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Title:
PROCESS FOR PRODUCING NANOSTRUCTURE COMPOSITE COVERED STRUCTURE, NANOSTRUCTURE COMPOSITE COVERED STRUCTURE, AND REACTOR USING THE NANOSTRUCTURE COMPOSITE COVERED STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/031489
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a structure comprising a solid base material having an arbitrarily shaped surface covered with a metal oxide. In particular, there are provided a nanostructure composite covered structure in which a nanostructure composite comprising a polyethyleneimine as an organic material composited with a metal oxide as an inorganic material on a nanometer order is spread over the whole surface of the base material to form, on the base material, a nanointerface having a complicated structure as a film which fully covers the base material; a structure in which metal ions, metallic nanoparticles, and organic dye molecules are contained in the nanostructure composite; a production process which can produce these structures in a simple and efficient manner; and a method for applying the structures as a catalyst fixed reactor.

Inventors:
JIN REN-HUA (JP)
YUAN JIAN-JUN (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065646
Publication Date:
March 12, 2009
Filing Date:
September 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KAWAMURA INST CHEM RES (JP)
JIN REN-HUA (JP)
YUAN JIAN-JUN (JP)
International Classes:
C01B33/12; B32B27/34; B82B1/00; B82B3/00; C01G23/047; C09B47/00; C23C28/00
Domestic Patent References:
WO2006011512A12006-02-02
Foreign References:
JP2007161755A2007-06-28
JP2005336440A2005-12-08
JP2005264421A2005-09-29
JP2005264421A2005-09-29
JP2005336440A2005-12-08
JP2006063097A2006-03-09
JP2007051056A2007-03-01
Other References:
POGULA S.D. ET AL.: "Continuous silica coatings on glass fibers via bioinspired approaches", LANGMUIR, vol. 23, no. 12, June 2007 (2007-06-01), pages 6677 - 6683, XP008132182
DON JIN KIM ET AL., LANGMURE, 2004, pages 7904 - 7906
D. D. GLAWE ET AL., LANGMURE, vol. 21ST, 2005, pages 717720
S. D. POGULA ET AL., LANGMURE, vol. 23RD, 2007, pages 66776683
ANKE DUTSCHKE ET AL., J. MASTER. CHEM., vol. 13, 2003, pages 1058 - 1063
TAKAHASHI SAKAI ET AL., JSME INTERNATIONAL JOURNAL SERIES A., vol. 48, 2005, pages 451 - 457
B. C. BUNKER ET AL., SCIENCE, vol. 264, 1994, pages 48 - 55
J. L. DEFREESE ET AL., CHEM. MATER., 2005, pages 6503
C. PAUN ET AL., J. MOL. CAT. A: CHEM., 2007, pages 6
E. DEOLIVEIRA ET AL., J. MOL. CAT. A: CHEM., 2007, pages 63
SARAH L. POE ET AL., JAM. CHEM. SOC., 2006, pages 15586
J. MATER. CHEM., vol. 13, 2003, pages 672 - 675
JIN ET AL., J. PORPHYRIN & PHTHALOCYANINE, vol. 3, 1998, pages 60 - 64
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See also references of EP 2194027A4
Attorney, Agent or Firm:
KONO, Michihiro (7-20 Nihonbashi 3-chom, Chuo-ku Tokyo 33, JP)
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Claims:
ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)を含有する溶液中に固体基材(X)を浸漬させた後取り出し、該固体基材(X)の表面にポリマー層を形成させる工程(I-1)と、
前記工程(I-1)で得られたポリマー層を有する固体基材(X)と、金属酸化物のソース液(B’)とを接触して、固体基材(X)表面のポリマー層中に金属酸化物(B)を析出させ、ナノ構造複合体(Y)を形成させる工程(I-2)と、
を有することを特徴とするナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法。
請求項1で得られるナノ構造複合体被覆型構造物を、更に金、銀及び白金からなる群から選ばれる貴金属のイオン水溶液中に浸漬させることにより、該貴金属イオンをナノ構造複合体(Y)中に浸透させ、該ナノ構造複合体(Y)中のポリエチレンイミン骨格(a)による自発還元作用により、当該貴金属の金属ナノ粒子(D)とすることを特徴とする、金属ナノ粒子が含まれたナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法。
請求項1で得られるナノ構造複合体被覆型構造物を、更に金属イオン(C)又は有機色素分子(E)を含有する溶液と接触させることにより、該金属イオン(C)又は有機色素分子(E)をナノ構造複合体(Y)中に浸透させることを特徴とする金属イオン又は有機色素分子が含まれたナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法。
ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と金属イオン(C)又は有機色素分子(E)とを含有する溶液中に固体基材(X)を浸漬させた後取り出し、該固体基材(X)の表面に金属イオン(C)又は有機色素分子(E)を含有するポリマー層を形成させる工程(II-1)と、
前記工程(II-1)で得られたポリマー層を有する固体基材(X)と、金属酸化物のソース液(B’)とを接触して、固体基材(X)表面の該ポリマー層中に金属酸化物(B)を析出させ、金属イオン(C)又は有機色素分子(E)を含むナノ構造複合体(Y)を形成させる工程(II-2)と、
を有することを特徴とする金属イオン又は有機色素分子が含まれたナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法。
請求項4の工程(II-1)で使用する溶液が、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と金属イオン(C)とを含有するものであり、工程(II-2)で得られた金属イオンを含むナノ構造複合体被覆型構造物を、更に還元剤溶液中に浸漬させ、ナノ構造複合体(Y)中の金属イオン(C)を還元し、当該金属のナノ粒子に変換させることを特徴とする金属ナノ粒子が含まれたナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法。
固体基材(X)の表面がナノ構造複合体(Y)で被覆されているナノ構造複合体被覆型構造物であって、該ナノ構造複合体(Y)がポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)と金属酸化物(B)とを含有することを特徴とするナノ構造複合体被覆型構造物。
前記金属酸化物(B)中の金属種が2種以上である請求項6記載のナノ構造複合体被覆型構造物。
前記ナノ構造複合体(Y)中に更に金属イオン(C)、金属ナノ粒子(D又は有機色素分子(E)が含まれている請求項6又は7記載のナノ構造複合体被覆型構造物。
前記金属酸化物(B)がシリカ又はチタニアを含有するものである請求項6~8の何れか1項記載のナノ構造複合体被覆型構造物。
不飽和結合を有する化合物(x1)と、活性メチレン又は活性メチンを有する化合物(x2)とを用いて炭素-炭素結合を形成する付加反応又は縮合反応に用いる固体触媒が固定されたリアクターであって、該リアクターが請求項6~9の何れか1項記載のナノ構造複合体被覆型構造物であることを特徴とする炭素-炭素結合形成反応用触媒固定型リアクター。
前記炭素-炭素結合を形成する付加反応又は縮合反応がクネーフェナーゲル反応又はマイケル反応である請求項10記載の炭素-炭素結合形成反応用触媒固定型リアクター。
ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A)を含有する溶液中に固体基材(X)を浸漬させた後取り出し、該固体基材(X)の表面にポリマー層を形成させる工程(I-1)と、
前記工程(I-1)で得られたポリマー層を有する固体基材(X)と、金属酸化物のソース液(B’)とを接触して、固体基材(X)表面のポリマー層中に金属酸化物(B)を析出させ、ナノ構造複合体(Y)を形成させる工程(I-2)と、
前記工程(I-2)で得られたナノ構造複合体被覆型構造物を焼成する工程(I-3)と、
を有することを特徴とする金属酸化物(B)を主構成成分とするナノ構造体で被覆された構造物の製造方法。
前記金属酸化物(B)中の金属種が2種以上である請求項12記載の構造物の製造方法。
Description:
ナノ構造複合体被覆型構造物の 造方法、ナノ構造複合体被覆型構造物及び れを用いるリアクター

 本発明は、任意形状の固体基材表面がポ エチレンイミン骨格を有するポリマーと金 酸化物とがナノメートルオーダーで複合化 れてなるナノ構造複合体で緻密に被覆され いることを特徴とするナノ構造複合体被覆 構造物、該構造物の製造方法、及び該構造 の触媒固定型リアクターとしての応用方法 関する。

 有機化合物と無機化合物とが高度に複合 された階層構造を有する構造体に関する技 開発では、特に生体系の啓発によるbiomimetic 手法が注目を集めている。生体系では、生体 ポリマー(例えば、タンパク質、ポリアミン) 組織構造に沿って無機質(例えば、シリカ等 の金属酸化物)の沈積や配向が起こり、有機 機複合の精巧な組織体が形成する。従って 有機ポリマー、特に塩基性のポリアミン類 用いるシリカ、チタニア等の析出法は階層 有機無機複合体構築に新たな可能性をもた し、材料化学領域では多くの注目を集めて る。

 例えば、本発明者等は、2級アミンで構成 された直鎖状ポリエチレンイミンが水性媒体 中で発現する特異な分子会合体を金属酸化物 の析出の反応場として用いることにより、ナ ノファイバーに代表されるさまざまな複雑形 状を有する金属酸化物を含有するナノ構造体 およびその製造法を見出した(例えば、特許 献1~4参照。)。これらの発明では、直鎖状ポ エチレンイミン骨格を有するポリマーを水 にて自発的に会合させた後、その会合体液 に金属酸化物のソース液を混合させると、 の金属酸化物が選択的にポリマー会合体表 で加水分解的に縮合され、ポリマーと金属 化物とが複合したナノ構造体が生成するこ を見出したことにより完成した発明である このプロセスは有機化合物と無機化合物と 高度に複合化されたナノ構造複合体の構造 御に高効率であるが、あくまでも溶液中に ナノ構造複合体を析出させることができる みであった。

 一方、固体材料表面にシリカ皮膜を形成 せる方法としても、珪藻類等の生態系バイ シリカを模倣する検討が行なわれている。 本方法は、触媒として機能するポリアミン を基材表面に吸着または化学結合で固定さ 、その上でシリカを析出させる方法である 例えば、金の表面にラジカル重合開始能を する分子残基を固定し、これにアミノ基を するラジカル重合性モノマー(例えば、N,N- メチルアミノエチルメタクリレート)をラジ ル重合させ、多数のポリ(N,N-ジメチルアミ エチルメタクリレート)を金表面にブラシ状 形成させた後、該アミンポリマーブラシ上 アルコキシシランの加水分解縮合反応を進 させることによりシリカとポリマーとの複 体から成る皮膜が得られることが報告され いる(例えば、非特許文献1参照。)。これに り得られる複合膜表面はフラットな構造で なく、シリカ粒子が無秩序に集合して形成 れる凹凸構造であり、精巧にパターン形成 れたものではない。また、例えば、ポリア ンとして、ポリ(L-リシン)を用い、銅板を陽 極、平面状インジウムティンオキサイド(ITO) 陰極にし、その両極間にポリ(L-リシン)水溶 液を加え、電極から電場印加することで、ポ リ(L-リシン)を陰極のITOに吸着させた後、そ ITOをケイ酸溶液に浸漬し、ITO表面にシリカ 析出させることが報告されている(例えば、 特許文献2参照。)。この方法で得られたITO 面のシリカは基本的に鱗片状構造を示すが 均一な膜は得られず、従って、わずかの特 場所だけは緻密な鱗片構造であり、全体的 はただ鱗片状シリカがバラバラと存在する 態であった。その他、ポリ(L-リシン)、ポリ( L-リシン-チロシン)、ポリ(アリールアミン)塩 酸塩など塩基性ポリマー溶液にガラス棒を浸 漬し、表面に吸着させた後、そのガラス棒を ケイ酸水溶液に浸漬し、ガラス棒表面にシリ カを析出させることが報告されている(例え 、非特許文献3参照。)。この方法で得たガラ ス棒表面には、粗いシリカ皮膜ができるもの の、ナノ構造複合体を形成していることを示 す特徴は全くなく、シリカが塗られた程度の レベルであった。

 金属酸化物としてのチタニアに注目すると 溶液中の酸化チタンソースを固体表面で析 させ、簡便に酸化チタン皮膜を形成させる 術が開発されている(例えば、非特許文献4~6 参照。)。これは、通常基材表面にいわゆる 己組織化単分子膜(SAMs)を形成させ、その基 をチタンソース液中にディッピングするこ で、酸化チタン結晶がそのSAMsに吸着する過 を経て、酸化チタン皮膜を形成させる方法 ある。この技術では固体基材としてプラス ックまたはシリコンウェハなどを用いるこ ができるが、いずれの場合でも、当該固体 材表面に化学官能基、例えば-SO 3 H、-COOH、-OH、-NHなどを密に植え付けることが 必要である。これらの官能基がナノサイズの 酸化チタンの核として結晶成長を促進させ、 結果的に酸化チタンのナノ結晶の連続膜を形 成させるものである。

 これらの手法で形成される酸化チタン皮 は、あくまでも酸化チタン結晶そのものの 続膜であって、有機化合物と高度に複合化 れた皮膜を形成するものではない。また、 れらの手法では、複雑な階層構造をプログ ム的に制御した皮膜を形成することはでき い。固体基材表面のSAMsの機能は単純に無機 結晶を固定するのみであって、他の付加機能 を発揮することはない。

 上記のように、ポリアミン類等を基材表 に固定し、その上にシリカやチタニアを析 させることはできても、構造が制御された ノ構造複合体で均一に被覆することは未だ できてないのが現状である。

 一方で、ポリアミン類は塩基性を示すこ から各種反応の触媒としても機能する化合 である。ポリアミン類を触媒として用いる 合には、生成物との分離や触媒の再利用な の視点から固体触媒とする開発が多く行わ てきた。例えば、ポリアミンまたは有機塩 性残基がシリカ表面に化学結合で固定され 触媒(例えば、非特許文献7および8参照。)、 メソポーラスシリカ中にアミン残基が固定さ れてなる固体触媒(例えば、非特許文献9参照 )など、数多くの固体触媒が提案されている 。

