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Title:
PROCESS FOR PRODUCING JUICE OR FRUIT WINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/016758
Kind Code:
A1
Abstract:
A fruit having a small moisture content and a high viscosity such as banana is processed into a juice. Also, it is intended to provide a novel procedure of producing a fruit wine starting with a fruit having a relatively low sourness and a high viscosity such as banana or mango. Banana is saccharified by adding a koji mold belonging to the genus Aspergillus to the fruit and then the saccharified product is filtered to give a juice. A fruit is saccharified by adding a koji mold capable of synthesizing citric acid and then the saccharified liquid is alcohol-fermented. Thus, a fruit wine is produced while preventing putrefaction by the citric acid synthesized by the koji mold and promoting the fluidization of the fruit by an enzyme produced by the koji mold.

Inventors:
YAMAMOTO MASAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/065136
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
August 02, 2007
Export Citation:
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Assignee:
BIOGENKOJI RES INST (JP)
YAMAMOTO NORIKO (JP)
YAMAMOTO MASAHIRO (JP)
International Classes:
A23L2/02; C12G3/02
Foreign References:
JP2004121134A2004-04-22
JP71257C2
JP114865C2
JPH01257462A1989-10-13
JP2005021032A2005-01-27
US6015699A2000-01-18
JP2005058132A2005-03-10
Attorney, Agent or Firm:
SONODA, Yoshitaka et al. (53rd Floor Shinjuku Mitsui Building,1-1, Nishi-Shinjuku 2-chom, Shinjuku-ku Tokyo 53, JP)
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Claims:
 バナナの果実にAspergillus属の麹菌を添加して果実を糖化する工程、及び、糖化物を濾過する工程を含むジュースの製造方法。
 バナナ及びマンゴーから選択される果実にクエン酸生成能を有する麹菌を添加して果実を糖化する工程、及び、糖化物をアルコール発酵させる工程を含む、果実酒の製造方法。
 アルコール発酵物を濾過し、液部を果実酒とする工程を更に含む、請求項2に記載の果実酒の製造方法。
 果実が、バナナである、請求項2又は3に記載の方法。
 バナナが、未熟である、請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。
 バナナが、100gあたり5.0g以上の澱粉を含む、請求項1ないし5の何れか1項に記載の方法。
 果実が、100gあたり1.0g以上の食物繊維を含む、請求項1ないし6の何れか1項に記載の方法。
 糖化前の果実が固液分離されていない、請求項1ないし7の何れか1項に記載の方法。
 糖化前に更に水を添加することを含む、請求項1ないし8の何れか1項に記載の方法。
 麹菌が、Aspergillus. awamoriである、請求項1ないし9の何れか1項に記載の方法。
 麹菌が、Aspergillus. awamori. kawachiiである、請求項10に記載の方法。
 糖化を12時間以上行う、請求項1ないし11の何れか1項に記載の方法。
Description:
ジュース又は果実酒の製造方法

 本発明は、ジュース又は果実酒の製造方 に関する。

 バナナは世界で最も消費量の多い果実であ 。免疫抵抗力増強効果や制癌効果が発見さ 、バナナは健康果実としても注目されてい 。
 特に熟して黒ずんだバナナほどその免疫抵 力増進効果が優れていると言われるが、熟 たバナナほど腐りやすい。またバナナはサ ズの差が大きいため等外品も多く大量に廃 されている。

 従来ワインの原料としてはブドウが主流で る。これは、ブドウに含まれる果実酸、主 酒石酸及びリンゴ酸がブドウのアルコール 酵の際にその腐敗を防止する効果がある為 アルコール発酵が順調に進行することと、 らに、ブドウの酸味がワインに独特の風味 与えることが主な要因であると考えられる
 一方、バナナやマンゴーのような果実酸の 有が少なく酸味を持たない果実においては アルコール発酵が不安定になる為、果実酒 製造が普及していない。これらの果実は高 粘性も有する。従って、アルコール発酵に いる酵母の拡散が妨げられるという問題が り、効率的なアルコール発酵が行われず生 効率の面から果実酒製造に限界があった。

