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Title:
PROCESS FOR PRODUCING MICRONEEDLE OF THERMOSENSITIVE SUBSTANCE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093679
Kind Code:
A1
Abstract:
A novel process for producing a microneedle, in which a microneedle can be produced at low cost on a mass production scale. Needle-shaped projections are produced by first heating a jig to a temperature at which a thermosensitive substance capable of thermoplastic deformation is brought into a viscoplastic state, or higher; bringing the jig into contact with the thermosensitive substance; and thereafter withdrawing the jig from the thermosensitive substance so as to elongate the thermosensitive substance in contact with the jig. Preferably, the process comprises the steps of: (i) setting the temperature of a jig to a temperature at which athermosensitive substance capable of thermoplastic deformation is brought into a viscoplastic state, or higher; (ii) bringing the jig into contact with the thermosensitive substance so as to convert the thermosensitive substance at contact site to a viscoplastic state; (iii) withdrawing the jig from the thermosensitive substance so as to elongate in filaments the thermosensitive substance in the viscoplastic state; and (iv) terminating the withdrawal of the jig from the thermosensitive substance, or reducing the withdrawal speed, so that the filamentous thermosensitive substance is cut to thereby accomplish the formation of needle-shaped projections.

Inventors:
HAMAMOTO HIDETOSHI (JP)
ISHIBASHI MASAKI (JP)
KOBAYASHI KATSUNORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051317
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
January 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MEDRX CO LTD (JP)
HAMAMOTO HIDETOSHI (JP)
ISHIBASHI MASAKI (JP)
KOBAYASHI KATSUNORI (JP)
International Classes:
A61M37/00; B29C67/00
Domestic Patent References:
WO2006080508A12006-08-03
WO2006018642A12006-02-23
Foreign References:
JP2004504120A2004-02-12
JP2006149818A2006-06-15
JP2006513811A2006-04-27
JP2003501163A2003-01-14
US20020082543A12002-06-27
Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, Hajime (1-1 fUShimimachi 4-chome,Chuo-k, Osaka-shi Osaka 44, JP)
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Claims:
 熱塑性変形する温度感受性物質からマイクロニードルを製造する方法であって、
 治具の温度を上記温度感受性物質の粘塑性状態になる温度以上にして、その治具を温度感受性物質に接触させ、その後、治具と温度感受性物質を引き離し、治具と接着した温度感受性物質が引き伸ばされて針状突起が形成されることを特徴とするマイクロニードルの製造方法。
 以下の工程(i)~(iv)を含むマイクロニードルの製造方法。
 (i)治具の温度を熱塑性変形する温度感受性物質が粘塑性状態になる温度以上に設定する、
 (ii)治具を上記温度感受性物質に接触させ、接触部位の温度感受性物質を粘塑性状態にする、
 (iii)治具と温度感受性物質を引き離し、粘塑性状態の温度感受性物質を糸状に引き伸ばす、
 (iv)治具と温度感受性物質の引き離しを停止又は引き離し速度を減速させることにより、糸状の温度感受性物質を切断して、針状突起を形成させる、
 水平面に対して垂直方向の一直線上に、温度感受性物質と治具のいずれか一方を上部に、いずれか他方を下部に設置し、重力方向に針状突起を形成させることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
 水平面と平行な一直線上に、温度感受性物質と治具を並べて設置し、水平方向に針状突起を形成させることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
 治具がシリコン製あるいは金属製のマイクロニードルである、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
 治具の温度が、温度感受性物質のガラス転移点あるいは融解以上である、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
 治具による温度感受性物質の加熱時間が1秒~1分の間である、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
 温度感受性物質を糸状に引き伸ばすための治具と温度感受性物質の引き離し速度が1mm/分~100mm/分である、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
 温度感受性物質を糸状に引き伸ばすための治具と温度感受性物質の引き離し速度が2mm/分~20mm/分である、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
 糸状の温度感受性物質を切断するための治具と温度感受性物質の引き離し速度が、温度感受性物質を糸状に引き伸ばす際の治具と温度感受性物質の引き離し速度の半分~0mm/分の範囲である、請求項2~9のいずれか1項記載の方法。
 治具と温度感受性物質の引き離しを停止させることによって、糸状の温度感受性物質の切断を行う、請求項2~9のいずれか1項記載の方法。
 温度感受性物質が、生体内分解性樹脂または多糖類である、請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
 生体内分解性樹脂がポリ脂肪酸エステルである、請求項12記載の方法。
 ポリ脂肪酸エステルが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、又は乳酸・グリコール酸共重合体である、請求項13記載の方法。
 多糖類が、マルトースである、請求項12記載の方法。
 温度感受性物質が予め平板状に成形されたものである、請求項1~15のいずれか1項記載の方法。
 針状突起を溶解する溶媒に針状突起の先端を浸漬し溶解することをさらに行う、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
 請求項1記載の方法により得られる、温度感受性物質製のマイクロニードルであって、
 根元部分の断面形状が治具の断面形状に対応し、先端が一点に収束した尖った形状であり、先端部から根元部分にかけて弧状の裾広がり形状を有する針状突起を有することを特徴とするマイクロニードル。
 針状突起の根元部分の断面形状が円形、多角形、コの字型又はS字型である、請求項18記載のマイクロニードル。
 温度感受性物質が、生体内分解性樹脂または多糖類である、請求項18又は19記載のマイクロニードル。
 生体内分解性樹脂が、ポリ脂肪酸エステルである、請求項20記載のマイクロニードル。
 ポリ脂肪酸エステルが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、又は乳酸・グリコール酸共重合体である、請求項21記載のマイクロニードル。
 多糖類が、マルトースである、請求項20記載のマイクロニードル。
 平板状の基盤部上に針状突起が立設した構造物である、請求項18~23のいずれか1項記載のマイクロニードル。
 複数の針状突起を有し、それらがアレイ状に配置されている、請求項24記載のマイクロニードル。
 針状突起が中空の針状突起である、請求項18~25のいずれか1項記載のマイクロニードル。
Description:
温度感受性物質製のマイクロニ ドルの製造方法

