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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING CONTACT MEMBER, CONTACT MEMBER, AND SWITCH
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041246
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for contact member production in which not only an electrical contact material produced by powder metallurgy and containing a heat-resistant substance can be prevented from deforming or destroying when bonded to a base made of copper by spot brazing, but the base can be prevented from decreasing in mechanical strength through the bonding of the electrical contact material. Also provided are: a contact member obtained by the process; and a switch employing the contact member. An electrical contact material (2) comprising 0.1-60 mass% at least one material selected from the group consisting of tungsten, molybdenum, tungsten carbide, molybdenum carbide, and graphite and 40-99.9 mass% at least one material selected from the group consisting of silver and copper is bonded to a base (3) comprising at least 99 mass% copper by spot brazing with an electrode having a thermal conductivity of 210 W/mK or higher so that the base (3) after the bonding has a Rockwell hardness of 50 HRF or higher.

Inventors:
GOMA NORIHITO (JP)
SUZUKI YASUHIKO (JP)
HATAKEYAMA TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066039
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ALMT CORP (JP)
GOMA NORIHITO (JP)
SUZUKI YASUHIKO (JP)
HATAKEYAMA TAKASHI (JP)
International Classes:
H01H11/06; C22C5/06; C22C9/00; C22C32/00; H01H73/04; B23K35/30; H01H1/021; H01H1/023; H01H1/025
Foreign References:
JPS6383242A1988-04-13
JPH06103847A1994-04-15
JP2000334573A2000-12-05
JPH10233135A1998-09-02
JP2003288831A2003-10-10
JPS63276835A1988-11-15
JPH03201324A1991-09-03
JP2002144047A2002-05-21
JPH11257390A1999-09-21
Other References:
JIS Z 2245 ROCKWELL KATASA SHIKEN-SHIKEN HOHO, ZAIDAN HOJIN JAPANESE STANDARDS ASSOCIATION, 20 February 2005 (2005-02-20), pages 2 - 4
Attorney, Agent or Firm:
KODA, Kazuyuki (Yao-minami Garden Terrace84-2, Wakabayashi-cho 1-chom, Yao-shi Osaka 38, JP)
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Claims:
 タングステン、モリブデン、炭化タングステン、炭化モリブデンおよびグラファイトからなる群より選ばれた少なくとも1種類の材料を0.1質量%以上60質量%以下、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種類の材料を40質量%以上99.9質量%以下、含む電気接点材(2)を準備する工程と、
 銅を99質量%以上含む基材(3)を準備する工程と、
 接合後において温度25℃、試験荷重588Nの条件で測定された前記基材(3)のロックウェル硬さが50HRF以上になるように、熱伝導度が210W/mK以上の電極(51、52)を用いたスポットろう付け法によって前記電気接点材(2)と前記基材(3)とを接合する工程と、
を備えた、接点部材(1)の製造方法。
 前記基材(3)の体積が、300m 3 以上4000m 3 以下である、請求項1に記載の接点部材(1)の製造方法。
 タングステン、モリブデン、炭化タングステン、炭化モリブデンおよびグラファイトからなる群より選ばれた少なくとも1種類の材料を0.1質量%以上60質量%以下、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種類の材料を40質量%以上99.9質量%以下、含む電気接点材(2)と、
 銅を99質量%以上含む基材(3)と、
 前記電気接点材(2)と前記基材(3)との間に配置され、前記電気接点材(2)と前記基材(3)とを接合するろう材(4)とを備え、
 温度25℃、試験荷重588Nの条件で測定された前記基材(3)のロックウェル硬さが50HRF以上である、接点部材(1)。
 前記ろう材(4)の液相線温度が、620℃以上である、請求項3に記載の接点部材(1)。
 前記基材(3)の体積が、300m 3 以上4000m 3 以下である、請求項3に記載の接点部材(1)。
 接点部材(1)を備えた開閉器(10)であって、
 前記接点部材(1)が、
 タングステン、モリブデン、炭化タングステン、炭化モリブデンおよびグラファイトからなる群より選ばれた少なくとも1種類の材料を0.1質量%以上60質量%以下、銀および銅からなる群より選ばれた少なくとも1種類の材料を40質量%以上99.9質量%以下、含む電気接点材(2)と、
 銅を99質量%以上含む基材(3)と、
 前記電気接点材(2)と前記基材(3)との間に配置され、前記電気接点材(2)と前記基材(3)とを接合するろう材(4)とを含み、
 温度25℃、試験荷重588Nの条件で測定された前記基材(3)のロックウェル硬さが50HRF以上である、開閉器(10)。
 固定側接点部材(30)と、
 前記固定側接点部材(30)に接触することができるように、または、前記固定側接点部材(30)から離隔することができるように、移動可能に配置された可動側接点部材(20)とを備え、
 前記接点部材(1)が前記可動側接点部材(20)である、請求項6に記載の開閉器(10)。
 前記基材(3)の体積が、300m 3 以上4000m 3 以下である、請求項6に記載の開閉器(10)。
 前記接点部材(1)に印加される定格電流値が、30A以上200A以下である、請求項6に記載の開閉器(10)。
Description:
接点部材の製造方法、接点部材 よび開閉器

 この発明は、一般的には接合部材の製造 法、接合部材および開閉器に関し、特定的 は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、炭化 タングステン(WC)、炭化モリブデン(MoC)、グラ ファイト(Gr)などの耐熱性物質を含有する材 からなる接点部材の製造方法、上記の材料 らなる接点部材、その接点部材を備えた開 器に関するものである。

 従来から、タングステン(W)、モリブデン( Mo)、炭化タングステン(WC)、炭化モリブデン(M oC)、グラファイト(Gr)などの耐熱性物質を含 する材料として、銀-タングステン(Ag-W)系、 -炭化タングステン(Ag-WC)系、銀-モリブデン( Ag-Mo)系、銅-タングステン(Cu-W)系、銀-グラフ イト(Ag-Gr)などの材料からなる電気接点材は 、耐アーク性、耐溶着性および耐摩耗性に優 れているので、定格電流値が200Aを超える大 の遮断器(ブレーカ)などに広く用いられてい る。上記の耐熱性物質は、AgまたはCuとの間 は濡れ性が悪いために、このような電気接 材は、溶解法ではなく、粉末冶金法により 造される。

 一方、定格電流値が30A~200Aの中型のブレ カでは、Agと、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)また インジウム(In)の酸化物とを含有する材料か らなる電気接点材が用いられ、特にAg-(Cdの酸 化物)系の材料からなる電気接点材が用いら ている。このような電気接点材は、溶解法 より製造される。

 ところが、最近、Cdは環境汚染問題を引 起こすため、中型のブレーカ用電気接点材 して、Cdを含まない材料が望まれている。そ こで、粉末冶金法により製造される上記の銀 -タングステン(Ag-W)系などの材料を中型のブ ーカ用電気接点材として用いることが検討 れている。

 しかしながら、粉末冶金法により製造さ る銀-タングステン(Ag-W)系などの材料からな る電気接点材は、溶解法により製造されるAg- (Cdの酸化物)系の材料からなる電気接点材に べて、高温条件下で機械的強度が低く、電 伝導度も低いという問題がある。

 一般的に電気接点材は、ろう付けによっ 基材(台金)に接合されてブレーカに組み込 れる。すなわち、ブレーカに組み込まれる 点部材は、電気接点材と、台金と、電気接 材と台金とを接合するろう材とから構成さ る。

 電気接点材と台金とを接合して接点部材 製造する際には、電気接点材の接合後に台 の機械的強度が低下しないことが求められ 。電気接点材の接合後に台金の機械的強度 低下すると、その接点部材を含むブレーカ 電流遮断時などの使用時において、台金に きな力が働く場合に台金が変形するおそれ ある。特に、中型のブレーカ用接点部材で 、台金が相対的に小さいので、ブレーカの 用時に台金の変形が起こりやすい。このた 、中型のブレーカ用接点部材では、ブレー の使用時における台金の変形をより効果的 防止するために電気接点材の接合後に台金 機械的強度が低下しないことが特に求めら る。

 そこで、電気接点材の接合後に台金の機 的強度が低下しないようにするために、従 から、中型のブレーカ用接点部材を製造す ために、台金と、溶解法により製造される 気接点材とをろう付けによって接合する場 、スポットろう付け法が採用されている。 こで、スポットろう付け法とは、接合され 二つの部材(ここでは台金と電気接点材)の にろう材を介在させて、二つの電極で二つ 部材を挟んで加圧しながら、電極間に大電 を短時間(瞬時)流すことによって生じる接触 部の電気抵抗による発熱を利用して、ろう材 を溶融させることによって二つの部材を接合 する方法をいう。

 しかし、台金と、粉末冶金法により製造 れる銀-タングステン(Ag-W)系などの材料から なる電気接点材とをスポットろう付け法によ って接合すると、接触部の電気抵抗による発 熱が生じるだけでなく、上述したように電気 接点材の電気伝導度が低いために、すなわち 、電気接点材の電気抵抗が高いために、電気 接点材を流れる電流により電気接点材自体も 発熱する。この発熱により、電気接点材の温 度が過度に上昇して、上述したように高温条 件下で電気接点材の機械的強度が低いために 、電気接点材の硬度が低下する。その結果、 スポットろう付け法において電気接点材に圧 力が加えられることにより、電気接点材が変 形し、または破壊するおそれがある。

