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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING AROMATIC POLYCARBONATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/120493
Kind Code:
A1
Abstract:
The replacing frequency of filter for filtration of raw material is reduced. The raw material in molten form after preparation in a raw material preparation tank is filtered through filter section (20) equipped with multiple filters of pleats type, etc. arranged in series and thereafter is fed into a reactor. When A refers to the mesh opening (μm) on the upstream side of a filter while B refers to the mesh opening (μm) on the downstream side thereof, in at least one combination, the relationship A>B is satisfied.

Inventors:
KUMAZAWA KATSUHISA (JP)
TAURA TAKAYUKI (JP)
YAMAMOTO MASANORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051678
Publication Date:
October 09, 2008
Filing Date:
February 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI CHEM CORP (JP)
KUMAZAWA KATSUHISA (JP)
TAURA TAKAYUKI (JP)
YAMAMOTO MASANORI (JP)
International Classes:
C08G64/30
Domestic Patent References:
WO2008012987A12008-01-31
WO2005121212A12005-12-22
Foreign References:
JP2003034720A2003-02-07
JP2003277493A2003-10-02
JPH06234845A1994-08-23
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 芳香族ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステルを原料として芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、
 溶融状態にある前記原料を直列に配された複数のフィルターを用いて濾過した後、反応器へ供給することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
 前記原料が、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
 前記原料中に更にエステル交換触媒を添加し、前記複数のフィルターを用いて濾過することを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
 前記フィルターは、上流にある側の目開きをAμm、下流側にある側の目開きをBμmとした場合に、少なくとも1つの組み合わせにおいて、AはBより大きい(A>B)ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
 前記Aは最も上流側において8以上であり、かつ前記Bは最も下流側において2以下であることを特徴とする請求項4に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
 前記フィルターは、少なくとも3基であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
 前記フィルターの内、少なくとも1つが、プリーツタイプであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
 溶融状態にある前記原料の前記フィルターの少なくとも1つのフィルター面での流速が、1m/h~20m/hであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
 溶融状態にある前記原料の前記フィルター面での流速が、下記(1)および(2)の条件を満たすことを特徴とする請求項8に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
 (1)フィルターの目開きが5μm未満である場合は、1m/h~5m/hであること。
 (2)フィルターの目開きが5μm以上である場合は、5m/h~20m/hであること。
 原料調製槽と前記反応器との間にスタティックミキサーを更に配し、前記原料を当該スタティックミキサーを用いて混合することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
 前記原料調製槽と前記反応器との間で、前記エステル交換触媒を前記原料中に添加することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
Description:
芳香族ポリカーボネートの製造 法

 本発明は、エステル交換反応による芳香 ポリカーボネートの製造方法に関し、詳し は、原料を濾過するフィルターの交換頻度 低減される芳香族ポリカーボネートの製造 法に関する。

 近年、ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃 等の機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透 性等にも優れたエンジニアリングプラスチ クスとして、OA部品、自動車部品、建築材 等に幅広く用いられている。特に耐衝撃性 透明性等の特性を生かして、光学用材料と て光学レンズや記録用ディスク、シート、 トル等の用途に幅広く使用されている。

 この芳香族ポリカーボネートの製造方法と ては、ビスフェノール化合物等の芳香族ジ ールとホスゲンとを原料とした、いわゆる 面法が工業化されている。
 しかし、この方法は人体に有害なホスゲン 用いなければならないこと、環境に対する 荷の高いジクロロメタン等の溶剤を必要と ること、また多量に副生する塩化ナトリウ のポリマーへの混入等の問題点が指摘され いる。
 一方、芳香族ジオールと炭酸ジエステルと 溶融状態でエステル交換し、副生するフェ ール等の低分子量物を系外に取り除きなが 芳香族ポリカーボネートを得る方法も、い ゆる溶融法として古くから知られている。 融法は界面法による上記のような問題点も しに芳香族ポリカーボネートが製造できる いう利点がある。

