TAMURA KAZUO (JP)
JP2002057052A | 2002-02-22 | |||
JP2002158105A | 2002-05-31 | |||
JP2003257768A | 2003-09-12 | |||
JPH07230928A | 1995-08-29 | |||
JP2002057052A | 2002-02-22 |
主成分をR(Rは希土類元素の1種又は2種以上の組み合わせ)、T(TはFe、又はFe及びCo)、及びBとし、Rが26.8~33.5質量%、Bが0.78~1.25質量%、Ni,Ga,Zr,Nb,Hf,Ta,Mn,Sn,Mo,Zn,Pb,Sb,Al,Si,V,Cr,Ti,Cu,Ca,Mgから選ばれる1種又は2種以上の元素の合計量が0.05~3.5質量%、残部がT及び不可避の不純物からなる合金を鋳造し、アルゴン、窒素又は真空の無酸素雰囲気中で粉砕した後、微粉砕、磁場中成型、焼結、時効を順次行って焼結磁石とし、その酸素濃度が0.6質量%以下で、磁気特性がBrで12.0kG以上14.8kG以下、iHcが11kOe以上35kOe以下である磁石を切断及び/又は研磨して表面の加工仕上げを行い、次いで鉱酸などによるメッキ前処理をした後、電気ニッケルメッキにより所定の厚みにメッキ処理を行い、リン酸塩を含む水溶液に浸漬処理し、水洗し、次いで酸素分圧が1.3×10 3 Pa(10torr)以上の雰囲気下において、150~400℃にて1~24時間熱処理し、表層部に薄いニッケル酸化物層を形成させることを特徴とする高耐食性希土類永久磁石の製造方法。 |
主成分をR(Rは希土類元素の1種又は2種以上の組み合わせ)、T(TはFe、又はFe及びCo)、及びBとし、Rが26.8~33.5質量%、Bが0.78~1.25質量%、Ni,Ga,Zr,Nb,Hf,Ta,Mn,Sn,Mo,Zn,Pb,Sb,Al,Si,V,Cr,Ti,Cu,Ca,Mgから選ばれる1種又は2種以上の元素の合計量が0.05~3.5質量%、残部がT及び不可避の不純物からなる合金を母合金とし、R’が28~70質量%(R’=R)、Bが0~1.5質量%、Ni,Ga,Zr,Nb,Hf,Ta,Mo,Al,Si,V,Cr,Ti,Cuから選ばれる1種又は2種以上の元素の合計量が0.05~10質量%、残部がT(Tの中でCoの割合が10質量%以上でFeの割合が60質量%以下)及び不可避の不純物からなる合金を助材とし、アルゴン、窒素又は真空の無酸素雰囲気で水素化粉砕した母合金を85~99質量%、助材を1~15質量%の割合で混合した後、微粉砕、磁場中成型、焼結、時効を順次行って焼結磁石とし、その酸素濃度が0.6質量%以下で、磁気特性がBrで12.0kG以上14.8kG以下、iHcが11kOe以上35kOe以下である磁石を切断及び/又は研磨して表面の加工仕上げを行い、次いで鉱酸などによるメッキ前処理をした後、電気ニッケルメッキにより所定の厚みにメッキ処理を行い、リン酸塩を含む水溶液に浸漬処理し、水洗し、次いで酸素分圧が1.3×10 3 Pa(10torr)以上の雰囲気下において、150~400℃にて1~24時間熱処理し、表層部に薄いニッケル酸化物層を形成させることを特徴とする高耐食性希土類永久磁石の製造方法。 |
リン酸塩を含む水溶液が、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムから選ばれる少なくとも1種のリン酸塩、又は該リン酸塩と、硫酸、硝酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、リン酸、ピロリン酸、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウムから選ばれる少なくとも1種とを含む水溶液であることを特徴とする請求項1又は2記載の高耐食性希土類永久磁石の製造方法。 |
請求項1~3のいずれかの方法で得られた磁石を、工作機械の駆動機構に用いられ、アミンを含有する水溶性切削油に接触する磁石として使用することを特徴とする希土類永久磁石の使用方法。 |
本発明は、油性金属加工油もしくは水溶 金属加工油組成物に長時間晒される希土類 久磁石、特に工作機械用リニアモーター用 して有効な高耐食性希土類永久磁石の製造 法及び当該磁石の使用方法に関する。