 前記非特許文献7~9で提案された固体触媒 、何れの場合も触媒機能を有する化合物の 部が固体表面に化学的に結合されているこ を特徴とする。該固体触媒を再利用しよう する場合には、固体表面に結合されている 媒機能を有する化合物の構造変化が起こり すいために触媒活性の低下が避けられなく 使用する固体触媒量を増やすことが必要と る。従って前記非特許文献7~9等で提案され いる塩基性固体触媒での工業化は通常、困 である。

 触媒を固体表面に固定することとは反対 、触媒として機能する化合物の分子をポリ ーカプセル中に閉じ込める方法も開示され いる(例えば、非特許文献10参照。)。この方 法は触媒活性を低下させることはないが、繰 り返し使用を考えた場合、固体触媒に比べる と回収などの作業は簡便ではない。

 塩基性を示すポリアミン類を触媒とする 合、その触媒が分子触媒的に機能し、しか 、それが固体中に閉じ込められていること なれば、触媒の活性向上、分離回収の簡便 、再利用効率の向上など多くの利点をもた すことが予想され、それが更に環境負荷の 減、コスト削減を達成させることにも繋が と考えられる。最も理想的な触媒の形態と ては、触媒機能を有する組成を反応容器ま は反応管にその比表面積が大きいことから 媒効率が格段に優れると予想されるナノメ トルオーダーのレベルで固定されたもので って、反応終了後は反応液を取り出し、次 反応物質を反応容器または管に取り入れる とができる触媒固定型リアクターであるが いまだにこの様な好適なリアクターは見出 れていない。

特開2005-264421号公報

特開2005-336440号公報

特開2006-063097号公報

特開2007-051056号公報 Don Jin Kim et al.,Langmure,2004年,第20巻,7904- 7906頁 D.D. Glawe et al., Langmure,2005年,第21巻,71772 0頁 S. D. Pogula et al.,Langmure,2007年,第23巻,6677 6683頁 Anke Dutschke et al.,J.Mater.Chem.,2003,13,1058-106 3 Takashi Sakai et al.,JSME International Journal  Series A.,2005,48,451-457 B.C.Bunker et al.,Science,1994,264,48-55. J.L.Defreese et al.,Chem.Mater.,2005年、17巻、65 03頁 C.Paun et al.,J.Mol.Cat.A:Chem.,2007年、269巻、6 頁 E.DeOliveira et al.,J.Mol.Cat.A:Chem.,2007年、271 、63頁 Sarah L.Poe et al.,J.AM.CHEM.SOC.,2006年,128巻,15 586頁

 本発明が解決しようとする課題は、任意 状の固体基材表面が金属酸化物で被覆され いる構造物、特には、有機物であるポリエ レンイミンと無機物である金属酸化物とが ノメートルオーダーで複合化されてなるナ 構造複合体が基材表面全体に広がり、それ 基材を完全に被覆するほどの皮膜として基 上に複雑構造のナノ界面を形成しているナ 構造複合体被覆型構造物、更にそのナノ構 複合体中に金属イオン、金属ナノ粒子、有 色素分子が含まれている構造物、これら構 物の簡便且つ効率的な製造方法、及び該構 物の触媒固定型リアクターとしての応用方 を提供することにある。

 本発明者らは既に、前記特許文献1~4にて 溶液中でポリエチレンイミン骨格含有ポリ ーの結晶性会合体を自発的に生長させ、結 性会合体ができたら、後は該結晶性会合体 分散液中に金属酸化物のソース液を混合す ことによって、結晶性会合体表面上だけで ゾルゲル反応により、金属酸化物の析出を なうことを提案している。溶液中でのポリ チレンイミン骨格含有ポリマーの結晶性会 体の生長を、任意形状の固体基材の表面に 進行させ、基材上にポリマーの結晶性会合 の層が形成できれば、その固体基材上に金 酸化物とポリマーとが複合化された新しい 面を有する構造物を構築することができる 考えられる。この作業モデルをさらに拡張 れば、固体基材上に形成させる層がポリマ の結晶性会合体ではなく、ポリエチレンイ ン骨格含有ポリマーの非結晶性の分子会合 からなる安定な層であっても、同様に目的 金属酸化物とポリマーとが複合化された新 いナノ界面を構築することができると考え れる。

 従って、上記課題解決の根本的な問題は 如何に固体基材の表面にポリエチレンイミ 骨格含有ポリマーの自己組織化会合体の安 な層(皮膜)を形成させるかだけになる。ポ エチレンイミン骨格含有ポリマーの重要な 徴は、塩基性であること、そして極めて高 極性を有することである。従って、ポリエ レンイミン骨格含有ポリマーは金属基材、 ラス基材、無機金属酸化物基材、極性表面 有するプラスチック基材、セルロース基材 ど多くの電子受容体基材類や、ルイス酸性 材類、酸性基材類、極性基材類、水素結合 基材類等の様々な表面と強い相互作用力(吸 力)を有する。本発明者らは、ポリエチレン イミン骨格含有ポリマーのこの特徴を生かし 、任意形状の固体基材表面と一定濃度、一定 温度のポリエチレンイミン骨格含有ポリマー との分子溶液と接触(浸漬)させることにより 溶液中の該ポリマーが固体基材表面に吸引 れ、結果的には該ポリマーの分子会合体か なる層が、固体基材表面の接触させた部分 全面に渡り容易に形成できることを見出し 。更にこのようにして得られたポリマー層 被覆された固体基材を金属酸化物ソース液 に浸漬させることで、固体基材を複雑なナ 構造複合体で被覆させることができる事を 出した。

 更に、上記によって得られるナノ構造複 体被覆型構造物中の当該ポリエチレンイミ 骨格含有ポリマーは、固体基材上で、金属 化物からなる籠中に閉じ込められているこ から分子触媒と同様の機能を有しながら、 応液中に漏れ出すことがないことを見出し 触媒固定型リアクターとして好適に用いる とができる事を見出した。

 すなわち本発明は、任意形状の固体基材 ナノ構造複合体によって被覆されているナ 構造複合体被覆型構造物であって、該ナノ 造複合体がポリエチレンイミン骨格を有す ポリマーと金属酸化物とがナノメートルオ ダーで複合化されてなる複合体であること 特徴とするナノ構造複合体被覆型構造物、 びその製造方法を提供するものである。

 また、本発明は、上記ナノ構造複合体被 型構造物の触媒固定型リアクターとしての 用方法を提供するものである。

 本発明のナノ構造複合体被覆型構造物は 任意形状の金属、ガラス、無機金属酸化物 プラスチック、セルロースなどの固体基材 面に、ポリマーとシリカやチタニア等の金 酸化物とを含有する複合体が形成されてい ものであり、該構造物自体は、複雑な平面 曲面、棒状、管状等のいずれの形態であっ もよく、また、管内、管外、容器内、容器 のいずれにも限定的または包括的に被覆さ ることができる。また、被覆するナノ構造 合体は、ポリエチレンイミン骨格を有する リマー溶液と固体基材との接触によって該 材上に形成されるポリマー層をテンプレー とすることから、固体基材表面の一部のみ 選択して被覆することも容易である。構造 の大小にかかわらず、その表面にはナノ構 複合体が形成されていることから、単位面 あたりの表面積(比表面積)は極めて大きく る。また、固体基材表面のナノ構造複合体 基本的に金属酸化物からなる最表面を有し 金属酸化物に関連する応用技術分野で好適 用いることが可能である。更には、該複合 中に、金属イオン、金属ナノ粒子、又は有 色素分子などの様々な機能性パーツを組み むことも容易であるから、それらの機能を 現させて利用する様々なデバイスへ利用す ことができる。具体的には、触媒付与型マ クロリアクター、酵素固定装置、物質の分 精製装置、チップ、センサー、フォトニッ デバイス構築、絶縁体または半導体構築、 菌/滅菌デバイス構築、各種マイクロ電池構 、超親水/超疎水界面構築、液晶表示材料部 材等として用いることができ、また、プラス チックの耐熱性、難燃性、耐摩耗性及び耐溶 剤性改良技術への応用や、基材表面の屈折率 調整技術などの、産業上幅広い分野への応用 展開が可能である。また、その製造方法とし ては、ディッピング等の簡便な手法を基本と するものであり、複雑な後処理等も必要では ない点からも、有用性が高い。

 特に、本願で提供する構造物は、容器ま は管の内壁表面に非常に高い比表面積を有 る複合体が形成され、且つその複合体中に 媒として機能するポリエチレンイミン骨格 有するポリマーが閉じ込められている点か 、触媒固定型リアクターとして、例えば、 基性の触媒で反応が進行する炭素-炭素結合 反応等に好適に用いることができる。このよ うな触媒固定型リアクターは化学産業上の有 用な化合物、医薬用中間体製造プロセスを一 新させることができる。特に、合成プロセス の全体を簡易化し、触媒効率を飛躍的に向上 させることで、環境負荷低減に大きく貢献で きると推察するものである。

 又、本発明で得られるナノ構造複合体被 型構造物を焼成することにより、固体基材 面に複雑な構造を有する金属酸化物からな 被膜を形成させることができる。この様な 属酸化物からなる被膜中には、金属種とし 複数含有させることも可能であり、また耐 性にも優れている。特に金属種としてチタ を含有する場合には、その比表面積が大き ことから酸化チタンが本来有する光触媒機 を効率的に発現させることも可能であり、 業上の有用性が高いものである。

実施例1-1で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:横 向からの写真(ガラスと複合体との界面) c: 大図(ナノファイバーの観測) 実施例1-2で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:aの ○部分拡大図 c:bの□部分拡大図 実施例1-3で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:横 向からの写真(ガラスと複合体との界面) c: 大図(真下からの観測、複合体の表面) d:cの 拡大図 実施例1-4で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:横 向からの写真(ガラスと複合体との界面) c: 大図(ナノファイバーの観測) 実施例2-1で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:aの 拡大図 c:bの拡大図 d:複合体表面の拡大図 実施例2-2で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:横 向からの写真(ガラスと複合体との界面) c: 方向の拡大図 d:cの表面部分の拡大図 実施例2-3で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:表 の拡大図 c:横方向の拡大図 d:cの一部分の 大図 実施例3で得た構造物の走査型電子顕微 鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:aの 面の拡大図 c:bの拡大図 d:cの一部分の拡大 実施例4-1で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:aの 表面の拡大図 c:bの拡大図 d:横方向の拡大図 実施例4-2で得た構造物の走査型電子顕 微鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:a 表面の拡大図 c:bの拡大図 d:横方向の拡大 実施例4-3で得た構造物の走査型電子顕 微鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:a 表面の拡大図 c:bの拡大図 d:横方向の拡大 実施例4-4で得た構造物の走査型電子顕 微鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:a 表面の拡大図 c:bの拡大図 d:横方向の拡大 実施例4で得た構造物の横方向の走査型電子 微鏡写真である。(CH 2 CH 2 NH)/Cu=50/1(a),100/1(b),200/1(c),600/1(d) 実施例5で得た構造物の実物の写真と 査型電子顕微鏡写真である。a:ガラス管破片 の写真 b:aの表面の拡大図 実施例6で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:ガラス管破片の写真 b:aの 面の拡大図 c:bの拡大図 d:横方向の拡大図 実施例7で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:棒の写真 b:aの表面の拡大  c:bの拡大図 d:cの拡大図 実施例8で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:板の写真 b:aの表面の拡大  c:bの拡大図 実施例9で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:板の写真 b:aの○部分の拡 図 c:bの拡大図 実施例10で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:表面の写真 b:aの拡大図 c :横方向の拡大図 d:cの拡大図 実施例11で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:表面の写真 b:aの拡大図 c :bの拡大図 実施例12で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:表面の写真 b:aの拡大図 c :bの拡大図 d:cの拡大図 実施例13で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:表面の写真 b:aの拡大図 c :bの拡大図 実施例15-1で得た構造物の走査型電子 微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写 真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d: 方向からの写真(ガラスと複合体との界面。 ) 実施例15-2で得た構造物の走査型電子 微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写 真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d: 方向からの写真(ガラスと複合体との界面。 ) 実施例15-3で得た構造物の走査型電子 微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写 真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d: 方向からの写真(ガラスと複合体との界面。 ) 実施例16-1で得た構造物の走査型電子 微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写 真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d: 方向からの写真(ガラスと複合体との界面。 ) 実施例16-2で得た構造物の走査型電子 微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写 真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d: 方向からの写真(ガラスと複合体との界面。 ) 実施例16-3で得た構造物の走査型電子 微鏡写真である。a:ガラス管破片の低倍率写 真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:c の○部分拡大図。 実施例17で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:表面の低倍率写真 b:aの○ 部分拡大図 c:bの○部分拡大図。 実施例18で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:表面の低倍率写真 b:aの○ 部分拡大図 c:bの○部分拡大図。 実施例19で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:表面の低倍率写真 b:aの○ 部分拡大図 c:bの○部分拡大図。 実施例20で得た構造物の走査型/透過型 電子顕微鏡写真である。a:表面の低倍率写真 b:aの○部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:PET ート溶解後得た固体成分のTEM写真(酸化チタ 結晶格子が観察される)。 実施例21で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。 a:表面の低倍率写真 b:aの 部分拡大図 c:bの○部分拡大図 d:cの○部分 拡大図。 実施例22で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。 a:表面の低倍率写真 b:aの 部分拡大図。 実施例27の内壁が複合体で被覆された アクターAの写真。a1:被覆前。a2:被覆後。ガ ラス管破片内壁表面のSEM写真。b:低倍率 c:500 0倍 d:25000倍、e:断面部(ガラス面上にナノ芝 その厚みが2μm程度)。 実施例29の内壁が複合体で被覆された アクターBの写真 a:割れたリアクターB破片 壁表面のSEM写真、b:低倍率 c:25000倍、d:断面 部(プラスチック面上にナノ芝)。 実施例34で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:焼成前 b:焼成後。 実施例35で得た構造物の走査型電子顕 鏡写真である。a:シリカ析出後 b:チタニア 出後 c:焼成後。 実施例35の焼成後の構造物の表面のラ ンスペクトルである。