 そこで、たとえば、特開昭58-11753号公報( 下、特許文献1という)と特開昭58-11754号公報 (以下、特許文献2という)に記載されているよ うに、抵抗ろう付け法によって、Ag-WC系、Ag-M oC系、Ag-TiC系の材料からなる電気接点材を台 に接合することが記載されている。ここで 抵抗ろう付け法とは、接合される二つの部 (ここでは台金と電気接点材)の間にろう材 介在させて、数秒間~1分間通電して加熱され た二つのカーボン電極で二つの部材を挟んで 、二つのカーボン電極から二つの部材への熱 伝導を利用して、ろう材を溶融させることに よって二つの部材を接合する方法をいう。

 また、たとえば、特開昭59-160923号公報(以下 、特許文献3という)に記載されているように 炉中接合ろう付け法によって、Ag-WC系の材 からなる電気接点材を台金に接合すること 記載されている。ここで、炉中接合ろう付 法とは、接合される二つの部材(ここでは台 と電気接点材)の間にろう材を介在させて、 台金、電気接点材およびろう材を加熱炉内に 配置して、ろう材を溶融させることによって 二つの部材を接合する方法をいう。

特開昭58-11753号公報

特開昭58-11754号公報

特開昭59-160923号公報

 しかしながら、特許文献1と特許文献2で 、通電して加熱された二つのカーボン電極 、電気接点材、ろう材および台金を挟み込 で加熱することによってろう材を溶融させ 接合する抵抗ろう付け法により、電気接点 と台金とを接合しているために、ろう付け に台金もろう付け温度に加熱される。この 合、台金がCuからなる場合には、Cuの再結晶 が進行するために台金自体が焼き戻されて 金の硬度が低下する。これにより、電気接 材の接合後に台金の機械的強度が低下する いう問題がある。

 また、特許文献3では、電気接点材、ろう 材および台金の全体を加熱炉内で接合する炉 中接合ろう付け法により、電気接点材と台金 とを接合しているために、加熱炉内で台金自 体がろう付け温度に加熱される。その結果、 、特許文献1と特許文献2に記載された抵抗ろ 付け法と同様に、台金がCuからなる場合に 、Cuの再結晶化が進行するために台金自体が 焼き戻されて台金の硬度が低下する。これに より、電気接点材の接合後に台金の機械的強 度が低下するという問題がある。

 以上のように、抵抗ろう付け法または炉 接合ろう付け法により、銅からなる台金と 粉末冶金法により製造される銀-タングステ ン(Ag-W)系などの材料からなる電気接点材とを 接合すると、電気接点材の接合後に台金の機 械的強度が低下するという問題がある。いい かえれば、抵抗ろう付け法と炉中接合ろう付 け法は、上述したように台金が相対的に小さ い中型のブレーカ用接点部材に要求される特 性、すなわち、ブレーカの使用時における台 金の変形を防止するために電気接点材の接合 後に台金の機械的強度が低下しないこと、を 満足することができない。

 したがって、上述したように、台金と、 末冶金法により製造されるAg-W系などの材料 からなる電気接点材とを接合する方法として 、接合後に台金の機械的強度が低下しないス ポットろう付け方法を採用し、スポットろう 付け法によって接合する際に引き起こされる 一つの問題を解決すること、すなわち、電気 接点材の変形または破壊を防止することが求 められる。

 そこで、この発明の目的は、粉末冶金法 より製造された耐熱性物質を含有する電気 点材を銅からなる基材(台金)にスポットろ 付け法によって接合する際に引き起こされ 電気接点材の変形または破壊を防止するこ ができるとともに、電気接点材の接合後に 金の機械的強度が低下しないようにするこ が可能な接点部材の製造方法、その製造方 によって得られた接点部材、および、その 点部材を備えた開閉器を提供することであ 。

 この発明に従った接点部材の製造方法は 次の工程を備える。

 (a)タングステン、モリブデン、炭化タン ステン、炭化モリブデンおよびグラファイ からなる群より選ばれた少なくとも1種類の 材料を0.1質量%以上60質量%以下、銀および銅 らなる群より選ばれた少なくとも1種類の材 を40質量%以上99.9質量%以下、含む電気接点 を準備する工程。

 (b)銅を99質量%以上含む基材を準備する工 。

 (c)接合後において温度25℃、試験荷重588N 条件で測定された基材のロックウェル硬さ 50HRF以上になるように、熱伝導度が210W/mK以 の電極を用いたスポットろう付け法によっ 電気接点材と基材とを接合する工程。

 この発明の製造方法においては、スポッ ろう付け法によって電気接点部材と基材と 接合する際に、熱伝導度が210W/mK以上の電極 を用いることによって、ろう材とその近傍で 発生する熱を、電気接点材や基材を通じてス ポットろう付け装置の電極側に容易に放散さ せることができる。これにより、接合時にお ける電気接点材と基材の温度上昇を適切に抑 制することができるので、接合時の温度上昇 に起因して電気接点材が変形または破壊する のを防止することができる。

 また、この発明の製造方法においては、 気接点材が変形または破壊することを防止 ることができるので、スポットろう付け方 の本来の利点を活かすことができ、すなわ 、電気接点材の接合後に基材の機械的強度 低下しないようにすることが可能となる。

 さらに、この発明の製造方法においては 電気接点材の接合後において温度25℃、試 荷重588Nの条件で測定された基材のロックウ ル硬さが50HRF以上になるように制御されて る。このようにして得られた接点部材を用 て開閉器を構成すると、開閉器の電流遮断 などの使用時において基材に大きな力が働 場合に基材が変形するのを抑制することが きる。したがって、本発明の製造方法によ て得られた接点部材を用いることにより、 閉動作の信頼性を向上させることが可能な 閉器を得ることができる。

 この発明の接点部材の製造方法において、 材の体積が、300m 3 以上4000m 3 以下であることが好ましい。

 基材の体積を上記の範囲に限定することに り、スポットろう付け法によって電気接点 材と基材とを接合する際に、ろう材とその 傍で発生する熱を、基材を通じて外部に効 的に放散させることができる。なお、基材 体積が300m 3 未満では、基材の熱容量が小さくなるので、 接合時にろう材とその近傍で発生する熱が基 材を過度に加熱することにより、基材が焼き 戻されて、基材の硬度が低下し、機械的強度 が低下するおそれがある。また、基材の体積 が4000m 3 を超える場合には、基材の熱容量が大きくな るので、接合時にろう材とその近傍で発生す る熱を基材が過度に吸収することにより、ろ う材が適切に溶融せず、接合不良を引き起こ すおそれがある。

 なお、従来の抵抗ろう付け法や炉中接合 う付け法では、スポットろう付け法に比べ 接合時間が長いため、基材が高温雰囲気に される。そのため、たとえ、還元雰囲気中 接合が行われたとしても、その雰囲気中に 存する酸素で基材の表面が酸化する等によ てスス状の物質で基材の表面が覆われてし う。そこで、従来の抵抗ろう付け法や炉中 合ろう付け法で作製された接点部材では、 合後に酸または水で接点部材の表面を洗浄 て、基材の表面上に形成されたスス状の物 を除去する工程が必要となる。しかし、洗 後にベーキング等によって接点部材の表面 乾燥させても、酸素が電気接点材の内部に 留する。

 これに対して、本発明の製造方法で採用 れるスポットろう付け法では、瞬間的に接 が完了するので、上記のようなスス状の物 が基材の表面に付着する量が少ない。この め、得られた接点部材の表面を洗浄する必 がない。したがって、電気接点材の内部に 留する酸素量を低減することができる。こ により、本発明の接点部材を用いて開閉器 構成すると、開閉器の電流遮断時などの使 時において生じるアークの熱で、電気接点 の内部に残留する酸素が気化する量を低減 ることができる。その結果、電気接点材の 部に残留する酸素が気化する際に、爆発し ように電気接点材が消耗する現象を抑制す ことができる。すなわち、本発明の接点部 を用いて開閉器を構成すると、開閉器の電 遮断時などの繰り返し使用することによっ 電気接点材が消耗する割合を低減すること できる。これにより、接点部材の寿命を向 させることができる。

 以上のようにこの発明の製造方法によれ 、電気接点材が変形または破壊することを 制することができるので、スポットろう付 方法の本来の利点を活かすことができ、す わち、電気接点材の接合後に基材が焼き戻 れてしまうのを抑制することができ、電気 点材の接合後に基材の機械的強度が低下し いようにすることが可能となる。その結果 基材と電気接点部材がろう付け接合される とによって形成された接点部材において、 材の機械的強度の低下が限定された範囲内 抑制されたものを得ることができる。すな ち、本発明の接点部材は、以下の特徴を備 ている。

 この発明に従った接点部材は、電気接点 と、基材と、電気接点材と基材との間に配 され、電気接点材と基材とを接合するろう とを備える。電気接点材は、タングステン モリブデン、炭化タングステン、炭化モリ デンおよびグラファイトからなる群より選 れた少なくとも1種類の材料を0.1質量%以上60 質量%以下、銀および銅からなる群より選ば た少なくとも1種類の材料を40質量%以上99.9質 量%以下、含む。基材は、銅を99質量%以上含 。ろう材は、電気接点材と基材との間に配 され、電気接点材と基材とを接合する。温 25℃、試験荷重588Nの条件で測定された基材 ロックウェル硬さが50HRF以上である。

 この発明の接点部材においては、温度25 、試験荷重588Nの条件で測定された基材のロ クウェル硬さが50HRF以上であるので、本発 の接点部材を用いて開閉器を構成すると、 閉器の電流遮断時などの使用時において基 に大きな力が働く場合に基材が変形するの 抑制することができる。したがって、本発 の接点部材を用いることにより、開閉動作 信頼性を向上させることが可能な開閉器を ることができる。