 ところで、芳香族ポリカーボネートは、上 のように光学用材料として光学レンズや記 用ディスクに用いられ、特にこれらの用途 は異物の混入は致命的な問題となる。
 芳香族ポリカーボネート中の異物を低減す 方法としては、フィルターを用いて異物を 過し除去した芳香族ジヒドロキシ化合物と 酸ジエステルを原料として用いる方法が開 されている(例えば、特許文献1参照。)。
 また、原料である芳香族ジヒドロキシ化合 と炭酸ジエステルとを混合溶融した後、特 の処理を行ったフィルターを用いて濾過す 方法が開示されている(例えば、特許文献2 照。)。
 あるいは、フィルターで処理する原料液の 量とフィルターの濾過面積を規定する方法 どが開示されている(例えば、特許文献3参 。)。

特開平5-239334号公報

特開2003-048975号公報

特開2002-256071号公報

 しかしながら、原料を濾過するフィルター 時間とともに徐々に閉塞するため、通常、 ィルター前後の差圧が一定レベルに達する 、新しいフィルターや洗浄したフィルター 取り替えることが行われている。
 しかし、溶融法芳香族ポリカーボネートの 料として用いられる芳香族ジヒドロキシ化 物や炭酸ジエステル、これらの混合物の融 は、室温よりも大幅に高いため、原料フィ ターの交換作業は大きな危険を伴うという 題がある。フィルターの交換頻度を下げる は、単位流量当たりの濾過面積を大きくす 方法もあるが、装置が過大になってしまい フィルター交換作業の危険性をさらに増大 せてしまうという問題がある。
 上記のような問題は、原料中にエステル交 触媒が含まれていると微量の析出触媒によ てさらに深刻となるため、抜本的な解決が められていた。

 本発明は、従来の技術が有する上記の問題 に鑑みてなされたものである。
 即ち、本発明の目的は、原料を濾過するフ ルターの交換頻度を低減することのできる 香族ポリカーボネートの製造方法を提供す ことにある。

 上記課題を解決するために、本発明者ら 鋭意検討を行った結果、原料を濾過するフ ルターを複数にすればフィルターの交換頻 を低減できることを見出し、かかる知見に づき本発明を完成した。

 かくして本発明によれば、芳香族ジヒド キシ化合物および炭酸ジエステルを原料と て芳香族ポリカーボネートを製造する方法 おいて、溶融状態にある原料を直列に配さ た複数のフィルターを用いて濾過した後、 応器へ供給することを特徴とする芳香族ポ カーボネートの製造方法が提供される。

 ここで、原料は、芳香族ジヒドロキシ化合 と炭酸ジエステルの混合物であることが好 しく、原料中に更にエステル交換触媒が含 していることが好ましい。
 また、フィルターは、上流にある側の目開 をAμm、下流側にある側の目開きをBμmとし 場合に、少なくとも1つの組み合わせにおい 、AはBより大きい(A>B)ことが好ましく、A 最も上流側において8以上であり、かつBは最 も下流側において2以下であることが更に好 しい。
 そして、フィルターは、少なくとも3基であ ることが好ましく、フィルターの内、少なく とも1つが、プリーツタイプであることが好 しい。
 一方、溶融状態にある原料のフィルターの なくとも1つのフィルター面での流速が、1m/ h~20m/hであることが好ましく、溶融状態にあ 原料のフィルター面での流速が、(1)フィル ーの目開きが5μm未満である場合は1m/h~5m/hで ること、(2)フィルターの目開きが5μm以上で ある場合は5m/h~20m/hであることである条件を たすことが更に好ましい。
 また更に、原料調製槽と反応器との間にス ティックミキサーを更に配し、原料をスタ ィックミキサーを用いて混合することが好 しく、原料調製槽と反応器との間で、エス ル交換触媒を原料中に添加することが好ま い。

