Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING GROUP III NITRIDE SEMICONDUCTOR LIGHT EMITTING DEVICE, GROUP III NITRIDE SEMICONDUCTOR LIGHT EMITTING DEVICE AND LAMP
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102646
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a Group III nitride semiconductor light emitting device, comprising the interlayer forming step of forming an interlayer containing a Group III nitride on a substrate by sputtering method and the laminated semiconductor forming step of sequentially superimposing an n-type semiconductor layer with foundation layer, a light emitting layer and a p-type semiconductor layer on the interlayer, wherein the pretreatment step of carrying out plasma treatment on the interlayer is interposed between the interlayer forming step and the laminated semiconductor forming step, and wherein the step of forming the foundation layer involved in the laminated semiconductor forming step is the step of forming the foundation layer by sputtering method.

Inventors:
SASAKI YASUMASA (JP)
MIKI HISAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052023
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 07, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SHOWA DENKO KK (JP)
SASAKI YASUMASA (JP)
MIKI HISAYUKI (JP)
International Classes:
H01L33/06; H01L33/12; H01L33/32; H01L33/42; H01L33/56; H01L33/62
Foreign References:
JP2001094150A2001-04-06
JP2003347580A2003-12-05
JP2006036561A2006-02-09
JPH0936427A1997-02-07
JPH09205254A1997-08-05
JPH11354846A1999-12-24
JPH11243056A1999-09-07
JP2005244202A2005-09-08
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (MarunouchiChiyoda-k, Tokyo 20, JP)
Download PDF:
Claims:
 基板上に、少なくともIII族窒化物を含有する中間層をスパッタ法により形成する中間層形成工程と、
 前記中間層上に、下地層を有するn型半導体層、発光層、及びp型半導体層を順次積層する積層半導体形成工程とを具備してなり、
 前記中間層形成工程と前記積層半導体形成工程との間に、前記中間層に対してプラズマ処理を行う前処理工程が備えられ、かつ、前記積層半導体形成工程に含まれる前記下地層の形成工程が、前記下地層をスパッタ法によって成膜する工程であることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記中間層形成工程が第1のチャンバ内で行われると共に、前記下地層を形成する工程が第2のチャンバ内で行われ、
 前記中間層形成工程と前記前処理工程との間で、前記中間層が形成された前記基板を前記第1のチャンバから大気中に取り出す操作を行うことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程は、窒素、アルゴン、または窒素とアルゴンとの混合ガスのいずれかを含有する前処理ガスを前記中間層の表面に流通させて行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程は、窒素を含有する前処理ガスを前記中間層の表面に流通させて行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程は、前記前処理ガス中の窒素の分圧が1×10 -2 ~10Paの範囲であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程は、前記前処理ガスの圧力を0.01~5Paの範囲として行なわれることを特徴とする請求項3から請求項5の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記第2チャンバ内の残存酸素分圧が2.0×10 -6 Pa以下であることを特徴とする請求項2から請求項6の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程は、処理時間を30秒~7200秒の範囲として行なわれることを特徴とする請求項3から請求項7の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程は、処理時間を60秒~1,800秒の範囲として行なわれることを特徴とする請求項3から請求項7の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程は、前記基板の温度を25℃~1,000℃の範囲として行なわれることを特徴とする請求項3から請求項9の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程は、前記基板の温度を400~900℃の範囲として行なわれることを特徴とする請求項3から請求項9の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程及び前記下地層の形成工程を同一のチャンバ内で行うことを特徴とする請求項1から請求項11の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程におけるプラズマ処理が逆スパッタ処理であることを特徴とする請求項1から請求項12の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程が、高周波を用いた電源によってプラズマを発生させることにより逆スパッタを行なう工程であることを特徴とする請求項13に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程が、高周波を用いた電源によって窒素プラズマを発生させることにより、逆スパッタを行なう工程であることを特徴とする請求項13に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記前処理工程において、50mm径の基板1枚当たりに1~200Wのバイアスを印加することを特徴とする請求項13から請求項15の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記中間層を、柱状結晶として形成することを特徴とする請求項1から請求項16の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記中間層を、前記基板表面の少なくとも90%を覆うように形成することを特徴とする請求項1から請求項17の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記中間層を構成する前記柱状結晶のグレインの幅の平均値が1~100nmの範囲であることを特徴とする請求項17に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記中間層を構成する前記柱状結晶のグレインの幅の平均値が1~70nmの範囲であることを特徴とする請求項17に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記中間層の膜厚が、10~500nmの範囲とされていることを特徴とする請求項1から請求項20の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記中間層の膜厚が、20~100nmの範囲とされていることを特徴とする請求項1から請求項20の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記中間層が、Alを含む組成からなることを特徴とする請求項1から請求項22の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記中間層が、AlNからなることを特徴とする請求項23に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記下地層が、GaN系化合物半導体からなることを特徴とする請求項1から請求項23の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 前記下地層が、AlGaNからなることを特徴とする請求項25に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
 請求項1から請求項26の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法によって製造されたことを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
 基板上に、III族窒化物を含有する中間層、下地層を有するn型半導体層、発光層、及びp型半導体層が積層されてなり、前記中間層の前記下地層側の面に、プラズマ処理を含む前処理が施されてなることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
 前記プラズマ処理が、高周波を用いた電源によって発生された窒素プラズマを前記中間層の前記下地層側の面に暴露させる処理であることを特徴とする請求項28に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
 請求項27から請求項29の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子が備えられてなることを特徴とするランプ。
Description:
III族窒化物半導体発光素子の製 方法及びIII族窒化物半導体発光素子並びに ンプ

 本発明は、発光ダイオード(LED)、レーザダ オード(LD)、電子デバイス等に好適に用いら るIII族窒化物半導体発光素子の製造方法及 III族窒化物半導体発光素子並びにランプに する。
 本願は、2007年2月21日に出願された特願2007-0 40691号に基づき優先権を主張し、その内容を こに援用する。

 III族窒化物半導体発光素子は、可視光から 外光領域の範囲に相当するエネルギーの直 遷移型のバンドギャップを有し、発光効率 優れていることから、LEDやLD等の発光素子 して好適に用いられている。
 また、III族窒化物半導体を用いた電子デバ スは、従来のIII-V族化合物半導体を用いた 合に比べ、優れた特性を有する。

 従来、III-V族化合物半導体を形成するには 異なる材質からなる単結晶ウェーハ上に、II I-V族化合物半導体結晶を成長させる方法が一 般的である。このような、異種基板と、その 上にエピタキシャル成長させるIII-V族化合物 導体結晶との間には、大きな格子不整合が 在する。例えば、サファイア(Al 2 O 3 )基板上に窒化ガリウム(GaN)を成長させた場合 、両者の間には16%の格子不整合が存在するし 、SiC基板上に窒化ガリウムを成長させた場合 には、両者の間に6%もの格子不整合が存在す 。
 一般には、上述のような大きな格子不整合 存在する場合、基板上に結晶を直接エピタ シャル成長させることが困難となり、また 成長させた場合であっても結晶性が低下す とともに結晶の稠密性が低下するという問 がある。

 そこで、基板とIII-V族化合物半導体結晶 の間に、両者の格子不整合を解消させる所 バッファ層と呼ばれる層を形成することが 般に行われている。例えば、特許文献1及び2 には、サファイア単結晶基板もしくはSiC単結 晶基板の上にIII族窒化物半導体結晶を有機金 属化学気相成長(MOCVD)法によってエピタキシ ル成長させる際に、基板上に予め窒化アル ニウム(AlN)や窒化アルミニウムガリウム(AlGaN )からなる低温バッファ層と呼ばれる層を例 ば400~600℃の温度でエピタキシャル成長させ その上に例えば1,000℃程度の高温でIII族窒 物半導体結晶をエピタキシャル成長させる 法が提案されている。

 また、上記バッファ層をMOCVD法以外の方法 成膜する技術も提案されている。例えば、 周波スパッタ法で成膜したバッファ層上に MOCVD法によって同じ組成の結晶層を成長させ る方法が提案されている(特許文献3)。
 しかしながら、特許文献3に記載の方法では 、バッファ層上に形成する結晶層の結晶性が 低下するとともに結晶の稠密性が低下してし まい、安定して良好な結晶層を積層すること ができないという問題がある。

 そこで、特許文献4には、安定して良好な結 晶層を得るために、バッファ層を成長させた 後、アンモニアと水素とからなる混合ガス中 でアニールする方法が開示されている。
 また、特許文献5には、50~3,000Åの厚みのバ ファ層を400℃以上の温度でDCスパッタによ て成膜してから、アンモニアと水素とから る混合ガス中でアニールする方法が開示さ ている。
 また、これら特許文献4、5では、基板に用 る材料として、サファイア、シリコン、炭 シリコン、酸化亜鉛、リン化ガリウム、ヒ ガリウム、酸化マグネシウム、酸化マンガ 、およびIII族窒化物半導体単結晶等が挙げ れ、この中でもサファイアのa面基板が最も 合することが記載されている。
 しかしながら、アンモニアと水素との混合 スという極めて還元性が高い厳しい条件で ニールすると、バッファ層のダメージが大 くなり、その結果、バッファ層上に形成す 結晶層の稠密性が十分に向上しないという 題があった。また、バッファ層のみならず 板に対するダメージも大きいという問題も った。

 III族窒化物半導体結晶をスパッタ法によっ 形成する研究も行われている。例えば、下 特許文献6には、高抵抗のGaNを積層すること を目的として、サファイア基板上に直接スパ ッタ法によるGaNの成膜を実施している。成膜 条件は、到達真空度5×10 -7 ~10 -8 Torr、チャンバ内流通ガスはArと N 2 、スパッタ時ガス圧3~5×10 -2 Torr、RF電圧0.7~0.9kV(パワーにして20~40W)、基板 ターゲットとの距離20~50mm、基板温度150~450 である。
 しかし、この特許文献6の記載された化合物 半導体は、MIS素子を用途とするものであって 、サファイア基板上にバッファ層、n型のIII 窒化物半導体結晶層、発光層、及びp型のIII 窒化物半導体結晶層が順次積層されてなるL EDに関するものではない。

