが、採取が 容易な枝葉が好ましく、特に葉が好ましい。 また、これらは新鮮材料でも乾燥品でもよく 、磨砕などの処理を行ってもよい。

 先ず、ユーカリ属植物、例えばユーカリ を粉砕機等の適当な粉砕手段で粉砕し、好 しくは通常精油抽出で使用する水蒸気蒸留 置を用いて精油成分を除去する。この精油 分の除去はn-ヘキサン、石油エーテル等の 極性溶媒を用いて常温で抽出することもで る。

 このようにして得られた脱精油済みの精 抽出残渣に対して、水または有機溶媒水溶 を第一抽出溶媒として適用して第一の抽出 程を実施する。この第一抽出溶媒として、 と共に用いられる有機溶媒としては、例え 、石油エーテル、n-ヘキサン、トルエン、 クロロエタン、クロロホルム、エーテル、 酸エチル、アセトン、メタノール、エタノ ル、プロパノール、ブタノール、エチレン リコール、プロピレングリコール、ブチレ グリコール等が挙げられ、炭素数1~5の低級 ルコール(メタノール、エタノール、プロパ ール、ブタノール、エチレングリコール、 ロピレングリコール、ブチレングリコール )が好ましい。また使用する水または有機溶 媒水溶液中の有機溶媒濃度は、30重量%以下の 濃度であり、好ましくは0~20重量%の低濃度で る。また、抽出条件としては、脱精油抽出 渣に対して2~100倍量の有機溶媒水溶液を、20 ~100℃で10分~24時間、浸漬あるいは加熱還流す ることができ、好ましくは加熱還流する。

 次に、これを吸引ろ過等により固液分離 行い、ろ液を取り除いて得られた抽出残渣 対して、さらに第二抽出溶媒として有機溶 水溶液または有機溶媒を適用して第二の抽 工程を実施する。この第二抽出溶媒として 、第一抽出溶媒に使用される有機溶媒水溶 と同様な有機溶媒が使用できる。ただし、 の第二工程の有機溶媒水溶液または有機溶 の濃度は30重量%を超える濃度であり、好ま くは40~100重量%の高濃度であり、より最適に は50~80重量%濃度である。

 また、抽出条件としては、第一抽出工程 て用いた条件と同一であり、第一抽出物残 に対して2~100倍量の有機溶媒水溶液または 機溶媒を、20~100℃で10分~24時間、浸漬あるい は加熱還流することができ、好ましくは加熱 還流する。

 得られた抽出液を吸引ろ過等により再度 液分離を行い、有機溶媒を除去した後凍結 燥等を行うことにより目的の抽出物を得る なお、二回の抽出工程における抽出温度は2 0℃を下回るとマクロカルパール類が十分に 出されず収率が悪くなるので好ましくない 同様に、第一抽出溶媒の濃度を30重量%を超 る高濃度にすると、マクロカルパール類以 の不純物が混じることから精製の目的から ましくなく、同様に、第二抽出溶媒の濃度 30重量%以下の低濃度にすると、マクロカル ール類の収率が低下するため好ましくない

 上記工程によりユーカリ葉から生理活性 質であるマクロカルパール類を高収率で得 ことができる。

 得られるマクロカルパール類の具体例と ては、次の構造式のものが挙げられる。

 このマクロカルパールA、BおよびCは、抗 イルス作用、HIV逆転写酵素阻害作用の他に 抗う蝕、歯周病効果についても有効である とは公知である。本発明の抽出物の調製方 を用いることにより、マクロカルパールA、 BおよびCは従来の抽出方法、たとえば60重量% タノール抽出による一回の有機溶媒抽出方 と比較しておよそ3~5重量%と倍以上の高濃度 で得られる。

 本発明の調製方法で得られた高収率で有 成分を含む抽出物の用途については種々考 られるが、香り、呈味性に優れ、安全性が いことからチューインガム、キャンディ、 菓、含そう剤、練り歯磨等の食品および衛 用品に配合する等の日常的な利用が可能で る。本発明で得られた抽出物を食品または 生用品に配合する場合、0.001~10重量%の割合 なるように添加するのが好適である。 

 以下に比較例、実施例および試験例、応 例を挙げて説明するが、これらの例は本発 の範囲を制限するものではない。

<比較例>
 ユーカリ葉は水蒸気蒸留により脱精油後、 燥させた葉を粉砕し、乾燥葉粉末10gに対し 水あるいは10~100重量%エタノール水溶液を100 ml添加し、60~90℃で約1時間還流しながら抽出 た。得られた抽出液をろ別し、抽出液の有 溶剤を除去した後に凍結乾燥することによ 、抽出物を調製した。抽出物を溶解させて 以下のHPLC条件により、定量分析を行った。