 この発明の接点部材において、ろう材の 相線温度が、620℃以上であることが好まし 。

 接点部材において基材と電気接点材とを 合するろう材の液相線温度が620℃以上であ ので、本発明の接点部材を用いて開閉器を 成すると、開閉器の作動時に電気接点材の 度が上昇した場合に電気接点材が基材から がれ落ちるのを抑制することができる。

 また、この発明の接点部材において、基材 体積が、300m 3 以上4000m 3 以下であることが好ましい。

 基材の体積を上記の範囲に限定すること より、本発明の接点部材を定格電流値が30A 上200A以下の中型の開閉器に容易に適用する ことができる。

 この発明に従った開閉器は、接点部材を えた開閉器であって、接点部材は、電気接 材と、基材と、電気接点材と基材との間に 置され、電気接点材と基材とを接合するろ 材とを備える。電気接点材は、タングステ 、モリブデン、炭化タングステン、炭化モ ブデンおよびグラファイトからなる群より ばれた少なくとも1種類の材料を0.1質量%以 60質量%以下、銀および銅からなる群より選 れた少なくとも1種類の材料を40質量%以上99.9 質量%以下、含む。基材は、銅を99質量%以上 む。ろう材は、電気接点材と基材との間に 置され、電気接点材と基材とを接合する。 度25℃、試験荷重588Nの条件で測定された基 のロックウェル硬さが50HRF以上である。

 この発明の開閉器においては、温度25℃ 試験荷重588Nの条件で測定された基材のロッ ウェル硬さが50HRF以上であるので、開閉器 電流遮断時などの使用時において基材に大 な力が働く場合に基材が変形するのを抑制 ることができる。したがって、開閉動作の 頼性を向上させることが可能な開閉器を得 ことができる。

 この発明の開閉器は、固定側接点部材と この固定側接点部材に接触することができ ように、または、この固定側接点部材から 隔することができるように、移動可能に配 された可動側接点部材とを備え、上記の接 部材が可動側接点部材であることが好まし 。

 この場合、上述した特徴を備えた本発明 接点部材を少なくとも可動側接点部材に用 ることにより、開閉器の電流遮断時などの 用時において可動側接点部材に大きな力が く場合に、少なくとも可動側接点部材を構 する基材が変形するのを抑制することがで る。したがって、開閉器の信頼性を効果的 高めることができる。

 また、この発明の開閉器において、基材の 積が、300m 3 以上4000m 3 以下であることが好ましい。

 基材の体積を上記の範囲に限定すること より、本発明の開閉器を定格電流値が30A以 200A以下で基材が相対的に小さい中型の開閉 器として容易に構成することができる。

 さらに、この発明の開閉器において、接 部材に印加される定格電流値が、30A以上200A 以下であることが好ましい。

 中型の開閉器用接点部材においては、基 が相対的に小さいので、開閉器の電流遮断 などの使用時において基材に大きな力が働 場合に基材が変形しやすいという側面があ 。このため、中型の開閉器では、開閉器の 用時における基材の変形をより効果的に防 することが特に求められる。

 これに対して、上述したように本発明の 閉器では、温度25℃、試験荷重588Nの条件で 定された基材のロックウェル硬さが50HRF以 であるので、開閉器の電流遮断時などの使 時において基材に大きな力が働く場合に基 が変形するのを抑制することができる。

 したがって、本発明の開閉器を、定格電 値が30A以上200A以下である中型の開閉器に適 用することによって、本発明の開閉器によっ て達成される作用効果を中型の開閉器の要求 特性に容易に調和させることができる。

 以上のようにこの発明によれば、要約す ば、粉末冶金法により製造された耐熱性物 を含有する電気接点材を銅からなる基材に ポットろう付け法によって接合する際に引 起こされる電気接点材の変形または破壊を 止することができるとともに、電気接点材 接合後に台金の機械的強度が低下しないよ にすることが可能となるので、本発明の接 部材を用いて開閉器を構成すると、開閉器 電流遮断時などの使用時において基材に大 な力が働く場合に基材が変形するのを抑制 ることができる。したがって、本発明の製 方法によって得られた接点部材、本発明の 点部材を用いることにより、開閉動作の信 性を向上させることが可能な開閉器を得る とができる。特に、本発明の開閉器を、定 電流値が30A以上200A以下である中型の開閉器 に適用することによって、本発明の開閉器に よって達成される上記の作用効果を中型の開 閉器の要求特性に容易に調和させることがで きる。

この発明の一つの実施形態としての接 部材の概略的な構成を示す斜視図である。 図1に示す接点部材の構成を分解して示 す斜視図である。 図1に示す接点部材が適用される本発明 の一つの実施の形態としてのブレーカの概略 的な構造を示す斜視図である。 図3に示すブレーカを構成する固定側接 点部材の概略的な構造を示す斜視図である。 図3に示すブレーカを構成する固定側接 点部材と可動側接点部材の閉状態における配 置関係を示す側面図である。 図3に示すブレーカを構成する固定側接 点部材と可動側接点部材の開状態における配 置関係を示す側面図である。 この発明の一つの実施形態としての接 部材の製造方法で用いられるスポットろう け装置の概略的な構成を示す図である。 図3に示すブレーカの短絡遮断試験にお いて台金に変形が生じているときの固定側接 点部材と可動側接点部材の開状態における配 置関係を示す側面図である。 本発明の実施例と比較例の接点部材に いて電気接点材の接合後に測定された台金 硬度測定箇所を説明するための側面図であ 。 本発明の実施例と比較例の接点部材に おいて電気接点材の接合後に測定された台金 の硬度分布を示す図である。

符号の説明

 1:接点部材、2,21,31:電気接点材、3,22,32:台 、4:ろう材、10:ブレーカ、20:可動側接点部 、30:固定側接点部材、50:スポットろう付け 置、51:台金側電極、52:接点側電極。

 以下、本発明の一つの実施形態を図面に づいて説明する。

 図1は、この発明の一つの実施形態として の接点部材の概略的な構成を示す斜視図であ る。図2は、図1に示す接点部材の構成を分解 て示す斜視図である。図3~図6は、図1に示す 接点部材が適用される本発明の一つの実施の 形態としてのブレーカの構造を説明するため の図である。

 まず、図1~図6を参照して、本発明の一つ 実施形態による接点部材1について説明する 。

 図1に示すように、本発明の一実施形態に よる接点部材1は、電気接点材2と、基材とし の台金3とを備えている。また、図2に示す うに、電気接点材2と台金3とは、台金3側に 体的に形成された接点接合台座部3bの上面を 接合面として、ろう材4を介在して互いに接 されている。

 (電気接点材2について)
 ここで、本実施形態では、電気接点材2は、 耐熱性金属であるタングステン(W)とモリブデ ン(Mo)、耐熱性非酸化物である炭化タングス ン(WC)と炭化モリブデン(MoC)、および、グラ ァイト(Gr)からなる耐熱性物質の群より選ば た少なくとも1種類の材料を0.1質量%以上60質 量%以下の範囲(より好ましくは、5質量%以上50 質量%以下)で含むとともに、銀(Ag)および銅(Cu )からなる群より選ばれた少なくとも1種類の 料を40質量%以上99.9質量%以下の範囲(より好 しくは、50質量%以上95質量%以下)で含む、Ag- W系、Ag-WC系、Ag-WC-Gr系、Ag-Gr系およびCu-Mo系な どの合金であり、上記の耐熱性物質とAgまた Cuとの濡れ性が悪いために、溶解法ではな 粉末冶金法によって形成される。なお、こ 電気接点材2は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバ ト(Co)およびクロム(Cr)などからなる群より選 ばれた少なくとも1種類の添加元素を0質量%を 超え、30質量%以下の範囲で含んでいてもよい 。このような電気接点材2は、粉末冶金法に って形成されるために、高温での硬度が低 (JIS規格(JIS Z2252)に準拠して温度500℃、試験 重490N(50kgf)の条件で測定されたビッカース さが5HV以上40HV未満)、かつ、高温での電気伝 導度も低い(温度500℃での電気伝導度が5%IACS 上20%IACS未満)性質を有している。ここで、電 気伝導度が5%IACSとは、IACS(国際焼き戻し銅線 準)という名の標準焼き戻し銅線の電気伝導 度を100%とした場合に、導体としての電気接 材2の電気伝導度が5%であることをいう。こ ような電気接点材2の製造方法としては、所 の組成になるように原料粉末をヘンシェル キサー等で混合し、98~980MPaの圧力でプレス 形した後、得られた成形体を水素、窒素ま は真空のいずれかの雰囲気中にて温度850~950 ℃で1~3時間、焼結することによって作製する ことが好ましい。

 また、図2に示すように、板状の電気接点材 2は、後述する開閉器の一例であるブレーカ10 (図3参照)に組み込んで電気接点としての機能 を発揮させることを考慮した場合、縦横方法 (矢印A方向および矢印B方向)にそれぞれ3mm以 30mm以下の長さを有し、高さ方向(矢印C方向) 0.5mm以上4mm以下の厚みを有するように形成 れている。電気接点材2は、台金3側(厳密に 接点接合台座部3b)との接合強度を確保する めに、接合面2aが6mm 2 以上1000mm 2 以下の面積を有する。本実施形態では、電気 接点材2の接合面2aや側面2bには、ろう材4との 接合性を向上させるために、0.5μm以上10μm以 の厚みを有する銀メッキまたはニッケルメ キなどによる表面処理(図示せず)が施され いる。