 また、下記非特許文献1には、N 2 ガスを用いた高周波マグネトロンスパッタリ ングによってSi(100)面およびAl 2 O 3 (0001)面上にGaN膜を成膜したと記載されている 。成膜の条件としては、全ガス圧力は2mTorr、 投入電力は100Wとし、基板温度を室温から900 まで変化させている。論文に掲げられた図 よれば、用いた装置ではターゲットと基板 を対向させている。
 また、下記非特許文献2では、カソードとタ ーゲットとを向かい合わせ、基板とターゲッ トとの間にメッシュを入れた装置でGaNを成膜 している。これによると、成膜条件はN 2 ガス中で圧力を0.67Paとし、基板温度は84~600℃ であり、投入電力は150W、基板とターゲット の距離は80mmとされている。しかしながら、 れら非特許文献1及び2には、バッファ層に する前処理に関する記述はない。

 また、下記特許文献7には、半導体層上に電 極を形成する際に、半導体層に対する前処理 としてArガスを用いて逆スパッタを行なう方 が開示されている。
 しかしながら、特許文献7に記載された方法 によれば、III族窒化物半導体層の表面に逆ス パッタを施してから、蒸着法によって金属層 を形成することによって半導体層と電極との 間の電気的接触特性を改善が可能とされてい るだけであり、バッファ層の前処理と、その バッファ層に上に積層するIII族窒化物半導体 層の稠密性との関係については何らの記載も ない。

特許第3026087号公報

特開平4-297023号公報

特公平5-86646号公報

特許第3440873号公報

特許第3700492号公報

特開昭60-39819号公報

特開平8-264478号公報 21世紀連合シンポジウム論文集、Vol 2nd p295(2003) Vacuum、Vol66、P233(2002)

 上記のように、バッファ層を形成してから ンモニア-水素混合雰囲気中でアニール処理 し、その後、半導体層を形成する技術は知ら れているが、アニール処理が極めて還元性の 高い雰囲気中で行われるため、バッファ層及 び基板の劣化が激しく、半導体層の結晶の稠 密性が期待したほどは向上しないという問題 があった。
 また、バッファ層の形成後に、III族窒化物 導体をスパッタ法にて形成する際に、バッ ァ層の成膜後の基板を大気中に一旦取り出 工程が必要になる場合がある。これは、ス ッタ法では、製膜する膜の材質によりスパ タチャンバが厳密に設計されるため、組成 機能の異なる膜を製膜する際には異なるチ ンバを使用するのが一般的なためである。
 しかし、バッファ層が大気中に暴露させる 、バッファ層の最表面が変質する場合があ 。この変質したバッファ層の上にIII族窒化 半導体層を形成しようとすると、III族窒化 半導体層にダメージ層が発生し、更に半導 結晶中に多数のボイド(空隙)が生じて稠密 が低下する問題があった。

 本発明は上記課題に鑑みてなされたもの あり、基板上に、均一性の良い結晶膜を短 間で成膜することが可能な方法であって、 晶性及び結晶の稠密性がともに良好なIII族 化物半導体をバッファ層として機能する中 層上に成長させることができ、生産性に優 るとともに、優れた発光特性を備えたIII族 化物半導体発光素子の製造方法及びIII族窒 物半導体発光素子並びにランプを提供する とを目的とする。

 本発明者等は、上記問題を解決するために 意検討した結果、スパッタ法による中間層 成膜後に中間層の前処理を適切に行なうこ で、III族窒化物半導体との間で結晶の格子 造が整合するように中間層を最適化させる とができ、III族窒化物半導体結晶を安定し 良好な結晶として得られることを見出し、 発明を完成した。
 即ち、本発明は以下に関する。

[1] 基板上に、III族窒化物を含有する中間層 スパッタ法により形成する中間層形成工程 、前記中間層上に、下地層を有するn型半導 体層、発光層、及びp型半導体層を順次積層 る積層半導体形成工程とを具備してなり、 記中間層形成工程と前記積層半導体形成工 との間に、前記中間層に対してプラズマ処 を行う前処理工程が備えられ、かつ、前記 層半導体形成工程に含まれる前記下地層の 成工程が、前記下地層をスパッタ法によっ 成膜する工程であることを特徴とするIII族 化物半導体発光素子の製造方法。
[2] 前記中間層形成工程が第1のチャンバ内で 行われると共に、前記下地層を形成する工程 が第2のチャンバ内で行われ、前記中間層形 工程と前記前処理工程との間で、前記中間 が形成された前記基板を前記第1のチャンバ ら大気中に取り出す操作を行うことを特徴 する[1]に記載のIII族窒化物半導体発光素子 製造方法。
[3] 前記前処理工程は、窒素、アルゴン、ま は窒素とアルゴンとの混合ガスのいずれか 含有する前処理ガスを前記中間層の表面に 通させて行なうことを特徴とする[1]または[ 2]に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造 法。
[4] 前記前処理工程は、窒素を含有する前処 ガスを前記中間層の表面に流通させて行な ことを特徴とする[1]または[2]に記載のIII族 化物半導体発光素子の製造方法。
[5] 前記前処理工程は、前記前処理ガス中の 素の分圧が1×10 -2 ~10Paの範囲であることを特徴とする[3]または[ 4]に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造 法。
[6] 前記前処理工程は、前記前処理ガスの圧 を0.01~5Paの範囲として行なわれることを特 とする[3]から[5]の何れかに記載のIII族窒化 半導体発光素子の製造方法。
[7] 前記第2チャンバ内の残存酸素分圧が2.0×1 0 -6 Pa以下であることを特徴とする[2]から[6]の何 かに記載のIII族窒化物半導体発光素子の製 方法。
[8] 前記前処理工程は、処理時間を30秒~7,200 の範囲として行なわれることを特徴とする[3 ]から[7]の何れかに記載のIII族窒化物半導体 光素子の製造方法。
[9] 前記前処理工程は、処理時間を60秒~1,800 の範囲として行なわれることを特徴とする[3 ]から[7]の何れかに記載のIII族窒化物半導体 光素子の製造方法。
[10] 前記前処理工程は、前記基板の温度を25 ~1,000℃の範囲として行なわれることを特徴 する[3]から[9]の何れかに記載のIII族窒化物 導体発光素子の製造方法。
[11] 前記前処理工程は、前記基板の温度を400 ~900℃の範囲として行なわれることを特徴と る[3]から[9]の何れかに記載のIII族窒化物半 体発光素子の製造方法。
[12] 前記前処理工程及び前記下地層の形成工 程を同一のチャンバ内で行うことを特徴とす る[1]から[11]の何れかに記載のIII族窒化物半 体発光素子の製造方法。
[13] 前記前処理工程におけるプラズマ処理が 逆スパッタ処理であることを特徴とする[1]か ら[12]の何れかに記載のIII族窒化物半導体発 素子の製造方法。
[14] 前記前処理工程が、高周波を用いた電源 によってプラズマを発生させることにより逆 スパッタを行なう工程であることを特徴とす る[13]に記載のIII族窒化物半導体発光素子の 造方法。
[15] 前記前処理工程が、高周波を用いた電源 によって窒素プラズマを発生させることによ り、逆スパッタを行なう工程であることを特 徴とする[13]に記載のIII族窒化物半導体発光 子の製造方法。
[16] 前記前処理工程において、50mm径の基板1 当たりに1~200Wのバイアスを印加することを 徴とする[13]から[15]の何れかに記載のIII族 化物半導体発光素子の製造方法。
[17] 前記中間層を、柱状結晶として形成する ことを特徴とする[1]から[16]の何れかに記載 III族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[18] 前記中間層を、前記基板表面の少なくと も90%を覆うように形成することを特徴とする [1]から[17]の何れかに記載のIII族窒化物半導 発光素子の製造方法。
[19] 前記中間層を構成する前記柱状結晶のグ レインの幅の平均値が1~100nmの範囲であるこ を特徴とする[17]に記載のIII族窒化物半導体 光素子の製造方法。
[20] 前記中間層を構成する前記柱状結晶のグ レインの幅の平均値が1~70nmの範囲であること を特徴とする[17]に記載のIII族窒化物半導体 光素子の製造方法。
[21] 前記中間層の膜厚が、10~500nmの範囲とさ ていることを特徴とする[1]から[20]の何れか に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方 法。
[22] 前記中間層の膜厚が、20~100nmの範囲とさ ていることを特徴とする[1]から[20]の何れか に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方 法。
[23] 前記中間層が、Alを含む組成からなるこ を特徴とする[1]から[22]の何れかに記載のIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[24] 前記中間層が、AlNからなることを特徴と する[23]に記載のIII族窒化物半導体発光素子 製造方法。
[25] 前記下地層が、GaN系化合物半導体からな ることを特徴とする[1]から[23]の何れかに記 のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[26] 前記下地層が、AlGaNからなることを特徴 する[25]に記載のIII族窒化物半導体発光素子 の製造方法。
[27] [1]から[26]の何れかに記載のIII族窒化物 導体発光素子の製造方法によって製造され ことを特徴とするIII族窒化物半導体発光素 。
[28] 基板上に、III族窒化物を含有する中間層 、下地層を有するn型半導体層、発光層、及 p型半導体層が積層されてなり、前記中間層 前記下地層側の面に、プラズマ処理を含む 処理が施されてなることを特徴とするIII族 化物半導体発光素子。
[29] 前記プラズマ処理が、高周波を用いた電 源によって発生された窒素プラズマを前記中 間層の前記下地層側の面に暴露させる処理で あることを特徴とする[28]に記載のIII族窒化 半導体発光素子。
[30] [27]から[29]の何れかに記載のIII族窒化物 導体発光素子が備えられてなることを特徴 するランプ。

 本発明のIII族窒化物半導体発光素子の製 方法及びIII族窒化物半導体発光素子によれ 、基板上に結晶性及び結晶の稠密性がとも 良好なIII族窒化物半導体を効率良く成長さ ることができ、生産性に優れるとともに、 れた発光特性を備えたIII族窒化物半導体発 素子が得られる。

