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Title:
PROCESS FOR PRODUCING HOT-ROLLED STEEL SHEET HAVING FINE FERRITE STRUCTURE AND HOT-ROLLED STEEL SHEET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096394
Kind Code:
A1
Abstract:
A process which comprises: a step (A) comprising first rolling in which a steel sheet containing 0.04-0.20% C, 0.01-2.0% Si, and 0.5-3.0% Mn, the remainder being iron and unavoidable impurities, is rolled by successive multi-pass rolling at a total draft of 80% or higher while keeping the steel sheet at temperatures not lower than the transformation point Ae3; a step (B) comprising second rolling in which one-pass rolling is conducted at a draft of 30-55% and an inlet-side temperature not lower than the transformation point Ae3; a step (C) comprising third rolling in which one-pass rolling is conducted at a draft of 35-70% and an inlet-side temperature in a given temperature range; and a step (D) in which within 0.2 sec after the third rolling, the steel sheet is cooled at a cooling rate of 600 °C/sec or higher to a temperature not higher than [(transformation point Ae3)-130°C]. In the step (C), the third rolling is conducted within 0.6 sec, 0.5 sec, or 0.3 sec when the given temperature range is from [(transformation point Ae3)-60°C] to below [(transformation point Ae3)-30°C], from [(transformation point Ae3)-30°C] to below [(transformation point Ae3)-5°C], or from [(transformation point Ae3)-5°C] to below [(transformation point Ae3)+20°C], respectively.

Inventors:
FUKUSHIMA SUGUHIRO (JP)
ETO MANABU (JP)
SASAKI TAMOTSU (JP)
KAWANO KAORI (JP)
WAKITA MASAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/051765
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
February 02, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL IND (JP)
FUKUSHIMA SUGUHIRO (JP)
ETO MANABU (JP)
SASAKI TAMOTSU (JP)
KAWANO KAORI (JP)
WAKITA MASAYUKI (JP)
International Classes:
B21B1/38; B21B3/00; C21D8/02; C22C38/00; C22C38/04
Foreign References:
JP2006341274A2006-12-21
JP2004143503A2004-05-20
Attorney, Agent or Firm:
HOSHINO, Tetsuro et al. (3rd Floor Oak Building Kyobashi, 16-10, Kyobashi 1-chome, Chuou-ku, Tokyo 31, JP)
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Claims:
 質量%でC:0.04~0.20%、Si:0.01~2.0%、Mn:0.5~3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物よりなる素材鋼板をAe3変態点以上の温度域を維持して連続する複数パスで総圧下率80%以上で圧延する第1圧延を含むA工程と、
前記A工程に引き続き圧延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧下率30~55%の1パス圧延を行う第2圧延を含むB工程と、
前記B工程の後、圧延機入側温度を所定の温度域として圧下率35~70%の1パス圧延を行う第3圧延を含むC工程と、
引き続き該第3圧延後0.2sec以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点-130℃)以下の温度まで冷却するD工程とを備え、
 前記C工程における、所定の温度域が(Ae3変態点-60℃)以上(Ae3変態点-30℃)未満ならば、0.6sec以内に、所定の温度域が(Ae3変態点-30℃)以上(Ae3変態点-5℃)未満ならば、0.5sec以内に、所定の温度域が(Ae3変態点-5℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満ならば、0.3sec以内に前記第3圧延を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
 質量%でC:0.04~0.20%、Si:0.01~2.0%、Mn:0.5~3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物よりなる素材鋼板を圧延終了時の組織がオーステナイト単相で平均粒径が30μm以下となるように圧延する第1圧延を含むA’工程と、
前記A’工程に引き続き圧延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧下率30~55%の1パス圧延を行う第2圧延を含むB工程と、
前記B工程の後、圧延機入側温度が(Ae3変態点-60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満の温度域で圧下率35~70%の1パス圧延を行う第3圧延を含むC工程と、
引き続き第3圧延後0.2sec以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点-130℃)以下の温度まで冷却するD工程とを備え、
 前記第3圧延は、該第3圧延の入側温度が(Ae3変態点-60℃)以上(Ae3変態点-30℃)未満ならば、前記第2圧延後0.6sec以内に、入側温度が(Ae3変態点-30℃)以上(Ae3変態点-5℃)未満ならば、前記第2圧延後0.5sec以内に、入側温度が(Ae3変態点-5℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満ならば、前記第2圧延後0.3sec以内に行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
 前記第1圧延は、連続する複数パスの圧延であり、かつ、該第1圧延の入側温度が850℃以上900℃未満であれば総圧下率65%以上、900℃以上950℃未満であれば総圧下率70%以上、950℃以上1000℃未満であれば総圧下率75%以上、1000℃以上であれば総圧下率80%以上であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の熱延鋼板の製造方法。
 前記第3圧延の入側温度が(Ae3変態点-60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満となるように、前記第2圧延と第3圧延の間で鋼板を冷却することを特徴とする請求の範囲1項~第3項のいずれか一項に記載の熱延鋼板の製造方法。
 少なくとも前記第3圧延で、被圧延材と圧延ロールとの間に圧延油を供給して圧延することを特徴とする請求の範囲第1項~第4項のいずれか一項に記載の熱延鋼板の製造方法。
 前記圧延油を供給して圧延する前記第3圧延の前記被圧延材と前記圧延ロールとのクーロン摩擦係数が0.25以下であることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の熱延鋼板の製造方法。
 質量%でC:0.04~0.20%、Si:0.01~2.0%、Mn:0.5~3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物よりなる熱延鋼板であって、
 前記熱延鋼板の表面から板厚の1/4深さ位置におけるフェライト結晶粒径D2が2.0μm未満であるとともに、
前記熱延鋼板の表面から板厚1/2深さ位置におけるフェライト結晶粒径D3と、前記熱延鋼板の表面から50μm深さ位置におけるフェライト結晶粒径D1との関係が(D3-D1)/D2≦0.4を満たし、
前記熱延鋼板の表面から50μm深さ位置における前記フェライト結晶粒の圧延方向粒径Drと板厚方向粒径Dtとが式(1)を満たすことを特徴とする熱延鋼板。
 |(Dr-Dt)/((Dr+Dt)/2)|≦0.25   (1)
Description:
微細フェライト組織を有する熱 鋼板の製造方法、及び熱延鋼板