 (台金3について)
 図2に示すように、台金3は、基体部3aと上述 の接点接合台座部3bとが一体になるようにプ ス加工により形成されている。台金3の基体 部3aには、3mmの内径を有する軸孔3cが設けら ている。これにより、接点部材1は、後述す ブレーカ10(図3参照)内において、軸孔3cに挿 入された回動軸(図示せず)を中心として上下 向に回動可能に構成されている。また、台 3は、Cuを99質量%以上(より好ましくは、99.99 量%以上100質量%以下)含む材料から形成され いる。具体的には、純銅、無酸素銅、JIS規 (JIS H3100)に規定されたC1020およびC1100などが 用いられる。このような台金3は、ろう材4に る接合前の硬度が高い必要があり、冷間圧 で冷間加工度が5%以上60%以下であるのが望 しい。より具体的には、ろう材4による接合 の台金3の硬度が、JIS規格(JIS Z2245)に準拠し て、温度25℃、試験荷重588N(60kgf)の条件で測 されたロックウェル硬さとして80HRF以上であ り、好ましくは85HRF以上である。

 本実施形態の接点部材1では、ろう材4に る接合後の台金3(基体部3a)の位置P(図1参照) の硬度が、JIS規格(JIS Z2245)に準拠して、温 25℃、試験荷重588N(60kgf)の条件で測定された ックウェル硬さとして50HRF以上(好ましくは6 5HRF以上)であるように形成されている。この 金3の硬度はより高い方がよいが、その上限 は、Cuを99質量%以上含む台金の場合では95HRF 度、Cuを99.9質量%以上含む台金の場合は90HRF 度である。なお、位置Pは、電気接点材2が接 合された側の台金3の端縁から軸孔3cまでの距 離Lの略中間の位置である。

 本実施形態では、ろう材4を介して電気接点 材2を台金3に接合する際に、ろう材4およびそ の近傍で発生する熱を、台金3を通じて外部( とえば、スポットろう付け装置の電極など) に適度に放散させることを考慮して、台金3 、300mm 3 以上4000mm 3 以下の体積(基体部3aを含む)を有するように 成されている。なお、台金3の体積が300mm 3 未満の場合には、台金3の熱容量が小さくな 、接合時の熱が台金3を過度に加熱すること より台金3が焼き戻されて、台金3の硬度が 下し、機械的強度が低下するおそれがある 台金3の体積が4000mm 3 を超える場合には、台金3の熱容量が大きく り、接合時にろう材4およびその近傍で発生 る熱を台金3が過度に吸収することにより、 ろう材4が適切に溶融せず、その結果、接合 良を引き起こすおそれがある。

 図2に示すように、台金3は、後述するブ ーカ10(図3参照)に組み込んで、電気接点材2 接合されて接点部材1としての機能を発揮さ ることを考量して、基体部3aが幅方向(矢印B 方向)に2mm以上20mm以下の長さを有するととも 、長手方向(矢印A方向)に3mm以上100mm以下の さを有するように形成されている。基体部3a は、高さ方向(矢印C方向)に0.5mm以上30mm以下の 厚みを有する。台金3の接点接合台座部3bの上 面上には、ろう材4との接合性を向上させる めに、0.5μm以上10μm以下の厚みを有する銀メ ッキまたはニッケルメッキなどによる表面処 理が施されていてもよい。

 (ろう材4について)
 本実施形態では、電気接点材2と台金3とは 液相線温度が620℃以上であるろう材4(図2参 )を用いて接合されている。具体的には、ろ 材4としては、100質量%Ag(純銀)、100質量%Cu(純 銅)、Agと4質量%以上100質量%未満のCuとからな 合金などが挙げられる。このろう材4には、 リン(P)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ニッケル( Ni)、スズ(Sn)、インジウム(In)およびリチウム( Li)などからなる群より選ばれた少なくとも1 類の添加元素が、0質量%以上30質量%以下の範 囲で含まれていてもよい。特に、良好な接合 性能を得るために、溶け性や流れ性の良好な ろう材として、JIS規格(JIS Z3264)に示されたBCu P-1~5のリン銅ろう、JIS規格(JIS Z3262)に示され BAg-1~8の銀ろう等を用いるのが好ましい。ま た、ろう材4の液相線温度の上限は960℃であ のが望ましい。ろう材4の液相線温度が960℃ 超えると、ろう付け時に電気接点材2および 台金3の構成材料であるAgやCuがろう材4よりも 早く溶融してしまう。

 図2に示すように、接合前にろう材4は、 気接点材2の接合面2aの縦横寸法(3mm以上30mm以 下)よりも1mmずつ小さな縦横寸法(2mm以上29mm以 下)を有し、かつ、0.05mm以上0.1mm以下の厚みを 有している。これにより、図1に示すように ろう材4が電気接点材2の接合面2a(図2参照)と 金3の接点接合台座部3bとの間で好適に溶融 るとともに、その一部が台金3の矢印A方向 側面3dまで滲みだしてフィレット形状(山の 野のような形状)に形成されるので、電気接 材2と台金3との接合性がより良好となる。 お、ろう材4の寸法が上記の寸法よりも大き 場合は、接合時にろう材4が台金3側に過剰 はみ出す場合があるとともに、ろう材4の寸 が上記の寸法よりも小さい場合は、ろう材4 が不足するので所定の接合強度を確保するこ とができない場合がある。

 (ブレーカ10について)
 接点部材1は、図3に示すようなブレーカ10に 組み込まれることによって、電気配線上の電 流路の開閉状態を切り換えるための接点を構 成する機能部品(スイッチ)として用いられて る。なお、本実施形態では、開閉器の一例 あるブレーカ10に本発明の接点部材1を適用 た場合について以下に説明する。

 本実施形態では、図5と図6に示すように ブレーカ10(図3参照)は、固定側接点部材30(電 気接点材31と台金32との接合体)と、固定側接 部材30に接触することができるように、ま は、固定側接点部材30から離隔することがで きるように、繰り返して移動可能に配置され た可動側接点部材20(電気接点材21と台金22と 接合体)とを備えている。そして、本実施形 による接点部材1(図1参照)は、図5と図6に示 ように、ブレーカ10の可動側接点部材20に使 用されている。なお、可動側接点部材20は、 発明に従った開閉器における「接点部材」 一例である。

 図4に示すように、固定側接点部材30にお ても、電気接点材31と台金32とが、台金32側 一体的に形成された接合部32aの上面を接合 として、ろう材4を介して互いに接合されて いる。このようにして、可動側接点部材20と 定側接点部材30が構成されているので、図5 示すように固定側接点部材30の電気接点材31 に対して可動側接点部材20の電気接点材21が 触した状態(閉状態)から、ブレーカ10の許容 流値を超える電流が所定時間流れた場合に 内蔵された接点引き外し装置(図示せず)が 動することによって、図6に示すように可動 接点部材20の電気接点材21が固定側接点部材 30の電気接点材31から矢印Q方向に瞬時に引き された状態に移行して、電流を遮断するよ に構成されている。なお、図5と図6に示す うに、固定側接点部材30のうち、電気接点材 31が設けられていない台金32の端部側が、ブ ーカ10の1次側(電源側)端子11(図3参照)に接続 れているとともに、可動側接点部材20のう 、電気接点材21が設けられていない台金22の 部は、ブレーカ10の2次側(負荷側)端子12(図3 照)に接続されている。

 本実施形態ではブレーカ10の1次側(電源側 )端子11に印加される電流値が、一般的に中型 クラスの容量を有する30A以上200A以下である うに構成されている。

 図3に示すように、ブレーカ10は、合成樹 製の筐体13と、取っ手部14とを備えている。 取っ手部14は、筐体13の内部に設けられた接 引き外し装置(図示せず)に連動して回動して 位置が変化することにより、ブレーカ10の状 (正常またはトリップ状態など)を使用者に らせる役割を有するとともに、使用者が状 に応じて回路の再閉路(リセット)を行うこと が可能なように構成されている。

 (接点部材の製造方法について)
 図7は、この発明の一つの実施形態としての 接点部材の製造方法で用いられるスポットろ う付け装置の概略的な構成を示す図である。

 図1、図2および図7を参照して、本発明の つの実施形態による接点部材1の製造プロセ スについて説明する。

 まず、図2に示すように、接点部材1を構 する電気接点材2、ろう材4および台金3を下 からこの順に重ね合わせた上で、図7に示す うなスポットろう付け装置50にて上下に配 された台金側電極51と接点側電極52の間に挟 ようにしてセットする。そして、台金側電 51と接点側電極52の間に大電流を短時間(約0. 3秒)印加する。これにより、電気接点材2とろ う材4との接触部、および、台金3とろう材4と の接触部の電気抵抗に起因して、電気接点材 2と台金3が発熱するとともに、ろう材4が溶融 される。その結果、図1に示すように、電気 点材2と台金3とが、ろう材4を介して接合さ る。なお、台金側電極51と接点側電極52は、 れぞれ、本発明に従った接点部材の製造方 における「電極」の一例である。

 本実施形態では、スポットろう付け装置5 0において、210W/mK以上の熱伝導度を有する台 側電極51と接点側電極52を用いて、スポット ろう付け法によって接点部材1を作製する。 のとき、台金側電極51または接点側電極52の なくともいずれか一方が220W/mK以上の熱伝導 度を有するのが好ましい。これにより、ろう 付け時に、ろう材4がその溶融温度(下限値が6 20℃)に到達するまで、ろう材4およびその近 で局所的に発生していた熱が電気接点材2と 金3を通じて上下の台金側電極51と接点側電 52に速やかに伝達されるので、接合時にお る電気接点材2と台金3の過度の温度上昇を容 易に抑制することができる。したがって、接 合時の温度上昇に起因して、電気接点材2が 形または破壊することと、台金3が焼き戻さ て機械的強度が低下することが、ともに抑 される。