図1は、本発明に係るIII族窒化物半導体 発光素子の一例を示す断面模式図である。 図2は、本発明に係るIII族窒化物半導体 発光素子の一例を示す平面模式図である。 図3は、本発明に係るIII族窒化物半導体 発光素子を構成する積層半導体を示す断面模 式図である。 図4は、本発明に係るIII族窒化物半導体 発光素子を備えたランプの断面模式図である 。 図5は、本発明に係るIII族窒化物半導体 発光素子の製造方法において使用されるスパ ッタ装置の構成を示す概略図である。 図6は、実施例1において製造した試料 断面TEM像である。 図7は、実施例1において製造した試料 下地層表面のAFM像である。 図8は、比較例1において製造した試料 断面TEM像である。 図9は、比較例1において製造した試料 下地層表面のAFM像である。

符号の説明

1…発光素子(III族窒化物半導体発光素子)      2…ランプ
10…積層半導体                                  11…基板
11a…基板表面                                  12…中間層
14…n型半導体層                               14a…下地層
15…発光層                                      16…p型半導体層
17…透光性正極     

 以下に、本発明のIII族窒化物半導体発光素 及びその製造方法並びにIII族窒化物半導体 光素子を備えたランプの実施形態について 図面を適宜参照しながら説明する。
 図1は本実施形態のIII族窒化物半導体発光素 子の断面模式図であり、図2はIII族窒化物半 体発光素子の平面模式図であり、図3はIII族 化物半導体発光素子を構成する積層半導体 断面模式図である。また、図4は本実施形態 のIII族窒化物半導体発光素子を備えたランプ の断面模式図である。
 尚、以下の説明において参照する図面は、I II族窒化物半導体発光素子及びその製造方法 びにランプを説明する図面であり、図示さ る各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のI II族窒化物半導体発光素子等の寸法関係とは なっている。

『III族窒化物半導体発光素子』
 本実施形態のIII族窒化物半導体発光素子は 基板上に、III族窒化物を含有する中間層、 地層を有するn型半導体層、発光層、及びp 半導体層が積層されてなり、前記中間層の 記下地層側の面に、プラズマ処理を含む前 理が施されて概略構成されている。なお、 記プラズマ処理は、高周波を用いた電源に って発生された窒素プラズマを前記中間層 前記下地層側の面に暴露させる処理である
 III族窒化物半導体発光素子(以下、発光素子 という。)のより具体的な構成について図1~図 3を参照して説明する。
 この発光素子1は、基板11と、基板11の一面11 a上に積層された中間層12と、中間層12上に積 されたn型半導体層14と、n型半導体層14上に 層された発光層15と、発光層15上に積層され たp型半導体層16と、p型半導体層16上に積層さ れた透光性正極17と、透光性正極17上に形成 れた正極ボンディングパッド18と、n型半導 層14に取り付けられた負極ボンディングパッ ド19とから構成されている。
 また、図3に示すように、n型半導体層14、発 光層15、及びp型半導体層16によって積層半導 10が構成されている。積層半導体10を構成す るn型半導体層14は、下地層14a、n型コンタク 層14b、及びn型クラッド層14cから構成されて る。図1及び図2に示すように、n型コンタク 層14bの一部が露出されており、この露出さ た部分に負極ボンディングパッド19が接合 れている。また、中間層12の下地層14a側の一 面12aにプラズマ処理が施され、この一面12a上 に下地層14aが積層されている。
 以下、発光素子1を構成する各層について順 次詳細に説明する。

[基板11]
 III族窒化物半導体結晶が表面上に形成され 基板11の材質は特に限定されず、各種の材 を選択して用いることができる。例えば、 ファイア、SiC、シリコン、酸化亜鉛、酸化 グネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニ ム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウ アルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化 リウム、酸化インジウム、酸化リチウムガ ウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネ ジウムガリウム、酸化ランタンストロンチ ムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチ ムチタン、酸化チタン、ハフニウム、タン ステン、およびモリブデン等が挙げられ、 にサファイアが好ましい。また、基板11の表 面11aは、サファイアのc面またはa面のいずれ もよいが、特にc面で構成されることが好ま しい。

[中間層12]
 本実施形態の発光素子においては、基板11 に、スパッタ法によってIII族窒化物を含有 る中間層12が形成されている。中間層12は、 パッタ法により、例えば、金属原料とV族元 素を含んだガスとがプラズマで活性化されて 反応することで形成される。
 中間層12は、基板11の表面11aの全面積のうち 少なくとも60%以上の面積を覆っていることが 好ましく、80%以上の面積を覆っていることが より好ましい。さらに、90%以上を覆うように 形成されていることが、基板11のコート層と ての機能面から好ましく、特に、基板11の 面11a上を隙間無く覆うように形成されてい ことが最も好ましい。中間層12が基板11を覆 ておらず、基板11の表面が露出していると 中間層12上に成膜される下地層14aの一部が基 板11の表面11aから成長することになるが、基 11の表面11aに露出される結晶と下地層14aと 間では格子定数が大きく異なるため、下地 14aが均一な結晶とならず、ヒロックやピッ を生じてしまうおそれがあるので好ましく い。

 中間層12は、柱状結晶の集合体からなる とが、基板11とn型半導体層14との格子不整合 を緩和するバッファ層として良好に機能する 点で好ましい。n型半導体層を構成するIII族 化物半導体結晶は、六方晶系の結晶構造を し、六角柱を基本とした集合組織を形成し すい。特に、プラズマ化した金属材料を用 る成膜方法によって形成された膜は、柱状 晶となりやすい。従って、柱状結晶からな 中間層12を基板11上に成膜することによって 中間層12がバッファ層として有効に作用し その上に成膜されたIII族窒化物半導体結晶 らなるn型半導体層14が良好な結晶性を持つ 晶膜となる。

 また、中間層12は、前記柱状結晶の各々 グレインの幅の平均値が、1~100nmの範囲とさ ていることが、バッファ層としての機能面 ら好ましく、1~70nmの範囲とされていること より好ましい。n型半導体層を構成するIII族 窒化物半導体結晶の結晶性を良好にするため には、中間層12を構成する柱状結晶の各々の 晶のグレインの幅を適正に制御する必要が り、具体的には、上記範囲とすることが好 しい。中間層12の結晶グレインの幅は、断 TEM観察などにより容易に測定することが可 である。

 中間層12の結晶グレインは、上述したよ な略柱状の形状をしていることが望ましく 中間層12は、柱状のグレインが集合して層を 成していることが望ましい。ここで、上述し たグレインの幅とは、中間層12が柱状グレイ の集合体である場合は、結晶の界面と界面 の距離のことをいう。一方、グレインが島 に点在する場合には、グレインの幅とは、 晶グレインが基板面に接する面の最も大き 部分のさし渡しの長さを言う。

 中間層12の膜厚は、10~500nmの範囲とされて いることが好ましく、20~100nmの範囲とされて ることがより好ましい。中間層12の膜厚が10 nm未満だと、バッファ層としての機能が充分 なくなる。また、500nmを超える膜厚で中間 12を形成した場合、バッファ層としての機能 には変化が無いのにも関わらず、成膜処理時 間が長くなり、生産性が低下する虞がある。

 中間層12は、Alを含有する組成とされている ことが好ましく、一般式AlGaInNで表されるIII 窒化物半導体であれば、どのような材料で 用いることができる。さらに、V族として、A sやPが含有される構成としても良い。
 中間層12を、Alを含んだ組成とした場合、中 でも、GaAlNとすることが好ましく、この際、A lの組成が50%以上とされていることが好まし 。また、中間層12は、AlNからなる構成とする ことにより、効率的に柱状結晶集合体とする ことができるので、より好ましい。

 中間層12と下地層14aとは、異なるスパッタ 膜装置で作製することが好ましい。スパッ 法では、製膜する膜の材質によりスパッタ ャンバが厳密に設計されるため、組成や機 の異なる膜を製膜する際には異なるチャン を使用するためである。
 しかしながら、スパッタ装置間の搬送の際 中間層12の表面が大気に晒されて汚染され 。大気中に曝される場合のみならず、搬送 置内やチャンバ内の汚染物質があると、そ 汚染物質により中間層12の表面12aに汚染層や ダメージ層が生じる。汚染層やダメージ層が 部分的に形成されると、この汚染層やダメー ジ層の影響が下地層14aに伝搬され、下地層14a 中に空隙(ボイド)が形成され、下地層14aの結 性及び結晶の稠密性が低下する。
 なお、結晶性が低下した状態とは、下地層1 4aの全体の結晶性が低下した状態の他に、下 層14aを構成する結晶粒自体の結晶性が低下 た状態を言う。また、結晶の稠密性が低下 た状態とは、下地層14aを構成する結晶粒同 の間に隙間や空隙(ボイド)が発生して、下 層14aの密度が低下した状態を言う。稠密性 低下すると、結晶粒同士の間に発生した隙 やボイドの存在によって、下地層14aのn型コ タクト層側の面が粗面になり、n型コンタク ト層の形成に大きな悪影響を与える。このよ うな下地層14aの結晶性及び結晶の稠密性の低 下は、下地層14aの上に積層するn型コンタク 層14b、n型クラッド層14c、発光層15、p型半導 層16にまで及び、発光素子1を構成するIII族 化物半導体結晶全体の結晶性が低下してし うことになる。特に、下地層14aの粗面化の 響は、発光層15に接するn型クラッド層14cに で及び、発光層15を形成する面が粗面にな 、発光特性が大幅に低下してしまうことに る。

 そこで、本発明においては、中間層12に 述するようにプラズマ処理を含む前処理工 を施こした。前処理工程が施されることに って、中間層12の表面12aに形成された汚染層 やダメージ層が除去されたり、中間層12が修 されたり、または中間層12に加わる応力が 和され、中間層12が安定した結晶層に変性さ れる。このように安定化された中間層12上に 成される下地層14aは、結晶性及び結晶の稠 性が極めて高くなり、ボイド等の発生が抑 されたものとなる。

