SUDO ATSUSHI (JP)
KOJIMA TOSHITAKE (JP)
KURAKAMI TATSUHIKO (JP)
SUDO ATSUSHI (JP)
KOJIMA TOSHITAKE (JP)
JP2002212127A | 2002-07-31 | |||
JPH04217932A | 1992-08-07 | |||
JPH06192144A | 1994-07-12 | |||
JP2934267B2 | 1999-08-16 |
ターシャリーブタノール及び/またはイソブチレンを原料とし、これを反応管ガス流れ方向に二つの発熱ピークを有するように酸化触媒を充填した反応管に供給し、分子状酸素の存在下で原料を部分酸化しメタクロレイン及び/またはメタクリル酸を製造する方法において、二つの酸化触媒層の発熱ピークの間の温度の極小値をTm、反応浴温度をTbとしたとき、Tm-Tb≧15℃とすることを特徴とするメタクロレイン及び/またはメタクリル酸の製造方法。 |
原料ガス入り口側の触媒層を不活性物質で希釈することにより二つの発熱ピークが得られるようにすることを特徴とする請求項1記載のメタクロレイン及び/またはメタクリル酸の製造方法。 |
本発明は、メタクロレイン及び/又はメタ クリル酸の製造方法に関する。
ターシャリーブタノール及び/またはイソ ブチレンを原料とし、固定床接触酸化反応に より分子状酸素の存在下でメタクロレイン及 び/又はメタクリル酸を製造する方法は既に く知られており、種々提案されている。
特許文献1(特開平4-217932)には反応管内での
有容積が、ガス流れ方向にむかって小さく
るように触媒を充填し、メタクロレイン及
/またはメタクリル酸を製造する方法が記載
れている。
特許文献2(特開平6-192144)には、不活性担体
触媒活性成分を担持してなる触媒を、ガス
れ方向に沿って触媒の担持量が高くなるよ
に充填し、メタクロレイン及び/またはメタ
リル酸を製造する方法が記載されている。
特許文献3(特許第2934267号)には触媒成分のう
ちの、アルカリ金属およびタリウムの量を調
節して触媒活性を制御し触媒を調製し、ガス
流れ方向に向かって活性が高くなるように触
媒を充填する方法が記載されている。
特許文献4(特開2002-212127)には触媒層内に反
浴温度との差が50℃を超える箇所が一つもな
く、該差が15~50℃となる高温域を2箇所以上設
ける方法が記載されている。
特許文献5(特開2003-252820)には触媒層内の最
ピーク温度と最小ピーク温度の差が20℃以下
になるようにする方法が記載されている。
これらの発明は原料の酸化による発熱を 制することによって、触媒寿命、反応収率 どを改善するというものであり、触媒層内 最高温度に着目し、それを低減することで 媒寿命、反応収率を改善しようとしている たしかに、ある程度の効果は得られるもの 、同様の触媒によるプロピレンからのアク レインおよび/またはアクリル酸の製造の収 率に比べると、さらなる収率の改良が求めら れている。
本発明者らは、こうした実状のもと鋭意 究した結果、発熱ピークの間の温度の極小 を制御することで収率が著しく改良され、 つその収率が長期にわたって安定して得ら ることを見いだし、本発明を完成させるに った。
すなわち本発明は、
(1)ターシャリーブタノール及び/またはイソ
チレンを原料とし、これを反応管ガス流れ
向に二つの発熱ピークを有するように酸化
媒を充填した反応管に供給し分子状酸素の
在下で原料を部分酸化することでメタクロ
イン及び/またはメタクリル酸を製造する方
において、二つの酸化触媒層の発熱ピーク
間の温度の極小値をTm、反応浴温度をTbとし
たとき、Tm-Tb≧15℃とすることを特徴とする
タクロレイン及び/またはメタクリル酸の製
方法である。
(2)原料ガス入り口側の触媒層を不活性物質で
希釈することにより二つの発熱ピークが得ら
れるようにすることを特徴とするメタクロレ
イン及び/またはメタクリル酸の製造方法で
る。
本発明によればメタクロレイン及び/又は メタクリル酸が長期間にわたって高収率で得 られる。
本発明で使用する酸化触媒は、ターシャリ
ブタノールやイソブチレンを気相接触酸化
てメタクロレイン及び/又はメタクリル酸を