 本発明はマイクロニードル(microneedle:微小 針状部材)の製造方法及びマイクロニードル 関するものである。特に温度上昇により粘 性を持つ固体の物質であれば何でも応用で るマイクロニードルの製造方法に関する。 た、特に温度感受性物質で構築され、アレ (行列)状に形成された多数の応用マイクロニ ードル(すなわち、複数の針状突起がアレイ に配置されたマイクロニードル)を簡単に製 できる方法に関する。

 薬剤を経皮的に投与する方法として、通 、皮膚表面への液剤・軟膏剤の塗布若しく 貼付剤型の経皮投与製剤が用いられてきた 皮膚は、ヒトの場合、通常、厚さ10~30μmの 状構造を持つ角質層と、厚さ約70μmの表皮組 織層(以下、単に「表皮層」ともいう。)と、 さ約2mmの真皮組織層(以下、単に「真皮層」 ともいう。)の複数の組織から構成されてい 。

 角質層は、皮膚の最上位にあって層状を し、種々の薬剤が皮膚から浸透するのを防 、バリヤーの働きを行っている。一般的に 、皮膚のバリヤー作用の約50~約90%は角質層 行われている。角質層の下の表皮層では角 層ほどのバリヤー作用を果たさないが、残 の約10%以上のバリヤー作用を果たしている 一方、表皮層の下の真皮層には、真皮層と 皮層の接合部付近に豊富な毛細血管網があ 、そのため、薬剤が一度真皮の深さに到達 ると(すなわち、真皮層内に入ると)、その 細血管網を伝わって、より深部の組織(毛包 筋肉等)に素早く拡散する。そして、毛細血 管から血液循環を経由して薬剤が全身に拡散 される。

 従って、薬剤の皮膚透過性を上げるため は、いかに効率的に薬剤を真皮層に到達さ るかが課題となっている。そこで、これま は、特許文献1に示されるように、微小針( イクロニードルまたはマイクロシリンジ)を 用し、角質層を局所的に破壊して薬剤を真 層に強制的に投与することが行われてきた

 特許文献2では、微小針の典型的な寸法と して、長さが1μm乃至3μmであり、その基部の 径が10nm乃至1mmであること等が一例として開 示されている。

 マイクロニードルの製造方法には、色々な 法が知られており、例えば特許文献2では、 鋳型を作ってマイクロニードルを製造する種 々の方法が開示され、あるいは、特許文献3 は、中空の微小針の作製方法が種々記載さ ている。
 しかしながら、これら公知のマイクロニー ルの製造方法は、製造される針が軟らか過 たり、硬すぎたりして、適切なものを得る が難しいと言われており、更にはコスト的 高価になり過ぎている状況である。また、 型を使ったマイクロニードルの製造方法で 、鋳型からマイクロニードルを取り出す際 、摩擦応力が懸かって、マイクロニードル 先端部が欠けやすくなっている。そのため 均一なマイクロアレイ(すなわち、複数の微 小針がアレイ状に配置されたマイクロニード ル)を得るには、信頼性が低いものとなって る。

 従って、現在の経皮吸収用のマイクロニー ルの課題は、生体親和性の材料で形成され ある一定の強度および耐久性を持ったマイ ロニードルをどのように作製するかである 更に、このようなマイクロニードルは、通 使い捨てのものであるので、コスト的にも 価なものであることが必要とされている。

特開2006-149818号公報

特表2006-513811号公報

特表2003-501163号公報

米国特許出願公開第2002/0082543号明細書

 上記事情に鑑み、本発明が解決しようとす 課題は、温度感受性物質を用いて、マイク ニードルを安価且つ量産規模で製造するこ 、すなわち、マイクロニードルを安価且つ 産規模で製造し得る、新規なマイクロニー ルの製造方法を提供することである。
 更に、マイクロニードルの先端部分が欠け に揃っている(すなわち、個々の微小針の先 端部が欠けずに揃っている)、規格信頼性の いマイクロニードルを簡単に製造できる、 規なマイクロニードルの製造方法を提供す ことである。
 また、個々の微小針の先端部が欠けずに揃 ており、かつ、皮膚への刺し込みをスムー に行えるマイクロニードルおよびその製造 法を提供することである。

 本発明者らは当初均一なマイクロニードル 得るために鋳型に樹脂を流し込み離型させ ことにより製作しようとしてきたが、鋳型 の流し込み不足、離型時の欠けなどにより 収率よく均一なマイクロニードルを得るこ ができなかった。しかし鋳型を介する鋳型 形に対し、一見均一なマイクロニードルを られそうにない成り行き成形とも言うべき 鋳型を介しない以下の構成の製造方法を取 ことにより、マイクロニードルの先端部分 欠けずに揃っていて、しかもコスト的に安 で、量産可能なマイクロニードルの製造が 能になることを見出した。
 すなわち、温度上昇により固体性から粘塑 に変化する温度感受性物質のマイクロニー ルの製造方法であって、治具の温度を上記 度感受性物質の粘塑性状態になる温度以上 して、その治具を温度感受性物質に接触さ る。その後、治具と温度感受性物質を引き すと、治具と接着した温度感受性物質が引 伸ばされて針状突起を形成させることを見 した。即ち、軟化した温度感受性物質が治 に引き伸ばされて糸状になった場合、引き ばしを停止又は減速することにより、温度 受性物質の糸が表面張力等の効果で切断さ 、針状突起を形成することを見出した。