 特許文献1には、リンゴ、梨、桃等の酸度の 比較的低い果実から調製した果汁に酵母を接 種して発酵させ、その醪に白麹を添加して酸 度と糖度を高める、アルコール飲料を得る方 法が開示されている。
 特許文献1に記載される方法は、果実から調 製した果汁を使用する。この方法では酵母に よるアルコール発酵の後に麹菌による発酵を 行うか、あるいは酵母アルコール発酵と麹菌 発酵とを同時進行させる方法であり、従って 、原料が果汁のような液体でないと酵母によ るアルコール発酵を実施することができない のである。従って、バナナやマンゴーのよう に果汁が搾りにくい果実で、特許文献1に記 される方法を用いることはできない。

特開2001-29061号公報

 本発明は、上記問題を解決し、バナナ又 マンゴーからジュースあるいは果実酒を製 する新規な手段を提供することを主たる目 とする。

 本発明は、バナナの果実にAspergillus属の麹 を添加してバナナを糖化する工程、糖化物 濾過する工程を含むジュースの製造方法に する。
 本方法は、麹菌のもつペクチナーゼ活性、 ミラーゼ活性等の種々の活性を利用して、 来困難とされていたバナナ果汁の濾過を可 とするものである。
 また、本発明は、バナナ及びマンゴーから 択される果実にクエン酸生成能を有する麹 を添加し、果実を糖化する工程、及び、糖 物をアルコール発酵させる工程を含む、果 酒の製造方法にも関する。

 本発明によれば、腐りやすい果実を貯蔵に した飲料とすることができ、収穫、輸送又 販売などの段階で廃棄されててしまうバナ も有効利用することができる。
 また、未熟バナナは糖度が低いために商品 値が低い。しかし、本発明によれば、未熟 バナナを利用した場合にも、未熟なものに く含まれる澱粉質を糖にかえて、消化性の い高品質の飲料とすることができる。
 バナナやマンゴーのような果実は酸味が少 く、特にバナナは酸味成分をほとんど含ん いないが、本発明に係る果実酒の製造方法 よれば、酸が配合され、嗜好性の高い飲料 することができる。

 本発明で使用する果実は粘度も高い。例 ば、ペクチン等の食物繊維を100g当たり1.0g 上含み、特にバナナは澱粉も多く含むため 粘り気が非常に強い(砕いた場合でも、5000mPa ・s以上の粘度を有しうる)。例えば、バナナ 100gあたり5.0g以上の澱粉を含み、とりわけ 熟バナナは12%から21%といった高い澱粉含量 なっている。さらに糖度15度未満、特に10度 満の未熟なバナナは、果実が固く果実酒製 (即ちアルコール発酵)に十分な糖度を有し いない。更に、バナナの水分は60~70%と低く のまま搾ってジュースにすることは不可能 ある。

 本方法では、麹菌に含まれるペクチナーゼ 利用して果実の粘度を低くし、更にアミラ ゼを利用して澱粉質を液化ならびに糖化す ことでろ過を容易ならしめるため、水分が なく粘度の高い果実でも、他の果汁や加糖 体を添加することなく高品位のジュース又 果実酒に加工することができるのである。
 従って、果実を固液分離せずにそのまま果 酒原料として使用することも可能である。
 さらに、麹菌発酵によって糖度も上がるた 、原料の果実に水を混合して製造した場合 あっても、味が薄くなりすぎることはない

 本発明では、特にAspergillus属の麹菌が使用 れる。麹菌の例には、Asp.oryzae、Asp.awamori、As p.sojae,特に、Asp.oryzae.kawachii、Asp.awamori.kawachii( 株式会社河内源一郎商店)が挙げられる。特 、米麹、とりわけ白米麹の形態で使用する が好ましい。
 本発明の方法では、特にクエン酸生成能を する麹菌が使用される。クエン酸生成能を する麹菌は、好ましくはAspergillus. awamori、 り好ましくはAspergillus. awamori. kawachiiであ 。クエン酸は、レモンやパイナップルのよ な果実にも含まれる酸であり、新鮮さのあ さわやかな酸味を付与する。従って、クエ 酸を含有する糖化液をそのままアルコール 酵させ果実酒とすることにより、飲みやす さわやかな風味の果実酒となる。
 例えば、本発明に従ってバナナを糖化する とで、酸濃度が21%から28%に上昇したことを 認した。