 本発明の構造物は、固体基材(X)の表面が リエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー( A)と金属酸化物(B)とを含有するナノ構造複合 (Y)によって被覆されたものである。さらに 本発明は、該ナノ構造複合体部分に、金属 オン、金属ナノ粒子、又は有機色素分子が まれることを特徴とする構造物をも提供す 。従って、本発明の構造物は、固体基材、 リマー、金属酸化物、金属イオン、金属ナ 粒子、有機色素分子等により構成される。 お、本発明において、ナノ構造複合体(Y)と 、ポリマー(A)と金属酸化物(B)、更に必要に じて併用される金属イオン、金属ナノ粒子 有機色素分子等が、ナノメートルオーダー 複合化され、それがファイバー状・粒子状 フィルム状等の一定の形状を有する有機無 複合体のことを示すものである。また、金 ナノ粒子は後述するように、金属微粒子が ノメートルオーダーの大きさで存在してい ものを示すものであって、必ずしも完全な 形である必要はないが、便宜上「粒子」と 載するものである。以下、本発明を詳細に べる。

[固体基材]
 本発明において使用する固体基材(X)として 、後述するポリエチレンイミン骨格(a)を有 るポリマー(A)が吸着できるものであれば特 限定されず、例えば、ガラス、金属、金属 化物などの無機材料系基材、樹脂(プラスチ ック)、セルロースなどの有機材料系基材等 更にはガラス、金属、金属酸化物表面をエ チング処理した基材、樹脂基材の表面をプ ズマ処理、オゾン処理した基材などを使用 きる。

 無機材料系ガラス基材としては、特に限 することではないが、例えば、耐熱ガラス( ホウケイ酸ガラス)、ソーダライムガラス、 リスタルガラス、鉛や砒素を含まない光学 ラスなどのガラスを好適に用いることがで る。ガラス基材の使用においては、必要に じ、表面を水酸化ナトリウムなどのアルカ 溶液でエッチングして用いることができる

 無機材料系金属基材としては特に限定さ ないが、例えば、鉄、銅、アルミ、ステン ス、亜鉛、銀、金、白金、またはこれらの 金などからなる基材を好適に用いることが きる。

 無機材料系金属酸化物基材としては、特 限定することではないが、例えば、ITO(イン ジウムティンオキシド)、酸化スズ、酸化銅 酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどを好 に用いることができる。

 樹脂基材としては、例えば、ポリエチレ 、ポリプロピレン、ポリカボナート、ポリ ステル、ポリスチレン、ポリメタクリレー 、ポリ塩化ビニール、ポリエチレンアルコ ル、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタ 、エポキシ樹脂、セルロースなどの各種ポ マーの加工品を用いることができる。各種 リマーの使用においては、必要に応じ、表 をプラズマまたはオゾン処理したものであ ても、硫酸またはアルカリ等で処理したも であっても良い。

 固体基材(X)の形状については、特に限定 れるものではなく、平面状若しくは曲面状 、またはフィルムでも良い。特に、複雑形 加工品の管状チューブ、管状チューブのら ん体、マイクロチューブ;また、任意形状の (例えば、球形、四角形、三角形、円柱形等) 器;また、任意形状の(例えば、円柱形、四 形、三角形等)棒または繊維状態の固体基材 も好適に用いることができる。

[ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマ (A)]
 本発明において、固体基材(X)上に形成する リマー層には、ポリエチレンイミン骨格(a) 有するポリマー(A)を用いることを必須とす 。該ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポ マー(A)としては、線状、星状、櫛状構造の 独重合体であっても、他の繰り返し単位を する共重合体であっても良い。共重合体の 合には、該ポリマー(A)中のポリエチレンイ ン骨格(a)のモル比が20%以上であることが、 定なポリマー層を形成できる点から好まし 、該ポリエチレンイミン骨格(a)の繰り返し 位数が10以上である、ブロック共重合体で ることがより好ましい。このときその他の り返し単位を有するブロックとしては、例 ば、ポリエチレングリコール、ポリプロピ ニルエチレンイミン、ポリアクリルアミド ポリスチレン、ポリフェニルオキサゾリン ポリオクチルオキサゾリン、ポリドデシル キサゾリン、ポリメチルメタクリレート、 リブチルメタクリレート等からなるブロッ が挙げられる。

 前記ポリエチレンイミン骨格(a)としては 分岐状または直鎖状のいずれでも良いが、 晶性会合体の形成能が高い直鎖状ポリエチ ンイミン骨格であることがより好ましい。 た単独重合体であっても共重合体であって 、ポリエチレンイミン骨格部分に相当する 子量が500~1,000,000の範囲であると、安定なポ リマー層を基材(X)上に形成することができる 点から好ましい。これらポリエチレンイミン 骨格(a)を有するポリマー(A)は市販品または本 発明者らがすでに開示した合成法(前記特許 献1~4参照。)により得ることができる。

 後述するように、前記ポリマー(A)は様々 溶液に溶解して用いることができるが、こ 時、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポ マー(A)以外に、該ポリマー(A)と相溶するそ 他のポリマーと混合して用いることができ 。その他のポリマーとしては、例えば、ポ エチレングリコール、ポリビニルアルコー 、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルア ド、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、 ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメ チルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン 、ポリプロピレンイミンなどを挙げることが できる。これらのその他のポリマーを用いる ことにより、得られる構造物中の表面にある ナノ構造複合体層の厚み等を容易に調整する ことが可能となる。

[金属酸化物(B)]
 本発明で得られる構造物の基材表面は、ポ マーと金属酸化物とからなるナノ構造複合 であることが大きな特徴である。金属酸化 としては、いわゆるゾルゲル反応によって 成されるものであれば特に限定されるもの はなく、金属種として、ケイ素、チタン、 ルコニウム、アルミニウム等が挙げられ、 業的な原料の入手容易性の観点と、得られ 構造物の応用分野が広い点から、ケイ素又 チタンあることが好ましい。

 金属酸化物(B)がシリカの場合、シリカソ スとしては、例えば、アルコキシシラン類 水ガラス、ヘキサフルオロシリコンアンモ ウム等を用いることができる。

 アルコキシシラン類としては、テトラメ キシシラン、メトキシシラン縮合体のオリ マー、テトラエトキシシラン、エトキシシ ン縮合体のオリゴマーを好適に用いること できる。さらに、アルキル置換アルコキシ ラン類の、メチルトリメトキシシラン、メ ルトリエトキシシラン、エチルトリメトキ シラン、エチルトリエトキシシラン、n-プ ピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエ トキシシラン、iso-プロピルトリメトキシシ ン、iso-プロピルトリエトキシシラン等、更 、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3- クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニル トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ ラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシ ラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキ シラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラ ン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3 -メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3- メルカプトトリエトキシシラン、3,3,3-トリフ ルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3-ト リフルオロプロピルトリエトキシシラン、3- タクリルオキシプロピルトリメトキシシラ 、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキ シラン、フェニルトリメトキシシラン、フ ニルトリエトキシシラン、p-クロロメチルフ ェニルトリメトキシシラン、p-クロロメチル ェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメ キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、 エチルジメトキシシラン、ジエチルジエト シシラン等を、単一で、又は混合して用い ことができる。

 金属酸化物(B)がチタニアの場合、チタン ースとしては、水中で安定な水溶性チタン 合物を好ましく用いることができる。

 水溶性チタン化合物として、例えば、チ ニウムビス(アンモニウムラクテート)ジヒ ロキシド水溶液、チタニウムビス(ラクテー )の水溶液、チタニウムビス(ラクテート)の ロパノール/水混合液、チタニウム(エチル セトアセテート)ジイソプロポオキシド、硫 チタンなどが挙げられる。

 金属酸化物(B)がジルコニアである場合に 、例えば、ジルコニウムテトラエトキシド ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジル ニウムテトラ-iso-プロポキシド、ジルコニ ムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムテト -sec-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-tert-ブ トキシドなどのジルコニウムテトラアルコキ シド類をソースとして用いることができる。

 更に、金属酸化物(B)がアルミナである場 には、アルミニウムトリエトキシド、アル ニウムトリ-n-プロポキシド、アルミニウム リ-iso-プロポキシド、アルミニウムトリ-n- トキシド、アルミニウムトリ-sec-ブトキシド 、アルミニウムトリ-tert-ブトキシドなどのア ルミニウムトリアルコキシド類が挙げられる 。

 また、金属酸化物(B)が酸化亜鉛の場合に 、そのソースとして、酢酸亜鉛、塩化亜鉛 硝酸亜鉛、硫酸亜鉛類を用いることができ 酸化タングステンの場合は、その原料とし 、塩化タングステン、アンモニウムタング テム酸などを好適に用いることができる。

 これらの金属酸化物(B)のソース液(B’)と る化合物は、単独もしくは二種以上組み合 せて同時に用いることができるし、先に一 類その次に他種類を段階的に用いることも きる。また、これらの化合物の単独部分縮 物あるいは共部分縮合物を本発明に用いる ともできる。

[金属イオン(C)]
 本発明の構造体における基材表面は、前述 ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリマ (A)と金属酸化物(B)とからなるナノ構造複合 (Y)で被覆されている。このナノ構造複合体( Y)中にはポリエチレンイミン骨格の作用によ 、金属イオン(C)を安定に取り込むことがで 、従って、金属イオン(C)を含むナノ構造複 体被覆型構造物を得ることができる。

 前記ポリマー(A)中のポリエチレンイミン 格(a)は金属イオン(C)に対して強い配位能力 有するため、金属イオン(C)は該骨格中のエ レンイミン単位と配位結合して金属イオン 体を形成する。該金属イオン錯体は金属イ ン(C)がエチレンイミン単位に配位されるこ により得られるものであり、イオン結合等 過程と異なり、該金属イオン(C)がカチオン も、またはアニオンでも、エチレンイミン 位への配位により錯体を形成することがで る。従って、金属イオン(C)の金属種は、ポ マー(A)中のエチレンイミン単位と配位結合 きるものであれば制限されず、アルカリ金 、アルカリ土類金属、遷移金属、半金属、 ンタン系金属、ポリオキソメタレート類の 属化合物等のいずれでも良く、単独種であ ても複数種が混合されていても良い。

 上記アルカリ金属としては、Li,Na,K,Cs等が挙 げられ、該アルカリ金属のイオンの対アニオ ンとしては、Cl,Br,I,NO 3 ,SO 4 ,PO 4 ,ClO 4 ,PF 6 ,BF 4 ,F 3 CSO 3 などが挙げられる。

 アルカリ土類金属としては、Mg,Ba,Ca等が げられる。

 遷移金属系の金属イオンとしては、それが 移金属カチオン(M n+ )であっても、または遷移金属が酸素との結 からなる酸根アニオン(MO x n- )、またはハロゲン類結合からなるアニオン(M L x n- )であっても、好適に用いることができる。 お、本明細書において遷移金属とは、周期 第3族のSc,Y、及び、第4~12族で第4~6周期にあ 遷移金属元素を指す。

 遷移金属カチオンとしては、各種の遷移金 のカチオン(M n+ )、例えば、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Mo,Ru,Rh,Pd,A g,Cd,W,Os,Ir,Pt,Au,Hgの一価、二価、三価または四 価のカチオンなどが挙げられる。これら金属 カチオンの対アニオンは、Cl,NO 3 ,SO 4 、またはポリオキソメタレート類アニオン、 あるいはカルボン酸類の有機アニオンのいず れであってもよい。ただし、Ag,Au,Ptなど、エ レンイミン骨格により還元されやすいもの 、pHを酸性条件にする等、還元反応を抑制 てイオン錯体を調製することが好ましい。

 また遷移金属アニオンとしては、各種の遷 金属アニオン(MO x n- )、例えば、MnO 4 ,MoO 4 ,ReO 4 ,WO 3 ,RuO 4 ,CoO 4 ,CrO 4 ,VO 3 ,NiO 4 ,UO 2 のアニオン等が挙げられる。

 本発明における金属イオン(C)としては、 記遷移金属アニオンが、ポリマー(A)中のエ レンイミン単位に配位した金属カチオンを してシリカ(B)中に固定された、ポリオキソ タレート類の金属化合物の形態であっても い。該ポリオキソメタレート類の具体例と ては、遷移金属カチオンと組み合わせられ モリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナ ン酸塩類等をあげることができる。

 さらに、各種の金属が含まれたアニオン(ML x n- )、例えば、AuCl 4 ,PtCl 6 ,RhCl 4 ,ReF 6 ,NiF 6 ,CuF 6 ,RuCl 6 ,In 2 Cl 6 等、金属がハロゲンに配位されたアニオンも イオン錯体形成に好適に用いることができる 。

 また、半金属系イオンとしては、Al,Ga,In,T l,Ge,Sn,Pb,Sb,Biのイオンが挙げられ、なかでもAl ,Ga,In,Sn,Pb,Tlのイオンが好ましい。