[積層半導体10]
 図3に示す積層半導体10は、上述のような中 層12を介して基板11上に形成された、窒化物 系化合物半導体からなるn型半導体層14、発光 層15及びp型半導体層16から構成されている。
 そして、n型半導体層14は、少なくともIII族 化物半導体からなり、スパッタ法によって 膜された下地層14aを有しており、中間層12 に下地層14aが積層されている。
 III族窒化物半導体で形成された下地層14aの には、上述したように、図3に示す積層半導 体10のような機能性を持つ結晶積層構造が積 された構成とすることができる。例えば、 光素子のための半導体積層構造を形成する 合、Si、Ge、Sn等のn型ドーパントをドープし たn型導電性の層や、マグネシウムなどのp型 ーパントをドープしたp型導電性の層等を積 層して形成することができる。また、材料と しては、発光層等にはInGaNを用いることがで 、クラッド層等にはAlGaNを用いることがで る。
 このように、下地層14a上に、さらに機能を たせたIII族窒化物半導体結晶層を形成する とにより、発光ダイオードやレーザダイオ ド、あるいは電子デバイス等の作製に用い れる、半導体積層構造を有するウェーハを 製することが出来る。
 以下に、積層半導体10について詳述する。

 窒化物系化合物半導体としては、例えば一 式Al X Ga Y In Z N 1-A M A (0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦Z≦1で且つ、X+Y+Z=1。記 Mは窒素(N)とは別の第V族元素を表し、0≦A< ;1である。)で表わされる窒化ガリウム系化合 物半導体が多数知られており、本発明におい ても、それら周知の窒化ガリウム系化合物半 導体を含めて一般式Al X Ga Y In Z N 1-A M A (0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦Z≦1で且つ、X+Y+Z=1。記 Mは窒素(N)とは別の第V族元素を表し、0≦A< ;1である。)で表わされる窒化ガリウム系化合 物半導体を何ら制限なく用いることができる 。

 窒化ガリウム系化合物半導体は、Al、Gaお よびIn以外に他のIII族元素を含有することが き、必要に応じてGe、Si、Mg、Ca、Zn、Be、P及 びAs等の元素のいずれか1種または2種以上を 有することもできる。さらに、意図的に添 した元素に限らず、成膜条件等に依存して 然的に含まれる不純物、並びに原料、反応 材質に含まれる微量不純物を含む場合もあ 。

 これらの窒化ガリウム系化合物半導体は、 地層をスパッタ法で積層すればよく、その の層の形成方法に関しては特に限定されず MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイド イド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー )等、窒化物半導体を成長させることが知ら ている全ての方法を適用できる。膜厚制御 、量産性の観点から、好ましい成長方法はM OCVD法である。MOCVD法では、キャリアガスとし て水素(H 2 )または窒素(N 2 )、III族原料であるGa源としてトリメチルガリ ウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)、Al源 としてトリメチルアルミニウム(TMA)またはト エチルアルミニウム(TEA)、In源としてトリメ チルインジウム(TMI)またはトリエチルインジ ム(TEI)、V族原料であるN源としてアンモニア (NH 3 )、ヒドラジン(N 2 H 4 )などが用いられる。また、ドーパントとし は、n型にはSi原料としてモノシラン(SiH 4 )またはジシラン(Si 2 H 6 )を、Ge原料としてゲルマンガス(GeH 4 )や、テトラメチルゲルマニウム((CH 3 ) 4 Ge)やテトラエチルゲルマニウム((C 2 H 5 ) 4 Ge)等の有機ゲルマニウム化合物を利用できる 。
 MBE法では、元素状のゲルマニウムもドーピ グ源として利用できる。p型にはMg原料とし は例えばビスシクロペンタジエニルマグネ ウム(Cp 2 Mg)またはビスエチルシクロペンタジエニルマ グネシウム(EtCp 2 Mg)を用いる。

<n型半導体層14>
 n型半導体層14は、通常、中間層12上に積層 れ、下地層14a、n型コンタクト層14b及びn型ク ラッド層14cから構成される。
 なお、n型コンタクト層14bは、下地層14a及び /又はn型クラッド層14cを兼ねることが可能で り、下地層14aは、n型コンタクト層14b及び/ はn型クラッド層14cを兼ねることも可能であ 。

「下地層14a」
 下地層14aは、中間層12上にIII族窒化物半導 を積層することにより成膜される。下地層14 aの材料としては、基板11上に成膜された中間 層12と異なる材料を用いても構わないが、Al x Ga 1-x N層(0≦x≦1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好 しくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ま い。

 本発明者等が実験したところ、下地層14a 用いる材料として、Gaを含むIII族窒化物、 ちGaN系化合物半導体が好ましいことが明ら となった。中間層12をAlNからなる構成とした 場合、下地層14aは、柱状結晶の集合体である 中間層12の転位をそのまま引き継がないよう 、マイグレーションによって転位をループ させる必要がある。転位のループ化を生じ すい材料としては、GaN系化合物半導体が挙 られ、特に、AlGaN、又はGaNが好適である。

 下地層14aの膜厚は0.1μm以上が好ましく、よ 好ましくは0.5μm以上であり、1μm以上が最も 好ましい。この膜厚以上にした方が結晶性の 良好なAl x Ga 1-x N層が得られやすい。

 下地層14aには、必要に応じて、n型不純物を 1×10 17 ~1×10 19 /cm 3 の範囲内であればドープしても良いが、アン ドープ(<1×10 17 /cm 3 )とすることもでき、アンドープの方が良好 結晶性の維持という点で好ましい。n型不純 としては、特に限定されないが、例えば、S i、GeおよびSn等が挙げられ、好ましくはSiお びGeが挙げられる。

 基板11に導電性基板を用いる場合には、下 層14aをドーピングして、下地層14aの層構造 縦方向に電流が流れるようにすることによ 、発光素子のチップ両面に電極を設ける構 とすることができる。
 また、基板11に絶縁性基板を用いる場合に 、発光素子1のチップの同じ面に電極が形成 れるチップ構造を採用することになるので 基板11上に中間層12を介して積層される下地 層14aはドープしない結晶とした方が、結晶性 が良好となるので好ましい。

(下地層14aの成膜方法)
 本実施形態における発光素子1では、スパッ タ法を用いてIII族窒化物半導体を積層して下 地層14aを成膜する。スパッタ法を用いる場合 には、MOCVD法やMBE法等と比較して、装置を簡 な構成とすることが可能となる。
 下地層14aをスパッタ法で成膜する際、V族原 料をリアクタ内に流通させるリアクティブス パッタ法によって成膜する方法とすることが 好ましい。
 上述したように、一般に、スパッタ法にお ては、ターゲット材料の純度が高い程、成 後の薄膜の結晶性等の膜質が良好となる。 地層14aをスパッタ法によって成膜する場合 原料となるターゲット材料としてIII族窒化 半導体を用い、Arガス等の不活性ガスのプ ズマによるスパッタを行なうことも可能で るが、リアクティブスパッタ法においてタ ゲット材料に用いるIII族金属単体並びにそ 混合物は、III族窒化物半導体と比較して高 度化が可能である。このため、リアクティ スパッタ法では、成膜される下地層14aの結 性をより向上させることが可能となる。

 下地層14aを成膜する際の基板11の温度、 まり、下地層14aの成長温度は、800℃以上と ることが好ましく、より好ましくは900℃以 の温度であり、1,000℃以上の温度とすること が最も好ましい。これは、下地層14aを成膜す る際の基板11の温度を高くすることによって 子のマイグレーションが生じやすくなり、 位のループ化が容易に進行するからである また、下地層14aを成膜する際の基板11の温 は、結晶の分解する温度よりも低温である 要があるため、1200℃未満とすることが好ま い。下地層14aを成膜する際の基板11の温度 上記温度範囲内であれば、結晶性の良い下 層14aが得られる。

「n型コンタクト層14b」
 n型コンタクト層14bとしては、下地層14aと同 様にAl x Ga 1-x N層(0≦x≦1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好 しくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ま い。また、n型不純物がドープされているこ が好ましく、n型不純物を1×10 17 ~1×10 19 /cm 3 、好ましくは1×10 18 ~1×10 19 /cm 3 の濃度で含有すると、負極との良好なオーミ ック接触の維持、クラック発生の抑制、良好 な結晶性の維持の点で好ましい。n型不純物 しては、特に限定されないが、例えば、Si、 GeおよびSn等が挙げられ、好ましくはSiおよび Geである。成長温度は下地層14aと同様である

 下地層14a及びn型コンタクト層14bを構成す る窒化ガリウム系化合物半導体は同一組成で あることが好ましく、これらの合計の膜厚を 1~20μm、好ましくは2~15μm、さらに好ましくは3 ~12μmの範囲に設定することが好ましい。膜厚 がこの範囲であると、半導体の結晶性が良好 に維持される。

「n型クラッド層14c」
 n型コンタクト層14bと後述の発光層15との間 は、n型クラッド層14cを設けることが好まし い。n型クラッド層14cを設けることにより、n コンタクト層14bの最表面に生じた平坦性の 化を改善することできる。n型クラッド層14c はAlGaN、GaN、GaInN等によって形成することが 能である。また、これらの構造のヘテロ接 や複数回積層した超格子構造としてもよい GaInNとする場合には、発光層15のGaInNのバン ギャップよりも大きくすることが望ましい とは言うまでもない。

 n型クラッド層14cの膜厚は、特に限定されな いが、好ましくは5~500nmの範囲であり、より ましくは5~100nmの範囲である。
 また、n型クラッド層14cのn型ドープ濃度は1 10 17 ~1×10 20 /cm 3 の範囲が好ましく、より好ましくは1×10 18 ~1×10 19 /cm 3 の範囲である。ドープ濃度がこの範囲である と、良好な結晶性の維持および発光素子の動 作電圧低減の点で好ましい。