 従って、本発明の果実酒の製造方法では、 エン酸生成能を持つ麹菌で果実を発酵させ ことにより、
1.クエン酸が豊富となるため、アルコール発 処理中の腐敗が防止できる、
2.麹菌がペクチナーゼ、セルラーゼ等の繊維 解酵素を生成するため、果実汁の流動化を 進することができる、
3.麹菌が糖化酵素を生成するため、果実中の ンプンを糖化しアルコールの生産効率を上 ることができ、粘度も低下させることがで る、
という効果により、安全に効率よく各種果実 から果実酒を生産することができる。

発明の実施の形態

 以下に本発明の好適な実施の形態を説明す 。
1.バナナジュースの製造
 バナナは、皮をむいてミキサー等で砕いて くことが好ましい。果実は未熟であっても わない。本方法では、麹菌の作用によって 度が増し果肉が柔らかくなるため、未熟バ ナのような甘みが乏しく固い果実からでも い果汁を得ることか可能である。逆に、熟 の高い果実も使用できる。一般に熟した果 は腐りやすいが、本方法では麹菌が生成す 酸により、雑菌による汚染が抑えられ、糖 中の腐敗を防ぐことができる。
 麹菌は、米麹、特に白米麹を使用するのが ましい。また、酸生成能のある麹菌、例え Aspergillus.awamoriを使用すれば、酸を配合させ ることができる。添加する麹菌の乾物量は、 バナナの乾物量の10%以上でありうる。好まし くは、米麹の形態で果実全重量の5~20%程度添 する。例えば果実10Kgに対して米麹を約1Kg添 加する。
 混合物に水を添加してもよく、例えば混合 全体の水分を60~90%、好ましくは65~80%、より ましくは70~80%、さらに好ましくは70~75%にす 量である。果実は、砕いておくことが好ま い。
 次に、混和物を糖化処理する。
 糖化処理中の温度は、好ましくは55℃以上 あり、好ましくは70℃未満、より好ましくは 65℃未満である。処理時間は、好ましくは5~20 時間、より好ましくは10時間以上である。
 糖化物を濾過し、液部を回収する。

2.果実酒の製造
 先ず、果実を麹菌と混和する。
 本方法では、果実酸含量が少ない種類の果 、特にバナナ及びマンゴーを原料として果 酒を製造することが可能である。本願発明 おいて、果実酸とはクエン酸、酒石酸、リ ゴ酸のような果実に含まれる有機酸を意味 、特に果実の酸味成分である。
 果実は未熟であっても構わない。本方法で 、麹菌の作用によって糖度が増し果肉が柔 かくなるため、未熟バナナのような甘みが しく固い果実からでも果実酒を製造できる 逆に、熟度の高い果実も使用できる。一般 熟した果実は腐りやすいが、本方法では麹 が生成する酸により、雑菌による汚染が抑 られ、糖化及びアルコール発酵中の腐敗を ぐことができる。

 麹菌は米麹の形態が好ましいが、他の形 でも構わない。本方法では、クエン酸生成 を有する麹菌が使用され、例えばAspergillus. awamori、好ましくはAspergillus. awamori. kawachii( 式会社河内源一郎商店)である。特にペクチ ナーゼ活性も有する麹菌が好適である。さら に好ましくは、麹菌はセルラーゼ活性を有す る。バナナ酒の製造では、麹菌の添加量及び 水分については、上記のバナナジュースの場 合と同様である。マンゴー酒の製造では、添 加する麹菌の乾物量は、マンゴーの乾物量の 10%以上でありうる。好ましくは、米麹の形態 で果実全重量の3~20%程度添加する。例えば果 10Kgに対して米麹を約0.6Kg添加する。マンゴ は、バナナに比較して高水分であるため、 本的には加水せずに糖化を行う。例えば混 物全体の水分を70~90%、好ましくは75~85%。果 は、砕いておくことが好ましい。

 また、必要に応じて麦芽を加えてもよい。
 次に、混和物をバナナジュースにおける方 と同様にして糖化処理する。

 糖化液に、酵母を添加する。好ましくは糖 液を濾過し、得られた液部に酵母を添加す 。酵母は、例えばSaccharomyces属の酵母である 。
 常法によりアルコール発酵を行う。
 例えば、アルコール発酵中は、約10℃に保 、7日以上、好ましくは10日以上の発酵を行 。

