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Title:
PROCESS FOR PRODUCING FLAT GLASS, APPARATUS FOR FORMING BUFFER LAYER OF FLAT GLASS, AND FLAT GLASS PRODUCING EQUIPMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/120535
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a flat glass, apparatus for forming a buffer layer of flat glass and flat glass producing equipment that realize inhibition of flaw occurrence in place of conventional SO2-using buffer layer forming means. The process for producing a flat glass is one including the forming step of forming glass ribbon (6) while continuously supplying molten glass (5) onto horizontal bath surface (1b) of molten metal bathtub (1) accommodating a molten metal and the slow cooling step of conveying the glass ribbon (6) through slow cooling furnace (3) to thereby effect slow cooling, characterized in that as a step posterior to the forming step, the glass ribbon (6) at its inferior surface (6a) is provided with a buffer layer of flaw occurrence preventing agent.

Inventors:
TANII SHIROU (JP)
IGA MOTOICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054325
Publication Date:
October 09, 2008
Filing Date:
March 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
TANII SHIROU (JP)
IGA MOTOICHI (JP)
International Classes:
C03B25/08; C03B18/02; C03B35/14; C03C23/00
Domestic Patent References:
WO2002051767A12002-07-04
WO2008004480A12008-01-10
Foreign References:
EP0924172A11999-06-23
JP2004344767A2004-12-09
JP2000072457A2000-03-07
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-konyacho,Chiyoda-k, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 溶融金属を収容した溶融金属浴槽の水平な浴面に溶融ガラスを連続的に供給してガラスリボンを形成する成形工程と、前記ガラスリボンを徐冷炉に搬送して徐冷する徐冷工程とを備えた板ガラスの製造方法において、
 前記成形工程の後の工程において、前記ガラスリボンの下面に、疵発生防止剤からなる緩衝層を疵発生防止剤を帯電させて形成することを特徴とする板ガラスの製造方法。
 前記緩衝層が静電塗装法により形成されることを特徴とする請求項1に記載の板ガラスの製造方法。
 前記成形工程の後の工程において、前記ガラスリボンの下面側に前記緩衝層を形成する形成手段を配置し、
 前記形成手段は前記ガラスリボンの下面側に配置された帯電電極と、
 前記帯電電極を収納するとともに前記疵発生防止剤を流動状態で保持し、かつ前記ガラスリボン側に開口部を有する帯電化保持容器と、から構成され、
 前記帯電電極によって前記疵発生防止剤を帯電させ、かつ前記疵発生防止剤を前記帯電化保持容器の開口部から前記ガラスリボン方向に流動させることを特徴とする請求項2に記載の板ガラスの製造方法。
 前記成形工程の後の工程において、前記ガラスリボンの下面側に前記緩衝層を形成する形成手段を配置し、
 前記形成手段が、前記ガラスリボンの下面側に配置されて、帯電状態かつ流動状態の前記疵発生防止剤を保持し、かつ前記ガラスリボン側に開口部を有する保持容器と、
 帯電電極及び前記帯電電極を収納するとともに前記疵発生防止剤を流動状態で保持する帯電化保持容器を具備する帯電化装置と、
 前記帯電化装置から前記保持容器に帯電状態の前記疵発生防止剤を供給する供給管と、から構成され、
 前記疵発生防止剤を前記帯電電極によって帯電させ、帯電状態の前記疵発生防止剤を前記供給管を介して前記保持容器に供給し、前記疵発生防止剤を前記保持容器の開口部から前記ガラスリボン方向に流動させることを特徴とする請求項2に記載の板ガラスの製造方法。
 前記ガラスリボンを挟んで前記形成手段と対向する位置に引出電極を配置し、
 前記引出電極によって帯電状態の前記疵発生防止剤を前記ガラスリボンの下面に向けて誘導することにより、前記疵発生防止剤を前記下面に付着させて前記緩衝層を形成することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の板ガラスの製造方法。
 前記疵発生防止剤が、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の硫酸塩、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の塩化物塩、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、および金属硫化物からなる群から選択される1種以上の粉体であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の板ガラスの製造方法。
 溶融金属が収容され、前記溶融金属の水平な浴面に溶融ガラスが連続的に供給されてガラスリボンが形成される溶融金属浴槽と、前記ガラスリボンが徐冷される徐冷炉と、が備えられた板ガラスの製造設備に設置される板ガラスの緩衝層形成装置であって、
 前記溶融金属浴槽の後の工程において、前記ガラスリボンの下面に、疵発生防止剤からなる緩衝層を疵発生防止剤を帯電させて形成することを特徴とする板ガラスの緩衝層形成装置。
 溶融金属が収容され、前記溶融金属の水平な浴面に溶融ガラスが連続的に供給されてガラスリボンが形成される溶融金属浴槽と、前記ガラスリボンを徐冷させる徐冷炉と、を備えた板ガラスの製造設備であって、
 請求項7に記載の板ガラスの緩衝層形成装置が備えられてなることを特徴とする板ガラスの製造設備。
Description:
板ガラスの製造方法、板ガラス 緩衝層形成装置及び板ガラスの製造設備

 本発明は、板ガラスの製造方法、板ガラ の緩衝層形成装置及び板ガラスの製造設備 関するものであり、特にフロート法を用い 板ガラスの製造方法、緩衝層形成装置及び 造設備に関するものである。

 フロート法による板ガラスの製造方法に いては、まず、溶融金属を収容した浴槽の 平な浴面に溶融ガラスを連続的に供給して ラスリボンを形成し、次にガラスリボンを 溶融金属浴槽出口より引き上げて溶融金属 槽外へ引き出す。このガラスリボンを浴槽 出口から引き上げる延伸力で目標の厚みに 形する。次いで、ガラスリボンを、リフト ウトロール上を搬送させて徐冷炉に搬入し 徐冷炉内を搬送させながら徐冷する。その 、ガラスリボンを所定の長さに切断するこ によって、板ガラスを製造する。

 上記のフロート法は、板ガラスの一面を 融金属の浴面によって形成するとともに、 面である自由面は溶融ガラスが溶融金属上 広がることによって形成されるので、板ガ スの平坦性が極めて高くなり、また、大量 産にも適した方法である。従って、自動車 ガラス、建築用ガラス、プラズマディスプ イ用ガラス及び液晶ディスプレイ用ガラス の生産に適用されている。

 ところで、フロート法においては、ガラ の急激な収縮による割れや平坦度の低下を 止するために、リフトアウトロール上を搬 された高温のガラスリボンを、後段の徐冷 において冷却速度を制御しながら徐冷する 要がある。従って、徐冷炉の長さが数百メ トルの規模になる場合がある。徐冷炉にお てガラスリボンは、搬送ロール等の上を搬 されながら徐々に冷却されるが、ガラスリ ンと搬送ロール等の接触によりガラス表面 疵が発生するおそれがある。