得るために使用される触媒であればそれ自身
公知の触媒が使用できる。
好ましい触媒としては下記一般式
Mo a
Bi b
Fe c
Co d
X e
Y f
O h
(式中Mo、Bi、Fe及びCoはモリブデン、ビスマス
、鉄及びコバルトをそれぞれ表す。Xはアル
リ金属またはTlから選ばれる一種以上の元素
、YはNi、Sn、Zn、W、Cr、Mn、Mg、Sb、CeまたはTi
ら選ばれる一種以上の元素を表す。また、
素記号右下の添字は各元素の原子比であり
a=13とした時、b=0.1-10、c=0.1-10、d=1-10、e=0.01-2
、f=0-2、hは各々の元素の酸化状態によって定
まる数値である。)で表される複合酸化物を
媒活性成分とする触媒が挙げられる。
ここでアルカリ金属としてはCsが特に好ま
い。
この酸化触媒の調製方法及び原料について
、特に制限はなく、この種の触媒の調製に
般的に使用されている方法及び原料を用い
調製することができる。必要に応じ、粉砕
焼成などの工程が含まれる。
酸化触媒の形状に特に制限はなく、例え 円柱状、打錠状、球状、リング状等の形状 運転条件を考慮して適宜選択可能であるが 球状担体、特にシリカやアルミナ等の不活 担体に触媒活性成分を担持した、粒径3~6mm 担持触媒が好ましい。
本発明においては、異なった活性を持つ 種類の触媒を調製し、これらを混合するこ なく反応管内に別々に充填して、反応管ガ 流れ方向に2つの酸化触媒層を形成する。こ れによって、反応管内の発熱ピークが、通常 二つになる。一般的には原料ガス流れ方向に 活性が高くなるように触媒を充填するのが好 ましい。必要に応じ、原料ガス入り口側に予 熱層を設置したり、ターシャリーブタノール を原料とした場合は脱水層を設置したりする 。予熱層または脱水層に充填される物質は、 シリカ、アルミナ、チタニア、あるいはシリ カアルミナが好ましい。脱水層を設置するこ とでターシャリーブタノールとイソブチレン の原料の差異を無視できる程度にすることが できる。
触媒活性の制御は、公知の方法で行うこ が出来る。例えば触媒の焼成温度や、触媒 成を変更する方法、一方の触媒層(原料ガス 入り口側)を、不活性物質で希釈する方法が げられるが、後者のほうが簡便で好ましい なお、本発明において、不活性物質とは、 化反応に使用する触媒の活性を100%とした場 に0から20%の活性を有する物質とする。
こうして得られた二種類の活性の異なる 媒を、二つの発熱ピークの間の温度の極小 をTm、反応浴温度をTbとしたとき、Tm-Tb≧15 なるように充填する。原料ガスの濃度、組 、空間速度、反応管径、反応圧力、反応器 除熱能力など、様々な要因がTb、Tmに影響す ため、事前にコンピューターによるシミュ ーションなどによって、触媒活性や不活性 質による希釈割合、異なる触媒層同士の充 長比などを最適化する。Tm-Tbは20℃以上がよ り好ましい。
反応管内にガス流れ方向に熱伝対を設置 、10cm間隔程度で温度測定を行い、得られた 触媒層内温度をY軸に、触媒充填長をX軸にし プロットからTmを求める。10cm以上の間隔で 定した場合、正確なデータが得られない場 があり、好ましくない。
次に本発明を更に実施例により具体的に説
する。なお、実施例において、転化率、収
、選択率は以下の式に従って算出した。
原料転化率(%)=(反応したターシャリーブタノ
ルまたはイソブチレンのモル数)/(供給した
ーシャリーブタノールまたはイソブチレン
モル数)×100
メタクロレイン収率(%)=(生成したメタクロレ
ンのモル数)/(供給したターシャリーブタノ
ルまたはイソブチレンのモル数)×100
メタクリル酸収率(%)=(生成したメタクリル酸
モル数)/(供給したターシャリーブタノール
たはイソブチレンのモル数)×100
有効選択率(%)=(メタクロレイン収率+メタクリ
ル酸収率)/原料転化率×100
実施例1
(触媒の調製)
蒸留水12000mlを加熱攪拌しながらモリブデン
酸アンモニウム3000gと硝酸セシウム55.2gを溶
して水溶液(A)を得た。別に、硝酸コバルト27
82g、硝酸第二鉄1144g、硝酸ニッケル412gを蒸留
水2300mlに溶解して水溶液(B)を、また濃硝酸292
mlを加えて酸性にした蒸留水1215mlに硝酸ビス