 その製造方法の一例としては、下記のとお である。
(1)上下に移動できる支柱に、温度感受性物質 をフィルム状に伸展させたものを、温度感受 性物質面を下にして取り付ける。
(2)その直下に、治具として用いるシリコン製 あるいは金属製のマイクロニードルを設置し 、加熱板、電熱線等で加熱する。
(3)支柱を下げ、加熱された治具の先端が温度 感受性物質製フィルムの内部に止まる位置で 停止する。
(4)一定時間その位置で加熱し、治具先端部が 接触している温度感受性物質を軟化させる。
(5)一定の速度で支柱を上に引き上げることに より、軟化した温度感受性物質が治具先端部 に引っ張られて、針状の突起を温度感受性物 質製フィルム上に形成する。その際、1段階 は2段階での引き上げ速度の調整により、所 の針状の突起を得ることができる。
 こうして形成される針状の突起は、サイズ 揃っており、針の長さもほぼ同じで、先端 欠けることはなかった。
(6)得られた温度感受性物質製のマイクロアレ イを冷却し、温度感受性物質製フィルムを保 持する基板から外し、所望の温度感受性物質 製マイクロニードルを取得する。
 なお、必要に応じて、温度感受性物質製マ クロニードルの先端部を切断する、あるい 、温度感受性物質を溶解する溶媒に先端を 漬することにより、先端部を揃えることも きる。

 更に、本発明者らは、上記(3)のところで、 熱された治具の先端が温度感受性物質製フ ルムを突き抜けて停止し、治具の先端が外 に触れる状況であれば、その後の(4)~(6)の操 作により、中空針の形状を取った温度感受性 物質製のマイクロニードルが可能であること も見出した。
 また、上記一例では、温度感受性物質製の ィルムを上下に移動できる支柱に固定し移 させたが、温度感受性物質製のフィルムを 定し、治具を上下に移動させて温度感受性 質製のマイクロニードルを得ることも可能 あることを見出した。
 ここで、温度感受性物質製フィルム又は治 の「上下移動」とは、鉛直(重力)方向の移 である。
 また、本発明者らは、温度感受性物質製フ ルムと治具を水平面と平行な一直線上に並 て、温度感受性物質製フィルムと治具の少 くとも一方を当該直線上で移動させても、 度感受性物質製のマイクロニードルを得る とも可能であることを見出した。

 以上の知見は「微小な形状の成形は通常の 形の常識である鋳型を使用すれば均一で収 の良いものができる」という一般的な概念 外にあり、本発明はむしろ鋳型を使わない り行き成形的な成型法が均一で収率の良い のができることを見出したものである。
 以上のことから、本発明者らは、以下の特 からなる本発明を完成した。

 すなわち、本発明は、
[1]熱塑性変形する温度感受性物質からマイク ロニードルを製造する方法であって、
 治具の温度を上記温度感受性物質の粘塑性 態になる温度以上にして、その治具を温度 受性物質に接触させ、その後、治具と温度 受性物質を引き離し、治具と接着した温度 受性物質が引き伸ばされて針状突起が形成 れることを特徴とするマイクロニードルの 造方法、
[2]以下の工程(i)~(iv)を含むマイクロニードル 製造方法、
 (i)治具の温度を熱塑性変形する温度感受性 質が粘塑性状態になる温度以上に設定する
 (ii)治具を上記温度感受性物質に接触させ、 接触部位の温度感受性物質を粘塑性状態にす る、
 (iii)治具と温度感受性物質を引き離し、粘 性状態の温度感受性物質を糸状に引き伸ば 、
 (iv)治具と温度感受性物質の引き離しを停止 又は引き離し速度を減速させることにより、 糸状の温度感受性物質を切断して、針状突起 を形成させる、
[3]水平面に対して垂直方向の一直線上に、温 度感受性物質と治具のいずれか一方を上部に 、いずれか他方を下部に設置し、重力方向に 針状突起を形成させることを特徴とする上記 [1]又は[2]記載の方法、
[4]水平面と平行な一直線上に、温度感受性物 質と治具を並べて設置し、水平方向に針状突 起を形成させることを特徴とする上記[1]又は [2]記載の方法、
[5]治具がシリコン製あるいは金属製のマイク ロニードルである、上記[1]~[4]のいずれかに 載の方法、
[6]治具の温度が、温度感受性物質のガラス転 移点あるいは融解以上である、上記[1]~[5]の ずれかに記載の方法、
[7]治具による温度感受性物質の加熱時間が1 ~1分の間である、上記[1]~[6]のいずれかに記 の方法、
[8]温度感受性物質を糸状に引き伸ばすための 治具と温度感受性物質の引き離し速度が1mm/ ~100mm/分である、上記[1]~[7]のいずれかに記載 の方法、
[9]温度感受性物質を糸状に引き伸ばすための 治具と温度感受性物質の引き離し速度が2mm/ ~20mm/分である、上記[1]~[7]のいずれかに記載 方法、
[10]糸状の温度感受性物質を切断するための 具と温度感受性物質の引き離し速度が、温 感受性物質を糸状に引き伸ばす際の治具と 度感受性物質の引き離し速度の半分~0mm/分の 範囲である、上記[2]~[9]のいずれかに記載の 法、
[11]治具と温度感受性物質の引き離しを停止 せることによって、糸状の温度感受性物質 切断を行う、上記[2]~[9]のいずれかに記載の 法、
[12]温度感受性物質が、生体内分解性樹脂ま は多糖類である、上記[1]~[11]のいずれかに記 載の方法、
[13]生体内分解性樹脂がポリ脂肪酸エステル ある、上記[12]記載の方法、
[14]ポリ脂肪酸エステルが、ポリ乳酸、ポリ リコール酸、又は乳酸・グリコール酸共重 体である、上記[13]記載の方法、
[15]多糖類が、マルトースである、上記[12]記 の方法、
[16]温度感受性物質が予め平板状に成形され ものである、上記[1]~[15]のいずれかに記載の 方法、
[17]針状突起を溶解する溶媒に針状突起の先 を浸漬し溶解することをさらに行う、上記[1 ]~[16]のいずれかに記載の方法、
[18]上記[1]記載の方法により得られる、温度 受性物質製のマイクロニードルであって、
 根元部分の断面形状が治具の断面形状に対 し、先端が一点に収束した尖った形状であ 、先端部から根元部分にかけて弧状の裾広 り形状を有する針状突起を有することを特 とするマイクロニードル、
[19]針状突起の根元部分の断面形状が円形、 角形、コの字型又はS字型である、上記[18]記 載のマイクロニードル、
[20]温度感受性物質が、生体内分解性樹脂ま は多糖類である、上記[17]又は[18]記載のマイ クロニードル、
[21]生体内分解性樹脂が、ポリ脂肪酸エステ である、上記[20]記載のマイクロニードル、
[22]ポリ脂肪酸エステルが、ポリ乳酸、ポリ リコール酸、又は乳酸・グリコール酸共重 体である、上記[21]記載のマイクロニードル
[23]多糖類が、マルトースである、上記[20]記 のマイクロニードル、
[24]平板状の基盤部上に針状突起が立設した 造物である、上記[18]~[23]のいずれかに記載 マイクロニードル、
[25]複数の針状突起を有し、それらがアレイ に配置されている、上記[24]記載のマイクロ ードル、及び
[26]針状突起が中空の針状突起である、上記[1 8]~[25]のいずれかに記載のマイクロニードル に関する。