希土類永久磁石は、その優れた磁気特性 経済性のために、電気・電子機器の多くの 野で利用されており、近年その生産量は急 に増大しつつある。これらのうちNd系希土 系永久磁石は、サマリウムコバルト磁石に べて主要元素であるNdがSmより豊富に存在す こと、Coを多量に使用しないことから原材 費が安価であり、磁気特性もサマリウムコ ルト磁石をはるかに凌ぐことから、これま サマリウムコバルト磁石が使用されてきた 型磁気回路だけでなく、ハードフェライト るいは電磁石が使われていた分野にも広く 用されている。エアコンや冷蔵庫などのコ プレッサー用モーターにおいても、エネル ー効率を上げて電力消費量を少なくするこ を目的に、従来の誘導電動機やフェライト 石を使用した同期型回転機からNd系希土類磁 石を使用したDCブラシレスモーターへの転換 進みつつある。
R-Fe-B系永久磁石は、主成分として希土類 素及び鉄を含有するため、湿度を帯びた空 中では短時間のうちに容易に酸化するとい 欠点を有している。磁気回路に組み込んだ 合には、これらの酸化腐食により磁気回路 出力を低下させたり、発生した錆等によっ 周辺機器を汚染するなどの問題があった。 のため、一般に希土類磁石は表面処理を行 て使用されている。希土類磁石における表 処理法には、電気メッキや無電解メッキ、 にはAlイオンプレーティング法や各種の塗 等を行って使用されている。このときR-Fe-B 永久磁石が晒される環境因子は、温度、あ いは湿度が主である。
一方、産業用モーターやエアコン用コン レッサーモーター等において、希土類永久 石は、常に切削油等の薬液、あるいは冷媒 び冷凍機油の高温・高圧下混合系等に晒さ るなど、使用する環境雰囲気に特有な環境 子がある。これら特有な環境に対して十分 耐食性を有するなど、高い信頼性が求めら る。
特に、希土類永久磁石を工作機械用リニ モーターに用いると、高い加速性能並びに 速回転により、従来より更なる高速機械加 が可能になると考えられる。また、圧縮ガ としてHFC等のフレオン類のみならず、純水 、純アンモニア等の高い化学活性を有する ス類に産業用モーターが晒されて使用され ことがある。
高速機械加工に用いるリニアモーターの 合、十分な耐切削液性を有していないと、 時間の運転により、切削液と磁石との腐食 応が進行し、磁気特性の劣化が起こり、モ ターとしての機能を十分に発揮できなくな ことがある。同様に、純水素あるいは純ア モニアがある分圧で存在する雰囲気で使用 る場合、十分な耐食性を有していないと、 時間の運転により、磁石との腐食反応が進 し、磁気特性の劣化が起こり、モーターと ての機能を十分には発揮できない。
従って、これらの用途においては、上述の
種表面処理の適用が検討されるわけである
、実使用環境で晒される環境で十分な耐食
を持つ表面処理方法が熱望されている。
こうした表面処理法が確立されれば、種
の産業用モーター等の高効率化及び高信頼
化が可能となり、その意義は極めて大きい
R-T-B系永久磁石を高効率モーターに使用す
場合の暴露環境は、高温高湿度のような空
中に水分が介在するものが一般的である。
た、特殊環境としてHFC又はHCFC冷媒と、鉱物
、エステル油、エーテル油等の冷凍機油を
いるエアコン用コンプレッサー等の高効率
ーター等がある。こうした特殊雰囲気で使
する希土類永久磁石の製造方法として、特
2002-57052号公報が提案されている。
しかし、水溶性金属加工剤組成物、特にア
ンを含有する水溶性切削油に対して耐切削
性を与える希土類永久磁石が更に望まれる
本発明の目的は、上記課題に着目し、鉱 をベースにした不水溶性切削油剤のみだけ なく、優れた耐食性能を有し、かつ、地球 境や人体に対し悪影響を及ぼしにくい水溶 金属加工剤組成物、特にアミンを含有する 溶性切削油に対して十分な耐切削液性を有 るR-Fe-B系で代表されるR-T-B系の高耐食性希 類永久磁石の製造方法及び当該磁石の使用 法を提供することである。
本発明者は、耐切削油性を有する希土類磁 の表面処理手法について種々検討した結果 希土類永久磁石表面に電気ニッケルメッキ を形成した後、リン酸塩を含む水溶液に浸 し、水洗・乾燥させ、引き続き大気組成雰 気下、もしくは同等の酸素活量で加熱処理 ることにより、表面に厚さ200nm以内のNi 2 O 3 層を形成する表面処理方法が非常に効果的で あることを知見した。