<発光層15>
 発光層15は、n型半導体層14上に積層される ともにp型半導体層16がその上に積層される であり、図1及び図3に示すように、窒化ガリ ウム系化合物半導体からなる障壁層15aと、イ ンジウムを含有する窒化ガリウム系化合物半 導体からなる井戸層15bとが交互に繰り返して 積層され、且つ、n型半導体層14側及びp型半 体層16側に障壁層15aが配される順で積層して 形成される。
 また、図3に示す例では、発光層15は、6層の 障壁層15aと5層の井戸層15bとが交互に繰り返 て積層され、発光層15の最上層及び最下層に 障壁層15aが配され、各障壁層15a間に井戸層15b が配されている。

 障壁層15aとしては、例えば、インジウムを 有した窒化ガリウム系化合物半導体からな 井戸層15bよりもバンドギャップエネルギー 大きいAl c Ga 1-c N(0≦c<0.3)等の窒化ガリウム系化合物半導体 を、好適に用いることができる。また、井戸 層15bには、インジウムを含有する窒化ガリウ ム系化合物半導体として、例えば、Ga 1-s In s N(0<s<0.4)等の窒化ガリウムインジウムを いることができる。

 また、発光層15全体の膜厚としては、特 限定されないが、量子効果の得られる程度 膜厚、即ち臨界膜厚が好ましい。例えば、 光層15の膜厚は、1~500nmの範囲であることが ましく、100nm前後の膜厚であればより好まし い。膜厚が上記範囲であると、発光出力の向 上に寄与する。

<p型半導体層16>
 p型半導体層16は、通常、p型クラッド層16a及 びp型コンタクト層16bから構成される。しか 、p型コンタクト層16aがp型クラッド層16bを兼 ねてもよい。

「p型クラッド層16a」
 p型クラッド層16aとしては、発光層15のバン ギャップエネルギーより大きくなる組成で り、発光層15へのキャリアの閉じ込めがで るものであれば特に限定されないが、好ま くは、Al d Ga 1-d N(0<d≦0.4、好ましくは0.1≦d≦0.3)のものが げられる。p型クラッド層16aが、このようなA lGaNからなると、発光層15へのキャリアの閉じ 込めの点で好ましい。p型クラッド層16aの膜 は、特に限定されないが、好ましくは1~400nm あり、より好ましくは5~100nmである。p型ク ッド層16aのp型ドープ濃度は、1×10 18 ~1×10 21 /cm 3 が好ましく、より好ましくは1×10 19 ~1×10 20 /cm 3 である。p型ドープ濃度が上記範囲であると 結晶性を低下させることなく良好なp型結晶 得られる。

「p型コンタクト層16b」
 p型コンタクト層16bとしては、少なくともAl e Ga 1-e N(0≦e<0.5、好ましくは0≦e≦0.2、より好ま くは0≦e≦0.1)を含んでなる窒化ガリウム系 合物半導体層である。Al組成が上記範囲であ ると、良好な結晶性の維持およびpオーミッ 電極(後述の透光性電極17を参照)との良好な ーミック接触の点で好ましい。
 また、p型ドーパントを1×10 18 ~1×10 21 /cm 3 の範囲の濃度で含有していると、良好なオー ミック接触の維持、クラック発生の防止、良 好な結晶性の維持の点で好ましく、より好ま しくは5×10 19 ~5×10 20 /cm 3 の範囲である。p型不純物としては、特に限 されないが、例えば、好ましくはMgが挙げら れる。
 p型コンタクト層16bの膜厚は、特に限定され ないが、10~500nmが好ましく、より好ましくは5 0~200nmである。膜厚がこの範囲であると、発 出力の点で好ましい。

[透光性正極17]
 透光性正極17は、積層半導体10のp型半導体 16上に形成される透光性の電極である。透光 性正極17の材質としては、特に限定されず、I TO(In 2 O 3 -SnO 2 )、AZO(ZnO-Al 2 O 3 )、IZO(In 2 O 3 -ZnO)、GZO(ZnO-GeO 2 )等の材料を、この技術分野でよく知られた 用の手段で設けることができる。また、そ 構造も、従来公知の構造を含めて如何なる 造のものも何ら制限なく用いることができ 。

 透光性正極17は、Mgドープp型半導体層16上 のほぼ全面を覆うように形成しても構わない し、隙間を開けて格子状や樹形状に形成して も良い。透光性正極17を形成した後に、合金 や透明化を目的とした熱アニールを施す場 もあるが、施さなくても構わない。

[正極ボンディングパッド18]
 正極ボンディングパッド18は、上述の透光 正極17上に形成される電極である。
 正極ボンディングパッド18の材料としては Au、Al、NiおよびCu等を用いた各種構造が周知 であり、これら周知の材料、構造のものを何 ら制限無く用いることができる。また、正極 ボンディングパッド18の厚さは、100~1,000nmの 囲内であることが好ましい。また、ボンデ ングパッドの特性上、厚さが大きい方がボ ダビリティーが高くなるため、正極ボンデ ングパッド18の厚さは300nm以上とすることが り好ましい。さらに、製造コストの観点か 500nm以下とすることが好ましい。

[負極ボンディングパッド19]
 負極ボンディングパッド19は、基板11上に、 n型半導体層14、発光層15及びp型半導体層16が 次積層された半導体層において、n型半導体 層14のn型コンタクト層14bに接するように形成 される。このため、負極ボンディングパッド 19を形成する際は、p型半導体層16、発光層15 びn型半導体層14の一部を除去してn型コンタ ト層14bの露出領域14dを形成し、この上に負 ボンディングパッド19を形成する。
 負極ボンディングパッド19の材料としては 各種組成および構造の負極が周知であり、 れら周知の負極を何ら制限無く用いること でき、この技術分野でよく知られた慣用の 段で設けることができる。

『III族窒化物半導体発光素子の製造方法』
 次に、上記発光素子1の製造方法について説 明する。上記発光素子1の製造方法は、基板11 上に中間層12を形成する工程(中間層形成工程 )と、中間層12上に、下地層14aを有するn型半 体層14、発光層15、及びp型半導体層16を順次 層する積層半導体形成工程とから概略構成 れている。また、中間層形成工程と積層半 体形成工程との間には、中間層12に対して ラズマ処理を行う前処理工程が備えられ、 つ、積層半導体形成工程に含まれる下地層14 aの形成工程がスパッタ成膜工程とされてい 。

 上記発光素子1の製造方法は、基板11上に、I II族窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長 せて積層半導体10を得る際、スパッタ成膜 程によってIII族窒化物よりなる下地層14aを 間層12上に成膜するための前工程として、上 記前処理工程が備えられ、この前処理工程に おいて中間層12に対してプラズマ処理を行う のである。中間層12に対してプラズマ処理 行うことにより、層にボイドを生じること く、結晶性の良好なIII族窒化物半導体で形 された積層半導体10を効率良く成長させるこ とができる。
 以下、各工程について順次説明する。

[中間層形成工程]
 中間層形成工程では、まず基板11を用意す 。基板11は、洗浄等の前処理を施してから使 用することが望ましい。基板11の前処理とし は、例えば、基板11としてシリコンからな 基板11を用いる場合には、よく知られたRCA洗 浄方法などの湿式の方法を行いて、表面を水 素終端させておく方法を用いることができる 。このことにより、成膜プロセスが安定する 。また、基板11の前処理は、例えば、スパッ 装置のチャンバ内に基板11を配置し、中間 12を形成する前に基板11の表面11aを逆スパッ する方法によって行ってもよい。具体的に 、チャンバ内において、基板11をArやN 2 のプラズマ中に曝す事によって表面を洗浄す る前処理を行なうことができる。ArガスやN 2 ガスなどのプラズマを基板11の表面11aに作用 せることで、基板11の表面11aに付着した有 物や酸化物を除去することができる。この 合、ターゲットにパワーを印加せずに、基 11とチャンバとの間に電圧を印加すれば、プ ラズマ粒子が効率的に基板11に作用する。

 そして、基板11に前処理を行なった後に、 板11上にスパッタ法により、III族窒化物によ り中間層12を形成する。III族窒化物からなる 間層12をスパッタ法で形成する場合、一般 III族金属をターゲットにし、スパッタ装置 チャンバ(第1のチャンバ)内に窒素を含むガ (N 2 ガスなど)を導入し、気相中でIII族金属と窒 とを反応させるリアクティブスパッタ法を いる。スパッタ法としては、RFスパッタを用 いてもよいし、DCスパッタを用いてもよい。 アクティブスパッタ法を用いた場合には、 続的に放電させるDCスパッタでは帯電が激 く、成膜レートのコントロールが困難であ 。このため、RFスパッタを用いることや、パ ルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタ 用いることが望ましい。また、RFスパッタ 用いた場合には、帯電を回避するために、 グネットの位置をターゲット内で移動させ ことが望ましい。具体的なマグネットの移 は、装置により選択することができ、揺動 せたり、回転運動させたりすることができ 。

 また、スパッタ法によって中間層12を形成 る際には、高エネルギーの反応種を基板に 給することが望ましい。このため、第1のチ ンバ内のプラズマ中に基板が位置されると もに、ターゲットと基板とが対面するよう 基板が位置されることが望ましい。また、 板とターゲットとの距離は10mm~100mmの範囲と することが望ましい。また、第1のチャンバ には、不純物がないことが望ましいため、 1のチャンバ内の到達真空度は1.0×10 -3 Pa以下であることが望ましい。

 スパッタ装置のチャンバ(第1のチャンバ)内 雰囲気には、窒素(N 2 )ガスが含まれることが好ましい。窒素ガス 、チャンバ内でプラズマ化されて分解し、 晶成長の原料となる。なお、本発明におい は、窒素ガスに代えて、アンモニアや窒素 合物など、活性ガスとして用いることがで る窒化物原料ガスを何ら制限されることな 用いることができる。
 また、第1のチャンバ内の雰囲気ガスは、タ ーゲットを効率よくスパッタするために、窒 素ガス以外の残部を、アルゴン(Ar)などの重 て反応性の低い不活性ガスとする。
 窒素と不活性ガスとの流量に対する窒素流 の比は、窒素が20%~98%であることが望ましい 。窒素が20%より少ない流量比ではスパッタ金 属が金属のまま付着するし、98%を超えるとス パッタ速度が低下する。なお、残部の不活性 ガスには水素ガス(H 2 )などのガスが含まれていても良い。