即ち、本発明の要旨は下記(1)~(11)に存する。
(1)芳香族ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエ ステルを原料として芳香族ポリカーボネート を製造する方法において、
 溶融状態にある前記原料を直列に配された 数のフィルターを用いて濾過した後、反応 へ供給することを特徴とする芳香族ポリカ ボネートの製造方法。
(2)前記原料が、芳香族ジヒドロキシ化合物と 炭酸ジエステルの混合物であることを特徴と する(1)項に記載の芳香族ポリカーボネートの 製造方法。
(3)前記原料中に更にエステル交換触媒を添加 し、前記複数のフィルターを用いて濾過する ことを特徴とする(1)項または(2)項に記載の芳 香族ポリカーボネートの製造方法。
(4)前記フィルターは、上流にある側の目開き をAμm、下流側にある側の目開きをBμmとした 合に、少なくとも1つの組み合わせにおいて 、AはBより大きい(A>B)ことを特徴とする(1) 乃至(3)項の何れか1項に記載の芳香族ポリカ ボネートの製造方法。
(5)前記Aは最も上流側において8以上であり、 つ前記Bは最も下流側において2以下である とを特徴とする(4)項に記載の芳香族ポリカ ボネートの製造方法。

(6)前記フィルターは、少なくとも3基である とを特徴とする(1)項乃至(5)項の何れか1項に 載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
(7)前記フィルターの内、少なくとも1つが、 リーツタイプであることを特徴とする(1)項 至(6)項の何れか1項に記載の芳香族ポリカー ネートの製造方法。
(8)溶融状態にある前記原料の前記フィルター の少なくとも1つのフィルター面での流速が 1m/h~20m/hであることを特徴とする(1)項乃至(7) の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネー トの製造方法。
(9)溶融状態にある前記原料の前記フィルター 面での流速が、下記(1)および(2)の条件を満た すことを特徴とする(8)項に記載の芳香族ポリ カーボネートの製造方法。
 (1)フィルターの目開きが5μm未満である場合 は、1m/h~5m/hであること。
 (2)フィルターの目開きが5μm以上である場合 は、5m/h~20m/hであること。
(10)原料調製槽と前記反応器との間にスタテ ックミキサーを更に配し、前記原料を当該 タティックミキサーを用いて混合すること 特徴とする(1)項乃至(9)項の何れか1項に記載 芳香族ポリカーボネートの製造方法。
(11)前記原料調製槽と前記反応器との間で、 記エステル交換触媒を前記原料中に添加す ことを特徴とする(1)項乃至(10)項の何れか1項 に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法 。

 本発明によれば、芳香族ポリカーボネー の製造において、原料を濾過するフィルタ の交換頻度を低減することができる。

図1は、芳香族ポリカーボネートの製造 装置の一例を示す図である。 図2は、フィルター部の構成の一例につ いて説明した図である。

符号の説明

1a-1…ジフェニルカーボネート供給口
1b…ビスフェノールA供給口
2a…第1原料調製槽、
2b…第2原料調製槽、
3a,3b…アンカー型攪拌翼、
4a…原料供給ポンプ、
5a…触媒供給口、
6a…第1竪型反応器、
6b…第2竪型反応器、
6c…第3竪型反応器、
7a,7b,7c,10a…攪拌翼、
8a,8b,8c,8d…留出管、
9a…第4横型反応器、
20,20-1,20-2…フィルター部、
21,22,23…フィルター、
24…スタティックミキサー 
81a,81b,81c,81d…凝縮器、
82a,82b,82c,82d…減圧装置

 以下、本発明を実施するための最良の形 (以下、発明の実施の形態)について詳細に 明する。尚、本発明は、以下の実施の形態 限定されるものではなく、その要旨の範囲 で種々変形して実施することが出来る。ま 、使用する図面は本実施の形態を説明する めのものであり、実際の大きさを表すもの はない。

(ポリカーボネート樹脂)
 本発明において、ポリカーボネート樹脂は 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ とのエステル交換反応に基づく溶融重縮合 より製造される。
 以下、原料として芳香族ジヒドロキシ化合 及び炭酸ジエステルを用い、エステル交換 媒の存在下、連続的に溶融重縮合反応を行 ことにより、ポリカーボネート樹脂を製造 る方法について説明する。

(芳香族ジヒドロキシ化合物)
 本実施の形態において使用する芳香族ジヒ ロキシ化合物としては、下記一般式(1)で示 れる化合物が挙げられる。

 ここで、一般式(1)において、Aは、単結合ま たは置換されていてもよい炭素数1~炭素数10 直鎖状、分岐状若しくは環状の2価の炭化水 基、又は、-O-、-S-、-CO-若しくは-SO 2 -で示される2価の基である。X及びYは、ハロ ン原子又は炭素数1~炭素数6の炭化水素基で る。p及びqは、0~2の整数である。尚、XとY及 pとqは、それぞれ、同一でも相互に異なる のでもよい。

 芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例として 、例えば、ビス(4-ヒドロキシジフェニル)メ タン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパ 、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル) ロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフ ニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ チルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロ シ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、4,4-ビス( 4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1-ビス(4- ドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス ェノール類;4,4’-ジヒドロキシビフェニル 3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシ フェニル等のビフェノ-ル類;ビス(4-ヒドロ シフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフ ニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニ ル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケ ン等が挙げられる。
 これらの中でも、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェ ニル)プロパン(「ビスフェノールA」、以下、 BPAと略記することがある。)が好ましい。こ らの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で 又は2種以上を混合して用いることができる

(炭酸ジエステル)
 本実施の形態において使用する炭酸ジエス ルとしては、下記一般式(2)で示される化合 が挙げられる。

 ここで、一般式(2)中、A’は、置換されてい てもよい炭素数1~炭素数10の直鎖状、分岐状 は環状の1価の炭化水素基である。2つのA’ 、同一でも相互に異なるものでもよい。
 なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原 子、炭素数1~炭素数10のアルキル基、炭素数1~ 炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェ キシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基 アミド基、ニトロ基などが例示される。

 炭酸ジエステルの具体例としては、例えば ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボ ート等の置換ジフェニルカーボネート、ジ チルカーボネート、ジエチルカーボネート ジ-t-ブチルカーボネート等のジアルキルカ ボネートが挙げられる。
 これらの中でも、ジフェニルカーボネート( 以下、DPCと略記することがある。)、置換ジ ェニルカーボネートが好ましい。これらの 酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混 して用いることができる。

 また、上記の炭酸ジエステルは、好ましく その50モル%以下、さらに好ましくは30モル% 下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸 ステルで置換してもよい。
 代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エ テルとしては、例えば、テレフタル酸、イ フタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソ タル酸ジフェニル等が挙げられる。このよ なジカルボン酸又はジカルボン酸エステル 置換した場合には、ポリエステルカーボネ トが得られる。

 これら炭酸ジエステル(上記の置換したジカ ルボン酸又はジカルボン酸エステルを含む。 以下同じ。)は、ジヒドロキシ化合物に対し 過剰に用いられる。
 即ち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して 酸ジエステルのモル比が、好ましくは、1.01 以上、特に好ましくは1.02以上、また好まし は1.30以下、特に好ましくは1.20以下で用いら れる。モル比が1.01より小さくなると、得ら るポリカーボネート樹脂の末端OH基が多くな り、樹脂の熱安定性が悪化する傾向となる。 また、モル比が1.30より大きくなると、エス ル交換の反応速度が低下し、所望の分子量 有するポリカーボネート樹脂の生産が困難 なる傾向となる他、樹脂中の炭酸ジエステ の残存量が多くなり、成形加工時や成形品 臭気の原因となることがあり、好ましくな 。

(エステル交換触媒)
 本実施の形態において使用するエステル交 触媒としては、通常、エステル交換法によ ポリカーボネートを製造する際に用いられ 触媒が挙げられ、特に限定されない。一般 には、例えば、アルカリ金属化合物、ベリ ウム又はマグネシウム化合物、アルカリ土 金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性 ン化合物、塩基性アンモニウム化合物又は ミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられ 。
 これらのエステル交換触媒の中でも、アル リ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化 物が本実施の形態の目的とする原料を濾過 るフィルターの交換頻度の低減という点で 効果が大きい。これらのエステル交換触媒 、1種類で使用してもよく、2種類以上を組 合わせて使用してもよい。
 エステル交換触媒の使用量は、通常、芳香 ジヒドロキシ化合物1モルに対して、好まし くは1×10 -9 モル以上、特に好ましくは1×10 -7 モル以上、また好ましくは、1×10 -1 モル以下、特に好ましくは1×10 -2 モル以下の範囲で用いられる。