 また、本発明は以下の態様も含む。

[27](1)治具として用いるシリコン製あるいは 属製のマイクロニードルを設置し、加熱板 電熱線等で加熱する、
(2)治具設置面に対して垂直方向に移動できる 支柱に、温度感受性物質をフィルム状に伸展 させたシートを設置し、治具の直上に来るよ うに調整する、
(3)加熱された治具先端がフィルム状の温度感 受性物質の内部に止まる位置、あるいは温度 感受性物質を突き抜けて止まる位置まで温度 感受性物質を移動させる、
(4)一定時間その位置で加熱し、治具先端部が 接触している温度感受性物質部分を軟化させ 、
(5)その後、一定の速度で治具と温度感受性物 質を引き離すことにより、軟化した温度感受 性物質が治具先端部に引っ張られて、針状の 突起を温度感受性物質製フィルム上に形成す る、
(6)(5)で得られた温度感受性物質製のマイクロ ニードルを冷却し、温度感受性物質の乗った 基板から外し、所望のマイクロニードルを取 得する、
ことを特徴とする中空または非中空のマイク ロニードルの製造方法。
[28](1)温度感受性物質をフィルム状に伸展さ たシートを設置し、
(2)治具として用いるシリコン製あるいは金属 製のマイクロニードルを温度感受性物質製フ ィルムに対し垂直方向に移動できる支柱に設 置し、加熱板、電熱線等で加熱する。
(3)加熱された治具先端がフィルム状の温度感 受性物質の内部に止まる位置、あるいは温度 感受性物質を突き抜けて止まる位置まで治具 を移動させる
(4)一定時間その位置で加熱し、治具先端部が 接触している温度感受性物質部分を軟化させ 、
(5)その後、一定の速度で治具と温度感受性物 質を引き離すことにより、軟化した温度感受 性物質が治具先端部に引っ張られて、針状の 突起を温度感受性物質製フィルム上に形成す る、
(6)(5)で得られた温度感受性物質製のマイクロ ニードルを冷却し、温度感受性物質の乗った 基板から外し、所望のマイクロニードルを取 得する、
ことを特徴とする中空または非中空のマイク ロニードルの製造方法。

 本発明の製造方法では、温度感受性物質を 化させて粘塑性状態にして引き伸ばし、そ によって温度感受性物質製のマイクロニー ルを作成する方法であるため、方法として 単であり、操作も単純であるので、製造コ ト的にもかなり軽減されることになる。ま 、マイクロニードルを量産規模で製造し得 。また、簡単であるが故に、製品規格を維 しやすく、規格信頼性の高いマイクロニー ルを簡単に製造できる。
 また、個々の微小針の先端部が欠けずに揃 ており、かつ、皮膚への刺し込みをスムー に行えるマイクロニードルを簡単に製造で る。

 また、本発明の製造方法における温度感受 物質に樹脂を使用すると、樹脂の軟化温度 それほど高くないことから、多種類の薬剤 練りこんでマイクロニードル化を行うこと 可能である。