 成膜速度は、0.01nm/s~10nm/sの範囲とすること 好ましい。成膜速度が0.01nm/s未満だと、成 プロセスが長時間となってしまい、工業生 的に無駄が大きくなる。また、成膜速度が10 nm/sを超えると、形成された膜が結晶体とな ずに非晶質となり、良好な膜を得ることが 難となる。
 中間層12の形成時の基板温度は、室温~800℃ することができ、300~800℃であることが望ま しい。基板11の温度が上記下限未満だと、基 11上でのマイグレーションが抑制され、結 性の良い中間層12を成膜できない場合がある 。また、基板11の温度が上記上限を超えると 中間層12の結晶が分解する虞がある。

 結晶成長時のマイグレーションを活発にす ために、基板側にかかるバイアス、および ーゲット側にかかるパワーは大きいほうが い。例えば、成膜時の基板にかけるバイア を1.5W/cm 2 以上とすることが好ましい。また、成膜時に ターゲットに印加するパワーを1.5W/cm 2 ~5kW/cm 2 の範囲とすることが好ましい。ターゲットに 印加するパワーを上記範囲とすることで、大 きなパワーの反応種を生成でき、この反応種 を高い運動エネルギーで基板へ供給できる。 このことにより、基板上におけるマイグレー ションが活発になる。

 チャンバ内の圧力は、0.3Pa以上とするこ が好ましい。チャンバ内の圧力を0.3Pa未満と すると、窒素の存在量が小さくなり過ぎ、ス パッタされた金属が窒化物とならない状態で 基板上に付着する虞がある。また、チャンバ 内の圧力の上限は特に限定されないが、プラ ズマを発生させることができる程度の圧力に 抑制することが必要である。

 III族窒化物からなる中間層12をスパッタ法 形成する場合、第1のチャンバに備えられる ーゲットを構成するIII族金属の組成を所望 値に調整することにより、形成されるIII族 化物の組成をコントロールすることができ 。例えば、AlN層を形成する場合にはターゲ トとしてAl金属を用いればよく、AlGaN層を形 成する場合にはターゲットとしてAlGa合金を いればよい。
 なお、n型半導体層14、発光層15、p型半導体 16の各層をスパッタ法で形成する場合には ターゲットを各層毎に変更する必要がある 従って、形成する層の種類に対応した数だ 、ターゲットの配置されたチャンバを有す スパッタ装置を用意しておき、層毎にスパ タ装置を変えて形成すればよい。

 中間層12の形成後、積層半導体10を更に形 成するためには、AlまたはAlGa合金からなるタ ーゲットが備えられた第1のチャンバから、 のIII族金属からなるターゲットが備えられ 別のチャンバに、中間層12形成後の基板11を 動させる必要がある。この移動の際には、 板11を第1のチャンバから取り出す必要があ 。取り出す際には、基板11をそのまま大気 に暴露させてもよく、不活性ガスを充填し 移動式の容器に基板11を移し、基板11が大気 触れないようにしてもよいが、本実施形態 は後述するように前処理工程を行うため、 板11をそのまま大気中に暴露させることが きる。

[前処理工程]
 次に、前処理工程では、中間層12の表面に してプラズマ処理を行う。プラズマ処理と ては例えば、窒素、アルゴン等、活性なプ ズマ種を発生するガスを含むプラズマ中で 間層12の表面を暴露させることが好ましい。 中でも、窒素ガスを含むプラズマに暴露させ ることが特に好適である。また、本実施形態 の前処理工程におけるプラズマ処理は、逆ス パッタとすることが好適である。
 本実施形態の前処理工程では、基板11とチ ンバとの間に電圧を印加することにより、 ラズマ粒子が効率的に中間層12に作用する。

 中間層12にプラズマ処理を行うための前処 ガスは、一種類のみの成分からなるガスで 成しても良いし、また、数種類の成分のガ を混合した構成のものを用いても良い。
 具体的には、窒素、アルゴン、または窒素 アルゴンとの混合ガスのいずれかを含有す 前処理ガスを用いることが好ましく、窒素 含有する前処理ガスを用いることがより好 しい。中でも、窒素等の原料ガスの分圧が 1×10 -2 ~10Paの範囲であることが好ましく、0.1~5Paの範 囲であることが更に好ましい。原料ガスの分 圧が高すぎると、プラズマ粒子の持つエネル ギーが低下し、中間層12の前処理効果が低下 る。また、上記分圧が低すぎると、プラズ 粒子の持つエネルギーが高すぎ、中間層12 ダメージを与えてしまうことがある。

 プラズマ処理による前処理を行う時間は 30秒から7,200秒(2時間)の範囲が好ましく、30 から3,600秒(1時間)の範囲であることがより ましい。処理時間が上記範囲よりも短いと プラズマ処理による効果が得られないこと 言うまでもないが、上記範囲より長い場合 特段に特性が良くなるということはなく、 えって稼働率を低下させる虞がある。プラ マ処理による前処理を行なう時間は、更に ましくは60秒(1分)から1,800秒(30分)の範囲であ る。

 プラズマ処理を行う際の温度としては、2 5~1,000℃の範囲であることが好ましい。処理 度が低すぎると、プラズマ処理を行ったと ても効果が充分に発揮されず、また、処理 度が高すぎると、基板表面にダメージを残 ことがあり、さらに好ましくは、400℃~900℃ 範囲である。

 本実施形態の前処理工程において、プラ マ処理で用いるチャンバ(第2のチャンバ)は 後述のスパッタ工程において下地層14aを成 する際に用いるチャンバと同じものを用い も良いし、別のチャンバを用いても良い。 処理工程で用いるチャンバ、及びスパッタ 程で用いるチャンバを共通の構成とすれば 製造設備をコストダウンすることができる で好適であり、また、下地層14aの成膜に用 る条件で、プラズマ処理として逆スパッタ 行なう場合、スパッタ条件の変更に要する 間をロスすることが無いので、稼働率が向 する。

 また、前処理時において、前処理ガスの導 前の第2のチャンバ内の到達真空度は、1.0×1 0 -4 Pa以下が好ましい。これにより、第2のチャン バ内の残存酸素分圧が5.0×10 -5 Pa以下、好ましくは2.0×10 -6 Pa以下となり、中間層12の上面における酸化 の生成を防止できる。

 本実施形態の前処理工程では、プラズマ 理に用いるプラズマをRF放電によって発生 せることが好ましい。プラズマをRF放電によ って発生させることにより、絶縁体からなる 基板に対しても、プラズマ処理によって前処 理を施すことが可能となる。また、基板には 、50mm径の基板1枚当たり1~200W、好ましくは10W~ 100Wのバイアスを印加することが好ましい。 れにより、中間層に対する前処理を効率良 行うことができる。なお、中間層12に施す前 処理は、湿式の方法を併せて採用することも できる。

 本実施形態では、前処理工程において中間 12に対してプラズマ処理を行なった後、後 するスパッタ工程においてIII族窒化物から る下地層14aを積層し、該中間層12上に下地層 14aが備えられたn型半導体層14を形成すること により、後述の実施例に示すように、中間層 表面にダメージ層を生じることによる下地層 のボイドを生じることがなく、また、III族窒 化物半導体の結晶性が向上し、発光素子の発 光特性が高まる。
 中間層12に対してプラズマ処理を行なうこ により、上述の効果が得られるメカニズム 明らかでは無い。しかしながら、考えられ 一例として、大気に曝されるなどして中間 12表面に発生したコンタミ等や変質層やダメ ージ層などがプラズマ処理、例えば、逆スパ ッタによって除去されることにより、本来の 特性を有する中間層12の表面が露出すること 挙げられる。

[積層半導体形成工程]
 次に、積層半導体形成工程では、下地層14a 含むn型半導体層14、発光層15、及びp型半導 層16を順次積層する。n型半導体層14、発光 15及びp型半導体層16を形成するには、MOCVD法 MBE法スパッタ法などの手法を用いることが きるが、n型半導体層14の下地層14aを形成す 場合にはスパッタ法を用いる。以下、下地 14aの形成工程について説明する。

<下地層14aの形成工程>
 下地層14aの形成工程では、スパッタ法を用 て中間層12上に下地層14aを成膜する。具体 には、例えば、金属原料とV族元素を含んだ スとをプラズマで活性化して反応させるこ により、下地層14aを成膜する。

 また、スパッタ法では、磁場内にプラズ を閉じ込めることによってプラズマ密度を くし、効率を向上させる技術が一般的に用 られており、マグネットの位置を移動させ ことにより、スパッタされるターゲットの 内での均一化が可能となる。具体的なマグ ットの運動方法は、スパッタ装置によって 宜選択することができ、例えば、マグネッ を揺動させたり、又は回転運動させたりす ことができる。

 図5に示すRFスパッタ装置40では、金属タ ゲット47の下方にマグネット42が配され、該 グネット42が図示略の駆動装置によって金 ターゲット47の下方で揺動する。チャンバ41 は窒素ガス、及びアルゴンガスが供給され ヒータ44に取り付けられた基板11上に形成さ れた中間層12上に、下地層が成膜される。

 また、スパッタ法を用いて下地層14aを成膜 る場合の重要なパラメータとしては、基板 度、炉内の圧力、および窒素分圧が挙げら る。
 スパッタ法を用いて下地層14aを成膜する際 炉内の圧力は、0.3Pa以上であることが好ま い。この炉内の圧力が0.3Pa未満だと、窒素の 存在量が小さく、スパッタされた金属が窒化 物とならずに基板11に付着する虞がある。こ 炉内の圧力の上限は特に限定されないが、 ラズマを発生させることができる程度の圧 に抑制することが必要である。