 アルカリ金属化合物としては、アルカリ金 の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の 機アルカリ金属化合物;アルカリ金属のアル コール類、フェノール類、有機カルボン酸類 との塩等の有機アルカリ金属化合物等が挙げ られる。ここで、アルカリ金属としては、例 えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ル ビジウム、セシウムが挙げられる。
 これらのアルカリ金属化合物の中でも、セ ウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウ 、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好 しい。

 ベリリウム又はマグネシウム化合物及び ルカリ土類金属化合物としては、例えば、 リリウム、マグネシウム、アルカリ土類金 の水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類 属化合物;これらの金属のアルコール類、フ ェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙 げられる。ここで、アルカリ土類金属として は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム が挙げられる。

 塩基性ホウ素化合物としては、ホウ素化 物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム 、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウ 塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。こ で、ホウ素化合物としては、例えば、テト メチルホウ素、テトラエチルホウ素、テト プロピルホウ素、テトラブチルホウ素、ト メチルエチルホウ素、トリメチルベンジル ウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエ ルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ 、トリエチルフェニルホウ素、トリブチル ンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素 テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェ ルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブ ルトリフェニルホウ素等が挙げられる。

 塩基性リン化合物としては、例えば、ト エチルホスフィン、トリ-n-プロピルホスフ ン、トリイソプロピルホスフィン、トリ-n- チルホスフィン、トリフェニルホスフィン トリブチルホスフィン等の3価のリン化合物 、又はこれらの化合物から誘導される4級ホ ホニウム塩等が挙げられる。

 塩基性アンモニウム化合物としては、例 ば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ 、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、 リメチルエチルアンモニウムヒドロキシド トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキ ド、トリメチルフェニルアンモニウムヒド キシド、トリエチルメチルアンモニウムヒ ロキシド、トリエチルベンジルアンモニウ ヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモ ウムヒドロキシド、トリブチルベンジルア モニウムヒドロキシド、トリブチルフェニ アンモニウムヒドロキシド、テトラフェニ アンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリ ェニルアンモニウムヒドロキシド、メチル リフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブ ルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド が挙げられる。

 アミン系化合物としては、例えば、4-ア ノピリジン、2-アミノピリジン、N,N-ジメチ -4-アミノピリジン,4-ジエチルアミノピリジ 、2-ヒドロキシピリジン、2-メトキシピリジ 、4-メトキシピリジン、2-ジメチルアミノイ ミダゾール、2-メトキシイミダゾール、イミ ゾール、2-メルカプトイミダゾール、2-メチ ルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げら れる。

(芳香族ポリカーボネートの製造方法)
 次に、芳香族ポリカーボネートの製造方法 ついて説明する。
 芳香族ポリカーボネートの製造は、原料で る芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエ テルを含む混合物を調製し(原調工程)、こ らの化合物の混合物を、エステル交換反応 媒の存在下、溶融状態で複数の反応器を用 て多段階方式で重縮合反応させる(重縮合工 )ことによって行われる。反応方式は、バッ チ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合 せのいずれでもよいが、生産性や品質安定性 の観点からは連続式が好ましい。反応器は、 連続式の場合、一般に複数基の直列に配され た反応器から構成され、好ましくは複数の竪 型反応器及びこれに続く少なくとも1基の横 反応器が用いられる。
 重縮合工程後、反応を停止させ反応液中の 反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程 、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工 、ポリカーボネート樹脂を所定の粒径のペ ットに形成する工程などを適宜追加しても い。
 次に、製造方法の各工程について説明する

(原調工程)
 芳香族ポリカーボネートの原料として使用 る芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス ルとは、通常、窒素、アルゴン等の不活性 スの雰囲気下、バッチ式、半回分式または 続式の撹拌槽型の装置を用いて、溶融混合 として調製される。溶融混合の温度は、例 ば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビス ェノールAを用い、炭酸ジエステルとしてジ フェニルカーボネートを用いる場合は、好ま しくは120℃以上、特に好ましくは125℃以上、 また好ましくは180℃以下、特に好ましくは160 ℃以下の範囲から選択される。
 この際、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸 エステルとの混合割合は、炭酸ジエステル 過剰になるように調整され、芳香族ジヒド キシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル の割合は、好ましくは1.01モル以上、特に好 しくは1.02モル以上、また好ましくは、1.30モ ル以下、特に好ましくは1.20モル以下の割合 なるように調整される。