 なお、台金側電極51と接点側電極52には、 スポットろう付け時の電極自体の発熱を抑制 するために、電気伝導度が55%IACS以上の電極 料を用いるとともに、スポットろう付け時 加えられる圧力によって電極自体が変形し または破壊するのを抑制するために、温度25 ℃、試験荷重588Nの条件で測定されたロック ェル硬さが70HRB以上の電極材料を用いている 。このような条件を満たす電極材料として、 Cuを30質量%以上40質量%以下の範囲で含有するC u-Wの複合材料などが挙げられる。なお、Cu-W 複合材料におけるCuの含有量が30質量%未満の 場合には、電極の硬度が高くなる一方、熱伝 導度や電気伝導度が低下して上記の範囲を満 たさなくなるおそれがある。逆に、Cu-Wの複 材料におけるCuの含有量が40質量%を超える場 合には、電極の熱伝導や電気伝導度が高くな る一方、硬度が低下して上記の範囲を満たさ なくなるおそれがある。したがって、Cuの含 量が上記の範囲内のCu-Wの複合材料からなる 電極材料を台金側電極51と接点側電極52に使 するのが望ましい。

 また、本実施形態では、スポットろう付 装置50において、上下の台金側電極51と接点 側電極52が台金3、ろう材4および電気接点材2 挟み込む際に加えられる圧力(加圧力)を、 気接点材2の変形または破壊を抑制すること できる程度に低下させている。具体的には 加圧力を0.09MPa以上20MPa以下に設定している これにより、図1に示すように、接合後のろ う材4が、台金3または電気接点材2の複数の側 面に染み出てくるように調整されている。な お、上下の台金側電極51と接点側電極52によ 加圧力が20MPaを超える場合には、加圧力によ って電気接点材2が変形または破壊するおそ がある。加圧力が0.09MPa未満の場合には、溶 したろう材4が充分に流れずに接合不良を引 き起こすおそれがある。したがって、上記の 範囲内の加圧力によってスポットろう付け法 によるろう付けを行うのが望ましい。

 さらに、本実施形態では、上記のように ろう材4により接合された電気接点材2と台 3とを備えた接点部材1において、台金3(基体 3a)の位置P(図1参照)にて温度25℃、試験荷重5 88Nの条件で測定されたロックウェル硬さが50H RF以上になるように、スポットろう付け法に って電気接点材2と台金3とが接合される。 なわち、電気接点材2が変形または破壊する とを抑制することができるので、スポット う付け法の本来の利点を活かすことができ 電気接点材2の接合後に台金3の機械的強度 低下しないようにすることが可能になる。 れにより、接合された電気接点材2と台金3と を備えた接点部材1を用いてブレーカ10を構成 すると、ブレーカ10の電流遮断時などの使用 において、内蔵された接点引き外し装置の 動によって台金3に大きな力が働く場合に台 金3が変形するのを抑制することができる。 の結果、ブレーカ10の信頼性を向上させるこ とができる。

 さらにまた、本実施形態では、電気接点 2と台金3とを接合するろう材4の液相線温度 620℃以上であるので、ろう材4によって接合 された電気接点材2と台金3とを備えた接点部 1を用いてブレーカ10を構成すると、ブレー 10の作動時に電気接点材2の温度が上昇した 合に電気接点材2が台金3から剥がれ落ちる を抑制することができる。

 本実施形態では、電気接点材2の接合面2a 側面2bに、ろう材4による接合性を向上させ ために0.5μm以上10μm以下の厚みを有する銀 ッキまたはニッケルメッキなどによる表面 理を施すように構成することによって、電 接点材2と台金3とを容易に接合することがで きる。

 本実施形態では、台金3の体積を300m 3 以上4000m 3 以下の範囲に設定することによって、ろう材 4を介して電気接点材2を台金3に接合する際に 、620℃以上の接合温度によって、ろう材4お びその近傍で発生する熱を、電気接点材2側 ら台金3を通じて、スポットろう付け装置50 上側の台金側電極51に効果的に放散させる とができる。また、台金3の体積を上記の範 に限定することにより、接点部材1を定格電 流値が30A以上200A以下の中型の開閉器(ブレー )に適用することができる。したがって、耐 アーク性、耐溶着性、耐摩耗性に優れ、信頼 性の高い中型のブレーカを実現することがで きる。特に、本実施形態によれば、Cdを含ま いCdフリーの材料で構成された中型のブレ カを実現することができる。

 なお、従来の抵抗ろう付け法や炉中接合 う付け法では、スポットろう付け法に比べ 接合時間が長いため、台金3が高温雰囲気に 曝される。そのため、たとえ、還元雰囲気中 で接合が行われたとしても、その雰囲気中に 残存する酸素で台金3の表面が酸化する等に ってスス状の物質で台金3の表面が覆われて まう。そこで、従来の抵抗ろう付け法や炉 接合ろう付け法で作製された接点部材1では 、接合後に酸または水で接点部材1の表面を 浄して、台金3の表面上に形成されたスス状 物質を除去する工程が必要となる。しかし 洗浄後にベーキング等によって接点部材1の 表面を乾燥させても、酸素が電気接点材2の 部に残留する。

 これに対して、本発明の製造方法で採用 れるスポットろう付け法では、瞬間的に接 が完了するので、上記のようなスス状の物 が台金3の表面に付着する量が少ない。この ため、得られた接点部材1の表面を酸または で洗浄する必要がない。したがって、電気 点材2の内部に残留する酸素量を低減するこ ができる。これにより、本発明の接点部材1 を用いてブレーカ10を構成すると、ブレーカ1 0の電流遮断時などの使用時において生じる ークの熱で、電気接点材2の内部に残留する 素が気化する量を低減することができる。 の結果、電気接点材2の内部に残留する酸素 が気化する際に、爆発したように電気接点材 2が消耗する現象を抑制することができる。 なわち、本発明の接点部材1を用いてブレー 10を構成すると、ブレーカ10の電流遮断時な どの繰り返し使用することによって電気接点 材2が消耗する割合を低減することができる これにより、接点部材1の寿命を向上させる とができる。

 特に、本発明の製造方法で採用されるス ットろう付け法では、電気接点材2の内部に 残留する酸素量として残留酸素濃度を500ppm以 下にすることができる。この残留酸素濃度は 低い方が好ましい。しかし、電気接点材2が 末冶金法によって形成されるので、残留酸 濃度の下限値は製造方法によって制約され 50ppm程度が限界である。

 また、粉末冶金法によって形成される電 接点材2の相対密度が80%以上93%以下であれば 、電気接点材2の消耗率を低減する効果が顕 に現れる。電気接点材2の相対密度が93%以下 あると、電気接点材2の表面が水と接触した 際に、水分が電気接点材2の内部に浸透し、 留酸素濃度が増大しやすい。しかし、本発 の製造方法で採用されるスポットろう付け では、得られた接点部材1の表面を酸または で洗浄する必要がないので、電気接点材2の 相対密度が93%以下の場合に、電気接点材2の 部に残留する酸素濃度が増大するのを抑制 ることができる。電気接点材2の相対密度が9 3%以上であっても、電気接点材2の消耗率を低 減する効果があるが、もともと電気接点材2 高密度で形成されており、水分が電気接点 2の内部に浸透し難いので、上記の効果は顕 ではない。なお、電気接点材2の相対密度が 80%未満であれば、電気接点材2の高温強度が 足するために電気接点材2としての本来の機 を発揮することができない。Grの含有量が1 量%以上10質量%以下である電気接点材2の場 、焼結工程において電気接点材2の内部に残 している酸素がGrと結合し、炭酸ガスにな ので、空孔が形成されやすいので、相対密 が80%以上93%以下の範囲内になることが多い この場合、電気接点材2の消耗率を低減する 果が顕著に現れる。

 以下、上述の実施形態の効果を確認する めに行った実施例と比較例とによる比較実 について以下に説明する。

 [実施例A]
 本実施例では、上述の実施形態に対応する 施例として、以下の実施例1~27による接点部 材を作製するとともに、従来例に対応する比 較例として、以下の比較例1~4による接点部材 を作製して、これらの接点部材の各々を組み 込んで構成されたブレーカの各々を用いて短 絡遮断試験を行った。

 本発明の実施例と比較例において作製さ た接点部材1を構成する電気接点材2と台金3 材質を以下の表1、表4および表5に示す。本 明の実施例と比較例において採用された接 方法を表1に示す。本発明のスポットろう付 け法で用いた電極の材質と特性を以下の表2 表6に示す。

 接合後の電気接点材2の変形または破壊の 有無、接合後の台金3の硬度、および、短絡 断試験後の台金3の変形の有無について、評 結果を表3に示す。

 なお、スポットろう付け法の具体的な条 としては、接合電流を5~20kA、通電時間を10~5 0サイクル(60Hz)として、台金3の体積に応じて 接合後において電気接点材2の外周部の任意 の2面にフィレットが形成されるように上記 数値範囲内で条件を調整した。

 比較例4で採用された抵抗ろう付け法の具 体的な条件としては、直径が5~30mmのカーボン 電極を用いて接合電圧を3~15V、接合時間を3~60 秒として、接合後において電気接点材2の外 部全体をフィレットが覆うように形成され ように上記の数値範囲内で条件を調整した

 電気接点材2は、粉末冶金法によって次の ようにして作製した。Ag、Cu、W、Mo、WC、Gr、F e、Ni、Co、Crの各粉末を表4に示す材質(1)~(15) (18)~(20)の組成になるようにヘンシェルミキ ーで混合し、392MPaの圧力でプレス成形した 、得られた成形体を水素雰囲気中にて温度95 0℃で1時間、焼結することによって作製した