ス1167gを溶解して水溶液(C)をそれぞれ調製
た。上記水溶液(A)に(B)、(C)を順次、水溶液(A
)を激しく攪拌しながら混合し、生成した懸
液をスプレードライヤーを用いて乾燥し、
られた粉末を460℃で5時間焼成し予備焼成粉
(D)を得た。このときの触媒活性成分の酸素
除いた組成比は原子比でMo=12、Bi=1.7、Fe=2.0
Co=6.75、Ni=1.0、Cs=0.20であった。
その後、予備焼成粉末(D)をシリカ-アルミナ
混合物不活性担体(粒径4.0mm)に成型後の触媒
対して45重量%を占める割合で担持した。こ
して得た成型物を520℃で5時間焼成し酸化触
(E)を得た。
(酸化反応試験)
熱媒体として溶融塩を循環させるためのジ
ケット及び触媒層温度を測定するための熱
対を管軸に設置した、内径23mmのステンレス
製反応器の原料ガス入り口側からターシャリ
ーブタノールの脱水層として直径5mmのシリカ
―アルミナ球を20cm、酸化触媒層第一層(原料
ス入り口側)として酸化触媒(E)とシリカ-ア
ミナ混合物不活性担体を重量比4:1で混合し
希釈触媒90cm、酸化触媒第二層(ガス出口側)
して酸化触媒(E)を225cmの順で充填し、反応浴
温度Tbを345℃にした。ここに原料モル比がイ
ブチレン:酸素:窒素:水=1:2:10:1.6となるよう
ターシャリーブタノール、空気、窒素、水
供給量を設定したガスを空間速度1000h -1
で酸化反応器内へ導入し、反応を行った結果
、反応開始後200時間経過したときの原料転化
率99.6%、メタクロレイン収率81.07%、メタクリ
酸収率3.59%、有効選択率85.02%であった。ま
、触媒層内の温度は、酸化触媒層第一層目
発熱ピーク温度が410℃、酸化触媒層第二層
の発熱ピーク温度が389℃、二つの発熱ピー
の間の極小値Tmが377℃、Tm-Tb=32℃であった。
実施例2
実施例1の反応を原料転化率99.5%になるよう
反応浴温度Tbを調節しながら6000h継続したと
ころ、メタクロレイン収率80.73%、メタクリル
酸収率3.74%、有効選択率84.82%であった。また
触媒層内の温度は、Tbが348℃、酸化触媒層
一層目の発熱ピーク温度が399℃、酸化触媒
第二層目の発熱ピーク温度が377℃、二つの
熱ピークの間の極小値Tmが370℃、Tm-Tb=22℃で
った。
実施例3
実施例1の反応を原料転化率99.5%になるよう
反応浴温度Tbを調節しながら12000h継続した
ころ、メタクロレイン収率80.18%、メタクリ
酸収率4.04%、有効選択率84.70%であった。また
、触媒層内の温度は、Tbが355℃、酸化触媒層
一層目の発熱ピーク温度が408℃、酸化触媒
第二層目の発熱ピーク温度が384℃、二つの
熱ピークの間の極小値Tmが380℃で、Tm-Tb=25℃
であった。
実施例4
実施例1において触媒を充填する反応管の内
径を21mmとし、空間速度を1200h -1
としたこと以外は実施例1と同様に反応を行
た。反応開始後300時間における、原料転化
は99.5%、メタクロレイン収率80.2%、メタクリ
酸収率3.77%、有効選択率84.4%であった。また
、触媒層内の温度は、Tbが352℃、酸化触媒層
一層目の発熱ピーク温度が403℃、酸化触媒
第二層目の発熱ピーク温度が375℃、二つの
熱ピークの間の極小値Tmが370℃、Tm-Tb=18℃で
あった。
比較例1
実施例1において酸化触媒層第一層として酸
化触媒(E)とシリカ-アルミナ混合物不活性担
を重量比2:1で混合した希釈触媒を充填した
と以外は実施例1と同様に反応を行った。反
開始後300時間における、原料転化率は99.5%
メタクロレイン収率79.4%、メタクリル酸収率
3.66%、有効選択率83.5%であった。また、触媒
内の温度は、Tbが351℃、酸化触媒層第一層目
の発熱ピーク温度が370℃、酸化触媒層第二層
目の発熱ピーク温度が385℃、二つの発熱ピー
クの間の極小値Tmが365℃、Tm-Tb=14℃であった
以上のように、反応浴温度Tbや、発熱ピ ク温度を公知の範囲にした場合より、Tm-Tb≧ 15℃となるようにした場合のほうが、長期間 わたって高い収率、有効選択率を維持でき ことが分る。