 本発明は、炭素鋼のフェライト結晶粒径 微細化する熱延鋼板の製造方法、及び熱延 板に関する。

 フェライト結晶粒の微細化により強度と に靱性が高められることは知られており、 細フェライト組織を持つ熱延鋼板の製造技 は、鉄鋼材料の材料機能発現のための重要 技術である。また特殊な元素を用いずに強 強化が図れるため、製品のリサイクル性も く、地球環境に対する負荷も少ない。

 微細フェライト組織を持つ熱延鋼板を得 手段として、大歪み加工法が従来から多く 究されている。例えば、特許文献1には、変 態域で、1パスまたは累積の大圧下により炭 鋼で粒径3~5μmの細粒フェライト組織を有す 高強度熱延鋼板が得られることが開示され いる。

 また、特許文献2には、650~950℃の温度域 、圧下率40%以上で圧下し、更に2秒以内に連 して圧下率40%以上の圧下を加えることによ 2~3μm程度の細粒フェライト組織が得られる とが開示されている。

 これらはいずれも圧延中のフェライト変態 フェライト再結晶による結晶粒微細化機構 活用するものとされている。

特開昭58-123823号公報

特開昭59-229413号公報

 上記公報などによる方法では、2~3μm程度 細粒化の限界であり、さらなる結晶粒径の 細化を狙って圧延温度を低温とするとフェ イトは圧延方向に展伸された層状の加工組 となり、材料の2次加工の変形能が低下する 問題があった。そこで本発明は、従来以上の 結晶粒微細化、具体的には平均2μm未満のフ ライト結晶粒径を実現し、かつ層状ではな 等軸なフェライト粒を有し2次加工の変形能 高い熱延鋼板を得るための製造方法を提供 る。

 さらに従来技術では大圧下圧延で生じる 厚方向の歪付与量の不均一性に起因するフ ライト粒径分布の発生が避けがたいもので り、それによって2次加工時の均一変形能が 低下する問題があったが、本発明は、平均2μ m未満のフェライト結晶粒径を実現し、かつ 軸なフェライト粒を有し、2次加工の変形能 高く、かつ板厚方向のフェライト粒径偏差 所定量以下に均一化し、2次加工の均一変形 能が高い熱延鋼板を得るための製造方法、及 び熱延鋼板を提供する。

 以下、本発明の熱延鋼板、及びその製造 法について説明する。なお、本発明の理解 容易にするために添付図面の参照符号を括 書きにて付記するが、それにより本発明が 示の形態に限定されるものではない。

 本発明は、図1、図2の工程図に概略的に されるように、熱間加工に適する高温状態 あり、所定の組成を有する素材鋼板を、総 下率で80%以上、又はオーステナイト単相で 均粒径が30μm以下となるように圧延する第1 延(20)、1パスの第2圧延(30)、その直後に行う 3圧延(40)、及びその直後に行う冷却(50)を含 各工程により処理して熱延鋼板を得るもの ある。

 本発明者らは、短パス間時間で高圧下圧延 可能な多スタンド熱間試験圧延機(10)(図3参 。詳細は後述する。)を用いて実験した結果 から、微細結晶粒を得るため有効な下記の条 件を見出した。これらの適切な組み合わせに より、従来の方法によるもの以上の結晶粒微 細化が得られることを知見して本発明を完成 するに至った。これを金属結晶組織に注目し て次のように表現することができる。
  (1)最終パスたる第3圧延(40)まではフェライ ト変態させず、フェライト変態前のオーステ ナイトは、極力微細化した上で、且つ転位密 度を高める。
  (2)第1圧延(20)において、十分にオーステナ イトを微細化し、再結晶させる。
  (3)第2圧延(30)においては、動的再結晶・静 的再結晶が著しく早くなるような超高圧下圧 延を避けつつも、十分な圧下率の圧延を行っ て、歪みを蓄積し、転位密度を高める。
  (4)第2圧延(30)と最終パスたる第3圧延(40)と パス間時間はオーステナイトの再結晶や回 を極力少なくし、歪みの蓄積効果を高める めに、従来圧延方法に比べて短いパス間時 とするとともに、温度を過冷オーステナイ 域も含む比較的低い温度とする。
  (5)最終パスたる第3圧延(40)においても、十 分な圧下率の圧延を行って、歪みを蓄積し、 転位密度を高める。このときの出側温度を所 定の範囲とする。
  (6)第3圧延(40)後は速やかに冷却(50)して、 ェライト変態を促進し、フェライト粒成長 抑制する。
 (7)少なくとも、第3圧延(40)を潤滑状態で圧 を行う場合には、圧延により加えられる歪 板厚方向分布を下げ、より均一な歪を与え ことも可能になる。
 (8)少なくとも、第3圧延(40)を潤滑状態で圧 を行う場合には、高圧下・高速圧延にて生 る摩擦発熱による温度上昇を抑制し、歪の 積効果を高める。
 (9)潤滑圧延により与えられる相当歪量は低 するものの、温度上昇が抑制される効果に り結晶粒微細化効果を維持・向上できる。