 ランタン系金属イオンとしては、例えば La,Eu,Gd,Yb,Euなどの3価のカチオンが挙げられ 。

[金属ナノ粒子(D)]
 上記した通り、本発明では金属イオン(C)を 造体中のナノ構造複合体(Y)中に取り込むこ ができる。従って、これらの金属イオン(C) なかでも、還元反応により還元されやすい 属イオンは、金属ナノ粒子(D)に変換させる とで、該複合体(Y)中に金属ナノ粒子(D)を含 させることができる。

 金属ナノ粒子(D)の金属種としては、例え 、銅、銀、金、白金、パラジウム、マンガ 、ニッケル、ロジウム、コバルト、ルテニ ム、レニウム、モリブデン、鉄等が挙げら 、複合体(Y)中の金属ナノ粒子(D)は一種であ ても、二種以上であってもよい。これら金 種の中でも、特に、銀、金、白金は、その 属イオンがエチレンイミン単位に配位され 後、室温または加熱状態で自発的に還元さ るため特に好ましい。

 複合体(Y)中の金属ナノ粒子(D)の大きさは 1~20nmの範囲に制御できる。この大きさは、 えば、本発明の構造物の一部を取り出し、 の表面にあるナノ構造複合体(Y)の部分を透 型電子顕微鏡写真によって観測することが きる金属ナノ粒子(D)の粒径から求めること できる。また、金属ナノ粒子(D)は、ポリマ (A)とシリカ(B)とのナノ構造複合体(Y)の内部 または外表面に固定することができる。

 [有機色素分子(E)]
 本発明において、構造物を被覆するナノ構 複合体(Y)中のポリエチレンイミン骨格(a)は ミノ基、ヒドロキシ基、カルボン酸基、ス ホン酸基、リン酸基を有する化合物と、水 結合及び/又は静電気引力により、物理的な 結合構造を構成することができる。従って、 これらの官能基を有する有機色素分子(E)を該 複合体(Y)中に含有させることが可能である。

 前記有機色素分子(E)としては、単官能酸 化合物、または二官能以上の多官能酸性化 物を好適に用いることができる。

 具体的には、例えば、テトラフェニルポ フィリンテトラカルボン酸、ピレンジカル ン酸などの芳香族酸類、ナフタレンジスル ン酸、ピレンジスルホン酸、ピレンテトラ ルホン酸、アンスラキノンジスルホン酸、 トラフェニルポルフィリンテトラスルホン 、フタロシアニンテトラスルホン酸、ピペ (PIPES)などの芳香族または脂肪族のスルホン 酸類、acid yellow,acid blue,acid red,direct blue,dire ct yellow,direct red系列のアゾ系染料等を挙げ ことができる。また、キサンテン骨格を有 る色素、例えば、ローダミン、エリスロシ 、エオシン系列の色素を用いることができ 。

[ポリマー(A)と金属酸化物(B)とを含有するナ 構造複合体(Y)]
 ポリマー(A)と金属酸化物(B)とを含有するナ 構造複合体(Y)は、基本的にはポリマー(A)と 属酸化物(B)との複合ナノファイバー(y1)、複 合ナノ粒子(y2)、複合ナノフィルム(y3)の集合 であり、その集合体が基材表面全体を覆っ 状態を構成しながら、様々なパターンまた モルフォロジーを形成する。例えば、金属 化物(B)がシリカの場合には、複合ナノファ ー(y1)が固体基材上の全面に該ファイバーの 長軸が略垂直方向を向いて生えているような 芝状(ナノ芝)またはファイバーの長軸が比較 長く、そのため若干垂直方向よりも倒れる 向を有する田んぼ状(ナノ田んぼ)、複合ナ ファイバー(y1)が基材上全面で横倒れている うな畳状(ナノ畳)が構成され、金属酸化物(B )がシリカ又はチタニアの場合には、複合ナ ファイバー(y1)又は複合ナノ粒子(y2)が基材上 の全面でネットワークを形成しているスポン ジ状(ナノスポンジ)などが構成され、金属酸 物がチタニアの場合には、複合ナノフィル (y3)が固体基材表面に沿って、ナノ薄膜を形 成すると同時に、フィルムがそのナノ薄膜上 の全面で、囲み型塀が立ち並ぶ状態で迷路を 形成している(ナノ迷路)など、多様多種の階 構造を構成することができる。

 上記ナノ芝状またはナノ田んぼ状、ナノ 状、ナノスポンジ状等の高次構造における 基本ユニットの複合ナノファイバー(y1)の太 さは10~100nmの範囲である。ナノ芝状、ナノ田 ぼ状における複合ナノファイバー(y1)の長さ (長軸方向)は50nm~10μm範囲に制御することがで きる。

 また、固体基材上でネットワークを形成 る場合、即ち、被覆層全体にわたって三次 の網目構造を構築している場合には、基本 造が前記複合ナノファイバー(y1)のみからな るものであっても、複合ナノ粒子(y2)のみか なるものであっても、あるいは両者が組み わさって形成されていても良い。この時、 合ナノ粒子(y2)の平均粒子径としては20nm以下 に制御することが好ましい。

 上記ナノ迷路状高次構造における、基本 ニットの複合ナノフィルム(y3)の厚みは30~500 nmの範囲である。ナノ迷路形成の囲み型塀の さは100~2000nm範囲に制御できる。また、囲み 型塀と塀の間隔は200nm~5μm範囲に制御できる

 固体基材上を被覆する際の基板からの厚 は、複合ナノファイバー(y1)、複合ナノ粒子 (y2)、複合ナノフィルム(y3)の集合体構造とも 連するが、概ね50nm~20μm範囲で変化させるこ とができる。ナノ芝状では、複合ナノファイ バー(y1)が真っすぐ立ち伸びる傾向が強く、 ァイバーの長さが基本的に厚みを構成し、 本一本のファイバーの長さはかなり揃った 態であることが特徴である。ナノ田んぼ状 は、複合ナノファイバー(y1)が斜めに伸びる 向が強く、被覆層の厚みはファイバーの長 よりは小さい。また、ナノ田んぼ状の層の さは、複合ナノファイバー(y1)の横倒れの重 なり状態で決定されることが特徴である。ナ ノスポンジ状の層の厚さは複合ナノファイバ ー(y1)が規則性を有する複雑な絡みで盛り上 る度合いにより決まることが特徴である。 ットワークを形成している場合には、その なり状態、複合ナノファイバー(y1)と複合ナ 粒子(y1)との存在割合等によって厚みが決定 される。

 ナノ構造複合体(Y)中、ポリマー(A)の成分 5~30質量%で調整可能である。ポリマー(A)成 の含有量を変えることで、集合体構造(高次 造)を変えることもできる。

 また、該ナノ構造複合体(Y)中に金属イオ (C)、金属ナノ粒子(D)又は有機色素分子(E)を 有させる場合には、その種類によって高次 造を制御することも可能である。この場合 おいても、基本ユニットは前記したような 合ナノファイバー(y1)、複合ナノ粒子(y2)、 合ナノフィルム(y3)であり、これらが、組み わさって複雑形状を形成する。

 金属イオン(C)を取り込む際の該金属イオ (C)取り込み量としては、ポリマー(A)中のエ レンイミン単位1当量に対し、1/4~1/200当量の 範囲で調製することが好ましく、この比率を 変えることによって、被覆層の厚みを変化さ せることができる。また、この時の被覆層は 金属種に応じた発色をすることもある。

 金属ナノ粒子(D)を取り込む際の該金属ナ 粒子(D)取り込み量としては、ポリマー(A)中 エチレンイミン単位1当量に対し、1/4~1/200当 量の範囲で調製することが好ましく、この比 率を変えることによって、被覆層の厚みを変 化させることができる。また、この時の被覆 層は金属種に応じた発色をすることもある。

 有機色素分子(E)を取り込む際の該有機色 分子(E)取り込み量としては、ポリマー(A)中 エチレンイミン単位1当量に対し、1/2~1/1200 量の範囲で調製することが好ましく、この 率を変化させることにより、被覆層の厚み 形状パターンを変えることもできる。

 また、ナノ構造複合体(Y)には、金属イオ (C)、金属ナノ粒子(D)及び有機色素分子(E)の2 種以上を同時に取り込ませることもできる。

[ナノ構造複合体被覆型構造物の製造方法]
 本発明の構造物の製造方法は、ポリエチレ イミン骨格(a)を有するポリマー(A)の溶液、 リエチレンイミン骨格(a)を有するポリマー( A)と金属イオン(C)との混合溶液、ポリエチレ イミン骨格(a)を有するポリマー(A)と有機色 分子(E)との混合溶液、またはポリエチレン ミン骨格(a)を有するポリマー(A)と金属イオ (C)と有機色素分子(E)との混合溶液を固体基 (X)の表面に接触させた後、該基材(X)を取り し、基材(X)の表面にポリエチレンイミン骨 (a)を有するポリマー(A)と、併用された金属 オン(C)及び/又は有機色素分子(E)とからなる ポリマー層が吸着した基材を得る工程と、前 記ポリマー層が吸着した基材と金属酸化物の ソース液(B’)とを接触させて、基材表面に吸 着したポリマー層中のポリエチレンイミン骨 格(a)が有する触媒機能により、金属酸化物(B) がその上に析出して、ナノ構造複合体(Y)を形 成すると共に基材を被覆する工程、とを有す る製造方法である。この手法により固体基材 (X)の表面にポリマー(A)と金属酸化物(B)とから なるナノ界面、ポリマー(A)/金属イオン(C)/金 酸化物(B)からなるナノ界面、ポリマー(A)/有 機色素分子(E)/金属酸化物(B)からなるナノ界 の被覆層を容易に形成することができる。

 前記ポリエチレンイミン骨格(a)を有する リマー(A)は前述のポリマーを使用できる。 た、該ポリマー(A)の溶液を得る際に使用可 な溶媒としては、該ポリマー(A)が溶解する のであれば特に制限されず、例えば、水、 タノールやエタノールなどの有機溶剤、あ いはこれらの混合溶媒などを適宜使用でき 。

 溶液中における該ポリマー(A)の濃度とし は、固体基材(X)上にポリマー層を形成でき 濃度であれば良いが、所望のパターン形成 、基材表面へ吸着するポリマー密度を高く る場合には、0.5質量%~50質量%の範囲である とが好ましく、5質量%~50質量%の範囲である より好ましい。

 ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリ ー(A)の溶液中には、該溶剤に可溶でポリマ (A)と相溶可能な前述のその他のポリマーを 合することもできる。その他のポリマーの 合量としては、ポリエチレンイミン骨格(a) 有するポリマー(A)の濃度より高くても低く も良い。

 金属イオン(C)を含有するナノ構造複合体( Y)からなる被覆層を形成させる場合には、ポ エチレンイミン骨格(a)を有するポリマー(A) 溶液中に、当該金属イオン(C)を混合する。 金属イオン(C)の濃度はポリエチレンイミン 格(a)中のエチレンイミン単位の1/4当量以下 調整することが好ましい。

 また、有機色素分子(E)を含有するナノ構 複合体(Y)からなる被覆層を形成させる場合 は、ポリエチレンイミン骨格(a)を有するポ マー(A)の溶液中に当該有機色素分子(E)を混 する。該有機色素分子(E)の濃度はポリエチ ンイミン骨格(a)中のエチレンイミン単位の1 /2当量以下で調整することが好ましい。

 また、固体基材(X)上にポリマー層を作製 るには、固体基材(X)をポリマー(A)の溶液と 触させる。接触法としては、所望の固体基 (X)をポリマー(A)の溶液に浸漬することが好 である。

 浸漬法では、基材状態により、基材(非容 器状)を溶液中に入れる、または溶液を基材( 器状)中に入れる方式で、基材と溶液を接触 させることができる。浸漬の際、ポリマー(A) の溶液の温度は加熱状態であることが好まし く、概ね50~90℃の温度であれば好適である。 体基材(X)をポリマー(A)の溶液と接触させる 間は特に制限されず、基材(X)の材質に合わ て、数秒から1時間で選択することが好まし い。基材の材質がポリエチレンイミンと強い 結合能力を有する場合、例えば、ガラス、金 属などでは数秒~数分でよく、基材の材質が リエチレンイミンと結合能力が弱い場合は 十分から1時間でも良い。

 固体基材(X)とポリマー(A)の溶液を接触し 後、該基材をポリマー(A)の溶液から取り出 、室温(25℃前後)に放置すると、自発的にポ リマー(A)の集合体層が該基材(X)の表面に形成 される。あるいは、該基材(X)をポリマー(A)の 溶液から取り出してから、ただちに4~30℃の 留水中、または室温~氷点下温度のアンモニ 水溶液中に入れることにより、自発的なポ マー(A)の集合体層を形成させても良い。

 固体基材(X)の表面とポリマー(A)の溶液と 接触方法では、例えば、スピンコータ、バ コータ、アプリケータなどによる塗布の他 ジェットプリンタによるプリントや印刷な の方法も使用できる。特に、微細なパター 状に接触させる場合には、ジェットプリン よる方法が好適である。

 引き続き、前記で得られた固体基材(X)上 形成したポリマー層と金属酸化物の「ソー 液(B’)とを接触させ、ポリマー層表面に金 酸化物(B)を析出させて、ポリマー(A)と金属 化物(B)とのナノ構造複合体(Y)を形成させる ポリマー層に金属イオン(C)及び/又は有機色 素分子(E)が含まれる場合でも、同様な方法で 金属酸化物(B)を析出させ、目的のナノ構造複 合体(Y)を形成させることができる。