バナナジュースの製造例
 皮をむいた未熟バナナ140Kg(水分65%)に米麹(As p.awamori.kawachii)14Kg(水分14%)、更に水を60リット ル加えて60℃で12時間糖化した(製品1)。
 一方、この対照として未熟バナナ140Kgと水60 リットルを加えて60℃で12時間糖化した(製品2 )。
 この各々を濾過機を用いて固形分と液部に 離した結果を以下に示す。
  製品1(発明):液部140リットル、糖度19%
  製品2(対照):液部20リットル、糖度6%

 対照では、バナナに水を添加してもスラリ 状となりバナナの細胞全体が膨潤するのみ 、その抽出液を殆ど得ることができなかっ 。
 また使用したバナナが未熟であったことも り、60℃での糖化処理の後も対照区では液 への糖分の移動は殆ど認められない。
 さらに、発明品の液部には甘く濃厚なバナ 風味が移行していた。

 従って、バナナにその乾物量の10%以上の 物量の麹を加え、55℃から70℃の範囲で12時 以上糖化することにより、バナナからバナ ジュースを生産することができる。

バナナ酒の製造例
 砕いたバナナ10Kgに対して、Asp.awamori.kawachii 使用して常法で生産された米麹1Kg及び水4リ ットルを混和する。
 60℃で15時間、糖化を行う。
 糖化前の混和液の糖度は16%であったが、糖 処理後20%に上昇した。
 その後、糖化液を濾過し、液部に酵母を加 て10℃にて2週間発酵を行った。
 アルコール度7%のバナナ風味のワインが完 した。

白米麹のバナナ糖化物における粘度低下作用 の実験
 バナナと米麹を混合し、高温糖化すること より、混合物の粘度が低下することを確認 た。
実験方法
 バナナ、白米麹、水を下記の配合で混合し 60℃で糖化した。
  糖化液組成
  バナナ: 66.5%
  白米麹: 5.7%
  水  : 27.8%
  合計 : 100%
 12時間糖化後、冷却し、B型粘度計により、 度を測定した。
 対照として、同じ配合で材料を混合した直 に、同様の方法で粘度を測定した。

実験結果
 粘度測定の結果を次の表に示す。
 糖化前と糖化後の粘度には、優位な差があ た(P<0.01)。

考察
 バナナと米麹を混合し、高温糖化すること より、顕著に混合物の粘度が低下した。
 米麹のアミラーゼ、ペクチナーゼにより、 ナナのデンプン、ペクチン等が分解された めと考えられる。

マンゴー果実酒製造例(甘口)
 マンゴー94.3kgと米麹(Asp.awamori.kawachii)5.7kgを 合し、60℃で12時間処理した。
 冷却後ろ過し、酵母を添加して10℃で発酵 せた。
 アルコール濃度1%になった時点で発酵を終 させ、再度ろ過し、酵母を除去した。

マンゴー果実酒製造例(辛口)
 マンゴー94.3kgと米麹(Asp.awamori.kawachii)5.7kgを 合し、60℃で12時間処理した。
 冷却後ろ過し、酵母を添加して10℃で発酵 せた。
 アルコール濃度3%になった時点で発酵を終 させ、再度ろ過し、酵母を除去した。

白米麹のマンゴー糖化物における粘度低下作 用の実験
 マンゴーと米麹を混合し、高温糖化するこ により、混合物の粘度が低下することを確 した。
実験方法
 マンゴー、白米麹を下記の配合で混合し、6 0℃で糖化した。
  糖化液組成
  材料(水分)        配合
  マンゴー(84.7%): 94.3%
  白米麹(12.4%) : 5.7%
  水          : 0.0%
  合計         : 100%
 12時間糖化後、冷却し、B型粘度計により、 度を測定した。
 対照として、同じ配合で材料を混合した直 に、同様の方法で粘度を測定した。

実験結果
 粘度測定の結果を次の表に示す。
 糖化前と糖化後の粘度には、優位な差があ た(P<0.01)。

考察
 マンゴーと米麹を混合し、高温糖化するこ により、顕著に混合物の粘度が低下した。
 米麹のアミラーゼ、ペクチナーゼにより、 ンゴーのペクチン等が分解されたためと考 られる。