 かくして、請求の範囲第1項に記載の発明 は、質量%でC:0.04~0.20%、Si:0.01~2.0%、Mn:0.5~3.0%を 含有し残部はFe及び不可避的不純物よりなる 材鋼板をAe3変態点以上の温度域を維持して 続する複数パスで総圧下率80%以上で圧延す 第1圧延(20)を含むA工程と、A工程に引き続き 圧延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧 下率30~55%の1パス圧延を行う第2圧延(30)を含む B工程と、B工程の後、圧延機入側温度を所定 温度域として圧下率35~70%の1パス圧延を行う 第3圧延(40)を含むC工程と、引き続き該第3圧 後0.2sec以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変 態点-130℃)以下の温度まで冷却するD工程とを 備え、C工程における、所定の温度域が(Ae3変 点-60℃)以上(Ae3変態点-30℃)未満ならば、0.6s ec以内に、所定の温度域が(Ae3変態点-30℃)以 (Ae3変態点-5℃)未満ならば、0.5sec以内に、所 の温度域が(Ae3変態点-5℃)以上(Ae3変態点+20 )未満ならば、0.3sec以内に第3圧延を行うこと を特徴とする熱延鋼板の製造方法を提供する ことを課題を解決する。

 ここで、「Ae3変態点」とは鋼がオーステ イト域である温度からフェライト変態を開 する熱的平衡温度である。

 請求の範囲第2項に記載の発明は、質量% C:0.04~0.20%、Si:0.01~2.0%、Mn:0.5~3.0%を含有し残部 はFe及び不可避的不純物よりなる素材鋼板を 延終了時の組織がオーステナイト単相で平 粒径が30μm以下となるように圧延する第1圧 (20’)を含むA’工程と、A’工程に引き続き 延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧 率30~55%の1パス圧延を行う第2圧延(30)を含むB 工程と、B工程の後、圧延機入側温度が(Ae3変 点-60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満の温度域で 下率35~70%の1パス圧延を行う第3圧延(40)を含 C工程と、引き続き第3圧延後0.2sec以内に600 /sec以上の冷却速度で(Ae3変態点-130℃)以下の 度まで冷却するD工程とを備え、第3圧延は 該第3圧延の入側温度が(Ae3変態点-60℃)以上(A e3変態点-30℃)未満ならば、第2圧延後0.6sec以 に、入側温度が(Ae3変態点-30℃)以上(Ae3変態 -5℃)未満ならば、第2圧延後0.5sec以内に、入 温度が(Ae3変態点-5℃)以上(Ae3変態点+20℃)未 ならば、第2圧延後0.3sec以内に行うことを特 徴とする熱延鋼板の製造方法を提供すること により前記課題を解決する。

 請求の範囲第3項に記載の発明は、請求の 範囲第2項に記載の熱延鋼板の製造方法にお て、第1圧延(20’)は、連続する複数パスの圧 延であり、かつ、該第1圧延の入側温度が850 以上900℃未満であれば総圧下率65%以上、900 以上950℃未満であれば総圧下率70%以上、950 以上1000℃未満であれば総圧下率75%以上、1000 ℃以上であれば総圧下率80%以上であることを 特徴とする。

 請求の範囲第4項に記載の発明は、請求の 範囲1項~第3項のいずれか一項に記載の熱延鋼 板の製造方法において、第3圧延(40)の入側温 が(Ae3変態点-60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満と なるように、第2圧延(30)と第3圧延(40)の間で 板を冷却することを特徴とする。

 請求の範囲第5稿に記載の発明は、請求の 範囲第1項~第4項のいずれか一項に記載の熱延 鋼板の製造方法において、少なくとも第3圧 (40)で、被圧延材と圧延ロールとの間に圧延 を供給して圧延することを特徴とする。

 請求の範囲第6項に記載の発明は、請求の 範囲第5項に記載の熱延鋼板の製造方法にお て、圧延油を供給して圧延する第3圧延(40)の 被圧延材と圧延ロールとのクーロン摩擦係数 が0.25以下であることを特徴とする。

 ここで、圧延における「クーロン摩擦係 」は、OROWANの不均一圧延理論による2次元圧 延解析を行い、摩擦係数を変数として先進率 や圧延荷重が実測値に一致するように逆算し て求めた。先進率は圧延ロールに予めマーク を付しておき、当該マークが材料に転写され る転写間隔を測定することにより得ることが できる。

 請求の範囲第7項に記載の発明は、質量%でC: 0.04~0.20%、Si:0.01~2.0%、Mn:0.5~3.0%を含有し残部は Fe及び不可避的不純物よりなる熱延鋼板であ て、熱延鋼板の表面から板厚の1/4深さ位置 おけるフェライト結晶粒径D2が2.0μm未満で るとともに、熱延鋼板の表面から板厚1/2深 位置におけるフェライト結晶粒径D3と、熱延 鋼板の表面から50μm深さ位置におけるフェラ ト結晶粒径D1との関係が(D3-D1)/D2≦0.4を満た 、熱延鋼板の表面から50μm深さ位置におけ 前記フェライト結晶粒の圧延方向粒径Drと板 厚方向粒径Dtとが式(1)を満たすことを特徴と る熱延鋼板を提供することにより前記課題 解決する。
 |(Dr-Dt)/((Dr+Dt)/2)|≦0.25   (1)

 ここで、D1、D2、D3で表される各粒径は平 粒径を表し、当該平均粒径はASTM切断法によ り得られる値である。さらに、鋼板の表面か ら50μm深さに位置するD1、Dr、Dtの粒径につい は、D1=(Dt+Dr)/2の関係を有する。

 本発明によれば、汎用的な炭素鋼のフェ イト結晶粒径を著しく微細化できる。その 果として、特殊な元素を用いずに強度強化 図れるため、製品のリサイクル性も高く、 球環境に対する負荷を軽減することができ 。

 さらに、フェライト結晶粒を微細化する 同時に、層状でない等軸組織とすることが きるため、従来技術で製造された細粒薄鋼 に対して高い2次加工の変形能が得られるた め、幅広い用途に用いることができるように なる。

 また、さらに少なくともC工程において潤 滑圧延することにより、従来の微細粒フェラ イト鋼板では不利とされていた2次加工時の 一変形能を改善することが可能となる鋼板 も製造することも可能となる。

 加えて、従来技術では超微細粒鋼板を製 するための圧延機に対する負荷が過大で大 製造設備の実現が困難であったが、本発明 よれば圧延設備に対する負荷を大幅に軽減 ることができ、大型製造設備の実現が容易 なる。