 この疵の発生を防止するために、従来、徐 炉内部に二酸化硫黄(SO 2 )を導入して、高温のガラス表面においてガ ス成分とSO 2 とを反応させて例えば硫酸ナトリウムまたは 亜硫酸ナトリウムなどからなる緩衝層をガラ ス表面に形成し、この緩衝層によってガラス と搬送ロール等との接触による疵の発生を抑 制している(特許文献1参照)。

特開平2-14841号公報

 しかし、SO 2 は極めて腐食性が高いガスであるため、徐冷 炉内部にSO2を導入すると、徐冷炉内部の設備 の腐食が進み、徐冷炉の耐久性が大幅に低下 するという問題があった。
 また、液晶ディスプレイ用の板ガラスは、 面に液晶表示素子の回路を形成する必要性 ら、回路の形成の際に悪影響を及ぼすとさ るアルカリ金属を、ほとんど含まない組成 無アルカリガラスである。無アルカリガラ をフロート法によって製造する場合、徐冷 においてSO 2 ガスに接触させたとしても、アルカリ金属が ほとんど含まれないことから、硫酸ナトリウ ムまたは亜硫酸ナトリウムなどからなる緩衝 層がほとんど形成されず、搬送ロールとの接 触による疵の発生を防止できないという問題 があった。
 更に、ガラス板の生産管理のために、ガラ 製造装置の下流には欠点検出器が取り付け れるが、この欠点検出器の誤動作を起こす とがない緩衝層が要求されていた。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの あって、従来のSO 2 を用いた緩衝層の形成手段に代わる、疵の発 生を抑制することが可能な板ガラスの製造方 法、板ガラスの緩衝層形成装置及び板ガラス の製造設備を提供することを目的とする。

 上記の目的を達成するために、本発明は以 の構成を採用した。
 本発明の板ガラスの製造方法は、溶融金属 収容した溶融金属浴槽の水平な浴面に溶融 ラスを連続的に供給してガラスリボンを形 する成形工程と、前記ガラスリボンを徐冷 に搬送して徐冷する徐冷工程とを備えた板 ラスの製造方法において、前記成形工程の の工程において、前記ガラスリボンの下面 、疵発生防止剤からなる緩衝層を疵発生防 剤を帯電させて形成することを特徴とする
 また、本発明の板ガラスの製造方法におい は、前記緩衝層が静電塗装法により形成さ ることが好ましい。
 更に、本発明の板ガラスの製造方法におい は、前記成形工程の後の工程において、前 ガラスリボンの下面側に前記緩衝層を形成 る形成手段を配置し、前記形成手段は前記 ラスリボンの下面側に配置された帯電電極 、前記帯電電極を収納するとともに前記疵 生防止剤を流動状態で保持し、かつ前記ガ スリボン側に開口部を有する帯電化保持容 と、から構成され、前記帯電電極によって 記疵発生防止剤を帯電させ、かつ前記疵発 防止剤を前記帯電化保持容器の開口部から 記ガラスリボン方向に流動させることが好 しい。
 更にまた、本発明の板ガラスの製造方法に いては、前記成形工程の後の工程において 前記ガラスリボンの下面側に前記緩衝層を 成する形成手段を配置し、前記形成手段が 前記ガラスリボンの下面側に配置されて、 電状態かつ流動状態の前記疵発生防止剤を 持し、かつ前記ガラスリボン側に開口部を する保持容器と、帯電電極及び前記帯電電 を収納するとともに前記疵発生防止剤を流 状態で保持する帯電化保持容器を具備する 電化装置と、前記帯電化装置から前記保持 器に帯電状態の前記疵発生防止剤を供給す 供給管と、から構成され、前記疵発生防止 を前記帯電電極によって帯電させ、帯電状 の前記疵発生防止剤を前記供給管を介して 記保持容器に供給し、前記疵発生防止剤を 記保持容器の開口部から前記ガラスリボン 向に流動させることが好ましい。
 また、本発明の板ガラスの製造方法におい は、前記ガラスリボンを挟んで前記形成手 と対向する位置に引出電極を配置し、前記 出電極によって帯電状態の前記疵発生防止 を前記ガラスリボンの下面に向けて誘導す ことにより、前記疵発生防止剤を前記下面 付着させて前記緩衝層を形成することが好 しい。
 更に、本発明の板ガラスの製造方法におい は、前記疵発生防止剤が、アルカリ金属あ いはアルカリ土類金属の硫酸塩、アルカリ 属あるいはアルカリ土類金属の塩化物塩、 ルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭 塩、酸化物セラミックス、窒化物セラミッ ス、および金属硫化物からなる群から選択 れる1種以上の粉体であることが好ましい。

 次に、本発明の板ガラスの緩衝層形成装 は、溶融金属が収容され、前記溶融金属の 平な浴面に溶融ガラスが連続的に供給され ガラスリボンが形成される溶融金属浴槽と 前記ガラスリボンが徐冷される徐冷炉と、 備えられた板ガラスの製造設備に設置され 板ガラスの緩衝層形成装置であって、前記 融金属浴槽の後の工程において、前記ガラ リボンの下面に、疵発生防止剤からなる緩 層を疵発生防止剤を帯電させて形成するこ を特徴とする。

 次に、本発明の板ガラスの製造設備は、 融金属が収容され、前記溶融金属の水平な 面に溶融ガラスが連続的に供給されてガラ リボンが形成される溶融金属浴槽と、前記 ラスリボンを徐冷させる徐冷炉と、を備え 板ガラスの製造設備であって、先に記載の ガラスの緩衝層形成装置が備えられてなる とを特徴とする。

 本発明によれば、従来のSO 2 を用いた緩衝層の形成手段に代わる、疵の発 生を抑制することが可能な板ガラスの製造方 法、板ガラスの緩衝層形成装置及び板ガラス の製造設備を提供できる。

 すなわち、本発明の板ガラスの製造方法に れば、成形工程の後の工程において、ガラ リボンの下面に、疵発生防止剤からなる緩 層を形成するので、疵発生防止剤が徐冷炉 部に拡散するおそれがなく、また、拡散し も腐食性のガスを用いないので、徐冷炉内 設備の劣化を防止することができる。更に ガラスリボンの下面が徐冷炉の搬送ロール に接触しても、ガラスリボンの下面に形成 れた緩衝層によって疵の発生を防止できる
 また、本発明の板ガラスの製造方法におい 、静電塗装法で緩衝層を形成する場合、ガ スの組成によらずに緩衝層を形成すること でき、液晶ディスプレイ用の板ガラスのよ な、無アルカリガラスにも緩衝層が形成可 であり、疵の発生を防止できる。更に、ガ ス板の生産管理のために、ガラス製造設備 下流には欠点検出器が取り付けられるが、 ラスリボン下面に略均一に緩衝層を形成で るため、この欠点検出器の誤動作を防止で る。
 なお、緩衝層の形成方法は静電塗装法に限 されず、効率よく疵発生防止剤を帯電させ ガラスリボンの下面に緩衝層を形成できる 法であればよく、例えば静電スプレ方法を いることもできる。