 (接点部材1の作製)
 まず、図1、図2および図7を参照して、実施 1~27と比較例1~4における各接点部材1の作製 法について説明する。

 (実施例1)
 実施例1では、材質がAg60質量%-WC40質量%の電 接点材2と、材質がC1100R-H(タフピッチ銅:硬 )の台金3と、材質がBCuP-5(JIS Z3264、液相線:815 ℃)のろう材4とを準備するとともに、材質がC u32質量%-W68質量%の台金側電極51と接点側電極5 2を使用して、スポットろう付け法を用いて 点部材1を作製した。電気接点材2の寸法は4.8 mm(縦)×8.4mm(横)×1.6mm(厚み)、台金3の基体部3a 寸法は10mm(縦)×40mm(横)×2.3mm(厚み)とした。台 金3は、プレス加工により、接点接合台座部3b の寸法が4mm(縦)×7mm(横)×2mm(厚み)となるよう 作製した。この場合、台金3の体積は、基体 3aと接点接合台座部3bを含めた状態で976mm 3 でった。台金3の基体部3aの位置P(図1参照)に ける接合前のロックウェル硬さは88.1HRFであ た。台金側電極51は18mm(外径)×50mm(高さ)の円 筒形状の電極を使用し、接点側電極52は20mm( )×20mm(横)×100mm(高さ)の直方体形状の電極を 用した。台金側電極51と接点側電極52につい は、電気伝導度が60%IACS、熱伝導度が220W/mK ロックウェル硬さが80HRBであった。この実施 例1の接合結果としては、表3に示すように、 合後の電気接点材2において変形と破壊は確 認されず、台金3の位置P(図1参照)におけるロ クウェル硬さは85HRFであった。

 (実施例2)
 この実施例2では、上記の実施例1と異なる 質の台金側電極51と接点側電極52(ともにCu30 量%-W70質量%)を使用して、実施例1と同様のス ポットろう付け法により接点部材1を作製し 。台金側電極51と接点側電極52については、 気伝導度が55%IACS、熱伝導度が214W/mK、ロッ ウェル硬さが87HRBであった。実施例2におけ 接点部材1のその他の構成は上記の実施例1と 同様とした。この実施例2の接合結果として 、表3に示すように、接合後の電気接点材2に おいて変形と破壊は確認されず、台金3の位 P(図1参照)におけるロックウェル硬さは52HRF あった。

 (実施例3)
 この実施例3では、台金側電極51に上記の実 例1と同じ材質を適用し、接点側電極52に実 例2と同じ材質を適用して、実施例1と同様 スポットろう付け法により接点部材1を作製 た。実施例3における接点部材1のその他の 成は上記の実施例1と同様とした。この実施 3の接合結果としては、表3に示すように、 合後の電気接点材2において変形と破壊は確 されず、台金3の位置P(図1参照)におけるロ クウェル硬さは65HRFであった。

 (実施例4)
 この実施例4では、台金側電極51にCu40質量%-W 60質量%の材質を適用し、接点側電極52に実施 2と同じ材質を適用して、実施例1と同様の ポットろう付け法により接点部材1を作製し 。台金側電極51については、電気伝導度が64 %IACS、熱伝導度が225W/mK、ロックウェル硬さが 75HRBであった。実施例4における接点部材1の の他の構成は上記の実施例1と同様とした。 の実施例4の接合結果としては、表3に示す うに、接合後の電気接点材2において変形と 壊は確認されず、台金3の位置P(図1参照)に けるロックウェル硬さは79HRFであった。

 (実施例5)
 この実施例5では、上記の実施例1よりも小 な体積の基体部3aからなる台金3を使用して 実施例1と同様のスポットろう付け法により 点部材1を作製した。実施例5での基体部3aの 寸法は17mm(縦)×5mm(横)×2.3mm(厚み)とした。こ 場合、台金3の体積は、基体部3aと接点接合 座部3bを含めた状態で250mm 3 であった。実施例5における接点部材1のその の構成は上記の実施例1と同様とした。この 実施例5の接合結果としては、表3に示すよう 、接合後の電気接点材2において変形と破壊 は確認されず、台金3の位置P(図1参照)におけ ロックウェル硬さは51HRFであった。

 (実施例6)
 この実施例6では、上記の実施例5よりも若 大きな体積の基体部3aからなる台金3を使用 て、実施例1と同様のスポットろう付け法に り接点部材1を作製した。実施例6での基体 3aの寸法は19mm(縦)×6mm(横)×2.3mm(厚み)とした この場合、台金3の体積は、基体部3aと接点 合台座部3bを含めた状態で320mm 3 であった。実施例6における接点部材1のその の構成は上記の実施例1と同様とした。この 実施例6の接合結果としては、表3に示すよう 、接合後の電気接点材2において変形と破壊 は確認されず、台金3の位置P(図1参照)におけ ロックウェル硬さは66HRFであった。

 (実施例7)
 この実施例7では、上記の実施例1に対して 4倍の体積の基体部3aからなる台金3を使用し 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ り接点部材1を作製した。実施例7での基体部3 aの寸法は64mm(縦)×20mm(横)×3mm(厚み)とした。 の場合、台金3の体積は、基体部3aと接点接 台座部3bを含めた状態で3900mm 3 であった。実施例7における接点部材1のその の構成は上記の実施例1と同様とした。この 実施例7の接合結果としては、表3に示すよう 、接合後の電気接点材2において変形と破壊 は確認されず、台金3の位置P(図1参照)におけ ロックウェル硬さは88HRFであった。

 (実施例8)
 この実施例8では、上記の実施例7に対して 15%大きな体積の基体部3aからなる台金3を使 して、実施例1と同様のスポットろう付け法 より接点部材1を作製した。実施例8での基 部3aの寸法は74mm(縦)×20mm(横)×3mm(厚み)とした 。この場合、台金3の体積は、基体部3aと接点 接合台座部3bを含めた状態で4500mm 3 であった。実施例8における接点部材1のその の構成は上記の実施例1と同様とした。この 実施例8の接合結果としては、表3に示すよう 、接合後の電気接点材2において変形と破壊 は確認されず、台金3の位置P(図1参照)におけ ロックウェル硬さは88HRFであった。

 (実施例9)
 この実施例9では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag95質量%-WC5質量%)を用いて 実施例1と同様のスポットろう付け法により 接点部材1を作製した。実施例9における接点 材1のその他の構成は上記の実施例1と同様 した。この実施例9の接合結果としては、表3 に示すように、接合後の電気接点材2におい 変形と破壊は確認されず、台金3の位置P(図1 照)におけるロックウェル硬さは68HRFであっ 。

 (実施例10)
 この実施例10では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag80質量%-WC20質量%)を用い 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例10における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同 とした。この実施例10の接合結果としては、 表3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは70HRFであ った。

 (実施例11)
 この実施例11では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag50質量%-WC50質量%)を用い 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例11における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同 とした。この実施例11の接合結果としては、 表3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは79HRFであ った。

 (実施例12)
 この実施例12では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag95質量%-WC5質量%)を用いて 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例12における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同様 とした。この実施例12の接合結果としては、 3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは66HRFであ た。

 (実施例13)
 この実施例13では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag80質量%-WC20質量%)を用い 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例13における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同 とした。この実施例13の接合結果としては、 表3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは72HRFであ った。

 (実施例14)
 この実施例14では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag50質量%-WC50質量%)を用い 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例14における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同 とした。この実施例14の接合結果としては、 表3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは81HRFであ った。

 (実施例15)
 この実施例15では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Cu95質量%-Mo5質量%)を用いて 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例15における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同様 とした。この実施例15の接合結果としては、 3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは65HRFであ た。

 (実施例16)
 この実施例16では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Cu80質量%-Mo20質量%)を用い 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例16における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同 とした。この実施例16の接合結果としては、 表3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは76HRFであ った。

 (実施例17)
 この実施例17では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Cu50質量%-Mo50質量%)を用い 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例17における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同 とした。この実施例17の接合結果としては、 表3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは85HRFであ った。

 (実施例18)
 この実施例18では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag60質量%-WC39質量%-Fe1質量%) を用いて、実施例1と同様のスポットろう付 法により接点部材1を作製した。実施例18に ける接点部材1のその他の構成は上記の実施 1と同様とした。この実施例18の接合結果と ては、表3に示すように、接合後の電気接点 材2において変形と破壊は確認されず、台金3 位置P(図1参照)におけるロックウェル硬さは 77HRFであった。

 (実施例19)
 この実施例19では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag60質量%-WC37質量%-Ni3質量%) を用いて、実施例1と同様のスポットろう付 法により接点部材1を作製した。実施例19に ける接点部材1のその他の構成は上記の実施 1と同様とした。この実施例19の接合結果と ては、表3に示すように、接合後の電気接点 材2において変形と破壊は確認されず、台金3 位置P(図1参照)におけるロックウェル硬さは 82HRFであった。

 (実施例20)
 この実施例20では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag60質量%-WC35質量%-Co5質量%) を用いて、実施例1と同様のスポットろう付 法により接点部材1を作製した。実施例20に ける接点部材1のその他の構成は上記の実施 1と同様とした。この実施例20の接合結果と ては、表3に示すように、接合後の電気接点 材2において変形と破壊は確認されず、台金3 位置P(図1参照)におけるロックウェル硬さは 80HRFであった。

 (実施例21)
 この実施例21では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag80質量%-WC19質量%-Cr1質量%) を用いて、実施例1と同様のスポットろう付 法により接点部材1を作製した。実施例21に ける接点部材1のその他の構成は上記の実施 1と同様とした。この実施例21の接合結果と ては、表3に示すように、接合後の電気接点 材2において変形と破壊は確認されず、台金3 位置P(図1参照)におけるロックウェル硬さは 65HRFであった。