第一実施形態に係る本発明の製造方法 フロー図である。 第二実施形態に係る本発明の製造方法 フロー図である。 圧延装置の例を示す図である。 実施例の結果の一例を示す鋼板の組織 大図である。

符号の説明

 1 第1スタンド(F1)
 2 第2スタンド(F2)
 3 第3スタンド(F3)
 4 共試材
 10 3スタンド熱間圧延機置
 11 加熱炉
 12 冷却装置
 13 スタンド間冷水ヘッダ
 14 潤滑ヘッダ
 20 第1圧延
 20’ 第1圧延
 30 第2圧延
 40 第3圧延
 50 冷却

 本発明の上記した作用及び利得は、次に 明する発明を実施するための最良の形態か 明らかにされる。

 始めに次に本発明の熱延鋼板の製造方法に いて説明する。
 図1は第一実施形態に係る本発明の熱延鋼板 の製造方法S1(以下、単に「製造方法S1」と記 することがある。)のフロー図で、適宜説明 を記載したものである。製造方法S1は、工程A 、工程B、工程C、及び工程Dの4つの工程をこ 順に含むものである。図1を参照しつつ各工 について説明する。

<素材鋼板>
 製造方法S1を説明する前に、素材鋼板につ て説明する。素材鋼板に含有される成分は 普通炭素鋼に含まれるものと同じでよく、 体的には、質量%でC:0.04~0.20%、Si:0.01~2.0%、Mn:0 .5~3.0%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物 よりなる素材鋼板とされる。以下に各々につ いて説明する。

 C:0.04~0.20質量%
  Cは、主に鋼の強度を確保するために必要 元素であるが、多量に含有させると鋼材の 接性劣化、靱性の著しい低下、プレス成形 の成形性劣化を引き起こす。従って、本発 の微細フェライト組織を有する熱延鋼板のC 含有量は0.20質量%を上限とする。また、C含有 量が0.04質量%未満になると結晶粒微細化効果 確保しにくくなるので、C含有量の下限は0.0 4質量%とする。好ましいC含有量は、0.07質量%~ 0.16質量%である。

 Si:0.01~2.0質量%
  Siは、製鋼時の脱酸を行うために必要であ り、また鋼板の加工性を高める作用がある合 金元素であるが、含有量が2.0質量%を超える 、本発明の微細フェライト組織を有する熱 鋼板としての靭性が損なわれるため、その 有量は2.0質量%を上限とする。一方、含有量 少なすぎると製鋼時の脱酸が十分に行われ いので、Si量の下限値は、0.01質量%である。 好ましいSi含有量は、0.01質量%~1.5質量%である 。

 Mn:0.5~3.0質量%
  Mnは、安価な元素であり、鋼の強度を高め る効果を有する元素である。またSによる熱 脆性を防ぎ、Ae3変態点を低下させる。Mnの含 有量が0.5質量%未満であると、かかる効果を 分に発現することができないのでMn含有量の 下限値は0.5質量%である。一方、Mnの含有量が 3.0質量%を超えると、かかる効果は飽和し、 しろ、熱延鋼板の加工性を劣化させるとと に、熱延鋼板の表面性状を悪化させるため 好ましくない。したがって、Mnの含有量は3.0 質量%以下とする。好ましいMn含有量は、0.5質 量%~2.0質量%である。

 また、素材鋼板は、鋳造材のままでもよ が、鋳造時の内部欠陥の低減やオーステナ ト径の微小化のために、1回以上の熱間加工 を施しておき、粒径600μm以下のオーステナイ ト組織を得ておくことが好ましい。具体的に は、連続鋳造-熱間圧延プロセスにおいては1 ス以上の粗圧延を終えた状態であればよい 本発明に関わる基礎実験においては、結晶 径が約30μmのフェライト組織を有する素材 、下記A工程に入る前に所定温度(例えば1000~1 200℃)にて所定時間(例えば1~2時間)保持し、オ ーステナイト粒径を30~600μmとして実験を行っ た。

 次に製造方法S1の各工程について説明する
<工程A>
  工程Aは、オーステナイト単層となるAe3変 点以上の温度域で、総圧下率80%以上の第1圧 延を含む工程である。ここで第1圧延は多パ 圧延が好ましいが、これに限定されるもの はない。この第1圧延により、加熱後のオー テナイト粒径が30~600μmの素材を粒径30μm以 程度の被圧延材に圧延することができる。

<工程B>
  工程Bは、上記工程Aに連続して、該工程A より得られた被圧延材に対し、Ae3変態点以 の温度域で、圧下率30~55%の1パス圧延である 2圧延を含む工程である。圧下率がこの範囲 より小さいと微細粒が得られない。その理由 は明確でないが、圧下率が不十分であると圧 下による歪み蓄積が不十分となるためと推察 される。また、圧下率がこの範囲より大きく なると圧延負荷が過大となり、設備の巨大化 、設備限界の超過、焼き付き発生等の圧延の 不安定化、などの問題も生じる。入側温度を Ae3変態点以上の温度域とするのは、第2圧延 の温度がAe3変態点未満となると、被圧延材 過冷オーステナイト域である時間が長くな 、第3圧延に至るまでにフェライト変態して まい、最終的なフェライト組織が2次加工性 に劣る層状となるためである。また第2圧延 の温度が高すぎると、再結晶や回復が発生 易くなり、微細粒フェライトを得にくくな ため、(Ae3変態点+30℃)未満とすることが好ま しい。第2圧延前温度の調整は空冷・待機時 の変更で調整可能である。また温度を大き 下げる必要がある場合は水冷を行ってもよ 。