 更に、本発明の板ガラスの製造方法におい 、ガラスリボンの下面側に配置された帯電 極と、帯電電極を収納するとともに疵発生 止剤を流動状態で保持する帯電化保持容器 から構成された形成手段を用いる場合、疵 生防止剤を流動状態にして該疵発生防止剤 ガラスリボンの下面側において帯電させる で、疵発生防止剤を効率良く帯電させて、 電された疵発生防止剤をすみやかにガラス ボンに付着させて緩衝層を形成することが 能になり、緩衝層の形成効率が向上して緩 層を下面全面にもれなく形成できる。
 更にまた、本発明の板ガラスの製造方法に いて、帯電状態の疵発生防止剤を保持する 持容器と、帯電電極及び帯電化保持容器と 具備してなる帯電化装置と、供給管とから 成された形成手段を用いる場合、帯電化装 によって疵発生防止剤を流動状態にして効 良く帯電させ、これを供給管によって供給 ることで、緩衝層の形成効率が向上して緩 層を下面全面にもれなく形成できる。また 帯電化装置を徐冷炉の外部に設置すること でき、その場合は、疵発生防止剤を徐冷炉 外部において帯電させ、帯電状態の疵発生 止剤をガラスリボンの下面側に供給するの 疵発生防止剤の補給が容易になり、生産性 高めることができる。

 また、本発明の板ガラスの製造方法におい 、ガラスリボンを挟んで形成手段と対向す 位置に引出電極を配置する場合、この引出 極によって帯電状態の疵発生防止剤をガラ リボンの下面に向けて誘導するので、下面 全面に均一に緩衝層を形成することができ ガラスリボンの下面が徐冷炉の搬送ロール に接触しても、この緩衝層によって疵の発 を防止できる。
 更に、本発明の板ガラスの製造方法におい は、前記疵発生防止剤が、アルカリ金属あ いはアルカリ土類金属の硫酸塩、アルカリ 属あるいはアルカリ土類金属の塩化物塩、 ルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭 塩、酸化物セラミックス、窒化物セラミッ ス、および金属硫化物からなる群から選択 れる1種以上の粉体であるので、徐冷炉内部 の設備を腐食させることがない。

 次に、本発明の板ガラスの緩衝層形成装置 よれば、成形工程の後の工程において、ガ スリボンの下面に、疵発生防止剤からなる 衝層を形成させるので、疵発生防止剤が徐 炉内部に拡散させるおそれがなく、また、 散しても腐食性のガスを用いないので、徐 炉内の設備の劣化を防止できる。
 また、ガラスの組成によらずに緩衝層が形 可能であるので、液晶ディスプレイ用の板 ラスのような、無アルカリガラスにも緩衝 が形成可能であり、疵の発生を防止できる
 更に、ガラス板の生産管理のために、ガラ 製造設備の下流には欠点検出器が取り付け れるが、この欠点検出器の誤動作を防止で る。

 また、本発明の板ガラスの製造設備によ ば、上記の緩衝装置が備えられているので 徐冷炉内の設備の劣化を防止できるととも 、ガラスの組成によらずに緩衝層を形成で 、疵の発生を防止できる。更に、ガラス板 生産管理のために、ガラス製造設備の下流 は欠点検出器が取り付けられるが、この欠 検出器の誤動作を防止できる。

図1は本発明の第1の実施形態である板 ラスの製造設備の一部を示す断面模式図で る。 図2は本発明の第1の実施形態である板 ラスの製造設備に備えられた緩衝層形成装 を示す斜視図である。 図3は本発明の第1の実施形態である板 ラスの製造設備に備えられた緩衝層形成装 を示す側面図である。 図4は本発明の第1の実施形態である緩 層形成装置の要部を示す斜視図である。 図5は本発明の第1の実施形態である緩 層形成装置の要部を示す正面図である。 図6は本発明の第1の実施形態である緩 層形成装置による緩衝層の形成方法を説明 る側面説明図である。 図7は本発明の第2の実施形態である板 ラスの製造設備に備えられた緩衝層形成装 を示す斜視図である。 図8は本発明の第2の実施形態である緩 層形成装置の要部を示す斜視図である。

符号の説明

 1…溶融金属浴槽、1b…浴面、3…徐冷炉、 3a…徐冷炉の入口、5…溶融ガラス、6…ガラ リボン、6a…ガラスリボンの下面、11、31… 成装置(形成手段)、12…引出電極、13、52…帯 電電極、14、53…帯電化保持容器、41…保持容 器、51…帯電化装置、61…供給管、B…緩衝層 M…疵発生防止剤

 以下、本発明の実施の形態を図面を参照 て説明する。尚、以下の説明において参照 る図面は、本実施形態の板ガラスの緩衝層 成装置及び板ガラスの製造設備の構成を説 するためのものであり、図示される各部の きさや厚さや寸法等は、実際の緩衝層形成 置及び製造設備の寸法関係とは異なる。

「第1の実施形態」
 以下、本発明の第1の実施形態について説明 する。図1は本実施形態の板ガラスの製造設 の一部を示す断面模式図であり、図2は板ガ スの製造設備に備えられた緩衝層形成装置 示す斜視図であり、図3は板ガラスの製造設 備に備えられた緩衝層形成装置の側面図であ り、図4は緩衝層形成装置の要部を示す斜視 であり、図5は緩衝層形成装置の要部を示す 面図である。

 図1に示す板ガラスの製造設備は、溶融ガ ラスを調製、清澄させる溶解清澄槽(図示略) 後段に設置され、溶融金属1aが収容された 融金属槽1と、溶融金属槽1の後段に設置され た搬送室2と、搬送室2の後段に設置された徐 炉3とから概略構成されている。徐冷炉3の 口3a近傍には、本発明に係る緩衝層形成装置 4が設置されている。また、徐冷炉3の後段に 、ガラスリボンの表面を検査する図示略の 点検出器と、冷却されたガラスリボンを切 する図示略の切断機とが備えられている。