 (実施例22)
 この実施例22では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag80質量%-WC17質量%-Gr3質量%) を用いて、実施例1と同様のスポットろう付 法により接点部材1を作製した。実施例22に ける接点部材1のその他の構成は上記の実施 1と同様とした。この実施例22の接合結果と ては、表3に示すように、接合後の電気接点 材2において変形と破壊は確認されず、台金3 位置P(図1参照)におけるロックウェル硬さは 67HRFであった。

 (実施例23)
 この実施例23では、上記の実施例1と異なる 質の台金3(C1100R-1/2H(タフピッチ銅:半硬材)) 用いて、実施例1と同様のスポットろう付け により接点部材1を作製した。台金3の基体 3aの位置P(図2参照)における接合前のロック ェル硬さは90HRFであった。実施例23における 点部材1のその他の構成は上記の実施例1と 様とした。この実施例23の接合結果としては 、表3に示すように、接合後の電気接点材2に いて変形と破壊は確認されず、台金3の位置 P(図1参照)におけるロックウェル硬さは84HRFで あった。

 (実施例24)
 この実施例24では、上記の実施例1と異なる 質の台金3(C1020R-H(無酸素銅:硬材))を用いて 実施例1と同様のスポットろう付け法により 点部材1を作製した。台金3の基体部3aの位置 P(図2参照)における接合前のロックウェル硬 は82HRFであった。実施例24における接点部材1 のその他の構成は上記の実施例1と同様とし 。この実施例24の接合結果としては、表3に すように、接合後の電気接点材2において変 と破壊は確認されず、台金3の位置P(図1参照 )におけるロックウェル硬さは79HRFであった。

 (実施例25)
 この実施例25では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag99質量%-Gr1質量%)を用いて 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例25における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同様 とした。この実施例25の接合結果としては、 3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは80HRFであ た。

 (実施例26)
 この実施例26では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag95質量%-Gr5質量%)を用いて 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例26における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同様 とした。この実施例26の接合結果としては、 3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは82HRFであ た。

 (実施例27)
 この実施例27では、上記の実施例1と異なる 質の電気接点材2(Ag90質量%-Gr10質量%)を用い 、実施例1と同様のスポットろう付け法によ 接点部材1を作製した。実施例27における接 部材1のその他の構成は上記の実施例1と同 とした。この実施例27の接合結果としては、 表3に示すように、接合後の電気接点材2にお て変形と破壊は確認されず、台金3の位置P( 1参照)におけるロックウェル硬さは81HRFであ った。

 (比較例1)
 実施例1~27に対する比較例1では、上記の実 例1と異なる材質の台金側電極51(Cu10質量%-W90 量%)と接点側電極52(Cu40質量%-W60質量%)を使用 して、実施例1と同様のスポットろう付け法 より接点部材1を作製した。台金側電極51に いては、電気伝導度が26%IACS、熱伝導度が180W /mK、ロックウェル硬さが100HRBであった。接点 側電極52については、電気伝導度が64%IACS、熱 伝導度が225W/mK、ロックウェル硬さが75HRBであ った(実施例4の台金側電極51に使用した材質 実質的に同じである)。すなわち、比較例1で は、実施例1~27に比べて低い電気伝導度と低 熱伝導度を有する台金側電極51を用いて接合 を行った。比較例1における接点部材1のその の構成は上記の実施例1と同様とした。この 比較例1の接合結果としては、表3に示すよう 、接合後の電気接点材2において変形と破壊 が確認されたために、台金3の位置P(図1参照) おけるロックウェル硬さは測定しなかった

 (比較例2)
 実施例1~27に対する比較例2では、上記の比 例1と同じ材質の台金側電極51を使用し、上 の比較例1と異なる材質の接点側電極52(Cu20質 量%-W80質量%)を使用して、実施例1と同様のス ットろう付け法により接点部材1を作製した 。接点側電極52については、電気伝導度が43%I ACS、熱伝導度が190W/mK、ロックウェル硬さが10 0HRBであった。すなわち、比較例2では、実施 1~27に比べて低い電気伝導度と低い熱伝導度 を有する台金側電極51と接点側電極52を用い 接合を行った。比較例2における接点部材1の その他の構成は上記の実施例1と同様とした この比較例2の接合結果としては、表3に示す ように、接合後の電気接点材2において変形 破壊が確認されたために、台金3の位置P(図1 照)におけるロックウェル硬さは測定しなか った。

 (比較例3)
 実施例1~27に対する比較例3では、上記の実 例4と同じ材質の台金側電極51を使用し、上 の比較例2と同じ材質の接点側電極52を使用 て、実施例1と同様のスポットろう付け法に り接点部材1を作製した。すなわち、比較例 3では、実施例1~27に比べて低い電気伝導度と い熱伝導度を有する接点側電極52を用いて 合を行った。比較例3における接点部材1のそ の他の構成は上記の実施例1と同様とした。 の比較例3の接合結果としては、表3に示すよ うに、接合後の電気接点材2において変形と 壊が確認されたために、台金3の位置P(図1参 )におけるロックウェル硬さは測定しなかっ た。

 (比較例4)
 実施例1~27に対する比較例4では、上記の実 例1と同じ材質の電気接点材2と台金3とろう 4とを用いて、従来の抵抗ろう付け法により 点部材1を作製した。すなわち、通電して加 熱された二つのカーボン電極で、電気接点材 2、ろう材4および台金3を上下に挟み込むこと により、カーボン電極から電気接点材2と台 3への熱伝導を利用して、ろう材4を溶融させ て接合を行った。比較例4における接点部材1 その他の構成は上記の実施例1と同様とした 。この比較例4の接合結果としては、表3に示 ように、接合後の電気接点材2において変形 と破壊が確認されず、台金3の位置P(図1参照) おけるロックウェル硬さは27HRFであった。

 (ブレーカ10の短絡遮断試験について)
 次に、図3、図5、図6および図8を参照して、 上記の実施例1~27の接点部材1と比較例1~4の接 部材の接合状態と機械的性質を確認するた に行ったブレーカ10の短絡遮断試験の結果 ついて説明する。

 この短絡遮断試験では、実施例1~27の接点 部材1と比較例1~4の接点部材1の各々を定格電 値が150Aのブレーカ10(図3参照)に組み込んだ で、短絡遮断試験を行った。試験条件は以 の通りとした。

 まず、図5に示すように、可動側接点部材 20に、上記の実施例1~27と比較例1~4で作製した 接点部材1を使用し、固定側接点部材30に、Ag8 0質量%-WC17質量%-Gr3質量%系の材料からなる接 部材を使用した。短絡遮断試験は、220Vの負 電圧で5000Aの遮断電流を設定した。試験方 としては、O責務(ブレーカのスイッチON状態 遮断電流を流し、電流を遮断させる試験)と CO責務(負荷電圧220Vで5000Aの遮断電流が流れる 回路にブレーカをセットし、スイッチOFF状態 で強制的にスイッチをON投入して瞬時に電流 遮断させる試験)を次の手順で行った。すな わち、この短絡遮断試験では、規格試験(動 責務としてO責務と2回のCO責務をこの順で行 )と、余力試験(規格試験後にさらに2回のCO 務を行う)とを1セットとして、これを3セッ 実施した場合と、さらに2セットを追加的に 施した場合(合計5セット実施)における台金3 の変形状態をそれぞれ調べた。

 なお、台金3の変形の有無の判断基準は、 接点部材1による回路遮断後(接点部材1の位置 が図6の状態)に、接点部材1を復帰させた際の 通電の可否に基づいて判断した。すなわち、 復帰後に通電がある場合は、可動側接点部材 20と固定側接点部材30とが図5に示すような状 (閉状態)であると推測されるために、台金3 変形が生じていないと判断した。一方、復 後に通電がない場合は、可動側接点部材20 固定側接点部材30とが図8に示すような状態( 状態)であると推測されるために、この状態 を台金3に変形が生じているとみなした。

 表3に示すように、比較例1~3では、上述の ように接合後の電気接点材2に変形と破壊が 認された。これは、台金側電極51または接点 側電極52の熱伝導度が180W/mK~190W/mK程度と低か たために、ろう付け接合の際に発生する熱 、電気接点材2と台金3を通じて台金側電極51 または接点側電極52に適切に吸収されず、接 時における電気接点材2の過度の温度上昇が 抑制されなかったためであると考えられる。 比較例4では、接合後における台金3のロック ェル硬さが27HRFであったために、ブレーカ 短絡遮断試験を3セット実施した時点で台金3 に変形が確認された。これは、従来の抵抗ろ う付け法によれば、台金3がろう付け温度に 熱されるために、Cuからなる台金3が焼き戻 れて機械的強度が低下したのが原因である 考えられる。

 これに対して、上記の実施例1~27で作製さ れた接点部材1では、ブレーカの短絡遮断試 を3セット実施した時点では、いずれの接点 材1でも、図8に示すような台金3の変形は確 されなかった。これは、台金側電極51と接 側電極52の熱伝導度がともに210W/mK以上であ たために、ろう材4が溶融する温度(本実施例 の場合は815℃)を超える温度まで加熱された 合に発生する熱を、台金側電極51または接点 側電極52に適度に放散させることができ、台 3の過度の温度上昇が抑制された結果である と考えられる。