 この時用いる、金属酸化物のソース液(B )としては、前述した各種の金属酸化物のソ スとなる化合物の水溶液や、アルコール類 剤、例えば、メタノール、エタノール、プ パノールなどの水性有機溶剤溶液、または れらと水との混合溶剤溶液を用いることが きる。また、pH値が9~11の範囲に調整した水 ラス水溶液も用いることができる。用いる 属酸化物のソース液(B’)には、金属種が異 るものを2種以上混合しても良く、又、異な る金属種を有するソース液(B’)を段階的に反 応に供しても良い。

 また、シリカソースとしてのアルコキシ ラン類化合物は、無溶剤のバルク液のまま も使用可能である。

 ポリマー層が吸着した固体基材を金属酸 物のソース液(B’)と接触させる方法として 、浸漬法を好ましく用いることができる。 漬する時間は5~60分であれば十分であるが、 必要に応じ時間を更に長くすることもできる 。金属酸化物のソース液(B’)の温度は室温で もよく、加熱状態でも良い。加熱の場合、金 属酸化物(B)を固体基材(X)の表面にて規則的に 析出させるため、温度を70℃以下に設定する とが望ましい。

 ソース液(B’)の種類、濃度などの選定に り、析出される金属酸化物(B)とポリマー(A) のナノ構造複合体(Y)の構造を調整すること でき、目的に応じて、ソース液(B’)の種類 濃度を適宜に選定することが好ましい。

 ポリエチレンイミンは貴金属イオン、例 ば、金、白金、銀などを金属ナノ粒子に還 することができる。従って、上記工程で得 れた、ナノ構造複合体(Y)によって被覆され 構造物を、当該貴金属イオンの水溶液と接 させる工程を経ることにより、該貴金属イ ンをナノ構造複合体(Y)中で金属ナノ粒子(D) 変換させることができ、金属ナノ粒子(D)を するナノ構造複合体被覆型構造物を得るこ ができる。

 前記工程において貴金属イオンの水溶液 接触させる方法は浸漬法を好ましく用いる とができる。貴金属イオンの水溶液として 、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、塩化白 酸、塩化白金酸ナトリウム、硝酸銀等の水 液を好適に用いることができ、貴金属イオ の水溶液濃度としては0.1~5モル%であること 好ましい。

 貴金属イオンの水溶液の温度は特に限定 れず、室温~90℃の範囲であれば良いが、還 反応を促進するためであれば、50~90℃の加 された水溶液を用いることが好ましい。ま 、構造物を金属イオンの水溶液中に浸漬す 時間は0.5~3時間であればよく、加熱された水 溶液に浸漬する場合は30分程度で十分である

 ポリエチレンイミン単独では還元されに い金属イオンの場合には、前記で得られた 属イオン(C)を有する構造物中の当該金属イ ン(C)を、還元剤、特に低分子量の還元剤溶 または水素ガスと接触させる工程を併用し 、該金属イオン(C)を還元することにより、 該金属ナノ粒子(D)を含有するナノ構造複合 被覆型構造物を得ることができる。

 この時使用できる還元剤としては、例え 、アスコルビン酸、アルデヒド、ヒドラジ 、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素アン ニウム、水素などが例として挙げられる。 元剤を用いて金属イオンを還元する際には その反応は水性媒体中で行うことができ、 属イオン(C)が含まれた構造物を還元剤溶液 に浸漬する方法、または水素ガス雰囲気中 置させる方法を用いることができる。この 、還元剤水溶液の温度は室温~90℃以下の範 であればよく、また還元剤の濃度としては1 ~5モル%であることが好ましい。

 還元反応を行う工程に適応できる金属イ ン(C)の金属種としては、特に限定されない 、還元反応が速やかに進行する点から、銅 マンガン、クロム、ニッケル、錫、バナジ ム、パラジウムであることが好ましい。

 被覆型構造物を還元剤水溶液に浸漬する 、還元剤水溶液温度は室温または90℃以下 加熱状態でも好適であり、還元剤の濃度は1~ 5%程度で十分である。

 前述の方法で得られた様々な構造物は、 温(25℃)~60℃程度に放置することにより、溶 剤や水を除去して、前記した様々な用途に用 いることができる。

 又、金属イオン(C)や有機色素分子(E)は、 れらを含まない構造物を得てから、再び金 イオン(C)や有機色素分子(E)を含む水性溶液 接触させることによって、当該構造物中に 属イオン(C)、有機色素分子(E)を取り込むこ もできる。

 以下、前記で得られる構造物の代表的な 用方法として、固体基材として容器又は管 用いることによって得られる、炭素-炭素結 合形成反応用の触媒固定型リアクターとして の応用について記載する。

〔ガラス容器または管を触媒固定型リアクタ ーとする炭素-炭素結合形成反応〕
 前記炭素-炭素結合形成反応とは、不飽和結 合を有する化合物(x1)と活性メチレン又は活 メチンを有する化合物(x2)とが関わる反応を う。例えば、アルデヒド、ケトン等の不飽 の炭素原子を含む化合物、またはアルデヒ 、ケトン、エステル、アミド基にC=C結合が 役された構造を含む化合物へ、強い電子吸 基にメチレンまたはメチンが結合している 性メチレン又は活性メチンを有する化合物 反応することで炭素-炭素結合が形成される 反応であり、クネーフェナーゲル(Knoevenagel) 応やマイケル(Michael)反応として知られてい 。

 前記アルデヒド類としては、脂肪族、芳 族に限らず、化合物中にアルデヒド基が含 れていれば用いることができる。前記ケト 類としても、脂肪族、芳香族に限らず、化 物中にケトン基が含まれていれば用いるこ ができる。

 活性メチレン又は活性メチンを有する化合 (x2)としては、そのメチレン又はメチンに強 い電子吸引基が結合されることが要求される が、例えば、-CN,-NO 2 ,-COOH,-CO(O)CH 3 ,-CO(O)C 2 H 5 ,-C(O)NH 2 ,-C(O)NHCH 3 ,-C(O)N(CH 3 ) 2 、-S(O 2 )OPh等の官能基が単独または二つが組み合わ られてメチレン炭素に結合された化合物で ると好ましく用いることができる。

 以下、上記アルデヒド類、ケトン類化合 等の不飽和結合を有する化合物(x1)を電子の アクセプターとして定義し、一方、活性メチ レン又は活性メチンを有する化合物(x2)を電 のドナーとして定義する。

 アクセプターとしての化合物は、例えば アルデヒドまたはケトンに、置換または未 換の脂肪族、環状脂肪族、ヘテロ脂肪族、 トロ環状脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族基 結合されたものである。詳しくは、脂肪族 としては、例えば、メチル、エチル、i-プ ピル、n-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブ チル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オク チル、ノニル、デシル等のアルキル基を挙げ ることができる。また、プロペニル、イソプ ロペニル、イソブテニル、2-ブテニル、3-ブ ニル、n-2-ペンテニル、n-2-オクテニル等のア ルケニル基であっても良い。置換基を有する 脂肪族基としては、例えば、ヒドロキシメチ ル、ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシ-n-プロ ル、1-ヒドロキシ-i-プロピル、1-ヒドロキシ -n-プロピル、1-ヒドロキシ-n-ブチル、1-ヒド キシ-i-ブチル、2-ヒドロキシ-n-ブチル等の各 種異性体のヒドロキシアルキル基を挙げるこ とができる。更に、置換された脂肪族基とし て、ハロゲン基を有する脂肪族基、例えば、 フッ化メチル、2-フッ化エチル、クロロメチ 、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、ジフ ルオロメチル、トリフルオロメチル、ジクロ ロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリクロ ロエチル、及びクロロ、フルオロ、ブロモに 置換されたi-プロピル、n-プロピル、n-ブチル 、i-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等の ルキル基を挙げることができる。環状の脂 族基としては、例えば、シクロブチル、シ ロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプ ル、シクロオクチル等を挙げることができ 。ヘテロ脂肪族基としては、脂肪族基に一 または一個以上のヘテロ原子、例えば、O,S,N ,Pなどが含まれたものを挙げることができる ヘテロシクロ脂肪族基としては、ヘテロ環 基に炭素原子数が4または5であり、その環 構造に一つまたは二つのヘテロ原子、例え 、O,S,Nなどが含まれた、例えば、オキシラン 、アジリン、1,2-オキサチオラン、ピラゾリ 、ピロリドン、ピパリジン、モルフォリン テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフ ン等を挙げることができる。

 芳香族基の場合、炭素原子が6ないし10で る、例えば、フェニル、ペンタリン、イン ン、ナフタレン、アンスラセンなどを挙げ ことができる。ヘテロ芳香族の場合は、炭 原子が4または5であり、その環状構造に、O, S,N等のヘテロ原子の一つが含まれた、例えば 、ピロール、フラン、チオフェン、オキサゾ ール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、イ ンドール、プリン、キノリン等を挙げること ができる。

 また、ドナーとしての化合物としては、下 構造式(1)、
YCH 2 Y  (1)
〔式中、Yは、CN,COOR,COOH,NO 2 ,CONH 2 ,CONHR,COR,又は-SO 2 R(但し、RはC 1 ~C 12 のアルキル基、フェニル基、またはナフチル 基である。)〕
下記構造式(2)、
XCH 2 Y  (2)
〔式中、Yは前記と同様であり、XはC 1 ~C 6 のアルキル基、または置換基を有していても 良いフェニル基、ナフチル基であり、前記置 換基は、Cl,Br,F,OH,CN,COOR’,COOH,CONH 2 ,NO 2 ,OCH 3 ,OC 2 H 5 ,SO 2 R’,PO 3 R’(R’はC 1 ~C 6 のアルキル基)である。〕
下記構造式(3)、
YCHZY  (3)
〔式中、Yは前記と同様であり、ZはC 1 ~C 6 のアルキル基、フェニル、又はナフチル基で ある。〕
又は、下記構造式(4)
XCHZY
〔式中、X、Y、Zは前記と同様である。〕
で表される化合物を挙げることができる。

 これらのアクセプターとドナーとの反応 、本発明での複合体を触媒とする反応であ が、その際、反応温度、反応溶剤、触媒使 量などが反応効率に影響を与える。

 ドナーが活性メチレン化合物の場合、そ メチレンに二つの電子吸引基(例えば、二つ のCN基)が結合するとそれの反応活性は高くな る。従って、この様なドナーにアクセプター が反応する際は、反応温度は常温または30℃ 範囲で反応を進行させることができる。ド ーの反応活性が比較的に弱い場合は、温度 少々高めることが望ましく、例えば、50~150 に設定することができる。

 本発明の構造物からなる触媒は、無溶剤 たは溶剤存在下で用いることができる。特 原料として用いる化合物が液体の場合には 溶剤を用いなくても触媒活性を十分発揮さ ることができる。

 特に、原料化合物が結晶性を有する場合 又は生成物が結晶性を有する場合には、本 明の構造物からなる触媒を用いて反応を行 場合に極性溶剤中で行うことが好ましい。 記極性溶剤としては、ナノ構造複合体(Y)に まれたポリエチレンイミ骨格(a)を有するポ マー(A)との溶媒和が起こりやすい溶剤類で ることが好ましく、特にメタノール、エタ ール、プロパノール、エチレンジアルコー などアルコール系溶剤を好ましく使用する とができる。また、これらのアルコール系 剤に、その他の溶剤を混合して用いること できる。その他の溶剤類としては、例えば アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、 セトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメ ルスルフォンオキシドなどの極性溶剤を挙 ることができる。

 本発明での触媒固定型リアクターの内壁 合界面には、内部に分子触媒として機能す ポリエチレンイミン骨格のポリマーが含ま るので、その触媒活性が高く、使用量はか り少なくても反応を進行させることができ 。一般に、アルデヒドまたはケトンなどが わる炭素-炭素結合反応に用いるアクセプタ ーとドナーのモル比では、ドナーを大過剰用 いながら、触媒量もアクセプターの5/100~10/100 当量を用いることがよくあるが、本発明での 固体触媒を用いる場合、アクセプターとドナ ーをそれぞれ1当量にし、触媒量(ポリエチレ イミン中のエチレンイミン単位相当)は1/1000 ~1/100等量範囲にして用いることができる。

 触媒固定型リアクターとして用いる反応 は、反応終了後反応液を取り出した後引き き次の反応物を仕込み、次々と繰り返し反 を行なうことができる。

 触媒固定型リアクターの繰り返し使用で 、反応終了後反応液を取り出し、その後溶 でリアクター内部を洗浄後、乾燥工程を経 、または乾燥工程を経ずに、次の反応に用 ることもできる。

 本発明の構造物を触媒固定型リアクター して用い、炭素-炭素結合反応を効率よく行 うことができるが、このリアクターの内壁界 面には高い比表面積を有する「ナノ芝」等の 複合体が構成され、それを形成する一つ一つ の複合ナノファイバー、複合ナノ粒子、複合 ナノフィルムには、触媒として働くポリエチ レンイミンが閉じ込まれた様な構造を有して いる。従って、この触媒は、反応溶液中では 、実は分子触媒として機能することができる ので、従来のアミン残基を固体粉末表面に結 合した担持型触媒とは大きく異なり、炭素- 素結合反応以外にも、ポリエチレンイミン 触媒として関わる他の有機反応の触媒とし 用いることもできると考えられる。

 又、本発明の構造物中に取り込むことが きる前述の金属イオン(C)や金属ナノ粒子(D) 、化学反応時の触媒機能を有するものもあ ことから、本発明の構造物を用いて様々な 学反応を行う際、該反応制御を行なう等の 的に応じて選択して用いることが好ましい 又、有機色素分子(E)を取り込んだ構造物を アクターとして用いる場合には、発色性・ 光性を示す化合物の性質を利用して、リア ターの寿命の判断、化学反応の進行度合い 検出等の応用に好適である。