 溶融金属槽1には、金属錫等からなる溶融金 属1aが満たされており、溶解清澄槽(図示略、 以下同様)から溶融ガラス5がこの溶融金属1a 浴面1b上に連続的に供給されるように構成さ れている。
 次に、搬送室2にはリフトアウトロール2aが えられており、溶融金属槽1から板状に成形 されたガラスリボン6をリフトアウトロール2a の牽引力によって引き出すように構成されて いる。
 また、徐冷炉3には、レヤーロール3bが備え れており、搬送室2から搬送されたガラスリ ボン6を、レヤーロール3bによって徐冷炉3内 搬送するように構成されている。

 溶解清澄槽で溶融された溶融ガラス5は、 溶解清澄槽から溶融金属槽1の溶融金属1aの浴 面1b上に連続的に供給され、溶融ガラス5を所 望の厚みと幅に成形された後、リフトアウト ロール2aの牽引力によって溶融金属槽1の出口 から引き出される。このとき、溶融ガラス5 、塑性変形し得る温度に調整されてガラス ボン6となる。成形されたガラスリボン6は、 搬送室2を通過して徐冷炉3に搬送され、徐冷 3内部を通過する際に徐々に冷却される。こ のとき、徐冷炉3の入口3aに設置された緩衝層 形成装置4によって、ガラスリボン6の下面6a 疵発生防止用の緩衝層が形成される。

 なお、本実施の形態では緩衝層形成装置 徐冷炉の入口3aに設置する場合について説 するが、溶融金属浴槽1の後の工程であれば く、例えば搬送室2に設置してもよい。ガラ スリボンの疵防止の観点からは、できる限り 溶融金属浴槽1の直後に設置することが好ま いが、ガラスの状態が安定した徐冷炉3の入 口に設置することが好ましい。(以下、実施 の形態2においても同様)

(緩衝層形成装置)
 次に、図2~5を参照して、本発明に係る緩衝 形成装置4の一例について説明する。図2及 図3に示す緩衝層形成装置4は、ガラスリボン 6の下面6a側に配置されて疵発生防止剤を帯電 状態かつ流動状態で保持する疵発生防止剤の 形成装置11(形成手段)と、ガラスリボン6を挟 で形成装置11と対向する位置に配置された 出電極12とから構成されている。図2~図5に示 す形成装置11(形成手段)は、ガラスリボン6の 面6a側において疵発生防止剤を帯電させる のである。

 引出電極12は、平面視略矩形状に形成さ た板状の電極であり、その長手方向がガラ リボン6の幅方向Hと一致するように配置され ている。また、引出電極12は、その長手方向 沿う長さが、ガラスリボン6の幅と同じかあ るいはガラスリボン6の幅より長く設定され いる。引出電極12は配線12aを介して、徐冷炉 3の外部に設置された図示しない高電圧電源 置に接続されているか、または接地されて る。

 また、疵発生防止剤の形成装置11は、ガラ リボン6の下面6a側に配置された帯電電極13と 、帯電電極13を収納するとともに疵発生防止 Mを流動状態で保持し、かつガラスリボン6 に開口部14eを有する帯電化保持容器14とから 構成されている。
 図2、図3及び図5に示すように、帯電電極13 、ガラスリボン6の幅方向に沿って延在する 極本体13aと、電極本体13aから上側(ガラスリ ボン6側)に向けて突出された複数の針状電極1 3bとから構成されている。針状電極13bは、相 に等間隔をあけて配置されている。帯電電 13の材質は、700℃程度で変形せず、かつ酸 しない耐熱材料からなることが好ましく、 えばステンレス合金、ニッケルまたはニッ ル合金等が好ましい。また針状電極13bの相 の間隔は、例えばガラスリボン6の幅10cm毎に 1本の割合で設置するとよい。なお、帯電電 13の形状は本実施の形態の形状であることは 必須ではなく、疵発生防止剤Mを効率良く帯 させることが出来れば特に形状に限定され い。
 電極本体13aの一端側には配線13cが接続され おり、帯電電極13はこの配線13cを介して、 冷炉3の外部に設置された図示しない高電圧 源装置に接続されている。

 次に図2~図4に示すように、帯電化保持容器1 4は、容器本体14aと、容器本体14aの内部に立 された一対の隔壁部14bとから構成されてい 。容器本体14aの内部空間が一対の隔壁部14b よって3つに区画されている。すなわち、容 本体14aには、隔壁部同士の間に位置する帯 化室14cと、帯電化室14cの両側に隔壁部14bを して配置された回収室14dとが形成されてい 。そして、帯電化室14c及び回収室14dは、ガ スリボン6の移動方向Lに沿って、回収室14d 帯電化室14c、回収室14dの順に並ぶように配 されている。また、容器本体14aのガラスリ ン6と対向する位置には開口部14eが設けられ おり、帯電電極13がガラスリボン6の下面6a 望む形になっている。
 また、帯電化室14cには、ガスのみを通過で る程度の細孔が設けられてなる整流部材14f 備えられ、整流部材14fより上側の部分が、 発生防止剤Mが帯電されかつ流動された状態 で保持される帯電・流動部14c1とされ、整流 材14fより下側の部分は、疵発生防止剤Mを流 状態にするために帯電・流動部14c1に向けて ガスを噴出させるためのガス導入部14c2とさ ている。帯電・流動部14c1においては、整流 材14fの上方に帯電電極13が配置されている また、ガス導入部14c2にはガス導入配管14gが り付けられている。更に、帯電・流動部14c1 には、疵発生防止剤Mを供給する供給装置(図 略)が取り付けられている。供給装置として は例えば、スクリューコンベア等を例示でき る。

 帯電・流動部14c1に供給される疵発生防止 剤Mとしては、ガラスリボン6に付着して緩衝 用を発現させ、高温で流動状態を形成しや く、さらに帯電しやすく、凝集して粗大粒 を形成することがなく、ガラスと化学反応 起こさず容易に洗い流すことができ、かつ 冷炉3内部の設備を腐食させないものが好ま しく、例えばアルカリ金属あるいはアルカリ 土類金属の硫酸塩、アルカリ金属あるいはア ルカリ土類金属の塩化物塩、アルカリ金属あ るいはアルカリ土類金属炭酸塩、酸化物セラ ミックス、窒化物セラミックス、および金属 硫化物からなる群から選択される1種以上の 体が好ましく、芒硝(硫酸ナトリウムの十水 )または炭酸カルシウムの粉体がより好まし い。疵発生防止剤Mの平均粒径は、例えば20μm 以下程度が好ましいが、ガラスリボン6に疵 生防止剤Mを均一に付着させることが可能で れば、粒度について特に限定はない。