(重縮合工程)
 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ とのエステル交換反応による重縮合は、通 、2段階以上、好ましくは3段~7段の多段方式 で連続的に行われる。
 具体的な反応条件としては、温度:150℃~320 、圧力:常圧~0.01Torr(1.3Pa)、一段当たりの平均 滞留時間:5分~150分の範囲である。
 重縮合工程を多段で行う場合の各反応器に いては、重縮合反応の進行とともに副生す フェノールをより効果的に排出するために 上記の反応条件内で、通常段階的により高 、より高真空に設定する。尚、得られるポ カーボネート樹脂の色相等の品質低下を防 するためには、できるだけ低温、短滞留時 の設定が好ましい。

 重縮合工程を多段方式で行う場合は、好ま くは、複数基の竪型反応器および/またはこ れに続く少なくとも1基の薄膜蒸発性能に優 た反応器を設けて、ポリカーボネート樹脂 平均分子量を増大させる。反応器は通常3基~ 6基、好ましくは4基~5基設置される。
 ここで、薄膜蒸発性能に優れた反応器とし は、例えば、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発 応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横 攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下さ ながら重合する多孔板型反応器、ワイヤー 沿わせて落下させながら重合するワイヤー き多孔板型反応器等が用いられる。

 尚、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエ テルとの重縮合に使用するエステル交換触 は、通常、予め水溶液として準備される。 媒水溶液の濃度は特に限定されず、触媒の に対する溶解度に応じて任意の濃度に調整 れる。また、水に代えて、アセトン、アル ール、トルエン、フェノール等の他の有機 媒を用いることもできる。
 触媒の溶解に使用する水としては、含有さ る不純物の種類ならびに濃度が一定であれ 特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イ ン水等が好ましく用いられる。

(製造装置)
 次に、図面に基づき、本実施の形態が適用 れる芳香族ポリカーボネートの製造方法の 例を具体的に説明する。
 図1は、芳香族ポリカーボネートの製造装置 の一例を示す図である。図1に示す製造装置 おいて、芳香族ポリカーボネートは、原料 芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエス ルを調製する原調工程と、これらの原料を 融状態で複数の反応器を用いて重縮合反応 せる重縮合工程とを経て製造される。
 その後、反応を停止させ重合反応液中の未 応原料や反応副生物を脱揮除去する工程や 熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程 芳香族ポリカーボネートを所定の粒径のペ ットに形成する工程を経て、ポリカーボネ ト樹脂のペレットが成形される。

 原調工程においては、直列に接続した第1原 料調製槽2a及び第2原料調製槽2bと、調製した 料を重縮合工程に供給するための原料供給 ンプ4aとが設けられている。第1原料調製槽2 aと第2原料調製槽2bとには、例えばアンカー 攪拌翼3a,3bがそれぞれ設けられている。
 また、第1原料調製槽2aには、DPC供給口1a-1か ら、炭酸ジエステルであるジフェニルカーボ ネート(以下、DPCと記載することがある。)が 融状態で供給され、BPA供給口1bからは、芳 族ジヒドロキシ化合物であるビスフェノー A(以下、BPAと記載することがある。)が粉末 態で供給され、溶融したジフェニルカーボ ートにビスフェノールAが溶解される。

 図1に示す芳香族ポリカーボネート樹脂の製 造装置において、窒素ガス雰囲気下、所定の 温度で調製されたDPC溶融液と、窒素ガス雰囲 気下で計量されたBPA粉末とが、それぞれDPC供 給口1a-1とBPA供給口1bから第1原料調製槽2aに連 続的に供給される。第1原料調製槽2aの液面が 移送配管中の最高位と同じ高さを超えると、 原料混合物が第2原料調製槽2bに移送される。
 次に、原料混合物は、原料供給ポンプ4aを 由して第1竪型反応器6aに連続的に供給され 。この際に溶融した原料混合物は、フィル ー部20を通過し濾過される。また触媒として 、炭酸セシウム水溶液が、原料混合物の移送 配管途中の触媒供給口5aから連続的に供給さ る。
 なおフィルター部20については後ほど詳述 る。