即ち、R-T-B系希土類磁石の表面に高耐食性
物質が欠陥なく形成されておれば、その物
が溶解しない限り金属分が腐食されること
ない。しかし、被覆した物質に何がしかの
陥があれば、その欠陥部分から腐食性物質
侵入して腐食が進行する。
一般に腐食反応は電気化学的に進行する
め、特定の雰囲気において腐食が進行する
どうかは、反応系に存在する化学物質の電
化学的電極電位を比較することにより推定
きる。従って、その腐食反応を抑制するた
には、その表面上で起こる酸化還元反応を
制し、反応界面における電極電位を不動態
に移動させればよい。
そこで、R-T-B系希土類永久磁石表面に水素
元反応を促進する金属酸化物層を所定の膜
以上に形成し、化学活性の高い物質に対す
被毒作用を保ち、かつR-T-B系希土類永久磁石
表面の電極電位を不動態域に移動させればR-T
-B系希土類永久磁石の腐食を抑制することが
きる。
通常、多くの場合、R-T-B系希土類永久磁石
は、耐食性を得るためにニッケルメッキが施
される。
本発明では、R-T-B系希土類永久磁石にニッ
ケルメッキを施すだけでなく、リン酸塩を含
む水溶液に浸漬した後、水洗・乾燥させ、次
いでこの皮膜を制御された雰囲気にて熱処理
を行い、かつその生成する膜厚を調整するこ
とにより、R-T-B系希土類永久磁石表面に水素
元反応を促進するニッケル酸化物を形成し
化学活性の高い物質に対する被毒作用を得
ものである。
従って、本発明は、
(1)主成分をR(Rは希土類元素の1種又は2種以上
組み合わせ)、T(TはFe、又はFe及びCo)、及びB
し、Rが26.8~33.5質量%、Bが0.78~1.25質量%、Ni,Ga,
Zr,Nb,Hf,Ta,Mn,Sn,Mo,Zn,Pb,Sb,Al,Si,V,Cr,Ti,Cu,Ca,Mgから
ばれる1種又は2種以上の元素の合計量が0.05~3
.5質量%、残部がT及び不可避の不純物からな
合金を鋳造し、アルゴン、窒素又は真空の
酸素雰囲気中で粉砕した後、微粉砕、磁場
成型、焼結、時効を順次行って焼結磁石と
、その酸素濃度が0.6質量%以下で、磁気特性
Brで12.0kG以上14.8kG以下、iHcが11kOe以上35kOe以
である磁石を切断及び/又は研磨して表面の
加工仕上げを行い、次いで鉱酸などによるメ
ッキ前処理をした後、電気ニッケルメッキに
より所定の厚みにメッキ処理を行い、リン酸
塩を含む水溶液に浸漬処理し、水洗し、次い
で酸素分圧が1.3×10 3
Pa(10torr)以上の雰囲気下において、150~400℃に
1~24時間熱処理し、表層部に薄いニッケル酸
化物層を形成させることを特徴とする高耐食
性希土類永久磁石の製造方法、
(2)主成分をR(Rは希土類元素の1種又は2種以上
組み合わせ)、T(TはFe、又はFe及びCo)、及びB
し、Rが26.8~33.5質量%、Bが0.78~1.25質量%、Ni,Ga,
Zr,Nb,Hf,Ta,Mn,Sn,Mo,Zn,Pb,Sb,Al,Si,V,Cr,Ti,Cu,Ca,Mgから
ばれる1種又は2種以上の元素の合計量が0.05~3
.5質量%、残部がT及び不可避の不純物からな
合金を母合金とし、R’が28~70質量%(R’=R)、B
0~1.5質量%、Ni,Ga,Zr,Nb,Hf,Ta,Mo,Al,Si,V,Cr,Ti,Cuから
選ばれる1種又は2種以上の元素の合計量が0.05
~10質量%、残部がT(Tの中でCoの割合が10質量%以
上でFeの割合が60質量%以下)及び不可避の不純
物からなる合金を助材とし、アルゴン、窒素
又は真空の無酸素雰囲気で水素化粉砕した母
合金を85~99質量%、助材を1~15質量%の割合で混
した後、微粉砕、磁場中成型、焼結、時効
順次行って焼結磁石とし、その酸素濃度が0
.6質量%以下で、磁気特性がBrで12.0kG以上14.8kG
下、iHcが11kOe以上35kOe以下である磁石を切断
及び/又は研磨して表面の加工仕上げを行い
次いで鉱酸などによるメッキ前処理をした
、電気ニッケルメッキにより所定の厚みに
ッキ処理を行い、リン酸塩を含む水溶液に
漬処理し、水洗し、次いで酸素分圧が1.3×10 3
Pa(10torr)以上の雰囲気下において、150~400℃に
1~24時間熱処理し、表層部に薄いニッケル酸
化物層を形成させることを特徴とする高耐食
性希土類永久磁石の製造方法、