 また、容器本体14aに設けられた開口部14e よって、帯電・流動部14c1及び回収室14dがガ ラスリボンの下面6a側に開放されている。ま 、各回収室14dにはガス導出配管14hがそれぞ が備えられており、帯電・流動部14c1から噴 出されて回収室14dに回収された疵発生防止剤 Mを含む導入ガスを、容器本体14aの外部に排 できるようになっている。

 帯電化保持容器14は、雰囲気温度が700℃ 後になる徐冷炉3の入口近傍に設置されるこ から、帯電化保持容器14を構成する容器本 14a、隔壁部14b及び整流部材14f等の部材はい れも、耐熱性を有する材料で構成されるこ が好ましい。また、帯電化保持容器14には、 高電圧電源装置に接続される帯電電極13が収 されることから、容器本体14a、隔壁部14b及 整流部材14f等の構成部材はいずれも、絶縁 を有する材料で構成されることが好ましい 耐熱性及び絶縁性を満たす材料としては、 英ガラスまたはアルミナ系セラミックスに 表される各種の耐熱性セラミックスを例示 きる。

 帯電電極13及び帯電電極用の配線13cは、 電化保持容器14の構成部材や徐冷炉3内部の 備に対して絶縁されていることが好ましい 帯電電極13及びその配線13cが十分に絶縁され ていない場合、絶縁されていない箇所におい て放電が生じてしまい、疵発生防止剤Mに対 る帯電効率が低下してしまうので好ましく い。特に、帯電化保持容器14が設置される環 境は数百℃程度の高温雰囲気であるため、僅 かな絶縁不良箇所からでも放電が起こりやす い。絶縁対策としては、徐冷炉3内部におけ 配線13cには、できるだけ金属部材を近接さ ないことが望ましい。また、配線13cには、 熱・耐絶縁性材料で被覆することが望まし 。更に配線13cと帯電電極13との接続箇所から の放電を防止するために、図1、図4または図5 に示すように、帯電化保持容器14の側壁部に 縁材料からなるチューブ14iを設け、このチ ーブ14iに帯電電極用の配線13cを挿入し、チ ーブ14i内において配線13cと帯電電極13とを 続することが好ましいが、容器本体14a内で 続し、放電しないよう部分的に耐熱性及び 縁性を満たす材質で覆っても良い。チュー 14iの材質は、帯電化保持容器14の構成材料と 同様に耐熱性及び絶縁性を満たす材料を用い ればよい。

 次に、回収室14dについて詳細に説明する。 収室14dは、隔壁部14bによって帯電化室14cと 画されているが、この隔壁部14bの上端部14b1 は、容器本体14aの上端部14a1よりも下側に位 している。これにより、帯電化室14cから供 された疵発生防止剤Mの一部がガラスリボン6 に付着せずに周囲に飛散した場合に、飛散し た疵発生防止剤Mを容器本体14aの上端部14a1に って堰き止め、回収室14dに回収できる形に っている。
 また、回収室14dには、回収室14d内の雰囲気 吸引して取り出すためのガス導出管14hが取 付けられている。これにより、回収室14dに 収された疵発生防止剤Mを帯電化保持容器14 び徐冷炉3の外部に排出できるようになって いる。上記構成の回収室14dを帯電化室14cの両 側に設置することによって、疵発生防止剤M 徐冷炉3内部への飛散を防止し、疵発生防止 Mによる徐冷炉3内の汚染を防止でき、また 部に取り出した疵発生防止剤Mを再利用でき ようになっている。

 帯電化保持容器14の開口部14eとガラスリ ン6との距離が近すぎると、ガラスリボン6が 撓んだ際にガラスリボン6が帯電化保持容器14 に接触するおそれがあり、また開口部14eとガ ラスリボン6との距離が離れすぎると、開口 14eとガラスリボン6との間から疵発生防止剤M が飛散して、徐冷炉3内部を汚染するおそれ ある。従って帯電化保持容器14は、ガラスリ ボン6に接触しない程度にガラスリボン6に近 けて設置すればよく、例えば帯電化防止容 14の開口部14eとガラスリボン6との距離を2~5c m程度に設定するとよい。

 次に、ガラスリボン6に緩衝層を形成する方 法について図6を参照して説明する。
 まず、帯電化保持容器14の帯電・流動部14c1 疵発生防止剤Mを供給する。そして、例えば 乾燥空気または窒素等(以下、乾燥空気等と いう)をガス導入配管14gからガス導入部14c2に 供給する。徐冷炉3内部の温度に影響を与え い様、乾燥空気等は加熱後導入しても良い ガス導入部14c2に供給された乾燥空気等は、 流部材14fを通過して整流部材14fの上面全面 ら帯電・流動部14c1に均一に噴出される。こ の噴出された乾燥空気等によって粉体からな る疵発生防止剤が舞い上げられ、疵発生防止 剤Mが流動状態になる。
 このとき、帯電電極13に電力を供給するこ によって、疵発生防止剤Mを例えばマイナス 帯電させる。帯電条件としては、疵発生防 剤Mの種類、形成しようとする緩衝層の厚み 、および単位時間当たりのコーティング量に よるが、例えば、10kV以上、100μA以上とする とが好ましい。
 帯電された疵発生防止剤Mは、針状電極13bに よってガラスリボン6の下面6aに向けて誘導さ れる。また、帯電された疵発生防止剤Mは、 出電極12によってもガラスリボン6の下面6aに 向けて誘導される。また、ガラスリボン6自 は、概ねプラスに帯電している。以上より 疵発生防止剤Mがガラスリボン6の下面6aに均 に付着して、図6に示すようにガラスリボン 6の下面6aに緩衝層Bが形成される。

 なお、乾燥空気等によって帯電・流動部1 4c1内で流動状態にされた後に、帯電されずに ガラスリボン6に付着されなかった疵発生防 剤Mや、帯電されたがガラスリボン6には付着 されなかった疵発生防止剤Mは、回収室14dに 下し、ガス導出管14hを介して乾燥空気等と もに帯電化保持容器14の外部に取り出される 。これにより、徐冷炉3内部の汚染が低減さ る。また、外部に取り出した疵発生防止剤M 、フィルタで捕集して再利用できる。

 ガラスリボン6の下面6aに形成された緩衝 Bによって、ガラスリボン6の下面6aにガラス リボン6を搬送のためのレヤーロール3bが接触 しても、緩衝層Bの存在によってガラスリボ 6の疵の発生が防止される。また、緩衝層B自 体は、静電効果によって付着しているだけな ので、水洗等によって容易に洗い流すことが 可能である。従って緩衝層Bが板ガラスの品 に影響を及ぼすおそれはない。