〔ナノ構造複合体被覆型構造物の焼成〕
 前述で得られた本発明のナノ構造複合体被 型構造物は、これを焼成することにより、 体基材(X)を被覆しているナノ構造複合体(Y) のポリエチレンイミン骨格(a)を有するポリ ー(A)を除去することができる。このとき、 ナノ構造複合体(Y)を形成している金属酸化 (B)の形状は保持されているため、焼成によ て得られる構造物は、金属酸化物(B)を主構 成分とする前述の形状を有するナノ構造体 被覆された構造物となる。このとき金属酸 物(B)としては単独の金属種からなるもので っても、2種以上の金属種からなるものであ ってもよい。即ち、焼成を行なう前のナノ構 造複合体被覆型構造物に含まれる金属酸化物 と同じものからなり、形状も保持された焼成 物が得られることになる。

 焼成する場合には、耐熱性を有する固体 材(X)を用いたナノ構造複合体被覆型構造物 あることが必須であり、具体的にはガラス 金属酸化物、金属など耐熱性無機材質から 択することになる。焼成温度は300~700℃に設 定することができるが、金属種としてケイ素 を含有する場合には650℃以下、好ましくは600 ℃以下で焼成することが、焼成前のナノ構造 複合体の形状を維持しやすい。

 加熱焼成時間としては1~7時間の範囲であ ことが望ましいが、温度が高い時は短時間 成でよく、温度が低い時は、時間を長くす こと等、適宜調整することが好ましい。又 有機化合物であるポリエチレンイミン骨格( a)を有するポリマー(A)を除去しやすいことか 、酸素雰囲気下で焼成を行うことが好まし 。

 この様な、金属酸化物(B)を主構成成分と るナノ構造体で被覆された、任意形状の構 物は、焼成工程を経ていることから特に耐 性(形状保持性)に優れている。又その比表 積が格段に大きいことから、金属酸化物が 来有する機能、例えば、光触媒機能等を効 的に発現させることが可能である。

 以下、実施例により本発明をさらに詳し 説明する。なお、特に断わりがない限り、 %」は「質量%」を表わす。

[走査電子顕微鏡によるナノ構造体の形状分 ]
 単離乾燥したナノ構造体を両面テープにて ンプル支持台に固定し、それをキーエンス 表面観察装置VE-9800にて観察した。

 合成例1
<直鎖状のポリエチレンイミン(L-PEI)の合成& gt;
 市販のポリエチルオキサゾリン(数平均分子 量50,000,平均重合度5,000,Aldrich社製)3gを、5モル /Lの塩酸15mLに溶解させた。その溶液をオイル バスにて90℃に加熱し、その温度で10時間攪 した。反応液にアセトン50mLを加え、ポリマ を完全に沈殿させ、それを濾過し、メタノ ルで3回洗浄し、白色のポリエチレンイミン の粉末を得た。得られた粉末を 1 H-NMR(重水、日本電子株式会社製、AL300、300MHz) にて同定したところ、ポリエチルオキサゾリ ンの側鎖エチル基に由来したピーク1.2ppm(CH 3 )と2.3ppm(CH 2 )が完全に消失していることが確認された。 ち、ポリエチルオキサゾリンが完全に加水 解され、ポリエチレンイミンに変換された とが示された。

 その粉末を5mLの蒸留水に溶解し、攪拌し がら、その溶液に15%のアンモニア水50mLを滴 下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿 したポリマー会合体粉末を濾過し、そのポリ マー会合体粉末を冷水で3回洗浄した。洗浄 の結晶粉末をデシケータ中で室温乾燥し、 状のポリエチレンイミン(L-PEI)を得た。収量 2.2g(結晶水含有)であった。ポリオキサゾリ の加水分解により得られるポリエチレンイ ンは、側鎖だけが反応し、主鎖には変化が い。従って、L-PEIの重合度は加水分解前の5, 000と同様である。

 合成例2
<ベンゼン環中心の星状ポリエチレンイミ (B-PEI)合成>
 Jin,J.Mater.Chem.,13,672-675(2003)に示された方法に 従い、前駆体ポリマーであるベンゼン環中心 に6本のポリメチルオキサゾリンのアームが 合した星状ポリメチルオキサゾリンの合成 次の通り行った。

 磁気攪拌子がセットされたスリ口試験管中 、重合開始剤としてヘキサキス(ブロモメチ ル)ベンゼン0.021g(0.033mmol)を入れ、試験管の口 に三方コックをつけた後、真空状態にしてか ら窒素置換を行った。窒素気流下で三方コッ クの導入口からシリンジを用いて2-メチル-2- キサゾリン2.0ml(24mmol)、N,N-ジメチルアセト ミド4.0mlを順次加えた。試験管をオイルバス 上で60℃まで加熱し、30分間保ったところ、 合液は透明になった。透明混合液をさらに10 0℃まで加熱し、その温度で20時間攪拌して、 前駆体ポリマーを得た。この混合液の 1 H-NMR測定から、モノマーの転化率は98モル%、 量は1.8gであった。この転化率によりポリマ ーの平均重合度を見積もったところ、各アー ムの平均重合度は115であった。また、GPCによ る分子量測定では、ポリマーの質量平均分子 量は22,700であり、分子量分布は1.6であった。

 この前駆体ポリマーを用い、上記合成例1と 同様な方法によりポリメチルオキサゾリンを 加水分解し、6本のポリエチレンイミンがベ ゼン環コアに結合した星状ポリエチレンイ ンB-PEIを得た。 1 H-NMR(TMS外部標準、重水中)測定の結果、加水 解前の前駆体ポリマーの側鎖メチルに由来 た1.98ppmのピークは完全に消失したことが確 された。

 その粉末を5mLの蒸留水に溶解し、攪拌し がら、その溶液に15%のアンモニア水50mLを滴 下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿 した結晶粉末を濾過し、その結晶粉末を冷水 で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケ タ中で室温(25℃)乾燥し、6本のポリエチレン イミンがベンゼン環コアに結合した星状ポリ エチレンイミン(B-PEI)を得た。収量は1.3g(結晶 水含有)であった。

 合成例3
<ポルフィリン中心の星状ポリエチレンイ ン(P-PEI)合成>
 Jin et al.,J.Porphyrin&Phthalocyanine,3,60-64(1999); Jin、Macromol.Chem.Phys.,204,403-409(2003)に示された 法により、前駆体ポリマーであるポルフィ ン中心星型ポリメチルオキサゾリンの合成 次の通り行った。

 三方コック付の50mlの二口フラスコをアルゴ ンガスで置換した後、0.0352gのテトラ(p-ヨー メチルフェニル)ポルフィリン(TIMPP)、8.0mlのN ,N-ジメチルアセトアミドを加えて、室温で撹 拌し、TIMPPを完全に溶解させた。この溶液に ルフィリンに対し、1280倍モル数に相当する 2-メチル-2-オキサゾリン3.4ml(3.27g)を加えてか 、反応液の温度を100℃にし、24時間撹拌し 。反応液温度を室温に下げてから、10mlのメ ノールを加えた後、混合液を減圧濃縮した 残留物を15mlのメタノール中に溶解し、その 溶液を100mlのテトラヒドロフランに注ぎ、重 体を沈殿させた。同一方法で、重合体を再 殿させ、吸引ろ過後、得られた重合体をP 2 O 5 が置かれたデシケータに入れ、1時間アスピ ータで吸引乾燥した。さらに、真空ポンプ て減圧し、真空下24時間乾燥して前駆体ポリ マー(TPMO-P)を得た。収量は3.05g、収率は92.3%で あった。

 得られた前駆体ポリマー(TPMO-P)のGPC(HLC-8000, ソー株式会社製)による数平均分子量は28,000 で、分子量分布は1.56であった。また、 1 H-NMRにより、重合体アームにおけるエチレン ロトンと重合体中心におけるポルフィリン ピロル環プロトンとの積分比を計算した処 各アームの平均重合度は290であった。従っ 、 1 H-NMRによる数平均分子量は99,900と推定された 1 H-NMRによる数平均分子量値がGPCでの数平均分 量値を大きく上回ることは、星型高分子に ける一般的特徴であることに一致する。

 この前駆体ポリマーを用い、上記合成例1と 同様の方法によりポリメチルオキサゾリンを 加水分解し、4本のポリエチレンイミンがポ フィリン中心に結合された星状ポリエチレ イミン(P-PEI)を得た。 1 H-NMR(TMS外部標準、重水中)測定の結果、加水 解前の前駆体ポリマーの側鎖メチルに由来 た1.98ppmのピークは完全に消失した。

 実施例1-1~1-4
[ガラス管内壁がポリマー/シリカのナノ構造 合体で被覆された構造物]
 上記合成例1で得たポリマーL-PEIを蒸留水中 加え、90℃まで加熱し、4%の水溶液を調製し た。ソーダライム材質のガラス管(内径1mm、 さ5cm)とシリンジをゴム管で連結し、該ガラ 管中に一定目安のところまで前記加温した リマー水溶液を吸い取ってから、30秒間静 した後、該ポリマー水溶液をシリンジの押 力で排出した。この操作でガラス管内壁にL- PEIポリマー層が形成された。該ガラス管を室 温にて5分間静置したのち、ガラス管を表1記 の各種シリカソース液中に30分間浸けた。 ラス管を取り出し、ガラス管内壁をエタノ ルで洗浄した後、それを室温で乾燥した。 の作業後、ガラス管に薄青色の反射色が見 た。

 上記過程を経て得られたガラス管末端を 々潰し、その破片をSEMにて観察した。図1~4 は異なるシリカソース液で作製したガラス 内壁表面のSEM写真の結果を示した。いずれ 場合でも、内壁には、ナノファイバーをユ ット構造とする緻密な配列膜が形成した。 お、比較として、ポリマー層なしのガラス をシリカソース液に浸けてみたが、何も観 できなかった。

 表1の脚注
 MS51:テトラメトキシシランの4量体(コルコー ト社製)
 MS53: テトラメトキシシランの6量体(コルコ ト社製)

 実施例2-1~2-3
[ガラス管内壁がポリマー/シリカ ナノ構造 合体で被覆された構造物]
 実施例1において、ソーダライム材質のガラ ス管(内径1mm、長さ5cm)の代わりにソーダライ 材質のガラス管(内径6mm、長さ5cm)を用いる 外は、実施例1と同様にしてガラス内壁を被 した構造物を得た。

 上記過程を経て得られたガラス管末端を 々潰し、その破片をSEMにて観察した。図5~7 は異なるシリカソース液で作製したガラス 内壁表面のSEM写真の結果を示した。いずれ 場合でも、内壁には、ナノファイバーをユ ット構造とする緻密な配列膜が形成した。

 表2の脚注
 TMOS:テトラメトキシシラン

 実施例3
[ガラス管内壁がポリマー/ポルフィリン/シリ カ ナノ構造複合体で被覆された構造物]
 4.5mgのテトラ(スルフォネートフェニル)ポル フィリンを2gの蒸留水中に溶解させ、その液 に60mgのL-PEIを加え、90℃に加熱し、混合溶 を調製した。該溶液中のポリマーの(CH 2 CH 2 NH)ユニットとポリフィリンとのモル比は300/1 なる。この溶液を上記実施例1と同様な方法 でガラス管(内径6mm、長さ5cm)中に吸い取り、3 0秒静置した後溶液を押し出した。該ガラス を室温で5分間静置した後、MS-51/水/イソプロ ピールアルコール(0.2/3/3体積比)の混合液中に 20分間浸けた。ガラス管を取り出し、ガラス 内壁をエタノールで洗浄した後、それを室 で乾燥した。この作業後、ガラス管に薄紫 のポルフィリン由来の色が見えた。

 該ガラス管を蛍光顕微鏡(Olympus BX-60,オリ ンパス株式会社製)にて観察したところ、強 赤色の蛍光が現れた。この赤色蛍光はポル ィリン残基が被覆層中に取り込まれたこと 由来する。上記過程を経て得られたガラス 末端を少々潰し、その破片をSEMにて観察し 。その結果を図8に示した。写真イメージか 、幅100nm前後の帯状のナノファイバーで被 されていることを確認した。

 実施例4-1~4-4
[ガラス管内壁がポリマー/銅イオン/シリカ  ノ構造複合体で被覆された構造物]
 一定量の硝酸銅を蒸留水中溶解させ、濃度0 .014モル%のCu(NO 3 ) 2 水溶液を調製した。一定量の該水溶液中に60m gのポリマー(L-PEI)を加え、(CH 2 CH 2 NH)/Cuのモル比が50/1,100/1,200/1,600/1となる混合 を調製した。これらの混合溶液を90℃にて加 熱し、上記実施例3と同様な方法で、ガラス 内部表面をナノ構造複合体で被覆した。

 上記過程を経て得られたガラス管末端を少 潰し、その破片をSEMにて観察した。図9~12に その結果を示した。図13には、(CH 2 CH 2 NH)/Cuモル比により形成された被覆層のみの写 真を示した。(CH 2 CH 2 NH)/Cuモル比が増大する(銅イオン含有量減少) つれて、被覆層の厚みが200nmから約1000nm増 していくことを確認した。

 表3の脚注:
 IPA:イソプロピールアルコール

 実施例5
[ガラス管内壁がポリマー/金ナノ粒子/シリカ  ナノ構造複合体で被覆された構造物]
 実施例1-1で作製した構造物であるガラス管 2mLのNaAuCl 4 ・2H 2 Oの水溶液(1%)中に浸けて、80℃で1時間加熱し 。ガラス管を取り出し、蒸留水、エタノー 順に洗浄した後、室温で乾燥した。これで たガラス管には薄いワインレッド色が現れ 。このワインレッド色はガラス管内壁を被 する層中に金ナノ粒子の存在を示すプラズ ン吸収に由来する。反射スペクトル(日立製 作所株式会社製、UV-3500)からも520nmをピーク ップとする金ナノ粒子由来のプラズモン吸 が観測された。このことから、数ナノ大き の金ナノ粒子が被覆層中に生成したことが かる。