(3)リン酸塩を含む水溶液が、リン酸二水素ナ
トリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水
素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムから
選ばれる少なくとも1種のリン酸塩、又は該
ン酸塩と、硫酸、硝酸、酢酸、蓚酸、クエ
酸、リン酸、ピロリン酸、硫酸ナトリウム
硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリ
ム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、蓚酸
トリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリ
ム、クエン酸カリウム、リン酸ナトリウム
リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、
ロリン酸カリウムから選ばれる少なくとも1
とを含む水溶液であることを特徴とする(1)
は(2)記載の高耐食性希土類永久磁石の製造
法、
(4)(1)~(3)のいずれかの方法で得られた磁石を
工作機械の駆動機構に用いられ、アミンを
有する水溶性切削油に接触する磁石として
用することを特徴とする希土類永久磁石の
用方法
を提供する。
本発明によれば、上記焼結磁石に電気ニッ
ルメッキを施し、リン酸塩を含む水溶液に
漬した後、水洗・乾燥させる。次いでこのR
-Fe-B系永久磁石表面を制御された酸素雰囲気
熱処理による水素還元反応を促進させる保
膜形成を行うことにより、水溶性切削油の
分によらず、高い耐食性を付与することが
きる。
例えば、自動盤、トランスファーマシン
ボール盤等を用いて行う一般旋削作業、ガ
ドリル等による深穴あけ作業、タッピング
によるねじ切り作業、ホブ・ピニオン等に
る歯切り作業等の加工作業をするために使
されるエマルションタイプ、ソリュブルタ
プ、シンセティックタイプの全ての切削液
対して、本発明のR-T-B系磁石は十分な耐食性
を有するため、使用環境を選ばずに使用でき
る。
また、抗菌性を高めるため水溶性切削油
添加されているアミン類に対して、R-T-B系永
久磁石は何ら影響をうけないことから、一般
に化学反応性の高いアミン類及びアンモニア
等に対しても十分なバリアー性を持つという
きわめて優れた特徴を有するR-T-B系永久磁石
簡便かつ安価に提供することができ、産業
その価値は極めて高い。
本発明の希土類永久磁石の製造方法にお ては、まず、主成分をR(Rは希土類元素の1種 又は2種以上の組み合わせ)、T(TはFe、又はFe及 びCo)、及びBとし、Rが26.8~33.5質量%、Bが0.78~1.2 5質量%、Ni,Ga,Zr,Nb,Hf,Ta,Mn,Sn,Mo,Zn,Pb,Sb,Al,Si,V,Cr,Ti ,Cu,Ca,Mgから選ばれる1種又は2種以上の元素の 計量が0.05~3.5質量%、残部がT及び不可避の不 純物からなる合金を鋳造する。
ここで、上記R-T-B系永久磁石に用いるRは 組成の26.8~33.5質量%を占めるが、RとしてはY はLa,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Lu,Ybの内から選 される1種もしくは2種以上が使用され、中で もCe,La,Nd,Pr,Dy,Tbの内少なくとも1種を含むのが 好ましい。Bは0.78~1.25質量%の範囲とする。Fe 50~90質量%の範囲である。この場合、Feの一部 をCoで置換することにより温度特性を改善す ことができる。但し、Coの添加量が0.1質量% 満では十分な効果が得られず、一方、15質 %を超えると保磁力が低下し、コストも上昇 るので、その量は0.1~15質量%が好ましい。ま た、磁気特性の改善、あるいは、コスト低減 のために、Ni,Ga,Zr,Nb,Hf,Ta,Mn,Sn,Mo,Zn,Pb,Sb,Al,Si,V,C r,Ti,Cu,Ca,Mgから選ばれる少なくとも1種を添加 ることができる。このような組成の合金は 金の融点以上で溶湯化させ、金型鋳造法、 ール急冷法、アトマイズ法等の鋳造方法に り得ることができる。