 以上説明したように、本実施形態によれ 、ガラスリボン6の下面6aに疵発生防止剤Mか らなる緩衝層Bを静電塗装法により形成する で、疵発生防止剤Mが徐冷炉3内部に飛散する おそれがなく、徐冷炉3内の設備の劣化を防 することができる。また、プラスに帯電し ガラスリボン6に対してマイナスに帯電させ 疵発生防止剤Mを付着させる、所謂静電塗装 法によって緩衝層Bを形成するので、ガラス 組成によらずに緩衝層Bを形成することがで 、液晶ディスプレイ用の板ガラスのような 無アルカリガラスにも緩衝層Bが形成可能で あり、疵の発生を防止できる。

 また、ガラスリボン6の下面6a側に帯電化保 容器14を配置すると共に帯電化保持容器14と 対向する位置に引出電極12を配置し、引出電 12によって帯電状態の疵発生防止剤Mをガラ リボン6の下面6aに向けて誘導し、疵発生防 剤Mを下面6aに付着させて緩衝層Bを形成する ので、下面6aの全面に均一に緩衝層Bを形成す ることができ、ガラスリボン6の下面6aが徐冷 炉3のレヤーロール3a等に接触しても下面6a全 に均一に形成された緩衝層Mによってガラス リボン6の疵の発生を防止できる。なお、ガ スリボン6自体はプラスに帯電しているので 引出電極12がなくても乾燥空気等の流動に りマイナスに帯電している疵発生防止剤Mを ラスリボン側に誘導させて緩衝層Bを形成で きるが、引出電極12があったほうが、より効 よく緩衝層Bを形成できる。
 更に、疵発生防止剤Mをガラスリボン6の下 6a側において帯電させるので、帯電された疵 発生防止剤Mをすみやかにガラスリボン6に付 させて緩衝層Bを形成することができ、緩衝 層Bの形成効率が向上して緩衝層Bを下面6a全 にもれなく形成できる。

 更にまた、本実施形態によれば、付着し れなかった疵発生防止剤Mを、回収室14d及び ガス導出管14hによって徐冷炉3の外部に排出 せるので、疵発生防止剤Mによって徐冷炉3内 部が汚染されるおそれがなく、また外部に取 り出した疵発生防止剤Mを再利用できる。

「第2の実施形態」
(緩衝層形成装置)
 次に、図7及び図8を参照して、第2の実施形 である緩衝層形成装置24について説明する なお、図7及び図8に示す構成要素の内、図1~ 6において説明した構成要素と同一の構成要 素については、同一の符号を付して、その説 明を省略若しくは説明を簡潔にする。
 図7に示す緩衝層形成装置24は、ガラスリボ 6の下面6a側において疵発生防止剤Mを帯電状 態で保持する疵発生防止剤Mの形成装置31(形 手段)と、ガラスリボン6を挟んで形成装置31 対向する位置に配置された引出電極12とか 構成されている。図7に示す形成装置31(形成 段)は、疵発生防止剤Mを帯電させ、帯電状 の疵発生防止剤をガラスリボン6の下面6a側 形成するものである。

 引出電極12は、第1の実施形態における引 電極と同様に、平面視略矩形状に形成され 板状の電極であり、配線12aを介して、徐冷 3の外部に設置された図示しない高電圧電源 装置に接続されるか、接地されている。

 また、疵発生防止剤Mの形成装置31は、ガ スリボン6の下面6a側に配置されて帯電状態 疵発生防止剤Mを保持する保持容器41と、徐 炉3の外部に設置された帯電化装置51と、帯 化装置51から保持容器41に帯電状態の疵発生 防止剤Mを供給する供給管61とから概略されて いる。本実施例では、帯電化装置51を徐冷炉3 の外部に設置した形成装置31を例示したが、 置場所は特に限定されない。帯電化装置51 徐冷炉の外部に設置する場合、疵発生防止 Mを徐冷炉3の外部において帯電させ、帯電状 態の疵発生防止剤Mをガラスリボン6の下面側 供給するので、疵発生防止剤Mの補給が容易 になり、生産性を高めることができるので好 ましい。

 図7及び図8に示すように、帯電化装置51は、 帯電電極52と、帯電電極52を収納するととも 疵発生防止剤Mを流動状態で保持する帯電化 持容器53とから構成されている。
 帯電化保持容器53は、中空の容器本体53aと 容器本体53aの内部に配置された整流部材53b から構成されている。整流部材53bは、ガス みを通過できる程度の細孔が設けられてな 部材である。そして、容器本体53aの内部空 が整流部材53bによって2つに区画されている すなわち、容器本体53aには、整流部材53bの 側に位置する帯電・流動部51c1と、整流部材 53bの下側に位置するガス導入部51c2とが区画 成されている。

 帯電・流動部51c1は、疵発生防止剤Mが帯電 れかつ流動された状態で保持するものであ 、ガス導入部51c2は、疵発生防止剤Mを流動状 態にするために帯電・流動部51c1に向けてガ を噴出させるものである。
 ガス導入部51c2にはガス導入配管53dが取り付 けられている。また、帯電・流動部51c1には 整流部材53bの上方に帯電電極52が設置される と共に、帯電状態の疵発生防止剤Mを保持容 41に供給する供給管61が接続されている。帯 電極52は、図7及び図8に示すように、ほぼ水 平方向に延在する電極本体52aと、電極本体52a から垂直方向に立設された針状電極52bとから なる略L字状に成形された線状の電極である 図7及び図8においては、針状電極52bの先端部 分が供給管61の内部に挿入されている。この 成により、疵発生防止剤Mを効率よく帯電さ せることができる。なお、針状電極52bの先端 部分が供給管61の内部に挿入される構成およ 略L字形状であることは必須ではなく、疵発 生防止剤Mを効率良く帯電させることが出来 ば本構成及び形状には限定されない。また 帯電電極52の材質は、徐冷炉3の外部に設置 れることから特に耐熱性は要求されず、帯 効率に優れた材料であれば特に限定されな 。

 電極本体52aの一端側には配線52cが接続され おり、帯電電極52はこの配線52cを介して、 示しない高電圧電源装置に接続されている
 更に、帯電・流動部51c1には、疵発生防止剤 Mを供給する供給装置(図示略)が取り付けられ ている。供給装置としては例えば、スクリュ ーコンベア等を例示できる。

 帯電・流動部51c1に供給される疵発生防止 剤Mとしては、第1の実施形態の場合と同様に 例えばアルカリ金属あるいはアルカリ土類 属の硫酸塩、アルカリ金属あるいはアルカ 土類金属の塩化物塩、塩化物塩、アルカリ 属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩、酸 物セラミックス、窒化物セラミックス、お び金属硫化物からなる群から選択される1種 以上の粉体が好ましく、硫酸ナトリウム、芒 硝(硫酸ナトリウムの十水塩)または炭酸カル ウムの粉体がより好ましい。疵発生防止剤M の平均粒径は、例えば20μm以下程度が好まし が、ガラスリボン6に疵発生防止剤Mを均一 付着させることが可能であれば、粒度につ て特に限定はない。