HPLC分析条件:
I.マクロカルパールA、B
  カラム:Cadenza CD-C18 (4.6×250mm,3μm,インタク ト社)
  移動相:A  0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸アセ ニトリル溶液
      B  0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液
      A:B = 75:25
   流速:1.0 ml/min     カラム温度:40℃
  検出器:UV(275nm)        注入量:20μl

II.マクロカルパールC
  移動相:A  0.5%(v/v)酢酸メタノール溶液
      B  0.5%(v/v)酢酸水溶液
      A:B = 88:12
      その他条件はIと同じ

 比較例の調製方法で抽出する際に、有機 媒水溶液の濃度を変化させたユーカリ抽出 1~9におけるマクロカルパール類の含量の比 結果を以下の表1に示す。

 表1の結果から、30重量%以下のエタノール 濃度で抽出してもユーカリ葉にほとんどのマ クロカルパールA,BおよびCが残存しているこ が確認された。

<実施例1>
 ユーカリ葉は水蒸気蒸留により脱精油後、 燥させた葉を粉砕し、乾燥葉粉末10gに対し 水あるいは30重量%エタノール水溶液(第一抽 出溶媒)を100ml添加し、70~90℃で約1時間還流し ながら抽出した。その後、ろ別して抽出液を 取り除き、得られた抽出残渣に対してさらに 、40~100重量%エタノール水溶液またはエタノ ル(第二抽出溶媒)を100ml添加し、70~90℃で約1 間還流しながら抽出した。抽出液をろ別し 、有機溶剤を除去した後に凍結乾燥するこ により、抽出物を調製した。抽出物を溶解 せて、先に示したHPLC条件により、定量分析 を行った。

 実施例1の調製方法で抽出する際に、有機 溶媒水溶液の濃度を変化させたユーカリ抽出 物10~18におけるマクロカルパール類の含量の 較結果を以下の表2に示す。

 表2から、第一抽出溶媒において0~30重量% 水またはエタノール水溶液で抽出した後の 渣に対して、第二抽出溶媒で50~100重量%のエ タノール水溶液あるいはエタノールを添加し て、さらに抽出することにより調製したユー カリ抽出物に、マクロカルパールA,BおよびC 多く含有していることが確認できた。

<試験例>
 比較例及び実施例1で調製した各抽出物を用 いてガム及びキャンディの試作を行い、加工 特性及び呈味の評価を行った。その結果を以 下の表3に示す。ユーカリ抽出物については 腔内で抗菌活性を示すことが確認されてい 濃度の0.2重量%を目安としてガムに配合した

1.ガム試作
    キシリトール     45重量%
    マルチトール     33
    ガムベース      14
    香料          1
    各抽出物        0.2
     その他        残量
    合計        100重量%

2.キャンディ試作
    砂糖         50重量%
    水飴         33
    クエン酸       14
    香料          1
    各抽出物        0.2
     水          残量
    合計        100重量%

 ガムやキャンディ、錠菓等大きさが限ら ている食品形態の場合、効果成分がより高 度であることが非常に有用である。

 表3から、実施例1における第一抽出溶媒 おいて0~30重量%の水またはエタノール水溶液 で抽出した残渣を、さらに第二抽出溶媒にお いて50~80重量%エタノール水溶液で調製した抽 出物がユーカリ抽出物中のマクロカルパール 量が多く含まれ、且つユーカリ特有の呈味( 味、渋み)を抑えることができ、食品、特に ムやキャンディ、錠菓への加工特性、呈味 面から最適であると推測された。

<応用例>
 実施例1の方法により調製したユーカリ抽出 物(抽出物11、13、16、17)を用いて、次の処方 よりガム、キャンディ、錠菓を製造した。

  ガム1の処方
    キシリトール     45重量%
    マルチトール     33
    ガムベース      14
    香料          1
    抽出物11       0.2
     その他        残量
    合計        100重量%

  ガム2の処方
    キシリトール     45重量%
    マルチトール     33
    ガムベース      14
    香料          1
    抽出物13       0.3
     その他        残量
    合計        100重量%

  キャンディの処方
    砂糖         50重量%
    水飴         33
    クエン酸       14
    香料          1
    抽出物16       0.5
     水          残量
    合計        100重量%

  錠菓の処方
    砂糖         76.1重量%
    グルコース      19.0
    ショ糖脂肪酸エステル  0.2
    香料          0.2
    抽出物17       0.5
     水          残量
    合計        100重量%

 本発明により、ユーカリ抽出物は生理活 物質のマクロカルパール類を従来方法より 含有量で調製でき、且つユーカリ特有の呈 が抑制されるため、特に規格に制限のある 食品に配合するのに有効である。