上記組成の合金をアルゴン、窒素又は真 の無酸素雰囲気中で粉砕した後、好ましく 平均粒径1~30μmに微粉砕し、磁場中配向圧縮 成型あるいは非磁場中圧縮成型、焼結、溶体 化、時効することによりバルク化し、研削、 研磨加工して所望の実用形状を有する永久磁 石が得られる。
また、上記の希土類磁石は、主成分をR(R 希土類元素の1種又は2種以上の組み合わせ) T(TはFe、又はFe及びCo)、及びBとし、Rが26.8~33 .5質量%、Bが0.78~1.25質量%、Ni,Ga,Zr,Nb,Hf,Ta,Mn,Sn,M o,Zn,Pb,Sb,Al,Si,V,Cr,Ti,Cu,Ca,Mgから選ばれる1種又 2種以上の元素の合計量が0.05~3.5質量%、残部 T及び不可避の不純物からなる合金を母合金 とし、R’が28~70質量%(R’=R(即ち、R’は希土 元素の1種又は2種以上の組み合わせであり、 R’とRとが同一の元素であることが好ましい) )、Bが0~1.5質量%、Ni,Ga,Zr,Nb,Hf,Ta,Mo,Al,Si,V,Cr,Ti,Cu から選ばれる1種又は2種以上の元素の合計量 0.05~10質量%、残部がT(Tの中でCoの割合が10質 %以上でFeの割合が60質量%以下)及び不可避の 不純物からなる合金を助材とし、アルゴン、 窒素又は真空の無酸素雰囲気で水素化粉砕し た母合金を85~99質量%、助材を1~15質量%の割合 混合した後、微粉砕、磁場中成型、焼結、 効を順次行い、更に、切断及び/又は研磨し て表面を加工仕上げすることにより得ること もできる。
なお、ここで得られた永久磁石は、その 素濃度が0.6質量%以下で、磁気特性がBrで12.0 kG以上14.8kG以下、iHcが11kOe以上35kOe以下である 。
以上のようにして焼結磁石を作製し、切 及び/又は研磨して表面の加工仕上げを行っ た後、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸などを用い て常法によりメッキ前処理を行う。
本発明においては、次いで上記磁石に対し 電気ニッケルメッキを行う。電気ニッケル ッキは硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ を溶解させたワット浴だけでなく、スルフ ミン酸ニッケル浴、ウッドストライク浴等 業的に確立されたいずれのニッケルメッキ でもよい。なお、無電解ニッケルメッキで 、無電解ニッケルメッキであるNi-P合金メッ キに熱処理(特に400℃以上)を施すと、電析時 非晶質又は微細結晶であったものが、加熱 よりNi 3 Pなどの金属化合物が、ニッケルマトリック 中に生成すると同時に歪を与え、メッキ皮 が硬くなるという不利が生じ、本発明の目 を達成し得ない。電気ニッケルメッキをR-T-B 系希土類永久磁石に析出させる方法として、 引っ掛け式、バレル方式等いずれの方法を用 いてもよい。R-T-B系希土類永久磁石に析出さ たニッケルメッキ膜厚は5~40μmがよく、好ま しくは10~30μm、より好ましくは15~25μmである
更に、本発明は、電気ニッケルメッキ膜 磁石表面に形成した後、リン酸塩を含む水 液に浸漬する処理を行う。リン酸塩として 、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素 リウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸 素二カリウムから選ばれる少なくとも1種が 好ましく、必要によりこれらリン酸塩に、補 助成分として、硫酸、硝酸、酢酸、蓚酸、ク エン酸、リン酸、ピロリン酸、硫酸ナトリウ ム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カ リウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、蓚 酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナト リウム、クエン酸カリウム、リン酸ナトリウ ム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム 、ピロリン酸カリウムから選ばれる少なくと も1種を更に添加してもよく、これら成分を 溶液状態にして上記電気ニッケルメッキを した磁石を浸漬して処理する。溶液濃度は 特に限定しないが、リン酸塩濃度は0.01~2モ /リットル、特に0.05~0.5モル/リットルであり 上記補助成分を添加する場合、その濃度は 0.01~0.1モル/リットルであり、処理条件とし は、場合によっては加温しながら10~70℃で1~ 60分浸漬することが好ましい。その後、水洗 理を施し、強制循環式等の定法により乾燥 せる。