シリコン製マイクロニードル治具の模 図である。 温度感受性物質層を軟化・溶解開始時 模式図である。 温度感受性物質層を軟化・溶解中の模 図である。 微小針(針状突起)形成中の模式図であ 。 微小針(針状突起)形成終了時の模式図 ある。 中空部を有する微小針(針状突起)を形 する際の温度感受性物質層を軟化・溶解開 時の模式図である。 中空部を有する微小針(針状突起)を形 する際の微小針(針状突起)形成中の模式図で ある。 中空部を有する微小針(針状突起)を形 する際の微小針(針状突起)形成終了時の模式 図である。 ポリ乳酸製マイクロニードルの光学顕 鏡による拡大写真である。 マルトース製マイクロニードルの光学 顕微鏡による拡大写真である。 上部に治具を設置し、下部に温度感受 性物質を設置して重力方向に針状突起を形成 させる方法の模式図である。 温度感受性物質と治具を水平面と平行 な一直線上に並べて、水平面と平行な方向に 針状突起を形成させる方法の模式図である。 図11の方法で作製されたマイクロニー ルの一例の光学顕微鏡による拡大写真(全体 写真)である。 図11の方法で作製されたマイクロニー ルの一例の光学顕微鏡による拡大写真(要部 拡大写真)である。 図12の方法で作製されたマイクロニー ルの一例の光学顕微鏡による拡大写真(全体 写真)である。 図12の方法で作製されたマイクロニー ルの一例の光学顕微鏡による拡大写真(要部 拡大写真)である。 根元部分の断面形状が四角形の針状突 起の光学顕微鏡による拡大写真である。 根元部分の断面形状がコの字型の針状 突起の光学顕微鏡による拡大写真(複数の突 )である。 根元部分の断面形状がコの字型の針状 突起の光学顕微鏡による拡大写真(1個の突起) である。

符号の説明

 1 針状突起
 2 基盤
 3 温度感受性物質
 4 加熱板
 5 粘塑性状態の温度感受性物質
 6、6’ 針状突起
 7 温度感受性物質を支持する支持部材
 8 開口
 9 中空部
 10A 基盤部
 10、10’ マイクロニードル
 20 マイクロアレイ

 以下、本発明を好適な実施形態に即して詳 く説明する。
 本発明において、「熱塑性変形する温度感 性物質」とは、「温度上昇により固体性か 粘塑性に変化する温度感受性物質」のこと あり、このような物質としては、樹脂、糖( 特に多糖類)、それらの混合物などがあげら る。なお、好ましい温度感受性物質として 生体親和性の高い材料が選択され、より好 しくは生体内分解性の材料が選択される。 た、該物質は、通常、チップ、フィルム、 ート等の平板状の成形物に予め成形して使 される。

 また、本発明において、治具は、温度感 性物質が熱塑性変形する温度において固体 態を維持できる材料であれば特に制限され いが、好適には、シリコン製や金属製の治 が挙げられる。また、治具の形状は、製造 べきマイクロニードルの針状突起(微小針) 数、形状等に対応して決定される。

 本発明では、治具を温度感受性物質に接 させ、接触部位の温度感受性物質を粘塑性 態にした後、該接触部位と治具間を引き離 て、粘塑性状態の温度感受性物質が糸状に き伸ばされることによって針状突起を形成 る。このための治具は、汎用手段で作製さ たもので十分であり、例えば、特許文献2に 記載のワイヤカッテイング法、特許文献3に 載の鋳型方法、特許文献4に記載のエッチン 法等が挙げられる。

 本発明において、温度感受性物質と治具 の位置関係は、特に限定されない。典型例 しては、水平面に対して垂直方向、すなわ 、鉛直方向(重力方向)の一直線上に、温度 受性物質と治具のいずれか一方を上部に、 ずれか他方を下部に設置する態様、水平面 平行な一直線上に、温度感受性物質と治具 並べて設置する態様が挙げられる。

 本発明の製造方法は、大別すると次の3つ の主要プロセスから構成される。

(第一のプロセス)
 治具の温度を温度感受性物質の粘塑性状態 なる温度以上に加熱する。
 図1は治具の一具体例である、基盤2に複数 針状突起1がアレイ状に配置された、シリコ 製あるいは金属製のマイクロアレイ20であ 、これを例えば加熱板、電熱線等の加熱手 で加熱する。

 治具の加熱は、加熱板等の加熱手段を用い 加熱し、治具の温度感受性物質に接触させ べき部分(例えば、図1のマイクロアレイ20に おける針状突起1)が温度感受性物質を軟化さ 得る温度となるように加熱する。加熱手段 公知の加熱手段を使用することができる。
 温度感受性物質に接触する治具の先端部の 度は、微小針の均一な成形を行うために、 のガラス転移温度よりもかなり高い方が良 場合がある。しかし、温度感受性物質が溶 するまで加熱すると、微小針の引き出しが 難になるため、治具の温度と温度感受性物 との接触時間を適宜調節することが望まし 。

 本発明において、温度感受性物質は、皮 に挿入し留置するものであるため、生体親 性を有するものであり、好ましくは生体親 性であると共に生体内分解性を有すること 望ましい。このことから、生体内分解性樹 や多糖類が好ましい。生体内分解性樹脂と ては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール 、乳酸・グリコール酸共重合体等の脂肪族 リエステル(ポリ脂肪酸エステル)が好まし 、中でも、ポリ乳酸、乳酸・グリコール酸 重合体が好ましく、ポリ乳酸が特に好まし 。また、多糖類としては、例えば、マルト ス、ラクトース、スクロース、マンニトー 、ソルビトール等を挙げることができ、中 も、マルトースが好適である。

 本発明でいう、ポリ乳酸は、L-乳酸及び/ たはD-乳酸を主たる単量体成分とするポリ ーである。また、ポリ乳酸は、例えば、乳 メチル、乳酸ブチル、乳酸ヘキサデシル等 乳酸エステルとの混合、あるいは、経皮製 として使用可能な可塑剤、酸化防止剤等の 加剤との混合によって所望の物性のものを ることができる。