 次に図7に示すように、保持容器41は、容 本体41aと、容器本体41aの内部に立設された 対の隔壁部41bとから構成されている。容器 体41aの内部空間が一対の隔壁部41bによって3 つに区画されている。すなわち、容器本体41a には、隔壁部同士の間に位置する保持室41cと 、保持室41cの両側に隔壁部41bを介して配置さ れた回収室41dとが形成されている。そして、 保持室41c及び回収室41dは、ガラスリボン6の 動方向Lに沿って回収室41d、保持室41c、回収 41dの順に並ぶように配置されている。また 容器本体41aのガラスリボン6と対向する位置 には開口部41eが設けられ、この開口部41eによ って、保持室41c及び回収室41dが開放されてい る。また、保持室41cには供給管61が取り付け れており、帯電化装置51によって帯電され 疵発生防止剤Mが供給されるようになってい 。

 また、回収室41dにはガス導出配管41hが備え れており、保持室41cから回収室41dに回収さ た疵発生防止剤Mを含む導入ガスを、徐冷炉 3の外部に排出できるようになっている。
 すなわち、回収室41dは、隔壁部41bによって 持室41cと区画されているが、この隔壁部41b 上端部41b1は、容器本体41aの上端部41a1より 下側に位置している。これにより、保持室41 cに供給された疵発生防止剤Mの一部がガラス ボン6に付着せずに周囲に飛散した場合に、 飛散した疵発生防止剤Mを容器本体41aの上端 41a1によって堰き止め、回収室41dに回収でき 形になっている。
 また、回収室41dには、回収室41d内の雰囲気 吸引して取り出すためのガス導出管41hが取 付けられており、回収室41dに回収された疵 生防止剤Mを保持容器41及び徐冷炉3の外部に 排出できるようになっている。上記構成の回 収室41dを保持室41cの両側に設置することによ って、疵発生防止剤Mの徐冷炉3内部への飛散 防止し、疵発生防止剤Mによる徐冷炉3内の 染が防止でき、また外部に取り出した疵発 防止剤Mを再利用できる。

 保持容器41は、雰囲気温度が700℃前後に る徐冷炉3の入口近傍に設置されることから 保持容器41を構成する容器本体41a及び隔壁 41b等の部材はいずれも、耐熱性を有する材 で構成されることが好ましい。また、保持 器41には、帯電された疵発生防止剤Mが収納 れることから、容器本体41a、隔壁部41b及び 流部材53b等の構成部材はいずれも、絶縁性 有する材料で構成されることが好ましい。 熱性及び絶縁性を満たす材料としては、石 ガラス、アルミナ系セラミックスに代表さ る各種の耐熱性セラミックスを例示できる

 また、保持容器41の開口部41eとガラスリ ン6との距離は、第1の実施形態の場合と同様 に、例えば2~5cm程度に設定するとよい。

 次に、供給管61は、帯電された疵発生防止 を保持容器41に供給する配管であり、一部が 徐冷炉3の外部に配設され、残部が徐冷炉内 に配設される。また、供給管61の内部を帯電 された疵発生防止剤Mが搬送される。従って 供給管61についても耐熱性を有する材料で構 成されることが好ましい。耐熱性絶縁性を満 たす材料としては、石英ガラス、アルミナ系 セラミックスに代表される各種の耐熱性セラ ミックスを例示できる。
 また、供給管61の途中には、疵発生防止剤 円滑に輸送するとともに再帯電化する誘導 極61aを設置することが好ましい。誘導電極61 aは、図7に示すように、供給管61における疵 生防止剤の流れ方向に沿って突出形成され 棒状の電極である。この誘導電極61aは、帯 電極52が接続される電源装置に接続されてい てもよく、別の電源装置に接続されていても よい。

 次に、ガラスリボン6に緩衝層を形成する方 法について説明する。
 まず、帯電化装置51の帯電・流動部51c1に疵 生防止剤Mを供給する。そして、例えば乾燥 空気、窒素等をガス導入配管53dからガス導入 部51c2に供給する。なお、徐冷炉3内部の温度 影響を与えない様、乾燥空気等は乾燥空気 は加熱後導入しても良い。ガス導入部51c2に 供給された乾燥空気等は、整流部材53bを通過 して整流部材53bの上面全面から帯電・流動部 51c1に均一に噴出される。この噴出された乾 空気等によって粉体からなる疵発生防止剤M 舞い上げられ、疵発生防止剤Mが流動状態に なる。
 このとき、帯電電極52に電力を供給するこ によって、疵発生防止剤Mを例えばマイナス 帯電させる。帯電条件としては、疵発生防 剤Mの種類、形成しようとする緩衝層の厚み 、単位時間当たりのコーティング量によるが 、例えば、10kV以上、100μA以上とすることが ましい。
 帯電された疵発生防止剤Mは、乾燥空気等と ともに供給管61に送り出される。

 供給管61に送りだされた疵発生防止剤Mは 乾燥空気等の流れに乗って輸送される。ま 、誘導電極61aの近傍を通過する際に、輸送 度が加速されたり、一部の疵発生防止剤に いては再帯電化されたりする。徐冷炉3内部 の温度に影響を与えない様、乾燥空気等は加 熱後導入しても良い。

 そして、供給管61を介して保持容器41の保 持室41cに供給された疵発生防止剤Mは、乾燥 気の流れに乗るとともに、引出電極12によっ てガラスリボン6の下面6aに向けて誘導される 。また、ガラスリボン6自体は、概ねプラス 帯電している。したがって、疵発生防止剤M ガラスリボン6の下面6aに均一に付着して緩 層Bを形成する。なお、ガラスリボン6自体 プラスに帯電しているので、引出電極12がな くても乾燥空気等の流動により、マイナスに 帯電している疵発生防止剤Mは緩衝層Bを形成 きるが、引出電極があったほうが、効率よ 緩衝層を形成できる。

 なお、帯電されずにガラスリボン6に付着 されなかった疵発生防止剤Mや、帯電された ガラスリボン6には付着されなかった疵発生 止剤Mは、乾燥空気等によって保持室41cを経 て回収室41dに落下し、ガス導出管41hを介して 乾燥空気等とともに保持容器41の外部に取り される。これにより、徐冷炉3内部の汚染が 低減されるとともに、外部に取り出した疵発 生防止剤Mを再利用できる。