なお、リン酸塩を含む処理液のpHは、0.3 上6.5以下もしくは8.0以上12.5以下となるよう 整することが好ましい。pH調整は成分の濃 を増減させてもよいし、水酸化カリウム又 水酸化ナトリウムを用いることもできる。
上記リン酸塩処理を行わない場合、磁石 面に安定な被毒層を形成できず、本来磁石 有する磁気特性を劣化させてしまう場合が る。なお、リン酸塩処理後は水洗を行う。
R-T-B系希土類永久磁石に所望のニッケルメ キ層を形成させ、リン酸塩処理を施した後 酸素を含む雰囲気にて熱処理を行い、これ よって耐食性を向上させる。この場合、酸 濃度として1.3×10 3 Pa(10torr)以上、好ましくは1.3×10 4 Pa(1×10 2 torr)~6.5×10 4 Pa(5×10 2 torr)の酸素濃度、より好ましくは1.3×10 4 Pa(1.0×10 2 torr)~2.6×10 4 Pa(2.0×10 2 torr)の酸素分圧に処理室雰囲気が制御される 熱処理温度は150~400℃、好ましくは250~400℃ て行い、熱処理時間は1~24時間、好ましくは8 ~24時間加熱を行うことにより、R-T-B系希土類 久磁石表面に耐食性皮膜を形成させること できる。熱処理温度が高すぎる又は熱処理 間が長すぎると磁気特性劣化が起こり、ま 熱処理温度が低すぎる又は熱処理時間が短 ぎると十分な耐切削液性を有しないおそれ ある。
R-T-B系希土類永久磁石に対し酸素を含む所 の雰囲気で熱処理した後、10~2×10 3 ℃/minの冷却速度で冷却してもよい。場合に っては多段にわたる熱処理を行うことも可 である。必要であれば熱処理されたR-T-B系希 土類永久磁石を冷却する際に熱処理容器中で 窒素又はAr等のキャリアガスによる冷却、あ いは炉内外で空冷させる代わりに、熱処理 施したR-T-B系希土類永久磁石を冷水あるい 冷却媒体等によるいわゆる急冷焼入れ処理 行ってもよい。急冷焼入れ処理に用いる冷 媒体は、所望する耐食性に応じて、冷水だ でなくリン酸、クエン酸、シュウ酸等を溶 させた弱酸溶液あるいは炭酸カリウム等を 解させた弱アルカリ溶液等も使用すること できる。
なお、以上のようにして形成されるニッ ルの表面酸化物層の厚さは200nm以下、特に50 ~150nmであることが好ましい。薄すぎると耐食 効果は十分でなく、厚すぎると磁石表面の変 色が大きくなったり、色むらが生じるおそれ がある。
本発明の高耐食性希土類永久磁石は、切 加工、研削加工、塑性加工等の金属加工に く適用できる水溶性金属加工油組成物(従来 の水溶性金属加工油組成物のみでなく、特に 、耐腐敗性能に優れた水溶性金属加工油組成 物)及びそれを用いた水溶性金属加工油剤等 使用する産業用モーターに好適に用いられ 。
ここで、切削、切削加工分野に広く使用 れる切削油剤には、鉱油をベースにした不 溶性切削油剤と、鉱油、界面活性剤、有機 ミン等を含有し、水に希釈して使用する水 性切削油剤がある。水溶性切削油剤におい は、油剤の耐腐敗性能を向上させるために 防腐効果のあるアミン類を加えることが行 れている。
耐腐敗性能を向上させるために、従来の 腐剤、アミンに代わり、特定のアミンが使 される。具体的には、(1)トリエタノールア ン、トリイソプロパノールアミン及びメチ ジエタノールアミン等、(2)モノイソプロパ ールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノ ル等、(3)シクロヘキシルアミン、ジシクロ キシルアミン等が挙げられる。但し、アル ノールアミンの使用量が少ないエマルジョ などでは、pH維持能力に劣るため、防腐剤の 添加が必要となる。フェノール系のO-フェニ フェノール、チアゾリン系のベンゾイソチ ゾリン、ホルムアルデヒド放出型のトリア ン化合物等が用いられる。