 加熱手段の温度は、温度感受性物質の種 、治具の材質、大きさ等を考慮して適宜設 すればよく、例えば、加熱板でシリコン製 治具を加熱して、重量平均分子量が10000の リ乳酸(温度感受性物質)を加熱する場合、重 量平均分子量が10000のポリ乳酸のガラス転移 が約55℃であるため、加熱板の温度は60℃を 超え、100℃未満が好ましく、80℃前後が特に 適である。加熱板の温度が60℃以下では、 えば治具の微小針の先端部がポリ乳酸のガ ス転移点に到達していても、治具の熱容量 小さいため、温度感受性物質(ポリ乳酸)と接 触して冷却されるため、直ぐにポリ乳酸のガ ラス転移点以下となって、温度感受性物質の 微小針を引き出すことが困難となる。また、 加熱板の温度が100℃以上の場合、治具の微小 針の先端部が熱くなりすぎて、所望の長さの 温度感受性物質製微小針を引き出すことが困 難となる。また、温度感受性物質がマルトー スである場合、マルトースの融点は108℃であ るので、治具の熱容量を勘案し、加熱板の温 度は130~170℃が好ましく、約150℃前後がより ましい。

 なお、本発明において、治具の加熱温度を 較的低い温度に設定する場合は、治具と温 感受性物質の接触時間を長くすればよく、 具の加熱温度を比較的高い温度に設定する 合は、治具と温度感受性物質の接触時間を くすればよい。すなわち、治具と温度感受 物質の接触時間を適宜調整することで、好 な粘塑性状態の温度感受性物質を形成でき 。
 更には、温度感受性物質の温度を予め昇温 せて置くことにより、治具の温度との温度 を縮小させると、温度感受性物質を短時間 粘塑性状態にすることができる。従って、 具と温度感受性物質の接触時間をより短く て、好適な粘塑性状態の温度感受性物質を 成できる。

(第二のプロセス)
 加熱された治具を温度感受性物質に接触さ 、接触部位の温度感受性物質を粘塑性状態 する。すなわち、例えば、図2に示すように 、加熱されたマイクロアレイ20の針状突起(微 小針)1の先端が平板状に成形された温度感受 物質(例えば、樹脂層)3の内部に止まるよう 、温度感受性物質をセットする。そして、 定時間加熱して治具の周りの温度感受性物 を軟化・溶融して、温度感受性物質を粘塑 状態にする。

 図3に示されるように、温度感受性物質の 治具(マイクロアレイ20の針状突起(微小針)1) よる加熱時間が長いほど、粘塑性状態の温 感受性物質5の量は増え、目的の温度感受性 質製のマイクロニードルの針状突起を形成 る温度感受性物質の量は増える。そのため 目的の温度感受性物質製のマイクロニード における針状突起の長さが長くなる。

 なお、治具の材質(熱容量)や形状、加熱 度、温度感受性物質の種類によっても異な が、1秒~1分(好ましくは5秒~1分、より好まし は5~30秒)程度の間、治具と温度感受性物質 を接触させるのが好ましい。すなわち、治 がマイクロアレイ20である場合、マイクロア レイ20の針状突起(微小針)1を、1秒~1分(好まし くは5秒~1分、より好ましくは5~30秒)程度の間 温度感受性物質(例えば、樹脂層)3内に保持 るのが好ましい。

(第三のプロセス)
 治具と温度感受性物質を引き離し、温度感 性物質を糸状に引き伸ばす。
 具体的には、例えば、図4に示されるように 、一定の速度で温度感受性物質(例えば、樹 層)3を引き上げる(あるいはマイクロアレイ20 を下げる)ことにより、粘塑性状態の温度感 性物質5がマイクロアレイ20の針状突起(微小 )1の先端部に引っ張られて、糸状に引き伸 される。
 そして、更に、温度感受性物質(例えば、樹 脂層)3とマイクロアレイ20の距離を広げると 図5のように、糸状に引き伸ばされた粘塑性 態の温度感受性物質5が切断されて、針状突 起6を有するマイクロニードル10が完成する。

 図2~図5は、水平面に対する垂直方向(鉛直 方向)の一直線上において、温度感受性物質3 上部に、マイクロアレイ20を下部に設置し 重力方向に針状突起6を形成させる例を示し が、図11に示すように、水平面に対する垂 方向の一直線上の上部に治具(マイクロアレ 20)を設置し、下部に温度感受性物質3を設置 して、治具(マイクロアレイ20)と温度感受性 質3を引き離して、重力方向に針状突起6を形 成させることも可能である。

 図13、14は、当該方法で作製された生体内 分解性樹脂製のマイクロニードルの光学顕微 鏡による拡大写真(図13:全体写真、図14:要部 大写真)である。

 また、図12に示すように、温度感受性物 3と治具(マイクロアレイ20)を水平面と平行な 一直線上に並べて、温度感受性物質3と治具( イクロアレイ20)のいずれか一方を当該直線 で移動させて、両者を引き離しても、温度 受性物質の針状突起6を形成することも可能 である。

 図15、16は、当該方法で作製された生体内 分解性樹脂製のマイクロニードルの光学顕微 鏡による拡大写真(図15:全体写真、図16:要部 大写真)である。

 なお、図11、12も図2~5と同様に、紙面の上 端から下端へ向かう方向を重力方向として記 載されており、図中の符号4は加熱板であり 符号7は温度感受性物質3を支持する支持部材 を示し、矢印は温度感受性物質3の移動方向 示している。

 なお、水平面に対する垂直方向(鉛直方向 )と水平面に対する平行方向のいずれにおい も、治具と温度感受性物質の引き離しは、 具と温度感受性物質の両方を移動させて行 てもよい。

 温度感受性物質を糸状に引き伸ばすため 治具と温度感受性物質の引き離し速度は、 度感受性物質の種類、形成する針状突起の 状、大きさ等によっても異なるが、一般的 は、約1mm/分~約100mm/分であり、下限は好ま くは約2mm/分以上、より好ましくは約5mm/分以 上、特に好ましくは約10mm/分以上であり、上 は好ましくは約50mm/分以下、より好ましく 約20mm/分以下である。とりわけ好ましい態様 としては、約2~約20mm/分であるか、約10mm/分~ 50mm/分が挙げられる。