 図14には、金ナノ粒子が内部に含まれた 造物のSEM写真を示した。金ナノ粒子が被覆 中に生成しても、ナノ構造複合体の基本ユ ットであるナノファイバーには構造変化が こらないことが確認できた。

 実施例6
[ポリスチレン試験管内壁がポリマー/シリカ ナノ構造複合体で被覆された構造物]
 市販のポリスチレン試験管(16×100mm,10mL容積) に6mLの濃硫酸を加え、室温にて3時間シェー で掻き混ぜた。濃硫酸液を取り出した後、 留水とメタノールで試験管を洗浄した。乾 させた試験管中に6mLの3%のL-PEIの水溶液(80℃) を加えてから、30秒後水溶液を全部取り出し 試験管を室温で5分間静置させた。その後、 試験管中に、6mLのシリカソースの混合液(MS51/ 蒸留水/IPA=0.5/3/3体積比)を加え、室温で20分静 置した。液を取り出し、エタノールで試験管 内部を洗浄し、室温にて乾燥させ、構造物を 得た。得られた構造物の破片を用い、内壁部 のSEM観察を行った。図15には破片表面とポリ チレンと被覆層とから構成された界面部(横 方面)の写真を示した。

 実施例7
[ポリスチレン棒表面がポリマー/シリカ ナ 構造複合体で被覆された構造物]
 太さが約1.8mmのポリスチレン棒を濃硫酸液 に3時間浸けた後、水、メタノールで表面を 浄し、室温で5分間乾燥した。その後、ポリ スチレン棒を4%のL-PEIの水溶液(80℃液)に浸け 30秒間静置した。棒を取り出し、室温にて5 間静置させた後、シリカソースの混合液(MS5 1/蒸留水/IPA=0.5/3/3体積比)につけた後、室温で 20分静置した。棒を液中から取り出し、エタ ールで表面を洗浄し、室温にて乾燥させ棒 の構造物を得た。得られた棒の表面をSEMで 察した。図16には棒表面を被覆したナノフ イバーの構造写真を示した。図から、棒表 全体がナノファイバーを基本ユニットとす ナノ構造複合体で覆われていることを確認 た。

 実施例8
[ポリスチレン板表面がポリマー/シリカ ナ 構造複合体で被覆された構造物]
 2×2cmのポスチレン板を濃硫酸液中に3時間浸 けた後、水、メタノールで表面を洗浄し、室 温で5分間乾燥した。その後、ポリスチレン を4%のL-PEIの水溶液(80℃)に浸け、30秒間静置 た。板を取り出し、室温にて5分間静置させ た後、シリカソースの混合液(MS51/水/IPA=0.5/3/3 体積比)につけた後、室温で20分静置した。板 を液中から取り出し、エタノールで表面を洗 浄し、室温にて乾燥させて板状の構造物を得 た。得られた板の表面をSEMで観察した。図17 板表面を被覆したナノファイバーの構造写 である。板表面は風に流れる稲穂の様な「 ノ田んぼ」であることを確認した。

 実施例9
[銅板表面がポリマー/シリカ ナノ構造複合 で被覆された構造物]
 1×1cmサイズの銅板を4%のL-PEIの水溶液(80℃液 )に浸け、30秒間静置した。板を取り出し、室 温にて5分間静置させた後、シリカソースの 合液(MS51/水/IPA=0.5/3/3)につけた後、室温で20 静置した。板を液中から取り出し、エタノ ルで表面を洗浄し、室温にて乾燥させて板 の構造物を得た。得られた板の表面をSEMで 察した。図18には銅板表面がナノファイバー を基本ユニットとするナノ構造複合体で覆わ れていることを確認した。低倍率写真から、 表面に粒はあるものの、被覆層全体はナノフ ァイバーで構成されていることを確認した。

 実施例10
[ガラス管内壁が星型ポリマー/シリカ ナノ 造複合体で被覆された構造物]
 実施例1-1において、内径6mmのガラス管を用 、ポリマーとしては合成例2で得られたB-PEI 用いて、更にシリカソース液として(TMOS/蒸 水=1/1体積比)を用いる以外は、実施例1-1と 様にして構造物を得た。得られたガラス管 端を少々潰し、その破片の表面をSEMで観察 た。図19にはガラス管内壁の表面写真を示し た。SEM観察写真から、高密度のナノファイバ ーがガラス管内壁に生え並んでいることを確 認した。

 実施例11
[ガラス管内壁がポルフィリン星型ポリマー/ リカ ナノ構造複合体で被覆された構造物]
 実施例10において、ポリマーとして合成例3 得られたP-PEIを用いる以外は実施例10と同様 にして、構造物を得た。得られたガラス管末 端を少々潰し、その破片の表面をSEMで観察し た。図20にはガラス管内壁の表面写真を示し 。SEM観察写真から、生え並んだナノファイ ー先が丸めの粒子状になっていることを確 した。

 実施例12
[ガラス板表面がポリマー/シリカ ナノ構造 合体で被覆された構造物]
 2×2cmのソーダライムガラス板を4%のL-PEIの水 溶液(80℃液)に浸け、30秒間静置した。板を取 り出し、室温にて5分間静置させた後、シリ ソースの混合液(MS51/蒸留水/IPA =0.5/3/3体積比 )中に、室温で20分浸けた。板を液中から取り 出し、エタノールで表面を洗浄し、室温にて 乾燥させて構造物を得た。得られた板の表面 をSEMで観察した。図21には板表面を被覆した ノ構造複合体の基本ユニットがナノファイ ーであることを示す構造写真を示した。こ 写真から、板表面のナノ構造複合体は水平 的広がりのネットワークを形成しているこ を確認した。

 実施例13
[ガラス管内壁がポリマー/シリカ ナノ構造 合体で被覆された構造物]
 市販の多分岐ポリエチレンイミン(SP200,日本 触媒株式会社製)を蒸留水中に加え、4%の水溶 液を調製した。ソーダライム材質のガラス管 (内径6mm、長さ5cm)とシリンジをゴム管で連結 、該当ガラス管中に一定目安のところまで 記ポリマー水溶液吸い取ってから、30秒間 置した後、該ポリマー水溶液をシリンジの し力で排出した。この操作でガラス管内壁 ポリマーの吸着層が形成した。該ガラス管 室温にて5分間静置したのち、シリカソース 液(TMOS/蒸留水=1/1体積比)中に30分間浸けた。 ガラス管を取り出し、ガラス管内壁をエタノ ールで洗浄した後、それを室温で乾燥して構 造物を得た。得られたガラス管末端を少々潰 し、その破片の表面をSEMで観察した。図22に ガラス管内壁の表面写真を示した。SEM観察 真から、ガラス管内壁全体には約20nmのナノ 粒子が緻密に広がってネットワークを形成し ていることを確認した。

 実施例14
[ガラス管内壁がポリマー/銅ナノ粒子/シリカ  ナノ構造複合体で被覆された構造物]
 実施例4-1で得た銅イオンを含むナノ構造複 体で内壁を被覆されたガラス管を、6mLの1% 水素化ホウ素アンモニウム水溶液中に浸け 室温下3時間静置し、銅イオンの還元反応を った。サンプル管を蒸留水、エタノール液 で洗浄した後、拡散反射分光器にて吸収ス クチルを測定した。銅イオン状態での630nm 収は消失し、替わりに590nmに銅ナノ粒子由来 のプラズモン吸収が現れた。このことは銅イ オンが銅ナノ粒子に変換され、ガラス管内壁 を被覆する複合体中に該銅ナノ粒子が含まれ たことを示唆する。

 実施例15-1~15-3
[ガラス管内壁がチタニア/ポリマーのナノ構 複合体で被覆された構造物]
 上記合成例1で得たポリマーL-PEIを蒸留水中 加え、90℃まで加熱し、3%の水溶液を調製し た。ソーダライム材質のガラス管(内径4mm、 さ5cm)とシリンジをゴム管で連結し、該ガラ 管中に一定目安のところまで前記加温した リマー水溶液を吸い取ってから、30秒間静 した後、該ポリマー水溶液をシリンジの押 力で排出した。この操作でガラス管内壁にL- PEIポリマー層が形成された。該ガラス管を室 温にて5分間静置したのち、ガラス管を表1記 の各種チタンソース液中に30分間浸けた。 ラス管を取り出し、ガラス管内壁をエタノ ルで洗浄した後、それを室温で乾燥した。 の作業後、ガラス管に薄青色の反射色が見 た。

 上記過程を経て得られたガラス管末端を 々潰し、その破片をSEMにて観察した。図23~2 5には異なるチタンソース液で作製したガラ 管内壁表面のSEM写真の結果を示した。いず の場合でも、内壁には、ナノファイバーを ニット構造とする緻密な配列膜が形成した

 表4の脚注
 TC315:チタンラクテートの44%の水溶液(マツモ トファインケミカル社製)
 図23~25には異なるチタンソース液で作製し ガラス管内壁表面のSEM写真の結果を示した いずれの場合でも、内壁には、ナノファイ ーをユニット構造とする皮膜が形成した。

 実施例16-1~16-3
[ガラス管内壁がチタニア/ポリマーのナノ構 複合体で被覆された構造物]
 実施例15において用いるアンモニア水濃度 高めた以外は、実施例15と同様にしてガラス 内壁を被覆した構造物を得た。

 上記過程を経て得られたガラス管末端を 々潰し、その破片をSEMにて観察した。図26~2 8には異なるチタンソース液で作製したガラ 管内壁表面のSEM写真の結果を示した。いず の場合でも、内壁には、ナノフィルムが塀 様に立ち並ぶナノ迷路構造の皮膜が形成し 。

 実施例17
[平面状ガラス板表面がチタニア/ポリマー  ノ構造複合体で被覆された構造物]
 上記合成例1で得たポリマーL-PEIを蒸留水中 加え、80℃まで加熱し、3%の水溶液を調製し た。該溶液中にソーダライム材質のガラスス ライドまたは表面アミン処理のソーダグラス スライド(幅3cm、長さ5cm)を1分間浸漬けした後 取り出し、室温で1分間静置した後、チタン ース液(TC315/1.0 Mアンモニア溶液体積比=1/120) に20分間浸漬けした。これにより、ガラスス イド表面にポリマーの集合体層が形成した 板を液中から取り出し、エタノールで表面 洗浄し、室温にて乾燥させて板状の構造物 得た。得られた板の表面をSEMで観察した。 29は板表面を被覆したナノファイバーの構 写真である。

 実施例18
[平面状ポリスチレン板表面がチタニア/ポリ ー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
 2×2cmのポスチレン板を濃硫酸液中に3時間浸 けた後、水、メタノールで表面を洗浄し、室 温で5分間乾燥した。その後、ポリスチレン を3%のL-PEIの水溶液(80℃)に浸け、30秒間静置 た。板を取り出し、室温にて5分間静置させ た後、チタンソース液(TC315/1.0 Mアンモニア 液体積比=1/120)につけた後、室温で20分静置 た。板を液中から取り出し、エタノールで 面を洗浄し、室温にて乾燥させて板状の構 物を得た。得られた該構造物表面をSEMで観 した。図30は板表面を被覆したナノ迷路構造 の写真である。

 実施例19
[平面状スチール板表面がチタニア/ポリマー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
 上記実施例18と同様な工程で行ない、スチ ル表面にナノ構造体で被覆された構造物を た。図31に該構造物表面観察のSEM写真を示し た。

 実施例20
[平面状PETシート表面がチタニア/ポリマー  ノ構造複合体で被覆された構造物]
 上記実施例18と同様な工程で行ない、シー 表面にナノ構造体で被覆された構造物を得 。図32に該構造物表面観察のSEM写真を示した 。

 実施例21
[平面状ポリエチレン-ポリビニルアルコール 表面がチタニア/ポリマー ナノ構造複合体 被覆された構造物]
 上記実施例18と同様に、ポリエチレン-ポリ ニルアルコール板を用いて、板表面にナノ 造体で被覆された構造物を得た。図33に該 造物表面観察のSEM写真を示した。

 実施例22
[平面状ガラス板表面がチタニア/ポリマー  ノ構造複合体で被覆された構造物]
 上記合成例2で得た星状ポリマーB-PEIを用い 以外、上記実施例17と同様な工程で行ない ガラス板上をチタニア/ポリマーの複合体が 覆した構造物を得た図34に該構造物表面観 のSEM写真を示した。

 実施例23
[ガラス板表面がチタニア/金ナノ粒子/ポリマ ー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
 実施例17で作製した構造物であるガラス板 5mLのNaAuCl 4 ・2H 2 Oの水溶液(1%)中に浸けて、80℃で1時間加熱し 。ガラス管を取り出し、蒸留水、エタノー 順に洗浄した後、室温で乾燥した。これで たガラス管には薄いワインレッド色が現れ 。このワインレッド色はガラス管内壁を被 する層中に金ナノ粒子の存在を示すプラズ ン吸収に由来する。反射スペクトル(日立製 作所株式会社製、UV-3500)からも520nmをピーク ップとする金ナノ粒子由来のプラズモン吸 が観測された。また、被覆膜から落としたTE M観察からも3~4nm大きさの金属ナノ粒子が確認 された。