 また、窒素(N 2 )とArとを合わせた流量における窒素の比は、 20%以上80%以下であることが好ましい。窒素の 流量比が20%未満だと、スパッタ金属が窒化物 とならず、金属のまま基板11に付着する虞が る。窒素の流量比が80%を超えると、Arの量 相対的に少なくなり、スパッタレートが低 してしまう。窒素(N 2 )とArとを合わせた流量における窒素の比は、 特に好ましくは、50%以上80%以下の範囲である 。

 また、下地層14aを成膜する際の成膜レー は、0.01nm/s~10nm/sの範囲とすることが好まし 。成膜レートが0.01nm/s未満だと、膜が層と らずに島状に成長してしまい、中間層12の表 面を覆うことができなくなる虞がある。成膜 レートが10nm/sを超えると、膜が結晶体となら ずに非晶質となってしまう場合がある。

 なお、下地層14aをスパッタ法で成膜する際 V族原料をリアクタ内に流通させるリアクテ ィブスパッタ法によって成膜する方法とする ことが好ましい。
 一般に、スパッタ法においては、ターゲッ 材料の純度が高い程、成膜後の薄膜の結晶 等の膜質が良好となる。下地層14aをスパッ 法によって成膜する場合、原料となるター ット材料としてIII族窒化物半導体を用い、A rガス等の不活性ガスのプラズマによるスパ タを行なうことも可能である。特に、リア ティブスパッタ法においてターゲット材料 用いるIII族金属単体並びにその混合物は、II I族窒化物半導体と比較して高純度化が可能 ある。このため、リアクティブスパッタ法 は、成膜される下地層14aの結晶性をより向 させることが可能となる。

 下地層14aを成膜する際の基板11の温度は 300~800℃の範囲とすることが好ましく、400~800 ℃の範囲とすることがより好ましい。基板11 温度が上記下限未満だと、下地層14aが中間 12全面を覆うことができず、中間層12表面が 露出する虞がある。

 スパッタ法を用いて金属原料をプラズマ し、中間層として混晶を成膜する際には、 ーゲットとなる金属を予め金属材料の混合 (必ずしも、合金を形成していなくても構わ ない)として作製する方法もあるし、異なる 料からなる2つのターゲットを用意して同時 スパッタする方法としても良い。例えば、 定の組成の膜を成膜する場合には混合材料 ターゲットを用い、組成の異なる何種類か 膜を成膜する場合には複数のターゲットを ャンバ内に設置すれば良い。

 本実施形態で用いる窒素原料としては、一 に知られている窒素化合物を何ら制限され ことなく用いることができるが、アンモニ や窒素(N 2 )は取り扱いが簡単であるとともに、比較的 価で入手可能であることから好ましい。ア モニアは分解効率が良好であり、高い成長 度で成膜することが可能であるが、反応性 毒性が高いため、除害設備やガス検知器が 要となり、また、反応装置に使用する部材 材料を化学的に安定性の高いものにする必 がある。
 また、窒素(N 2 )を原料として用いた場合には、装置として 簡便なものを用いることができるが、高い 応速度は得られない。しかしながら、窒素 電界や熱等により分解してから装置に導入 る方法とすれば、アンモニアよりは低いも の工業生産的に利用可能な程度の成膜速度 得ることができるため、装置コストとの兼 合いを考えると、最も好適な窒素源である

 また、成膜材料源が、大きな面積の発生 から生じる構成とし、且つ、材料の発生位 を移動させることにより、基板を移動させ に基板全面に成膜する方法としても良い。 のような方法としては、上述したように、 グネットを揺動させたり又は回転運動させ りすることにより、カソードのマグネット 位置をターゲット内で移動させつつ成膜す 、RFスパッタ法が挙げられる。また、この うなRFスパッタ法で成膜を行なう場合、基板 側とカソード側との両方を移動させる方法と しても良い。さらに、材料の発生源であるカ ソードを基板近傍に配することにより、発生 するプラズマを基板に対してビーム状に供給 するのではなく、基板を包み込むように供給 するような構成とすれば、基板表面及び側面 の同時成膜が可能となる。

 なお、プラズマを発生させる方法として 、本実施形態のような特定の真空度で高電 をかけて放電するスパッタ法の他、高いエ ルギー密度のレーザを照射してプラズマを 生させるパルスレーザーデポジション(PLD) 、電子線を照射させることでプラズマを発 させるパルス電子線堆積(PED)法等、幾つかの 方法がある。この中でも、スパッタ法が最も 簡便で量産にも適しているため、好適な方法 と言える。なお、DCスパッタを用いる場合、 ーゲット表面のチャージアップを招き、成 速度が安定しない可能性があるので、パル DCとするか、上述のようなRFスパッタ法とす ることが望ましい。

<その他の工程>
 下地層14aの形成後、n型コンタクト層14b及び n型クラッド層14cを積層してn型半導体層14を 成する。n型コンタクト層14b及びn型クラッド 層14cは、スパッタ法で形成してもよく、MOCVD で形成してもよい。
 プラズマ処理後の中間層12上に、下地層14a らn型クラッド層14cを順次積層することで、n 型クラッド層14cの上面が、表面粗さが比較的 小さな面となる。これにより、発光層15を安 してエピタキシャル成長させることができ 発光特性に優れた発光層15の形成が可能に る。

 発光層15の形成は、スパッタ法、MOCVD法のい ずれの方法でもよいが、特にMOCVD法が好まし 。具体的には、窒化ガリウム系化合物半導 からなる障壁層15aと、インジウムを含有す 窒化ガリウム系化合物半導体からなる井戸 15bとが交互に繰り返して積層し、且つ、n型 半導体層14側及びp型半導体層16側に障壁層15a 配される順で積層すればよい。
 また、p型半導体層16の形成は、スパッタ法 MOCVD法のいずれの方法でもよい。具体的に 、p型クラッド層16aと、p型コンタクト層16bと を順次積層すればよい。

 その後、p型半導体層16上に透光性正極17を 層する。また、積層半導体10の一部をエッチ ングしてn型コンタクト層14bの一部を露出さ 、露出させた部分に負極ボンディングパッ 19を形成し、透光性正極17の上には正極ボン ィングパッド18を形成する。
 このようにして、図1および図2に示す発光 子1が製造される。

 以上説明したように、上記III族窒化物半 体発光素子1の製造方法によれば、基板11上 製膜した中間層12に対してプラズマ処理す 前処理工程を備え、該前処理工程に次いで 中間層12上に下地層14aをスパッタ法によって 成膜する工程が備えられた構成とすることに より、基板11表面に高い均一性および稠密性 備えた結晶構造を有する下地層14aが成膜さ る。従って、基板11上に結晶性の良好なIII 窒化物半導体を効率良く成長させることが き、生産性に優れるとともに、優れた発光 性を備えたIII族窒化物半導体発光素子1を得 ことができる。

 上述したように、中間層12に逆スパッタ 施すことにより、上述の効果が得られるメ ニズムは明らかでは無い。しかしながら、 えられる一例として、中間層12表面に付着し たコンタミ等がプラズマガスに曝され、化学 反応で除去されることにより、中間層12と下 層14aとの界面が清浄化され、結晶成長が生 ない領域がなくなることが挙げられる。

 なお、本実施形態で説明する中間層並び 下地層の構成は、III族窒化物半導体発光素 に限定されるものでは無く、例えば格子定 が近い材料同士を用いて成膜等を行なう際 、高温下において原料ガスと基板とが反応 る虞がある場合、何ら制限されること無く 用することが可能である。

『ランプ』
 以上説明したような、本発明に係るIII族窒 物半導体発光素子1と蛍光体とを組み合わせ ることにより、当業者周知の手段によってラ ンプを構成することができる。従来より、発 光素子1と蛍光体とを組み合わせることによ て発光色を変える技術が知られており、こ ような技術を何ら制限されることなく採用 ることが可能である。
 例えば、蛍光体を適正に選定することによ 、発光素子より長波長の発光を得ることも 能となり、また、発光素子自体の発光波長 蛍光体によって変換された波長とを混ぜる とにより、白色発光を呈するランプとする ともできる。
 また、ランプとしては、一般用途の砲弾型 携帯のバックライト用途のサイドビュー型 表示器に用いられるトップビュー型等、何 の用途にも用いることができる。

 例えば、図4に示す例のように、同一面電 極型のIII族窒化物半導体発光素子1を砲弾型 実装する場合には、2本のフレームの内の一 (図4ではフレーム21)に発光素子1を接着し、 た、発光素子1の負極(図3に示す符号19参照) ワイヤー24でフレーム22に接合し、発光素子 1の正極ボンディングパッド(図3に示す符号18 照)をワイヤー23でフレーム21に接合する。 して、透明な樹脂からなるモールド25で発光 素子1の周辺を封止することにより、図4に示 ような砲弾型のランプ2を作成することがで きる。

 また、本発明に係るIII族窒化物半導体は 上述の発光素子の他、レーザ素子や受光素 等の光電気変換素子、又はHBTやHEMT等の電子 デバイスなどに用いることができる。

 次に、本発明のIII族窒化物半導体発光素 の製造方法、及びIII族窒化物半導体発光素 を実施例によりさらに詳細に説明する。し しながら、本発明はこれらの実施例にのみ 定されるものではない。

[実施例1]
 実施例1では、図3に示す積層構造を形成し つ、下地層14aの表面観察、下地層14aのX線ロ キングカーブ測定、及び下地層14aと中間層 の断面TEM写真の撮影を行った。以下、詳細 説明する。

 本実施例では、サファイアからなる基板1 1のc面上に、中間層12としてRFスパッタ法を用 いてAlNからなる柱状結晶の集合体を形成し、 その上に、下地層14aとして、同様にスパッタ 法を用いてGaNからなる層を形成した。

 まず、片面のみをエピタキシャル成長に使 できる程度に鏡面研磨したサファイアから る基板11を、特に湿式等の前処理を行わず スパッタ装置(第1のチャンバ)の中へ導入し 。ここで、スパッタ装置としては、高周波 の電源を有し、さらにターゲット内でマグ ットの位置を動かすことができる機構を有 た装置を使用した。
 そして、スパッタ装置内で基板11を500℃ま 加熱し、窒素ガスのみを30sccmの流量で導入 た後、チャンバ内の圧力を1.0Paに保持し、基 板11側に50Wの高周波バイアスを印加し、基板1 1を窒素プラズマに曝した(逆スパッタ)。この 際の基板11の温度は500℃とし、処理時間は200 とした。