 治具と温度感受性物質を一定速度で引き し続けていくと、糸状に引き伸ばされた粘 性状態の温度感受性物質が切断されて、針 突起が形成されるが、粘塑性状態の温度感 性物質を所定長さの糸状に引き伸ばした後 治具と温度感受性物質の引き離しを停止又 引き離し速度を減速させることにより、糸 に引き伸ばされた温度感受性物質がスムー に切断されて、先端の欠けがなく、かつ、 端の変形がより小さい針状突起をより確実 形成することができる。この際の治具と温 感受性物質の引き離し速度は、温度感受性 質を糸状に引き伸ばしていく際の治具と温 感受性物質の引き離し速度の半分~0mm/分の 囲が好ましい。当該速度がこの範囲を離れ 速すぎる場合、かかる糸状に引き伸ばされ 温度感受性物質の切断を促進する効果が得 れにくい。なお、治具と温度感受性物質の き離しを停止させる場合、温度感受性物質 種類によっても停止時間は異なるが、温度 受性物質固有の表面張力等により、自然に 断され、針状突起として纏まってくる。例 ば、温度感受性物質がポリ乳酸等の脂肪族 リエステルの場合1~10秒程度停止させると糸 の温度感受性物質が切断され、針状突起と て纏まってくる。

 以上のプロセスを経ることで、個々の針 突起の先端部分が欠けずに揃っている、規 信頼性の高いマイクロニードルを製造する とができる。

 なお、針状突起の形成後、温度感受性物 は必要に応じて冷却してもよい。

 なお、本発明においては、針状突起の先 部分の不揃の是正、長さ調整等を目的とし 、温度感受性物質を溶解する溶媒中に形成 れた針状突起(微小針)の先端部分を浸漬す 、針状突起(微小針)の先端部分を切り揃える 、あるいは、治具と温度感受性物質を引き離 して形成された針状突起が治具と接着した状 態(すなわち、温度感受性物質が糸状に引き ばされた状態)で治具の温度を上げて温度感 性物質を溶融して切断する等を行うことが きる。

 針状突起の先端を溶媒に浸漬する時に使 する溶媒としては、温度感受性物質を溶解 きるものであれば特に限定されるものでは いが、例えば、温度感受性物質が樹脂であ 場合、例えば、クロロホルム、塩化メチレ 等のハロゲン系炭化水素、例えば酢酸エチ 、アセトン、テトラヒドロフラン、ヘキサ 、トルエン等の有機溶媒、水等の溶媒を使 することができる。溶解させる温度は、使 溶媒の沸点以下の温度であれば良く、一般 には室温が好ましい。

 図6~図8は中空の針状突起を有するマイク ニードルを製造する態様を示している。図6 は第二プロセスを示し、加熱された治具の先 端部(マイクロアレイ20の針状突起1の先端部) 温度感受性物質3の層を突き抜けて停止し、 頂部が外気に触れる状況である。このため、 第三のプロセスの操作により、図7に示され ように、治具と温度感受性物質の引き離し 作において、マイクロアレイ20の針状突起1 頂部には粘塑性状態の温度感受性物質があ り付着せず、その結果、図8に示されるよう 、中空の針状突起6’を有するマイクロニー ドル10’を得ることができる。すなわち、基 部10Aの針状突起6’の立設面とは反対側の面 に開口8を有し、該開口から針状突起6’の内 に入り込む中空部9が形成されている。

 本発明のマイクロニードルの製造方法で 、加熱された治具と温度感受性物質との接 時間(加熱時間)、治具のサイズ(温度感受性 質との接触面積)と温度感受性物質の引き離 し速度等の調整によって、針状突起の長さ、 太さ等を任意に調整できるが、一般的には、 針状突起の長さ(軸線方向の長さ)は、100~500μm の範囲内に設定するのが好ましい。また、針 状突起の根元部分の太さ(外径)は特に限定さ ないが、治具のサイズに大きく影響を受け ので、治具のサイズを適宜調整することが ましい。

 また、形成される針状突起は、少なくと 根元部分の断面形状が治具の針状突起の断 形状に対応し、先端が一点に収束した尖っ 形状であり、先端部から根元部分にかけて 状の裾広がり形状となる(図14(b)等参照)。し たがって、皮膚に差し込み易い形状であり、 目的の角質層の局所的破壊を容易に行うこと ができる。

 針状突起は、少なくとも1つあればよいが 、必要に応じて、多数形成させることが出来 る。

 図5、図8に示されるように、本発明方法 は、平板状の基盤部に複数の針状突起が立 した構造のマイクロニードル(特に、複数の 状突起がアレイ状に配置されたマイクロニ ドル)であって、個々の針状突起の先端部が 欠けずに揃っている、規格信頼性の高いマイ クロニードル10、10’を簡単に製造できる。

 また、本発明の製造方法において、治具 外形は、一般的には、円柱、角柱、円錐、 錐、円錐台、角錐台等であるが、断面の形 がコの字型、S字型等を呈するものであって もよい。これらの治具を使用することにより 、本発明の製造方法では、少なくとも根元部 分の断面形状が円形、多角形(例えば、三角 、四角形(図17)等)、コの字型(図18、19)、S字 等の針状突起を有するマイクロニードルを 造することができる。図17は生体内分解性樹 脂から形成された根元部分の断面形状が四角 形の針状突起の光学顕微鏡写真であり、図18 19は生体内分解性樹脂から形成された根元 分の断面形状がコの字型の針状突起の光学 微鏡写真である。