 第1竪型反応器6aでは、窒素雰囲気下、例 ば、温度220℃、圧力13.33kPa(100Torr)、攪拌翼7a の回転数を160rpmに保持し、副生したフェノー ルを留出管8aから留出させながら平均滞留時 60分~120分になるように液面レベルを一定に ち、重縮合反応が行われる。次に、第1竪型 反応器6aより排出された重合反応液は、引き き、第2竪型反応器6b、第3竪型反応器6c、第4 横型反応器9aに順次連続供給され、重縮合反 が進行する。各反応器における反応条件は 一般的には重縮合反応の進行とともに高温 高真空、低撹拌速度となるようにそれぞれ 定される。重縮合反応の間、各反応器にお る平均滞留時間は、例えば、60分程度にな ように液面レベルを制御し、また各反応器 おいては、副生するフェノールが留出管8b,8c ,8dから留出される。

 次に、フィルター部20について詳細に説明 る。
 図2は、フィルター部20の構成の一例につい 説明した図である。
 図2に示すようにフィルター部20は、直列に 続された3基のフィルター21,22,23から構成さ る。
 ここで、フィルターの上流にある側の目開 をAμm、下流側にある側の目開きをBμmとし 場合に、少なくとも1つの組み合わせにおい 、AはBより大きい(A>B)ことが好ましい。こ の条件を満たした場合は、フィルターがより 閉塞しにくくなり、フィルターの交換頻度の 低減を図ることができる。
 またAおよびBは、Aはその最上流側において ましくは8以上、更に好ましくは10以上であ 、Bはその最下流側において好ましくは2以 、更に好ましくは1以下である。AおよびBが の範囲より過度に外れると異物の除去が不 分になったり、フィルターが閉塞しやすか たりする傾向がある。

 またフィルターはどのタイプのものでも 用でき、該フィルターを構成する濾材とし は、金属ワインド、積層金属メッシュ、金 不織布、多孔質金属板等のいずれでもよい 、濾過精度の観点から積層金属メッシュま は金属不織布が好ましく、中でも金属不織 を焼結して固定したタイプのものが好まし 。フィルターの形状としては、バスケット イプ、ディスクタイプ、リーフディスクタ プ、チューブタイプ、フラット型円筒タイ 、プリーツ型円筒タイプ等のいずれの型式 あってもよいが、中でもプリーツタイプの のがより好ましい。

 フィルターの材質についての制限は特に く、金属製、樹脂製セラミック製等を使用 ることができるが、耐熱性や着色低減の観 からは、鉄含有量80%以下である金属製フィ ターが好ましく、中でもSUS304、SUS316、SUS316L 、SUS310S等のステンレス鋼製が好ましい。

 なおここで目開きとは、ISO16889に準拠し測 された下記式(1)で表されるβχ値が1000の場合 のχの値を言う。
  βχ=(χμmより大きい1次側の粒子数)/(χμmよ り大きい2次側の粒子数)
 …(1)
 また上流とは、原料混合物の流れる方向に し原料調製槽側を言い、また下流とは、原 混合物の流れる方向に対し反応器側を言う のとする。

 また、生産性とフィルター寿命の点から、 融状態にある原料のフィルター面での流速 、1m/h~20m/hであることが好ましい。該流速が 小さすぎると設備が過大になり、大きすぎる とフィルター寿命が短くなる傾向にある。
 また特に、フィルターの目開きが5μm未満で ある場合は、フィルター面において流速が1m/ h~5m/h、中でも2m/h~3m/hであり、フィルターの目 開きが5μm以上である場合は、フィルター面 おいて流速が5m/h~20m/h、中でも6m/h~10m/hである ことが好ましい。
 本実施の形態におけるフィルターを通過さ る際の原料流体の温度に制限はないが、低 ぎると原料が固化し、高すぎると熱分解等 不具合があるため、通常100℃~200℃、好まし くは120℃~180℃、特に好ましくは125℃~160℃で る。