<工程C>
  工程Cは、上記工程Bの後、温度域によって 特定される時間内に、圧下率35~70%の1パス圧 である第3圧延を含む工程である。具体的に 次の通りである。
(条件1)第3圧延前温度が(Ae3変態点-60℃)以上(Ae 3変態点-30℃)未満ならば、第2圧延の後0.6sec以 内に、圧下率35~70%の1パス圧延である第3圧延 行う。
(条件2)第3圧延前温度が(Ae3変態点-30℃)以上(Ae 3変態点-5℃)未満ならば、第2圧延の後0.5sec以 に、圧下率35~70%の1パス圧延である第3圧延 行う。
(条件3)第3圧延前温度が(Ae3変態点-5℃)以上(Ae3 変態点+20℃)未満ならば、第2圧延の後0.3sec以 に、圧下率35~70%の1パス圧延である第3圧延 行う。

 歪みの蓄積効果を高めるには第2圧延と第 3圧延の間隔、すなわちパス間時間は極力短 方が良いが、パス間時間の短縮には、圧延 群の設置空間や圧延速度の点で制約がある パス間時間は上記の値以上であると結晶粒 細化効果が明らかに低下する。その理由は B工程における第2圧延とC工程における第3圧 との間のパス間時間が長い程、また第3圧延 前温度が高い程、静的再結晶が発生してしま うため、歪みの蓄積が不十分となるためと推 察する。第3圧延前温度が低い程、第2圧延~第 3圧延間の時間が長くてもよいのは、温度が いほど再結晶が抑制されるためと推察する また、第3圧延前温度を低くし過ぎると第3圧 延前のフェライト変態が生じて最終的なフェ ライト組織が層状組織となりやすくなるため 、本発明では(Ae3変態点-60)℃以上とする。本 限温度は正確にはC行程およびその後のD行 で行う冷却に要する時間との関連があると えられる。結晶粒微細化に効果があると推 している「未再結晶域での歪みを蓄積」を 果的に行うためには、上記条件1、条件2、又 は条件3の範囲とする必要がある。

 また、上記C工程の第3圧延前の温度が(Ae3 態点-60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満となるよ に制御する手段としては、第2圧延における 発熱、昇温を予測し、圧延後の温度が上記温 度域となるように第2圧延前の温度を調整す ことが考えられるが、第2圧延前温度は圧延 の変態を避けるためAe3変態点以上とする制 がある。一方、第2圧延における昇温を抑制 する手段として第2圧延の速度を下げてロー 抜熱量を増やす方法などもあるが、第3圧延 でのパス間時間を短くする必要から圧延速 低減には限界があり、圧延後温度を調整し れないこともある。そこで、第2圧延以降第 3圧延までの間で鋼板を冷却する手段が求め れる。設備配置の自由度を高める観点から 短い距離で大きな温度降下量が得られる急 冷却装置の使用が望ましく、例えば10℃の温 度降下が必要であれば、長くても0.6secのパス 間時間内で冷却するために17℃/sec以上の冷却 速度が必要となる。パス間での再結晶や回復 を極力少なくし歪みの蓄積効果を高めるとい う視点から言えば、パス間冷却による温度調 整は極力第2圧延後短時間の内に完了する方 良く、より大きな冷却速度を有する冷却手 を用いて第2圧延直後に冷却を完了するのが ましい。

 第3圧延の圧下率が35%未満では歪みの蓄積 が不足し、その後の冷却過程でのフェライト 変態を促進する効果が不十分である。一方、 第3圧延の圧下率が70%を超えると、加工中の 結晶・変態の発生、その後の冷却に影響を える程の加工発熱が生じるため、結晶粒の 細化効果が薄れる。また、圧延負荷が過大 なり、設備の巨大化、設備限界の超過、圧 の不安定化等の問題も生じる。

 さらに第3圧延では、被圧延材と圧延ロー ルとの間に圧延油を供給し、クーロン摩擦係 数が0.25以下で圧延を行ってもよい。上記第1~ 第3圧延を無潤滑で圧延した場合、特に高圧 圧延において板表層側で大きなせん断歪み 発生する。この歪み量の差により板厚方向 組織差を生じることが多い。また、特に高 下高速圧延では摩擦による発熱が結晶微細 に影響を与えるほど大きい。この温度上昇 よりフェライト結晶微細化が阻害されるこ がある。

 これに対して少なくとも第3圧延で潤滑に より摩擦係数を下げて圧延を行うと、板厚方 向の歪み量が均等化され、これにともない板 厚方向の組織が均等化されるとともに、摩擦 発熱が低減されて過大な発熱を抑制すること ができる。これにより、結晶粒微細化に有利 となる。

 また、潤滑圧延により圧延負荷を下げる とができるので、設備面や発熱面から制約 れる圧下率上限を引き上げることができる 例えば50%圧下の場合、摩擦係数μ=0.4の無潤 圧延に対し、摩擦係数μ=0.15の潤滑圧延を行 えば、圧延荷重を40%以上軽減することができ 、摩擦による圧延材の温度上昇を50℃以上軽 することができる。このため、第3圧延入側 及び出側における温度制御が容易となり、冷 却設備の規模・負荷を軽減することが可能と なる。以上のような効果を十分得るためには 、摩擦係数を0.25以下とすることが好ましい また、その付随的効果として、現状の熱間 延設備を改造することなく使用することが きる範囲が広がる等の実用化の観点からも 果が大きい。

 最終的な製品フェライト組織は、鋼板の 工の影響が大きいため、第3圧延で潤滑する ことは必須であるが、その他に第1圧延、第2 延で潤滑圧延をしてもよい。また、摩擦係 は0.1より小さくなると圧延時の材料先端部 噛み込み性が著しく悪化する可能性がある め、摩擦係数は0.1以上であることが望まし 。

<D工程>
 D工程は、C工程の後、0.2sec以内に600℃/sec以 の冷却速度で(Ae3変態点-130℃)以下の温度ま 冷却する工程である。これにより、平均粒 が2.0μm以下の細粒フェライト組織が50%以上 占める熱延鋼板が得られる。上記条件での 却を行うことによりオーステナイトの再結 ・回復が抑制され、フェライト変態が促進 れる。好ましくは、(Ae3変態点-130℃)以下で (Ae3変態点-200℃)以上の温度域まで冷却をお なう。なお、上記D工程において、C工程の 3圧延終了後、冷却の開始までの時間を0.1sec 内とすることが好ましい。さらに冷却速度 900℃/sec以上とすることが望ましい。これら により、平均粒径が1.5μm以下の細粒フェライ ト組織が50%以上を占める熱延鋼板を得ること ができる。