また、その他の任意の添加剤として、シ コーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、ト アジン系防腐剤、アルキルベンゾイミダゾ ル防腐剤、アルキルベンゾイミダゾール金 防食剤、ポリオキシエチレンアルキルエー ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニル ーテル、カルボン酸アルカノールアミド等 ノニオン系界面活性剤、多価アルコール類 グリコール類、水等のカップリング剤、リ 酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、珪酸塩等の無機 、EDTA等のイオン封鎖剤、酸化ワックス、天 然油脂、合成油脂、合成エステル、高分子ポ リマー等の油性剤を添加することができる。
これら有効成分を含む水溶性金属加工油 成物、特に水溶性切削油は、水で5~200倍程 に希釈して使用するのが一般的である。
本発明の磁石は、水及び/又は潤滑油並び に冷媒に長時間晒される雰囲気や、特に切削 加工、研削加工、塑性加工等の金属加工に広 く適用できる上記したような水溶性金属加工 油組成物及びそれを用いた水溶性金属加工油 等を使用する産業用各種モーター(改正省エ 法に準拠できるモーター)に使用され、その 転条件下で水溶性金属加工油や切削油に長 間晒される用途に有効である。
近年、例えば工作機械の主軸/テ-ブル送 機構や各種産業機械の駆動部として、高速 動が容易で静粛性に優れたリニア同期モー ーが採用されている。このようなリニア同 モーターでは、駆動機構を単純にするため 界磁部に永久磁石を用いることが多い。永 磁石界磁リニアモーターは、プレート上に べられた複数の永久磁石を備えた界磁部と これら界磁部との間に所定の空隙を介して 置され、それら永久磁石による磁界を順次 断する方向へ複数の永久磁石に対し直線的 相対移動する巻線を備えた電機子を具備し いるが、特に主軸/テーブル送り機構は切削 等の化学薬品に触れることが多い。耐切削 性が十分でない永久磁石を使用する場合、 気特性の劣化の懸念及び機械的強度補強の めに、永久磁石の上に専用のカバ-を設置す ることがある。
本発明の磁石を、こうした工作機械のリ アモーター等の駆動機構に用いられ、アミ を含有する水溶性切削油に接触される磁石 使用すれば、こうした専用のカバ-を必要と しないことから安価・軽量・高信頼性を全て 満足し、このため産業上その利用価値は極め て大きい。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を 体的に説明するが、本発明は下記の実施例 制限されるものではない。
[実施例1]
Ar雰囲気の高周波溶解により質量比で32Nd-1.2
B-59.8Fe-7Coなる組成の鋳塊を作製した。このイ
ンゴットをジョウクラッシャーで粗粉砕し、
更に窒素ガスによるジェットミルで微粉砕を
行って、平均粒径が3.5μmの微粉末を得た。次
に、この微粉末を10kOe磁界が印加された金型
に充填し、1.0t/cm 2
の圧力で成型した。次いで真空中1,100℃で2時
間焼結し、更に550℃で1時間時効処理を施し
永久磁石とした。
得られた永久磁石から縦20.0mm×横20.0mm×厚さ 3.0mm寸法、酸素濃度0.58質量%、Br=12.0kG、iHc=21.0 kOeの磁石片を切り出し、バレル研磨処理を行 った後、超音波水洗を行った。得られた磁石 片を塩酸、硝酸、酢酸等の希薄鉱酸にて前処 理を行い、硫酸ニッケル、塩化ニッケル及び ホウ酸を溶解させたワット浴にて無光沢電気 ニッケルメッキを行った。電気ニッケルメッ キによるニッケル膜厚は、磁石中心部をX線 厚計にて測定したところ、20~22μmであった。 メッキ被覆後、0.1mol/L リン酸二水素ナトリ ム水溶液に30℃で30秒間浸漬し、イオン交換 で洗浄した後、80℃の強制循環式乾燥機で5 間乾燥した。これを酸素濃度1.95×10 4 Pa(1.5×10 2 torr)の雰囲気にて350℃で24時間熱処理を行っ 。この時、R-T-B系希土類永久磁石表面に対し 熱処理により得られた主にNi酸化物で構成さ る耐食性皮膜厚さは、XPS分析により40~100nm 度であった。