 図2に示した通り、スタティックミキサー24 3基のフィルターの前段あるいは後段、好ま しくは前段に設けるのがよいが、なくてもか まわない。
 フィルターの個数に関しては1基であるとフ ィルターが短時間の運転で閉塞することが多 い。従って本実施の形態においては複数基の フィルターを使用するが、好ましくは3基以 である。この構成を採用することによりフ ルターの閉塞が極めて生じにくくなり、フ ルターの交換頻度の低減が図れるという優 た効果が生じる。
 なお本実施の形態では、フィルター部20に り濾過されるのは、芳香族ジヒドロキシ化 物と炭酸ジエステルの原料混合物であるが これらの原料を別々に濾過した後に混合し もよい。
 本実施の形態において触媒の添加位置は限 されず、原料調製槽、原料調製槽と反応器 間、反応器の何れで添加してもよいが、添 量の安定化、原料の熱安定性の観点からは 1に示すように原料調製槽と反応器の間で触 媒を添加することが好ましく、中でも図1に すように、上記原料混合物とエステル交換 媒が全て混合した状態でフィルター部20を通 過するのが好ましい。
 但し、本実施の形態においては、フィルタ 部の位置は20に限定されるものではなく、 融状態にある原料が直列に配された複数の ィルターを用いて濾過した後、反応器へ供 されていればよい。
 即ち、図1において、20-1、20-2、20の何れの 置にフィルター部を設置してもよく、また フィルター部の設置箇所が複数であっても い。あるいは、フィルター部の各フィルタ を20-1、20-2、20の複数箇所に渡って設置され いてもかまわない。しかし、反応槽へ移送 る直前に異物を除去する観点から20にフィ ターが少なくとも1つ設置されていることが ましい。

 以下、本発明を実施例を用いてより詳細 説明するが、本発明は、その要旨を越えな 限りこれらの実施例により限定されるもの はない。

(実施例1)
 芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェ ールAを、炭酸ジエステルとしてジフェニル カーボネートを、ジフェニルカーボネート/ スフェノールA=1.065(mol/mol)となるように、熱 ジャケットおよび内部に熱媒コイルを有し 内温が150℃に保持された原料調製槽に連続 に供給し、混合、融解させた。
 この原料混合物を原料調製槽の底部にある 管から抜き出し、該配管に炭酸セシウムの 溶液を原料ビスフェノールA1molに対し、炭 セシウムとして0.5μmolとなるように流量をコ ントロールして配管で添加し、続いてスタテ ィックミキサーを具備した配管を通じ、3基 直列に配されたフィルターユニットに供給 濾過した。それぞれのフィルターはSUS316製 金属不織布を焼結させたメディアをプリー 型に加工した構造であり、目開きは上流か 順に、10μm、5μm、1μmであった。この時、フ ルター面での流速は、上流から順に7m/h、6m/ h、2m/hとした。この状態で1年間の連続運転を したが、フィルターを交換する基準となる差 圧まで達することはなかった。

(実施例2)
 実施例1において、フィルター面での流速が 、上流から順に28m/h、10m/h、6m/hになるように 定したこと以外は実施例1と同様に運転を実 施した。この状態で連続運転したところ、30 後にフィルターを交換する基準となる差圧 達した。

(比較例1)
 実施例1において、フィルターを目開き1μm ものを1基だけ用いたこと以外他は実施例1と 同様に運転を実施した。2週間でフィルター 交換する基準となる差圧まで達したため、 ィルターの交換を実施しなければならなか た。

 以上、本実施の形態において詳述した芳 族ポリカーボネートの製造方法によれば、 料を濾過するフィルターの交換頻度を低減 ることができる。その結果、フィルター交 の際の危険度やフィルター交換に伴う運転 停止頻度を低減でき、異物の少ない芳香族 リカーボネートを安定的に得ることができ という優れた効果が奏される。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2007年3月29日出願の日本特許出願 (特願2007-087536)に基づくものであり、その内 はここに参照として取り込まれる。

 本発明によれば、芳香族ポリカーボネー の製造において、原料を濾過するフィルタ の交換頻度を低減することができる。よっ 、本発明の工業的価値は顕著である。