 以上のような製造工程S1により、汎用的 炭素鋼のフェライト結晶粒径を著しく微細 できる。詳しくは、潤滑圧延をしなくても 析出強化元素を含有しないこと、結晶粒径 過度に圧延方向に伸展していないこと、及 フェライト結晶し粒径が2μm未満であること を満たす熱延鋼板を製造することが可能と る。これにより2次加工時の変形能を改善す ることができる。そして少なくともC工程お て潤滑圧延をすることにより、さらに板厚 向のフェライト粒径差が小さい熱延鋼板を 造することも可能となる。これにより2次加 時の均一変形能を改善することができる。

 図2は第二実施形態に係る本発明の熱延鋼 板の製造方法S2(以下、単に「製造方法S2」と 載することがある。)のフロー図で、適宜説 明を記載したものである。製造方法S2は、工 A’、工程B、工程C、及び工程Dの4つの工程 この順に含むものである。すなわち製造方 S2は、製造工程S1における工程Aが工程A’と れたもので、工程A’以降の工程である工程B 、工程C、工程Dは共通である。従ってここで 、工程A’についてのみ説明し、他の工程に ついては省略する。

 工程A’は、圧延終了時の組織がオーステ ナイト単相で平均粒径が30μm以下となるよう 、素材を圧延する第1圧延20’を含む工程で る。これは、オーステナイト粒径が小さく 位体積当たりの粒界面積が大きいほど、後 程の第2、第3圧延において効率良く歪みが 積され、更にその後のフェライト変態の際 変態の核生成サイトが増して、フェライト の微細化に寄与するものと考えられるから ある。そしてこの時点でフェライト組織が 在すると、後工程の圧延で伸ばされ、最終 に層状の加工組織のまま残ってしまうため 鋼板の機械特性上好ましくない。 

 オーステナイト粒径を30μm以下にするた に、具体的には、連続する複数パスからな 圧延を行い、入側温度が850℃以上900℃未満 あれば総圧下率65%以上、900℃以上950℃未満 あれば総圧下率70%以上、950℃以上1000℃未満 あれば総圧下率75%以上、1000℃以上であれば 総圧下率80%以上の圧延を行えばよい。

 本発明に関わる基礎実験において、パス を2~4パス、総圧下率を60~80%、圧延前温度を8 30℃~1050℃として、圧延終了後に圧延材を組 凍結し、オーステナイト粒径を計測した結 、上記の温度および総圧下率条件に含まれ いればオーステナイト平均粒径は30μm以下と なる知見を得た。

 オーステナイト平均粒径を30μm以下にす 条件は特に限定されるわけではないが、パ 数1の圧延では1パス超大圧下圧延が必要とな り圧延負荷が過大となるため、好ましくない 。圧下率を限定してパス数を増やしすぎると 1パスあたりの圧下率が低下しオーステナイ 粒の再結晶による微細化効果を得にくくな ため、好ましくない。1パスあたりの圧下率 しては27%以上であることが好ましい。

 なお、本発明では、第1圧延前の素材に圧 延を施してもよいため、鋳造状態からの圧延 の総パス数を限定するものではない。また、 上記第1圧延の後、短時間の内にB工程の第2圧 延を行っても差し支えないが、反対に第2圧 までが長時間になると、オーステナイト粒 成長するため好ましくない。基礎実験にお て全行程を連続して行う場合には、第1圧延 最終パス終了後1~10sec程度の内に第2圧延を ったが、この範囲であれば最終的に得られ フェライト組織に大きな違いは見られなか た。

 以上のような製造工程S2によっても、製 工程S1と同様の効果、すなわち汎用的な炭素 鋼のフェライト結晶粒径を著しく微細化でき る。詳しくは、潤滑圧延をしなくても、析出 強化元素を含有しないこと、結晶粒径が過度 に圧延方向に伸展していないこと、及びフェ ライト結晶し粒径が2μm未満であること、を たす熱延鋼板を製造することが可能となる これにより2次加工時の変形能を改善するこ ができる。そして少なくともC工程おいて潤 滑圧延をすることにより、さらに板厚方向の フェライト粒径差が小さい熱延鋼板を製造す ることも可能となる。これにより2次加工時 均一変形能を改善することができる。

 以上の製造方法S1、S2に用いられる製造設 備は、熱処理設備と、2スタンド以上からな タンデム圧延設備と、該圧延設備の出側に 置された冷却装置を備えていることが好ま い。圧延設備の各スタンドは所定値以上の 下率を実現することが必要であり、また第2 延と第3圧延との間のパス間時間を長くとも 0.6sec以内に収めるため、所定の圧延速度を要 し、圧延機間の距離は所定値以内に設定する ことが必要である。また冷却装置はタンデム 圧延設備の出側近傍に配置して、第三圧延後 の被圧延材を直ちに冷却できるようにするこ とが必要である。また、第2圧延と第3圧延の で水冷を行う場合は、水冷ヘッダを圧延機 ウジング内、あるいはハウジング間に配置 ることが必要である。

 次に製造工程S1、S2において潤滑圧延が行わ れたときに製造可能とされる、本発明の鋼板 について説明する。当該熱延鋼板は次のよう なものである。
<フェライト相>
  本発明の鋼板は主相をフェライト相とす ものである。従って、鋼板を任意の断面で 断したときの断面積に対してフェライト相 断面積が50%以上であればよい。好ましくは70 %以上である。ここで「主相」とは、当該鋼 の任意の断面において、該断面の面積に対 て50%以上の面積を占める相である。