 次いで、基板11の温度を500℃に保持したま 、スパッタ装置内にアルゴンおよび窒素ガ を導入した。そして、2,000Wの高周波パワー 金属Alターゲット側に印加し、炉内の圧力を 0.5Paに保ち、Arガスを5sccm、窒素ガスを15sccm流 通させた条件下(ガス全体における窒素の比 75%)で、サファイアからなる基板11上にAlNか なる中間層12を成膜した。成長レートは0.12nm /sであった。
 ターゲット内のマグネットは、基板11の逆 パッタ時、及び中間層12の成膜時の何れにお いても揺動させた。
 厚さが50nmのAlN(中間層12)を成膜後、プラズ 動作を停止し、基板11の温度を低下させた。

 次いで、中間層12が成膜された基板11をス パッタ装置(第1のチャンバ)から取り出し、別 のスパッタ装置(第2のチャンバ)に導入した。

 まず、中間層12を形成した基板11を、特に湿 式等の前処理を行わずにスパッタ装置の中へ 導入した。ここで、スパッタ装置としては、 高周波式の電源を有し、さらにターゲット内 でマグネットの位置を動かすことができる機 構を有した装置を使用した。
 そして、スパッタ装置(第2のチャンバ)内の 達真空度が1.5×10 -5 Paになるまで減圧し、基板11を700℃まで加熱 、窒素ガスのみを42sccmの流量で導入した後 チャンバ内の圧力を0.2Paに保持した。この状 態で基板11側に50Wの高周波バイアスを印加し 基板11を700℃に保ったまま窒素プラズマに した(逆スパッタ)。この際の処理時間は300秒 (5分間)とした。

 次いで、基板11の温度を800℃に昇温し、ス ッタ装置内にアルゴンおよび窒素ガスを導 した。そして、2,000Wの高周波パワーを液体 としたGaターゲット側に印加し、炉内の圧力 を0.5Paに保ち、Arガスを15sccm、窒素ガスを15scc m流通させた条件下(ガス全体における窒素の は50%)で、AlNからなる中間層12上にGaNからな 下地層14aを成膜した。成長レートは約1nm/s あった。
 ターゲット内のマグネットは、中間層12の スパッタ時、及び下地層14aの成膜時の何れ おいても揺動させた。
 厚さが4μmのGaN(中間層14a)を成膜後、プラズ 動作を停止し、基板11の温度を低下させた

 以上の工程により、サファイアからなる基 11上に、柱状構造を有し、AlNからなる中間 12を形成し、その上に、アンドープで4μmの 厚のGaN系半導体からなる下地層14aを形成し 実施例1の試料を作製した。
 取り出した基板は無色透明のミラー状を呈 た。光学顕微鏡で表面を観察したところ、 地層14aの表面にはピットなどが生じていな った。

 そして、上記方法で得られたアンドープG aN層(下地層)のX線ロッキングカーブ(XRC)を、4 晶X線測定装置(パナリティカル社製、型番:X ‘part)を用いて測定した。この測定は、Cuβ線 X線発生源を光源として用い、対称面である(0 002)面と非対称面である(10-10)面で行った。一 的に、III族窒化物半導体の場合、(0002)面のX RCスペクトル半値幅は結晶の平坦性(モザイシ ティ)の指標となり、(10-10)面のXRCスペクトル 値幅は転位密度(ツイスト)の指標となる。 の測定の結果、本発明の製造方法で作製し アンドープGaN層は、(0002)面の測定では半値 50秒、(10-10)面では半値幅270秒を示した。

 また、本実施例で作製した試料の中間層1 2と下地層14aと同じ条件で0.8μm程度の薄膜を 長した場合の界面付近を断面TEMにて観察し 結果を図6に示す。界面近くには、ダメージ を生じておらず、その結果として下地層に 空隙(ボイド)のようなものが発生せず、稠 な結晶層が形成されていることが判明した

 更に、下地層14aの上面をAFM(原子間力顕微 鏡)によって走査した結果を図7に示す。図7に 示すように、下地層14aの上面は極めて平坦な 面であった。また、平均表面粗さ(Ra)は1.5nmで あった。

[実施例2]
 本実施例では、実施例1と同様の条件で成膜 した6μmのアンドープGaN結晶(下地層14a)上に、 Siをドーパントとしたn型コンタクト層14bを成 膜し、さらに各半導体層を積層することによ り、最終的に、図3に示すようなIII族窒化物 導体発光素子用のエピタキシャル層構造を するエピタキシャルウェーハ(積層半導体10) 作製した。

 このエピタキシャルウェーハは、c面を有す るサファイアからなる基板11上に、実施例1と 同じ成長方法により、柱状構造を有するAlNか らなる中間層12を成膜した後、基板11側から に、6μmのアンドープGaNからなる下地層14a、1 ×10 19 cm -3 の電子濃度を持つ2μmのSiドープGaNからなるn コンタクト層14b、1×10 18 cm -3 の電子濃度を持つ20nmのIn 0.1 Ga 0.9 N型クラッド層(n型クラッド層14c)、GaN障壁層 始まりGaN障壁層に終わる積層構造であって 層厚を16nmとしたGaNからなる6層の障壁層15aと 、層厚を3nmとしたノンドープのIn 0.2 Ga 0.8 Nからなる5層の井戸層15bとが交互に積層され なる発光層(多重量子井戸構造)15、5nmのMgを ープしたAl 0.1 Ga 0.9 Nからなるp型クラッド層16a、及び膜厚200nmのMg ドープAl 0.02 Ga 0.98 Nからなるp型コンタクト層16bとを具備したp型 半導体層16を積層した構造を有する。

 上記半導体発光素子構造のエピタキシャ 層を有するウェーハの作製において、サフ イアからなる基板11上に柱状構造を有するAl Nからなる中間層12、GaNよりなる下地層14aを形 成するまでの工程は、実施例1と同じ手順を いた。その後の半導体積層構造の積層は、 般的なMOCVD装置を用いて行った。

 以上のような手順により、半導体発光素子 のエピタキシャル層構造を有するエピタキ ャルウェーハを作製した。ここで、Mgドー Al 0.02 Ga 0.98 Nからなるp型コンタクト層16bは、p型キャリア を活性化するためのアニール処理を行わなく てもp型特性を示した。

 次いで、上述のようなサファイアからなる 板11上にエピタキシャル層構造が積層され エピタキシャルウェーハ(図3の積層半導体10 照)を用いて、半導体発光素子の一種である 発光ダイオードを作製した(図1及び2の発光素 子1を参照)。
 まず、作製したウェーハについて、公知の ォトリソグラフィーによってMgドープAl 0.02 Ga 0.98 Nからなるp型コンタクト層16bの表面上に、ITO らなる透光性正極17と、その上に表面側か 順にチタン、アルミニウム、金を積層した 造を有する正極ボンディングパッド18を形成 した。また、ウェーハの一部にドライエッチ ングを施し、n型コンタクト層14b上の露出領 14dを露出させ、この部分にNi、Al、Ti、Auの4 よりなる負極19を作製した。これらの工程に より、ウェーハ上に、図1及び2に示すような 状を持つ各電極を作製した。

 上述のようにしてp型半導体層及びn型半 体層の両方に電極を形成したウェーハを、 板11の裏側を研削及び研磨してミラー状の面 として350μm角の正方形のチップに切断し、各 電極が上になるようにリードフレーム上に載 置し、金線でリードフレームに結線すること により、半導体発光素子とした。この半導体 発光素子(発光ダイオード)の正極ボンディン パッド18及び負極19の電極間に順方向電流を 流したところ、電流20mAにおける順方向電圧 3.0Vであった。また、p側の透光性正極17を通 て発光状態を観察したところ、発光波長は4 70nmであり、発光出力は15mWを示した。このよ な発光ダイオードの発光特性は、作製した ェーハのほぼ全面から作製された発光ダイ ードについて、ばらつきなく得られた。

[比較例1]
 本比較例では、サファイアからなる基板のc 面上に、AlNからなる中間層を形成した後、逆 スパッタによる前処理工程を行なわずに、そ の上に、スパッタ法を用いてGaNからなる下地 層14aを形成した点を除き、実施例2と同様に て半導体発光素子を作製した。

 比較例1で作製したウェーハは、光学顕微鏡 で観察すると表面に微小なピットを生じてい た。
 また、比較例1の半導体発光素子は、電流20m Aにおける順方向電圧が2.5V、発光波長が470nm あったが、発光出力は1mWであり、実施例2の 導体発光素子に比べて発光出力が劣ってい 。これは、表面に生じた微小なピットによ ものと思われる。
 更に、比較例1の方法で成長させたGaNからな る下地層14aのX線ロッキングカーブ(XRC)を測定 したところ、(0002)面の測定においては半値幅 300秒、(10-10)面においては半値幅700秒を示し 結晶性が劣っていることが明らかとなった

 また、本比較例で作製した試料の中間層 下地層と同じ条件で0.8μm程度の薄膜を成長 た場合の界面付近を断面TEMにて観察した結 を図8に示す。界面近くには、ダメージ層が 発生しており、その影響で稠密な結晶層が形 成されなかった。

 更に、比較例1の下地層14aの上面をAFM(原 間力顕微鏡)によって走査した結果を図9に示 す。図9に示すように、下地層14aの上面が粗 であることが一見して明らかとなった。ま 、平均表面粗さ(Ra)は11.0nmであり、実施例1の 下地層のRaの7.3倍であった。

 本発明のIII族窒化物半導体発光素子の製 方法及びIII族窒化物半導体発光素子によれ 、基板上に結晶性及び結晶の稠密性がとも 良好なIII族窒化物半導体を効率良く成長さ ることができ、生産性に優れるとともに、 れた発光特性を備えたIII族窒化物半導体発 素子が得られる。