 また、表3に示すように、上記の実施例2と 施例5以外の実施例では、ブレーカの短絡遮 試験を5セット実施した時点においても、い ずれの接点部材1でも、図8に示すような台金3 の変形は確認されなかった。一方、上記の実 施例2と実施例5では、ブレーカの短絡遮断試 を5セット実施した時点において、図8に示 ような台金3の変形が確認された。これは、 施例2の場合、台金側電極51と接点側電極52 両者の材料が比較的低い熱伝導度(214W/mK)を するので、実施例2以外の他の実施例と比べ 、ろう材4の溶融時の熱が台金側電極51と接 側電極52へと伝達され難く、台金3の焼き戻 がある程度進行したためである。実施例5の 場合、台金3の体積が250m 3 と他の実施例と比べて小さかったために、台 金3の熱容量が小さく、スポットろう付け法 用いても、台金3の焼き戻しがある程度進行 たためであると考えられる。この結果、実 例2と実施例5では、接合後の台金3のロック ェル硬さが下限値である50HRF程度まで低下 、すなわち、台金3の機械的強度が他の実施 よりも比較的低下し、追加の2セットの試験 実施によって、台金3に変形が生じたものと えられる。

 さらに、上記の実施例8では、台金3の変形 確認されなかったが、接点部材1を1000個作製 した場合に、電気接点材2と台金3との接合不 (ろう材4がフィレット形状を形成せず、適 に拡がらない)が5%の確率で確認された。な 、実施例8以外の他の実施例では、同様に接 部材1を1000個作製した場合に、接合不良率 1%未満であった。これは、実施例8の台金3の 体部3aの体積が4500mm 3 と他の実施例に比べて大きかったために、台 金3の熱容量が大きくなり、接合時にろう材4 その近傍で発生する熱が台金3へ過度に放散 するために、スポットろう付け法では、ろう 材4を十分に溶融させることができない場合 増加したためであると考えられる。

 [実施例B]
 本実施例では、上述の実施形態に対応する 施例として、以下の表7に示す実施例101~110 よる接点部材を作製するとともに、従来例 対応する比較例として、以下の比較例101~120 よる接点部材を作製して、これらの接点部 の各々を組み込んで構成されたブレーカの 々を用いて短絡遮断試験を行った。

 本発明の実施例と比較例において作製さ た接点部材1を構成する電気接点材2と台金3 材質を以下の表7、上記の表4および表5に示 。電気接点材2の相対密度を以下の表7に示 。本発明の実施例と比較例において採用さ た接合方法を表1に示す。スポットろう付け で用いた電極の材質を以下の表7と上記の表 6に示す。

 接合後の電気接点材2の内部に残留する酸 素濃度、および、短絡遮断試験後の電気接点 材2の消耗率の測定結果を表7に示す。

 なお、スポットろう付け法の具体的な条 としては、接合電流を5~20kA、通電時間を10~5 0サイクル(60Hz)として、台金3の体積に応じて 接合後において電気接点材2の外周部の任意 の2面にフィレットが形成されるように上記 数値範囲内で条件を調整した。

 比較例101~104、109~114で採用された抵抗ろ 付け法の具体的な条件としては、直径が5~30m mのカーボン電極を用いて接合電圧を3~15V、接 合時間を3~60秒として、接合後において電気 点材2の外周部全体をフィレットが覆うよう 形成されるように上記の数値範囲内で条件 調整した。

 比較例105~108、115~120で採用された炉中接 ろう付けの具体的な条件としては、加熱炉 の温度を700~850℃、加熱炉内の雰囲気を窒素 水素または真空、接合時間を2~8時間として 接合後において電気接点材2の外周部全体を フィレットが覆うように形成されるように上 記の数値範囲内で条件を調整した。

 比較例101~104、109~114で採用された抵抗ろ 付け法や、比較例105~108、115~120で採用された 炉中接合ろう付け法では、スポットろう付け 法に比べて接合時間が長いため、台金3が高 雰囲気に曝されるので、その雰囲気中に残 する酸素で台金3の表面が酸化する等によっ スス状の物質で台金3の表面が覆われてしま った。そこで、従来の抵抗ろう付け法や炉中 接合ろう付け法で作製された接点部材1では 電気接点材2の機能を果たすことができるよ に、接合後に水で接点部材1の表面を洗浄し て、台金3の表面上に形成されたスス状の物 を除去した。

 電気接点材2は、粉末冶金法によって次の ようにして作製した。Ag、WC、Grの各粉末を表 4に示す材質(2)、(15)~(20)の組成になるように ンシェルミキサーで混合し、以下の表8に示 圧力でプレス成形した後、得られた成形体 水素雰囲気中にて温度950℃で3時間、焼結す ることにより、表7に示されるような相対密 の電気接点材2を作製した。電気接点材2の相 対密度は、電気接点材2の重量を電気接点材2 体積(縦寸法×横寸法×厚み寸法の積で得ら る算出値)で除することによって算出された 度を、各材質の理論密度で除することによ て算出した。

 得られた各接点部材1の電気接点材2に残 する酸素濃度の測定は、株式会社堀場製作 製の酸素分析機器(機種BMGA520)を用いて赤外 吸収法によって行った。

 ブレーカ10の短絡遮断試験については、 記の実施例Aと同様の方法で行った。実施例B では、上記の実施例Aで実施した短絡遮断試 を1セット行った。短絡遮断試験後における 気接点材2の消耗率は、次の式によって算出 した。

 (電気接点材2の消耗率)=[{(試験前の電気接点 材2の厚み)-(試験後の電気接点材2の厚み)}/(試 験前の電気接点材2の厚み)]×100(%)
 表7に示すように、実施例101~110の接点部材1 電気接点材2では、同じ相対密度で比べると 、従来の抵抗ろう付け法や炉中接合ろう付け 法で作製された比較例101~120の接点部材1の電 接点材2よりも、残留酸素濃度が低く、短絡 遮断試験後における電気接点材2の消耗率が いことがわかる。実施例101~110の接点部材1の 電気接点材2では、残留酸素濃度を500ppm以下 することができた。

 また、同じ相対密度の実施例と比較例と 対比すると、相対密度が80~93%の電気接点材2 の場合(実施例103、104、105~110と比較例103、104 107~120)は、相対密度が93%を超える電気接点 2の場合(実施例101、102と比較例101、102、105、 106)よりも、短絡遮断試験後における電気接 材2の消耗率を低減する効果が顕著であるこ がわかる。

 [実施例C]
 上記の実施例Aで作製された実施例1と比較 4の接点部材1において、台金3の表面におけ 硬度分布を測定した。

 図9は、実施例1と比較例4の接点部材1にお いて電気接点材2の接合後に測定された台金3 硬度測定箇所を説明するための側面図であ 。

 図9に示すように、電気接点材2の後端縁 位置0を原点(ゼロ点)として、X軸に沿って硬 を測定した。図9においてC寸法は10mmであり L寸法は24mmである。硬度分布の測定結果を 10に示す。

 図10に示すように、抵抗ろう付け法によ て電気接点材2が接合された比較例4の台金3 おいては、電気接点材2の接合箇所に関係な 、接合後の台金3の硬度が全体的に低下する ことがわかる。これは、抵抗ろう付け法では 、台金3の全体がろう付け温度に加熱される とによって、台金3自体が焼き戻されて台金3 の硬度が全体的に低下したことによるものと 考えられる。

 これに対して、本発明のスポットろう付 方法によって電気接点材2が接合された実施 例1の台金3は、電気接点材2の接合箇所とその 近傍(図10にてX軸の数値が0未満)では、接合前 の硬度(88.1HRF)に対して接合後の硬度が低下す る度合いが比較的大きいが、接合箇所から離 れた箇所(図10にてX軸の数値が0以上)では接合 後の硬度が低下する度合いは小さい。すなわ ち、実施例1の台金3は、回動軸が挿入される 孔3cとその近傍の位置では、接合前の硬度(8 8.1HRF)に対して接合後の硬度があまり低下し いない。なお、実施例1の台金3は、電気接点 材2の接合箇所とその近傍の硬度は、接合前 りも低下しているが、対応する位置におけ 比較例4の台金3の硬度よりも高い。

 したがって、実施例1の台金3は、回動軸 挿入される軸孔3cとその近傍の位置では硬度 があまり低下していないので、ブレーカ10の 流遮断時などの使用時において、回動軸が り付けられる軸孔3cを中心として台金3が回 して台金3に大きな力が働く場合に台金3が 形するのを効果的に防止することができる

 今回開示された実施の形態と実施例はす ての点で例示であって制限的なものではな と考慮されるべきである。本発明の範囲は 上の実施の形態と実施例ではなく、請求の 囲によって示され、請求の範囲と均等の意 および範囲内でのすべての修正と変形を含 ものであることが意図される。

 たとえば、上記の実施形態と実施例では ブレーカ10の可動側接点部材20に本発明の接 点部材1を適用した例について示したが、本 明はこの例に限定されるものではなく、ブ ーカ10の固定側接点部材30に本発明の接点部 を用いてもよい。

 また、上記の実施形態と実施例では、開 器の一例としてのブレーカ10に接点部材1を いた例について示したが、本発明はこの例 限定されるものではなく、たとえば、電磁 閉器などのブレーカ以外の開閉器(スイッチ 機器)に本発明の接点部材を用いてもよい。

 さらに、上記の実施例1~4、6、7および9~27で 、台金3の基体部3aを300mm 3 以上4000mm 3 以下の体積範囲において種々のサイズ(縦×横 ×厚み)に形成した例について説明したが、本 発明はこの例に限定されるものではなく、台 金3を上記の体積範囲を満足するならば、上 の実施例1~4、6、7および9~27に示したサイズ 外のサイズに形成してもよい。

 この発明の接点部材は、定格電流値が30A~ 200Aの中型の開閉器(ブレーカ)に組み込まれて 用いられる。