<フェライト結晶粒径>
  本発明の鋼板のフェライト結晶は鋼板の 厚方向において所定の粒度分布を有してい 。具体的には次の通りである。
  鋼板表面から板厚方向に50μmの位置におけ るフェライト結晶粒径をD1、鋼板表面から板 方向に該板厚の1/4の深さにおけるフェライ 結晶粒径をD2、及び鋼板表面から板厚方向 該板厚の1/2の深さにおけるフェライト結晶 径をD3としたときに、次式(2)を満たす。
  (D3-D1)/D2≦0.4     (2)

 ここでD1、D2、D3はそれぞれの位置におけ 平均粒径を表しており、当該平均粒径はASTM 切断法により得られたものである。式(2)によ り板厚方向の分布比を定量的に評価すること ができ、式(2)を満たすことにより、鋼板の板 厚方向で所定の均一な粒径分布が得られてい ることを意味する。

<フェライト結晶粒の縦横の関係>
  さらに本発明の鋼板は鋼板表面から板厚 向に50μmの位置おけるフェライト粒において 、圧延方向の粒径をDr、板厚方向の粒径をDt したときに次式(1)を満たす。
  |(Dr-Dt)/((Dr+Dt)/2)|≦0.25     (1)

 ここで、Dr、Dtは、圧延材の幅方向に垂直 な断面でフェライト組織を顕微鏡観察し、切 断法にて粒径を算出する際に、圧延方向の測 定と板厚方向の測定を分離して行うことによ り得る。そして、式(1)により粒子の縦横比を 定量的に評価することができ、式(1)を満たす ことにより層状でない組織が形成されている ことを意味する。

 以上の本発明の鋼板により、従来の微細 フェライト鋼板では不利とされていた2次加 工時の変形能、均一変形能を改善することが 可能となる。また、析出強化元素を含有せず 、汎用的な成分の鋼板で結晶粒微細化により 高強度とすることが可能であるため、製品の リサイクル性にも優れ、地球環境に対する負 荷を軽減することができる。

 以下、実施例によりさらに詳しく本発明 ついて説明する。ただし、本発明は当該実 例に限定されるものではない。

(実施例1)
 実施例1では、C工程で潤滑をしない場合(摩 係数0.4)において各条件により圧延した。以 下に具体的な条件、及び結果を説明する。
  表1に示すA~Dで示した成分に調整した素材 うちAで示した素材を、幅100mm、長さ70~200mm 切り板に切断して供試材とした。この供試 を炉内温度1000℃の加熱炉中に1時間保持した 後、熱間圧延・冷却を実施した。なお、表中 に記載のとおり、Aで示した供試材のAe3変態 は、830℃である。Ae3変態点とは鋼がオース ナイト域である温度からフェライト変態を 始する熱的平衡温度である。

熱間圧延は図3に示すような、加熱炉11に引 き続き配置される3スタンド熱間圧延機10を製 作して使用した。第1スタンド(F1)1と第2スタ ド(F2)2との間の距離は、2.1m、第2スタンド(F2) 2と第3スタンド(F3)3との間の距離は1.0mであり パス間時間が0.6秒以下の圧延が可能である なお、第2スタンド(F2)2と第3スタンド(F3)3と 間に、スタンド間水冷ヘッダ13を配設した 各圧延スタンドの圧下率は、40%以上取れる うにした。加熱炉11から各スタンド1~3を通過 した供試材4は冷却装置12に導かれる。潤滑ヘ ッダ14は、各スタンドの入側に設置されてお 、潤滑をするときにはワークロールに向け 潤滑材を噴射することができる。圧延機仕 及び圧延条件を表2に示す。

 表2に示されているように、供試材4は、 1スタンド(F1)1において、4~5パスの圧延を行 た。その後、第2スタンド(F2)2と第3スタンド( F3)3とにより、第2圧延、第3圧延をそれぞれ実 施した。

 表3には、本実施例でおこなった試験にお ける各工程の条件等を示した。ここで表中に 記載された平均γ(オーステナイト)粒径は、 工程に供される試験片とは別の試験片を準 し、同じ条件で第1圧延をした当該試験片を 温まで急冷し、組織観察により計測した。