 なお、ここでいうマイクロニードルおよ 治具の針状突起の断面形状とは、突起の軸 に対して垂直な断面の形状である。

 本発明方法で得られるマイクロニードル 、薬剤の経皮投与に補助的に使用される部 であり、その際の薬剤としては、疾病の治 薬に限定されず、体内で生物活性を有する 質一般を指し、例えば、抗生物質、抗ウイ ス剤、鎮痛剤、麻酔剤、食欲抑制剤、抗関 炎剤、抗うつ剤、抗精神病剤、抗ヒスタミ 剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、DNAワクチンを含 ワクチン、アジュバント、アレルギー抗原 生物学的製剤、蛋白質、ペプチド及びそれ のフラグメントなどが挙げられるが、それ に限定されない。また、薬剤を溶媒に溶解 至分散させた液剤(薬液)にして投与する場 、その溶媒としては生体に適合性のある任 の溶媒から任意に選択できる。例えば、蒸 水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、アルコ ル、プロピレングリコール、植物油など、 はそれらの組合せなどが挙げられるが、そ らに限定されない。更に、可溶化剤(例えば ポリエチレングリコール、プロピレングリ ール、D-マンニトール、エタノール等)、界 活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等 )、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム等)、緩 衝剤(例えば、リン酸、酢酸等)、保存剤(例え ば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル等)などの 添加剤も加えることができる。

 本発明方法で得られるマイクロニードル 、少なくとも根元部分の断面形状がコの字 又はS字型である針状突起を有する場合、根 元部分の側面に微小な凹部(溝)が形成される で(図18、19参照)、薬剤の投与時に凹部(溝) 薬剤溜りが形成されて、薬剤のより効率的 投与を行うことができる。

 また、本発明方法で得られるマイクロニ ドルが針状突起として中空の針状突起を有 る場合、中空部に薬剤を保持させることが きるので、薬剤のより効率的な投与を行う とができる。

 また、温度感受性物質に薬剤を予め混入 ておき、上述の所定の方法でマイクロニー ルを作製することによって、薬剤を含有す マイクロニードルを得ることができる。か る薬剤を含有するマイクロニードルにあっ は、生体(皮膚)への刺し込みによって、マ クロニードル自体から薬剤を放出すること 可能である。特に、温度感受性物質に生体 分解性樹脂(ポリ乳酸、ポリグリコール酸、 酸・グリコール酸共重合体等)や多糖類を使 用することで、生体(皮膚)にマイクロニード を刺し込むと、マイクロニードルが分解す ことによって、薬剤がスムーズに生体内へ 出される。

 以下に実施例を挙げて本発明をより具体 に説明するが、本発明は、下記実施例によ て限定されるものではなく、前・後記の趣 に適合しうる範囲で適宜変更して実施する とも可能であり、それらはいずれも本発明 技術的範囲に包含される。

実施例1(ポリ乳酸樹脂の微小針の製造)
 シリコン製マイクロニードル(平面が縦7mm× 7mmの正方形の基板部上に、一辺が100μmの四 柱形状で、長さが300μmの微小針をアレイ状 12×12個を立設させた治具)をホットプレート に設置し、80℃で加熱する。
 ポリ乳酸(Mw:1万)をアルミ基板上で加熱融解 て冷却し、板状のシートを作製した。
 島津社製レオメーター(EZ-TEST)の支柱に下向 にポリ乳酸のシートを設置し、支柱を引き げて治具を該シートに接触させ、5秒間その 位置で保持し、その後、支柱を5mm/分の速度 上方に引き上げた。
 樹脂シートを引き上げると、ほぼ300μmに長 が揃った針状突起(微小針)を持つ樹脂製マ クロアレイ(マイクロニードル)が得られた( 9)。

実施例2(マルトースの微小針の製造)
 マルトースをアルミ基板上で加熱融解して 却し、板状シートを作製した。これを用い 、実施例1と同様の方法でマイクロアレイ( イクロニードル)を作製した。なお、ホット レートの加熱温度は150℃とし、シートに対 る治具の接触時間は5秒、支柱の引き上げ速 度は約50mm/分とした。
 樹脂シートを引き上げると、長さが揃った 小針を持つマルトース製マイクロアレイが られた(図10)。

実施例3(ポリ乳酸樹脂の微小針の製造)
 シリコン製マイクロニードル(平面が縦7mm× 7mmの正方形の基板部上に、一辺が100μmの四 柱形状で、長さが300μmの微小針をアレイ状 12×12個を立設させた治具)をホットプレート に設置し、80℃で加熱する。
 ポリ乳酸(Mw:1万)をアルミ基板上で加熱融解 て冷却し板状のシートを作製した。
 島津社製レオメーター(EZ-TEST)の支柱に下向 にポリ乳酸のシートを設置し、支柱を引き げて治具を該シートに接触させ、7秒間その 位置で保持した。その後、支柱を10mm/分の速 で上方に約2mm引き上げ、治具との間に糸状 ポリ乳酸樹脂を形成させた。その後、約3秒 間停止させると、糸状のポリ乳酸樹脂が細く なって切断され、針状突起(微小針)として纏 った。その結果、ほぼ150μmに長さが揃った 状突起(微小針)を持つ樹脂製マイクロアレ (マイクロニードル)が得られた。

 本発明のマイクロアレイまたはマイクロニ ドルの製造方法は、簡便で各種の生体親和 の樹脂を用いて、所望の微小針の作成がで ることから、実用的に価値の高いものであ 。更には、生体親和性樹脂(特に生体内分解 性樹脂)の中に薬物を加えることにより、容 に経皮吸収性の高い薬剤投与製剤を作製す ことができる。
 本出願は日本で出願された特願2007-018006を 礎としており、それらの内容は本明細書に て包含される。




 
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