切削液に対するR-Fe-B系希土類永久磁石の 食性を次のように調べた。市販の水溶性切 液5種(切削液Aから切削液E)を所定の濃度に 釈した。使用した水溶性切削液のうち、切 液D及び切削液Eは、水溶性切削液で問題とな る抗菌性を改良した、いわゆるバイオスタテ イック型切削液である。なお、表1に、使用 た水溶性切削液5種の種類、希釈時のpH値及 抗菌性の有無等について示す。
次に、キャップボルト式耐圧容器[容量200 ml(耐圧硝子工業(株)製TPR型N2タイプ)]に所定の 濃度に希釈した切削液を100ml入れ、試験片のR -Fe-B系永久磁石を入れ、容器を締結し、密封 た。圧力容器を80℃±0.2℃及び120℃±0.2℃に 持したオイルバスに入れ、切削液に対する 漬試験を実施した。
[実施例2]
実施例1と同様にAr雰囲気の高周波溶解によ
質量比で32Nd-1.2B-59.8Fe-7Coなる組成の鋳塊を
製した。このインゴットをジョウクラッシ
ーで粗粉砕し、更に窒素ガスによるジェッ
ミルで微粉砕を行って、平均粒径が3.5μmの
粉末を得た。次に、この微粉末を10kOe磁界が
印加された金型内に充填し、1.0t/cm 2
の圧力で成型した。次いで真空中1,100℃で2時
間焼結し、更に550℃で1時間時効処理を施し
永久磁石とした。
得られた永久磁石から縦20.0mm×横20.0mm×厚さ 3.0mm寸法、酸素濃度0.58質量%、Br=12.0kG、iHc=21.0 kOeの磁石片を切り出し、バレル研磨処理を行 った後、超音波水洗を行った。得られた磁石 片を塩酸、硝酸、酢酸等の希薄鉱酸にて前処 理を行い、硫酸ニッケル、塩化ニッケル及び ホウ酸を溶解させたワット浴にて無光沢電気 ニッケルメッキを行った。電気ニッケルメッ キによるニッケル膜厚は、磁石中心部をX線 厚計にて測定したところ、20~22μmであった。 メッキ被覆後、0.1mol/Lリン酸二水素カリウム 溶液に30℃で30秒間浸漬し、イオン交換水で 洗浄した後、80℃の強制循環式乾燥機で5分間 乾燥した。これを酸素濃度1.95×10 4 Pa(1.5×10 2 torr)の雰囲気にて350℃で8時間熱処理を行った 。得られた磁石を試験片として用い、同様の 80℃及び120℃における切削液浸漬試験を実施 た。
[比較例1]
所定の寸法に加工切断した後、電気ニッケ
メッキを全く施さないいわゆる表面処理レ
品を試験片として用い、同様の80℃及び120
における切削液浸漬試験を実施した。
[比較例2]
熱処理を行わない以外は実施例1と同様のニ
ッケルメッキされたR-Fe-B系永久磁石を試験片
として用い、同様の80℃及び120℃における切
液浸漬試験を実施した。
切削液浸漬試験の結果を図1~5及び表2に示す
。
図1は、実施例1のR-Fe-B系永久磁石を用い、
溶性切削液5種における80℃×4週間浸漬試験
後の磁気特性を示す。水溶性切削液5種全て
おいて、浸漬試験によるR-Fe-B系永久磁石の
気特性劣化は何ら認められない。
図2は、実施例1のR-Fe-B系永久磁石を用い、
溶性切削液5種における120℃×1週間浸漬試験
後の磁気特性を示す。水溶性切削液5種全て
において、浸漬試験によるR-Fe-B系永久磁石の
磁気特性劣化は何ら認められない。
図3は、実施例2のR-Fe-B系永久磁石を用い、
溶性切削液5種における80℃×4週間浸漬試験
後の磁気特性を示す。水溶性切削液5種全て
おいて、浸漬試験によるR-Fe-B系永久磁石の
気特性劣化は何ら認められない。
図4は、比較例1における水溶性切削液5種に
ける80℃×4週間浸漬前後の磁気特性変化を
す。水溶性切削液A,D及びEにおいて明らかな
気特性劣化が見られた。
図5は、比較例2における水溶性切削液5種に
ける80℃×4週間浸漬前後の磁気特性変化を
す。水溶性切削液5種全てにわたり、明らか
磁気特性劣化が見られた。
実施例1,2及び比較例1,2のR-Fe-B系永久磁石 表面処理方法における耐切削液浸漬試験の 果を表2に示す。明らかに実施例1,2は、水溶 性切削液の抗菌性有無などの種類を問わず、 長期にわたる浸漬試験においてR-Fe-B系永久磁 石の特性を全く損なわない優れた表面処理方 法である。
×:いずれかの切削液において磁気特定の劣化
が認められた。
以上の結果から明らかなように、ニッケ メッキされたR-Fe-B系希土類永久磁石を雰囲 制御された雰囲気で熱処理を行わない(比較 例2)と、水溶性切削液に高温で長時間晒した 合、80℃にて4週間経過後、大きく磁気特性 劣化するのが見られる。