 また、表3には同時に圧延後の平均粒径を示 している。ここで当該平均粒径の測定はASTM 断法により得られた。表3を参照しつつ各試 について考察する。本実施例で供されるAで 示した鋼材のAe3変態点は上記の通り830℃であ るから、
・Ae変態点-60℃=770℃
・Ae変態点-30℃=800℃
・Ae変態点-5℃=825℃
・Ae変態点+20℃=850℃
である。
  試番1は、C工程における圧延前温度が750℃ であり、本発明では少なくとも770℃以上であ ることが必要である要件を満たさないので組 織が層状となった。これはAe変態点以下の過 度が大きくなり、第3圧延前に既にフェライ ト変態が生じてしまったからであると考えら れる。
  試番2は、本発明の製造方法を満たし、1.6 mである微細粒径を得ることができた。
 試番3は、C工程における第3圧延の入側温度 770℃であり圧延前パス間時間が0.6sec以内で ることが必要であるところ、ここでは0.8sec ある。これにより結晶粒径が大きくなって まった。これは静的な再結晶の発生により みの蓄積が不十分であったからである。
 試番4は、本発明の製造方法を満たし、1.8μm である微細粒径を得ることができた。
 試番5は、C工程における第3圧延の入側温度 800℃であり圧延前パス間時間が0.5sec以内で ることが必要であるところ、ここでは0.7sec ある。これにより結晶粒径が大きくなって まった。これは静的な再結晶の発生により みの蓄積が不十分であったからである。
 試番6は、本発明の製造方法を満たし、1.9μm である微細粒径を得ることができた。
 試番7は、試番5と同様である。
 試番8は、本発明の製造方法を満たし、1.9μm である微細粒径を得ることができた。
 試番9は、C工程における第3圧延の入側温度 830℃であり圧延前パス間時間が0.3sec以内で ることが必要であるところ、ここでは0.6sec ある。これにより結晶粒径が大きくなって まった。これは静的な再結晶の発生により みの蓄積が不十分であったからである。
 試番10は、B工程における第2圧延の圧下率が 20%であり、本発明の30~55%を満たさない。これ は歪みの蓄積、転移の高密度化が不十分であ ったものと推定される。これにより粒径が微 細化しなかった。
 試番11は、層状組織となった。これはB工程 第2圧延前温度が、780℃でありAe3変態点より 小さいため、第3圧延前にフェライト変態が じてしまったと推察される。
 試番12、及び試番13は、D工程において圧延- 却間時間が0.5secであり本発明の規定より長 、冷却速度も緩やかである。これにより結 粒の微細化ができなかった。
 試番14は、C工程の第2圧延における圧下率が 30%であり、本発明に規定した35~60%を満たさな かった。これにより歪みの蓄積、転移の高密 度化が不十分となり、結晶粒が微細化しなか ったものと推測される。
 試番15は、D工程のおける冷却速度が250℃/sec であり、その速度が不十分であったために再 結晶、回復の抑制が十分でなく、フェライト 変態が適切に促進しなかったためと推測され る。
 試番16は、D工程における冷却停止温度が710 であり、本発明が規定する「Ae3変態点-130℃ 以下」、すなわち700℃以下といない。このた め冷却によるフェライト変態促進が十分でな いとともに、フェライト変態後の粒成長が大 きかった。
 試番17は、第1圧延において総圧下率が80%未 であるとともに、第1圧延後のオーステナイ ト粒径が30μ以上であるため本発明の規定を たさない。これにより第2、第3圧延における 歪みの蓄積が不十分であり、フェライト変態 の核生成サイトが不十分であったと推察され る。
 試番18は、総圧下率が80%より小さいが、第1 延後のオーステナイト粒径が30μ以下である とともに、他の工程においても本発明の規定 を満たし、微細な結晶粒を得ることができた 。
 試番19は、試番17と同様である。
 試番20は、試番18と同様である。
 試番21は、試番17と同様である。
 試番22は、総圧下率が80%であり、他の工程 本発明の要件を満たしているので微細な粒 の鋼板を得ることができた。
 試番23は、試番17と同様である。
 試番24、試番25は、試番22と同様である。

 以上のように、本発明の各工程の規定を たすことにより、潤滑圧延をしなくても2.0 mより小さい粒径を有する微細化された結晶 を有する鋼板を得ることができた。

(実施例2)
 実施例2では、C工程において潤滑油を供給 て摩擦係数を0.25以下とした場合について試 をおこなった。圧延設備は実施例と同じで る。共試材は、表1に示すA~Dで示した成分に 調整した各素材を、幅100mm、長さ70~200mmの切 板に切断して製作した。この供試材を炉内 度1000℃の加熱炉中に1時間保持した後、熱間 圧延・冷却を実施した。なお、表中に記載の とおり、本供試材のAe3変態点は、A、B、C、D ついてそれぞれ、830℃、800℃、770℃、750℃ ある。表4には、本実施例でおこなった試験 おける各工程の条件等を示した。ここで表 に記載された平均γ(オーステナイト)粒径は 、後工程に供される試験片とは別の試験片を 準備し、同じ条件で第1圧延をした当該試験 を室温まで急冷し、組織観察により計測し 。

 表4は実施例1で示した試番1、11、25も合わ せて示し、その他試番26~試番54についてもそ 製造条件を示したものである。表4に示した 各試験において、備考欄に示した「製造方法 S1」で示した試番の試験は、上記した製造方 S1のC工程においてクーロン摩擦係数が0.25以 下である潤滑圧延をした製造方法で鋼板を製 造したものである。同様に「製造方法S2」で した試番の試験は、上記した製造方法S2のC 程においてクーロン摩擦係数が0.25以下であ る潤滑圧延をした製造方法で鋼板を製造した ものである。さらにいずれの製造方法にも該 当する試番の試験には「製造方法S1、S2」と した。備考欄が空欄のものはいずれの要件 満たさない製造方法である。

 表5には、上述した各位置における粒径D1 D2、D3、Dr、Dtを示すとともに粒径分布比、 び粒子形状比を示した。合わせて機械的性 も記載している。表5からわかるように、C工 程において適切に潤滑圧延をした製造方法S1 又は製造方法S2によって製造された鋼板は 板厚方向における粒径分布の均一性が良好 あるとともに、粒子形状の縦横比が小さい すなわち層状でない組織を有するものとな ている。これによって伸びが良好であり、2 加工性に優れた熱延鋼板を得ることができ 。機械的性質については、試番1、11、25~29 及び52~54の例についてのみ実際に測定をおこ なった。試番1、11、及び25~29については、鋼 Aによるものであるが、いずれの場合におい ても製造方法S1、又は製造方法S2で製造した が高い伸びを示している。一方、試番52~54に ついては、含有成分が異なるので上記試番と は直接比較することはできないが、組織から 得られる効果を得ることができる。試番53に いては、伸びの値が他に比べて小さいが、 れは鋼種CがC(炭素)を多く含有していること に起因する。以上より、組織から考えられる 機械的性質が顕著に現れていることがわかる 。

 以上のように少なくともC工程において潤 滑圧延、特に摩擦係数を0.25以下とすること より粒径分布や粒子形状がさらに良好とな 2次加工にも有利な鋼板とすることができる

 図4に潤滑がある場合と無い場合の鋼板の 組織拡大図を示した。潤滑がある場合は試番 29、潤滑が無い場合は試番25によるものであ 。これによっても製造方法S1、又は製造方法 S2により、層状でない組織を有する鋼板を得 ことができることがわかる。

 以上、現時点において、最も実践的であ 、かつ、好ましいと思われる実施形態に関 して本発明を説明したが、本発明は、本願 細書中に開示された実施形態に限定される のではなく、請求の範囲および明細書全体 ら読み取れる発明の要旨或いは思想に反し い範囲で適宜変更可能であり、そのような 更を伴う、溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方 、及び鋼板も本発明の技術的範囲に包含さ るものとして理解されなければならない。




 
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