 ガラスリボン6の下面6aに形成された緩衝 Bによって、ガラスリボン6の下面6aにレヤー ロール3bが接触しても、緩衝層の存在によっ ガラスリボン6の疵の発生が防止される。ま た、緩衝層B自体は、静電効果によって付着 ているだけなので、水洗等によって容易に い流すことが可能である。従って緩衝層Bが ガラスの品質に影響を及ぼすおそれはない

 以上説明したように、本実施形態によれ 、第1の実施形態の場合と同様に、ガラスリ ボン6の下面6aに疵発生防止剤Mからなる緩衝 Bを静電塗装法により形成するので、疵発生 止剤Mが徐冷炉3内部に飛散するおそれがな 、徐冷炉3内の設備の劣化を防止することが きる。また、プラスに帯電したガラスリボ 6に対してマイナスに帯電させた疵発生防止 剤Mを付着させる、所謂静電塗装法によって 衝層Bを形成するので、ガラスの組成によら に緩衝層Bを形成することができ、液晶ディ スプレイ用の板ガラスのような、無アルカリ ガラスにも緩衝層Bが形成可能であり、疵の 生を防止できる。

 更に、帯電状態の疵発生防止剤Mを保持す る保持容器41と、帯電電極52及び帯電化保持 器53とを具備してなる帯電化装置51と、供給 61とから構成された形成装置31を用いるので 、帯電化装置51によって疵発生防止剤Mを流動 状態にして効率良く帯電させ、これを供給管 61によって供給することで、緩衝層Bの形成効 率が向上して緩衝層Bをガラスリボン6の下面6 a全面にもれなく形成できる。また、帯電化 置51が徐冷炉3の外部に設置されているので 疵発生防止剤Mの補給が容易になり、生産性 高めることができる。

 更にまた、本実施形態によれば、付着し れなかった疵発生防止剤Mを、回収室41d及び ガス導出管41hによって徐冷炉3の外部に排出 せるので、疵発生防止剤Mによって徐冷炉3内 部が汚染されるおそれがなく、また外部に取 り出した疵発生防止剤Mを再利用できる。

 なお、本発明の技術範囲は上記実施の形 に限定されるものではなく、本発明の趣旨 逸脱しない範囲において種々の変更を加え ことが可能である。例えば上記の各実施形 においては、緩衝層Bの形成を静電塗装方法 により行ったが、本発明はこれに限定されず 、疵発生防止剤Mを帯電させて、ガラスリボ 6の下面6aに向けて流動させることが出来る 法であればよく、たとえば静電スプレーを 用しても良い。また、ガラスリボン6自体は ラスに帯電しているので、引出電極12がな ても乾燥空気等の流動によりマイナスに帯 している疵発生防止剤Mをガラスリボン側に 導できる場合があるので、引出電極は省略 てもよい。

 以下、実施例によって本発明を更に詳細に 明する。
 本実施例における評価方法としては、(i)疵 生防止剤の付着量の評価(単位面積(1mm 2 )あたりの付着量)、(ii)摩擦係数測定器による ガラスリボンの常温摩擦係数の変化、(iii)実 のガラス板での単位面積当たりの傷発生数( 個/m 2 )の変化、の3項目を評価項目として用いた。( ii)は、(株)新東科学製のトライボステーショ (TYPE32)を用いて測定し、ガラスサンプルの を直径8mmのボール型接触子を加重50gで擦っ 場合の摩擦係数を測定した。

「実験1」
 図1~図5に示す構成の緩衝層形成装置(第1の 施の形態。以下装置1という)をガラスの製造 設備に組み込んで評価した。疵発生防止剤は 、平均粒径10μm(最大粒径50μm)の硫酸ナトリウ ム(粉砕品)、ガラスリボンはソーダライムガ ス、またガラスリボンの搬送速度は400m/時 とした。帯電化保持容器の設置温度は550℃ あった。また、帯電条件(実施例1)は、30kV、1 0mA(針状電極の数:50本、1本当り200μA)、帯電化 保持容器の大きさは、長さ5m、幅20cmとした。 また、帯電化保持容器の開口部とガラスリボ ンの下面との距離は50mmとした。この条件で 緩衝層の形成を行った。

 その結果、疵発生防止剤の付着量は150個/mm 2 となった。また、ガラスリボンの常温摩擦係 数の変化については、形成しない場合は0.620 緩衝層を形成した場合は0.168であり、摩擦 数が0.452減少した。更に、実際のガラス板に おける単位面積当たり(個/m 2 )の傷発生数の変化は、緩衝層を形成しなか た場合に100~200個/m 2 であったのに対し、緩衝層を形成した場合は 5個/m 2 であった。
 以上のように、緩衝層を形成することによ て、疵の発生を大幅に低減できることが分 った。

「実験2」
 装置1と、図7~8に示す構成の緩衝層形成装置 (第2の実施の形態。以下装置2という)をそれ れ、ガラスの製造設備に組み込んで評価し 。実験2は帯電条件を表1(実施例2~9)に示すと りに変えて、それ以外の実験条件は実験1と 同様にして緩衝層の形成を行った。

「実験3」
 従来技術と比較するために、ガラス製造設 の徐冷層内部にSO 2 を導入し、ガラス成分とSO 2 とを反応させて硫酸ナトリウムからなる緩衝 層を形成させた(比較例1)。

「評価」
 実験2及び3で形成した緩衝層について、実 1と同様の評価項目の測定を行いその結果を 1に示す。なお、緩衝層の形成を一切行わな かったガラスサンプルも同様の測定を行い、 比較例2として表1に示す。

 表1に示すように、実施例1~9は、従来例であ る比較例1と同程度かそれよりも少ない疵発 頻度を示し、疵発生の防止効果が優れてい ことが判明した。
 また、実施例1~9については、摩擦係数及び の発生頻度が粒子の付着量に反比例して小 くなることがわかり、付着量は特に電流量 相関があることが確認された。
 また、今回の緩衝層の形成にあたり、徐冷 の後段に設置された欠点検出器の誤作動は こらず、付着させた緩衝層は洗浄により簡 に除去でき、また、徐冷炉内の汚染も確認 れなかった。
 したがって、本発明により、従来のSO 2 を用いずに緩衝層を形成できるので、設備を 腐食させることなく、また設備下流の欠点検 出器に誤動作させることもなく、疵の発生を 抑制できる。また、本発明ではガラスの組成 を選ばないので、特に無アルカリガラスであ る液晶ディスプレイ用の板ガラスに緩衝層を 形成し、疵の発生を抑制できる。更に徐冷炉 の後段に設置された欠点検出器の誤作動を起 こすこともない。

 本発明は、フロート法を用いた板ガラスの 造方法に適用でき、特にフロート法を用い 高品質の板ガラスの製造方法に好ましく適 できる。
 
 なお、2007年4月3日に出願された日本特許出 2007-097203号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。