 実施例24
[ガラス板表面がチタニア/銅イオン/ポリマー  ナノ構造複合体で被覆された構造物]
 実施例17で作製した構造物であるガラス板 5mLのCu(NO 3 ) 2 水溶液(濃度0.014mol/L)中に漬けて、室温で3時 保持した。その後、板を取り出し蒸留水中 漬けて洗浄を行なった。乾燥後の板表面被 物は青色を示した。反射スペクトルの測定 ら、630nm付近に銅イオン由来の吸収が確認さ れた。

 実施例25
[ガラス板表面がチタニア/色素/ポリマー ナ 構造複合体で被覆された構造物]
 実施例17で作製した構造物のガラス板を5mL テトラスルホン酸フェニルポルフィリン(TSPP )の水溶液(濃度0.1wt%)中に浸けて、室温で3時 保持した。その後、板を取り出し蒸留水中 漬けて洗浄を行なった。乾燥後の板表面被 物は蛍光顕微鏡で強い赤色の蛍光を示した 反射スペクトルの測定から、420nm付近にポル フィリン由来のSoretバンドが観察され、蛍光 ペクトルからは、605nm付近にポルフィリン 来の発光が確認された。

 実施例26
[ガラス板表面がチタニア/銀ナノ粒子/ポリマ ー ナノ構造複合体で被覆された構造物]
 実施例17で作製した構造物のガラス板を5mL 0.1wt%AgNO 3 アンモニア水溶液(Ag/NH 4 モル比=1/6)中に浸けて、室温で3時間保持した 。該板を取り出し、表面を蒸留水で洗浄後、 5mLのアスコルビン酸水溶液(1wt%)中に2時間浸 けした。板を取り出し、表面の反射スペク ルを測定したところ、403nm付近に銀ナノ粒子 由来のプラズモン吸収が観察された。

 実施例27
<触媒固定型ガラスリアクターでのベンズ ルデヒドとマロノニトリルとの反応>
[ガラス試験管内壁がポリマー/シリカの複合 からなる固体触媒で被覆されたリアクターA の調製]
 上記合成例1で得たポリマーL-PEIを蒸留水中 加え、90℃まで加熱し、4%の水溶液15mLを調 した。ソーダライム材質のガラス試験管(商 名AR-GLAS、DURAN社製、内径2cm、長さ15cm)中に 記加温したポリマー水溶液を加えてから、30 秒間静置した後、該ポリマー水溶液を傾斜法 で排出した。この操作でガラス管内壁にL-PEI リマー層が形成された。試験管中にシリカ ース液(0.5%のテトラメトキシシランのエタ ール溶液)を加え、10分間保持した。ガラス から溶液を取り出し、ガラス管内壁をエタ ールで洗浄した後、それを室温で乾燥した この試験管内壁表面には概ね5mgの複合ナノ 造体が被覆された。この作業法で、5本のリ クターAを作製した。図35には作製したリア ターの破片から観測したSEM写真を示した。

[リアクターAを用いるベンズアルデヒドとマ ノニトリルとの反応]
 窒素置換された上記リアクターA中に、ベン ズアルデヒド1.06g(10mmol)、マロノニトリル0.66g (10mmol)、メタノール10mLを混合した。反応液を 30℃まで加熱し、その温度で4時間放置した後 、反応液を少々取り出し、 1 H-NMRにて反応物の転化率を測定した。10ppmあ りでのベンズアルデヒド由来のアルデヒド ークの消失から転化率が100%であることを確 した。

 実施例28
<触媒固定型リアクターAの繰り返し使用>
 実施例27で使用したリアクターAをメタノー で洗浄した後、室温乾燥し、それを実施例1 と同様な反応に用いた。30℃下4時間反応後、 反応液を全部取り出し、リアクター内部をメ タノールで2回洗浄した後、同じ反応物を加 、それを30℃下4時間反応させた。このよう 作業を全体9回繰り返し、各回での反応転化 を実施例27と同様に 1 H-NMRにて測定した。その結果を表6に示した。

 実施例27と実施例28の結果を合わせ、合計 10回の再使用でも触媒活性の低下はなく、定 的に反応が進行することがわかった。

 実施例29
<触媒固定型プラスチックリアクターでの ンズアルデヒドとマロノニトリルとの反応&g t;
[プラスチック試験管内壁がポリマー/シリカ 複合体からなる固体触媒で被覆されたリア ターBの調製]
 上記合成例1で得たポリマーL-PEIを蒸留水中 加え、90℃まで加熱し、4%の水溶液を調製し た。ポリスチレン材質のプラスチック試験管 (内径2cm、長さ10cm、試験管内表面を85%硫酸で1 0分間エッチング)中に前記加温したポリマー 溶液を加えてから、30秒間静置した後、該 リマー水溶液を傾斜法で排出した。この操 でガラス管内壁にL-PEIポリマー層が形成され た。該試験管を室温にて5分間静置したのち 試験管中にシリカソース液(0.5%のテトラメト キシシランのエタノール溶液)を加え、10分間 保持した。ガラス管から溶液を取り出し、ガ ラス管内壁をエタノールで洗浄した後、それ を室温で乾燥した。この試験管内壁表面には 概ね5mgの複合ナノ構造体が被覆された。この 作業法で、5本のリアクターBを作製した。図3 6には作製したプラスチックリアクターの破 から観測したSEM写真を示した。

[リアクターBを用いるベンズアルデヒドとマ ノニトリルとの反応]
 窒素置換された上記リアクターB中に、ベン ズアルデヒド 0.63g、マロノニトリル 0.40g、 タノール7mLを混合した。反応液を30℃まで 熱し、その温度で4時間放置した。反応液を 量取り出し、 1 H-NMRにて反応物の転化率を測定した。10ppmあ りでのベンズアルデヒド由来のアルデヒド ークの消失から転化率が100%であることを確 した。

 実施例30
[リアクターAを用いたシクロヘキセノンとニ ロエタンとの反応]
 リアクターA中に、シクロヘキセノン0.49g(5mm ol)、ニトロエタン0.75g(10mmol)、エタノール3mL 混合した。その混合液を30℃下、2時間反応 せた。反応液を取り出し、 1 H-NMRにて反応物の転化率を測定したところ、 クロヘキセノンのCH=CH由来のピークは完全 消失し、目的のニトロエタンの付加物が生 したことが確認された。反応は100モル%の転 率で定量的に進行した。

 実施例31
[リアクターAを用いたシクロヘキセノンとフ ニルアセトニトリルとの反応]
 リアクターA中に、シクロヘキセノン0.98g(10m mol)、フェニルアセトニトリル1.17g(10mmol)、エ ノール5mLを混合した。その混合液を30℃下 2時間反応させた。反応液を取り出し、 1 H-NMRにて反応物の転化率を測定したところ、 クロヘキセノンのCH=CH由来のピークは完全 消失し、目的のフェニルアセトニトリルの 加物が生成したことが確認された。反応は10 0モル%の転化率で定量的に進行した。

 実施例32
<触媒固定型ガラスリアクターでのベンズ ルデヒドとマロノニトリルとの反応>
[ガラス試験管内壁がポリマー/シリカの複合 からなる固体触媒で被覆されたリアクターC の調製]
 上記合成例2で得たポリマーB-PEIを用いた以 、実施例27と同様な方法でリアクターCを作 した。

[リアクターCを用いるベンズアルデヒドとマ ノニトリルとの反応]
 窒素置換された上記リアクターC中に、ベン ズアルデヒド1.06g(10mmol)、マロノニトリル0.66g (10mmol)、メタノール10mLを混合した。反応液を 30℃まで加熱し、その温度で4時間放置した後 、反応液を少々取り出し、 1 H-NMRにて反応物の転化率を測定した。10ppmあ りでのベンズアルデヒド由来のアルデヒド ークの消失から転化率が100%であることを確 した。

 実施例33
[リアクターCを用いるシクロヘキセノンとフ ニルアセトニトリルとの反応]
 実施例32で使用したリアクターCの内部をメ ノールで洗浄した後、リアクター中にシク ヘキセノン0.98g(10mmol)、フェニルアセトニト リル1.17g(10mmol)、エタノール5mLを加えた。そ 混合液を30℃下、2時間反応させた。反応液 取り出し、 1 H-NMRにて反応物の転化率を測定したところ、 クロヘキセノンのCH=CH由来のピークは完全 消失し、目的のフェニルアセトニトリルの 加物が生成したことが確認された。反応は10 0モル%の転化率で定量的に進行した。

 実施例34
[ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー 除去されてなるシリカからなるナノ芝]
 3×2cmのソーダライムガラス板を上記で得ら た4%のL-PEIの水溶液(80℃)に浸け、30秒間静置 した。ガラス板を取り出し、室温(25℃)にて5 間静置させた後、シリカソースの混合液(MS5 1/蒸留水/IPA=0.5/3/3体積比)中に、室温で20分浸 た。ガラス板を液中から取り出し、エタノ ルで表面を洗浄し、室温にて乾燥させた。 られたガラス板の表面をSEMで観察したとこ 、板表面全体はナノファイバーを基本ユニ トとするナノ芝で被覆されていることを確 した(図37a)。このガラス板を500℃で2時間焼 し、内部のポリマーを除去した後、同様にS EM観測した(図37b)。ナノ芝はその構造を維持 たままであることを確認した。

 実施例35
[シリカを含有するナノ芝表面にチタニアが 出されたシリカ・チタニア複合ナノ芝]
 3×2cmのソーダライムガラス板を上記で得ら た4%のL-PEIの水溶液(80℃)に浸け、30秒間静置 した。ガラス板を取り出し、室温(25℃)にて5 間静置させた後、シリカソースの混合液(MS5 1/蒸留水/IPA =0.5/3/3体積比)中に、室温で20分 けた。ガラス板を液中から取り出し、エタ ールで表面を洗浄し、室温にて乾燥させた 得られた板の表面をSEMで観察したところ、 表面全体はナノファイバーを基本ユニット するナノ芝で被覆されていることを確認し (図38a)。

 上記で得たシリカを構成成分とするナノ を10mlのチタンソース液(TC315/1.0Mアンモニア 液 体積比=1/120)に60分間浸漬けした。得ら た板の表面をSEMで観察したところ、ナノ芝 被覆されていることを確認した(図38b)。

 更に、得られたシリカとチタニアを含有 る複合体で被覆されたガラス板を500℃で3時 間焼成し、構造物を得た。表面をSEMで観察し たところ、ナノ構造体の形状が維持されてい ることを確認した(図38c)。これのラマンスペ トル(Remishaw社 inVia Reflex Ramascope)から、ア ターゼ型酸化チタンの存在を確認した(図39) 。蛍光X線分析(Rigaku社 ZSX100e)の結果、この構 造体中のシリカとチタニアの組成比(質量比) 95/5であった。

 実施例36
 [シリカを含有するナノ芝表面に酸化タング ステンが析出されたシリカ・酸化タングステ ン複合ナノ芝]
 実施例35で得られたシリカを含有するナノ 表面を有する構造体を10mlの塩化タングステ エタノール溶液(0.01Mol/L)に60分間浸漬けした 。ガラス板を取り出し、それをエタノールで 3回洗浄、乾燥後、500℃で3時間焼成した。蛍 X線分析の結果、この構造体中のシリカと酸 化タングステンの組成比は85/15であった。

 本発明のナノ構造複合体被覆型構造物は 任意形状の金属、ガラス、無機金属酸化物 プラスチック、セルロースなどの固体基材 面に、ポリマーとシリカやチタニア等の金 酸化物とを含有する複合体が形成されてい ものである。被覆するナノ構造複合体は、 リエチレンイミン骨格を有するポリマー溶 と固体基材との接触によって該基材上に形 されるポリマー層をテンプレートとするこ から、固体基材表面の一部のみを選択して 覆することも容易である。構造物の大小に かわらず、その表面にはナノ構造複合体が 成されていることから、単位面積あたりの 面積(比表面積)は極めて大きくなる。また 固体基材表面のナノ構造複合体は基本的に 属酸化物からなる最表面を有し、金属酸化 に関連する応用技術分野で好適に用いるこ が可能である。更には、該複合体中に、金 イオン、金属ナノ粒子、又は有機色素分子 どの様々な機能性パーツを組み込むことも 易であるから、それらの機能を発現させて 用する様々なデバイスへ利用することがで る。具体的には、触媒付与型マイクロリア ター、酵素固定装置、物質の分離精製装置 チップ、センサー、フォトニックデバイス 築、絶縁体または半導体構築、殺菌/滅菌デ イス構築、各種マイクロ電池構築、超親水/ 超疎水界面構築、液晶表示材料部材等として 用いることができ、また、プラスチックの耐 熱性、難燃性、耐摩耗性及び耐溶剤性改良技 術への応用や、基材表面の屈折率調整技術な どの、産業上幅広い分野への応用展開が可能 である。

 特に、本願で提供する構造物は、容器ま は管の内壁表面に非常に高い比表面積を有 る複合体が形成され、且つその複合体中に 媒として機能するポリエチレンイミン骨格 有するポリマーが閉じ込められている点か 、触媒固定型リアクターとして、例えば、 基性の触媒で反応が進行する炭素-炭素結合 反応等に好適に用いることができる。このよ うな触媒固定型リアクターは化学産業上の有 用な化合物、医薬用中間体製造プロセスを一 新させることができる。特に、合成プロセス の全体を簡易化し、触媒効率を飛躍的に向上 させることで、環境負荷低減に大きく貢献で きる。

 又、本発明で得られるナノ構造複合体被 型構造物を焼成することにより、固体基材 面に複雑な構造を有する金属酸化物からな 被膜を形成させることができる。この様な 属酸化物からなる被膜中には、金属種とし 複数含有させることも可能であり、また耐 性にも優れている。特に金属種としてチタ を含有する場合には、その比表面積が大き ことから酸化チタンが本来有する光触媒機 を効率的に発現させうるものである。